災害復興支援特別基金

近年、線状降水帯による大雨や台風の大型化により、大規模災害が頻発し、深刻な問題となってきました。一方で、首都直下型地震や南海トラフ大地震の発生も懸念され、それらへの備えは喫緊の課題となっています。特別基金は緊急支援に対応するために2014年3月に設置した基金です。

震災の教訓をいかすために

日本財団は2014年3月、東日本大震災などにおける災害復興支援活動の経験から、大規模な災害が発生した際に民の立場で迅速な緊急支援を実施することを目的として、目標額300億円の「災害復興支援特別基金」を立ち上げました。

東日本大震災の最大の教訓は、災害対策は起きてからでは遅いということです。
大災害が起きたとき、真っ先に動くための支援金を蓄えておく仕組みが必要です。

写真:大量の瓦礫が散乱した被災地の様子

「支援金」とは、被災者の方に直接送られる「義援金」とは違い、被災地でさまざまな支援活動を行う団体が被災者を助けるために活用されるものです。大規模な自然災害が発生した場合、被災地ではインフラの復旧などの行政による活動と同時に、民間の視点による被災者に寄り添ったきめの細かい支援活動も欠かせません。日本財団は、阪神淡路大震災以降50回以上、災害支援に出動して、民間の視点から、支援金を活用してNPOやボランティア団体とともに被災地での支援活動を行ってきました。

令和元年東日本台風等では、NPOやボランティア団体への支援だけでなく、被災した保育・幼稚園、小中学校、高校・専門学校等の教育機関に対する教材等の整備支援、被災自治体の中学生、高校生、大学生が行うボランティア活動への支援を実施しました。

写真:重機による漂流物の撤去の様子(長野市)

被災地では日々状況が変化する中で、ボランティアを派遣するためのバス運行支援や大学生ボランティアの活動支援を行いました。また、被災者自らが行う復旧作業を支えるため、軽トラックや軽バンの貸与、泥に浸かった家屋の清掃や修復に必要な工具の貸し出しのための支援センターも設置しました。これらの活動は特別基金と併せて広く呼びかけ、寄せられた寄付金によって実現しています。

  • 寄付件数は2015年度以降の件数となります。

「災害復興支援特別基金」で想定している主な事業

1. ボランティア団体、NPOが行う支援活動への助成

現地のニーズに対応するボランティア団体、NPO等への活動資金を迅速に助成する。

2. 学生ボランティアの派遣

日本財団のネットワークを活用し、学生のボランティアを被災地へ送る。

3. 要援護者などへの支援

被災地域の避難状況をNPOや自治体等と連携して調査する。そのうえで、災害により困難な状況を強いられやすい乳幼児・高齢者・妊婦・障害者・外国人などの特別なケアが必要な要援護者を支援する。併せて、孤立しがちな在宅避難者への支援、対応も行う。

4. ボランティア養成とネットワーキングの形成

災害発生時に緊急対応できる人材を養成するため、自治体・消防職員向けの講習会や重機を使った支援活動のためのボランティア講習会を実施しています。また、災害時に組織・人材と連携できるようネットワーク構築も進めています。