
日韓両国のハンセン病対策を研究している韓国・国民大学の学生チームが7月21日に来日、1週間にわたり法律事務所やボランティア団体、各地のハンセン病療養所を回りフィールドワークを行った。7月27日には日本財団と笹川記念保健協力財団も訪問、帰国後、両国の取り組みを比較分析した研究報告書をまとめ国会や関連機関に提出する。

来日したのは、国民大学法学部のジョンチョル教授とキム・スンヨンさん、イチュンウォンさんら学生5人。同大学の国際交流体験プログラムの研究チームのひとつで、ハンセン病回復者のインタビューや学生の意識調査などを行っている。今回の訪問は、法律や医療支援、社会的意識など日本のハンセン病対策を調べ、韓国との比較研究を行うのが目的。
韓国のハンセン病対策は日本統治時代、日本と同様、収容隔離政策がとられたが、戦後は独自政策に転換。1960年代以降、ハンセン病回復者の社会復帰を目指す「定着村」の建設を全国各地で進め、現在、約90か所の定着村で約12,000人の回復者と家族が畜産業などを営んでいる。

日本財団、笹川記念保健協力財団では、ハンセン病の制圧と患者・回復者に対する偏見・差別の撤廃に長年、取り組んできた両財団の活動を中心に説明を受け、途中、患者・回復者が国に損害賠償を求めた訴訟への取り組みを質問。保健協力財団の十八公宏衣・常務理事は「回復者への偏見をなくすには、当事者が戦うしかなく特段の支援はしていない」と答えた。
一行はこれに先立ち、熊本の菊池恵楓園や東京の多磨全生園も訪問。「療養所で暮らす方々が過酷な差別の歴史にも関わらず、笑顔で話をされたのに驚いた」「惠楓園の回復者が“家族に囲まれて暮らせる韓国の定着村がうらやましい”と語るのを聞き、収容隔離の難しさを考えさせられた」との感想を語った。一方でキム・スンヨンさんは「定着村には市民団体などの支援はあるが国の補助はなく、韓国のハンセン病患者・回復者が置かれている状況も簡単ではない」と指摘した。
帰国後、学術関係機関やハンセン病の研究所、福祉協会などに研究報告書を提出するほか、韓国の大学新聞やインターネットサイトに記事を寄稿し、より多くの人にハンセン病の実態を知らせていく考えだ。