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海辺の笑顔を守る水上バイク――「シーバード」活動


水の事故が最も増える夏。日本財団は船が入れない浅瀬などでも機動性を発揮できる水上バイクを利用した、水難救助・安全啓発・教育活動などを行う「シーバード」活動の支援を行っている。6月末、新しいバイクが導入された神奈川県・逗子海岸を訪ねた。

2013.07.23

神奈川県逗子市の逗子海岸では、6月28日、首都圏で最初の海開きが行われた。神事や関係者のあいさつに続いてお披露目されたのが「シーバード逗子」の真新しい水上バイク。最高時速は100㎞。青い回転灯とサイレンのほか、浮力式の担架もついていて、溺れた人などを迅速に救助できる。家族連れの海水浴客からマリンスポーツを楽しむ若者まで、多くの人々が集まるこの海岸の安全を夏の間守ることになる。

「シーバードプロジェクト」は、機動性の良さなどの特性を持つ水上バイクを活用して、水難救助、環境保全活動、教育活動、小型船舶の安全運航の指導等を行うことで、水上バイクによる社会貢献を実現する取り組み。水上バイクは一般的にはまだまだ馴染みが薄く、「危険なもの」「迷惑なもの」として認知されることもあり、海から一般の人を遠ざける要因となっている面がある。水上バイク利用の新しい可能性を提示することでネガティブなイメージを払拭し、水上バイクを介した水と人のつながりを作ることがプロジェクトの目的だ。メーカーやショップなどの水上バイク関係者のほか、ライフセービングクラブやNPOなどが参加して、それぞれの地域に「シーバードプロジェクト」のための組織が増え始めている。「シーバード逗子」は全国で10カ所目となる。

前身の「日本青バイ隊」の時代は、水難救助やパトロールが活動の中心だったが、「シーバードプロジェクト」では環境教育活動にも力を入れ、子どもから大人までを対象として、より広い視野から「海を守る」ことに取り組んでいく。

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「シーバード逗子」の歌代光雄さん(逗子湘南安全協会副理事長)は、日本財団から送られた新しい水上バイクを見ながら、「近年、この逗子海岸でも一般の水上バイクの暴走行為が問題になっていましたが、これで抑えることができると思います。ライフセーバーも浜から監視するだけでなく、水上バイクで海水浴場の沖合をパトロールしながら事故に備えることができ、多くの皆さまに安心して遊んでもらえると期待しています」と語る。

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この日は、「シーバード」認定第一号の伊万里市から、「日本青バイ隊」の山口富士夫さんも駆けつけた。

「水上バイクは、水深60㎝の浅瀬でも使用可能なので、海水浴場でも機動力を発揮できます。また、モーターボートよりも早く、確実に要救助者に近づいて助けることができます。溺れた人を引き上げることも難しくありません。しかし、シーバードの役割は救助だけではありません。子どもたちと一緒に環境教育の一環として海の清掃を行うのですが、カッコイイ水上バイクが来ると、子どもたちはみんな喜んでゴミ拾いに参加します。清掃活動の後で乗せてあげるとさらに喜びます。水上バイクを通じて海で楽しく遊ぶルールを学び、海への関心を高めてもらうことも大切な役割だと考えています」

日本財団海洋グループ海洋安全教育チームリーダーの荻上健太郎は、「シーバードプロジェクト」について「シーバード(海鳥)のように、海から海岸、陸地の上まで、地域の皆さまと一緒に見守り、地域の海を子どもたちや、次の世代につないで行きたいという思いで進めています」と述べた。今後は認定団体を増やし、活動地域を広げていく方針だ。

撮影:川本 聖哉