「海事」から「海洋」へ世界海事大学への新たな支援 (100億円相当の基金新設) を表明

2015年5月19日 (火) にスウェーデン王国マルメ市において世界海事大学 (WMU: World Maritime University) 新キャンパス竣工式が開催されました。開会挨拶の中で日本財団会長笹川陽平は、「世界規模で進行する海洋の重要な問題に対する解決策を見出すには、それぞれの分野を超えた協力が不十分である。海事を専門とする大学院大学である世界海事大学は、海事という分野にとどまらず、より広い観点から総合的に海の問題を扱う教育・研究機関として発展を続けて欲しい」と述べ、「海事」から「海洋」へ転換していく重要性を強調しました。その上で、世界海事大学が、多方面の海洋分野が融合する科学的研究などを行う研究機関へと発展できるよう支援するための以下のような意向を表明しました。

  1. 海洋の問題を解決していくための人材育成にあたる教育機関、そして、多方面の海洋分野が融合する科学的研究を行うための100億円相当の基金を新設すること
  2. これまでの人材育成プログラム等をさらに充実するために、年間3億円規模の支援を今後更に10年間継続すること

これらの計画は、関係者と調整した上で実施される予定です。
新キャンパスは、1900年初頭にマルメ市港湾局のために建築された歴史的建造物を、同市が大学に無償で提供し、全面改装を施し開校されたものです。建物内の施設は、スウェーデン政府など世界海事大学への長年の支援者の名前が付されており、竣工式が行われた大講堂は、「the Sasakawa Auditorium」と名付けられています。竣工式には、国際海事機関 (IMO)関水康司事務局長をはじめとする約400名が参列しました。

【参考】

(WMU:世界海事大学とNF-WMU人材育成プログラムについて)
世界海事大学(WMU)は、1983年国際海事機関(IMO)が設立した世界の海事関係者の教育と訓練を行う大学院大学。アジア・太平洋地域を中心とする国々の海事行政担当者を対象に、海事法規・政策、海上安全・環境管理、海事教育・訓練などの専門知識を修得した人材の育成と、各国の海事関係者の人的交流および国際協力の推進を目的としています。

日本財団は、1987年以来、30年近くにわたりWMUとの人材育成プログラムを実施し、60カ国以上、約550名の奨学生を輩出しています。2014年度は、人材育成プログラムに約2億円(奨学生22名)、海事行政など4つの日本財団講座に約7千万円を拠出しています。

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