2009年度インターン報告
「地域のニーズ×障害者=町の活性化!楽笑」

公益・ボランティア支援グループ インターン

| 法人名 | (特)楽笑 |
|---|---|
| 事業所名 | 日中支援センター 酒菜屋「十兵衛」 |
| 代表者 | 小田泰久 氏 |
| 所在地 | 愛知県蒲郡市三谷町魚町通12-1 |
| TEL/FAX | 0533-66-0291/0533-66-0292 |
| ホームページ | http://www.rakusho.info/ |
| インタビュイー | (特)楽笑 理事長 小田泰久 氏 |
三谷漁港では地場産業である干物作りの担い手不足という問題と観光が振るわないという問題がありました。障害を持っている人が働き、地域で暮らしていくために、地域のニーズを拾い上げることで働く場所を作ることを考えた楽笑は、この問題に目をつけて酒菜屋「十兵衛」を作りました。ここは仕事を引退した高齢者と利用者が一緒に働く場所。障害を売りにせず、きちんと商売をすることを掲げています。障害を持っている人がいてくれて良かったと地域の人に思ってもらいたい、障害者が働くことで町を活性化させたいというのが目標。地域と上手く関係をつくるために至る所に工夫が感じられます。
そこで目指したのが、三谷町に伝わる昔からの味を継承し、醤油と砂糖だけで味付けした干物!。水産加工のお店が多いので引退した方に干物を作る技術を教わって商品ができ上がりました。主婦のアイディアによる商品開発も功を奏しています。
店内には毎日旬の魚が9種類並びます。お客様に立ち寄ってもらいやすいよう、お店はお洒落な雰囲気にしました。お店やチラシのデザインにも気を使っているそう。チラシは知り合いの美術の先生に作ってもらっています。
価格は他の干物屋より高めに設定し、地元の人よりも観光客を中心にターゲットにしています。これは、地元のお店と競合になることを避け、地元の人と良好な関係を築くための工夫でもあります。
店舗(5割、通販含む)、スーパー(2割)、居酒屋(2割)、保育所(1割)等安定した販路の確保をしています。スーパーへの卸は利用者の親御さん、居酒屋への卸は知人の紹介によるものです。人とのつながりは本当に大事にしています。
宣伝方法はHP、折込チラシ、新聞、テレビ(ニュースやクイズ番組)。そしてなんと言っても口コミの効果が大きいよう。さらなる販売促進のために「十八きっぷ」という名前の割引券の配布もしています。
さばく・味付け・干す・梱包など、商品製造に関わるすべての作業を利用者と従業員(地元の主婦や高齢者)が担当。利用者に対しては高齢の従業員の方が魚のさばき方など技術を一から教えています。年配の方は、子や孫を育ててきた経験から、教えることがとても上手なのです。今や利用者は自ら出刃包丁を持って魚をさばけるほど。粘り強く繰り返し教える中で、感覚で作業をこなせるようになっていきます。
また、こだわりが強いという障害のある人にも、一つの作業に集中しすぎて他の作業ができなくならないよう、こだわりに配慮しながらも柔軟な働き方ができるような研修を受けてもらっています。障害者と働いたことがなくてはじめ戸惑う従業員もいますが、子供扱
いや特別扱いをせず、ふつうに接してもらうように言っているそう。
当初、「障害者」を前面に出さないことに対して、はじめは反発や抵抗がありましたが、お店が実績をあげたことで、納得してもらえました。親御さんからの寄付に頼るのではなく、親御さんには商品の営業を頑張ってもらい、結果として工賃アップにつながることを目指します。
中には「働く」という概念自体がなく、お小遣いをもらってお金に頓着せず過ごしてきた人もいます。ですが、ここで働くと、障害の重度・軽度に関係なく、でき高制で給料がもらえるシステムの中で、働くことを強く意識するようになります。責任を持って仕事に取組むようになり、難しいことも何でもやる!というやる気が生まれました。
干物づくりで、障害者とともに三谷町に元気を与えていきたい。そのために、観光客に干物づくりを体験してもらうことも企画しました。これにより地域の活性化に一役買うのと同時に、訪れた人々に障害者が当たり前に働く姿を見てもらうことができます。そして、干物づくり体験が観光の呼び水になれば、楽笑が地域にとってますます必要な存在であるという認識が高まります。ひいては障害者への理解も深まるのです。このように、単に自分たちの事業所がよければそれでいいという考えではなく、地域の理解を得ながら、障害者が自立をサポートしています。
地域と共に歩むことを徹底して貫いている楽笑。究極の地域密着型です。地元の主婦や高齢者と一緒に仕事をすることで、新商品のアイディアが生まれ、利用者のスキルアップにもつながるという良い循環ができていると思います。
地域の方に理解を得、コミュニティを構築するまでには大変な道のりがあったといいます。何回も何回も交渉や頭を下げることがありました。多大な努力を要することではありますが、返ってくるものはそれ以上です。資金面で事業展開が難しいと感じる場合、まずは地域での人脈構築に力を入れてみるのも一案かもしれません。
(インタビュー日2009/08/24)
~この調査報告書は、日本財団2009年度インターンシッププログラムにおいて作成しました~
■公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム インターン学生(調査・執筆)
筑波大学 芸術専門学群 3年 藤森瑞葉
京都大学 総合人間学部 総合人間学科 3年 丸山綾子
■インターンシップチューター(企画・監修)
公益・ボランティア支援グループ 福祉チーム 伊藤広毅