「子どもの貧困」に関する経済的影響を推計経済的損失約2.9兆円、財政負担約1.1兆円増の可能性も

日本財団は、深刻化する子どもの貧困を経済的視点から捉えることを目的として、子どもの貧困の放置による経済的影響の推計を行いました。

研究の結果

本推計により、子どもの貧困を放置した場合、わずか1学年(※) あたりでも経済損失は約2.9兆円に達し、政府の財政負担は1.1兆円増加するという推計結果が得られました。子どもの貧困問題が社会問題に留まらず、経済へ大きな影響を及ぼす問題であることが明らかとなりました。
  • 現在15歳の子ども(約120万人)のうち生活保護世帯、児童養護施設、ひとり親家庭の子ども(約18万人)

研究の背景

我が国の子どもの貧困率は一貫して上昇傾向にあり、2012年には16.3%、およそ6人に1人の子どもが貧困状態であるとされています。これは経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の中でも極めて高い水準にあり、問題の深刻さが伺えます。問題が深刻化する背景に、貧困が次の世代の貧困を生む「貧困の連鎖」の存在も指摘されており、子どもの貧困対策は急務となっております。 また、子どもの貧困問題は、経済的観点からも重要な問題といえます。我が国の経済は内需に大きく依存している構造であり、人口減少時代に突入した今、内需をいかに維持するかが重要です。しかし、子どもの貧困をこのまま放置しますと、国民の所得ひいては消費の低下を招くため、国内市場の縮小を一段と加速させることが想定されます。このことから、子どもの貧困対策は経済対策として捉えることが重要です。

研究の目的

深刻化する子どもの貧困を経済的視点から捉えるため、子どもの貧困の放置による経済的影響を推計し、有効施策を立案するための基礎データの提供を目的とします。 本推計に関する詳細を記載した「推計レポート(仮)」の全文は2015年12月半ばをめどに日本財団の公式ウェブサイトで公開します。

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