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[ 2008-02-29]

ブラジル人子どもらに進路指導 
日本財団留学生会のメンバー

石井 克則


日本財団留学生会メンバーと
ブラジリアン・スクールの子どもたち
日本財団留学生会メンバーと
ブラジリアン・スクールの子どもたち

先輩格の打村さん
先輩格の打村さん

 日本ラインや中山道太田宿などの観光名所がある岐阜県美濃加茂市は、多くの外国人が住んでいることでも知られている。人口5万4,992人(2008年2月1日現在)の1割が外国人で、この3分の2がブラジル人だ。隣接の可児市と合わせると約8,000人の中南米出身者が両市に住み、大手家電メーカーの工場などで働いている。JR美濃太田駅近くなど2カ所にある「ブラジリアン・スクール」(Sociedade Educacional Brazilian School、田中マリルシ校長、250人)には、こうしたブラジル系の児童・生徒が通ってくる。この学校で中南米出身の日系人学生による「出前授業」が2月21日にあり、学生と子どもたちは、将来の進路や体の成長に必要な栄養などについて語り合った。


2時間もかけて通う子どもも

あいさつする留学生たち
あいさつする留学生たち

 同スクールは1997年に設置され、幼稚園児から高校生までが在籍しており、スクールバスで2時間もかけて通う子どももいるという。ポルトガル語(一部スペイン語)の授業を受けたのは午前が中学生、午後が小・中学生でそれぞれ45人の計90人。授業を担当したのは、日本財団が財団法人海外日系人協会の協力で2004年から進めている中南米の日系人学生を対象にした奨学金制度「日本財団日系スカラーシップ・夢の実現プロジェクト」で日本に留学したチリ出身の打村明さんをリーダーとする「日本財団留学生会」の6人。

 打村さんのほかの参加者は矢野パトリシアさん(ブラジル、美濃加茂市在住、名古屋市大大学院在学中、社会心理学専攻)、福島マルセロさん(ブラジル、神戸大学大学院経済学科博士課程在学中)、古木マキさん(ボリビア、神戸大学大学院医学研究科在学中)、山本タミーさん(ペルー、東大大学院公衆衛生学在学中)、岸本グスタボさん(ペルー、国立がんセンターがん予防・検診研究センター・獨協医科大研究生)で、プロジェクターを使って丁寧に子どもたちに語りかけた。


好きな職業を選んで

熱心に進路指導を聞く子どもたち
熱心に進路指導を聞く子どもたち

 午前の部は高校生を対象にした進路指導だった。留学生がこれまで歩んできた体験や知識を基に、どんな職業に選ぶかについて交代で説明。話が終わると、子どもたちは次々に留学生に質問をした。これに対して、留学生は「けがをしたときに治療してもらった医者と話してすごいと思い、医師を目指した」(岸本さん)、「6年間出稼ぎとして働きながら勉強を続け、心理学の先生になりたいと思った」(矢野さん)、「日本のような小さな国がどうして豊かなのか調べてみたくて経済学を選んだ」(福島さん)など、専門分野を選んだ理由を話した。

 さらに「勉強をやめたいと思ったことは」「違うことをやりたいと思ったことはないか」といった質問には「つらい時期を乗り越えたから達成感がある」(古木さん)、「途中でこれをやりたいと思えば、自分の責任でやればいい」(山本さん)と答えていた。午前の授業の終わりに当たって留学生は子どもたちに「好きな職業を選ぶこと」「努力をしていろんなことに挑戦して」「プロになることを心がけて」などのメッセージを贈った。


成長に大事な栄養

打村さんはビデオ撮影も担当
打村さんはビデオ撮影も担当

 午後からは、岸本さんと福島さんの2人が講師となって中学生を対象にした「栄養セミナー」を開き、「どうして栄養が体の成長に大事なのか」を詳しく説明した。2人の説明は具体的で「ラーメンばかり食べていて運動しないより、大事な栄養をとって運動することが大切。スポーツをすることは体だけでなく、脳も使うことになる」「一日で一番大事なのは朝ごはんで、食事の前には手をよく洗ってほしい」などの話に、子どもたちはうなずきながら聞き入っていた。

 栄養セミナーが終わると、子どもたちからは「がん」に関する質問が集中し、国立がんセンターで研修している岸本さんは「体に気をつけて栄養をとり、スポーツもやってください。家族ががんになっても怖がらないで」など、がんと立ち向かう勇気を持ってほしいと訴えた。

 日本財団は海外日系人協会と協力し2004年に日本留学を希望する中南米の日系人学生に対して奨学金を支給する「日本財団日系スカラーシップ・夢の実現プロジェクト」を創設、これまでに4期まで計30人を受け入れている。この日の「出前授業」のリーダー、打村さんは父親が日本人外交官、母親がチリ人で、1期生としてチリから国際基督教大学大学院に留学、行政学研究科で学んだ。昨年はピースボートに応募し、世界各国を回った。現在は海外日系人協会で留学生の活動支援を担当している。打村さんを含め、出前授業に参加した全員から「帰国後は、留学で学んだ知識を生かして母国のために働きます」という力強い答えが返ってきた。