笑顔を運ぶ「乗りもの」
あなたのまちづくり

障害のある方が地域で活き活きと働くために走る


誰もが不自由なく地域で暮らせる社会の実現のために、高齢者や障害者など移動が困難な方の外出を手助けする日本財団の福祉車。その中には、働く機会を提供するために活躍している車もある。福祉の現場と地域社会をつなぐ車両の姿と、仲間とともに活き活きと働く利用者の姿を動画で紹介する。

2015.05.29

福祉施設と地域をつなぐ福祉車

写真:クリーニング工場内の作業風景栃木県足利市にある「社会福祉法人 愛光園」のクリーニング工場は、県内の工賃実績一位を獲得したこともある就労支援施設だ。 医療機関や宿泊施設などで使用されたタオルやマットなどの仕分けや洗濯機への投入、手たたみなどの作業に、知的障害を持つスタッフ約30人が取り組んでいる。スタッフは働く意欲と集中力が高く、手際良く作業を進めていく。障害が重いために機械の操作などが難しい場合も、機能訓練として仕分けや手たたみなど比較的簡単な工程を自分のペースで行い、作業をサポートする。

写真:川俣惠一理事長川俣惠一理事長は、「“働きたい”という障害者の思いに応えるためには、自宅と職場を結ぶ移動手段を確保することが不可欠となります。しかし、私たちの組織の力だけでは、これだけの車両を揃えることはできませんでした」と謝意を示した。

写真:笑顔で手を振るクリーニング工場のスタッフ

写真障害を持つ方の総合的な支援を目指す愛光園では、足利市を中心に3市にわたって23事業12の福祉サービスを展開しており、多数の車を日々走らせる必要がある。日本財団の福祉車は2013年度から登場したベネトン社デザインの車両だけでも車いす対応車やヘルパー車などすでに10台が配備され、その他にも工場で働く人々の通勤用の小型バスや洗濯物を運ぶためのトラックにも日本財団のシェアマークがついている。

日本財団の助成を受けることで、就労支援施設やデイサービスなどの設備投資に力を入れることができているという。クリーニング工場でも工賃の向上という成果が生まれ、働くスタッフのモチベーションもさらに上昇した。その結果、長年働き続ける人が増え、経験を積んで一般企業に就職した人も生まれた。 「特にベネトンのデザインになってからはとても目立つので、『日本財団の福祉車に乗っていると、地域の人に見守られている気がします』と施設の職員が言っています。以前は福祉施設というと、地域の片隅でひっそりと運営されているイメージでした。でも、今は地域福祉の時代だと考えています。障害を持つ方が地域の中で共に生活をして、そこから我々の施設に通って来て活動してもらう。その間をつなげてくれる存在として、日本財団の車両は本当になくてはならない存在です」(川俣理事長)

写真:足利市内の田園の中を走る日本財団の福祉車両

町の応援を受けながら、工賃アップを目指す

写真そして、福祉事業所などからの関心が高まっているのが、2006年から日本財団が障害者就労支援車として配備助成を開始した移動販売車だ。調理品や物品の販売などの実績がある団体が、活動の規模を拡大する際に店舗や工場を新たに開設するよりも設備投資のコストが抑えられる上に、さまざまな場所で障害を持つ方に働く機会を提供できるのが利点だ。

東京都調布市の社会福祉法人「調布を耕す会」が運営する知的障害者の就労支援施設「しごと場大好き」では、2014年夏から日本財団の支援によるアイスクリーム販売車を使って、京王線調布駅南口広場などで出張販売に取り組んでいる。

販売活動をサポートする職員の渡辺了一さんは、「この車が来るまでは外販はイベントの時にしか行っていなかったのですが、今はコンスタントにできるようになりました。施設の利用者さんも、外での仕事なので表情が活き活きとしていて、みんな『楽しい』と言ってくれます。お客様と交流することが自信になることもあるようです」と、移動販売車導入の成果を語る。

写真:知的障害者就労支援施設「しごと場大好き」のアイスクリーム販売車(調布駅南口広場にて)

写真:アイスクリーム販売車で接客をするスタッフ「調布を耕す会」では、以前から就労支援のためのカフェを運営しており、工賃アップを目指して、地域で生産される食材を生かした手作りアイスクリームの販売を考案した。無添加のアイスクリームは自信作だったが、カフェと不定期のイベントでの販売だけでは思うように売り上げが伸びずにいた。販路を拡大したいと考えていたところ、日本財団の障害者就労支援車の助成を知ったという。 最初の申請は計画に曖昧な部分があったために却下されだが、販売計画を見なおし再挑戦した1年後に助成決定となった。

この支援は、搭載機器や改造にかかる費用も助成対象となることが特徴。「しごと場大好き」のアイスクリーム販売車の場合は、イタリア製のジェラート専用の冷凍ショーケースや、さまざまな調理機器に対応できる大型の発電機などを取り付けた。また、屋外でも快適に仕事に取り組めるように、調理スペースにエアコンも設置した。そして、荷台部分のデザインもカスタマイズすることができる。 「利用者さんに書いてもらったイラストが、『かわいい』とお客様にとても評判です」(渡辺さん)

写真「しごと場大好き」の亀田良一郎所長は、移動販売車導入2年目となる今年は、さらなる売り上げアップを狙っているという。 「販売車が町を走ることで、事業所の活動が市民にも知られるようになりました。行政も好意的で、営利目的では基本的に認められない調布駅南口広場での販売活動も、福祉作業所のPRとして許可してくれました。最近では、商品を気に入ってくれたリピーターが増えています。最終目的は利用者の工賃を上げて自立を助けることです。そのためにも、この移動販売車を有効に利用してさらに成果を挙げなければと考えています」

写真

福祉車両配備について
福祉車両配備申請要項

撮影:田中 柾幸