アフリカ視察報告7

防衛省 陸上自衛隊 東部方面衛生隊 第102野外病院隊 副隊長
今回、依然としてすさまじい格差社会が存在する南アフリカ共和国と、長引く紛争と政情不安を抱えるコンゴ民主共和国の貧困実情調査に参加させて頂きました。私の所属する陸上自衛隊のアフリカ派遣は、1993 年のモザンビーク国連平和維持活動を初めとして、現在においても、ジプチでのソマリア沖海賊対処や、国連スーダンミッション等において任務を実施中です。なかでも 1994 年のルワンダ難民救援隊では、今回視察したコンゴ民主共和国の Goma 市に部隊を展開し、医療・防疫・給水活動を実施しました。アフリカ諸国への派遣という状況で最も問題となるのは、日本とは明らかに異なる環境(特に衛生環境)下での任務遂行という点です。特にサハラ以南の最貧国における衛生環境は劣悪であり、コンゴにおいては種々の熱帯感染症が発生し、時にそれらのアウトブレイクも勃発しています。今回の視察を通して、アフリカ貧困の現状確認と同時に、エボラ出血熱等の致死率が高い感染症の発生状況を現場で直に確認出来た事、また、Buruli 潰瘍のような未だ感染経路が明らかになっていない感染症の存在を認識出来た事は、今後の派遣に際して非常に重要な知見を得る事が出来ました。
今回の貧困調査全般を通して、遠く日本を離れ、アフリカ最貧国諸国の教会で、布教と共に地域振興に黙々と御尽力されている修道院シスター皆様方の努力に敬意を禁じ得ないと同時に、それらのシスターが話されていた「援助によるミルクの配給があっても、それを溶く水が清潔でないため、感染性下痢症で乳幼児は皆死んでしまうのです。」という言葉に代表されるように、アフリカ貧困を援助することは簡単な事ではありません。けれども、現場でしか理解し得ない数々のアフリカの現実を肌で感じる事が出来たことは、今後の支援を考える上でかけがえのない経験となりました。

しかしながら、私自身、今回の調査目的である“アフリカ貧困支援の今後のあり方”の明確な解答は未だ得られていません。各諸国から多くの支援により少しずつ状況の改善が見えてきてはおりますが、諸問題の本質に迫るためには、各国の政治的思惑も絡んだ、まだまだ根深い背景が隠されていることが推察されるからです。厳しい環境の中、目を輝かせて、実に明るく逞しく生きている現地の子供達を見ても、“彼らは本当に私達の深い介入を必要としているのだろうか?”と、考えてしまうこともあります。
しかし、医官としての立場から、現代医療の片鱗をもってすれば救える命が、いとも簡単に絶えてしまうことを静観することはできません。今回肌で感じた経験を“わたし的アフリカ貧困支援のあり方の根幹”とし、今後何らかの機会があれば微力ながらお役にたてればと思います。
最後に、このような貴重な機会を与えてくださった曽野団長、尾形理事長と鈴木先生をはじめとする日本財団の皆様、同行させて頂いた各省庁の方々、現地教会のシスターの方々、防衛省内局及び陸上自衛隊の皆様に深く感謝申し上げます。