
「郷土学」というとどこか難しいイメージがわくかもしれませんが、難しいことではありません。文字通り「郷土に学ぶ」という意味です。自分たちの住む地域に受け継がれてきたありのままの自然や生活文化、技術、伝統などの資源をもう一度学びなおし、将来の自分達の地域の姿を考え、具体的な行動にうつすこと。それが「郷土学」です。
地域には住民にとってはあたり前のことでも、よその人の目で見ると、魅力的なコトやモノがたくさんあります。実際に都会の人は、田舎体験や地元の方との暖かい交流という形でその魅力を求めています。普段何気なく見ているものが、例えば昔ながらの郷土食が名物料理に、荒れた山林はハイキングコースに、放置されていた休耕田がドロンコ広場になったりします。地域のあるがままの魅力を、再発見し、都市部を中心とした地域外からの人を温かく迎えて、その地域の人や自然や文化に丸ごと触れてもらう仕組みをつくることが必要になります。
新しい建物を作ったり、企業を誘致したり、といったことも地域活性化の手法の一つではありますが、それはどの地域でもできることではありません。地域資源を利用した無理のない地域づくりならば、どの地域でも可能です。地域づくりにはどの地域でも必ず通用する公式のようなものはありません。地域の資源を住民が主体となって学びなおし、知恵を働かせることが大切です。
少子高齢化、地域内コミュニケーションの不足、伝統・文化の消失……。今、農山漁村を中心に地域が元気をなくしつつあります。そのような状況の中で日本財団では、2004年度より「郷土学」事業として、郷土に根づく資源を活用した地域づくりに継続的に取り組む団体への助成を開始し、2006年度までに全国55団体の活動を支援してきました。こうした活動を通じ、郷土(ふるさと)への愛着の深まり、世代間・住民間コミュニケーションの活性化などの成果が生まれ、さらに若者の雇用創出や、IJUターンを促進する動きが表れた地域も見られます。
郷土学事業のポイントをまとめると以下の4つになります。
(1)地域で暮らす住民の多くが主体的に関わること。
外部の専門家や、一部の住民だけでは継続的な地域づくりには繋がりません。
(2)地域外の人の目を加えること。
住民にとっては当たり前すぎて気づかなかったことを発見してくれます。
(3)地域にある資源を活かす仕組みづくり。
特別な仕掛けは不要です。地域にある何気ないモノ、コトや人とのふれあいこそが、人を惹きつける要素です。
(4)地域の外に向け情報発信をすること。
地域の魅力を、ホームページなどで地域外の人に見てもらう工夫が必要です。

キーワードは「つながり」です。郷土学のポイントにもあるように、地域を学び直す段階でも、再発見した地域の魅力を活かす段階でも地域外の人との「つながり」が重要になってきます。
このコーナーでは、情報を発信したいという地域づくりに取り組む方を応援をします。情報発信と言っても、一つの団体が地域の情報を広く発信するのはなかなか難しいもの…。ここを通じて、日本財団が情報発信のお手伝いをします。
一方で、移住や旅行など、いわゆる“田舎情報”が欲しい方はたくさんいらっしゃいます。ただ、情報はたくさんあっても、そうした方がダイレクトにその地域の方とつながりを持つのは難しいものです。このコーナーでは、外部の方と繋がりたい!という地域の団体の情報を掲載していますので、直に情報の出し手と受け手をつなぐことができます。
また、他の地域づくり活動を学びたい、もしくはこれから地域づくりに取り組みたいという方も、団体のHPやブログを覗いたり、連絡をとって直接お話を聞くなどすれば、地域の活性化に活かすことができます。
本コーナーが「田舎」や「郷土」に興味のある全ての方が、「つながる」きっかけになればと思っています。
(日本財団 公益チーム)