“生の芸術”アール・ブリュットがアート界を刺激する
豊かな文化

鞆の津ミュージアム【広島県】−−アール・ブリュット美術館へ行こう!(3)


広島県福山市の港町に古くから残る蔵を改修し、2012年5月、アール・ブリュット美術館がオープンした。近所の子どもたちが学校帰りに立ち寄れるような、地元に開かれ、親しまれる場所になっている。

アール・ブリュット支援事業は、「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」として展開しています。
DIVERSITY IN THE ARTS TODAY外部サイト

2012.10.01

『崖の上のポニョ』の舞台として、一躍有名になった広島県・鞆の浦。北前船で栄えたまちには、往時の繁栄をしのぶ大きな商家や数々の寺社が建ち、高台からは瀬戸内の穏やかな海を一望することができる。そんなしっとりとした街並の一角に、築150年の蔵を改装してできたのが、鞆の津ミュージアムだ。

写真:鞆の津ミュージアムの外観

写真 展示は、テーマによってさまざまに変わるが、アート・ディレクターの櫛野展正(のぶまさ)さんは「格好いい展示は、都会の美術館に行けばいくらでもある。私たちはここならではの『新しくて面白い』展示を目指しています」と話す。

美術館を運営する社会福祉法人創樹会は、知的障害施設・福山六方学園も運営する。同学園出身のアーティストの作品は、世界のアール・ブリュット界で、高く評価されている。「アール・ブリュット・ジャポネ」展にも、平野信治さん、橘高(きったか)博枝さんの作品が出展された。橘高さんの作品は、ニューヨークの画廊と売買契約を結んでおり、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターも作品を購入したという。また、田口隆子さんの描いたモナリザ作品は、ダヴィンチゆかりの地イタリアで所蔵されている。

写真

福山六方学園で支援員としても活動する前出の櫛野さんは「生活のサポートをしている支援員だからこそ、学芸員では見落としがちな表現をアートとして見つけられる。彼らの作品は、私たちが手を伸ばさなければ処分されてしまう運命。彼らの作品が人の心を揺さぶる限り、僕たちは彼らの作品を発表していこうと思うし、彼らの作品だけでなく、ほかの人が気づかなかったアートを拾い上げて、さまざまなアール・ブリュット作品を展示していきたい」と言う。
まだまだ試行錯誤の段階ではあるが「ここでしか見られない展示」で、人々をあっと刺激する、そんな美術館の未来像がここにある。


DATA

住所:広島県福山市鞆町鞆 271-1
電話番号:084-970-5380
営業時間:10:00〜17:00
休館:月曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
料金:一般 800 円、大学生・65 歳以上 600 円、中高生 300 円 (ただし展覧会によって変わる場合あり)
HP:http://abtm.jp/

撮影・パノラマ製作:染瀬 直人
ミュージアム外観撮影:尾上 達也
パノラマ内 動画提供:DVD『日本のアウトサイダーアート Vol.10 <変身願望>』(発売:NPO法人 はれたりくもったり 販売:株式会社 紀伊国屋書店)