2009年度インターン報告
「おいしいベストプラクティス@障害者施設」報告書

公益・ボランティア支援グループ
福祉チーム

「かわいそうだから」買う。
「福祉だから」品質がいまいちでも仕方ない。
福祉施設のものづくりの周辺では、長らくの間、そんな「○○だから」がささやかれてきたように思います。その一方で、一般市場でもひけを取らないすてきな商品を堂々と世に送り出している施設があることを私たちは知っています。
日本財団福祉チームでは、そんなすてきな商品の中のいくつかの「おいしい」食べものに注目し、学生インターンシップの力を借りながら、そしておいしいものをほおばりながら、インタビュー調査を実施しました。
ついついリピートしてしまうおいしさは、どんな創意工夫を経てたどり着いたのか?
障害を持った方々がいきいきと働けるのは、どんな支援の取組みがあるからなのか?
地域との良い関係性を築いている裏にある考え方や努力とは?
今回ご紹介するのは、9つの事例です。各事業責任者のご協力の下、珠玉の一品に隠された秘密をいくつかの観点からじっくりと探りました。
「どうすればいい商品になるか分からない」「どんな商品がいいか思いつかない」など、就労支援事業にはさまざまな問題があると思います。決してこの報告書をそのまま真似してくださいというわけではありません。条件や環境は違っても、読み手の皆さまの事業や活動に何らかの気付きをもたらし、皆さま自身のベストプラクティスへの挑戦にお役に立ちますことを祈っております。
「おいしいベストプラクティス@障害者施設」と題して行った本調査では、調査先として、2009年に日本財団の助成事業で行った下記のイベントに出展され好評を博した商品の中から中心に選びました。
・「おいしいもの展@しょうがいのある人たち」
企画:(特)PandA-J
日時:2009年4月23日~5月15日
場所:みずほ銀行多摩センター支店
参考URL:http://www.panda-j.com/pdf/20090422.pdf
・「セルプ商品見本市」
主催:(特)日本セルプセンター
日時:2009年2月18日~20日
場所:日本財団ビル
参考URL:http://www.nippon-foundation.or.jp/org/press/09169_0213.html
調査にご協力いただいたのは全部で9つの施設です。東京近辺に所在する4つの施設は実際に現地へ赴いて直接話を聞かせていただき、遠方にある5つの施設は電話でお聞きしました。所要時間は1つの施設につき1~2時間程で、事業責任者の方に要請しました。
調査は、①マーケティング戦略②福祉施設としての役割という、2つの視点から事業を捉えるべく、インタビュー形式で行いました。
①は、企業が売れるしくみを作るための手順を探る際に用いる基本的な手法で、製品の企画やコンセプトの作成から、製造、販売アフターフォローなどを指します。どのような工夫を経て、商品が生み出されているのかを探るため、主にマーケティングプロセスにおける4つのP(製品(Product)・価格(Price)・流通(Place)・広報(Promotion)の観点を軸にどのような組み合わせで売れる商品を世に送り出しているのか話を伺いました。
②では、福祉施設として果たす「障害者支援」という役割において、授産事業が、利用者の働くことやその地域に対してどのような影響を発揮しているのかについて語っていただきました。
インタビューを行う際には、以下の質問ツリーを提示し、回答者が質問内容の全体図を把握しできるようにしました。
| 施設 | 経営理念 | 素材 | 商品コンセプト | 利用者の仕事 |
|---|---|---|---|---|
| スワンベーカリー銀座店 | 品質勝負 | 効率重視 | スタイリッシュ | 全体 |
| むそう | 地域密着 | 地元 | スタイリッシュ | 工程 |
| 上州水土舎 | 品質勝負 | 高級 | 高級 | 工程 |
| パイ焼き窯 | 品質勝負 | 高級 | シンプル | 全体 |
| キリスト教奉仕団 | 地域密着 | 地元 | スタイリッシュ | 工程 |
| 楽笑 | 地域密着 | 地元 | スタイリッシュ | 全体 |
| オリーブの樹 | 地域密着 | 高級 | 高級 | 工程 |
| 旭山農志塾 | 品質勝負 | 自家製 | 高級 | 工程 |
| ココファーム | 品質勝負 | 自家製 | シンプル | 工程 |
9つの施設はそれぞれ独自のスタイルを持っていました。特に施設ごとの違いが明白に分かる4項目を上の図に示しました。
経営理念:その施設の事業の主たる経営理念
素材:商品の原材料の特性
商品コンセプト:商品やサービスのデザイン・価格・内容などに関するコンセプト
利用者の仕事:一人の利用者が関わるのは商品製造の工程全体か一部分か
~この調査報告書は、日本財団2009年度インターンシッププログラムにおいて作成しました~
■公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム インターン学生(調査・執筆)
筑波大学 芸術専門学群 3年 藤森瑞葉
京都大学 総合人間学部 総合人間学科 3年 丸山綾子
■インターンシップチューター(企画・監修)
公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム 伊藤広毅