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<title><![CDATA[日本財団ジャーナル]]></title>
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<![CDATA[未来のために何ができる？が見つかるメディア]]>
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<lastBuildDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</lastBuildDate>
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      <title>「子どものスポーツ体験格差」とは？ 子どものスポーツはぜいたく品ではなく、生きる力を育む「第三の居場所」</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124824/sports</link>
      <pubDate>Wed, 09 Sep 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「スポーツ体験格差」とは、家庭の経済状況や地域環境の違いにより、子どものスポーツ機会に格差が生まれる問題</li><li>子どもにとってスポーツはぜいたく品ではなく、学校や家庭とは異なる「第三の居場所」になる可能性がある</li><li>誰かのチャレンジを素直に応援できる社会をつくることは、やさしい社会の実現になる</li></ul><p></p><p>望むがままにスポーツに挑戦できる子と、何らかの事情によって挑戦できない子。両者の間に生じる格差を「スポーツ体験格差」といいます。</p><p>それは、単にスポーツ体験の有無にとどまらず、自己肯定感の低下や人生の目標の喪失、学校や家庭以外の居場所がなくなってしまうなど、子どもたちにさまざまなネガティブな影響をもたらします。</p><p>そんな状況を打破すべく活動しているのが、<a href="https://www.lovefutbol-japan.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人love.fútbol Japan（外部リンク）</a>で代表理事を務める加藤遼也（かとう・りょうや）さんです。love.fútbol Japanは経済的に困窮している家庭へのサッカー費用の給付をはじめ、メーカーと連携したスポーツ用品の寄贈、プロサッカー選手との交流会など、多角的な活動を通して、サッカーを諦めてしまいそうな子どもたちを支援しています。</p><p>それでも、子どもたちのスポーツ体験格差について、国内ではまだまだ認知されていないのが現状です。ときには、「生活に余裕がないならサッカーを諦めればいい」「サッカーなんてぜいたく」といった厳しい声が向けられることもあるそうです。</p><p>スポーツ体験格差が子どもたちにどのような影響を及ぼすのか。やりたいことに打ち込める環境は、子どもたちをどう成長させるのか。スポーツ体験格差の問題を通して、より良い社会づくりのヒントを探ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/02-4-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_e0d6d9ae0a3f1914b8e44fba48c858b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">現在のスポーツ界は、子どものスポーツ体験格差を生みやすい構造</h2><p>――子どもにおける「スポーツ体験格差」とは、何を意味する言葉なのでしょうか。</p><p>加藤さん（以下、敬称略）：経済的な理由や家庭の事情など、生まれ持った環境の違いによって、希望するスポーツに励める子とそうではない子がいる状況を指す言葉です。</p><p>環境によってやりたいスポーツができない子というのは、昔から一定数存在していました。しかし、現在はその数が増加傾向にあります。それどころか、スポーツ界にそういった格差が広がる仕組みができてしまっており、抜本的な対策がとられていないんです。</p><p>――スポーツ体験格差が広がってしまう仕組みとは、どのようなものでしょうか。</p><p>加藤：子どものスポーツが「習いごと化」し、そこにかかる費用が高額化していることが要因だと考えられます。</p><p>せっかく始めたスポーツで上を目指そうとすると、遠征や合宿、大会への参加頻度が増え、かかる費用が膨れ上がっていきます。しかし、経済的に厳しい環境にいるご家庭では、そうした選択ができません。こうして、体験の格差がどんどん広がってしまうのです。</p><p>こういった状況は海外でも起こっています。英語で「Pay to Play（ペイトゥプレイ※1）」という表現がありますが、これは「子どものスポーツにはお金がかかる」という、子どものスポーツの有料化や過度な費用負担を主に批判する際に使われる表現です。</p><p>特にアメリカでは、ユーススポーツ市場（※2）がものすごい勢いで成長しています。その背景には、富裕層ビジネスとして投資が集まっていることがあります。富裕層家庭の子どもがスポーツに集まることで、そこに目をつけた企業やブランドが参入や投資をしているという流れです。</p><p>その結果、ユーススポーツ市場が拡大する一方で、経済的な余裕がない子どもたちは、スポーツに参加できないまま取り残されてしまうというデータが出ています。</p><p>また、格差の原因として、発展途上国の場合はスポーツができる安全な場所の不足が要因になりやすいのに対し、日本やアメリカなどの先進国ではスポーツができる場所があるのにもかかわらず、経済的な理由でできないという違いがあります。</p><p>――そういった状況のなか、love.fútbol Japanではサッカーの体験格差を埋める支援活動をされています。先日公開された2026年の「子どものサッカーを取り巻く経済的貧困・格差の実態調査レポート（※3）」について教えていただけますか。</p><p>加藤：今回の調査で特に印象的だったのは、約3人に1人の保護者が、子どもにサッカーを続けさせるための借入をした経験がある、という結果が出たことです。今でも「サッカーはボールが1つあればできる」といわれることがありますが、実際は異なります。</p><p>遠征や合宿といった大きな費用だけではなく、ユニホームやシューズ代にもお金はかかります。そうした費用を捻出するために、生活費を削ったり、借入をしたりせざるを得ない家庭があるのがリアルな現状なのです。</p><p>ほかにも、約4割の子どもが家庭の経済状況を心配し、自ら「サッカーを辞める」と保護者に伝えた経験があることも分かりました。しかも、そのうちの約7割は小学生の時に伝えているんです。</p><p>本来なら子どもは余計な心配をせず、やりたいことに打ち込んでほしいと思います。でも、実際にはそれが叶わない子どもたちがいます。</p><p>あるご家庭では、兄弟でサッカーを習っていたのですが、経済的に厳しい状況を察した弟さんが「僕は辞めるから、お兄ちゃんに続けさせてあげて」と言ったそうです。サッカーを辞める決断をした弟さんも、それを知ったお兄さんも、そして子どもにそんなことを言わせてしまった保護者の方も、本当に苦しかったと思います。</p><p>日本中でサッカーがこれだけ盛り上がっているなかで、こういったことが人知れず起こってしまっているのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/03-4-1024x533.jpg">子どもがサッカーを始める、継続するための借入経験に関するアンケート結果。約3割の家庭でこれまでに借入の経験がある。出典：認定NPO法人love.fútbol Japan<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/04-3-1024x547.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4c7f3b55db5b2bafe96dba26a52af102" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「誰かに応援してもらえる体験」をした子どもたちは、豊かに育つ</h2><p>――しかし、「経済的に厳しいのであれば、サッカーを続けようとするのはぜいたくだ」という見方もあるのではないでしょうか。</p><p>加藤：まさにそこが問題で、子どもがスポーツを習うことが一種の「ぜいたく品」として捉えられている部分があると思います。</p><p>そのため、私たちが支援をしている保護者の方々からは、「ぜいたくだと思われてしまうから、支援を申し込むこと自体を遠慮してしまう」「母子家庭で習いごとをさせること自体が認められないのではないか」「経済的に苦しいなら、習いごとを辞めればいいと言われてショックだった」といった声が多く寄せられます。</p><p>そんなふうに周りから責められてしまうと、当事者はどんどん声を上げづらくなり、必要な支援からも遠ざかってしまう。ですが、子どものスポーツは、決して「ぜいたく品」ではないはずです。</p><p>これまでに私たちが支援してきたご家庭を見ていると、子どもにとってサッカーが「第三の居場所」になっていると感じることが多々あります。学校や家庭では得られない、仲間や監督、コーチとのつながりが生まれ、さまざまな経験ができる居場所になっているんです。</p><p>実際、サッカーを辞めたことで居場所を失い、非行に走ってしまった子どももいました。それほどまでに、サッカーは子どもたちにとって大切な存在なんです。だからこそ、保護者の方はその場所を守りたいのだと思います。</p><p>――スポーツを通して得られるものも多いんですね。</p><p>加藤：調査結果からも、スポーツを通して非認知能力（※4）が育つことが分かっています。具体的には、「最後まで諦めない力」「自信」「仲間と支え合う力」などです。</p><p>チームメイトとはいえ他人同士ですから、気が合う人もいれば、そうではない人もいます。そうした環境のなかで人間関係を学び、さまざまな力を養っていくのだと思います。</p><p>――実際、love.fútbol Japanの支援によってサッカーを続けられている子どもたちからは、どのような声が上がっていますか？</p><p>加藤：多くの子どもたちから「サッカーは大切な場所」という声が届いています。理由としては「友だちや仲間がいる（できる）」「夢や目標に挑戦できる」といったものに加えて、「誰かが応援してくれる」という声も多くあります。</p><p>やっぱり、誰かに応援してもらえることって、うれしいですよね。だからこそ、子どもたちにサッカーを諦めさせることは「応援してもらえる場所を奪うこと」でもあるのだと思います。</p><p>それから、今でも強く印象に残っているお子さんがいます。初めて支援を受けてサッカーを始めた子なのですが、「好きなことができるって、こんなに世界が明るく見えるんだね」と言っていたんです。</p><p>これまでどれだけの我慢をしてきたんだろう、と苦しくなると同時に、このような子どもたちをこれからも応援していきたいと強く思いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/05-3-1024x683.jpg">love.fútbol Japanの支援を受けた子どもたちから寄せられたメッセージ。画像提供：認定NPO法人love.fútbol Japan<h2 id="tnf-text-heading-block_320ab80e486177e1662f33f39754f309" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">この先のスポーツのあり方をみんなで考えていきたい</h2><p>――「余裕がないのにスポーツをするなんてぜいたくだ」と思っている方たちを含め、社会全体に伝えたいメッセージはありますか。</p><p>加藤：前提として、この社会で私たちは一人では生きられません。なぜなら、他者とのつながりを必要としているからです。その上で、私はスポーツは、生きるために大切な存在だと思っています。</p><p>何かに挑戦する、失敗を乗り越える、成功体験を積む、仲間と支え合う、誰かを応援する。今は、誰かが新しく挑戦することを否定する風潮もありますが、応援される社会の方が、人が暮らしやすい社会だと思っています。スポーツには、人の可能性を信じて応援する、そうした環境を育ててくれる一面があります。</p><p>確かに、スポーツをするには、どうしてもお金がかかります。でも、大事なことは「あなたはこれからのスポーツをどうしたいですか？」という問いに一人一人が考えて、そのビジョンに対して行動することだと思います。</p><p>経済的な理由でサッカーを諦める子どもをなくしたい。それが私たちのビジョンです。もし私たちと同じようなビジョンがあるなら、この流れをつくるために一緒に挑戦していただけると、すごく心強いです。</p><p>私が子どもの頃、当たり前のようにスポーツを楽しめていたのは、私よりも上の世代の方々が環境を整えてくださっていたからです。だから今度は私たちが生きている間に、次世代の子どもたちのためにスポーツができる環境を整えたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/06-3-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_6d119f7c8103ac5719b5e248e1f1fbc1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どものスポーツ体験格差をなくすために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、子どものスポーツ体験格差をなくしていくために、私たち一人一人にできることを加藤さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b3fb9c6e049bcf9d944e2b9e996d1e05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］誰かの挑戦を応援する</h2><p>努力する人の姿や誰かの挑戦を素直に受け止め、応援する風潮をつくっていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9ed516b77da1f060468870603fd889e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］スポーツ体験格差について広める</h2><p>まだまだ知られていない「スポーツ体験格差」という課題について、周囲の人に情報をシェアし、認知を広める</p><h2 id="tnf-text-heading-block_57fbee9a8ea83a9da45188d84ced1bd1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］スポーツへの偏見を捨てる</h2><p>スポーツを「ぜいたく品」として捉えるのではなく、誰もが挑戦できる当たり前の「権利」であるという認識を持つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_41d4f8ef9aa4479ec8d3a4aa8b3b7cbd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>サッカーは、多くの人に夢を与えるスポーツです。アスリートの方々の活躍に勇気をもらったことがある人も少なくないでしょう。</p><p>でも、そんな夢のあるサッカーの世界のスタートラインに立つことすらできない子どもたちがいます。この事実をそのままにしておいたら、子どもたちはどうなってしまうでしょうか。幼いうちから諦めを覚え、小さな目標すら持てなくなってしまうかもしれません。</p><p>だからこそ加藤さんは、さまざまな事情からサッカーを諦めかけている子どもたちに手を差し伸べています。この活動は、豊かな未来をつくるためのものです。</p><p>love.fútbol Japanの支援によって、大好きなサッカーを諦めずに済んだ子どもたちが大人になったとき、彼らはきっと、誰かにやさしさを手渡す側に回ってくれるのではないでしょうか。そういった、やさしい社会の到来を予感させる、心温まる取材でした。</p><p>撮影：永西永実</p><div id="tnf-text-notes-block_88986e6d2d66733e14afec3703ef1083" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.スポーツにおける「Pay to Play（ペイトゥプレイ）」とは、主にアメリカのユーススポーツや学校の部活動において、子どもがチームに参加して競技を行うために高額な参加費や遠征費などを支払う仕組みのこと※2.「ユーススポーツ市場」とは、18歳以下の子どもや青少年を対象としたスポーツ活動に関する経済・ビジネス市場のこと※3.<a href="https://drive.google.com/file/d/1NjbDQOLbv_DGSg_K3FvUspmXDzswaHWj/view" target="_blank" rel="noopener">子どものサッカーを取り巻く経済的貧困・格差の実態調査レポート｜（外部リンク/PDF）</a>※4.「非認知能力」とは、テストの点数やIQのように数字で測ることができない、自己コントロール力や忍耐力、協調性など、日常生活や社会性に関わる能力のこと</div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d6d335dc0bcf7e73792244ccb0cb31f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">加藤遼也（かとう・りょうや）</h2><p>認定NPO法人love.fútbol Japan代表理事。愛知県瀬戸市出身。2011年より、南アフリカやアメリカなどでサッカーを通じた子ども支援を展開。以降、子ども支援専門の国際NGOセーブ・ザ・チルドレン・ジャパンでの活動を経て2018年にNPO法人を設立。日本国内で経済的貧困などでサッカーを諦める子どもの支援に取り組んでいる。</p><p><a href="https://peraichi.com/landing_pages/view/lovefutbol-japan-misanga" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人love.fútbol Japan寄付サポーター募集</a></p>    ]]>
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      <title>急な大雨、どう動く？ 豪雨から命を守るために、中高生が身につけたい防災の知識【ワークシート付き】</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/125006/pbl</link>
      <pubDate>Thu, 03 Sep 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本では極端な大雨が増えており、強い雨ほど増加率が高くなっている </li><li>豪雨の危険は雨の最中だけでなく、やんだ後の土砂災害や氾濫にも及ぶ  </li><li>空や雲から天気を読む方法「観天望気（かんてんぼうき）」が身を守る</li></ul><p></p><p>中高生が専門家の知見を借りながら、身近な社会課題について自ら調べ、考えるのを助ける連載企画「探究ジャーナル」。第3回のテーマは「豪雨と防災」です。</p><p>学校からの帰り道、突然バケツをひっくり返したような雨に降られて、ずぶ濡れになってしまった。そんな経験はありませんか。</p><p>文部科学省と気象庁が公表した報告書「日本の気候変動2025（※1）」によると、日本では極端な大雨の発生回数が統計的にも増えており、しかも強い雨ほど増加率が高くなっています。つまり、以前よりも豪雨による災害が起こりやすくなっているのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_1.jpg"><p>いざというときに適切な行動をとるため、まずは空で何が起きているのかを学ぶことが、自分と大切な人の命を守るための「防災」になります。</p><p>今回は、フリーアナウンサーで気象予報士・防災士の三上萌々（みかみ もも）さんに、お話を聞きました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2624a714c71b9cf91e151113bafefadc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の雨は、確実に変わってきている</h2><p>——最近「ゲリラ豪雨」という言葉をよく聞きますが、雨の降り方は以前と比べて変わってきているのでしょうか。</p><p>三上さん（以下、敬称略）：日本国内の集中豪雨と1時間の短時間大雨、どちらの発生数も増えており、特に梅雨の時期の豪雨が増加しています。その一方で、雨が降らない日数も増えているんです。降るときは激しく降り、降らないときはまったく降らない、といったように、雨の降り方が極端になってきている傾向があります。</p><p>これは地球の気候変動（温暖化）とも関係があります。産業革命（18世紀後半）よりも前の時代と比べると、100年に1回しか起きない確率の極端な大雨は20世紀末の時点で1.5倍に増えたといわれています。</p><p>——地球の気温が上がって暑くなると、なぜ大雨が増えるのでしょう。</p><p>三上：気温が高くなるほど、空気が含むことのできる水蒸気の量が増えるんです。この、空気が含むことのできる水蒸気の最大量を「飽和水蒸気量（ほうわすいじょうきりょう）」といいます。気温が1度上昇するごとに、飽和水蒸気量は7パーセント増えるといわれており、含むことのできる水蒸気が増えれば、それだけ降る雨の量も増える可能性がある、ということです。</p><p>例えば、世界の平均気温が産業革命以前と比べて4度上がったとすると、「100年に1回の大雨」が降る頻度は全国平均でおよそ5.3倍になり、そのときに降る雨の量も全国平均で32パーセント増える、と計算されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_2.jpg">近年、大雨が増えている原因について話す三上さん<h2 id="tnf-text-heading-block_921b01e74a0a0e7f11a5454f45a1ddba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">豪雨は、どんな災害を引き起こすのか</h2><p>——豪雨が増えることで、どんな危険がありますか。</p><p>三上：大雨にともなって発生する災害の例には、以下のようなものがあります。危険は、雨が降っている時間だけに集中しているわけではありません。降り出す前も、やんだ後も続きます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_3.jpg"><p>三上：積乱雲の接近や大雨にともなって起こるかもしれない出来事を、実際にイメージしてみましょう。</p><p>［Aさんの事例］</p><p>夏の午後、学校のグラウンドで部活動をしていました。さっきまで晴れていたのに、空がみるみる黒い雲に覆われ始め、ゴロゴロと雷の音も聞こえてきます。雨宿りしなければと、校庭のすみにある木の下に走り込もうとすると、先生に「雷が落ちるといけない。建物のなかに入りなさい」と注意され、体育館の中で雨宿りしました。</p><p>※実際に起こりうる場面を想定し作成</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_4.jpeg">雷が鳴ったら建物のなかに避難するのが安全だ<p>三上：晴れた夏の午後は急に天気が崩れることがあります。これは、日中の気温上昇などで大気の状態が不安定になり、大雨や雷をもたらす積乱雲（せきらんうん）が発生し、また発達しやすいためです。</p><p>突然、雷をともなう雨に見舞われたとき、木の下で雨宿りするのは本当に危険です。というのも、「側撃雷（そくげきらい）」といって、木に落ちた雷が人間に伝わってしまうことがあるからです。雨をしのぐなら建物の中に避難するのが一番安全です。</p><p>［Bさんの事例］</p><p>大雨の朝、家族の車で学校まで送ってもらうことにしました。途中、線路の下をくぐるアンダーパスに差しかかると、道が低くなっているせいで水がたまっています。車なら通り抜けられるかな、と思っていましたが、想像していたよりも水たまりが深く、途中で車が動かなくなってしまいました。</p><p>※実際に起こりうる場面を想定し作成</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_5.jpeg"><p>三上：鉄道や別の道路の下をくぐる形で道路が低くなっているアンダーパスの冠水も、大雨による水害の1つです。もしエンジンの吸気口から水が入ってしまうと、車が止まってしまうことがあります。</p><p>水の深さは見た目では分かりません。冠水した道路には入らないことが原則です。万が一、車が動かなくなったときに備えて、車内に脱出用のハンマーを置いておくことも、家の人に伝えておきたい備えです。</p><p>——大雨の危険は、身近なところにあるのですね。</p><p>三上：ほかにも家の近くや登下校の道が、浸水や氾濫の想定区域であることがあります。大雨で川の水位が上がったり、氾濫したりすると、水害に巻き込まれる危険があります。また、地震などで地盤の緩みがあると、少しの雨でも土砂災害が発生することもあるんです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1f12b626718a3f8eb0b5a49c4f25721d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">大雨をもたらす雲について学んでみよう</h2><p>——大雨から身を守るために、まず何を知っておくべきか教えてください。</p><p>三上：まずは、大雨を引き起こす雲について知っておきましょう。正体が分かれば、空を見上げたときに「これは危ないかもしれない」と気づけるようになります。</p><p>晴れた空によく浮かんでいる「積雲（せきうん／別名：わた雲）」が大きく成長すると「雄大積雲（ゆうだいせきうん／別名：入道雲）」になります。この雄大積雲が上昇気流によって上へ上へと発達し、発達できる限界まで背が高くなって雲の頭が平らになったものが「積乱雲（せきらんうん／別名：かみなり雲）」です。</p><p>雄大積雲も強い雨を降らすことがありますが、積乱雲は雷をもたらし、ときにひょうも降らすのが特徴です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_6.jpg">入道雲と積乱雲の違い<p>——大雨のニュースで「線状降水帯」という言葉が使われることがあります。これはどういうものですか？</p><p>三上：「線状降水帯」は、集中豪雨をもたらす典型的な現象です。いわゆる「ゲリラ雷雨」は、積乱雲によって強い雨が短時間で降る現象です。それに対して「線状降水帯」は、積乱雲が風上側で繰り返し発生して、狭い範囲に列をなして雨を降らせ続けるため、雨の量が桁違いに多くなります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_7.jpg"><p>三上：しかも「線状降水帯」は急に発生することがあります。急激に多くの雨が降ると、災害の危険性が一気に高まるおそれがあるのです。</p><p>——「線状降水帯」が来ることは、事前に分かるのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>三上：「線状降水帯」の発生メカニズム自体は、未解明な部分も多く、今まさに研究が進められています。そうしたなか、2026年5月からは気象庁による「線状降水帯予測マップ（※2）」の公開が始まりました。「線状降水帯」が発生する2、3時間前に「直前予測」が発表されます。この的中率について気象庁は2回に1回としています。先に始まっていた「半日前予測」の的中率が7回に1回程度（令和7年実績）だったのに比べると、比較的信頼性の高い情報です。</p><p>ただし、「線状降水帯」 という現象にならなかったとしても大雨が降る場合はあります。線状降水帯にならないから安心できる、というものではないんです。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_8.jpg">線状降水帯予測マップ。直前予測を補足する情報として、今後3時間以内に線状降水帯による大雨のおそれのある大まかな領域を地図上で確認できる。引用：線状降水帯に関する情報｜気象庁</div></div><p>——では、ゲリラ豪雨を呼ぶ積乱雲の発生は予測できるのでしょうか。</p><p>三上：「積乱雲がここにできます」というピンポイントの予測は、現代の技術をもってしても難しいといわれています。天気予報をチェックすることに加えて、自分が今いる場所の空の変化について、自分で気づく方法を知っておくことも豪雨から身を守る助けになります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b56f983426993eec7d43176a398b039c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">危険を予告してくれる、「空のサイン」</h2><p>三上：天気予報がなかった時代からある「観天望気（かんてんぼうき）」という方法があります。これは空や風などのサインから天気を予想するもので、現代でも役立ちます。</p><p>まずは豪雨と関わりの深い、積乱雲の登場に関する2種類のサインを覚えておきましょう。前もって教えてくれるサインと、間近に迫っているサイン。後者のほうが、緊急度は高くなります。</p><p>［積乱雲の登場を前もって知らせる空のサイン］</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>頭巾雲（ずきんぐも）：入道雲が防災頭巾のようなものをかぶった状態。入道雲がこれから積乱雲になるかもしれないサイン</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_9.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>かなとこ雲：雲の頭が水平方向に平らに広がっている状態。積乱雲が発達の限界まで来ているサイン</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_10.jpeg">かなとこ雲</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>乳房雲（ちぶさぐも）：積乱雲の進行方向に現れることのある、こぶ状の雲。これが見えたら、その後ろに積乱雲がいるかもしれない、というサイン</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_11.jpeg"></div></div><p>三上：空のサインに気づいたら、気象庁のウェブサイト「雨雲の動き（※3）」を見てみましょう。もし、今いる場所に積乱雲が近づいてくる予想になっていたら、安全な屋内に避難しておきましょう。</p><p>［積乱雲が間近に迫っているサイン］</p>晴れていたのに、急に空が暗くなる冷たい風がびゅーっと吹いてくる雷の音がゴロゴロと聞こえる<p>積乱雲がすぐそばまで迫っている場合、予報を確認している余裕はありません。急いで安全なところに避難をしましょう。</p><p>——天気予報を使って、豪雨の危険を避ける方法についても教えてください。</p><p>三上：大前提として、台風や前線にともなって発生する、ある程度予測のできる豪雨については、必ず気象庁から事前情報が出されます。5日前になると「早期注意情報」、前日になると「時系列情報（明日までの警報等の見通し）」が段階的に発表されます。当日は、「警報」や「注意報」といった速報が出されます。</p><p>まずは週間天気予報で「この日は雨だな」と思ったら、前日に「時系列情報」をチェックしてどんな警報が出そうか見ておきましょう。当日は速報が出ていないかを確認すると、身を守ることにつながります。</p><p>また、その日の天気予報で次のキーワードが使われていたら、積乱雲登場の予告です。</p>ところにより雷竜巻などの突風大気の状態が不安定<p>空のサインと気象庁のウェブサイトを一緒に活用するほか、防災アプリで警報アラートが届くように設定しておくのもいいと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d1848e4c0c6b30a7438044f545779a53" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">豪雨から身を守るためにできること</h2><p>——豪雨が近づいてきたのがわかったら、どんな行動をすればいいでしょうか。</p><p>三上：自治体や気象庁などから発表される5段階の「警戒レベル」に合わせた防災情報が行動の1つの目安になるので、注意しておきましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_12.jpg">2026年5月に改定された避難情報に関するガイドライン。引用：内閣府 防災情報のページ（※4）<p>三上：危険な場所からは全員避難を完了してください、という位置づけとなるのが「レベル4」です。気をつけたいのは「レベル5」の場合。ここまで来ると、すでに道路が冠水していたり、夜間だと足元が見えなかったりして、外に避難することがかえって危険な場合があります。</p><p>——「避難する」というのは、避難所に行けばいいのですか。</p><p>三上：避難は「難を避ける」と書きます。避難所に行くより、自宅にいたほうが安全な場合もあるんです。気象庁の情報ページ「キキクル（※5）」では、大雨による災害発生の危険度が地図上に色分けで示してあります。 まずは、いま自分のいる場所がどのくらい危険かを確認し、危険な場所にいるなら避難所や安全な屋内へ。安全な場所であるなら移動の危険を冒さずに、そこに留まるようにしましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_14.jpg"><p>——大雨のとき外にいた場合、注意すべきことについて教えてください。</p><p>三上：水のあるところと、急斜面から離れることを意識しましょう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>河川や用水路、田んぼや畑に近づかない：増水して水があふれる可能性があります。水が濁っていると足元を取られることもあるので、とにかく近寄らない、行かないというのが鉄則です。河川の状況が知りたいときは、国土交通省や自治体のウェブサイトにある河川カメラ（※6）で確認してください。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_15.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>崖や急斜面に近づかない：土砂災害は急激に状況が悪化し、短時間で発生することがあるので、やはり近づかないことが大切です。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_16.jpeg"></div></div><p>三上：また、雨がやんだから安全なわけではありません。降った雨が上流から流れ込んでくるまでには時間がかかるので、雨の規模が大きいほど、やんだ後になって河川の水位が上がっていくことがあります。土砂にゆっくり染み込んでいった雨水によって、後から土砂災害が襲ってくることもあります。気象現象のピークと、実際の洪水や土砂災害の発生には時差が生まれる場合があるのです。</p><p>——大雨に備えて、ふだんからやっておけることはありますか。</p><p>三上：いざというときの準備は、災害が起こる前にしかできません。次の2点について、豪雨に遭遇する前に取り組んでみてください。</p><p>自分のいる場所の危険を知る：自治体や国土交通省が提供する「ハザードマップ（※7）」で、家、学校、通学路などふだんよく行く場所を確認しておきましょう。浸水、川の氾濫、土砂災害など、どんな危険があるのか頭に入れておくと避難の判断がしやすくなります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_17.jpg"><p>家族でルールを決める：避難するタイミングと場所、一人で外にいるときの行動について話し合っておきましょう。避難にかかる時間は家族構成によって変わります。「レベル4が出たら避難を終わらせておこう」といった具体的な形で、避難のタイミングを決めておくのが大切です。避難所にペットを連れていけるかどうかは自治体によって違うため、早めに確認しておきましょう。</p><p>また、家族が揃っているときに豪雨災害が起こるとは限りません。登下校や部活動中など、外出先にいるときにどうするかについても、合わせて話しておいてください。</p><p>——危険の話が続きましたが、空を見ることが楽しくなる方法もぜひ教えてください。</p><p>三上：偶然でしか出会えないイメージがある「虹」ですが、先ほどお話したウェブサイト「雨雲の動き」を使うと高い確率で見つけることができます。というのも、虹は必ず太陽と反対側の空に出るものです。自分のいる場所を通り過ぎた雨雲がどちらへ向かったかレーダーで確かめたら、太陽を背にしてまだ雨が降っているほうの空を見上げると、虹に出会いやすくなります。</p><p>そうやって使ううち、雨雲の動きや気象情報に慣れ、それがそのまま豪雨の備えになります。空を身近に感じることが、自分の身を守ること、大切な人を守ることにつながっていくのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_18.jpeg">空や雲の動きを予測することで美しい景色に出会える可能性もある<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/pbl3_19.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7bfd6a932ab023ef3c921b359b726957" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">取材から学んだこと</h2><p>なんとなく見上げていた一つ一つの雲も、段階を追ってその形を変えていることを改めて意識しました。空に浮かぶ雲の形も、急に吹く冷たい風も、その意味を知って初めて活用できる情報になります。</p><p>気象庁の情報やハザードマップも含めて、まずは「知る」ことが、備えの第一歩になると実感しました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_500483749306f8d1c7332140f274f692" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中高生のみなさんへ</h2>今日から、空の様子をどんなふうに見上げてみますか？通学路に、川や用水路、崖、アンダーパスなど豪雨のときに危なそうな場所はありますか？自分の家や学校がある場所を、ハザードマップで調べたことはありますか？災害のときにどう避難するかについて、家の人と話し合ったことはありますか？<p>無償でダウンロードできる<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/Disaster-Prevention_compressed.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ワークシート（別タブで開く）</a>を活用して、自分の住む場所の危険を調べ、友だちとも意見を交わしながら、「自分なりの避難ルール」を作ってみましょう。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_a0330102e93593fc6419141eac3271fc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.<a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html" target="_blank" rel="noopener">日本の気候変動 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—｜気象庁（外部リンク）</a>※2.<a href="https://www.jma.go.jp/bosai/kaikotan/#elements:sjfcstmap/zoom:5/lat:34.034453/lon:135.000000/colordepth:normal" target="_blank" rel="noopener">線状降水帯予測マップ｜気象庁（外部リンク）</a>※3.<a href="https://www.jma.go.jp/bosai/nowc/#zoom:7/lat:34.610606/lon:133.313599/colordepth:normal/elements:hrpns&amp;slmcs" target="_blank" rel="noopener">雨雲の動き｜気象庁（外部リンク）</a>※4.<a href="https://www.bousai.go.jp/oukyu/hinanjouhou/r3_hinanjouhou_guideline/" target="_blank" rel="noopener">避難情報に関するガイドラインの改定（令和8年3月）｜内閣府 防災情報のページ（外部リンク）</a>※5.<a href="https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/bosai/riskmap.html" target="_blank" rel="noopener">キキクル｜気象庁（外部リンク）</a>※6.<a href="https://www.river.go.jp/kawabou/pc/ov?zm=6&amp;clat=35.687088&amp;clon=139.752844&amp;mapType=0&amp;viewGrpStg=0&amp;viewRd=1&amp;viewRW=1&amp;viewRl=1&amp;viewRn=1&amp;viewPoint=1" target="_blank" rel="noopener">川の防災情報｜国土交通省（外部リンク）</a>※7.<a href="https://disaportal.gsi.go.jp/" target="_blank" rel="noopener">ハザードマップポータルサイト（外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e8d259aa34b70d735c5e0064da7a01f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">三上萌々（みかみ・もも）</h2><p>慶應義塾大学理工学部応用化学科卒業。損害保険会社に勤務していた当時、豪雨災害の被災地を担当。その苦難を目の当たりにし、災害が起こる前に呼びかけられる仕事に携わりたいとアナウンサーを志す。2021年、テレビ高知に入社、夕方のニュース番組『からふる』のメインキャスターなどを担当。2023年より『TBS NEWS』キャスターを務める。能登半島地震の報道を通じて防災を学び直す必要を感じ、2025年に気象予報士試験に合格。現在は気象予報士・防災士として、防災・減災に関する発信にも取り組む。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>なぜNTTが陸で魚を養殖するのか？ そもそも陸上養殖ってなに？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124585/sustainable</link>
      <pubDate>Tue, 01 Sep 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>地球温暖化や海水温の上昇により、日本の水産業では漁獲量の減少や大衆魚の価格高騰が課題となっている</li><li>陸上養殖は、自然環境に左右されにくい安定生産や地域活性化を実現する新たな養殖方法として期待されている</li><li>NTTアクアはICTを活用した「陸上養殖」で、養殖技術の見える化や地域産業の活性化を目指している</li></ul><p></p><p>近年、地球温暖化による海水温の上昇や海洋環境の変化、さらには乱獲などを背景に、水産資源の減少が世界的な問題となっています。将来にわたって安定した食料供給を実現するため、新たな生産方法として注目を集めているのが、陸上の水槽で魚を育てる「陸上養殖」です。</p><p>その可能性に着目し、通信事業で培ったICTやデータ分析技術を活用した「スマート陸上養殖」に取り組んでいるのが、<a href="https://www.ntt-aqua.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社NTTアクア（外部リンク）</a>です。水質管理や飼育ノウハウをデジタル化することで、経験に頼らない養殖を目指すだけでなく、地域産業の活性化にも挑戦しています。</p><p>通信会社がなぜ水産業に参入していくのでしょうか。また陸上養殖は水産業や地域社会の未来をどう変えていくのでしょうか。株式会社NTTアクアの日高弘毅（ひだか・ひろき）さんに話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/yosyoku00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_cfdb21541ac6a19b4bc1d4c1d711f6b0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の異変が進む今、注目される「陸上養殖」</h2><p>――現在の日本の水産業はどのような問題を抱えているのでしょうか。</p><p>日高：大きな問題の1つは、海洋環境の変化による漁獲量の減少や、魚が育ちにくくなっていることです。気候変動による海水温の上昇などの影響で、これまで取れていた魚が取れなくなったり、旬の時期が変わったりする現象が各地で起きています。</p><p>また、世界的な人口増加によって水産物の需要は今後さらに高まると見込まれています。将来にわたって魚を安定的に供給するための「食料安全保障」は、日本にとっても重要な課題です。国際情勢によって輸入価格が左右されるリスクもあり、国内で安定して生産できる体制づくりが求められています（※）。</p><div id="tnf-text-notes-block_007beb5a1ea2e17b95f3de4a3ee66e5e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112241/resource-depletion" target="_blank" rel="noopener">どうすれば、魚を食べ続けられる？ 魚食文化を支える「水産資源管理」とは（別タブで開く）</a></div><p>――魚の養殖には、どのような種類がありますか。</p><p>日高：大きく分けると、「海面養殖」「内水面養殖」「陸上養殖」の3つがあります。</p><p>「海面養殖」は、海にいけすを設置して魚を育てる方法で、ブリやサーモンなどの養殖に広く用いられています。日本の水産業を長年支えてきた代表的な養殖方法ですが、海水温の上昇や赤潮など、自然環境の影響を受けやすいという課題があります。</p><p>これに対して「内水面養殖」は、池や河川、地下水などを利用して魚を育てる方法です。ウナギやマス、アユなどの養殖で行われています。</p><p>そして「陸上養殖」は、海や川ではなく、陸上に設置した水槽で魚を育てる方法です。</p><p>――「陸上養殖」とは具体的にどのような養殖方法なのでしょうか。</p><p>日高：「陸上養殖」は、海や川などの自然環境ではなく、陸上に設置したいけすで魚を育てる養殖方法です。最大の特徴は、水質や水温など魚が育つ環境を人の手で細かくコントロールできることで、そのため、海水温の上昇など自然環境の変化に左右されにくく、安定した生産につながります。</p><p>また、理論上は暖かい地域で寒冷地の魚を育てたり、その逆を行ったりすることも可能です。餌や飼育環境を管理できるため、品質を均一に保ちやすく、安全性やトレーサビリティの向上にもつながります。さらに、餌を工夫することで脂の乗りをコントロールし、「味を設計する」こともできます。</p><p>現在、私たちが取り組んでいる「陸上養殖」は海水を利用するため、主な対象は沿岸地域です。海水を引き込んだり地下海水を活用したりしながら養殖を行っています。将来的には淡水を利用した陸上養殖への展開も視野に入れていますが、現時点では海水を使った養殖が中心となっています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32a7dee1f78619c5fb38a44944daf24f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ICTで養殖のノウハウを「見える化」する</h2><p>――そもそも通信事業者であるNTTが、なぜ陸上養殖事業に取り組むことになったのでしょうか。</p><p>日高：NTTグループでは以前から、通信やデータ、ICTを活用して、地域活性化や食料安全保障といった社会課題の解決に取り組んできました。</p><p>水産業と深く関わるきっかけとなったのは、東日本大震災です。震災後、海底環境が大きく変化したことで、当時のNTTドコモは海中の環境をデータで把握するセンサー「ICTブイ」を開発し、漁業者の支援を行いました。この取り組みを通じて、漁業現場が抱える課題や、現場で本当に使いやすいシステムづくりについて、多くの知見を得ることができました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/yosyoku00001.jpg">ICTブイの仕組み。画像提供：株式会社NTTアクア<p>日高：2015年頃からは、沖縄県で地域課題の解決にも取り組むようになり、そのなかで、大宜味村（おおぎみそん）で「アカジンミーバイ（スジアラ）」の養殖を手がける<a href="https://akajin.info/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">紅仁株式会社（外部リンク）</a>と出会いました。同社は、高度な養殖技術や豊富なノウハウを持っており、「この技術をICTと組み合わせれば、もっと多くの地域へ広げられるのではないか」と考えたことが、陸上養殖に取り組むきっかけです。</p><p>そこで、紅仁が培ってきた養殖技術をデータ化し、ICTで「見える化」することで、熟練者が現地へ行かなくても、遠隔から技術指導やフォローができる仕組みづくりを進めてきました。こうした取り組みを発展させる形で、2023年に共同研究を開始し、2024年12月にNTTアクアを設立しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/yosyoku00005.jpg"><p>――実際に陸上養殖に取り組むなかで、どのような課題や気づきがありましたか。</p><p>日高：苦労したのは、日本では陸上養殖がまだ発展途上で、必要な設備やノウハウを一から整えていく必要があったことです。</p><p>日本は海に恵まれていることもあり、これまで養殖といえば海面養殖が主流でした。そのため、陸上養殖に適した餌や機材、運用ノウハウなどは十分に整っておらず、私たち自身で工夫しながらつくり上げていく場面が多くありました。</p><p>例えば、餌を陸上養殖向けに調合したり、機材やデータの活用方法を試行錯誤したりと、一つ一つ積み重ねてきました。</p><p>一方で、うれしい想定外もありました。養殖場から海へ排水している場所では藻が育ち、そこへカニが集まり、それを追って魚が戻ってくるという変化が見られました。最近では、その周辺が釣りの穴場として知られるようになっているそうです。</p><p>陸上養殖は環境に負荷をかけるものというイメージを持たれることもありますが、こうした光景を目にして、海の環境にも良い影響を与えられる可能性があるのではないかと感じました。これは、現場で取り組んだからこそ得られた気づきの1つです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a21df12c016fe0d65a502fbdb01e9d00" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食卓も地域も支える、陸上養殖が描く未来</h2><p>――陸上養殖にはどのような可能性があると考えていますか。</p><p>日高：大きく3つの可能性があると考えています。</p><p>1つ目は、安定した食料供給につながることです。海水温の上昇など気候変動の影響や、国際情勢による物流の変化を受けにくく、安定して魚を生産できるため、食料安全保障の面でも大きな可能性があります。</p><p>2つ目は、地域活性化です。現在、大宜味村では使われなくなった学校を活用して研究施設を運営しています。今後、事業として展開していけば、新たな雇用が生まれるだけでなく、育てた魚を地域の飲食店や学校給食、観光資源などにつなげることで、地域全体の活性化にもつながると考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/yosyoku00003.jpg">大宜味村では廃校となった小学校を陸上養殖施設として活用し、地域の理解を得ながら事業に取り組んでいる。画像提供：株式会社NTTアクア<p>日高：3つ目は、水産業の新しい担い手を増やせることです。陸上養殖には魚を育てる技術だけでなく、AIやデータ分析、デザイン、ブランディングなど、さまざまな専門性を活かせる可能性があります。若い世代にとっても関わりやすい産業になれば、水産業の未来にもつながっていくはずです。</p><p>国も陸上養殖システムの海外展開を成長戦略の1つとして位置付けています。私たちは陸上養殖を新しい養殖技術としてだけではなく、地域と一緒に元気になるストーリーをつくっていく取り組みとして育てていきたいと考えています。</p><p>――陸上養殖が広がっていくためには、どのような課題がありますか。</p><p>日高：まず、設備や運営にかかるコストです。陸上養殖では、水を循環させながら魚が育つ環境を維持するための設備や電力が必要なため、初期投資や電気代をどう抑えるかが重要です。省エネ化を進めることに加え、暖かい地域では暖かい海の魚を育てるといった、立地に合わせた養殖を行うことも大切だと考えています。</p><p>併せて、どの魚を育てるかという魚種の選定も重要です。コストに見合う事業にするためには、地域で需要がありながら漁獲量が減っている魚や、付加価値の高い魚を見極めて育てる必要があります。</p><p>さらに、人材育成や販路づくりも欠かせません。システムによって養殖技術を標準化できても、現場では魚の状態に応じた判断や工夫が必要です。また、育てた魚を適正な価格で販売するためには、ブランドづくりや販路の開拓も重要になります。</p><p>――肉は畜産されたものを食べるのが当たり前ですが、魚は「天然もの」に価値を感じる人が多い印象があります。</p><p>日高：「天然もの」に価値を感じるのは、とても自然な感覚だと思います。日本では昔から海で取れた魚を食べる文化があり、旬や産地、それぞれの地域ならではの物語も含めて、大切な食文化として受け継がれてきました。</p><p>一方で、食肉の多くは人間によって畜産されたものですが、「○○牛」や「○○豚」のように、餌や育て方、産地を工夫することで独自のブランド価値を生み出しています。魚も同じで、陸上養殖では育て方を管理できるため、品質を安定させやすく、安全性やトレーサビリティも高められます。さらに、餌を工夫することで脂の乗りなどを調整し、その地域ならではのブランドとして育てていくこともできます。</p><p>天然には天然の良さがあり、養殖には養殖ならではの良さがあります。天然か養殖かという二択ではなく、それぞれの価値を知った上で、フラットに選んでもらえるようになればいいなと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/yosyoku00004.jpg"><p>――現在養殖している魚は、実際に食べることもできるのでしょうか。</p><p>日高：大宜味村の施設は、魚をどう育てれば安定して成長するのかを研究したり、「種苗」と呼ばれる稚魚を育てたりするための拠点です。そのため、本格的に養殖した魚を販売することは行っていません。</p><p>ただ、成長した魚は学校給食や地域のお祭りなどで提供していて、地元の皆さんに食べていただく機会を設けています。「おいしい」と言っていただくことも多く、地域の方々に陸上養殖を知っていただくきっかけになっているほか、養殖場の見学へ来てくれる小学生もいます。</p><p>――まずは地元の人たちに届けたいという思いがあるんですね。</p><p>日高：そうですね。アカジンミーバイは沖縄三大高級魚の1つですが、高級魚であるがゆえに都市部へ出荷されることが多く、地元の人が口にする機会はあまりありませんでした。</p><p>紅仁の後藤社長は、「せっかく地元のおいしい魚なのに、地元の人が食べる機会が少ないのはもったいない」という思いから、陸上養殖を始めたそうです。</p><p>地元で育てた魚を地元の人に味わってもらうことは、地産地消につながるだけでなく、「この地域にはこんな魚がある」という誇りにもつながると思っています。そうした取り組みを積み重ねることが、地域を元気にすることにもつながっていくのではないでしょうか。</p><p>私ももちろんいただきました。実は最初は少し先入観があったんです。数日前まで水槽で泳いでいるのを見ていた魚ですし、やはり私も「天然ものとは違うんじゃないか」と思ったりもしました。</p><p>でも、お刺身を一口食べた瞬間、その先入観は全部吹き飛びました。魚特有の臭みがまったくなくて、本当においしかったんです。こんなにおいしい魚を安定して育てられるようになれば、多くの人に届けられるようになる。陸上養殖には、そういう可能性があるんだと実感しました。</p><p>どれだけ言葉で説明するよりも、一度味わってもらうことが何より伝わると思っています。私自身がそうだったので、食べる体験を増やしていくことも大切だと感じています。</p><p>――陸上養殖が広がることで、私たちの暮らしや社会は、どのように変わると思いますか。</p><p>日高：まず食卓では、天候や季節に左右されにくく、品質の高い魚が一年を通して安定して楽しめるようになると思います。</p><p>また、アカジンミーバイのように、これまで高級魚として都市部へ出荷され、地元ではなかなか食べられなかった魚を地域の人たちが味わえるようになり、地産地消も進んでいくのではないでしょうか。</p><p>さらに、陸上養殖が広がれば、新しい産業として地域に雇用が生まれます。取れなくなった魚を育てられるようになれば、その地域ならではの食文化を未来へ受け継ぐことにもつながります。</p><p>消費地の近くで計画的に生産できるようになれば、安定した食料供給という面でも大きな意義があります。</p><p>食卓が豊かになり、地域が元気になり、食の未来もより持続可能になる。陸上養殖には、そうした相乗効果を生み出す可能性があると考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4259cb413f16715ad9df3ac1ee828718" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来ある水産業を実現するために、私たちができること</h2><p>最後に、未来ある水産業を実現するために、私たち一人一人ができることについて日高さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6c93204703aa5e73e84cb5fb9224806e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］買い物の際、地元や国産の魚を選んでみる</h2><p>「毎日の食卓で何を選ぶか」という意識の積み重ねが、地域の水産業や未来の食料供給を支えることにつながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b2bec76d0331dc601297e256b3620248" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］陸上養殖の魚を一度味わってみる</h2><p>現在、一部のスーパーマーケットでは陸上養殖の魚を取り扱っている。そのおいしさや価値を知ることが、陸上養殖への理解を深めるきっかけになる。また、家族や友人に感想を伝えることが、陸上養殖や地域の水産業への関心を広げる後押しになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32369224ca899fc3b6366a95ebab8ae8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>今回の取材で印象に残ったのは、陸上養殖が「魚を育てる技術」ではなく、地域を元気にする取り組みとして語られていたことです。食料安全保障や環境への配慮はもちろん、雇用を生み、地域の食文化や誇りを未来へつないでいく――そんな可能性があることを初めて知りました。</p><p>現在、NTTアクアの陸上養殖魚はまだ一般には流通していませんが、全国ではすでに陸上養殖に取り組む事業者も増えており、ふるさと納税の返礼品として味わえる魚もあります。日高さんの「魚を食べて、知って、選んで応援する」という言葉の通り、私もまずは陸上養殖の魚を味わうことから始めてみたいと思いました。</p><p><a href="https://www.ntt-aqua.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NTTアクア 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>子どもの事故の9割は防げる？ 保護者だけに頼らない事故予防の仕組みを考える</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124532/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 26 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>子どもの事故は「不慮の事故」が主要な死因の1つであり、約9割は予防できるとされている</li><li>保護者の注意や見守りだけに頼る事故予防には限界がある</li><li>行政や企業、地域などが役割を分担し、事故を防ぐ仕組みづくりが重要</li></ul><p></p><p>食品による窒息や異物の誤飲、ベランダや遊具からの転落、浴槽での溺水、交通事故……。子どもの身近では、命に関わる事故が後を絶ちません。令和7年のこども家庭庁の資料（※1）によると、1～4歳と5～9歳の死因は「不慮の事故」が第2位、10～14歳では第3位となっています。</p><p>「子どもの事故の約9割は、適切な対策を講じることで防ぐことができます」</p><p><a href="https://safekidsjapan.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人Safe Kids Japan（外部リンク）</a>の理事長・大野美喜子（おおの・みきこ）さんはそう語ります。</p><p>では、なぜ防げるはずの事故は繰り返されてしまうのでしょうか。事故を減らすために私たちが知っておきたいこと、そして子どもの命を守る「仕組みづくり」のヒントを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SKJ00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_e35098aac8dec3a923764a442550265e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの事故は、なぜ繰り返されるのか</h2><p>――早速ですが、子どもの事故には、どのような特徴や傾向がありますか。</p><p>大野さん（以下、敬称略）：事故の傾向そのものは昔からあまり変わっていません。</p><p>例えば、家庭内では階段からの転落や浴槽での溺水、最近ではニュースで報じられることも多いベランダからの転落など、命に関わる事故が起きています。</p><p>また、時代とともに新しい生活用品や育児用品が普及すると、それにともなう事例もみられるようになります。</p><p>他にも、節分の時期には豆による窒息や誤飲、暖かくなる5月頃からは溺水、冬にはストーブなどによるやけどなど、季節によって増える事故もあります。</p><p>――子どもの事故が減らない背景には、どのような課題があるのでしょうか。</p><p>大野：子どもは発達段階によって思いもよらない行動を取るので、一定のリスクがあるのは事実です。ただ、この10年で子どもの死亡数は約7割減り、年間200人を下回るまでになりました。</p><p>しかし、救急搬送される子どもの数はほとんど減っていません。つまり、死亡数は減っているものの、事故そのものは減っていないということです。</p><p>私が子どもの事故予防の活動に携わるなかで感じているのは、これまでの対策が「危ないので気をつけましょう」「きちんと見守りましょう」といった、保護者の行動や見守りに頼るものが中心だったということです。</p><p>事故を減らすためには、これまでのように保護者の見守りだけではなく、製品の安全性を高めたり、法整備を進めたりする必要があります。</p><p>――対策や制度によって、大きく減った事故の例はありますか。</p><p>大野：最も分かりやすいのはチャイルドシートです。現在は使用が義務化され、子どもを車に乗せるときはチャイルドシートを使うことが当たり前になりました。</p><p>また、飲酒運転への規制強化も交通事故の減少につながっています。さらに、車自体の安全性能も向上しました。</p><p>こうした取り組みによって交通事故全体が大きく減り、それが子どもの死亡数の減少につながった大きな要因の1つだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SKJ00002-1.jpg">家庭のなかにも外にも、子どもの事故の危険が潜んでいる。画像提供：NPO法人Safe Kids Japan<h2 id="tnf-text-heading-block_e39c2f3faef3c99b71a82f6945cfd856" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">事故予防の負担を保護者だけに背負わせない「仕組みづくり」</h2><p>――Safe Kids Japan（以下、SKJ）の設立背景や活動内容について教えてください。</p><p>大野：SKJは、子どもの事故予防に取り組む国際組織「Safe Kids Worldwide」の日本の拠点として2014年に設立されました。</p><p>活動は大きく3つあります。1つは、事故が起きるメカニズムなどを明らかにする調査・研究です。2つ目は、その研究成果をもとに、こども家庭庁への提言や企業への改善提案を行うアドボカシー（提唱）活動。3つ目が、子どもや保護者、保育士などを対象に事故予防の大切さを伝える啓発活動です。</p><p>――SKJが考える、「予防できる事故」を防ぐ方法とはどのようなものでしょうか。</p><p>大野：事故予防で私が特に大切だと考えているのは、安全対策の負担を社会全体で分担するという考え方です。</p><p>これまでは、保護者がどんな危険があるかを知り、それを予防するための安全グッズを選んで設置し、子どもを見守るといった事故を防ぐための負担を多く担ってきました。</p><p>しかし、保護者だけに頼るのではなく、企業や行政など、それぞれが役割を担う仕組みをつくることが重要だと考えています。</p><p>その一例が、ニューヨーク市の窓ガードです。約50年前、ニューヨークでは子どもの窓からの転落が大きな問題になっていました。それを受けて、現在では、10歳以下の子どもがいる家庭は子どもがいることを届け出た上で、賃貸住宅の管理者には窓には柵のような「窓ガード」の設置が義務付けられています。転落を防ぐための対策を、保護者だけが担うのではなく、保護者、住宅管理者、行政がそれぞれ役割を担う仕組みになっているのです。</p><p>日本でも、少しずつですが、同じような考え方にもとづく取り組みが進んでいます。例えば、電気ケトルは、倒してもお湯がこぼれにくい安全な製品が増えています。製品自体が安全になることで、やけどのリスクを減らせるようになりました。</p><p>また、チャイルドシートを車へ簡単かつ確実に固定できる国際規格「ISOFIX（アイソフィックス）」が普及し、以前よりも正しく取り付けやすくなりました。保護者がチャイルドシートを適切に使用する責任に変わりはありませんが、自動車メーカーの技術開発や環境整備が進んだことで、安全対策にかかる負担は大きく軽減されています。</p><p>事故を防ぐためには、保護者や個人に行動変容を促すだけでなく、企業や行政を含め、社会全体で役割を分担できる仕組みをつくっていくことが、これからますます重要になると思います。</p><p>――SKJでは保育、教育、子育て支援に関わる団体や保護者向けなどさまざまなセミナーを開催していますが、そのなかで見えてきた課題はありますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>大野：これは自分自身の反省でもあるのですが、活動を始めた当初は、保護者の方に「こういう事故が起きています」「こうした対策をしましょう」と、事故の傾向や対策を伝えることに取り組んできました。</p><p>しかし、実際にはそれだけでは十分ではありませんでした。セミナーを通して、事故予防の必要性は理解していても、行動に移るまでにはさまざまな壁があることが分かってきたのです。</p><p>例えば、ベランダからの転落対策として補助錠を設置することが必要だと分かっていても、そこに至るまでには「どの商品を選ぶのか」「どのように設置するのか」といった、いくつものハードルがあります。</p><p>最近では、仕組み化という考え方のもと、保護者の方に何を伝えるかだけではなく、事故予防を社会に根付かせるために、どこに課題があり、行動にともなう負担をどのように分担できるのかを伝えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SKJ00001-724x1024.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_ef164480d2a734818f2dfabf602bc5c5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">事故が起きる背景を知り、「防げる仕組み」を社会に広げる</h2><p>――子どもの死亡事故は、どの程度防げるものなのでしょうか。</p><p>大野：子どもの事故は、海水浴でのライフジャケット着用、階段からの転落防止のための柵の設置など、国際的には有効性が確認された予防策を適切に実施すれば約9割は予防可能とされています。</p><p>「こうしていれば防げたのに」という事故は少なくありません。しかし、階段の柵やベランダの補助錠など、必要性が分かっていても、設置している家庭は多くないのが現状です。</p><p>「たくさんの事故事例があるのに、なぜ対策してくれないのか」と非難するのは簡単ですが、実際には手間や費用の負担があり、対策を継続することは簡単ではありません。</p><p>だからこそ、人の行動変容だけに頼るのではなく、保護者が対策をしやすい、あるいは対策をしなくても安全が確保される仕組みをつくることが大切です。</p><p>例えば、窓は最初から一定以上開かない構造になっていれば、補助錠を取り付ける必要はありません。企業が安全な製品を開発したり、住宅そのものを安全な設計にしたりすることで、保護者の負担を減らすことができます。</p><p>――SKJの公式サイトではサッカーゴールによる事故についても言及されていました。具体的には、どのような状況で事故が起きているのでしょうか。</p><p>大野：サッカーゴールの事故の多くは、子どもがぶら下がったことをきっかけに、ゴールが倒れて下敷きになることで起こります。</p><p>子どもたちに「ぶら下がってはいけない」と伝えることは大切ですが、そもそも、文部科学省の規定でサッカーゴールは固定しなければならないと定められているんです。</p><p>それでも事故は起こります。ルールがあるにもかかわらず運用できていないのであれば、なぜできないのかを考えなくてはなりません。固定するための器具がないのか、教師が規定を知らないのか、運動会などの理由でたまたま移動させていたのか。複数の要因が重なった結果として事故が起きていると考えられます。</p><p>単に学校側にルールの徹底を促すだけでは、事故予防にはつながりません。なぜ固定できていないのかを調査し、先生方が確実に固定できる仕組みをつくることが大切だと考えています。</p><p>現在は鉄製のゴールが主流ですが、ゴールとしての機能を保ちながら、より安全な素材や構造に変えていくことも必要だと思います。</p><p>繰り返しになりますが、これまでの事故予防では、「正しい知識を伝えて対策実施を促す」ことに重点が置かれてきました。もちろんそれも大切ですが、人の認識や行動変容だけに頼るには限界があります。</p><p>だからこそ、保護者に対策実施を求めるだけではなく、行政や企業を含めた社会全体で対策の負担を分担し、事故を防ぎやすい環境を整えていくことが必要だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SKJ00004.jpg">サッカーゴールが倒れた際、約3トンもの力がかかるという。画像引用：SKJのYouTube（※3）<h2 id="tnf-text-heading-block_da4837f7745f89e1e0d2d98099488e0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「予防できる事故」を1つでも減らすために私たちにできること。</h2><p>最後に、大野さんに「予防できる事故」を1つでも減らし、子どもが安全に成長できる社会をつくるために私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_230e9bd004c557c38cc1e15e0a4ca439" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> ［1］子どもの事故に関係ない人はいないと考える</h2><p>家族に子どもがいなくても、企業で子どもに関わる製品開発に携わっていたり、近所の道を通学する小学生にすれ違ったりするといったように子どもと関わっている。そのため、「社会全体で事故を防ぐ負担を分担する」という考え方のなかで、自分はどこを担えるのかを考えることが重要</p><h3 id="tnf-text-heading-block_19ca2d49c60852b5b1351b05607e9545" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］自分にできることから行動する</h3><p>普段の生活のなかで「見通しが悪い」「ここは危ないかもしれない」といった気づきによって、子どもたちにヘルメットの着用を呼びかけたり、危険な場所だと知らせたり、と自分にできることはある。一人一人の小さな行動の積み重ねが、子どもの安全につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d45dd6c060b8e4fea35a7feeb7d31ffa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>取材を通して印象的だったのは、「事故を防ぐ責任を、保護者だけに背負わせない」という視点でした。</p><p>子どもに起こりやすい事故の事例や予防策はSafe Kids Japanの公式サイトでも分かりやすく掲載されています。家庭や地域でできる事故予防のヒントとして、ぜひ一度チェックしてみてください。</p><p><a href="https://safekidsjapan.org/safety/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人Safe Kids Japan　公式サイト（外部リンク）</a></p><div id="tnf-text-notes-block_b701ab85b47e3ba26bff7d38230bfe73" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/c6a5ddd6-5812-4a90-ac0f-16eb5233f62d/a0ea4045/20260106councils-child-safety-actions-review-meetings-202502-02.pdf" target="_blank" rel="noopener">こどもの不慮の事故の発生傾向と事故防止に向けた取組等｜こども家庭庁 成育局安全対策課（外部リンク/PDF）</a>※2.引用：<a href="https://safekidsjapan.org/activity/project/2024/11/ba13c1aef3140b2f1d7551b9a0deeedbd54f552b.html">窓・ベランダからの転落予防に関するプロジェクト｜Safe Kids Japan（外部リンク）</a>※3.引用：<a href="https://www.youtube.com/watch?v=WDTeW10r7KI" target="_blank" rel="noopener">Safe Kids Japan 公式YouTube（外部リンク）</a></div>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 26 Aug 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「よく知らないから」で排斥しないために。犯罪の実態を知る機会をもっと若者に ～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124604/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Mon, 24 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p></p><p>日本財団は、2026年5月、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2026/20260529-122330.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「犯罪・再犯・拘禁刑」（別タブで開く）</a>をテーマに80回目の18歳意識調査を実施しました。有識者に印象に残った調査結果についてインタビューを通してお考えをお聞きしています。</p><p>　「犯罪・再犯・拘禁刑」調査では、近年の犯罪件数の変化について、全体の70パーセント強が「増えている」（※）と回答しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_69a2d0832662302577ea515fbcfc1587" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「増えている」、「どちらかといえば増えている」の合計</div><p>質問：近年の日本における犯罪の件数は、どう変化していると感じますか。あなたの印象に最も近いものを選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol20_1.jpg"><p>近年の犯罪の凶悪さや悪質さの変化についても、全体の70パーセント強が「凶悪化・悪質化している」（※）と回答しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_7e9dc5f8ba5fb41b68130187b0869cb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「凶悪化・悪質化している」、「どちらかといえば凶悪化・悪質化している」の合計</div><p>質問：近年の日本における犯罪の凶悪さや悪質さは、どう変化していると感じますか。あなたの印象に最も近いものを選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol20_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第80回テーマ「犯罪・再犯・拘禁刑」<p>また、日本における「再犯者率」（検挙人員に占める再犯者人員の割合）が2015年から2024年まで46～50パーセントの間で推移していることの背景についても聞いたところ、「本人の努力や反省、更生しようという意志が不十分である」が最も多く、全体の約50パーセントが選択しました。</p><p>「出所者を受け入れるための社会側の体制（仕事や住居の確保等）が不十分である」が次に多く、全体の40パーセント弱が選択しました。</p><p>質問：「検挙される人のうち半数程度が再犯者である」という状況を生み出している背景について、あなたの考えに近いものを2つまで選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol20_3.jpg"><p>これらの18歳意識調査結果について、神奈川大学法学部教授の新海浩之（しんかい・ひろゆき）先生にお話をお聞きしました。新海先生は、刑事政策や犯罪学をご専門とされ、長期刑受刑者の施設内適応や拘禁刑への移行、依存症者や性犯罪者の更生に関する実証研究を行っていらっしゃいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol20_4.jpg">新海浩之先生<h2 id="tnf-text-heading-block_7d2c36ba66ba00defdbf08cda35cca3b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">犯罪件数は減少傾向だが「増えている」と7割以上が回答。背景にはメディア報道の特徴？</h2><p>新海浩之先生（以下、敬称略）：近年の犯罪件数の変化や凶悪さ・悪質さの変化についての質問では、女性の方が「増えている」「凶悪化・悪質化している」という回答が多いという傾向がみられます。これは洋の東西や年齢の多少を問わず、昔から社会学・犯罪学の調査でもよくみられていることであり、内閣府の調査でも言われていることです。今回の調査がしっかりと行われていることの証左でもあると思います。</p><p>他方で、近年の犯罪動向としては犯罪の認知件数は減少傾向にあります。2002年に280万件というピークを迎えてから2021年に56万件と底を打ち、現在はやや増加傾向が見られるものの全体の傾向としては右肩下がりです。</p><p>客観的な事実としては、犯罪件数は減少してきているのに対して、全体の7割程度の人が「増えている」と感じているというのは面白い点だと感じます。回答者である18歳の方々は、犯罪件数が底を打った2021年に、14～15歳という社会問題への認識が芽生える時期を迎えているため、その時点から見れば今は増えている、ということなのかもしれませんが、どの時点と比較して「増えている」と感じたのかは気になります。</p><p>一般的な世論調査でも同様の結果が出ています。どの年代・時代でも、「犯罪は増えていると思いますか？」と聞くと「増えている」と答える人は多いのです。この背景には、メディア報道の特質があるかもしれないと思います。犯罪の凶悪さ・悪質さの変化についての質問において7割程度の回答者が「凶悪化・悪質化している」と回答したことにも関連しますが、メディアに対する曝露量が大きい人（メディアに触れる時間が長い人）ほど、犯罪の脅威を感じる度合いが増加するという調査があります。</p><p>最近ではテレビや新聞の他にもネットメディアも増えてきています。新聞では、1回あたりの読む時間が短い（ヘッドラインのみ読む、など）人ほど犯罪を脅威に感じる度合いは増え、ネットメディアに触れる時間が長い人ほど脅威度合いは増加すると言われています。ネットメディアではエコーチェンバーとよく言われるように同じような内容が何度も繰り返される傾向があるため、犯罪について目にする機会が多くなっているのではないかと感じます。</p><p>また、犯罪が凶悪化していると感じさせるような切り取り方もネットメディアでは多いと思います。日本のマスメディアについても、アメリカやイギリスのメディアに比べ、1件の事件を何回も報道するという特徴があるとの報告があります。もしかしたら、凶悪さや悪質さについては変わらないのだが、メディアによって増幅されてしまっている、という可能性はあるのではないかと思います。</p><p>さらに、近年では、メディアが被疑者の心の問題に目を向けることが増えてきたのではないかとも指摘されています。事件の社会的コンテクストや被疑者の育った境遇だけではなく、被疑者の動機に目を向ける報道が多いように思います。</p><p>例えば、被疑者の認知症傾向や発達障害傾向を大きく取り上げたり、「動機が不可解」と報じたりするなどです。これは人の心の中がわからないことに対する不安を惹起しやすく、結果として、「犯罪が凶悪化している」や「よくわからないが外国人が何かしているのでは」といった雰囲気・考えを呼んでしまっているのでは、とも捉えられます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0fb77010444c75d5dd018a69577ba9c9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">犯罪者への“自己責任”論は自らの強い責任感の裏返し？</h2><p>新海：今回の調査では「半数程度が再犯者である状況の背景」について「本人の努力や反省、更生しようという意志が不十分である」という回答が男女ともに最も多いという結果でした。これはいわゆる、罪を犯した人に対する“自己責任”論にもつながる回答だと思います。</p><p>ただ、今回の調査で用いられている「再犯者率」は、あくまで「過去に犯罪をして検挙されたことがあったか」が問題であり対象期間が無制限であるため、数ある再犯関連の指標の中でも最も高い割合が出るものであることには注意が必要です。</p><p>自己責任論に関連する問題はさまざまありますが、今回は心理学のローカス・オブ・コントロール（自己統制の所在）の概念を取り上げます。「ローカス・オブ・コントロール」とは、失敗だけでなく成功も含め、自分がしたことの原因を何に帰属させるかという概念です。</p><p>成功でも失敗でも原因は自分の中にあると考えるのが内的な自己統制、誰かのおかげ・誰かのせいと考えるのが外的な自己統制です。内的な自己統制、つまり自分のしたことは自分の責任なのだという自覚は、大切な他者との出会いや就職などと共に、犯罪をした人が犯罪から離れるために必要な要因として注目を集めています。</p><p>その意味で、確かに“自己責任”は大切なことです。しかし問題は、それが他者に向けられるものなのかということで、「私のしたことは私の責任」と自ら責任を引き受けることと「その人が悪いことをしたのはその人のせい」と非難することとはやや話が違うと思います。“自己責任”を重く見る考え方は、真面目な態度・性格の裏返しでもあると思いますが、それを他者に向ける場合は行き過ぎてしまう恐れはあります。責任が取れる状況になかった人にも「あなたの責任」だと言ってしまうという懸念です。</p><p>最近の国際比較を行った研究では、日本や東アジアの人は、うつ病になるなどの難しい状況に陥った場合、アメリカ人と比べて「その人の責任においてそうなった」と捉える傾向が強いと指摘されています。つまり、ある人に問題が起きた時に、「社会規範や秩序を逸脱した報い」との方向から考え始める傾向にある一方で、欧米ではどちらかと言えば、その人の社会環境が悪かった、社会が十分にケアできなかったと捉える傾向が強いというのです。</p><p>日本や東アジアの人の責任感の強さの表れと見ることができますが、見方を変えると「優しくない」社会とも言えるのではないでしょうか。</p><p>とは言っても、今回の調査結果を改めて見れば、自己責任論以外にも、「出所者を受け入れるための社会側の体制が不十分である」や「出所者に対する社会の理解醸成が不十分である」などの理由を挙げている人も多くいます。</p><p>「本人の努力や反省、更生しようという意志が不十分である」が最も多いことが深刻な問題だと言いたいわけではありません。もちろんそのような考え方があまりにも強いと社会的な支援につながっていかない恐れがありますが、それなりに共感的な理解を示している人もいます。今回の調査結果は、いろいろな側面からきちんと考えて回答してもらった結果として、さまざまな意見がないまぜになっているものと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ddd422271687a7c81ed6e531d50a10c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者は世の中をよく見ている。犯罪・刑事政策とそれに関わる人の実態を知ってもらう機会をもっと</h2><p>新海：今回の調査結果全体に関する印象として、若者だからといって一般的な感覚とずれているわけではない、ということを改めて認識しました。むしろ拘禁刑に関する認知など、よく世の中を見ているなと感じる調査結果もありました。</p><p>だからこそ、犯罪や刑事政策に関して、もう少し実態を知る機会を提供しなければならないと感じました。若者だけでなく一般の方々に対してもですが、犯罪や治安情勢について客観的な事実を知ってもらうことの必要性を強く感じます。</p><p>再犯防止についても、2013年に再犯防止に向けた総合対策が出て、再入率（刑務所から出た人が2年以内にまた刑務所に入る割合）についてKPIが決められました。その後、再入率は減少しています。どのような施策が実際に再犯者に効果があったか判断するのは難しいところがありますが、全体の効果として数値に表れていることはもっと発信しても良いのではないかと思います。</p><p>ただし、社会のレールに乗れない人や出所後の寄る辺がない人の再犯率・再入率はいまだ高いため、やることはまだまだ残っています。刑務所や法務省当局の方々には、そういった現状をもっと一般の方々や若者に伝えていくための努力が必要でしょう。</p><p>自己責任論にも関連して、若い方が元犯罪者の方も含め難しい境遇に置かれた人の実状を知る機会を増やすことで、人の見方など本質的な部分も変わっていくのではないかとも感じました。外国人についてもそうですが、「知らない」ということそのものが脅威になり得ます。なんだか怖いから・よくわからないから排斥する、というのは大変寂しいことです。</p><p>犯罪をした人が良い人だと言いたいわけではありませんが、犯罪者というレッテルをつけられた人でも、そのレッテルをつけられていない人と同様に人それぞれだよね、ということがわかっていく手立てがあると良いと思います。</p><p>私のゼミでは、少年院や刑務所に何度か入った人に来てもらうことがあります。一般的には「元犯罪者」なわけで、学生たちは思いっきり身構えて臨むのですが、その人たちから置かれていた境遇や問題の克服の過程などを聞くと、思った以上に普通だったので拍子抜けした、という反応が多いです。学生たちに言わせると、「犯罪歴ではなくてやっぱり人だよね」、ということだそうで、そういったある種相対的なもの・人の見方というものが広がっていくと良いと思います。</p> 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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>学校に通いたくても通えない子どもがいるのはなぜ？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94631/sdgs</link>
      <pubDate>Fri, 21 Aug 2026 16:38:00 +0000</pubDate>
      
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<p>※この記事は2023年9月14日に公開した記事を再編集しています</p><p>小学生のためのSDGs入門記事。第3回は、目標（もくひょう）14「質（しつ）の高い教育をみんなに」について考えてみましょう。</p><p>学校は、子どもたちにふだんの生活のなかで使う読み書きや計算を教えるほか、一人一人が持っている力を伸（の）ばすために欠（か）かせない場所です。しかし世界中には、学校に通いたくても通えず、教育を受けられない子どもたちがたくさんいます。</p><p>どうして学校に通えないのでしょうか？</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_0cace5bf478cecaf6cd00048fd473e86" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">さまざまな理由で学校に行けない、世界の子どもたち</h2><p>学校に通いたくても通えない子どもたち（6～17才）は、2023年時点で世界に約（やく）2億（おく）7,200万人いるとされています。さらに2026年末には2億（おく）7,800万人となり、600万人も増（ふ）えることが予想されています（※1）。</p><p>そのうち、小学校にも行けない子どもたち（6～11才）の数は、2024年時点で約（やく）7,900万人で、多くは開発途上国（かいはつとじょうこく）と呼（よ）ばれる貧（まず）しい国に集中しています（※2）。</p><p>子どもたちが学校に通えないのには、次のような理由があります。</p>●家が貧（まず）しく、子どものうちから働（はたら）かなくてはいけない<p>生活のために、子どもも農業や牧畜（ぼくちく）など家の仕事を手伝（てつだ）ったり、外に働（はたら）きに出たりしなければいけないことがあります。このことを児童労働（じどうろうどう）といいます。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86913/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">解消（かいしょう）できない途上国（とじょうこく）の児童労働（じどうろうどう）。最新（さいしん）のIT技術（アイティーぎじゅつ）は救世主（きゅうせいしゅ）になれるか（別タブで開く）</a></p>●親が学校に行かせない<p>親の中には、子どもを学校に通わせるよりは働（はたら）いてもらったほうがいい、と考える人もいます。また、女性は結婚（けっこん）して子どもを産（う）み、家事をするものだから、女の子は勉強しなくていい、と考えて男の子だけを学校に行かせる親もいます。</p>●戦争（せんそう）や災害（さいがい）が起こった<p>戦争（せんそう）や災害（さいがい）で家がこわれ、地域（ちいき）全体がボロボロになってしまっている国もあります。戦争（せんそう）が続（つづ）いて、子どもを兵士（へいし）として戦（たたか）わせている国や地域（ちいき）もあります。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/66164" target="_blank" rel="noreferrer noopener">永井陽右（ながい・ようすけ）さんがソマリアから目指す、全ての若者（わかもの）が武器（ぶき）を置（お）くことができる社会（別タブで開く）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/sdg14_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_cdf2840d4e5d866b898568a85c46ec84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本にも学校に通えない子どもたちがいる</h2><p>日本には、すべての子どもに小・中学校で教育を受けさせなければいけない、という法律（ほうりつ）があり、それを義務教育（ぎむきょういく）といいます。ほとんどの子どもたちが学校に通えていますが、それでもまだ学校に行けない子どもがゼロになったわけではありません。</p><p>日本には、どんな問題があるのでしょうか。</p>●貧困（ひんこん）の問題<p>日本では9人に1人の子どもが貧困状態（ひんこんじょうたい）にあります（※5）。小中学校の義務教育（ぎむきょういく）が終わった後、高校や大学には進学できず、働（はたら）いて家の生活を支（ささ）えなくてはいけない場合があります。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親世帯（おやせたい）の貧困率（ひんこんりつ）は2人に1人。子育てに活用できる国や自治体（じちたい）の支援制度（しえんせいど）（別タブで開く）</a></p>●不登校（ふとうこう）の問題<p>日本では小・中学校に行かない不登校（ふとうこう）の子どもが35万人以上（2025年）もいます（※6）。その理由は心の問題やいじめなどさまざまですが、学校に行かないことで勉強についていけなくなったり、友だちができなかったりして、ますます学校に行きづらくなる子どももいます。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/29746" target="_blank" rel="noreferrer noopener">学校になじめない推計（すいけい）33万人の「隠（かく）れ不登校（ふとうこう）」中学生。彼らの声から見える「学校」の在（あ）り方とは？（別タブで開く）</a></p>●ヤングケアラーの問題<p>親の代わりに家事や家族のお世話をしている子どものことを「ヤングケアラー」といいます。ヤングケアラーになると、自分の時間が持てずに宿題ができない、友だちと過（す）ごす時間がない、家族のケアをするために学校を休まなくてはいけない、などの問題が起こります。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/young-carers/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">連載(れんさい)：家族を看（み）る10代（別タブで開く）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/ba21efe16d16796f099bfbc38726751a.png">日本でも貧困（ひんこん）や家族の世話で十分な教育を受けられない子どもがたくさんいる<h2 id="tnf-text-heading-block_094b646dc3e9e4d79e9bb85dc0d46fe0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">教育が受けられないと、なぜ困（こま）るの？</h2><p>学校に通えず、教育が受けられないことでいろいろな問題が起こります。</p>●文字の読み書きができない<p>本を読んだり、メールを送ったりすることができなくなります。ほかにも「注意」「毒（どく）」「立ち入り禁止（きんし）」などの文字が読めずにけがをするといった、危険（きけん）な目にあうことがあります。</p>●計算ができない<p>もらったお給料（きゅうりょう）の中で生活していく、といったお金の管理（かんり）ができなくなります。また、買い物の代金や、おつりがいくらになるのかも分からないので、人にだまされることがあります。</p>●仕事を選（えら）ぶことができない<p>将来（しょうらい）やってみたい仕事があっても、そのために何をすればいいのかが分かりづらくなります。また、仕事に必要な技術（ぎじゅつ）や能力（のうりょく）を身につけられないので、収入（しゅうにゅう）が安定した仕事につきづらくなります。</p>●社会に参加（さんか）しにくい<p>自分の名前や住所を書くことができないと、国や地域（ちいき）などの公共（こうきょう）サービスが受けられない、選挙（せんきょ）で投票（とうひょう）できない、といったことがあります。</p><p>教育は、子どもが健康（けんこう）に生活し、夢（ゆめ）や希望（きぼう）を持って将来（しょうらい）に向かっていくために欠（か）かせないもの。また、生きていくなかで出会う、いろいろな問題を解決（かいけつ）していく力を伸（の）ばすことにもつながっているのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/sdg14_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_15e08882592648192daedd59514d4b3f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団（にっぽんざいだん）の取り組み</h2><p>日本財団（にっぽんざいだん）では、学校に通えない子どもたちをサポートするための取り組みを行っています。</p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子ども第三の居場所（いばしょ）（別タブで開く）</a>　<p>困難（こんなん）をかかえる子どもたちが、家庭や学校以外で信頼（しんらい）できる大人や友だちと安心して過（す）ごせる居場所（いばしょ）をつくり、生きぬく力をはぐくみます。</p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/youngcarer" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団（にっぽんざいだん）ヤングケアラーと家族を支えるプログラム（別タブで開く）</a>　<p>子どもたちが子どもらしい時間を過（す）ごし、その家族も安心して暮（く）らせる社会を実現（じつげん）するため、ヤングケアラーとその家族に対する支援（しえん）をしています。</p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/dreamscholarship" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団（にっぽんざいだん）夢（ゆめ）の奨学金（しょうがくきん）（別タブで開く）</a><p>事情（じじょう）があって、血のつながった家族と離（はな）れて暮（く）らしている子どもたちを対象（たいしょう）にした奨学金（しょうがくきん※8）です。悩（なや）み事（ごと）の相談にのるサポートも行います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/88fc061ae02d96975bdef454f504132d.png"></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>学校に通えない子どもの問題について私（わたし）たち一人一人ができることは何でしょう？</p><p>その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。</p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_c8f723fd35748472ea6e7ad6a2f2d7dc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">本や図書館、インターネットで調べてみよう！</h3>世界で起こっている学校に通えない子どもの問題や、その国でなぜ問題が起きているのかを調べてみよう子どもが学校に通えないことが、私（わたし）たちの生活やその国の未来（みらい）にどのような影響（えいきょう）をあたえているか調べてみよう学校に通えない子どもの問題をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう<h3 id="tnf-text-heading-block_64004f543fb12927379a2a043f4d4489" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「学校に通えない子どもの問題」について学べるおすすめの本</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/8533c8e2d1f666734a009b027d8ac8d7-1.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b474498.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『子どもたちにしあわせを運ぶチョコレート 世界から児童労働（じどうろうどう）をなくす方法』（外部リンク）</a><p>カカオ豆はおいしいチョコレートになっていきますが、カカオ畑では、たくさんの子どもたちが働（はたら）かされています。子どもたちを働（はたら）かせない「しあわせを運ぶチョコレート」が発売されるまでの物語。</p></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/09/96fd8127f5cb91c9128c653b4949d275-1.jpg">出版（しゅっぱん）：合同出版（ごうどうしゅっぱん）　著（ちょ）：鬼丸昌也（おにまる・まさや）、小川真吾（おがわ・しんご）</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.godo-shuppan.co.jp/book/b474645.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『ぼくは13歳（さい）　職業（しょくぎょう）、兵士（へいし）。』（外部リンク）</a><p>毎年50万人、毎分1人の命が小型（こがた）の武器（ぶき）によってうばわれています。それらを持たされ、兵士（へいし）として戦（たたか）わされてきたのは子ども兵（へい）です。その問題の現状（げんじょう）と、私たちにできることが書かれています。</p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_2a7f4312a50d88c6a0c292a498ce4b2b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まわりの人に話を聞いてみよう！</h3>お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どものころの学校がどうだったか、学校に通えない子どもの問題について何ができるか意見を聞いてみよういろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう<h3 id="tnf-text-heading-block_77bfd76c3c43a2f544d664fd83d9f8f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分にできることからやってみよう！</h3>調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう学校に通えない子どもの問題を支援（しえん）する団体（だんたい）とつながる、児童労働（じどうろうどう）と関（かか）わっていない食べ物や服を選（えら）ぶなど、できることはたくさんあるはず<h3 id="tnf-text-heading-block_0778d5ab94b4a63b57e143966bde46b5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分で解決（かいけつ）方法を見つけるのにおすすめ！</h3><a href="https://www.unicef.or.jp/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本ユニセフ協会（きょうかい）（外部リンク）</a><p>世界中の子どもたちの命と健康（けんこう）を守るために、世界の約（やく）190の国と地域（ちいき）で活動しています。世界の子どもたちがかかえている問題について、国やテーマごとに調べることができるほか、寄付（きふ）をすることもできます。</p><a href="https://www.worldvision.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ワールド・ビジョン・ジャパン（外部リンク）</a><p>子どもたちを守り、健（すこ）やかな成長を助けるための支援（しえん）活動を行っています。貧困（ひんこん）、紛争（ふんそう）、災害（さいがい）といった、子どもたちが暮（く）らしの中でかかえている国際（こくさい）問題を知ることができ、募金（ぼきん）も受け付けています。</p><p>イラスト：KIKO</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_40fb804f82dc7e103a3751f7e166c0b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002577.000005176.html" target="_blank" rel="noopener">学校に通えない子ども、600万人増のおそれ　教育分野への資金拠出32億米ドル減少　ユニセフ訴え「教育は最良の投資」 【プレスリリース】｜PR TIMES（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act02.html" target="_blank" rel="noopener">ユニセフの主な活動分野｜教育｜日本ユニセフ協会（外部リンク）</a>※3.「総所得」とは、会社からもらう給料などの収入から仕事を行うために必要なお金を引いた合計金額※4.出典：<a href="https://thedocs.worldbank.org/en/doc/e52f55322528903b27f1b7e61238e416-0200022022/original/Learning-poverty-report-2022-06-21-final-V7-0-conferenceEdition.pdf" target="_blank" rel="noopener">The State of Global Learning Poverty：2022 Update（外部リンク/PDF）</a>※5.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/ef3febb4/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_06.pdf" target="_blank" rel="noopener">2022（令和4）年 国民生活基礎調査の結果を公表します｜厚生労働省（外部リンク/PDF）</a>※6.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/30b62d4d-2de5-4b2f-aa70-3d7e3e2d6a9a/f7c74735/20251128_policies_futoko-taisaku_02.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査｜文部科学省（外部リンク/PDF）</a>※7.出典：<a href="https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000386147_jpn" target="_blank" rel="noopener">Global Education Monitoring Report 2023｜unesco（外部リンク）</a>※8.「奨学金」とは、お金の心配なく学生が学校に通うために、お金を支援（しえん）する制度</div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p>    ]]>
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      <title>国際情勢の緊迫化で揺れる安全保障への意識。18歳意識調査から読み解く若者の戸惑いと現実感</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124478/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Fri, 21 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団が2026年3月に実施した18歳意識調査<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2026/20260430-121687.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「国家安全保障」（別タブで開く）</a>では、ウクライナやイランでの戦争などの国際情勢を背景に揺れる若者の意識が見られました。</p><p>今の日本を取り巻く状況について、「平和である」または「どちらかといえば平和である」と答えた人は全体の48パーセントであり、2023年1月に同じ内容で実施した調査よりも16ポイントも減少しました。</p><p>質問：あなたは、今の日本を取り巻く状況をどのように捉えていますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol18_1.jpg"><p>日本が平和である要因は「非核三原則の存在」が引き続き1位であるものの、前回3位だった「日米同盟の存在」が7ポイント減少して5位に後退し、逆に「自衛隊の存在」が9ポイント増加して2位に上昇しました。</p><p>質問：日本が平和である主な要因は何だと思いますか。3つまで選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol18_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第79回テーマ「国家安全保障」<p>安全保障政策については、防衛関係費の増額について「賛成」または「どちらかといえば賛成」が35パーセント、「反対」または「どちらかといえば反対」が24パーセントと、いずれも前回調査から減少し、代わりに「わからない」が大幅に増えて41パーセントとなりました。</p><p>「わからない」が増える傾向は、注力すべき安全保障政策を尋ねた質問や、国内の米軍基地について尋ねた質問などにも共通して見られ、国際秩序の混乱を背景に戸惑う若者の姿がうかがえました。</p><p>質問：2026年度政府予算案で、防衛関係費が初めて9兆円を超えました。あなたは防衛関係費を増やす政府のこの方針について、どのように考えますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol18_3.jpg"><p>他方で、前回の調査と同様に、自衛隊や米軍の基地や駐屯地の近くの自治体に住んだことがある人ほど、自衛隊の活動や国内の米軍基地に好意的な意見を持つ傾向が見られました。</p><p>一般に、基地や駐屯地に対する近隣住民の見方には賛否両論があると考えられますが、本調査からは、身近に存在することでポジティブな理解につながっている様子が見て取れました。</p><p>質問：あなたは、これまでの自衛隊の活動について、どのように評価しますか。（「評価する」「どちらかといえば評価する」と答えた人の割合、自衛隊近隣居住経験別）（選択式・単一）</p><p>※1.「国際平和協力活動」とは、国際的な安全保障環境を改善するために国際社会が協力して行う活動のこと※2.「他国の活動に対する後方支援」とは、整備や補給、輸送支援などの活動のこと</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol18_4.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第79回テーマ「国家安全保障」<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>日本の安全保障はどうあるべきなのかと戸惑う若者の意識を、どのように捉えたらよいのでしょうか。また、大人は彼らに何をしてあげられるのでしょうか。</p><p>今回は、国際政治がご専門の慶應義塾大学総合政策学部教授の鶴岡路人（つるおか・みちと）先生にお話を伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/SurveyOf18_vol18_5.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_c1b572b44ab6b4ae3fbeca1253f4e3fa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">国際情勢への不安と、「平和が当たり前」の日本</h2><p>まずは、日本を取り巻く状況について。「平和である」「どちらかといえば平和である」と回答した割合が3年前から大きく減少していますが、前回の調査が行われた2023年1月時点でも、ロシアによるウクライナの全面侵攻は始まっていました。最近では、イラン情勢を巡る中東での衝突も多く報道されています。</p><p>とはいえ、この3年間を通して、インド太平洋地域や日本の周辺では、多くの犠牲者が出続けるような紛争・戦争は発生していません。若者の平和に対する意識がどうしてこれほど変わったのかは解釈が難しいところですが、トランプ政権下の米国の動向など、国際秩序の不安定化を伝える報道が多くなされる中で、安全保障について漠然と不安を感じる人が増えたのではないでしょうか。</p><p>平和への実感は「日本を取り巻く状況」について尋ねているのに対し、次の質問では「日本が」平和である要因を尋ねているため、対象とする範囲がやや異なる点には注意が必要です。</p><p>18歳前後の若者に限らず、日本を取り巻く環境は危険だが、日本国内は安全であると捉えている人も多いと思います。その発想はとても素直で、いくらウクライナで戦争が続き、南シナ海が不安定になろうと、私たちの日常生活への影響を実感する機会は少ないのでしょう。</p><p>日本人にとっては、いきなりミサイルが飛んできて犠牲者が出たり、外国に占領されて連れ去られたりするなどの危険性がないことは当たり前で、戦後80年間、そうやって暮らしてきました。ただし、世界を見渡せば、ウクライナやガザの人々にとっては、ミサイルが飛んでくることも占領や連れ去りも、残念ながら日常の光景となってしまっています。</p><p>なぜ日本はそのようにならずに済んでいるのか。放っておいても日本は平和なのか、あるいは誰かの努力によって平和が維持されているのかを考えてみることは、若者にとっても大切なことです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_dbe9863c53e2a0e16e07160c2b72eb97" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">正解のない安全保障や防衛費の特殊性、「わからない」は若者のリアル</h2><p>安全保障政策に関する質問に「わからない」という回答が増えたことについて、憂慮すべき結果だとか、もっと関心を持つべきだなどと言いたくなる大人は多いかもしれません。しかし、私は逆に、正直で信頼できる回答だと感じています。安全保障について具体的にイメージができている若者は多くなく、それ自体は嘆かわしいことでも不思議なことでもありません。</p><p>安全保障に対する関心が低いことは果たして問題なのか、という議論もできます。</p><p>国民全員が日々安全保障について強く意識している状況があるとしたら、イスラエルやウクライナ、あるいはロシアなど、緊迫した状況下にある国々でしょう。日々安全保障を意識する状況が幸せであるとは思いません。日本の若者が安全保障について考えていないとすれば、それは、日本が平和な証拠でもあります。</p><p>ただし、日本人だけが呑気に過ごしているうちに、周囲の国から攻撃を受けるようなことがあっては困るため、どこかに一線を設けて、平和を維持するための努力を強化する必要があります。</p><p>安全保障政策には、客観的な「正解」はありません。今回の調査の中でも、防衛関係費が9兆円を超えたことについて賛否を尋ねていますが、若者ではなくても回答が難しいものだったと思います。</p><p>というのも、世間でもあまり理解されていませんが、あるべき防衛費は、必要額の積み上げによって算出できるものではなく、本当に必要な額が客観的に自動で決まることはありません。必要額は定義次第でいくらでも変わる、とも言えます。</p><p>例えば、「パトリオット」という防空システムがあります。飛来するミサイルに対して迎撃ミサイルを発射して空中で破壊するというものですが、その迎撃弾は何発あれば十分でしょうか。仮に500発しかなければ1週間で使い果たしてしまうかもしれませんが、では1万発必要だとなれば、必要な費用は肥大化しますし、貯蔵場所にも困りそうです。それによって、他の必要な分野に手が回らなくなるかもしれません。</p><p>そうだとすれば予算の範囲内で、優先順位を踏まえて、できる限りの備えをするしかありません。予算の総額を決めるのが政治家の重要な責任です。</p><p>そもそも防衛費とは、「保険」のようなものです。1954年に自衛隊が発足してから70年以上が経ちますが、自衛隊が買った弾薬の多くは実際には使われず、お金をかけて廃棄しているのが現状です。</p><p>一見すると無駄のように思えるかもしれませんが、防衛においては、「使わなくて済むこと」こそが成功なのです。私たちが普段スーパーマーケットなどでする買い物とは異なり、「将来使うかもしれないけれど、使わなければそれに越したことはないもの」をたくさん買うのが防衛なのです。</p><p>これほどまでに防衛費や防衛調達は特殊なもので、18歳の若者に限らず、みんなに理解してもらうのは難しいのが現実です。とはいえ、防衛予算が増えるなかで、政府にはいままで以上に説明のための努力をすることが求められます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3c302871f38e88c37b868060baac4609" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者世代の負担に対する的確な意見も。さらに理解を深めるために必要なことは？</h2><p>ただ、若者がとても的確に現実を捉えていると感じる部分もありました。</p><p>防衛関係費の増額のための方法を尋ねた質問がありますが、防衛費を持続的に増やそうとすれば、その手段は「増税」、「他の予算の削減」、「借金（国債の発行）」のいずれかしかありません。若者の回答は、このことを現実的に捉えていると思います。</p><p>一方、政治の世界からは、「負担なき防衛費増額」という現実性に欠けた、不誠実な議論もよく聞こえてきます。選挙での有権者の支持を意識する政治家にとっては、社会保障費の削減も増税も、口にしにくいのが本音でしょう。</p><p>社会保障費以外の支出も、徹底的に査定されて必要最低限となっているはずなので、減らすのは簡単ではありません。そこで「防衛国債」に頼ろうという話が出てきます。過去には日本でも、日清、日露の戦争から日中戦争、太平洋戦争など、戦費調達のための戦時国債を発行した歴史があります。</p><p>しかし、国防という国の根幹となる分野において平時から借金に頼るのは無責任にみえます。有事の際にはさらに借金に頼ることになるわけで、若い世代が心配するのは正しい感覚です。</p><p>2026年2月の衆議院議員選挙の際には消費減税を掲げる政党が多数派となりましたが、日本の財政状況を踏まえ、減税に対して憤る若者の声も聞かれました。今後60年、70年と日本社会を生きていく世代からすると、非常に自然な心配事だと思います。そのことがはっきりと表れている、興味深い結果でした。</p><p>若者に対するものに限りませんが、安全保障に関しては、正直な情報発信が今後さらに必要になると思います。今回の調査では、自衛隊の基地や駐屯地が身近にあった人ほど、自衛隊の活動を高く評価しているという結果もありました。</p><p>この結果が示すのは、知ってもらうことで理解が広がる可能性です。日本の多くの高校生や大学生にとって、制服を着た自衛官は遠い存在です。たまたま近くに基地や駐屯地がない限り、彼らを見たこともなければ、喋ったこともない人がほとんどなのではないでしょうか。</p><p>これはあまり望ましいことだとは思いません。他の職業も含め、いろいろな人が多様な仕事をしていることを知るという観点でも、身近で見たり接したりすることで、理解が広がっていくことが期待されます。また、政府や自衛隊にとっても、理解を広げるためにどのような発信ができるか、さらなる努力が求められていると思います。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>海ごみに温暖化（おんだんか）…近い未来（みらい）、魚や貝が食べられなくなる？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/93056/sdgs</link>
      <pubDate>Thu, 20 Aug 2026 18:04:17 +0000</pubDate>
      
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<p>※この記事は2023年8月11日に公開した記事を再編集しています</p><p>小学生のためのSDGs入門記事。第2回は、目標（もくひょう）14「海の豊（ゆた）かさを守ろう」について考えてみましょう。</p><p>地球の面積（めんせき）の約70パーセントをしめる海は、全ての生き物にとって欠（か）かせない存在（そんざい）です。しかしいま、世界の海はいろいろな問題が起こっており、このままでは魚や貝などがいなくなってしまうかもしれない、と心配されています。</p><p>たとえば、どのような問題があるのでしょうか？</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_118f9bd5549d743b587a6692f1acd4d9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海を取りまくさまざまな問題</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_fda42a09b40e7a90ecc7df8ff3f6981e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●プラスチックごみによる海洋汚染（かいようおせん）</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_1.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>海が汚（よご）れる原因（げんいん）の１つにプラスチックごみがあります。私（わたし）たちが生活で出したプラスチックごみの多くが川を伝って海に流れ出ているのです。海の生き物の体にビニール袋（ぶくろ）や網（あみ）がからまってしまったり、プラスチックのかけらを飲みこんだりすることで、死んでしまうことも起こっています。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集：増（ふ）え続ける海洋ごみ（別タブで開く）</a></p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_b7c92fa4abc677fdbb11b744353db9e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●海洋酸性化（かいようさんせいか）</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_2.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>海は大気中からたくさんの二酸化炭素（にさんかたんそ）を吸収（きゅうしゅう）しています。人間の活動によって二酸化炭素（にさんかたんそ）が増（ふ）え過（す）ぎたせいで、もともとアルカリ性（せい）の海が、酸性（さんせい）に近づいています。そのためにバランスがくずれて、貝やエビ、カニなどの生き物が育ちにくくなっています。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集：海洋酸性化（かいようさんせいか）の脅威（きょうい）（別タブで開く）</a></p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_380153e16297bff25497f9c980aa31ec" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●海水温度の上昇（じょうしょう）</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_3-1.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>増（ふ）え過（す）ぎた二酸化炭素（にさんかたんそ）は、地球を温め、世界中の気温を上げています。海は地球にたまった熱（ねつ）の多くを吸収（きゅうしゅう）しているため、海水の温度も上昇（じょうしょう）。海の生き物が住みづらくなるだけでなく、水分が大気中に蒸発（じょうはつ）し、大雨や台風を増（ふ）やす原因（げんいん）になっています。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99247/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">過去最高を更新した2025年夏の記録的高温は、地球温暖化が原因？ 2026年の夏はどうなる？（別タブで開く）</a></p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_c73b9f42acab5165f6663338d50baa30" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●富栄養化（ふえいようか）</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_4.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>私（わたし）たちの使う洗剤（せんざい）や農薬、肥料（ひりょう）などには、プランクトンの栄養（えいよう）になる成分（せいぶん）が使われています。それが川を伝って海に流れ込むとプランクトンが増（ふ）え過（す）ぎて、水の中の酸素（さんそ）が少なくなり、ほかの貝や魚などが死んでしまうことがあります。</p></div></div><p>日本は海に囲（かこ）まれた島国のため、人間の生活がどんどん便利（べんり）になることで、さまざまな海の問題が起こっているのです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7e0b5aa11e1497fba6fca47d919cc48a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の問題と私（わたし）たち暮（く）らしとのつながり</h2><p>海の問題は、私（わたし）たちの生活に次のような形で関（かか）わってきます。</p>海の温度が上がることで大雨が増（ふ）え、洪水（こうずい）や土砂（どしゃ）くずれなどの災害（さいがい）が起こりやすくなる海の温度や海水のバランスが変わると、生態系（せいたいけい）のバランスがくずれて、弱ったり、死んでしまったりする生き物も出てくる魚や貝などがとれなくなり、漁業（ぎょぎょう）や水産業（すいさんぎょう）をしている人の生活が苦しくなる魚や貝の値段（ねだん）が高くなり、気軽に買うことができなくなる魚や貝の値段（ねだん）が高くなると、お金をかせごうとたくさんとろうとする人が現（あらわ）れて、魚や貝が少なくなる魚や貝の体内にプラスチックごみのかけらが入ると、安心して食べられなくなる海辺にプラスチックごみが集まると、景色（けしき）がよごれて、けがをする心配も出てくるので海に行く人が少なくなる海に行く人が少なくなると、旅行やマリンスポーツなどの観光業（かんこうぎょう）をしている人の生活が苦しくなる<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_5-1.jpg"><p>世界における1人当たりの魚介類（ぎょかいるい）の年間消費量平均（ねんかんしょうひりょうへいきん）は、2022年に20.7キログラム（※2）（日本人は22キログラム※3）だったものが、2030年には21.5キログラムに増（ふ）えると言われています。</p><p>2030年には世界の人口が103億（おく）人におよぶことが予測（よそく）され、その場合は2022年より1,740万トン多い約1億（おく）8,300万トンもの量（りょう）が必要（ひつよう）になります。</p><p>一方で、さまざまな海の問題により魚や貝がとれる量（りょう）が年々少なくなっています。地球の中でかけがえのない役割（やくわり）を持つ海を守ることは、私（わたし）たちの未来を守ることにもつながるのです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_91cc4517fa00853300ada9b4e649d5fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海ともっと仲良（なかよ）くなろう</h2><p>日本財団（にっぽんざいだん）が<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/new_inf_20240711_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2024年に行った調査（ちょうさ）（外部リンク）</a>によると、「海に行きたい」と答えた人は59パーセントと、前回の調査（ちょうさ）を行った2022年に比（くら）べて13パーセント少なくなっています。また、「この1年間で1度も海を訪（おとず）れていない人」は52パーセントと、2022年より7パーセント少なく、はじめて調査（ちょうさ）を行った2019年と比（くら）べると19パーセントも少なくなっています。</p><p>海の問題を考えるには、まず海に関心（かんしん）を持ち、浜辺を歩く、海で泳ぐ、海の生き物を探し（さが）してみる、など海と仲良（なかよ）くなることも大切な一歩です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_6-1.jpeg">「海に行きたい」と思う人は年々少なくなっている<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_6-2.jpeg"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/88fc061ae02d96975bdef454f504132d.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>この海の問題について私（わたし）たち一人一人ができることは何でしょう？</p><p>その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。</p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_632c5a8917388a06fc4dc7b986c442da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">本や図書館、インターネットで調べてみよう！</h3>世界の海で起こっている問題や、その国でなぜ海の問題が起きているのかを調べてみよう海の問題が、私（わたし）たちの生活やその国の未来（みらい）にどのような影響（えいきょう）をあたえているか調べてみよう海の問題をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう<h3 id="tnf-text-heading-block_1e49dd58f7d3943571cd52ff9f0f1d62" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「海の問題」について学べるおすすめの本</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_7-760x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.fukuinkan.co.jp/book/?id=135" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『海』（外部リンク）</a><p>身近でありながら、いまなお多くの謎（なぞ）が秘（ひ）められている海。ページをめくるたびに水深（すいしん）が深くなり、ついに深海（しんかい）へ。海に住む動植物から未来の海中農業まで、海の全てがえがかれた絵本です。</p></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/ocean-problem_8-767x1024.jpg">出版（しゅっぱん）：岩崎書店（いわさきしょてん）　著（ちょ）：保坂直紀（ほさか・なおき）　編（へん）：こどもくらぶ</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.iwasakishoten.co.jp/book/b615605.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『海がどんどんこわれていく』（外部リンク）</a><p>環境破壊（かんきょうはかい）などによって、海はいま、よごれきってしまっています。地球の70パーセントをしめる海にいま何が起きているのか？ どうしたら守れるのか？ を一緒（いっしょ）に考える本です。</p></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_1140de33b5dd9b5bc86b9927392a116a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まわりの人に話を聞いてみよう！</h3>お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どものころの海がどうだったか、海の問題について何ができるか意見を聞いてみよういろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう<h3 id="tnf-text-heading-block_95dc972300c34f2115d2856ed2354a44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分にできることからやってみよう！</h3>調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう海の問題を支援（しえん）する団体とつながる、身のまわりで使うプラスチックごみを減（へ）らす、ビーチでごみ拾いをするなど、できることはたくさんあるはず<h3 id="tnf-text-heading-block_f48733b26290d1bbe1ca02ffb9f26fc1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分で解決（かいけつ）方法を見つけるのにおすすめ！</h3><a href="https://uminohi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海と日本プロジェクト（外部リンク）</a><p>全国の海に関（かん）するイベント情報（じょうほう）が紹介（しょうかい）されています。終わったイベントの内容（ないよう）や取り組みが分かる「イベントレポート」もあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_9.jpg"><a href="https://nf-spogomiwc.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">SPOGOMI WORLD CUP 2027（外部リンク）</a><p>「ゴミ拾いはスポーツだ！」を合い言葉に、制限時間内（せいげんじかんない）に拾ったごみの量（りょう）や種類（しゅるい）によってもらえるポイントを競（きそ）い、海に出るごみを減（へ）らします。年齢（ねんれい）や性別（せいべつ）に関係（かんけい）なく誰（だれ）でも参加（さんか）できます。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/88812/ocean_pollution" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界が“ごみ”でつながる！ワールドカップ開催（かいさい）も決定した「スポGOMI」の魅力（みりょく）とは？（別タブで開く）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_10.jpg">「SPOGOMI WORLD CUP 2027」の公式サイト<a href="https://sabakeru.uminohi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本さばけるプロジェクト（外部リンク）</a><p>魚をさばくことで得（え）られる喜（よろこ）びや感動から、「海を大切にしたい」という思いを育むアクションです。魚のさばき方や海の食文化などについて学べる「日本さばける塾（じゅく）」のほか、動画を見てさばき方が学べる「さばけるチャンネル」もあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_11.jpg"><a href="https://kodomowork.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こどもわーく（外部リンク）</a><p>本当の仕事現場（しごとげんば）で、本当の仕事を、本物の達人（たつじん）から教えてもらうプロジェクトです。「海のお仕事体験」では、漁師（りょうし）さんや水族館の飼育員（しいくいん）など、海にまつわるいろいろなお仕事を体験・学ぶことができます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/ocean-problem_12.jpg">「こどもわーく」の公式サイト<p>イラスト：KIKO</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_494456f8b8259db33fb80677c7fc3c13" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「純食料」とは、食べるときに捨（す）てられる頭や内臓（ないぞう）を含めたものを粗食料（そしょくりょう）という※2.出典：<a href="https://www.jircas.go.jp/ja/program/proc/blog/20240625" target="_blank" rel="noopener">1046. 2024年 世界漁業・養殖業白書｜国際農研（外部リンク）</a>※3.出典：<a href="https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/r05_h/trend/1/t1_1_2.html" target="_blank" rel="noopener">令和5年度 水産白書 第１部 水産の動向 第1章 我が国の水産物の需給・消費をめぐる動き （2）水産物消費の状況｜水産庁（外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p>    ]]>
