子どもの貧困対策

未来の日本を担うのは今日の子どもたちであり、子どもが将来に希望を抱ける社会を作ることが私たちの責任です。
日本財団は、生まれた家庭環境によって子どもの将来が左右されることのないよう、子どもの貧困対策に積極的に取り組んでいきます。

「子どもの貧困」の現状

日本の子どもの貧困率は今、OECD加盟国の中で最悪の水準にあります。子どもの貧困率は、1980年代から一貫して上昇傾向にあり、今日では実に6人に1人の子どもが貧困状態にあるとされています。

子供の相対的貧困率の推移を表した折れ線グラフ。1985年 10.9%、1988年 12.9%、1991年 12.8%、1994年 12.1%、1997年13.4%、2000年 14.5%、2003年 13.7%、2006年 14.2%、2009年15.7%、2012年 16.3%と徐々に上昇している。
厚生労働省の国民生活基礎調査を基に作成した子どもの相対的貧困率の推移グラフ。1985年に10.9%であった子どもの貧困率は、2012年には16.3%と、過去最高に達しました。

子どもの貧困率とは、相対的貧困の状態にある18歳未満の子どもの割合を指します。国民を可処分所得の順に並べ、その真ん中の人の半分以下しか所得がない状態を相対的貧困と呼び、親子2人世帯の場合は月額およそ14万円以下(公的給付含む)の所得しかないことになります。
こうした世帯で育つ子どもは、医療や食事、学習、進学などの面で極めて不利な状況に置かれ、将来も貧困から抜け出せない傾向があることが明らかになりつつあります。
子どもの貧困問題への対応は喫緊の課題となっています。

子どもの貧困に関する日本財団の調査研究

日本財団「子どもの貧困の社会的損失推計」レポート

子どもの貧困は、非常に重要な問題でありながら、この問題が社会にもたらす負のインパクトを定量的に分析した研究や文献はほとんど存在しません。
子どもの貧困は決して「他人事」ではなく、国民一人ひとりに影響しうる「自分事」であると多くの方に認識していただくため、日本財団は、子どもの貧困の放置による経済的影響に関する日本初の推計を行いました。

この調査では、子ども時代の経済格差が教育格差を生み、将来の所得格差につながるという想定のもと、現状を放置した場合と、子どもの教育格差を改善する対策を行った場合の2つのシナリオを比較しました。
わが国では、最終学歴や正規・非正規といった就業形態による所得の格差が存在するため、教育格差が生涯所得に大きく影響します。
改善シナリオでは、現状を放置した場合に比べ、大卒者の増加や就業形態の改善によって生涯所得が増加するほか、所得増に伴い個人による税・社会保障費用の支払いが増えることで、国の財政負担がその分軽減されることになります。

この差分を社会的損失として算出すると、子どもの貧困を放置した場合、わずか1学年あたりでも経済損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加するという推計結果が得られました。

子どもの貧困がもたらす社会的損失(15歳(2013年時点)の1学年のみ)
シナリオ 所得 税・社会保障の純負担 正規職
現状シナリオ 22.6兆円 5.7兆円 8.1万人
改善シナリオ 25.5兆円 6.8兆円 9.0万人
差分 2.9兆円 1.1兆円 0.9万人

「子どもの貧困の社会的損失推計」の結果の整理表。改善シナリオでは、現状シナリオに比べ、生涯所得の合計額が2.9兆円、税・社会保障の純負担額が1.1兆円、正規職が9千人それぞれ増加することが明らかになりました。

この結果から、子どもの貧困が、日本経済や国民一人ひとりに甚大な影響を及ぼす問題であることが明らかになるとともに、対策を講じた場合には極めて大きなリターンを期待できることが示唆されました。

レポートでは、国内外の先行研究をまとめるとともに、今回の推計の過程及び結果を詳述し、その社会的・政策的な示唆について考察しています。
また、第2弾として、社会的損失を都道府県別に推計したレポートも公開しています。

居場所づくりの全国展開に向けて

都市化が加速し、コミュニティーが弱体化する現代、貧困世帯が孤立して支援につながらず、結果として問題の深刻化を招いています。そこで本プロジェクトでは、行政や地域、その他民間のパートナーと協働し、「家でも学校でもない第三の居場所」を全国に100カ所設置し、地域社会とつながる場所づくりを目指します。

  • 自治体向け説明会
    本プロジェクトのパートナーとなる自治体を募集するため、2016年8~9月に全国4カ所(東京・福岡・大阪・仙台)で自治体向け説明会を開催しました。

子供の未来応援基金

子どもの貧困の深刻化を踏まえ、平成27年4月より、日本全体で子どもの貧困対策を推進するための「子供の未来応援国民運動」が始まりました。日本財団は、内閣府、文部科学省、厚生労働省とともに、国民運動推進事務局の一員として、子どもの貧困対策の推進に取り組んでいます。
この国民運動の一環として、平成27年10月より「子供の未来応援基金」を設置し、企業や個人の皆さまからの寄付を募っています。

子供の未来応援基金の詳細・ご寄付はこちら

子供の未来応援基金では、未来応援ネットワーク事業と子どもの「生きる力」を育むモデル拠点事業の2事業を実施します。

未来応援ネットワーク事業

貧困状態にある子どもの支援活動に草の根で取組んでいるNPOを支援し、社会全体で子どもの貧困対策を進める環境を整備します。

お知らせ:2016年度「子供の未来応援基金」未来応援ネットワーク事業の支援先決定

子どもの「生きる力」を育むモデル拠点事業

日本財団は、地域に子どもの居場所となる拠点を整備し、NPOや企業のノウハウを活用して、自己肯定感や自己管理能力など、子どもの「生きる力」を育むプログラムを提供することを計画しています。

お問い合わせ

日本財団ソーシャルイノベーション本部

担当
花岡、栗田、安場
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