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サッカーで深まる日本とミャンマーの絆


「日本ミャンマー外交関係樹立60周年記念日本財団チャリティマッチ ヤンマーカップミャンマー代表VSセレッソ大阪」が2014年6月28日、ミャンマー最大の都市、ヤンゴンで開催された。多くの日本企業の協賛により実現したこの試合に、ミャンマーのサッカーファン1万2000人が集まった。

2014.07.31

アジアのトップチームの試合に1万2000人が熱狂

写真ワールドカップが開催された今年は、日本とミャンマーの外交樹立60周年でもある。少数民族地域、農村地域を中心にミャンマーへの民間支援を行ってきた日本財団では、この記念すべき年に「サッカー」を通じて両国の絆を深めるイベントを企画した。

実は、日本とミャンマーのサッカーでの交流が始まったのは、正式な外交関係が始まる以前、ミャンマーが英国の植民地だった時代にさかのぼる。大正時代(1920年代)、ミャンマーからの留学生チョー・ディン(Kyaw Din)さんが、日本で初めて組織的なパスサッカーを指導した。彼は現在まで続く日本サッカーのスタイルの礎をつくったことが評価され、2007年に日本サッカー殿堂入りしている。しかし、この“恩師”の母国は、軍事政権時代はワールドカップ予選には参加できず、2010年南アフリカ大会の予選から復帰したものの、連続して予選敗退。また、試合中のサポーターの暴動が原因で、次回予選は自国開催が禁止されるなど国際試合が制限されている。

写真今回のプロジェクトは、少数民族地域、農村地域の子どもたちにスポーツ・教育支援に役立てることを目的として、ミャンマー代表とJ1チームの対戦を実施するチャリティマッチに日本企業から協賛金を募ったもの。この企画に、最初に賛同してくれたのが、アジアでのサッカー普及を務めてきたJリーグセレッソ大阪のメインスポンサー、ヤンマー株式会社。その後、多くの日本企業からも賛同を得て6月28日、ミャンマー最大の都市ヤンゴンの国立競技場トゥワナ・ユーストレーニングセンターで「日本ミャンマー外交関係樹立60周年記念日本財団チャリティマッチ ヤンマーカップミャンマー代表VSセレッソ大阪」が開催された。アジアチャンピオンズリーグでも活躍するセレッソ大阪の試合が地元で見られるとあって、サッカーファンや家族連れなどを中心に約1万2000人の観衆が集まった。

試合は、東南アジアの雨季特有の豪雨の中、1-0でセレッソ大阪が辛勝。
普段は勤勉でやさしい印象のミャンマーの人々もサッカーとなると熱くなるが、この日のスタンドは、ミャンマー代表、セレッソ大阪の双方のサポーターがエールを送り合いながら、和やかに観戦。ヤンゴン市在住の40代男性も「得点は3-0でもおかしくなかったほど、セレッソが圧倒的だった。代表チームはこれからレベルアップしていくよ」と満足そうに話していた。

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サッカーを通じて子どもたちも笑顔に!

今回のプロジェクトの目的の一つは、ミャンマーの子どもたちにスポーツの楽しさを感じてもらうこと。試合前のセレモニーでは、支援の対象となる子どもたちも登場して会場を盛り上げた。まず、ミャンマーのHIV孤児や人身売買の被害者が暮らす養育施設「ドリームトレイン」の子どもたちがミャンマー国歌斉唱を担当。日本側はヤンゴン日本人学校に通う子どもたちが「君が代」を歌った。また、農村地帯のエーヤワディー地域の試合観戦は初めてという小学生たちも招待され、エスコートキッズとして選手たちと一緒に入場した。

写真試合前には、セレッソ大阪の選手が日本人学校を訪問。また、ドリームトレインには、セレッソ大阪サッカースクールのコーチやJリーグ関係者が訪れてサッカー教室を行っている。日本のサポーターから集められたユニフォームがJリーグを通じて贈られたほか、観戦に駆けつけたセレッソ大阪サポーターの宮崎剛安さん、真紀さん夫妻がボールをプレゼント。

写真「セレッソを応援しているからこそ、ミャンマーの子どもたちと交流する機会ができました。セレッソはサッカーを通じて、さまざまな形で社会貢献活動を行っています。これまでにも遠征先でのチームの社会貢献活動を見る機会があり、私たちサポーターも今まで知らなかった問題に気づいて、困っている外国の子どもたちを助けたいという気持ちが芽生えてきました。サッカーというスポーツには人の気持ちを動かす力があると実感しています」(宮崎真紀さん)

試合の翌日から2日間、エーヤワディー地域の5つの学校を訪問、協賛企業からユニフォームやボールなどスポーツ用具が寄贈されるとともに、セレッソ大阪サッカースクールのコーチによるサッカー教室も開催され、多くの子どもたちを喜ばせた。

今回の成功を受けて、日本財団ではシャン州の高校によるサッカートーナメント戦や州都のスタジアムでの決勝戦など、さらなるスポーツを通じた支援活動を検討している。

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撮影:大沢尚芳