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      <title>なぜ世界から貧困（ひんこん）はなくならない？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/92359/sdgs</link>
      <pubDate>Thu, 20 Aug 2026 16:38:41 +0000</pubDate>
      
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<p>※この記事は2023年7月20日に公開した記事を再編集しています</p><p>小学生のためのSDGs入門記事。第1回は、目標（もくひょう）1「貧困（ひんこん）をなくそう」について考えてみましょう。</p><p>貧（まず）しい暮（く）らしをしている人のなかでも、1日470円以下（1ドル158円で計算。2026年8時点）で生活しなければいけない状況（じょうきょう）を「絶対的貧困（ぜったいてきひんこん）」と呼びます（※1）。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_939981a41f078676d41ed4adb69211e6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧困（ひんこん）が引き起こすさまざまな問題</h2><p>これは人として十分な生活を送ることができないレベルの貧（まず）しさのことで、たとえば次のような問題を引き起こします。</p>食べるもの・飲みものがない家や服がない電気や水道を使うことができない学校に行けない病気になっても薬が買えない<p>こうした、とても貧（まず）しい生活をしている人が世界に8億（おく）3,000万人以上います（※2）。その半分にあたる、4億1,200万人がこどもです（※3）。</p><p>また、世界では7億5,700万人が食べることができず、いつも空腹なまま苦しんでいます。そのうちのおよそ80パーセントはアフリカと南アジアに暮らしているとされています（※4）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_2-1.png"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_3.jpeg">貧（まず）しさのあまり学校へ通えず、ごみ拾いをして働（はたら）く子どもたちがたくさんいる<p>貧（まず）しい理由には、次のようなことがあります。</p>戦争（せんそう）や災害（さいがい）が起こって仕事ができなくなった地やお金がないため農作物を育てたり、ヤギやニワトリなどの家畜（かちく）を飼（か）えない家族や親戚（しんせき）など助けてくれる人がいない十分な教育を受けられないため仕事が選（えら）びにくい<p>貧（まず）しい家に生まれた子どもは教育を受けられないため、選（えら）べる仕事が少なく、親から子どもへ貧（まず）しさが受けつがれてしまう「貧困（ひんこん）の連鎖（れんさ）」を生みます。</p><p>この貧困（ひんこん）の連鎖（れんさ）を止めることが大切なのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_4.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_fca014f99b2e90923c2a89aba76c497e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本も「貧困（ひんこん）」が増えている</h2><p>豊（ゆた）かに思える日本ですが、いま9人に１人の子どもが貧困状態（ひんこんじょうたい）にあります（※6）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_5.jpg">日本にも貧困（ひんこん）問題はあります<p>日本でいわれる貧困（ひんこん）は、ほとんどの人ができている生活ができない貧（まず）しさを意味しています。</p><p>これを「相対的貧困（そうたいてきひんこん）」といい、新しい服やくつが買えない、塾（じゅく）や大学に行けない、旅行に行ったことがない子どもたちが増えています。</p><p>これらの経験（けいけん）は、子どもたちの心や将来（しょうらい）を大きく左右します。</p><p>このような格差（かくさ）をなくし防（ふせ）ぐために、自治体（じちたい）による就学支援（しゅうがくしえん）や、NPOによる放課後（ほうかご）の学び支援（しえん）、地域（ちいき）の方々が運営（うんえい）する子ども食堂（しょくどう）など、家庭でも学校でもない「第三の居場所（いばしょ）」をつくる活動が広がっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/88fc061ae02d96975bdef454f504132d.png"></div></div><div class="wp-block-column is-vertically-aligned-center is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>この貧困（ひんこん）問題について私（わたし）たち一人一人ができることは何でしょう？</p><p>その答えは、ぜひ自分で調べて、考えて、自分にできることから取り組んでみてください。</p></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_754b19ad0037daed589365b621379ec9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">本や図書館、インターネットで調べてみよう！</h2>世界の貧困（ひんこん）と、その国でなぜ貧困（ひんこん）が起きているのかを調べてみよう貧困（ひんこん）が、子どもたちの生活やその国の未来（みらい）にどのような影響（えいきょう）があるか調べてみよう貧困（ひんこん）をなくすために、どのような取り組みが行われているか調べてみよう<h3 class="wp-block-heading">「貧困（ひんこん）」について学べるおすすめの本</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_6.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.hyoronsha.co.jp/search/9784566080232/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『今、世界は あぶないのか？ 貧困と飢餓（きが）』（外部リンク）</a><p>貧困（ひんこん）や飢餓（きが）って、どういうこと？どうして、そんなことになるの？どうしたら、変えていけるの？子どもたちにできることは？を考えます。</p></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SDGs_7-818x1024.jpg">出版（しゅっぱん）：少年写真新聞社　作：石井光太（いしい・こうた）</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/c-712_1.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『地球村の子どもたち 途上国（とじょうこく）から見たSDGs (1) 格差（かくさ）』（外部リンク）</a><p>今、世界には困難（こんなん）な問題があふれています。貧（まず）しい国々の問題も、私（わたし）たちと無関係（むかんけい）ではありません。どんな世の中にしたいのか？ 世界をよりよくするための目標（もくひょう）や行動を考えるきっかけとなる本です。</p></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_94678630e43654dce937824741a323ad" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まわりの人に話を聞いてみよう！</h2>お父さんやお母さん、近所のおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんに子どのころの生活や、貧困（ひんこん）問題について何ができそうか意見を聞いてみよういろんな人の意見を聞いたら、自分に何ができるか考えてみよう<h2 id="tnf-text-heading-block_7e81dc884372535fe85fc40496047225" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分にできることからやってみよう！</h2>調べたこと、聞いたこと、考えたことをノートにまとめて家族、友だちに発表してみよう支援（しえん）する団体とつながる、着なくなった服を寄付（きふ）する、ボランティアに参加するなど、できることはたくさんあるはず<h2 id="tnf-text-heading-block_a15656ac07ff21f4b90ffa7a242d001c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分で解決（かいけつ）方法を見つけるのにおすすめ！</h2><a href="https://www.savechildren.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">セーブ・ザ・チルドレン（外部リンク）</a><p>日本をはじめ世界中の子どもたちの保健（ほけん）・栄養（えいよう）、教育の支援（しえん）に取り組んでいます。世界各国での活動をスタッフブログなどで紹介しています。</p><a href="https://learningforall.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Learning for All （外部リンク）</a><p>全ての子どもが自分の可能性を信じ、やりがいを持って生きられる社会を目指しています。貧困（ひんこん）問題を多くの人に知ってもらうための情報発信（じょうほうはっしん）やイベントを行っています。</p><a href="https://www.katariba.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">カタリバ（外部リンク）</a><p>日本において、どんな環境（かんきょう）で生まれ育っても子どもたちが未来をつくり出せるよう教育を中心に支援（しえん）しています。活動を紹介するカタリバマガジンでは、10代のインタビューも充実（じゅうじつ）。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89389/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">オンラインで不登校児（ふとうこうじ）を支援（しえん）。メタバース空間が子どものもう１つの「居場所（いばしょ）」に（別タブで開く）</a></p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/54900" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ナナメの関係（かんけい）で子どもたちの「向学心」を育む。宮城県女川町（みやぎけんおながわちょう）で学び場づくりに取り組む女川向学館（おながわこうがくかん）の想い（別タブで開く）</a></p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/51868" target="_blank" rel="noreferrer noopener">加速（かそく）する教育環境（きょういくかんきょう）の「分断（ぶんだん）」。カタリバの今村久美さんと考える、ポストコロナ社会における子どもの学び（別タブで開く）</a></p><a href="https://volunteer.kidsdoor.net/">キッズドア（外部リンク）</a><p>日本の子どもの貧困（ひんこん）、教育格差（きょういくかくさ）の解決（かいけつ）に取り組んでいます。小学生から高校までを対象（たいしょう）にした無料（むりょう）学習会など行っています。</p><p>［関連（かんれん）記事］<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/63822" target="_blank" rel="noreferrer noopener">投票（とうひょう）は「政治（せいじ）へのラブレター」。「目指せ！投票率（とうひょうりつ）75％」プロジェクトがとく選挙（せんきょ）に参加（さんか）することの意味（別タブで開く）</a></p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/56075" target="_blank" rel="noreferrer noopener">心に傷（きず）を負った子どもたちには息の長い支援（しえん）が必要（ひつよう）。キッズドアが被災地（ひさいち）で学習支援（がくしゅうしえん）を続けるわけ（別タブで開く）</a></p><p>イラスト：KIKO</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_685f1ce1af1e066fae45e23caa484ba0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.worldbank.org/ja/news/factsheet/2025/06/05/june-2025-update-to-global-poverty-lines" target="_blank" rel="noopener">国際貧困ライン2025年6月の改定 | WORLD BANK GROUP（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www.worldbank.org/ext/en/topic/poverty" target="_blank" rel="noopener">Poverty｜WORLD BANK GROUP（外部リンク）</a>※3.出典：<a href="https://www.unicef.org/reports/state-of-worlds-children/2025" target="_blank" rel="noopener">The State of the World’s Children 2025｜unicef（外部リンク）</a>※4.出典：<a href="https://www.asahi.com/withplanet/article/15463456" target="_blank" rel="noopener">8割がアフリカと南アジア　慢性的な飢餓をなくす方法とは？｜朝日新聞（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/region/index.html" target="_blank" rel="noopener">国・地域別の取組｜外務省（外部リンク）</a>※6.出典：<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/14.pdf" target="_blank" rel="noopener">2022（令和4）年 国民生活基礎調査の概況｜厚生労働省（外部リンク/PDF）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/sdgs">連載（れんさい）【小学生SDGsジャーナル】記事一覧（きじいちらん）</a></p>    ]]>
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      <title>いま注目されている「オルタナティブスクール」とは？ ――自分らしく学び、自らの未来を切り拓く力を育む</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124453/education</link>
      <pubDate>Thu, 20 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「オルタナティブスクール」とは、子どもの興味や関心、特性、学ぶペースに合わせた「多様な学び」の選択肢の1つ</li><li>不登校の増加は「子どもの問題」ではなく、「画一的な教育制度と多様化する子どもたちの間に生じるギャップ」が背景にある</li><li>子どもが自分に合った学びを選ぶためには、教育の選択肢を増やすだけでなく、それを支える制度や環境づくりが必要</li></ul><p></p><p>「オルタナティブスクール」をご存知ですか？</p><p>現在、「学びの選択肢」を社会全体で考え直そうという動きが広がっています。そのなかの1つが、公立学校でも私立学校でもない「第3の学び場」とされる「オルタナティブスクール」です。スクール独自の教育理念に基づき、子ども一人一人の個性を尊重した多様な学びのスタイルを提供しています。</p><p>一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパンの代表理事であり、<a href="https://shonan-hokulea.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">湘南ホクレア学園（外部リンク）</a>の創設者で理事長も務める小針一浩（こばり・かずひろ）さんは、「優秀な子になるのではなく、最高の自分になる教育」を理念に掲げ、子どもたちが自分らしく未来を切り拓くための学びを実践しています。</p><p>さまざまな背景を持つ子どもたちが自分に合った学びを選べる社会にするために、必要なこととは何か。小針さんの取り組みを通して、そのヒントを探ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/02-3-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_50c33473e53d456fb6010bc370410ba9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">学びの選択肢を広げるオルタナティブスクールの役割</h2><p>――小中学校の不登校児童生徒数（※1）が過去最多を更新し続ける背景には、どのような要因があると思われますか。</p><p>小針さん（以下、敬称略）：不登校は「子どもの問題」ではなく、「制度と器の問題」だと考えています。</p><p>日本の学校制度は長い間、同じ年齢の子どもが、同じ時間に、同じ教室で、同じ内容を、同じ方法で学ぶことを前提としてきました。しかし、子どもたちの興味関心や特性、学ぶスピード、生き方がこれほど多様になった今、その器のままでは合わない子どもが増えるのは自然なことです。</p><p>海外に目を向けると、子どもの幸福度が高いとされるオランダやデンマークでは、公教育とオルタナティブ教育の双方が公的に支援され、子どもの個性や主体性を尊重し、一人一人の関心や能力、学習上のニーズに応じた個別最適な学び（※2）が重視されています。</p><p>日本も海外と同じ制度をそのまま取り入れるべきだとは考えていませんが、これらの国々に共通しているのは、「学校に子どもを合わせる」のではなく、「個性を生かす多様な学びをデザインする」という発想が社会に根付いている点だと感じています。</p><p>――一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパン（以下、ASJ）の活動内容について教えてください。</p><p>小針：私たちは全国にある17校（2026年8月時点）のオルタナティブスクールが加盟するネットワークを運営しており、「一校では届かない社会の課題に、全国の仲間とともに取り組む」という考えのもと、大きく3つの活動を行っています。</p><p>1つ目は、加盟校同士が学び合い、高め合うためのネットワークづくりです。各校が建学の精神に基づいた独自の教育を実践する一方で、スクール運営や生徒募集、財務、人材育成などのノウハウを共有し、互いに成長できる環境をつくっています。</p><p>2つ目は、多様な学びを社会に広げるための制度づくりです。加盟基準や認証制度の整備を進めるとともに、行政や企業とも連携しながら、オルタナティブスクールが教育の選択肢の1つとして社会に根付くよう取り組んでいます。</p><p>3つ目は、社会への発信です。オルタナティブスクール・フェスや講演などを通して、「優秀な子になるのではなく、最高の自分になるための教育」というメッセージを発信しています。</p><p>――ASJに相談に来る子どもや保護者の方は、どのような悩みや課題を抱えていることが多いのでしょうか。</p><p>小針：保護者の皆さんに共通しているのは、「変化が激しく先の見えない時代に、今の教育のままで本当に子どもは幸せに生きていけるのだろうか」という不安です。また、「このままの教育では何かが違う」と感じている方も少なくありません。</p><p>例えば、「AIが瞬時に答えを導き出す時代に、知識を暗記したり、公式を正確に当てはめたりする力を伸ばすことが、本当にこれからの時代を生きる力につながるのだろうか」という疑問です。</p><p>私たちの世代は、与えられた課題を速く正確にこなす力が求められてきました。しかし現在は、AIが24時間いつでも答えを返してくれる時代です。だからこそ、これからの教育に求められるのは、正確に「解く力」ではなく、「問う力」だと考えています。</p><p>――そもそもオルタナティブスクールとは、どのような学校なのでしょうか。</p><p>小針：ASJの定義する「オルタナティブスクール」とは、独自の教育理念（建学の精神）を掲げ、その理念を実現するための教育課程（カリキュラム）を構築し、子ども一人一人の興味や関心を尊重しながら、個性や主体性を育む学びを実践する教育機関の総称です。</p><p>教育内容や手法はスクールごとに異なりますが、子どもが持つ豊かな感性や主体性を尊重し、一人一人が自分らしく学べる環境を大切にしている点は共通しています。 ASJでは、こうしたオルタナティブスクールを、国公立・私立学校に続く「第3の学び場」と位置づけています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/03-2-1024x682.jpg">オルタナティブスクールについて説明する小針さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/04-2-1024x768.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_99179c71afce543d77c429019ddeacbd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子ども自身が学びをデザインする、湘南ホクレア学園の取り組み</h2><p>――小針さんが理事長を務める「湘南ホクレア学園」はどのような学校ですか。</p><p>小針：湘南ホクレア学園では、「どんな世界でもサバイブできる子を育てる！」をミッションに掲げ、子どもたちが自分の意志で人生を切り拓いていくために、「Vision（世界中に仲間をつくる）」「Will（自分で決める）」「Principle（リミッターを外す）」という3つのスタンスを大切にしています。</p><p>世界中に仲間をつくる力を持ち、自分の意志で選択し、「できない」と限界を決めずに挑戦する。こうした力が、どんな環境でも自分らしく生きていくための土台になると考えています。</p><p>また、湘南ホクレア学園では「先生」という呼称を使っていません。大人は、一方的に知識を教える立場ではなく、子どもたちの航海を支える「キャプテン・ナビゲーター」であり、子どもも大人も同じ船に乗る「クルー」として、互いを一人の人間として尊重しています。</p><p>――具体的には、どのような学びの環境やカリキュラムを整えているのでしょうか。</p><p>小針：湘南ホクレア学園では、子どもたちの学びを、未知の世界へ進む「航海」に見立てています。</p><p>スクール名の「ホクレア」は、ハワイ語で「喜びの星」を意味し、古代ポリネシアの航海者たちが、現在地や進む方向を確かめる手がかりとしてきた星の名前です。その航海で、日々の判断や行動の軸となる「内なるコンパス」が、「STAR」です。</p><p>Smile（笑顔で楽しむ）、Try（失敗を恐れず挑戦する）、Autonomy（自分で決めて、自分で責任を取る）、Respect（相手を尊重する）の頭文字から成り、学習だけでなく、遊びや生活を含めたあらゆる場面で大切にしています。</p><p>そして、一人一人の航海を支える学びの枠組みとして、「SAILS」「SHIP」「OCEANS」という3つの観点を設けています。</p><p>「SAILS」は、船を前へ進める「帆」のように、思考と表現の推進力を育む学びです。湘南ホクレア学園では、日本語、英語、数学を「基本三言語」と定義し、話す（Speak）・書く（Articulate）・読む（Interpret）・聴く（Listen）・解く（Solve）という5つの力を身に付けます。</p><p>「SHIP」は、航海を支える「船体」のように、自分と仲間を守り、どんな環境でも学び続け、生き抜くための土台を築く学びです。危険回避力（Safety）、健康管理（Health）、状況を察知して判断する力（Insight）、身体能力（Physical Capability）などを育みます。</p><p>「OCEANS」は、広い「海」を旅するように、興味や関心を起点として探究を広げ、起業スキルを磨く学びです。歴史（Origin）、公民（Civic）、地球・自然（Earth）、宇宙・芸術（Astronomy/Art）、地理（Navigation）、科学（Science）といった領域を横断しながら、起業スキルを磨いていきます。</p><p>――学年によって、学び方の違いはあるのでしょうか。</p><p>小針：小学1～3年生、4～6年生の異なる学年の子どもが1つのクラスで一緒に学ぶ仕組みとなっており、一人一人の興味や成長に合わせながら、自分で学ぶ力を育てています。</p><p>1～3年生では、まず英語や言葉に親しみ、学習の土台を育みます。英語を「教科」としてではなく、身近な言語として触れることから始め、算数も英語で学びます。</p><p>また、毎朝のサークルタイム（※4）では、6週間ごとにテーマとなる国を決め、その国の言葉であいさつを交わします。さらに、その国の歴史や文化、食について調べて料理づくりにも挑戦し、1つのテーマを入り口に、さまざまな角度から学びを広げていきます。</p><p>4～6年生になると、自分の夢や志を軸に探究を深める力を育てていきます。自分は何に興味があり、将来どんなことをしてみたいかを考えながら、自ら学びの方向性を見出していきます。</p><p>そのうえで、自分で1週間の学習計画を立て、週末には振り返りを実施。予定通りに進まなかった場合も原因を客観的に分析し、次の計画に生かしていきます。</p><p>さらに、その道のプロフェッショナルを「達人先生」として招き、世の中にある多様な職業や生き方に触れ、自分の人生を考えるきっかけにしています。</p><p>――ほかにも、特徴的な取り組みがあれば教えてください。</p><p>小針：本物の現場に触れ、そこから問いを生み出す学びも大切にしています。その1つが、夏に行う探究合宿です。</p><p>2025年は「2050年の日本を考える」をテーマに、能登半島地震や豪雨の被害を受けた石川県輪島市、珠洲市、能登町を訪れ、現地を視察したり、地域の方々からお話を伺ったりすることで、地域の課題や日本の未来について考えました。</p><p>その後、「2050年の自分」をテーマに発表会を行ったところ、子どもたちから「私は政治家になっています」「私は建築家になっています」「世界中に友だちをつくっています」といった将来像が次々に語られました。誰かのために何ができるのか、世界とどう関わっていくのかという視点が育っていることを実感しています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/05-2-1024x679.jpg">2025年に行った探究合宿の様子。石川県珠洲市大谷町を訪れ、2024年に発生した能登半島地震と豪雨の被災の現状や復興の課題を学ぶ。画像提供：一般社団法人インタナティブ・スクール協会</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/06-2-1024x682.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/07-1024x342.jpg">スクール内には、これまでに学んできたさまざまな国のあいさつや、「達人先生」たちが話してくれた心に残る言葉が貼られている<h2 id="tnf-text-heading-block_636cd9fa2c54df6caa640f1b9eefb53b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">すべての子どもが自分に合った学びを選べる社会にしたい</h2><p>――現在、オルタナティブスクールが抱えている課題はありますか。</p><p>小針：一番大きいのは、経済的なハードルです。</p><p>自分に合ったオルタナティブスクールで学びたい子どもや通わせたい保護者、さらには、「自分で開校したい」「ここで働きたい」という志を持つ人も少なくありません。しかし、オルタナティブスクールを求める家庭が増える一方で、そのニーズに応えられるだけの学びの場は、まだ十分に増えていません。</p><p>理由は、独自の教育課程を持つオルタナティブスクールの運営を支える公的な制度が整っていないからです。公立・私立学校に対するような運営補助や助成金を受けることができず、多くの場合、各家庭からいただく学費だけで運営をまかなわなければなりません。</p><p>学費が上がれば、通える家庭は限られますし、経営が安定しなければ新たなスクールも生まれにくくなります。開校したいという教育者がいても、運営を継続できる見通しが立たなければ、最初の一歩を踏み出すことは簡単なことではありません。</p><p>ただ、私たちが求めているのは単なる「無償化」ではありません。公的支援に頼り切ることで、経営努力や教育の質を高める緊張感まで失われてしまっては、良い教育にはつながらないと考えるからです。</p><p>必要なのは、経営責任を持ちながらも安定した運営を続けられる仕組み。教育の質を高める努力を重ねつつ、既存のスクールが安定して維持でき、新たな学びの場も生まれやすい環境を整えることが、現在の課題だと感じています。</p><p>――多様な学びが保障された社会の実現に向けて、ASJが目指すことを教えてください。</p><p>小針：私たちが目指しているのは、「子どもが自分の学びを自由に選べる社会をつくる」ことです。</p><p>今の日本では、学びの形はまだ限られており、合わない場合は我慢するか、諦めるしかない状況もあります。だからこそ、子どもが自分に合った学びを選べるよう、選択肢を増やしていく必要があると思います。</p><p>もちろん、オルタナティブスクールは公教育を否定するものではありません。それぞれの役割や強みを生かしながら、共存していくことが大切だと考えています。変えるべきなのは子どもではなく、子どもが選べる環境や仕組みです。</p><p>そのために、ASJでは大きく2つの取り組みを進めています。</p><p>1つは、全国のオルタナティブスクールをつなぐネットワークづくりです。各スクールの理念や教育内容を可視化し、互いに学び合いながら、教育の質を高めていく役割を担っています。</p><p>もう1つは、制度づくりに向けた提言です。現在、多くのオルタナティブスクールは家庭の学費によって運営されています。この構造を変え、より多くの子どもが自分に合った学びを選べるようにするために、教育のバウチャー制度（※5）を提案したいと考えています。</p><p>最終的に、私たちはASJの解散をゴールにしています。オルタナティブスクールが誰にとっても身近な選択肢になり、この団体の役割が必要なくなったとき、それが私たちの目指す社会が実現した証だと思っているからです。</p><p>自分に合わない場所で無理に頑張ることが当たり前ではなく、自分に合った学びを選びながら成長できる社会。それが、私たちの目指す未来です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/08-1024x682.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/09-1-1024x768.jpg">子どもたちが染めた、ろうけつ染め（※6）のフラッグ。同じデザインながら、それぞれの個性が表れている。画像提供：一般社団法人インタナティブ・スクール協会<h2 id="tnf-text-heading-block_c37da65e2376420904e31100ad2248ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">すべての子どもが「最高の自分」になるために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、すべての子どもが「最高の自分」で生きられる社会に向けて、私たち一人一人ができることを小針さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_eb504a00f74b8c7b059c8f25ed16baad" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］オルタナティブスクールという「選択肢」を知る</h2><p>公立・私立学校以外にも、多様な学びの場があることを知ることが重要。「学校に行けないこと」を問題にするのではなく、「その子に合った学び方を選べる」という視点を持つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f847432a6ea354660db8981cda56498b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「優秀な子」ではなく「最高の自分」を大切にする</h2><p>子どもを誰かと比べるのではなく、それぞれの個性や特性を認めることが大切。みんなと同じ方法で育てるのではなく、その子らしく力を発揮できる環境を考えることが、学ぶ意欲を育み、可能性を広げていくことにつながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7351ac1e55b5a5199d69d97c1b8581ea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］多様な学びを受け入れる社会をつくる</h2><p>子どもたちが自分に合った学びを選べるよう、多様な価値観や選択肢を受け入れる姿勢が必要。一人一人の選択を社会全体で尊重していくことが、子どもたちの可能性を広げる社会につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9726b37945335f575e0e0a6a8f23b261" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>今回の取材は湘南ホクレア学園に伺い、夏の探究合宿に向けた準備の様子を見学しました。</p><p>2026年の探究合宿のテーマは、人口減少が進む千葉県香取市の地域づくりです。「どんなことができると思う？」というキャプテンの問いに対し、子どもたちは「チラシを作る」「SNSで発信する」など、次々に自分なりのアイデアを発表していました。</p><p>もちろん、積極的に参加する子どもばかりではありません。それでも大人は、必要な声かけや支援を行いながらも、無理に参加を促すことはせず、それぞれのペースや意思を尊重していました。</p><p>当たり前のことですが、全員が同じものに興味を持ったり、同じ速さで成長したりするわけではありません。学校という環境で力を発揮できる子もいれば、別の場所でこそ自分らしく学べる子もいます。</p><p>一人一人の「今」を尊重しながら、その子自身が動き出す瞬間を見守ることも、その子の可能性を信じることなのだと感じました。</p><p>子どもたちにとって学校が楽しい場所であり、また、「自分に合わない場所で無理に頑張ること」が当たり前ではない社会になってほしい、そう願います。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_79b49155cdc574956876d8afe9c1a3b4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.<a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要｜文部科学省（外部リンク/PDF）</a>※2.「個別最適な学び」とは、生徒一人一人の理解度や個性に合わせて学習を進める教育のあり方のこと※3.一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパンでは、建学の精神を掲げ、独自のカリキュラムを持つフリースクールもオルタナティブスクールと位置づけている※4.1日に2回、朝と下校の前に実施。全員の顔を見ることができるように輪になって座り、対話を行う時間※5.国や自治体が子どもや保護者に対し、学校教育や習いごとなど「教育目的」に限定して使用できるクーポンを支給する仕組み※6.熱で溶かしたろうで描き、染料で染まらないように防染する染色技法</div><h2 id="tnf-text-heading-block_e5bea752f2c758cfca9314b9b59743a3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">小針一浩（こばり・かずひろ）</h2><p>一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパン代表理事。ビジネスコンサルティングやシステム開発などの会社を起業。息子の大病をきっかけに会社経営の第一線を退き、主夫へ。息子の長期にわたる闘病を経て、学校探しを機に「自分で学校を創ろう」と決意。2022年にオルタナティブスクール「湘南ホクレア学園」を創設。教育の多様化を目指し、2024年に一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパンを設立する。著書に『2050年を生き抜く子を育てる「もうひとつの学校」』（まる出版）がある。</p><p><a href="https://alternative-school.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般財団法人 オルタナティブスクール・ジャパン 公式サイト(外部リンク)</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>“なんとなく”のイメージで政治を捉える若者 ～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124312/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Wed, 19 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団は、2025年11月、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2025/20251121-117828.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「総理大臣交代」（別タブで開く）</a>をテーマに74回目の18歳意識調査を実施しました。有識者に印象に残った調査結果についてインタビューを通してお考えをお聞きしていきます。</p><p>「総理大臣交代」の調査で、日本の変革に関する高市（たかいち）総理への期待感を尋ねたところ、「変えてくれると思う」「少しは変えてくれると思う」との回答の合計が80パーセントを超えました。</p><p>質問：総理大臣就任からこれまでの高市氏の動きを見て、高市氏は日本を変えてくれると思いますか。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol16_1.jpg"><p>初の女性総理大臣誕生に対する印象を尋ねた質問では、44.4パーセントの女性が「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」と回答し、男性の27.7パーセントよりも16.7ポイント多くなりました。また、「性別は関係ないと感じた」との回答は男性が38.8パーセントであった一方、女性では24.0パーセントで14.8ポイントの差がつきました。</p><p>質問：日本で初めて女性の総理大臣が誕生したことについて、あなたの印象に最も近いものを選んでください。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol16_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第74回 テーマ「総理大臣交代」<p>これからの日本の政治で注力してほしいテーマに関しては、「経済・景気対策」「少子化・子育て支援」「税制改革」「教育」「移民・難民」が上位5位となりました。</p><p>質問：これからの日本の政治で、特に力を入れて取り組んでほしいテーマを3つまで教えてください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol16_3.jpg"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>これらの若者の「高市総理への期待感」や「外国人への意識」について、有識者にお話をお聞きします。</p><p>今回は、大阪経済大学准教授の秦正樹（はた・まさき）先生にお話を聞きました。秦先生は、政治心理学・政治行動論・現代日本政治分析を専門とし、若年層の政治意識や投票行動の研究もされています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol16_4.jpg">秦正樹先生</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_541e80483599134740dbaa3597cf5f82" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高市総理への高い期待感は“なんとなく”のイメージによるもの</h2><p>今回の調査では、高市総理が日本を「変えてくれると思う」「少しは変えてくれると思う」と回答した方が8割を超えており、若者の高い期待感が読み取れます。</p><p>この背景として、ハネムーン効果の影響は一定程度あると考えられます。環境変化や新しい施策の直後に、一時的な期待感や新鮮さから満足度や支持が非常に高くなる多くの国で共通して見られる現象です。2025年11月の調査当時、高市総理は就任したばかりであるため、過去の業績の評価もなく、将来に対する期待を純粋なイメージだけで評価した結果と言えるでしょう。</p><p>ただし、ハネムーン効果以外の要素もあります。2024年の総裁選の際に、石破（いしば）氏と高市氏の評価を調査したデータがあるのですが、特に若者の間で高市氏の評価は高かったのです。高市氏に対する支持はもともと高く、その傾向が続いていると見なせるのではないかと思います。</p><p>特定の派閥に所属しておらず強い政策も持たない高市氏が支持されていたのは、安倍（あべ）元総理に支持されていたというイメージも大きいと考えています。</p><p>当時の若者の安倍氏支持は非常に強く、岩盤支持層とまでいわれていました。安倍氏の長期政権とそれによる安定的な状況を多くの若者が記憶しており、それが岸田（きしだ）・石破政権で崩れてきたなかで、再び安定を求めて安倍氏と同様の政治を行ってくれそうな高市総理へ期待している、という構図です。</p><p>つまり、高市総理への高い期待感は、若者の考えや価値観を反映したものというよりも、ハネムーン効果や安部政権のイメージによるものだと思います。</p><p>本調査の別の質問で、「初の女性総理大臣に新たな期待を感じた」との回答が女性で44.4パーセント、男性では27.7パーセントとなっていますが、一般的な傾向とは異なる結果であったことに驚いています。</p><p>朝日新聞の同時期の世論調査では、支持割合は男性が73パーセント、女性で65パーセントでした。男女差も朝日新聞の調査のほうが少ないうえに、男性のほうが支持割合は多い結果となっています。</p><p>「期待」と「支持」で調査項目が異なるので厳密な比較はできないのですが、本調査は17～19歳という若い年代が対象であるため、“なんとなく”のイメージで回答をした人が一定数いた、ということなのかもしれません。また、女性のほうが期待を感じた割合が多いというのは、やはり女性は女性の政治家にシンパシーを感じやすいということなのだと思います。</p><p>一方で、「性別は関係ない」と回答した割合は男性のほうが多いことから、男性の若者にとっては、総理大臣は男性・女性とは関係のない存在と見ているのに対して、女性は女性か男性かを重視しているように本調査のデータからは読み取れます。</p><p>断定はできませんが、女性は”女性の代表”として、男性は”仕事人”として高市総理を見ているのかもしれません。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_71bf1963e25a4da011c1671d219abe8c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">政治への関心が高くないからこそ、排外主義は顕在化していない</h2><p>高市氏に注力してほしいテーマとして、「移民・難民」が5位になっています。</p><p>リベラルの立場から「移民・難民を受け入れるべき」という方向で関心を持っている人もいるとは思うのですが、今回の調査対象の年代でそのような人が多いとは考えにくいので、むしろ「制限をかけるべき」という立場の人が多数だと予想されます。</p><p>自由記述欄の回答でも、外国人に対するネガティブなコメントが見られます。</p><p>実際に外国人と接する機会が多いのは大学生であり、主にアルバイト先です。大学の学生に、外国人に対する印象を聞いたことがあるのですが、「アルバイト等で外国人の対応に苦慮している」と回答する人が多いです。</p><p>例えば、居酒屋で働く学生は、お通しの料金に文句をつけられたり、店内を散らかされたりした経験があり、「外国人が嫌いというわけではなく、実態として治安が悪くなってしまっているように感じる」と答えました。</p><p>私が普段関わる外国人は大学の先生や役職の高い企業の方ですが、一般的な外国人に関しては、実は大学生がインターフェースになっている場合が非常に多いことを理解すべきかもしれません。普段から外国人と触れ合い、対応に苦慮している若い人からすれば、ネガティブな感情を抱いてしまうことは当然のようにも思います。</p><p>外国人への問題意識は、2025年参院選で参政党が「日本人ファースト」を掲げたことで、争点として広がったといえると思います。</p><p>ただし、外国人へのネガティブな反応が排外主義に直接つながっているというより、純粋に利害の問題であると捉えています。つまり、外国人への対応について、従来よりも、金銭的・時間的・労力的なコストが上がっているという認識があるため、問題として意識しており、そのコストを下げてほしいというふうに考えている、ということです。</p><p>日本では、ヨーロッパの極右政党ほどの運動にはなっておらず、排外主義的な主張する政党が少し台頭しているというところに留まっているのが実態です。これは、多くの若い人が政治にそこまで関心を抱いていないがゆえであり、もしも関心やエネルギーがあれば、海外のような排外主義などの極端な政治運動が顕在化してしまうリスクはあるでしょう。</p><p>すると、長期的に見て、自分たちの首を絞めるようなことを自分たちで選ぶ可能性も高くなります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0157f5a62a6f43e9f646b71c3d750c7d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">投票するかどうかは若者の自由。するなら長期的な視野も持つべき</h2><p>若い人は政治への関心が低いとよくいわれます。</p><p>2026年2月の衆議院選挙で中道改革連合が議席を大幅に減らしました。当時、私が行った世論調査で中道改革連合の印象について尋ねたところ、「好き嫌い以前に、政党の存在を知らない」という回答が多くなりました。</p><p>つまり、そもそも認知されておらず、印象を抱くに至っていなかったのです。実際、私が大学で受け持っている300人程度の授業でも、普段からテレビを見ているのは1～2割程度で、両親が見ているバラエティー番組を片手間に見るといった状態です。</p><p>中道改革連合は結成から選挙までの期間が短かったこともあり、若者の間で認知が進まなかったことは仕方ないともいえるのですが、普段から政治のニュースに触れている人が少ないということも確かだと思います。</p><p>ですが、「政治を身近に感じましょう」といった言説に対しては個人的には否定的な立場です。特にSNSを通じて政治を身近に感じるとき、増税や外国人問題や不正など身近にあるネガティブなことから入ってしまい、陰謀論などに陥るというパターンも考えられます。</p><p>選挙に関しても、全員が必ず投票には行くべきだとはあまり思っていません。2025年の参議院選挙では、25歳から29歳、30歳代の投票率は過去より上がり、かつ、参政党への投票率の上がり幅は特に大きかったです。</p><p>もちろんどの政党に票を投じるかは自由ですが、同時に、その投票行動が日本の将来にどのような意味を持つのかという点も改めて社会全体で考える必要があると思います。</p><p>知り合いの外国人の先生たちは、「日本にもトランプのような排外主義の波が来たのではないか」という懸念を表明されており、「普通の日本人が怖くなってきた」と発信されている方もいます。先人たちが積み重ねてきた日本の評判を落としてでも得られるメリットは何かを少し立ち止まって考えるべきでしょう。</p><p>また、外国人の流入は、人口減少への対応策としても位置付けられています。つまり、外国人を排斥することは、将来の日本にとってマイナスの影響を及ぼす可能性が高い、ということです。</p><p>長期的な視点でしっかりと考えた上で、「国力が低下しても、日本が貧しい国となっても、外国人がいない純粋な日本人だけの国の方が住み心地良い」と感じるのであればそうした政党に票を投じれば良いとは思いますが、「なんとなくアルバイト先にいる外国人が鬱陶しいから」という理由で投票するのであれば、一歩立ち止まって、冷静に日本のあるべき姿を考えたほうが良いということです。</p><p>それを考えることが面倒だとか今はわからないと感じるのであれば投票に行かず、様子見をしても良いと思っています。</p><p>「日常の中に政治がある」とよくいわれますが、同時に、政治とは基本的に社会全体に影響を与えるものでもあります。自分の一票は自己満足のためだけに投じるのではなく、社会のために投じる一票でもあります。その一票が現在の、そして将来の日本社会に大きな影響を与えること、すなわち何十年後の自分の子どもに影響を与えることでもあるという視点を今こそ持つべきです。</p><p>若者の皆さんは、20年後、30年後に自分たちが社会の主役になったときへの影響についても想像力をもって、自分の一票を投じてほしいなと思います。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「紙がぬれてしまう」「手を握れない」――日常生活に大きな支障をきたす「多汗症」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124377/disability</link>
      <pubDate>Tue, 18 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「多汗症」とは、気温や運動に関係なく、日常生活に支障をきたすほど大量の汗をかく疾患のこと</li><li>「たかが汗」と軽く考えられがちだが、日常生活やコミュニケーションに支障をきたすため、悩みを抱えている人が多い</li><li>多汗症は体質ではなく「病気」。そのことを当事者が自覚し、周囲の人が理解することが、生きやすい社会につながる</li></ul><p></p><p>「テスト用紙がぬれてしまう」「スマートフォンが反応しない」「すぐに靴下がびしょびしょになる」——。そんなふうに、手や足に大量の汗をかくのは、体質ではなく「多汗症」といえるかもしれません。</p><p>「多汗症」とは文字通り、日常生活に支障が出るほど通常より多くの汗をかいてしまう疾患のことで、全身に汗をかく「全身性多汗症」や、手のひらや脇、足など特定の場所に大量の汗をかく「局所多汗症」などの症状があり、日常生活や人とのコミュニケーションに支障をきたすこともある深刻な病気です。</p><p>日本人の10人に1人が多汗症あるといわれています（※1）。しかし、汗をたくさんかくことを“体質だから”と諦めて、医療機関を受診せず、誰にも言えないまま悩んでいる人も少なくありません。</p><p>「ノートやテスト用紙が汗でぬれて破れる」「握手ができない」などといった日常生活への物理的な支障を伴うにもかかわらず、周囲からは「汗っかきなだけ」と軽く見られがちです。</p><p>また、当事者や保護者すらも単なる体質（個性）だと思い込んでいる人も多く、「治療できる疾患である」ことを知らず、病院を受診するという選択肢に辿り着けていません。当事者の「他人に言うのは恥ずかしい」という思いと医療認知の低さが重なることから、病気のつらさが表面化されにくい「サイレントハンディキャップ」とも呼ばれています。</p><p>そんな多汗症のなかでも、明確な原因がないにもかかわらず手足や脇などに過剰な汗をかく「原発性局所多汗症」に関する認知拡大の活動を行っているのが、<a href="https://npo-hsg.org/">NPO法人多汗症サポートグループ（外部リンク）</a>です。周知のためのパンフレット作成・配布、SNSでの情報発信といった啓発活動や、当事者が悩みを相談できる交流会などを実施しています。</p><p>今回は多汗症の当事者であり、NPO法人多汗症サポートグループの副代表理事を務める福士竜（ふくし・りゅう）さん、井上裕喜（いのうえ・ゆうき）さんに、日々の生活で生じる困りごとや、人には理解されづらい病気の悩みについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/02_03-1024x298.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/04-1-scaled.jpg">NPO法人多汗症サポートグループでは、多汗症周知のために部位ごとの悩みを記載したパンフレットを作成。医療関係者や教育機関、美容室などに配布している。画像提供：NPO法人多汗症サポートグループ<h2 id="tnf-text-heading-block_bab11cc622197290684a0ec493882b09" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「体質だから仕方がない」と病院に行かない人も多い</h2><p>――そもそも「原発性局所多汗症」とは、どんな病気なのでしょうか。</p><p>福士さん（以下、敬称略）： 例えば、手に汗をかく「手掌多汗症（しゅしょうたかんしょう）」は、重度になると手のひらから汗がしたたり落ちるほどになります。単に「汗っかき」というレベルではなく、手にした紙がぬれてしまったり、スマートフォンが誤作動してしまったりと、症状によっては日常生活や人との関わりに大きな影響を及ぼします。</p><p>多汗症は、手以外にも、脇や足の裏、頭部、顔面などの部位に症状が出ますが、健常者と比べて汗腺の密度や形態に異常があるわけではなく、はっきりとした原因は分かっていません。</p><p>日本皮膚科学会の調査によると、日本人の10人に1人は多汗症だとする推計があります。ただ、実際に医療機関を受診したことがある人はそのうちの数パーセントから1割程度で、実際にはもっと多くの人がこの症状に悩みながらも、「体質だから仕方ない」と病院へ行かずに抱え込んでいるとみられます。</p><p>――お二人も多汗症に悩む当事者ですが、いつ頃から症状を自覚されたのでしょうか。</p><p>福士：私は今49歳ですが、初めて多汗症だと診断されたのは27歳の時です。小学校低学年くらいから汗の量が多く、「なぜ自分は人よりも汗をかくのだろう」と疑問に思ってはいたものの、当時は多汗症についての情報はほとんど見つかりませんでした。</p><p>同じ症状の人と話す機会もなかったので、体質なのか病気なのかも分からない状態でしたね。</p><p>大人になってから皮膚科の先生に汗のことを相談したところ、「それなら詳しい先生がいる」と専門医を紹介してもらったのが診断のきっかけです。</p><p>井上さん（以下、敬称略）：私は今23歳で、自分が多汗症だと自覚したのは同じく小学校低学年くらいだったと思います。ただ、その前から母は私の症状に気がついており、汗に関して調べてくれていたようで、物心がつく頃には皮膚科を受診していました。</p><p>――それぞれの幼少期で、多汗症についての情報量や認知度が大きく違っているんですね。</p><p>福士：時代による変化はあると思います。私と井上さんとでは20歳以上の年齢差がありますが、私の幼少期はそもそも情報自体が少なく、多汗症という言葉も世間ではほとんど知られていませんでした。</p><p>親に相談しても、「緊張しなければいいんだよ」というようなアドバイスしか返ってこなかった記憶があります。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/05-795x1024.jpg"></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/06-1-731x1024.jpg">チェックの結果をもとに、多汗症の重症度を4つに分類。日常生活に支障をきたす場合は、医療機関の受診が推奨される。NPO法人多汗症サポートグループが、日本皮膚科学会が定めた「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」をもとに作成（※2）</div><h2 id="tnf-text-heading-block_8fa41a3929ca2205fb2c297dec80e291" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「常にタオルが手放せない」学校生活や仕事に及ぼす支障</h2><p>――多汗症の方たちは、日常生活でどんなことに困っているのでしょうか。</p><p>福士：当事者の声で多いのは、「汗でテスト用紙がふやけてしまった」「ノートが汗で破れてしまう」といった、紙を扱うときの苦労です。人とのコミュニケーションでは、「手をつなげない」「ハイタッチができない」といったものがよくあります。</p><p>また、汗は精密機器との相性が悪いので、パソコンやタブレットが誤作動してしまったり、反応しなかったりといった困りごともしょっちゅうです。</p><p>ガラケーを使っていた頃、私は1年間で3台壊れてしまったことがありました。今はスマホの防水加工が進化したので、だいぶ使いやすくはなったものの、やはりスクロールが反応しない、指紋認証ができないなどの不便は常に感じています。</p><p>そして、私は脇汗にも悩まされていて、ワイシャツだけでなくジャケットにまで汗が染みてしまうこともあります。さらに、足裏からの汗では靴下がびしょびしょになってしまうので、ひどいときには1日に2、3回は靴下を履き替えていました。</p><p>洋服や靴は汗で傷むのが早いので、頻繁に買い替えなければならず、経済的な負担もかかります。数え上げたらきりがないほど、日常生活で困ることはたくさんあります。</p><p>今思うと、特に幼少期から思春期にかけては、何をするにも汗のことばかり気にしていた記憶があり、常にタオルが手放せませんでした。</p><p>また、汗は単に不快なだけでなく、危険を伴うこともあります。私たちの団体の代表は、足裏の汗が原因で階段から滑ってしまい、尾てい骨にヒビが入るほどのけがを負ったことがありました。</p><p>井上：学校生活では、意外なところで苦労することもあるんです。私の場合は、家庭科の授業で裁縫ができなくて大変でした。縫っているうちに針も布もぬれてしまい、とても時間がかかってしまうので、先生に相談していました。</p><p>また、大学受験の時には事前に問い合わせをして、タオルの持ち込みを許可してもらう必要がありました。テスト用紙がぬれないように利き手の下に敷くためのものと、手の汗をぬぐうためのものを1教科につき2、3枚ずつ、1日10枚は持って行っていました。</p><p>許可はもらっていたものの、他の人と違うことをしているので、どうしても人の目が気になってしまうんです。</p><p>――仕事をするうえで困ったことはありますか。</p><p>福士：紙の資料を配るときや、名刺交換は気を使うので緊張します。新人の頃は、お客さんにお渡しする資料を汗でぬらしてしまい、先輩に怒られたこともありました。</p><p>井上：私はシステムエンジニア職で働いており、営業職に比べると直接人と接する機会が少ないため、精神的な負担は比較的少ないです。ただ、サーバーの電源を扱うときは、手に汗をかいていると感電する恐れがあるので、「大丈夫だろうか」と心配になります。</p><p>また、仕事で参加したセミナーで、2人で1台の端末を操作しなければならないことがあり、端末に汗がついてしまわないか不安になったことがありました。誰かと同じものを共有するのは、相手にどう思われるか分からないので緊張します。</p><p>――多汗症によって、就職先が狭められてしまうケースがあると聞きました。</p><p>福士：確かに、やりたくてもできないことはあります。</p><p>例えば、手の汗がひどければ精密機器を扱うのは難しいですし、美容師や医療従事者といった他人に触れる仕事をためらう人もいると思います。そもそも人の目が気になるのであれば、他人と接する仕事自体を避けてしまうかもしれません。</p><p>ただ、多汗症だからといって自分で可能性を制限せず、思い切って飛び込んでみるのもいいんじゃないかなと思います。汗をかいていると必要以上に周りの反応が気になってしまうものですが、意外と相手は気にしていないことも多いんですよね。</p><p>私は大学時代、飲食店でアルバイトをしていたのですが、よく店長から売上の集計と確認をするレジ締めを任せられていました。理由を聞くと、「お札を数えるのがうまいから」と言われたんです。</p><p>もちろん、周囲の理解は欠かせませんが、そんなふうに周りの人たちに多汗症であることを知ってもらい、特性として受け止めてもらうことで、疾患があっても自分らしくいられる場所が見つかるかもしれません。</p><p>――多汗症の治療法はあるのでしょうか。</p><p>福士：手と脇の症状に関しては、「外用抗コリン薬」という保険適用の汗を抑える外用薬があり、皮膚科で処方されています。全身の発汗を抑える内服薬もありますが、夏場に服用する際には熱中症になる恐れがあるため、注意が必要です。</p><p>保険適用外の薬剤もありますが、それぞれ効果には個人差がありますので、まずは多汗症の治療を行っている医療機関に相談してみてください。そもそも汗は体温調節に必要な機能なので、汗を拭くことで対処できるのであれば、無理に治療を受けなくてもよいといわれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/07-1024x571.jpeg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/08-1024x576.jpeg">多汗症の人は衣類の汗染みが気になり、着たい服が選べないこともある。特にグレーは汗が目立つため、着たくても避ける人が多い<h2 id="tnf-text-heading-block_35c6fbe2a94a569415d7a2a942e9fa9c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「たかが汗」では済まされない病気</h2><p>――NPO法人多汗症サポートグループを立ち上げた経緯を教えてください。</p><p>福士：団体が発足したのは2022年4月になります。それまでは多汗症を支援する団体はなく、当事者同士がつながれる機会もほとんどありませんでした。</p><p>日本人の10人に1人は多汗症といわれているのにもかかわらず、私自身、同じ悩みを持つ人に初めて出会ったのは40歳を超えてからでした。そうした状況を変えようと設立したのが当団体です。</p><p>私たちは多汗症に苦しむ人たちをサポートし、病気の認知度を上げるための情報発信や交流会の開催、グッズ販売などの活動をしており、現在は100人以上の会員がいます。</p><p>――交流会に参加した当事者の方たちからは、どのような反響がありましたか。</p><p>福士：「自分と同じ悩みを持つ人と初めて話した」「会えてよかった」という声が多いですね。誰にも言えず、一人で悩みを抱えており、涙を流す人もいました。仲間がいると分かったことで、「気持ちが楽になった」という方もいます。</p><p>――周囲の人たちに、多汗症であることを打ち明けられない人が多いのでしょうか。</p><p>井上：僕の場合、付き合いが長くなる人には、あらかじめ伝えるようにしています。働き始めてすぐに同じ職場の人たちには話したのですが、偶然、上司にも多汗症の人がいたので、すぐに病気を理解してもらえて心強かったです。</p><p>ただ、特に弊害がないのであれば、あえて自分から話そうとは思いません。おそらく、家族などの身近な人たちにしか伝えていない人が多いと思います。</p><p>福士：汗をかくのが“恥ずかしい”という思いがあり、人に話したくないという人は少なくありません。だからこそ、多汗症サポートグループでは当事者同士の交流会を開き、安心して話せる場をつくりたいと思っています。</p><p>実際、多汗症の人たちのなかには、周囲からの反応に傷ついた経験をしている人もたくさんいます。病気が理解されていないと、「なんで手がぬれているの？」「気持ち悪い」と心無い言葉をかけられてしまうことがあるからです。そうした言葉で傷つく人が一人でも少なくなるように、小さい頃からこの病気について知ってもらうことが大事だと考えています。</p><p>――教育現場や社会にはどんなことが求められていますか。</p><p>井上：多汗症によって、やりたくてもできないことや、難しいことがあることを知ってもらいたいです。</p><p>例えば、体育館で行う授業で裸足にならなければいけないとき、足裏の汗で滑って転んでしまうかもしれません。ルールだからといって例外を認めないのではなく、「危ないから靴下を履いてもいいよ」といった、個別の対応をしてもらえるといいなと思います。</p><p>多汗症は命に関わる病気ではありませんが、「たかが汗」で済まされるものではありません。汗によって日常生活で困ることがたくさんある。まずは、そのことを知ってもらいたいです。</p><p>福士：ここ数年で多汗症に対する認知は広がってきていますが、まだまだ説明が必要な病気であることに変わりはありません。</p><p>マスクをしている人がいたら「風邪を引いているのかな」と思うような感覚で、汗をたくさんかいている人や、常にタオルが手放せない人がいたら、「多汗症なのかな」と自然に受け止めてもらえる社会になってほしいと思います。</p><p>そうすれば、多汗症であっても制限を感じることなく、その人の本来の力を発揮できるようになるはずです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/09-1024x618.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/10-11-1024x390.jpg">福士さん考案の「汗らないシート」。特殊な紙で作られており、手の下に敷くことで汗を吸い取り、物を書くときに汗で紙がぬれることを防ぐことができる（※3）<h2 id="tnf-text-heading-block_6f35bf416f5d5d729b3cf74b7d6d1155" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多汗症の人たちが生きやすい社会にするために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、手掌多汗症をはじめとする多汗症の人たちにとって、自分らしく生きられる社会にするために、私たち一人一人ができることを福士さん、井上さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_aa56acbd8968650fb7565f5867e2fe43" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］多汗症でどんなことに困っているのかを知る</h2><p>手のひらや脇、足の裏、顔面などから大量の汗をかく多汗症は、“体質”ではなく“病気”であり、症状によって日常生活に多くの支障をきたしていることを知る</p><h2 id="tnf-text-heading-block_14af57c37e94d52e4354cded547fe6e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］安心して相談できる場所があることを広める</h2><p>多汗症に悩んでいる人がいたら、医療機関やNPO法人多汗症サポートグループが情報発信していることを知らせる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c05bfda61401f2b5ef2a6e5bbd587337" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］特別視するのではなく理解する</h2><p>多汗症を特別視するのではなく、当事者が日々の暮らしで困っていることに対して理解の目を向ける</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f0633ac017708e03830853185cd900de" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>日本人の10人に1人が悩んでいるとされる多汗症。それは決して珍しい病気ではなく、私たちの身近にも困っている人がいるということです。</p><p>福士さんは「単なる汗っかきと受け止められてしまうことがあるが、多汗症は暑くても寒くても汗をかく。当事者の方のなかには、特に夏は症状がひどくなると感じる方もいる」とおっしゃっていました。</p><p>取材を通して、多汗症の方たちがいかに日常生活で多くの困りごとを抱え、常に他人の目を気にしなければならない状況に置かれているのかを知りました。当事者の方が日々受けるそのストレスは、計り知れない精神的負担となっています。</p><p>この状況を当事者だけの問題にするのではなく、まずは私たちが多汗症について正しく理解し、社会全体としての受け止め方を変えていく必要があると感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_9635656761f803f5dee17e9ac08bf3b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.<a href="https://www.dermatol.or.jp/dermatol/wp-content/uploads/xoops/files/guideline/takansho2023.pdf" target="_blank" rel="noopener">「原発性局所多汗症診療ガイドライン2023年改訂版」｜公益社団法人日本皮膚科学会（外部リンク/PDF）</a>※2.<a href="https://npo-hsg.org/diagnosis/" target="_blank" rel="noopener">多汗症の診断｜NPO多汗症サポートグループ（外部リンク）</a>※3.<a href="https://takanshou.shopselect.net/items/76702729" target="_blank" rel="noopener">手汗で書類を書くときに！汗らないシート｜NPO多汗症サポートグループ（外部リンク）</a></div>    ]]>
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      <title>「人生の筋書き」が消えた世界をどう生きるか。18歳意識調査から読み解く若者の結婚・家族観</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124323/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Mon, 17 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>2025年11月から12月に日本財団が行った18歳意識調査 <a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2026/20260313-118792.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">第77回「価値観・ライフデザイン」（別タブで開く）</a>では、結婚や子どもなどの将来のライフデザインを具体的に描くことができずにいる若者の姿が見られました。</p><p>2022年12月に同じ内容で行った第52回調査と比較して、その迷いが一層広がっている様子がうかがえます。</p><p>「人生において大切にしたいこと」を3つまで尋ねたところ、前回調査から「家族」が7ポイント減少してトップから転落し、「自身の好きなことややりたいこと・趣味」がトップに変化しました。また、「恋愛」も6ポイント減少しました。</p><p>質問：あなたの人生において、大切にしたいと思っていることは何ですか。上位3つを選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_1.jpg"><p>将来については、結婚を「したい」「どちらかといえばしたい」と回答した割合が7ポイント、実際に結婚を「必ずすると思う」「たぶんすると思う」と回答した割合が6ポイント減少しました。</p><p>質問：あなたは、将来結婚したいと思いますか（事実婚を含む）。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第77回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>質問：あなたは、実際には、自分は将来結婚すると思いますか（事実婚を含む）。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_3.jpg"><p>同様に、子育てについては、将来子どもを「持ちたい」「どちらかといえば持ちたい」と回答した割合が7ポイント、実際に子どもを「必ず持つと思う」「たぶん持つと思う」と回答した割合は7ポイント減少しました。</p><p>質問：あなたは将来、子どもを持ちたいと思いますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_4.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第77回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>質問：あなたは、実際には、自分は将来、子どもを持つと思いますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_5.jpg"><p>「事実婚」「選択的夫婦別姓」「パートナーシップ宣誓制度」といった多様なパートナーシップのありかたについては、いずれも半数以上が「賛成である」「どちらかといえば賛成である」と回答しましたが、男女ともに、「賛成である」と回答した割合は前回調査から減少傾向でした。</p><p>質問：あなたは、事実婚、選択的夫婦別姓制度、パートナーシップ制度について、どのように考えますか。（「賛成である」「どちらかといえば賛成である」と答えた割合）（選択式・複数）</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_6.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_6-1024x251.jpg"></a>出典：日本財団18歳意識調査 第77回テーマ「価値観・ライフデザイン」<div id="tnf-text-notes-block_094d62e0834960c34fd15cbdd065abbe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1「事実婚」とは、婚姻届を提出せず、婚姻の意思をもって、共同生活を送ること※2.「選択的夫婦別姓制度」とは、希望する夫婦が結婚後にそれぞれの結婚前の氏を名乗ることも認めるもの。出典：法務省※3.「パートナーシップ宣誓制度」とは、各自治体が同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認め証明書を発行する制度のこと。出典：日本LGBTサポート協会</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>若者が、結婚や子育てなどのライフデザインを具体的に描きにくくなっている背景には、どのような変化があるのでしょうか。</p><p>家族社会学を研究されている、兵庫教育大学の永田夏来（ながた・なつき）先生にお話を伺いました。永田先生のご著書『生涯未婚時代』の中でも、結婚が「絶対にするもの」ではなくなったというライフコースの変化について分析されています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol17_7-681x1024.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_96ca5b87905903c040434feddb8ccdc1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「人生の筋書き」が消えた世界</h2><p>私の著書『生涯未婚時代』のなかで、年齢に応じた人生の筋書きが消失したことを指摘しました。</p><p>従来は、就職して、ある程度の年齢になったら結婚し、子どもを持ち…と、ほとんどの人が決まった順序でライフイベントを辿っていました。しかし現在では、生涯未婚率が上昇し、子どもを持たない人も珍しくなく、結婚や子どもは誰にも必ず訪れるイベントではなくなっています。</p><p>今回の調査で見られた若者の態度も、このような変化とよく合致しています。</p><p>「人生で大切にしたいこと（最大3つまで）」では前回の調査と比較して「家族」や「恋愛」の重要度が下がっており、若者が結婚を人生において必須のものとは感じなくなっていることがうかがえます。年齢に応じた筋書きが消失するなかで、「家族」の減少により「自身の好きなことややりたいこと・趣味」がトップになったように、自分自身への関心は残ることも納得です。</p><p>ただし、年齢に応じた人生の筋書きの消失は、必ずしも「誰もが自由に自分の人生を描けるようになった」というポジティブな意味ではないことに留意が必要です。</p><p>「家族」や「恋愛」の重要度が下がった一方で、「自身の好きなことややりたいこと・趣味」は増えてはいません。また、数字を注意深く見ていくと、各項目を選択した人の割合の合計が3年前よりも下がっており、3つまで複数選択できる中で、ひとりの回答者が選んだ選択肢の数の平均値が少なくなっていることがわかります。</p><p>「人生において大切にしたいこと」が少なくなっている、あるいは「大切にしたいこと」として表明しづらくなっているのではないかと推測します。加えて、報告書に掲載されている「人生において大切にしたいこと（1位として選んだもの）」では、家庭の社会経済的地位が最も低い層で「大切にしたいものはない」と答えた割合が突出して多い点も気になります。</p><p>人生の筋書きが消失する中で、地図のない世界に放り出され、目的地を定めることができずに戸惑う若者の姿が浮かびました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ebdab136688f129dce355a7afaa22ec0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">データが示す、結婚・子育てに対する男女の温度差</h2><p>3年前と比較して、結婚や子育てを希望する人や実際にすると思う人が減少しており、若者にとって結婚や子育てが人生設計の自明な前提ではなくなったことが表れています。</p><p>ここでも、結婚や子どもを希望すると答えた割合が減ったことを、選好の変化としてポジティブに捉えることには慎重にならなければなりません。</p><p>結婚・子育てともに、希望すると答えた割合が実際にすると思うと答えた割合を上回っており、希望はするけど叶わないと感じている若者が一定の割合で存在しているからです。また、報告書の中で指摘されているとおり、結婚を「必ずする」と見通せるかどうかが、家庭の社会経済的地位によって分かれることも見過ごせません。</p><p>特に男性では、結婚を「必ずする」「多分する」と答えた人が減った一方で、「わからない」が増えています。子どもについては、「わからない」に加えて「絶対に持たないと思う」も増加しています。結婚しない理由、子どもを持たない理由はいずれもパートナーの不在が筆頭で、自発的に結婚しない・子どもを持たないのではなく、相手がいないからできない・持てないという状況がうかがえます。</p><p>女性は、結婚を「必ずする」と答えた割合が変わらないまま、「したい」という希望だけが下がっており、結婚を必ず通過するライフイベントとは見なさなくなった一方で、現実的な選択肢として手元に置き続けているように見えます。</p><p>子どもに関する女性の態度は、読み方が難しいですね。「持たない」と答えた割合が増えたのに対し、子どもを持たない理由は軒並み減っています。子どもを持たないことを自ら選択する女性が増えた可能性もありますが、母数となる「持たない」層が増加したことでそれぞれの理由が薄まった可能性や、明確な理由を持たないまま「持たない」と考える女性が増えた可能性もあります。</p><p>この調査だけでは、「持たなくていい」のか、「持ちたいけど持てない」のかまでは読み切れません。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2b9a7b328058703cd336d5aa41796b38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">筋書きのない世界における「新しい家族のありかた」とは</h2><p>現在では共働き世帯が増え、離婚や再婚も珍しいことではありませんが、かつては夫が働き、妻が家庭を守る専業主婦世帯が主流で、夫婦は一生を添い遂げるのが一般的でした。こうした戦後に広まった家族のモデルを、家族社会学では「近代家族」と呼びます。</p><p>さらに遡り、農業が主流だった時代には、家業を軸に親世代と同居する暮らしが広く見られ、女性も労働力として農作業などを担っていました。このように、家族のあり方は社会の変化に応じて変わっていくもので、今後も時代にあった新しい形を考えていく必要があります。</p><p>新しい家族のあり方のひとつとして、今回の調査でも、多様なパートナーシップのあり方について尋ねています。「事実婚」「選択的夫婦別姓制度」「パートナーシップ宣誓制度」ともに、女性の方が男性よりも賛成する人が多く、男性の方が多様な家族の形に戸惑いを抱えている様子がうかがえます。</p><p>なお、男女ともに賛成する人の割合が前回調査よりも低くなっていますが、多様性への関心が低下しているわけではないと考えます。</p><p>前回の調査が行われた2022年は、選択的夫婦別姓や同性婚などの報道が盛り上がっていましたが、その後制度化は進んでいません。このような状況では、若者にとって「自分ごと」になりにくいでしょう。結婚が「するかしないかわからないもの」になったことで、争点としての重要度が下がったとも考えられます。</p><p>家族の機能という視点で考えると、近代家族においては、子育てや介護、心のよりどころや居場所など、多くの機能を家族が担うことが前提とされてきました。保育園や介護サービスなどの公的な制度もありますが、依然としてケアの機能は家族に集中しています。</p><p>このため、仮に多様なパートナーシップが結婚に代わる制度として認められたとしても、ケアが家族に押し込められている構造は変わらない点には注意が必要です。例えばSNSなどを介したつながりやシェアハウスなど、家族以外の人間関係が心のよりどころや居場所としての機能を担っている例は現にあり、こうした動きは今後ますます強くなっていくと思います。</p><p>それによって結婚が不要になるとまでは言い切れませんが、近代家族に押し込められていたケアの機能の代替が進み、分散されていくことを期待したいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_80acfd47848566a7d526bef836d5e882" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者の心のブレーキは社会を映す鏡</h2><p>結婚や家族に限らず、調査結果全体を通じて、「無理はしない」あるいは「本当はこうしたいけど諦める」といった若者の態度が読み取れることがとても気になりました。やはり、若者が夢を持ち、いろいろなことに挑戦できるようであってほしい。そのためには、失敗してももう一度やり直せる、寛容な社会でなければなりません。</p><p>若者は、今の社会に寛容さがないことを敏感に察知しているように見えます。報道やSNSなどで接する情報の影響もあるでしょうが、そもそも、日本の将来に明るい展望を抱きにくい状況はここ30年ほど続いているので、そのような時代を生きてきた親や学校の先生などの周りの大人の影響も大きいのではないでしょうか。</p><p>若者がもっと挑戦できる社会にすることや、多様な選択肢を認めることが本当に必要なのだという、社会に対する切実な問題提起として、この調査結果を受け止めるべきだと思います。</p>    ]]>
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      <title>【令和8年熊本地震】その寄付、誰に届く？ 「支援金」「義援金」の違いと使われ方のリアル</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124598/donation</link>
      <pubDate>Fri, 14 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「義援金」とは、被災者へ「現金」として直接届くお見舞い金。公平に配るため、手元に届くまで時間がかかる</li><li>「支援金」とは、NPOやボランティアの「今すぐ命や生活を守る活動」に使うお金。形を変えて迅速に被災地に届く</li><li>支援金、義援金の違いと、支援活動に必要な「コスト」の内訳を理解することが、善意を確実に届ける第一歩</li></ul><p></p><p>2026年7月28日、再び熊本を襲った大きな地震。連日報道される過酷な状況に胸を痛め、「今すぐ何か力になりたい」と寄付するための窓口を探している人も多いことでしょう。</p><p>そのとき、あなたは無意識のうちに「このお金は、今すぐ被災した方の手元に、直接現金として届くはずだ」と想像していませんか？</p><p>実は、その感覚と「実際の寄付の仕組み」とのズレが、近年のネットやSNSなどで見られる「寄付金が中抜きされている」「怪しい」といった不信感の引き金になっています。</p><p>災害時の寄付には大きく分けて「義援金」と「支援金」の2種類があり、お金の使われ方も、現地に届くスピードも全く異なります。どちらが良い・悪いではなく、「役割」が違うのです。</p><p>災害大国・日本において、「誰かを助けたい」という思いは、私たちが守るべき大切な文化です。だからこそ、あなたの大切なお金がどのような道筋をたどり、誰の助けになっているのか、その「本当の仕組み」を確かめてみませんか。</p><p>この記事では、支援金と義援金の違いから、誤解されがちな「中抜き（間接費）」の本当の役割までを紹介します。いざという時に納得のいく選択をするための「寄付のガイド」としてお役立てください。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e28aba549da56c2e0735bec9f7918a3a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">支援金と義援金、あなたのお金はどこへ行く？</h2><p>災害時の寄付には大きく2つのルートがあります（※1）。それぞれの役割を正しく知ることが、寄付の第一歩です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_21b7bd2155733850a89219d3ea1b45bd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「現金」として被災者に直接届く「義援金」</h3><p>義援金は、被災地の人々に直接配分される「お見舞い金」です。</p>使い道：被災者が生活再建や家財の購入など、自由に使える「現金」です。届くまでの時間：数カ月〜半年以上かかることがあります。仕組み：日本赤十字社や共同募金会を通じて集められ、自治体の「配分委員会（※2）」に預けられます。被害状況（全壊・半壊など）を正確に把握し、1円単位まで公平・平等に配る必要があるため、どうしても時間がかかってしまいます。<h3 id="tnf-text-heading-block_8ee48226c13a8da4e024663cd9c51315" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「命と生活」を今すぐ守る「支援金」</h3><p>支援金は、被災地で救助・復旧活動を行うNPOやボランティア団体に託す「活動資金」です。</p>使い道：炊き出し、医療チーム派遣、重機でのがれき撤去、仮設トイレ設置など、「今、目の前で困っていること」の解決に使われます。届くまでの時間：迅速（すぐに活用されます）。仕組み：被災者に直接「現金」が渡るわけではありません。しかし、そのお金は支援という「形」に変わって、いち早く被災地に届きます。<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/01/wha_pro_dis_inf_01-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4d2e8721e7bce5f83456e84e4fc76698" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜ「中抜きだ」「怪しい」と言われるのか</h2><p>災害が発生するたびに、被災地を支援しようと多くの寄付が寄せられます。しかし、寄付金の一部がNPOやボランティア団体などの活動にかかる「間接費」として充てられることに対し、「中抜きではないか」「不透明だ」といった声が上がることがあります。</p><p>なぜこうした疑問が生まれるのでしょうか？</p><p>今回は、寄付や社会的投資が広がる社会を目指して資金調達（ファンドレイジング）の専門人材の育成や寄付文化の普及に取り組む、認定NPO法人日本ファンドレイジング協会の宮下真美（みやした・まみ）さんにお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/08/miyashita.jpg">取材に応じていただいた日本ファンドレイジング協会の宮下真美さん<p>——なぜ、間接費に対し「怪しい」という声が上がるのでしょうか。</p><p>宮下さん（以下、敬称略）：間接費に対する疑問の声は、決して誰かの悪意から生まれているわけではありません。根底にあるのは、寄付をする方々の「困っている被災者に、少しでも多くのお金を直接届けてほしい」という純粋な願いです。</p><p>また、社会には「非営利活動やボランティアは、無償で行われるべきもの」というイメージが根強くあります。そのため、支援を「プロフェッショナルな活動」として捉え、そこに組織運営のためのコストが発生することに対して違和感を覚える方が多いのも自然なことです。</p><p>実は、この「間接費のジレンマ」は日本特有のものではなく、寄付文化が発展しているアメリカでも同様に議論され続けてきた歴史があります（※3）。寄付者の温かい思いと、支援団体が抱える現実的なコストの間に生じる「悪意なき認知のギャップ」が、こうした誤解を生んでいると言えます。</p><p>——被災地支援におけるNPOの重要性について、どのようにお考えですか。</p><p>宮下：発災直後から、消防や警察、自衛隊、自治体などの公的機関が人命救助や避難支援にあたる一方で、NPOも早い段階から現場に入り、それぞれの専門性を生かした支援を開始します。</p><p>公的機関には、広範な住民を対象に、公平性を確保しながら組織的に支援を届ける重要な役割があります。方や、NPOには、現場で生まれる多様なニーズを捉え、制度や組織の枠だけでは対応しにくい課題にも、柔軟かつ機動的に対応できる強みがあります。</p><p>特に災害支援を専門とするNPOのなかには、平時から訓練や備えを重ね、発災後早期に現地へ向かい、救助・医療活動や物資支援などを開始できる団体もあります。</p><p>例えば、空飛ぶ捜索医療団“ARROWS”（※4）を例にあげると、医師やレスキュー隊員らが航空機などを駆使し、いち早く被災地で救命・医療活動を行う民間組織です。</p><p>平時からの訓練や寄付による備えにより発災3時間以内の出動体制を目標とし、今回の熊本地震においても陸路と空路を駆使して当日の深夜には現地入りし、被害の全容がつかめないなか、被災者の捜索救助活動にあたりました。</p><p>また、NPOの役割は初動支援だけにとどまりません。多様な専門性を持つ団体が、子どもたちの心のケア、高齢者の孤立防止、ペットの保護など、長期間にわたるサポートを行います。公的な制度の狭間に落ちてしまいがちな少数派（マイノリティ）の人々にも寄り添い続けることができるのは、民間ならではの強みです。</p><p>——では、実際に間接費はどのようなものに使われているのでしょうか。</p><p>宮下：それは、支援活動を安全かつ確実に行うための「土台」となる費用として使われます。目的は多岐にわたりますが、例えば次のようなものが挙げられます。</p>機材の維持・管理：炊き出しの設備や救助用の重機などを平時から整え、適切にメンテナンスする費用専門人材の育成：もしもの時に備え、平時よりスタッフが災害対応の専門知識や技術を身につけるためのトレーニング費用組織のバックオフィス：寄付者の大切な資金を厳格に管理するシステムや、セキュリティ対策、オフィス維持などの運営費用<p>これらは一般の企業活動と何ら変わりません。質の高い支援を被災地に届けるためには、こうした目に見えにくい部分でのコストが必要不可欠なのです（※5）。</p><p>——もし「間接費」がなかったら、被災地の復旧・復興にどのような影響を及ぼすのでしょうか。</p><p>宮下：まず、平時からの備えやスタッフの訓練ができなくなるため、いざ災害が起きた際の「迅速な対応」が失われます。また、経験豊富な専門スタッフを雇用し続けることができず、中長期的な心のケアや、複雑な課題を抱える人々へのきめ細やかな支援が立ち行かなくなります。</p><p>結果として、公的な支援だけではカバーしきれない被災者の方々が取り残されてしまうリスクが高まります。</p><p>間接費は、支援団体が自らの利益にするためのものではなく、「支援を必要とする人へ、確実に、そして継続的にサポートを届けるための必要経費」です。</p><p>寄付をする側がこうした構造を知り、間接費の意義を理解すること。そして、支援団体側も「何にいくら必要なのか」を、透明性をもって丁寧に説明していくこと。これらの歩み寄りが不可欠です。双方が対等な関係を築くことで、私たちの寄付はより大きな力となり、被災地の未来を力強く支えていくはずです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/02/projects_r6noto_1.png"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/07/noto_training_1.jpg">全国の消防士を対象にした救助技術研修会の様子。プロのボランティアたちは被災地の命と生活を守るために、平時から知識や技術の研鑽を積んでいる<h2 id="tnf-text-heading-block_aae18107abb7edcbe1816c1729f66bb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">信頼できる寄付先をどう見極める？ 3つのチェックポイント</h2><p>では、本当に信頼できる寄付先をどのように選べばよいのでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_610d4f13c60c59eebf35a87ce46156b3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.「誰を・何を応援したいか」で選択する</h3><p>今すぐ現場で人命救助や炊き出しなどの支援を望むなら、NPOや、その活動資金を支える国・自治体、民間の助成財団や企業への「支援金」を。被災地の人たちに長期的な生活再建のための現金を届けたいなら、日本赤十字社や赤い羽根共同募金、地方自治体や金融機関の窓口で受け付けている「義援金」を選ぶとよいでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d2d1d38250be1b79d02a334f304b7b16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.透明性のカギは「監査」と「情報公開」</h3><p>「支援金」を選ぶ場合は、活動にかかった経費の内訳を隠さず、ウェブサイトや印刷物などで「活動報告」や「会計報告」を定期的に公開している団体を選ぶと安心です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_70a36e9ffef3d2a2a12f631f8a0d23d7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.助成財団や企業など「大規模機関」の審査・公開の仕組みを知る</h3><p>寄付先のNPOが信頼できるかどうかを、個人ですべて見極めるのは難しい場合もあります。その際、1つの指標となるのが「助成財団や企業の支援プログラムを経由しているか」という点です。</p><p>一般的な助成財団や企業の社会貢献部門では、集まった資金を現場のNPOに託す際、次のような厳格なプロセスを設けています。</p>事前審査：団体の財務状況、過去の活動実績、支援計画の妥当性を専門家がチェックする事後評価と使途報告：領収書の提出や詳細な活動報告を義務付け、適切に資金が使われたかを確認し、ウェブサイトや印刷物などで公開する監査：外部の専門家や独立した部門によって、資金の流れに不正や無駄がないかを厳しくチェックする<p>こうしたスキームによって、多くの助成機関が透明性を担保しています。</p><p>重要なのは、「第三者の厳しい目（審査・監査）が入り、その結果が公開される仕組みを持っている機関」を寄付の窓口として選ぶことです。それが、不確かな情報に惑わされず、あなたのお金を最も確実な形で被災地へ届けるための手段になります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d3ad02ed971e26435b61a7691f46deb7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">もしも自分が被災したら？ </h2><p>「寄付をする側」ではなく、ご自身が「被災した側」になったときのことも知っておきましょう。</p><p>万が一被災して避難所生活になった場合、真っ先に駆けつけて命や生活環境を守ってくれるのは、「支援金」によって動いているNPOやボランティア団体です。一方で、生活を立て直すための「義援金」を受け取るためには、自治体が発行する「罹災（りさい）証明書」の申請手続きが必要になります。</p><p>詳しくは日本財団ジャーナルの記事<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/93216/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「地震、水害、火災——もしも自宅が被災したら。生活再建で使える公的支援と申請の流れ」（別タブで開く）</a>で確認できます。</p><p>いざというとき、自分を助けてくれる資金がどこから、どのような形でやってくるのかを知っておくことは、とても心強い防災知識でもあります。ぜひ、参考にしてください。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_aafcb4774bcf1152f21a6a9ce093234d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害寄付の「よくある疑問（Q＆A）」</h2><p>ここでは、あらためてよくある疑問と回答をまとめました。</p><p>Q. 支援金は被災者に直接届かないのですか？</p><p>A. 「現金」としては届きませんが、炊き出し、仮設お風呂、医療支援といった「形を変えた支援」として、被災直後の最も苦しい時期に直接的な助けとなります。</p><p>Q. NPOへの寄付は中抜きされていると聞いて不安です。</p><p>A. 不正な搾取（本当の意味での中抜き）は論外ですが、多くの場合「中抜き」と誤解されているのは、現地へ赴くための交通費やプロのボランティアの人件費といった「活動に必要な経費（間接費）」です。会計報告をしっかり公開している団体を選べば心配ありません。</p><p>Q. 結局、義援金と支援金どちらに寄付すればいいですか？</p><p>A. どちらも被災地には欠かせないお金です。今すぐ被災地の人々の命と生活を助けたいなら「支援金」、長期的な生活再建のための現金を贈りたいなら「義援金」をおすすめします。迷った場合は、自分の「こう使ってほしい」という想いに近い方を選んでみてください。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ff6304bb33799e570b9fc2840ca1beee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>災害が起きるたび、ネット上ではさまざまな情報が飛び交います。なかには寄付を批判する声もありますが、その根底にあるのは「お金を正しく使ってほしい」という願いのはずです。</p><p>支援金と義援金の違いを知り、目に見えない「コスト」の重要性を理解することは、その願いを最も効果的な形で被災地へ届けるための第一歩。この記事が、あなたの温かい善意を迷いなく送り出すための後押しになることを願います。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_3c659db6e3343aaf7cd27f9c10c4b93c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h23/63/special_01.html" target="_blank" rel="noopener">特集 東日本大震災｜内閣府 防災情報のページ（外部リンク）</a>※2.「配分委員会」とは、寄付金や災害義援金などの資金を、公平かつ適切に配分・助成する目的で設置される審議・決定機関のこと※3.参考記事：<a href="https://ssir-j.org/the_nonprofit_starvation_cycle/" target="_blank" rel="noopener">非営利団体を悩ます「間接費」のジレンマ｜スタンフォード・ソーシャル・イノベーション・レビュー日本版（外部リンク）</a>※4.「空飛ぶ捜索医療団“ARROWS（アローズ）”」は、大規模災害の被災地にヘリコプターや航空機などを使っていち早く駆けつけ、救命・救助や医療支援を行う民間の災害緊急支援プロジェクト。<a href="https://arrows.peace-winds.org/" target="_blank" rel="noopener">公式サイト（外部リンク）</a>※5.参考記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101178/social_contributions" target="_blank" rel="noopener">仕事で培ったスキルで社会貢献ができる「プロボノ」が、社会に求められる理由｜日本財団ジャーナル（別タブで開く）</a></div>    ]]>
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      <title>若者の価値観から考える、個人の幸せな人生と地方創生を両立するヒント ～日本財団18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123951/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Thu, 13 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>少子高齢化社会において、地方創生は日本の最重要テーマの一つといえます。</p><p>ただでさえ減少している若者が地方から都市に流出し、地方の経済が縮小し、人手不足から生活インフラの維持も難しくなっています。他方、通信環境の整備や人工知能（AI）に代表される科学技術の発展、これらに支えられたリモートワークの拡大などで、人々の暮らし方や働き方は大きく変わりつつあります。</p><p>今後も急速に変化する社会において、次世代を担う若者は、暮らし方や働き方についてどのような価値観を持っているのでしょうか。日本財団が実施する18歳意識調査からヒントを探ってみましょう。</p><p>第52回テーマ<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2023/20230106-83751.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「価値観・ライフデザイン」（別タブで開く）</a>によれば、将来どこで暮らしたいかという質問に対し、男女とも8割以上が日本で暮らすことを希望しています。内訳をみると、大都市が4割弱、地方都市が3割強と、7割以上の若者が将来的には都市部で生活することを希望しているのです。</p><p>質問：あなたは、将来、どこで暮らしたいと考えますか。あなたの現在の考えにもっとも近いものを次の中から選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol12_1-1-1024x546.jpg"><p>若者が都市部で暮らしたいと考える背景の一つは、仕事であると推測できます。同じ調査によれば、地方部の若者を中心に、地方部で働くことの選択肢の少なさを指摘しています（出所：「価値観・教育（地域間比較調査）」）。</p><p>例えば、「自分が就きたい仕事がある」という設問に「同意しない」と回答した割合は、和歌山県（30パーセント）、鹿児島県（25パーセント）、山梨県・兵庫県・山形県（24パーセント）など、地方部を中心に多くなっています。また、「将来の選択肢が多い」に「同意しない」と回答した割合も同じく、和歌山県（36パーセント）、岩手県・徳島県（33パーセント）、山口県・山形県・高知県（32パーセント）など地方部を中心に多くなっています。</p><p>働き方についてみると、日本では2013年の「高年齢者雇用安定法」の改正により、企業には希望者全員に65歳までの雇用が義務付けられ、2021年4月からは、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務になるなど、働く年齢が延びる傾向にあります。</p><p>若者に聞いてみると、女性は15歳時点の居住地にかかわらず半数以上が、男性は三大都市圏に居住していた者は半数近くが、「働ける限り」働きたい、と回答しています（出所：「価値観・教育（地域間比較調査）」）。</p><p>質問：あなたは、自分が何歳まで働くと思いますか。最も近いものを選択してください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol12_2-1-1024x620.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>また、近年増えている新しい働き方に対する関心を聞いたところ、男女ともに、「兼業・副業・パラレルキャリア」に関心があると回答した人が6割前後に上りました（出所：第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」）。</p><p>先に取り上げた働く年齢に対する考えと合わせてみると、若者が先行き不透明な社会のなかで将来の暮らしや経済状況に不安を抱えているようにも見えてきます。</p><p>質問：あなたは、以下に示すキャリアや働き方に、どの程度関心がありますか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol12_3-1-1024x589.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_e1b97f6eb19ad308cc5e70afd63f1b4b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.兼業・副業とは、収入を増やすために、2つ以上の仕事を行うこと。パラレルキャリアとは、異なる経験を得るために2つ以上の仕事を行うこと※2.フリーランスとは、組織に所属せず、個人で仕事を得て生計を立てること※3.不労所得とは、投資からの収益などのように、一般的な労働を伴わずに、構築した仕組みや資産から生み出される収入のこと。不労所得生活とはこうして得たお金を使って生活することを指す※4.FIREとは、”Financial Independence, Retire Early”の頭文字を取ったもので、「経済的自立」と「早期リタイア」を意味する</div><p>先行き不透明な経済状況の中、私たち一人ひとりが幸せに生き、かつ地域や社会全体としても成立していくためには、どのような社会の在り方が考えられるのでしょうか。</p><p>その一つの解になると期待されているのが、「二拠点居住」です。二拠点居住の定義にはいくつかありますが、最近では、「主な生活拠点とは別の特定の地域に生活拠点（ホテル等も含む。）を設ける暮らし方」（国土交通省）といった定義がなされています。</p><p>国や自治体の目線から見ると、二地域居住の促進を通じて地方への人の流れを創出拡大することが期待でき、2024年11月には「広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律の一部を改正する法律」が施行されるなど、政策的な後押しが進んでいます。</p><p>他方、個人の目線から見ると、異なる地域で過ごすことで生まれる環境変化によりリフレッシュできたり、人的ネットワークが広がったり、災害時のリスクが軽減できたり、といったメリットがあるといわれています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>では、今後日本において二拠点居住は、人々の幸せな暮らしと地方創生の両方を実現する「魔法の杖」に、なりうるのでしょうか。</p><p>名古屋大学大学院国際開発研究科の佐藤峰（さとう・みね）准教授にお話を聞いてみました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E7%AC%AC12%E5%9B%9E_%E4%BD%90%E8%97%A4%E5%85%88%E7%94%9F-1.jpeg">佐藤峰准教授</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b45e933f383e46d099c1b3f0297f16fd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">調査結果への印象</h2><p>今回の調査の対象者は生まれてから今まで、経済的、社会的に不安が多い環境で育っています。その社会を映し取るように、地方も都市部も若者は閉塞感を持って生きているように感じます。不安が多い社会なので、どこに暮らそうが自分の周りを安全に保ちたいという意識が強いのではないでしょうか。</p><p>日々大学生と接していて思うのは、年々シールドが厚くなっている、コンフォートゾーンが狭くなっているということです。それは彼らのせいではないのですが、結果として若者の生きづらさにつながっているのではないでしょうか。</p><p>人口減少が進むと地方の社会サービスは崩壊していきます。病院へ行くのにも時間がかかりお産が間に合わず車の中で出産したという話も聞きますし、育児や教育の質も低下します。田舎は自然が豊かでよいといわれますが、気候変動の影響で漁業や農業も打撃を受けている現状もあります。</p><p>これらの課題に対して大人が戦っている姿が見えない場合、地方に暮らし続けることに若者が希望を持てないのも当然でしょう。</p><p>また、調査結果をみると「働ける限り働きたい」と多くの若者が考えているようですが、経済状況が悪いので働ける限り働く「以外」の選択肢がないというのが正しいのではないでしょうか。</p><p>身の回りを守ることに対する関心が強いため、昇進よりも定時で帰れるということを重視し、体を壊すまでは働かないというような、動物としての危機感を察知する能力は今までの日本人のなかでも最も強いかもしれません。</p><p>これはとても良いことであるとも思います。今の若者は「保守的」になるのがもっともである社会で育ってきているという傾向が調査結果にストレートに表れていると思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_deba8135c37d51a1adc0fab0361387af" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">二拠点居住・移住における自治体と移住者のギャップ</h2><p>2024年の調査では、東京圏の若者の45.6パーセントが地方移住に憧れると回答しています。他方で二拠点居住については納税していないにもかかわらず、他の拠点の公共サービスを利用することについての議論もあり、諸手を挙げて推進する自治体ばかりではありません。</p><p>国家レベルでは政策策定が進んでおり、東京都と近隣の県を中心に二拠点居住を推進していますが、期待ほどうまくいってはいないのではないでしょうか。地域住民としては自分たちの生活に直結する他の政策を実行してほしいし、自治体も二拠点居住よりも移住してもらいたいと考えているはずです。</p><p>二拠点居住はあくまでもホップ・ステップ・ジャンプの「ステップ」、つまり「ジャンプ（移住）」の前提であり、心から二拠点がウェルカムだという自治体は少ないでしょう。</p><p>二拠点居住者の層も、職種はIT関係、若い世代、子どもがいないもしくは小さい世帯など偏りがあります。また、きっかけも自治体のサービスに惹かれてきたわけではなく、人づてが多いようです。施策の充実よりも「コンシェルジュ（地元に導いてくれる存在や知り合い）」がいるかどうかが決め手になっているようです。</p><p>自治体は、地域を引っ張ってくれる存在になる若者がほしいのですが、若者は必ずしも現地に根づいて活動をするために来ているわけではなく、よい住環境（東京で暮らすより生活費が安くなるなど）を求めています。仕事とプライベートを分けたい、隠れ家的に来ているなど、自治体の理想と当事者の意図の格差が非常に大きいと思います。</p><p>自分自身のウェルビーイングを考えて来たという傾向が強く、地域のリーダーになろうとしている事例は想像よりずっと少ないのではないでしょうか。移住先に悪く思われないことは必要なため、地域行事に参加はするけれど、それ以上に地域で何かやりたい、という意思は自治体の期待ほどはないでしょう。</p><p>ですので、若者が来てくれればいいという見方だけでは政策が甘いなと感じています。二拠点居住を、自治体側は地方創生の手段、二拠点居住者側は自身のウェルビーイングの手段と考えており、両者には大きなギャップがあります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6f4c1594ff988c6e6575cf669377bb81" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">二拠点居住・移住を推進するには</h2><p>若者側が自治体側に歩み寄る必要を感じていないため、まずは若者が抱える気持ちや願望に寄り添う形のしくみづくりをするとよいのではないでしょうか。今の若者の多くが「今の生き方でいい」と考えているわけではありません。自分が心地よく安全に思えるスペースが狭かったら、生きていてしんどいでしょう。</p><p>ですので、若いうちからこのスペースを広げるような仕組みがあった方がよいと感じています。私はこれを、「エクスポージャー体験」と呼んでいるのですが、失敗してもよい環境で、「自分の外」に出ることができる経験ができる機会を増やすことです。</p><p>例えば、地域おこし協力隊に1年だけ行ったり、全学ゼミで有機農業に取り組んだり、あるいはワーキングホリデーに行ったりするなどの体験で、対応力を鍛えることです。自分の居場所やテリトリーだと思える場所が何カ所かある方が、人間は心身の可動域が広がります。</p><p>何より、他の場所から自分の居場所に戻ったときに、その場所や日々の自分の在り方を再評価することができるのではないでしょうか。</p><p>教え子のなかにも、大学時代に2週間、田舎に行くプログラムに参加したことをきっかけに、リピーターとしてその地域の関係人口になった卒業生がいます。この間久しぶりに会ったのですが、本当に成長していました。</p><p>あるいははじめは四季折々を楽しむための旅を通じて、それが関係人口になっていくような流れもあるでしょう。何かのきっかけで地域に入ってきた人たちがリピーターとして通えることが重要です。</p><p>このような取り組みは、自治体自らが行うよりも、設計や運営は民間などのイニシアティブに任せて、自治体は補助金を出すほうがうまく回るような気もします。きっかけとなるプログラムに関する情報への導線づくりも課題ですが、関係人口を増やすためには、このあたりの“入りやすさ“に取り組むことが重要ではないでしょうか。</p><p>若者が二拠点居住や移住を考える際、仕事・住居・人脈・物理的な距離という実現可能性を左右するさまざまな要因があります。しかしながら、実際に二拠点居住や移住をしている人の情報を、悩みも含めてリアルに知ることができる機会は案外ありません。住んでいる人の様子や暮らしの中で必要なライフハックのような情報も内部者には当たり前の情報すぎてSNSには載りません。</p><p>他地域からの移住者は「よそ者」であるため、新しく移住を検討している人に役立ちそうなこうした情報や、困難を含めたリアルな現状をよく知っています。その人たちと移住を検討する人々をもっと直につなぐ仕組みがあると理想的だと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7d3ed3a2d4c64b847c53ec42a7f51e80" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">異質なものとの摩擦の重要性</h2><p>二拠点居住を実践したとしても最終的にはどこかに拠点を定める人が多く、死ぬまで二拠点居住を続ける人はほとんどいません。車が運転できなくなったら生活できない、といったように、地方で生活することの大変さはあります。</p><p>そう思うとき、政府や自治体が考える「二拠点居住からの移住」というシナリオの現実味があまりないと思います。その意味でも、移住や二拠点居住にこだわらず関係人口を広げることが大切であり、これは若者にとっても意味があるのではないでしょうか。なぜなら自分が慣れたスペースを出ることで、自分を広げることができるからです。</p><p>例えば海外に行くと、計画的に物事が進むことのほうが少なく、予期しないことばかり起こります。自分のスペースから出ることがなければ、予期できない経験をすることもなく、その結果、予期できないことに対処する力も身に付きません。予期できないことに対処する力は、生命力につながります。</p><p>リモートワークでは、例えば会議中でも時間が来たらボタン一つで会議を終えるということができるといったように、ほとんどの物事が計画的に進みます。ワークライフバランスの点では良いことも多いですが、悪い点も同じくらいあると感じます。</p><p>世界の大半の物事が計画通りに進むものではないことを分からないまま大人になると、自分の理想や「こうでないと嫌」という考えと現実の間にギャップができてしまい、心身に影響をきたすことも多いのではないでしょうか。</p><p>他方で、受け手にとっても、外部からの人間を受け入れることはコストのように思えるかもしれないですが、ずっと同じ場所で同じ人たちとの会話ばかりではなく、そうでない人たちとの会話をするほうが考え方も活性化します。</p><p>「お互いがお互いの思考に風穴をあける」ようなコミュニケーション、「社会の風通しをよくするやり取り」は重要であり、コミュニケーション能力はそういうふうにしか育たないのではないでしょうか。「異質なものと対面したときのほどよい摩擦」が定期的にあるということは、人が健やかにしなやかに暮らしていくために、今いわれている数倍は大事なのではないかと、私自身の経験を振り返っても実感しています。</p><p>異質な世界と関わることには、不快な経験も含まれることも多いです。その場合でも、嫌なことがあったときに何が嫌だったのかを振り返ることも自分がどういう人かを考えるヒントになると思っています。</p><p>今、セルフリフレクション（内省）をしなくていいような社会の設計になっていますが、これだとキレやすい人を増やすことになってしまう気がします。振り返ることで自分の課題が見えたり、反対に、意外と自分はここまでやれるんだという意外な発見もあったりします。</p><p>「くらし」は計画・実行・評価のサイクルではなく、こうすれば全部できるというものではないですが、都市ではそれができてしまうと錯覚しがちです。都会に住む人は、都市化していない主体と身体、都市化でないモードを自分の中に持ち、ままならないことが前提の環境に身を置き、どう折り合いをつけていけるかを、クリエイティブに楽しんだら良いのではないでしょうか。</p><p>そのための一つの窓が、二拠点居住や関係人口としての長期的な関わりであるかと思います。最初は「大学の単位取得のため」といった理由でもよいが、今後はもっと若者がこうした経験をしていけると、何よりも若者のウェルビーイングのためにも、現在の日本社会の閉塞感を軽減するためにも鍵になると考えています。</p> 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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>世界の物流を支える船も脱炭素化へ。実用化が進むゼロエミッション船の現在地</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124360/sustainable</link>
