<概要>
諸外国の一般の人々がもつ、「現代日本」についての知識は必ずしも十分とはいえません。マンガやアニメなどを通じて日本に対する関心は高まりつつあるものの、「現代日本」についての正しい理解を促進するための情報は限られています。日本財団は、日本の実情理解促進に役立つ英文基本図書100冊を選んでカタログを作成し、このカタログに紹介されている図書を、海外の大学図書館、公共図書館、団体などに寄贈する事業を開始しました。
選ばれた100冊のうち60冊は外国人著者の著作、30冊が日本人著者による原著翻訳、7冊が日本人と外国人の共著、日本人著者が英文で著した図書は、新渡戸稲造著『武士道』、ハル・ライシャワー著『絹と武士』、緒方貞子著『紛争と難民—緒方貞子の回想』の3冊です。
まず北米を中心に公募したところ、2008年度は71件、2009年度は218件の応募がありました。審査の結果、図書の管理体制、図書が利用される可能性などの選考基準を満たす図書館(2008年度は58か所、2009年度は9月末現在で184か所)計242か所に寄贈を行いました。これらの内訳は、大学図書館193か所、公共図書館44か所、研究機関などの付属図書館2か所、その他3か所となります。また、寄贈図書の合計は14,681冊となりました。
<寄贈先の例>
1. アリューシャン列島に属するウナラスカ島(アラスカ州)にウナラスカ公共図書館があります。同島は、歴史的にも日本との関係が深く、豊富な漁場に恵まれているため多くの日本人船員が立ち寄ることから、日本文化への関心が強いという理由での希望が届きました。
2. 東部マサチューセッツ州にあるミリセント図書館は、初めて渡米した日本人として、幕末日本での啓蒙に寄与したジョン万次郎上陸の地にある公共図書館です。万次郎の功績は、現在もアメリカで高く評価されており、同図書館には万次郎関連の情報を提供する展示室も設置されています。
3. 商業工業都市として知られるテネシー州のモトロウ州立コミュニティ・カレッジの図書館からは、多くの日本企業が工場を構えていることから、地元の人々の日本への関心が高いので日本に関する図書を充実させたいということでした。
4. ネブラスカ州ニールウィー公共図書館は人口8,000人の小都市にあります。年間2万4,000人の利用者の中には退役軍人が多く、彼らの日本に対する理解とイメージを深めたいと図書館側の希望があったものです。
5. 日本駐留米軍の将兵の日本理解を深めたいという三沢米軍基地図書館からの希望に応じて図書を寄贈しました。
<今後の予定>
1. 北米以外の地域の大学、公共図書館への寄贈を進める予定です。
2. 各国で活躍する知識人、オピニオン・リーダーといった個人への寄贈も開始予定です。
3. 共著書を含めても、日本人による著書が100冊のリスト中40冊と限られていました。そこで、日本人による日本語で書かれた図書の翻訳出版支援や翻訳者育成事業なども開始する予定です。
<これまでの実績>
2008年度 寄贈図書合計冊数 3,655冊、図書寄贈経費 24,723,874円
2009年度(9月末現在)寄贈図書合計冊数11,026冊、図書寄贈経費 68,471,930円