“生の芸術”アール・ブリュットがアート界を刺激する
豊かな文化

ボーダレス・アートミュージアムNO-MA【滋賀県】−−アール・ブリュット美術館へ行こう!(1)


滋賀県近江八幡市の古い街並みの中にたたずむNO-MAは、昭和初期の町家を改修して2004年にオープンした。どこか落ち着く佇まいの中で、時間を忘れて作品を鑑賞できる貴重なスペースだ。

2012.10.01

“ボーダレス”の名前が示すように「障害者と健常者」「福祉とアート」といったさまざまな境界を越え「人の持つ普遍的な表現の力」を感じてもらおうと生まれた美術館。昭和初期に建てられた京風数寄屋造りの民家を改築してできた館内に入ると、そんな革新的な意図とはうらはらに、どこか近所の家に遊びに来たような雰囲気で、長い時間をここで過ごす来場者も多いというのもうなずける、魅力的な空間が広がる。

作品にふさわしい展示方法を毎回考え、現代アートの作家とのコラボレーションも行われるNO-MA。アート・ディレクターの、はたよしこさんは「現代アートとコラボレーションすることで、美術の理屈を知ってアートを見ようとするのではなく、もっと直感的に鑑賞して良いのだと、来館者にわかってもらえるのでは」と、そのコンセプトについて話す。「誰も見たことのない、他の人がやっていない表現をしたい、というアーティストと、心をより動かされたいと思う鑑賞者たちでアート界は成り立っているけれど、アール・ブリュットはそういったこととは関係なく、障害を抱えた人々の逃れられない思いや、頭の中で繰り返されるイメージといった深層世界がモチーフになっていることが多い。だからこそアール・ブリュットは人の心の深い部分を刺激するのではないでしょうか」

写真 その刺激は「『障害と健常』という境界だけでなく、福祉・文化・教育・地域社会の在り方にまで広がる」と言うのは、NO-MAを運営する社会福祉法人滋賀県社会福祉事業団の西川賢司さん。滋賀県は長年、福祉とアートを結びつけた事業を続け、近年は滋賀の美のひとつとしてアール・ブリュットを掲げ、活動を展開。パリで開催された「アール・ブリュット・ジャポネ」展も滋賀県社会福祉事業団が中心となって実現したものだ。
2013年に開館10年を迎えるにあたり、NO-MAでは記念する展覧会の開催、記念誌の発行などを企画している。

DATA

住所:滋賀県近江八幡市永原町上 16
電話番号:0748-36-5018
営業時間:11:00〜17:00(展覧会によって変動あり)
休館:月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
料金:展覧会によって異なる
HP:http://www.no-ma.jp/

写真

撮影・パノラマ製作:染瀬 直人