      <pubDate>Wed, 12 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>ゼロエミッション船とは、CO2排出ゼロを目指して開発が進められている次世代の船。水素エンジン船は実用化済み</li><li>ゼロエミッション船の普及には、水素供給のインフラ整備やコスト面が大きな課題</li><li>持続可能な物流の実現には、「速さ、安さ」だけではない価値観への転換も求められる</li></ul><p></p><p>毎日の食卓に並ぶ食料、スマートフォンの部品、海外アーティストのグッズ。私たちの身近にある輸入品やその原材料、石油やガスなどのエネルギー資源の多くは、船で運ばれてきています。世界の物流の大半を担う海上輸送は、私たちの暮らしを支える重要なインフラです。</p><p>一方で、船の燃料の多くは重油などの化石燃料であり、海運にも脱炭素化が求められています。さらに海運業界には「船ならではの特殊な事情」もあり、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、実はもうほとんど時間が残されていないのが現状です。</p><p>こうした課題の解決に向け、水素エンジンを用いたゼロエミッション船の開発を進めているのが、日本財団が助成を行っている<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/zeroemission2050/consortium02" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「水素エンジンゼロエミッション船実証運航コンソーシアム」（別タブで開く）</a>です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi00005.jpg"><p>今回はこのコンソーシアムの代表会社である<a href="https://jpnh2ydro.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ジャパンハイドロ株式会社（外部リンク）</a>のCEO、青沼裕（あおぬま・ゆう）さんにお話を伺い、ゼロエミッション船の現在地に迫ります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a3739b27e53d5b62c10549ce8a3416ce" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">寿命、納品までの長さ。海運の脱炭素化が急がれる理由</h2><p>――なぜ今、船の脱炭素化は急務となっているのでしょうか。</p><p>青沼さん（以下、敬称略）：船も自動車や飛行機と同じように、動かすためにはエネルギー源が必要です。しかし、実は船はもともと非常にエネルギー効率が高い「エコな輸送媒体」でした。浮力を活かして大量の荷物を一度に運ぶことができるため、同じ重さの荷物を運ぶ際に排出されるCO2は、飛行機のおよそ20分の1ともいわれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi00002.jpg">取材に応じる青沼さん<p>青沼：さらに、海運では長年、石油製品の中でももっとも質の低い「C重油」が使われてきました。C重油は、原油からさまざまな石油製品を精製したあとに残る燃料で、他に用途がほとんどありません。</p><p>そのため、「もともと環境負荷が小さい輸送手段なのだから、この燃料を有効活用すればよい」という考え方が強く、脱炭素化の取り組みは後回しになってきた側面があります。</p><p>しかし、C重油も化石燃料である以上、燃焼すればCO2を排出します。世界全体のCO2排出量に占める海上輸送の割合は2〜3パーセントと一見小さく見えますが、世界の物流の約8割は船が担っています。</p><p>つまり、輸送全体を脱炭素化するためには、船の脱炭素化は避けて通れません。そのため、CO2を排出しない「ゼロエミッション船」の開発が急がれているわけです。</p><p>――ジャパンハイドロでは、ゼロエミッション船に向けてどのような取り組みを行っているのでしょうか。</p><p>青沼：私たちは、機械の内部で燃料を燃やして運動エネルギーを得る「内燃機関」、いわゆる一般的なエンジンを活用した水素エンジンを採用しています。ゼロエミッションを実現する上で重視しているのは、今すぐ使える現実的な技術であること。</p><p>もちろんこれまでとは全く異なる夢のような技術を開発することも、長い目でみれば必要だと思いますし、否定するものではありません。ただ、地球温暖化は差し迫った問題であり、船ならではの時間的な制約があるため、我々は明日にでも貨物や人を運べるゼロエミッション船を目指してきました。</p><p>その実現への最短ルートが、水素エンジンだという考えです。</p><p>――船ならではの制約とはなんでしょうか。</p><p>青沼：船の寿命は15〜20年と長い上に、発注してから完成するまでに早くても2年、一般的には3～4年ほどかかります。その上、1年間に建造できる隻数も限られているため、世界中で稼働してる船舶を更新するには長い期間がかかります。</p><p>2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2020年に作成された国土交通省のロードマップでは、2028年頃にはゼロエミッション船の普及が始まっている必要があるとされていました。そう考えると、もうほとんど時間が残されていないのです。</p><p>現在、船の99パーセント以上は内燃機関で動いています。既存のエンジン技術やサプライチェーンを活用できるだけでなく、船員にとっても扱い慣れた仕組みであるため、水素エンジンは実現性や使い勝手の面でもっとも合理的な選択だと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7c995e382560cfa7da7505114d5212e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">LNG、メタノール、アンモニア。代替燃料のさまざまな種類</h2><p>――自動車ではモーターを使ったEV（電気自動車）が普及しています。船でも同じような仕組みを採用することはできないのでしょうか。</p><p>青沼：可能か不可能かでいえば可能ですが、要は技術的な相性の問題です。</p><p>一般的にエンジンは大型化するほど効率が高まる一方、モーターは比較的小型・軽量なものに適した特性があるんです。全長200〜300メートル級の大型船を動かすには、エンジンのほうが圧倒的に適しています。また、長時間安定的に低燃費で運転することもエンジンの得意分野であり、船舶との相性が優れているポイントです。</p><p>そのため私たちは、脱炭素を目指すからといって、極めて限られた時間軸において動力源まで大きく変える必要はないと考えています。船舶との相性や実用性を踏まえると、既存のエンジン生産のサプライチェーンや運用・保守の人材など長年エンジンを支えてきたアセットを活かせる水素エンジンが、もっとも現実的な選択肢だと考えているんです。</p><p>――そもそも重油以外にはどのような推進エネルギーの選択肢があり、それぞれどのような特徴があるのでしょうか。</p><p>青沼：代替燃料には、LNG（液化天然ガス）、メタノール、アンモニア、水素、電気など、さまざまな選択肢があります。</p><p>LNGはすでに導入が進んでいますが、化石燃料であるため、CO2排出をゼロにはできません。メタノールは常温で液体のため取り扱いやすく、既存のインフラを活用しやすいという利点があります。</p><p>一方で、十分な脱炭素効果を得るには再生可能エネルギー由来の「グリーンメタノール」を使う必要があり、燃料の生産量やコストには課題があります。アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないが、毒性が強く、小型船や一般の人が利用する港で扱うには安全面で課題があります。</p><p>その点、水素は毒性がなく、水を電気分解するという比較的シンプルな方法で製造することが可能です。将来的にコスト低減の余地も大きいことから、小型船の分野では有力な次世代燃料だと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bc2df102df30f57182c0af02f60ae3bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">最大の課題は技術面ではなくコスト</h2><p>――水素エンジンはどのようにして開発されたのでしょうか。</p><p>青沼：ゼロベースで水素専用のエンジンを開発するのではなく、既存のディーゼルエンジンをベースに、燃料を水素へ置き換えるというアプローチを選びました。</p><p>ジャパンハイドロは造船会社である常石グループとベルギーの海運会社であるCMBの技術部門が共同で設立した会社ですが、次世代の船は私たちだけでは造れません。水素タンクや配管、水素供給など、それぞれの専門分野を担う企業にも声をかけ、私たちのビジョンに共感してくださった皆さんとコンソーシアムを組んで開発を進めてきました。</p><p>また、いきなり完成形を目指したわけではなく、実証を重ねながら一歩ずつ技術を磨き、段階的に実用化へ近づけてきました。</p><p>――実際、ゼロエミッション船の実装はどの段階まできているのでしょうか。</p><p>青沼：第1段階として、水素エンジンを搭載した発電機を開発し、水素エンジンの特性を検証しました。</p><p>続く第2段階では、水素と既存燃料を併用する「水素混焼エンジン」を搭載したタグボート「天歐（てんおう）」を開発し、水素混焼エンジンや水素タンクを安全基準などに適合した船舶として成立させるためのパッケージング技術を確立しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi00004.jpg"><p>青沼：現在は最終段階として、これまでに得た知見や技術をフル活用して、水素専焼エンジンを搭載したゼロエミッション・カーフェリーの建造に着手しており、東京湾フェリーの久里浜から金谷航路への導入を予定していて、2027年末の完成を目指しているところです。</p><p>また、船だけではなく、水素を供給するインフラ整備も進めています。2024年には、広島県福山市に「水素エンジンR&amp;Dセンター」を開所しました。同センターは、水素エンジンの開発から水素の貯蔵、船舶への充填までを一気通貫で行える研究開発拠点で、造船工場の敷地内に建設されるのは世界初とされています。</p><p>さらに海に浮かび、移設も可能な洋上水素ステーションも2026年夏に完成予定です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi000028.jpg">2024年9月に完成した「水素エンジンR&amp;Dセンター」。水素エンジンの性能試験や認証取得が可能な試験設備も備える。画像提供：ジャパンハイドロ株式会社<p>――ゼロエミッション船の開発や本格的な実用化においての課題はありますか。</p><p>青沼：実用化の先の普及フェーズにおいては、CO2を排出せずに製造される「グリーン水素」を低コストで大量に安定して製造できるようになることです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi00009.jpg"><p>青沼：さらに、これまでは「水素を使う船がないから製造する場所が増えない、製造する場所が増えないから水素を使う船を造れない」というジレンマがあり、いわゆる「鶏が先か、卵が先」かという状態でした。そこで私たちは使う側からまず一歩を踏み出そうと考え、開発を進めてきました。</p><p>しかし、最終的な課題は技術ではありません。</p><p>――どんな点でしょうか。</p><p>青沼：一番大きな課題は社会全体でのコスト負担受容の意識です。船の建造コストについては、私たちが開発している水素エンジンは、他のゼロエミッション技術と比べればシンプルな構造で、低コスト化できる自信があります。それでも、現在の船より安くすることは現実的な目標ではありません。</p><p>次に水素燃料の製造コストについてですが、これまで船の燃料として使われてきたC重油が石油を精製して最後に残る燃料であるのに対し、グリーン水素などのクリーン燃料は多くの手間とエネルギーをかけて製造されます。したがって、従来燃料と同じ価格を期待することはやはり現実的ではありません。</p><p>つまり、脱炭素にはコストが必ずかかります。その事実を社会全体で受け止め、「どこまでなら負担できるのか」を考えていくことが必要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/zeroemi00001.jpg">船の脱炭素化の普及には、一人一人の意識が重要だと話す青沼さん<p>青沼：補助金も1つの方法ですが、その財源も最終的には私たちの税金です。企業だけに「開発もコスト削減も自腹で頑張ってほしい」と求めるだけでは、普及は進みません。</p><p>受益者・消費者が一定のコストを負担することで、脱炭素はビジネスとして成り立ちます。その利益を次の技術開発へ投資できれば、参入する企業も増え、最終的にはコストも下がっていくはずですし、日本がスピード感をもってそういったビジネスサイクルを確立できれば世界の脱炭素ビジネスをリードできるようになります。</p><p>脱炭素を助成も含めて持続可能なビジネスとして周回遅れにならないようスピード感をもって成長させることが、普及には非常に重要だと考えています。</p><p>――ゼロエミッション船が普及することで、CO2の排出を抑える以外に、社会にはどのようなメリットがあるのでしょうか。</p><p>青沼：私は船舶と港を脱炭素化すると、その周囲の脱炭素化にも大きく寄与すると考えています。</p><p>船は自動車などに比べて毎日大量の燃料を消費するため、水素ステーションにとって非常に大きな需要になります。バスやトラックだけを相手にするよりも、船が利用することで水素ステーションの経営は安定し、水素インフラそのものが広がりやすくなるはずです。</p><p>さらに、水素は軽くてかさばるという性質を持っているため、遠くまで運ぶよりも、輸入したり製造したりした港でそのまま使うのがもっとも効率的です。</p><p>つまり、港が水素供給のハブとなり、その周辺にも水素利用が広がっていく。そんな「水素の港町」が実現できるのではないかと思っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b9a3805a60d7d702a9fde97a6084c066" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来のクリーンな海と物流のために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、未来のクリーンな海と物流を実現するために、私たち一人一人ができることを青沼さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5addd08b51f01c1fa8d690a3fdfd652a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］海運を自分ごととして捉え、興味を持つ</h2><p>私たちが普段から使っている電気や食料、日用品、海外から届く商品など、多くのものは船で運ばれています。海運は私たちの暮らしを支える欠かせないインフラですから、船の脱炭素化も自分たちの生活につながる課題として関心を持つことが重要です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e27d77ee76110f893fec8dbdbd151ed3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「速さ、安さ」だけではない価値を考える</h2><p>ゼロエミッション船の普及にはどうしてもコストがかかります。物流に速さと安さだけを求めるのではなく、本当にそれが必要なのかを考え直すことも必要だと思います。多少時間やコストがかかっても、環境に配慮した輸送を選ぶという価値観が広がれば、持続可能な物流の実現につながるのではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0c97982ae56b4194042d1422613c673d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>私たちの暮らしは、物価高などの影響もあり、決して余裕があるとはいえません。少しでも「速い、安い」という選択肢を求めたくなるのも自然なことではないでしょうか。</p><p>そんな率直な思いを伝えると、青沼さんは「でも、最終的には私たち自身の命や生活を脅かすことにつながっています。時間はかかっても、クリーンな物流を選ぶ方が増えていくのではないでしょうか」と話してくれました。</p><p>すぐに全てを変えることは難しくても、少し時間がかかっても環境にやさしい物流をときには選んでみる。そんな一歩から持続可能な物流や社会は生まれていきます。船の脱炭素化は、船業界だけの課題ではありません。私たちがどんな未来を選び、どんな社会を次の世代へ残したいのか。その問いは、私たち一人一人に投げかけられていると感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><p><a href="https://jpnh2ydro.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ジャパンハイドロ株式会社 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>結婚・子育てについて若者はどう考えているか？ ～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123881/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Mon, 10 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団18歳意識調査 第52回テーマ<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2023/20230106-83751.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「価値観・ライフデザイン」（別タブで開く）</a>は、将来の結婚・子育てについての若者の不安を明らかにしています。</p><p>「将来結婚したい」と回答した人は約7割でしたが、「実際に結婚すると思う」と回答した人は半数程度でした。</p><p>質問：あなたは、将来結婚したいと思いますか（事実婚を含む）。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_1-1024x461.jpg"><p>質問：あなたは、実際には、自分は将来結婚すると思いますか（事実婚を含む）。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_2-1024x462.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>将来結婚しないと思う理由について聞くと、男性では「恋人・パートナーがいないから／見つからないと思うから」、女性では「1人でいるほうが、精神的な負担が少ないから」と回答が最多でした。</p><p>また女性では「自由を失いたくない」「子どもを育てたいと思っていない」との回答も男性より多い結果となりました。男性よりも女性のほうが、結婚に対する不安を強く感じているのではないかと考えられます。</p><p>質問：自分が将来結婚しないと思う理由として、あてはまるものを全て選んでください。（選択式・複数）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_3-1024x895.jpg"><p>子育てについても同様の傾向が見られます。約6割が「将来子どもを持ちたい」と回答していますが、「実際に子どもを持つと思う」と回答したのは4割台に留まりました。</p><p>女性では「将来子どもを持ちたくない」と回答した人が約15パーセントを占め、男性よりも約5ポイント多い結果となりました。</p><p>質問：あなたは将来、子どもを持ちたいと思いますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_4-1024x461.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>質問：あなたは、実際には、自分は将来、子どもを持つと思いますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_5-1024x463.jpg"><p>子どもを持つ上での障壁としては、男女とも「金銭的な負担」と「仕事との両立」がトップでした。女性では「時間的な負担」以外のすべての項目で男性を上回っており、結婚だけでなく子育てにおいても、女性のほうが負担感を強く感じていることが明らかになりました。</p><p>質問：あなたが将来、子どもを持つにあたって、特に障壁となる可能性が高いと思うものを、次の中からいくつでも選んでください。（選択式・複数）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_6-1024x731.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>また、自分の世代と比べて、今年（2022年）生まれる子どもの将来は「豊かになる」と回答したのは、男性では約3割、女性では約2割に留まっており、次の世代に対する希望よりも経済的な不安が結婚や子育てに影響を与えている可能性があります。</p><p>質問：今年生まれる子どもの将来は、現在18歳前後のあなた方の世代と比べ、経済的にどのようになると思いますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_7-1024x438.jpg"><p>結婚・子育てに対して不安は、少子化の一因となっていると考えられます。日本財団の調査では、7割以上が少子高齢化に「危機感を感じる」と回答している一方で、現状の政府の対応については「不十分である」との回答が約8割を占めており、若い世代としても深刻な問題として捉えていると思われます。</p><p>質問：日本における出生数は2020年に84万人となり過去最少を記録する一方、65歳以上人口は2020年に28.9パーセントであり、増加傾向にあります。こうした状況を踏まえ、あなたは少子高齢化について、どう感じますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_8-1024x467.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第52回テーマ「価値観・ライフデザイン」<p>質問：あなたは、少子高齢化に対する現在の政府の対応をどのように考えますか。（選択式・単一）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol11_9-1024x445.jpg"><p>本調査が行われた1年後の2023年12月、政府は「こども未来戦略」を閣議決定し、「若者・子育て世代の所得を増やす」「社会全体の構造や意識を変える」「すべてのこどもと子育て世代をライフステージに応じて切れ目なく支援していく」を基本理念として少子化対策を推進しています。</p><p>若者は、政府の対応についてどのように感じているのでしょうか。ジェンダー平等の実現に向けて活動し、若者のリアルな声に詳しい一般社団法人GENCOURAGE代表理事の櫻井彩乃（さくらい・あやの）さんにお話をお聞きしました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_819bebcdc1d8715c325494983ad271f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分の将来に希望が持てない状況で、「誰かと一緒に生きる」のを想像できない</h2><p>日本財団の結果を拝見し、「そうだろうな」というのが率直な感想である。結婚へのネガティブな感覚は首都圏の若者特有のものだと思っていたが、さまざまな学校や地域に伺い話を聞く中で、地方も同様であることが分かっている。</p><p>話を聞いた若者からは、「未来に対して希望を抱くことができない」という声が多かった。結婚や子育てが、希望を抱けない一つの要素になっていると考えている。</p><p>特に女性の方が結婚や子育てについてネガティブなイメージを持っており、自由や時間が奪われたり、ケア労働の負担が女性の方が大きかったり、かつ、ケア労働を担いながら働かなくてはならなかったり、という状況を、家族やSNS、ニュース等で見ているからこそ、結婚や子どもは望むけど、実際には厳しいと言う人が多いのかもしれない。</p><p>つまり、子どもや結婚を望む人は一定数いるが、未来に対して希望を見い出せないという状況である。</p><p>別の声として、「結婚はまだしも、その先の子どもはコスト」や「子どもは人生最大のリスク」と言う人もいた。また、女性は特に、「子育てか仕事のどちらかを選ばなきゃいけない」と思っている人も多く、実際にも、まだまだ子育てと仕事を天秤に掛けざるを得ない状況だと思う。</p><p>20歳代、30歳代に年齢が上がるにつれて、その状況を実感する人が増えると思うが、そういう現実をSNSで目の当たりにして、「やはり子育ては難しいんだ」「やっぱり自分の人生を生きられなくなる」「子育てはお金がかかりすぎる」と思ってしまっている。</p><p>結婚や子育てを難しいと考える背景の一つとして、奨学金の問題が大きい。返し終わる時期と子育ての時期が重なるため、借金を抱えながらの子育てとなり、時間やお金、心の余裕がなくなるのではないか、と若者が思っているということが、本調査の結果に表れているのかもしれない。</p><p>これまでは、結婚や出産が当たり前だったが、それが当たり前でなくなってさまざまな選択肢が出てきている、もしくは、選択できなくなっている、ということかもしれない。</p><p>「働いて、結婚して、子どもを持つ」というのを当たり前だと思っている大学生でも、「奨学金があるから無理」や「結婚や子どもは選択肢から外している」と言っている人がいて驚いている。学歴にも相関があるのかもしれないが、日本全体として価値観の変化が生じているように感じる。</p><p>そもそも自分個人の将来に希望が持てない状況で、「誰かと一緒に生きる」や「家族が増える」、というのが想像できないのは仕方のないように感じる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5e7b94f9a83058c41ee5bdfb46a830bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若い世代の価値観やニーズに合わせたサポートが不足している</h2><p>最近、就職活動中の男性から「男性でも子育てができる会社をどうやって選んだら良いか」という相談を受けることが多い。「お父さんみたいに生きたくない」と思う男性学生が多いようだ。</p><p>お父さんが仕事を頑張ってくれたおかげで今の生活がある、ということは認識しつつも、「何かの瞬間に立ち会っていない」「子育てに関わっていない」といった意識から、「自分はそういう生き方をしたくない」と考えているようだ。</p><p>また、ワークショップでも、「自分がケアワークを担うんだ」という意識を男性から感じることもある。「子どもを望むのであれば、ケアワークを女性に任せるのではなく自分もやる」という意思の表れであり、上の世代と比較し良い変化である。さまざまなメディアで男性育休が取り上げられている効果かもしれない。</p><p>しかし、男性の「ケアワークに関わりたい」というニーズと、社会側の準備状況がまだまだマッチしてないのが現状である。</p><p>さまざまな政策担当者と話をするなかで、「子育て支援により子育て世代がいきいきと子どもを育てることができれば、若い人も希望を持てるだろう」という人もいる。</p><p>確かに、今18歳の人は希望を持てるかもしれないが、すでに結婚や子育てにネガティブなイメージを持っていて、結婚等を選択できていない、いわゆる”適齢期”の人たちにとっては、子育て支援策だけだと不十分である。</p><p>働き方や経済的な問題に加えて、特に男性は、「自分が養わなくてはいけない」と思っている人もいるため、非正規雇用から正規雇用に変更できる仕組みづくりや、キャリアか子どもかを選ばなくても良いような支援が必要となる。</p><p>「共働き・共育て」といった耳触りの良いワードは打ち出されているが、まだまだ実態を伴っていないと思う。「子育てが本当にできるのか」と思っている人に対して、政府として「こういうサポートがある」「こんな未来がある」と示すことはできていないのである。</p><p>「2030年までがラストチャンス」と国は言っているが、のんびりしており危機感のない目標である、と感じている。もう少し、子育て世代のニーズを汲み取りつつ、子育てしていない人のニーズも洗い出して、丁寧に分析しながら、新たな取り組みを検討する必要がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e0dfcd68ad194a3174ff289f82518629" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者のライフスタイルや価値観も多様化している。さまざまな生き方の選択肢の提示を</h2><p>若者のなかでも差が生まれている気がする。雇用、学歴、男女差、地域に加えて、交差性的な障害などの要素によって、得られるチャンスは全く異なるものになり、生き方にもグラデーションが出る。今後もその差は開き続けると思っている。</p><p>さまざまな人生の選択肢を選べるようになったと同時に、一方でそれができない人もいる、という状況である。地方でさまざまな選択肢を選べないと感じた人は、首都圏に出て行くことが多い。</p><p>ジェンカレのサービスを提供するなかでも、地域による機会格差は非常に感じている。国の男女共同参画局では、「男性側にバイアスがあるのではないか」という仮説のもと、地方と首都圏で差が出ると想定して調査をしたのだが、結果的には首都圏と地方で差は出なかった。</p><p>地方の方が「自分は働いて、パートナーは家事」のようなステレオタイプが多いのかと想定したが、そうではなく、首都圏のお金持ちや自営業の人の方が、上記ステレオタイプに当てはまる人が多い結果となった。それ以外の人々は、「一緒に働き、一緒に育てる」という感覚を持つ人が多く見られた。</p><p>SNSで良い影響を受けることができれば、若者も選択肢が広がるのかもしれない。男性も子育てや育休など、さまざまな生き方の選択肢があるはずで、オンラインツールを活用してうまく届けられると良い。</p><p>中学生や高校生に子育て体験をしてもらう、というプログラムを国がやっている。アメリカの調査だと、本プログラムにより意図しない妊娠が増える、という結果もあるので、良いのかどうかは一概にいえないが、「さまざまな人生がある」「そしてそれを選択できる」と示すのは良いことである。</p><p>「ライフ・キャリア」をより充実させていくのは重要であり、現在国や自治体が進めるキャリア教育は、固定的な性別や役割分担意識が強めな部分もあるので、そのあたりが改善されていくと良い。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_65a9b2c1856f0d1e56b5ee7d7f7ae63f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">少子化対策のスコープを“若者”にも広げ、若者の声を聞き、深く理解することが重要。若者自身も声を上げてほしい</h2><p>こども未来戦略会議にも参加しているなかで、国が打ち出している少子化対策は、いわゆる”若者”を対象にしているかというとそうではなく、子育て支援がメインとなっている。なので、少子化対策のスコープを広げていくことが重要と以前から伝えている。</p><p>結婚や妊娠を考える前の人々に対して、奨学金の問題や、育ちのなかで受けるジェンダー差別の問題など、社会に出るまでに希望を持てなかったり、生きづらさを感じたりする要因が複数あるので、その不安を取り除くことが、将来のお金の余裕を生み出し、結婚や子どもも視野に入れることができるようになるのではないかと考えている。</p><p>若い人は何を求めていて、なぜ望んでいるけどできないのかを、改めて分析していくことが重要である。これだけやれば良い、という施策はないが、子育て支援以外の、もっと若い人向けの政策を充実させないと難しいのではないかと思う。</p><p>個々の施策として、出産費用の補助や保育園費用の補助などが打ち出されており、子どもを持とうとする人にとっては有難いと感じるかもしれないが、結婚や子育てを考えていない段階の人からすると、その補助で「結婚したい」や「子どもを持ちたい」とはならない。</p><p>「これで結婚できる」「これで子どもを持てる」と思える若者向け施策を増やすことが急務である。</p><p>こども家庭庁の基本法11条に、政策を作る際には子どもや若者の声を聞くこと、と定められている。自治体や学校現場は「若者はこうだよね」と若者像を決めがちなので、当事者を入れて話を聞く、ということが重要になる。</p><p>先日参加した国連の会議でも、「これから世界、社会をつくっていくのは若者世代であり、そういう人々を真んなかに据えていこう」と強調されていた。国だけでなく、企業も含めて、若い人をステークホルダーに入れていく、ということが重要となる。</p><p>若者自身も、「どんなふうに生きたいか」「何を望んでいるのか」を国・自治体・学校に伝えるべきである。国の担当者に調査等で得た若者の声を届けても、「それを思っているのは一部の人だけでは？」と反論されてしまうことがよくある。SNSで呟く人もいるが、自分の要望をしっかり届けることが重要だ。</p><p>こども家庭庁の「こども若者★いけんぷらす」といった、声を届ける仕組みはいろいろあるし、それ以外にも「こういう社会になってほしい」や「若者の声を聞いてほしい」といった声を上げることはできるはず。</p><p>黙っていたら政府の人たちが若者の意見を汲み取ることは難しいので、何かしらの方法で汲み取れる状態にできると、若者が感じていることを政策に反映できるようになるかもしれない。そのために、若者の意思表示が必要なのである。</p><p>以上</p> 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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>若者はクマをどう見るか？ 野生動物と人間社会との共存に向けて ～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123902/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Fri, 07 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p></p><p>日本財団は、2025年12月、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2026/20260128-118986.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「クマ被害」（別タブで開く）</a>をテーマに75回目の18歳意識調査を実施しました。有識者に印象に残った調査結果についてインタビューを通してお考えをお聞きしています。</p><p>「クマ被害」調査では、人間の生活圏に出没したクマへの対応として、若者全体の約65パーセントが「原則として駆除すべきである」と回答し、約28パーセントが「人間社会とクマの共存策をもっと検討すべきである」と回答しました。</p><p>質問：⼈間の⽣活圏に出没したクマは農業被害・⼈⾝被害防⽌のため駆除されています。⼈間の⽣活圏に出没したクマへの対応で、お考えに最も近いものを選んでください。（単⼀回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_15_1.jpg"><p>また、クマの出没数の背景として挙げられることの多い「ドングリ等の凶作」「人口減少による人への警戒心の薄れ」「過疎化による放棄地等の増加」「保護政策による個体数の増加」「人里にあるクマの食糧となる果樹や生活ごみへの慣れ」のうち、知っているものについて調査したところ、「人里にあるクマの食糧となる果樹や生活ごみへの慣れ」への認知が最も多く、全体の約68パーセントが選択しました。「過疎化による放棄地等の増加」を認知していた割合は、約41パーセントとなりました。</p><p>質問：クマの出没数が増えた背景について知っていましたか。知っていたものを全て選択してください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_15_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第75回テーマ「クマ被害」<p>今後のクマ駆除において中心的役割を果たすべき組織についても聞いたところ、全体の回答は多い順に、猟友会（ハンター、マタギを含む）が約43パーセント、地方自治体が約17パーセント、自衛隊が約13パーセントとなりました。</p><p>質問：これからのクマ駆除の中心となるべき組織は何か、あなたの考えに最も近いものを教えてください。（単⼀回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_15_3.jpg"><p>出典：日本財団18歳意識調査 第75回テーマ「クマ被害」</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>これらの18歳意識調査結果について、立命館大学政策科学部教授の桜井良（さくらい・りょう）先生にお話をお聞きしました。</p><p>桜井先生は、ヒューマンディメンション（※）研究をはじめとする野生動物管理・生物多様性保全の専門家でいらっしゃるほか、環境教育のご知見も持たれ、「環境教育プログラムの評価入門」（毎日新聞出版、2024年）等のご著書も出版されています。</p><div id="tnf-text-notes-block_3eed6ffe92b1cb853974c0a3db0de955" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ヒューマンディメンション」とは、「野生動物と住民との共存を実現するための社会づくりを行う実践科学」。野生動物管理について社会的側面からアプローチし、野生動物に対する地域住民などの人間の価値観やその価値観が及ぼす影響、および野生動物管理での合意形成、意思決定を促進するための手法について探求する学問。出典：<a href="https://sakurairyo.net/wordpress/wp-content/uploads/2020/07/Human-Dimensions.pdf" target="_blank" rel="noopener">【Human Dimensions】（人間事象）とは｜桜井良研究室（外部リンク/PDF）</a></div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_15_4.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_fd81fee0a1fd7b8f5a28bbec45c20545" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">駆除是認派が多いのは世界的には珍しい結果。背景にはメディア報道</h2><p>私自身もこれまでクマに対する意識調査を行ってきましたが、18歳前後を対象とした今回の調査で、駆除是認が過半数であるという結果は、世界的な傾向からするとやや特殊であると感じます。</p><p>国外の研究では、年齢が高くなるほど、また地方に在住しているほど、人間の利益のために野生動物を利用、管理すべきとする考え方（Domination Wildlife Value Orientation、支配型野生動物価値志向）が強くなり、人間に危害を及ぼす野生動物は排除すべきであると考える傾向が見られます。</p><p>反対に、野生動物と共存するべきだという考え方（Mutualism、共存主義の野生動物価値志向）は、若者や都市部在住者ほど持ちやすい傾向にあることが分かっています。</p><p>今回の調査で駆除是認派が過半数となった背景には、2025年のクマの大量出没と被害の影響が大きいと思います。200人以上が負傷し、死者も13人出ているという状況が、若者の意識にも強く影響しているのではないでしょうか。</p><p>他の調査を見ても、18歳前後の若者に限らず、日本社会全体として駆除是認派が多数となっている状況だと思います。</p><p>一方で、クマの出没が広範囲にわたっているとはいえ、都市部に過半数が在住する日本国民のなかで、クマの存在を日常的に身近に感じている人はほとんどいないはずです。にもかかわらず駆除是認派が過半数であり、共存派が約28パーセントに過ぎないという結果には、メディアの影響もあるのではないかと思います。</p><p>メディアで連日クマの出没や人的被害が報道されると、視聴者は影響を受けてしまい必要以上にクマを恐れてしまうようになることが先行研究から分かっています。2025年は、日本でもテレビ・新聞・SNSでクマ被害が集中的に報道されましたので、それが若者の意識にも影響を与えた可能性は高いと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8df6720f7df1e836c932e964f9e73457" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">メディアにより高まる”クマリテラシー”。環境教育によるさらなる理解向上へ</h2><p>2025年のクマに関するメディア報道は非常に特徴的でした。</p><p>2023年にも大量出没はありましたが、2025年はそれ以上に社会問題として大きく取り上げられ、「今年の漢字」に「熊」が選ばれるほど、クマが象徴的に扱われる年でした。各メディアが特番を組み、1～2時間の番組でタレントや研究者が議論するケースも多く見られました。</p><p>従来の報道は「出没した」「被害があった」といった事実報道が中心でしたが、2025年は複数の専門家が登場し、個体数の増加や生態など大量出没の背景についても比較的丁寧に伝える番組が増えてきた、というのが率直な印象です。</p><p>その結果、一般市民のいわば“クマリテラシー”が向上してきていると感じています。今までは研究者でないと知らなかった知識でも、今は一般の人が知っていることもあり、クマへの意識、関心が高まっていると思います。</p><p>今回の調査で駆除是認を選択した若者が、クマ研究者や生態学者による「クマ被害を減らすためにはクマの個体数を減らさなくてはならない」との主張や科学的知見を理解したうえで回答しているとすれば、これもメディア報道の効果なのかもしれません。</p><p>今回は、クマ出没の背景に対する認知度も調査されていますが、学校教育のなかで獣害というテーマについて画一的に教えられる機会があまり存在しない現状を踏まえると、過疎化とクマ出没との関係性への認知も半数近くに上るという結果は、メディア報道で背景理解が促された影響と捉えられます。</p><p>生活ごみという人間社会の問題とクマ出没との関係も約68パーセントが認知しているという結果も併せ見ると、クマ問題は人間が取り組む必要のある問題だ、という理解は18歳前後の若者に広がっているのではないでしょうか。</p><p>もちろん、さらに若者の理解を向上させ、背景への認知も高めていくことが理想的です。そのためには学校教育のカリキュラムのなかで、獣害やクマ問題について学ぶ機会を増やしていく必要があると思います。</p><p>現在でも地方の学校を中心に総合学習の時間などで徐々に取り上げられるようになってきていますが、学校教育で獣害問題に取り組むことの良さは、ただ生徒の子どもの意識が高まるだけではなく子どもを通じて家庭や地域に知識が広がる波及効果がある点だと感じます。</p><p>地域のなかで学校が野生動物との関わり方を考えるプラットフォームとなれれば、野生動物と共存する地域づくりのために学校が大きな役割を果たすことができるでしょう。</p><p>私のいる大阪のキャンパスでもキツネやハクビシン、アライグマといったあらゆる野生動物が夜な夜な姿を見せます。この傾向は東京などの都市部でも見られることと思いますし、世界的にも野生動物が都市部に戻ってくる「再野生化」という時代になってきているともいわれています。どこに住んでいても、クマに限らずさまざまな動物と出会ってもおかしくない時代が到来しています。</p><p>そういったなかで、例えば野生動物を見かけても不用意に近づかない、触らない、といったような野生動物についての知識は、日本人全員が持っていて良いものになります。その意味で、安全教育としての位置付けも含めて野生動物と共存する方法を、地方だけでなく日本全国の学校で教えていくことは重要になってくると思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_380e6ca2089401b889609cf42883cf1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自治体に期待された「窓口」としての役割と専門人材不足という実情</h2><p>クマ駆除における中心的役割を担うべき組織として「自治体」と回答した割合が約17パーセントに上りました。実際のクマの駆除は基本的には猟友会が担うため、本来であればもっと多くの人が「猟友会」と回答しておかしくないと思いますし、実際に自治体には銃などの狩猟免許を持った職員はあまりいません。</p><p>それにもかかわらず自治体が回答として挙がる背景には、「駆除そのもの」ではなく「管理全体の窓口」としての役割への期待があるのではないかと思います。地域住民に最も近く最も頼られる存在はやはり自治体であり、クマ被害に困っている住民の相談役になるのは猟友会ではなく自治体になることが多いでしょう。</p><p>クマの出没情報の発信や住民対応など、そういった「窓口」としての役割を自治体に求めて、約17パーセントの若者が回答した可能性はあると思います。</p><p>一方で、果たして実際にクマ対策や管理ができる人材が自治体にいるかという点は大きな問題でしょう。先進国に比べ、日本は野生動物の管理や対策について専門的に学んだ人材は多くはありません。そのうえ、行政でそういった専門人材を雇用している例も一部に限られます。クマ駆除の中心的役割を自治体だけが担うのは、現状としては難しいでしょう。</p><p>野生動物に関して自治体に寄せられる苦情への対応についても、アメリカやイギリスでは行政側にコミュニケーション専門の職員が何人も雇用されています。市民・住民からの苦情や要望に対して、コミュニケーションについて専門的に学んできた人材が職員としてチームで対応しているわけです。</p><p>この側面も、今の日本に大きく欠けている部分だと思います。その意味でも、日本の行政にはコミュニケーションの専門人材も必要であると考えます。</p><p>日本で野生動物問題の分野についてヒューマンディメンション的視点から学ぶことのできる大学は、アメリカ等に比べればまだ多くないと思います。一方で、現在、学会や研究者などが主体となって野生動物対策の専門人材を育成することのできる大学横断型のカリキュラムをつくっており、カリキュラムのなかで住民との連携、協力に関する授業も含まれています。</p><p>今後は、カリキュラムの修了生が行政などで活躍できるように、人材の雇用の面でも整備していく必要があります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c222948d020b3faac8992f326d47c458" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人間と野生動物との「共存」のかたちとは</h2><p>今回の調査結果のなかで少し気になるのは、共存策を検討すべきと回答した約28パーセントの18歳前後の若者が、どのような共存策をイメージしたのか、という点です。</p><p>クマと同じ場所で生きていくことはできないので共存とは実際は棲み分け策になると思います。そういった意味での共存として回答者の若者が理解していたのか、それとも別のかたちを意識していたのか、「共存とは何か」についてさらに深堀して聞いてみたいですね。</p><p>若者に限らない話ではありますが、「共存とは何か」について、私たち市民全体でさらに理解を深めていくことが、今後さまざまな合意形成をする上で重要になってくると思います。</p>    ]]>
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      <title>「インクルーシブデザイン」ってなに？──使いにくさを感じる人と、一緒につくる【ワークシート付き】</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124262/pbl</link>
      <pubDate>Thu, 06 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「インクルーシブデザイン」とは、障害のある人、高齢者、外国出身の人など多様な人々と一緒に新しい価値を生み出すデザイン手法</li><li>世の中のモノやサービスは多数派の人を前提につくられがち。その前提に合わない人に「使いにくさ」が生じる</li><li>多様な人と一緒につくることで、ものづくりの前提を見直し、使える人や選択肢を広げられる</li></ul><p></p><p>※【巻末特典】探究学習で使える「ワークシート」を無料でダウンロードできます</p><p>中高生が専門家の知見を借りながら、身近な社会課題について自ら調べ、考えるのを助ける連載企画「探究ジャーナル」。第2回のテーマは「インクルーシブデザイン」です。</p><p>ふだんの生活で、「これ、なんだか使いにくいな」と感じることはありませんか。</p><p>例えば、重い荷物で両手がふさがっていると、丸いドアノブが回せない。けがで松葉づえをついていると、自動改札機でICカードのタッチがしづらい。左利きだと、右利き用のハサミでは紙がうまく切れない。</p><p>こうした「使いにくさ」は、使う人のせいで起きているのでしょうか。実は、世の中の多くのモノやサービスは、特定の身体の動かし方や、見え方・聞こえ方、言語、生活習慣など、多数派の人を前提にしてつくられています。その前提に合わない人には、使いにくさが生じることがあります。</p><p>ではもし、「使いにくさを感じている人」と最初からアイデアを一緒に出し合ってモノづくりを始めたら、どんなデザインが生まれてくるのでしょうか。その考え方が「インクルーシブデザイン」です。</p><p>今回は、「だれもが社会の当事者になる」ことを目指してインクルーシブデザインの普及に取り組む、<a href="https://collable.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人Collable（外部リンク）</a>代表理事の山田小百合（やまだ・さゆり）さんにお話を聞きました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_45403f69f801f2dc27df580cca96b9e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">インクルーシブデザインってなんだろう？</h2><p>——そもそも、「インクルーシブデザイン」とは何か教えてください。</p><p>山田さん（以下、敬称略）：障害のある方、外国出身の方など、これまで利用者として十分に考えられてこなかった方々と、最初から一緒にモノやサービスをつくるデザインの考え方です。</p><p>——「バリアフリー」や「ユニバーサルデザイン」と、「インクルーシブデザイン」とは何が違うんですか。</p><p>山田：3つとも、「使いづらさをなくしたい」「これまで届いていなかった人に届けたい」という目的は同じです。ただ、特に違いが出やすいのが、そこへたどり着く道のりです。</p>バリアフリー：社会や環境にある障壁を取り除く考え方。既存の環境を改修する場面で用いられることも多いユニバーサルデザイン：年齢や能力などにかかわらず、できる限り多くの人が使える製品や環境を目指す考え方。「ユニバーサルデザインの7原則」は代表的な指針の一つインクルーシブデザイン：これまで利用者として十分に想定されてこなかった人の経験や視点を起点に、デザインの初期からともに考え、新しい価値や選択肢を生み出すアプローチ<p>ポイントは、ユニバーサルデザインができる限り多くの人が使える「基準や原則」を重視するのに対し、インクルーシブデザインは視覚に障害のある人や車いすユーザーなど、これまで使いにくさを感じてきた方々が、つくり始める段階からその場にいる「過程」を重視するところです。</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_3.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_3.jpg"></a>バリアフリー、ユニバーサルデザイン、インクルーシブデザインの違い。ユニバーサルデザインは1980年代に提唱され、指針「7原則」がまとまったのは1997年。インクルーシブデザインは1990年代に広まった。3つは目指す方向が同じで、違いは「いつ・誰と一緒につくり始めるか」にある<p>※「バリアフリー」「ユニバーサルデザイン」「インクルーシブデザイン」の考え方には重なる部分があり、分野や国によって定義や使われ方が異なります。ここでは、それぞれの特徴を理解しやすくするために整理しています</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9763e1364c6fe6b6ba1c4bf36e5a386a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「障害があるから不便」は、本当？</h2><p>——「障害がある場合、ある程度の不便があるのは仕方がない」という感覚が世の中にはある気がします。その感覚は、間違っているのでしょうか。</p><p>山田：不便さの「原因をどこに置くか」で、問題の見え方がまったく変わります。例えば、足が動かない人が、目の前の段差を登れない状況があるとします。</p>本人の足が動かないことが原因＝治療やリハビリ、補装具など、本人側への働きかけによって解決しようとする（障害の医学モデル）ここに段差がある／スロープがないのが原因＝スロープをつけるなど、環境の側を変えて解決しようとする（障害の社会モデル）<p>「本人の問題」に見えていた不便も、社会モデルで見直すと「環境の問題」に変わる。何かが使いにくいとき、それは自分のせいではなく、多数派に合わせてつくられた環境の側に原因があるのかもしれない。そう疑ってみてほしいんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_4.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_2c7dba5652563896b35bbdf260aa31cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">学校に潜む「見えないバリア」</h2><p>——学校にも、「平均的な前提」のせいで気づけない「不便」があるのでしょうか。</p><p>山田：学校にもたくさんのバリアがあります。その中には「目に見えないバリア」も含まれており、代表的なのが「情報のバリア」です。</p><p>［Aさんの事例］</p><p>難聴のAさん。まったく聞こえないわけではないけれど、授業のときに先生の声が少し小さくなると、話の内容が分かりません。でも、周りの生徒はその声の大きさでも聞き取れているようなので、「先生の話を聞いていない」と誤解されることもあり、悲しい気持ちになります。</p><p>※実際の事例をもとに作成</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_5.png">障害に対する周囲の認知や理解不足により、誤解されてしまう当事者も少なくない<p>山田：Aさんのように、学習内容を理解する力があっても情報が届かないせいでテストの点が落ちたり、内容を理解できていないように見えたりすることがあります。周りの人がその事情を知らないことで「成績が悪い」「だらしない」などと、本来の困難とは別の「能力や性格」の軸で評価されてしまうこともあるのです。</p><p>——そういった「不便」に、現在の学校はどのように向き合っているのでしょうか。</p><p>山田：支援員さんがサポートする、先生の声を補聴器に届ける機器を使う、などの方法があります。ところが、それを見た周りの子が「一人だけ特別扱いされている」と受け取ってしまうことがあります。</p><p>しかし本来は、ほかの生徒と同じように学べるよう、環境や学び方を調整しているのです。こうした調整を「合理的配慮」といいます。この「環境を調整している」という事実が、うまく説明されていないケースも見られます。</p><p>そもそも学校という場は、同じ年齢の子どもが、同じ内容を、同じ方法や速さで学ぶことを前提にしてしまう場合があります。その前提に合わない子どもがいると、周囲から「特別な子」や「劣っている子」と見られてしまうことがあります。</p><p>しかし本来一人一人には個人差があって、生まれ年が同じでも身長や足の速さ、家庭環境なども違うはずで、それは本人の問題ではないんです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_82be7b9b321c5bbe7905c81ef61dede8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「最初から一緒に」つくると、何が変わる？</h2><p>——そうした「多数派から見えないバリア」を生まないために、インクルーシブデザインはどう役立つのでしょうか。</p><p>山田：大きいのは、「できてから直す」のではなく、つくる前の段階で当事者の体験をよく知ることができる点です。</p><p>新しい商品をつくるとき、完成してから当事者に体験してもらって感想を聞くと、返ってくるのはどうしても「それが使いやすいか、使いづらいか」という新商品の評価だけになりがちです。</p><p>しかし最初から一緒につくれば、本人がそれを使うときにそもそもどう感じ、どんな悩みがあるのか、まだ言葉になっていない体験の中身まで設計に反映しやすくなります。</p><p>——「インクルーシブデザイン」の発想で、どんなものが生まれていますか。</p><p>山田：2021年にNIKEが発表した「ゴー フライイーズ（GO FLYEASE）」という靴が象徴的です。</p><p>［ゴー フライイーズ（NIKE）の事例］</p><p>足を入れてかかとに体重をかけるだけで履け、脱ぐときはかかと部分を反対の足で踏むだけ、と脱ぎ履きに手を使う必要がない靴。ソールの中央に「双安定ヒンジ（ちょうつがい）」の仕組みが入っており、履くときはパチンと閉じて足を包み、脱ぐときはくの字に開く。伸縮するバンドが、ひもなしでも足をしっかり支える。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_6.jpg"><p>山田：スニーカーの靴ひもを結ぶのは「当たり前」だと思っていると、煩わしいとは感じません。しかしこの靴を開発したデザイナーたちは、身体に障害のある人の「脱ぎ履き」の動作や状況を深く理解したことで、荷物を持っているとき、子どもを抱えているときなど、多くの人にとって靴ひもが煩わしい場面がある、と気付いたんです。</p><p>そのためこの靴は、脱ぎ履きに手間を感じやすい子育て世代や妊婦さんの間でも人気を集めたそうです。</p><p>「靴ひもを結ぶのに不自由を感じる人のために、靴を直そう」と考えると、ひもをマジックテープに替える、といった今ある靴の形を少しだけ変えるデザインになりがちです。</p><p>でも当事者の靴を脱ぎ履きするときの課題を理解したことで、「脱ぎ履きという行為そのものを変える」という発想が生まれました。これは、完成後の評価だけでは、発想の前提そのものを変えるのは難しかったかもしれません。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f1489cdb5105db09a5c7be1ef75c8c70" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">博物館を変えた、当事者の視点</h2><p>——山田さんが代表を務めるCollableも、当事者の方と一緒にものづくりをしてきたそうですね。</p><p>山田：はい。Collableが関わった、徳島県立博物館のリニューアルの事例を紹介します。私たちは、視覚に障害のある人や外国出身の人などに「リードユーザー（デザインの初期段階から参加し、新しい視点をくれる人）」として、最初から関わってもらいました。</p><p>というのも、視覚に障害のある人に「この展示は分かりやすいですか？」と聞いても、ふだん博物館に行く習慣がない場合は比べる対象がないので、「よく分からない」というのが正直な感想のような気がします。</p><p>最初から関わってもらうのが大事なのはそのためで、実際に現場ではこんなことが起きました。</p><p>［アンモナイトの事例］</p><p>触れる展示として置かれていた、直径30センチを超える大きなアンモナイトの化石。学芸員は「生きていた頃のアンモナイトには、イカやタコのようなやわらかな触手があって……」と説明しましたが、視覚に障害のある人は首をかしげていた様子でした。理由を聞くと、「私はただの大きな石を触っているだけに思えるんです」と答えました。伝えている知識は正しいものの、化石の触感とあまりに違うため、アンモナイトがどのようなものなのかうまく伝わりませんでした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_8.jpg">視覚に障害のある当事者も参加した徳島県立博物館でのワークショップの様子。画像提供：NPO法人Collable<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>山田：その一言がきっかけで、学芸員さんは「自分たちの伝えたいことを伝えるには何が必要か」と発想を切り替えました。</p><p>そこで、手のひらサイズで触れる化石の隣に、同じくらいのサイズのアンモナイトの内部を縦に切った木彫りの模型を置き、その生き物が当時どんな形だったのか、手ざわりで直感的に分かるようにしました。</p><p>その結果、視覚情報だけに頼らず、アンモナイトの形や構造を理解するための手がかりが増えた展示が完成しました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_7-768x1024.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_60767c67f70ce5a90475d8db1c512f43" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「見えない不便」に気づくにはどうしたらいい？</h2><p>——身近な「使いにくさ」に、自分で気づくにはどうすればいいのでしょうか。</p><p>山田：自分にとっての「当たり前」は、なかなか自分では見えづらいものです。私たちがリードユーザーを探すときは、その物やテーマについて</p>使わない人使えない人使おうと思っていない人<p>を探すのを基本としています。</p><p>これは、インクルーシブデザインの実践を教わってきた、京都大学の塩瀬隆之（しおせ・たかゆき）先生から学んだ考え方です。自分たちが想定している利用者像とは異なる経験を持つ人ほど、自分たちだけでは気づいていなかった前提や障壁を明らかにしてくれることがあります。</p><p>一人でする練習なら、「極端思考ワーク」もおすすめです。</p>自分がすごく使いやすいと思うものを選ぶそれを「どうすればとことん使いづらくできるか」考えてみるなぜ、「そうすると使いづらいのか」理由を考える<p>そうやって自分の「当たり前」を揺さぶると、ふだんは気づかない「使いにくさ」が見えてきます。</p><p>——そうして身近な「使いにくさ」に気づけるようになったら、次になにができるでしょうか。</p><p>山田：観察する目線をまわりに広げてみましょう。学校の事務員さんや、給食をつくってくれている人たちなど、身近だけど話したことのない人はいないでしょうか。「あの人は何をしているんだろう」と疑問を持ってみる。おしゃべりをしてみるのもいいですね。</p><p>その人の1日を聞くだけでも、自分とはまったく違う世界があるのが見えてきます。一方で、「あ、ここは自分と同じだ」という共通点も見つかるはずです。</p><p>大切なのは、その「違い」と「同じ」の両方に気づくことです。相手を「自分とは関係のない人」ではなく、「自分とは違うけれど、どこかつながっている人」として知っていく。そうやって「関係ない」が減っていくと、身のまわりにある「使いにくさ」も、自分が関われることとして見えてくると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pbl2_9.jpg">誰もが生きやすい社会づくりに必要な、身近な「使いにくさ」に気づくヒントを教えてくれた山田さん<h2 id="tnf-text-heading-block_8656c63c5f8d8293583a1f9fb1866e36" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">取材から学んだこと</h2><p>インクルーシブデザインは、障害のある人のための特別な工夫のように誤解されやすい面があります。しかし取材を終えて、それが「自分とは違う誰かと出会うと、世界の見え方が変わる」という話であるように感じました。</p><p>誰かのための工夫が、まわりまわって自分も含めた一人一人の生きやすさにつながっている。そう気づかされた取材となりました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c5abd2fc66720e60d158f153c30ec56c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中高生のみなさんへ</h2>身のまわりに「これ使いにくいな」「危ないな」と感じるモノはありますか？例えば片手がふさがっているとき、けがをしたとき、見え方や聞こえ方、使う言語が異なるときに、使いにくくなるものはありますか？あなたの学校には、さまざまな人が使いやすいよう工夫されている場所がありますか？学校の事務員さんや、給食をつくってくれている人たちなど、身近だけど話したことのない人はいますか？<p>無償でダウンロードできる<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/inclusive-design_Worksheet.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ワークシート（別タブで開く/PDF）</a>を活用して、身近な「しづらさ」を見つけて分解し、「インクルーシブデザインの考え方なら、どう変えられるか」を、友だちと意見を交わしながら考えてみましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_5083f634699a7b32d7be6ff99e4e3298" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.引用：<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000278.000074055.html" target="_blank" rel="noopener">独自開発のシルエットも着脱後の気持ちも “履けば変わる。” NIKEのシューズ『GO FLYEASE』全国約1000店舗のABC-MARTに販路拡大！定番のモノトーンに加え新色のアイボリーも登場｜PR TIMES（外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9282a860c1e818e5c041c383078a8f06" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_6f727268f00cf183cd3745eaae4ffed2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">山田小百合（やまだ・さゆり）</h3><p>日本女子大学家政学部家政経済学科卒業、東京大学大学院学際情報学府修士課程修了。知的障害・自閉症の兄と弟がいる経験から、障害の有無を超えたインクルーシブな場のデザインとその学びに関心をもち、大学院に進学。在学時よりインクルーシブデザインワークショップや多様なこどもたちとのワークショップの実践研究に取り組む。大学院修士課程修了後の2013年、実践研究を延長させるかたちでNPO法人Collableを設立。障害に限らないあらゆる多様な人たちとの共創のための場づくりやプロジェクトに多数関わる。</p><p><a href="https://collable.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人Collable 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>日本の若者における皇室の存在感は？　～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124304/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Wed, 05 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団の18歳意識調査 <a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240610-101892.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">第64回テーマ「皇室・就職」（別タブで開く）</a>では、皇室への関心・関心が高まる取り組み、皇室への親しみ等について、若者の意識を調査しています。</p><p>調査によると、皇室への関心については、全体の約4割が「関心がある」と回答しています。</p><p>質問：あなたは、皇室に関心がありますか。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol14_1.jpg"><p>皇室への親しみについても、約半数が「親しみを持っている」と回答しています。</p><p>質問：あなたは、皇室に親しみを持っていますか。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol14_2.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」<p>他の世代ではどうでしょうか。</p><p>NHKが2019年に行った<a href="https://www.nhk.or.jp/bunken/d/_data/research/yoron/BUNA0001242019102101/files/20191021_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「皇室に関する意識調査（※1）」（外部リンク/PDF）</a>では、40代～70歳以上において、7割以上が「関心がある（※2）」、「親しみを感じている（※3）」と回答しています。相対的に、若者の方が皇室への関心や親しみは低いのかもしれません。</p><div id="tnf-text-notes-block_04ca53a6122e2339a7be77e91215cb4a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.2019年9月28日から2日間、全国の18歳以上の男女に対し、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行い、2,790人のうち、55パーセントにあたる1,539人から回答を得た※2.「大いに関心がある」「多少は関心がある」の合計※3.「とても親しみを感じている」「ある程度親しみを感じている」の合計</div><p>では、若者の皇室への関心や親しみは、どのようにすれば高まるのでしょうか。</p><p>皇室への関心が高まる取り組みを調査した項目では、約半数は「わからない／特に考えられるものがない」と回答しました。これを除くと、約2～3割の人が「自身と年齢の近い皇室の方々によるSNSでの発信」「天皇皇后両陛下によるSNSでの発信」「宮内庁によるSNS」と回答しています。</p><p>質問：どのような取り組みがあれば、あなたの皇室に対する関心が高まると思いますか。最大3つ、当てはまるものを選択してください。</p><p>※上記質問「あなたは、皇室に関心がありますか。」で「どちらかといえば関心がない」「関心がない」と回答した人のみに表示※SNSとは、YouTube、X、Instagramを指す</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol14_3.jpg"><p>「わからない／特に考えられるものがない」が半数を占めている点は着目すべきです。</p><p>これは、皇室に対し「関心のある・なし」の問題以前に、「そもそも皇室のことを考えたことがない」若者が一定数いる、ということを示唆していると推察されます。つまり、「そもそも皇室のことを考えたことがない」からこそ、「どうすれば関心を高められるかもわからない」ということなのかもしれません。</p><p>皇室のことを考える機会がないということは、一定の若者の間で、皇室は「話題にすらならない」存在になっている可能性も否定できません。</p><p>では、どのような対策を講じれば、皇室は若者に「考えてもらえる・話題にしてもらえる」存在になるのでしょうか。</p><p>上記調査結果では、関心の高まる取組として、「SNSでの発信」が上位3項目を占めています。SNSをうまく活用できれば、「そもそも皇室のことを考えたことがない」若者にもアプローチできるのかもしれません。</p><p>すでに、2024年4月から宮内庁がInstagramを使った情報発信を始めています。若者はこの動きをどれくらい把握しているのでしょうか。</p><p>宮内庁がInstagramを使った情報発信を始めたことについて、約7割は「知らなかった」と回答し、「知っていて、フォローしている」と回答した人はわずか約5パーセントにとどまる結果となりました。</p><p>質問：あなたは、宮内庁が2024年4月から、Instagramを使った情報発信を始めたことを知っていましたか。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol14_4.jpg">出典：日本財団18歳意識調査 第64回テーマ「皇室・就職」<p>一方で、NHKのニュースによると、宮内庁のInstagramアカウントのフォロワー約180万人のうち、17パーセントが13歳から34歳までの若年層とのことです（2024年12月時点）。</p><p>18歳意識調査の対象は17歳から19歳なので、単純な比較はできませんが、「知っていて、フォローしている」の5パーセントという結果からすると、NHKの17パーセントは少し多いようにも感じます。</p><p>また、海外王室が運用するInstagramアカウントを見ると、ウィリアム皇太子夫妻は約1,680万人、英国王室は約1,322万人にフォローされています（2025年2月21日時点）。宮内庁の約180万人と比較すると、非常に多くの国民から関心を持たれていることが分かります。</p><p>若者における皇室の存在感を高めるという観点で、海外王室のSNS運用は今後の広報戦略を検討する上で何かしらのヒントにはなりそうです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>駒澤大学で皇室や海外王室について研究をされている君塚直隆（きみづか・なおたか）先生に、若者における皇室の関心や親しみの低さの背景、存在感を高めるために必要な施策等を聞きました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol14_5.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_cdadaebf2dbb8db71d43e89ef4d2b2f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">学校教育において、”皇室”は学習対象から欠落している</h2><p>日本財団の調査結果では、「皇室に関心がある」と答えた若者は全体の4割程度で、「親しみがある」は半数を切っており、これは危機的な状況だと感じます。</p><p>こうした関心や親しみの低さの背景には、明らかに教育の問題があります。中学校や高校で、どれほど「天皇」や「皇室」について学ぶ機会があったでしょうか。ほとんどの人が「ほぼない」と答えるはずです。</p><p>マルクス主義に傾いた戦後歴史学の影響により、教育の中で皇室について「教える必要がない」とされてきたからです。</p><p>また、憲法教育でも、象徴天皇制が定められた第1条は学ぶものの、第6条や第7条の国事行為（首相の任命、国会召集、法律の公布など）は無視されがちで、戦争や戦力に関する9条ばかりが注目されます。こうした状況では、「天皇」が何をしているのかを国民が正しく理解できるはずがありません。</p><p>実際、「天皇」は首相を任命し、法案が成立する際にも署名を行うなど、極めて政治的な意味合いを持つ国事行為を担っています。しかしながら、多くの人が「天皇は美味しいものを食べて、ニコニコしているだけ」といった誤解を持っています。</p><p>本来は国家元首に近い働きをしているにもかかわらず、憲法上は象徴とされており、その乖離が国民の理解を曖昧にしています。国際的には、天皇皇后陛下が諸外国の元首と対等に接遇していることからも、国家元首としての認識が実務上根付いています。</p><p>ちなみに、若者が皇室に関心を示さないのは、日本に限ったことではありません。イギリスや他のヨーロッパ諸国でも同様に、若者の王室への関心は低下しています。</p><p>低下の背景は日本と同様で、昔は歴史学として学ぶ内容のうち、ほぼ100パーセントが王室に関するものだったのですが、現在は下の階級やジェンダー、人種に配慮した歴史学となっており、王室の比率が歴史学のうちの数パーセント程度になっているためです。</p><p>イギリスでも、65歳以上の人は80パーセント以上が王室に関心があり「君主制を残すべき」と思っているが、これが50代、40代、30代でだんだん下がり、一番若い世代でさらに関心が低くなります。王様・天皇に関する教育比率の低下傾向については、日本もヨーロッパ諸国も同じような状態といえると思います。</p><p>いずれにしても、日本の若者の皇室に対する関心の低さは深刻であると感じます。「天皇」や「皇室」の活動について正しく知る機会がなければ、そもそも関心を持つこともできないので、まずは「天皇」や「皇室」の役割を体系的に学ぶことができるよう、教育の在り方を変えていくことが重要です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_74bc918b95ce10216587e5f3547f94b5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">皇室に関する情報発信に改善の余地あり</h2><p>教育以外に、「天皇」や「皇室」の活動が国民にしっかりと伝わっていない、という広報の問題があります。</p><p>宮内庁は2024年4月から、Instagramを使った情報発信を始めています。日本財団の調査結果では、情報発信について「知っていてフォローしている」と回答した人は約5パーセントですが、NHKの調査では、フォロワーのうち「17パーセントが13歳から34歳までの若年層」とのことです。</p><p>双方の調査の対象年齢が異なることを考慮すると、17歳から19歳におけるInstagramの認知度は、日本財団の結果が実態に近いと感じています。つまり、多くの国民は宮内庁のInstagramを認知していないということです。</p><p>SNSでの広報活動で最も進んでいるのはイギリス王室です。イギリス王室では、「ダイアナ事件」（1997年）を契機に広報を抜本的に見直しました。当時「王室は税金を食いつぶしている」「チャリティはダイアナだけ」という誤解が国民の間で広がっており、これに対抗するためエリザベス女王やチャールズ皇太子（当時）が自ら積極的に活動し始めたのです。</p><p>1997年に王室のホームページを立ち上げてから、Instagram、X（旧Twitter）、YouTube等のSNSで、公務やプライベートの様子を発信してきました。その努力の結果、国民の支持は回復し、2022年のエリザベス女王即位70周年式典（プラチナ・ジュビリー）は大いに盛り上がりました。</p><p>また、70周年式典（プラチナ・ジュビリー）直後にエリザベス女王が崩御された際は、国民の多くが悲しみ、24時間並んで弔意を表す人も見られました。その人に「なぜ並んでいるのか」と聞くと、「女王は自分たちのために人生を捧げてくれたので、お礼がいいたい」と言ったそうです。</p><p>このように、女王が何をしてくれたのかを一般の国民が言えるという状況こそが、非常に大切です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_38f6249dd7e6fda378fc93c1b4be3326" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">SNSやマスメディアを駆使して、皇室の公務やプライベートの様子を発信すべき</h2><p>日本の皇室においても、公務の様子を積極的に発信し、国民にわかりやすく伝えることが重要です。</p><p>宮内庁のInstagramの投稿内容は、淡々と公式行事の写真や映像を載せる程度で、特に若者が関心を持ちやすいコンテンツの見せ方ができていないように感じます。全てのコンテンツをInstagramに投稿するのでなく、Instagramは過去の行事の記録、X（旧Twitter）は未来の予定、YouTubeでは長尺の映像を投稿するなど、SNSを機能で棲み分けることが重要です。</p><p>例えば、宮中晩餐会や公務の様子をYouTubeに上げることで、「皇族ってこんなに忙しいんだ」と若者にも伝えることができます。今年は戦後80年という節目（取材当時の2025年）でもあり、沖縄や広島・長崎への訪問などの予定もあるので、このような公務の様子を積極的に発信すべきです。</p><p>公務だけでなく、プライベートの写真もSNSで投稿すべきです。キャサリン妃は子どもの誕生日に自分たちで撮った写真をInstagramに載せています。天皇陛下も写真を撮るのがお好きなため、ご自身で撮られた写真をたくさん投稿されても良いのではないでしょうか。</p><p>また、皇室のSNSのアカウント名についても、工夫の余地があると思います。</p><p>現在は「宮内庁」という行政機関の名称となっており堅い印象があるので、親しみをもってもらうためにも「皇室」に変更したほうが良いと思います。他国では「ロイヤルファミリー（イギリス王室）」「プリンス＆プリンセスオブウェールズ（ウィリアム皇太子夫妻）」「クイーンラーニア（ヨルダン王妃）」等のパーソナルな名称でSNSが運用されています。</p><p>さらに、海外の方に皇室の理解を深めてもらうためにも、ホームページの英語版の作成も急務です。</p><p>SNSだけでなく、その他マスメディアとの連携も重要です。皇室の活動を紹介する番組として、「皇室日記（日本テレビ：毎月第4日曜 6時00分～6時15分）がありますが、早朝に放送されているため、若者は視聴し辛いと思います。</p><p>また、イギリスやフランス、ドイツでは、国王や大統領、首相によるクリスマスメッセージやニューイヤーメッセージが毎年放送されますが、日本では過去に二度だけ新春メッセージがホームページにアップされたのみで、継続的に放送されているわけではありません。</p><p>例えば、天皇陛下による新春メッセージを、毎年元旦の午後7時から10分間だけ、全局が輪番制で放送するということもできると思います。同時に、YouTubeでも同じ映像を流せば、多くの国民に天皇陛下のお言葉を届けることができます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0738cceadde73ab03d0ef61d1dd1cf6c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">特に若い皇族による等身大の姿の発信が重要</h2><p>若者からの支持を得るには、皇族の若い世代をアピールすることが重要です。</p><p>皇族や王族に対しての「特別扱いだ」という見方はどこの国でも存在します。日本人は、「男女同権」のような「権」を単なる権利のことだと認識している人が多いのですが、これは勘違いです。権利を得られるということは、相対する義務を果たさなければならない、ということを意識する必要があります。</p><p>今後20年から30年で、愛子さまと同じ世代の王族たち（例：ベルギーのエリザベート皇太子、ノルウェーのイングリッド・アレクサンドラ王女、スペインのレオノール皇太子）がみんな女王になりますが、彼女たちは18歳を過ぎてから、陸軍士官学校や海軍士官学校に通い、陸軍の特殊部隊に在籍したりしています。今後、国軍を担う存在になるからです。</p><p>士官学校では、実際に射撃や匍匐前進（ほふくぜんしん）といった訓練に従事しており、その姿をSNSに投稿しています。これにより、「この人たちは全然特別じゃない」や「いざとなれば司令官・総司令官として軍に参加する覚悟があるんだ」というのが国民にちゃんと伝わり、若者からの支持を得ています。</p><p>単なる事実ではなく、人物像が伝わるような投稿をする、というのが重要なポイントです。</p><p>日本でも、悠仁さまのような若い皇族の、等身大の姿を発信していくべきだと思います。大学の活動に取り組まれている姿を積極的に見せることで、同世代である若者に関心を持ってもらうきっかけになると思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0a5041cf26f2df3311805bd7719ba895" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">皇室を存続させるためにも、未来を担う若者が関心を持つべき</h2><p>他国では、王族が政治を正常化する役割を担っている場合があります。</p><p>例えばベルギーでは、フランス語を話す民族とオランダ語を話す民族が対立した際、政権がとん挫して541日間新しい政権をつくれなかった時があったのですが、その際に調整役として対応したのがドイツ出身の今の王室でした。また、イギリスでは、毎週水曜の夕方に王様と首相が2人だけで会談を行う時間を設けており、おかしな政策を施行しようとすると、その会談で却下されます。</p><p>そのような、政党政治が混乱した際に調整してくれるような、もしくは、事前に混乱を防いでくれるような、超越した存在がいてくれることは、今後の日本にとっても重要になってくるのではないでしょうか。</p><p>皇室は今、後継者不足や支持基盤の縮小という「じり貧」状態に陥っており、国民の関心の低下が続けば、皇室自体が自然消滅してしまう可能性すらあります。</p><p>これまで述べてきた通り、皇室の存在は日本や国民にとって重要な意味を持ちます。皇室を長きにわたり存続させるためにも、未来を担う若者が、「天皇」や「皇室」に関心を持ち、その必要性について認識することが重要となるのです。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>なぜ「若者の献血離れ」が進むのか？ 将来の血液不足リスクと、知られざる「健康メリット」</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/124037/social_contributions</link>
      <pubDate>Tue, 04 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「献血」とは、病気の治療や手術などで輸血を必要とする人に、健康な人が自分の血液を無償で提供するボランティア</li><li>少子高齢化により献血可能な人口が減少。特に若者の「献血離れ」が深刻化し、将来的に血液不足によって必要な医療を受けられない人が出てくる可能性も考えられる</li><li>「献血が当たり前」の社会づくりが大切な人の命を救う</li></ul><p></p><p>あなたは「献血」に行ったことがありますか。</p><p>「献血」とは、病気の治療や手術などで輸血や血漿分画製剤（けっしょうぶんかくせいざい※1）を必要としている人に、健康な人が自身の血液を無償で提供するボランティアのことです。</p><p>日本での献血可能年齢は16歳から69歳までですが、今、この献血人口が減少していることが問題になっています。</p><p>日本赤十字社の調べでは、日本の献血者数は年々減少傾向にあり、特に若者の「献血離れ」が深刻化しています。10～30代の献血者数はこれまでの10年間で約2割減少しているというデータもあります（※2）。</p><p>この先、さらに少子高齢化が進んで献血可能な人口が減り続ければ、輸血するための血液が足りなくなり、必要な医療を受けられなくなる人が出てくる可能性も考えられます。そうした危機を前に、私たちはどうすればよいのでしょうか。</p><p>この記事では、日本における輸血医療の学術団体である<a href="https://yuketsu.jstmct.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会（外部リンク）</a>の松本雅則（まつもと・まさのり）さん、紀野修一（きの・しゅういち）さん、田中朝志（たなか・あさし）さんに、若者の献血離れによって直面する問題、そして、この危機を乗り越えるために私たちにできることについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/02-2-1024x639.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_cee4df15d50ce3619db863ae432045ea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜ毎日約1万4,000人分の献血が必要なのか？ 血液の短い「保存期間」</h2><p>――はじめに、一般社団法人日本輸血・細胞治療学会の活動内容について教えてください。</p><p>松本さん（以下、敬称略）：「安全で適切な輸血医療・細胞治療を推進すること」を目的に、誰もが安心して輸血を受けられる社会を目指して、各種認定制度や病院評価機構など、さまざまな事業に取り組んでいます。</p><p>医師だけではなく、看護師、臨床検査技師、薬剤師といった多職種が参加しているのが特徴で、現在は6,546人の会員がいます（※3）。輸血医療・細胞治療においてそれぞれの専門性を高め合いながら、若手の育成や研究にも力を入れています。</p><p>――献血の仕組みについて教えてください。集められた血液はどのように使われているのでしょうか。</p><p>紀野さん（以下、敬称略）：献血というのは、日本赤十字社が国から委託され、行っている事業のことです。血液を提供していただける方を募集し、採取した血液を血液製剤として、治療を必要とする患者さんのために病院や診療所などに供給しています。</p><p>献血で集められた血液は、そのまま使われるわけではありません。大きく分けて2つの使用目的があります。</p><p>1つは「輸血用血液製剤」というもので、白血病やその他のがんの治療、手術や出産時に出血が起きた場合に輸血として使われます。</p><p>もう1つは「血漿分画製剤」といい、免疫グロブリン製剤（※4）やアルブミン製剤（※5）などの薬の原料になります。</p><p>――輸血だけに使われるわけではないのですね。</p><p>紀野：はい。意外と知らない方が多いと思いますが、献血で集められた血液のうち、輸血用として使われるのは約45パーセントです。残りの約55パーセントは、血漿分画製剤の原料として使われています。</p><p>――輸血用血液製剤や薬剤を作るためには、どのくらいの血液が必要なのでしょうか。</p><p>田中さん（以下、敬称略）：日本では毎日、約1万4,000人分の献血協力が必要とされています。なぜ毎日必要なのかというと、血液は生もので保存できる期間が短いからです。</p><p>成分ごとに保存期間は異なり、例えば「赤血球製剤（※6）」の有効期限は、採血後28日間。「血小板製剤（※7）」にいたっては、わずか6日間しか保管できません。しかも、使用前の検査に時間がかかるので、実際に使えるのは最後の2日間だけになります。</p><p>全国の医療機関では、毎日約2,500人の患者さんが輸血を受けています。医療で使われる輸血用血液製剤を常に備えておくには、継続的に献血に協力していただくことが不可欠なのです。</p><p>紀野：今は安定して献血血液を供給できていますが、将来的に少子高齢化で献血者数が減っていけば、そのバランスが崩れてしまうかもしれません。特に深刻な課題は「若者の献血離れ」です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/03-1024x576.jpg">献血には「全血献血」と「成分献血」の2種類がある。全血献血は血液中のすべての成分を採血するもので、成分献血は血液中の「血小板」や「血漿」などの特定の成分だけを採血する。出典：日本赤十字社<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/04-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_689094c229b17b0e5e7ac98fd55b41f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">献血が不足するとどうなる？　「2030年問題」と医療現場への影響</h2><p>――若者の献血離れについて、現状を教えてください。</p><p>紀野：献血者数の推移を見ると、10～30代で減少傾向が続いています。</p><p>例えば、20代の献血者数は2015年〜2024年の10年間で約81万人から約66万人と、1割近く減少しています（※2）。現在、必要な血液の約3分の2は、40～60代を中心とする中高年の献血リピーターによって支えられているんです。</p><p>――「献血の2030年問題」として、2030年に献血血液が不足する事態になるという報道を目にしました。</p><p>紀野：幸いなことに、現時点では2030年に血液が不足することは考えにくいです。とはいえ、この先、少子高齢化が進むことで、さらに献血者の数が減るのは間違いありません。</p><p>将来の推計人口から考えると、2045年には16～69歳までの献血可能人口が今よりも1,379万人減ることが分かっています。今後20年で、毎年70万人ずつ減っていく計算です（※8）。</p><p>日本赤十字社として予測しているのは、おそらく輸血用の血液製剤の需要はほとんど変わらないのに対し、薬剤の原料となる献血血液の必要量は増えるだろうということ。</p><p>特に免疫グロブリン製剤の需要は増え続けていますので、それに対応するためには、献血者数が約500万人（2024年度時点）から、20年後には約580万人に増えていなければならないと推定しています。</p><p>――献血ができる年代の人口は減っていくのに対し、薬剤としての需要でさらに献血血液は必要になるということですね。</p><p>紀野：そうです。そのため、新たに献血をしてくださる方の数を増やすか、1人当たりの献血回数を増やさなければ、需要と供給のバランスをとることが難しくなります。</p><p>――献血血液が足りなくなると、医療現場にはどのような影響がありますか。</p><p>松本：もし、献血血液の供給量が需要を下回るようなことになれば、自分や家族が輸血を必要としたときに、血液が足りなくなる事態が起こる可能性があります。</p><p>私がふだん診療をしている血液内科の患者さんたちは、輸血用血液製剤がなければ、すぐにでも命に関わります。手術やがん治療を行っているような病院であれば、医療は1日ももたないでしょう。</p><p>田中：それに加えて影響が大きいのが、免疫グロブリン製剤の製造が減ってしまうことです。この薬は、神経難病や自己免疫疾患の治療で使われているものですが、適用範囲の拡大により、日本での使用量は年間3パーセントずつ増えています。</p><p>現在も国内の製造体制が十分ではなく、一部を輸入に頼っています。そのため、もし献血血液が足りずに国内での製造量がさらに減少してしまうと、必要な治療を受けられない患者さんが出てくると考えられます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/05-1024x731.jpg">年代別献血者数と献血量の推移。全体の献血者数はほぼ横ばいだが、10〜30代の若者層の割合は減ってきている。出典：「献血」は命をつなぐボランティア。あなたもご協力を!｜政府広報オンライン<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/07-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_b158daa38a201525aa4814887cf39ccb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜ「若者の献血離れ」が進むのか？ 身近なメリットと健康管理</h2><p>――なぜ、若者の献血離れが進んでいるのでしょうか。</p><p>紀野：まず第一に、高校への献血車の巡回が減少したからです。多いときでは、高校生の献血率が20パーセントを超えていた時代もあるのですが、医療現場で400ミリリットルの全血献血の需要が高まってからは、男性で17歳以上、女性で18歳以上という年齢制限があるため、高校での献血活動が徐々に減っていった背景があります。</p><p>また、コロナ禍をきっかけに、大学や企業で行われていた集団献血が減少したことも理由の1つです。若いときに献血に触れる機会が少なくなったことで、「献血離れ」が進んでしまったと思われます。</p><p>日本赤十字社の調べによると、10～20代で献血に1回でも行ったことがある人の割合は、10パーセントに満たないことが分かっています（※9）。</p><p>このまま1回も献血をしたことがない若者が増えていけば、10年後、20年後に献血をする人の数が大幅に減ってしまう可能性があるため、私たちは強い危機感を持っています。</p><p>――献血に触れる機会がなかった今の若者たちは、献血に対してどんなイメージを持っているのでしょうか。</p><p>紀野：献血は身近にできるボランティアであり、大切な社会貢献だと思ってくれている方たちがいる一方で、「痛そう」「大変そう」と、献血をすることに対してハードルを感じている方もいます。</p><p>実際には、針を刺すときの痛みはあるものの、「思っているほど痛くなかった」と言う人も多いので、必要以上に怖がらないでほしいですね。全血献血であれば、採血にかかる時間は10～15分ほどで、検査を含めても1時間前後で終わります。</p><p>最近の献血ルームは、自由に本やマンガが読めたり、飲み物やお菓子、アイスなどが置いてあったりと、若い人たちが楽しめるように工夫されているので、「友だち同士で一緒に行く」という人たちも増えてきています。</p><p>――まるでカフェのような雰囲気ですね。気軽に足を運べそうです。</p><p>紀野：そう思ってほしいですね。それに、献血をすると自分の体の状態が分かるので、実は健康管理の面からもとてもメリットがあるんです。</p><p>例えば、血液中のヘモグロビンの数値を測ると、貧血かどうかを調べることができます。特に女性は自分でも気づかずに貧血になっている人が多く、成人女性の約30パーセントは鉄欠乏性貧血（てつけつぼうせいひんけつ※10）の状態だといわれています。</p><p>また、若い男性が注意したいのが脂肪肝（※11）。肝機能ALTの数値を見れば、脂肪肝のリスクが分かります。わざわざ病院に行かなくてもそうした数値を測れるので、献血に定期的に通ってくださっている方のなかには、「健康のバロメーターにしている」という方もいます。</p><p>――若者の献血離れを食い止めるために、どのような取り組みをされていますか。</p><p>紀野：日本赤十字社では、若い世代の方たちに向けてパンフレット（※12）を配布したり、将来の献血者を増やすために、小中高生に向けた体験学習や血液センターの見学会を実施したりといった取り組みを積極的に行っています。</p><p>田中：東京では、医学部の学生たちが血液センターを見学し、そこで自身が献血したり、できない人は献血の呼び込みをしたりする自主的な活動も始まっています。学生時代にそうした活動に参加する意義は大きく、自身の体験を通して献血への意識が高まると思っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/07-3.jpg"></div><div class="wp-block-spacer"></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/08-4.jpg"></div></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_25987b6f2ebad04792d0e5182818d7f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">献血は「誰かのため」ではなく「自分のため」</h2><p>――国内では実用化に向けた人工血液の開発が進められています。松本さんが所属されている奈良県立医科大学の研究チームでも人工血液の製作に取り組まれていらっしゃいますが、人工血液とはどのようなものなのでしょうか。</p><p>松本：私たちが開発している人工血液は、献血血液から作られた使用期限切れの血液製剤（赤血球）を再利用したものです。そのなかから酸素を運ぶヘモグロビンだけを取り出し、人工的な膜で包んだものになります。</p><p>この人工血液の特徴は、どんな血液型の方にも使えて、常温保存ができること。そして、赤血球製剤の有効期限が冷蔵で28日間なのに対し、これは室温で2年間保存することが可能です。</p><p>そのため、輸血用血液の確保が難しい離島やへき地での医療、ドクターカーやドクターヘリなどの病院前診療、災害時などでの活用が期待されています。</p><p>――実用化に向けて、今はどのような段階なのでしょうか。</p><p>松本：現在、安全性を調べるための第1段階の治験が終わったところです。健常な人に人工血液を400ミリリットル投与し、重篤な副作用がないことを確認しました。まだ、実用化までにはさまざまな治験が必要ですが、2030年頃までに新薬としての申請を目指しています。</p><p>日本では、京都大学でiPS細胞から人工血小板の作製に成功している（※13）ほか、慶應義塾大学発のベンチャー企業でも脂肪から人工血小板を作製している（※14）など、人工血液の開発においては世界をリードしているといえます。</p><p>――人工血液は献血の代わりになるのでしょうか。</p><p>松本：一時的に血液が不足した場合に、その不足分を人工血液が補うことはできるかもしれませんが、私たちは人工血液が献血の代わりになるとは思っていません。実際、人工血液の開発に使われているのも、献血で集められた血液の余剰分です。</p><p>今後も献血血液が必要なことには変わりません。</p><p>――将来的な献血量の不足を回避するために、社会全体でどのようなアップデートが求められていますか。</p><p>松本：今や献血は「誰かのためのもの」ではなく、「自分や家族を守るためのもの」だと知ってほしいと思います。若い方たちに限らず、「誰かがやってくれるだろう」と、どこか他人ごととしてとらえてしまっている方も少なくありません。</p><p>私たちが当たり前のように医療を受けられるのは、毎日、献血をしてくださっている方たちがいるからこそ。その“当たり前”を続けていくためには、「誰かがやってくれるからいい」のではなく、「自分たちが行かなければ始まらない」と意識を変えていく必要があります。</p><p>田中：私は離島やへき地での輸血療法の研究をしているのですが、実はそうした地域では献血率がとても高いことが分かっています。</p><p>自分たちの医療が、献血によって支えられていることを知っていらっしゃる方が多く、当事者意識がすごく強いんです。私たち一人一人が当事者意識を持てば、「献血をするのが当たり前」の社会になっていくのではないでしょうか。</p><p>紀野：献血に行かれる方たちの理由として、「家族が輸血で助けられたから」という声が多くあります。そうした動機も、献血に行く大きなきっかけになります。</p><p>もし献血血液がなければ、すぐにでも医療は崩壊してしまいます。自分や家族が病気になったら……。 献血は誰にとっても決して関係のない話ではありません。献血は自分や家族のための医療貢献の1つ。まだ献血をしたことがない人は、まずは一歩踏み出すことから始めてみてください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/08-1024x683.jpg">人工血液の現状について解説する松本さん<h2 id="tnf-text-heading-block_1a7622741e6ccb8c86b2c02eb0a0ae4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">献血で医療を支えるために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、紀野さん、松本さん、田中さんに、必要な医療を安心して受けられる社会であり続けるために、私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0f41c46d6bb8416c5a21939fa890a5ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］献血ができる年齢になったら献血に行く</h2><p>400ミリリットルの全血献血ができるのは、男性は17歳、女性は18歳から。200ミリリットルの全血献血に関しては、男性、女性ともに16歳から可能。献血ができる基準を確認し条件を満たしていれば、まずは献血に行ってみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_962e316b403e52bfe46d32b6967041e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］献血について知り、情報を広める</h2><p>体質や病気により献血ができない人も大切な協力者。家族や友人と献血について話すだけでも、「献血に行こう」と思うきっかけになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ffd2a7b3713eddc33a522510859554b7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］献血は「自分や家族を守るため」の自分ごととしてとらえる</h2><p>自分や家族が医療を受けるときに、献血血液に助けられるかもしれない。誰もが安心して治療を受けるために、自分ごとだという問題意識を持つことが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ec010a66d72249783ebaa792186ea1d0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>少子高齢化により、献血に行く人の数が減っているというニュースを見て、「このままで大丈夫なのだろうか？」と不安を感じたことをきっかけに、今回、一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会の皆さんに話を伺いました。</p><p>献血は需要と供給のバランスによって成り立っており、不足する事態を招かないよう、1回でも献血をしたことがある人への来訪の呼びかけや、小中高生に向けた体験学習など、さまざまな対策が取られていることを知りました。</p><p>ただ、若者の献血離れは深刻で、1回目の献血をする人をいかに増やすかが現在の課題となっています。献血者の数が減れば、将来、自分や家族が医療を受けられなくなるかもしれない――。決して他人ごとではないと実感しました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_60d258b1f23dd27ea64f665ca39661da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1. 「血漿分画製剤」とは、血漿中に含まれる血液凝固因子、免疫グロブリン、アルブミンなどのタンパク質を抽出・精製したもの※2. 出典：<a href="https://www.gov-online.go.jp/article/201307/entry-10660.html" target="_blank" rel="noopener">「献血」は命をつなぐボランティア。あなたもご協力を!｜政府広報オンライン（外部リンク）</a>※3. 2026年3月31日時点の人数※4.「免疫グロブリン製剤」とは、健康な人の献血血液から作られる、病原体から体を守る抗体（免疫グロブリン）を集めた医薬品のこと※5.「アルブミン製剤」とは、健康な人から提供された血液から「アルブミン」というタンパク質を抽出・精製した医薬品（血液製剤）のこと※6.「赤血球製剤」とは、出血及び赤血球が不足する状態、またはその機能低下による酸素欠乏がある場合に使われる※7.「血小板製剤」とは、血小板の減少またはその機能低下による出血ないし、出血傾向のある場合に使われる※	出典：<a href="https://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2023_J.html" target="_blank" rel="noopener">「日本の将来推計人口（令和5年推計）」（国立社会保障・人口問題研究所）（外部リンク）</a>のデータをもとに日本赤十字社が算定※9. <a href="https://www.jrc.or.jp/donation/pdf/20260610_R7nendoho.pdf" target="_blank" rel="noopener">血液事業年度報 令和7年度統計表｜日本赤十字社（外部リンク）</a>※10.「鉄欠乏性貧血」とは、体内の鉄分不足が原因の貧血※11.「脂肪肝」とは、食べ過ぎや飲み過ぎなどにより、肝臓に中性脂肪が過剰に蓄積した状態のこと※12.<a href="https://www.jrc.or.jp/donation/blood/about/introduction/" target="_blank" rel="noopener"> 血液事業紹介パンフレット「愛のかたち献血」〜広げよう、献血の輪！｜日本赤十字社（外部リンク）</a>※13. <a href="https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/research/finding/211203-110000.html" target="_blank" rel="noopener">iPS細胞を用いた人工血小板の作製の効率化に成功｜京都大学 iPS細胞研究所（外部リンク）</a>※	 <a href="https://www.adiposeeds.co.jp/" target="_blank" rel="noopener">脂肪から血小板をつくり、あたらしい血液の流れを創る。｜AdipoSeeds （外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_91000001481b292cabf7761ce89746af" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">松本雅則（まつもと・まさのり）</h2><p>一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 理事長。奈良県立医科大学輸血部・教授。自治医科大学卒業後、地域医療を経て1999年より現職。一般社団法人 日本血栓止血学会・理事長も兼任し、日本の血液・輸血医療を牽引する。希少疾患研究の第一人者であり、将来の血液医療インフラ維持などの課題解決にも尽力している。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_cc7ad622e350614acf48e2136eccb530" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">紀野修一（きの・しゅういち）</h2><p>一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 理事。日本赤十字社 業務執行理事 血液事業・本部長。旭川医科大学にて輸血医学や安全な輸血管理体制の研究に従事したのち、日本赤十字社北海道ブロック血液センター等で要職を歴任。長年にわたり日本の安全な輸血医療インフラの構築と血液事業の発展に尽力している。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d036227c5452a613a4b7f7e338ca88cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">田中朝志（たなか・あさし）</h2><p>一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 理事。東京医科大学八王子医療センター 臨床検査医学科教授兼輸血部科長。血液疾患や輸血学の専門医として血友病などの診療を支える傍ら、離島の血液製剤支援などで安全で有効な輸血医療インフラの確立に尽力している。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Thu, 20 Aug 2026 15:34:39 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「日本の若者、他国と比べて意識低い」はもう聞き飽きた ～日本財団18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123865/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Mon, 03 Aug 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>先進的なオンライン大学に入学して半年が経った。学びたいと思っていたAI、アニメやゲームのアプリ開発、ウェブサービスに関係するソフトウェア分野の授業は期待していた通りに充実していて、ぼく自身の好きを見つけられた気がする。</p><p>そのうえ、オンライン授業が中心なので人付き合いをあまりしなくても学ぶことができることは、人と交わることが苦手なぼくにとってとても快適だ。入学前に少し心配になった勉強の自己管理は全く問題なく、いたって順調な大学生活だと思う。</p><p>ある日、なんのきっかけで参加したかは覚えていないけど、大学が提供している「社会連携・留学」についての説明会を聞く機会があった。大学の経営にも関わっている財団から依頼された講師が、日本を含む6カ国の、ぼくと同じ18歳の若者にさまざまなことへの意識をアンケート形式で<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240403-100595.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">調査した結果（別タブで開く）</a>を紹介するとのことだった。</p><p>質問：自国の将来についてどう思いますか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_1.jpg"><p>講師「『自国の将来についてどう思いますか』という質問に対して、日本の18歳が『良くなる』と回答した割合は15.3パーセントと6カ国中最下位でした。他国と比べて自国の将来に悲観的なことが分かります。反対に、中国とインドの18歳は、『良くなる』と回答した割合は、それぞれ85.0パーセント、78.3パーセントととても多かったです」</p><p>日本でそう思う人が多いのはよく分かる。しかし、中国とインドの同じ世代は国の未来をものすごく楽観的に捉えているのね。どうして、そのように考えられるのだろう。</p><p>質問：自分自身について、以下の項目に同意しますか。</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_2.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_2.jpg"></a>出典：18歳意識調査 第62回テーマ「国や社会に対する意識（6カ国調査）」<p>講師「『自分自身について、以下の項目に同意しますか』という質問への回答を紹介します。</p>自分の人生には、目標や方向性がある：中国86.0パーセント、インド87.2パーセント、日本は63.2パーセント自分のしていることには、目的や意味がある：中国90.2パーセント、インド83.9パーセント、日本は62.8パーセント将来の夢を持っている：中国88.2パーセント、インド88.4パーセント、アメリカ84.7パーセント、日本は60.1パーセント自分には人に誇れる個性がある：中国84.8パーセント、インド83.9パーセント、アメリカ81.1パーセント、日本は53.5パーセント<p>『自分の人生には、目標や方向性がある』『自分のしていることには、目的や意味がある』『将来の夢を持っている』『自分には人に誇れる個性がある』の質問に同意すると回答した日本の若者は、他国より10ポイント以上少なかったです。特に中国、インド、アメリカの若者は、目標・目的や夢をより具体的に持つことができている印象です。そして、自分の個性に自信を持つことができている若者が多いようです」</p><p>目標、目的、夢か。日本が低いことはよいとして、自分の未来を前向きに考えられるのも、誇れる個性もいいね。ぼくは個性的な方だとは思うから友だちになれそうだ。</p><p>でも、先生が言うように、回答している若者が多い、で終わっていいのかな。社会との関係で考えたほうがよいのかもしれない。個人が目標、目的、夢を持てる環境、個人が他人と違うことに価値があると認められている環境にいるからこそ、個人もそのように思えるようになる気がする。</p><p>質問：自身と社会の関わりについて、以下の項目に同意しますか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_3.jpg"><p>講師「自身と社会の関わりについての全ての項目で日本は6カ国中最下位でした。特に日本では、『自分は大人だと思う』『自分の行動で、国や社会を変えられると思う』が5割を切っているのが特徴的です」</p><p>そうそう。社会への意識と社会との関わりの意識が違うんだと思う。結局、自分って社会の一員なの？ 大人なの？ という意識が全体に大きく反映されていると思う。</p><p>ぼくも含めて、日本の18歳の意識は子どもなんだと思う。ぼくが人付き合いを苦手な理由は、自分が子どものせいもあるけど、周りも子どもだからかもしれないな。</p><p>あおいさんは、海外と比較した日本の若者の社会参画への意識の低さに関心を持ち始めました。理由は何だろう？ それは問題なのだろうか？ どのような解決策が考えられるだろう？ と。</p><p>そこで、翌週、若者の社会参画の有識者がオンラインセミナーを実施する情報を知り、聴講することにしました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32af72e85c7724f5d4dcfc9718994a44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者の社会参画と若者政策に詳しい日本福祉大学講師の両角達平 （もろずみ・たつへい）先生のお話</h2><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_4.jpg">両角達平先生</div><h3 id="tnf-text-heading-block_a9d719f6b78ccc8c5a17eaf8dd436192" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者の社会参画への意識は、昔よりも増加している</h3><p>私が関与した2020年の<a href="https://www.niye.go.jp/pdf/210622_02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国立青少年教育振興機構の調査（外部リンク/PDF）</a>でも同じような結果になっていて、日本財団18歳意識調査で日本が6カ国の中で最も低いことに驚きはしない。</p><p>90年代以降、米・英・日・韓のような先進国のポストモダン社会で自国の将来についてどうなるかわからないという考えを持つのは共通している。また、日本人はこういったアンケートに対して控えめに回答する傾向がある。中国・インドのような発展途上国で自国の将来についてよくなると回答するのは自然なことだ。</p><p>他国との比較よりも12年前との時系列的な意識の変化に着目している。日・米・中・韓の4カ国とも「私の参加により、変えてほしい社会現象が少し変えられるかもしれない」と回答した割合は、2008年に実施した同じ調査のそれと比べて高くなっており（下図参照）、「現状を変えようとするよりも、そのまま受け入れる方が良い」「政治や社会より自分のまわりのことが重要だ」という自分本位的な回答をした割合は、４カ国とも減少傾向にあることが分かった。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_5.jpg"><p>実際に、今回の18歳意識調査で「自分の行動で国や社会を変えられると思う」と答えている若者は日本は調査対象国の中で最低だが、2022年と比べて日本、米国、英国は増えている。日本に限ると2022年26.9パーセントだったのが2023年では45.8パーセントまで増えており、1年で約19パーセントも上昇しているのだ。</p><p>また、社会参画の権利の尊重項目において、「社会や政治に対して意見表明は良いこと」だと思う割合は4カ国とも8割を超えていた。つまり、日本は他国と比較すると低くなってしまうが、比較から「日本の若者は社会に参画したくない」と捉えるのは違う。むしろ、日本の8割もの若者が社会参加を権利として認めることは大事だと思っていると肯定的に捉えるべきだ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f137e9b93b563dac31ed439c51c5aac8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者への傾聴が社会全体の民主主義につながる。若者が社会に参画する機会をつくろう　</h3><p>他方、日本は「社会はとても複雑で私は関与したくない」「私個人の力では政府の決定に影響を与えられない」という消極的な姿勢も多い。それは、若者の意識の問題ではなく、社会制度や構造的な部分に目を向けるべきだと思う。</p><p>これまでの若者の社会参画を促す政策は、「社会参加、ボランティア活動への参加を教育しましょう」というものだった。しかし、そもそもそういった機会がないから声を上げないし、聴かれる機会がないのであれば言わない。今、こども家庭庁ができて「意見表明の機会をつくりましょう」と大きく変わったことはとても良い。</p><p>OECDのPISA（国際学習到達度調査）が示すように日本の学力は国際的に悪くないが選挙の投票率は高くない。スウェーデンは日本より学力は低いが投票率はとても高い。フィンランドは日本と同様に学力は高いが投票率はスウェーデンほど高くない。学力が高くても、政治参加する市民の割合が高くないことの方は問題でないだろうか。</p><p>日本では、声を上げても無視される、あるいは否定されるようなコミュニケーション、非民主的なコミュニケーションが、学校内では教師と生徒、家庭では親とこどもという縦の関係のなかで起きがちであり、若者はこのなかで何を言っても変えられない、ということを学んでしまっている。</p><p>例えば、校則について問題があってそれを変えたいと思っても変えられない。意見を言うよりも静かにしていた方が内申点に響かないと学んで、結局そのまま何も言わず卒業していく。</p><p>そもそも、若者に意見表明の機会を与えないことを良しとすることは、民主主義社会を否定することにつながる。民主主義は、その社会に関わる人たちがいろいろな「差」はありながら参画して自分たちで自己決定して生きていけるようにしていく機能である。</p><p>日本では、民主主義のなかで声の大きい年長者や男性が物事を決めてしまうことがずっと起きている。それは「世代間の民主主義が保証されない」ということだ。若者の声を聞かないということは、それを容認し、加速することになってしまうのだ。</p><p>こども家庭庁ができ、こども基本法ができていくなかで、自治体やその他の機関は基本的に子どもや若者の声を聴かなければならない、ということが義務になっている。皆さんが住まわれている自治体でも基本的に子どもや若者の声を聴かなければならない、ということが当たり前になってきている。こういう変化は大きい。</p><p>調査結果は何も中高生の意識に限らない社会の課題であるといえる。大人も社会参画できていない。大人世代も国際的にみると日本では投票率は低いし、そもそも自分の声が届いて市政が変わると思っている大人は多いだろうか。</p><p>大人が社会に参画できていたら、子どもたちもそれを見て参画しようとする。むしろ、このような若者の意識調査の結果を受けて、社会構造に切り込まずに、「じゃあ政治教育、社会参加の教育をやろう」とズレた議論に向かう悪弊がある。</p><p>つまり、若者の意識は社会構造が一因であって、「日本は大人も含めて意見が届いている社会なのか、あらゆる人にとっての社会なのか、この国の民主主義や自治は大丈夫なのか」を考えていく必要がある。</p><p>社会が自分ごとだと感じると「参加しなければ」となるだろうし、自分の声が届いている実感があって、意見が反映されれば民主主義が実現されるようになる。私に声をかけてくれる自治体には、「大人たちも変わらないといけない」という意識があるが、世の中全体的にどうなのか。今後、大人側の意識も調査してみる必要があるのではないか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_640312bbff56f54f4ffca2e64bf314e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者が自分の言葉で自由に意見を言える第三の場をつくろう</h3><p>また、国立青少年教育振興機構の調査では日本の若者は学校内のこと（部活・生徒会活動・学校行事）に参画する意識は高いが、学校外のことになると趣味・エンターテインメント・アルバイトに時間を割くことへの意識が高く、寄付募金・環境自然保護・政策に対する意見表明や動物愛護への参加意識は低いという結果が出た。</p><p>しかし、学校外における社会参加の活動もないわけでない。例えば、こども家庭庁が設置される前から、地域において若者の声を政治・政策に反映させるためのユースカウンシルや若者議会、全国規模の若者の声を政治に届けるための日本若者協議会、あるいはNo Youth No Japanといった取り組みが、若者たちが自分たちの声で社会を変えていこうと動いており、力を持ち始めている。</p><p>意識の高い一部の若者による政治参加の活動と揶揄されることもあるが、それでも若者である当事者による活動がまずは認知されるようになったことは大きな一歩だ。</p><p>そのうえで、あらゆる若者の声が社会に届くようにするにはどうしたらよいか。地域における若者の自由な居場所があることが大事だ。</p><p>例えば、若者が集まってたむろしたり、ゲームしたり音楽活動をやったりと余暇活動が自由にできる場所で、学校や家とは違うユースセンターといわれている場所。ヨーロッパ諸国では広く認知されている。また、長野の私の実家の地域に存在していたこともあって、このような場所が当たり前だと思っていたが、日本には意外と少ないようだ。</p><p>ユースセンターには、さまざまな若者が集まってくる。ユースセンターはそもそも学校とは異なり、行かなくてもいい場所なのにそこに集まっている時点で、素が出せる場になっており、結果的に若者の主体性が高い場合が多い。学校のアンケートでは評価の目に晒されているので真面目な回答になってしまうこともあるだろうが、ここでは「自由に発言していい、自分らしくいれる」と思えるため、本音の意見が自然と出てくる。</p><p>全国でユースセンターと名乗った地域の居場所は増えており、ユースワークをやろうとする人も増えている。ユースワークとは若者の居場所をつくったり、若者の参画の促進に取り組んだりする、若者と関わる活動のことである。</p><p>海外に行けるだけ余裕のある若者は、「あの国はこうなって、日本はやばい」と刺激を受けて自分たちで取り組み始める。それはそれですごく大事だが、そうではない人たちも含めてあらゆる人たちにとって「社会に居場所がない」ということが問題ではないか。だからこそ「言いたいことも言えないような世のなか」になっているではないだろうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d77439fa228e8a84eb6a5d30f2cec870" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者の意見を傾聴するだけではなく、権力の移譲を想定しよう</h3><p>若者の参画を発揮していく方法として、OECDの太陽モデルがある（下図）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol10_6.jpg">出典：<a href="https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/about/projects/edu/education-2040/concept-notes/Student_Agency_for_2030_concept_note.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">OECD (2019), OECD Future of Education and Skills 2030 Conceptual learning framework Concept note: Student Agency for 2030, （外部リンク/PDF）</a><p>ロジャー・ハートの「子どもの参画のはしご」のと似ており、基本的に書いてあることはそれと同じである。「参画のはしご」は縦に並べているので上の方が絶対正しいとなるが、常に上を目指すことはしんどくなることもあるため、丸くしたものだ。</p><p>この図から分かることは、お飾りの子ども・若者の参画に留めないためには、本質的には大人から若者に権限委譲をするということである。実際に、大人が若者に意見の機会だけを与えても権力の移譲はしないこともある。権力の移譲まですると意思決定を若者に託すということになる。</p><p>民主的な社会では、社会についてさまざまな人たちが意見を出し合って意思決定をする。さまざまな人たちのなかに若者というカテゴリがある。大人、制服組、男性、政府機関というカテゴリは、自動的に無自覚的に、若者より強い権力を持ちがちである。そのことを自覚して、自分たちが持っている権力をいろんな面で移譲していく、という考え方が一番大事だと考える。</p><p>権力が移譲されるとは究極的には子どもや若者が自分に関することや社会について意思決定すること。実際には、まちであれば住民は子どもや若者だけではないため、そのような究極的なことにはならない。</p><p>だが、子どもや若者の居場所に関する方針であれば、子どもや若者が利用者であって主体者なのだから、意思決定まで参加するのは当然だろう。このような機会をつくって参加することで、「居場所に方針決定に関われた」「自分の声を聴いてもらえた」「次は別の方針で意見を聴いてもらおう」という連鎖が起きてくる。</p><p>太陽モデルを参考にすれば、若者に情報提供して何かしらの役割を任せる、若者の意見を聴きながら大人と一緒につくる、など本人の意思決定の手前にあるステップを設定すれば、若者の参加を促すことができるだろう。</p><p>以上</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>あおいさんは、自分が感じている生きづらさの理由が分かった気がちょっとしました。同時に、自分が意思を表明しやすい社会に自分の居場所を求めることがごく自然な選択肢のように思えてきました。</p><p>時間のある学生のうちに海外にまずは行ってみて、自分の目でその社会を見て、そこに住む人たちと接してみよう。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>災害は「もしも」から「いつも」へ。災害への備えを自分ごととして行うには？ ～18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123960/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Thu, 30 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本は、洪水や土砂災害、地震、津波などの多様な自然災害が発生しやすい、災害大国といわれています。</p><p>近年では、南海トラフ地震（静岡県から宮崎県の太平洋沿岸（駿河湾から日向灘）にかけての「南海トラフ」のプレート境界を震源域とする大規模地震）が発生した際に著しい地震や津波災害が生じるおそれが見込まれる地域として、<a href="https://www.gov-online.go.jp/article/202501/entry-7050.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">1都2府26県707市町村（令和7年（2025年）1月時点）（外部リンク）</a>が指定され、ニュースなどで取り上げられたのを見聞きした人も多いのではないでしょうか。</p><p>政府の発表によれば、今後30年以内に南海トラフ地震が発生する確率は80パーセント程度（令和7年（2025年）1月時点）とされており、いつ発生してもおかしくない状況にあります。</p><p>こうした災害への不安は、若者への調査結果からも見て取ることができます。日本財団が、日本を含む<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240403-100595.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">6カ国の若者を対象に行った18歳意識調査（別タブで開く）</a>では、日本の場合、自分の国の重要な課題として、「少子化」「高齢化」「経済成長」に次いで「自然災害」が多く選ばれています（6カ国中でもっとも高い）。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2022/20221006-80123.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">別の回の18歳意識調査（別タブで開く）</a>では、日本国内での大規模災害の発生可能性について、「非常に不安を感じる」、または「少し不安を感じる」と回答した人が、大阪圏を除くすべての地域で8割以上を占めています。</p><p>質問：日本においては、今後数十年以内に南海トラフ巨大地震、首都直下地震などの大規模災害が発生する可能性が指摘されています。今後の大規模地震の予測について、あなたの考えを教えてください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_1-1024x588.jpg"><p>他方、この調査の回答者の約7割は自然災害の影響を自分自身では受けた経験がなく、防災・減災対策を「行っているものはない／わからない」と回答している若者も男女合わせて3割近く存在しています。</p><p>特に女性では、「行っているものはない／わからない」を選んだ人がもっとも多くなっています。</p><p>質問：あなたやあなたの世帯では、災害発生に備えて、以下のことを行っていますか。行っているものをすべて選択してください。</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_2.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_2-1024x563.jpg"></a>出典：日本財団18歳意識調査 第49回テーマ「防災・減災」。※全体の降順で表示。上位10項目、及び「行っているものはない／わからない」のみを抜粋<p>起こるかもしれない災害を心配しながらも、防災対策を行っていない（または行っているかわからない）人が一定数いる背景には、災害を自分ごととしては捉えていないことが原因にあるのではないでしょうか。</p><p>大規模自然災害のニュースを見聞きすると「もしも自分の近くでも災害が起こったら」と考えても、時間の経過とともにその気持ちが薄れてしまうことは専門家も指摘しています。「もしも」を一歩乗り越え、私たちが防災を自分ごととして日々意識し、備えるためには、どのようなことが効果的なのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回は、「防災の楽しさを、世界中のみんなに。」をフィロソフィーに防災の普及活動に取り組む、NPO法人プラス・アーツ（以下、プラス・アーツ）の小倉丈佳（おぐら・たけよし）さんにお話を聞きました。プラス・アーツでは、「モシモ」を「イツモ」にするために、さまざまな団体と連携し、防災の普及活動を行っています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_4.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_0df77731983c4115a4b928b130ab2b2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">防災は、もはや「モシモ」ではない</h2><p>小倉丈佳さん（以下、敬称略）： まず「災害」＝「モシモ」という捉え方自体を見直す必要があるのではないかと思います。</p><p>日本で震度4以上の地震（ある程度大きな地震）が起こらなかった年は、実はこれまでに一度もありません。また、水害は毎年発生しています。つまり、「災害」は「モシモ」のことではなく、毎年当たり前のように起こる「イツモ」のことなのです。</p><p>雪国の人々が毎年冬の到来前に冬支度をするのと同じように、災害に備えることを日本に住む上でのマナーだと言えるくらい、当たり前のことにしていく必要があると思っています。</p><p>長年活動をしていると、被災地に暮らす人々は防災への関心は高く、震災未経験のエリアの人々は関心が低いということを、肌感覚として感じます。災害が起こると自分の身の回りがどうなるのかを具体的にイメージできている、ということが自分ごと化につながっているのではないかと思います。</p><p>不安だけど何をやれば良いか分からないという人は、まずは過去の災害でどんなことが起こったのかを知ることから始めるのが良いと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e16603298d818343921f81b3bb90b5d3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">防災意識を自らアップデートする</h2><p>小倉：日本財団の18歳意識調査の結果を見ると、「あなたが自身の防災・減災意識を高めるために経験・利用してみたいものを次のなかから3つまで選んでください。」という質問に対し、「応急救護訓練」や「消火器の取扱い訓練」などが上位にあがっており、従来の防災のイメージをアップデートできていない様子が見られます。</p><p>実は最近、謎解きやアウトドア、スポーツ競技のような演出を取り入れ、新しい視点を持った防災訓練イベントがたくさん増えてきています。また、防災グッズもデザインが優れていて普段の生活にもなじむようなものがどんどん出てきています。</p><p>防災のことを自らアップデートしにいくという意識で、情報収集したり、おもしろそうだと感じるイベントに参加したりといった、個々人の前向きな活動が大切になってくるのではないでしょうか。</p><p>質問：あなたが自身の防災・減災意識を高めるために経験・利用してみたいものを次の中から3つまで選んでください。</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_3.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol13_3-1024x430.jpg"></a>出典：日本財団18歳意識調査 第49回テーマ「防災・減災」。※「特にない」を除き、降順で表示<h2 id="tnf-text-heading-block_eca279f0814da5abe0611f4f55db44e6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">防災を楽しい体験として学ぶ</h2><p>小倉：日本では、防災について「面白くない」「難しそう」「堅苦しい」というイメージが浸透しているので、そのイメージを打破するような取り組みがたくさん増えていくことが大事だと考えています。</p><p>プラス・アーツのプロジェクトは楽しいことを重視しているので、関わった人たちからは、「防災って楽しんでもいいんだ」「防災が楽しめるものだと初めて気づいた」といった声をたくさんもらっています。そんなふうに、ぜひ若い皆さんには、楽しい防災イベントや書籍、グッズ等に触れてみて、まずは上記のような感想を抱いてもらうことが大切だと思っています。</p><p>また、私たちは、子どもの頃の経験がとても重要だと考えています。防災のことを「面白くない」「難しそう」と思う人が多いのは、子どもの時に体験した防災訓練がそうだったからだと思いませんか？</p><p>もしそうだとすると、子どもの頃に楽しい防災イベントにたくさん参加してもらえれば、防災を楽しいと考える子どもが増え、その後彼らが大人になったときに防災のネガティブなイメージを変えてくれるのではないかと思っています。</p><p>その意味で、学校教育はとても重要です。いま小・中学校のなかにどうやって楽しい防災プログラムを取り入れていくか、全国で少しずつモデルをつくっていっているので、引き続き力を入れて取り組んでいきたいと思っています。</p><p>おそらく高校生や大学生の多くが、「防災は真面目に取り組まなきゃ」と考えてしまっているのではないかと思います。繰り返しになりますが、これらは小さい頃から経験している避難訓練しか知らないことが原因ではないかと思うので、ぜひさまざまなイベントに積極的に参加して、「楽しい！」と思えるようなものを発見してもらいたいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_98c92a4b7244dd56802bcf3307636f2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多世代テーマ「防災」を通じた学校と地域の連携</h2><p>小倉：ここ数年で、学校からの依頼を受けることが多くなってきています。総合的な学習（探究）の時間を活用して防災について積極的に学んでいこうという先生が増えてきているように思います。</p><p>また「学校と地域との連携」も重要なキーワードになっているので、「『防災』というテーマで、地域と中学生（高校生）が一緒に活動できる場をつくれないか？」という相談を受けることがあります。結果として、地域の防災訓練に、中学生や高校生がスタッフとして参画するという事例が増えてきています。</p><p>実は、地域の防災活動は、運営者も参加者も高齢化が進んでおり、活動をいつまで続けられるかということが全国的に大きな課題となっています。高校生や中学生が地域の防災訓練に関わり、高齢化した防災コミュニティを支えていくという取り組みが、上記課題を解消するきっかけになるのではないかと思い、とても可能性を感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d66e37cee94bc48ac536b2da4b53cde1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">防災を支えるコミュニティ</h2><p>小倉：阪神・淡路大震災の頃に住民同士の助け合いやボランティア活動が注目され、自助・共助・公助のなかで「共助」が大事だという認識が広がっています。共助はコミュニティがしっかりしていないと成り立たないので、地域の人たち同士が協働できる場を事前につくっていくことが大事だと考えています。</p><p>昔は町内会等で地域行事を開催することが多かったので、地域のさまざまな立場の人が一緒に何かをするという機会がありましたが、最近はそのような行事自体が減ってきています。「防災」はどの世代においても重要なテーマであるため多世代が関わりやすく、防災イベントを地域行事のように実施していくことが、コミュニティを維持、強化するためのポイントなのではないかと考えています。</p><p>プラス・アーツの「イザ！カエルキャラバン！」は、地域の人たちが運営を担うことを条件として展開しています。全国の開催事例を見ると、「自主防災組織」や「消防団」といった地域の防災関連団体だけで開催するというケースはあまりなく、PTAや子ども会、スポーツクラブや大学のボランティアサークルなど、防災以外のさまざまな団体が集まり、和気あいあいと開催している地域がたくさんあります。まさに「防災のお祭り」として実施されているプログラムではないかと思います。</p><p>カエルキャラバンには高校生や大学生といった若い人たちもスタッフとしてたくさん参加してくれているので、もし「地域の人たちと顔見知りになりたい」「地域に貢献したい」と考えているなら、ぜひ主催者に連絡を取り参加してみてください。とても楽しいですし、地域の人たちも若者とつながりたいと思っているので、大歓迎されるはずです。</p><p>また、もし参加することのハードルが高ければ、そういった面白そうな防災の取り組みや役に立つ情報などをSNSなどで発信するということも、若い人たちだからこそできる社会貢献ではないかと考えています。自分と同じ世代の人が発信したもののほうが、いいね！　と共感できますよね。</p><p>若者発で防災のイメージが変わっていくと素晴らしいと思います。いま日本財団のSNSで、イラストを活用した分かりやすい情報配信を行っているので、よかったらシェアして広げてもらえると嬉しいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3fc7cfe24188fd1cf1a12f72fda4cf7a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">防災に取り組むことが企業価値向上につながる</h2><p>小倉：自治体や民間企業、日本財団のようなさまざまな業種との連携プロジェクトがいま急に増えてきており、その背景には2つあると考えています。</p><p>1つ目は、昨年、能登半島地震や南海トラフ地震臨時情報の発表といった出来事が連続的に発生したことにより、全体的に危機意識が高まっていることです。</p><p>2つ目は、防災にしっかり取り組むことが企業価値の向上につながる、と認識され始めていることです。特に、マンションやインフラ系の企業においては、防災にしっかり取り組んでいる、ということがその企業が選ばれる理由の一つになっています。防災に取り組むことで、消費者からの会社の商品、サービスに対する信頼が高まっていると考えられます。</p><p>ただし、連携プロジェクトの数は時期により波があり、災害から一定期間が過ぎると急激に関心が下がってきます。もっともっと防災を一般化し、関心の高低に関わらず防災に取り組む企業が増え続けていくよう、活動していきたいと思っています。</p>    ]]>
