笑顔を運ぶ「乗りもの」
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「福祉の現場で活躍する人がいる」新デザインの福祉車両が笑顔を運ぶ


2014年春、ベネトン社とのコラボレーションによる新デザインの福祉車両が町を走り始めた。工場での生産現場、贈呈式を経て、実際に使用する配備先の団体に届くまで、新しい福祉車両が動き出すまでを映像で紹介する。新しいデザインの福祉車両の導入をきっかけに、さまざまな福祉サービスに対する関心が高まることが期待されている。

2014.06.26

熟練した職人の手作業で福祉車両が生まれる

2014年1月 株式会社オーテックジャパン(神奈川県・茅ヶ崎市)

様々な車種を揃えている日本財団の福祉車両の中で、最も配備台数の多いのは、ワゴン車タイプの車いす対応車。現在、日産自動車の「キャラバン」をベースに、子会社で特装生産を手掛ける株式会社オーテックジャパンが製造を担当している。

ここでは、車いすを乗せるためのリフト、固定用の器具、手すりなど、利用者が安全に乗車するためのさまざまな設備が一つひとつ丁寧な手作業で取り付けられていく。新しい福祉車両のシンボル、8色のシェアマークのシールが貼られる工程は、熟練した職人でも1台分のシールを貼るのに約90分かかるという。

「毎年数百台を担当しますが、車体の微妙な曲線と、シェアマークのデザインを合わせていくところに一番注意します。特に今年からの新しいデザインは面積が広く模様も複雑なので空気が入りやすいため慎重に作業しています」(作業担当者)

一般の人々にも注目されるお披露目式典

2014年3月 福祉車両贈呈式(福岡市天神・ソラリアプラザ)

例年、福祉車両の贈呈のためのセレモニーは、車両を取り扱うディーラーや配備先の駐車場などで行われてきたが、新デザインを導入した今回は、福祉の現場に関わることの少ない一般の人々に関心を持ってもらうため、福岡市内のショッピングモールが会場に選ばれた。モール内のイベントスペースに現れた華やかな8色に彩られた「車いす対応車」と「出張販売車」に買い物客らも興味を引かれた様子。

この日、会場に展示された「出張販売車」の配備先になる一般社団法人「れんこん」は、障害を持つ若者が作った野菜やお菓子などの販売を行っている。

八木なほ子理事は「これまでは、取扱店に野菜やお菓子を卸すだけでしたが、出張販売車の助成をいただけて、従業員たちが直接お客様に接することができます。販売車で販路を広げてビジネスの規模も拡大させて、もっと多くの障害を持つ若者に働く場を提供していきたい」と意欲を語っていた。

この車での販売を担当する予定の松村勲さんと與田智さんは「ありがとうございました。売り上げを増やせるように頑張ります」と笑顔を見せていた。

高齢者デイサービス利用者に新しい楽しみを

2014年3月「デイサービス徒然」(福岡市中央区)

福岡市中央区の「デイサービス徒然」に新しい車いす対応車が届いたのは、ソラリアプラザでの贈呈式の翌日だった。最大で4台の車いすを乗せることができるこの新車は、前出のオーテックジャパン製のキャラバン。納品されたその日から使用するためにスタッフが大急ぎで説明書に目を通してリフトや固定金具の使用法を確認し、利用者の帰宅時間に間に合わせた。朝の迎えの車と違う鮮やかなデザインに驚いたお年寄りもいたが、多くの利用者が「やっぱり新車は気持ちがいいわ」と喜んでいた。

「デイサービス徒然」を運営するNPO法人「わたしたちの高齢社会をつくる会」の松岡澄子理事長は「高齢者向けのデイサービスでは送迎車が絶対に必要です。しかし、私たちのような小規模なNPOには自力で新車を購入するような余裕はありませんから、日本財団の福祉車両助成を頼りにしています。今年、宿泊設備のあるサービスを始めるので新しい車両を申請したところ、認められて本当にうれしいです。今度のデザインは笑顔がたくさん並んでいるみたいで素敵ですね」と話す。利用者の希望を聞きながら、花見や紅葉狩りなどのドライブも計画したいという。

また、新しい車が届くのと交代で、8年間使用した旧デザインの福祉車両をミャンマーに寄付することが決まっている。
特集:すべてのミャンマーの人々とともに「おなじみの福祉車両が救急車に生まれ変わる」

華やかな新デザインで子どもたちに笑顔を

2014年5月 放課後等デイサービス「すまいる・スプラウト」(東京都練馬区)

練馬区のNPO法人「未来こどもランド」が運営する障害児向け放課後等デイサービス「すまいる・スプラウト」には8人乗りの「送迎車」(普通車)が配備された。2014年2月の納車以来、毎日、子どもたちを学校まで迎えに行き、施設でのプログラムが終わると自宅まで送り届けている。学校によって違う下校時間に配慮しながら、効率よく区内を回れるような詳細な時刻表を作って対応しているという。

施設長の栗原三津子さんは「子どもたちは長時間、車の中でじっと我慢するのが苦手ですから、できるだけ短い時間で全員を送迎できるようなコースを考えるのが大変です。利用者も増え、1台では厳しくなってきたので2台目も日本財団にお願いできないかと申請したところ新デザインに変わった年でラッキーでした。とてもかわいいと子どもたちにも好評です」と語る。

「放課後等デイサービス」は障害児のための学童保育といわれ、近年、利用者数が増加を続けている。栗原さんによると、練馬区でも特別支援学校の下校時間になると学校敷地内に、多くの施設からの迎えの車が並ぶという。

「新デザインはまだうちだけで、少し誇らしい気持ちです。ほとんどの子どもたちが他の施設のサービスと併用しているのですが、うちに来る日は『今日は新車だ!』と嬉しそうに乗り込んできます。とても可愛らしいデザインで目立つので、歩行者の方の視線を感じることもあります。他の団体の方からは『その車はどうやって申請したらいいですか?』とうらやましがられています」

関連リンク

福祉車両配備について
福祉車両配備申請要項

写真撮影:コデラケイ