2009年度インターン報告
「北の大地が育んだ絶品サーモン! 旭山農志塾」

公益・ボランティア支援グループ インターン

| 法人名 | (福)清水旭山学園 |
|---|---|
| 事業所名 | 旭山農志塾 |
| 代表者 | 瀬戸重利 氏 |
| 所在地 | 北海道上川郡清水町字旭山南8線56番地の2 |
| TEL/FAX | 0156-63-2134/0156-63-2135 |
| ホームページ | http://www4.ocn.ne.jp/~welfair/ |
| インタビュイー | (福)清水旭山学園 旭山農志塾施設長 大田民生 氏 |
北海道西十勝にある旭山農志塾。自然に恵まれたこの場所では、ほぼ一定した低い水温で天然の湧水が手に入ります。広大な土地では生簀のスペースも広く取れ、湧水を使って天然ものにも劣らない身のしまった鮭が養殖できます。この立地をいかして生まれたのが、絶品のトラウトサーモンでした。
有名どころのサーモンにも負けないおいしさを!そんな意識のもと、新鮮な鮭を使ったサーモンを作っています。保存料・添加物ともに一切使用していないシンプルで安全な商品は、ギフトとして人気です。ギフト用の温かみあふれる木の箱も、職員がデザインして施設で作っています。美術・木工など福祉以外の得意分野を持つ職員がたくさんいるので、専門技術も施設の中でまかなえてしまうのには驚き。
北海道の有名なサーモン会社の製品と同等の値段です。お歳暮用サーモンスモーク2940円、サーモンフィレ(刺身用)2310円、塩いくら2310円。
施設のアクセスの悪さ、また設備・施設の規模上大量生産が難しいため、サーモンは通信販売を中心に売っています。養鶏事業の方では、地元のスーパーに卸しています。
生産量が限られるため、あえて広報はネットと口コミに抑えています。と言っても口コミも、特に仕掛けたのではなく自然に広がったのだとか。その中でもサーモンの販売数は着実に増えていっています。
重度・軽度を問わず知的障害の方が利用されています。年に数回評価会を持ち、各利用者の特性を判断し、一人ひとりに合った仕事を振り分けます。仕事は鮭の餌やり、水の管理からピンセットを使った小骨の除去までさまざま。字が読めなくても理解できるよう、色や位置でその日の各自の担当作業を示した掲示板を置く工夫も。
工賃は月3万円ほど。障害者年金と合わせてなんとか自活ができる額をもらうことで、利用者には自立の意思が芽生えてきます。お給料をもらうのだから、責任もって仕事をこなす。そんな職業感も身に付き、一般就労へ結びついていきます。もちろんどんな仕事もばりばりこなすというわけにはいきません。職員は日常の勤務の中で、利用者に何ができないのかも含めて把握し、受け入れ先企業と就労のマッチングをしていきます。
なおこの施設では養鶏などの事業にも取り組まれていますが、ここには驚くべき工夫が。<養鶏で出たフンを堆肥に野菜を育てる→採れた野菜をスーパーに出荷→スーパーで売れ残った野菜をもらいうける→鶏の餌にする>という一連のサイクルができ上がっています。環境に配慮しながら、資源をうまく活用してコストも削減し、おまけに利用者の仕事も作るという一石二鳥の仕組みです。
自然に囲まれた立地のため普段地域と接する機会がない分、地域のお祭りや運動会には大々的に協力します。施設の人材や機械がなくては運営ができないほどなので、地元の人々からは頼りにされる存在です。そうしたイベントでの即売会で、利用者と地域のつながりを作っています。
与えられた自然の環境に合わせた暮らしをすれば、それが仕事にもなる。旭山農志塾にはそんな哲学があるようです。重機で土地を作りかえるより、地理の良さを活かしてサーモンを作る。市販の道具に合わせた生活をするより、必要な道具は自分たちで作ってしまう。安い輸入の餌を探すより、店で残った野菜を鶏に与える…。人間の思い通りにならない環境は一見不便に思えますが、こうして柔軟に対応することでコスト削減にもなり、地域に密着した事業が可能となるのです。
(インタビュー日2009/08/20)
~この調査報告書は、日本財団2009年度インターンシッププログラムにおいて作成しました~
■公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム インターン学生(調査・執筆)
筑波大学 芸術専門学群 3年 藤森瑞葉
京都大学 総合人間学部 総合人間学科 3年 丸山綾子
■インターンシップチューター(企画・監修)
公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム 伊藤広毅