プロジェクトニュース

[ 2010/03/28]

”homeless, not hopeless”
ホームレス、だけど希望はあります。
~ビッグイシュー「人生挽回」ストーリー~


【はじめに】
“大切な命”をテーマにしている夢の貯金箱は、 “人生をあきらめず、再び輝く命”を一人でも多くの方が実感出来る世の中のために、ホームレスの人々が再び社会に復帰できるための活動を推進するNPO法人ビッグイシュー基金に賛同し、支援を行っています。昨年2009年5月から始まった連載『“homeless、not hopeless”~ビッグイシュー人生挽回ストーリー~』も、今回で最終回を迎えました。これまではビッグイシューにくるホームレスの方々を中心にご紹介してきましたが、今回はビッグイシューの東京事務所で職員と共に活動する、インターンスタッフからのメッセージをご紹介します。喜びあり悩みありの様々な思いを、読者の皆さまにも一緒に味わい共有していただければと思います。そして、今後のビッグイシューの活動やホームレス問題にも、彼らと一緒に思いを巡らせていただければ幸いです。

【販売者さんとビッグイシュー基金の二人三脚で手に入れたマイホーム】(小林美穂子)

 私は2月22日からビッグイシュー基金で働いている新米インターンです。
経験豊富で人間性豊かなビッグイシューのスタッフ、味のある販売者さん達、志の高いボランティアさん達に囲まれ、日々驚いたり、ショックを受けたり、時には厳しい現実を照らすような出来事に励まされたりしています。
 先日、販売者藤田さんのアパート訪問をしたときにも、そんなきらりとした瞬間を感じることができました。藤田さんはビッグイシュー販売暦1年半、本郷三丁目で頑張って販売してますが、このたび目出度く念願のアパート入居を果たしました。遂に路上脱出です。ところがこの藤田さんアパート入居計画、舞台裏は大変だったんです。
藤田さんは過去に何度か転職する過程で、自分の或いは雇い主の都合で住民票を移したり移されたりしているうちに、終には自分の住民票の在り処を見失ってしまっていました。ビッグイシュー基金の仕事は、まずその迷子になっている住民票の追跡から始まりました。それは藤田さんの歩んだ道を辿る作業でもあります。長い年月の間にどこかに埋もれ、忘れられた住民票を見つけるのは容易ではありません。
 それでもビッグイシュー基金スタッフらが手を尽くして捜した結果、住民票は大阪にあることが判明。ようやく住民票を入手、そして大家との契約に至りました。

 普通ならばとてもシンプルなプロセスで成立してしまうアパート契約です。でも、藤田さんの場合はスタッフがあちこち走り回り、ようやく掴み取ったマイルームでした。
小さな神社の脇に張り付くように建てられた華奢な二階建てのアパートの一室、大きな窓から差し込む光に包まれて藤田さんのお部屋はピカピカ光っていました。一日一箱吸うタバコだって、窓から顔を突き出して吸いますから部屋はヤニフリーです。フローリングはしっかり掃除機がかけられ、シンクはレモンクレンザーで磨かれ、体の大きい藤田さんがしゃがんだらそのまますっぽりはまって抜け出せなくなりそうな正方形の小さなお風呂も、トイレも、きれいに掃除がされて清潔な光を放ち、藤田さんが部屋を慈しむ様子がありありと見て取れました。

 ビッグイシュー基金スタッフが駆けずり回って実現した藤田さんのマイルーム、風雨からも冬の寒さからも灼熱の太陽からも、悪意のある人間からも身を守ってくれますね。嬉しそうに笑う藤田さんの顔を見ていたら、こういう仕事のほんと一端、端っこではありますが、関われることを光栄に思いました。

藤田さんの笑顔を他の販売者にも広げていくのが基金の夢であり、何度跳ね返されても尽きぬエネルギーの源に違いないと確信した藤田さん宅訪問でした。

光の差し込む新居を訪問
光の差し込む新居を訪問
事務所の前で
事務所の前で

【《アートクラブ》発進】(マルヤマ)

こんにちは。私は2009年の10月にビッグイシュー基金にインターンとして入りました。私のインターンの目標は社会勉強とアートクラブ発足です。
 私がビッグイシューと出会ったのは、待ち合わせに遅刻をした友達を外で待っている時に好きなイラストレーターの表紙の雑誌を売っているおじさんが目に入ったからです。よく見ると、その雑誌の表紙には「ホームレスの仕事をつくり自立を応援する」というフレーズが書かれていました。その意味がいまひとつ理解できなかったので、実際に2冊買ってみる事にしました。それがビッグイシューと私の出会いです。

 ビッグイシュー基金にはアートクラブの他にもサッカー、卓球、コンテンポラリーダンスなど様々なクラブ活動があります。その中で、私が担当し発足したのが、アートクラブです。なぜアートクラブなのかと言うと、自分が美術を勉強してきた事、そしてそれが自分にもっともわかりやすい形で社会に役だてる方法だと感じたからです。アートなんて本当に役にたつのかと疑問に思うのは普通だと思います。なぜホームレスがアートするのとも、よく聞かれます。ただ私には自分にはアート、紙、えんぴつ、色、絵、線、動き、を通して人を笑わす自信があります。それは人の心を開け放つ一つの手段なのではないかと考えます。

先月(2010年2月)にアートクラブを発足し、初めての活動をしました。短時間でしたが廃校の教室一部屋でホームレスとか関係なく、みんなで創作しました。「面白かった」「みんないい顔してた」との意見、そして何よりみんなの製作中の表情をみて、自分の思った事は間違っていないのかもしれないと更に感じました。
これからも「アートクラブ」はどの様な形態をもって活動していくか定かではありませんが、興味がある方は是非ビックイシュー基金までお立ち寄りください。

初めてのアートクラブ
初めてのアートクラブ
出来上がった作品
出来上がった作品

終わりに

 これまで約一年間、本連載をお読みいただき、どうもありがとうございました。心より礼申し上げます。
「夢の貯金箱」の連載が終了しても、ビッグイシューの販売者は、路上を脱出して屋根の下で眠ることができる時まで、これからも毎日ビッグイシューを販売し続けます。また、ビッグイシューの販売者に限らず、家や仕事、人との結びつきを無くした結果、路上に出てくる人々は、現在も増加しています。
 ビッグイシュー基金として、これからも私達は「何ができるのか」「何をすべきなのか」を模索し、発信し、活動を続けていきます。「夢の貯金箱」を通して知り合うことのできた読者の方々には、これからもビッグイシューの活動にご支援、ご協力頂きたいと思います。

「人が路上生活を強いられることがない社会」の実現には何が必要でしょうか?読者の皆さまと共に考え、行動していくことが、小さな組織で日々奮闘する我々スタッフ、そして販売者の願いです。