プロジェクトニュース

[ 2010/08/26]

NPO法人きぼうのいえ より2009年度のご報告【終末期にある命のために】


 ※本プロジェクトは「君和田桂子基金」をもとに進められるプロジェクトです。
 「君和田桂子基金」は、2005年10月に、故君和田スイさんの遺産相続人である三姉妹より「日本財団【夢の貯金箱】」に寄付された3千万円をもとに、(財)笹川医療研究財団の下に設置した基金です。
 基金の名称は、故君和田スイさんのひとり娘であった君和田桂子さんが、念願の看護師勤務を目前に不慮の交通事故死を遂げられたことから名づけられました。


 

  君和田桂子基金は2006年度より2009年度までの4ヶ年にわたり、毎年100万円をNPO法人きぼうのいえの活動のためにご支援いただいております。
  いただいた寄付金の使途は主に、きぼうのいえに入居された方々の人生の幕引きにあたってのスタッフとの対話や、傾聴のマンパワーを維持する人件費として用いられています。人生の終末期は、この世の最高潮のラストランであり、人生の完成を迎える時であるというのが、きぼうのいえの死生観です。このホスピスでは、緩和ケア、疼痛緩和、身体的な苦痛を軽減することは、大切なことですが、痛みの軽減された入居者がスタッフとの対話において行われるのは、旅立っていく方々の過去との和解と、迎えるべき「新しいいのち」への希望だと思っています。
  創設以来、きぼうのいえで看取った方々は8年間でおよそ120名にのぼりました。しかし、旅立つ瞬間に人生への恨みや怨嗟の声をあげたひとがいないということが、きぼうのいえでの旅立ちの大きな特徴と言えるでしょう。きぼうのいえに入居する方は、過去の背景に複雑な苦しみを負っている人が少なくありません。しかし、そういう方も、数か月の月日をきぼうのいえで過ごすうちに、ふっと雰囲気が変わる、あるいは風向きがなごむという方が多数いらっしゃいます。
  そして、私たちに懐疑心、猜疑心を示していた方が、感謝の言葉を語るようになることが少なくありません。饒舌になる方もいれば、過去の苦しい思い出を再びスタッフに語ることによって、未完了のまま、否定的な意味しか与えられなかった経験に、意味を見出すということもあるのです。
  きぼうのいえは、そういう意味では、いのちを生きなおす学校、愛を学び直す場としてのホスピスと呼んでもいいのではないか、そんな風に考えています。
『夢の貯金箱』の君和田桂子基金は、人はいつでもどこからでもやり直せる、
命には無限のプラスの可能性があることを教えてくださるという大きな役割を応援してくださっていると、心から感謝する次第です。
  今後はきぼうのいえに住む人たちだけでなく通称山谷地区全体に住む方々に
私たちが取り組んでいるホスピスケアのありかたをどう広げていくか、それを課題として前進して参りたいと思っています。
           
                        NPO法人きぼうのいえ理事長・施設長
                                  山本 雅基