第5回西アジア・北アフリカフォーラム

ヨルダン・アンマン

ハッサン・ビン・タラル殿下、ご出席の皆さま、本日は、第5回西アジア・北アフリカ(West Asia North Africa:WANA)フォーラムでご挨拶をさせていたただけることを大変光栄に思います。
はじめに、このフォーラムのホストであるハッサン殿下をはじめとする国際上級諮問委員会のメンバーの皆さまのご尽力に心より敬意を表します。
また、それぞれの国や地域の重要な課題に対し、日々研究を進めてくださっているワーキンググループの皆さまにあらためて感謝を申し上げます。

2009年にハッサン殿下とともにWANAフォーラムを開催することになってから早くも5年という歳月が経ちました。私は殿下と長年にわたり親交を深める中で、WANA地域の発展に対する熱い想いを幾度となく伺い、その確かなビジョン、情熱、揺らぐことのない志に大変感銘を受けてきました。
その間、WANA地域は劇的な変化を遂げながらも、このフォーラムを継続して開催し、成功に導いてこられた殿下のご尽力に心より敬意を表します。

あらためてWANA地域に目を向けてみますと、ここが世界でも極めて重要な地域の一つであるということを一層、痛感します。
昨今、WANA地域を取り巻く状況はめまぐるしく変わっています。WANA地域は貧困や安全保障、政治的不安定など困難な問題に直面しており、アラブでの大きな変化は皆さんのご記憶にも新しいことでしょう。WANAフォーラムはこうした問題が表面化することを見据えていたかのように対話の場を築いてきた経緯は評価すべきことであり、まさに、ハッサン殿下の先見性によるものであると思います。

私は長年、人道支援に関わる活動をしておりますが、世界中で紛争、気候変動、政治、経済の不安定など様々な理由でuprooted(元々住んでいた地域や場所を追われる)されている人々を目の当たりにしてきました。
最近は、ミャンマーにもコミュニティからuprootedされている人々が約50万人以上いるといわれております。ミャンマーは文化、民族的背景、宗教において多様な側面を持っている国です。私たちは、それぞれの民族の人々の声にじっくりと耳を傾け、彼らがコミュニティを再建する際、どのように支援できるか模索しているところです。ですから、私自身も本フォーラムで「uprooted」という問題が取りあげられることは非常に重要であると考えています。

WANA地域では、文化、民族的背景、宗教などが織物のように重層的に絡み合っています。この織物は大変美しくもありますが、複雑に絡み合っており、これを解きほどすのは大変難しいことです。このことを踏まえてWANA地域が共通の問題に立ち向かい、自ら解決策を模索していくことが重要です。そして、それこそがWANAフォーラムの果たすべき役割であると私は確信しています。

WANA地域において、様々な分野のリーダー的立場にある皆さまが、個人や自国の利益に捉われず、この地域全体のより良い未来を追求するために、忌憚なく議論することができるこのような機会は大変意義深いものです。

たとえ変化に富んだ時代でも、WANA地域の発展を志す皆さまのような方が各国から集まり、対話を深めることができる本フォーラムは、この地域における潤滑油の役割を果たしていくことができるでしょう。

これから2日間のワーキンググループでは、これまでと変わらず、活発な議論がされることを期待しています。