
タイが富山県伝統の「置き薬」(配置薬)制度を試験的に導入することになり、これを支援する日本財団とタイ保健省が2008年6月12日、タイの伝統医療を活用したモデル事業を作るための協定を結んだ。富山の置き薬システムは既にモンゴルでも活用されている。医療費増大に悩むタイは、この方式の導入で医療費削減を図る狙いだ。
2007年8月にモンゴルでWHO(世界保健機関)と日本財団が共催した伝統医療国際会議の中で、モンゴルで実施中の「置き薬システム」を活用した伝統医療普及事業が各国に紹介され、タイ保健省が注目し、導入に向けて検討を進めてきた。
このシステムは、富山で300年の歴史を持つ使用した薬を補充する「置き薬」の仕組みを応用し、西洋の医薬品に比べて安価な現地の伝統医薬品のキットを普及させようというものだ。
タイ保健省の計画では、4つの地域の12町計1,200世帯を対象に15-20種類(風邪薬、解熱剤、下痢止めなど)のタイの伝統薬と薬の使い方と衛生教育の2冊のハンドブックを配布し、健康面、財政面で効果があるかどうかというデータを集める。
この事業にはタイの国立大学、マヒドン大学とチュラロンコン大学が専門員会を構成して全面的に協力する。使用した配置薬の代金回収や補充はヘルスボランティアが当たる。当初の半年は、対象地域の住民の意思確認を行い、参加する地域では住民の間に発生が多い症状を調べ、置き薬箱に入れる薬の種類を調整するという。

協定書調印式に出席したタイ保健省保健サービスサポート局のクナラタナプルック・スッパチャイ局長によると、タイでは医療費が無料のため、必要以上に病院に行く人が増え、国の医療費が急増している。
また、伝統的な医学があるにもかかわらず、病院では使われず、国民の間でも伝統医療よりも西洋医療の方が優れていると考える人が多い。
タイの置き薬制度の導入にはこうした背景があり、同局長は「伝統医療の大切さと効果が見直され、医療費が軽減されるかどうかを確かめたい」と語った。
一方、日本財団の尾形武寿理事長は「この事業が成功すれば、途上国だけでなく先進国でも導入できる」と述べ、タイでの普及に期待感を示した。