分担金の算出根拠は、各国の保有船腹量による。一方、表2は算出根拠となる各国の保有船隻数と船腹量である。これらの数字は、便宜置籍船制度がある現状では、驚くほどのものではないだろう。しかし、表3の日本商船隊の数字と見比べてみるとどうだろう。日本商船隊における船隻数は日本籍船103隻、外国用船は1,770隻で計1,873隻、用船先は表4である。パナマ籍船の船腹量の36%は、実質日本船である。また、国連貿易開発会議(UNCTAD)は、世界の商船における実質船主国を公表しているが、1位はギリシャで19.5%、2位は日本で13.6%である。日本は海運立国といわれるが、この数字はまさにそれを証明する数字であるが、一方で、国際海事社会における日本の立場を示す数字でもある。しかし、IMOの運営を経費面で支えているのはパナマやリベリアといった便宜置籍国である。もちろん、金さえ出せば良いのではないが、便宜置籍国の分担金は、本をただせば日本船主が納めた税金等であるから、日本がIMOの運営を実質的に支えていることはもっと理解されて良い。また、逆に言えば国際規制をもっとも受けるのは日本であるから、発言力もあってしかるべきであろう。しかしだからといって、自分たちだけ都合が良いようにすることはできないのは当然で、それでは国際社会では孤立してしまう。国際協調を旨として、国際海事社会の発展のためにリーダーシップを発揮する権利と義務を持っていると考えるべきである。
今回のMEPCにおいても、日本は技術力を活かした科学的かつ現実的な提案をしている。困難な検討になるほど、参加各国も、日本の提案に期待しているという。そして、日本代表団には、長年IMOに貢献し、尊敬を集め、ワーキンググループの議長を務めるような方もいる。しかし前述のような意味でIMOにおいて日本がリーダーシップを発揮してきたかどうかというと必ずしもそうとも言えない。議論が紛糾した時には、所謂欧米主要海運国が集まり、極東の国日本は、蚊帳の外に置かれてしまったこともあると聞く。
日本は存亡を海洋に依存しており、この点は今後も変わらないだろう。そうであれば、自国による海運を確保し、それを支える造船業を維持、発展させるとともに、IMOにおいては日本の存在感を示し、リーダーシップをとることが重要だ。(了)