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[ 2002-02-21]

台湾大地震への支援についての報告


台湾を襲った大地震

道路は大きく断裂した
道路は大きく断裂した

 1999年9月21日、台湾の中部を阪神大震災を髣髴させる大地震が襲った。度重なる余震により被害は拡大。21 日以降7,400回以上の余震、うち震度6以上のものが65回以上も観測された。この地震により、震源地を中心にビルや住居など13万棟以上が崩壊し、 2300人を超える尊い命が奪われた。
 日本政府は135人の緊急援助隊員を派遣した他、阪神淡路震災で使用された仮設住宅2000個を提供した。また、阪神大震災を経験したボランティアやNGOも多数駆けつけ、台湾中部大地震の早期復興のための大きな力となった。


備えあれば憂いなし

整備された救援車両
整備された救援車両

 日本財団は、災害直後に日本財団職員が現地に派遣、被害状況を調査した。その結果、被害が甚大だと判断し、即座に3億円を義捐金として拠出した。当時の台湾総統である李登輝氏から、3億円は今後起こりうる同様の災害に対応できる人材の育成にあてる旨報告を受けた。実際には、3億円のうち、約1億8千万円相当を政府の内政部消防署に、約1億2千万円相当を民間の中華捜救総隊という救援NGOに割り当て、今後の災害時の支援活動を行うための組織の結成や訓練、また今回式典が行われた救援車両や救援機材の整備に当てられた。


李登輝氏が日本財団の支援に感謝

李登輝前総裁がスピーチ
李登輝前総裁がスピーチ

 2月21日、台湾電視(台湾テレビ)本社前広場にて記念式典が催された。特設会場と広場を囲むように、今回の義捐金で購入した救援車両8台を含む救援機材が整然と並べられ、中華捜救総隊のメンバーも整列して特設会場のステージ壇下で待機した。台湾のテレビ会社のテレビカメラが数台、一般の参列者席に現地の記者も座って参加した。特設会場のステージには李登輝前総統夫妻を先頭に、当財団曽野会長、中華捜救総隊の王理事長らが登壇した。
曽野会長は、お祝いのスピーチで「日本、韓国、台湾は3人の兄弟姉妹のようなもので、1人が困っているときは他の2人が助けてきた。実際に神戸の地震のときは韓国のレスキュー隊が真っ先にペットボトルをいっぱい積んでヘリで駆けつけた。その姿に感動した。今回、義捐金によって育成された民間の消防隊の方々や、本日お集まりの中華捜救総隊の皆様が、日本で何かあった時には助けにきていただくことを節に願う。」と述べた。
 続いて、李登輝前総統は日本の団体の中から何よりもまず日本財団が支援を表明してくれたことに心より感謝する、その心に応えるべく、中華捜救総隊ならびに民間の消防隊が災害時に一人でも多くの人命を救出できるよう努力していただくことを願う、という趣旨のスピーチで応えた。


曽野綾子会長スピーチ(その1)

「台湾韓国日本は運命共同体」と挨拶
「台湾韓国日本は運命共同体」と挨拶

 「今日はここに新しく、中華国際捜索総隊と内政部消防署の新しいご発展を目の当たりにし、そのご出発をお祝いする式典に出席させて頂きましたことを改めてお礼申しあげます。
1999 年9月21日の中部大地震は、始終地震の発生におびやかされている日本人にとっては、まさに人ごとではない、という感じでした。まず犠牲になられた方たちのご冥福を今日改めてお祈り申し上げると共に、失われた多くの命をむだにしないように、新しい国の形を作らなければならない、と誰しもが思うところではないかと思います。そしてその慰霊の思いは、今日はっきりとした形でスタートいたしました。

 災害に対する救援のシステムは、どの社会にとっても、もっとも人間的な行動です。今そこにある命を守り助ける、という行為に説明は要りません。日本では私の祖父母の時代には、誰もが木造の家に住んでいて火事も多かったので、東京の民間の消防組織は非常に発達しました。
昨年のニューヨークの世界貿易センターのテロ事件の時も、勇敢に義務を果たした消防士たちに対する感動は世界を駆けめぐりました。私共の日本財団も社屋の上に掲げた国旗を三日間半旗にして深い尊敬と追悼の意を表しました。
 今回の新しい消防の組織は、火事を消すと同時に、生命の救出をも大きな任務としています。台湾、韓国、日本の三国は、地理的にも一種の運命共同体にあります。この三つの国は三人の姉妹のようです。一人が災難に会えば、後の二人は駆けつけて行って助けるのです。1995年に大阪付近で起きた大震災では、韓国の飛行機がまず大量の飲料水のペット・ボトルを積んで飛来しました。その光景は感動的でした。今日ここにこの盛大な機動救援隊、民間特殊救援隊の姿を見ると、私は「どうぞ、日本に何かあったら、必ず助けに来てください」とお願いし、そのお約束を取り付けて日本に帰りたい思いです。」


曽野綾子会長スピーチ(その2)

整備した機器を視察
整備した機器を視察

 世界の政治が、世界的不況と抗争の中で、信頼と生気を失いつつある時にも、私たちは決して人間そのものに希望を失ってはなりません。最近、私は一つの感動的な新聞記事を読みました。執拗な戦乱が続くイスラエルでは、自殺テロリストが、未来の占領地区の兵士だという理由でイスラエルの少年たちを標的にし、イスラエル側ではパレスチナの子供たちを撃ったり石を投げたりしているといわれます。
その中で、一人の少女、アラビア語で平和を意味する「サラーム」と名付けられた少女は捨て子でしたが、彼女はパレスチナ人のドクターに拾われ、ローマン・カトリックの修道女の手に渡されて安全に育てられ、ハダサの有名な病院でイスラエル人の医師から心臓の手術を受けて快方に向かっています。闘争の土地にも、こうして奇跡が起きます。この「平和ちゃん」と呼ばれる少女の存在は、中東における平和の実現が可能であることの一つの証となりました。消防隊の本質は、まさにこのような極めて素朴で人間的な温かい心を源泉として存在するものです。
 皆さまの消防隊が、何よりも安全に活躍されますように。お国に充分にお尽くしになられますように。そしてその存在が近隣のすべての国々の連帯の証となりますように、お祈りしてご挨拶といたします。

2002年2月21日
日本財団会長 曽野綾子