日本財団夢の奨学金

写真:2016年3月28日に日本財団ビルにて奨学金授与式に出席した第1期奨学生

日本財団は2016年4月、給付型奨学金制度をスタートさせました。その名も「日本財団夢の奨学金」。支援の対象は、事情があって実の家族と暮らせなかった、「社会的養護」出身の若者たちです。

「社会的養護」とは

日本には、何らかの事情で産みの親の家庭で育つことのできない子どもたちが約4万6,000人います(2016年4月現在)。事情は、親の死亡や病気、経済的な理由などによる育児困難、育児放棄、虐待などさまざまです。こうした子どもたちを公的責任において養育し、保護することを「社会的養護」と呼びます。社会的養護の下で暮らす子どもたちのうち、85%は乳児院や児童養護施設、15%は里親家庭やファミリーホームで暮らしています。

「日本財団夢の奨学金」とは

児童福祉法によると、社会的養護の対象は18歳未満とされています。つまり、原則として18歳を迎えると、児童養護施設や里親家庭など、それまで暮らしていた場所から出て行かなくてはならないのです。こうした若者は全国で毎年1,600人ほど。その多くが住居費や生活費を捻出するために就労します。経済的な理由に加え、体力的・精神的な疲労から進学をあきらめたり、進学しても長く続かなかったりするケースが、一般の若者に比べて圧倒的に多いのが現状です。例えば施設出身者の場合、厚生労働省の調査(平成28年4月「社会的養護の現状について」)によると、大学や専門学校への進学率は一般の若者が77%であるのに対し、施設出身者は23%。また、全国児童養護施設協議会「施設退所者に関する緊急実態調査」では、施設出身者の大学中退率は約25%となっています。

このように、社会的養護出身者の多くは、親がいないことに加え、住む場所や学歴もない3重のハンデを負うことになるといえます。そこで日本財団では、社会的養護出身者を対象とした奨学金を創設しました。構築にあたり大切にしたのは、ハンデを克服するために本当に必要なことは何か、という点。児童養護施設、自立援助ホーム、アフターケア事業団体、社会的養護の子どもを支援しているNPO団体、教授、他の奨学金実施団体など現場の専門家から、どのような奨学金があるとよいか聞き取り調査し、要素として加えました。

こうしてつくられた「日本財団夢の奨学金」の特徴は、返済不要の「給付型」であることに加え、学費全額に加えて生活費や住居費もカバーすること。勉学やサークル活動など、学生としての経験をアルバイトのためにあきらめず、できるだけ多く積んでもらうようにするためです。さらに、すべての奨学生に「日本財団夢の奨学金ソーシャルワーカー」が寄り添い、精神的ケアも含めて就職までサポートすることも特筆すべきポイントです。これも、社会的養護出身の若者は精神的に追い詰められる傾向にある、という現場の声から盛り込まれました。

2016年度はパイロット事業として、愛知・岐阜・三重の3県の居住者を対象に実施し、2017年度から全国へ拡大します。パイロット事業には、進学をあきらめ就職していた若者も含め46人の応募があり、書類選考と面接を経て、11人の奨学生が決定しました。「日本財団夢の奨学金」により愛知県内で大学生となった奨学生の1人は、「ロールモデルになれるよう努力していきたい」と抱負を語ってくれました。

今後の募集や奨学生の状況について

募集要項や申請書類、および採択された奨学生の状況については、「日本財団夢の奨学金」ウェブサイトをご確認ください。

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