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      <title>子育て家庭と1日過ごす「家庭留学」とは？ 若者と子育て世代をつなぐ新しい取り組み</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123716/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 29 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>子どもと接する機会の減少を背景に、家族や子育てを具体的にイメージしにくい若い世代が増えている</li><li>SNSでは子育てに関するネガティブな情報が広がり、不安が増幅されやすい</li><li>二次情報でなく一次情報に触れることで、自分にとっての家族のあり方をイメージしやすくなる</li></ul><p></p><p>結婚や出産、子育てをめぐる価値観や環境は、この数十年で大きく変化しています。少子化が進むなか、将来の家族像を思い描きにくいと感じる若者も少なくありません。</p><p>こうしたなか、<a href="https://manma.co/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人manma（外部リンク）</a>では、若者が子育て中の家庭を訪問し、実際の暮らしや子育ての様子に触れるプログラム「家族留学」を実施しています。家庭ごとの多様な価値観やライフスタイルに出合うことで、漠然とした不安を整理し、自分らしい将来像を考えるきっかけになるといいます。</p><p>今回は、同団体の代表・越智未空（おち・みそら）さんと、広報の五十嵐恵美（いがらし・えみ）さんに、家族留学の取り組みや、若者が家族を持つことに不安を抱く背景について伺いました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/manma00005.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/manma00006.jpg">manmaで広報を務める五十嵐さん</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_6f6080a549b6076e6a827a05caff4bc8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもと接する機会の減少が、将来の家族像を描きにくくしている</h2><p>――近年、子育てや家族形成に不安を感じる若者が増えているといわれています。その背景をどのように捉えていますか。</p><p>越智さん（以下、敬称略）：多くの若い世代の方と接するなかで、将来に対して漠然とした不安を抱えていると感じています。特に家族を持つことに関しては、「自分に仕事と子育てを両立できるのだろうか」「自分に子どもを育てられるのだろうか」といった不安の声をよく耳にします。</p><p>その背景の1つに、子どもと触れ合う機会の減少があると考えています。核家族化や地域コミュニティーの希薄化が進み、近所の子どもや親戚の子どもと接する機会が以前より少なくなりました。</p><p>子どもと関わった経験がほとんどないまま大人になると、いざ自分の将来を考えたときに、「子育てができる自信がない」「そもそも子どもが苦手だ」と思う人も少なくありません。子育てを身近に感じる機会が減ったことが、家族形成への不安につながっているのではないかと思います。</p><p>――自分が子育てをしている姿が想像できないのかもしれませんね。</p><p>越智：まさにその通りだと思います。世代間の違いも大きくて、子育てについて50代、60代の方にお話しすると、「何がそんなに不安なの？ なんとかなるでしょう」と言われます。この「なんとかなる」という感覚を、今の若い世代は持ちにくいのかもしれません。</p><p>1980年代頃までは、地域とのつながりが比較的強く、子どもと接する機会も多く、近所の人や親戚を含めて子育てを支える環境がありました。現代は子どもと触れ合う機会が少ない分、いざ自分に子どもができたときに、「赤ちゃんがいる生活とはどのようなものなのだろう」と具体的なイメージを持ちにくい。だからこそ、「なんとかなる」と思えないのではないでしょうか。</p><p>さらに、実体験はない一方、SNSなどを通じて子育てに関する2次情報に触れる機会は増えています。特にSNSではネガティブな情報ほど拡散されやすく、「子どもができると自分の時間がなくなる」「夫婦関係が悪化する」といった話題が目につくと、家族を持つことに対する不安がさらに強まってしまうのかもしれません。</p><p>――改めて「家族留学」とはどのような取り組みなのでしょうか。</p><p>五十嵐さん（以下、敬称略）：一言でいうと、「家庭版OB・OG訪問」のようなプログラムです。大学生を含む20代、30代の方が子育て家庭を訪問し、数時間にわたって家族と一緒に過ごします。子育て中の家庭の日常に触れたり、仕事と育児の両立について話を聞いたりすることで、「子育てとはどのようなものか」を体験を通して知る機会を提供しています。</p><p>五十嵐：参加にあたっては、まず事前にどのような家庭に話を聞きたいかをヒアリングします。例えば、夫婦の育児分担や育児休業の取得状況、仕事や働き方などについて希望を伺い、その内容をもとに担当者がマッチングを行います。</p><p>現在、全国に約600以上の受け入れ家庭があり、参加者の希望に合った家庭をご紹介しています。マッチング後も担当者がフォローしながら進めるため、初めての方でも安心して参加できます。</p><p>実施方法は、実際に家庭を訪問する対面形式のほか、オンライン形式もあり、それぞれの状況に合わせて参加しやすい方法を選べるようにしています。当日のスケジュールや時間もそれぞれの希望に応じて調整しています。</p><p>――家族留学を始めた経緯について教えてください。</p><p>越智：家族留学は、1994年生まれの大学生が立ち上げたプログラムです。当時はキャリア教育が広がり始めた時期でもあり、中学校での職場体験や社会人の話を聞く機会など、「仕事」について学ぶ機会は数多くありました。</p><p>でも、人生は仕事だけではありません。家庭を持ったら仕事をどう続けていくのか、パートナーシップをどのように育んでいくのか、子育てとどう向き合うのか。そうしたことについて学ぶ機会はほとんどありませんでした。</p><p>また、親世代と私たち世代では社会環境も大きく変化しています。親世代は終身雇用や性別役割分業（※）の考え方が比較的一般的でしたが、現代は共働きが当たり前で、転職も珍しくありません。</p><p>そこで、今まさに仕事と子育てに向き合っている人たちから話を聞くことで、仕事観だけでなく家族観や価値観についても学べる機会をつくれないか。そんな問題意識から、家族留学が始まりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/manma00004.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/manma00003.jpg">家族留学の概要と参加者のアンケート結果。共働きとの両立に対する不安解消や、子育て家族への配慮が高まったという声が多い。画像提供:特定非営利活動法人manma<h2 id="tnf-text-heading-block_bc5bbabb1e8f23a3c21a948ccc35f64e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子育てに奮闘する家族に触れ、リアルな暮らしを体験</h2><p>――家族留学には、どのような方が参加されていますか。</p><p>越智：就職活動を控え、将来のライフプランについて考えたい大学生や、すでに働いている20代、30代の方が多く参加されています。</p><p>プログラムをスタートした2015年頃は、参加者の約9割が女性で、主に女子大学生が中心でした。しかし、2020年頃からは男性の参加も大きく増え、現在は男女比がほぼ半々になっています。</p><p>また、一人で参加される方だけでなく、カップルや友人同士で参加されるケースも増えています。結婚を控えたカップルが、将来子どもを持つかどうかや、どのような家庭を築いていきたいかを話し合うきっかけとして参加されることもあります。</p><p>最近は岡山県や千葉県松戸市などの自治体と連携して家族留学を実施することも多く、いろいろな地域の方が参加されています。</p><p>――参加者から留学先の家族には、どのような質問が寄せられるのでしょうか。</p><p>越智：参加する方の年齢やライフステージによって質問はさまざまです。例えば、大学生の場合は、就職活動を前に将来の働き方や家庭について考えたいという方が多く、「子どもと過ごす時間が限られるなかで、「どのように親子関係を育んでいますか」「仕事と子育てを両立するなかで大切にしていることは何ですか」といった質問がよく出ます。</p><p>一方で、社会人になると、キャリアと出産・子育ての両立について、より具体的な相談が増えます。</p><p>――参加者からはどのような感想が寄せられていますか。</p><p>越智：参加後のアンケートでは、86パーセント以上の方が「結婚したい」「子どもを持ちたい」という気持ちが高まったと回答しています。また、約8割の方が、仕事と子育ての両立に対する漠然とした不安や、育児に対する自信のなさが解消されたと答えています。</p><p>ただ、私たちは、必ずしも結婚や出産を推奨したいわけではありません。実際の家庭に触れることで、一人一人が自分の人生やライフプランについて考え、納得感のある意思決定をするためのヒントになればと思っています。</p><p>最近は「子持ち様」といった造語など、立場の違いによる分断を感じさせる言葉を目にすることもあります。子どもを持つかどうかにかかわらず、子育て世代がどのような経験をしているのかを知ることで、お互いへの理解は深まるのではないでしょうか。</p><p>そうした相互理解を生み出せることも、家族留学の大きな意義だと感じています。</p><p>――受け入れ家庭にはどのような思いを持った方が多いのでしょうか。</p><p>越智：受け入れ家庭にも本当にさまざまな方がいます。ご夫婦はもちろん、シングルマザー・ファーザーの方もいます。</p><p>家族留学では、１つの家族の形を正解として示したいわけではありません。多様な家庭との出会いを通じて、参加者が自分なりの家族のあり方を考えるきっかけになればと思っています。</p><p>皆さんに共通しているのは、「自分たちの経験を次の世代に伝えたい」という思いです。</p><p>例えば、「子どもは苦手だと思っていたけれど、実際に親になってみたら想像以上にかわいかった」「子育ては大変なことも多いけれど、それ以上に幸せや喜びがあった」といった実感を、若い世代に伝えたいという声をよく聞きます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/manma00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f1a060a5a83d228a492fdf24571d49a1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多くの参加者が子育てへの不安が軽減。受け入れ家庭にも起こった変化</h2><p>――家族留学をきっかけに生まれた関係性は、その後も続いていくのでしょうか。</p><p>五十嵐：続く方も多いです。つい先日は、受け入れ家庭の方から、「参加者だった学生さんの大学の卒業式に出席した」という話を聞いたばかりです。</p><p>実は私自身も家族留学の参加者だったんです。妊娠中に子育てへの不安が大きくなり、家族留学に参加したのですが、受け入れてくださったご家庭とは出産後も交流が続いています。</p><p>子どもが生まれてからも相談に乗っていただいたり、励ましていただいたりしていて、私にとってはまさにもう一人のお母さんのような存在です。そうした関係が続いているケースも少なくありません。</p><p>――今の時代を生きる若者が家族や子育てについて、より具体的なイメージを持てるようになるためには、何が必要だと思われますか。</p><p>越智：体験型の機会を増やしていくことが重要だと考えています。現代はSNSや動画などを通じて、家族や子育てに関する情報を得る機会はたくさんありますが、実際に自分の目で見て、感じる機会は決して多くありません。</p><p>ある参加者は、受け入れ家庭の夫婦がアイコンタクトを交わしながら質問に答える姿を見て、「本当に仲が良い夫婦なんだ」と言葉以上のリアルな空気感を肌で実感できたそうです。また、「子どもは苦手」と思い込んでいた参加者が、実際に赤ちゃんを抱っこしたり、子どもから手紙をもらったりするなかで、自然と「かわいい」と思えるようになるケースもありました。</p><p>こうした気づきは、その場に足を運んでこそ得られるものです。スマホの情報だけでは見えてこない空気感や感情、家族の絆に触れられることこそが、体験の本当の価値にほかなりません。</p><p>だからこそ、家族や子育てについて考える原点として、こうした体験型の機会を増やしていくことが大切なのだと感じます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_663fc548a5d46138bba0cfd0ef897cb1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子育てへの不安を和らげる社会に向けて、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に子育てへの不安を和らげる社会に向けて、私たち一人一人にできることをお二人に伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4596cedc75290136ae35ea7f854657f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］SNSの情報を鵜呑みにしない</h2><p>「育児の過酷さ」「経済的負担」「キャリアとの両立の難しさ」といった極端でネガティブな二次情報があふれるなかで、それをそのまま受け取るのではなく、「本当にそうなのか」と一度立ち止まって考えてみることが重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_30e85d7bd2aaa6e1b768fc92f2fd02bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子育てのポジティブな側面も伝えていく</h2><p>子育て世代の側も、大変さだけでなく、「子育ての楽しさ」や「幸せ」といった実体験を意識的に次世代へ伝えていくことが、若い世代の安心感につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>取材をしたのはちょうど、SNS上で「飲食店や公共の場で授乳ケープを使って授乳することはマナー違反なのか」という話題が広がっていたタイミングでした。</p><p>さまざまな意見が飛び交うなかで、赤ちゃんを連れて外出する親にはそれぞれの事情があり、赤ちゃんは親の都合に関係なくお腹を空かせる存在でもあることを想像できたら、もう少しやさしい眼差しが広がるのではないかと感じました。</p><p>家族留学は、そうした想像力を育むきっかけの1つになるのかもしれません。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_53fe2daa75dab4d5a458e8d44c663588" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「性別役割分業（または性別役割分担）」とは、「男性は仕事、女性は家庭」というように、個人の能力にかかわらず性別を基準に社会的・家庭的な役割を区別する考え方のこと</div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://manma.co/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人manma公式サイト（外部リンク</a></p><p></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 29 Jul 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>選択的夫婦別姓制度は、夫婦の関係を安定させる ～日本財団18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123852/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Tue, 28 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p></p><p>日本財団は、2025年8月、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2025/20250918-115735.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「選択的夫婦別姓制度」（別タブで開く）</a>をテーマに73回目の18歳意識調査を実施しました。有識者に印象に残った調査結果についてインタビューを通してお考えをお聞きしていきます。</p><p>質問：夫婦別姓について、あなたの考えに最も近いものを選んでください。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol9_1.jpg"><p>全体の約半数が「希望する夫婦は別姓を選べるようにすべき」と回答しました。</p><p>この質問に「今の制度を維持すべき」または「名字変更後も、旧姓を使える場面を拡大すべき」と回答した人にその理由を尋ねました。</p><p>質問：夫婦別姓について、「今の制度を維持すべき」または「名字変更後も、旧姓を使える場⾯を拡⼤すべき」と答えた⼈にお伺いします。（複数回答2つまで）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol9_2.jpg">出典：18歳意識調査 第73回テーマ「選択的夫婦別姓制度」<p>女性の約半数が「旧姓を使える場面を拡大すれば十分に対応できると思う」と回答し、「別姓を選べるようにすべき」と回答しなかった理由として突出しています。</p><p>また、「希望する夫婦は別姓を選べるようにすべき」と回答した人にもその理由を尋ねました。</p><p>質問：夫婦別姓について、「希望する夫婦は別姓を選べるようにすべき」と答えた⼈にお伺いします。その考えの理由を教えてください。（複数回答2つまで）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol9_3.jpg"><p>男女とも「家族の形は多様でいいと思う」が最も多く、次いで「選べるほうが時代に合っていると思う」が多く、他の回答を大きく引き離しています。</p><p>これらの「夫婦別姓の通称利用」と「家族の形の多様性」の若者の意識について、有識者にお話をお聞きします。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回は、上智大学法学部／法学研究科法律学専攻の三浦（みうら）まり先生にお話を聞きました。三浦先生は、「さらば、男性政治」（岩波新書2023年）などの著書もあるジェンダーと政治の専門家で、2026年10月に日本政治学会（会員・約1,800人）の初の女性理事長に就任予定です。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol9_4-768x1024.jpg">三浦まり先生</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_4a344fc3cef049c497c7dadd644dbca4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">夫婦別姓の通称利用がどんなに不便かを知ってほしい</h2><p>今回の調査で、約半数が「希望する夫婦は別姓を選べるようにすべき」と答え、女性では過半数となっています。「名字変更後も、旧姓を使える場面を拡大すべき」と答えた人は2割弱ですが、実態を知るとまた意見が変わるかもしれません。通称使用がどれだけ不便か、あるいは別姓を望む人にとってどれだけ尊厳を傷つけるか、といった想像力は、社会全体でまだあまり共有されていないかもしれないからです。</p><p>現在では免許証やマイナンバーカードに旧姓を併記することができますが、通称で銀行口座の開設がすんなりできるわけではありません。</p><p>先日ある銀行で口座を開設しようとしましたが、とても大変でした。通称で申し込んだら、「できません。どうしてですか？（意図が）わかりません」という反応が返ってきました。いろいろと説明しましたが、あまり納得してもらえず、最後は仕方がなく、「この名前を見るのが嫌なんです」って言ったら、「ああ、そうなんですね。わかりました」と、ようやく申請書を受け付けてもらえました。</p><p>仕事で使っている名前を口座で使えない不利益をあまり理解してもらえないようでしたが、「そこまで言うのなら」ということだったのかもしれません。銀行によって通称が使えるかはまちまちで、断られたところもあります。この銀行は口座を開けただけよかったともいえます。口座開設で通称利用を希望する人が、実はまだあまりいないのかもしれないと感じました。</p><p>それから、一般社団法人の法人登記では、戸籍名しか使えません。対外的には通称しか使わないので、正式な登記上の名称と社会的に認知されている名称にズレが生じてしまっています。</p><p>源泉徴収票が通称で発行されても、確定申告は問題なくできます。ただ、国税庁は支払調書に屋号や芸名ではなく氏名（個人名）を書くように指導しているため、支払い元から戸籍名を尋ねられることも多いです。</p><p>芸名と旧制使用は異なりますが、通称が芸名扱いされ、実際の利用には限度があるのです。通称で行った仕事の対価が、異なる名前で法的処理がなされることに、強い違和感を覚えますし、通称を使う人だけが、不必要な場面でいちいち婚姻関係を晒されるのも、理不尽です。</p><p>結局、マイナンバーカードに通称が記載できも、こうした壁が残っているのです。通称には法的根拠がないですから、当然といえば当然で、選択的夫婦別姓以外にこの問題の解決方法はないといえます。</p><p>特に、海外では苦労します。日本の通称というのは海外ではまったく通じません。パスポートでは戸籍名の後にスペースなしの（カッコ）で旧姓を入れることはできます。ただ、カッコはアルファベットではなく、記号なので、コンピューターなどに入力するときにはじかれることがあります。</p><p>スペースを入れて通称を記載すれば「ミドルネーム」として処理されるのでしょうが、カッコなのでそうは認識されない。さらに、カッコの前にスペースがないので、理論的には「戸籍名（旧姓）」が名前の一部を構成しているように見える。カッコだったとしてもスペースがあれば、戸籍名だけを入力するという処理になるでしょうが、カッコ含めて１つの名前として認識した場合に、カッコを入力できない仕様になっていると、操作する人が戸惑うことになります。</p><p>なぜパスポートの記載がこうなっているのか、つまり日本では夫婦別姓が認められていないことを説明し、そして、対処法としてどの名前を登録するのがいいのかを伝えなくてはなりません。結果的に、海外で通称を使うことはかなり難しいのが現実です。</p><p>それから、海外の大学院に推薦書を書くとき、最後にプラットフォーム上でリーガルネームを打ち込むことを求められることが多く、これにも困っています。学生の推薦状は、当然「三浦まり」で書くのですが、それをアップロードすると、最後にリーガルネームをタイプすることを求められます。リーガルネームを書いたら、推薦書に書いた名前とは異なるわけです。</p><p>私の場合は、パスポートに「戸籍名（通称名）」のダブルネームを記載しているので、それを打ち込んではいますが、もしリーガルネーム（戸籍名）だけでサインしたら、「これは誰？間違った推薦状ではないか？」と疑われるかもしれない。そもそも、学者としても教員としても戸籍名は使っていませんから、それを書かなくてはいけないというだけで、自分の尊厳が踏み躙られる感覚を覚えます。</p><p>さらに、戸籍名を書くことで、推薦される学生にとって不利益になるのではないかと心配になります。今のところカッコを使えるプラットフォームが多いので助かっていますが、もしアルファベットしか受け付けない場合は、非常に困ることになります。</p><p>今回の調査結果で、女性の過半数が「希望する夫婦は別姓を選べるようにすべき」と答え、「今の制度を維持すべき」または「名字変更後も、旧姓を使える場面を拡大すべき」と回答した人（36.1パーセト）のうち、通称利用の拡大で「十分に対応できる」と回答した女性が多かったですが、通称利用の限界を知れば、回答が変わってくるのではないかと思います。</p><p>夫婦別姓を望む人もいれば、同姓を望む人もいる。あるいは、仕事上は旧姓を使い、家族関係や地域社会では家の氏を名乗るダブルネームを望む人もいます。再婚の場合にどの名字を使いたいかは、事情によってさまざまでしょう。名前はその人のアンデンティティに関わることですから、本人が選べるようにすることが人権の観点から必要です。</p><p>他方、他人にとっての名前は識別情報です。同じ人物であることを識別するには、同じ名前がいい。通称利用は、この観点から広がってきました。しかし、法的根拠のないままの拡大には限界があります。同一人物なのかの識別を難しくさせることは、本来は望ましくありません。</p><p>人権の保障と識別情報の信頼性という全く違う観点を混同せずに議論を深める必要がありますが、ここに家族制度の維持という別の論点が加わることで、議論が一層複雑になっています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_64b22800041af9e9421a72b6b1996bcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">選択的夫婦別姓制度は現代の家族観に合っている</h2><p>選択的夫婦別姓制度は、法制審議会が1996年に答申を出しましたが、集票力を持つ宗教団体が反対し、法制化に至っていません。このような宗教団体への配慮やせめぎあいは、日本に限らず世界各国でもよく見られ、中絶や同性婚への反対運動などが展開しています。</p><p>日本人は強い宗教的な信仰を持つ人が多いわけではなく、宗教教義を説教される機会も多くはありませんが、伝統的な家族観とそれに基づく家族行事は依然として残っていると思います。</p><p>伝統的な家族観というのは、異性愛同士で結婚し、結婚したら離婚すべきではなく、不倫ももちろんいけないし、配偶者と子供を持つべきで、女性は子育てや家事の責任を担う、というものです。伝統的な価値観が強いコミュニティでは、離婚したり、再婚したり、連れ子がいたり、あるいは同性パートナーがいるというような、伝統的な家族観から外れることに対して、否定的な評価が下されがちです。</p><p>日本のお墓は個人単位ではなく、「〇〇家」の墓となっているように家単位が基本形です。また、法事は長男が掌るという慣習は残っています。社会通念としての家制度や家父長的なものが家族行事の中で可視化される時があります。女性たちがおさんどんして、男性たちだけで飲み交わすのもよく見る光景です。</p><p>今は、相続はきょうだい平等で、家督もなく、法的には家族関係は平等になっていますが、慣習上の序列や男尊女卑が消えたわけではなりません。</p><p>他方で、社会意識としては男女平等が浸透してきている。伝統的家族を守りたい立場からすれば、夫婦別姓になるとさらに「伝統」が壊れていく怖さを感じているのでしょう。法的に本当にみんなが平等になって、個人単位になったら、「社会通念としての伝統的家族がどこまで守られるんだろうか？」と。だから余計に運動を頑張ることになるのかもしれません。</p><p>実際には、家族のあり方はどんどん多様になっていて、さまざまな家族が存在します。法が現実に追いついていないわけです。調査結果からも、そのことが見えてきます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7b8c6b6ba4afd99b2d8592d09ab41006" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ジェンダー平等を妨げるのは、強制的な夫婦同性だけではない</h2><p>ジェンダー平等な社会にしていくためには、それを支える法制度の整備が必要ですが、日本では不十分です。選択的夫婦別姓制度以外にも、日本の法律は、セクシャル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ（Sexual and Reproductive Health and Rights：SRHR)のライツ（権利）にあたる女性の性的自己決定権を保障していません。</p><p>日本は人口妊娠中絶ができる国だと誤解されていますが、自己堕胎罪が刑法に残り、犯罪化されています。ただし、その違法性が棄却される条件として母体保護法があるので、その条件を満たせば中絶ができる仕組みになっています。</p><p>中絶を受けるためには配偶者同意の条件が入っています。つまりは、夫が妻に産ませる権利が保障されているわけです。予期しない妊娠をした時に、パートナーと音信不通になってしまうと中絶手術を受けられなくなるケースも出ています。トイレで死産した高校生や技能実習生が遺体遺棄罪で逮捕されるという悲しい事件が起きていますが、罪はその女性にあるのではなく、女性を追い詰める法制度や責任を取らない男性にあるのです。</p><p>ジェンダー平等を支える法整備が遅れている理由には国会に女性が少ないからということもありますが、SRHRのライツ（権利）には宗教が絡むためという側面もあります。</p><p>女性の性的自己決定権を妨げる一つの政治勢力として、宗教団体の存在は大きいです。性的な案件ではあるものの、最近成立した不同意性交等罪は宗教団体が反対しないから実現することができたのでしょう。宗教的に反対勢力が強い案件は、なかなか進まないのが実情です。</p><p>宗教とは関係ない経済的合理性のある案件であれば、日本でも法整備は進んできました。人口減少が急速で、女性も働かないと経済が回らないですから、女性活躍推進法などの働く女性をサポートする政策は一定程度の進展が見られます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ce3352d92a33ccf33a680efb31031ac6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">選択的夫婦別姓制度は、家族の多様な形を許容し、むしろ夫婦関係を安定させる</h2><p>国民管理の手法として、明治期に家を単位とする戸籍制度が作られたわけですが、現在はマイナンバー制度のように個人を単位とする制度が整えられつつあります。個人の多様な幸せを実現するものとして、編成し直すことを考えていいのではと思います。</p><p>戸籍制度では戸籍筆頭者がいますし、住民票には世帯主が置かれ、個人を対等に扱う制度にはなっていません。地方では「戸主」という法律上の死語が使われることも珍しくありません。自治会が一家一票、家単位で営なまれている地域もかなり多いと思います。すると、総会は男性ばかりになってしまいます。</p><p>これだけ働く女性も増えて、今の若い人にとっては共働きがもうデフォルトですよね。妻のほうが稼いでいるとか、妻が先に出世するといったことは、これからいくらでも出てくるでしょう。男尊女卑的な価値観を内面化していると、それは離婚につながるような不仲の原因になりかねない。最初から「対等が当たり前」の制度にしておいた方がむしろ夫婦関係も安定するのではないでしょうか。</p><p>結婚したら、男性が相手の女性の名字を変えさせ、戸籍筆頭者になり、世帯主になる。夫婦で新しい戸籍を作るので、「入籍」は理論的におきませんが、婚姻届を出すことがイコール「入籍」だという誤解があります。今はまだこういう関係性が多いので、夫の面子を潰さない範囲で女性が外での活動を控えることも起きているでしょう。</p><p>最初から世帯主もなく、家族は夫婦が対等に共同で運営するもの、という制度になっていたら、「家族の形はいろいろ」だともっと気楽に考えられるようになるのではないでしょうか。一人ひとりが幸せになるためにどういう制度が望ましいかを考えていくべきでしょう。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>学生にも大学にもコスパが良いオンライン大学 ～日本財団18歳意識調査アンケートより～</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123772/eighteen_survey</link>
      <pubDate>Mon, 27 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>「オンボード大学に行きたいです」</p><p>三者面談で希望進路の答えに詰まって、ぼくは、つい昨日スマホで知ったばかりのオンライン大学の名前を口に出してしまった。</p><p>「え？」と先生。ママはいつも以上に大きな目を一瞬ぼくに向けたみたいだが、すぐに視線は申し訳なさを表すようなうつむき加減の定位置に戻り、ぼくの発言はなきものとなった。思いつきで口から出ただけなので、なきものとなるのは構わない。</p><p>ただ、特に行きたい学校があるわけではないなか、昨日見たオンボード大学がキラキラして見えたのは事実だった。</p><p>オンボード大学は普通の大学ではなくこれからの情報社会に必要なさまざまな科目を学べるらしい。ぼくは、AI、アニメやゲーム、アプリ開発やウェブサービスなどのデジタル関係を学びたいとぼんやりと思っていたのだが、オンボード大学はそれら全てが入っていた。</p><p>理系志望の友だちに「先端のプログラミングを学べるらしいよ」と言われた。プログラミングがどういうものか、文系のぼくにはよく分からないけれど……。</p><p>ぼくは、小学校は遅刻したり休んだり、中学校はテストだけ行って他の日は休んだりしていた。人にじろじろ見られている気がして人前に出ることが昔から苦手で、友だちが少ないとは思わないけど一人でいる方が好きだった。</p><p>ただ、一人でも勉強は出来た。テストはいつも学年トップクラスで、高校は内申点をあまり気にせずに入れてくれるところへ進んだ。</p><p>高校でもテストとか今回のような面談にしか学校には来ない。入学して最初の頃だけママに連れられて出席した。人前は相変わらずで苦痛だったが、ぼくのような素行不良を受け入れてくれるような学校だ。</p><p>ぼくがほとんど分かっていることを先生が繰り返し説明するだけの授業は全く面白くなかった。それが何よりも苦痛だった。大学に進んで勉強はしたい、しかし授業に出て人と関わることはおそらく耐えられないかもしれない。そのような点でもオンボード大学はぼくには魅力的に映った。</p><p>日本財団18歳意識調査 第67回テーマ<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2025/20250106-107200.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「価値観・教育（地域間比較調査）」（別タブで開く）</a>では、進学しない理由と進学意欲が湧く要素を聞いています。</p><p>質問：あなたが大学等に進学する予定がない理由／しなかった理由として、どのようなものがありますか。以下の中からあてはまるものを全て選択してください。（単一回答）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol8_1-1.jpg"><p>質問：どのようなことがあれば、あなたの大学進学意欲は高まりますか。以下のうち、あなたの進学意欲を高めるものがあれば全て選択してください。（単一回答）</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol8_2-2.jpg" target="_blank" rel=" noreferrer noopener"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol8_2-2.jpg"></a>出典：18歳意識調査 第67回テーマ「価値観・教育（地域間比較調査）」<p>どの地域でも回答は共通しており、進学しない理由のトップ5には「学費が高い」「できるだけ早く自分で稼いで生活したい」「進学して学びたいことがない、行きたいと思える進学先がない」、進学意欲を高める要素のトップ5には「自分自身の興味、関心に合致する大学がある」「学びたい科目が柔軟に選択できる大学がある」「綺麗なキャンパスに通える」が入ります。</p><p>物語の主人公の「学びたいことがある」という想いには納得感があります。</p><p>一方、三大都市圏中心部の回答にだけ進学意欲を高める要素の3位に「自宅から通える大学がある」が入っています。他の地域ではトップ5に入りません。交通の便が悪い地方の若者の方が通学しやすさを求めると考えがちですが、自宅から大学に通う要望が少ないのは非常に興味深いです。</p><p>回答の選択肢には「オンラインで学べる大学がある」もありましたが、「綺麗なキャンパスに通える」が上位に入っていることから、オンライン大学を志望するのはまだ少数派といえるでしょう。</p><p>帰りにオンボード大学を教えてくれた理系志望の友だちにばったり会った。</p><p>「わたし、オンボード大学考えていたけど、普通の大学に行くことにしたわ」</p><p>「なんで？」</p><p>「そのまま言えば、キラキラしたキャンパスライフって言うのかな。綺麗なキャンパスで友だちとキャーキャー楽しく過ごしたいじゃない？　たぶん親から離れて4年間も通うんだし……。理系は忙しくてそんな時間がどれだけあるか分からないんでなおさら。あと……」</p><p>「あと？」</p><p>「わたし、自己管理に自信がないんだ。オンライン大学って、自分がしっかりしていないと勉強しなくなるって話を聞いたことがある。文系なら出席して卒業して大学卒の資格をもらうだけって手もあるけどさ。理系だとついて行けなくなって留年とかなりそう。あおいちゃんは大丈夫だと思うけど、がんばってね」</p><p>「うん。ちゃんと自分で決めたんだね。よかった」</p><p>家に向かう間、自己管理ってどのようなことだろうか？ と考えていた。最近は生成AIがこのような話の相手になってくれる。</p><p>「自己管理ってどんなこと？」</p><p>「自己管理のポイントを挙げてみます。1.目標設定と達成　2.時間管理　3.健康管理　4.お金の管理……」</p><p>うん、もういい。大体分かった。ポイントだけ教えてくれて、話を最後まで聞かなくても怒らない生成AIはずっといい友だちでいられそうだ。</p><p>学びたいことは明確だし、キラキラとか要らないし、これまで一人で勉強できたから時間管理は出来るし、世間的には不登校は健康じゃないみたいだけど自分は健康だと思う。うん、大丈夫。</p><p>学習の自己管理意識に関しては興味深い調査があります。OECD加盟国（37カ国）の15歳を調査対象とするPISA（Programme for International Student Assessment、生徒の学習到達度調査）2022は記述式の生徒質問調査も実施しています。</p><p>問61「今後、あなたの学校が再び休校した場合、以下のことを行う自信はどれほどありますか。」にて、日本の生徒が「①とても自信がある」「②自信がある」と回答した合計値は、問「自力で学校の勉強をこなす」では41.6パーセント（OECD平均は71.5パーセント）、問「自分でオンラインの学習リソース（素材）を探す」では32.6パーセント（OECD平均＝72.7パーセント）と、集計可能な34カ国の中で最下位です。</p><p>信州大学・学術研究院（教育学系）の伏木久始（ふせぎ・ひさし）教授は、子ども社会体験共創交流会（株式会社日本総合研究所主催 2024年12月2日）の講演にて、「PISAの数学的リテラシー、読解力、科学的リテラシーにおいてわが国は世界最高水準の学力を誇るのですが、その学力は主体的、自律的に学ぶ姿勢や能力ではなく、教えられたこと（他律的に学んだこと）を覚えてきちんと答える勤勉さと、求められることを正確に解答できる能力が高い」とお話されました。</p><p>「ただいま」</p><p>「あおいちゃん、さっきのオンボード大学って何？」</p><p>家に帰るとママが聞いてきた。</p><p>「文部科学省から新たに認可されたオンライン大学、学校に足を運ばなくてもよい、大学卒業の資格が取れる、学費は安い、そして、これまでの大学にはないこれからの社会で活躍するための新しい科目を学べる、自分が学びたいことがそこにはある……」</p><p>と気がつけば昨日知ったばかりとは思えない、オンボード大学に勧誘しているかのような熱っぽい説明をしていた。言霊だろうか。口に出すことでより一層自分もそう思うようになったようだ。</p><p>「ふーん。で……」</p><p>ママは頭がよい。理解が早いので余計な説明の時間が要らないから助かる。学校に行かなくてもぼくがテストでよい点数を取れるのはママの遺伝だと思っている。学費を出してくれていることもさることながら、本当は「ぼくはもっとできるはず」とも思っているだろうから本当に申し訳ない。</p><p>ただ、人づきあいの悪さも遺伝してしまったようで、ママはぼくに申し訳ないと思っているようだ（思っていてほしいと願う）。</p><p>「大卒の資格をもらったとして、就職はできるの？」</p><p>「自治体や企業と連携したプログラムがあってインターンを提供しているし、キャリアサポートも……」</p><p>「ぼくは人前に出ないままで、社会に出てコミュニケーションとれるの？」</p><p>「うーん……」</p><p>「他にもオンライン大学ってあるの？」</p><p>「ゼミはあるの？」</p><p>「入試の偏差値いくつ？」</p><p>（このあたりからぼくの情報処理のキャパを超えて、無になった）</p><p>「学費は？ 国立大学より10万円安い……オンラインなら半額以下でいいはずよね！」</p><p>「オンラインだと結構時間浮くよね。浮いた時間で何するの？」</p><p>脳と口がつながっているようなスピードで言葉が連射された。おそらく三者面談中からオンボード大学への疑問が湧いていたのだろう。ママが自分自身でも多少なりともオンボード大学に興味をもって、ぼくの考えを理解しようとしていることを感じられた。</p><p>普通の大人であれば、これらを質問として投げかけるのではなく、おそらく自分の不安と否定を示すための理由として使うと思う。この時、もし頭ごなしに否定されていたらぼくは部屋に引きこもってしまったことだろう。どっちにしても引きこもりだけど……。</p><p>自分のママがママでよかったと思う瞬間だ。ストレスがかからないので、とても助かる。</p><p>「後悔しないようにやってみたらいいよ」</p><p>昔ぼくが「もう学校に通いたくない」と言った時と同じ言葉で終わった。あとは、学んで卒業した後にどうなりたいのかという目標を設定しないといけないか。ちゃんと考えてみよう。</p><p>でも、これはオンライン大学に限ったことではなく、どんな学生にも必要なことだよね。オンライン大学の方がコスパ（コストパフォーマンス）やタイパ（タイムパフォーマンス）は絶対に良いと思うんだよね。</p><p>ただ、「半額以下」「浮いた時間」ってどういう意味だろう？</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>学者で大学院大学至善館特命教授の橋爪大三郎（はしづめ・だいさぶろう）先生にオンライン大学の将来性や課題をお聞きしました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/SurveyOf18_vol8_3.jpg"></div></div></div><p>――オンライン大学についてご意見をお聞かせください。</p><p>橋爪さん（以下、敬称略）：オンライン大学には非常にポテンシャルがある。まず授業料が安くできる。そして授業の質を高くできる。</p><p>授業料を安くできる理由は、オンラインには教室という制約がないから。</p><p>例えば、私がいた大学では500人が入れる教室が講堂しかなかった。オンラインであればスピーカー1人に対して、学生が5,000人でも5万人でも入れる。PCはほぼ皆が持っていて、通信環境が整備されているとなれば、接続さえできればよい。追加費用はほぼゼロだ。</p><p>他にコストがかかるところといえば教員の人件費ということになるが、オンラインによってこれまでの教員対学生の人数比が1対10だったところを1対100、1対1000にできれば学費を10分の1、100分の1にできる。</p><p>入学試験がなぜあるのかというと、教室のキャパシティの制約があるからである。オンライン大学になれば入試すらなくなる可能性もある。</p><p>授業の質を高くできる理由は、カラオケの普及と似ている。第一興商が神戸でカラオケを最初につくり、1970～1980年ごろ社会に普及していった。</p><p>カラオケは一度コンテンツを作れば、カラオケの機械さえあればどの場所でも同じコンテンツを導入できる。また、お店にとっては、それまでお願いしていた「流し」の歌手に依頼するよりも導入しやすく、管理もしやすい。そして、カラオケを何万人もの人が何回も使うよう普及して「流し」が一掃された。</p><p>その結果、コンテンツに何が起きたか。それまでは音だけだったものが、歌に合った映像を作って挿入したり、歌詞を音と同時に字幕で流したりするようになった。「流し」をやめて浮いたお金をコンテンツの作り込みにかけるようになった。つまり、コンテンツの質が高まっていったのだ。</p><p>オンラインによって、授業のコンテンツもこれと同じことが起こる。</p><p>今、日本の大学は約800校あるが、例えば「憲法概論」のような一般教養科目の授業を教える先生がそれぞれの大学にいるとして、教える場所が各大学の敷地となると日本全体で800人の先生が必要になるため、非常勤のような専門性が低い先生でも雇われるようになる。</p><p>しかし、オンライン授業になると800人も要らなくなる。誰の授業を使ってもよいのだ。日本のなかで一番識見が高く、信頼でき、話がうまい人がいい先生。その先生が、コンテンツを作って授業を行い、それを共用すればよい。すると、その授業の上位3番手くらいの先生までは良いが、20番手、30番手にはお呼びがかからなくなる。</p><p>結果、極めて優れた限られた先生だけが残り、そして、雇用をやめて浮いたお金をコンテンツの作り込みにかけられるため、授業の質を高くすることができる。</p><p>これはお笑い芸人の出演にも似ている。寄席という場所があるから、その出演枠を埋めるために名も知らない芸人にも出番がある。オンラインであるテレビに出られるのはひと握りの売れっ子芸人だ。本質をわかりやすく、面白く伝えられる「芸」が大事になるということだ。</p><p>高等教育の費用が安くなることは社会全体にとって大変いいことだ。親の負担が減る。</p><p>子どもが高等教育を受ける年代の親は、その親の介護や住宅ローンなどの経済負担があるなかでさらに学費を負担している。親元を離れて通学するとなると子どもの仕送り（家賃や交通費など）が必要になる。</p><p>今の日本は、このような費用を支払える経済状態ではない。これからの社会においてオンライン大学はあるべき姿であり、また、未来の大学は基本的にオンラインになると考えておいたほうがよい。</p><p>――オンライン大学時代の大学のあり方はどのようなものでしょうか？</p><p>橋爪：各大学がそれぞれオンライン化するのは無駄である。</p><p>文系の学部3年生くらいまで科目はオンライン化できるのではないか。ほとんどの文系には実験はなく、かなりの部分は本を読むことが必要。だから図書館が必要だったが、最近では図書館がオンライン化されているところもある。</p><p>本へのアクセスが民主化されたことにより、教授の権威が少なくなった。ドイツがグーテンベルク計画というものをやっている。名が知れた著作物がすべてオンライン化され無料で公開されている。</p><p>このように知の民主化が非常に進むと個別の大学は要らなくなる。単位の3/4は大学共通の授業を受けてオンラインで取得し、その後は各大学が主催するゼミに参加すればよい。既得権益がある人たちはこうした改革に反対するだろうが、少子化や格差社会における教育の合理化のためだから仕方ないことだ。</p><p>他方、教育と違って研究は合理化ができない。大学の教員は教育も研究も両方やっている人が多いが、実際には忙しすぎて研究していない。</p><p>教育の空いた時間とエネルギーを使って研究に全力投球してほしい。それこそが日本が生き残っていくための価値の源泉であるはずだ。そこで勝負しなければ、将来世代に、豊かな先進国での生活を提供することはできない。今はそこがおざなりになっている。</p><p>遠い将来、どういう産業構造になるかはわからないが、どのようなプロフェッショナルが必要になるか、その育成計画をどうするか。大学は単なる職業学校ではなく、未来を作るという側面がある。</p><p>オンライン時代の大学の未来を描くのは、若者と未来を作る大学の経営者の共同作業になるだろう。入学定員がなくなり、入試がなくなり、それにより偏差値がなくなって序列が変わる。大学の使命を見つけ、若者に呼びかけてやる気を出し、一生懸命頑張るという大学が良い大学になり、それを怠った大学は気がついたら人が集まらなくなるだろう。</p><p>――オンライン化によるコミュニケーションの減少をどう思いますか？</p><p>橋爪：パーソナルコミュニケーションというのはリアルタイムで言葉を使うためにとても大切である。</p><p>スピーカーが1万人を相手に話しているときには、それは「マスメディア」になってしまう。顔は知っているが話している人は聞き手の顔がわからない。リアルタイムでリアクションが取れるということは言葉の基本、知識の基本、人間関係の基本、学問の基本でもあるので、非常に貴重なこと。</p><p>そうしたことを大学の特色として、例えば早稲田や慶應は大学を再組織すればいい。</p><p>ゼミは少人数のオンキャンパスのインパーソンのコミュニケーション。オンラインで誰でも聴講できるが、実際にキャンパスに行ってゼミに出る、ここが一番大切。オンラインの場合は質問ができないといった、さまざまな問題が起こる可能性はある。その場合は、大学がオンラインになるゆえに空いている教室でティーチングアシスタントが質問を受ければよい。</p><p>インパーソンの関係はわざわざ作らないといけない。教育の本質は、「嬉しくて楽しい」こと。全部オンラインになってしまうと心配なのが、給食を一緒に食べたり、掃除当番をしたり、といった日本人の美徳とされていることがオンラインだとできないということ。</p><p>だから、これは別のプロジェクトでやればよい。小・中・高はオンライン化していく。クラスがあり、学年があり、皆仲良くしなさい、という前提がなくなる。小・中・高で授業のために教室に行かないといけない、皆が一緒に同じことを勉強しなければならないのは教員の都合であって、生徒の自主性とは関係ない。</p><p>しかし、オンラインにAIを組み合わせると学びの個別最適化ができる。これにより落ちこぼれという概念はなくなる。こうした学びには算数や英語が向いている。また、AIが知識を面白く教えればよい。こうなっていくと自然と反対に人と話したいという欲望が出てくるはず。だから、そういうチャンスを別に作ればよい。</p><p>例えば、地方で学校が空いているのであれば、行きたい子どもはそういうところに長期間行けばいい。教員が見守るなかオンラインで勉強して、それ以外の時間は、例えば釣りや冒険など、そこでしかできないやりたいことをやればいい。オンライン＋AIによって時間が捻出できるから、場所を変えてさまざまな体験学習ができる。</p><p>人間と人間の交わりの要素とオンラインの絶大な利点をどう組み合わせるか。これをあまり真剣に考えている人の話を聞いたことがない。</p><p>一番大事なのは何かができるようになることではない。私は教育とは“大人になって何をやるか、その足腰が定まること” “やりたいことが見つかること”“次の世代を任せられる若い人を育てること”だと考える。</p><p>以上</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>サッカースタジアムやロックフェス——「ハレの場」での就労体験がもたらす、障害者の自立への一歩</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123553/disability</link>
      <pubDate>Wed, 22 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>障害者をはじめ、さまざまな理由から社会参加が難しい人々は、働く機会や職業選択の幅が限られている</li><li>就労継続支援B型事業所の低工賃や進路の選択肢の少なさが、就労や社会参加への課題になっている</li><li>「ハレの場」での就労体験が、障害者の新たな可能性の発見や一般就労への意欲向上につながる</li></ul><p></p><p>「働きたい」という意欲があっても、自分に合った機会を見つけられず、社会との接点を持ちにくい人は少なくありません。障害のある人をはじめ、ひきこもりやホームレスなど、さまざまな理由から社会参加が難しい人たちに「働く体験」の場を提供しているのが、NPO法人ピープルデザイン研究所です。</p><p>同団体は<a href="https://work.peopledesign.or.jp/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「就労体験プロジェクト」（外部リンク）</a>を展開し、JリーグやBリーグなどのプロスポーツチームと連携。来場者と接する仕事を通じて、参加者が社会とのつながりや働く喜びを実感できる機会を創出しています。</p><p>こうした体験は、参加者の意識や行動にどのような変化をもたらしているのでしょうか。また、誰もが自分らしく働き、社会とつながるためには何が必要なのでしょうか。同団体の代表・田中真宏（たなか・まさひろ）さんに伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4d2b4024fe34ea5b528a83049e5e247e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">障害のある人にもワクワクする現場で働く機会をつくりたい</h2><p>――障害者の就労を取り巻く現状や課題について教えてください。</p><p>田中さん（以下、敬称略）：厚生労働省が発表したデータによると、日本には約1,165万人の障害者がおり、そのうち18～64歳の在宅障害者は約487万人（※1）いるとされています。令和6年度の就労継続支援B型事業所に通う方々の平均工賃は月額2万4,141円です。また、法定雇用率（※2）を達成していない企業も半数にのぼり、働く機会や社会参加の選択肢は限られているという現状があります。</p><p>――そうした課題に対して取り組むピープルデザイン研究所は、いつ頃から活動をスタートしたのでしょうか。</p><p>田中：私たちの活動の原点は2002年にさかのぼります。創設者である須藤（すどう）の息子に障害があったことをきっかけに、「障害のある人とない人が混ざり合う社会をつくりたい」という思いから、この活動が始まりました。</p><p>当時はファッション業界で働いていたことから、ファッションやデザイン、アートを通じてその思いを発信し、Tシャツやスニーカーなどアパレル製品開発に取り組んでいました。</p><p>しかし、ものづくりだけでは社会を変えることには限界があると感じ、より幅広い視点から多様性のある社会づくりに取り組むため、2012年にNPO法人としてピープルデザイン研究所を立ち上げました。</p><p>――「就労体験プロジェクト」を始めた経緯について教えてください。</p><p>田中：きっかけは、須藤が息子の進路と向き合うなかで感じた課題意識でした。特別支援学校卒業後の選択肢は福祉事業所か一般就労かに限られており、社会との接点を持ちながら自分らしく働いたり、学んだりできる環境はほとんどありませんでした。</p><p>「福祉事業所のなかで地味な軽作業をするだけでなく、スポーツや音楽など、本人が好きな場所で働く機会をつくれないだろうか」という、一人の親としての思いがこのプロジェクトの出発点です。</p><p>そこで着目したのが、息子自身も大好きだったスポーツの現場でした。まずはJリーグでの実施を目指し、知人のつてをたどって当時J2だった横浜FCの副社長に企画を提案したところ、「素晴らしい取り組みだから、ぜひやってみよう」と賛同をいただき、2012年に最初のプロジェクトがスタートしました。</p><p>――プロジェクトの仕組みについて詳しく教えてください。</p><p>田中：JリーグやBリーグの試合会場をはじめ、プロレス、音楽フェス、花火大会、ファッションショーなど、多くの人が集まる「ハレの場」が主な活動の舞台です。</p><p>私たち運営スタッフが現場に足を運び、準備から終了後の撤収まで一日の流れを見学し、その上で、「危険が少ない」「特別な技術がなくても取り組める」「金銭のやり取りが生じない」などの観点から、仕事を切り出し、障害のある方でも働ける環境を整えていきます。</p><p>例えば、配布物の提供や座席の清掃、ごみの回収、イベント運営の補助などですね。</p><p>こうして整理した業務をクラブ側に提案し、実施日や時間を決め、行政や社会福祉協議会と連携しながら地域の福祉事業所へ案内を出します。募集を弊社の方で取りまとめ、当日受け入れる形でプロジェクトを進めています。</p><p>また、このプロジェクトは持続可能な取り組みにするため、2012年のスタート時から、国や自治体の補助金などの公金には一切頼っていません。</p><p>資金源は財団等の助成金や、NPOの活動自体の企業協賛費に加えて、最近では各スポーツクラブと連携して「就労体験スポンサー」を獲得し、運営資金を獲得しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00007.jpg">就労体験プロジェクト公式サイトのトップページ。画像提供：NPO法人ピープルデザイン研究所<h2 id="tnf-text-heading-block_d888e076b402e6ae1668fd4dec0b0890" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉事業所だけでは見えなかった力が発揮されることもある</h2><p>――事業所の皆さんはどのように受け止められていますか。</p><p>田中：反応はさまざまですね。すぐに賛同してくださる事業所もあれば、まずは様子を見たいというところもあります。</p><p>支援者や親御さんの付き添いを必須にしているため、特にスポーツイベントは土日開催が多く、勤務体制との兼ね合いで参加が難しいと言われることもあります。近年は働き方改革の影響もあり、休日に同行するハードルは以前より高くなっていると感じます。</p><p>一方で、実際に参加した支援員の方々からは、利用者さんの新たな一面を知ることができたという声も聞かれます。</p><p>最も大きいのは、事業所のなかだけでは見えなかった姿が見られることです。例えば、「子どもが苦手だと思っていたAさんが、来場した子どもに目線を合わせて丁寧に対応していた」「手先が不器用だと思っていたBさんが、清掃作業を問題なくこなしていた」など、それまで見えなかった強みや可能性が見つかったという声は少なくありません。</p><p>また、複数の事業所が同じ現場に参加することも多いため、事業所同士の交流が生まれるのも特徴です。他の事業所の支援方法や利用者との関わり方が参考になったという声もあり、支援員の皆さんの学びの機会にもなっています。</p><p>――報酬はどのように設定しているのでしょうか。</p><p>田中：就労体験は1回あたり実働3時間程度で、参加者には2,000円を支給しています。時給に換算すると約600円で、就労継続支援B型事業所の平均工賃が時給約250円であることを考えると、決して小さくない金額だと思います。</p><p>――現在は全国各地で展開されているそうですね。</p><p>田中：全国30以上の地域やスポーツクラブで実施しています。2012年に横浜FCで始まった取り組みですが、大きな転機になったのは2014年に私たちが川崎市とダイバーシティのまちづくりに関する包括協定（※3）を結んだことでした。</p><p>その取り組みの1つとして就労体験プロジェクトにも力を入れることになり、横浜でのモデルを川崎へ展開しました。すると、川崎フロンターレをはじめ、バスケットボールやアメリカンフットボールなど、さまざまなスポーツクラブとの連携が広がっていったのです。</p><p>――取り組みが継続し、拡大している理由をどのように考えていますか。</p><p>田中：事業所や利用者さんからのニーズがあるということはもちろんですが、それ以外で大きな理由の1つは、受け入れ側に一切の負担がかからない仕組みにしていることだと思います。</p><p>先ほどもお話したように、私たちが福祉事業所との調整や運営を担うため、クラブやイベント主催者は受け入れやすい仕組みになっています。また、人手不足の解消やアルバイト人員の削減にもつながるため、現場からは「とても助かる」という声をいただくこともあります。</p><p>川崎ではスポーツイベントから始まった取り組みが、マラソン大会や地域イベントへと広がり、現在では年間を通じて多くの就労体験の機会が生まれています。こうしたモデルを各地に展開しているところです。</p><p>――一般的な職場体験や就労支援とは、どのような違いがありますか。</p><p>田中：一般的な就労支援のすべてに詳しいわけではありませんが、須藤も私もファッション業界の出身ということもあり、福祉事業所の仕事は、どちらかといえば地味な仕事が多く、人前に出たり、他者と混ざり合いながら働くことが少ないという印象を抱いていました。</p><p>このプロジェクトは、多くの人が楽しむために集まる「ハレの場」が舞台です。私はよく「スポーツはポジティブなエネルギーの集まり」と表現するのですが、そうした環境でスポーツクラブのスタッフやアルバイトの大学生、そしてボランティアスタッフの方々と一緒に働くこと自体に、とても大きな意味があると考えています。</p><p>スポーツや音楽ライブの会場には、応援や期待といった前向きな空気が満ちていて、そうすると来場者の方から直接「ありがとう」と声をかけられる機会が自然と多くなります。不特定多数の人から感謝され、自分の誰かのために役立つという実感が自己肯定感を高め、他者承認欲求を満たし、参加者の大きな自信につながっていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00002.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00004.jpg">川崎市でモデル化したプロジェクトは全国各地へ拡大している。画像提供：NPO法人ピープルデザイン研究所<h2 id="tnf-text-heading-block_6004d46aef3bccf7935214c5b6a78b7e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">就労体験が社会参加と自立を後押しするきっかけになる</h2><p>――スポーツやエンタメの現場に障害者が関わることで、どのような変化がありましたか。</p><p>田中：川崎市での取り組みは2014年からスタートし、2024年3月時点で約10年が経過しています。この間に延べ約3,400人が参加しました。</p><p>川崎市の担当部署にもご協力いただき、参加者のその後のステップアップも追跡しています。その結果、事業所に通いながら就労体験プロジェクトに参加し、その後企業就労につながった方は322人、全体の約9パーセントに上ります。</p><p>もちろん、就労体験に参加したことだけが理由ではありません。しかし、週末にこうした体験を重ねることで働くこと、地域や社会に一歩踏み出すことへの意欲が高まり、「自分にもできることがあるかもしれない」と、まだ見ぬ自身の可能性に気づくきっかけになっているのではないかと思います。</p><p>また、地域のスポーツクラブの運営に携わることで、クラブや地域への愛着が生まれることもあります。「自分も地域の一員なんだ」と実感することで、社会に出てみよう、働いてみようという気持ちにつながっていくのではないでしょうか。</p><p>参加者のなかには、就労体験で受け取った2,000円を貯めて、欲しかった時計を買ったり、母の日のプレゼントを買った方もいたりと、素敵なエピソードもたくさん生まれています。</p><p>――活動を続けるなかで見えた課題があれば教えてください。</p><p>田中：いくつかありますが、最も大きいのは全国展開を進める中で、各地で運営の担い手を確保し、質を維持していく点です。</p><p>このプロジェクトは、参加者への声かけや現場での関わり方によって体験の質が大きく変わります。そのため、運営する人によって成果の出方に差が生まれやすく、属人的な取り組みのため再現性を高めることが難しい面があります。</p><p>また、就労を目的にしているのではなく、参加者にとっての経験価値としての位置づけでもあることを、当事者の周りの方々に理解してもらうまでには時間がかかることもあります。</p><p>公金に頼った一時的な取り組みで終わらせず、継続的に実施していくための仕組みづくりも含めて、まだまだ課題は多いと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00001.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/pepodesi00003.jpg">さらに多くの地域へ展開したいという思いとともに、継続的な運営の難しさについて語る田中さん<h3 id="tnf-text-heading-block_1d4eb89581464d73ceee7e6b82fea068" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多様な人が活躍できる社会を実現するために、私たち一人一人にできること</h3><p>多様な人が「働く」場面で活躍できる社会を実現するために、私たち一人一人にできることを田中さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_699a41bf68c5ccf46e6e1cef6d4efd60" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］目の前にいる困っている人の課題に向き合う</h2><p>社会課題を解決する第一歩は、身近な誰かの困りごとに目を向けて行動を起こすこと。また、困っている当事者の方が、無理のない範囲で周囲に困りごとを伝えることができる環境を整えること</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6d07250086965a55dacf079a93ef4400" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「障害は社会（環境）にある」という視点を持つ</h2><p>障害を個人の問題として捉える「個人モデル」ではなく、社会や環境の側にある障壁によって生じるものと考える「社会モデル」という考え方を持つ。誰もが働ける職場を目指すためには「受け入れる側の人と場こそが変わらなければいけない」という意識が必要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_989297f8b75640b8cfd22f243e14e743" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「できない」ではなく「できる」を見つける</h2><p>障害のある方は環境を変えたり、役割を与えることで、これまで見えていなかった力を発揮することが多くある。新たな挑戦ができて、失敗しても大丈夫という環境をつくることで可能性は広がる。当事者の周りの人々こそが思い込みを捨てて、多種多様な経験の機会をつくっていくことが重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>取材を通して、障害のある人々が「働く機会が少ない」背景には、本人の能力ではなく、周囲の「これしかできない」という固定観念もあるのではないかと考えさせられました。</p><p>「ハレの場」で働くことで、本人も、家族も、支援者も気づいていなかった一面が見えてくる。その変化は、障害のある人だけでなく、周囲の見方や関わり方を変える力を持っているように感じます。</p><p>現在、川崎市では毎週のように就労プロジェクトが開催されているそうです。運営体制の構築や継続には課題もあると思いますが、こうした取り組みがさらに広がり、多様な人が活躍できる社会につながっていけばと思います。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div id="tnf-text-notes-block_f395b731ac43ddc20e6d2f9770352f9b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.参考：<a href="https://www8.cao.go.jp/shougai/whitepaper/r07hakusho/zenbun/h2_03_02_02.html#z_03_17" target="_blank" rel="noopener">第3章　社会参加へ向けた自立の基盤づくり 第2節  2｜令和7年版障害者白書（全体版） – 内閣府（外部リンク）</a>※2.「法定雇用率」とは、障害者雇用促進法に基づき、事業主に義務付けられている障害者の雇用割合。2026年現在、民間企業の法定雇用率は2.5パーセントで、従業員40人以上の企業は障害者を1人以上雇用する必要がある※3.<a href="https://www.city.kawasaki.jp/170/cmsfiles/contents/0000059/59437/140715-2.pdf" target="_blank" rel="noopener">川崎市と特定非営利活動法人ピープルデザイン研究所との包括協定の締結について（平成26年7月15日）｜川崎市（外部リンク/PDF）</a></div><p><a href="https://www.peopledesign.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人ピープルデザイン研究所 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 22 Jul 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>不登校の原因は子どもじゃない！ 必要なのは、多様な価値観を受け入れる大人や社会、そして教育</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123546/education</link>
      <pubDate>Thu, 16 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>小中学生の不登校が過去最多。今の教育や社会の仕組みと、子どもたちの実態にずれがある</li><li>子どもではなく、画一的な価値観や評価軸を当たり前としてきた大人側が、視点を見直す必要がある</li><li>多様な価値観を認め、子どもを信頼して自分らしく学べる環境を地域につくることが大切</li></ul><p></p><p>「学校に行きたくない」</p><p>もし、わが子や身近な子どもがそう口にしたら、あなたは何と答えますか？</p><p>現在、日本の小中学校における不登校児童生徒数は35万人を超え、過去最多を更新（※）。子どもたちの「学校に行けない」という声は、もはや一部の家庭だけの問題ではありません。</p><p>こうした現状を前に、私たちはつい「どうすれば子どもを学校に戻せるのか」と考えがちですが、本当に変わるべきなのは子どもたちなのでしょうか。</p><p>奈良県天理市で教育や福祉の支援に取り組む、<a href="https://www.coa.eft-art.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人みちをつくる（外部リンク）</a>代表の吉田田（よしだだ）タカシさんは、不登校を「子どもの問題ではなく、画一的なシステムが生み出した大人の課題」だと捉えています。</p><p>これまで吉田田さんは、子どもから大人まで通う“学び”と“居場所”を兼ね備えたアートスクール「アトリエe.f.t.」、学校に行かないと決めた子どものいる親や、活動の趣旨に賛同する大人たちが楽しく学び合うコミュニティ「トーキョーコーヒー」、貧困や孤独といった環境にある子どもたちを、地域みんなで支える「まほうのだがしや チロル堂」など、教育・福祉・地域を横断する実践を重ねてきました。</p><p>その根底にあるのが、「たのしいにいのちがけ」という哲学。子どもも大人も、自分らしく学び、挑戦し、失敗できる環境を地域につくることで、人と社会のレジリエンス（回復力）を育む。そして今、その集大成として構想しているのが、2027年開校を目指す、新しい学びの場「e.f.t. College of Arts（カレッジオブアーツ）」です。</p><p>不登校の増加は、子どもたちから社会への問いかけなのかもしれません。全ての子どもが自分の手で人生をつくるために、私たち大人の「当たり前」をどう更新していけるのか。吉田田さんの実践を通して、そのヒントを探ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_382216edd89ea2202d8a40540f90d346" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不登校は子ども自身の問題ではなく「社会の仕組みとのミスマッチ」</h2><p>――吉田田さんが長年、子どもの居場所づくりに取り組むなかで、「学校に行けない子どもたち」に共通して感じてきたことはありますか。</p><p>吉田田さん（以下、敬称略）：活動を通じて多くの子どもたちと関わってきましたが、共通して感じるのは、その子たちに問題があるというより、今の社会や教育の仕組みとのミスマッチです。</p><p>もちろん、不登校の背景は一人一人違います。でも話を聞いていると、「この子たちを変えるべきなのだろうか」という疑問が湧いてくるんです。むしろ、画一的な価値観や評価軸を当たり前としてきた大人たちの側に課題があるのではないか、と……。</p><p>僕自身も10代の頃から社会の窮屈さに違和感を抱いていました。だからこそ批判で終わるのではなく、正解が1つではないアートの視点から、新しい選択肢やブレイクスルーをつくりたいと思っています。</p><p>――大人たちの課題を、具体的な活動に落とし込んでご説明いただけますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>吉田田：例えば、「チロル堂」の活動も「困っている子どもを助ける」という発想だけではありません。ご飯を食べられない子どもたちを「かわいそうな存在」として捉えるのではなく、その子たちも社会を構成する大切な一人であり、1つのピースだと考えています。</p><p>そもそも正しさは人それぞれです。しかし大人はつい、1つの物差しで子どもたちを測ろうとしてしまう。学校に行けるか、成績がいいか、周囲に合わせられるか。そうした大人たちの価値観そのものをアップデートしていく必要があると思っています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_4-732x1024.jpg">吉田田さんが考える「不登校」の背景にある、大人と社会の問題。画像：『「いきたくない」もわるくない？』（吉田田タカシ著、どく社）より</div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_479c236ee1de6a8cc593bbdd46b1ab2f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">大人に問われているのは、子どもの力を「信頼」できるかどうか</h2><p>――まず「大人が変わること」が大切だと考えるのはなぜでしょうか。</p><p>吉田田：僕が子どもたちの問題を見ているようで、実は社会の仕組みや大人の価値観の問題を見ているからです。</p><p>今の日本の教育システムは、戦後の復興期に形づくられたもの。一定のルールのもとで多くの人が同じ方向を向き、秩序を保ちながら学ぶことで、日本は大きな発展を遂げました。</p><p>ただ、その仕組みが今の時代にもそのまま合っているかというと、僕はそうではないと思っています。1つの正解や成功モデルにみんなを当てはめようとすると、どうしても息苦しさが生まれてしまう。</p><p>不登校の子どもたちと出会う中で感じるのは、子どもたちに問題があるわけではないということです。むしろ、今の教育システムや社会との間にズレが生じている。だから本当に向き合うべきなのは、「どうやって子どもを変えるか」ではなく、「どうやって社会や教育をアップデートするか」なんです。</p><p>そして、その真ん中にあるのが「信頼」だと思います。子どもたちは本来、自分で学び、自分を表現する力を持っています。その力を信じられるかどうかが、大人に問われていることなのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_2.jpg">日本の教育課題について語る吉田田さん<h2 id="tnf-text-heading-block_81f006bde7cf655485e185ce2288f5ba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもを変える」のではなく、社会の価値観を変えたい</h2><p>――一般社団法人みちをつくるの活動や立ち上げのきっかけを教えてください。</p><p>吉田田：10代の頃から、僕はずっと社会や働き方に違和感を持っていました。会社に所属し、利益を追いかけることが当たり前とされる社会にどこか息苦しさを感じていたんです。だから活動も最初から会社にするつもりはありませんでした。</p><p>1998年に始めたアトリエe.f.t.も、「つくるを通していきるを学ぶ」をテーマに仲間たちと続けてきた活動です。今も関わるスタッフ約40人は全員フリーランス。それぞれが自分の人生を生きながら、共感する部分でゆるやかにつながっています。</p><p>そんな活動を続けるなかで見えてきたのが、日本の教育の課題でした。不登校の子どもたちや生きづらさを抱える親たちと出会うたびに、「子どもを変えるのではなく、大人や社会の価値観を変える必要がある」と感じるようになったんです。</p><p>本気で日本の教育を変えるなら、地域全体を巻き込んだ新しいモデルが必要だと思い、「e.f.t. College of Arts」を設立しようと考えました。その挑戦を形にするため立ち上げたのが一般社団法人みちをつくるです。</p><p>――団体名である「みちをつくる」には、どのような思いが込められているのでしょうか。</p><p>吉田田：「みちをつくる」という名前には2つの意味があります。１つは、誰もが自分の人生を自分でつくっていいということ。もう1つは、「未知」と「道」を掛け合わせた意味です。正解のない時代だからこそ、自分たちで未来への道をつくっていきたい。その挑戦を奈良から始め、日本の教育を変えていきたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_3-1.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_3-2.jpg">「アトリエe.f.t.」では個性を認め、生徒一人一人の独自性を引き出すことを大切にしている<h2 id="tnf-text-heading-block_9a3517254fd51e7a4f7be6148cb7545f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「楽しさ」を真ん中に置いたコミュニティが全国に広がった理由</h2><p>――「トーキョーコーヒー」がわずか3年で400拠点にまで広がった背景には何があったのでしょうか。</p><p>吉田田：当初は「2年で100拠点くらいできたらいいね」と話していたんです。それが気づけば全国400拠点を超える規模になりました。</p><p>SNSを中心に立ち上げの呼びかけをした際には、北海道から沖縄まで約200人が集まりました。地域も年齢も立場も違うのに、「今の教育や社会のあり方に違和感がある」「子どもたちがもっと自由に生きられる社会をつくりたい」という思いは共通していたんです。</p><p>もう1つ大きかったのは、「支援」を前面に出さなかったことかもしれません。「トーキョーコーヒー」は不登校支援団体ではなく、「楽しさ」を真ん中に置いたコミュニティです。</p><p>そこにあるのは「うっかり助け合う」という考え方。誰かを助けようとして集まるのではなく、一緒にコーヒーを飲んだり、おしゃべりをしたりするなかで、結果的に誰かが支えられる。そんな自然な関係性を大切にしています。</p><p>不登校という社会課題を入り口にしながらも、目指しているのは「子どもを学校に戻すこと」ではなく、「誰もが自分らしく生きられる社会をつくること」。その前向きなビジョンに、多くの人が共感してくれたのだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_6.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_7.jpg">「トーキョーコーヒー」のイベントに大人たちと一緒に参加した子どもたち。画像提供：一般社団法人みちをつくる<h2 id="tnf-text-heading-block_9444179a11b3ee37d980987e9c23d8ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもたちに必要なのは「自分なりの答えを見つける力」</h2><p>―― 2027年開校を目指す「e.f.t. College of Arts」は、従来の学校と何が違うのでしょうか。</p><p>吉田田：僕たちがつくろうとしているのは、学校というより「学び合う社会」です。</p><p>学校は社会の写し鏡だと思っています。今の学校に息苦しさがあるのだとしたら、それは社会そのものの息苦しさでもある。だから学校だけを変えるのではなく、地域や大人たちの在り方も一緒に変えていく必要があります。</p><p>「e.f.t. College of Arts」では、老朽化した児童館をリノベーションし、子どもだけでなく大人も集う学びの拠点をつくろうとしています。教育施設でありながら地域の人たちも自然と関われる場所です。</p><p>特徴的なのは、行政・民間・市民が一緒になってつくること。さまざまな立場の人が対話しながら公教育をアップデートしていく。そのロールモデルをまず奈良・天理という場所でつくりたいんです。</p><p>――その場所で、子どもたちに何を伝え、どのような力を身に付けてほしいですか。</p><p>吉田田：僕たちは「つくるを通していきるを学ぶ」という考え方を大切にしています。人生に正解はありません。ですから、大事なのは、自分なりの答えを見つける力です。</p><p>何かをつくる過程では、失敗もあるし、人と意見がぶつかることもある。でも、その経験を通して自分を知り、人と関わり、社会とつながることができる。そうしたプロセスこそが生きる力になると思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_8.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/yoshidada_9.jpg">「e.f.t. College of Arts」の開校に向けて、子どもたちや地域の人々に対する思いを語る吉田田<h2 id="tnf-text-heading-block_ecee8fc485414616531f995e056412a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもたちが「生きる力」を養うために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、吉田田さんに、すべての子どもたちが “みちをつくる人”になるために、私たち一人一人ができることについてアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ea9bc1395605061c7f1f0e61e7f2ff26" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］多様な価値観を受け入れる</h2><p>自分のなかにある1つの正解で物事を評価するのではなく、多様な価値観を認め、尊重することが、子どもたちの選択肢を広げる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_10ea6c7d1445e6c00152b8ab198d2e7f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもを信頼する</h2><p>子どもは本来、自ら学び、表現し、成長する力を持っている。大人の役割は管理することではなく、その力を信じて見守ること</p><h2 id="tnf-text-heading-block_757fc297ac0897a049cce0f64c887d82" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］大人自身が楽しく生きることを大事にする</h2><p>子どもたちは大人の背中を見て育つもの。大人が学び続けたり、挑戦したり、仲間と笑い合ったりしている姿は、それだけで子どもたちにとって希望になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>子どもを変える前に、大人が変わる——シンプルな言葉ですが、取材後もしばらく頭から離れませんでした。不登校というと、どうしても子ども側に原因や解決策を求めてしまいがちです。しかし吉田田さんの話を聞いていると、問われているのはむしろ大人の価値観や社会の在り方なのだと感じます。</p><p>子どもたちが自分らしく生きられる社会をつくるために、まずは私自身が「正解は1つではない」という視点を持てているだろうか。そんなことを考えさせられました。</p><p>未来の学校づくりは、学校だけの話ではありません。私たち一人一人が、自分の当たり前を少しずつアップデートしていく。その先に、子どもたちの新しい選択肢が生まれるのかもしれません。</p><p>撮影：大久保啓二</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_45dd60150acecf6887314fa24013d889" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※出典：<a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要｜文部科学省（外部リンク/PDF）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b2e08b21c264cfaca99b006d252d15e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> 吉田田タカシ（よしだだ・たかし） </h2><p>デザイナー、立命館大学 客員教授、バンドDOBERMANのボーカル教育者。大阪芸術大学在学中の1998年、クリエイティブスクール「アトリエe.f.t.」を開校。2020年に放課後等デイサービス「bamboo」を併設。2021年には、「まほうのだがしや チロル堂」を共同代表として設立し、独創的な仕組みが2022年度グッドデザイン大賞（内閣総理大臣賞）を受賞。2022年に教育システムを進化させる対話の場「トーキョーコーヒー」を立ち上げる。2025年、「トーキョーコーヒー」の仕組みがグッドデザイン賞受賞、「私の選んだ一品」（新山直広審査員）にも選出された。同年、キッズデザイン賞奨励賞キッズデザイン協議会会長賞受賞。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Fri, 17 Jul 2026 11:04:03 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>地震、水害、火災——もしも自宅が被災したら。生活再建で使える公的支援と申請の流れ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/93216/disaster</link>
      <pubDate>Wed, 15 Jul 2026 19:26:22 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本では甚大な被害を及ぼす災害が増加。巨大地震の発生リスクも高まっている</li><li>被災時に住宅再建や生活の立て直しに活用できる国や自治体の支援制度が数多くある</li><li>1日も早く生活を立て直すには、公的支援の種類や手続きを把握しておくことが重要</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2023年8月29日に公開した記事を再編集しています</p><p>近年、甚大な被害を及ぼす自然災害が増えています。2024年1月1日に発生した能登半島地震は石川県輪島市および志賀町で最大震度7を観測し、最終的な報告によれば、住家被害は合計で16万件以上（2026年3月31日時点）に上りました（※1）。</p><p>また2024年9月には、能登半島地震の復旧作業が続いていた石川県能登地方を、記録的な線状降水帯（※2）が襲い土砂災害や河川氾濫が発生。仮設住宅を含む1902棟の住宅が損壊や浸水の被害を受け、21名が犠牲になるといった（2026年1月30日時点）甚大な被害を及ぼしました（※3）。</p><p>さらに、南海トラフ地震、首都直下地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震など、近い将来発生する可能性が高いと指摘されている巨大地震も数多く存在しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00009.jpg"><p>誰もが被災者になり得る災害大国である日本。その地震や豪雨などの発生率から日本では被災した際に活用できる公的支援が数多く存在します。</p><p>この記事では、内閣府の「被災者支援に関する各種制度の概要」（※4）を参考に、被災した際に頼れる公的支援の一例と、申請するために必要な手続きを解説します。</p><p>自宅が被害を受け精神的に大きなダメージを負っているなかでも、事前に公的支援につながる知識を持っていればスムーズに援助を受けられるはずです。有事の際に適切な対処ができるよう備えておきましょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_102107b5f9fdad33cfd1720a6e44e060" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">罹災証明書を発行するには</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>自宅が被災した際に公的支援を受けるためには「罹災証明書（りさいしょうめいしょ）」が必要になります。罹災証明書とは被害程度を公的に証明する書類のことで、各自治体で申請、発行を行います。</p><p>罹災証明書を申請するためには、被害状況を写真や動画で記録する必要があります。被災したら「一刻も早く片付けないと！」と焦ってしまう人も多いかもしれませんが、まずは、次に述べるポイントに気をつけながら被害状況を記録に残すようにしましょう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00011-724x1024-1.jpg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_88c2618fd114114d482d2db319cf2f0c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.被害状況を撮影する</h3><p>［撮影するときのポイント］</p>自宅の外の様子が分かるように4方向から撮影する（水害の場合）浸水の高さが分かるように撮影。近くに人が立つと比較しやすい屋外設備（エアコンの室外機や配管）や、屋外に置いているもの（自動車、物置、納屋、農機具）も撮影する家の中（天井、床、壁）や、濡れてしまった家具や家電の被害状況も記録。家具や家電はメーカーや製品番号が分かるように撮影する自分が必要だと思う3倍の枚数の撮影をしておくと安心<div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00005.jpg">家の外の撮影ポイント。引用：住まいが被害を受けたとき 最初にすること｜政府広報オンライン（※6）</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00006.jpg"></div><h3 id="tnf-text-heading-block_fdf5369e78019bc5d266e7f615f6f8ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.自治体や消防署に罹災証明書の発行を申請する</h3><p>次に自治体や消防署に罹災証明書の発行を申請します。自治体によってはオンラインでの申請も可能となっています。</p><p>［申請するときに必要なもの］</p>申請書：自治体ごとに書式が異なる本人確認書類：運転免許証、マイナンバーカードなど破損した家屋の写真：破損の状況が分かる写真<p>［申請書の提出先］</p>自然災害の場合は、市区町村の役所火災の場合は、所轄の消防署<p>［注意点など］</p>罹災証明書が発行されるまでには数週間から1カ月以上かかることも。早めの申請を被害認定の判定に不服や疑問がある場合は、再調査を申請することも可能。写真や動画などは申請後も大切に保管しておく納屋や車庫などの住居ではない建物の損害は、被害の程度を証明する罹災証明ではなく、被害を受けた事実を証明する「被災証明書」が必要になる<h3 id="tnf-text-heading-block_52a4fed2c14d666c8679c4a730034611" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.罹災証明書の発行</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>罹災証明交付申請書を提出すると、申請書の内容に基づく自治体による調査が行われ、罹災証明書が発行されます。</p><p>申請方法などは市区町村によって異なりますので、詳しくは自治体窓口にお問い合わせください。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00004-725x1024-1.jpg">罹災証明交付申請書の例。自治体によって書式は異なる。引用：り災証明書（罹災証明書）の発行について｜東京都大田区（※7）</div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_b97a111423f768da61f636b3e8a3dab3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">支援金額を左右する被害認定基準</h3><p>罹災証明書により証明される被害には「全壊」「半壊」など基準が設けられており、それにより支援金額などが変わります。</p><p>被害認定基準の目安は次のとおりです。</p>全壊<p>住居の延べ床面積の70パーセント以上が倒壊、流失、埋没、焼失したり、損壊が激しく、再使用したりすることが難しい状態。また、家の損害割合が50パーセント以上に達した場合。</p>大規模半壊<p>住居の延べ床面積の50パーセント以上、70パーセント未満が損壊し、大規模な補修を行わなければ住み続けることが難しい状態。また家の損害割合が40パーセント以上、50パーセント未満程度の状態。</p>中規模半壊<p>住居の延べ床面積の30パーセント以上、50パーセント未満が損壊し、補修を行わなければ住み続けることが難しい状態。また家の損害割合が30パーセント以上、40パーセント未満程度の状態。</p>半壊<p>住居の延べ床面積の20パーセント以上、70パーセント未満が損壊しているが、補修すれば元どおりに再使用することができる状態。また家の損害割合が20パーセント以上、50パーセント未満程度の状態。</p>準半壊<p>住居の延べ床面積の10パーセント以上、20パーセント未満が損壊している状態。また、家の損害割合が10パーセント以上、20パーセント未満程度の状態。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_8f74356b1efee03fea20e0a93d33b820" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災のケース別で見る公的支援の種類</h2><p>被災した際、受けられる公的支援は多数あります。その一例をケース別に紹介します。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_60c33459fa529d41a53130efe166d76d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【住まいが被害を受けた場合】</h3>被災者生活再建支援金<p>災害によって住居が全壊するなど、生活基盤に大きな被害を受けた世帯に対して支給される支援金です。支給金額は次の通りです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00007.jpg">被災者生活再建支援金の一覧。引用：被災者支援に関する各種制度の概要｜内閣府<p>ただし、被災時に住んでいた家（世帯）が対象となるため、空き家、別荘、他人に貸している場合は支援の対象外になります。</p>災害援護資金<p>災害により負傷した人、住居や家財の損害を受けた人に対して、生活の再建に必要な資金を貸し付ける制度。貸付限度額や利息などは次の通りです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/08/saigai00008.jpg"><p>［支援対象となる世帯］</p>世帯主が災害により負傷し、その療養に約1カ月以上かかった世帯家財の3分の1以上の損害を受けた世帯住居の半壊、または全壊、流出した世帯<p>ただし、市区町村民税における、前年の総所得金額による所得制限があります。</p>日常生活に必要な最小限度の部分の修理（住宅の応急修理）<p>被災した住宅の居室、台所、トイレなど日常生活に必要な最小限の部分を応急的に修理してくれる制度です。</p><p>［1世帯当たりの修理限度額※令和8年（2026年）4月］</p>大規模半壊、中規模半壊、半壊（半焼）の世帯：75万7,000円以内準半壊の世帯：36万7,000円以内<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>震災がつなぐ全国ネットワークでは、「『水害にあったときに』～浸水被害からの生活再建の手引き～（2025年改訂）」を作成。浸水被害から元の生活を取り戻すために必要な片付けや手続きだけでなく、水害に限らず災害時に使える支援制度や生活立て直しの流れなどを紹介しています（※8）。</p><p>こちらを参考に自分たちに合った再建方法を組み立てましょう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/wha_pro_dis_11-722x1024.jpg">「『水害にあったときに』～浸水被害からの生活再建の手引き～（2025年改訂）」。震災がつなぐ全国ネットワークの公式サイトから閲覧およびダウンロードできる</div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_df9e653a183ec98c8c29ef90af5e1f7d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【けがや疾病により障害を負った、家族が亡くなった場合】</h3>災害弔慰（ちょうい）金<p>災害により死亡された人の遺族に対し、支給されます。支給額は次の通りです。</p>生計維持者が死亡した場合：市町村条例で定める額（500万円以下）生計維持者以外が死亡した場合：市町村条例で定める額（250万円以下）災害障害見舞金<p>災害によって負傷、疾病で精神や身体に障害を負った場合、支給されます。支給額は次の通り。</p>生計を支える人が重度の障害を負った場合：市町村条例で定める額（250万円以下）生計を支える人以外が重度の障害を負った場合：市町村条例で定める額（125万円以下）<h3 id="tnf-text-heading-block_f501bd00fa000e25a407c79fee1e1249" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【生活再建に資金が必要な場合】</h3>雇用保険の失業等給付<p>雇用保険は失業給付だけではなく、災害によって雇用される事業所が休業することになり、一時的な離職または休業を余儀なくされた人に、雇用保険の基本手当を支給する特例措置が実施されることがあります。</p>未払賃金立替払制度<p>災害で自分が勤める企業が倒産し、給料が未払いになっている場合、国が未払い賃金の80パーセントを立て替える制度です。</p><p>対象となる未払い賃金は、労働者が退職した日の6カ月前から立替払請求日の前日までが支払い期日となっている定期賃金（給与）と、退職手当のうち未払いとなっているもの。ボーナスや、未払賃金の総額が2万円未満の場合は対象外となります。</p><p>詳しくは、労働基準監督署（※9）もしくは独立行政法人労働者健康安全機構（※10）までお問い合わせください。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3162e807a551c6cc4519cbb5d66070f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【子どもの養育・就学を支援してほしい場合】</h3>教科書等の無償給与<p>災害によって学用品を失った小・中学校、高等学校などの児童・生徒に対して、教科書や教材、文房具、通学用品を現物支給する制度です。</p>小・中学生の就学援助措置<p>被災による経済的理由で就学が困難になった児童や生徒の保護者を対象に、就学に必要な学用品費、新入学用品費、通学費、校外活動費、学校給食費などを援助する制度です。被災地外に避難をしている人も対象となります。</p>高等学校授業料等減免措置<p>被災による経済的理由で授業料などの納付が困難な生徒を対象に、授業料、受講料、入学料などを減額、免除する制度です。</p><p>いずれも問い合わせ先は各自治体、学校となります。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3a792b9f3823abf5c493d407f1df93f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【その他、各種相談窓口など】</h3>こころの健康相談<p>精神保健福祉センターでは、電話や面接などで心の健康について相談を受け付けています。医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、公認心理師などの専門職が相談に応じてくれます。</p><p>問い合わせ先：都道府県や指定都市の精神保健福祉センター（※11）</p>法的トラブル解決のための総合案内所<p>全国の日本司法支援センター（法テラス）地方事務所や、法テラス・サポートダイヤルなどの窓口に連絡すると、法的トラブルの解決に役立つ法制度や適切な窓口を無料で案内してくれます。</p><p>問い合わせ先：日本司法支援センター 法テラス（※12）</p>被災者見守り、相談支援等事業<p>被災者が応急仮設住宅に入居する期間、安心した日常生活を送れるよう、孤立防止のための見守り支援や日常生活上の相談を行った上で、各専門相談機関の紹介などを行っています。</p><p>問い合わせ先：都道府県、市町村の担当窓口</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2507a33ea395ea4d56eb44840f726dc0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">公的支援を把握しておくことが、1日も早い生活再建につながる</h2><p>被災したことによる精神的ダメージが大きく、公的支援を十分に活用できないまま生活再建を進めようとしてしまう人も多いのが現状です。</p><p>今回紹介したのは、数多くある公的支援のなかの一部。ほかにもどんな公的支援があるのか事前に調べ、地震や水害といった有事の際に備えるようにしましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_e0ca1b725b0b94a689e661809da82061" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/updates/r60101notojishin/r60101notojishin/pdf/r60101notojishin_61.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和6年能登半島地震による被害状況等について｜内閣府防災情報のページ（外部リンク/PDF）</a>※2.「線状降水帯」とは、線状に次々と発達した複数の積乱雲が並んでいる、大雨をもたらす雨域。参考記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/61147" target="_blank" rel="noopener">大雨をもたらす「線状降水帯」。気象・防災のプロに聞く対策｜日本財団ジャーナル（別タブで開く）</a>※3.出典：<a href="https://www.pref.ishikawa.lg.jp/saigai/documents/higaihou_64.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和6年奥能登豪雨による被害等の状況について｜石川県（外部リンク/PDF）</a>※4.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/kakusyuseido_tsuujou.pdf" target="_blank" rel="noopener">被災者支援に関する各種制度の概要｜内閣府（外部リンク/PDF）</a>※5.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/pdf/rasaitouitu.pdf" target="_blank" rel="noopener">罹災証明書の様式の統一化について｜内閣府（外部リンク/PDF）</a>※6.出典：<a href="https://www.gov-online.go.jp/article/202003/entry-9034.html" target="_blank" rel="noopener">住まいが被害を受けたとき 最初にすること｜政府広報オンライン（外部リンク）</a>※7.出典：<a href="https://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/chiiki/bousai/suigai/risai_syoumei.html" target="_blank" rel="noopener">り災証明書（罹災証明書）の発行について｜東京都大田区（外部リンク）</a>※8.出典：<a href="https://shintsuna.org/" target="_blank" rel="noopener">震災がつなぐ全国ネットワーク（外部リンク）</a>※9.<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html" target="_blank" rel="noopener">全国労働基準監督署の所在案内｜厚生労働省（外部リンク）</a>※10.<a href="https://www.johas.go.jp/" target="_blank" rel="noopener">独立行政法人労働者健康安全機構 （外部リンク）</a>※11.<a href="https://www.zmhwc.jp/centerlist.html" target="_blank" rel="noopener">全国精神保健福祉センター一覧｜全国精神保健福祉センター長会（外部リンク）</a>※12.<a href="https://www.houterasu.or.jp/index.html" target="_blank" rel="noopener">日本司法支援センター 法テラス（外部リンク）</a></div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>ひとり親家庭の貧困率は約5割。子育てに活用できる国や自治体の支援制度</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 15 Jul 2026 17:59:50 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本の母子家庭の平均年収は約303万円。ひとり親世帯の貧困率は44.5パーセントにも上る</li><li>低所得家庭の子ども3人に1人は「生まれ」による教育格差、体験格差に直面している</li><li>ひとり親世帯には所得額に応じた国や自治体の手当、支援がある</li></ul><p></p><p>※この記事は2023年4月1日に公開した記事を再編集しています</p><p>ひとり親は働き方が制限されるため、生活が困窮しやすい傾向にある。</p><p>2023年に厚生労働省が公表した調査データによると、日本における貧困率は11.5パーセント。ひとり親世帯に絞ると貧困率は44.5パーセントまで上昇し、およそ2人に1人の子どもが貧困状態にある（※1）。</p><p>また、こども家庭庁が2025年3月26日に公表した調査データでは、子どものいる一般世帯の総所得平均額が約813万円なのに対し、母子家庭は約303万円と、相対的に厳しい経済状況にあることがうかがえる（※2）。</p><p>そして近年問題になっているのが、経済的要因による子どもの教育格差、体験格差の拡大だ。</p><p>2022年に公益社団法人チャンスフォーチルドレンが行ったアンケート調査では、低所得家庭の子ども3人に1人が学校外での体験活動が「何もない」と答えており、家庭背景や居住地域など子ども自身では変えることができない「生まれ」によって格差が生じていると分かった（※3）。</p><p>こういった問題を解決するために、国や自治体ではひとり親世帯をサポートするためのさまざまな支援制度が用意されている。この記事では、なぜひとり親世帯では貧困が起きやすいのかをひも解くとともに、活用しやすい支援制度の一例を紹介したい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4e178ebdfd124cd9c21987ffad9e5c8a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">非正規雇用が過半数。ひとり親世帯が困窮する背景</h2><p>なぜひとり親世帯では、貧困が起こりやすいのか。その背景にはひとりで子育てをしながら働くことにさまざまな困難が伴う点が挙げられる。</p><p>家事と子育てをひとりで担うため短時間労働をせざるを得ないことや、子どもが病気になったときなどにフォローしてもらえる環境に恵まれず非正規雇用になってしまう、そもそも雇用してもらえないというケースも多いようだ。</p><p>実際に2025年に発表された認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむの調査では、母子家庭の母親は正規の職員・従業員が39パーセント、契約社員・派遣社員が各6パーセント、パートが35パーセント、アルバイトが5パーセントと非正規雇用が過半数を占めている（※4）。</p><p>さらに2021年に発表された厚生労働省の調査によると、養育費を受け取っていないひとり親世帯は、全体の56.9パーセントと半数を超えるという結果も出ている（※5）。このような背景から収入が少なくなることは、容易に想像できる。</p><p>収入が少ないことが及ぼす影響は、生活が苦しいだけではない。経済的な理由により子どもの教育格差、体験格差が広がるというデータも出ている。</p><p>2021年の2月から3月にかけて全国5,000組の中学2年生およびその保護者を対象に内閣府が実施した調査報告書によると、等価世帯収入（※6）が中央値の2分の1未満の家庭の52パーセントが、クラスの中での成績を「下のほう」（「やや下のほう」含む）だと答えている。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/bb1d73f020a5e78c4e5bfab1937c80b4-2.png"></div><p>また地域のスポーツクラブや文化クラブ、学校の部活動への参加状況をみると、等価世帯収入が中央値の2分の1未満の家庭の23.8パーセントが「参加していない」と答えており、世帯収入の低い子どもほどスポーツや文化に触れる機会が少なくなることも見て取れる（※7）。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/b2676cbfd410b31bc9ae90b128cfde12.png">等価世帯収入の水準別、部活動等への参加状況。出典：令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書（令和3年12月）｜内閣府政策統括官</div><p>そういった子どもたちの状況を打開するため、国は子どもの貧困に対する支援に力を入れ始めている。支援は、次の3つの柱で進められている。</p>【教育費等の負担軽減】幼児教育・保育の無償化、義務教育段階の就学援助、高等学校等就学支援金など【学校における指導・相談体制の充実】スクールソーシャルワーカーの配置充実、貧困等に起因する学力課題解消のための教員加配措置など【地域の教育資源活用】地域と学校の連携・協働体制構築、高校中退者に対する学習相談・学習支援の促進など<p>また2023年4月1日には、子どもの名前を冠した初めての省庁である<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/83967/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「こども家庭庁」（別タブで開く）</a>が発足。これまで別々の省庁で行われてきた子ども政策の司令塔機能を一本化することで、年齢の壁や組織による縦割りの壁を取り払った切れ目のない包括的な支援を行い、子どもたちの健やかな成長を社会全体で後押しすることが目的だ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f878bc5a38da0d5032ed14aa2b5959d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">児童扶養手当以外にもある、ひとり親世帯への支援制度</h2><p>このように国が支援に力を入れている背景もあり、ひとり親世帯を対象にした手当や支援制度は数多く設けられている。各制度には適用条件や所得制限などがあったり、自治体によって導入されていない場合もあるため、詳しくは各自治体のホームページ等で確認しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b1d51b88b5811387a7b054d21ff4f44a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［全ての子育て世帯が対象の手当］</h3><a href="https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai" target="_blank" rel="noreferrer noopener">●児童手当（外部リンク）</a><p>次代の社会を担う子どもたちの健やかな成長を支援することを目的とした手当。児童（0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日まで）を養育する人が受けられる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/childcare-support_4.jpg"></div><p>児童手当は以下のルールに則って支給される。</p>原則として、児童が日本国内に住んでいる場合に支給（留学のために海外に住んでいて一定の要件を満たす場合は支給対象）父母が離婚協議中などにより別居している場合は、児童と同居している方に優先的に支給される父母が海外に住んでいる場合、その父母が日本国内での児童養育者を指定すれば、父母指定者に支給される児童を養育している未成年後見人がいる場合は、その未成年後見人に支給される児童が施設に入所している場合や里親などに委託されている場合は、原則として、その施設の設置者や里親などに支給される<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">●生活保護（外部リンク）</a><p>生活に困窮している人に対し、健康で文化的な最低限度の生活を保障し自立をサポートするための制度。保護の種類には、生活・住宅・教育・医療・介護・出産・生業・葬祭扶助があり、受給金額は住んでいる地域や収入、世帯人数などにより異なる。 </p><p>受給するには、国が定める保護基準（最低生活費）に満たない、家族などの身内に支援してくれる人がいない、持ち家や車など資産を有していないなどの条件が定められている。</p><div id="tnf-text-notes-block_b91a941d1c95a6309bd4b07ab832b825" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94964/poverty" target="_blank" rel="noopener">8割が利用できていない、不正受給率はごくわずか。生活保護について正しい理解を（別タブで開く）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_190673015d1eaa5aaa8aa222da639081" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［障害児の子育て世帯が対象の手当］</h3><a href="https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/hukushi.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">●障害児福祉手当（外部リンク）</a><p>重度障害のある子ども・若者に対し、福祉の向上を図ることを目的に支給される手当。精神または身体に重度の障害があり、日常生活において介護を要する在宅の20歳未満の人が受けられる。</p><p>金額は月額1万6,560円（2026年5月時点）。受給資格者（重度障害のある本人）の前年の所得が所得限度額を超える場合や、受給者の配偶者・扶養義務者（同居する父母など）の前年の所得が一定の額以上である場合は、手当を受けることができない。</p><a href="https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/jidou/huyou.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">●特別児童扶養手当（外部リンク）</a><p>精神または身体に重度の障害がある子ども・若者に対し、福祉の向上を図ることを目的に支給される手当。20歳未満の障害のある子ども・若者を養育する父母などが受けることができる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/childcare-support_5.jpg">特別児童扶養手当の支給金額（2026年4月より適用)</div><p>受給資格者（障害のある子ども・若者の父母など）もしくはその配偶者の前年の所得が一定の額以上である場合は、手当を受けることができない。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9bab4c06012d7bfa3e43ab5267b52c18" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ひとり親世帯のみ対象の手当］</h3><a href="https://www.cfa.go.jp/policies/hitori-oya/fuyou-teate" target="_blank" rel="noreferrer noopener">●児童扶養手当（外部リンク）</a><p>離婚や死亡などによるひとり親世帯、父または母と生計を同じくしていない子どもが育成される家庭の、生活の安定と自立を支援するために支給される手当。18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子ども（障害児の場合は20歳未満）を養育する母などが受けられる。</p><p>受給金額は子どもの人数や申請者の前年の所得によって全額支給、一部支給、不支給かが決まる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/06/childcare-support_6-1.jpg"></div><p>以下は、自治体によっては支給される手当となり、受給条件や所得制限などの詳細は各自治体の窓口にて問い合わせ願いたい。</p>●児童育成手当<p>離婚や死亡などによるひとり親世帯、父または母と生計を同じくしていない子どもの健やかな成長を支援するために支給される手当。18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子ども（障害児の場合は20歳未満）を養育する母もしくは父、養育者（祖父母など）が受けられる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/65bbeaa094e3c28dc97d0237d280cf9d-1.png">児童育成手当の支給金額</div>●ひとり親家庭等医療費助成<p>ひとり親世帯に対し医療費の一部を支援することにより、ひとり世帯の親や子どもの健康を維持するために支給される手当。18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある子ども（障害児の場合は20歳未満）を養育する母もしくは父などが受けられる。助成内容は自治体によって異なる。</p>●乳幼児・義務教育就学児の医療費助成制度<p>子どもが医療機関を受診した際の医療費の自己負担分が支給される制度。自治体によって子どもの対象年齢や親の所得制限が異なる。</p>●ひとり親世帯の住宅手当（家賃補助制度）<p>ひとり親世帯で18歳未満もしくは20歳未満の子どもを養育する人が受けられる制度。家賃の一部が支給されるなど助成内容や、助成を受けるための条件は自治体によって異なる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ba986b277e63cc15d35d4e7ee544f7f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">生活支援や移住サポート。ひとり親世帯にやさしい自治体の支援例</h2><p>手当支給にも自治体によって差があるように、自治体による支援例は大きく異なる。そこでひとり親世帯にやさしい自治体の支援の一例も紹介したい。</p>●千葉県千葉市　<a href="https://www.city.chiba.jp/kodomomirai/kodomomirai/kateishien/kotoshokugyo.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">母子家庭等高等職業訓練促進給付金（外部リンク）</a><p>看護師や介護福祉士、保育士などの就職に有利な資格取得のため指定された養成機関で修業する場合に、最大10万円が支給される。支給期間は最長48カ月、最後の12カ月は4万円が加算される。</p>●新潟県　<a href="https://www.pref.niigata.lg.jp/sec/kodomokatei/1356859853467.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭高等学校卒業程度認定試験合格支援事業（外部リンク）</a><p>ひとり親世帯の親もしくは子どもが、より良い条件の就業・転職や、生活の安定を図るために高卒認定試験の合格を目指し対策講座を受講する場合、その費用の一部の助成が受けられる。</p><p>助成金額は以下の通り。</p>受講修了時給付金：対象講座の入学料及び受講料の20パーセント相当（4,000円〜10万円）合格時給付金：対象講座の入学料及び受講料の40パーセント相当（1と2の合計額が15万円を超える場合は15万円まで）。※受講修了日から起算して2年以内に高卒認定試験に全科目合格した場合●京都府京都市　<a href="https://www.city.kyoto.lg.jp/hagukumi/page/0000205735.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭等日常生活支援事業（外部リンク）</a><p>ひとり親世帯が就学などの自立促進、疾病、生活環境の激変など、必要な理由で一時的な生活援助や保育サービスを必要としている場合に、支援員を派遣して日常生活を支援し、生活を安定させることを目的とした支援。家事や乳幼児の保育などの支援を世帯収入に応じて、1時間当たり無料〜300円で受けられる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1e8ae2691724c142349dee699c2b7f5b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ひとり親世帯を支え、誰一人取り残さない社会を目指して</h2><p>日本財団では、全ての子どもが未来への希望を持ち、社会を生き抜く力を育むことができるように、子どもたちに家庭でも学校でもない、安心して過ごせる場を提供する<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子ども第三の居場所」（別タブで開く）</a>プロジェクトを展開している。</p><p>食事や歯磨きといった基本的な生活習慣や自己肯定感、人や社会と関わる力などの非認知能力を高めるプログラム、発達段階に応じた学習支援などを実施。学校や地域、専門機関と連携し、全国に270拠点（2026年3月末時点）設置し、誰一人取り残さない地域子育てコミュニティづくりに取り組んでいる。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/94e4890e1b6691681b5c36f77b51cc89.png"></div></div><p>子どもの教育格差や体験格差の拡大は、将来的に社会にとって大きな損失となる。そうならないためにも家庭だけでなく、地域で支え合うことが大切だ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/03/94e4890e1b6691681b5c36f77b51cc89.jpg">困難を抱える子どもたちのために、一人一人ができることはたくさんある。milatas/shutterstock<p>もしあなたの身近に困っている人がいたら、これまで紹介した支援情報を共有したり、自治体の生活相談窓口につないだりすることで救われる人も多いはず。また子育て支援に力を入れる団体などに寄付をすることも、幅広い支援につながる。</p><p>世界で起きている戦争や生活費高騰の影響で、困難を抱える家庭は増えており、すぐそばにいてもおかしくない。ぜひ、他人ごとと思わず支えの１人になってほしい。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_ef50804b17f989cf249e8b2a5fc3a718" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf" target="_blank" rel="noopener">2022（令和4）年 国民生活基礎調査の概況｜厚生労働省（外部リンク/PDF</a>※2.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/4d7a8b88-d285-469d-9d68-33e5dbe8801c/c917ace3/20250319_policies_hitori-oya_jisshijokyo-r05_01.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和5年度母子家庭の母及び父子家庭の父の自立支援施策の実施状況｜こども家庭庁支援局 家庭福祉課ひとり親家庭等支援（外部リンク/PDF）</a>※3.出典：<a href="https://cfc.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/cfc_taiken_report2307.pdf" target="_blank" rel="noopener">子どもの「体験格差」実態調査 最終報告書｜公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン（外部リンク/PDF）</a>※4.出典：<a href="https://www.single-mama.com/topics/2025wintersurvey/" target="_blank" rel="noopener">2025冬ひとり親家庭就労生活調査｜認定NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230405030946/www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000188147_00013.html" target="_blank" rel="noopener">令和3年度全国ひとり親世帯等調査結果報告｜厚生労働省（外部リンク）</a>※6.「等価世帯収入」とは、世帯の年間収入を世帯の人数の平方根で割ったもの※7.出典：<a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230413000000/www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html" target="_blank" rel="noopener">令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書｜内閣府（外部リンク）</a> </div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>南海トラフ、首都直下、千島海溝・日本海溝——発生リスクの高い巨大地震と命を守る防災</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/87302/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 14 Jul 2026 21:28:49 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本は今後30年以内に南海トラフ、首都直下、千島海溝・日本海溝など巨大地震の発生が予想されている</li><li>個人が地震の防災対策を講じれば、被害は大幅に軽減することが可能</li><li>日頃から防災意識を持ち事前にイメージし備えれば、大切な命を守ることにつながる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2023年4月11日に公開した記事を再編集しています</p><p>世界で起きているマグニチュード6以上の地震の約2割を占めると言われる地震多発国・日本。