社会面の取り組み〜ハンセン病の差別撤廃〜

写真:THINK NOW ハンセン病 グローバル・アピール2015の様子

ハンセン病と人権

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ハンセン病患者・回復者が何世紀にも渡って背負っている社会的烙印(スティグマ)は、特定グループが被った最も広範な社会不正義のひとつです。世界人権宣言の第1条は、「すべての人間は、生れながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」と謳っています。ここにはいうまでもなくハンセン病患者・回復者も含まれるべきですが、いまだ社会的・経済的な差別は続いています。 世界人権宣言第1条を現実のものとするためには、ハンセン病患者・回復者が生まれながらに持っている権利が認められることが不可欠です。ハンセン病の人権問題を解消することが、全ての人間が基本的人権を享受し、尊厳をもって生きられる社会の実現につながるのです。

国際社会への働きかけ

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2003年、日本財団は国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)へのハンセン病をめぐる差別問題に関する働きかけを開始しました。2004年、国連人権委員会(当時)で「ハンセン病と人権」ついて日本財団が発表をしたことがきっかけとなり、同委員会の小委員会が「ハンセン病の犠牲者とその家族に対する差別の問題」の調査に着手しました。その後も日本財団はOHCHRおよび国連人権委員会/小委員会への働きかけや調査協力を継続し、小委員会での関連決議の採択を導きました。

一方、日本財団に呼応しハンセン病の人権問題に積極的に取り組む日本外務省は、2007年に笹川陽平会長を日本政府の“ハンセン病人権啓発大使”に任命し、日本財団と外務省とが一致協力して人権外交を展開する体制が整えられました。2008年、国連人権理事会(国連人権委員会から改組)において日本政府が「ハンセン病患者・回復者及びその家族に対する差別撤廃決議案」を提出(他58カ国が共同提案国)し、日本政府と日本財団が各国政府に理解と賛同を求めて回った結果、決議案は全会一致で可決されました。 この決議に基づき、国連人権理事会諮問委員会が差別撤廃のための「原則とガイドライン」を策定し、2010年12月には国連総会本会議にて、「ハンセン病の患者・回復者とその家族への差別撤廃決議」と「原則とガイドライン」が192か国の全国連加盟国の全会一致で採択されました。

5地域人権シンポジウム

国連総会で採択された「ハンセン病の患者・回復者とその家族への差別撤廃決議」と「原則とガイドライン」を各国政府や関係者、広く一般の方々にも周知し、その実行を促進するため、日本財団は全5回にわたり各地域でシンポジウムを開催しています。

第1回は南北アメリカ地域を対象に、2012年2月1日、ブラジル・リオデジャネイロで、ブラジル政府や国連人権高等弁務官事務所、WHOなどの協力のもと開催しました。そこでは、国連決議をフォローアップするための提言を策定する「ハンセン病と人権国際ワーキンググループ」を編成することが決議されました。

第2回はアジア地域を対象に、2012年10月3日から4日にかけ、インド・デリーで開催し、アジア12カ国から政府や人権委員会、ハンセン病回復者組織、NGOの代表ら約200名が参加しました。

第3回はアフリカ地域を対象に、2013年9月18日、エチオピアのアディスアベバでエチオピア保健省との共催で開催され、アフリカ8カ国を含む世界13カ国からハンセン病回復者や人権専門家、NGO、国際機関の代表など約200名が集まりました。

これらの地域シンポジウムは、「ハンセン病と人権国際ワーキンググループ」の作業とも連動させながら、2014年から2015年にかけて、アフリカ、中東、ヨーロッパでも開催する予定です。

グローバル・アピール

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ハンセン病にまつわる人権問題に関する啓発活動の一環として、WHOハンセン病制圧大使/日本政府ハンセン病人権啓発大使である日本財団会長笹川陽平の主導により、毎年1月の最終日曜日の「世界ハンセン病デー」に、ハンセン病と差別の問題について世界に訴える「グローバル・アピール」を発表しています。このアピールは、国際機関、各国政府、一般市民を対象に、ハンセン病が治る病気であること、治療は無料で受けられること、差別は不当であること等、ハンセン病に対する社会の誤解を解く必要性を訴えるものです。

開催回 宣言書 開催地 共同宣言
第1回 グローバル・アピール2006宣言書(PDF/196KB) デリー
(インド)
ジミー・カーター元米国大統領、ダライ・ラマ師、デズモンド・ツツ大司教他、ノーベル平和賞受賞者5名を含む12人
第2回 グローバル・アピール2007宣言書(PDF/419KB) マニラ
(フィリピン)
世界各国のハンセン病回復者代表16人
第3回 グローバル・アピール2008宣言書(PDF/331KB) ロンドン
(イギリス)
アムネスティー・インターナショナルや国際セーブ・ザ・チルドレンなど、人権問題に関心を持ち世界的に活動する9つのNGO
第4回 グローバル・アピール2009宣言書(PDF/1.1MB) ロンドン
(イギリス)
キリスト教、イスラム教、仏教、ユダヤ教などの宗教指導者17人
第5回 グローバル・アピール2010宣言書(PDF/1.7MB) ムンバイ
(インド)
世界の財界リーダー15人
第6回 グローバル・アピール2011宣言書(PDF/4.2MB) 北京
(中国)
世界64カ国、110大学の学長
第7回 グローバル・アピール2012宣言書(PDF/881KB) サンパウロ
(ブラジル)
世界医師会および50カ国の医師会
第8回 グローバル・アピール2013宣言書(PDF/358KB) ロンドン
(イギリス)
国際法曹協会および40カ国、1地域から46の法曹協会
第9回 グローバル・アピール2014宣言書(PDF/502KB) ジャカルタ
(インドネシア)
37カ国、2地域から39の国内人権機関
第10回 東京
(日本)
国際看護師協会および各国の看護協会
第11回 東京
(日本)
国際青年会議所

回復者の自立のための支援

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近年、尊厳の回復をもとめて、ハンセン病回復者自身によるグループが設立され、育っています。社会において「ハンセン病と人権」の問題を認知してもらうためには、このように当事者たちが声をあげることが非常に重要であり、効果があります。日本財団は、これまでに、世界30カ国以上に支部を持つアイディア(IDEA:共生・尊厳・経済向上をめざす国際協議会)、インドに700か所以上あるとされるハンセン病回復者コロニー(定着村)を中心とする同国の全回復者のネットワーク化を目指すハンセン病回復者協会(旧名:ナショナル・フォーラム)、ブラジルの有力NGOであるモーハン(MORHAN:ハンセン病回復者社会復帰運動)などの設立や組織強化、東南アジア各国にある回復者組織のネットワーク化支援などを実施しています。また、世界で最もハンセン病の患者数が多いインド(2009年の新規患者は約13万人)に設立したササカワ・インド・ハンセン病財団を通じ、回復者の経済的自立や就業支援による社会復帰促進事業を実施しています。

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