“生の芸術”アール・ブリュットがアート界を刺激する
豊かな文化

藁工ミュージアム【高知県】−−アール・ブリュット美術館へ行こう!(2)


高知県高知市の藁工ミュージアムは、昭和時代の倉庫群を再生し、アートゾーンとしてよみがえった一角にある。シアター、ギャラリーから、ヘアサロンまで、アート好きには何度訪れても楽しい場所で、アール・ブリュットが体感できる!

2012.10.01

漆喰の壁に、ぎざぎざ連なる三角屋根。高知市の中心部を流れる江ノ口川のほとりに、戦後間もなく建てられ藁製品を保管していた倉庫群がアートゾーンとして生まれ変わり、取り壊しの運命を逃れた。その一角に誕生したアール・ブリュット美術館が藁工ミュージアムだ。運営するのは、NPO法人ワークスみらい高知。代表の竹村利道さんは、高知県の社会福祉協議会で、スポーツと文化における障害者の社会参加を推進していた人物だ。

彼は当時、障害者アートの展覧会をする中で、すべての作品を「頑張ったで賞」のように賞を与えることに違和感を持ち、「スピリットアート」展を開催。400点の出展作の中で10点のみを入選とした。 「あのときは、かなりマスコミから叩かれました。障害者の作品を下手とかうまいと評価するのは間違っていると。でも『障害があるのにこんな作品をつくってエラい』という、障害を前提とした評価もおかしいと思った。それが私とアール・ブリュットとの出合いであり、出発点でした」

写真 その後は障害者の就労支援の場づくりに活動を移し、アートとは離れていたが、四国にアール・ブリュットの美術館を立ち上げる構想が持ち上がり、彼に白羽の矢が立った。 「既存の美術館で開催される美術展って、僕にはどうしても退屈に思えていました。でもアール・ブリュットは違った。アール・ブリュットに接すると『好き』と『嫌い』に分かれることが多いように思うけれど、嫌悪感やおどろおどろしいと思う感情も含め、ハッとさせられる。それはある意味、表現としての魅力です。『この表現は一体なんだろう』と思うところから対話が生まれる、アートはコミュニケーション・ツールなんです」

アートゾーン藁工倉庫には、ほかにも演劇や音楽の公演ができるシアターや、ギャラリーなどが集まり、芸術への感度が高い人が注目する場となった。そこにさらに高知の食材を使ったレストランが併設され、地元の人たちが気軽に足を運べる空間となっている。その中で藁工ミュージアムは、多くの人々に刺激を与えるべく、来館者を静かに待ち受けている。

写真

DATA

住所:高知県高知市南金田 28 藁工倉庫
電話番号:088-879-6800
営業時間:10:00〜18:00
休館:火曜(祝日の場合は開館、翌日休館)
料金:展覧会によって異なる
HP:http://warakoh.com/

撮影・パノラマ製作:染瀬 直人