2011年に起きた東日本大震災をはじめ、発生から10年を迎えた2016年の熊本地震、そして、まだ記憶に新しい2024年の能登半島地震は、多くの犠牲者や建物の被害を出した。</p><p>そして日本には、近い将来に発生する可能性が高い巨大地震がいくつも存在する。そのなかでも特に被害が大きいとされている南海トラフ地震、日本海溝・千島海溝周辺海溝地震、首都直下地震は、いずれも30年以内に高い確率で起こると予測されている（※1）。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/earthquake_2-1.jpg"></div><p>予測では被害規模まで含めて想定されているので、事前に備えができていれば被害を大幅に軽減することも可能だ。</p><p>この記事では、それら巨大地震の被害規模と、自宅で、または通勤・通学中に発生したときの対処法、発生後にするべき行動を紹介したい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/103605" target="_blank" rel="noreferrer noopener">令和6年能登半島地震関連記事（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_755abcb1d4a7584f895041f3d506e941" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">発生リスクが特に高い3つの地震の被害規模</h2><p>政府は主な活断層と海溝型地震を評価し、地震の発生する確率を4段階に分けて公表している。ここでは特に被害が大きくなることが予想されている3つの地震の概要と被害予想を紹介しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e41b547208a760e91a3dabc728d4ee1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">南海トラフ地震</h3><p>静岡県の駿河湾から九州の日向灘にかけての海底には、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する溝状の地形「南海トラフ」がある。このエリアでは、今後30年以内に80パーセント程度の確率でマグニチュード8から9の巨大地震が発生すると予測されており、2024年8月に初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表された（※1）。</p><p>政府が2025年3月31日に発表した最新のデータによると、最悪のケースでは死者29万8,000人、全壊または焼失する建物は235万棟と予測。また経済被害は東日本大震災の10倍以上となる約225兆円と想定している（※2）。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/nankai-trough.jpg">南海トラフ地震の震度分布。引用：南海トラフ巨大地震最大クラス地震における被害想定について【定量的な被害量】（令和7年3月）｜内閣府 防災情報のページ</div><h3 id="tnf-text-heading-block_f6e7cb6330575995d869c48b75a22a4f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">千島海溝・日本海溝周辺海溝型地震</h3><p>北海道から岩手県の沖合にある「千島海溝」と「日本海溝」。東北大学や北海道大学、海洋研究開発機構（JAMSTEC）からなる研究グループが、千島海溝で地殻変動の状況を調査したところ、巨大地震を起こす可能性が高い「ひずみ」が蓄積されていることが分かった（※3）。</p><p>政府の地震調査委員会では、30年以内にマグニチュード8.8以上の巨大地震の発生する確率を7パーセントから40パーセントとしている（※1）。</p><p>仮に巨大地震と津波が発生した場合、千島海溝地震で死者は最大約10万人、経済的被害は約17兆円、日本海溝地震で死者が最大約19万9,000人、経済的被害は約31兆円に上ると推計される。</p><p>また日本海溝沿いでマグニチュード9.1の巨大地震が発生した場合は、東北や北海道の各地で10メートル、千島海溝沿いでマグニチュード9.3の巨大地震が発生した場合は北海道東部を中心に20メートルを超える津波が押し寄せると予想されている（※4）。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/f8e1643a3a213d5a48a46094a6d7775a.png"></div><h3 id="tnf-text-heading-block_6ae5eb5145211a70c403407205c5b7eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">首都直下地震</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今後30年以内に70パーセントの確率で起きると予測されている、マグニチュード7クラスの大地震（※1）。</p><p>最悪の場合、死者はおよそ1万8,000人で、全壊・焼失などの建物被害は約40万棟にも及ぶと予想されている。</p><p>経済被害はおよそ83兆円と日本の国家予算に近い額が失われ、首都中枢機能が大打撃を受けるとされ、世界経済にも大きな影響を及ぼすといわれている（※5）。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/04/earthquake_3.jpg">震度分布（都心南部直下地震）。引用：都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】｜内閣府防災情報ページ（※6）</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_47ce2002e7b77d7eb6160cf8e13b3cb0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">もしも地震が発生したら。シチュエーション別対策</h2><p>地震発生の際には、落ち着いて適切な行動をとることで被害を軽減したり、回避したりすることができる。では実際にどのように対処すればよいのか、シチュエーション別に紹介したい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_6a4a6b667aee069f6f93249fb03d02ab" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［屋内］</h3>●自宅<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>・基本行動</p><p>揺れを感じたら、まずは身の安全を守ることが最優先。頭部を保護し、丈夫なテーブルや机の下など安全な場所に隠れること。隠れる場所がなく、棚や棚に載せてあるものが落ちてくる可能性がある場合は、できるだけ離れよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/b099b52c09f7a24bf330b169cb18d694.jpg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>・就寝中</p><p>まず寝室には棚やタンスなど倒れそうなものは置かないようにすること。地震が発生した際は布団や枕で頭を保護し、揺れが収まるのを待つ。</p><p>ベッドの下にスペースがある場合は、下に入って安全を確保。窓ガラスがある場合はできるだけ離れよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/dc2a6915d3d164c5c119d6ffa8c80b5d.jpg">事前の対策として、寝室には倒れそうなものなどを置かないようにし、頭の上にものが落ちてこない場所に寝るようにしよう</div></div><p>・トイレ・お風呂</p><p>ドアが変形してしまう可能性があるため、まず扉を開ける。トイレは照明などの破損、お風呂はすべりやすく転倒の恐れがあるため、揺れが収まるまで低い姿勢をとり、腕を使って頭部を守ろう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>・台所（料理中）</p><p>料理中の場合、調理器具でけがをしたり、油でやけどを負う可能性があるので、コンロからはできるだけ離れ、身を守ろう。</p><p>最近のガスメーターは強い揺れを感知すると自動で火が止まる仕組みになっているため、火を止めるのではなく火から離れることが重要。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/78f345b1bba8874409f78d1e52452125.jpg"></div></div>●職場<p>キャビネットや棚、ロッカー、コピー機などから離れて、机の下に隠れて頭部を守ろう。外へ逃げる際は落下物に注意し、エレベーターは使わないようにする。</p>●エレベーター<p>揺れを感じたら、全ての階のボタンを押し最初に停止した階で降りるのが基本だが、その階が安全か見極めてから降りるようにしよう。なかに閉じ込められたときは、非常用のインターホンを押して救助が来るのを待つ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">●スーパー・デパート<p>バッグや買い物かごなどで頭を保護し、ショーケースなど倒れやすいものがある場所からは離れて揺れが収まるのを待とう。</p><p>エレベーターホールなど比較的商品の少ない場所や建物の支柱付近などに身を寄せるとよい。避難の際にエレベーターは使わないようにしよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/39a75383ccb4fca35d8cd24bb3d8e4e1.jpg">商品が落ちてくることがあるので、バッグや買い物かごなどで頭を守ろう</div></div>●地下街<p>地上より比較的安全だが、人が押し寄せてパニックが起きたり、火災が発生するなどの危険性も。もし火災が発生したら周りの人と協力して消火活動をする、避難する際は身をかがめてハンカチで口を覆う。</p><p>地下街は60メートルごとに非常口が設置されている。非常口にたどり着いてもいきなり外には出ずに安全かどうか状況を確かめよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_56b48e98be31ddd692546715fd164824" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［屋外］</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">●住宅地やオフィス街（歩行中）<p>建物や看板、ブロック塀や門、自動販売機、電信柱など、倒壊の危険性がある場所からはできるだけ離れよう。</p><p>ガラスといった落下物にも注意が必要だ。また歩道が危険だからといって車道に避難すると、走ってきた車と衝突する危険もあるため注意しよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/c7262b992800d88b2bbf46ffb1d7a26f.jpg"></div></div>●海岸<p>津波が襲ってくる可能性があるので、避難指示を待たずに高台を目指して避難することが重要。近くに高台がない場合は、3階建て以上の建物を目指そう。</p><p>海水浴中の場合は、監視員やライフセーバーの指示に従う。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">●川べり<p>津波は川をさかのぼるため、流れに沿って上流に避難しても追いかけてくる。川の流れに対して直角方向に素早く避難することが重要。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/2e5b735a145ef97864815e660ee832e8.jpg">川べりでは流れに対して直角方向に逃げることが大切</div></div>●山・丘陵地<p>落石に注意し、急傾斜地や崖など危険な場所からはできるだけ離れよう。</p><p>登山中の場合は、地震で地盤がゆるみ、崩れやすくなっている可能性があるので、足元に注意を払いながら避難しよう。</p>●移動中<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>・電車・バス</p><p>揺れを探知すると急停止することがあるので、立っている場合は手すりやつり革をしっかり握る。座っている場合は姿勢を低くして頭を鞄などでガードしよう。</p><p>むやみに車外に出たりせず、乗務員の指示を待つ。駅のホームにいる場合は落下物に注意しよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/37d1151ebcfa4c3e9c0815237d16860f.jpg"></div></div><p>・地下鉄</p><p>基本は電車やバスと同じ。「海抜ゼロメートル地帯」「海岸地域」などは津波や河川の水が流れ込む危険性があるが、浸水してくるまでには時間がかかる。パニックにならず、冷静に避難しよう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>・自家用車</p><p>運転中は急ブレーキをかけたりしないこと。ハザードランプを点灯させ、ゆっくりスピードを落としながら道路の左側に停車。エンジンを切り、揺れが収まるまでは車外に出ず、カーラジオなどで災害情報を確認しよう。</p><p>避難する場合は、車のキーをつけたままドアをロックしないで窓は閉める。連絡先を書いたメモなどを見えるところに置くと安否も分かりやすい。</p><p>高速道路の場合は、約1キロメートルごとに非常口が設けられているので、そこから地上に降りることができる。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/0c0e62b5f9f91f8c6c7e2c7a03b907f7.jpg">車はロックせずに連絡先を見えるところに置き、貴重品を持って避難しよう</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3034d86d3d6f3232fc6bf8257ef38ad8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地震による揺れが収まってからの対処法</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">●身の安全の確保<p>まずは周囲を確認し、身の安全を確保する。慌てて行動すると、転倒した家具類や飛び散ったガラスなどでけがをする恐れがあるため、スリッパや靴を履いて足を守ろう。窓や戸を開けて、出口を確保する。</p><p>自宅内で火災が発生した場合は、大声で周囲に知らせ、消火活動を行う。燃え上がった火が目の高さまで大きくなったときは周囲にも声をかけながらすぐに避難しよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/5157c4694454c885e75e97d57561c929.jpg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">●避難の判断<p>災害が発生した際はデマや根拠のないうわさが流れやすい。テレビ、ラジオ、役場等の情報に注意し、正しい状況を把握するように努めよう。</p><p>役場からの避難指示が出たら従う。建物倒壊や火災が発生している場合、津波警報が出ている場合は一刻も早い避難が必要となるが、自宅が安全な場合は在宅避難という選択肢も入れよう。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/77478/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">増える自然災害、不足する避難所。東大・目黒教授に聞く「在宅避難」の備えと防災の心得（別タブで開く）</a></p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/e178fdcc06d3641f651eabea678dba77.jpg">デマやうわさに惑わされず、テレビ、ラジオなどから正しい情報を収集しよう</div></div>●会社や外出先での帰宅困難<p>地震発生後は、通行できる道路や駅に人が押し寄せパニックが起きる恐れがあるため、むやみに移動しないこと。</p><p>家族の安否が心配な場合は、スマートフォンから災害掲示板などを利用する。帰宅困難者が待機できる「一時滞在施設」が庁舎やオフィスビル、ホテルなどで開設されるので、その利用も選択肢に入れよう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>徒歩で帰宅する場合は、混雑が発生しそうなルートは避けよう。夜は足元が見えにくく危険なので、遠距離移動になる場合は時間帯も考えて行動すること。</p><p>徒歩で帰宅する途中、トイレ、水道水、休憩場所を提供してくれる「災害時帰宅支援ステーション」としてコンビニエンスストアやファミリーレストラン、ガソリンスタンドなど開放される施設があるので、利用しながら帰宅しよう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/6df7a30d57b172a42a7364974699f676.png"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/03908b22175567e19016c016aed600d6-1024x605.png">東京防災マップ（※7）では「「災害時帰宅支援ステーション」も検索することが可能。公式サイトで公開している自治体も多いので事前にチェックしておこう<h2 id="tnf-text-heading-block_06b42a0e371592c989931868d6c31b4a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害時の家族のルールを決めておくことで、安心して行動できる</h2><p>災害の発生に備え家族で防災ルールを決めて、共有することも重要だ。そうすることで、別々の場所で地震に遭っても落ち着いて行動することができる。</p>●地震発生時<p>これまで一般的な対処法についてお伝えしてきたが、その方法が必ずしも自分たちに当てはまるとは限らない。例えば地震発生時に机の下に隠れるのが原則だとしても、近くに倒れやすいものがある場合は適していない。</p><p>地震が発生した際、どの場所が安全でどの場所が危険か、どの場所から外に避難できるかなどを事前に話し合っておこう。</p>●家族の集合場所と待ち合わせ時間<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>家族が離れた場所で被災した場合の集合場所や避難所を事前に決めておこう。避難所や避難場所は混み合うことも予想されるため、「○○小学校の体育館の入り口横」など細かく設定しておくとよい。</p><p>また集まる時間とどれくらい待つかのルールを決めておくと行き違いも防げる。例えば「決めた時間に30分経っても集まらなければ、次に決めた時間に集合」といったルールを明確に設定する。</p><p>集合場所が決まったら、自宅や勤務先、学校など普段いることの多い場所から、実際に歩いて避難ルートを確認しておこう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/04/54da15887203bf2f558584ee97c08f30.jpg"></div></div>●家族の連絡方法<p>災害時には携帯電話の音声通話はつながりにくくなるため、それ以外の連絡手段を決めておこう。</p><p>・<a href="https://guide.line.me/ja/features-and-columns/emergency-tips.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">LINE（外部リンク）</a></p><p>音声通話が難しい状況でも、データ通信さえできればメッセージを送ることができるほか、スマートフォンのGPS機能をONにしていれば、位置情報も送れる。</p><p>震度6以上など大規模な災害が起こった際にはホームタブに「LINE安否確認」が出現。タップするだけでLINE上の友達に状況を共有できる機能もある。また、LINEのほかX（旧Twitter）やFacebookなどのメッセージ機能も災害時には活用しやすい。</p><p>・<a href="https://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">災害伝言ダイヤル（171）（外部リンク）</a></p><p>固定電話、携帯電話、インターネット、公衆電話（無料）から利用可能な、安否の確認や避難場所の連絡などが行えるサービス。安否情報を音声で残すことができる。</p><p>・<a href="https://www.ntt-east.co.jp/saigai/web171/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">災害用伝言版（web171）（外部リンク）</a></p><p>パソコンや、大手キャリア以外のスマートフォンからはweb171に、スマートフォンからは各社の災害用伝言版アプリにアクセスし、テキストメッセージで安否情報を残すことができる。「災害伝言ダイヤル」とも情報が共有されており、キャリアが違うユーザー同士でも検索することが可能だ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>これらの対策がまだだという人は、今からでも決して遅くはないのでぜひ進めてほしい。地震を知り、防災対策を重ねることで被害は軽減できる。自分や大切な家族の命を守るために、もしものときの防災意識を高めよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_9dca0c0e97ad433df8d41d8ee08b08a9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/kyoiku/hokenkyousai/jishin.html" target="_blank" rel="noopener">地震災害｜内閣府防災情報ページ（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/nankai/taisaku_wg_02/pdf/saidai_01.pdf" target="_blank" rel="noopener">南海トラフ巨大地震最大クラス地震における被害想定について【定量的な被害量】（令和7年3月）｜内閣府防災情報ページ（外部リンク/PDF）</a>※3.出典：<a href="https://www.sci.tohoku.ac.jp/news/20250307-13641.html" target="_blank" rel="noopener">日本列島下の全マントル構造とマントル流れ場の高精度推定に成功｜東北大学 東北大学理学研究科・理学部（外部リンク）</a>※4.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/nihonkaiko_chishima/kaisetsu/index2.html" target="_blank" rel="noopener">日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震の解説ページ｜内閣府防災情報ページ（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg_02/pdf/r7houkoku1.pdf" target="_blank" rel="noopener">首都直下地震対策検討ワーキンググループ報告書概要（令和7年12月19日）| 内閣府（外部リンク/PDF）</a>※6.出典：<a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/syuto/taisaku_wg_02/pdf/r7higai_soutei1.pdf" target="_blank" rel="noopener">都心南部直下地震の被害想定【定量的な被害量】（令和7年12月19日）｜内閣府防災情報ページ（外部リンク/PDF）</a>※7.<a href="https://map.bosai.metro.tokyo.lg.jp/?l=35-0%2C38-0%2C60-0%2C61-0%2C1015-0&amp;ll=35.69187929999999%2C139.389038&amp;z=10" target="_blank" rel="noopener">東京防災マップ（外部リンク）</a></div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>84322</guid>
      <title>世界で捨てられる食べ物の量、年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/84322/food_loss</link>
      <pubDate>Tue, 14 Jul 2026 14:08:56 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「食品ロス」とは、本来まだ食べられるのに廃棄されてしまう食料のこと</li><li>世界では年間25億トンもの食品が廃棄され、それに対し罰金を課している国もある</li><li>「買い過ぎない、作り過ぎない、注文し過ぎない」。今日からできる行動が豊かな未来を築く</li></ul><p></p><p>※この記事は2023年1月24日に公開した記事を再編集しています</p><p>皆さんはいつも、食卓に並んだ料理をちゃんと食べきれていますか？</p><p>「食品ロス」とは、本来食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食料のこと。単に無駄にしているだけでなく、廃棄の際に発生する温室効果ガスが地球温暖化の一因になっていたり、処分される食料がある一方で、世界には飢餓に直面している人も多く、世界的な問題となっています。</p><p>このままでは将来的な人口増加によって、大規模な食料危機に陥る可能性もあります。</p><p>今回は世界の食品ロスの現状や、食品ロスが生まれる背景、今日からでも私たちができる取り組みを紹介します。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_206386d1f7108994cb1b65f1cc922327" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">世界では年間25億トンもの食品が廃棄されている</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>WWF（世界自然保護基金）と英国の小売り大手テスコが2021年7月に発表した資料によると、1年間で世界で栽培、生産された全食品のうち約40パーセントに当たる25億トンの食品が廃棄されていることが分かりました（※1）。 </p><p>これは食品ロスの主な指標とされる「FAO（国連食糧農業機関※2）が2011年に発表した年間約13億トンの約2倍の量に当たります</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss2.png"></div></div><p>25億トンのうち、一番多く廃棄されているのは農場で生産された食料で、12億トンに上ります。次いで小売や消費の段階で9億トン、さらにそこから先の貯蔵や加工などの段階で4億トンが廃棄されています。</p><p>では、この食品はどういった経緯で廃棄されているのでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_23447eea83daf18ef8014decd982002c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">先進国と途上国で異なる食品ロスを生む背景</h2><p>食品ロスはなぜ生まれるのでしょうか。FAOの資料によると、途上国と先進国では背景が大きく異なります。</p><p>発展途上国では収穫技術が低いことや、厳しい気候下での貯蔵が難しいなどの理由から、食品の生産や加工の段階で食品ロスが多くなります。</p><p>一方、先進国では生鮮食品の外観を重視する「外観品質基準」が強いことや小売店での大量陳列、食品を簡単に捨てる余裕があることなどから加工、卸小売、外食、家庭の段階での食品ロスが多くなります（※3）。</p><p>では、食品ロスが増えることによって、どのような問題が起きているのでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_78f8a17b9fbcf5cfd81b74e92361a281" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">二酸化炭素の排出による環境負荷の増大</h3><p>食品ロスはごみとして廃棄されるため、焼却処理する際に温室効果ガスである二酸化炭素（CO2）が大量に排出されます。</p><p>冒頭で触れたWWFの報告書「Driven to Waste」によると、世界で年間に排出される二酸化炭素のうちの10パーセントを食料廃棄物が占めるといわれ、これはアメリカとヨーロッパで自動車が1年間に排出する量のほぼ2倍に相当します。食品ロスは、地球温暖化による気候変動の一因になっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodloss081300005.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_dc017360a1e250abc8f2ccad8c3e47c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">20億人分の食料が廃棄、一方で12人に1人が飢餓に直面</h3><p> WHO（世界保健機関）の報告書によると、世界ではみんなが十分に食べられる食料を作っているにもかかわらず6億7,300万人、12人に1人が飢餓状態にあり、また健康的な食事が得られない人は26億人いるとされています（※4）。</p><p>先進国では多くの食料が廃棄され、開発途上国では貧困や自然災害、紛争などによって食料が足りなくなるという「食の不均衡」が起きており、日本でも多くの食料を輸入に頼っているにもかかわらず、食品ロスが発生している点も問題視されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/foodloss081300006-1.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_9577c870bbd74edc180c2e028f46d012" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">将来懸念される人口増加よる慢性的な食料不足</h3><p>UNFPA（国連人口基金）の「世界人口白書2025」によると、全世界の人口（2023年7月時点）は82億3,200万人で、2030年には85億人、2060年代には約100億人に達すると予想されています（※5）。。</p><p>FAOは2012年に、世界全体で2050年までに食料生産を60パーセント増やす必要があると推計しましたが、2017年に、2012年の水準よりもさらに50パーセント多く食料生産を増やす必要があると新たに推計し公表しました（※6）。</p><p>しかし、食料を生産するための土地や水といった資源には限りがあり、世界では異常気象による農作物不足が毎年のように発生しています。持続可能な食料生産システムを構築しなければ、将来的に先進国においても、食料不足に陥る可能性があるといわわれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss4.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f144e917a7d48700faa7fb6d47ec74bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">罰金を設ける国も。世界の食品ロスの現状と取り組み</h2><p>このような現状を受け、世界各国では食品ロスを減らす取り組みが活発になりました。ここからは、世界の食品ロスの状況と各国の取り組み事例をいくつか紹介します。</p>アメリカ<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>アメリカでは生産された食品の約3分の1が廃棄されています。この課題に対し、政府は2015年に「2030年までに廃棄量半減」の目標を掲げました。</p><p>最新の調査によると、2024年の廃棄量は約7,000万トンで前年比2.2パーセント減となり、成果が表れ始めています。この背景には、大手企業約50社が参画する官民連携プログラムの広がりがあります（※7,8）。</p><p>また、給食が義務化されている学校現場でも、未開封の食品を譲り合う「シェアテーブル」が導入されており、国・企業・教育現場が一体となった実践的な取り組みが進んでいます（※9）。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss5-768x1024.jpg">アメリカの小学校で実施されているシェアテーブル。画像引用：DC FOOD PROJECT</div></div>フランス<p>フランスの年間食品廃棄量は、2016年の約1,000万トンから2023年には約970万トンに減っていますが、さらなる対策が求められています（※10）。</p><p>フランスは2016年に世界で初めて「食品廃棄禁止法」を施行し、大型スーパーの食品廃棄を禁止して慈善団体への寄付を義務化。その後も規制を強め、2021年には全飲食店で持ち帰り容器の提供を、2024年からは一般家庭を含む全土で生ごみの分別・堆肥化を義務化しました（※9,11）。</p><p>現在は過去の1,000万トンを基準とし、2025年（流通部門等）と2030年（家庭・外食部門等）までに廃棄量を半減させる国家目標を掲げ、国を挙げて対策を加速させています（※10）。</p>イギリス<p>イギリスの食品廃棄量は2018年に年間950万トンに上り、2021年にはコロナ禍により家庭からの廃棄量が増加。この課題に対し、イギリスは官民両輪で対策を進めています。</p><p>民間では、NGO主導の「食品廃棄物削減ロードマップ」に400以上の組織が参画し、2030年の半減を目指しています（※9）。</p><p>政府は2025年3月より、イングランドの事業所（従業員10名以上）に対して食品廃棄物の分別を義務化。小規模事業者にも2027年3月から適用されます。企業の自主的取り組みと段階的な法規制を並走させ、社会全体でロス削減を推進しています（※12）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss6.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_5a8f15926dce3be124938889a5eac4e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食品ロス対策として再注目される日本発「MOTTAINAI」文化</h2><p>「MOTTAINAI（モッタイナイ）」という言葉を一度は目にしたり、聞いたことがあるのではないでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>この言葉は日本の「もったいない」が元となっており、それをつくったのが、2004年に環境分野で初のノーベル平和賞を受賞した、ケニア出身の女性環境保護活動家ワンガリ・マータイさん（※13）です。</p><p>環境保護のために重要なReduce（ごみ削減）, Reuse（再利用）, Recycle（再資源化）の言葉を一言で表せるだけでなく、大切な地球資源に対するRespect（尊敬の念）が込められた言葉として深く感銘を受けたマータイさんは、世界をつなげる合言葉として「MOTTAINAI」を広げることを提唱しました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss7-683x1024.jpg">日本の「もったいない」という言葉を世界へ広げたワンガリ・マータイさん（右）。S_bukley/shutterstock.com</div></div><p>2004年にニューヨークの国連本部で行われたスピーチで、「MOTTAINAI」という言葉の概念を発信し、世界各国から注目を集めました。やがて、インドネシアで「MOTTAINAIダンス」が生まれたり、ベトナムで「MOTTAINAIフェスティバル」が開催されるようになったり、日本でも「もったいない」という言葉の重要性が再認識されるようになりました。</p><p>そのマータイさんの意志は「MOTTAINAIキャンペーン（※14）」として受け継がれ、企業からの協賛やオリジナル商品、フリーマーケットなどの収益金の一部、クリック募金などで集まった寄付金は、マータイさんが取り組んできた環境活動や啓蒙活動に活用されています。</p><p>そしていま、持続可能な開発目標（SDGs）への関心が世界的に高まる中で、改めて「MOTTAINAI」に注目が集まっています。持続可能な社会づくりを目指す日本発の文化として世界に広まっており、食品ロスを減らすキーワードとしても重視されています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7492c9f8c7b56f66cf9973d0a2c0768a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">年間461万トン。日本の食品ロスの現状と対策</h2><p>では「MOTTAINAI」の発祥元である日本の食品ロスはどのような状況なのでしょうか。</p><p>環境省の調査によると、2024年度の日本の年間食品ロス量は461万トンと、過去10年で最少となりました。内訳は家庭から発生する「家庭系」が約224万トン、小売店の売れ残りや飲食店の食べ残しなどによる「事業系」が約237万トンとなっています（※15）。</p><p>国民1人当たりの食品ロス量は1日約103グラムとなっており、茶碗約1杯分（約150グラム）のご飯に近い量となっています。年間に換算すると、1人当たり約38キログラムの食品が廃棄されていることになります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/foodloss081300002.jpg"><p>食品ロス削減の取り組みは着実に進んでいますが、さらに推進していくためには事業系食品ロス（社会の仕組み）と家庭系食品ロス（個人ができること）の両面で解決していく必要があります。</p><p>事業系食品ロス削減に対する国の取り組みとして、「食品リサイクル法」「食品ロス削減推進法」の2つの法律が設けられており、2000年に成立した食品リサイクル法では「2000年度（547万トン）比で、2030年度までに半減（273万トン）させる」という目標を設定。ですが、2022年度にすでに達成したことを踏まえ、2000年度比で6割減とする新たな目標を設定し直しました（※16）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/08/foodLoss8-1.jpg"><p>2つの法律の概要と具体的な取り組みは以下の通りです。</p>食品リサイクル法<p>正式名称を「食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律」といい、2000年に制定されました。食品の売れ残りや食べ残し、製造・加工・調理の過程で生じた食品廃棄物などについて、次のように基本方針を定め、取り組みを促進しています。</p>発生抑制と減量化により最終処分量の減少飼料や肥料等への利用、熱回収などの再生利用<p>［事業者に求められる具体的な取り組み］</p>納品期限の緩和などフードチェーン全体での商慣習（商業上のしきたり）の見直し賞味期限の延長と年月表示化食品廃棄物等の継続的な計量食べきり運動の推進食べ残した料理を持ち帰るための容器（ドギーバッグ）の導入フードバンク活動の積極的な活用食品ロスの削減に向けた消費者とのコミュニケーション、普及啓発の推進 など食品ロス削減推進法<p>正式名称を「食品ロスの削減の推進に関する法律」といい、2019年に施行された法律です。食品ロスを削減していくために、次のように定められています。</p>国民各層がそれぞれの立場において主体的にこの課題に取り組み、社会全体として対応していくよう、食べ物を無駄にしない意識の醸成とその定着を図っていくことまだ食べることができる食品については、廃棄することなく、できるだけ食品として活用するようにしていくこと<p>［事業者に求められる責務］</p>事業者はその事業活動に関して、国または地方公共団体が実施する食品ロスの削減に関する施策に協力し、食品ロスの削減に積極的に取り組むように努める<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodloss081300001.jpg"><p>では、事業系食品ロスの発生要因にはどのようなものがあるのでしょうか。食品ロスの発生要因としては、いわゆる「3分の1ルール」等の商慣習などが挙げられます。</p><p>3分の1ルールとは、食品小売業において「賞味期限の3分の1を超えたものは入荷しない」「3分の2を超えたものは販売しない」という慣例のこと。また、「先に入荷したものより前の賞味期限のものは入荷しない」という慣例もあり、これらのルールによってまだ食べられる大量の食品が廃棄されているのが現状です。</p><p>そこで、消費者庁を事務局とする関係省庁が食品業界を牽引する形で、3分の1ルールの見直しを含めた「納品期限の緩和」、賞味期限の長い商品を日付単位ではなく月単位で表示する「賞味期限の年月表示化」「賞味期限の延長」などの取り組みが始まっています（※17）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodLoss9.png"><p>また食品小売業では、過去に恵方巻きが大量に廃棄されるなどの問題が起きたため、「消費者の需要に見合った販売を進める」こと、「フードバンクの連携」、すぐに食べない商品は賞味期限の短い商品が並んでいる手前から取るいわゆる「てまえどり」など消費者への啓発を行っています。</p><p>ほかにも外食産業では「食べきり」「持ち帰り」の推進を行うなど、食品関連事業者ではさまざまな取り組みが進められています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7a90a3ecb4796ef25178b99221d851f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">今日からできる、資源を無駄にせず食に困らない未来づくり</h2><p>食品ロスを削減していくためには、家庭での取り組みも不可欠です。個人ができる取り組みの基本となるのは、買い物時に「買い過ぎない」、料理を作る際に「作り過ぎない」、外食時に「注文し過ぎない」。そして「食べきる」ことが重要です。</p><p>［買い物するとき］</p>買い物前に冷蔵庫の食材をチェックし、過剰に買わないようにする必要な分だけを買うすぐに使う食品は「てまえどり」を心がける食材が余ってしまったときは、フードバンクに寄付ができないか検討する<p>［調理するとき］</p>残っている食材から使う食べきれる分だけ作る<p>［外食するとき］</p>食品ロスに積極的なお店を選ぶ食べきれる量だけ注文する残してしまいそうになったら、持ち帰れないかお店に相談する<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2023/01/foodloss081300004.jpg">食品ロスを減らすために今日からできる行動<p>このように、食品ロス発生量の半分を占める家庭での取り組みは難しいことではなく、今日からすぐにでも始められる行動ばかり。</p><p>国、自治体、事業者が連携するのはもちろん、私たちも地球の未来を担う一員として、責任を持って行動することが、かけがえのない資源を無駄にせず、全ての人が食べることに困らない、本当の意味で豊かな社会につながります。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_4a8b3bb1f85beeee01fd00679a3132c0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://wwfint.awsassets.panda.org/downloads/driven_to_waste_summary.pdf" target="_blank" rel="noopener">WWF「DRIVEN TO WASTE：GLOBAL FOOD LOSS ON FARMS」REPORT SUMMARY（JULY 2021）（外部リンク/PDF）</a>※2.「国連食糧農業機関（FAO）」とは、世界の農林水産業の発展と農村開発に取り組む国連の専門機関のこと※3.出典：<a href="https://www.fao.org/4/mb060e/mb060e00.pdf" target="_blank" rel="noopener">Global food losses and food waste｜FAO（外部リンク/PDF）</a>※4.出典：<a href="https://www.who.int/news/item/28-07-2025-global-hunger-declines-but-rises-in-africa-and-western-asia-un-report" target="_blank" rel="noopener">Global hunger declines, but rises in Africa and western Asia: UN report｜WHO（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://tokyo.unfpa.org/sites/default/files/pub-pdf/2025-06/swp25-layout-en-v250609-web_1.pdf" target="_blank" rel="noopener">世界人口白書2025｜国連人口基金（外部リンク/PDF）</a>※6.出典：<a href="https://www.jircas.go.jp/ja/program/program_d/blog/20170413" target="_blank" rel="noopener">FAO「食料と農業の未来 – トレンドと課題」｜国際農研（外部リンク）</a>※7.出典：<a href="https://www.epa.gov/sustainable-management-food/united-states-food-loss-and-waste-2030-champions" target="_blank" rel="noopener">United States Food Loss and Waste 2030 Champion｜EPA（外部リンク）</a>※8.出典：<a href="https://refed.org/food-waste/refed-us-food-waste-report-2026/" target="_blank" rel="noopener">Progress on the Plate: 2026 U.S. Food Waste Report｜ReFED（外部リンク）</a>※9.出典：<a href="https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/efforts/assets/consumer_education_cms201_220624_01.pdf" target="_blank" rel="noopener">諸外国における食品ロス削減に関する先進的な取組についての調査業務報告書（概要版）（令和4年3月）｜消費者庁（外部リンク/PDF）</a>※10.出典：<a href="https://www.ecologie.gouv.fr/politiques-publiques/gaspillage-alimentaire" target="_blank" rel="noopener">Gaspillage alimentaire｜Ministères transition écologique　aménagement du territoire　transports　ville et logement（外部リンク）</a>※11.出典：<a href="https://www.ecologie.gouv.fr/politiques-publiques/biodechets" target="_blank" rel="noopener">Biodéchets｜Ministères transition écologique　aménagement du territoire　transports　ville et logement（外部リンク）</a>※12.出典：<a href="https://www.gov.uk/guidance/simpler-recycling-workplace-recycling-in-england" target="_blank" rel="noopener">impler recycling: workplace recycling in England｜GOV.UK（外部リンク）</a>※13.「ワンガリ・マータイ」は、植林活動「グリーンベルト運動」創設者。ケニア共和国元環境・天然資源省副大臣。2004年に環境分野の活動家及びアフリカ人女性として史上初のノーベル平和賞を受賞※14.「MOTTAINAIキャンペーン」とは、地球環境に負担をかけないライフスタイルを広め、持続可能な循環型社会の構築を目指す日本発の活動。<a href="https://www.mottainai.info/" target="_blank" rel="noopener">公式サイト（外部リンク）</a>※15.出典：<a href="https://www.env.go.jp/press/press_05155.html" target="_blank" rel="noopener">我が国の食品ロスの発生量の推計値（令和6年度）の公表について｜環境省（外部リンク）</a>※16.食品リサイクル法の基本方針(2019年7月)、食品ロス削減推進法の基本方針（2020年3月）において設定。起点となる2000年度は食品リサイクル法が成立した年度※17.出典：<a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaishoku_shokubunka/attach/pdf/index-497.pdf" target="_blank" rel="noopener">食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢＜令和7年７月時点版＞｜農林水産省（外部リンク/PDF）</a></div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>広がる「卵子凍結」という選択肢。その先にある不妊治療・妊娠・出産の課題とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123222/childcare</link>
      <pubDate>Tue, 14 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「卵子凍結」とは、卵子を保存することで将来の妊娠・出産の可能性を残す医療技術のこと</li><li>自治体による助成事業の実施により身近な選択肢となりつつあるが、妊娠・出産を保証するものではない</li><li>誰もが希望を持って子どもを望める社会にするためには、不妊治療や子育てなど「何かをしながら働くこと」が当たり前の環境整備が必要</li></ul><p></p><p>「卵子凍結」とは、加齢とともに妊娠する力が低下するとされている卵子を若いうちに採取し、凍結保存しておくことによって、将来の妊娠・出産の可能性を残す医療技術のこと。</p><p>「まだ結婚や妊娠の予定はないけれど、いつかは望むときがくるかもしれない。それに備えて、若いうちに卵子を残しておきたい」</p><p>そんな思いを持つ女性たちが、卵子凍結という選択をするケースが増えてきています。</p><p>東京都が2023年に行った調査によれば、これまで4,567人が卵子凍結を経験（※1）。国（こども家庭庁）による2026年度中の助成事業開始の発表（※2）や、東京都（※3）や大阪府（※4）など、すでに実施されている自治体独自の助成事業の取り組み、企業の福利厚生への導入も進み、以前より身近な選択肢になりつつあります。</p><p>一方で、卵子凍結は将来の妊娠や出産を保証するものではないということは、あまり語られてきていません。海外の調査では、自然妊娠に至るケースや、新たに採取した新鮮な卵子による不妊治療を行うケースも多いため、凍結した卵子が実際に使われた割合は約11.1パーセント（※5）にとどまるという報告もあります。</p><p>また、たとえ妊娠・出産に至ったとしても、仕事の両立、育児と介護のダブルケアなど、さまざまな課題が待ち受けているケースもあります。そのため、卵子凍結という選択肢が広がる一方で、誰もが安心して子どもを産める社会になっているとは言い切れないのが現状です。</p><p>そこで今回は、不妊治療当事者による支援活動を20年以上続ける<a href="https://j-fine.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人Fine（外部リンク）</a>理事長の野曽原誉枝（のそはら・やすえ）さんに、卵子凍結をめぐる現状と、不妊治療や妊娠・出産を取り巻く課題、そして誰もが希望を持って子どもを望める社会づくりのヒントを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E2%98%8501_%E5%8D%B5%E5%AD%90%E5%87%8D%E7%B5%90%E3%81%AE%E4%BB%95%E7%B5%84%E3%81%BF-1-1024x765.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_3ee87e2efbd4a436cbea4e9246d33456" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">女性の可能性を広げる卵子凍結は、“万能”ではない</h2><p>――卵子凍結への関心が高まっていますが、不妊治療の当事者支援現場から見て、可能性の広がりをどのように感じていますか。</p><p>野曽原さん（以下、敬称略）：加齢によって卵子が老化する可能性が広く知られるようになったこともあり、今すぐに結婚や出産の予定がない人にとって、卵子凍結は将来の選択肢の1つとして広がっていると感じています。</p><p>卵子凍結は費用負担が大きいため、東京都や大阪府などで助成制度が始まったことも後押しになり、実際に卵子凍結をした人や、これから検討しているという話を聞く機会は増えました。</p><p>――卵子凍結に期待されていることと、実際にできることの間にギャップを感じられることはありますか。</p><p>野曽原：若いうちの卵子を保存することで、将来の妊娠の可能性を広げられるという点は、卵子凍結の大きなメリットだと思います。ただ、その一方で、メリットだけが強調されているように感じることもあります。</p><p>卵子凍結をしたからといって、将来の妊娠や出産が確実に保証されるわけではありません。実際には凍結した卵子を使わず、新たに採取した卵子で体外受精を行う人もいますし、自然妊娠に至るケースもあります。</p><p>日本ではまだ十分なデータが蓄積されていませんが、卵子凍結が急速に進む欧米では凍結した卵子が実際に使われる割合は決して高くないという報告もあります。</p><p>――卵子凍結は万能ではないということなのですね。</p><p>野曽原：はい。また、卵子凍結は採取して保存するだけの簡単な行為ではありません。</p><p>一度に複数の卵子を確保するために排卵誘発剤を使用し、数日かけて通院をしながらその状態を確認します。また、採卵の際には細い針を卵巣に刺して卵子を吸い出しますので、仕事の調整も必要になりますし、誘発剤の副作用で吐き気を伴う人や、採卵時に針の痛みを感じる人も少なくありません。</p><p>さらに、「若い卵子を保存しているから大丈夫」と安心し過ぎてしまうと、いざ使う段階で思うような結果が得られなかった際に、大きな精神的ショックを受けることもあります。精神的にも身体的にも負担が伴う可能性があることは、理解しておく必要があると思います。</p><p>一方で、キャリアを築きたい女性にとっては、「お守り」のような存在になることも事実です。仕事か出産かという二者択一ではなく、人生設計を考えるための選択肢が増えたこと自体は、とても前向きな変化だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E2%98%8502_20260611zaidan0808-1-1024x683.jpg">卵子凍結について説明する野曽原さん<h2 id="tnf-text-heading-block_ec227c34a4e149129d5a5545ebbaf9dd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">20年経っても変わらない不妊治療の悩み</h2><p>――野曽原さんが理事を務めるNPO法人Fineの活動についても教えてください。</p><p>野曽原：不妊当事者による自助団体です。不妊が特別視されることなく、普通に話せる社会を目指し、現在・過去・未来の不妊体験者への支援や啓発活動、患者さんと医療機関の橋渡しなどを行っています。</p><p>――不妊治療の保険適用や助成制度が始まったことで、相談内容に変化はありましたか。</p><p>野曽原：不妊治療と仕事をどう両立するか、パートナーとの温度差、周囲からの無理解といった悩みは、この団体が活動を始めた20年前から大きく変わっていません。</p><p>相談で多いのが、パートナーとの考え方の違いです。治療を始めるときは「子どもが欲しい」という共通の目標がありますが、どこまで治療を続けるのか、どれくらい費用をかけるのか、といった現実的な問題に直面すると、意見が食い違うことがあります。</p><p>一方で保険適用によって新たに生まれた悩みもあります。</p><p>――具体的にはどのような悩みでしょうか。</p><p>野曽原：現在、体外受精や顕微授精（けんびじゅせい※6）の保険適用には回数制限が設けられており、治療開始時の女性の年齢が40歳未満の場合は1子につき6回、40歳以上43歳未満の場合は1子につき3回までと定められています（※7）。</p><p>そのため、1回終わるごとに「あと○回しかない」とカウントダウンをするようになり、それ自体が大きな精神的負担になっているという声が多く寄せられています。</p><p>また、制度上の区切りができたことで、自分の意思で治療の終わりを決めることが難しくなり、「国から子どもを持つことを諦めろと言われているようだ」と感じる方もいます。</p><p>そもそも不妊治療は個人差がとても大きく、年齢で一律に判断できるものではありません。</p><p>私は38歳から不妊治療を始め、44歳で出産。当時の年齢では、統計だと妊娠率は0.01パーセント程度とされていましたが、私は妊娠することができました。一方で、年齢が若くても思うような結果が得られない人もいます。</p><p>どこで区切りをつけるのかという判断をするのは、とても難しいことなのです。</p><p>――治療をいつまで続けるのか、夫婦で意見が合わない場合はどうすればよいのでしょうか。</p><p>野曽原：とても難しい問題ですが、早い段階からゴールについて話し合っておくことが重要です。</p><p>子どもを授かることだけがゴールなのか、それとも家族をつくることなのか。もし授からなかった場合は夫婦2人の生活を選ぶのか、あるいは養子や里親という選択肢を考えるのか。</p><p>不妊治療を始めた時点では、そこまで考えられない人も多いと思います。しかし、治療が長くなればなるほど、こうした話し合いは避けて通れません。治療の結果が出なかったときに初めて考えるのではなく、早いうちに話し合っておくことで、選択肢を広く持つことができると思います。</p><p>100パーセント折り合いをつけることは難しいかもしれないので、お互いにどこまで歩み寄れるのか、落とし所を話し合うこともおすすめです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E2%98%8503_%E5%86%99%E7%9C%9F-2025-11-23-15-58-05-1-1024x768.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E2%98%8504_IMG_8634-1-1024x768.jpg">2025年には、世界不妊啓発月間となる6月に啓発イベント「世界不妊啓発月間2025～不妊・不育症への理解を広げ誰もが選択できる未来へ～」を開催。ウォーキングイベントを実施した。画像提供：NPO法人Fine<h2 id="tnf-text-heading-block_c71590e54566676a9477cb565cba7f43" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高齢出産のリスクは理解しつつも、必要以上に恐れない</h2><p>――卵子凍結は将来の可能性を残す技術ですが、高齢で出産した場合に待ち受けている現実について教えてください。</p><p>野曽原：こちらへ相談にくる方のなかには、高齢出産後の生活に不安を感じている方も少なくありません。例えば、育児と親の介護が同時に発生する「ダブルケア」の問題があります。</p><p>親の介護は突然始まることもあり、自分でコントロールできる問題ではありません。一方で、産後ケア施設や地域の支援制度など、自分で準備できることもありますので、事前に情報収集をしておくことが大切です。</p><p>また、高齢出産には妊娠高血圧症候群（※8）などのリスクがあることも事実ですが、これも必ず起こるわけではありません。</p><p>仕事との両立についても同じです。高齢だから難しいというよりも、その人の働き方や職種、周囲の環境による部分が大きいと考えています。</p><p>――野曽原さん自身も高齢出産をご経験されていますが、どのように思われますか。</p><p>野曽原：私個人としては、リスクを無視するのではなく、注意すべき点として理解した上で向き合うことが大切だと思っています。</p><p>実際に起きてみないと分からないことも多く、高齢出産だから必ず大変になるとも限りません。私は高齢出産そのものを過度にネガティブに捉えているわけではないんです。</p><p>むしろ、不安なことばかりを考えるよりも、自分で準備できることは準備し、その時々で必要な支援を活用しながら対応していくことのほうが大切だと思っています。</p><p>また、全てを一人で抱え込まないことも重要です。パートナーと事前に話し合っておくことはもちろん、家族や地域、行政の支援なども活用しながら乗り越えていくことで負担も軽減できます。</p><p>――不妊治療やその先に続く妊娠、出産を支えるために、社会や企業はどう変わるべきでしょうか。</p><p>野曽原：不妊治療だけを特別視するのではなく、育児や介護、病気の治療なども含め、「何かをしながら働くこと」が当たり前の社会になってほしいと思っています。</p><p>今の社会にはさまざまな事情を抱えながら働いている人が多くいます。育児や介護への理解は少しずつ広がってきましたが、不妊治療もまた、見えない命に向き合う大切な時間だという認識はあまり持たれていないと感じています。</p><p>特定の事情だけを特別扱いするのではなく、それぞれが抱える事情を理解し合い、支え合える環境が生まれれば、誰もが働きやすく生きやすい社会につながるのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E2%98%8505_20260611zaidan0714-2-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_e1ac962a5002d0d50192e84b38a83a89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来の親子をサポートするために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、年齢や境遇にかかわらず、誰もが希望を持って子どもを望むことができる社会にするために、私たち一人一人にできることを野曽原さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4f5cc38ccdb7cb490f01aecf05a1c3a9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］アドバイスよりも、まずは見守る</h2><p>当事者は徹底的に情報を集め、できる限りの努力をしている。「もっとこうしたほうがいい」というアドバイスは、かえって本人を追い詰めてしまうこともあるため、「話したいことがあったらいつでも聞くからね」と伝えるくらいの距離感が安心を生む</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2db1bbeb1f16e756ec1ff51ccb62de88" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］職場では先回りした配慮をしない</h2><p>よかれと思った配慮が本人の希望とずれてしまうこともある。「治療中だから負担の少ない仕事を任せよう」といった判断は、本人のキャリアアップの機会を奪ってしまう場合もある。当事者の意向を丁寧に聞く姿勢が重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fadd2bf8f29fa49ab527f32fd314aded" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］正しい知識を持つ</h2><p>不妊治療を取り巻く課題の背景には、知識不足による誤解や無理解も多い。「卵子は減っていくが、精子は新しく作られ続ける」といった男女の差や、「不妊治療のスケジュールはコントロールできず、突然明日病院に行かなければならないことがある」といった実情を知るだけで、無理解によるトラブルを防げる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>卵子凍結は、未来の可能性を広げる選択肢の１つとして注目を集めています。しかし、不妊治療や妊娠、出産へと続くその先は、果たして安心して子どもを持てる社会になっているのか。そんな疑問から、野曽原さんに話を伺いました。</p><p>取材を通じて印象に残ったのは、「不妊治療だけが特別な課題ではない」という視点です。育児や介護、病気の治療――私たちは皆、何かしらの事情を抱えながら生きています。</p><p>本当に求められているのは、どのような選択をしても孤立せず、必要なときに支え合い、支援を受けられる社会ではないでしょうか。子どもを持つ人も、持たない人も、それぞれの人生を尊重し合える社会。その実現こそが、誰もが希望を持って選択できる社会につながるのだと感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_832bd92b443b39289f9d7e857935c9ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/ranshi-chousakekka" target="_blank" rel="noopener">卵子凍結への支援の検討に関する状況調査結果（令和5（2023）年9月）｜東京都福祉局 子供・子育て支援部（外部リンク/PDF）</a>※2.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/514c8c85-824a-4d32-96e0-318b82bd75b5/b148b557/20260507_policies_boshihoken_tsuuchi_2026_40.pdf" target="_blank" rel="noopener">母子保健医療対策総合支援事業の実施について｜こども家庭庁（外部リンク/PDF）</a>※3.<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/shussan/ranshitouketsu/touketsu" target="_blank" rel="noopener">卵子凍結に係る費用の助成｜東京都福祉局 （外部リンク）</a>※4.<a href="https://www.pref.osaka.lg.jp/o100040/kenkozukuri/boshi/souhaturansou.html" target="_blank" rel="noopener">プレコンセプションケアに取組む女性への支援​～大阪府早発卵巣不全患者等妊よう性温存治療助成試行事業について～｜大阪府（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/58a9356d-874c-47e2-9419-66eedd192049/8ad1dc68/20241225_councils_preconception-care_58a9356d_04.pdf" target="_blank" rel="noopener">プレコンセプションケアの提供のあり方に関する検討会 第2回｜東京大学大学院医学系研究科 産婦人科学講座 大須賀 穣（外部リンク/PDF）</a>※6.「顕微授精」とは、採取した卵子に特殊なガラス針を用いて、顕微鏡で確認しながら直接1匹の精子を注入する受精方法のこと※7<a href="https://funin-fuiku.cfa.go.jp/expert/17.html" target="_blank" rel="noopener">.不妊症・不育症へ向き合いやすく　保険診療の基礎知識｜みんなで知ろう、不妊症不育症のこと（こども家庭庁）(外部リンク)</a>※8.「妊娠高血圧症候群」とは、妊娠20週以降に高血圧を発症し、産後12週までに正常に戻る病気。妊婦の約20人に1人が発症し、重症化すると母体や胎児の命に関わる危険性がある</div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d45312a70e20bd6b158c2daf1681b4ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">野曽原誉枝（のそはら・やすえ）</h2><p>NPO法人Fineの理事長。大手電機メーカーにて22年間、販売促進や企画職に従事。約6年間の不妊治療を経て出産を経験したのち、NPO法人Fineに参画。2022年理事長に就任。2015年には自身の子育ての経験から産後の父母をサポートする産後ドゥーラ事業「アリレーヴ」を立ち上げ、現在では「不妊」「産後ケア」と幅広い領域において女性をサポートする活動を行っている。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 14 Jul 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>選ばれ続ける福祉事業者であるために——利用者、スタッフの心をつかむ「共感マーケティング」とは【実践シート付き】</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123303/knowledge</link>
      <pubDate>Wed, 08 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>売上不振、物価高の高騰、慢性的な人材不足などを原因とする福祉事業者の倒産が増えている</li><li>良い支援を提供するのは当然、利用者やスタッフに選ばれるためのマーケティング戦略が経営に必要</li><li>「共感マーケティング」でファンを増やし、感謝と挑戦の組織文化で人材と事業を育てる</li></ul><p>※【巻末特典】今すぐ使える「実践シート」を無料でダウンロードできます</p><p></p><p>少子高齢化が進むいまの日本が抱える大きな課題の一つが、医療・福祉の問題です。人口減少による売上不振、物価や光熱費の高騰、現場では慢性的な人材不足が続き、 2025年度の医療・福祉事業者の倒産件数は、478件。そのうち、老人福祉・介護事業者が182件と4割近くを占めます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_1.jpg"><p>「支援が必要な人を支えたいという思いだけでは継続できない。福祉事業でも健全に運営するためには儲けることが大切です」</p><p>そう話すのは、障害福祉事業や保育事業、福祉コンサルティング事業を展開する<a href="https://inclusionosaka.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">インクルージョングループ（外部リンク）</a>の代表を務める藤田直（ふじた・なおき）さんです。</p><p>実際に現場では、サービスの質には自信がありながらも利用者が集まらない、スタッフの離職が相次ぐ、制度改正への対応に追われるといった悩みを抱える事業者も少なくないと言います。</p><p>いくら社会的意義が大きな事業であっても、安定した運営基盤がなければサービスを継続することは難しく、結果として支援を必要とする人々にも影響が及びます。</p><p>そうならないためにも、藤田さんが重視すべきと力説するのが、福祉分野におけるマーケティングやブランディング。利用者やその家族、スタッフ、地域社会に対して運営する福祉事業所の価値を適切に伝え、選ばれる存在になるためには、どのような視点や施策が必要なのか？ 藤田さんにヒントを伺いました。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_76eebb9738ec00452dfd0ea23e238eb9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「足りない社会資源はつくる」起業の原点</h2><p>――福祉の世界に入られたきっかけや、会社を立ち上げられた理由について教えてください。</p><p>藤田さん（以下、敬称略）：大学を卒業後、複数の職を転々としていたころ、子ども時代にいじめから救った友人が自死するという出来事がありました。大人になっても時々相談に乗っていた友人だったのでショックが大きく、助けられなかったことを後悔し、その時にまず自分自身がちゃんと生きようと心を入れ替えたのです。</p><p>誰かの助けになる仕事を模索するなかで、ちょうど介護保険制度（2000年4月1日施行）が始まったタイミングでもあり、福祉を通して人の役に立ちたいと社会福祉士の専門学校に入学しました。</p><p>卒業後に老人福祉施設で介護を経験し、相談員として活動し始めましたが、多くの人の話を聞くうちに、介護だけでは解決できないさまざまな課題があることを知りました。高齢者本人だけでなく、その家族が抱えるDVの問題や子育ての悩み、障害のある子どもやその保護者が直面する困難など、必要とされる支援は、私が考えていたよりもはるかに幅広かったのです。</p><p>現場で経験を積むなかで、「もっと多くの人に支援を届けたい」「制度やサービスの枠を超え、一人一人に寄り添える仕組みをつくりたい」という思いが強くなっていきました。しかし、組織のなかでは支援できる対象や事業領域に限界があり、自分が実現したい支援の形を追求するには新たな挑戦が必要だと感じるようになりました。</p><p>そこで選んだのが起業という道です。自ら事業を立ち上げることで、高齢者福祉にとどまらず、障害福祉や子ども支援など、さまざまな分野に取り組むことができる。目の前の一人を支えるだけでなく、支援を必要とする人たちが安心して暮らせる環境そのものをつくっていきたいと考えたんです。</p><p>現場では、必要なサービスや支援の受け皿が不足しているために困っている人を数多く見てきました。だからこそ私たちは、課題に応じて新たな事業や仕組みを生み出していきたいという思いで「足りない社会資源は自分たちでつくる」を理念に掲げ、株式会社インクルージョンを設立しました。</p><p>――NPOではなく株式会社にしたのはなぜでしょう</p><p>藤田：当時はNPO法人という選択肢も考えましたが、最終的には株式会社を選びました。理由はシンプルで、よりスピーディーに意思決定ができるという点です。</p><p>福祉の現場では状況の変化に応じて迅速に対応しなければならない場面が多くありますが、株式会社であれば組織運営や事業展開における判断を柔軟かつスムーズに行えます。</p><p>何かと書類作成や手続きに時間を要するNPO法人よりも、株式会社の方がその分を利用者支援やサービスの改善に充てられると考えたんです。</p><p>――インクルージョンは障害福祉、保育、および福祉事業者向けのコンサルティングなど幅広い事業を展開されていますが、多角化の理由を教えてください。</p><p>藤田：目の前で困っている人を救うための現場と、それを社会全体に広げて仕組み化するためのIT・コンサルを連携させ、効率的に社会課題を解決するためです。</p><p>コンサルティング事業に関しては、自分たちが最高の社会資源（モデルケース）となり、そのノウハウをサービスや、自社で運営する経営塾を通じて社会に広く流通させたい。それにより、自社だけでは届かない日本全国の福祉事業者が抱える課題を解決できればと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_2-1.jpg">株式会社インクルージョンを立ち上げたときの想いを振り返る藤田さん<h2 id="tnf-text-heading-block_7bd4c73c771ba4732ae52c27e7ca57e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉業界を生き抜く「共感マーケティング」の実践手法</h2><p>――福祉事業所を中心にこれまで600社以上のコンサルティングを手掛けられていますが、生き残る事業所と経営悪化に陥る事業所との差はどこにあるのでしょうか？</p><p>藤田：介護保険制度や障害福祉サービスの拡充によって市場が開放された以上、競争が生まれるのは当然のことだと思っています。福祉業界では「良い支援をしていれば自然と利用者が集まる」と考えられがちですが、実際にはそう単純ではありません。</p><p>良い支援をしていても認知されなければ利用にはつながりません。だからこそ福祉業界にもマーケティングの視点が必要なんです。</p><p>なかでも私が提唱するのが「共感マーケティング」です。サービスの特徴を伝えるだけではなく、「なぜその事業をしているのか」「どんな思いで支援しているのか」を伝え、利用者さんやそのご家族、地域の方々だけでなく、スタッフにも“共感”してもらうことが大切です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>まず、生き残る事業所は必ず競合優位性を持っています。他の事業所でも受けられるサービスを提供するだけでは、利用者から選ばれる理由になりません。「この事業所だから利用したい」と思ってもらえる独自の強みが必要です。</p><p>そしてもう一つ重要なのは、利益を悪いものだと考えないことです。利益がなければ職員の待遇改善もできませんし、設備投資やサービス向上もできません。利益は経営者のためだけにあるのではなく、スタッフの働きやすさや利用者へのサービス向上に還元するために必要なものです。 </p><p>それらの点をしっかり押さえて相手に伝えて感情を動かす。結果として、利用者に選ばれ、適正な利益を確保し、その利益をスタッフや利用者に還元できる事業所が持続的に成長していくのだと思います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_3-819x1024.jpg"></div></div><p>――では、著書「ストーリーで学ぶ 介護事業共感マーケティング」のなかでも書かれている、共感マーケティングの起点となる「マーケティング4.0」の考え方を教えてください。</p><p>藤田：マーケティングは時代とともに考え方が変化してきました。かつての「マーケティング1.0」の時代は、需要が供給を上回っていたため、「良いものを作れば売れる」という考え方が中心でした。</p><p>その後、市場が成熟して競合が増えると、「マーケティング3.0」では差別化が重視されるようになります。同じような商品やサービスがあふれるなかで、「なぜ自社を選ぶのか」を示す必要が出てきたのです。</p><p>そして現在の「マーケティング4.0」では、単に商品やサービスを売るだけではなく、「ファンをつくること」が重要になっています。商品やサービスを購入してもらう関係から、その価値観や理念に共感し、応援してくれるファンになってもらう関係へと発想が変わってきているのです。</p><p>特にSNSの普及によって、企業からの一方的な発信よりも、利用者や関係者の口コミや共感の輪が大きな影響力を持つようになりました。そのため、できるだけ多くの人に浅く知ってもらうよりも、まずは自分たちを強く支持してくれる“太いファン”をつくることが大切です。</p><p>「マーケティング4.0」とは、人や理念、ストーリーに共感してもらい、その共感を広げていくための考え方だと私は捉えています。</p><p>■図表：「マーケティング4.0」の考え方・流れ</p><a href="/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_4.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_4.jpg"></a>「認知（Aware）」が起点になり、顧客を「訴求（Appeal）」「調査（Ask）」「行動（Act）」へと誘導し「推奨（Advocate）」を行うよう促す。各段階の頭文字をとって「5Aフレームワーク」という。出典：フィリップ・コトラー、ヘルマワン・カルタジャヤ、セティアワン、恩藏 直人、藤井 清美（2010）『コトラーのマーケティング3.0ソーシャルメディア時代の新法則』より<p>―― 「共感マーケティング」について、その手法や使いこなし方を教えてください。</p><p>藤田：マーケティングで考えるべきは「どこで戦うのか」ということです。私は、まず差別化やポジショニングによって、できるだけ戦わない状態をつくることが大切だと考えています。</p><p>例えば、周辺の事業所と同じサービスを同じように提供していては、最終的には価格や利便性の競争になってしまいます。しかし、「どんな利用者のための事業所なのか」「何に強みを持っているのか」を明確にできれば、競合と真正面からぶつかる必要はありません。選ばれる理由をつくることが、ポジショニングの本質だと思っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>その際に役立つのが「4P分析」です。「Product（サービス）」「Price（価格）」「Promotion（販促）」「Place（提供方法）」の4つの視点から他社との違いを比較・分析することで、自分たちの強みや改善点が見えてきます。福祉事業所は支援の質に目が向きがちですが、それをどう伝え、どう届けるかまで含めて考えることが重要です。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>■図表：「4分析」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_5-1.jpg"></div></div><p>藤田：そして福祉業界では、今でもアナログ営業が非常に重要です。ケアマネジャーや相談支援専門員、医療機関、行政機関など、人と人との信頼関係によって利用者につながるケースが多いからです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>そこで役立つのが「レーザートーク」です。これは、自分たちの強みや特徴を端的に表現し相手に伝える手法です。営業の場で長々と事業説明をするのではなく、「私たちはどんな人を支援できるのか」「他の事業所と何が違うのか」を一言で伝えられる状態にしておく.。次のような要素と流れで、限られた時間の中でできるだけ簡潔に話すことで、相手の関心を呼び起こします。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>■図表：「レーザートーク」の手法</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_6.jpg"></div></div></div><p>藤田：では、実際に「レーザートーク」を活用した、営業のプレゼン例を紹介しましょう。</p>肩書きや商品名はじめまして。「○○」の●●と申します。弊社はこの地域において長らく通所介護事業所の運営をしております。ベネフィット昔ながらの小規模なデイです。ご自宅に次ぐ「第二の我が家」として温もりを感じていただいております。独自性スタッフの定着率が高く、スタッフ、ご利用者様同士の人間関係が非常に良好です。また私達は利用者様のご要望を「よく聞く」ことを大切にしており、やれることは直ぐに実行致します。直近では皆様の声をもとに、近隣への外出行事や、俳句作り、絵画作成、認知症予防運動などに取り組みました。興味性食事に関しても、デザートなどを選択制のメニューにすることで、利用者様の「自己決定」を促す取り組みにも力を入れています。今後は地域と利用者様との「つながり」の提供のため、交流スペースの設置について検討しています。理由実際に利用者様や関係者からは「居心地がとても良い」「些細な要望にも耳を傾けてくれる」「スタッフがとても温かくて親切」「スタッフが明るい」などのお声をいただいております。クロージングまずは見学にお越しいただき、実際の雰囲気を感じていただければ幸いです。<p>福祉事業所のマーケティングは、自分たちの強みを明確にし、誰に何を伝えるべきかを整理し、その価値を必要としている人に確実に届けること。その積み重ねが利用者の獲得や地域からの信頼につながっていくのだと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_7.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_8.jpg">就労支援事業所で開催した保育園との交流イベントの様子。画像提供：株式会社インクルージョン </div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_7c032419d0fe50f22529a407162b2756" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">思いを発信し共感を生む。「感謝と挑戦」のマインド</h2><p>――株式会社インクルージョンの経営に加え、経営塾「恒星」の運営や、一般社団法人 全国介護事業者連盟 大阪府支部長として多くの事業者と関わってこられました。そうした経験を踏まえ、福祉業界が直面する人材確保の課題をどのように捉えていますか。また、現場のスタッフとともに明日から実践できるマーケティングの第一歩について教えてください。</p><p>藤田：人材確保について相談を受けることは非常に多いのですが、私は採用もマーケティングの一部だと考えています。給与や待遇はもちろん大切ですが、それだけで人が集まり続けるわけではありません。最終的には「この人たちと働きたい」「この会社の考え方に共感できる」と思ってもらえるかどうかが重要です。</p><p>その根底にあるのは、「感謝と挑戦」という考え方です。事業は利用者や家族、地域、スタッフなど多くの人に支えられて成り立っています。そのことへの感謝を忘れず、現状に満足せず挑戦を続ける。この姿勢が組織の文化として根付いているかどうかは、人材の定着にも大きく影響すると感じています。</p><p>また、福祉の仕事は人と人との関係性の上に成り立っています。利用者はもちろん、職員や地域の関係機関からも「この人なら信頼できる」と思ってもらえることが大切です。結局のところ、経営者であれ職員であれ、人としてのあり方が問われるのだと思います。</p><p>マーケティングの第一歩は、自分たちがどんな思いで仕事をしているのか、どんな利用者の力になりたいのかを言葉にして発信することです。ホームページやSNSでもいいですし、地域の関係機関への挨拶でもかまいません。サービスの説明だけではなく、「なぜこの仕事をしているのか」を伝えることが共感につながります。</p><p>私が大阪府支部長を務める全国介護事業者連盟も、そうした人と人とのつながりを大切にしています。現在、大阪府支部だけでも約800社の事業者に参加いただいており、全国では介護事業者の約10パーセントにあたる規模になっています。</p><p>同じ課題を抱える事業者が連携し、現場の声を集めることで、将来的には業界全体をより良くするためのルール作りや制度改革にもつなげていきたいと考えています。</p><p>一つの事業所でできることには限界がありますが、多くの仲間が集まれば社会を動かす力になる。そのためにも、まずは目の前の利用者や仲間への感謝を忘れず、一歩ずつ挑戦を続けることが大切だと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_9.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a960cd41f88214c394937567832c0030" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">取材を終えて</h2><p>「良い支援をしているだけでは選ばれない」</p><p>今回の取材を通じて、その言葉の重みを改めて感じました。福祉の現場を支えるのは志だけではなく、それを持続可能にする経営やマーケティングの視点です。利用者、スタッフ、地域との共感を育むことの大切さを考えさせられるインタビューとなりました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_937b430663cfb176c70b7b336425b662" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉事業者の皆さんへ</h2><p>藤田さんが提唱する「共感マーケティング」の核となる「自社の強み」の掘り起こしや、<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/%E5%85%B1%E6%84%9F%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%82%B0_%E5%AE%9F%E8%B7%B5%E3%82%B7%E3%83%BC.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「レーザートーク」を構築するための実践シート（外部リンク/PDF）</a>を作成しました。無償でダウンロードできますので、ぜひ経営やサービスの改善にお役立てください。</p><p>撮影：大久保啓二</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_ce19f536ef3ab5b53594deb1a6f95c8c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_597e2591357b8217a3dabf8cbb45d1f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">藤田 直（ふじた・なおき）</h3><p>1979年大阪生まれ。相談員、介護支援専門員、高齢者入居施設の施設長、生活支援員など、多くの現場で経験を積む。2013年に株式会社インクルージョン、2017年にインクルージョン福祉総研を設立、代表取締役に就任。特に事業開業からその後の利用者数アップなどの支援を得意とし、公的機関や民間機関等での講演を多数開催2018年「福祉のマーケティング・経営塾」を開設。「誰もが笑って暮らせる社会」を理念として掲げ、「選ばれるサービス」を提供することで利用者と経営者、現場職員が共に喜びを得られることをモットーとしている。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/knowledge_vol1_11-642x1024.jpg">著者：藤田直　出版社：幻冬舎メディアコンサルティング</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><a href="https://gentosha-go.com/ud/books/5c4eb7cc776561674e010000" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『ストーリーで学ぶ 介護事業共感マーケティング』（外部リンク）</a><p>介護業界は「待てば利用者が集まる時代」が終わり、倒産が過去最多に。もはや強い「想い」や良いサービスだけでは生き残ることはできない。本書は、廃業寸前の施設を立て直す物語を通じ、共感を生んでファンを作る「共感マーケティング」を分かりやすく解説。想いと戦略の両輪で、選ばれる事業所を目指す経営者必読の一冊。</p></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本人のプラごみ廃棄量は世界2位。国内外で加速する「脱プラスチック」の動き</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/79985/sustainable</link>
      <pubDate>Tue, 07 Jul 2026 19:15:09 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>プラスチックは環境問題の１つの要因になっており、海洋汚染や地球温暖化とも密接に関わっている</li><li>世界では無駄なプラスチックを削減するため、製造や使用の禁止、代替品の推進、リサイクル強化が進められている</li><li>自治体、事業者、消費者の連携が「脱プラスチック」を推し進め、サスティナブルな社会につながる</li></ul><p></p><p>※この記事は2022年9月30日に公開した記事を再編集しています</p><p>私たちの暮らしに欠かせないプラスチック。食品容器やペットボトルだけでなく、家電製品や自動車、建物に至るまで、さまざまなところで使われている。</p><p>しかし、現在、世界中で脱プラスチックの動きが加速している。カフェチェーンや飲食店では木製カトラリーや紙ストローの採用が進み、シャンプーや洗剤といった日用品の詰め替えパックの販売シェアも拡大。日用品全体の約80パーセントに達している（※1）。</p><p>その背景には、適切に処理されなかったプラスチックごみによる海洋汚染や、製造や焼却時に出る二酸化炭素の増加による地球温暖化など、さまざまな環境問題が絡んでいる。</p><p>この記事では、プラスチックに起因する環境問題とともに、世界の脱プラスチックの動向を通して、プラスチックと上手に付き合うために私たち一人一人にできることを考えていきたい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_288cd6013c0ee4cad248fd6a735520dd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多岐に及ぶプラスチックの地球環境への影響</h2><p>プラスチックの語源は、ギリシャ語の「プラスティコス（plastikos）」。「形づくることができる」という言う意味を持つこの言葉は、プラスチックの特性を分かりやすく示している。</p><p>石油から製造されるプラスチックは、熱や圧力を加えることで人々が思い描く形に加工できる。さらに軽量かつ丈夫なプラスチックはさまざまな工業製品に使用され、私たちの生活を豊かにしてくれる。しかし、その一方で深刻な環境問題を引き起こしているのも事実だ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_492855cbb217dc76abd9401ef0cd164e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の生態系の破壊、経済的損失を招く海洋汚染</h3><p>ストローが鼻に刺さったウミガメや、お腹から膨大なごみが見つかったクジラの死体のニュースなどをきっかけに、世界的に注目されるようになった海洋プラスチックごみ問題。</p><p>一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、2024年におけるプラスチックの生産量は853万トンとなり、前年に比べて35万トン減に。また廃プラスチックの総排出量は911万トンで、そのうち810万トンが有効利用され、リサイクル率は89パーセントと世界的にみても高い水準になっている。</p><p>ただし、そのリサイクル率のうち、66パーセントは環境への負荷が高い「サーマルリサイクル（焼却熱のエネルギー利用）」となり、燃焼時に温室効果ガスである二酸化炭素を大量に排出するため、地球温暖化への影響が懸念されている（※2）。</p><p>さらに、毎年約1,100万トンのプラスチックごみが海に流出し、このままのペースでは、<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/20107/ocean_pollution" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2050年には海の中のプラスチックごみの重量が魚の重量を超える（別タブで開く）</a>と予測されている。</p><p>海や海岸に漂流・漂着するプラスチックごみの7〜8割は、街でごみとなったものが水路や川を伝って流出しており、<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/46494/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ポイ捨てなどマナーやモラルの問題だけでは解決できない（別タブで開く）</a>ことも明らかになった。</p><p>プラスチックごみは、海の生物たちの命を脅かすだけでなく、その豊かな自然で成り立っている漁業・養殖業や観光業にも大きな打撃を与えている。経済協力開発機構（OECD）の調べによると、世界で年間130億ドル（1兆4,300億円）もの経済的損失が発生しているという。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/shutterstock_427946419.jpg"><p>また、一度流出したプラスチックごみは、紫外線による劣化や波の作用などにより破砕され、やがてマイクロプラスチックと呼ばれる5ミリメートル以下の小さな粒子となる。それが海の生物たちに取り込まれることでの<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/44897/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">生態系への影響や、それを食する人体への影響も懸念（別タブで開く）</a>されている。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_759061cdb9cfadb00050224a74388f7f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地球温暖化を加速させる、温室効果ガスの増加</h3><p>大規模な森林火災や大雨による洪水、異常な干ばつや寒波の襲来など、毎年のように世界中で起こる異常気象。その原因とも言われる地球温暖化の背景にもプラスチックが存在する。石油から作られるプラスチックは、製造過程やごみとして焼却される過程で、温室効果ガスと呼ばれる二酸化炭素を大量に発生させる。</p><p>2016年1月の世界経済フォーラム年次総会（通称「ダボス会議」）に合わせて、イギリスのエレンマッカーサー財団が発表した報告書では、石油消費量におけるプラスチックが占める割合は2014年が6パーセントなのに対し2050年には20パーセントまで上昇。それに伴い、カーボンバジェット（※3）におけるプラスチックが占める割合は2014年が1パーセントなのに対し、2050年には15パーセントにまで上昇すると予想されている。</p><p>図表：BAUシナリオにおけるプラスチック量の拡大、石油消費量</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/The-New-Plastics-Economy.png">資料：THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICS。環境省の令和元年版『環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書』より引用</div><p>もちろんプラスチックだけが海洋汚染や地球温暖化の原因ではないが、大きな影響を及ぼしていることは間違いない。</p><p>2018年6月に発表されたUNEP（国連環境計画）の報告書では、2015年のプラスチック生産量を産業セクター別にみた場合、レジ袋、プラスチック製のスプーン、ストロー、商品のパッケージといった容器包装セクターのプラスチック生産量が最も多く、全体の36パーセントを占める。</p><p>また、1人当たりプラスチック容器包装の廃棄量を国別で比較した場合、日本はアメリカに次いで2番目に多く年間約32キログラムに相当。このニュースは、実は日本がプラスチックごみ大国だったと、世間でも大きく話題を集めた。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c9b1878ed02be68f7a50db0bfd8a2498" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">世界中で加速する脱プラスチックの取り組み</h2><p>深刻な環境問題を背景に、世界的に脱プラスチックの取り組みが進んでいる。主な国の最新の取り組みをまとめてみた。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_53d49ffff7bb9f51ccfc1006564ea73e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アメリカ</h3><p>1人当たりのプラスチック容器包装廃棄量が世界最多のアメリカ。規制は地域で異なるが、米国環境保護庁（EPA）の「国家リサイクル戦略」のもと、2030年のリサイクル率50パーセント達成に向けたインフラ整備が進んでいる（※4）。</p><p>廃棄物のさらなる増加予測に対し対策は急務で、使い捨てプラスチックの削減に加え、ごみを分子レベルで再利用する「ケミカルリサイクル」の技術開発が活発化。2026年には新たな透明性認証基準が立ち上がるなど、大学や企業、スタートアップによる問題解決への動きが加速している（※5）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7b10298a525b7c878bbddf15f226e63a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中国</h3><p>世界最大のプラスチック消費国である中国は、プラスチックごみ管理を強化している。2021年発表の「プラスチック汚染改善行動計画」では、2025年を目標に生産から消費までの各段階における管理強化を掲げた。具体的には、小売や飲食業での使い捨てプラスチック製品の削減、代替品の普及、化粧品用マイクロビーズの禁止やEC荷物の過剰包装抑制などを推進している（※6）。</p><p>さらに2024年には、新たに「65の海湾での海洋ごみ清掃計画」も発表された。これらの施策を通じ、2025年以降もより踏み込んだ管理を進めていく方針だ（※7）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_369829d104c39ef30eb06ebb69429a0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">EU（欧州連合）</h3><p>EUはプラスチックごみ削減に積極的で、2021年からの使い捨てプラ禁止に加え、2029年までに飲料ボトルの回収率90パーセントなどの目標を掲げている（※8）。</p><p>さらに2025年2月には新たな「包装・包装廃棄物規則（PPWR）」が発効し、2026年8月より本格適用となる。これにより、食品包装におけるPFAS（有機フッ素化合物）制限やEU適合宣言の義務化が始まる。2030年に向けてリサイクル材の含有義務なども段階的に強化され、フランス等の先行的な独自規制と合わせ、EU全体で循環型経済への移行が急ピッチで進んでいる（※9）。</p><p>欧州のプラスチック対策を牽引するイタリアでは、プラスチック製綿棒やマイクロプラスチックが含まれる化粧品の販売を禁じ、違反には重い罰則を科している。</p><p>漁業者が海で回収したプラスチックごみの回収・処理コストを地元全体で負担する制度や、2027年開始（2021年から延期）のプラスチック税など多角的な対策を推進。結果として2024年の包装材リサイクル率は76.7パーセントに達し、2026年も高水準を維持している（※10）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b762dea0d2f39e0550b36e0e4b38fecf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">イギリス</h3><p>王室もプラスチック製品の使用を禁止するイギリス。2020年以降、ストロー等の供給禁止やカトラリー等への追加規制を進めている（※11）。</p><p>2022年より、リサイクル材30パーセント未満のプラスチック包装材に課税する「プラスチック製包装税（PPT）」を導入した。2024年度の課税対象は、製造・輸入された計約314万トンのうち38パーセント。前年の42パーセントから減少し、リサイクル材利用の促進効果が現れている（※12）。</p><p>2026年4月からは税率が1トンあたり228.82ポンドへ引き上げられ、今後もさらなる制度の厳格化が進められる方針だ（※13）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_336e26f5ffdf5c4e7a564a16bf624c53" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">インド</h3><p>インドでは、2016年3月にプラスチック廃棄物管理規則を制定して以降、製造・流通・使用・処理において規制や罰則を設けるなど環境汚染対策に取り組んできた（※14）。</p><p>2022年以降、ストローや120ミクロン未満のポリ袋など使い捨てプラスチック製品の禁止や、包装材への「EPR（拡大生産者責任）ガイドライン」を導入。これまでに約1,570万トンの包装廃棄物がリサイクルされた一方、約86万件の検査で1,985トンが押収され、約1億9,820万ルピーの罰金が科されるなど違反も続いている。</p><p>政府は2025年、一元管理ポータルやエコ代替品業者の一覧を公表し、代替市場の育成と実効性の強化を進めている（※15）。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2f4cbd2803a626b2f5b270bceb942477" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">プラスチックを規制せずに「資源として循環」させる日本の新法</h2><p>日本では2022年4月から「プラスチック資源循環促進法（※16）」が施行された。これはプラスチックを規制するものではなく、プラスチック製品の設計から製造・販売・回収・リサイクルという全体の流れの中で、事業者･自治体･消費者が連携しながら、地球に優しい循環型経済（サーキュラーエコノミー）の構築を推し進める法律だ。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/85916b49497a950f98f49dadeae9d42b.png"></div><p>この法律は「3R+Renewable」が基本原則となっている。</p>Reduce（リデュース）…製品に使用する資源の量を少なくすること、廃棄物の発生を抑制することReuse（リユース）…使用済みとなった製品を廃棄せずに、繰り返し使用することRecycle（リサイクル）…廃棄物などを原材料やエネルギー源として再利用することRenewable（リニューアブル）…製品に使用する資源を再生可能なものに代替すること<p>プラスチックの増加につながらないよう工夫をすると共に「捨てることを前提としない経済活動」を目的とし、事業者や自治体、消費者にそれぞれの役割が求められる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7169f4e49256a25be658baa36de98611" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">事業者の役割</h3><p>事業者は「1.製造事業者」「2.販売・提供事業者」「3.排出事業者」の3つに分類できる。</p>1.製造事業者<p>国が定めた「プラスチック使用製品設計指針」に沿って、製品の設計・製造、材料の選択に努めなければならない。</p><p>具体的には以下のような工夫が求められる。</p>使用する材料を少なくする過剰な包装を抑える再使用可能な部品を使用する製品・部品において単一素材を使用（もしくは素材の種類を少なく）する製品の分解・分別を容易化するプラスチック以外の素材に代替する再生プラスチック、バイオプラスチックを利用する<p>このほか、環境負荷等に対する製品のライフサイクル評価を行うとともに、ホームページ等での製品情報の取り組みを積極的に開示することが求められる。優れた製品設計にはグリーン購入法上の配慮や支援を受けられる認定制度も設けられている。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/9bf6edc5c5c5a1a6eb29c1dc58c8c7f8.png">事業者による製品設計、認定制度の活用が資源循環型経済をつくる上で重要となる</div>2.販売・提供事業者（小売業・飲食店、配達飲食サービスなど）<p>「特定プラスチック使用製品」使用の合理化が求められる。特定プラスチック使用製品として定められた12品目（フォークやスプーン、飲料用ストロー、歯ブラシ、衣類用ハンガーなど）に対し、提供方法の見直しや提供する製品自体の工夫に努めなければいけない。</p><p>具体的には以下の通りだ。</p>特定プラスチック使用製品を有償で提供する景品等を提供（ポイント還元等）するなど、消費者が特定プラスチック使用製品を使用しないように誘引する特定プラスチック使用製品について消費者の意思を確認する特定プラスチック使用製品について繰り返し使用を促す特定プラスチック使用製品を代替製品に切り替える商品やサービスに応じて、適切なサイズ・数量で特定プラスチック使用製品を提供する繰返し使用可能な特定プラスチック使用製品を提供する<p>さらに製造事業者、販売・提供事業者ともに、自治体や消費者と協力して積極的に自主回収・再資源化を行うことが求められる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/1033cf49cffcc26c786ad00ab6eb614d.png"></div>3.排出事業者（事業所、工場、店舗等で事業を行う事業者）<p>排出・回収・リサイクルの段階において、「排出事業者の判断基準省令」に基づいて排出の抑制・再資源化等の取り組みが求められる。「再資源化事業計画」を作成し、国の認定を受けることで、「廃棄物処理法（※17）」に基づく許可がなくても、再資源化事業を行うこともできる。</p><p>なお排出量が250トンを超える排出事業者（多量排出事業者）には、取り組みが不十分な場合に、国から勧告・公表・命令等を受けることがある。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/0c7b85103c7f274dbd25af1415ee3e40.png">事業者にとってプラスチックの排出抑制と再資源化に取り組むことは、大きなメリットにもなる</div><h3 id="tnf-text-heading-block_fe52dfc32f339905b57d68cd0bc08230" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自治体（市区町村）の役割</h3><p>プラスチック使用製品廃棄物の分別基準を設けて、その基準に沿って市民が分別に取り組むよう周知することが求められる。また、分別収集された廃棄物を利用しての再商品化や、再商品化計画を作成し国から認定されれば、選別保管などの中間処理を省略することが可能となる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_322cd8c7a50dd0a7a3b4e5367e91d064" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">消費者である私たちに求められる役割</h2><p>事業者、自治体の努力だけでは、地球に優しい資源循環型の社会はつくれない。「プラスチック資源循環促進法」のサイトでは、普段の暮らしの中で、「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」に、積極的に協力することが求められている。取り組むべきことはいたって簡単だ。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/09/screencapture-plastic-circulation-env-go-jp-2022-09-28-18_05_15-2.png"></div><h3 id="tnf-text-heading-block_2a5382c19b367f95d78f79f4e6080675" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">えらんで</h3><p>環境に優しいプラスチック製品を選ぶ。できれば、事業者の役割で触れた「プラスチック使用製品設計指針」に沿って作られた製品を選ぼう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f14123814752522e5727d332e08edbba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">減らして</h3><p>プラスチックを過剰に使用しないよう心掛け、プラスチックごみを減らす。できれば、事業者の役割で触れた「特定プラスチック使用製品」の合理化に沿って、ライフスタイルを変えてみよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_03019006ae1ba33745768640cfd9a40e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リサイクル</h3><p>市区町村や店頭などでのプラスチック製品の分別・回収・リサイクルに協力する。プラスチックごみによる海洋汚染や、地球温暖化を招く温室効果ガスを抑えるには、正しいごみの分別が大きな鍵に。暮らしの中で「3R+Renewable」を意識しよう。</p><p>私たちの暮らしにとても身近で、暮らしを豊かにしてくれるプラスチックは決して悪ではない。そんなプラスチックを扱う人間の行動を改めることこそが、豊かな海を守り、サステナブルな社会をつくるのだ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_a2fd5e709e763d8f4f6a354052e3a21c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://plastics-smart.env.go.jp/plasmaction/kobe/1/" target="_blank" rel="noopener">Plastics Smart「プラスチックを”まわり続ける”資源に。神戸市と企業、市民がタッグを組む全国に先駆けたチャレンジ」｜環境省（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www.pwmi.or.jp/column/column-2700/" target="_blank" rel="noopener">2024年廃プラスチック総排出量は911万t、有効利用率は89％｢プラスチック製品の生産･廃棄･再資｜一般社団法人プラスチック循環利用協会（外部リンク）</a>※3.「カーボンバジェット」とは、炭素予算のこと。地球温暖化による気温上昇を一定の数値に抑えようとする場合に想定される、温室効果ガスの累積排出量（過去の排出量と将来の排出量の合計）の上限値※4.出典：<a href="https://www.env.go.jp/water/var/www/html/_iq_import/water/marine_litter/Policy_Brief_USA.pdf" target="_blank" rel="noopener">米国の政策概要｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※5.出典：<a href="https://www.scsstandards.org/standards/certification-standard-responsible-chemical-recycling" target="_blank" rel="noopener">Certification Standard for Responsible Chemical Recycling｜SCS Standards and Assurance Systems（外部リンク）</a>※6.出典：<a href="https://www.env.go.jp/content/900539167.pdf" target="_blank" rel="noopener">中国の施策概要｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※7.出典：<a href="https://www.mee.gov.cn/ywdt/xwfb/202406/t20240624_1079881.shtml" target="_blank" rel="noopener">6月例行新闻发布会最新情况通报｜中华人民共和国生态环境部（外部リンク）</a>※8.出典：<a href="https://www.env.go.jp/water/var/www/html/_iq_import/water/marine_litter/Policy_Brief_EU.pdf" target="_blank" rel="noopener">EUの政策概要｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※※この記事は2020年4月27日に公開した記事を再編集しています9.出典：<a href="https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/packaging-waste_en" target="_blank" rel="noopener">Packaging waste｜European Commission（外部リンク）</a>※10.出典：<a href="https://www.conai.org/" target="_blank" rel="noopener">oltre 25 anni di impegno per l’ambiente attraverso il riciclo degli imballaggi｜CONAI（外部リンク）</a>※11.出典：<a href="https://www.env.go.jp/content/900539172.pdf" target="_blank" rel="noopener">英国の政策概要｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※12.出典：<a href="https://www.gov.uk/government/statistics/plastic-packaging-tax-ppt-statistics/plastic-packaging-tax-ppt-statistics-commentary" target="_blank" rel="noopener">Plastic Packaging Tax (PPT) statistics commentary｜GOV.UK（外部リンク）</a>※13.出典：<a href="https://www.gov.uk/guidance/check-if-you-need-to-register-for-plastic-packaging-tax" target="_blank" rel="noopener">Plastic Packaging Tax: steps to take｜GOV.UK（外部リンク）</a>※14.出典：<a href="https://www.env.go.jp/content/900539169.pdf" target="_blank" rel="noopener">インドの施策概要｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※15.出典：<a href="https://www.pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=2150783&amp;reg=3&amp;lang=2" target="_blank" rel="noopener">PARLIAMENT QUESTION: ONE NATION ONE MISSION TO END PLASTIC POLLUTION｜MoEFCC（外部リンク）</a>※16.<a href="https://plastic-circulation.env.go.jp/" target="_blank" rel="noopener">出典：プラスチック資源循環総合サイト｜環境省（外部リンク）</a>※17.「廃棄物処理法」とは、廃棄物の処理及び清掃に関する法律のこと</div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「高校無償化」の裏で広がる教育格差。生まれ育った環境に関係なく、子どもたちが選択できる社会づくりとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/123084/education</link>
      <pubDate>Thu, 02 Jul 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「高校無償化」とは、高校に通う生徒の授業料を国が支援する制度。2026年4月から所得制限がなくなり、全ての生徒が対象になった</li><li>経済的に余裕のある家庭は浮いた教育費を塾や習い事に回すことができる一方で、低所得層は費用を捻出できず、新たな教育格差を生む懸念もある</li><li>一律の支援だけでなく、本当に必要とする生徒に支援の手が届く「公平」な仕組みが必要</li></ul><p></p><p>2026年4月から本格的にスタートした、「高校授業料の実質無償化」（高等学校等就学支援金制度の所得制限撤廃）。それまでの所得制限がなくなり、すべての子どもが等しく授業料の支援を受けられるようになりましたが、一方で新たな教育格差が生まれる、教育格差が拡大するといった懸念もあります。</p><p>経済的に余裕のある家庭では浮いた教育費を塾や習い事といった課外活動に回せる一方で、余裕のない家庭ではそういった費用を捻出することが難しいのが現状です。</p><p>デジタル格差の問題もその1つで、最新のパソコンやプログラミング教育、多様な体験活動に触れられる子どもがいる一方で、「スマホは持っていても、自宅にパソコンがない」という子どもも少なくありません。</p><p>「AIが急速に発展を遂げる今の社会では、情報にアクセスできたり、情報の咀嚼ができたりする環境や力の有り無しが、さらに子どもたちの困難や格差を広げています」</p><p>そう語るのは、困難を抱える中高生に向けたデジタルを活用した伴走支援に取り組む<a href="https://clack.ne.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人CLACK（外部リンク）</a>代表の井上泰孝（いのうえ・やすたか）さん。本記事では、支援現場で見えてきた“見えない格差”の実態や、子どもたちが生まれ育った環境にかかわらず、将来に希望を持ちながら生きていける社会をつくるためのヒントを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4cc4ccbb82a4205f3730fe5761673035" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">育つ場所によって差が出る、子どもたちの選択肢</h2><p>――まずは、2026年4月からスタートした高校授業料の実質無償化について、教育格差の観点から井上さんはどのように捉えていますか。</p><p>井上さん（以下、敬称略）：授業料が無償化されても、教育にかかる負担が完全になくなるわけではありません。教材費や学用品、修学旅行費など、授業料以外にもたくさんの費用がかかってきます。</p><p>また、都市部と地方では、受けられる教育の選択肢にも差が生じています。都市部は私立高校の数も多く、無償化の恩恵を受けやすい一方で、地方では、そもそも通える学校の選択肢が少なくなります。</p><p>本来、公立高校は、どんな環境に生まれても学びを通じて社会階層を移動できる“セーフティネット”の役割を担ってきました。無償化によって私立への流れが加速し、公立高校の価値や役割が弱まっていくことにも危機感があります。</p><p>――人口が集中する都市部と地方の教育格差も問題になっています。井上さんはどのように感じていますか。</p><p>井上：都市部ではAIを積極的に活用する先生方も増えていますが、地方では、まだ十分に活用できていないケースも少なくありません。子どもたちはSNSを通じてAIの情報には触れていても、「どう使うか」や「使う前にどう考えるか」を学ぶ機会を十分に持てていない。特に地方では、大人側とのITリテラシーのギャップが広がりやすいと感じています。</p><p>また、子どもたちの進路についても、「選択肢があるように見えて、実は少ない」という現状があります。</p><p>本来であれば、地域で暮らし、働いたほうが幸せだったかもしれない子が、「とりあえず進学したほうがいい」という空気の中で都市部へ進学するケースも少なくありません。その前段となる経験が十分に積めておらず、自分のやりたいことを言語化できない子どもも多いと感じています。</p><p>家庭環境が安定していれば、進学後につまずいても支えてもらえる場合がありますが、なかには「戻れる場所」がない子どももいます。その結果、居場所やつながりを失ってしまうことも考えられます。都市部に出ることだけが正解ではなく、地域の中でも、自分の可能性や役割を見つけられる環境が必要ではないでしょうか。</p><p>私たちはデジタルを入り口に支援をしていますが、目指しているのはIT業界に就職することではありません。デジタルを通じて、自分の選択肢を広げ、自立につながる力を育てることが大切だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/07/clack_1-1024x462.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_822d75973e0c1a80434472c2d3a33f69" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">“学ぶ”と“働く”をつなぐ、CLACKの3ステップ支援</h2><p>――CLACKの設立経緯について教えてください。</p><p>井上：きっかけとなったのは、創業者の平井大輝（ひらい・だいき）が、以前所属していたNPOで学習支援のボランティアをしていた際、「将来はプログラミングを学んで、システムエンジニアになりたい」という子どもと出会ったことでした。</p><p>その子は家庭の経済的な事情から、自分専用のパソコンを持っておらず、プログラミングスクールに通うことも難しい状況でした。</p><p>そこで平井は、とある企業から譲り受けたパソコンで、子どもたちにプログラミングを教える活動を始めました。この経験を通じて、IT人材不足が進む社会において、ITスキルは困難を抱える子どもたちにとって、「自立のための武器」になり得ると実感しました。</p><p>企業が不要になったパソコンや空きオフィスなど、社会の中に眠る資源を組み合わせることで、継続的な支援の仕組みをつくれるのではないかと考えたことも、CLACK設立の後押しになりました。</p><p>――主にどのような支援活動に取り組まれているのでしょうか。</p><p>井上：主に中高生を対象に、居場所づくりやデジタル教育を通じて、3つのステップで自走支援を行っています。</p><p>「ステップ1」は、“つながる”。大阪市淀川区で運営する「よどがわベース」や、東京・中野区の「テクリエさぎのみや」など、安心して過ごせる居場所づくりも、その入り口の１つです。</p><p>高校生の支援は、小中学生以上に難しさがあります。住んでいる地域と通学先が異なることも多く、行政経由では、すでに支援につながっている子どもにしか情報が届かないケースも少なくありません。</p><p>実際には「まだ深刻ではないけれど、このままだと危うい」という潜在的な層が多くいます。だからこそ、私たちは待つのではなく、学校での体験会や先生方との連携を通じて、「こちらから会いに行く」ことを重視しています。</p><p>「ステップ2」は“学ぶ”です。高校生は、早ければ卒業後すぐに社会に出ます。そのため、居場所をつくるだけでなく、社会に出る前の準備も必要です。</p><p>そこで行っているのが、3カ月間のデジタル教育プログラム「Tech Runway（テック・ランウェイ）」です。大学生メンターが高校生一人一人に伴走しながら、IT知識やプログラミング技術を身に付けるだけでなく、AIの使い方や、お金や生活に関する知識、進路について学ぶ機会も提供しています。</p><p>私たちは知識や技術習得をゴールにはしていません。大切にしているのは、「自分で考えながら前に進む力」を育てること。プログラミングは、試行錯誤を繰り返しながら解決していく世界です。その過程を通じて、「できるようになるって楽しい」と感じたり、「自分を見守ってくれる人がいる」と安心できたりすることが、次の一歩につながると考えています。</p><p>そして「ステップ3」が、“実践”です。学んだスキルを、実際の仕事の中で使っていきます。CLACKが企業から受注したWeb制作等の案件の一部を高校生が担当し、プロと一緒に取り組みながら、納品できるレベルまで仕上げていきます。</p><p>そのなかでは、「遅れるときは事前に連絡をする」といった社会人としての基本的なコミュニケーションも学んでいきます。</p><p>こうした経験を通じて、「学ぶ」と「働く」の間にあるギャップを埋め、社会に出る前に働く準備を整えていく。それが、私たちの考える「3ステップの自走支援」です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_2-1024x409.jpg">CLACK の自走支援の全体像。「つながる」「学ぶ」「実践する」の3ステップで、高校生が自立するために必要なスキルや考え方を養う。画像提供：認定NPO法人CLACK <img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_564e0ab632094afa3c6f2c88818629be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもたちの「やってみたい」を引き出す居場所</h2><p>――「よどがわベース」と「テクリエさぎのみや」には、どのような特徴がありますか。</p><p>井上：両拠点とも、3Dプリンタ、レーザーカッター、ゲーミングPC、VR、ペンタブなどのデジタル機器に触れたり、動画編集やWebデザイン、プログラミング、3Dモデリングなどを自由に学べたりする環境を整えています。</p><p>重視しているのは、「教えること」ではなく、子どもたちが「やってみたい」と思った意思を行動に移せること。最初は「パソコンに触ってみたい」という興味から来る子も多いですが、実際に体験するなかで、動画制作や音楽制作など、別の興味に広がっていくこともあります。</p><p>また、両拠点とも商店街の近くにあり、地域とのつながりも大切にしています。地域の方々と日常的にコミュニケーションを重ねながら、「地域の中で若者を支える場所」として関係性を築いてきました。</p><p>――これまで支援してきた子どもたちのなかで、印象的だったエピソードを教えてください。</p><p>井上：CLACKを利用する子どもたちの多くは、最初から「プログラマーになりたい」という明確な目標を持っているわけではありません。「パソコンに触ってみたい」といった、小さな興味から来る子がほとんどです。</p><p>でも、機材に触れたり、大学生メンターと関わったりすることで、少しずつ「実はこんなことをやってみたかった」と話してくれるようになる。無気力に見える子でも、関係性ができることで、自分の可能性を言葉にし始める瞬間があります。</p><p>実際に、最初はタイピングがほとんどできず、あまり話さなかった子が、3カ月のプログラムを通じて自信をつけて、自ら奨学金を獲得して海外留学に挑戦したケースもありました。今では「就職活動が終わったらCLACKでメンターをやりたい」と話してくれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_4.jpeg">「テクリエさぎのみや」の2階にある「ものづくりスペース」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_421f32e95fa56191949a313bae7ce2d3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">失敗しても「挑戦」を肯定してくれる存在が重要</h2><p>――支援活動を通して見えてきた課題はありますか。</p><p>井上：AIが急速に進化し、教育や支援のあり方も変わってきています。ただ、子どもたちに本当に必要なことの本質は、あまり変わっていないとも感じています。</p><p>例えば、AIがコーチングをしてくれる時代になったとしても、それだけで子どもたちが前向きに挑戦できるわけではありません。</p><p>「この人は自分のことを分かってくれている」「期待してくれている」と感じられる、顔の見える誰かとの関わりがあるからこそ、「やってみようかな」「一歩踏み出してみようかな」と思える瞬間が生まれるのだと思います。</p><p>失敗したときに振り返ることができる場所があり、挑戦を肯定してくれる大人がいる。そうした環境があるかどうかで、子どもたちの未来は大きく変わってくる。</p><p>だからこそ今後は、こうした伴走型の支援を、東京や大阪だけでなく、地方にもどう広げていけるかという課題に、取り組んでいきたいと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_6.jpg">援活動を続けるなかで見えてきた課題を語る井上さん<h2 id="tnf-text-heading-block_310f67f16aef992dd54f69bf4bf2edde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中高生に寄り添う、大学生メンターの役割</h2><p>――CLACKでメンターとして活動している佐藤愛菜（さとう・あいな）さんにお話を伺います。まず、参加したきっかけを教えてください。</p><p>佐藤さん（以下、敬称略）：大学生になったら、何かボランティアをしてみたいと思っていたんです。そんな折に、子ども支援の活動をしていた姉から、CLACKを紹介してもらいました。大学1年生の時に活動を始め、留学期間を挟みながら大学4年生になった現在も続けています。</p><p>――現在はどのような形で中高生と関わっているんですか。</p><p>佐藤：「Tech Runway」で、メンターとして高校生の伴走支援をしています。</p><p>はじめは自分に務まるか不安だったんですが、事前の研修期間があり、中高生との関わり方やコミュニケーションの取り方、メンターとしての役割などを学べたので、問題なく臨むことができました。</p><p>教室の開始前と終了後には、「リフレクション（振り返り）」の時間も設けられています。メンター同士で、「どんな声かけができたか」「どう関わればよかったか」を共有しながら、子どもたちとの向き合い方を考え続けています。</p><p>――高校生たちに関わる上で意識していることはありますか。</p><p>佐藤：最初は心を閉ざしている子もいるので、答えやすい会話から始めるようにしています。</p><p>相手のことを聞くだけではなく、自分のことも話すようにしています。例えば、「私は犬が好きで……」とか、こちらから少し自己開示することで、安心して少しずつ話してくれるようになることもあります。</p><p>もう1つ、研修で学んだ「褒め方」も大切にしています。例えば、ただ「すごいね」と結果だけを評価するのではなく、その子自身の変化をきちんと見て伝えるようにしています。「ちゃんと見てもらえている」と感じてもらえる関わり方を意識しています。</p><p>――印象に残っているエピソードを教えてください。</p><p>佐藤：初めて担当した生徒のことは今でも印象に残っています。その子は最初、ほとんど話すことをしなかったのですが、3カ月間関わり続けることで自信も生まれ、最後の発表会では、多くの人の前で自分の作品についてしっかりプレゼンすることができました。短期間でこんなに変化するんだ、と感動しました。</p><p>――ご自身のなかでの気づきや変化もあれば伺いたいです。</p><p>佐藤：活動を通じて、さまざまな背景を持つ子どもたちがいることを知り、自分が“当たり前”だと思っていたことが当たり前ではないことに気づかされました。また、CLACKで学んだことや出会った人たちは、自分の価値観の大きな柱の1つになっています。</p><p>将来、必ずしも教育やNPOの仕事に就くとは限りませんが、社会人になってからも、何らかの形でこうした子ども支援の活動には関わり続けたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_7.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_8.jpg">「Tech Runway」のメンターとして高校生に寄り添う佐藤さん(左)。画像提供：認定NPO法人CLACK<h2 id="tnf-text-heading-block_f79fe3cb38b2b6e41f08046171f870ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「勉強ができる子」が中心の教育から、誰もが挑戦できる社会へ</h2><p>――改めて井上さんに伺います。子どもたちの教育格差をなくすために、どのような社会の仕組みや支援が必要だと考えますか。</p><p>井上：教育格差そのものをなくすことは難しいと思いますが、支援の広がり方は、社会の仕組み次第で変えられるはずです。</p><p>現在の教育システムは、教科学習が得意な子を中心に設計された、100年前に作られた仕組みをベースにしている部分があります。これまでは、「勉強を頑張れば階層を超えられる」という機能も一定ありましたが、今は社会で求められる力そのものが変わってきています。</p><p>基礎学力だけでなく「自分で考える力」や「挑戦する力」、「人と関わりながら前に進む力」など、これからの社会で必要になる力をどう育てるかを、社会全体で考え直す必要があると思います。</p><p>また、一度レールから外れると戻りづらい構造も大きな課題。進学だけではなく、働きながら学び直せる仕組みや、地域の中で選択肢を持てる環境をもっと増やしていく必要があります。</p><p>AIの普及によって、この変化はさらに加速していくでしょう。テクノロジーは、使える人をより強くする一方で、使えない人との差も広げやすい。だからこそ、単にデジタル教育を進めるだけではなく、困難を抱えた子どもたちが社会からこぼれ落ちないためのセーフティネットを、教育や福祉という枠組みのなかでどうつくっていくかが、ますます重要になってくると感じています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_9.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_10.jpg">「テクリエさぎのみや」にてレノボ・ジャパン合同会社の社員ボランティアを招いて行われた中高生のデジタルデバイス体験会の様子。画像提供：認定NPO法人CLACK</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_97d10d8f36fc101c3524011bfb7a0d29" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">教育格差をなくし、子どもたちが自分らしく生きる社会のために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、教育格差をなくし、より多くの子どもたちが生きる上で選択肢を持てる社会をつくるために、私たち一人一人にできることを井上さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6784cdc5d6ff00f385ac64a871d888f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「誰かがやる」ではなく、自分も関わる意識を持つ</h2><p>社会課題を政治や行政だけのものにせず、「自分にもできることがある」と考えることが大切。地域活動に参加したり、身近な子どもたちに目を向けたり、小さな行動から社会との関わり方を変える</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0f15d5bcad458edddadda0cdc1ed8b95" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもたちの“体験機会”を地域のなかにつくる</h2><p>学校だけで将来必要な生きる力を養うのは難しくなっている今、地域の大人たちが子どもたちと関わる場を増やすことも重要。特別な活動ではなく、「自分たちが楽しいこと」に子どもたちを巻き込む形でもいい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a7ad9c8123c9927c20d0fdd70faece20" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］専門的支援と地域のゆるやかなつながりを両立する</h2><p>CLACKのような施設だけでなく、気軽に立ち寄れる地域の居場所も必要。多様な関わり方をできる社会が、子どもたちの選択肢を広げていく</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/clack_11.jpg"><div class="wp-block-spacer"></div><p>取材を終えて心に残ったのは、デジタルという最先端のツールを入り口にしながらも、CLACKの皆さんが何よりも「人との関わり」を大切にしている姿でした。</p><p>AIが瞬時に答えを提示してくれる現代。一見するとすべてが便利で平等になったように錯覚しがちですが、その情報を「どう使い、どう考えるか」という本質的なリテラシーの部分で、見えづらい格差が広がっています。</p><p>パソコンのスキルやプログラミング技術の習得は、あくまで自立するための手段の1つに過ぎません。本当に子どもたちを前へ進ませるのは、失敗を恐れずに試行錯誤できる環境であり、「自分の変化を見ていてくれる大人がいる」という安心感なのだと、井上さんや佐藤さんの言葉から強く感じました。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_fb75a3072884e0bf3f5ad98d4dc9589f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※出典：<a href="https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/2024.htm" target="_blank" rel="noopener">学校基本調査－令和6年度　結果の概要－｜文部科学省（外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_485caa5b994c7a90f1f4ac427cdfaaf2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">井上泰孝（いのうえ・やすたか）</h2><p>大阪府出身。東日本大震災をきっかけに社会課題や教育支援に関心を持ち、大学時代から若者支援の活動に関わる。活動を通して、家庭環境や経済状況によって、子どもたちの進路や体験機会に大きな差がある現実を実感。進学後や社会に出た後も悩みを抱える若者たちと向き合い、関わるなかで、「自走を支える支援」に共感しCLACKに参画。現在は、デジタル教育や居場所支援を通じて、高校生の“学ぶ”と“働く”をつなぐ活動に取り組んでいる。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Mon, 06 Jul 2026 14:24:14 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>【増え続ける海洋ごみ】今さら聞けない海洋ごみ問題。私たちにできること</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/43293/ocean_pollution/</link>
