福祉施設の歯科診療・口腔ケアに関する現状と課題に関する調査について

公益・ボランティア支援グループ

私たちは虫歯になれば歯科医に通い、痛みを説明し、治療を受けることができます。しかし、介護が必要になった高齢者は、ひとりで歯科医に通うことができなくなってしまいます。また、障害によっては、症状をうまく伝えることができず、診察を受けられないことさえあります。
高齢者や障害者にとっても、充実した生活を送るために、歯の健康は大切であることは言うまでもありません。一方で、高齢者や障害者が利用している福祉施設では、歯科診療に関する認識がまちまちであり、その実態も正確に把握されてきませんでした。
そこで今回、日本財団では、これまでご支援をさせていただいた福祉施設のご協力の下、歯科診療等の実態について、以下のとおり調査を行いました。
(1)福祉施設における口腔ケア、歯科診療等の実施状況を把握する。
(2)歯科診療・口腔ケアのニーズと課題を整理し、高齢者、障害者の健康維持及びQOL向上のための提案に結び付ける。
施設の概要、口腔ケア実施状況の有無、内容及び頻度、歯科診療の有無、内容及び頻度 歯科診療設備の有無、口腔ケア・歯科診療に対する希望、歯科診療を実施するにあたり 支障となっている点
(1)アンケート調査 福祉車両の配備実績がある団体あてにFAXにてアンケート用を送付しFAXにて回答してもらった。
発送数: 7,680件
総回答数: 2,678件(回答率34.8%)
有効回答数: 2,642件(総回答数に対して98.7%)
(2)有効回答数 2,642 件
① 特別養護老人ホーム 1,362件
② 介護老人保健施設 62件
③ 老人デイサービス 624件
④ 障害者入所施設 518件
⑤ 障害者通所施設 76件
今後の口腔ケア・歯科診療の実施について
総括
口腔ケアに関しては、入所、通所とも概ね何らかの形で実施されているが、口腔清掃にとどまっているケースがおおよそ6割。歯科診療に関しては、施設により様々であり、必要性は認識しながらも十分な対応ができているケースは少ない。
高齢者入所施設
特別養護老人ホームについては、ほとんどの施設で何らかの形で口腔ケアが実施されていることがわかった。口腔リハビリ/口腔機能回復まで実施している施設は、24%(405施設)であった。また、毎食後の口腔清掃は、ほとんどの施設で実施している。
高齢者通所施設
老人デイサービスにおける歯科診療は、介護保険と医療保険の併用となるため現行では不可である。
介護保険内では訪問診療の時間が取れない。
しかしながら口腔清掃等は、多くの施設で実施されている。
歯科診療に関しては、施設側は関与せず、家族で対応しているケースがほとんどである。
障害者入所施設
重度の療養介護型入所施設は、口腔ケア、歯科診療のトータルケアの仕組みを持って対応しているところもあるが通常の障害者入所施設においては、制度、予算、人員配置、歯科医師とのパイプないなどから、高齢者施設と比べると口腔ケア、歯科診療への対応に応じ切れていない現状がある。
主な理由は、
・行動障害等困難なケースを診療できる医師の数が少ない。
・こだわりが強く口を開かない等、診察や治療が困難な利用者がいる。
・設備、通院介助の人手不足 ……など
障害者通所施設
訪問診療、通院などのサービスは、人員配置や予算などから対応が困難な場合が多い。
歯科診療などは、家族の送迎で対応しているケースが多い。
口腔ケアに関しては、食後の歯磨き指導など口腔清掃は実施している場合が多い。