アフリカ視察報告3

国立感染症研究所ウイルス第1部
1995年コンゴ民主共和国(当時ザイール)のキクイット(Kikwit)という町で死亡率が90%にものぼるウイルス病(エボラ出血熱)が流行しました。この流行については、当時の日本のメディアが多くの記事にしていたことを記憶しています。それは、1995年6月からコンゴ民主共和国の隣国であるザンビアという国にJICA(ザンビア感染症対策プロジェクト)の専門家として派遣されることになっていたからです。家族3人でザンビアの首都ルサカに赴く直前の出来事であったため、コンゴ民主共和国のエボラ出血熱の流行は、この事件は私にとって強い関心事でした。「本当にザンビアにいっても大丈夫?」などと、親族や友人によく問われたものでした。ザンビアでは、ザンビア大学医学部にJICAの援助で建設されたウイルス研究所で働きました。当時は、ウイルス研究所のザンビアのスタッフとともにポリオ(小児まひ)の調査やアフリカのインフルエンザやRSウイルスによる小児の気道感染症の研究を行っていました。私は小児科医ですが、大学を卒業してからこれまえウイルス感染症の研究を続けています。
1997年に国立感染症研究所に就職しました。担当はエボラ出血熱などのウイルス性出血熱の調査・研究です。エボラ出血熱などのウイルス性出血熱の研究続けて10年以上が経ちました。これまではアフリカに特有の感染症、エボラ出血熱、ラッサ熱、クリミア・コンゴ出血熱、マールブルグ出血熱などの研究をしていますが、最近では、コンゴ民主共和国や西アフリカに流行している天然痘類似の病気であるサル痘ウイルス感染症の研究も行っています。どの病気も比較的死亡率の高い感染症ばかりで、アフリカは怖いところだなと思う方も多いことでしょう。
平成21年3月11日から25日まで、私を含めて、曾野綾子さん、日本財団の職員の方、省庁関係者の方々と南アフリカとコンゴ民主共和国を訪問しました。私はエボラ出血熱を研究していることもあり、コンゴ民主共和国のエボラ出血熱の流行に関する視察が含まれている今回の視察のお話をいただいた時には、「これはまたとないチャンスだな」とうれしく思いました。これまでウイルス感染症の調査・研究のために、ザンビア、ガーナ、ナイジェリアなどのアフリカの国々を訪問しています。感染症を専門としている医師の立場からみたアフリカのいくつかの感染症について、これらの経験と今回の視察を通じて得られた私見を含めて、その現状を紹介したいと思います。