      <pubDate>Tue, 30 Jun 2026 16:00:51 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「海洋ごみ問題」とは、街から出たプラスチック等のごみが海へ流出し、海の生態系や環境に悪影響を及ぼす世界的な環境問題のこと</li><li>毎年1,100万トン以上のプラスチックが海へ流出。その総計量は約7,500万～1億9,900万トンといわれている</li><li>ごみのポイ捨てをしないことはもちろん、マイボトルの活用やごみの正しい分別など、3Rを意識した行動が大切</li></ul><p></p><p>※この記事は2020年4月27日に公開した記事を再編集しています</p><p>今、海のなかでは日常で目にするペットボトルやレジ袋が、ごみとして溢れ返っている。</p><p>「海洋ごみ問題」とは私たちが使用し、ごみとなったプラスチック製品などが街から川をつたって、海へと流れ込み、深刻な環境悪化を引き起こしている社会問題だ。</p><p>世界の海には総計約7,500万～1億9,900万トンの海洋ごみが存在しているといわれ、毎年約1,100万トンにおよぶ量が流れ出ていると推定される（※1）。</p><p>今のままプラスチックごみが海洋に流出し続けると、2050年には魚の総量を海洋ごみが上回ると予測されており、そう遠くない未来には食卓から魚の姿が消える可能性も（※2）。</p><p>魚たちが暮らす豊かな海を次の世代に残すためには、私たちに何ができるだろうか？</p><p>特集「増え続ける海洋ごみ」では、ごみから海洋環境を守るさまざまな取り組みを通し、私たちにできることをお伝えする。今回は海洋ごみ問題のおさらいと注目すべき取り組みについて紹介したい。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ocean_pollution/">特集【増え続ける海洋ごみ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_fc14e27ba123cff1e102e9d27c5d356d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">増え続ける海洋プラスチックごみ</h2><p>世界の国々が2030年までに達成すべき17の目標として、2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標<a href="https://sdgs.un.org/goals" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「SDGs（エスディージーズ）」（外部リンク）</a>。その14番目の項目に掲げられているのが<a href="https://sdgs.un.org/goals/goal14" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海の豊かさを守ろう」（外部リンク）</a>である。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/sdg_poster_ja-1.png"><p>海洋ごみにもさまざまな種類があるが、もっとも問題とされているのがプラスチックごみである。海洋ごみの半分以上を占めるプラスチックごみは、その素材の性質上滞留期間が長く、なかには400年以上海の中を漂うものもあるという。</p><p>図表：海洋ごみでプラスチックごみが占める割合</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/kaiyougomi_img01.png">海洋ごみの65パーセント以上をプラスチックごみが占める。出典：海洋ごみをめぐる最近の動向（平成30年9月）｜環境省（※3）<p>2023年に行った環境省の調べによると、毎年海に流出するプラスチックごみのうち1万1,000～2万7,000トンが日本から発生したものだと推計される。私たちが暮らしのなかで出すごみが、海の生き物たちの命を脅かしているのだ。</p><p>海鳥やウミガメといった生き物たちがプラスごみを餌と誤って食べてしまい、消化しきれずに死に至ってしまうケースや、網やロープといった捨てられた漁具が生き物の体に絡まり死んでしまう「ゴーストフィッシング」と呼ばれる現象を引き起こすなど、さまざまな形で海の生態系に悪影響を与えている。</p><p>また、プラスチック製品が紫外線による劣化や波の作用などにより破砕され、5ミリメートル以下の欠片となった<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/44897/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">マイクロプラスチックの影響（別タブで開く）</a>も懸念されている。</p><p>例えば、マイクロプラスチックがサンゴに取り込まれ、その影響でサンゴと共生関係にある褐虫藻（かっちゅうそう）が減少する、といった現象が報告されている。人工的に作り出されたプラスチックが、自然界で完全に分解されるまでには数百年以上と途方もない時間がかかる。さまざまな生物同士のつながりによって成り立つ海の生態系のバランスを、マイクロプラスチックが崩してしまう可能性があるのだ。</p><p>海洋プラスチックごみがこのまま増え続けると、漁業や観光業への影響だけでなく、船舶運航の障害、沿岸中域の環境も悪化。これは、はっきりと分かっている問題だけで、地球の表面積の7割を占める海の汚染が及ぼす影響は未知数の部分も多い。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_633412661ee67bd02aaa361c436d1530" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋ごみの7〜8割は街から</h2><p>海洋ごみはいったいどこから来るのか。その大半は私たちが暮らす街からである。街で捨てられたごみが水路や川に流れ出し、やがて海へとたどり着く。</p><p>図表：海洋ごみの発生メカニズム（プラスチック）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/umigomi01-2.jpg"><p>日本財団と日本コカ･コーラ株式会社が2019年4月から12月にかけて東京都、神奈川県、富山県、岡山県、福岡県の河川流域を中心に実施した<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/46494" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「陸域から河川への廃棄物流出メカニズムの共同調査」（別タブで開く）</a>によると、ごみの発生原因は「投棄・ぽい捨て系」「漏洩（ろうえい）系」の2つに大別されることが分かった。</p><p>「投棄・ぽい捨て系」では、これまでモラルの問題と一括りにされることが多かったが、社会的な問題や産業構造などが要因でごみを投棄・ぽい捨てせざるを得ない状況も発生していることが明らかとなった。</p><p>一方「漏洩系」では、ごみを集積している地点からの漏洩や、災害時の応急処置で使用され経年劣化した製品や農業資材の流出が確認された。</p><p>では、そのような流出経路をたどる海洋ごみに対し、どのような対策が有効なのか。ここからは日本財団とステークホルダーが取り組むプロジェクトについて紹介したい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_eb09b60b630cb4867592b894bb3a6ca8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋ごみ削減を実現するビジネスを創出</h3><p>日本財団、<a href="https://jasto.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">JASTO（外部リンク）</a>、<a href="https://lne.st/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社リバネス（外部リンク）</a>が中心になって展開する<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/45450/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「プロジェクト・イッカク」（別タブで開く）</a>は、「海洋ごみ問題の根本は生産、消費、廃棄を原理とする経済システムそのものにある」という考えのもと、「これ以上、海にごみを出さない」システムの構築を目指している。</p><p>2019年に異分野の専門家たちと複数のチームを立ち上げ、「衛星画像による広域漂着ごみ可視化システム」「ドローンによる海岸漂着ごみ解析サービス」「海ごみを代替燃料化する自律分散型エネルギーシステム」「牡蠣パイプごみ及び人工芝ごみの回収・再資源化サービス」などといった、8つのビジネスを開発。循環型社会の実現に向けて、2022年より本格的にスタートさせた。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/08/ccc80dddd41de9933.jpeg">プロジェクト・イッカクの考える循環型の社会</div><h3 id="tnf-text-heading-block_df396a48fcd37e8d3f93501404065221" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「コスプレ」を軸にアワード、一斉清掃活動、シンポジウムを実施</h3><p>世界最大のコスプレイベント<a href="https://worldcosplaysummit.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「世界コスプレサミット」（外部リンク）</a>を運営する一般社団法人 世界コスプレ文化普及協会は日本財団とタッグを組み、国内外のコスプレイヤーとともに一般参加者も巻き込んで海洋ごみ問題の周知や一斉清掃活動などを行っている。</p><p>2025年5月31日に開催された「海ごみゼロウィークキックオフイベント 〜海をキレイに！スポGOMI in有明〜」では、SNSでの発信力が高い人気コスプレイヤーをはじめ、日本マクドナルドや全国清涼飲料連合会等の協力企業、海上保安官など合わせて総勢380名が集結し、98.1キログラムもの街ごみを回収。</p><p>親子連れやファミリー層へ向け子ども用のコスプレ衣装も貸し出され、ヒーローやヒロイン、プリンセスなどに扮した子どもたちが楽しみながらごみ拾いに参加した。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/umigomi-2.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_af9309502b12afaf1b2f3eb758ee69a2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自動回収機によるペットボトルの新しい回収スキームを構築</h3><p>日本財団とセブン-イレブン・ジャパン株式会社、行政の連携により、セブン-イレブン店舗への自動回収機設置による<a href="https://sustainability.sej.co.jp/action/000067/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">新しいペットボトルの回収スキームの構築（外部リンク）</a>に取り組んでいる。</p><p>キャップやラベルをはずした使用済みのペットボトルを回収機に投入すると、自動的に圧縮・減容。利用者にはnanacoポイントが付与されるなど利用促進が図られる仕組みになっている。また、これにより使用済みペットボトルから再びペットボトル（BtoB）にするために必要となる高純度なプラスチック素材を作り出すことが可能になった。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/seveneleven2-1.png">ペットボトル自動回収機設置による新しいリサイクル<h3 id="tnf-text-heading-block_7709a94cd68e05a03a81956a10bbce56" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋プラスチックごみ問題を科学的に分析し、正しい情報を発信</h3><p>日本財団は東京大学と<a href="https://uminohi.jp/umigomi/projects/u-tokyo.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">共同プロジェクト（別タブで開く）</a>を立ち上げ、海洋プラスチックごみの発生メカニズムや、人体への影響などについて研究・対策に取り組んでいる。問題の解決基盤となる科学的知見を充実させ、正しい情報を国内外に広く発信することで、社会全体で解決するためのアクションにつなげていく。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/467f27d6c6fb3b87b782d1d8aa31cf62.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_aff603f6305b4876ef7202958c368056" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「地域ぐるみ」で取り組む「海にやさしい」社会づくり</h3><p>美しい富山湾を臨む富山市で始まったのが、市民を巻き込んだ「地域ぐるみ」での<a href="https://uminohi.jp/umigomi/projects/toyama.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海洋ごみ対策モデルづくり（外部リンク）</a>だ。日本財団と連携し、これまで神通川支流などでごみ流出のメカニズムを調査したほか、子どもたちが海洋ごみについて学ぶモデル授業なども展開。さらに、地元のプロスポーツチームなどと連携した市民一斉のごみ拾いなどを実施するなど、さまざまなアクションで「海にごみを出さない」という意識を広げている。</p><p>また、瀬戸内海に面する岡山、広島、香川、愛媛の4県と日本財団が手を組み、瀬戸内海の海洋ごみの削減を目指す共同事業<a href="https://setouchi-oceansx.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「瀬戸内オーシャンズX」（外部リンク）</a>を2020年にスタート。4県の海洋ごみ発生源調査・研究と共に、企業や地域と連携したバリューチェーン（価値連鎖）の構築、海ごみゼロアクションを促す啓発・教育プロジェクトの実施、それらの知見をもとにした政策形成を行い、海洋ごみ対策の広域モデルの構築を目指している。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/05/screencapture-setouchi-oceansx-data-platform-beta1-naigai-map-hub-arcgis-2022-05-11-14_56_32.png">「瀬戸内オーシャンズX」の公式サイトでは、最新の調査データが公開されている</div><h3 id="tnf-text-heading-block_683a18dd7682f98fc0b53a567416232e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">全国一斉清掃活動の推進と対策モデル事例の発信</h3><p>日本財団では環境省と連携し、全国一斉清掃キャンペーンの実施や海洋ごみ対策のモデル事例の発信を行っている。</p><p><a href="https://uminohi.jp/umigomi/zeroweek/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海ごみゼロウィーク」（外部リンク）</a>は、5月30日（ごみゼロの日）から6月5日（環境の日）を経て、6月8日（世界海洋デー）前後を「海ごみゼロウィーク」と定め、「海ごみゼロ」を合言葉に一斉清掃活動を推進。日本全体が一緒になって、海洋ごみ削減のためのアクションを行うことで、一人一人の「ごみを出さない」「ごみを捨てない」「ごみを拾う」という意識を高め、美しい海を未来へとつなぐ。</p><p>2025年度は全国約1,000カ所で清掃イベントが開催され、約26万人が参加した。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/61420805_2490188294584975_3777520880402300928_o-1024x680.jpg"><p>海洋ごみ対策に関する優れた取り組みを全国から募集・選定し、表彰する<a href="https://uminohi.jp/umigomizero_award2020/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海ごみゼロアワード」（外部リンク）</a>も実施。実践的活動や普及啓発などの取り組みに贈られる「アクション部門」と、革新的な技術や製品に贈られる「イノベーション部門」、将来に向けた広がりが期待される取り組みや着想に贈られる「アイディア部門」を設置し、その功績を讃えると共に日本のモデル事例として世界に発信するのが目的だ。 2021年度には、276件もの団体から応募があった。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_85093cb40ed5e47ea0892672e7f6f5f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海を守るには私たちの意識変化がカギ</h2><p>増え続ける海洋ごみに対し、国や企業による取り組みも重要だが、私たち一人一人が普段からごみを減らす努力をすることが、何よりも効果的だ。</p><p>例えば、日頃の生活ですぐに実践できるものとして、3R（スリーアール）がある。3Rとは「Reduce（リデュース）」「Reuse（リユース）」「Recycle（リサイクル）」の頭文字を取った3つの行動の総称であり、限りある地球の資源を有効的に使う、循環型社会を目指すものである。</p> Reduce…使用する資源の量を少なくすること、廃棄物の発生を抑制することReuse…使用済みとなった製品を廃棄せずに、繰り返し使用することRecycle…廃棄物などを原材料やエネルギー源として再利用すること <p>2019年11月に開催された「日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2019」の基調講演で登壇した<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/39632" target="_blank" rel="noreferrer noopener">小泉進次郎環境大臣（別タブで開く）</a>は、「小さな行動が地球の未来を救う」と語り、「個人レベルでも、水道水をマイボトルで持ち歩くようにすれば、家計にも環境にも良いですよね。一人一人ができること、企業や自治体にできること、環境省はそれらを全力で応援しますから、ぜひみんなでソーシャルイノベーションを起こして行きましょう！」と呼びかけた。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/12/nouhin_20191129zaidan_14-34-04-min.jpg">自身の水筒を見せ、個人レベルでの行動を促す、小泉進次郎環境大臣<p>小泉大臣の基調講演の後にスピーチを行った日本財団・笹川陽平（ささかわ・ようへい）会長も「簡単なことでいいから一歩前に踏み出してほしい」と行動を起こすことの大切さを語った。</p><p>マイボトルの他にも、ごみをポイ捨てしない、過剰包装を避ける、マイバックを持参するなど、私たちにできることは多い。四方を海に囲まれ、長年その恩恵を受けて暮らしてきた私たち日本人。一人一人の環境に対する意識の変化が、海の未来を変えるはずだ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_7e8b3ee15ff4aefd7841de9efccaf9e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.unep.org/topics/ocean-seas-and-coasts/ecosystem-degradation-pollution/plastic-pollution-marine-litter" target="_blank" rel="noopener">Plastic pollution &amp; marine litter｜UNEP（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_New_Plastics_Economy.pdf" target="_blank" rel="noopener">The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics｜WORLD ECONOMIC FORUM（外部リンク/PDF）</a>※3.出典：<a href="https://www.env.go.jp/water/marirne_litter/conf/02_02doukou.pdf" target="_blank" rel="noopener">海洋ごみをめぐる最近の動向（平成30年9月）｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※4.出典：<a href="https://www.env.go.jp/content/000255552.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和5年度検討結果日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計｜環境省（外部リンク/PDF）</a></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43279">特集【増え続ける海洋ごみ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「スマホをやめなさい」は逆効果？ 子どものSNS依存を改善する「禁止しない」向き合い方</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122988/childcare</link>
      <pubDate>Tue, 30 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「SNS依存」とは、SNSの利用がやめられず、日常生活や心身の健康に悪影響が出ている状態のこと</li><li>日本では13～19歳の約9割がSNSを使用。政府・こども家庭庁は規制に向けて動いている</li><li>すでにSNS依存が進行している場合は、保護者や専門家による伴走アプローチが有効</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>「いいね」の数に一喜一憂し、スマホを手放せなくなる。「勉強しなければ……」と頭ではわかっているのに、ショート動画の無限スクロールがやめられない。</p><p>そんなふうにSNSに依存し、乱れた生活を送ったり、心身の調子を崩したりする子どもが後を絶ちません。</p><p>「SNS依存」とは、SNSの過度の使用によって、生活や心身に悪影響が及んでいる状態のこと。眠れない、メンタルが不安定になる、学校に行けないといった兆候があれば、依存を疑うべき段階です。</p><p>海外では、⼦どものSNS依存は単なる個⼈の⽣活習慣の問題を超えて、深刻な社会課題として議論されつつあります。2025年にはオーストラリア、2026年にはインドネシア、マレーシアが、16歳未満のSNSの使用やアカウントの保有を禁止、制限しました。</p><p>2025年11月にNTTドコモ モバイル社会研究所が実施した調査によると、日本の小学校高学年の62パーセント、中学生の95パーセントがSNSを使用。いずれも女子の利用が高い傾向にあります。（※1・2）</p><p>専門家からは、発達への影響を懸念する声が上がっています。こうした状況を鑑み、政府やこども家庭庁は、⻘少年のインターネット環境整備法に関する議論を進めています。2026年内には、法的規制を含む具体案をまとめる方針です。</p><p>SNS依存は、どのようなメカニズムで起こるのでしょうか。子どもがSNS依存に陥ったとき、保護者や周囲の大人が取るべき行動は？　SNSやスマホに依存する子どものカウンセリングを行う、<a href="https://npo-jisedai.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO⽇本次世代育成⽀援協会（外部リンク）</a>代表理事の鷲津秀樹（わしづ・ひでき）さんに聞きました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns01-1.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns02.jpeg">心理学を基盤に、ネット・スマホ・ゲーム依存対策に関する講演活動を行なっているNPO日本次世代育成支援教会の鷲津さん<h2 id="tnf-text-heading-block_e01e062161b48bd2d427c401fbfe10aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">強力な依存性でとりこにし、心や脳、社会生活にダメージを与える</h2><p>——子どものSNS依存について教えてください。</p><p>鷲津さん（以下、敬称略）：子どもがSNSを過度に使用することによって、自分をコントロールできない、やるべきことができない、周囲の人に迷惑や心配をかけているといった状態になることです。勉強や人間関係のストレスから逃れようとして、依存に陥ることが多いですね。</p><p>—―SNSが依存を引き起こしやすいのはなぜですか。</p><p>鷲津： SNSで得られる手軽な刺激が、依存しやすい子が必ず抱えている「寂しさ」や「つまらなさ」を埋めてくれるからです。しかし、ずっと見ているうちに慣れてしまい、もっと強烈な刺激が欲しくなってのめり込んでしまうんです。</p><p>SNSでは「いいね」などの報酬をもらえたり、もらえなかったりしますよね。この不規則な「間欠刺激（※3）」はソーシャルゲームのガチャやパチンコといったギャンブルにも見られる傾向で、依存を引き起こしやすいことが分かっています。</p><p>また、動画系のSNSであれば、ユーザーのスクロールするスピードから気に入りそうな動画を予測し、「おすすめ」として表示し続けるアルゴリズムがあります。</p><p>いずれのSNSも、ユーザーに“快”を与えて依存させる強力な仕組みを備えているので、意志の力だけであらがうことはとても難しいですね。</p><p>—―子どもがSNS依存になると、どのような悪い影響がでるのでしょうか。</p><p>鷲津：まず、寝つきが悪くなる、精神的に不安定になる、脳の前頭葉（考えたり、判断したりする部分）の機能が低下してしまうなどが挙げられます。深刻化すると、学校に行けなくなる、部屋にひきこもって出られなくなる、暴言を吐く、暴力をふるうなどの症状が見られる子もいます。</p><p>青少年期の貴重な時間が奪われることも大きな問題です。「時間」とは、すなわち可能性ですから。SNSにのめり込むほどに、他のことにかけられる時間が減り、未来の可能性が目減りしていく。そのことに、依存している本人も周囲の大人も気づいてほしいですね。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns03-2.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns04.jpg">SNS依存が深刻化すると脳の前頭葉に影響を及ぼす。画像提供：NPO法人日本次世代育成支援協会</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_fee0c675c2fc13df6421dd06f2552b0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">無理やり禁止すると親子関係が悪化し、暴言や暴力に向かう子どももいる</h2><p>—―子どもがSNS依存に陥っている場合、保護者はどのように対応すれば良いのでしょうか。</p><p>鷲津：まずは事態の深刻さを理解し、焦らずじっくり向き合おうと腹を括ることです。そして、専門家から正しいアプローチを教わり、実行することが肝要です。それができれば、多くの場合は改善します。</p><p>一方で、保護者が焦って早くなんとかしようとしたり、子どもが嫌がるからと問題を先送りにしたりすると、改善に向かわないこともあります。</p><p>当協会に相談に来るのは、依存がある程度進行している親子が多いのですが、保護者がリスクを深く理解していないことも珍しくありません。多くの方が「スマホばかりで勉強をしないんです」とおっしゃいますが、心身に与える影響の方がはるかに重大な問題です。</p><p>まずは、「私の子どもはSNS依存という病気なんだ」と正しく認識することが大切ですね。</p><p>カウンセリングに来る親御さんにお伝えしているのは、主に2つの理論です。1つ目は、結果（願望）ではなく具体的な行動の改善に焦点を当てる「応用行動分析」（※4）。2つ目は、依存という問題を個人の責任にせず、依存状態を改善するための行動を取る「解決指向アプローチ」（※5）です。</p><p>保護者には、これらを踏まえて子どもの行動変容をサポートしてもらいます。「スマホを〇時間以上見てはいけない」「SNSを開いてはいけない」のような、特定の行動を禁止するアプローチは控えるのがポイントです。</p><p>—―それはなぜでしょうか。</p><p>鷲津：依存状態にある子どもに禁止事項を押し付けても、従うことは少ないからです。</p><p>保護者は子どもが約束を破るたびに腹を立て、関係はどんどん悪化していきます。なかには、暴れたり暴言を吐いたりすることで強引に主張を通し、「騒げば言うことを聞いてもらえる」と誤った学習をしてしまう子どももいます。</p><p>そうした事態を防ぐために、SNSの全面的な禁止はあえて避けます。代替案を提示し、スモールステップで使用時間を減らしていくことが大切です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns05.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_810f0f3b3d781f9a315db42a0891f8b3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「スマホの代わりに漫画を読んで」で使用時間が大きく変わる</h2><p>—―実際のカウンセリングの様子を教えてください。</p><p>鷲津：例えば、SNS依存で1日11時間スマホを見ている子どもがいたとします。私なら、その子に「毎日寝る前の30分間だけ、スマホを触る代わりに好きなマンガを読んでみて」とお願いします。</p><p>命令ではなく、あくまで「お願い」です。そうなってほしいのは大人の都合ですから。保護者には「子どもと一緒に古本屋に行って、好きなマンガを100冊買ってください」と伝えます。</p><p>すると「スマホを取り上げられるかも……」と警戒していた子どもは「そのくらいならできそう」と拍子抜けするんですね。実際に、買ってきた大量のマンガを寝室に置いておくと、多くの子は自然とマンガを手に取り、寝る前のスマホをやめられます。続けるうちに、寝つきがだんだん改善してくるんです。</p><p>成功した日は、カレンダーに〇をつけます。それが1週間続いたら、家族で好きなものを食べに行くといったお祝いをしてもらいます。当協会に来る子どもの多くは、普段から怒られっぱなしで自己肯定感が下がっているので、お祝いされるとうれしくなって「もう少し続けてみよう」と思えるんです。</p><p>これが、先ほどお話しした「応用行動分析」と「解決指向アプローチ」を組み合わせた例です。</p><p>「応用行動分析」では「SNSを減らす」ことを目標（願望）にするのではなく、「SNSを減らす行動」に焦点を当てます。</p><p>「解決指向アプローチ」では、原因を探ったり、叱ったりするのではなく、どうすれば良くなるかに目を向けます。そして、行動を続けた後は良いことが起きる仕組み（習慣）をつくることで、改善を後押しするのです。</p><p>—―スマホの使用時間に、はっきりとした変化が現れるのはいつ頃からですか。</p><p>鷲津：この取り組みを1週間続けると、だいたい1日2時間ほど使用時間が減ることが多いですね。ここで気をつけたいのが「もっと減らそう」と焦らないこと。順調に、一直線に良くなるのはまれです。無理させると、子どもの心が壊れてしまいます。</p><p>スモールステップで進んでいくと、3カ月ほど経った頃には、スマホの使用時間が1日4～5時間まで減る可能性が高いです。不登校傾向にあった子どもも、学校に行けるようになることがあります。ここまでくると、もはや依存ではありません。</p><p>このアプローチのいいところは、保護者が子どもへの関わり方を学べて、子どもが自己肯定感を高められるところです。そもそも、多くの保護者は基準が厳し過ぎて、使用時間が減っても「マイナス100からマイナス50になったところで……」という評価を下しがちです。</p><p>しかし、ゼロからのスタートだと思えば、少し変わっただけでプラス50ですよね。親子でそう思えれば、達成感や自己肯定感が高まりやすくなるはずです。　</p><p>—―周囲の大人の関わりによって、子どもの状態はかなり変わるのですね。</p><p>鷲津：依存の背景には必ず寂しさがあります。また、SNSは強力な依存性を持っているため、依存＝自己責任とは言えません。そんな状況で「意志が弱いから依存したんだ」と子どもを責めると、その子はさらに孤独になってしまいますよね。</p><p>周囲の大人には、依存という課題を外から見つめて、ともに立ち向かうことが求められます。</p><p>また、保護者には「自分の子育てが間違っていたせいで子どもがこうなった」と悩み過ぎないでほしいですね。原因を追求するよりも「これからどうしていくか」に焦点を合わせましょう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns06-1.png">子どもの自己肯定感を高める評価基準。現状をスタート地点とすれば、少しの変化でもプラスの評価となる。画像提供：NPO日本次世代育成支援協会</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns07.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_40e3f8ac4166c2e3da007afc353e3e9b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">SNSは主体的に使えば、依存せず成長の糧にできる</h2><p>—―一方で、SNSは今の社会を生きる子どもたちにとって「居場所」といえる存在とも考えられます。鷲津さんは子どものSNS利用を規制する社会の潮流については、どう思われますか。</p><p>鷲津：適切な規制には賛成の立場です。今後は国内でも、16歳未満の年齢規制や夜間の使用制限が進むのではと考えています。長時間使用や深夜の使用で脳にダメージが及ぶ以上、お酒やタバコと同様に一定の制限は必要ではないでしょうか。</p><p>ただし、SNSの規制によって社会とつながりを持ちづらくなる子どもたちの存在には、留意しなければなりません。農村部に住んでいて周りに同世代が少ない子や、LGBTQ+の子、発達障害のある子などは、SNSを通して仲間や居場所を探す傾向があります。一律に規制すると、そうした子を孤立させることになりかねません。</p><p>規制をかけるなら、そうした子どもたちの存在を認識し、仲間づくりを助けたり、相談の場を設けたりする必要があるでしょう。</p><p>——SNSは、もはや現代人とは切っても切れない存在と考える人もいます。依存せず上手に付き合っていくには、どんなことに気をつけるべきでしょうか。</p><p>鷲津：「いいね」などの即時的な刺激を求めたり、流れてくるコンテンツを受動的に眺めっぱなしになったりせず、「デジタルガーデニング」の視点をもって付き合うことをおすすめします。自分のSNSアカウントを自分の庭と捉えて、そのなかでコツコツと何かを育てていくという考え方です。</p><p>デジタルガーデニングは実際のガーデニングと同じで、時間軸が長いんです。結果はすぐには出ません。</p><p>長い時間のなかでは、失敗もあるし、育てていくうちに枯れる花もある。しかし、何を育てていきたいのか、発信を通してどんな人間になりたいかというゴールを設定し、そこに向かって進めば、他人の反応やアルゴリズムに振り回されることはなくなります。</p><p>SNSに呑み込まれるのではなく、成長の糧として上手に活用してほしいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/sns08.jpeg">親子で一緒に楽しみながら「デジタルガーデニング」に取り組んでみるのも上手な付き合い方<h2 id="tnf-text-heading-block_6881b662e1608fc8c9b2624346b91c8b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どものSNS依存を防ぐために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、子どもたちがSNSと上手に付き合っていくために、身近な大人である私たち一人一人にできることを鷲津さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c5835593d0bb0fd528bdf6df7c8dfa43" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］大人である私たち自身が、SNSを漫然と使わない</h2><p>子どもは大人の背中を見て育つ。周囲の大人がSNSに依存していると、子どもの依存リスクが高まる。大人も使用時間や場面にルールを設けて、長時間ダラダラと閲覧しないようにする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e1b944390e18be9b0340a3d3c9dbdbdc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］触りたいときは「やるべきことをやってから」</h2><p>スマホを悪者扱いする必要はないが、睡眠や食事、勉強といった「やるべきこと」より優先するのは避けたい。「やるべきことをやってから」を家庭内の習慣にし、依存を防ぐ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9980f4abc48df4d17b03885b9cd803a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］結果を目標にせず、行動を目標にする</h2><p>「SNSを見る時間を1日1時間以内に留める」といった「結果」を目標にすると挫折しやすい。依存から脱してほしいときは「SNSのアプリをスマホに入れず、ブラウザから見てその都度ログアウトする」「動画SNSの履歴を消し、データをおすすめに反映させない」といった具体的な行動を目標にする</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>この記事を読んだ皆さんのなかにも「1日何時間もSNSを眺めてしまう」「通知が来るたびに手を止めてスマホを見てしまう」という方がいるのではないでしょうか。もしかすると「SNSばかり見てしまうのは、意志が弱いからだ」と、自分を責めることもあるかもしれません。</p><p>私たちはつい、できない部分に目を向けてしまいがちです。しかし、鷲津さんが話す通り「マイナス100がマイナス50になっただけ」ではなく「ゼロからプラス50になった」と考えれば、見える景色は違ってくるのではと思います。</p><p>依存からの回復プロセスは一直線ではなく、時間のかかる道のりです。それでも、依存した人を責めるのではなく、小さな変化を喜びながら前進することで未来は変えられる。今回の取材は、そんな希望を感じる機会になりました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_15d3b50c93a36fe78bdb4b0489fff9e8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.moba-ken.jp/project/children/kodomo20260216.html" target="_blank" rel="noopener">SNS利用率 小学生高学年で62％ 中学生は95％｜NTTドコモ モバイル社会研究所（外部リンク）</a>※2.主要なSNS（X、Instagram、TikTokなど）の多くは、安全面への考慮や国際的な児童プライバシー保護の観点から、利用規約で対象年齢を「13歳以上」と定めている。出典：<a href="https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=82300?site=nli" target="_blank" rel="noopener">年齢制限をすり抜ける小学生たち－α世代のSNS利用のリアル｜ニッセイ基礎研究所（外部リンク）</a>※3.「間欠刺激」とは、継続的ではなく、一定の間隔を空けたり、不規則なタイミングで加えたりする刺激のこと※4.<a href="https://npo-jisedai.org/aba.html" target="_blank" rel="noopener">応用行動分析（ABA） 子育てに凄く役に立つ心理学｜NPO日本次世代育成支援協会（外部リンク）</a>※5.<a href="https://npo-jisedai.org/sfa.html" target="_blank" rel="noopener">解決志向アプローチ（SFA）の子育て法｜NPO日本次世代育成支援協会（外部リンク）</a></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_71189bb1f401971e05104cc23a3d80e3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">鷲津秀樹（わしづ・ひでき）</h2><p>NPO法人日本次世代育成支援協会・代表理事。合同会社ベスコスモ・カウンセリング代表、名城大学心理学非常勤講師などを務める。企業での企画・営業職や経営コンサルタントを経験する中で心理面からのサポートの重要性を実感し、心理カウンセラーとして活動を開始。2006年に同協会を設立し、現在は交流分析（TA）や応用行動分析（ABA）などの心理学をベースに、子どもたちの健全な育成や家族のコミュニケーション支援に携わる。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 30 Jun 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>ALTって、Xで140字以上書ける裏技……ではない！ SNSから考えるウェブアクセシビリティ入門</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122796/disability</link>
      <pubDate>Fri, 26 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「代替テキスト」とは、画像の内容を文字で簡潔に説明するための機能のこと</li><li>スクリーンリーダーを利用するユーザーにとって、長文や関係のない代替テキストは負担であり、情報収集の妨げになる</li><li>障害の有無や災害時といった環境を問わず、全ての人が情報を受け取るにはウェブアクセシビリティの確保が不可欠</li></ul><p>執筆：斎藤充博</p><p>こんにちは。ライターの斎藤充博（さいとう・みつひろ）です。本日は<a href="https://www.kinto-technologies.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">KINTOテクノロジーズ株式会社（外部リンク）</a>に来ています。</p><p>というのも、最近X（旧 Twitter）でこんな議論を見かけたのです。</p><p>「XのALTって、好き勝手に文字を入れてはいけないの？（※1）」</p><p>Xに投稿された画像って、左下に「ALT」や「代替」という表示がついているものもありますよね。そこをタップすると出てくる文章が代替テキストです。Xの投稿は140字までしか入らないですが、代替テキストにはかなりたくさんの文章が入ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00003.jpg"><p>ここに140字に入れられなかった文字や、「隠しテキスト」のような形で文字を入れる行為が、一部のユーザー間に浸透しています。</p><p>この使い方って、正しいのでしょうか？ そもそも、ALTってなんのための機能なんでしょうか？</p><p>この疑問をKINTOテクノロジーズ株式会社のアクセシビリティアドボケート（アクセシビリティを社内文化にする仕事）である辻勝利（つじ・かつとし）さんに伺いにきたというわけです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00009.jpg">KINTOテクノロジーズ株式会社のアクセシビリティアドボケートの辻さん。生まれたときから目が全く見えない全盲。<a href="https://waic.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ウェブアクセシビリティ基盤委員会（外部リンク）</a>という「ウェブアクセシビリティのJIS規格（JIS X 8341-3）の理解と普及を促進し、ウェブアクセシビリティ向上に必要な基盤づくりに取り組む組織」の一員でもある<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00005.jpg"><p>斎藤：今日はよろしくお願いします！</p><p>辻：よろしくお願いします。なんでも聞いてくださいね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6cfc193d76d3b489728709b1f0a655d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">そもそもALTって何？</h2><p>斎藤：今日は「XのALT」にいろいろな文字を入れてしまう問題についてお伺いしたいのですが……。そもそもALTってなんなのでしょうか。まずはそこから解説をお願いできますか。</p><p>辻：ALTとは、ウェブコンテンツの中で「画像でしか表現されていないもの」を文字で簡潔に説明するためのものです。</p><p>斎藤：画像でしか表現されていないもの……？ どういうことでしょう。</p><p>辻：例えば、Xのポストの本文には「かわいい！」とだけ書いてあって、そこに画像が1枚ついているとします。</p><p>さまざまな事情で画像が見えない状況だと「なにがかわいいんだろう？」と思ってしまいますよね。つまり、画像がないとこのポストはコンテンツとして成立していないわけです。</p><p>そこでALTに「猫の写真」と文字で入れると「ああ、猫がかわいいんだな」と理解できます。</p><p>斎藤：なるほど。すると、XのALTに140字で収まりきらなかった文字を入れたり、隠しテキストのようなものを入れたりするのは、本来の使い方とはちょっと違うんですね。</p><p>辻：そうですね。ALT本来の役割から考えると、少しずれた使い方になってしまうと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_800bb17b1a4beacdf3b7ab5069ef6f4e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">目の見えない人は「スクリーンリーダー」を使ってインターネットを利用している</h2><p>斎藤：実際に辻さんはどのようにXを使っているんでしょうか。</p><p>辻：スマホを使うときは「スクリーンリーダー」という機能を使って画面の文字やALTなどを読み上げててもらいます。iPhoneでは「VoiceOver（※2）」という名称で提供されていますね。</p><p>斎藤：試しに日本財団のXの投稿をスクリーンリーダーに読んでもらいます。</p><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>日本財団の公式Xのポストをスクリーンリーダーが読み上げる動画<p>斎藤：本文だけじゃなくて、アカウント名とか、投稿時間とか、返信が付いているとか、いろいろな情報を読み上げるんですね。</p><p>辻：そうなんです。1つのポストを聞くだけで、結構、時間がかかりますよね。それに、なんと言いますか……、情報として「お腹いっぱい」になる感じがしませんか。</p><p>斎藤：実はそう思っていました（笑）。聞くのがちょっとめんどくさいな～って。</p><p>辻：そうですよね。ここにさらに「Xの140字に入りきらなかった長文のALT」が入ってくると、困ってしまうわけです。</p><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>斎藤さんが長文のALTがついているポストをスクリーンリーダーで聞いてみた動画。確かに長文はしんどいです！<p>斎藤：スクリーンリーダーを使うときって、毎回こんなふうに最初から最後まで読み上げられることになるんでしょうか。すごく時間がかかりそうですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00004.jpg"><p>辻：基本的にはそうなんです。ただ、ウェブページって「見出し」が設定されていますよね。見出しを抽出して、気になるところだけを読むということも多いです。また、本文で「改行」が入っている文章は、ちょっと聞いて興味がなかったら、次の改行まで飛ばすというようなこともします。</p><p>斎藤：ある意味「ザッと見る」に近いことができるんですね。</p><p>辻：そうですね。ただ、ALTに関しては見出しの設定はもちろん、改行の設定を入れることもできません。だから、ALTを付与されたものはスクリーンリーダーでずっと聞き続けることになります。</p><p>斎藤：そうか、そもそも長文を入れるようなことが想定されていないんですね。</p><p>辻：はい。ALTはなんでも入れることができる「魔法の箱」ではないわけです。</p><p>……それにね、これは私が古い人間だからかもしれませんが、Xは140字までだから、それに収めるように書くべきだと思うんです。そこに美しさがあるというか、ねぇ……（笑）。</p><p>斎藤：僕も2009年からの古参Twitterユーザーなので、めっちゃ分かります（笑）！</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1308cd83c7adb4ff0c36cb5f07bb01f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ALTは短く、簡潔に！</h2><p>斎藤：では、ALTはどのように使えばいいのでしょうか。具体的な書き方などを教えていただけるとありがたいです。</p><p>辻：まず「本文」と「ALT」を区別して考えることが大切だと思います。ALTに入れるのは、あくまでも画像の簡潔な説明にとどめる。自分の気持ちや詳細な説明は本文に入れるという使い方がいいでしょう。本文なら改行も使えますし……。</p><p>斎藤：そこまで難しい話でもないですね。</p><p>辻：シンプルに考えてもらえたらと思います。逆に難しく考えすぎて、ALTを聞く人の負担になっているようなケースもあるんです。特に「目の見えない人向けに画像の全てを説明しよう」と意気込んで、長文のALTを設定してしまうのは注意してほしいですね。書いている人は良かれと思ってやっているだけに、聞くのが大変なことにはなかなか気づけません。</p><p>ちなみに、最近ではALTを設定していなくてもスクリーンリーダーに搭載されたAIが画像の説明をしてくれることもあります。正直なところ、長いALTを聞くよりもAIが要約してくれた説明のほうが聞きやすい、なんてこともありますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00002.jpg"><p>斎藤：ここまでの話をまとめると、以下のような感じですかね。</p><p>・本文とALTを区別する・ALTは短く簡潔に</p><p>「ALTを本来の用途以外に使わない」ってことを心がければ大丈夫そうですね。</p><p>辻：はい。「ALTは公共のスペース」だと考えてみてください。例えば、公園の階段横のスロープを使って遊ぶのはよくないというのは誰だって分かりますよね。</p><p>斎藤：分かりやすいです。ALTを必要としている人のことを想像することが重要そうですね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_59a3304021935331e26b7299eb3479c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ウェブアクセシビリティ」とは情報を届ける手段を増やすこと</h2><p>斎藤：辻さんはウェブアクセシビリティ基盤委員会のメンバーとお伺いしています。先ほど聞いたような考え方もウェブアクセシビリティの一部ですよね。せっかくなので、そもそも「ウェブアクセシビリティとは何か？」 について教えていただけますでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00007.jpg"><p>辻：ウェブアクセシビリティっていろいろ難しく考えてしまう人も多いと思うのですが、一言でいうと「情報を届けるための選択肢を増やすこと」だと思います。</p><p>斎藤：選択肢を増やす……？</p><p>辻：ウェブのコンテンツって、画面が見えて、動きのあるコンテンツにワクワクして、音が聞こえて……みたいに思っている人は多いと思うんです。</p><p>だけど実際には、スクリーンリーダーを使っているかもしれないし、音が聞こえないかもしれない。強い光の点滅があったら発作を起こしちゃう人がいるかもしれない。想像している以上にさまざまな人が見ています。</p><p>そういう人たちにとっても、情報が意味のあるものとして届くための選択肢を複数つくるのが、ウェブアクセシビリティだと思っています。</p><p>斎藤：いわゆる「障害者対応」のようなイメージでいましたが、ちょっとイメージが違いますね。</p><p>辻：それは半分合っていて、半分間違っています。例えば「やさしい日本語（※3）」ってありますよね。</p><p>斎藤：見たことがあります。自治体の発信でよく使われている印象です。</p><p>辻：あれを使えば、日本語が母語ではない人だけでなく、難しい言葉が分からない子どもにも伝わります。情報が伝わる人が増えるわけです。アクセシビリティの1つと捉えてもいいでしょう。</p><p>斎藤：それなら、ちょっと前の自治体のウェブサイトって、パソコンのブラウザで見ることが前提になっていて、スマホだと見づらいものが多かったです。スマホからの閲覧に対応することも広い意味ではアクセシビリティになりますか。</p><p>辻：僕はなると思いますよ。いま挙げたような例も、実はガイドラインの中で部分的に触れられているものがあります。ただ、ガイドラインを読むだけではなかなか気づきにくいんですよね。だけど「情報を届けるための選択肢を増やす」と考えると、自然とこういう発想も出てきますよね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9590f3ab5748bc4019647d7c9ab36221" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">みんなに情報を届けられないと困る場面はたくさんある</h2><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/xalt00008.jpg">情報の届け方について尋ねる斎藤さん<p>斎藤：「情報を届けるための選択肢を増やすこと」にはどんな意味があるのでしょうか。</p><p>辻：例えば、病院って現在はウェブサイトからの予約が事実上必須なこともありますよね。そこにアクセスできない人は、どうすればいいでしょう。</p><p>斎藤：そうか……、アクセシビリティが確保されていないと、病院にかかれない人も出てきてしまうわけですね。</p><p>辻：実際は窓口に行けば受診できると思うのですが「ウェブサイトからの予約がない人は数時間後になります」なんてことを言われることもあります。</p><p>斎藤：そういうこと、実際にありますね。僕も経験したことがあります。</p><p>辻：さきほど自治体の話が出ましたが、自治体がウェブサイトで公開している情報って、PDFやExcelファイルが置いてあるだけのものが多かったんですよ。2011年の東日本大震災の時も、こうしたかたちで避難情報や被害情報がアップされていました。</p><p>このような発信方法は見られる人が限られてしまいます。あのときはネットの速度制限もかかっていて、そうしたファイルをダウンロードすることさえできない人がたくさんいました。</p><p>ですから、ウェブアクセシビリティは命に関わることもあるんです。</p><p>斎藤：命に関わる……！</p><p>辻：そこで、「誰でも読みやすいテキスト情報をTwitterにアップしよう」という、有志による流れができました。それが僕みたいにスクリーンリーダーを使う人間にもアクセスしやすい情報としてすごく役に立ったんですよ。</p><p>斎藤：僕もあの時のことは覚えています。不安ななか、さまざまな情報がシンプルな文字の形でTwitterに流れていて、すごく助かりました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fe92a9a2fea731eb7d76e1e492425f75" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「発信するならいろいろな人に届いてほしい」</h2><p>斎藤：特にウェブに関わる仕事をしていない、SNSを利用するくらいの人は、ウェブアクセシビリティをどのように考えていけばいいでしょうか。</p><p>辻：「自分が出す情報を必要としている人はたくさんいるかもしれない」ってことを常に考えてみてください。それに、情報をどうせ発信するのなら、いろいろな人に届いてほしいじゃないですか。それを実現するのがウェブアクセシビリティです。</p><p>斎藤：僕もライターとして、自分の書いたものはいろんな人に届いてほしいですが……。ライターじゃない人だって多分そうですよね。</p><p>辻：誤解されがちなのが、ウェブアクセシビリティには「ゴールがある」って思われがちなことです。実はウェブアクセシビリティの確保ってスタートでしかないんですよね。情報を受け取った人がどう判断して、その人の生活がどのように変わるか。それがストーリーとして完結して、初めて情報を発信することのゴールにたどり着くんです。</p><p>斎藤：情報があらゆる環境にいる読者に届くよう、さまざまな選択肢を用意しておく。そして、その情報を受け取った人の生活が少しでも良い方向に変わっていく。それこそが、私たちがインターネットで文字を書いて発信することの本質という気がしました。今日はありがとうございました！</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3245d8aa4a78f521bfcfe96b5c715c2f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ウェブアクセシビリティの概念を正しく伝えていくために私たち一人一人にできること</h2><p>ウェブアクセシビリティの概念を正しく伝えていくために、私たち一人一人にできることを辻さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_63d1fc422796d9d3a17b8328dc9af47f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ウェブアクセシビリティ導入ガイドブックに目を通す</h2><p>まずは、どのような状況でウェブアクセシビリティが重要になるのか、デジタル庁が発行している<a href="https://www.digital.go.jp/resources/introduction-to-web-accessibility-guidebook" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック（外部リンク）</a>を参考にし、ウェブアクセシビリティという概念を知る入口にする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_04c265c1cf592b2433305b06637d4836" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］情報を届ける相手（ユーザー）をちゃんと想像し、見ること</h2><p>全てを説明しようとするALTはむしろ不適当。どのようなユーザーが、どのように利用しているのか知ったり、想像したりして、情報発信方法を考えることが重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材を通じて、同じ情報でも届け方ひとつで、受け取れる人の数が大きく変わるのだと気づかされました。そして、その届け方は、実際に使っている人の声を聞いて初めて見えてくるものでもあります。</p><p>発信した情報が、取りこぼされることなく一人でも多くの人に届くよう、さまざまな立場や状況の人の声に耳を傾けることが大切だと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_613498d872fd1e3e926d6599a5f82ae7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.XのALTはHTMLのalt属性（＝代替テキスト）に由来する。alt は「alternative（代わりの）」の略。会話では「オルト」と読まれることも多いが、正確な呼称は「alt属性」、もしくは「代替テキスト」※2.Androidでは「TalkBack」という名称で提供※3.「土足厳禁」→｢靴を脱いでください｣のように、文法・言葉のレベルや文章の長さに配慮し、分かりやすくした日本語のこと。もともとは日本語が母語ではない人に正しい情報を伝えるための取り組み。参考：<a href="https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/yasanichi/about.html" target="_blank" rel="noopener">「やさしい日本語」とは | 東京都多文化共生ポータル（外部リンク）</a></div>    ]]>
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      <title>探究ジャーナル</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/122972</link>
      <pubDate>Wed, 24 Jun 2026 10:00:50 +0000</pubDate>
      
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<p>専門家への取材を通して、中高生が身近な社会課題について自ら調べ、考えるのを助ける記事をお届け。学びを深めるワークシート付き。</p>    ]]>
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      <title>闇バイトや性被害、SNS依存——中高生が知っておきたい、SNSのリスクと上手な付き合い方【ワークシート付き】</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122949/pbl</link>
      <pubDate>Wed, 24 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>SNSをきっかけにした子どもの犯罪被害は後を絶たず、深刻な性被害は過去10年で最多</li><li>自分でも気づかないうちに、SNS依存や情報の偏りなどに巻き込まれる危険性もある</li><li>これからはSNSと上手に付き合う力「デジタル・シティズンシップ」が欠かせない</li></ul><p>※【巻末特典】探求学習で使える「ワークシート」を無料でダウンロードできます</p><p>※この記事には性被害・闇バイトなど、つらく感じる内容が含まれます。読んでいて苦しくなったら、無理せずまわりの大人や相談窓口に声をかけてください</p><p></p><p>中高生が専門家の知見を借りながら、身近な社会課題について自ら調べ、考えるのを助ける連載企画「探究ジャーナル」。第1回のテーマは「SNSリテラシー」です。</p><p>みなさんは毎日、どれくらいSNSを使っていますか。友だちとの連絡、動画やニュースのチェック、近況の投稿……いまや、SNSは生活になくてはならないツールとなっています。</p><p>その一方で、SNSをきっかけにトラブルに巻き込まれる子どもは後を絶ちません。警察庁の統計によると、SNSに関係する子どもの犯罪被害は、この10年で小学生は最多、中学生も高止まりしています。しかしSNSの危険性を学ぶ機会が増えた影響か、高校生の被害は少しずつ減り始めました（※1）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_1-1.jpg"><p>この数字が伝えているのは、SNSの仕組みやリスクを正しく理解し、安全に使いこなすための知識「SNSリテラシー」が身を守るということです。自分らしくSNSと付き合う力を身に付けるため、SNSや情報リテラシー教育の専門家であるITジャーナリストの高橋暁子（たかはし・あきこ）さんにお話を聞きました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5fec6d3f704726a16a5252da473caad9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">SNSには大きく2つのリスクがある</h2><p>——中高生に特に知っておいてほしい、SNSのリスクとはなんでしょうか。</p><p>高橋さん（以下、敬称略）：「犯罪被害のリスク」と「使い方のリスク」の、大きく2つの種類に分けて考えると分かりやすいです。この2つは中高生にとって身近で深刻、しかも被害が増えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_2.jpg">高橋さんが考える SNSの2大リスク<p>——「犯罪被害のリスク」と「使い方のリスク」、それぞれの特徴を教えてください。</p><p>高橋：大きな違いは「相手がいるかどうか」です。「犯罪被害」は、悪意のある誰かがこちらをだましたり、脅したりして仕掛けてきます。自分でも気づかないうちに、相手の計画に巻込まれることがあります。</p><p>一方の「使い方」については、特定の加害者がいるわけではありません。SNSの仕組みそのものによって、中毒のようになってしまったり、ものの見方が偏ってしまったりする。じわじわと自分が変えられてしまうタイプのリスクです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ef696b013b0134e88dcab1bb8fe0f88a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">犯罪被害からどう身を守るか：性被害編</h2><p>——SNSを使った「犯罪被害」には、具体的にどういうものがありますか。</p><p>高橋：代表的なのは「性被害」と「闇バイト」です。</p><p>一番深刻なのが「性被害」。自分が望まないのに体を触られる、裸の写真を撮られたり送らされたりする、性的な行為を強要される……こうした被害が男女を問わず起きています。</p><p>警察庁の発表によると、SNSがきっかけの性犯罪のうち、強引なわいせつや性交、連れ去りといった、心や体に深い傷を残すタイプの被害がここ2年で急増し、2025年（令和7年）には過去10年で最多となりました。SNSの犯罪被害の中心は性被害なのです（※1）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_3.jpg"><p>——SNSでの「性被害」は、どのように起きているのでしょうか。</p><p>高橋：多くの場合、子どもは相手にだまされる形で被害に遭っています。</p><p>［Aさんの事例］</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>Instagramで同い年の女友だちと知り合ったAさん。半年～１年ほどDMを続け、家族や成績の悩みを話すほど仲良くなりました。</p><p>ある日、相手が「最近太っちゃったんだよね」と裸の写真を送ってきて「あなたの身体も見せて」と頼まれました。最初は断ったのですが「私は送ったのに、裏切られた。絶交する」と言われ、大事な友だちを失いたくない気持ちから、自分の裸の写真を送ってしまいました。</p><p>すると態度が変わり、「写真をばらまかれたくなければ言うことを聞け」と脅してきました。長い間やり取りしていた相手は、実は大人の男性だったのです。</p><p>※実際の手口を元に作成</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_4.jpg">同性になりすました、相手の警戒心を解く巧妙な手口が増えている。mw/PIXTA</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div></div><p>高橋：女の子に限らず、男の子にも同じような被害が起きています。例えば恋愛関係を装って相手がニセの裸の写真を送り、「自分も送らないわけにはいかない」と思わせる。一度送ってしまうと「ばらまくぞ」と脅され、呼び出されて被害に遭うのです。</p><p>——そういう相手とは、どこで出会ってしまうのでしょうか。</p><p>高橋：2024年（令和6年）の警察庁データによると、性被害の出会いの場は以下の順位でした（※3）。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>1位　Instagram　31.0パーセント2位　X　26.8パーセント3位　オンラインゲーム　6.6パーセント</p></div></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_5-1.jpg"></div><p>高橋：とくにオンラインゲームは、警察が学校にも注意を呼びかけています。一緒にプレイした知らない人が助けてくれて、「今日は楽しかった、これからもフレンドよろしく」とボイスチャットで言われたら、たいてい断りません。</p><p>またLINEのオープンチャットなど、匿名の人が集まる掲示板もゲーム同様に要注意で、親しくなるなかに悪意のある大人が混じっていることがあるのです。</p><p>——やり取りだけにして、会いに行かなければいいのでは？</p><p>高橋：同性の同級生などを装われ、気づかずに会いに行ってしまうケースも多いです。「自分は大丈夫」と考えず、「そういう手口があるんだ」と知っておくことが、自分の身を守る盾になります。</p><p>こちらのサイトも予防の参考に：<a href="https://www.npa.go.jp/policy_area/no_cp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なくそう子供の性被害｜警視庁（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_6e7cf6349e94516685f65348db9949ea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">犯罪被害からどう身を守るか：闇バイト編</h2><p>——もう1つの犯罪被害、「闇バイト」について教えてください</p><p>高橋：主に高校生ですが、『闇バイト』の入り口もSNSです。最近は「履歴書を送らなくていい」「面接がいらない」「暇な日にすぐ働ける」などの手軽さを理由に、アルバイトをSNSで探す高校生が増えているからです。</p><p>マイナビが行った調査では、SNSでアルバイトを探した経験がある高校生は約3割（30.7パーセント）。しかしSNSで探すことには、悪質なバイトに引っかかるリスクも潜んでいます（※4）。</p><p>——中高生が「闇バイト」に巻き込まれることがあるのでしょうか。</p><p>高橋：応募して実行犯になってしまうのは、20歳代以下の若い人が中心です。10歳代に絞っても、特殊詐欺の受け子などになった子のうち、約4分の1がSNSから応募していました（※1）。</p><p>［ Bさんの事例］</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>SNSで知り合った人から「いい海外バイトがあるよ。渡航費も出してあげる」と仕事を持ちかけられました。</p><p>手軽に稼げて、旅行できると思って応募すると、現地でいきなり監禁されてしまいます。そこではネットを使った詐欺の手伝いをさせられました。言うことを聞かないと電撃を与えられたり、暴行されたりしました。</p><p>しばらく経ったある日、なんとか隙を見て逃げ出して、街の人に「助けて」とSOSを出しました。そうして警察に保護され、帰国できたのです。</p><p>※実際の手口を元に作成</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_6.jpg">SNSで見つけた高額で手軽に応募できるバイトの求人募集には注意が必要。阿部モノ/PIXTA</div></div><p>高橋：国内でも、強盗事件の実行犯として高校生が逮捕され、「家族を殺す」「家族に危害を加える」と脅されていた、という報道がありました（※5）。</p><p>——闇バイトに巻き込まれないためのポイントはありますか。</p><p>高橋：全国のアルバイト・パートの平均時給は1,301円（2026年5月時点※6）で、1日8時間働いても1万円ほどだそうです。これを大幅に上回るアルバイトは、犯罪に絡む可能性が高いといえます。</p><p>また、連絡をメールではなくDMで済ませようとするのも、証拠隠しの可能性があります。できればSNSではなく、きちんとした企業のアルバイト募集サイトを利用したほうが安心です。</p><p>——もし、犯罪被害に巻き込まれそうになったら、どうすればいいのでしょうか。</p><p>高橋：大事なポイントは3つです。</p>家族や学校の先生など大人に相談する警察に相談するニュースを観る<p>「性被害」も「闇バイト」も、大事なのは「ひとりで抱え込まず、早く相談すること」です。「これって大丈夫かな……」と思ったとき、「怒られてスマホを取り上げられるかも」と隠してしまうと、被害が大きくなって取り返しがつかなくなることがあります。</p><p>もし「家族に危害を加える」と脅されたとしても、警察に相談すれば、自分も家族も守ってもらえます。闇バイトであれば罪を犯さずに済み、被害者も生みません。</p><p>また、普段からニュースを見て、家族や友人と「同年代の子がこういう被害に遭った」と話題にしておくと、いざというとき「もしかして……」と気づくことができます。</p><p>こちらのサイトも予防の参考：<a href="https://www.kagaiboushi.metro.tokyo.lg.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特殊詐欺加害防止 特設サイト｜東京都（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_62aef294493ff67b02d588ac1f437bfc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">SNSはのめり込みやすくできている？</h2><p>——SNSの「使い方のリスク」についても、具体的にどういうものがあるか教えてください。</p><p>高橋：代表的なものが「SNS依存」と「情報の偏り」です。どちらもSNSの仕組みそのものが原因で起きるリスクです。</p><p>——「SNS依存」とは、どういうものでしょうか。</p><p>高橋：スマホが手放せず、気づいたら何時間もSNSを見ていた……という状態のことです。意思が弱いからそうなる、と誤解されますが、そもそもSNSは「やめられないように」作られています。</p><p>例えば無限にスクロールができ、次々に投稿や動画が自動で表示されるので、終わりのきっかけがつかみづらいのも、その1つです。</p><p>サービス提供側にとって、長く使わせることはビジネスに直結します。AIで好みに合う投稿や動画を精度高くおすすめし、利用者を離脱させない工夫に力を注いでいる。アメリカでは、SNSの依存性をめぐってMeta社やGoogleが負けた裁判もあります（※7）。</p><p>つまり、自分の意思だけで抜け出すのはとても難しいものなのです。</p><p>——「SNS依存」を感じたら、どう対処すればよいのでしょうか。</p><p>高橋：まずは保護者の方と一緒にスマホの設定を見直しましょう。ペアレンタルコントロール機能（※8）で利用時間を決められますし、Instagramの「ティーンアカウント」など年齢を正しく登録すれば未成年を守る仕組みが使えます。</p><p>それでも難しければこんな方法もあります。</p>クローゼットの中など、すぐ手の届かない場所に置く家族にスマホを預ける先生や友だちにパスワードをかけてもらう<p>誰かの手を借りることは、弱さではなく賢い選択です。いろいろな方法を試して、自分に合ったやり方を見つけましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_7.jpeg"><p>——もう1つの「情報の偏り」とは、どういう状態のことでしょうか。</p><p>高橋： SNSのおすすめ機能によってユーザーの好みに合う投稿や動画ばかりが集まり、「この感覚が当たり前だし、正しい」と思い込みやすくなる状態のことを「エコーチェンバー現象」といいます。</p><p>受け取る情報が偏ることで、いつの間にか考え方も偏ってしまう。デマを信じたり、陰謀論にはまったりしてしまうのも、これが理由の 1つです。</p><p>——偏った考え方にならないためには、どうすればいいのでしょうか。</p><p>高橋：「ひとつの情報源だけで判断しない」ことです。例えばこんな方法です。</p>ネットニュース、テレビの報道など、他のメディアでどういわれているか調べる国や専門家の見解について調べる家族や友だちの意見を聞いたり、一緒に調べたりしてみる<p>ほかには、家族や身近な大人などのSNSを見せてもらうと、自分のアカウントとは違うおすすめが出てくるので「世界はそれだけじゃないんだ」と気づくきっかけになります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_8.jpg">SNSのリスクと、犯罪や性被害に巻き込まれないための対策について語る高橋さん<h2 id="tnf-text-heading-block_e0dcfc51d681a544670b565dd9e68aba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">SNSと、これからどう付き合っていく？</h2><p>——リスクの話が続きましたが、SNSには良い面もありますよね。</p><p>高橋：SNSは友だちと親しくなり、交友を広げるのに欠かせなくなっています。個人が声を上げる場、いじめや不登校に悩む人の居場所、仲間と励まし合いながら勉強する場にもなります。</p><p>——SNSの良い面を活かして安全に使うために、最低限のルールを教えてください。</p><p>高橋：「投稿」と「やりとり」の基本ルールを押さえておきましょう。</p><p>［投稿］</p>ハンドルネームを使う顔写真や本名などの個人情報は出さない<p>一度ネットに出した情報は、世界中とつながっていて簡単には消せないことを「デジタルタトゥー」といいます。安易な気持ちでした投稿も、永遠に残ってしまうことがあるので注意しましょう。</p><p>［やりとりするとき］</p>知らない人とは会わない。なるべくつながらない裸の写真は撮らない、送らない<p>未成年の人が裸の写真を送ることは、たとえ自分の写真でも「児童ポルノの製造、提供」にあたり、法律違反になります（※9）。「自分の身体だからいい」「お尻ならOK」などと思う子もいますが、撮って送れば法に触れますし、子どもに撮らせようとする大人はそれだけで重い罪に問われます。</p><p>——これからSNSとどう付き合っていけばよいでしょうか。</p><p>高橋：「デジタル・シティズンシップ」という考え方があります。デジタル社会の一市民として、ネットやSNSなどを安全に、そして主体的に使いこなしていく力のことです。</p><p>SNSはもはや、生活に欠かせないインフラです。リスクを正しく知り、自分らしい付き合い方を決められることが、これからを生きるみなさんの大切な力になっていくと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/pbl1_9.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a2a4a8612fedb3c6568417ab329432b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">取材から学んだこと</h2><p>SNSのトラブルに遭うのは「一部の不注意な人」だと思われやすいところがあります。けれど取材を通じて、「普通に使っているだけで巻き込まれることがある」と再認識しました。</p><p>犯罪の手口やサービスの仕組みなど、「知る」ことが自分を守り、SNSと楽しく付き合う鍵になると感じました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8c395e4770800b3bdf99e22a2496e192" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中高生のみなさんへ</h2><p>みなさんは、今日からSNSとどう付き合っていきますか？</p><p>家族や友だちと、SNSの使い方について話してみたことはありますか？</p><p>SNSがきっかけとなった事件のニュースを見たり、聞いたりしたことはありますか？</p><p>「これって大丈夫かな」と思ったとき、相談できる相手はまわりにいますか？</p><p>無償でダウンロードできる<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/SNS-Literacy_Worksheet.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ワークシート（別タブで開く/PDF）</a>を活用して、自分のSNSの使い方をふり返り、友だちとも意見を交わしながら、「自分なりのルール」を作ってみましょう。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_d2a6c1c38e93d93bd86ae068af2eb9b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/syonen.html" target="_blank" rel="noopener">令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況（令和8年2月）｜警察庁生活安全局人身安全・少年課（外部リンク）</a>※2. 「略取誘拐」とは、人をこれまでの生活環境から切り離し、自分や第三者の支配下に置く犯罪のこと※3.出典：<a href="https://digital.asahi.com/articles/AST3D3TVST3DUTIL013M.html" target="_blank" rel="noopener">アイテムにつられ…きっかけはオンラインゲーム　目立つ子どもの被害｜朝日新聞（外部リンク）</a>※4.出典：<a href="https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260604_111183/" target="_blank" rel="noopener">高校生のアルバイト調査（2026年）｜マイナビ　キャリアリサーチLab（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://www.sankei.com/article/20260520-MCKQDBAQIFKGFPBR3TZXGQOM6E/" target="_blank" rel="noopener">「やらなければ家族や友人殺す」指示役の夫婦が脅したか　栃木の強殺事件で少年側供述｜産経ニュース（外部リンク）</a>※6.出典：<a href="https://career-research.mynavi.jp/reserch/20260616_111717/" target="_blank" rel="noopener">2026年5月度 アルバイト・パート平均時給レポート｜マイナビ　キャリアリサーチLab（外部リンク）</a>※7.出典：S<a href="https://www.cnn.co.jp/tech/35245535.html" target="_blank" rel="noopener">NS中毒裁判、陪審がメタとユーチューブの責任認める判断 米カリフォルニア州｜CNN（外部リンク）</a>※8.「ペアレンタルコントロール機能」とは、子どもがパソコンやスマートフォン、ゲーム機を安全に利用するための機能のこと。有害サイトの閲覧防止、アプリ内課金の制限、利用時間の管理など、子どもをネットトラブルから守る設定が可能※9.出典：<a href="https://laws.e-gov.go.jp/law/411AC0100000052/" target="_blank" rel="noopener">児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律｜e-GOV法令検索（外部リンク）</a>無償でダウンロードできるワークシート（別タブで開く/PDF）を活用して、自分のSNSの使い方をふり返り、友だちとも意見を交わしながら、「自分なりのルール」を作ってみましょう。</div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b7aea8d90757cb0be6ebe515c763e973" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_c138a7f7595789585808c2686468466d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高橋暁子（たかはし・あきこ）</h3><p>ITジャーナリスト。成蹊大学特別客員教授。SNSや情報リテラシー教育を専門とし、スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育事情に詳しい。著書に『若者はLINEに「。」をつけない 大人のためのSNS講義』（講談社＋α新書）、『スマホで受験に失敗する子どもたち』（星海社新書）など、単著・監修を含め30冊以上。NHK『あさイチ』『クローズアップ現代＋』などメディア出演も多数。全国の小中高校・大学、自治体、企業などで毎年50回ほどの講演・セミナーを行っている。元小学校教諭。</p><p><a href="https://www.akiakatsuki.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">高橋暁子さん公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>高齢者の賃貸借契約にはなぜ壁がある？ 「住まいの不安」を払拭する取り組みとは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122666/health_aging</link>
      <pubDate>Thu, 18 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>高齢者が賃貸住宅を借りにくい背景には保証人、孤独死、認知症への不安がある</li><li>高齢者の住まい相談は「福祉」と「住宅」のはざまで支援が届きにくい現状がある</li><li>居住支援協議会や見守りサービスなど、民間や自治体による支援の仕組みづくりが進んでいる</li></ul><p></p><p>高齢者が賃貸住宅を借りようとすると、「家賃を払い続けられるのか」「保証人を確保できるのか」「孤独死や緊急時にどう対応するのか」といった不安から、入居を慎重に判断されるケースがあるといいます。</p><p>背景には、貸す側、借りる側の双方が抱える事情や不安があります。日本は超高齢社会であり、住まいの問題は、誰にとっても無関係ではありません。</p><p>こうした課題に対し、家賃債務保証や居住支援協議会への支援などを通じて、高齢者を含む「住宅確保要配慮者」の居住支援に取り組んでいるのが、<a href="https://www.koujuuzai.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般財団法人高齢者住宅財団（外部リンク）</a>です。</p><p>今回は、同財団の金浜貴行（かねはま・たかゆき）さん、榊原潤（さかきばら・じゅん）さんに、高齢者が住まいを借りにくくなる背景や、貸主側が抱える課題、さらに自治体や民間と連携した支援の仕組みについて伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5e22ba5dfa4a76c844c4f373a0fb35f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜ高齢者は賃貸住宅を借りにくいのか？</h2><p>――高齢者住宅財団の活動内容について教えてください。</p><p>榊原さん（以下、敬称略）：高齢化が社会課題として顕在化し始めた1993年に設立されました。当初はUR（都市再生機構）のシニア向け住宅の管理運営がメインでしたが、現在はそれに加えて高齢社会における住まいと福祉のあり方を幅広く支援しています。</p><p>具体的には、高齢者が安心して暮らせる住環境や地域づくりのための調査研究を行っています。あわせて、自治体の担当者や事業者、生活援助員らを対象として研修を行い、人材育成にも取り組んでいます。</p><p>ほかにも、財団ウェブサイトやメールマガジン等を通じての高齢者住宅政策や福祉施策の情報を発信し、現場で支援に関わる人々への情報提供を行っています。</p><p>金浜さん（以下、敬称略）：2001年に国土交通大臣から「高齢者居住支援センター」の指定を受け、高齢者世帯をはじめ、障害者世帯や子育て世帯、外国人世帯など、住まいの確保に課題を抱えやすい方々の入居支援も行っています。</p><p>その1つが、民間賃貸住宅を借りる際の「家賃債務保証」です。家賃滞納時の保証や原状回復費用、訴訟費用などを保証することで、連帯保証人の役割を担い、入居しやすくなるよう支援しています。</p><p>また、高齢者施設へ入居する際の持ち物の整理や、遺品整理、ごみ屋敷の片付けといった家財整理にまつわるお悩みの相談窓口も設けています。</p><p>――各種メディアでも高齢者が賃貸借契約を結びにくいという話題が取り上げられる機会が増えていますが、現状について教えてください。</p><p>金浜：2021年に国土交通省が実施した家主を対象にしたアンケートでは、高齢者の入居に対して約7割が一定の抵抗感を示しています。その背景には、家賃滞納への不安や、認知症による近隣トラブル、火災リスクなどへの懸念に加え、孤独死が起きた際の対応や、その後に事故物件として扱われることを不安視する声もあります。</p><p>一般社団法人日本少額短期保険協会が2025年12月に発表したレポート（※1）によると、孤独死は発見まで平均19日ほどかかるというデータがあるほか、なかには1年以上発見されないケースもあります。そうした現実が、貸主側の心理的なハードルにつながっているのは確かです。</p><p>ただ、家主自身は必ずしも「高齢者だから断りたい」と考えているわけではありません。実際には、不動産会社や管理会社が「トラブル対応まで手が回らない」と判断し、入居相談の段階で断ってしまうケースも少なくないのです。</p><p>榊原：現在の賃貸契約では、約9割の物件で保証会社が利用されていますが、実はこの仕組みが高齢者にとって大きな壁になることがあります。</p><p>保証会社の審査では、一般的に年齢や職業、収入、クレジットカードの利用履歴などがスコア化されます。</p><p>例えば、公務員は比較的高い評価を受けやすい一方で、どれだけ多額の預貯金があったとしても、「80代で収入源が年金のみ」といった場合は、審査において不利になりやすい傾向にあります。</p><p>また、高齢の方には現金主義でクレジットカードを持たない人も少なくありません。しかし審査のシステム上、カードの利用歴がないと、過去に金融事故を起こして信用情報が確認できない人と同じように見なされてしまい、結果として審査に通りにくくなるケースがあるのです。</p><p>金浜：行政側においても、高齢者の住まいに関するニーズを把握しきれていないという課題があります。そもそも、多くの自治体には「住まいに特化した相談窓口」が存在しません。</p><p>高齢者支援の主幹は福祉課ですが、その対応領域は医療や介護が中心です。そのため、住まいの相談を持ちかけても住宅課へ案内されることになります。</p><p>ところが、住宅課が管轄しているのはあくまで公営住宅です。戸数や応募期間が限られている上、「エレベーターなしの5階の部屋しか空いていない」といったケースもあり、根本的な解決につながらないことが多々あります。</p><p>その結果、地域包括支援センターの職員などが、個人的なつながりや善意で不動産会社を探すといった、属人的な対応によって現場が支えられているのが実情です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/th__SAT0765.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_34bcb90b901cd7ecb1f9d9adff9c9abe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「福祉」と「住宅」のはざまで起きる支援の空白</h2><p>――不動産会社が高齢者の入居に慎重になるのは、なぜなのでしょうか。</p><p>金浜：空室によって家賃収入が減るのは家主であるため、不動産会社が直接的な損害を受けるわけではありません。それでも、「多少空室が続いたとしても、トラブルのリスクは避けたい」と考える不動産会社もあるのが現状です。</p><p>特に低価格帯の物件は、仲介手数料や管理手数料も低額に設定されています。そのため、入居後のトラブル対応や問い合わせにかかる手間を考慮すると、収益とのバランスが取れないと判断されるケースが少なくありません。</p><p>また、入居後に認知症を発症した際に「どこに相談すればよいのか分からない」と戸惑う不動産会社も多く見受けられます。居住支援法人や行政による福祉サービスの存在自体が、不動産業界内で十分に認知されていないことも要因の1つでしょう。</p><p>そして何よりも大きいのは、家主との関係性です。不動産会社の主な収入源は家主からの管理委託手数料であるため、「家主からのクレームは極力避けたい」という意識が強く働いているのだと思います。</p><p>――実際に、高齢者の入居によるトラブルはあるのでしょうか。</p><p>榊原：最も身近なのは、生活音に関するトラブルです。</p><p>例えば、耳が遠くなったことでテレビやラジオの音量が大きくなり、近隣から苦情が寄せられるケースがあります。反対に、高齢者側が夜遅くに帰宅する若い世代の生活音を気にしてしまうことも少なくありません。</p><p>また、認知症の症状が出始めると、以前は気にならなかったドアの開閉音などに敏感になったり、これまでとは違う行動が見られたりして、近隣トラブルに発展することもあります。</p><p>実際、高齢者とほかの入居者とのトラブルがきっかけで、別の住人が退去してしまったという事例も聞いています。家主にとって、こうしたトラブルによる経営への影響は決して小さくありません。</p><p>その結果、高齢者を紹介した不動産会社が、家主から「なぜあんな人を紹介したのか」「大丈夫だと言うから入居させたのに」と責任を追及される事態にもなり得ます。</p><p>不動産会社は、こうした精神的な負担や責任問題を避けるために、窓口の段階で高齢者の入居に慎重になってしまうのです。</p><p>――自治体や民間企業など、こうした取り組みに協力的な動きはありますか。</p><p>金浜：令和6年の住宅セーフティネット法（※2）の改正により、居住支援協議会の設立は自治体の努力義務となり、全国の市区町村で設置が進められています。現在、全国で約160の協議会が設立されており、2035年までに人口カバー率90パーセントを目指しています。</p><p>協議会では、住まいに関する相談窓口の設置や、不動産会社、福祉関係者など地域のプレーヤーが連携できる体制づくりが行われています。また、高齢者や障害者などの住まい探しを支援する「居住支援法人」も全国に約1,100〜1,200あり、NPOをはじめさまざまな団体が活動しています。</p><p>民間の不動産事業者の中にも、「見守りサービス」の導入など、高齢者を受け入れるための取り組みが広がり始めています。</p><p>例えば、室内センサーや電力メーターなどを活用し、一定時間生活反応が確認できない場合に通知が届く仕組みです。異変があった際には、警備会社が駆けつけたり、登録された家族へ連絡が入ったりするサービスもあります。</p><p>孤独死が発生した際の原状回復費用や、空室期間の損失などを補償する「孤独死保険」を活用する事業者も出てきています。こうした仕組みによって、家主や不動産会社の不安軽減につなげようという動きです。</p><p>また、「R65不動産」（※3）のように、65歳以上の部屋探しを専門に支援する事業者も出てきています。こうした取り組みが広がっていけば、高齢者を受け入れる環境も少しずつ変わっていくのではないかと思います。</p><p>人口減少が進むなかで、若い世代だけを対象にした賃貸経営は今後ますます難しくなっていくでしょう。特に築年数が経過した物件では、高齢者を「断る対象」ではなく、重要な入居者層として捉え直そうとする不動産会社も増え始めています。</p><p>ただし、地域差もあります。西日本のほうが居住支援の動きが活発な傾向がある一方で、協議会が設立されていても、実際には年1回の総会だけにとどまり、十分に機能していないケースもあります。</p><p>今後は、制度をつくるだけでなく、地域の中で実際に機能する支援体制をどう築くかが課題だと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/th__SAT0867.jpg">自治体や民間団体の取り組みについて語る金浜さん<h2 id="tnf-text-heading-block_1bf4580296972065c8ccb9d24167d3cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高齢になっても住む場所に困らない社会をつくりたい</h2><p>――高齢者の住まいの課題を放置すると、今後どのような影響があると考えていますか。</p><p>榊原：高齢者が賃貸住宅を借りにくい状況が続くと、現在の住まいが合わなくなっても、住み替えができない人が増えていくと考えています。</p><p>例えば、子どもが独立したり、配偶者に先立たれたりしても、世帯人数に合わない広い住宅に住み続けざるを得ないケースがあります。1人暮らしになった後も、4LDKの戸建てに住み続け、高い家賃や維持費を負担している方も少なくありません。</p><p>身体機能が低下しても、2階建て住宅に住み続けざるを得ず、不自由な生活を送るケースもあります。実際に、2階へ上がれなくなり、庭に洗濯機を置いて生活している方もいます。</p><p>こうした状況が続けば、貯蓄を使い果たし、最終的に生活保護を受給しながら転居を余儀なくされるケースも増えていく可能性があります。孤独死の増加など、社会的な負担にもつながっていくと考えています。</p><p>この問題は、不動産業界にとっても無関係ではありません。人口減少が進むなかで、高齢者を避け続けながら賃貸経営を成り立たせることは、一部の新築物件や高額物件を除けば、今後ますます難しくなっていくでしょう。特に築年数が経過した物件ほど、高齢者の受け入れが重要になっていくと考えています。</p><p>適切な住み替え支援の仕組みが整わなければ、本来はまだ活用できた住宅が流通せず、放置されるケースも増えていくでしょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0830e9f7e501687d6cc33f66cb1e72a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高齢になっても住む場所に困らない未来のために、私たち一人一人ができること</h2><p>高齢になっても住まいに困らない社会のために、私たち一人一人にできることを金浜さん、榊原さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a6cb7f9b6c52465ac5dee19682b82ef5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「いざというときに連絡できる人」をつくっておく</h2><p>家族をはじめ、困ったときに連絡が取れる相手がいるだけで、保証会社や不動産会社に対する緊急連絡先の設定などの将来の住まい探しのハードルが下がることもある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ec5ed1cb61cacf85c303e911c89b93c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］日常の中で「ゆるやかなつながり」を増やす</h2><p>行きつけのお店の人と会話をする、近所の人とあいさつを交わすなど、深い関係でなくても、人と関わる機会を持つことが重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「高齢者が家を借りにくい」というニュースを見ても、どこか遠い問題のように感じていた人もいるかもしれません。しかし、誰もが必ず年齢を重ねます。家族構成や健康状態、働き方が変わったとき、「住み替えたいのに借りられない」という状況は、決して他人ごとではありません。</p><p>住まいの不安を減らす仕組みをどうつくるのか。それは高齢者支援というだけでなく、将来、自分自身や家族が安心して暮らし続けられる社会をどうつくるかということでもあるのだと感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_085d174060fe2db2e9b89de649e47120" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.shougakutanki.jp/general/info/kodokushi/news/kodokusiReport_10th.pdf" target="_blank" rel="noopener">第10回 孤独死現状レポート（2025年10月）｜日本少額短期保険協会 孤独死対策委員会（外部リンク/PDF）</a>※2.誰もが安心して賃貸住宅に居住できる社会の実現を目指して、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律。出典：住宅：<a href="https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000055.html" target="_blank" rel="noopener">住宅セーフティネット制度 ～誰もが安心して暮らせる社会を目指して～ – 国土交通省（外部リンク）</a>※3.<a href="https://r65.info/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">R65不動産 公式サイト（外部リンク）</a></div>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Thu, 18 Jun 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>20107</guid>
      <title>2050年の海は魚よりもごみが多くなる？ 今すぐできるアクション</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/20107/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Wed, 17 Jun 2026 14:50:55 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>海洋ごみの約7～8割は、ペットボトルなど街で発生したごみが川を伝って海へ流れ出たもの</li><li>WEFの推計によると、このままでは2050年の海はプラスチックごみの量が魚の量を上回るとされている</li><li>個人ですぐにできる対策は、ごみを持ち帰る、使い捨てを断る、正しく分別する、ごみ自体を減らすなどたくさんある</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2019年2月12日に公開した記事を再編集しています</p><p>あなたが今日使ったペットボトルが、海の生き物たちの命を脅かしている可能性があることをご存知だろうか。</p><p>「海洋ごみ問題」とは、私たちが普段の生活で使っているペットボトルやレジ袋などのプラスチックごみが、街から川を伝って海へ流れ出し、深刻な汚染を引き起こしている環境問題である。</p><p>UNEP（国連環境計画）が2021年に公表した報告書（※1）によると、世界では毎年、約1,100万トンのプラスチックごみが海へ流出。これは、ジャンボジェット機（約400トン）約2万7,500機分に相当する。また、環境省の調べ（※2）によると、日本でも2023年時点で年間最大2万7,000トンのプラスチックごみが流出していると推計された。</p><p>このまま対策を講じなければ、海へ流出するプラスチックごみの量は2040年までに毎年2,300万トンから3,700万トンまで増加（※1）。WEF（世界経済フォーラム）が2016年に発表した報告書（※3）では2050年には海洋プラスチックごみの量が、海にいる魚の量を上回ると推計され、世界中を驚愕させた。</p><p>海洋生物はもちろん、人間にも悪影響を及ぼすといわれるプラスチックごみの流出に歯止めをかけるために、私たちにできることとは？ 海洋ごみの現状や発生メカニズムとともに、誰もが今日からでもできる取り組みを紹介したい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_71db188d6750e10d13baf65c05566411" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2050年の海はプラスチックごみだらけに？</h2><p>「海洋ごみ」とは、海岸に打ち上げられた「漂着ごみ」、海面や海中を漂う「漂流ごみ」、そして海底に積もった「海底ごみ」の総称を指す。その内訳として最も多いのが、釣り糸や食品の容器・包装袋など、プラスチック製のもの。一度使えばすぐに捨ててしまう、いわゆる「使い捨てプラスチック」のごみが抜きん出て多いのだ。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/DSC_0714.jpg"></div><p>この海に流出している大量のプラスチックごみは、当然海に暮らす生き物に悪影響を及ぼしている。</p><p>例えば、インドネシアの海岸では、6キロ近いプラスチックごみを体内に溜め込んだマッコウクジラが打ち上げられた。プラスチックのコップ115個、ペットボトル4個、レジ袋25枚、ビーチサンダル2足と、その体からおびただしい量のごみが発見された。</p><p>また海で死んでしまったウミガメ102頭の内臓を調査したところ、すべての個体からマイクロプラスチックをはじめとする合成粒子が800以上見つかった。いずれもごみが直接的な死因につながったのかは判明していないが、海の住民たちが被害を受けていることは間違いない。</p><p>現在世界の海に漂う海洋ごみの量は、総計約7,500万～1億9,900万トン（※4）に達しているといわれる。そしてこの瞬間もどんどん増え続けている。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a5cc4826132ac53e2792840039072a13" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋ごみの実態はあまり知られていない</h2><p>そんな海洋ごみについて、日本人はどう受け止めているのだろうか。2018年11月に日本財団が行った<a href="https://uminohi.jp/wp-content/uploads/2018/11/%E3%80%90%E6%B5%B7%E6%B4%8B%E3%81%94%E3%81%BF%E3%80%91%E6%84%8F%E8%AD%98%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海洋ごみに関する意識調査」（外部リンク/PDF）</a>の結果を見ると、「海洋ごみ」という言葉自体は、8割以上の人が知っていると回答しており、広く認知されているようだ。</p><p>また、海洋ごみ削減のために主体的に動くべき対象としてメーカー、政府、地方自治体だけでなく、約8割の人が個人の取り組みも重要であることを認識している。</p><p>図表：「海洋ゴミ（海ごみ）」の問題をご存知ですか？</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/index1-6.png">「海洋ごみ」という言葉について、80.9パーセントが「知っている（聞いたことがある）」と回答した<div class="wp-block-spacer"></div><p>図表：海洋ごみ（海ごみ）の削減に誰の（どこの）取り組みが必要？</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/index2-4.png"><p>これらの調査データから海洋ごみについての認知は広がっていることが分かる。</p><p>しかし、海洋ごみの“実態”を知る人はまだまだ少ない。アンケートの結果を見てみると「海洋ごみ」と聞いて思い浮かぶものに、現実との差があることが分かる。想起率が5割を超えるのは、PETボトル、レジ袋（ビニール袋）、発泡スチロール、ビン・缶。特にペットボトルやレジ袋の想起率が7割近い一方で、実際にごみとして多い釣り糸や漁具、食品の包装袋や容器は5割にも満たない。</p><p>もしこのまま海洋ごみに対する問題意識が高まっていったとしても、みんなで認識を合わせなければ、海洋ごみを削減するための行動が結果につながらないかもしれない。</p><p>図表：「海洋ごみ（海ごみ）」と聞いて思い浮かぶものは？</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/08/index3.png">実際は非常に多い釣り糸や漁具、食品の包装袋や容器を海洋ごみとして認識している人は少ない<h2 id="tnf-text-heading-block_7470665a154011af194adcb638f4585d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋ごみの8割は街から来ている。世界は脱プラスチックへ</h2><p>そもそも海洋ごみはどのようにして発生するのか、そのメカニズムを知らない人も多い。釣り糸や漁具は別として、一見海洋ごみとは関係ないように感じられる街のごみも、実は海へ流れ出ている。</p><p>投げ捨てなどにより街に捨てられたごみは雨とともに排水溝へと流れ、やがて川をつたい海へと流れ出るのだ。そのようにして街から流れたものが、海洋ごみの8割を占めると言われている。</p><p>図表：海洋ごみの発生メカニズム（プラスチック）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/umigomi01-2.jpg"><p>この状況を受けて、世界では脱プラスチックの取り組みが急速に進んでいる。現在は単にプラスチックをなくすのではなく、不要な使い捨てプラスチックを減らし再使用と再資源化を広げ、海へ漏れ出さない仕組みをつくる取り組みが加速している。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_313d92bee21adbe857ca20d6e65852e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">EUとフランスの取り組み</h3><p>EUとフランスでは、プラスチックに関する規制が最も制度化されている。</p><p>EUでは2021年7月3日より「使い捨てプラスチック指令（SUPD）」が適用開始となり、ヨーロッパの海岸で最もよく見られる10種類の使い捨てプラスチック製品を規制対象にした（※5）。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">綿棒の軸カトラリー、皿、ストロー、マドラー風船と風船用の棒食品容器飲み物用のカップ</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">飲料容器タバコの吸い殻ビニール袋パケットと包装材ウェットティッシュと衛生用品</div></div><p>上記の10種類は、持続可能な代替品が容易に入手できる価格の場合、EU加盟国の市場に出回ることが禁止されている。</p><p>それ以外のプラスチック製品についても「消費削減」「回収しやすいようキャップと連結したボトルの設計と導入」「消費者に向けプラスチック製品を投棄した場合に自然環境に及ぼす影響の表示を生産者に義務付ける」など、プラスチックのライフサイクル全体を管理できるような取り組みを行っている。</p><p>さらに2026年8月12日には、包装全体を対象に新しい包装・包装廃棄物規則（PPWR）が適用される。PPWRは「2030年までにEU市場の包装を経済的に実行可能な形でリサイクル可能にすること」を目標にしており、持ち帰り販売でのマイ容器利用や、一部の単回使用包装の制限も盛り込まれている（※6）。</p><p>フランスはさらに踏み込み、2040年までに単回使用プラスチック包装を段階的に終わらせる方針を維持しつつ、2025年までに単回使用プラスチック包装の20パーセント削減。その半分以上を再使用で達成する目標や、店内飲食での使い捨て食器禁止を進めている（※7）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b1e3a2058fb6c18f27f2028244b89363" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アメリカとカナダの取り組み</h3><p>アメリカやカナダでは欧州のような一律禁止ではなく、国家戦略と重点品目の規制を組み合わせた脱プラスチックへの取り組みが行われている。</p><p>アメリカのEPA（アメリカ合衆国環境保護庁）は「National Strategy to Prevent Plastic Pollution」を立ち上げ、プラスチックの生産と廃棄物の影響を次の6つの分野で最小化する目標を掲げている。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">製造材料、製品設計廃棄物発生抑制</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">廃棄物管理回収、除去水域、海洋</div></div><p>さらに、並行して2030年までにリサイクル率50パーセントを目指して脱プラスチックへの取り組みを拡大している（※8）。</p><p>カナダでは2030年までにゼロプラスチック廃棄物を目標としており、2026年現在も単回使用プラスチック禁止規則が適用されている。レジ袋、カトラリー、問題のあるフードサービス容器、リングキャリア、マドラー、ストローの6類型が使用禁止だ（※9）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9a76f9a10fac3052868f4aaf2f5fb0c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中国の取り組み</h3><p>脱プラスチックへの取り組みは欧州だけでなく、アジア圏でも取り組みが進んでいる。</p><p>中国は生産から流通、消費、回収、最終処理、海洋清掃までを一体で動かす考え方を強めており、2021年に定められた方案による次の目標のために取り組みが進められてきた。</p><p>「2025年までに小売、電子商取引、フードデリバリー、宅配、宿泊など重点分野での不合理な単回使用プラスチック利用を大幅に減らし、循環型宅配包装を1,000万個規模まで広げる」</p><p>この目標がどのような結果をもたらしたのかは、これから精査されていくだろう。</p><p>今後は2025年に生態環境部が、目標に向けて行われていた取り組みの継続と、化粧品生産でのプラスチックマイクロビーズ全面禁用、海洋マイクロプラスチック監視の継続、65の海湾での海洋ごみ清掃計画、EC荷物の二重包装抑制と循環包装の拡大などが進められていくと発表している（※10）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_92127a344e2be002bc7bcb6c466e39c3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の取り組み</h3><p>日本では2019年の「プラスチック資源循環戦略」と、G20大阪サミットで共有された「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を土台に、2022年4月施行の「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が中心となった、資源循環型の制度設計が進められている。</p><p>日本の制度はプラスチックを“作る前”と“捨てた後”の両方に制度が設けられているのが特徴だ。</p><p>プラスチックを作る前の決まりである「プラスチック使用製品設計指針」では、減量化、包装簡素化、長寿命化、単一素材化、分解・分別しやすさ、再生プラスチックやバイオプラスチック利用などが求められており、優れた設計は国が認定する。認定製品はグリーン購入法上の配慮やリサイクル設備支援の対象となる。</p><p>プラスチックを捨てた後は、市区町村が従来の容器包装だけでなく、製品プラスチックも分別収集し、指定法人委託または国の認定を受けた再商品化計画にもとづいて再商品化できる仕組みが整えられている。</p><p>さらに、持続可能な導入方針を示す「バイオプラスチック導入ロードマップ」も策定され制度が実装段階に入っている。日本でも個別の回収・再商品化・設計認定が運用され始め、海洋プラスチックごみへのさらなる対策が進められている（※11）。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e7f6e110ead79de6b8a41eedef323ff9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">今すぐ始められる一人一人のプラスチックごみ対策</h2><p>では、私たち一人一人ができることとは何だろう。以下の2つの行動を心掛けるだけで、海の環境もずいぶん改善されるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_87f4efc1fcd8ad204f32bba49a0b0b4b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">外で出たごみは家に持ち帰る、または決められた場所で処分する</h3><p>例えば、屋外でこんな経験はないだろうか？「ごみ箱がいっぱいだったから、そのまま脇にごみを置いた」「レジ袋にごみを入れたまま、分別しないでそのまま捨てた」「ふたの隙間から、側溝にごみを捨てた」。このような行動はぜひ慎んでほしい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3d5c503a3dad9061744c7756c1a1953f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不要な使い捨て品を受け取らない</h3><p>日本では2020年にレジ袋の有料化が開始となり、経済産業省はその目的の1つに「本当に必要かを考えてもらい、ライフスタイルを見直すきっかけにすること」としている。</p><p>さらにプラスチック資源循環法では、事業者に対して次の「特定プラスチック使用製品」12種類について削減が求められている。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">フォークスプーンテーブルナイフマドラーストローヘアブラシ</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">くしかみそりシャワーキャップ歯ブラシ衣類用ハンガー衣類用カバー</div></div><p>「これらを受け取らず、継続的に使用するアイテムに切り替える」ことや、「本当に必要な量だけを受け取る」のを心がけてみよう（※11）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_6db3ee05fa0ec98bed9fe7b820d89209" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自治体のルールに則って正しく分別する</h3><p>ごみの分別は守るべきルールとして認識してきた人も多いと思うが、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が施行された現在では、もう少し踏み込んだ分別が必要になる。</p><p>今まではプラスチック容器や包装以外のものは燃えるごみとして扱われている市区町村もあった。しかし、法の施行後はプラスチック製品の再商品化が仕組化されたため、リサイクルできる形でプラスチックごみを捨てることが求められる。</p><p>また、その基準は住んでいる市区町村で異なるため、プラスチックごみ対策のために分別をするなら、自治体のルールをしっかり確認しておこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c1605c193bea287a9909d5b510314a88" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">毎日の暮らしのなかでできるだけごみを出さないようにする</h3><p>例えば、買い物時には使い捨て商品ではなく、できるだけ再利用できるものを選ぶ。なるべく包装されていない商品を選ぶ。マイバッグやマイ箸を持ち歩くなど心がけたい。</p><p>また、県や市町村、地域のコミュニティや団体が主催する清掃イベントに参加するのも1つの手だ。各サイトやSNSなどから発信される情報などに目を向けて、活動に加わってみてはどうだろう。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/02/DSC01494.jpg">街中はもちろん、実際に歩きながら海辺をきれいにすれば、より海洋ごみの深刻さが分かる</div><p>ちなみに日本財団では海洋ごみへの対策として、2018年11月に、産官学民が連携した国民的な取り組みを目指す新プロジェクト<a href="https://uminohi.jp/umigomi/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「CHANGE FOR THE BLUE」（外部リンク）</a>の立ち上げを発表した。</p><p>日本財団がハブとなって、民間企業や自治体、大学や研究機関などと連携し、「これ以上、ごみを海に出さない」意識を社会に高めるとともに、海洋ごみの削減を目指す仕組みづくりや調査研究などを行っていく。今後も日本財団ジャーナルで動向をお知らせするので、ぜひチェックしてほしい。</p><p>海に囲まれている日本。魚よりごみの量が多くなる日が訪れる前に、私たち一人一人ができることから始めてみよう。みんなの意識が変われば、豊かで美しい海を未来に引き継げるはずだ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_847dd273e641fae1ed8f44020c23695a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.unep.org/resources/pollution-solution-global-assessment-marine-litter-and-plastic-pollution" target="_blank" rel="noopener">From Pollution to Solution: A global assessment of marine litter and plastic pollution｜UNEP（外部リンク）</a>※2.出典：<a href="https://www.env.go.jp/content/000255552.pdf" target="_blank" rel="noopener">令和5年度検討結果日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計｜環境省（外部リンク/PDF）</a>※3.出典：<a href="https://www3.weforum.org/docs/WEF_The_New_Plastics_Economy.pdf" target="_blank" rel="noopener">The New Plastics Economy: Rethinking the future of plastics｜WORLD ECONOMIC FORUM（外部リンク/PDF）</a>※4.出典：<a href="https://www.unep.org/topics/ocean-seas-and-coasts/ecosystem-degradation-pollution/plastic-pollution-marine-litter" target="_blank" rel="noopener">Plastic pollution &amp; marine litter｜UNEP（外部リンク）</a>※5.出典：<a href="https://environment.ec.europa.eu/topics/plastics/single-use-plastics_en" target="_blank" rel="noopener">Single-use plastics｜European Commission（外部リンク）</a>※6.出典：<a href="https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/special/2026/0303/96787a7763ba0970.html" target="_blank" rel="noopener">EUの包装・包装廃棄物規則（PPWR）は不確定事項が山積｜JETRO（外部リンク）</a>※7.出典：<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2021/05/413407e4a686561c.html" target="_blank" rel="noopener">2025年までに使い捨てプラスチック包装の年間市場投入量を2018年比20％削減｜JETRO（外部リンク）</a>※8.出典：<a href="https://www.epa.gov/system/files/documents/2024-11/final_national_strategy_to_prevent_plastic_pollution.pdf" target="_blank" rel="noopener">National Strategy to Prevent Plastic Pollution｜EPA（外部リンク/PDF）</a>※9.出典：<a href="https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/12/652d0577f7db8e18.html" target="_blank" rel="noopener">カナダ、使い捨てプラスチック禁止規制が施行｜JETRO（外部リンク）</a>※10.出典：<a href="https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk10/202109/t20210916_945621.html" target="_blank" rel="noopener">国家発展改革委員会及び生態環境部による第14次5カ年計画期間におけるプラスチック汚染対策行動計画の策定に関する通知（2021年9月16日）｜中華人民共和国生態環境部（外部リンク）</a>※11.出典：<a href="https://plastic-circulation.env.go.jp/" target="_blank" rel="noopener">プラスチック資源循環｜環境省（外部リンク）</a></div>    ]]>
