プロジェクトニュース

[ 2010/07/14]

犯罪被害者の声・7【犯罪で傷ついた命のために】


 夢の貯金箱では皆様から寄せられた寄付を「犯罪被害にあった方」の支援のために活用しています。
 理不尽な犯罪により最愛の家族を奪われた遺族の方々の声、被害者にもかかわらず、事件後の社会の冷たい仕打ちに孤立し苦しんでいる事実がニュースで報道されることは稀です。
多くの被害者や遺族の方々が、悲しみ、苦しみの中から、犠牲者の生命を無駄にせず、犯罪のない社会のために役立ててほしいと願っています。
これからお届けする「犯罪被害者の声」は夢の貯金箱が支援するNPO法人全国被害者支援ネットワークによせられた手記です。

娘を亡くして ㈳みやぎ被害者支援センター自助グループ「やすらぎ」 今埜 三千代

 事件の内容
 平成14年7月、当時16歳の少女が出会い系サイトで知り合った、当時30歳の男に首を絞められて殺害され、その後遺体は塩釜港に遺棄されました。
2002年8月10日
 新聞の「塩釜港に女性の腐乱死体」との見出しに目を奪われました。7月25日のすごい胸騒ぎを思い出し「まさか」の思いで打ち消したものの、ひきこまれるように新聞を見ました。
 {血液型B型・ピアス・ブレスレット}
 「もしや…」「まさか」の葛藤でした。
 一日悩んだ末、友達に相談して8月12日塩釜警察署に同行してもらい、塩釜警察署で遺留品を見た時、体から血の気が引き宙に浮くのがわかりました。
 それからは、ただ警察の業務のとおりに事が進んでいきました。
8月13日
 愛美の歯型が一致。
8月15日
 ようやく遺体が手元に戻ってきました。
 ようやく帰ってきた変わり果てた“愛美”白い布で巻かれビニールに覆われ顔も体も見ることもさすってやることさえ出来ず、寂しかった、辛かった、何も聞くことも出来ない。死に化粧さえして上げられない、こんな別れがあるのでしょうか。
 何で、“愛美”なのか、「どこにも行かないでお母さんのもとで一緒に暮らす」との約束がこんなこととは、泣きたい自分と泣けない自分との格闘が辛い、狂ってしまいそう。
8月16日 通夜の日
 犯人逮捕を知らされる。
8月17日 告別式
 愛美に会いたいと、多くの友達が遠くからも来てくれて、沢山の人に愛されていたことを、誇りに、嬉しく、有り難く、又、涙。

12月26日

初めての裁判を傍聴。加害者の家族に初めて会うのに、悪びれもなく逆に睨まれ憎悪がこみ上げてしまい、負けまいと睨み返した自分、愛美のためにも負けられない。
 何で、愛美なのか、愛美が殺されるほどの悪いこと、何をしたのか、思えば思うほど憎悪がこみ上げてくる自分、許せない。どんなことをしても愛美に謝ってもらいたい。
翌年12月
 裁判所に出されていた愛美の最後の写真を見たいと申し入れ見せてもらいました。腐乱した写真、誰が見ても腐乱した物体でしかないでしょうが、あの後ろ姿は、私の愛美です。間違いなく愛美でした。
 針金で巻かれブロックに繋がれた残酷な姿、前年8月12日塩釜警察署に行く車中、とてつもない恐怖が襲ってきて体中が震えたのを思い出しました。
 苦しく・痛く・悔しい思いが伝わって「ウァー、ウァー、ウァーーー」大声で騒ぎたかった。騒いで騒いで何処かにぶつけ大声で泣きたかった。 愛美はどんなに寂しく怖かったか計り知れない。なんて慰めたらよいのか、どんな方法で拭ってやれるのか、泣いても泣いても拭えない。
 この気持ちをどんな言葉にしても表されない。
それから4年
2006年3月20日
 48回の公判で判決が下りた。
 「18年の実刑」加害者は不服らしく控訴した。
2006年11月2日 控訴審
 被告人の弁護士がもう一人加わって二人になった。
 新しい弁護士は自称、法医学に詳しいという「法医学から見て一人では出来ない犯行であり犯人は他に居る」と言う。
 検察官が新しい人に変わった、不安を感じる。
同年12月4日 控訴審
 裁判所の入口で犯人の家族と出くわした。私と妹を見て逃げていった。
 弁護士は、相変わらずの態度だが、新しい弁護士は、犯人にブロックのつなぎ方は出来ないと言い切る。
 だが、犯人は、針金の巻き方、ブロックの結び方を私たちに見せつけるようにゼスチャーしていた。はっきりその結び方と思われる仕草だった。
 新しい検事は二人の弁護士に負けず反論を繰り返してくれ、有り難く心強く感じた。

