国際結婚・離婚に関するカウンセリング


法務省の統計によると、日本における外国人登録者数は191万5,030人(平成15年末現在)で、前年に引き続き過去最高記録を更新しています。この数は、平成14年末に比べて6万3,272人(3.4パーセント)の増加、10年前(平成5年末)に比べると59万4,282人(45.0パーセント)の増加となっています。またそのほか、不法残留者数も21万9,418人(平成16年1月1日現在)にのぼるといわれています。
現在日本では、国際化が進むにつれて日本人と外国籍の人々との国際結婚が増加し、それと同時に、離婚するカップルも増えてきています。平成14年には、このような国際結婚の件数(日本国内)が3万5,879件となり、これは全体の5パーセント近くを占めてることになります。つまり、およそ20組に1組の割合で国際結婚の夫婦が誕生しているといえるのです。
国際結婚においては、単に婚姻の問題だけではなく、異文化や習慣の違いの相互理解、子どもの国籍・離婚した場合の親権など、さまざまな事柄がからんできます。それゆえ、日本人同士の結婚・離婚とは違った多様な問題が生じてきます。
離婚の問題が国際的になると、関係国ごとに各国の法体系が異なり、さらに、社会習慣や規範も多様であるため、当事者間での解決はより困難になります。たとえば外国では「裁判離婚」以外認めない国や、オーストラリアのように1年以上別居状態が続いていないと離婚できないなどさまざまな決まりがありますが、カップルの一方が日本人で日本に住んでいる場合は日本の民法が適用されるため、日本人同士の離婚と同様に「協議離婚」が認められます。しかし問題はそれだけではありません。子どもがいる場合は親権者の決定や養育費の問題、また慰謝料や財産分与の問題なども生じます。
さらに、離婚後の名前の問題などもあります(日本人で結婚により姓が変わった人の場合、離婚の日から3ヵ月以内であれば、戸籍役場に「変更前の姓に変更する」という届け出をすることにより元の姓を称する事ができるとされています)。そのほか、日本人と離婚した外国人配偶者の今後の在留資格等も深刻な問題です(離婚した外国人が引き続き日本で暮らしたい場合は、当然結婚ビザからの変更が必要になります)。
結婚して子どもがいる場合やワーキングビザに変更できる場合はいいのですが、どの在留資格にも当てはまらずにビザを変更できない場合は、帰国を余儀なくされてしまいます。それでも日本に住みたいという人は少なくないため、離婚したら本国に帰らなくてはいけないので我慢している、という人もいるようです。
これらの多様な問題に対し、日本国際社会事業団では、関係国の法律、手続きを考慮しながら結婚や離婚の手続き、子どもの親権、面接交渉権、養育費、慰謝料の問題、行方不明になった家族捜しなどや日本人と結婚した外国人に対するカウンセリングをおこなっています。
カウンセリングは、国際結婚をしたカップルとその子どもの人権を守るため、彼らが居住する日本の各地域で電話相談、家庭訪問、オリエンテーション等を通じて日本語、英語、母国語によるカウンセリングを行い、場合によっては日本国際社会事業団の世界的ネットワークを使って問題解決に当たり、日本への適応を支援しています。
最近特に多いケースは、日本人男性とフィリピン人女性の結婚問題です。日本国際社会事業団では、フィリピンの社会福祉開発省(DSWD)からソーシャルワーカーが来日しており、日本人ソーシャルワーカーとともに日本語、英語、タガログ語によるカウンセリングを行って問題解決にあたっているほか、フィリピン外務省の付属機関である在外フィリピン人委員会(CFO)とも協力態勢をとっています。片言の日本語でのカウンセリングがままならない場合でも、母国語で自分の悩みを話すことによって、精神的な安定が得られることもあるといいます。
国際結婚・離婚の増加にともない、相談件数は増加の一途をたどっています。今後も、国際結婚をしたカップルとその子どもたちの福祉向上のため、カウンセリング活動が続けられます。
文:菊地佐知子