2009年度インターン報告
「100人の大家族でワインづくり!ココファーム」

公益・ボランティア支援グループ インターン

| 法人名 | (福)こころみる会 |
|---|---|
| 事業所名 | ココ・ファーム・ワイナリー |
| 代表者 | 池上知恵子 氏 |
| 所在地 | 栃木県足利市田島町611 |
| TEL/FAX | 0284-42-1194/0284-42-2166 |
| ホームページ | http://www.cocowine.com/index.shtml |
| インタビュイー | (福)こころみる会 理事長 池上知恵子氏 |
次から次へと仕事ができて、働き手が仕事に事欠かない商品をつくろうと思ったら、ワインになったというココファーム。働く障害者もお客様も幸せにするというのが基本理念です。商品のコンセプトも「飲んだ人が幸せになってくれるもの」。商品のおいしさで勝負するため、おいしいワインを作るため研究を重ねています。
*写真は、ぐらんのぼ1996(スパークリングワイン)。2000年の沖縄サミットにて、首相主催の晩餐会で乾杯用に使用されました。
農薬を使わずに育てた葡萄を育てることで、自然の酵母で発酵したおいしいワインを作っています。味の追求が独りよがりになるのを避けるため、年間100万円をかけ、週に一回他社のワインのテイスティングを行うという徹底ぶり。出先でおいしいワインに出会えたらすぐにどこで作られているのか調べて生産者とコンタクトを取り、新商品を開発するという職員のフットワークの軽さには驚きです。時には海外まで行くことも。ワインに関する専門家にも協力をしてもらいます。様々な専門家に少しずつ力を借りつつ、職員自身の感覚を大事にしながら商品作りや運営にあたっているそうです。ホームページもなるべく親しみやすさが出るように意識しています。
ワイン1800円台、5000円台、7500円台の3つの価格帯で販売しています。利益を出しブランド化をはかるには、下請けを一切せず、自分たちで値段を決めることが大切だそう。原価は約66%で酒屋などに卸す場合は8割掛けにします。130人の利用者全員に年10万円以上の工賃を払えるようにこの価格に設定しているそうです。
生産量は年間16万本。葡萄から育てているため作れる量だけ生産しています。販路は直売(35%)、通販(ホームページでの販売も含め30%)、レストランや居酒屋の委託販売(35%)です。以前はワインの輸出も考えていました。しかし、今は考えていません。なぜなら、ココファームのワインを現地まで来て飲んでほしいと考えているからです。そうすることで、この場所でしか、日本でしか飲めないワインという価値もプラスされ、さらに遠方からのお客さんが増えることで地域の活性化にもつながります。
広報にはお金をかけないという方針。まずは、ここで働く障害者の親御さんを通して広める、地元の酒屋さんに置いてもらうことから始めました。そこからどんどん口コミで広がっていきました。今では知名度も上がり、施設へ見学に訪れる人も後を絶ちません。
企業では働くのが困難な重度の障害を持った人がほとんど。しかし、農園で働く姿はベテランの農夫。山を切り開いた勾配38度の急斜面の葡萄畑に難なく登って仕事をこなします。畑の草刈り、葡萄のビニルかけ、丸太運び、カラスを追い払う、ワインのボトル詰め、検品など、仕事は山ほどあります。農薬を使わず、自然の状態でおいしい葡萄を作るため、手間暇、体力のいる作業が多いのです。入園した当初、体力がなく、赤ちゃんのような手をしていた障害者も少しずつ少しずつ山での訓練を重ね、今では体力も付き、ごつごつした農夫の手をしています。
設備、道具面の工夫や、スキルアップの工夫は一般の職場と変わらず、特別なことはしていません。仕事の割り振りもまずは何でもやらせてみて、無理そうなら他を探すという方針をとっています。
「そもそも責任、やりがいや誇りを持てるものが仕事。皆誇りを持って仕事に取り組んでいますよ。」と池上さん。この仕事は自分にしかできないと誇りを持っていることがここで働く皆さんの表情から分かります。
地域との関係が最初から上手くいっていたわけではないけれど、だからこそ頑張って他のものより抜きんでた良いワインを作ろうと努力できたそうです。美味しいワインが社会的に認められたことで、地域の人にも認められるようになってきました。ワインが世間から評価されるようになって、遠くから足を運んでくれるお客さんも出てきたため、地域が活気づいてきました。例年11月に行われる収穫祭には5000人もの人が訪れます。
ひたすらおいしいものを作る。それがお客さんにも、働き手にも、地域にも影響を及ぼしているのです。カラスを追い払うために一日中缶を鳴らしたり、葡萄ひとつひとつにカバーをかけたり、毎日雑草を刈ったり、根気がいる、丁寧な仕事が求められるワイン作り。「このような仕事をしてくれる彼らがいるからこそ、おいしい葡萄が育ちおいしいワインができあがる」そうです。職員の商品開発にかける行動力と、障害者の職人技ともいえる仕事ぶりがこれほどのワインを作り出しているのです。
(インタビュー日2009/08/27)
~この調査報告書は、日本財団2009年度インターンシッププログラムにおいて作成しました~
■公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム インターン学生(調査・執筆)
筑波大学 芸術専門学群 3年 藤森瑞葉
京都大学 総合人間学部 総合人間学科 3年 丸山綾子
■インターンシップチューター(企画・監修)
公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム 伊藤広毅