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[ 2008-03-10]

「葬祭・火葬船」構想の調査報告 施設不足に備え海を有効活用


火葬船そうまるのイメージイラスト
火葬船そうまるのイメージイラスト

 急速に進む高齢会社会にあって火葬場問題がクローズアップされてきた。新規の火葬場建設は土地確保の困難さや地元の反対などもあって難航するケースが多く、近い将来都市部を中心に火葬場が慢性的に不足するとの見方が強い。日本財団はこうした火葬場問題解決のため、斎場・火葬場の機能を備えた「葬祭・火葬船」(愛称、そうまる)構想について外部識者による調査委員会を設け、検討を進めてきた。この報告書を近くまとめ、3月中に公表する。四方を海に囲まれたわが国でこうしたユニークな船の建造構想が具体化するのは初めてで、この構想は火葬場問題に一石を投じそうだ。

議論する調査委員会メンバー
議論する調査委員会メンバー

 調査委員会は、田中圭・財団法人日本船舶技術研究協会審議役、大貫伸・社団法人日本海難防止協会上席研究員、横田睦・NPO日本環境斎苑協会常任理事、加戸正冶・船技協企画研究チームリーダーがメンバーで、事務局はコンサルティング会社、日本テンプルヴァン(井上文夫社長)が担当した。06年8月の準備会合の後、07年5月に第1回の調査委員会を開き、これまでに9回の会合を重ねた。構想の具体化に向けさまざまな角度から議論を行い、その結論を「調査報告書」としてまとめる作業を進めている。調査委員会は近く公表に向け最終の会合を開き、報告書の細部を詰める予定だ。報告書は5月に長崎市で開かれる日本船舶海洋工学会でも発表する予定だ。

 報告書に盛り込む内容は6章に及び、第1章「委員会について」で調査の目的に触れ、第2章「斎場・火葬船による火葬場不足の解決」で火葬場問題の現状と将来展望を考察、第3章「実用化に向けての検証」では具体的な建造方式や法制面を検証、第4章「建造計画」で建造の基本条件を検証、第5章「実務」では運営、運航方法の検討、第6章「採算性」で実際に建造して運航した場合の事業採算性についてのシミュレーション結果を掲載する。報告書は「火葬船は2,600トンクラスのカーフェリーと同等の規模で全長80メートル、乗客400人の収容能力と火葬設備4基、斎場4室を備える」などを例示し、公共性の高い事業であるため建造に当たっては公的資金の導入も想定して採算性を検討した。

 このほか調査委員会に対して問い合わせが多かった「葬儀や火葬はいつも沖に出てやるのか」「散骨もできるか」「陸上の火葬場と比較して優れている点」などについても触れている。このうち散骨については、様々な問題があるため火葬船構想の中では踏み込んだ議論をしないとしている。国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、日本では年間死亡数が2040年には166万人とピークを迎え、05年の1.55倍になるという。この結果、都市部を中心に火葬場不足がさらに深刻化するとみられ、海を有効活用しようとするこの構想は、将来を見据えた考え方として注目を集めている。