第5回放射線と健康についての福島国際専門家会議福島における甲状腺課題の解決に向けて~チェルノブイリ30周年の教訓を福島原発事故5年に生かす~

日本・福島

はじめに、本日この2日間のシンポジウムにご出席いただくため、国内外から遠路遥々お越しくださった皆さまを心より歓迎いたします。

2011年3月、巨大な地震と津波が東北地方を襲いました。ここ福島では福島第一原発事故の後、人々の生活は一変しました。第1回「放射線と健康についての福島国際専門家会議」が開催されたのはその半年後のことでした。

福島での原発事故後、様々な情報が錯綜し、混乱の中で、何が信頼できる情報なのか判断しにくい状況でした。そのような中、私たちは分かりやすく、科学的な根拠に基づいて情報を伝えることの重要性を実感しました。そのため、私たちは「放射線と健康リスク」というテーマで会議を開催することに至りました。

今から遡ること25年になりますが、日本財団と笹川記念保健協力財団は、1991年から10年間、チェルノブイリ原発事故の周辺地域に住む児童の検診を実施しました。そこで得られた情報は、世界保健機関(World Health Organization : WHO)や国際原子力機関(International Atomic Energy Agency : IAEA)をはじめ、世界の研究機関などで活用され続けています。その経験から、私は科学的根拠に基づいた研究の重要性をあらためて感じました。そして、ここ福島においても私たちが担うべき役割があると考えたのです。

本日は、国内外から専門家の皆さまがお集まりくださり、その知識と経験を共有していただきます。過去5年間、「放射線と健康」について様々なテーマのシンポジウムが毎年開催されてきました。これらのシンポジウムを通して、最新の科学的研究に基づいた情報の提供をすることは、これまで私たちが一貫して持ち続けてきた目標です。

今回のテーマは放射線の甲状腺への影響です。ご参加いただく専門家の中には、チェルノブイリでの経験をお持ちの方もいらっしゃいます。皆さまの豊富な経験と研究成果を提供いただくことで、この会議のまとめや提言が、今後の日本の施策を考える指針となれば幸いです。本日の会議の様子はU-streamでも中継されており、どなたでもご覧いただけます。多くの方々にとって、特に福島の方々が、これからの健康と生活を考えるための参考となる情報を提供できればと思います。

国内外よりお集まりいただき、貴重な知見を共有してくださる多様な専門家の皆さまにあらためて御礼申し上げます。中には、第1回から継続してご協力、ご参加いただいている方も多くいらっしゃいます。皆さまの研究は、福島のみならず世界に対する重要な貢献であると認識しております。

最後に、福島県をはじめ、この会議を開催するにあたりご協力いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。