日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2016

日本・東京

ようこそ、第1回日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムへお越しくださいました。全国からお集まりいただいた皆さまを心より歓迎いたします。

日本は課題先進国です。少子高齢化に伴う人口減少や過疎化をはじめ、様々な課題が山積しています。たとえば、子どもの貧困、保育園の待機児童、障害者の雇用に関する問題、刑務所出所者の再犯率の高さ、自殺率の高さなど数え上げればきりがありません。

ご承知の通り、こうした課題は国や行政だけで解決することは難しい状況です。近年は、国や行政だけではなく、企業やNPOなどがそれぞれの視点で対策を講じ、課題に取り組んでいます。

しかし、社会課題が多様化、複雑化する中、単独のセクターで課題解決することは難しくなってきています。行政、企業、NPO、研究者、メディアなど異なる分野の方々がマルチセクターで取り組むことが必要です。

私たち日本財団も、課題の解決にあたって、課題に関連のあるいくつかのセクターの方々と連携しています。このような形で私たちのソーシャルイノベーションを進めてきました。

たとえば、刑務所出所者の再犯防止プロジェクトでは、法務省、刑務所、企業、NPOなど様々なセクターの方が関わってくださっています。その結果、課題解決の成果を少しずつ出すことができているケースもありますが、必ずしもすべてがスムーズに進むわけではありません。その過程では、いろいろなセクターの人たちと一緒に乗り越えなくてはならない新たな課題が出てくることもあります。

日本財団は、再犯防止プロジェクトに関わらず、様々な課題に対して、マルチセクターでの取り組みを試行錯誤しながら続けてきました。

私たちはこれまでの経験を通じて、異なる分野の方々が一堂に会するマルチセクターのプラットフォームを提供したいと考え、このフォーラムを開催しました。

とはいえ、このプラットフォームは、固定したプラットフォームではなく、課題解決において、柔軟に対応できるオープンなプラットフォームにしたほうが良いと考えています。
ぜひこのフォーラムで、マルチセクターで社会課題に取り組む機会を皆さんが手にしてくださればと思っています。

一方、人々の価値観が多様化し、社会課題を自らの手で解決したい、社会に貢献したいという熱い想いを持つ人が増えてきています。今回の参加者の方のうち、20代から40代の方が6割を占めていて、若い方々の関心が強いことが分かります。また、本フォーラムの参加者の4割が企業の方です。

セクター間の垣根が低くなり、どのセクターに所属しているか関係なく、皆が社会課題の解決に関心を抱き、自分たちのできることを何かしてみたいと考える人々が増えてきていることは心強いことです。

日本財団は、そのような方々と共に、一緒に社会課題の解決に取り組み、ソーシャルイノベーションを起こしながら、「にっぽんの将来」を切り拓いていきたいと考えています。

山積する課題を国や行政に頼り、他人任せにするべきではないということは皆さんと共通している認識だと思います。ここにいらっしゃる皆さんは、自分たち自身が活動して、課題解決に当たらなければならないという志や大きなエネルギーを持っている方々ではないでしょうか。

私もこの会場に入った時に、そのような熱い想いを持ち、やる気に満ち溢れている皆さんの熱気を強く感じました。

このフォーラムのコンセプトは「にっぽんの将来をつくる」です。このフォーラムでは、にっぽんの将来について、登壇者も参加者も一緒に考え、議論できる場を提供したいと考えています。

2日目、3日目にかけて開催される分科会には、様々な分野から先駆的な取り組みをしている、まさに「にっぽんの将来」を担うであろう方々が集まります。30の分科会、100名以上の登壇者というこれまでにない大規模で充実した内容になっています。本日は、登壇者だけではなく、参加者の皆さんにも大いに議論に加わっていただきたいと思います。

フォーラムに先駆け、日本財団は「ソーシャルイノベーター支援制度」を創設しました。私たちが考えるソーシャルイノベーターとは「新たな発想と明確なビジョンを持ち、セクターを超えたチームを組成し、社会課題の解決に向けて失敗を恐れずに活動を推進できるリーダーのことです。

今年4月に募集し、全国から225件の応募がありました。厳正なる選考の結果、選ばれた10組11人がフォーラム3日目にそれぞれの企画を発表します。
フォーラム最終日には、この中から特に優れた数チームが「特別ソーシャルイノベーター」として選出されます。会場の皆さんにも投票いただき、最終的には、元東京大学総長の小宮山先生を選考委員長とするプロジェクト委員の方々によって選ばれます。

既存の枠組みに捉われない、今まで誰も思いつかなかったような視点で、新しい知恵やアイデアが出てくることを期待しています。

今回、シンボリックにこのような制度を設けましたが、日本財団は社会課題を解決したいという熱い志を持つ皆さんを対象に助成金の申請を受け付けています。皆さんからの積極的な申請をお待ちしています。

日本財団は、このフォーラムを毎年継続して開催していく予定です。このフォーラムの主役は、ここにいる皆さんお一人おひとりです。これからの3日間、大いに議論し、そして、具体的なアクションへとつなげることで、共に「にっぽんの将来」をつくっていこうではありませんか。

さあ、この後は、皆さんお待ちかねの小泉進次郎さんにバトンタッチしたいと思います。本日は、小泉進次郎さんに「にっぽんの将来をつくる」をテーマで基調講演をいただきます。

小泉さんは、日本の農業問題においてリーダーシップを取ってくださっています。分科会の一つに「二宮尊徳に学ぶまちづくり」がありますが、二宮尊徳、二宮金次郎は開発経済学、日本の農業改革の第一人者です。本日は敬意を込めて、小泉進次郎さんではなく、「小泉金次郎」さん、とお呼びしたいと思います。