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      <title>LGBTQなど性的マイノリティを取り巻く問題。私たちにできること</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80401/diversity_and_Inclusion</link>
      <pubDate>Tue, 16 Jun 2026 19:20:15 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「LGBTQ」とは、性的マイノリティ（レズビアン、ゲイ、バイ、トランス、クィアなど）の総称である</li><li>当事者は、法的保障（同性婚等）の欠如や、職場・学校における偏見、差別、生きづらさを抱えている</li><li>性も個性の１つ。法整備（同性婚や差別禁止）の推進、教育・社会での多様性への理解促進が必要</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2022年10月13日に公開した記事を再編集しています</p><p>あなたの周囲には生活の中で当たり前とされている権利を得られていない人はいるだろうか</p><p>「LGBTQ」とは、レズビアン（Lesbian）、ゲイ（Gay）、バイセクシュアル（Bisexual）、トランスジェンダー（Transgender）、クエスチョニング（Questioning）の頭文字をとった言葉で、性的マイノリティ（性的少数者）を表す総称の1つ。</p><p>社会では性的マイノリティであるがゆえに、偏見や差別を受けたり、当たり前の権利を得たりすることが難しい人たちがいる。</p><p>最近では日本でもLGBTQについて理解が進んできている。しかし、社会的な抑圧や差別を個人の小さな問題として扱ったり、当事者が必要としている正確な情報が手に入りにくかったりといった課題も多い。</p><p>現状では教育や医療、福祉などあらゆる場面において、彼らの存在を想定している社会構造とは言い難い。</p><p>まずは、性的マイノリティにはどのようなものがあるのか？ そして、彼らが抱える問題について知ることが、誰もが生きやすい社会づくりの上で重要だ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_46d6a0f7c9339273a094f01337979335" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「性」の在り方はグラデーション</h2><p>「LGBTQ」は、主に性的指向と性自認に分けられる。</p>［性的指向］<p>どのような性別の人を好きになるか、恋愛や性愛の感情の方向を表す。自分の意志というより、多くの場合に思春期の頃に気付く。</p>レズビアン＝女性の同性愛者（心の性が女性で好きになる性も女性）ゲイ＝男性の同性愛者（心の性が男性で好きになる性も男性）バイセクシャル＝両性愛者（好きになる性が女性にも男性にも向いている）［性自認］<p>自分の性をどのように認識しているか。「心の性」と言われることもある。</p>トランスジェンダー＝「身体の性」は男性でも「心の性」は女性というように、「身体の性」と「心の性」が一致しないため「身体の性」に違和感を持つ人クエスチョニング＝自分の性自認や性的指向が定まっていない、もしくは意図的に定めていない人のことを指す。「Q」はクィア（Queer）と表現されることもあり、もともと「不思議な」「風変わりな」といった同性愛者を侮蔑する言葉だったが、現代では規範的な性のあり方以外を包括する言葉としても使われている。<p>また「LGBTQ」に「+（プラス）」を付けて「LGBTQ+」や、複数形の「s」を付けて「LGBTs」と言われることも。これは性的マイノリティといっても、多様な人がいるため、容易にひとくくりにすることができないことを意味している。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/lgbtseo00003.jpg"></div><p>上に挙げた以外にも、以下のような多様な性を持った人たちがいる。</p>Aセクシュアル（アセクシュアル、エイセクシュアル）＝他者に対して性的欲求を持たない人を指すAロマンティック（アロマンティック）＝他者に対して恋愛感情を抱かない人を指すXジェンダー＝自身の性を、男女いずれかにも限定しない人を指すパンセクシュアル＝性的指向が性別にとらわれない人を指す<p>最近では、LGBTQに代わって「SOGI（ソジ、ソギ）」という言葉も広く使われるようになった。SOGIとは「Sexual Orientation（性的指向）」「Gender Identity (性自認)」の頭文字をとったもので、「Gender Expression（性表現）」の「E」を足して、SOGIE（ソジー・ソギー）と表現されることもある。</p><p>性のあり方に関わる概念を広く表す言葉で、「全ての人に性的指向や性自認の要素が備わっており、『自分の性』は『多様な性』の一つである」という意味を持つ。</p><p>「性」には、「身体の性」「心の性」「好きになる性」「表現する性（服装やしぐさ、言葉遣いなど、見た目の性別）」の4つの要素があると言われ、男性または女性と認識している人、どちらにも当てはまらない人、どちらか分からない人もいる。はっきり区切られるものではなく「性のあり方はグラデーション」であるということを、まずは理解しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_16440a1726a325dc120be7494fe0eb0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">性的マイノリティを取り巻く、さまざまな偏見や差別</h2><p>2020年の電通ダイバーシティ・ラボの調査によると、日本には約8.9パーセントの性的マイノリティに属する人がいると言われている。40人のクラスがあれば、3〜4人が性的マイノリティに当たるということだ。</p><p>しかし、彼らに対する社会の風当たりは強い。当事者団体であるLGBT法連合会が公式サイトで公開している<a href="https://lgbtetc.jp/wp/wp-content/uploads/2019/03/%E5%9B%B0%E9%9B%A3%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E7%AC%AC3%E7%89%88%EF%BC%8820190304%EF%BC%89.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「LGBT困難リスト」(外部リンク)</a>から、ほんの一部を紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_753e76e277839be30b63cc0254e952b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">学校での差別やいじめ</h3><p>性的マイノリティの当事者は、思春期にいじめやからかいの対象になることが多い。学校で「男のくせに」「気持ち悪い」「おかま」「ホモ」「レズ」（※2）などと侮蔑的な言葉を投げかけられ、自尊感情を傷つけられる。また、家庭の中でも親から虐待を受けたり、精神科に連れて行かれたりする事例も。</p><p>「誰にもバレたくない」という思いから相談相手や場所も見つけられず、不登校や最悪の場合には自殺に追い込まれることもある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c91212e3b5255df40e6b51c039a052aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">就職や昇進、福利厚生にも影響</h3><p>就職活動の際には、「男性」「女性」の選択肢しかない履歴書の性別欄で悩まされる自身の問題に加え、就職活動でカミングアウトした際に面接を打ち切られたり、内定を取り消されたりするケースがある。</p><p>就労面では、同性愛やトランスジェンダーをネタにした冗談やからかいといったハラスメントのほか、昇進、昇格に影響を及ぼす場合もある。</p><p>また、福利厚生面でも支障をきたすことがある。パートナーやその子どもが法的な配偶者や子どもと認められず、既婚者であれば当たり前のように受けられる扶養手当・家族手当、育児休暇や看護休暇の対象にならないことも多い。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/lgbtseo00002.jpg">「無理解」による差別をなくすことが最も難しい問題かもしれない。cuttingtool/shutterstock.com</div><h3 id="tnf-text-heading-block_e46134e4e4601a6f84e7516515a42cc8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">医療や社会保障における格差</h3><p>本人の場合、戸籍上の性（身体の性）と心の性が一致しないことから、医療機関を見つけることが困難だったり、受診自体を断念し症状が悪化してから受診することが多い。</p><p>パートナーの場合、相手に外科手術が必要となった際、親族として認められず手術の同意書にサインできないことが。相手が意識不明の状態の入院をしても、医療機関から安否や治療内容に関わる情報を教えてもらえず、中には面会すら断られるケースもあるという。</p><p>また公的面においては、日本では同姓カップルの婚姻が法的に認められていないため、税の配偶者控除や死亡した際の遺族年金など、さまざまな社会保障を受けることが難しい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_70748f3ba36b45008486158f2826edbd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">性的マイノリティへの関心・問題意識は広まりつつある</h2><p>大会理念に「ダイバーシティ＆インクルージョン（以下、D＆I※3）」を掲げた東京2020オリンピック・パラリンピック。その理念は、性的マイノリティに対し社会にどのような変化をもたらしたのか。</p><p>日本財団では、東京2020オリンピック・パラリンピック開催前後（2019年と2021年）における、ダイバーシティ＆インクルージョンの認知や理解、および社会的マイノリティに対する意識の変化を明らかにするため、10代～60代の男女、5,216人を対象に<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20211130-64961.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">調査（別タブで開く）</a>を行った。</p><p>図表：社会的マイノリティの対象例、日本社会における社会マイノリティに対しての偏見や差別の有無</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/ff5c1d0de0d0ef26eeee801b5e66417f.jpg"><p>「LGBTQの人に対する偏見や差別がある」と答えた人は、2019年の調査では87.8パーセントであったが、東京2020オリンピック・パラリンピック開催後の2021年の調査では77.4パーセントと10.4ポイント減少。徐々にではあるが、LGBTQへの関心・問題意識が広まり、改善されつつあるということが言えるのではないだろうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a4c6ad437b5db8dbc5378298f768733c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが「自分らしく生きられる社会」にするために</h2><p>日本だけでなく、世界でも多くの性的マイノリティの人たちが偏見や差別を受けている。それに対し、各国ではどのような取り組みを行っているのか、紹介したい。</p><p>欧米では、同性婚を認めている国（オランダ、カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド等）が多い。また、これらの国では、性的指向および性自認を理由とした差別を禁止した「差別禁止法」も同時に整備されているところが多い。他にも、自身の性別について自分で決められる「性別認定法」（アイルランド、イギリス）や、トランスジェンダー法（オランダ）等が設けられている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/lgbtseo00001.jpg">世界ではLGBTをはじめ性的マイノリティに対する差別をなくす取り組みや活動が広がっている。Mazur Travel/shutterstock.com<p>アジア最大級のプライドパレード（LGBT文化を讃えるパレードのこと）が開催され、性的マイノリティについての教育が整備されている台湾では、2019年にアジアでは初の「同性婚法」が施行され、多くの同姓カップルが結婚できるようになった。</p><p>日本では2015年の渋谷区、世田谷区を皮切りに、現在200以上の自治体でパートナーシップ制度が施行されている。また、東京都は2022年11月より<a href="https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/10jinken/sesaku/sonchou/partnership.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「東京都パートナーシップ宣誓制度」（外部リンク）</a>の運用を開始した。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/10/e5277429eaee8202e16c13f526f526de.jpg"><p>これはパートナーシップ関係にある2人からの宣誓・届出を、都が受理したことを証明（受理証明書を交付）する制度だ。これにより<a href="https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/soumu/1742_handbook" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日常のさまざまな場面（外部リンク/PDF）</a>で受理証明書を活用することができるようになる。例えば、都営・都民住宅の入居申込みや、都立病院におけるパートナーの診療情報の提供、里親の認定登録なども可能になる。</p><p>性的マイノリティの人たちが偏見や差別を受けることのない社会をつくるために、まずは無関心でいるのではなく、性も個性の一つであり、多様な形やグラデーションがあることを理解するところから始めよう。</p><p>そして、自分が「アライ（理解者・支援者）」となって考え方を示していくことが、不足する法整備を進め、やがて当たり前のものとして社会全体に広まっていくはずだ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_9c23dbf493ef0d4b0652fe8ce09f77ba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：<a href="https://www.moj.go.jp/content/001341628.pdf" target="_blank" rel="noopener">多様な性への理解と対応ハンドブック｜法務省（外部リンク/PDF）、LGBTQ+とは｜TOKYO RAINBOW PRIDE（外部リンク）</a>※2.一般的に「ホモ」「レズ」は、差別的ニュアンスを含んでいるとされており、「ゲイ」「ビアン」と呼ぶことが推奨されている※3.「ダイバーシティ＆インクルージョン」とは、人種や性別、年齢、障害の有無といった多様性を互いに尊重し、認め合い、誰もが活躍できる社会づくりのこと</div>    ]]>
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      <title>誰もが移動することを諦めない社会づくりを！ モータージャーナリスト竹岡圭さんが語る理想の「福祉車両」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122723/disability</link>
      <pubDate>Tue, 16 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「福祉車両」とは、高齢者や障害者の移動をサポートするために特別に設計された車のこと</li><li>買い物やお出かけなど「普段から使える車」として進化しているものの、「特別な車」という先入観が普及の壁になっている</li><li>高齢化や過疎化が進む未来。福祉車両を当たり前の選択肢として捉える環境づくりが、誰もが移動を諦めなくていい社会につながる</li></ul><p></p><p>ショッピングモールや飲食店の駐車場で、車いす専用の駐車スペースを見かけることが増えてきました。一方で、そういった福祉車両を利用したことがある人や、その必要性を「自分ごと」として考えたことがある人は、まだ多くないかもしれません。</p><p>「福祉車両」とは、高齢者や障害のある人の移動を支えるため、乗り降りや運転をしやすいように設計された車のこと。車いすのまま乗ることができる「車いす仕様車」や、自分で運転操作を行う「自操式車両」、シートが回転・昇降するタイプなどさまざまな種類があり、見た目もスタイリッシュに「普段から使える車」として進化を遂げています。</p><p>高齢化が進む日本では、介護や身体の不自由さによって「移動」に困難を抱える人が増えています。にもかかわらず、高齢者や障害のある人のための車と「特別視」されがちで、それが普及の壁になっていると、モータージャーナリストの竹岡圭（たけおか・けい）さんは話します。</p><p>竹岡さんは、父親の介護や、自身が変形性股関節症を患った経験から、「福祉車輌取扱士スペシャリスト（※1）」の資格を取得し、最新の福祉車両の性能や、それにより広がる暮らしの可能性を発信しています。</p><p>「父にもっといろいろな景色を見せてあげたかった」</p><p>そう振り返る竹岡さんに、福祉車両の現在地や普及における課題、そして誰も移動することを諦めなくていい社会づくりのヒントを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c9840a04724be56d4ba8ddd0786e1f3d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">資格取得のきっかけは、父の介護と自身の病気</h2><p>――まずは竹岡さんが、福祉車輌取扱士スペシャリストの資格を取得されたきっかけを教えてください。</p><p>竹岡さん（以下、敬称略）：福祉車両に興味を抱いたのは2006年頃に末期の肺がんとなった父の介護を経験したこと、そして2016年に私自身が変形性股関節症（※2）という病気になったことです。激痛で歩けなくなることもあり、「このままでは車を運転できなくなってしまうかもしれない」という恐怖を感じました。</p><p>結果的にその後、両足の人工股関節置換の手術を受けたので運転に支障はなくなりました。ですが当時は車に関わる仕事をしていたこともあって、車に乗れなくなったら困るという思いが強くあったんです。</p><p>そのときに頭に浮かんだのが、福祉車両でした。</p><p>父を介護していたとき移動に困る経験もしていましたし、もし自分の体に何かがあり足が動かなくなっても、福祉車両なら手で運転することもできる。これを機に福祉車両について学ぼうと思い、福祉車輌取扱士、そして上位資格である福祉車輌取扱士スペシャリストの資格を取得しました。</p><p>――お父さまの介護の場では、「移動」に関してどんな困難がありましたか。</p><p>竹岡：病院への移動はとくに大変でした。私の父は178センチメートルと大柄で、私とは20センチほど身長差があり、支えながらバランスを取るのがとても難しかったです。</p><p>また当時私が乗っていた車はVWゴルフGTIとBMW MINI R50の2台でどちらも車高が低めの車だったので、乗り込むときに腰を大きく落とさなければならず、それもかなり負担になっていました。</p><p>その後、父は歩くこと自体が難しくなり、移動手段が車いす、ストレッチャーへと変化していきました。そのたびに、車いすが乗るバンをレンタルしたり、介護タクシーを利用したりしていましたね。</p><p>介護は、本人の状態が少しずつ変わっていきます。それに併せて必要な移動手段も変わっていく大変さを強く感じました。</p><p>――要介護状態のお父さまと、お出かけをされることもあったのでしょうか。</p><p>竹岡：はい。印象深かったのはちょっと笑ってしまう話なんですけど、「自分が入るお墓を掃除して、あいさつをしておきたい」と父が言い出し、お墓のある軽井沢に連れていったことです。その道中では食べ歩きも楽しみ、いい思い出になっています。</p><p>ただ、実際に介護をしながら出かけてみると、エレベーターの位置が分かりづらかったり、バリアフリーの動線が複雑だったりと、移動に関する課題もたくさん見えてきました。</p><p>介護はする側もされる側も、心の負担がとても大きいと思います。お互いに気を使うし、本音を言えないことも多い。</p><p>父も「ここに行きたい」といろいろと話してくれてはいましたが、本当はどこまで我慢していたのか、どんな気持ちだったのかは分かりません。だから、もっといろいろな景色を見せてあげたかったなという思いは今でもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_2.jpg">福祉車両に関する資格を取得したきっかけについて話す竹岡さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_3.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_439ea66f54b15386d69f3fe703d1ec6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉車両を特別なものにしない。それが進化と普及を後押しする</h2><p>――現在、福祉車両はどのように進化しているのでしょうか。</p><p>竹岡：最近では、ホンダさんやマツダさんが手だけでアクセルやブレーキを操作できる車両を展開しています。操作方法は違いますが、どちらのメーカーの車両も、通常のペダル操作と手動操作を切り替えられるため、1台の車を家族で共有することができるのが特徴です。</p><p>現在の福祉車両は、新しい技術が次々と登場しているというより、既存の機能をさらに使いやすく磨き上げるアップデート型の進化を遂げています。つまり「福祉車両」という特別なカテゴリーを発展させるというより、どんな人にとっても使いやすい車へと進化している感覚です。</p><p>――どんな人にとっても使いやすい、とはどういうことでしょうか。</p><p>竹岡：例えば、運転席や助手席のシートが回転したり、外側に傾いたりしてせり出す機能が一般車両のオプションとして普及し始めています。これは福祉目的だけでなく、膝が痛い方や着物を着ている方の乗り降りにもとても便利で、福祉車両という枠を超えた進化といえます。</p><p>また車いすを載せるためのスロープ付き車両も進化しています。</p><p>これまでは使わないときはスロープを立てて収納するのが一般的でしたが、この状態ですと荷物が積みにくかったんです。最近ではスロープを前倒しできる車種も登場し、車いすを使わないときは普通の乗用車のようにフラットな荷室として使えるようになりました。</p><p>さらに、スロープ自体も短くなり、狭い場所でも展開しやすくなるといった、細かな改善が積み重ねられています。</p><p>――海外の状況はどうでしょうか。</p><p>竹岡：進んでいる国と比べると、日本はまだ発展途上だと感じます。</p><p>私自身はまだ実際に行けていないのですが、ドイツの福祉機器展示会「REHACARE」では、もっとスタイリッシュなデザインのものや、一般車両に後付けできる福祉パーツなども多く展開されていると聞いています。</p><p>――日本の福祉車両の開発が進みにくい理由はなんでしょうか。</p><p>竹岡：自動車メーカーにとって、福祉車両は販売台数が限られる小さなマーケット。ただでさえ日本は人口減少が進み、一般乗用車市場も伸びにくくなっています。そのなかで、各メーカーは世界市場に向けて車をつくらなければなりません。</p><p>でも国ごとに安全基準や燃費、排ガス規制などが異なるので、それら全てに対応しながら福祉車両まで展開するのは、かなりハードルが高いんですよね。</p><p>――その状況を変えるには、どんなことが必要だと思われますか。</p><p>竹岡：車両そのものをゼロから開発するのは、どうしてもコストがかかります。そのため、今後は既存の車に後付けできる装置やパーツの開発が、普及のカギになると思っています。</p><p>――利用者側にもハードルはありますか。</p><p>竹岡：はい。例えば、介護期間が短い場合、高価な福祉車両を買い替えるのは大きな負担です。福祉車両のサブスクリプションやレンタルの仕組みは、まだ十分とはいえません。</p><p>また、日本には「不自由さを隠したい」という文化も根強く残っていると感じます。「福祉」という言葉がつくだけで、高齢者や障害のある人専用の特別な乗り物という印象になってしまう。そこが普及のハードルになっている部分は大きいと思います。</p><p>それを超えるためには、「介護に必要だから仕方なく使う」のではなく、「便利だから選ぶ」という感覚に変わっていくことが重要だと思うんです。</p><p>例えば、高齢者向けのスマートフォンでも、「高齢者専用」と強く打ち出されると、選ぶことに抵抗を感じる人もいますよね。その点、iPhoneは「Pro」や「Max」といったモデル名によって、自分に必要な機能を前向きに選べ、そのなかで自分に合わせてカスタマイズがしやすいようになっています。</p><p>福祉車両も「便利だから選ぶ」「かっこいいから選ぶ」という感覚で、自然に選択できるようになるといいなと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_4.png">ハンドルでアクセルやブレーキ操作ができる「マツダ CX-30 Self-empowerment Driving Vehicle」を紹介する竹岡さん。画像提供：ビリーヴチャンネル<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_5.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_1aa6044d3d705a05abad8fd43fe90411" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">竹岡圭さんが考える「人に優しい車」とは？</h2><p>――モータージャーナリストと福祉車輌取扱士、両方の視点から見た、人にとって本当に優しい車とは、どんなものだと思いますか。</p><p>竹岡：まず、誰が見ても「かっこいい」と思えるデザインであること。そして、とにかく簡単に使えることが重要だと思います。結局、操作が面倒なものは使わなくなってしまいますから。</p><p>介護はする側、される側のどちらにも心理的な負担があります。でもやっぱり出かけたいと考えるのは、人間の本能です。おいしいものを食べたいし、きれいな景色を見たい。介護が必要になっても、その間を少しでも楽しく過ごせるように、福祉車両も改良されていくといいのかなと思います。</p><p>――誰もが移動を諦めない社会のために、必要な意識のアップデートとはどんなものでしょうか。</p><p>竹岡：これからは高齢者が確実に増えていきます。それは決して特別なことではなく、身近にいる人も、そしていつか自分自身も必ず年齢を重ねるということです。だから福祉という特別な枠で考えるのではなく、「自分ごと」として捉えていく必要があると思います。</p><p>もちろん人同士が助け合うことも大事ですが、これからは人手不足も進みます。道具や技術に頼ることは絶対に必要になってくると思います。</p><p>私自身、変形性股関節症になって、歩けなくなるかもしれないと感じた時に、改めて車の可能性も実感しました。車は足の代わりになってくれる大きな可能性を持っているからです。</p><p>さらに地方の高齢化や過疎化が進むにつれて、路線バスなどのライフラインがなくなっていっても、自動運転の技術が新たな可能性になるかもしれません。それを福祉のためだけではなく、誰にとっても便利なものとして開発していくことが大切なのだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_6.jpg">自身でレーシングチームを持ち、カーレーサーとしても活躍する竹岡さん。画像提供：人力舎<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/takeoka_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_db4094e796f0fa489bba1d5e4bf16baa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが自由に移動できる社会づくりのために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、病気や障害の有無に関係なく、誰もが移動することを諦めなくていい社会にするために、私たちにできることを竹岡さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3c46040c43775637aa731e2bb6a8ffe3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］高齢化や体の不自由さを自分ごとだと捉える</h2><p>高齢化や障害は、特別な誰かの問題ではなく、自分や大切な家族にも起こりうること。まずは「いつか自分にも起こるかもしれない」と想像することが、助け合いの第一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_79e20e98052061ab9c828d0762ba4169" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">周囲に意識を向け、何に困っているのかを想像する</h2><p>スマートフォンなどに集中し、自分の世界だけを見てしまいがちな今だからこそ、周囲に目を向けることが大切。移動に困っている人がいないかを少し想像するだけでも、社会はもっと生きやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c6a0762acd8e676449b0151ae43739a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］声をかけ合い、譲り合う空気をつくる</h2><p>「心のバリアフリー」を育むためには、日常の小さな声かけや譲り合いが欠かせない。困っている人を見かけたら「何かお手伝いしましょうか」と、声をかけてみる。その積み重ねが、誰が生きやすい社会につながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>人の移動の可能性を広げてくれる車。その力を知っている竹岡さんの言葉からは、福祉車両が単なる介護のための車ではなく、人の人生や選択肢を支える存在であることが伝わってきました。</p><p>そして「福祉」という枠で特別視しないことが、開発や普及においても重要です。そうした意識が広がることで、年齢を重ねても、体が不自由になっても、誰もが自由に移動できる社会の実現につながっていくのではないかと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_1fc7c1325347fe8c26c31184b554a56e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「福祉車輌取扱士スペシャリスト」とは、福祉車両に関する専門知識を持ち、利用者に合った車両選びや活用方法を提案する専門資格※2.「変形性股関節症」とは、股関節のクッションの役割を果たす「関節軟骨」がすり減り、痛みや歩行障害を引き起こす病気のこと</div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d218edab7ddd2c0ea5ff7d803dfc7ecc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> 竹岡圭（たけおか・けい）</h2><p>モータージャーナリスト、福祉車輌取扱士スペシャリストとしてテレビや雑誌、Webメディアなど幅広い媒体で活躍する。日本自動車ジャーナリスト協会（AJAJ）副会長、日本・カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、JAFモータースポーツ振興委員会委員、自動車技術会正会員、国際交通安全学会委員なども務める。</p><p><a href="https://www.youtube.com/channel/UCK222uVEmx_IQpCeF5Pwwww" target="_blank" rel="noreferrer noopener">竹岡圭さん公式YouTube「圭Tube☆竹岡圭のカートークバラエティ☆」</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 16 Jun 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>被災した「未指定文化財」は公的支援を受けられない？ 台風で被災した京都・平野神社「三十六歌仙絵」が修理されるまでの軌跡</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122571/traditional_culture</link>
      <pubDate>Wed, 10 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本において、被災した文化財の多くは、公的支援の対象外となっている</li><li>建物は復旧しても、絵画や工芸品などの修理費用が不足するケースが少なくない</li><li>文化財を未来へ引き継ぐには、「行政任せではない支援の仕組み」が必要</li></ul><p></p><p>2018年秋、日本列島を直撃した台風21号。京都・<a href="https://www.hiranojinja.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">平野神社（外部リンク）</a>でも拝殿が倒壊するという甚大な被害を受けました。ニュースでその痛ましい姿を目にし、心を痛めた人も多いのではないでしょうか。</p><p>その後、公的資金や全国から寄せられた多くの義援金により、拝殿は見事に元の姿を取り戻しましたが、その影で「取り残されたもの」がありました。</p><p>倒壊した拝殿とともに被災し、泥だらけになった貴重な文化財「三十六歌仙絵（さんじゅうろっかせんえ※1）」です。拝殿の修理に義援金が充てられた結果、絵画の修理費用は捻出できず、長らく被災したままの状態で保管されていました。</p><p>実は、こうしたケースは決して珍しくありません。地震や台風、豪雨が相次ぐ日本では、多くの文化財が災害による被害を受けています。</p><p>しかし、国や自治体の指定を受けていない文化財の多くは、公的支援の対象になりにくく、修理費用を確保できないまま失われていく危機にさらされています。</p><p>地域の歴史や記憶を宿す文化財。「未来の国宝」になるかもしれない貴重な文化財を、誰が、どのように守っていくのか？</p><p>この記事では、平野神社の禰宜・小野兼司（おの・けんじ）さん、修理に関わった<a href="https://www.bokkodo.co.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">岡墨光堂（おかぼっこうどう）（外部リンク）</a>の岡岩太郎（おか・いわたろう）さんにお話を伺いました。平野神社の事例から、災害時に文化財を守る仕組みの課題と、未来へ引き継ぐために必要な支援のあり方を考えます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c21122dd27eb8c74923f01863fa88e95" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">倒壊した拝殿の下敷きになり、被災した「三十六歌仙絵」</h2><p>――平野神社の禰宜、小野兼司さんに伺います。まず、平野神社の由来について教えてください。</p><p>小野さん（以下、敬称略）：平野神社は、もともとは、平城宮の宮中（桓武天皇の父光仁天皇の御所）に祀られていましたが、延暦13（794）年の平安遷都と同時に、桓武天皇の命により現在の地へ遷されました。</p><p>古くから朝廷の崇敬を集め、長い歴史のなかで多くの文化財や信仰が受け継がれ、平安時代に花山天皇が桜をお手植えされて以来、桜の名所としても親しまれてきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_1.jpg"><p>――2018年の9月4日に近畿地方を直撃した台風21号ではどのような被害を受けたのでしょうか。</p><p>小野：その日は、外を歩くのも危険なほどの暴風に見舞われました。私たちも建物のなかに避難していたのですが、突然「ドン」という大きな音がして、慌てて確認すると拝殿が倒壊していました。あまりに突然のことで、呆然としました。</p><p>拝殿は1650年に建立されたもので、6本の柱で支えられていました。しかし、南から吹き付けた猛烈な突風によって南側の柱3本が折れ、屋根が押し潰されるような形で崩壊しました。風速は50メートル近かったともいわれています。</p><p>拝殿内部に掲げられていた「三十六歌仙絵」もその下敷きになり、3分の1が割れたり、泥に覆われたりするなど深刻な被害を受けました。</p><p>ほかにも、根元から折れてしまった桜もあり、本殿でも屋根の檜皮（ひわだ）がはがれるといった被害がありました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_2.jpg">台風21号の影響により倒壊した平野神社・拝殿。京都府の指定文化財に指定されている。画像提供：平野神社<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_3.jpg"><p>――拝殿の修理は、どのように進められたのでしょうか。</p><p>小野：拝殿は京都府の指定文化財だったことから、公的な補助を受けることが可能でした。そのため、比較的早い段階から修理を進めることができました。それでも修理には、約3年間を要し、費用は1億2,000万円ほどに上りました。</p><p>指定文化財の修理では、建てられた当時の部材をできるだけ残すことを前提として修理が行われます。今回も、壊れた部分を全て新しく作り替えるのではなく、残せる部材は活かしながら作業が進められました。折れた6本の柱のうち、1本は継ぎ合わせて再利用し、残る5本は新たに作り直しています。</p><p>また、将来の災害に備え、文化財としての外観を損なわないよう配慮しながら、柱にアンカーボルトやワイヤーを設置するなどの補強も施しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_4.jpg">2021年9月に修理が完了した平野神社の拝殿。画像提供：平野神社<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_5.jpg"><p>――「三十六歌仙絵」の修理の経緯について教えてください。</p><p>小野：「三十六歌仙絵」は、近衛基煕（このえ・もとひろ）の書と、海北友徳（かいほう・ゆうとく）の絵によるもので、江戸時代初期、寛文年間に公卿・平松時量（ひらまつ・ときかず）が寄進したものといわれています。</p><p>神社にとって大切な文化財でしたが、指定文化財ではなかったため、公的な補助の対象にはなりませんでした。まずは拝殿の再建を優先せざるを得ず、絵の修理にはすぐ取りかかれなかったのが実情です。</p><p>その後、京都府からの紹介で、専門的な知識と技術を持つ岡墨光堂さんに修理を依頼することになりました。</p><p>作業では、付着した泥や汚れを落としながら、これ以上絵が傷まないよう“現状維持”を重視した処置が施されました。36枚の修理費用は約1,000万円に上り、日本財団による文化財修理支援事業<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/iroha-nihon" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「いろはにほん」プロジェクト（別タブで開く）</a>の助成も活用しながら、3年をかけて進められました。</p><p>――修理を終えた「三十六歌仙絵」を見て、どのようなお気持ちでしたか。</p><p>小野：まずは助成金や義援金など、多くの方の支えによって修理できたことに、何よりも感謝しています。</p><p>ただ、可能な限り手を尽くしていただいたものの、約3分の1は割れた状態のまま保存せざるを得ませんでした。完全に元の姿へ戻すことはできませんでしたが、今の技術でできる限りの処置をしていただけたと思っています。</p><p>――修理後の「三十六歌仙絵」は、一般公開されているのでしょうか。</p><p>小野：現在は公開していません。なかには大きく割れ、破片を横に添えた状態で保存しているものもあるため、以前のように拝殿へ掲げるのは難しいと、岡墨光堂さんからもお話がありました。</p><p>平らな場所に並べて展示することは可能かもしれません。ただ、被災した状態を含め、今の姿をどのように見ていただくべきなのか、私たちとしても考える部分があります。いまはこれ以上劣化させず、文化財を守り受け継いでいくことを優先して保管しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_6.jpg">もともと「三十六歌仙絵」が掲げられていた拝殿内部。今はその姿を見ることはできない<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_74512c3117cb4c9ec2822cd3d0f499e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">先人から受け継ぐ文化を、未来につなぐ</h2><p>――長い歴史の中で受け継がれてきた文化財を守り、後世へつないでいくことについて、どのように考えていますか。</p><p>小野：神社に残る建物や文化財は、先人たちが長い年月をかけて守り続けてきたものであり、私たちも、次の世代へ残していくことが使命だと思っています。</p><p>境内には多くの文化財がありますが、残念ながら、それぞれの背景や価値を十分に伝えきれているとはいえません。今後は、私たち自身が平野神社について知っていただくために発信することも必要だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_8.jpg">平安時代から「京都随一の桜の名所」として愛されてきた平野神社。境内には約400本の桜が植えられ春は大勢の観光客でにぎわう。画像提供：平野神社<p>――今後の災害への備えについて、文化財を守る上での課題や難しさをどのように感じていますか。</p><p>小野：最も大きいのは、やはり資金面の問題です。神社は一般に思われているほど潤沢な資金があるわけではなく、多くは日々の積み立てや寄付によって支えられています。平野神社でも、今回の修理費用の多くは寄付金や義援金によるものでした。</p><p>国の重要文化財であれば費用の約7割は補助されますが、残りは自分たちで用意しなければなりません。さらに、補助金は一度こちらで費用を支払った後に交付されるケースも多く、最初に資金を準備できなければ修理に着手できない難しさもあります。</p><p>また、未指定の文化財に対する支援制度は自治体によって内容が異なるため、地域による差も感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_589cc27385e646d335b1811b008f5724" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">完全な修理は断念。「被災文化財」として受け継ぐ</h2><p>――ここからは、岡墨光堂の代表・岡岩太郎さんにお話を伺います。岡墨光堂の成り立ちから教えていただけますか。</p><p>岡さん（以下、敬称略）：1894年（明治27年）に、日本画の表装や販売までを一貫して手がける「表具師（ひょうぐし）」として創業しました。</p><p>戦後、2代目が欧米の修理技術者と交流を持ったことで、職人の経験や技術だけではなく、学術的、科学的な視点から文化財を修理する重要性を学びました。</p><p>その後、国内でも文化財を守る意識が高まる中で、国宝や重要文化財の修理を本格的に手がけるようになり、現在は私どもの事業の中心になっています。</p><p>――三十六歌仙絵の修理に関わった経緯について教えてください。</p><p>岡：2018年の台風21号は、京都市民にとって大きな衝撃でした。京都市はこれまで自然災害による文化財の被害が比較的少なかったこともあり、お寺や神社が被害を受けたことは非常に印象に残っています。平野神社の被害の大きさも、新聞報道で認識していました。</p><p>ただ、まず建物の復旧が優先されるため、その時点では状況を見守っている段階でした。</p><p>その後、2021年頃に京都府の文化財保護課から相談を受けたことが、この修理に関わるきっかけになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_9.jpg"><p>――初めて被災した「三十六歌仙絵」を目にした時の印象を教えてください。</p><p>岡：とても痛々しい状態でした。ある程度予想はしていたのですが、建物が倒壊し、雨風にさらされた状態から救出されるまでに時間がかかったため、表面には想像以上に泥が堆積していました。</p><p>私たちが平野神社を訪れたのは台風発生から約3年後。その間に泥が乾燥して収縮し、表面の絵の具が泥と一緒に持ち上がるようにはがれ、うろこ状に絵の具が剥離している部分も見られました。</p><p>こうした状態自体は過去にも経験がありますが、全体としてはかなり深刻な損傷でした。</p><p>特に問題だったのは、物理的に破損している箇所です。もともと曲がっていたのではなく、倒壊の衝撃で下敷きになり、水分を含んだ状態で変形してしまったため、無理に力を加えるとさらに割れてしまう可能性がありました。</p><p>熱を加えれば一時的に形を戻せる可能性もありますが、絵の具を定着させている膠（にかわ）にも影響が出るため、簡単に処置できるものではありません。</p><p>なんとかして元に戻したいという思いはありましたが、どこまで修理として許容できるか、慎重な判断が必要です。</p><p>絵の具層と木材の一部を薄く剥離させて、新しく基底材に貼り直すといった方法をはじめ、さまざまな方法を検討しましたが、文化財修理の倫理として適切ではなく、最終的には採用できませんでした。関係者と協議を重ね、被災した状態を残しながら、これ以上劣化させない「被災文化財（※2）」として修理を進めることになりました。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_10-1.jpg">「三十六歌仙絵」の損傷図面（紀貫之像）。埃が堆積した箇所や絵具が剥離した箇所など、修理が必要な箇所が記されている。画像提供：株式会社岡墨光堂 </div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_11.jpg"></div><p>岡：ただ、今回に限らず文化財の修理は恒久的に保存を保証するものではありません。100年後にはまた必ず修理の時期が来ますし、その頃には新しい技術が生まれている可能性もあります。文化財の修理とは、次の世代の人たちに負担がかからないようにしていくことが最も重要だと私たちは考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_12.jpg">土埃等が付着、堆積した「三十六歌仙絵」の修理前（左）と修理後（右）。画像提供：株式会社岡墨光堂<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_13.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_14.jpg">縁と板絵が分離した「三十六歌仙絵」の修理前（左）と修理後（右）。画像提供：株式会社岡墨光堂<p>――特に大変だったのはどのような点でしょうか。</p><p>岡：一気に作業を進めることができないため、泥を少しずつふやかしては取り除き、絵の具の状態を観察しながら慎重に進めるしかありませんでした。12枚を仕上げるのに約1年かかるペースで、1枚あたりおよそ1カ月。ひとりの技術者がつきっきりで向き合い、3年をかけて修理を行いました。</p><p>最も工夫を要したところは修理後の保管方法です。理想としては温度や湿度の変化が少ない環境で、書画の場合はおおよそ温度22度、湿度55パーセント前後が目安になります。</p><p>しかし実際には、神社やお寺では空調のない土蔵や、本殿など建物そのものが保管場所になっていることも多く、環境を理想的に保つことは難しいのが現状です。梅雨時には湿度が90パーセント近くまで上がるところもあり、カビのリスクも懸念されました。</p><p>そのため、重さを抑えつつ、ある程度の強度と通気性を持たせた保存箱を、専門の業者に特注で製作してもらいました。中性に調整した紙を用い、桐のように呼吸性を持たせた構造になっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_15.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/hirano-jinjya_16.jpeg">技術者による「三十六歌仙絵」の修理作業。額の裏面に付いた土埃等を除去する様子。画像提供：株式会社岡墨光堂<h2 id="tnf-text-heading-block_b324d43fb4f11bcedc8cd1b2dbde67c5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">文化財を支える「修理」という仕事にも目を向けてほしい</h2><p>――日本の文化財保護に対する支援の仕組みについて教えてください。</p><p>岡：文化財の修理は、単に「物を直す」だけの仕事ではありません。併せて、その技術を担う人を育てていくことも重要な役割です。修理技術者を一人前に育てるには、最低でも10年から15年かかります。国（文化庁）は文化財修理の予算を確保することで、こうした技術の継承を支えています。</p><p>日本には、書画の修理に不可欠な和紙、刷毛、桐箱、金工品といった伝統的な材料や道具が今なお使われ続けている点は大きな特徴です。海外の修理家からは、こうした材料が実際に手に入る日本の環境は「夢の国」とうらやましがられるほどです。</p><p>文化財の修理に必要な技術や材料を支える人々を守るために、「選定保存技術（※3）」という制度があり、これが日本の文化財保護の基盤の1つになっています。</p><p>災害対応の面では、阪神・淡路大震災や東日本大震災の経験を踏まえ、国による文化財防災のための体制が整備され、多様な文化遺産に関わる関係団体の連携も強化されてきました。能登半島地震では、過去の教訓が生かされ、レスキューの初動も早くなっています。</p><p>――では、課題はどのような点にあると感じていますか。</p><p>岡：国の予算や支援は国宝や重要文化財に優先的に割り振られるため、それ以外の文化財、いわば“未来の国宝”になり得る価値を持つものにまで十分に手が回らないという課題があります。</p><p>また、過疎化や少子化の影響により、地方の神社や寺で神職や住職がいなくなる「無住化」も進んでいます。その結果、文化財が適切に管理されないまま劣化していくリスクも高まっています。</p><p>加えて、修理の現場がこれまであまり発信されてこなかったことも課題の1つです。文化財がきれいに残っているのは当たり前だと受け取られやすく、支援や寄付につながりにくい現状があります。</p><p>長年この分野は“黒子”として裏方に徹することが美徳とされてきたため、修理のプロセスや価値そのものが社会に伝わりにくい構造もあるでしょう。その上で、10代から30代の若い世代に対して、文化財や伝統技術の価値をどう伝え、次世代につないでいくかも大きな課題だと感じています。</p><p>――これから文化財を守っていくために、どのような取り組みが必要だとお考えですか。</p><p>岡：まずは文化財のファンになってもらうことですね。きっかけは、「これが好き」「この作品が気になる」といったささやかな興味からでいいと思います。</p><p>その上で、私たちが修理のプロセスを発信していくことで、文化財がどのように守られているのかを知ってもらう。そして最終的には、修理について議論し、関心を持って関わってもらえるような環境をつくっていくことが理想です。</p><p>また、今回保管用の箱を発注した業者さんのように、さまざまな技術者がいなければ修理は成り立ちません。文化財修理は建物や作品だけでなく、“見えないインフラ”によって支えられているという視点も必要です。</p><p>現代ではクラウドファンディングが盛んですが、かつては寺院や神社の造営、修繕のために寄付を募る「勧進（かんじん）」という仕組みがありました。</p><p>文化財の修理には公的予算だけでは対応しきれない現実があり、民間が主体となって支える仕組みの必要性は今後さらに高まっていくでしょう。現代における勧進のような形として、100円、200円といった少額からでも参加できる仕組みが広がっていけばと思います。</p><p>こうした積み重ねを通じて、「自分たちの文化財は自分たちで守る」という意識を社会全体で育てていくことが、100年先へ文化財をつないでいくために必要ではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3639dd565f911fc18ec17bc08a6250bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">文化財を未来に受け継ぐために、私たち一人一人ができること</h2><p>文化財を保護し、次の世代に伝えるために、私たち一人一人にできることを岡さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_933892c15814eedeb29c696b14d0677a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］“推し”の文化財を見つける</h2><p>日本全国にはさまざまな文化財が存在する。自分が住む地域や旅先にある文化財を調べたり、実際に足を運んだりしながら、お気に入りの文化財を見つけることが文化財を受け継ぐ第一歩となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_03d59569095f2a2af8c39eee7a637cb4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］文化財は定期的に修理されているという認識を持つ</h2><p>文化財が美しい状態で残っているのは当たり前のことではない。数十年から100年単位で継続的な修理が行われており、その裏側には多くの人の手が関わっていることを知る</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1725e3192affd9cfcb716a526c283a77" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］守るための仕組みに関わってみる</h2><p>寄付やクラウドファンディングなど、小さな形でも支える仕組みに参加してみる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>取材時、残念ながら修理が完了した三十六歌仙絵を見ることは叶いませんでしたが、小野さんに修理された拝殿を案内していただきました。古い木材と新しい木材を継いでいる箇所を目にし、被害の大きさを改めて実感したと同時に、修理に携わった職人の技術の高さにも驚かされました。</p><p>文化財は長い時間の中で修理を重ねながら受け継がれてきたものであり、裏側には見えない多くの手が関わっています。そのことを少しでも知ってもらうきっかけになればと思います。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><div id="tnf-text-notes-block_e7f147f9ee17c5bc4a1f1b0ad19f1212" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「三十六歌仙絵」とは、平安時代の公家・藤原公任（ふじわら・の・きんとう）が選んだ、柿本人麻呂（かきのもと・の・ひとまろ）や紀貫之（き・の・つらゆき）、大伴家持（おおとも・の・やかもち）、小野小町（おの・の・こまち）といった優れた和歌の詠み手36人の肖像画に、その代表的な和歌を書き添えた絵画作品のこと※2.「被災文化財」とは、地震や津波、台風、豪雨などの自然災害によって被害を受けた歴史的建造物や資料、史跡などのこと。歴史を継承する貴重な財産として保護や修理作業を並行して行う※3.「選定保存技術」とは、国宝や重要文化財などの「文化財そのもの」ではなく、それらを修理・保存・復元するために欠かせない「伝統的な技術や技能」を選定し、その保持者や保存団体を保護する制度</div>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>学校に行きたいのに朝起きられない――思春期に多く見られる疾患「起立性調節障害」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122397/disability</link>
      <pubDate>Thu, 04 Jun 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>起立性調節障害とは「朝起きられない」「立ちくらみやめまいを起こしやすい」などの症状が出る思春期に多い疾患</li><li>午後から夜にかけて症状が緩和するため「怠け」と誤解されやすく、偏見や精神的な負担も課題</li><li>病気を正しく理解し、寄り添うことが大切。学校における合理的配慮や心配りが求められている</li></ul><p></p><p>「朝起きたくても起き上がれない」「起きようとすると立ちくらみやめまいがする」――。</p><p>思春期にみられるこれらの症状は、もしかしたら起立性調節障害によって引き起こされているのかもしれません。「起立性調節障害（OD）」とは、自律神経のバランスが崩れることで不調が生じる病気で、中学生の10パーセントが発症するというデータがあります（※）。</p><div id="tnf-text-notes-block_d6eff7228559e6daa0514e24a3d25dac" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：『小児心身医学会ガイドライン集（改訂第3版）』</div><p>この病気は午前中に強く症状が出るため、学校生活に大きな影響を及ぼします。実際、不登校の約3〜4割に起立性調節障害が関係しているといわれています。</p><p>また、午後には症状が軽快することが多いことから、「やる気がないからだ」「怠けている」と周囲から誤解されやすく、精神的に追い詰められてしまう当事者や家族もいます。</p><p>この記事では、昭和医科大学病院で起立性調節障害の専門外来を担当する田中大介（たなか・だいすけ）さんに、起立性調節障害とはどんな病気なのか、当事者が直面する困難や周囲の接し方のポイントなどを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_63a1b7fee9ec6ccf52b0d984ca7da779" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">朝起きられないのは自律神経の不調が原因かもしれない</h2><p>――起立性調節障害とはどんな疾患なのでしょうか。</p><p>田中さん（以下、敬称略）：思春期に多く見られる疾患で、立ち上がったときや立っているときにめまいや動悸、頭痛、失神などの症状が出ます。</p><p>私たちの体は自分の意思ではコントロールできない自律神経によって、血圧や心拍数の上げ下げ、体温の調節、胃腸の動きなどを自動調整しているのですが、起立性調節障害はそうした自律神経の不調によりさまざまな症状を引き起こすのです。</p><p>日本小児心身医学会が作成している『小児心身医学会ガイドライン（改訂第3版）』によると、小学生の5パーセント、中学生の10パーセントが起立性調節障害であるというデータがあり、決して珍しい疾患ではありません。</p><p>――そんなに多くの子どもたちが不調に悩んでいるのですね。特徴的な症状を教えてください。</p><p>田中：ガイドラインでは起立性調節障害を見極めるためのチェックポイントとして、チェックリストにある身体症状を挙げています。</p><p>また、朝、寝床で仰向けになって寝ている状態でも、吐き気やめまいを認めることがあります。これは自律神経の働きが乱れることで、腸の動きが鈍くなったり、体のバランスを保つ内耳が十分に機能していないことが考えられます。</p><p>立ち上がったとき、立っているときに頭と足に落差ができ、その際、重力により血液の分布不良が起こります。起立性調節障害ではその改善に乏しく血流の不均衡が生じるため、症状がみられます。そして、座っていても同様に症状が出ることがあります。</p><p>朝は起きたくても起きられないため、夜、なかなか眠れなくなり、睡眠障害を認め、昼夜逆転の生活になることもあります。</p><p>これらの症状は、多くは成長とともに軽快していき、高校生くらいになると徐々に落ち着いていきます。ただ、重症化すると長期にわたって学校に行けなくなったり、自己肯定感が低下して引きこもりにつながったりすることもあるので深刻です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/kiritsusei_2.jpg">『小児心身医学会ガイドライン集（改訂第3版）』に記載されている主な症状。このうち3つ以上（状況により2つの場合も）に該当すると起立性調節障害の可能性がある。なお「臍疝痛」とは、おへその周りの差し込むような腹痛のこと<h2 id="tnf-text-heading-block_9269fea39223a95172d44400673f6cd3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不登校の約3〜4割に起立性調節障害が関係している</h2><p>――不登校の原因にもなってしまっているのですね。</p><p>田中：はい。不登校の約3〜4割に起立性調節障害が関係しているといわれています。起立性調節障害は身体的なつらさだけでなく、疾患を十分に理解されていないと、偏見にさらされることで精神的な負担も大きくかかる疾患なのです。</p><p>――どんな偏見があるのでしょうか。</p><p>田中：起立性調節障害の症状は午前中に強く出て、午後から夜にかけて回復する傾向にあります。朝は全く動けなかったのに、夜には元気になっている。そのため周囲の人たちからは、「さぼっている」「怠けている」と誤解されてしまうことがあります。そうした偏見に苦しむ子どもたちは少なくありません。</p><p>起立性調節障害の子どもたちに「学校に行きたい？」と聞くと、ほとんどの子が即座に「行きたい」と答えます。一方、行きたい気持ちはあっても、朝起きられないことで学校に遅刻するようになり、次第に行きづらくなってしまい「行きたくない」と話すことがあることを知っておくことも大切です。</p><p>また、「行きたくない」と答えた場合、理由が人間関係のトラブル（いじめなど）が関係している場合もあり、丁寧な対応が必要になります。</p><p>起立性調節障害は「気持ちの問題」ではなく、本人の意思とは関係なく起こる体の病気だということを知ってほしいと思います。</p><p>――起立性調節障害によって子どもたちの成長にはどのような影響がありますか。</p><p>田中：小学校高学年から高校生にかけては身体的にも精神的にも発達するとても大切な年代です。「自分はどんな人間なのか」を考え、いろいろ模索しながらアイデンティティーを確立させていく時期でもあります。</p><p>しかし、この時期に思春期特有の疾患である起立性調節障害を発症してしまうと、周囲から「さぼっている」「やる気がない」と誤解され、「自分の努力が足りない」「私が悪いのだ」と自責感を強めてしまう子どももいます。</p><p>自信を失い、自尊感情が低くなる一方で、症状のことは自分ではどうしようもできないので、次第に「何をしても無駄なんだ」と諦めてしまう。そのため起立性調節障害を発症した子どもたちに対しては、身体的なケアに加えて心のケアも欠かせません。</p><p>もし子どもが朝起きられないのであれば、「だらしがないからだ」などと決めつけずに、一度、前述した身体症状のチェックリストを確認してみてください。当てはまったら起立性調節障害を疑い、医療機関を受診しましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a6c9fa763a307a5a3e60e290dbfb6b2d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">症状を緩和させるための生活習慣や対処法</h2><p>――症状を改善するにはどんな方法があるのでしょうか。</p><p>田中：起立性調節障害と診断されたら、症状を抑えるために取り組むのが生活習慣の改善です。決して「朝早く起きましょう」ということではなく、自分の体調に合わせながら生活リズムを整えることで症状を緩和させていくという意味です。</p><p>ポイントは、「1日3食（可能な範囲で）、バランスのとれた食事をとる（水分は1.5〜2リットル、塩分は多めに）」「十分な睡眠時間をとる」「適度な運動をする」「朝はゆっくり起き上がる」「じっと立ち続けない、じっと座り続けない」「椅子などからさっと立ち上がらない」ということ。</p><p>そして、起立性調節障害で十分注意しておきたいのが体力の低下です。学校に通えず日常生活の活動量が著しく減ると、歩行困難になる場合もある深刻な問題です。外に出るのが難しければ家の中でもいいので、毎日少しずつ体を動かしましょう。</p><p>私は患者さんに「1日3回でもいいからスクワットをしてみよう」「縄を使わずにエア縄跳びをしよう」と提案しています。</p><p>大切なのは自分の体調に合わせたリズムで生活をすること。いま自分ができることを知り、それができたら「OK！」と、自分をぜひほめてほしいと思います。</p><p>起立性調節障害の診療では、血圧を上げたり動悸を抑えたりするための薬物療法を行うこともありますが、薬物療法だけでは効果は十分ではありません。まずは非薬物療法とも呼ばれる生活における工夫や対策が基本になります。また、症状に応じて漢方や睡眠薬などを処方することもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_4.jpg">起立性調節障害の症状の1つである立ちくらみの対処法。さっと立ち上がらず、時間をかけてゆっくり立ち上がる。作図：田中大介<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/06/kiritsusei_5.jpg"><p>――起立性調節障害かもしれないと思ったら、どこを受診すればよいですか。</p><p>田中：症状のチェックリストに当てはまるのであれば、小児科を受診しましょう。ただ、小児科でも起立性調節障害を専門に診療する医師は、まだまだ少ないのが現状です。そのため、起立性調節障害の専門外来を立ち上げている医療機関や、<a href="https://www.jisinsin.jp/certification/nintei-2/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本小児心身医学会の認定医（外部リンク）</a>がいる施設を検索して受診することをおすすめします。</p><p>また、日本小児科医会が認定する<a href="https://www.jpeda.or.jp/cgi/web/index.cgi?c=member-counseling_list" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子どもの心相談医」（外部リンク）</a>の資格を持っている医師も、起立性調節障害を含めた心身症や不登校などの相談にも広く乗ってもらえると思います。</p><p>一方で、起立性調節障害において心身症（※）を合併すると気持ちが沈むことがあり、うつ病などの精神疾患を心配して、はじめに精神科を受診される場合もあります。もし、チェックリストで起立性調節障害が疑われた場合には、まず小児科を受診することをおすすめします。</p><p>なお、高校生以降で最寄りの小児科で対応していない場合には、循環器内科や神経内科で起立性調節障害（成人領域では起立不耐症と呼ばれることが多い）の診療が可能な医療機関への受診をおすすめします。</p><p>もちろん、身近な「かかりつけの先生」に相談することで、専門医療機関に紹介してもらえることもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_e9d494320727beb03d4b9a2bc06f4942" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「心身症」とは、ストレスが蓄積したときに、現れる疾患。脳の神経伝達物質の流れが損なわれ、自律神経がうまく機能しなくなり、神経系や循環器系、呼吸器系など身体のさまざまな領域に不調が現れる</div><h2 id="tnf-text-heading-block_05e22c8f543a45e01b7f51be10b37f44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">症状で悩む親子、学校に行けない時間をどう過ごすか</h2><p>――子どもの起立性調節障害に悩んでいる保護者も多いのではないでしょうか。</p><p>田中：子どもと同じように心を痛めているのが保護者たちです。あるお母さんが、「起立性調節障害は子どもの青春を奪い去る恐ろしい病気だ」と言っていたのが強く印象に残っています。毎日つらい思いをしている我が子を見て、そう感じたのでしょう。</p><p>ただ、心配のあまり子どもに介入しすぎてしまうのは逆効果になります。親の要望に応えられない自分はダメなんだと思わせてしまうことにもつながりかねません。時として「放っておく」姿勢も必要。子どもが自分のペースを取り戻せるまで、少し時間を置いて見守ってあげることが大事です。</p><p>親も自分の好きなことを見つけて、自分の時間を楽しんでいると、自然と子どもとの関係性が良くなっていくこともあります。「安心できる場所」があれば、子どもは「私は大丈夫」と思えるようになるのです。</p><p>――受験や進学など、将来の選択にはどのような影響がありますか。</p><p>田中：朝起きられないことで午前中に学校に行くことが難しくなり、高校進学においては、始業時間が午前の遅い時間や午後に設定されている定時制や、週に2〜3回登校したり、体調がすぐれないときに自宅学習が可能な通信制の学校を選ぶ子どもたちもいます。</p><p>最初は「みんなと一緒の学校に行きたかった」と気持ちが落ち込むこともありますが、そこから将来を切り拓いた子どもたちはたくさんいます。</p><p>以前、起立性調節障害についての講演をした時に、終わってから1人の大学生が話をしに来てくれたことがあります。</p><p>彼は通信制の高校を選んだ時、「もう大学は諦めるしかない」と誰にも言わずに心の中で思っていたそうですが、実際に進学してみると「自分に合っている」と考えが変わったといいます。</p><p>好きな時間に勉強ができて、それまでのストレスから解放された。その分のエネルギーを自分のやりたいことに使えるようになり、見事に大学に進学し社会福祉学を学び、さらに大学院にまで進んで、起立性調節障害に関する研究に携わったそうです。</p><p>――症状と闘いながらも、環境さえ整えば学び続けられるのですね。</p><p>田中：そうです。たとえ症状がつらくて学校に行けなくても、何か好きなことを見つけて「これだけはやってみよう」とチャレンジしてみると、体調が戻ったときの原動力になることもあります。</p><p>ギターを弾いたり、お菓子を作ったり、手芸をしたり、アルバイトをしたり……。とにかくできること、好きなことを続けることが、病気を乗り越える上での支えになり、その後の大きな力になるのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_6.jpg">「重度の症状に苦しんでいた子が、好きだった絵の世界に進み、マンガを描き始めました。お母さんが掲載誌を送ってきてくれたんです」と嬉しそうに話す田中さん<h2 id="tnf-text-heading-block_73629ad10dea71e059ec4aa47f12e871" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">起立性調節障害は医療、学校、社会が力を合わせて取り組む問題</h2><p>――田中さんは起立性調節障害の専門外来で診療をされているほか、全国各地で講演をされています。現在、力を入れている活動について教えてください。</p><p>田中：起立性調節障害についての理解を広めることはもちろん、子どもたちや保護者たちが抱えるつらさをより多くの人たちに伝えていきたいと考えています。</p><p>学校や社会において必要な支援体制をつくっていくためには、そうした「アドボカシー（子どもたちの声にならない声を聞き、それを代弁していくこと）」が重要だからです。</p><p>いま取り組んでいるのが、起立性調節障害の子どもたちをサポートする上での職種や施設を越えた連携です。私がアドバイザーとして関わる静岡県静岡市の教育委員会では、起立性調節障害の生徒を支援するために、2026年春に開校した「学びの多様化学校（※）」で登校時間を通常よりも遅らせたり、体調に応じてオンラインを活用した授業を受けられるようにしたり、独自のカリキュラムを設定しています。</p><p>さらに静岡市では、起立性調節障害を正しく理解してもらうためのガイドラインを作成する予定です。この取り組みを教育委員会、学校、医師会、議会、親の会と協力しながら「OD静岡モデル」として、全国に広めていきたいと思っています。</p><p>起立性調節障害は医療だけでは解決できない問題です。学校の先生、患者さんを取り巻く周囲の人々と一緒に取り組んでいくことが大切だと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_5fe88e9cb7d075c8764595b439ec3c71" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">*「学びの多様化学校」とは、不登校児童生徒を対象とする特別の教育課程を編成して教育を実施する学校のこと</div><p>――起立性調節障害の人に寄り添う上で、まず周囲が理解しておくべきことはなんでしょうか。</p><p>田中：まず起立性調節障害は見かけだけでは分かりにくい疾患だということを理解することが大切です。</p><p>骨折している人に「走れ」と言う人は誰もいませんよね。でも、起立性調節障害の場合は、見た目にはつらさが伝わらないので患者さんたちは本当に苦労しています。</p><p>決して悪気は無くても「もう少し頑張ってみたら？」などと言われてしまうこともあります。しかし、自分ではコントロールできない自律神経の不調なので頑張る術などありません。</p><p>なかには、遅刻しても頑張って学校に行ったのに、先生から「もっと早く来られないの？」と言われて傷ついたと話す子もいました。</p><p>病気について理解するとともに、起立性調節障害の人たちの中には偏見にさらされてつらい状況を経験していることが決して少なくないことをぜひ知ってほしいと思います。</p><p>もし学校の先生であれば、遅刻を否定的に捉えるのではなく、遅れて教室に入ることへのプレッシャーを乗り越えて来たことに共感し「今日はよく来たね」とそっと声をかけ、味方になってあげることが大事だと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_7.jpg"><p>――見た目では分かりにくいからこそ、周囲の言葉や関わり方が重要になるのですね。具体的には、どのような関わり方が望ましいのでしょうか。</p><p>田中：大事なのは一人一人の気持ちに寄り添うこと。私は起立性調節障害の患者さんが100人いたら100通りの経過があり、100通りの対応が必要になると考えています。病気によって何ができないのかを正しく理解してもらえると、患者さんの心は楽になります。</p><p>もし、学校の友人が起立性調節障害に苦しんでいると知ったら、病気のことを必要以上に気遣うよりも自然に接してあげるのがよいと思います。私の外来では「学校で友だちと普通に話せてうれしかった」と話す子も多いです。</p><p>最近では自らの体験を発信しようとする当事者の方たちも増えてきました。そうした声に耳を傾けることで、起立性調節障害でどんなつらさを抱えているのかを知り、困っている人に手を差し伸べていくことが大切ではないでしょうか。</p><p>起立性調節障害の患者さんや、保護者をサポートするKJ起立性調節障害オンラインコミュニケーションをはじめとする7つの団体の皆さまが実施したアンケート（2026年3月）をもとに、「起立性調節障害の子どもや保護者への望ましい声がけや行動、望ましくない声がけや行動、注意を要するワード」について表にまとめました。</p><p>多数の回答の中からの抜粋になりますが、家庭や学校で起立性調節障害の子どもたちに接する上で、ぜひとも知っておいていただければと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_8.jpg">「教員の正しい理解に基づく声かけは、心の安心感を育み、自尊感情の低下を防ぐことにもつながります」（田中大介）<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/kiritsusei_9.jpg"><p>田中：2025年春、起立性調節障害の中学生が立ち上げた「<a href="https://kodomonowaod.wixsite.com/site" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人子どもの輪　起立性調節障害を当事者から広める会」（外部リンク）</a>では、子どもたちが会を運営し、オンラインでの交流会、リーフレットの作成など画期的な企画に取り組んでいて注目されています。</p><p>起立性調節障害の子どもたちの声に、ぜひ耳を傾けてもらえればと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a7af8b6c28e0bd26b591f288668df3a7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">起立性調節障害でも安心して過ごせるように、私たち一人一人ができること</h2><p>起立性調節障害に苦しむ人たちが安心して日々を過ごせるように、私たち一人一人にできることを田中さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6e443eebbb4cf31e2c32673ab1fd8c72" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］起立性調節障害について正しく理解する</h2><p>起立性調節障害は自分ではコントロールできない体の病気であることを理解する。「怠けている」「気合や努力が足りない」といった間違った認識をしないことが、当事者の精神的な負担の軽減につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_33eef00675d12a7d66858ed1b524c018" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］症状をチェックしてもらい、医療機関への相談につなげる</h2><p>小学校高学年から高校生で「朝起きたくても起きられない」と悩んでいる人がいたら、症状をセルフチェックできることを知らせる。もし、当てはまったら起立性調節障害を疑い、医療機関での受診をすすめる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b56261896a5df0b07ddb01063a4061da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］見た目に分からない病気だからこそ、周囲の配慮が不可欠</h2><p>起立性調節障害になると、体のつらさだけでなく偏見にも悩まされることを知り、周囲が温かく寄り添いながらサポートすることが大切。NGワード、GOODワード、注意を要するワードを心にとめて接するようにする</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>知り合いのお子さんが「朝起きられない」「立ちくらみがする」といった起立性調節障害の症状に悩んでいると聞いたことをきっかけに、起立性調節障害への理解を広める活動をしている田中さんに話を伺いました。</p><p>思い返すと、小・中学校時代、朝礼中に倒れてしまう子や午前中に具合が悪そうな子が身近にいました。当時は原因が分かりませんでしたが、もしかしたらその子たちは、起立性調節障害だったのかもしれません。</p><p>田中さんの話で印象的だったのが、「起立性調節障害は子どもの青春を奪い去る恐ろしい病気だ」と語ったお母さんの言葉です。発症した当事者だけでなく、家族をも苦しめる病気なのだと気づかされました。</p><p>まずは家庭や学校、社会がこの病気を正しく理解することから始めて、適切な支援や体制を構築することで、当事者や家族への偏見をなくしていきたいと思いました。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_8591c3f1cab1e63b68d6d03137c73a5c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">田中大介（たなか・だいすけ）</h2><p>小児科専門医。昭和医科大学副学長、保健管理センターの所長・教授を務める。長年、起立性調節障害の診療に携わり、昭和医科大学病院、戸塚共立おとキッズクリニックで専門外来を担当する。起立性調節障害の患者、保護者、養護教諭をはじめとして学校教諭、スクールカウンセラー、医療関係者などに向けて、起立性調節障害の病態や治療、家庭や学校での対処法などをテーマに各地で講演をしている。『小児科医が伝えたい 起立性調節障害 症状と治療』（徳間書店）など著書多数。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>過去最高を更新した2025年夏の記録的高温は、地球温暖化が原因？ 2026年の夏はどうなる？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99247/sustainable</link>
      <pubDate>Fri, 29 May 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本では観測史上、平均気温が過去最高となった2025年夏。世界各地でも記録的な高温をもたらし、大規模な熱波や水害が発生</li><li>人々の命や建物に大きな被害をもたらしただけでなく、食料価格の高騰を引き起こした</li><li>一人一人が暮らし方を見つめ直し行動に移すことが、地球温暖化の抑制につながる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2024年2月8日に公開した記事を再編集しています</p><p>2025年の夏（6〜8月）の平均気温は、統計を開始した1898年以降の夏として、最も高い記録を更新（※1）。日本各地で記録的な大雨が相次ぎ、浸水や土砂災害など大きな被害をもたらしました。</p><p>また世界各地でも異常気象が頻発。その背景には、地球温暖化が影響しているといわれています。</p><p>地球温暖化は甚大な被害を及ぼす異常気象を引き起こすだけでなく、その影響で不作となった食糧が高騰するなど、すでに私たちの生活のさまざまな部分に影響を及ぼしています。</p><p>このままさらに地球温暖化が進むと、生態系への影響や感染症の増加、環境の変化によって居住地を追われる「気候難民」が激増するとの予測もあります。</p><p>この記事では、2025年夏以降に世界で起きた気象災害を振り返ると共に、その原因とされる地球温暖化を抑えるために今日からできることについて触れたいと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3f9aac7c1b4b73c258c5c48e6a614c98" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2025年夏以降に世界各地で起きた異常気象と大規模自然災害</h2><p>「異常気象」とは、気象庁では「ある場所（地域）・ある時期（週、月、季節）において30年に1回以下で発生する現象」と定義しています。ここには大雨や暴風などの激しい数時間の気象から、長期間にわたる干ばつ、極端な冷夏・暖冬も含まれます。</p><p>ここでは、2025年の夏以降に日本と世界で起きた異常気象の中でも、特に被害が大きかったケースをまとめました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_61b90309853243722c095a10328a5a3c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本</h3><p>日本では2025年6月から8月の月平均気温が1898年以降で最も高くなったのをはじめ、兵庫県丹波市柏原町では7月30日に41.2度、群馬県伊勢崎市では8月5日に41.8度と日最高気温を観測するなど、厳しい酷暑が続きました（※1）。</p><p>また、8月6日から11日にかけて日本列島は各地で大雨となり、14道府県（北海道、青森県、秋田県、富山県、石川県、京都府、広島県、山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県）が被害を受け、浸水や土砂災害、河川の氾濫などに見舞われました。</p><p>8月6日～11日までの間に発生した大雨による被害は、人的被害33名、住家被害5,444件に上ります（※2）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/Abnormal-weather202-5_1.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_f715b9efa1698def485e550b607f07cd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">パキスタン、インド、ネパール</h3><p>パキスタンやインド、ネパールは2025年6月から10月にかけて強烈なモンスーン豪雨に見舞われました（※3）。</p><p>6月から8月にはパキスタンのカイバル・パクトゥンワ州やバロチスタン州、パンジャブ州などで激しい雨が続き、インダス川の水流が一気に増加。その影響で鉄砲水が相次ぎ、大規模な洪水に発展しました。</p><p>9月17日時点で死者1,002人、負傷者1,000人以上の被害となり、690万人以上が避難を余儀なくされました（※4）。</p><p>10月にはネパールの複数の地域を豪雨が襲い、大規模な土砂崩れや落雷により49人の方が亡くなりました。多くの家屋が土砂に埋もれ、道路が寸断されるなど街中の被害も大きく、ネパール国内の航空機が一時欠航となるなど、交通網にも大きな影響を及ぼしました（※5）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/Abnormal-weather202-5_2.jpeg">パキスタンとインドのパンジャーブ州を流れるラヴィ川でモンスーンによる深刻な洪水が発生し、家屋、農地、インフラに甚大な被害をもたらした<h3 id="tnf-text-heading-block_f77c981e72d4da078e655aaf05c52d2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アメリカ（テキサス）</h3><p>アメリカでは2025年7月に集中豪雨がテキサス州を襲い、大規模な洪水が発生しました。グアダルーペ川が氾濫し引き起こした鉄砲水が、周辺地域の小屋やキャンプ場、橋、道路などを押し流し、死者は130人以上を超えたと伝えられました（※3）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c34597f15b526c7569653b12971edf92" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ジャマイカ</h3><p>2025年10月28日にカテゴリー5（※）の勢力を保ったままジャマイカ西部に上陸したハリケーン「メリッサ」。現地時間で28日15時に中心気圧892ヘクトパスカル、最大風速は秒速80メートル（160ノット）と過去最強クラスにまで発達しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_4a28f0e48e0c0acdeddff20acc9a70f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「シンプソンスケール」と呼ばれ、ハリケーンの勢力を階級分けするもの。カテゴリー1からカテゴリー5までの5段階がある</div><p>「メリッサ」はカリブ海諸国全域に数日間にわたって豪雨や高潮、壊滅的な洪水を及ぼし、500万人以上に影響を与えました。そのうち少なくとも75人が死亡しています（※6）。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/Abnormal-weather202-5_4.jpeg"><h3 id="tnf-text-heading-block_cfed4f01873c63bb4b13b35fbc847d04" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">東南アジア周辺</h3><p>2025年11月、東南アジアを中心に広範囲の地域で台風やサイクロンが猛威をふるいました。台風25号・26号によりベトナム、フィリピンでは合計410人以上が犠牲になっています（※3）。</p><p>ベトナムではフエ市やダナン市で台風と豪雨の影響による洪水や地滑りが起き、12万8,000棟以上の住宅が浸水、2400世帯以上が避難。フィリピンでは約46万世帯、およそ164万人が被災し、12万人以上が避難を余儀なくされました（※7）。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_cfae39b2cd5a188fdf0d50f76d7da247" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">深刻化する地球温暖化</h2><p>なぜ、これほどまでに世界各地で異常気象が広がっているのでしょうか。</p><p>背景には数年に一度発生するエルニーニョやラニーニャなどの気候変動現象に加えて、「地球温暖化」による気候変動が大きく関わっていると考えられています。</p><p>気象情報などでよく耳にする「エルニーニョ現象」とは、南米ペルー沖から太平洋赤道海域の日付変更線付近にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が１年ほど継続する現象。一方で、「ラニーニャ現象」とは、同海域で海面水温が平年より低い状態が半年以上続く現象を指します。いずれも地球上のさまざまな地域に猛暑や豪雨といった異常気象を引き起こすといわれています。</p><p>この2つの現象は地球の自然な気候変動サイクルですが、地球温暖化により地球自体の気温が上昇しているため、発生する頻度や強度が増す可能性があるといわれています（※8）。</p><p>そこで、改めて「地球温暖化」のメカニズムをおさらいしましょう。</p><p>地球の表面はもともと窒素や酸素、二酸化炭素やメタンなどの「温室効果ガス」を含む大気に覆われていることで、気温が一定に保たれていました。</p><p>しかし、18世紀の産業革命以降、人間が石炭や石油などの化石燃料を大量に燃やしてエネルギーを得るようになり、大気中に排出される「温室効果ガス」が急増。地球の温度がうまく調節できなくなってしまったため、地球温暖化が起こると考えられてきました。</p><p>2021年に世界の科学者でつくる国連のIPCC（※）が公表した<a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar6/IPCC_AR6_WGI_SPM_JP.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">報告書（外部リンク/PDF）</a>では、初めて地球温暖化の原因が人間活動の影響によるものと断定。「人間の影響は、少なくとも過去2000年間に前例のない速度で、気候を温暖化させてきた」と述べています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c3aabd11a69527f28a420a911bd864fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※WMO（世界気象機関）及びUNEP（国連環境計画）によって1988年に設立された、国際的な専門家でつくる政府間組織。気候変動や地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理などを行う</div><p>また、地球温暖化が進むほど熱波や大雨、干ばつ、熱帯低気圧といった「極端現象」の頻度や強さが世界各地で増すと指摘されており、改めて世界に向けて気候変動への対策は急務であると発信しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_842abdb0cf6457e95defae08024d1207" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/84518/sustainable?gad_source=1&amp;gclid=CjwKCAiAiP2tBhBXEiwACslfngKAX3dB8HrBxmIdbxvfY82zjIgD95HX-QRqTgdMj3hZUIna65zgRRoCNJYQAvD_BwE" target="_blank" rel="noopener">2022年に世界で起きた異常気象を振り返る。原因は地球温暖化？私たちの暮らしにある？（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e7b3f085e1e94e3f6e4823aecb48b44d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2026年の夏も暑くなる？ 懸念される影響、食糧問題</h2><p>気象庁の発表（2026年5月12日）によると、今年の夏までにエルニーニョ現象が発生する確率は90パーセントと非常に高まっています（※9）。</p><p>さらに米海洋大気局（NOAA）の5月14日の発表によると、2026年後半までに「非常に強いエルニーニョ（スーパーエルニーニョ）」に発達する確率が37パーセントあるとされています。スーパーエルニーニョは、過去（1980〜83年、1997〜98年、2015〜16年）に数回しか記録されておらず、今回は約10年ぶりの発生予測となります（※10）。</p><p>実際に発生した場合、地球規模での異常高温や豪雨、干ばつなどが発生し、日本では「殺人熱波」に襲われる可能性があります。初夏に発生すれば猛暑となり、40度を超える日も珍しくなくなるといいます。</p><p>気象庁は今年から、最高気温40度以上の日を新たに「酷暑日」と名付けました。今年の酷暑日の発生地点数は、直近10年の平均と同等かやや多くなると予想され、熱中症に対する厳重な警戒が求められます（※9）。</p><p>また、スーパーエルニーニョが引き起こす天候不順は、コメ、小麦、トウモロコシといった主要な穀物を生産する世界の農業地域に深刻な打撃を与え、生育不良など食料供給にも大きな悪影響を及ぼします。</p><p>1997～1998年は中南米に大雨をもたらし、トウモロコシやコーヒー、カカオやバナナといった作物の生産に甚大な被害を与えました。また2015～2016年は深刻な干ばつがオーストラリアやアフリカ南部、東南アジアを襲い、小麦やコメなどの生産を直撃しました（※10）。</p><p>日本の食料自給率はカロリーベースで38パーセントと低く、多くを輸入に依存しています。世界規模で不作が続いた場合、日本に輸入される食料が減少する危険性が高まります。</p><p>このまま何もしなければ、大規模な自然災害や食料・水資源不足だけでなく、生態系への影響、感染症の増加など、環境の変化によって居住地を追われる「気候難民」が激増するとも予測されており、世界全体での地球温暖化に対する早急な対策が求められています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/Abnormal-weather2024_4.jpg">すぐに食べられる栄養治療食を口にする女の子 （ソマリア、2023年6月撮影）。 © UNICEF_UNI418520<h2 id="tnf-text-heading-block_2c647e9eb8e2bb0db6888cd337df75d6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地球温暖化対策の鍵を握る「緩和」と「適応」</h2><p>地球温暖化を抑制するためには、大きく分けて、原因となる温室効果ガスの排出量を減らす「緩和」策と、すでに生じている、あるいは将来予測される被害を回避・軽減させる「適応」策の2つがあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2024/02/Abnormal-weather2024_5.png"><h3 id="tnf-text-heading-block_d99828cdeeaf70fc260fb152947c852f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">緩和策</h3><p>再生可能エネルギーの普及、エネルギーの効率化による温室効果ガスの削減、森林や海洋による温室効果ガスの吸収量を増やすなどの取り組みが挙げられます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f8077b9c49a930dac2ac5962c1090c92" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">適応策</h3><p>地域の気候、土地の特性や気候変動の影響に応じて適切に行うことが求められます。</p><p>具体的には、洪水や津波に備えて海岸線の防潮堤を建設する、水資源の管理をする、高温や干ばつに強い農作物の品種改良をする、ハザードマップを整備して災害時の避難計画を策定するなどの取り組みが含まれます。</p><p>残念ながら、できうる限りの「緩和」を行っても温暖化の進行を完全に食い止めることは難しく、被害を最小限に抑えるためにも、国や自治体、企業、そして一人一人が長期的に「適応」策に取り組むことが不可欠です。</p><p>国連では、地球温暖化を止めるために私たちが今日からでもできる行動として、次の<a href="https://www.unic.or.jp/files/actnow.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">10の行動（外部リンク/PDF）</a>を示しています。</p>家庭で節電する徒歩や自転車で移動する、または公共交通機関を利用する肉や乳製品を減らして野菜をもっと多く食べる長距離の移動手段を考える廃棄食品を減らすリデュース、リユース、リペア、リサイクルを活用する家庭のエネルギー源を再生可能エネルギーに替える電気自動車に乗り換える環境に配慮した製品を選ぶ声を上げる<p>何気ない日々の暮らしをわずかに変えることが、温室効果ガスの排出量を減らし、地球温暖化の進行を抑えることにつながります。私たちの地球を次の世代に受け継ぐために、今できることから始めてみませんか。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考資料：</p><p><a href="https://tenki.jp/suppl/tenkijp_labo/2025/12/08/32737.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※1.＜2025年お天気総決算②＞2025年 気象予報士が驚いた瞬間3選｜tenki.jp（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.saigaivc.com/20250819/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※2.2025（令和7）年8月6日からの大雨による被害（第44報）｜全国災害福祉支援センター（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.jma.go.jp/jma/press/2512/24b/2025matome_besshi2-2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※3.2025年（令和7年）世界の主な異常気象・気象災害（速報）｜気象庁（外部リンク/PDF）</a></p><p>※<a href="https://www.adrajpn.org/emergency-blog/13853/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">4.【活動報告】2025年インド北部洪水被災者支援： 315世帯へシェルターキットを配付しました｜ADRA（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.jiji.com/jc/article?k=2025100500406&amp;g=int" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※5.ネパール、土砂崩れや落雷で49人死亡 インドでも17人犠牲｜JIJI.COM（外部リンク）</a></p><p><a href="https://weathernews.jp/news/202512/310056/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※6.2025年 世界の気象トピックス　極端気象が目立つ一年に｜ウェザーニュース（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.adrajpn.org/emergency-blog/13458/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※7.台風25・26号が直撃したフィリピン・ベトナムに緊急支援を｜ADRA（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/news/release/20260212.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※8.2022～2023年に観測された地球エネルギー吸収の急増の要因を解明｜東京大学 先端科学研究センター（外部リンク）</a></p><p><a href="https://tenki.jp/forecaster/r_fukutomi/2026/05/17/38951.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※9.今夏はエルニーニョ発生確率90パーセントだが日本は猛暑予想 40℃以上の酷暑日も｜tenki.jp（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nikkei.com/article/DGKKZO96282820V10C26A5CT0000/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">※10.世界で今年、猛暑・豪雨か　「スーパーエルニーニョ」10年ぶり予測｜日本経済新聞（外部リンク）</a></p><p></p>    ]]>
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      <title>高齢者の約3分の1が一人暮らし！？ 超高齢社会で広がる「社会的孤立」、ボードゲームで対策を学ぶ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122270/social_isolation</link>
      <pubDate>Wed, 20 May 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「社会的孤立」とは「社会とのつながりがなく、誰にも頼れず困っている状態」のこと</li><li>超高齢社会が進み、高齢者やその家族の社会的孤立が深刻な課題となっている</li><li>社会的孤立を防ぐには、地域住民と専門職が連携し、悩みを抱える人と社会資源をつなぐことが重要</li></ul><p></p><p>「高齢で体が思うように動かず、一人暮らしも難しくなってきたが、誰に相談すればよいのか分からない」</p><p>「近所付き合いも訪ねて来る人もなく、孤独を感じている」</p><p>「年老いた親の介護を家族だけで担い、疲れ切っている」</p><p>超高齢社会の現在、こうした「社会的孤立」の状態にある人が増加しています。</p><p>国は、2024年6月に「孤独・孤立対策推進法」を公布しました。この法律では「孤独・孤立に悩む人を誰ひとり取り残さない社会」「相互に支え合い、人と人との『つながり』が生まれる社会」を目指すとしています。</p><p>ただ、日本の社会保障制度は、支援を必要とする人が自ら申請することで初めて支援を得られる「申請主義」を採用しているため、支援にたどり着けない人が少なくない現実があります。また、支援の担い手はすでに不足しており、今後さらに深刻化するともいわれています。</p><p>現在の若い世代が高齢者になるころには、高齢者の人口比がさらに上昇し、社会的孤立に陥る人が今以上に増えることが予想されています。つまり、若い世代こそ、自分の将来を見据えて真剣に向き合うべき課題と言えるでしょう。</p><p>社会的孤立に陥らない、陥らせないために、私たちにはどんなことができるでしょうか。10年以上にわたって、高齢者やその家族の相談支援に携わってきた<a href="https://koresapo.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人コレカラ・サポート（外部リンク）</a>の代表理事であり、超高齢社会をテーマにしたボードゲーム「コミュニティコーピング」を手がけた千葉晃一（ちば・こういち）さんに話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00009.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_69f3332e8397ef858f962de75fa47c00" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会的孤立の正体と、誰にでも起こりうるリスク</h2><p>――「社会的孤立」とは、どのような状態を指しますか。</p><p>千葉さん（以下、敬称略）：社会的孤立を理解するには、まず「孤立とは何か」について考える必要があります。</p><p>「孤独」と「孤立」は混同されがちですが、孤独は「主観的な寂しさ」のこと。孤立は「物理的に頼る人や場所がなく、困り事を抱え込んでいる状態」です。そこに「社会的」と付く社会的孤立は、「社会とのつながりがないために、誰にも頼れずに困っている状態」と言えます。</p><p>コレカラ・サポートでは、こうした状態をより分かりやすく、「必要なときに必要な助けが届かない状態」と表現しています。社会的孤立の状態にある人は、頼る先がなかったり、どこに相談していいか分からなかったりして、必要なときも支援につながれずにいるからです。</p><p>――現在の超高齢社会では、高齢者の社会的孤立が深刻な課題になっていますね。</p><p>千葉：2022年の厚生労働省のデータによれば、65歳以上の高齢者がいる世帯は、全世帯の約半数。そのうち、3分の1が一人暮らしです。その上、かつては当たり前だった地域社会や血縁による支え合いも希薄化しています。多くの高齢者が社会的孤立に陥るのも無理はありません。</p><p>社会的孤立の状態にある高齢者は、次のような問題に直面する可能性があります。</p>一人での家事や炊事、お金の管理などが難しく、生活が成り立たなくなる話し相手がおらず、孤独や生きがいのなさを感じる訪問販売、電話勧誘販売などの犯罪に巻き込まれやすくなる認知症が進行する、けがをするなど、健康状態が悪化しやすくなる緊急時に支援の手が回らないと一層孤立しやすくなる最悪の場合、犯罪や孤立死に至ることもある<p>――支えてくれる家族が近くにいれば、問題ないのでしょうか。</p><p>千葉：そうとも限りません。実は、家庭内だけでなんとかしようとして支援につながれず、家族も含めて社会的孤立に陥ってしまうこともあります。近年問題視されているヤングケアラーの中にも、社会的孤立の状態にある人は少なくありません。</p><p>埼玉県が2020年度に県内高校2年生を対象に実施した実態調査によると、「ヤングケアラーである（だった）」と回答した生徒は、全体の約4パーセント。そのうち20パーセントが「ケアについて話せる人がいなくて孤独を感じる」「ストレスを感じる」と回答するなど、孤立し、追い詰められている状況が明らかになりました。</p><p>このように、社会的孤立は高齢者だけでなく、若い世代にも関係する、深刻な問題なんです。しかし、現在困っていない人も含めて、みんながこの課題を自分ごと化するのは簡単なことではありません。</p><p>そこで、頭で理解するだけでなく「体験」してもらおうと、超高齢社会体験ゲーム「コミュニティコーピング」を制作しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_dbe215ec825ea746be58c154fde7522b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119434/disability" target="_blank" rel="noopener">「私がいなくなったらこの子はどうなる？」病気や障害を抱える家族の不安に向き合う「親なきあと」相談室（別タブで開く）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00004.jpg">超高齢社会体験ゲーム「コミュニティコーピング」を体験する様子<h2 id="tnf-text-heading-block_1af3929cbb3defb118eeb1ff1e28e2a3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ゲームを通して「自分にもできそうなこと」を見つけられる</h2><p>――超高齢社会体験ゲーム「コミュニティコーピング」について、詳しく教えてください。</p><p>千葉：「人と地域資源をつなげることで、社会的孤立を解消する」ということを体験できるボードゲームです。舞台は、超高齢社会を迎えた地区。4から6人のグループで協力して、さまざまな課題を抱えた住民を支援につなげます。</p><p>登場する課題は、コレカラ・サポートに実際に寄せられた相談を基にしています。ゲームを通して現実の社会で起きていることを知ってもらい、解決のためのアイデアを模索してもらうことが狙いです。</p><p>このゲームを開発してから、自治体や行政機関の研修や、高校・大学の授業、地域のまちづくり講座プログラムなどで取り入れられてきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00001.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00012.jpg">「コミュニティコーピング」の体験イベントは、認定ファシリテーターにより全国各地やオンラインで開催されている。画像提供：一般社団法人コレカラ・サポート<p>――ゲームの中では、どのように社会的孤立を解決するのでしょうか。</p><p>千葉：まず、参加者はゲームを始めるときに「カフェのマスター」「保険外交員」「世話好きなおばちゃん」「研修中の医大生」など、さまざまな肩書きや属性の人の中からプレイヤーを選びます。</p><p>各プレイヤーの強みやつながりを活かしながら、「介護福祉士」「訪問診療医」「ケアマネジャー」「弁護士」といった専門家と連携し、住民の課題への対処法を模索します。</p><p>住民は、「妻が亡くなったあと、体調がすぐれず眠れない」「両親が施設で暮らしており、空き家となった実家の管理が大変」「親族とは疎遠だが、お世話になった人に財産を遺したい」など、多岐にわたる悩みを抱えています。1ターンを1年間とし、地域内の住民の悩みごとを解決していきます。</p><p>そして、年の最後に、悩みを抱えた人が同じ地区に4人以上いると、地域体制が崩壊しゲームオーバーとなります。2030年まで地域を存続させるのが目標ですが、実際にプレイすると、クリアするのはなかなか難しいと実感してもらえると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00008.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00005.jpg">ゲーム内で各参加者が選ぶ「プレイヤーカード」（上段）と、専門家のカード（下段）<p>千葉：ゲーム参加者からは、「超高齢社会という全体像を把握しづらいテーマを、身近な課題として捉えられるようになった」「専門職だけで対処できる課題ではなく、地域住民同士のつながりや連携が大切だと感じた」「自分に何ができるかを考えさせられた」などの声が寄せられています。</p><p>ゲームではまず、超高齢社会という課題を“攻略対象”として捉え、夢中になって解決に取り組んでもらいます。そして最後に、「より良い地域にするために、自分には何ができるか」といった問いを投げかけ、振り返りの時間を設けています。</p><p>こうしたプロセスを通じて、ゲーム内の体験を現実に結びつけやすくしているのが特徴です。その結果、超高齢社会を自分ごととして捉えられたという声や、ボードゲームとして純粋に面白かったという感想をいただくことが多いですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00007.jpg"><p>――ボードゲームで超高齢社会という社会課題を体験する「コミュニティコーピング」の特徴を教えてください。</p><p>千葉：単純にゲームを楽しんで、みんなで力を合わせて課題を解決する喜びを味わってもらいながら、一人一人が超高齢社会に対して「自分にもできそうなこと」を見つけられるところですね。</p><p>「課題を解決できるのは専門家だけではない。地域住民も課題解決のプレイヤーである」と、ゲームを通して実感してほしいです。</p><p>また、ゲームならではのメリットは、いくら失敗してもいいところです。これまで誰も経験したことのない超高齢社会に向き合うには、自由な発想で多様なアイデアを生み出すことが欠かせません。</p><p>現実世界では、慣習や前例に縛られることも多いですが、ゲームの中ならさまざまな支援の形を提案し、挑戦できます。その柔軟な発想があれば、実際の社会にも風穴を開けられるかもしれません。</p><p>「コミュニティコーピング」を多くの方に、できれば繰り返しプレイしてもらい、ゲームを攻略するように反省を活かして改善を重ねていくことで、一人一人が課題解決に向けた具体的な行動を起こせるようになってくれたらいいなと考えています。</p><p>そんな期待のもと、各地での体験会や、ゲームを一緒に広めてくれる人材の育成に取り組んでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00011.jpg">さまざまな組織でゲームの体験を提供してきた千葉さん。組織では上下関係から新たな支援施策の提案が難しい場合もあるが、ゲームを通して気軽に発想を共有できる点が魅力だと語る<h2 id="tnf-text-heading-block_023862883bd66384d07a9d20c60d7d65" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">お互いに歩み寄り、つながることで、一人では対処できない課題を乗り越える</h2><p>――将来、社会的孤立に陥らないために、今からできることを教えてください。</p><p>千葉：さまざまなコミュニティと関わり、人や情報とのつながりを増やすことですね。と言っても、難しく考える必要はありません。</p><p>例えば「他のお客さんとは特に会話をしないけれど、なんとなく顔見知りになっている」くらいの行きつけのお店を持つことも、立派なつながりです。「居ていい場所」を増やす、というイメージでしょうか。そうした場所をたくさん持っておくことで、何かがあったときに助けを求めやすくなります。</p><p>そして、すでにコミュニティと関わりを持っている場合は、勇気を出して参加しようとしている人のために、温かく受け入れる体制をつくってほしいです。参加しやすい雰囲気のコミュニティが増えるほど、つながりは生まれやすくなり、お互いに孤立するリスクが下がります。</p><p>また、人は「助けてくれた人を助けたいと思う」ものです。今からできる範囲で誰かを助け、周囲と良好な人間関係を築いておくことも大切ですね。</p><p>――人とのつながりを大切にし、情報も含めて関係性を広げていくことが、巡り巡って自分の支えにもなるということですね。私自身も、助けてもらった相手には何か返したいと感じるので、とても共感します。</p><p>千葉：人を助けることに慣れていると、いざ自分や家族が弱ったときも、どんな助けを、どうやって、誰に求めればいいのかが分かるようになるのです。そういう意味でも、できる範囲で人の助けになれるといいと思います。</p><p>「個でできること」は限られていますが、他者とつながりを持って、「できること」と「できないこと」を補完し合えば、さまざまな課題に対処できます。一人一人が社会的孤立という課題に当事者意識を持ち、「自分にはどんなことができるか」を考えられる場を、今後も提供していきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/coping00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_8cb4f7d19e5e241557ed93e8c71655f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">超高齢社会において社会的孤立を防ぐために私たち一人一人ができること</h2><p>超高齢社会において社会的孤立を減らすために、私たち一人一人にできることを千葉さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0efee0e5368a3ad5d231ca545e01049f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[1] 日常の中で「ゆるやかなつながり」を増やす</h2><p>行きつけのお店の人と会話をする、近所の高齢者とあいさつを交わすなど、深い関係でなくても人と関わる機会を持つことで、地域住民のちょっとした変化に互いに気づきやすくなる。無理のない範囲で「居ていい場所」を増やしておくことが、孤立を防ぐ土台になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_713de8816e76731e5c95693ca849b49e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[2] できる範囲で人を支え合う関係をつくる</h2><p>「高齢者のため」「地域のため」と気負って行動すると、負担感が大きくて続きにくい。趣味や仕事の延長線上にあることから無理なく関わり、助け合いを重ねることで支え合いのつながりが生まれる。そうした関係は自分や家族が困難に直面したときの支えにもなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_568496ab3930ec34641f400c1e6f5be4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[3] 困り事をひとりで抱え込まず、相談先を知っておく</h2><p>支援は、自ら声を上げて初めて届く場合が多い。地域の相談窓口や支援制度を調べ、必要なときに頼れる選択肢を持っておくことが重要。また、相談先を知らない人に情報を届け、適切な支援につなぐことも、孤立を防ぐ一助となる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>住んでいる地域で行われた「コミュニティコーピング」の体験会に参加し、超高齢社会のリアルを肌で感じたことで、「この課題をもっと知ってもらいたい」「一人でも多くの人にゲームを体験してほしい」と考え、今回千葉さんに話を伺いました。</p><p>ゲームの中で特に興味深かったのが、相談対応の担い手として「世話好きなおばちゃん」や「おそば屋さん」といった身近な存在が組み込まれていた点です。日常の延長線上にいる人々が課題解決に関わる構造によって、専門職の存在だけでなく、市井の人々の多様な強みも、地域社会の重要な資源の一部だということに気づかされました。</p><p>社会的孤立の課題は、すでに私たちとは切っても切れない関係にあります。孤立しない、孤立させないために何ができるのか、ぜひゲームの体験を通して考えてみてほしいです。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>子どもの問題行動や親子関係を改善する「親子相互交流療法（PCIT）」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/122141</link>
