風の香り

[ 2009-09-29]

風の香り

宮崎 正


《2》 競艇のスターになれ! 相手の死乗り越え再起目指す

金光さんが入学を目指すやまと競艇学校
金光さんが入学を目指すやまと競艇学校

過日、昼食後の雑談でプロゴルファー石川遼のすごさがひとしきり話題となった後、関係者から「競艇にもスーパースターが必要だ」といった声が出た。確かにスポーツの世界でスーパースターが持つ集客力、吸引力はすごい。選手が持つ人気が新たなファンを拡大し、そのスポーツ全体の人気を底上げする。

ゴルフの世界も宮里藍や横峯さくら、上田桃子といった若手が次々に躍り出た女子プロ人気がまず先行し、いま一つだった男子プロも石川の登場で一挙に上昇した。ゴルフツアーの観戦客は大幅に増え、テレビ中継の視聴率もアップしているという。

イチローのような超ビッグスターは別格としても、スター選手には視聴率や販売部数のアップを目指すテレビやスポーツ紙が集中的にスポットを当てることで虚像が膨らみ、その相乗効果でスター性が一段と増す側面もある。逆に言えば、専門誌だけでなく大衆メディアであるテレビやスポーツ紙がどこまで取り上げるかがスター誕生の要件のひとつでもある。

もちろん競艇の世界にもスター選手はいるし、「競艇少女」「モンキーターン」といった人気漫画もある。しかし、こんな視点で見ると、若者を中心に量的にも質的にも新たなファンを獲得していくためには、さらなる話題が必要な気もする。そんな思いで見ているうち、9月末の読売新聞・人物語欄に「再起の競艇挑戦」と題した元プロボクサー金光祐治さん(25)の紹介記事が載っていた。

18歳でプロデビュー。今年3月21日、東京・後楽園ホールで行われた日本ミニマム級タイトルマッチで同級1位の辻昌建さん(当時30)を最終10ラウンドKOで破り、チャンピオンとなった。試合はまれに見る壮絶な打ち合い。ゴングとともに辻さんはリングに倒れ緊急手術を受けたが3日後、急性硬膜下血腫で死亡、金光さんも頭痛と吐き気を訴え救急車で病院に。
その後、症状は落ち着いたものの脳に血腫が見つかり、JBC(日本ボクシングコミッション)の勧告を受け、5月、引退を表明。「第2の人生を頑張る」と競艇選手への挑戦を明らかにしていた。

挑戦するのはスポーツ界のトップアスリートを対象に昨年の106期生募集から始まった特別選抜試験枠。これまでにバイクのロードレース選手ら7人のアスリートが挑戦している。特別選抜試験は学科、適性、面接などが内容で12月7日から行われる。晴れて合格すれば来春から1年間、福岡県柳川市のやまと競艇学校で競艇選手を目指す。

記事によれば、死亡した辻さんの通夜の席で頭を下げる金光さんを、辻さんの父親が「2人とも全力を出し切ったのだから・・。これからも頑張って下さい」と激励した。第2の人生にかける金光さんの決意は固い。ボクシングに続き競艇の世界でも“チャンピオン”として羽ばたき、メディアの紙面を大きく飾ってほしいと思う。(了)


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