夢の貯金箱では皆様から寄せられた寄付を「犯罪被害にあった方」の支援のために活用しています。
理不尽な犯罪により最愛の家族を奪われた遺族の方々の声、被害者にもかかわらず、事件後の社会の冷たい仕打ちに孤立し苦しんでいる事実がニュースで報道されることは稀です。
多くの被害者や遺族の方々が、悲しみ、苦しみの中から、犠牲者の生命を無駄にせず、犯罪のない社会のために役立ててほしいと願っています。
これからお届けする「犯罪被害者の声」は夢の貯金箱が支援するNPO法人全国被害者支援ネットワークによせられた手記です。
<事件の内容>
平成16年6月、当時18歳の少女がホテルで当時23歳の交際相手に、カッターナイフで切り付けられ、さらに浴槽に沈められ殺害されました。平成16年6月20日(日)、この日は「父の日」でした。亡き娘の父は、四年前癌と闘い、家族皆と頑張り励まし合い、締めずに最後まで闘い続けましたが、入院52日間で無念の死となった。
この日、かおりは朝から仏壇に花と線香をあげました。父の日に自分からすすんで仏壇に手を合わせたのは、これが最初で最後となってしまったのです。かおりは、結婚を夢見ていた18歳。交際相手の借金を返し終わったら結婚しようとしておりました。その交際相手の身勝手から殺害されてしまったのです。
裁判では、被告人の弁護士は無理心中だ」と主張しました。
娘は死にたくないのに殺され、これは殺人じゃないの…。自分の身勝手から命を奪うこと、無理心中?殺人?どう違うの?娘を失った私には、どちらも殺人です。交際相手だからといって、なぜ殺人じゃないのか?
とても疑問だったので裁判終了後、被告人の弁護士に偶然廊下ですれ違ったので、追いかけて問いただしました。「こういった弁護の仕方しかなかったので…」。ただそれだけで、無理心中という言葉を使ったのかと思うと…。弁護士の言葉の重要性をもっと認識して使って欲しかったと思います。とてもショックでした。私の怒りは誰にぶつければいいの。
今の法律は、罪と罰は与えても、被害者への償い、補償は?
被害者や被害者遺族は、人生を狂わされたうえ、裁判ではただの証拠品でしかありません。被告人は手厚く法律で守られるのに、被害者には、ほんのかけらほどのカの入れようとしか見えません。
こういうことも被害に遭って初めて分かりました。娘が亡くなって、3年が過ぎました。だが時が流れても悲しみは薄れることはありません。いまだに私の脳裏から遺体確認の時の娘の亡くなった顔が離れることはないのです。遺体との最後の別れの時、娘の左目から一筋の涙が流れていました。無念を私たち家族に伝えたかったのではないかと私は思いました。
でも、一人のカだけでは、どうにもなりません。しかし、どうでしょう、被害者が一人でも多く悲しみを乗り越え、怒りをパワーに変えて声をあげ、立ち上がってこそ大きなカとなります。一つの目的に向かって行くエネルギーとなり、被害者一人一人が団結してぶつかって行けば、何かが変わると信じたい。全国の被害者の方々が勇気を持って声に出し訴えたことにより、ようやく国でも被害者支援に目を向けるようになり、有り難く思っています。国は、中途半端な支援でなく、しっかりとした基盤をつくり、最後まで支援してほしいと思っています。
例えば、全国民から被害者基金として、毎月1円でも10円でもいいんです。その集まったお金を国が管理して被告人にお金を貸し、被害者へ償わせる。国は、被告人に仕事を与え、貸したお金を返納させる。返納が終わるまで出所させない。このくらいの大規模なやり方で被害者を支援してほしいのです。そうしなければ、民事裁判を起こしても裁判で勝ち取った賠償金が、ただの紙切れで終わってしまうことになります。被告人は支払いをしなくても罰せられないからです。被害者は勝ち取った喜びだけで、逆に裁判費用の借金が残る結果となって、さらに泣かされることになるのです。被害者遺族は、諦めて民事裁判を起こせない現実を、国はちゃんと受け止めてほしい。
まれに、私のように法律扶助協会の支援を受け、民事裁判ができるようになり、とてもうれしく思っています。
被害に遭われて泣き寝入りすることのないよう、多くの方々に法律扶助制度が使えますように弁護士の方々にも頑張って協力していただきますよう願っています。
最後になりますが、みやぎ被害者支援センターの方々の声がけで被害者家族の方が自助グループを結成できたことにより、支え合い、寄り添いながら、心が癒される場が出来たことを心より感謝するとともに、これからも多くの被害者の方が悲しみを乗り越え、自助グループに参加できますよう心よりお待ち申し上げたいと思います。
私も、自助グループの扉を開ける時、入り口まで行って、帰ろうとしたこともあります。でも、勇気を出してよかった。そうしなければ、今の私はない。
警察の方々にお願いがあります。
刑事課の方々は毎日事件と向き合い、忙しい日々のことと思いますが、被害者家族は、はじめての事で気が動転して、何がなんだか頭の中がパニック状態にあります。
順番通りに流れに乗ってすすみ、悲しんでいる時間もありませんでした。
人間、慣れや習慣というのは、怖いものです。私が、証拠品を見に行った時、被害者である娘の名前を呼び捨てにしていることにとてもショックを受けました。上司が部下に命令をしている時のことです。
こんなささいな事でも、被害者家族は傷つくことを知ってほしいのです。
被害者支援に関わっている警察の方々は、とても細やかな心配りが行き届き、癒されてとてもよかったですが、全ての事件を担当する方々が、みんなそういった心遣いがあれば、どんなにいいことだろうと思いました。
これからの課題として受け止めていただければと思います。