2007年1月18日 控訴審

この日は控訴判決の日程調整で終わる。
同年4月12日 塩釜署からの電話
 愛美の財布とプリクラ帳が見つかったので確認して欲しいという。事件から五年も経ってまた新たな愛美の遺品が出て来たのだと言う。
 3月8日犯人が借用していたアパートをリフォーム中に、作業の人が壁の隙間から棒のようなものを使って取り出したらしい。
 一目で愛美のものとわかった。財布は空っぽで、棒で取り出さなければならない所にあった。故意に隠したとしか思えない。
 よく気付いてくれました。リフォームの会社の方有り難うございます。
同年4月13日 控訴判決
 傍聴席を犯人の真後ろにとってもらい傍聴した。求刑とおりの判決だった。やはり不服らしく最高裁に上訴するらしい。
 公判回数52回、5年も引きずり未だ無罪を主張するとは。もう顔を見ることも無い。
数回の裁判において
 弁護士が示した証拠写真の残酷なこと。証拠品の痛々しさ(体に巻きつかれたロープ・ブロック・ポーチ)
 犯人は愛美が“財布からお金を抜き取り逃げようとしたのでTシャツを掴み、引っ張ったため首が絞められたのでは”とまで言っている。
 犯人の車は、死臭がすごく数ヶ月たっても臭いがとれないとも聞いている。
 犯人の部屋から愛美の衣類が見つかっている。しばらくの間(逮捕されるまで)愛美の携帯電話を使用している。
 証拠は十分揃っているのに無罪を主張する。
反省の心を持たない犯人を思うと“許せない許す事が出来ない”
 せめて、反省の心を持って法の裁きを受けてほしい。唯一の望みです。
許せない弁護士
 国選弁護士と聞いている。国の経費で雇われている弁護士でありながら、数々の窃盗を繰り返し殺人までした犯人を、何故に此処まで弁護できるのか。
 中立の立場で弁護してほしい。こんなに証拠があるのに無罪を主張できるはずが無い。弁護士が仮に自分の娘だったら、こういう弁護が出来るだろうかと問いたい。

事件当時8月14日、15日

テレビ局、新聞記者、週刊誌の記者等が取材するにあたり、愛美の友達の所に行ったらしい。友達は、皆で…何も言わず…断ったと聞く。
 愛美の友達でもない人に友達として“ありもしない様々なこと”を言わせ報道し、ただ好奇心で答えている人を“愛美の友達のインタビュー”なんてとんでもない、あんな友達などいない。
 出会い系サイト・友人の出来ない子・家庭環境が複雑等々。
 ある週刊誌には“塩釜港出会い系殺人は氷山の一角”とまでタイトルをつけられた。サイトなら他にサイトで知り合っている人が要るはず、ならその人から証言は取れないのか。
 愛美は何故に死んでまで此処まで傷つけられるのか、どんな悪いことをしたのか、報道の自由とはここまで被害者を非難するものなのか。善良の仮面をかぶった悪魔、殺人犯と同じ。
 容赦なく心に刃物を突きつける、心が痛く苦しい、息ができない。愛美が可哀相過ぎる。
 報道の自由を隠れ蓑にし、突きつける刃物は犯罪ではないのか、言葉の刃物は凶器ではないのか。報道に対しても法で裁けないのか。
 今回のことで、報道の被害者が数多くいることがわかりました。今までと見る目が変わりました。必ずしも正しい報道をしている訳ではないこと、報道で泣いている人がいること等々。
1985年9月9日(誕生日)
 2896gでこの世に生を受け、誰からも愛されるようにと“愛美”と名付け、大切に育てて参りました。捷毛の長い可愛い子でした。
 世間でよくある理由で離婚、愛美の祖父母に預け仕事をしてまいりました。親の勝手で寂しい生い立ちなのに、やさしく思いやりのある子に育ち、友達も沢山いて自慢の娘です。思いやりがあり遠慮がちな子です。それが又親として歯がゆくて…
 始めから悲運な子と決められて生まれてくるのか、ならば生まなければ良かったのか、私の子として生まれてくれたのに、私がこの世に居なければ良かったのか自問自答の毎日です。
 何故、死んでからまで、こんなにも非難され悔しく悲しい思いをしなければならないのか、まだ16歳、16歳の命を無残に殺されたのに、死人に口無しとはこのことなのか、何も言えない愛美を思うと不欄でならない。
 今後、愛美のような被害者がでないことを考えての報道なのか…殺された愛美がここまで非難される、では窃盗を繰り返し殺人まで犯した犯人は、どんな非難を受け、報じられているのか。
 どんなに非難され報じられても、私には今でもいい子で可愛い大事な娘です。生きて帰ることの無い娘です。不慨で可哀相でしかない愛美。

2006年1月成人式

生きていれば愛美も二十歳。縞麗な振袖着せてお人形みたいに可愛く作りたかった。真珠の指輪を贈りたかった。でももう愛美はいない。愛美のぬくもりに触れることも、喜ぶことも笑うこともない。出来ない。
 何食わぬ顔して平然と生活をし毎日を送っている、私の心の底を誰も知らない。仕事をしても何をしても愛美と結びつく、今も目の前に「ただいま」と。愛美の声が聞こえそう。“もしかしたら夢の中?”愛美を思うと胸が張り裂けそう、“何で愛美なんだ?”心が壊れそう。犯人が憎い、未だ無罪を主張している犯人が許せない(一度認め自供したと聞いている)そんな目に遭うように育てた自分が許せない。
 二重三重に苦しむ自分がここに居る、それが辛い、どこまで悲しみが続くのかわからない。でも何食わぬ顔して暮らさなければならない頑張らなくてはならない。
  生きていくのが辛い、
   なんで生きなければならないのか
  こんな気持ちで仕事をしながら
   生きてるなんて辛すぎる。
  二度とこんな辛い思いをする人が
   ないよう
  こんな悲しい事件が起こらぬよう
   願いを込めて…

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 今、携帯電話が普及し、若い人が安易に出会い系サイトで様々な被害に遭っています。娘もこの出会い系サイトで知り合った男に殺されました。
 若い人達が二度と娘の様な出会い系サイトの被害に遭わないよう祈りをこめ、あえてこの辛い体験を書きました。