“生の芸術”アール・ブリュットがアート界を刺激する
豊かな文化

みずのき美術館【京都府】−−アール・ブリュット美術館へ行こう!(4)


京都府亀岡市の障害者支援施設「みずのき」を運営する松花苑は、2012年10月7日に「みずのき美術館」を開館した。1964年以来つづく絵画教室から生まれた作品とともにアール・ブリュットの魅力を発信していく。設計はヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展でも話題を呼んだ乾久美子さんが手がけ、趣ある建物は建築ファンにとっても見逃せない。

アール・ブリュット支援事業は、「日本財団DIVERSITY IN THE ARTS」として展開しています。
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2012.10.17

「『みずのき』は、日本のアール・ブリュット界のトップランナーだった」とはたよしこさんが話すように、社会福祉法人・松花苑が運営する障害者支援施設「みずのき」では、設立5年目の1964年という早い時期から、入所者に「絵の時間」を設けていた。それは、「食べる、暮らす」という生活の基本を支えるだけでなく、情操教育も大切という思いからだったという。週1回、日本画家の西垣籌一(ちゅういち)さんを先生として招いて制作の指導を受けた。その後、西垣さんは彼らの絵の力に気づき、公募展等に出展。入賞の賞金で画材を整えることができたほど、みずのきで描かれる作品は魅力を放ち、高く評価された。

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写真 1993年に東京の世田谷美術館で開催された「パラレル・ヴィジョン 20世紀美術とアウトサイダー・アート」展に入所者の作品が展示され、名前が全国で知られるようになり、評価も一気に高まった。その翌年には、スイス・ローザンヌの市立アール・ブリュット美術館に6名の作品32点が永久収蔵され、みずのきの作家たちは大きく世界にはばたいた。

2007年からは、みずのきからの新しい発信として「南丹圏域アートプロジェクト」を開始。年に1度開催される、障害のある人とプロのアーティストたちとのコラボレーションは、施設から地域へと広がり、より多くの人と表現を交流する場を作り上げている。

写真 そして2012年10月7日に、亀岡駅近くの旧市街「亀岡銀座」にあった理髪店を改修して「みずのき美術館」がオープンした。「みずのきの作家たちの日常とその創造性の醍醐味を、一番身近にいる私たちの手で発信したい。彼らの存在こそが糧になっている」とアート・ディレクターの奥山理子さんは、開館に向けた思いを話す。日本のアール・ブリュットの草分け的存在だった、みずのき芸術の新たなる展開に大きな期待が寄せられている。

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DATA

住所:京都府亀岡市北町18
電話番号:0771-20-1888
営業時間:10:00〜18:00
休館:月・火曜(祝日の場合は開館)
料金:一般400円、高校・大学生200円、中学生以下無料
HP:http://www.mizunoki-museum.org

撮影・パノラマ製作:染瀬 直人