
日本財団の笹川陽平会長が政府のハンセン病人権啓発大使を引き続き務めることになり、4月13日、外務省で委嘱状の交付式が行われた。新たな任期は2011年3月まで2年間。席上、笹川会長は昨年6月、国連人権理事会で日本政府提案のハンセン病患者・回復者に対する差別撤廃決議が採択された点に触れ、「人権外交の画期的な成果。最終的に国連総会決議を目指すべきだ」として中曽根外相に政府としての尽力を要請。併せてソマリア・アデン湾沖の海賊対策に関しても国連平和維持活動(PKO)として取り組むのが望ましい、として政府の積極外交を求めた。

委嘱式は13日午後、行われ、中曽根外相は委嘱状を読み上げたうえ「引き続きよろしく」とあいさつ、笹川会長は「謹んでお受けします」と答えた。話題となった差別撤廃に関する人権理事会決議は、北朝鮮の日本拉致をめぐる人権決議に反対したキューバや中国も含め最終的に59カ国が共同提案国になり全会一致で採択された。9月までに人権理事会の諮問委員会が差別撤廃に向けたガイドラインを作成する予定で、その後、国連総会での決議採択を目指すことになる。

笹川会長は人権啓発大使のほか2001年からWHO(世界保健機関)のハンセン病制圧特別大使も務めており、この日の委嘱式では、世界の患者の7割を占めたインドも含め既に123カ国が、WHOのハンセン病制圧目標である「人口1万に当たり患者1人未満」を達成、未制圧国はブラジル、ネパール、東チモールの3カ国まで減少している現状などを説明した。
一方、ソマリアの海賊対策は委嘱式後の雑談の中で話題となり、笹川会長は日本を含む約20カ国の艦船が現地海域で警護活動を展開する現在も海賊被害が相次いでいる現状から、将来を見据えた長期効率的な態勢作りが不可欠としてPKOを提案。同時に「ハンセン病を中心にした人権外交に加え、海賊対策で海洋外交を進めることが、日本の国連安全保障理事会の常任理事国入りにも道を開くことになる」との持論を展開し、中曽根外相も「政府として(長期の)政策を持つことが必要だ」との考えを示した。