      <pubDate>Thu, 14 May 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>子どもの問題行動には、発達特性やトラウマ、養育者との関係性など複数の要因が関係している</li><li>親子相互交流療法（PCIT）は、親の子どもへの関わり方を変える心理療法。子どもの行動と親子関係に改善をもたらす</li><li>人との関係は肯定的な関わりで変わる。「できていること」や良い行動に目を向け、伝えることが大切</li></ul><p></p><p>大きな声で泣き叫びながら、道路に寝転がっている子どもをまちの中で見かけたことはありませんか。</p><p>こうした行動は「かんしゃく」といい、小さな子どもを育てる養育者にとってはおなじみの、心を悩ませる光景です。しかし、子どもの問題行動に対して、正しく対処する方法を学ぶ機会は多くありません。</p><p>年齢とともに落ち着く場合もありますが、騒げば大人の注目を引けると学習した子どもは、その行動をさらにエスカレートさせてしまうことがあります。また発達特性や虐待、トラウマ経験により問題行動が続くケースもあります。</p><p>こうした行動への対処法や子どもとの関わり方をセラピストから学び、親子関係や問題行動の改善につなげられるのが、「親子相互交流療法（以下PCIT）」です。</p><p>PCITは育児の悩みに対処するだけでなく、虐待関係にある親子への支援にも用いられており、通常の支援では850日後の再虐待率が49パーセントであったのに対し、PCITを実施したケースでは19パーセントまで低下したという報告もあります（※）。</p><p>今回は<a href="https://cpc.musashino-u.ac.jp/child/#anchor03" target="_blank" rel="noreferrer noopener">武蔵野大学心理臨床センター子ども相談部門（外部リンク）</a>の相談員で臨床心理士・公認心理師の上原由紀（かんばら・ゆき）さんに、PCITの概要や効果について話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_0dc47f68f0e57a7b152f2bf5581fc842" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：APA PsycNet「Parent-Child Interaction Therapy With Physically Abusive Parents: Efficacy for Reducing Future Abuse Reports.」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_48c4e37940489fbffbb360e05bdb6b89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">かんしゃくや発達特性、生活習慣まで幅広い課題</h2><p>――武蔵野大学心理臨床センター子ども相談部門の設立背景と目的、支援内容を教えてください。</p><p>上原さん（以下、敬称略）：このセンターは1998年に立ち上がりました。2008年頃からは家庭内DVを目撃した子どもへのグループ治療（コンカレントグループプログラム※1）や、今回お話するPCITを取り入れています。</p><p>トラウマ体験（傷つき体験）を専門とする先生が多く在籍していたため、当初はトラウマのある方が中心でしたが、PCIT導入以降は、問題行動のある子どもと、その養育者の相談も増え、さまざまな療法を用いながら幅広く対応しています。</p><p>――このセンターを訪れるPCITを実践する子どもの行動上の問題には、どんなものがあるのでしょうか。</p><p>上原：多くの養育者を悩ませるのが「かんしゃく」です。</p><p>泣き叫ぶだけでなく、物を投げる、叩く、蹴るといった攻撃的な行動や、外出先で走り回る、床に寝転ぶなど、養育者が困り果てるケースがあります。</p><p>いわゆるイヤイヤ期（※2）にこうした行動は見られますが、年齢を重ねても改善しない、極端に激しい、頻度が多いといった理由で相談に来られる方が多いです。幼稚園や学校でも対応が難しくなり、養育者も限界を感じているケースもあります。</p><p>ほかにも、特定の場面でのみ話せなくなる「場面緘黙（ばめんかんもく※3）」や、落ち着きのなさ、忘れ物が多いといった「発達特性」に関する問題。さらに、食事に集中できない、お菓子ばかり食べるといった「摂食（食べること）」に関する問題も見られます。</p><p>最近では、スマートフォンやゲームの長時間使用に関する課題も増えていますね。</p><div id="tnf-text-notes-block_60a76ab211b4724cc875564ec89ed27d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「コンカレントグループプログラム」とは、DV被害にあった母親と子どもたちの同時並行心理教育プログラムのこと※2.「イヤイヤ期」とは、一般的に2歳から3歳頃に見られる、自己主張が強くなる発達段階のこと※3.「場面緘黙」とは、ほかの状況で話しているにもかかわらず、特定の社会的状況では話すことが一貫してできないこと</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT0009.jpg">かんしゃくが原因で買い物に子どもを連れて行けずに困っている養育者は多い。PCITをきっかけに、買い物が楽になったという声も聞かれるという</div><h2 id="tnf-text-heading-block_d2654aa7b3bda4838c08a4d01faa0174" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">問題行動への反応を最小限に抑え、良い行動に注目することで改善</h2><p>――そういった子どもの問題行動には、どのような要因があるのでしょうか。</p><p>上原：一概には言えないのですが、発達特性がある子どもの場合、言われていることの理解が難しい、理解はしていても行動に移せない、といった点から問題行動につながってしまうことがあります。</p><p>ただ、養育者は自分が受けてきた子育ての経験をもとに関わるため、養育者自身にDVや虐待の経験がある場合、適切な接し方が分からなかったり、精神的なダメージによって前向きに関わることが難しかったりするケースもあります。そうした背景が、結果的に子どもの問題行動につながることもあるわけです。</p><p>また、トラウマを抱えている場合には、感情が不安定になって眠れない、寝ている間に奇声を上げる、イライラして注意が耳に入らなくなるといった状態が見られることもあります。</p><p>――虐待やトラウマなどを経験していなくても、子どもが問題行動を起こすケースもあるのでしょうか。</p><p>上原：はい。そのようなケースで注意すべきなのは、子どもが問題行動を通して、養育者の注目を得ようとしている点です。</p><p>大人は、子どもの良い行動よりも、悪い行動に強く反応しがちです。そのため、養育者との関わりが少ないと感じている子どもほど、注目を得ようとして問題行動に向かいやすい傾向があります。</p><p>PCITによって多くの子どもに改善が見られるのは、「問題行動への反応を最小限に抑え、良い行動に注目して褒める」ことを養育者が実践することで、子どもが満足感を得て、結果として良い行動が強化されていくためです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_74a7069b8b07a013ca261f1dbb5d8627" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">セラピストの子どもへの関わり方を養育者が学ぶ「PCIT」</h2><p>――PCITの概要について教えてください。</p><p>上原：1970年代に当時フロリダ大学に所属されていたシーラ・アイバーグ（Sheila Eyberg）先生によって開発されました。セラピストとのプレイセラピー（※）の場では状態が良くなるのに、家庭に戻ると再び問題行動が見られる子どもが多かったことから、セラピストの関わり方を養育者にも伝える必要があると考えられたのが始まりです。</p><p>専門家が使うスキルの一部を構造化し、養育者が日常の中で実践できるようにトレーニングする心理療法となっています。</p><p>――この心理療法にはどんな特徴があるのでしょうか。</p><p>上原：最大の特徴は、ライブコーチング（実況指導）です。セラピストは子どもと養育者がプレイルームで遊ぶ様子を、別室でマジックミラー越しに見ながら、トランシーバーで関わり方を伝えます。</p><p>そのため、養育者はコーチの支援を受けながらスキルを実践することで、関わりを身に付けることができるのです。</p><p>例えば、おもちゃを乱暴に扱っていた子どもが、静かにブロックを積んだ瞬間に、セラピストから養育者へ「○○ちゃん、ブロックを丁寧に扱っていますね」と注目すべきポイントを伝え、養育者が「ブロックを優しく使ってくれてありがとう」と言うと、セラピストは「素晴らしい具体的賞賛です」と褒めます。</p><p>子どもと養育者だけの空間で行われるため、日常に近い関わりをそのまま把握でき、良い行動を見逃さず、フィードバックできる点も大きな特徴です。</p><div id="tnf-text-notes-block_fcdfd409cc7258e15dcce8f1822c2ec7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「プレイセラピー」とは、子どもとセラピストの適切で特別な対人関係の中で、安全な環境と遊び道具を使って、子どもが自分の気持ちや考えを表現したり探索したりするのを促進し手伝う心理療法</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00006.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00007.jpg">セラピストがマジックミラー越しにトランシーバーで指示を出す別室。マジックミラーの性質上、室内は写真のように暗くしている<h2 id="tnf-text-heading-block_fa1734b850e64b565780859e3999ab0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">PCITの対象年齢、適用範囲、そして禁忌となる対象</h2><p>――PCITの対象となるのはどのようなケースでしょうか。</p><p>上原：対象年齢は2歳半から7歳です。この時期はエビデンスが確立されていることに加え、「親と遊び、褒められることを喜ぶ」発達段階にあるため、ポジティブな注目によって行動が改善しやすいとされています。</p><p>近年では1歳から2歳半向けの「トドラー版」や、8歳から12歳向けの「オールダーチルドレン版」も開発されました。</p><p>対象の判断には、「ECBI」と呼ばれるチェックリストを用います。これは子どもの行動上の問題と、養育者の育児困難感を同時に評価する尺度で、回答に応じて点数化されます。ただし、チェックリストの数値で機械的に判断するわけではなく、カウンセラーが必要と判断した場合に、養育者の同意を得て実施しています。</p><p>一方で禁忌となるのが、養育者が子どもに対する性的虐待の加害者である場合です。PCITは養育者との関係を深めるスキルを扱うため、それを加害者に提供することは被害児童にとって大きな危険となるためです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3573abae21be47b213cf80858a7e992b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">母親が約8割、孤立や自責感を抱えやすい養育者の実情</h2><p>――養育者としてPCITを受けるのは、母親のケースが多いのでしょうか。</p><p>上原：父親が参加するケースもありますが、割合としては母親が多く、全体の8割ぐらいでしょうか。ほかにも祖父母が来所する場合もあります。</p><p>――問題行動があると、養育者も子どももつらい状況になりますね。</p><p>上原：来所される養育者のお話を聞くと、周囲の目を気にされている方や自分を責めている方が多い印象です。</p><p>幼稚園や保育園で集団行動が難しいと指摘を受けたり、友だちとのトラブルにつながったりすることもあり、結果として養育者と子どもが、ともに孤立してしまうケースもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_0c2ef6690d3f2d5adcc6126aa0f4d398" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">PCITを通じて、子どもは「褒められる行動」を選ぶようになる</h2><p>――PCITの具体的な流れについて教えてください。</p><p>上原：PCITはCDI（子ども主導の交流）とPDI（親主導の交流）の2つの段階で進めます。</p><p>まずCDIでは、子どもがリードする遊びを通して、親子関係の土台を整えます。「具体的賞賛」「行動の説明」「真似」「繰り返し」「楽しむ」といった5つのスキルを用い、子どもの良い行動にポジティブな注目を徹底的に向けます。</p><p>なかでも特徴的なのが「具体的賞賛」です。ただ褒めるだけではなく、「優しく渡してくれていいね」「上手に（おもちゃを）乗せたね」と何を褒めているのかを言葉にします。すると、子どもは「何をすれば褒められるのか」を理解しやすくなり、その行動が自然と強化されていきます。</p><p>また、「真似」というスキルでは、言葉の通り、子どもの行動を養育者が真似します。子どもは日常的に指導される場面が多い中で、自分の行動が見本として扱われることで誇らしさを感じたり、「大人が真似するということは良い行動なんだ」と理解したりできます。</p><p>CDIでは、こうした関わりを、毎日5分間の「特別な時間」として家庭でも継続してもらい、ポジティブな注目を積み重ねていきます。ただ、物を壊す、叩くというような攻撃的な行動が出た場合は遊びを中断しますが、それ以外の不適切な行動に対してはスルースキルを使って反応をせず、良い行動への注目を優先します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00008.jpg">PCITの基本的な流れ。まず子どもの肯定的な行動を増やす関わり方を養育者が習得し、次に適切な行動を増やすための方法を学ぶ。画像提供：武蔵野大学心理臨床センター<h2 id="tnf-text-heading-block_f0d69c07c41e140354a54178ab42b673" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「いい子にしてね」は曖昧、具体的でポジティブな指示を学ぶ</h2><p>――その後、PDI（親主導の交流）に移行するわけですね。</p><p>上原：はい。PDIでは、子ども主導の遊びを継続しながら、親主導の具体的で分かりやすい指示の出し方を学びます。</p><p>例えば「いい子にしてね」といった曖昧な表現ではなく、「椅子に座ってください」といった具体的な言葉を使うことで、子どもが行動しやすくなります。また「走らないで」といった否定表現ではなく、「歩いてください」と望ましい行動をそのまま伝えることも重要です。</p><p>――子どもが指示に従わない場合はどうするのでしょうか。</p><p>上原：「タイムアウト」と呼ばれる手法を用います。</p><p>あらかじめ決めておいた「タイムアウトの椅子」で子どもを落ち着かせ、座ることが難しい場合は、刺激の少ない仕切られた空間「タイムアウトの部屋」で落ち着くまで待ちます。落ち着いたら、最初の指示に戻り、従えたらまた遊びに戻るのがルールです。</p><p>これらの手順は、子どもにも説明され、警告を出しながら進めていくので、互いに了解しているルールの上で行われます。</p><p>大切なのは手順を遂行することで、養育者も落ち着いて感情的にならず、淡々と一貫した対応を取れることです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a41ca3e96262f3de1bdc238a59012e1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">PCITによる親子の変化、児童相談所や教育現場へ広がる可能性</h2><p>――PCITによる変化はどのように表れるのでしょうか。</p><p>上原：CDIの段階から多くの養育者が「驚くほど変わった」とおっしゃるほど、大きな変化が出ます。「問題行動」が減り、子どもが良い行動を通じて、自ら養育者との関わりを求めるようになるのです。</p><p>さらに、PDIを繰り返すことで、子どもは「言うことを聞かないと『タイムアウトの椅子／部屋』に行くことになるが、言うことを聞けば褒められる」という予測が立つようになり、自分から適切な行動を選べるようになっていきます。</p><p>問題行動が減るだけでなく、その子どもの良さ、その子らしさが際立ってくるのもPCITの大きな特徴です。そして、養育者も褒めることが上手になり、子育てへの自信が高まっていきます。自責の思いが消え、表情が明るくなる方が多いです。</p><p>――これまで関わった中で、印象的だったケースを教えてください。</p><p>上原：虐待の疑いで児童相談所にも関わりがあった18歳で出産した母親のケースです。</p><p>この母親自身も虐待を受けて育っており、子どもに対する言葉のかけ方が分からなかったようです。当初、遊びの場を設けても一言も話さず、子どもと目を合わせることもありませんでした。</p><p>しかし3カ月足らずで、子どもを積極的に褒められるようになり、子どもも誇らしげに母親の言葉を受け止めるようになりました。親子の関わりが増え、表情が明るくなっていく姿が印象的でしたね。</p><p>――PCITは今後どのような領域や対象に広がっていく可能性があると考えていますか。</p><p>上原：埼玉や東京から導入が始まり、今では多くの都道府県の児童相談所で導入され、不適切な養育があったケースや、里親家庭での関係構築などに活用されています。私自身も埼玉県の児童相談所でPCITについて助言等の支援をしています。</p><p>また、幼稚園の先生や教員がPCITを活用できるTCIT（ティーチャー・チャイルド・インタラクション・トレーニング）も広がり始めています。</p><p>一方で、PCITを受けられる場所は徐々に増えているものの、多くが予約で埋まっており、必要な人がすぐに利用できないという課題もあります。さらに拡大していくことで、子育てに悩む多くの人を救うことができるのではないかと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/05/th_PCIT00001.jpg">上原さんはPCITを開発したシーラ・アイバーグ氏から直接指導を受けたという。取材の最後には、この仕事で子どもやその養育者と関わることの楽しさを語った<h2 id="tnf-text-heading-block_dd261769ae549e63b2db03d171b89af6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの心や行動をめぐる育児の悩みを抱えた人が孤立しない社会のために、私たち一人一人ができること</h2><p>子どもの心や行動をめぐる育児の悩みを抱えた人が孤立しない社会のために、私たち一人一人にできることを上原さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1d329e7ebb62e6b980782a08b44d8eb5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「子どもはこうあるべき」という枠を取り払い、見守る</h2><p>多様な子どものあり方を認める。社会が、ほかの子とは異なる行動をする子どもをすぐに否定したり、評価を下したりせず、見守る。「やんちゃな子もいれば、おとなしい子もいていい」と捉える視点が、養育者の余裕を生み、結果として子どもとの関係の安定にもつながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3a9068a2275d2ee3db49f399e4f6fcc0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］良い行動に意識的に目を向ける</h2><p>人は防衛本能から、どうしても他者の「できていないこと」に目が向きやすい。だからこそ意識的に「できていること」や「良い行動」を見つけ、言葉で伝えることが大切。これは子どもだけでなく、大人同士の関係でも同様で、肯定的な関わりが行動や関係性を変えていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_624cf97a99bc26109057522e87f24c06" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「うまくいかない時間」も成長の一部として受け止める</h2><p>失敗やかんしゃく、反抗は、子どもが自分を確立していく過程で起こる自然な反応。それら全てを「問題」として片付けるのではなく、養育者も子どもも共に、「今は学んでいる途中なのだ」と捉え、必要以上に否定しないことが重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>小児期のつらい体験や不適切な生育環境が、その後の人生に大きな影響を及ぼす可能性が知られるようになってきました。一方で、そうした環境の具体的な改善方法についてはあまり知られていません。</p><p>また、親自身も自らの生育環境しか知らないケースが多く、適切な養育方法を学ぶ機会は限られています。</p><p>こうした背景の中で、PCITを知り、上原さんに取材しました。取材を通して印象的だったのは、本来子どもの成長を見守るはずの幼稚園や学校において、問題行動を起こす子どもの「対応の難しさ」から、見放されてしまう場面があるという現実でした。</p><p>その背景にはトラブルを避けようとする周囲の意識や、子ども同士の衝突を許容しにくい環境があるのかもしれません。</p><p>子どもの行動は切り取られた一場面だけで判断できるものではなく、その背後には発達や環境、関係性といった複雑な要因が存在します。そしてPCITが示しているのは、「子どもを変える」のではなく、「関わり方を変えることで関係性そのものを整えていく」という視点です。</p><p>子どもの成長を家庭だけの責任にとどめず、社会全体で支えていけるかどうか。そのあり方が、これからの子育て環境を大きく左右していくのではないかと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_7b4d36d314450e0a83709ef968069785" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">上原由紀（かんばら・ゆき）</h2><p>武蔵野大学心理臨床センター 相談員、臨床心理士、公認心理師。2008年から現在に至るまで武蔵野大学心理臨床センター子ども相談部門にて勤務。2017年同大学院にて「不適切な養育環境を経験した子どもとその保護者に対する親子相互交流療法（PCIT）の有効性に関する記述的研究」で博士号取得。現在、同大学非常勤講師。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Thu, 14 May 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の文化・スポーツに関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121702/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 12 May 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>担い手不足による伝統技術の消失危機、指導現場にはびこる暴力やハラスメント、競技に人生を捧げてきたアスリートが直面する引退後の不安。そして、障害の有無によって生じるスポーツやアートへのアクセス格差。</p><p>私たちが誇るべき日本の文化やスポーツを次世代へつなぎ、誰もが自分らしく輝ける社会を築くためには、解決すべき課題が数多く存在します。</p><p>本記事では、日本の文化、スポーツを取り巻く、特に重要な5つの社会課題について、詳しく紹介します。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●伝統文化・技術の継承</a></p><p><a href="#link2">●スポーツにおける暴力・ハラスメント</a></p><p><a href="#link3">●アスリートのセカンドキャリア</a></p><p><a href="#link4">●障害者スポーツ</a></p><p><a href="#link5">●ダイバーシティアート</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">伝統文化・技術の継承</h2><p>伝統文化・技術とは、織物や陶磁器などの伝統工芸品、伝統芸能、そして国宝を修復するための保存技術なども含む、日本が長年培ってきた固有の財産のことです。これらは地域のアイデンティティーや魅力を形づくる重要な資源ですが、現在は消滅の危機に直面しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0900001.jpg"><p><a href="https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/syoukibokihon/2018/download/181012syoukiboKihon04.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本工芸産地協会の調査（外部リンク/PDF）</a>によれば、伝統的工芸品産業の生産額は1983年の約5,400億円をピークに減少が続き、近年では1,000億円を割り込む水準まで低迷しています。また、従事者数もピーク時の約29万人から約5万人前後へと激減しました。</p><p>担い手減少の要因は、生活様式の変化に伴う需要の減少と、それに起因する「生計の成り立ちにくさ」にあります。一人前の職人になるには長い修行期間を要しますが、事業者の経済的余力が乏しいため、若手の雇用や育成が困難な状況です。</p><p>日本の誇るべき「手仕事」を未来へつなぐためには、私たち消費者がその価値を再認識し、生活に取り入れる仕組みづくりが必要です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d3edf77185c84b1e09c465d55784eb2b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［伝統文化・技術の継承をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/108878/traditional_culture" target="_blank" rel="noreferrer noopener">実業家で茶人の岩本涼さんが「文化資本」を探求する理由（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/83673/traditional_culture" target="_blank" rel="noreferrer noopener">伝統芸能こそ「攻める」。ワンピースに初音ミク、革新的な歌舞伎を生み出す松竹の芸能魂（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/72495" target="_blank" rel="noreferrer noopener">196年ぶりに蘇る祇園祭「鷹山」。復興に尽力する弁護士の、平和と疫病退散の祈り（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/39840" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界遺産に泊まり伝統を楽しむ。特別な体験で日本文化を後世へとつなぐ（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/29055" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外国人と大学生が日本の古典芸能を体験してみた（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">スポーツにおける暴力・ハラスメント</h2><p>スポーツにおける暴力・ハラスメント（スポハラ）とは、殴る、蹴るといった身体的暴力だけでなく、暴言や過度な叱責、無視、性的な嫌がらせなど、安全にスポーツを楽しむ権利を侵害する全ての行為を指します。近年、日本スポーツ協会（JSPO）への相談件数が過去最多を更新し続けるなど、実態は深刻です。</p><p>この問題の背景には、勝利のためなら手段を選ばない「勝利至上主義」の蔓延や、指導者のアップデート不足があります。昭和の「根性論」から脱却できず、技術指導の代わりに怒りの感情で選手をコントロールしようとする構造が根強く残っています。</p><p>特に子どもたちは、大人との圧倒的な力の差から「指導は絶対である」と思い込み、被害が潜在化しやすい傾向にあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0900003.jpg">集団心理や同調圧力が働きやすいチームスポーツの構造は、スポハラが発生しやすい背景の1つ<p>スポハラの代償は計り知れません。心身への深いダメージによりスポーツ自体を嫌いになるだけでなく、常に顔色を伺ってプレーすることで自律的な判断力が失われ、成長の機会が奪われてしまいます。実際に体罰を苦に、自殺を選んでしまう生徒もいました。</p><p>解決には子どもを守るための仕組み「セーフガーディング」の徹底が不可欠です。「感情をコントロールする技術」を指導者が学ぶとともに、周囲が不適切な指導を指摘し合えるオープンな環境づくりが求められています。</p><p>スポーツに取り組む誰もが、楽しんで競技をプレーできる安心、安全な場所にしていくために、指導者、保護者、社会全体の意識改革が急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9eb5d1cfc77611db73fb6bf9753939a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［スポーツにおける暴力・ハラスメントをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118510/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">楽しいはずのスポーツで子どもが傷つく？　安心安全な環境をつくるセーフガーディングとは（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105854/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「監督が怒ってはいけない大会」益子直美さんの子どもたちへの想い（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105889/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">益子直美さんが主催する「監督が怒ってはいけない大会」。子どもたちの成長に必要な指導（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">アスリートのセカンドキャリア</h2><p>アスリートのセカンドキャリアとは、競技生活を引退した後の人生設計や職業選択のことです。日本では「二兎を追う者は一兎をも得ず」といった、ひとつのことに専念することを美徳とする価値観が根強く、競技に没頭するあまり、引退後のキャリアに迷ったり、心理的不発に陥ったりするアスリートが少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0900004.jpg"><p>指導者に依存しがちな競技生活の中で、自律的な思考や社会との接点が不足することは、引退後の社会適応を難しくさせる大きな要因です。また、優秀なアスリートの能力が社会で十分に活用されないことは、国家的な損失ともいえます。</p><p>こうした課題に対しスポーツ庁は、アスリートのキャリア形成支援を行う「アスリートキャリアコーディネーター（ACC）」の育成推進や、現役時代から「アスリートとしての人生」と「一人の人間としての人生」を並行して歩む、「デュアルキャリア」の支援を強化しています。</p><p>競技で培った粘り強さや分析力を社会の糧とするために、引退を「終わり」ではなく「新たな挑戦への移行」と捉えられる仕組みづくりが進められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_32223a10fea8dd2cdfdcdd7b5a74133a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［アスリートのセカンドキャリアをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/60892" target="_blank" rel="noreferrer noopener">人生の地図、どう描く？力士を引退した元“嘉風”大西雅継さんに、元ラグビー日本代表主将・廣瀬俊朗さんが問う（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/59235" target="_blank" rel="noreferrer noopener">廣瀬俊朗さんと日本財団・笹川常務が「アスリートのキャリア」を考える（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/56618" target="_blank" rel="noreferrer noopener">熊本の復興を支える元サッカー日本代表・巻誠一郎さんが伝えたい、被災地の今、災害の教訓（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/26667" target="_blank" rel="noreferrer noopener">アスリートが考えるもっと気軽な助け合いのカタチ（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">障害者スポーツ</h2><p>障害者スポーツとは、身体、知的、精神などの障害がある人が行うスポーツの総称です。スポーツを通じて健康増進や社会参加を図る権利は誰にでもありますが、現状では障害の有無によってその機会に大きな格差が生じています。</p><p>スポーツ庁の<a href="https://www.mext.go.jp/sports/content/20250327-spt_kensport02-40978_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「障害のある方へのスポーツ指導・関わり方入門ハンドブック」（外部リンク/PDF）</a>によると、障害のある人のスポーツ実施率は、障害のない人と比較して、約20パーセント低い状態であることが報告されています。</p><p>また、<a href="https://www.mext.go.jp/sports/content/20250331-spt_kensport01-000040822_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害者スポーツ推進プロジェクト報告書（外部リンク/PDF）</a>によると、7歳以上の障害者・障害児のうち、「運動・スポーツを実施する上で障壁はなく、十分に活動できている」と回答した人の割合はわずか16.8パーセントでした。</p><p>背景には、車いすによる床の損傷を懸念した施設利用の制限といった「環境の壁」に加え、練習場を借りる際の利用料や交通費、海外遠征する際に必要な費用などを含めると、年間で数十万〜150万円もの自己負担がかかるという「経済的な壁」があります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0900005.jpg">運動をしたいと思っても、気軽には踏み出せない「壁」がいくつも存在する<p>指導者数も、一般の公認スポーツ指導者約72万人に対し、パラスポーツ指導者は約2万8,000人と圧倒的に不足しています。</p><p>誰もが等しく挑戦できる「ユニバーサルスポーツ」の場を広げることが、真の共生社会を築くための一歩となるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ac2cd53993e4e234f57e7484a5010aea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［障害者スポーツをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117520/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">光で合図。「スタートランプ」が聴覚障害競技者の可能性を広げる（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114343/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">全ての人が走る喜びを感じられる社会を目指す。スポーツ用義足を作るエンジニアの挑戦（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97556/diversity_and_Inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2025年、聴覚障害者のスポーツの祭典「デフリンピック」が東京で初開催。「共生社会」実現の第一歩へ（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/96958/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">車いすでの体育館利用は難しい？　参考にしたいパラアリーナの考え方（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80246/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">デザインの力で「障がい」を可視化。“パラ卓球台”に込めた思い（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">ダイバーシティアート</h2><p>「ダイバーシティアート」とは、年齢、性別、国籍、障害の有無といった属性を超え、アートを通じて多様な個性が交わり、感動を共有する取り組みのことです。</p><p>2010年にパリで開催された展覧会「アール・ブリュット・ジャポネ展」では12万人以上の来場者を記録し、2022年に行われた「第5回 日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 公募展」は2,246点もの応募があるなど、表現の熱量は高まり続けています</p><p>しかし、社会には依然として無意識の偏見が根強く残っており、作品が純粋な芸術として評価されず、アーティストが正当な経済的対価を得る機会が少ないのも大きな課題です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0900002.jpg"><p>解決には「障害者」というラベルを外して、一人のアーティストとしてリスペクトする姿勢が必要です。近年では、作品をネクタイなどの高品質な製品としてデザインし、ビジネスとして自立を支援する仕組みや、街中の仮囲いを美術館に見立てて日常にアートを溶け込ませる試みが注目されています。</p><p>既存のルールに縛られない自由な表現に触れることは、私たちが抱く「常識」というボーダーを問い直すきっかけとなります。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b96b4f5b785997bf71756ea72b7599b6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ダイバーシティアートをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85248/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ多様性にアートは必要か。障害のあるアーティスト公募展審査員に問う（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/70865" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害のあるアーティストたちが生み出す芸術の楽しみ方（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/34628" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ニューヨークのキュレーターが語るアートと多様性（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/shingikai/syoukibokihon/2018/download/181012syoukiboKihon04.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本工芸産地協会「地域サプライチェーンと小規模事業者の関係 ～工芸業界の場合～」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2023FY/000469.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文化科学研究所「令和5年度製造基盤技術実態等調査（伝統的工芸品産業の支援に係る実態調査等事業）報告書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.dbj.jp/topics/region/industry/files/0000030626_file2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本政策投資銀行「地域伝統ものづくり産業の活性化調査＜概要版＞」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/000818488.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省行政評価局「伝統工芸の地域資源としての活用に関する実態調査 結果報告書」（令和4年6月）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.japan-sports.or.jp/spohara/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NO！スポハラ（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/sports/content/20250410-spt_sposeisy-000013772_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度スポーツキャリアサポートコンソーシアムの運営 事業実施報告書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/study/attach/pdf/250731-8.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">スポーツ庁「スポーツ庁における取組」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://pathway.jpnsport.go.jp/lifestyle/column01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">アスリート育成パスウェイ「デュアルキャリアという考え方」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/sports/content/20250331-spt_kensport01-000040822_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「『障害者スポーツ推進プロジェクト（障害児・者のスポーツライフに関する調査研究）』報告書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/sports/content/20250327-spt_kensport02-40978_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「障害のある方へのスポーツ指導・関わり方入門ハンドブック」（外部リンク/PDF）</a></p><p></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本のインターネット・情報に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121596/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 07 May 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>SNSを通じた人間関係のトラブル、児童を狙った卑劣な犯罪、情報の真偽を見極める力の差がもたらす社会の分断、さらには巧妙な詐欺による経済的被害など、デジタル技術の発展に伴い、ネットワークの先に潜むリスクはより深刻なものとなっています。</p><p>誰もが安全にデジタル社会の恩恵を享受し、正確な情報に基づいた意思決定ができる未来を築くために、日本のインターネット環境や情報リテラシーの現状を整理し、一人一人に求められる向き合い方について考えていきましょう。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●SNS問題（いじめ・犯罪）</a></p><p><a href="#link2">●情報リテラシーの格差、デジタル・デバイド（フェイクニュースを含む）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">SNS問題（いじめ・犯罪）</h2><p>SNS問題とは、主にSNSを通じて行われる誹謗中傷や、不適切な接触による児童への被害などを指します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0800001.jpg"><p>文部科学省の<a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要（外部リンク/PDF）</a>によると、小・中・高等学校及び特別支援学校におけるいじめの認知件数は過去最多の76万9,022件に上りました。</p><p>SNSを利用した攻撃は24時間場所を問わず続く上に、周囲から見えにくく、大人が気づいたときには深刻化しているケースが少なくありません。</p><p>また、SNSに起因する犯罪の被害児童数は2025年で1,566人、小学生の被害児童は前年比で約2割も増加しています。被害を罪種別にみると不同意わいせつ・不同意性交が増加傾向にあるなど状況は深刻です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0800002.jpg"><p>自分の裸を撮影させられる「自画撮り被害」や、言葉巧みに誘い出される「SNS誘拐」などの被害例が挙がっており、一瞬の操作が取り返しのつかない身体的・精神的被害に直結してしまう犯罪が横行しています。</p><p>こうした被害を防ぐために管理ツールによる利用制限と、ネットの特性を自分ごととして捉える情報モラル教育の両立が不可欠です。何より大切なのは、トラブル時にすぐ相談できる家庭環境を築くこと。</p><p>併せて社会全体でも、サイバーパトロールを通じて危機意識を高める場を提供していくことが求められます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_94d001dab3b5e5b413128846748fa200" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［SNS問題（いじめ・犯罪）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/111361/eighteen_survey" target="_blank" rel="noreferrer noopener">インターネット社会に生きる若者たちの心理（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85598/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">SNSを利用した犯罪年間2,000件。子どもを守る方法を大学教授に聞く（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/69071" target="_blank" rel="noreferrer noopener">深刻化する「SNSいじめ」から子どもたちを守るには？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">情報リテラシーの格差、デジタル・デバイド（フェイクニュースを含む）</h2><p>デジタル・デバイドとは、インターネットやICT機器を使いこなせる人とそうでない人の間に生じる経済的・社会的な格差を指します。近年は単なる機器の所有有無だけでなく、情報の真偽を正しく見極める「情報リテラシー」の差も大きな課題です。</p><p>SNS等のプラットフォームは利用者の関心を引いて収益を得る「アテンション・エコノミー」が加速しており、刺激的な偽・誤情報が拡散しやすい構造にあります。実際に令和6年能登半島地震の際には、SNS利用者の約42.7パーセントが真偽不明の情報に接触し、そのうち25.5パーセントが善意からこれらを拡散していました。</p><p>また、2025年のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件で、前年の同時期と比べると48.7パーセントも増加。被害額は約1,275億円に達しており、巧妙な偽広告による経済的実害も深刻です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0800003.jpg">悪意を持って発せられる情報に踊らされてはいけない<p>特に日本では、検索結果やSNSの表示が自分向けに最適化（パーソナライズ）されているということを知っている人の割合が50パーセント未満にとどまり、諸外国に比べ情報の偏りに対する自覚が低い傾向にあります。</p><p>誰もが「自分が見ている情報は偏っているかもしれない」という意識を持ち、世代を問わず自律的にデジタル社会と関わる力を養うことが、民主主義を守る第一歩となるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4d5c40b8c5bfb4397005a35e948ab383" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［情報リテラシーの格差、デジタル・デバイド（フェイクニュースを含む）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112408/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">フェイクニュースを見抜く力を！　ゲーム形式で学べる「レイのブログ」（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/45764" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ウイルスと共に忍び寄るデマやフェイクニュース。不確かな情報に惑わされないために、必要な行動とは（別タブで開く） </a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/pdf_r7_syonenhikoujyokyo.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">警察庁生活安全局人身安全・少年課「令和7年における少年非行及び子供の性被害の状況」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.gov-online.go.jp/prg/prg16428.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">政府広報オンライン「自画撮り被害が増加！SNS上の出会いに要注意‼︎」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/5a7c1011-f85c-4122-a1bf-aa960545da19/8f68aca2/20240613_policies_youth-kankyou_hikouhigai-gekkan_cfa-r5_02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">警察庁生活安全局人身安全・少年課「インターネット利用に係る子供の犯罪被害等の防止について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h23/pdf/n2020000.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「平成23年版 情報通信白書｜第2節デジタル・ディバイドの解消」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r05/pdf/00zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「令和5年版 情報通信白書｜第3節：インターネット上での偽・誤情報の拡散等」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/nd121330.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「令和6年版 情報白書｜第Ⅰ部 特集① 令和6年能登半島地震における情報通信の状況」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npa.go.jp/bureau/safetylife/sos47/new-topics/260213/03.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">警察庁・SOS47特殊詐欺対策ページ「令和7年における特殊詐欺及びＳＮＳ型投資・ロマンス詐欺の認知・検挙状況等について（暫定値）」 （外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/linkdata/r07_02_houkoku.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究の請負成果報告書」（外部リンク/PDF）</a></p><p></p>    ]]>
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      <title>日本の資源・食料に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121592/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 30 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>私たちの毎日の生活を支える「食」や「エネルギー」の基盤は、今、かつてないほど不安定な状況に置かれています。</p><p>輸入に依存し続ける食料供給の脆弱性や、飽食の影で進む大量の食品ロス、海や陸で失われつつある天然資源、そして一次産業の担い手の減少など、日本の持続可能性を揺るがす課題は私たちのすぐそばに広がっています。</p><p>次世代に豊かな食卓と安心できる社会を引き継ぐために、今どのような危機が迫り、どのような解決への道筋が描かれているのでしょうか。</p><p>日本の「資源・食料」にまつわる5つの重要な社会課題について、現状を正しく理解し、私たちにできることを考えていきましょう。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●食品ロス</a></p><p><a href="#link2">●食料自給率の低さ</a></p><p><a href="#link3">●資源の枯渇</a></p><p><a href="#link4">●水産資源の減少</a></p><p><a href="#link5">●一次産業の後継者不足</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">食品ロス</h2><p>食品ロスとは、まだ食べられるのに廃棄されてしまう食品のことで、メーカーや飲食店から発生する「事業系」と、家庭での食べ残しや期限切れによる「家庭系」に二分されます。</p><p>環境省の<a href="https://www.env.go.jp/press/press_00002.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「我が国の食品ロスの発生量の推計値（令和5年度）」（外部リンク）</a>によれば、国内の年間発生量は約464万トンに上り、これは国民一人一人が毎日おにぎり約1個分（約102グラム）を捨てている計算になります。</p><p>日本では2015年の国際連合総会で採択された持続可能な開発目標「SDGs」に端を発し、2000年度比で2030年度までに食品ロスを半減させるという政府目標を掲げ、食品ロスの削減に取り組んできました。</p><p>「事業系」はすでに目標を達成し、2000年度比で2030年度までに60パーセント削減させる目標を新たに設定しましたが、「家庭系」は依然として削減が必要な状況です。廃棄に伴う二酸化炭素の排出や膨大な処分費用は、環境、経済の両面で深刻な負荷となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0700004.webp"><p>解決に向け行政や企業は「賞味期限」の年月表示への変更や、未利用食品を福祉施設へ寄付する「フードバンク」の支援などを進めています。</p><p>未来の環境を守るためには、私たち消費者の行動変容が不可欠です。購入してすぐ食べる場合は棚の手前から取る「てまえどり」の実践や、食材の使い切り、賞味期限の正しい理解など、日常生活での小さな積み重ね、持続可能な社会を実現していきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_035a31d52d604dc8485630b475d1e46b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［食品ロスをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103567/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界では十分な食べ物を得られずに苦しむ人が増えている？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/84322/food_loss" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界で捨てられる食物は年間25億トン。食品ロスを減らすためにできること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97694/social_business" target="_blank" rel="noreferrer noopener">白菜がコンクリートの代わりに？食品廃棄物が建材に生まれ変わる新技術（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">食料自給率の低さ</h2><p>食料自給率とは、国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す指標です。</p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省の資料（外部リンク）</a>によると、日本の自給率はカロリーベースで38パーセント、生産額ベースで64パーセントに留まり、諸外国と比較しても極めて低い水準にあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0700004.jpg">日本は諸外国と比べ、食料自給が低い。出典：<a href="https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界の食料自給率：農林水産省（外部リンク）</a><p>背景には米の消費減と、輸入依存度の高い小麦や油脂類、肉類の需要増という食生活の変化が影響しているほか、畜産物の飼料や肥料の多くを海外に頼っている現状に加え、農業従事者の高齢化や担い手不足による国内生産力の減退も自給率低下の大きな要因となっています。</p><p>この状況が招く深刻な課題が「食料安全保障」のリスクです。国際的な紛争や不作、輸出規制などにより物流が停滞すれば、必要な食料を安定確保できなくなる恐れがあります。また、世界的な需要増や円安による価格高騰の影響をダイレクトに受けやすく、私たちの生活を脅かす要因になり得ます。</p><p>不測の事態に備え日本の食卓を守るためには、国内生産基盤の強化が不可欠です。食の背景に関心を持ち、社会全体で支える仕組みづくりが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4f45cf623d60d0e8e535b49540c33bce" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［食料自給率の低さがテーマの記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101917/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「農福連携」が農業の人手不足と、障害者の就労問題を解決するかも？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">資源の枯渇</h2><p>現在、世界では「大量生産・大量消費・大量廃棄」を前提とした、一方通行型の経済が主流です。国連環境計画の報告によると、世界の天然資源の採取量は過去50年間で3倍以上に増え、現在も年平均2.3パーセント以上のペースで増加しており、このままでは資源が枯渇してしまうかもしれません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0700002.jpg"><p>天然資源の過剰な採取や加工は、環境悪化の大きな要因でもあります。具体的には、地球全体の温室効果ガスを排出させる要因の55パーセント以上、加えて陸域における生物多様性損失の原因の90パーセント以上を、これらが占める結果となっています。</p><p>日本においては、エネルギー資源の約8割以上、鉱物資源のほぼ100パーセントを海外に依存しているため、国際的な獲得競争や価格高騰の煽りを受けやすく、影響を受けた電気代や物価の高騰により、私たちの生活や産業が直接的な打撃を受ける可能性がとても高いです。</p><p>今後は、資源を効率的に使い続ける「循環経済（サーキュラーエコノミー）」への移行が不可欠です。製品を長く使うサービスの普及や、使われなくなった家電や電子機器から有用な金属を回収する「都市鉱山」の活用、再生可能エネルギーへの転換などを通じ、輸入資源に頼り過ぎない強靭な社会の仕組みづくりが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d70d6bf32bf796dd1b12bff00cc1b2bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［資源の枯渇をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/96259/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">100年以内に地球の資源のほとんどがなくなる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119353/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">南鳥島沖海底に眠る2.3億トンもの海底鉱物資源。そして「暗黒酸素」とは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">水産資源の減少</h2><p>水産資源の減少とは、本来であれば卵を産んで増えるはずの魚が、将来的に食べられなくなるほど海から減ってしまう状態を指します。</p><p>国内の漁獲量は1984年のピーク時から約3分の1以下にまで減少しました。現在、日本の水産資源の49パーセントが「枯渇状態」にあるとされており、かつては大衆魚の代名詞だったサンマやサケも激減し、私たちの食卓から遠のきつつあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0700001.jpg"><p>この危機を招いた主な要因は2つ。1つは「取り過ぎ（過剰漁獲）」です。魚が育ち、増えるスピードを超えて捕獲し続けたことで、自然の再生サイクルが崩れています。もう1つは「地球温暖化」による海水温の上昇です。魚の生息域や回遊ルートが変わり、稚魚が成長しにくい環境へと変化していることが大きな打撃となっています。</p><p>資源の減少は、魚の価格が高騰するだけでなく、日本の伝統的な魚食文化の消滅や深刻な食糧危機にも直結します。現状では、資源の回復を待っている間に漁業の担い手が離れてしまう二次的なリスクも懸念され始めました。</p><p>未来の海を守るため、全国で漁獲制限や藻場の再生といった管理が進められており、私たち消費者にも「サステナブル・シーフード」の選択が求められます。「海のいま」を知り、日々の買い物で賢い選択をすることが、次世代へ豊かな海を繋ぐ確かな一歩になるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_42c7c9d0a9fb26a5f97997f3667338cf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［水産資源の減少をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112241/resource-depletion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">どうすれば、魚を食べ続けられる？魚食文化を支える「水産資源管理」とは（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109953/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海のおいしい魚を守るため「サステナブル・シーフード」を食べよう！（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/104528/ocean_pollution" target="_blank" rel="noreferrer noopener">レストランで学生が「水産業のいま」を伝えるプロジェクト「THE BLUE CAMP」って？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">一次産業の後継者不足</h2><p>一次産業の後継者不足とは、農業、林業、漁業においてリタイアする担い手の後を継ぐ人が不足し、産業の基盤が急速に縮小している状態を指します。</p><p>農林水産省の<a href="https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/pdf/census_25.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2025年農林業センサス結果の概要（概数値）（外部リンク/PDF）</a>によると、2025年時点で農林業経営体数が5年前から23.2パーセント減少し、個人経営体の農業従事者の平均年齢は67.6歳に達しました。</p><p>このように一次産業の担い手が不足することは、単なる産業の衰退に留まりません。国内生産力の低下による「食料安全保障」へのリスクに加え、森林の保水力低下による土砂災害の増加など、多面的な機能の喪失を招きます。また、地域コミュニティーの維持が困難になり、長年培われた伝統技術や知恵が途絶えることも深刻な損失です。</p><p>この危機に対し、現在は法人化の促進やスマート技術の導入による省力化が進められています。また、新規就業者への資金交付や漁船のリース支援、専門家による「経営継承計画」の策定支援など、若者や就職氷河期世代が挑戦しやすい環境づくりも強化されています。</p><p>私たちが享受している「食」と「環境」を次世代へ引き継ぐため、一次産業を社会全体で支える仕組みへの転換が急がれます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_00eac13746b03a63e62986f20fc86a3f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［一次産業の後継者不足をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119025/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">どんぐり育成で土砂災害を防ぐ。ソマノベースが挑む命を守る森づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112023/social_issues" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中小企業の廃業は加速。後継者不在を解消する「第三者承継」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89142/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">迫る2025年問題とは？労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_4.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「食品ロスとは？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/food_loss/education/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">消費者庁「食品ロスについて知る・学ぶ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/attach/pdf/240621-9.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「令和4年度の事業系食品ロス量が削減目標を達成！（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/gaishoku_shokubunka/attach/pdf/index-497.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「食品ロス及びリサイクルをめぐる情勢」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/250627.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.maff.go.jp/j/press/shokuhin/recycle/250627.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「事業系食品ロス量（2023年推計値）を公表」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_3.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/161227_3.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「商慣習検討」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「世界の食料自給率」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.jica.go.jp/aboutoda/find_the_link/part1/imports.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">つながる世界と日本「食料を外国からの輸入に頼っていると、どんな困ることがある？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/attach/pdf/panfu1-43.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省我が国の食料事情について（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/circular_economy_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/circular_economy_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">資源エネルギー「成長志向の資源循環経済システム『サーキュラーエコノミー』（前編）どんな課題を解決するの？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/content/000242999.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「循環型社会形成推進基本計画～循環経済を国家戦略に～」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/r07/pdf/full.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「令和7年版環境・循環型社会・生物多様性白書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2024_1.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">資源エネルギー庁「2024―日本が抱えているエネルギー問題（前編）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2411/spe1_02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「漁獲量、消費量ともに減少している原因とは!? 知りたい！魚の今」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/tokei/kouhyou/noucen/pdf/census_25.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「2025年農林業センサス結果の概要（概数値）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/tokei/sihyo/data/08.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「農業労働力に関する統計基幹的農業従事者（個人経営体）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.maff.go.jp/j/wpaper/w_maff/r6/pdf/zentaiban.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林水産省「令和6年度食料・農業・農村白書全文」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r6hakusyo/zenbun.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">林野庁「令和6年度森林・林業白書（令和7年6月3日公表）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/R6/attach/pdf/250606_1-21.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">水産庁「令和6年度水産白書」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>トラウマ体験によるPTSDは「心のケガ」。その症状や治療法、私たちに必要な配慮とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121527/disability</link>
      <pubDate>Tue, 28 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>PTSDの潜在患者は推定70万人以上。誰にでも起こり得る疾患で、心の弱さが原因ではない</li><li>専門治療の地域格差や保険診療で受けられる医療機関が限られることによる治療費の負担が壁となり、回復支援につながりにくい</li><li>誰もがトラウマ体験の影響を抱えている可能性を前提に、「心のけが」への配慮が必要</li></ul><p></p><p>「もしかしてPTSDかもしれない」そう感じたとき、どんな治療法があり、どこに相談すればよいのでしょうか。</p><p>「PTSD（心的外傷後ストレス障害）」とは、とても恐ろしくて悲惨な出来事を経験した後に起こりうる精神疾患のこと。1995年の阪神・淡路大震災をきっかけに、被災者の「心のケア」の重要性が認識されるようになり、PTSDという言葉も世間に知られるようになりました。</p><p>震災や犯罪被害、虐待、事故などを経験した人たちが、心に深い傷を負い、PTSDという精神疾患に苦しむことがある――。そうした深刻さが知られる一方で、実際にはどんな病気で、どのような症状が表れ、どのような治療法があるのか、まだ十分に理解されているとはいえません。</p><p>今回は、<a href="https://www.ncnp.go.jp/index.php" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国立精神・神経医療研究センター（外部リンク）</a>で、PTSDの治療と研究に携わる井野敬子（いの・けいこ）さんに、PTSDの症状や、日常生活への影響、回復への筋道について伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00007-1024x497.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d213f8695339998d63b87c2b1fc70a5a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「生死に関わる体験、深刻なけが、性暴力」によるトラウマ</h2><p>――PTSDとは何かを教えてください。</p><p>井野さん（以下、敬称略）：PTSDとは「Post-Traumatic Stress Disorder」のことで、日本語では「心的外傷後ストレス障害」と訳されます。心的外傷（トラウマ）体験にさらされた後に発症することがある精神疾患です。</p><p>トラウマ体験の記憶が、恐怖や不安といった強い感情とともに繰り返し思い出され、動悸や発汗、不眠などの症状が出ます。そうした症状が1カ月以上続き、日常生活に支障を来たしている場合はPTSDと診断されます。</p><p>――トラウマとはどのようなものを指すのでしょうか。</p><p>井野：医学的には、トラウマとは個人で対処できないほどの圧倒的な体験によって生じる心の傷のことを指します。原因となる体験には、災害や事故、暴力、性加害、戦闘、虐待などがあります。</p><p>精神科の診断基準（DSM-5）では、トラウマ体験を「実際に、または危うく死ぬ、深刻なけがを負う、性的暴力など、精神的な衝撃を受ける体験」と定義しています。</p><p>一般的には、「心が傷つき、乗り越えられずにいる体験」全般をトラウマ体験と指すことがありますが、PTSDの診断ではより狭い意味で使われます。</p><p>ただし、診断上は区別されるとしても、つらい症状がある場合には適切なケアが必要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00002-1024x683.jpg">井野さんはトラウマ関連疾患やPTSDの認知行動療法を専門とし、認知行動療法の1つである「持続エクスポージャー療法」の実践、研究に取り組んでいる<h2 id="tnf-text-heading-block_53385d5ab29b61470e8c8d57a7f73f39" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰にでも起こり得る「ありふれた」疾患の1つ</h2><p>――PTSDの症状は、危険な出来事（トラウマ）に対してこころと身体を守る反応として出ているのですね。</p><p>井野：そうです。人命救助に関わる消防士や自衛隊員、警察官などの職業は、トラウマ体験のリスクが高いといわれています。</p><p>震災後には、被災地を取材したメディア関係者や派遣された自衛隊員がPTSDを発症したケースもあります。ただ、トラウマ体験をした全ての人がPTSDを発症するわけではありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/PTSD2_A.jpg"><p>――PTSDの患者はどのくらいいるのでしょうか。</p><p>井野：厚生労働省関連資料では、日本のPTSD患者について、医療機関で把握される患者数は2万5,000人弱（2017年度NDB調査）とされる一方、WMH日本調査に基づく推計では年間70万人規模のPTSD患者が存在すると示されています。</p><p>したがって、医療につながっていない潜在患者が相当数いる可能性があります。</p><p>――そんなにたくさんいるのですね。</p><p>井野：実際、PTSDで苦しんでいる人の数を特定するのは難しく、過小評価されていると思います。なぜならトラウマ体験を、誰にも打ち明けられずにいる人がたくさんいるからです。</p><p>性被害は表面化しにくく、内閣府や警察庁関連資料では、被害者の半数以上がどこにも相談していないこと、また古い調査では警察に相談した人は4.3パーセントにとどまることが示されています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fda6b62060b914d11db5df62cad5dc76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">危険に備えるために表れるPTSDの症状</h2><p>――PTSDになると、どんな症状が表れるのでしょうか。</p><p>井野：PTSDの症状は大きく4つの症状群に分かれます。</p><p>1つ目は「侵入症状」。トラウマとなった出来事が、今まさに起きているかのように、繰り返しよみがえってくる症状で、フラッシュバックが典型的です。特定の場所や人、におい、音など、トラウマ体験を想起させる刺激に触れると、動悸や発汗、息苦しさなどの身体的な反応が表れます。</p><p>2つ目は「回避症状」。トラウマ体験を想起させるものを避けるようになる症状です。トラウマ体験を人に話せなくなったり、前は何気なくやれていたことが怖くなってできなくなったりすることもあります。</p><p>3つ目は「認知と気分の陰性変化」。トラウマ体験をする前よりも、世の中や他人が危険に感じられるようになったり、ネガティブな感情を持つようになったりする症状です。以前は好きだったものへの興味を失い、楽しいはずのことをしていても気分が上がらない。人にも自分にも無関心になり、感情や感覚がまひしているような状態になります。</p><p>4つ目が「過覚醒（覚醒度と反応性の著しい変化）」。神経が高ぶったり、過敏になったりする症状です。常に警戒しなければならないような感覚になり、些細な物音や動きに過剰に反応したり、物事に集中できなくなったりします。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00005-1024x294.jpg">症状によって、車や電車に乗れない、平静を保てない、仕事に集中できないなどの支障が生じ、生活の幅が狭まる。画像内イラスト：野崎ひろこ、画像引用：<a href="https://cpt.ncnp.go.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">CPTウェブサイト『知識は、ちから』（外部リンク）</a><p>――なぜそうした症状が出るのでしょうか。</p><p>井野：「世界はとても危険だ」「人は信じられない」「自分は弱い存在だ」と思っていたほうが、危険に備えやすいからです。トラウマとなる体験を経て、世界や自分に対する見方が変わってしまう。そして、心と体を守ろうとする自然な反応として表れるのです。</p><p>心が弱いから、PTSDの症状に苦しむのではなく、大きな危険を経験すると誰でも起こり得るものだと知ってほしいです。</p><p>――日常生活にはどんな影響があるのでしょうか。</p><p>井野：トラウマ体験以前には、当たり前にできていたことができなくなります。</p><p>「電車に乗れない」「車に乗れない」「人との交流ができない」など、トラウマを想起させるかもしれないと感じることができなくなります。例えば、性被害に遭った人は、誰かに触れられることに恐怖を感じるので、知らない人がたくさんいるような場所には行けなくなってしまうことがあります。</p><p>また、トラウマ体験が起きたことを自分のせいだと責めてしまい、「私が○○したからこうなったんだ」と、自分の行動に制限をかけてしまうこともあります。</p><p>ほかにも、怒りのコントロールができなくなり、突然怒りが爆発してしまうこともあります。本人は恐怖や危険を感じて身を守ろうとしているのですが、それによって人間関係が壊れてしまうことにもつながります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ee8b6e8782172931a057d9c7f45367b5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">トラウマ体験に気づいていないケースもある</h2><p>――「もしかしたらPTSDかもしれない」と気づくサインはありますか。</p><p>井野：過去にトラウマ体験があり、時間が経ってもなお、その時の記憶がありありとよみがえる、気持ちが動揺して苦しいといった状態が続いているのであれば、PTSDの可能性があります。</p><p>トラウマ体験の直後にこうした症状が表れるのは「急性ストレス障害」と呼ばれ、その状態が1カ月以上続く場合にはPTSDと診断されます。</p><p>国立精神・神経医療研究センター 認知行動療法センターが運営する<a href="https://cpt.ncnp.go.jp/learn/about-ptsd/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">情報サイト（外部リンク）</a>では、PTSDをセルフチェックできるリストを公開していますので、参考にしてみてください。</p><p>PTSDはとてもつらい症状が出るので、本人が不調を自覚していないことはほとんどないのですが、トラウマ体験を経験したことに気づいていない人や、それがトラウマを原因としていることに気がついていない人もいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00006.jpg"><p>――トラウマ体験を経験したことに気づいていないケースには、どのようなものがありますか。</p><p>井野：例えば、子ども時代に児童虐待で重傷を負っていても、ほかの家庭の様子を知らないので「これが当たり前」と思い込み、トラウマ体験を自覚していないケースです。幼少期に性被害に遭うと、その意味が分からないまま成長し、大人になってその意味がわかることでトラウマ症状が出ることもあります。</p><p>また、うつ病だと診断された人が、実はPTSDも持っていたというケースも比較的みられます。本人がトラウマ体験を自覚していなかったり、診断の際に話していなかったりすると、表に出ている症状からうつ病と診断されてしまうのです。</p><p>PTSDはうつ病と併発している人も多く、約半数の方にうつ症状も見られます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00004.jpg">未成年で家庭内虐待を受け、社会的養護につながらなかった成人683人への調査。虐待の認識が20歳以降の人が過半数。データ出典：一般社団法人Onara「社会的養護未経験児童虐待被害者の実態調査アンケート」<h2 id="tnf-text-heading-block_9b45cefff6ae19af34ed4f363a5fba94" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">トラウマやPTSDを専門とする医療機関を受診し、医師とつながる</h2><p>――PTSDかもしれないと思ったら、どこへ相談に行けばいいでしょうか。</p><p>井野：まずは精神科を受診してみましょう。精神保健福祉センターでも相談できます。</p><p>また、性被害を受けた場合には、<a href="https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」（外部リンク）</a>に連絡してください。産婦人科医療やカウンセリング、法律相談など、専門機関と連携しているセンターなので、包括的な支援につながることができます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00008-1024x472.jpg"><p>――精神科であればどこを受診してもよいですか。</p><p>井野：「内科・心療内科」と併記されているところは、内科を専門とする先生が診ている場合もあるため、精神科の専門医がいる医療機関をおすすめします。</p><p>PTSDを専門にしている精神科医は少ないので、医療機関のホームページを調べて、診療内容に「トラウマ」「PTSD」があるところを探してみてください。PTSDの患者さんは、トラウマ体験を人に話すことにハードルがあるので、信頼できる医師を探すことが大切です。</p><p>ただ、1回の診療だけで「信頼できる医師かどうか」を見極めるのは簡単ではありません。次々と医療機関を変えてしまうよりは、まずは通い続けること、医師とつながり続けることを目標にしてみてください。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_60114ae3b05c3f0afe959e2ee8ca552b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">症状の改善につながるPTSD治療の選択肢とアプローチ</h2><p>――PTSDにはどんな治療がありますか。</p><p>井野：PTSDの治療の柱となるのは、主に「心理療法」と「薬物療法」です。</p><p>「心理療法」で有効性が高いとされているのが、トラウマに焦点を当てた認知行動療法の「認知処理療法」や「持続エクスポージャー療法」があります。他にも「EMDR」という治療法も効果が証明されています。</p><p>――「認知処理療法」と「持続エクスポージャー療法」について教えてください。</p><p>井野：「認知処理療法」は、安全な環境でトラウマ体験を振り返ることで、自分自身や世界に対する新しい考え方を学んでいく治療法です。</p><p>「持続エクスポージャー療法」は、トラウマの出来事をお話することで、不安を乗り越え、体験を整理する治療法です。</p><p>トラウマを体験して以来、遠ざかっている人や場所、活動にも段階的に接していき、怖くなってしまっているものに再び安心感を感じられるように繰り返していきます。</p><p>――「EMDR」はどんな治療でしょうか。</p><p>井野：EMDRは、トラウマに関する記憶を想起しながら、眼球運動などの左右交互の刺激を用いて、その記憶に伴う苦痛を軽減し、再処理を促す心理療法です。日本語では「眼球運動による脱感作と再処理法（Eye Movement Desensitization and Reprocessing）」と訳されています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>トラウマの記憶を思い浮かべながら、特定のリズムで眼球を左右交互に動かすことで刺激を与えます。メカニズムは明らかにされていませんが、すでに効果は証明されています。</p><p>「EMDR」を受けられる医療機関は限られていますが、<a href="https://www.emdr.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「日本EMDR学会」（外部リンク）</a>のホームページで治療者リストが公開されていますので、参考にしてみてください。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/ptsd00001-1024x1024.jpg">過去のつらい記憶や現在の不安の引き金に働きかけ、情報処理の力を促すことで、記憶に伴うつらさやストレス反応の軽減を目指す治療法</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_7297c2bf47baadfb6371135fac3aa173" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">治療へのアクセスを阻む金銭的負担と地域格差、医療者不足</h2><p>――PTSD治療において、どのような課題がありますか。</p><p>井野：「認知処理療法」と「持続エクスポージャー療法」は保険診療の適応になっていますが、実際のところ保険診療で提供している医療機関はほとんど見つからないのが実情です。</p><p>というのも、治療の提供に必要な時間に対して保険点数（※）が十分でなく、医療機関として採算のバランスが取りづらいからです。多くの患者さんはカウンセリングルームなどでカウンセリング料金として支払うか、一部の医療機関は診療報酬のほかに予約料をとってその採算バランスをとっている現状があります。</p><p>カウンセリング料金を支払う場合、1回1万円から1万5,000円ほどの費用がかかります。PTSDによって仕事を失ったり、休職したりしている方がいるなかで、治療費の負担は深刻な問題です。</p><p>この状況を変えるためには、医療制度の見直しが必要です。そのためにも、PTSD治療の必要性がもっと社会に認識されることが大事だと思っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_cf865cfb3e8917d8894df4dc2688b3cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「保険点数」とは、日本の公的医療保険制度において診察や治療などの各医療行為に設定された報酬の単位で、その合計から医療費が算出される仕組み</div><p>――医療費の負担や制度の課題が大きいのですね。ほかにも課題はありますか。</p><p>井野：はい。PTSDの治療をできる医療者が不足していることです。PTSDの心理療法には専門スキルが必要ですが、そうしたスキルを習得している医療者は少なく、なかなか治療が広まりません。</p><p>さらに、PTSDの治療者は東京に集中していて、地方ではPTSDの治療を受けられる医療機関がとても少ないのも大きな課題です。</p><p>――PTSDで苦しむ人たちに、私たちができることはありますか。</p><p>井野：PTSDの原因となる、命に関わるような出来事に限らず、広い意味でのトラウマに苦しんでいる人は、皆さんの周りにもたくさんいると思います。</p><p>そうしたトラウマ症状に対するケアには、医療者でなくても実践できる「トラウマインフォームドケア（こころのけがに配慮するケア）」があります。「トラウマインフォームドケア」とは、全ての人にトラウマ体験の影響があるかもしれないと思って、人に接しようという考え方です。</p><p>トラウマの影響を、誰もが当たり前のように知っていれば、自分が傷ついたときの助けにもなります。「もしかしたら」と想像しながら人に接することが、PTSDに苦しむ人たちを理解し、ケアするための第一歩になると思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9ba855dec4ea9298255eb2999fa7a460" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">PTSDのある人が安心して暮らせるように、私たち一人一人ができること</h2><p>井野さんから、PTSDのある人が安心して暮らせる社会にするために、私たち一人一人ができる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4811752c309357ba971805f8c8474c67" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「心が弱い」のではなく、誰もがなりうる疾患だと知る</h2><p>一生のうちにトラウマ体験をする人は60パーセント以上に上るといわれている。その全ての人がPTSDを発症するわけではないが、「心が弱いからなる疾患」ではなく、いつ、誰がなってもおかしくない疾患であると知ることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_21e771d48d256d7e3ad0be94c6a1f19e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］症状を理解し、適切な治療へとつなげる</h2><p>PTSDは、心と体を守るためにさまざまなつらい症状が出る疾患。当たり前にできていたことができなくなったり、人と信頼関係を築きにくくなったりと、日常生活に支障を来たす。専門的な治療が必要であり、その人に合った適切な治療法につなげることが重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4afc764b462ad304de322f725b0e0f02" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「誰にでもトラウマがある」と想像して接する</h2><p>私たちの身近にもトラウマ体験の影響に苦しんでいる人がいる。「あの人が怒っているのは……、あの人が不安がっているのは……、もしかしたらトラウマの影響かもしれない」。そんなことを想像しながら人に接することが、トラウマケアの第一歩になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本財団ジャーナルでは、これまで性暴力や児童虐待、犯罪被害者支援などを取材してきました。その中で、自分の意思では避けることのできなかった体験を背景に、PTSDに苦しむ人が多くいることを知りました。この疾患や治療法について学び、多様な背景を持つPTSD患者のその後を探りたいと考え、今回井野さんに話を伺いました。</p><p>電車に乗ることに恐怖を覚える。目的があっても人が多い場所に向かえない。恐ろしい記憶に支配され、大切な人に不合理に怒りをぶつけてしまう。PTSDを抱える人々は、こうした日常や人生の選択肢を狭める症状を予測できたでしょうか。</p><p>対人的な被害は、モラルハラスメントの気質があるパートナーの言動といった、「前触れ」があることが多い、でも不可抗力なのです。トラウマ体験は「〇〇していれば避けられる」ものではなく、意思や行動とは無関係に、個人の力を超えて降りかかってきます。</p><p>2020年の調査では、年間500人に1人が交通事故に遭い、女性の約14人に1人、男性の約100人に1人が性交等の被害に遭い、2024年の虐待事件被害の児童数は2,700人。ひとごとではないからこそ、身近にある現実から目を逸らしたくなることもあるでしょう。</p><p>一方で、PTSDは改善を望める疾患です。ただ、専門的な治療へのアクセスにはハードルがある。私たち一人一人の声には、こうした状況を変える力があります。</p><p>PTSDの背景にあるトラウマ体験、さらにその背景にある社会問題。それらを学び、声を上げる。一人一人の行動によって、トラウマ体験に苦しむ人が、自分の人生を取り戻し、今を生きるために、必要な治療にたどり着きやすい社会に、少しでも近づいていくことを願っています。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>阿蘇火山と複合災害。“災害”と“恵み”が共存する日本で、私たちはどう備えるべきか？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121495/disaster</link>
      <pubDate>Thu, 23 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本は111の活火山が集中する火山列島。複合災害のリスクと自然の恩恵は表裏一体</li><li>災害記憶が風化し始めている。地震の教訓が具体的な備えや行動につながっていないことが課題</li><li>行政の支援は「補助輪」。生活圏の地形や災害履歴を調べ、自分の命は自分で守る心構えが重要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>もし、あなたの暮らす場所で、地震と噴火が同時に起きたら、どこへ逃げるかをすぐに判断できるでしょうか。</p><p>111もの活火山がある日本は、世界の活火山の約7パーセントが集中する火山列島です。地震が火山活動に影響を及ぼす可能性はたびたび指摘されていますが、南海トラフ巨大地震と富士山噴火の関連も議論され、地震と噴火の複合災害への関心が高まっています。</p><p>2016年の熊本地震では、揺れが起こった約半年後に震源に近い阿蘇山で爆発的噴火が発生しました。</p><p>地震と噴火が重なる「複合災害」の経験は、私たちの備えに何を教えてくれるのでしょうか。阿蘇山の成り立ちや火山活動を伝える、熊本県阿蘇市の<a href="https://asomuse.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">阿蘇火山博物館（外部リンク）</a>の学芸員・豊村克則（とよむら・かつのり）さんにお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00010-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_3c50d6a7088af37b9ed881f17e0ef9f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">観光だけでなく防災も学ぶ。熊本地震が変えた博物館の使命</h2><p>――阿蘇火山博物館は、どのような施設なのでしょうか。</p><p>豊村さん（以下、敬称略）：もともとは、阿蘇山の中岳（なかだけ）火口の見学に行けない方のための観光施設として誕生しました。</p><p>現在は登録博物館（※）として、阿蘇山の歴史や火山活動だけでなく、火山が自然にもたらす影響や、そこに住む人たちとの関係までも多角的な視点で紹介しています。また、防災学習も重要なテーマの1つです。</p><p>展示や学習プログラムで明確に防災を打ち出したのは、2016年の熊本地震がきっかけでした。それまでも1990年代に雲仙普賢岳（うんぜんふげんだけ）の噴火があったり、2012年に九州北部豪雨があったりと、「最近、災害が多い」という認識はありました。</p><p>そこにきて2016年の熊本地震が起こり、私たちがしっかり取り組まなければと思ったんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_e5aca38d8a657b8c58237504cf0a18db" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「登録博物館」とは、都道府県教育委員会または指定都市教育委員会の登録審査を受けた館のこと</div><p>――阿蘇火山博物館が防災を伝える上で、大切にしているポイントはどこでしょうか。</p><p>豊村：一般の方々と研究者の「つなぎ役」をするのが博物館の役割ではないか、と考えています。というのも、教科書に載っている災害についての基礎知識は、最先端の研究と比べると一歩、二歩遅れてしまいやすいのです。</p><p>かといって、一般の方が地震や火山の研究機関の最新データを見るきっかけもないですよね。そこを分かりやすくつないでいきたい。</p><p>私たちの話を聞いたから100パーセント命が助かるなんて大それたことは言えませんが、知らないことには対策もできないのです。備えの「きっかけ」をつくることが、防災の発信を行う上での一番の役割だと思います。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/570c941e00534e1d437fd64f87b8ba2d.png">阿蘇火山博物館では、教育旅行向けのプランとして、目的に合わせた探究学習や体験プログラムを展開するほか、館内学習やフィールド学習、出前授業を積極的に行っている。出典：教育プログラム – 阿蘇火山博物館</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/408a1d13a6965774da292febc7ba5dcb.png"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_229e6fc1577a0eda89c0ba4979923c32" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2度発生した震度7の地震。その半年後、真夜中に阿蘇山が大噴火</h2><p>――熊本地震の半年後、阿蘇山の爆発的噴火が起きました。当時はどのような状況だったのでしょうか。</p><p>豊村：噴火が起こったのは、2016年10月8日の夜中の1時過ぎ。調査の結果、1万1,000メートルもの噴煙が上がり、噴出物の摩擦によって光る火山雷（※）が発生したとされていますが、映像はほとんど残っていません。</p><p>阿蘇市内でも広い範囲で小さな噴石が降り、火山灰が積もりました。私もその時、阿蘇市内にいましたが、小粒の噴石が窓ガラスに当たる「コツコツ、バチバチ」という音がすごくて、「窓が割れるのではないか」と思ったのを覚えています。</p><p>実際、火口に近い施設では窓ガラスが割れたり、車が損壊したりしています。もし日中に噴火していれば、通行人に噴石が当たってけがをしていたことも考えられます。真夜中で出歩いている人が少なかったのが不幸中の幸いでした。</p><div id="tnf-text-notes-block_d233577f50167660e78d7ddeedc20cd4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「火山雷」は、火山噴火に伴い、噴煙や周辺で、電光放電によって発生する現象のこと</div><p>――噴火が起こった後の街はどのような状態になったのですか。</p><p>豊村：駐車場に停まっている黒い車が、セメントを被ったようなグレーに変わるくらい灰が降りました。</p><p>火山灰が積もると路面との摩擦がなくなるので、ものすごく滑るんです。噴火当時の灰は湿っていたので、道路は「ぬるっ」としたゆるい粘土を敷きつめたような状態になって、車がスリップするのはもちろん、歩くのすら大変でした。</p><p>鉄道の線路も広範囲にわたって灰に覆われたため、除灰作業が追いつかず、翌朝の交通はかなり混乱しましたね。</p><p>――改めて、今振り返ると、熊本地震はどういう特徴のある地震だったのでしょうか。</p><p>豊村：いろいろな意味で特殊な地震だったことは間違いありません。</p><p>九州地方で初めて、2日間のうちに2度の震度7を観測。震源が一点に留まらず、大分から熊本を横断するようにドミノ倒し的に発生しました。国の耐震基準といったルールもあの地震で大きく変わりました。阪神・淡路大震災と並ぶ、日本の防災ルールに影響を与えた地震だと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00001-1024x768.jpg">噴火後、豊村さんの車が損壊した様子。黒い車体が降り積もった火山灰によってグレーになっている。画像提供：豊村克則<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00005-1024x768.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4e899c8003c96a57609c151483001ce0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">恩恵と災いは表裏一体。阿蘇の暮らしが教える火山との共存</h2><p>――修学旅行や社員研修にも対応する、多彩な教育プログラムを展開しているのも阿蘇火山博物館の特徴ですが、その中で「災害」と「火山の恩恵」を合わせた、共存の視点による学習を行っているのが印象的でした。</p><p>豊村：以前は館内の展示を解説するだけのプログラムだったのですが、来館者に飽きられないような工夫を凝らす中で、ガイドの育成や教育旅行プログラムの作成が本格化していきました。</p><p>その過程で生まれたのが防災プログラム「火山と共存する阿蘇人（あそんもん）から学ぶ防災」です。さらに、「防災のエッセンスはそのままに、SDGsの観点を加えてほしい」という学校からの要望を受けて、「火山と共存する阿蘇人から学ぶSDGs」というプログラムが誕生しました。</p><p>――防災とSDGsは、異なるテーマのようにも感じられますが、どのように結びついているのでしょうか。</p><p>豊村：防災とSDGsは一見違うものに思えますが、実は阿蘇においてはとても近いのです。</p><p>なぜなら、阿蘇市があるのは、周囲約100キロメートルにも及ぶ「阿蘇カルデラ」の内部。阿蘇人は「火山の中」という環境に住み着いて生きてきました。その特徴は、豊かな自然の恩恵を享受できる一方で、災いにも何度も遭遇すること。</p><p>SDGsの考え方に「自然の恵みと自然災害はほぼ等しい」という概念がありますが、まさに阿蘇の暮らしそのものなんです。そして、火山と共存する阿蘇の環境は、ある意味で日本の縮図である、という見方もできます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3a74a7e0f37fcfdc67ac661708e9ea4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害リスクが支える豊かさ。日本はハイリスク・ハイリターンの国</h2><p>――火山と共存する阿蘇が日本の縮図、というのは具体的にはどういうことですか。</p><p>豊村：阿蘇の暮らしを見れば、火山列島である日本という国がどういう場所なのかがよく分かるからです。</p><p>まず、日本は世界の活火山の約7パーセントが集中している国ですが、世界で起こる地震の約1割が日本周辺で起きています。火山の側に住んでいる・いないを問わず、間違いなく自然災害のリスクが高い場所なのです。</p><p>一方で、自然の恩恵に目を向けると、世界に200以上の国や地域がある中で、水道水をそのまま飲める国はたった9箇所ほどしかなく、その1つが日本です。</p><p>豊かな水量を担保しているのは、世界平均（約1,000ミリ）の約1.4倍から2倍という雨量。阿蘇に至っては、年間3,000ミリもの雨が降ります。そして、火山が出した溶岩が天然のろ過器となってきれいな水が地下水として湧き出てきます。</p><p>おいしいお米を作るにも、水の担保は絶対条件です。世界では主食として小麦が主流ですが、それは水の確保が難しい地域でも環境適応力が高いからです。日本は水が豊かで、おいしいお米が採れる。それらを支えているのは災害リスクそのものなのです。</p><p>同プログラムは学校だけでなく、社員研修や自治会でも利用されていて、参加者は小学4年生から最高齢80歳までいますが、「日本がこれほど超ハイリスク・超ハイリターンの場所だと改めて知った」という声を多くいただいています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00009-1024x683.jpg">阿蘇市に広がる阿蘇カルデラについて解説する豊村さん。阿蘇火山博物館では、豊村さんをはじめとした学芸員の案内で館内を巡ることができる<h2 id="tnf-text-heading-block_e4aed5e4a8bf5c38d957a17cc42815db" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">忘れてはいけない過去の教訓。自分の命は自分で守る意識が大切</h2><p>――熊本地震の発生から10年が経過しました。災害の記憶は地域内でどのように受け継がれているのでしょうか。</p><p>豊村：正直にお話しすると、すでに忘れられ始めているのを感じます。10年経つと、熊本で地震があったことすら知らない小学生もいます。</p><p>実際に体験した人だとしても、嫌な体験は忘れてしまいたいという心理が働くものです。しかし、嫌な体験は忘れても、地震の教訓を忘れてはいけません。</p><p>――その「忘れてはいけない教訓」とは、具体的にどういったことでしょう。</p><p>豊村：地震が起こるまで、熊本では「県内で大きな地震は起きない」という、根拠のない言説が聞かれることがありました。</p><p>でも、実際には非常に大きな地震が発生しましたよね。しかも熊本地震は「複合災害」でした。本震で地盤がゆるんだところに水害級の大雨が降って、土砂崩れが激増。噴火だけでなく「地震＋水害」も起こったのです。</p><p>この時に学んだ教訓は、自分の生活圏でどんな自然災害が起こり得るのかをあらかじめ知っておくことの重要性です。それが分かれば、どういう被害に遭う可能性があるのかシミュレーションできますし、どのような備えが必要かも見えてきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00008-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_51d7bdab996fff8617e8c2b9163e3950" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「知る・シミュレーションする・備える」。自助を実現する3つのステップ</h2><p>――確かにそうですね。地域で起こり得る自然災害の可能性を知るために、どういう方法が有効でしょうか。</p><p>豊村：「知る」「シミュレーションする」「備える」の3段階で考えると良いですね。最初に始めるべきは、自分が住んでいる場所の地形と年間の雨量、火山や断層の有無を調べること。</p><p>併せて確認するのは「地名」の由来です。例えば、「蛇」や「龍」が付く場所は土石流や川の氾濫といった水害を表している事例が見られます。いわゆる「災害地名」として後世への警告として残したはずが、宅地開発によって名称変更されるケースもあるので、確認してみると良いですね。</p><p>そうやって地域を調べ、リスクを想定できたら、答え合わせのような気持ちで国や自治体が発行するハザードマップを見てみましょう。最後にハザードマップを見る理由は、あの内容はあくまで発生の目安であって、生命の安全を担保するものではないからです。</p><p>――そうやって住んでいる地域の地形のリスクを理解した上で、被災したときのシミュレーションをしてみるわけですね。</p><p>豊村：その通りです。例えば、水害が起こった場合は、一般に「高台に避難する」とされますが、もし真夜中に洪水が発生した場合はどうでしょうか。状況が分からない中で外に出て流されでもしたら、誰にも気づいてもらえないかもしれません。</p><p>マンション住まいなら、上の階に逃げる「垂直避難」を選ぶのはどうか、戸建てなら近くのビルや他人のアパートでも「命を守るために入れてください」とお願いしてはどうか、などを考えてみるわけです。</p><p>そうやってあらかじめイメージしておくと、どういう備えが必要か、具体的に考えやすくなると思います。</p><p>――なるほど。確かに自分の環境に合った備えが想像しやすくなりそうです。</p><p>豊村：一般的な防災プログラムによくある「タンスを固定しましょう」のような声かけは、あくまで地震対策で、水害には役立ちませんよね。自分の生活圏で起こり得る災害に合わせた準備こそが、本当の「備え」であり「自助」だと思います。</p><p>――実際に、そうした「自分に合った備え」を意識されたご経験はありますか。</p><p>豊村：私は熊本地震の前震を感じた時、「次に大きな揺れが来たらどこに逃げるのか」をすぐにシミュレーションしました。</p><p>住まいの近くに障害物のない広い空き地があったので、本震が来た瞬間にすぐ車でそこへ移動したのです。車の中なら倒れてくるものがないですし、プライベートなスペースも確保できる。「これで今晩死ぬことはない」という環境をつくれて少し安心できました。</p><p>行政の支援はあくまで「補助輪」のようなものですから、「国や県など自治体がなんとかしてくれる」という考えはいったん捨てる。何かあったときに自分の命を助けられるのは自分しかいない、という気持ちで備えてほしいです。</p><p>――そういった過去の教訓を、プログラムでは語り継いでいるのですね。</p><p>豊村：熊本地震での経験は、やはり忘れてはいけないものだと考えます。私たちが伝えていくことで、万が一のときに活かしてもらえる。そうやって、何かあったときに生き残ってもらうことこそが、阿蘇火山博物館の1つのミッションだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00006-1024x768.jpg">地震後、豊村さんが博物館に初めて訪れた時の様子。同館は火山現象発生時に利用者の円滑な避難を確保すべき「避難促進施設」としても機能する。画像提供：豊村克則<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/asozan00003-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d50f780f18e7bccaba4220d769a82671" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地震と噴火の複合災害に備えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>豊村さんに、地震と噴火の複合災害に備えるために私たち一人一人ができることについて、3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_db94f9c334c6b0c9918c3b4a0262e3f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 自分の生活圏で「何が起こり得るか」を調べてみる</h2><p>自治体のウェブサイトや地域の図書館には、その地域の災害履歴や地形の情報が記録されている。自分の住まいや職場など、生活圏内にどのような災害リスクがあるのかを調べ、遭遇し得る被害について考えてみると、災害時の心構えの土台になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d19a36bf422da33136268e16e89ff530" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 「もしここで被災したら」と、頭の中でシミュレーションしてみる</h2><p>生活圏内の災害リスクが見えたら、次は「自分がどこにいるときに、どんな目に遭うか」を想像してみる。自宅、職場、通勤・通学路。昼、夜など。それぞれの場面で、どこに逃げるか、何が必要かを考えるだけでも、いざというときの判断力や行動の俊敏さが変わる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a7864a3003bcd52525cbb226f99d353e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 調べたことを身近な人と共有し、「共助」の土台をつくる</h2><p>調べたことや、そこで得た気づきを、家族や友人、地域コミュニティーと共有する。「この地域ではこういう災害が起こり得る」「逃げる場所はここがいいかもしれない」などと話し合うだけでも、備えに対する意識は変わり、周囲の命を守るきっかけにもなる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>最大震度7の揺れをもたらした2016年の熊本地震では、震源に近い阿蘇山が直後に小規模噴火し、約半年後には大規模噴火も発生。地震、噴火、水害が重なる「複合災害」への備えを考える重要な事例となりました。火山列島で暮らす私たちが何を備えるべきかを学ぶべく、阿蘇火山博物館の豊村さんに話を伺いました。</p><p>阿蘇火山博物館では、日本全国の火山の分布図が展示されていました。豊村さんから「この図を見て、地震や噴火の影響を受けない地域はどこだと思いますか？」と問われ、隅々まで眺めましたが、「これぞ」という場所が見つかりませんでした。</p><p>言葉に詰まり「どこにも安全なところはなさそうに見えます」と答えると、「その通り。正解です」と豊村さん。博物館が防災教育を続ける理由が、その一言に凝縮されているように感じました。</p><p>豊かな自然の恵みを受け取ることは、災害の脅威から目を背けないことと表裏一体。日本に暮らす私たち全員が、あらためてそれを意識しなければいけない、と強く感じた取材でした。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <title>出所者が何気ない日常を暮らせるような支援を――出所者の社会復帰と生活再建を支える「司法福祉学」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121546/shoku-shin</link>
      <pubDate>Tue, 21 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>「司法福祉学」とは、司法と福祉の両面から出所者の社会復帰と生活再建を支える学問分野</li><li>支援の枠組みから孤立する対象者の存在や地域格差が課題</li><li>背景にある困難への正しい理解を深め、特別視せず、孤立を生まない関わりが重要</li></ul><p></p><p>もし、ある日突然、生活に困り、頼れる人もいない状況に置かれたとしたら——そのとき、どんな選択肢が残されているのでしょうか。</p><p>2025年6月に懲役および禁錮が一本化され、新たな刑として拘禁刑が創設。個々の受刑者の特性に応じた処遇を実施する方針へと変わり、円滑な社会復帰や再犯防止に向けた取り組みが進んでいます。そんな中で注目されつつあるのが、「司法福祉学」という学問です。</p><p>罪を犯した人の多くは、貧困や過去の虐待経験など、生活上の困難を抱えていることが指摘されてきました。そこで、刑罰を与えるだけではなく、時に刑務所にいる間から福祉とつながり、出所後の生活基盤を整えることで結果として再犯を防ごうとするのが「司法福祉学」のアプローチです。</p><p>今回は「司法福祉学」を専門とする<a href="https://univdb.rikkyo.ac.jp/view?l=ja&amp;u=100003017" target="_blank" rel="noreferrer noopener">立教大学コミュニティ福祉学部福祉学科（外部リンク）</a>の掛川直之（かけがわ・なおゆき）准教授に、「司法福祉学」の基礎や、出所者が社会復帰の過程で直面する課題について伺います。</p><p>掛川准教授は「罪を犯した人に刑罰を科せば解決するわけではないように、福祉的な支援も解決のための特効薬ではありません」と指摘します。その意味とは何か。詳しく聞きました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_de6609bf6b5022ccc864cfb8b20cb8c7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「司法」と「福祉」、両方の視点から犯罪の背景に向き合う</h2><p>――「司法福祉学」とはどのような学問なのか、その概要を教えてください。</p><p>掛川准教授（以下、敬称略）：司法というのは、犯罪が成立するかどうかを判断し、その人にどのように対応するかを決める仕組みで、福祉というのは人の暮らしを支えていく仕組みや活動です。</p><p>ざっくりいうと、その両方の視点を踏まえて、罪を犯した人が犯罪を繰り返さず平穏に社会で暮らしていけるよう、問題解決を考えるのが「司法福祉学」です。</p><p>――司法と福祉は、それぞれどのような役割を持ち、どのように関わり合うのでしょうか。</p><p>掛川：司法、特に刑事裁判の場合は、公平な手続きを経て、法に基づく「規範的解決」を目的とします。ただし、法的な手続きだけでは、その人がなぜ犯罪に至ったのかという背景までは十分に捉えきれません。</p><p>罪を犯した人の多くは、住まいや仕事の不安定さ、貧困など、生活基盤に課題を抱えています。そうした根本の問題が解決されなければ、再犯してしまう可能性も高くなる。そこで必要になるのが、福祉的な観点から個人の尊厳を尊重しつつ、生活課題に寄り添い、その人が置かれた環境を総合的に捉えて生活の立て直しを図る「実態的解決」です。</p><p>「司法福祉学」は、この「規範的解決」と「実態的解決」の両方を視野に入れて犯罪問題を捉える学問です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/sihohukusi00005-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_478162b49fd73ec5039de6154043286e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">非行少年支援や刑務所の実態から生まれた「司法福祉学」</h2><p>――「司法福祉学」は、「規範的解決」と「実態的解決」の両方を踏まえて、支援のあり方を考える学問だということですね。その上で、どのような考え方が大切になるのでしょうか。</p><p>掛川：「司法福祉学」を「再犯防止を目的とする学問」と捉えてしまうのは、適切ではないと考えています。なぜなら、再犯防止そのものを目的としてしまうと、「してはいけないことリスト」を作ってしまうことにもなりかねず、どうしても支援が制約的になってしまう恐れがあるからです。</p><p>少し極端な例ですが、「再犯を防ぐため」という理由で、過去に万引きをした人の店舗への立ち入りを広く制限してしまうと、日常的な買い物が難しくなり、とくに支援資源の乏しい地域では生活の維持自体が困難になります。</p><p>適切な福祉的支援を行い、その人が本来持っている権利を制限するのではなく、社会のルールとのバランスを取りながら生活を安定させることができれば、結果として再犯も防ぐことができるというのが私の考えです。</p><p>――「司法福祉学」は、どのように成り立った学問なのでしょうか。</p><p>掛川：ここ半世紀ほどで形成されてきた、比較的新しい学問領域であり、なお理論的基盤は発展途上にあります。</p><p>その原点は、1960年代に家庭裁判所の調査官や保護観察官などが、非行少年の立ち直りをどう支えていくかを考えていくなかで作られていった研究会等の取り組みにありました。この頃は、あくまで「司法のプロセスの中に福祉的視点をどのように取り入れるか」という発想が中心的であったと考えられます。</p><p>その流れを大きく変えたきっかけの1つが、2003年に出版された山本譲司（やまもと・じょうじ）さんの著書『獄窓記（ごくそうき）』（新潮社）です。この本によって、刑務所の中には高齢者や知的障害のある人など、本来であれば福祉的支援を必要とする人が、多く収容されている実態が知られるようになりました。</p><p>こうした認識の広がりを背景に、福祉の側から司法との接点を問い直す動きが広がり、現在の「司法福祉学」へとつながっていきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/sihohukusi00003-1024x682.jpg">掛川さんは、学問としての司法福祉学の樹立、司法福祉学と刑事司法ソーシャルワーク臨床との架橋、犯罪行為からの離脱を支える地域づくりを柱とした研究を行っている<h2 id="tnf-text-heading-block_b1c8a54b2decbee9481198ab72255bca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧困や孤立を背景に、犯罪しか選択肢に残らない状況になっている</h2><p>――出所者が社会復帰の過程で直面する困難には、どのようなものがありますか。</p><p>掛川：まず重要なのが「住まいの問題」があります。家がないまま満期釈放（※）される人も多く、出所後に身元引受人がいなければアパートを借りることも難しい。そもそも犯罪に至った背景として、ホームレス状態や不安定な住環境があるケースも少なくありません。</p><p>こうした居住の不安定さは、就労や収入の確保を困難にし、結果として経済的困窮にもつながります。その結果、多くの出所者が「経済的な困窮」に直面します。刑務所での作業報奨金は月平均4,500円程度で、出所時に手元に残るお金はごくわずか。ほとんどお金がない状態で社会に戻る人も多くなっています。</p><p>さらに深刻なのが「社会的孤立」です。出所者支援ではよく「居場所」と「出番」という言葉が使われますが、「居場所」は単に住まいがあるということではなく、「ただそこにいていい」と思える場所のこと。「出番」も、仕事だけではなく、誰かに必要とされる役割全般を指すと私は考えています。</p><p>人はそうした場や役割がなければ生きていけません。再犯を防止しようとすることよりも、孤独を防止しようとする視点こそが求められているのです。</p><p>――なるほど。経済面や住まいの課題に加えて、人とのつながりの欠如も大きな問題になるのですね。</p><p>掛川：はい。多くの出所者は、過去に助けを求めても本人が期待する援助を受けられなかった経験や、虐待などによるトラウマを抱えていて、「誰かに相談する」という発想そのものを持てない傾向があります。</p><p>困ったときに他者を頼ることができず、自分でなんとかしようとした結果、本人に残る選択肢が犯罪しかなくなってしまう。</p><p>――そうした孤立の中で犯罪に至ってしまう背景には、どのような構造があると考えていますか。</p><p>掛川：まず、福祉の対象であるはずの、貧困を抱えた人や高齢者などが支援の枠組みから孤立した結果、犯罪に至ってしまうケースが多くあります。そして、刑務所に入って初めて福祉の対象として認識される。こうした逆転した状況が起きています。</p><p>さらに、刑務所の方が社会よりも規則正しい生活ができ、食事も出る。結果として、刑務所が実質的な「最後のセーフティネット」のようになってしまっている現状もあります。生活に困窮し、孤立の中で罪を犯し、刑務所に入る。そして出所するとまた生活に困窮する。その循環から抜け出せなくなってしまうのです。</p><p>私はこうした構造を「貧困と社会的排除のスパイラル」として捉えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_51c706da607bd38dec6430594672cf96" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「満期釈放」とは、刑事施設で刑期を終えて出所することで、仮釈放者とは異なり出所後に保護観察を受けない。出所後2年以内に再び刑事施設に入所する率は、2019年の出所受刑者では仮釈放者の2倍以上</div><h2 id="tnf-text-heading-block_dae34412e48324cbac5ace05c52903bd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">刑期満了の目的化と「反省」の逆効果、刑務所処遇の課題</h2><p>――これまでの刑務所内処遇には、どのような限界があったと考えていますか。</p><p>掛川：刑務所には高齢者や知的障害が疑われる人が多く収容されています。しかし、これまでの懲役刑（※）の制度は、若くて健康な人をもう一度社会の担い手として戻すことを前提に設計されてきました。</p><p>もちろん受刑者の社会復帰を願う刑務官も多かったと思いますが、制度の根幹は自由を奪い、働かせ、懲らしめることに力点が置かれていた面が大きい。結果として、社会復帰支援よりも「刑期を全うさせること」自体が目的化してしまっていたと思います。その点に、1つの大きな限界があったと考えています。</p><p>――目的がずれているということですね。</p><p>掛川：はい。従来の刑事司法は「反省」を強く求めてきましたが、これは逆効果になることがあります。怒られることに慣れている人ほど、「形だけの謝罪」を身に付けてしまうからです。</p><p>本当の意味で内省を促すには、まず本人の言い訳や本音をしっかり聞くことが必要です。「事情を聞いてもらえた」「分かってもらえた」と感じて初めて、他者の視点に立つ余裕が生まれるのだと思います。</p><p>例えば、私たち自身もミスをしたとき、ただ責められるよりも「どうしてそうなったのか」を聞いてほしいと思うはずです。事情や言い訳を聞いてもらえたと感じて初めて、自分の行動を振り返ることができるのではないでしょうか。この視点は、新たな加害を抑制し、被害者を減らすということにもつながってくるのではないかと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/sihohukusi00001-1024x683.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_5a7ca9f57bef7ea72b7653f6169a276e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「懲役刑」とは、刑事施設に拘置して刑務作業を義務付ける刑のこと。2025年6月に禁錮刑と一本化された</div><h2 id="tnf-text-heading-block_1ea786cbbeca5831724260075f3c3b16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉は特効薬ではない。出所者支援に必要な「長いプロセス」</h2><p>――日本における刑事司法と福祉の連携は、現在どのように進められているのでしょうか。</p><p>掛川：刑事司法と福祉の連携はこの20年ほどで大きく進み、かなり整ってきています。</p><p>その代表的なものが、出所後の生活を支える「出口支援」です。2000年代後半から刑務所に非常勤のソーシャルワーカーが配置されるようになり、現在では多くの刑務所に福祉専門官（※）という福祉のスペシャリストの常勤での配置が進められています。</p><p>さらに2012年頃には、出所者支援を専門に担う地域生活定着支援センターが全都道府県に設置が完了し、刑務所の中から地域生活へつなぐ仕組みが整えられてきました。</p><p>こうした中で、刑務所内でも、作業療法士をはじめとするリハビリの専門職などが関わる例が増え、刑務所の福祉担当者と地域生活定着支援センターのソーシャルワーカーが連携し、出所前から住まいや生活環境を調整する取り組みが進んでいます。</p><p>さらに近年では、取り調べや裁判の段階からソーシャルワーカーが関わり、刑務所に入る前から支援につなげる「入口支援」も広がりつつあります。</p><p>――刑事司法と福祉の連携において、実務面での課題はありますか。</p><p>掛川：大きくは、再犯防止が強く求められる中で、現場に一定のプレッシャーがかかっている点です。</p><p>再犯防止は今、とても注目されている分野ですが、その背景には、2012年に犯罪対策閣僚会議において「再犯防止に向けた総合対策」が決定され、再犯者率の削減に関する数値目標が掲げられたことがあります。</p><p>この数値目標は達成されたものの、その評価枠組みは現場にも影響を及ぼしています。福祉に携わる人の中には、支援対象者が再犯をすると自分の「支援の失敗」として引き受けてしまい、強い自責感情を抱く場合があります。その結果として支援のあり方が狭められてしまう危険があります。</p><p>また、制度が整うことで、要件に当てはまる人だけが支援につながりやすくなり、それ以外の人が支援の枠組みから孤立するという問題も生じています。</p><p>本来ソーシャルワークは、目の前の人に応じて、必要な支援を組み立てていくものですが、制度に人を当てはめる形になると、本質からずれてしまいます。さらに地方では、都市部ほど受け皿となる福祉資源がないため、地域格差も大きな課題です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/sihohukusi00006-1024x682.jpg">掛川さんは、一般社団法人出所者支援ネットワーク東海の活動にも携わり、学習会の開催や多職種連携を通じて、出所者支援のネットワークづくりに取り組んでいる<div id="tnf-text-notes-block_538e25e4ae38a8d75a9d5ef20e4f5d02" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「福祉専門官」とは、福祉に関する知識と経験を活かして、刑務所をはじめとする矯正施設に収容された高齢者、障害のある受刑者等の出所又は出院後の円滑な社会復帰のために必要な各種調整等を担う福祉のスペシャリスト</div><h2 id="tnf-text-heading-block_b6919159cae400e9cdd9cea994c9e579" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">出所者が「納得して選べる犯罪以外の選択肢」を増やす</h2><p>――犯罪行為を手離して生きるために必要な仕組みや支援とは、どのようなものでしょうか。</p><p>掛川：大事なのは、犯罪からの離脱をプロセスと捉えることです。</p><p>支援者がついたからといって、問題行動が急になくなるわけではありません。一度の失敗で関係を切らない継続的な支援が不可欠です。今、司法と福祉の連携が進む中で、これまでの社会にあった「刑罰を科せば解決する」という刑罰神話が、「支援があれば再犯しない」という福祉信仰に変わりつつあります。</p><p>しかし、福祉もまた特効薬ではありません。支援に必要なのは、自分の困難や経験、失敗などを否定されることなく安心して話せる場所と相手です。「本人が納得して選べる犯罪以外の選択肢」をどれだけ増やせるか。それが支援の本質であり、そこには時間がかかります。</p><p>「司法福祉学」は本当の意味での問題解決を目指すものですが、解決を性急に追求するのではなく、そのプロセスを重視する姿勢も重要で、必ずしも解決を目的にしない姿勢が求められるとも考えています。</p><p>――「必ずしも解決を目的にしない」という言葉が印象的です。そのように考えるようになったきっかけはありますか。</p><p>掛川：博士号を取ったあと、ソーシャルワーカーとして現場にいた時期がありました。その際に、理想的な出所者像を押しつけてしまいそうになったことが何度かあったんです。犯罪をした人は、清く正しく生きなければならないという目線が、どこかにあったのだと思います。</p><p>でも、自分自身を振り返ってみても、そんなに品行方正に生きているわけではない。ある程度、不完全さを抱えながら生きているのが人間です。それなのに、支援の対象になった途端、期待される人間像を求められてしまうと、本人にとって社会は終わりのない監獄になってしまう。</p><p>そうなると福祉につながりたくないと思う人も出てきてしまいます。ある程度の不完全さを許容し、その人らしい生活を支えることが大切だと実感したんです。</p><p>――2025年には拘禁刑が施行されました。率直にどのように受け止めていますか。</p><p>掛川：刑務所の中にも福祉やケアが必要だという認識が広がってきたこと自体には意義があると思います。ただし、その仕組みが現場でどのように運用され、実際に機能するかどうかは、なお慎重に見極める必要があります。</p><p>これまでの厳しさを重んじる文化から、対話や支援を重視した方向へと転換できるかどうかが問われています。</p><p>「ケアをする」という理念だけが掲げられ、それらしいプログラムだけが実施されることになり、実際には形骸化してしまう可能性もあります。刑務官が、受刑者が立ち直っていく姿をイメージできなければ、おそらく続かないのではないでしょうか。</p><p>そうならないためには、社会福祉的な視点を持った刑務官の配置や、内部だけではなく、外部も含めた多職種多機関が連携できる体制づくりが欠かせず、今後5年、10年の運用が非常に重要になるでしょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/sihohukusi00004-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_fc2478cff0127210f39329eb98663f02" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">出所者が犯罪行為を手離して生きられる社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>出所者が犯罪行為を手離して生きられる社会をつくるために、私たち一人一人に何ができるのかについて、掛川さんに3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_91a60d34a5737be3ae38608e69f2c6e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］出所者の実情を知る</h2><p>出所者の実情や背景を知らないまま、自分とは違う異質な存在として捉えてしまうことが、不安や排除につながる。犯罪の背景には貧困や孤立、被虐体験をはじめとする被害体験といった社会的要因がある。まずは、こうした事実を正しく知ろうとする姿勢が重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c9a9c0520b6211082a5ef2ea0459f8c6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「他人事」にしない想像力を持つ</h2><p>多くの人は被害者になる可能性は想像しても、自分や大切な人が加害者になる可能性は想像していない。犯罪に至る背景には、誰にでも起こり得る環境や選択の積み重ねがあるという視点を持ち、自分ごととして捉える。そうした想像力が排除ではなく理解につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9728c21d9025633b7d1cf1583b2401b0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］罪を犯した人や支援者を特別視しない</h2><p>罪を犯した人や、支援に関わる人を特別な存在として切り離さない。困った人は「困っている人」、自立とは「一人で生きることではなく、依存先や頼れる先を増やすこと」。こうした視点を共有することが、出所者、出院者を特別視せず、孤立させない社会へとつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本財団ジャーナルではこれまで、保護司の活動や刑務所内での依存症回復、回復共同体の取り組みといった、さまざまな出所者、受刑者支援の現場を取材してきました。そうした取り組みの背景にある考え方をより深く知りたいと考え、「司法福祉学」を専門とする掛川准教授にお話を伺いました。</p><p>取材の中で印象的だったのは、「司法福祉学は、再犯防止だけを目的にするわけでも、早急な問題解決を目指すものでもない」という言葉です。「福祉につながれば、出所者支援は成功」ではなく、むしろそこがスタート地点なのだという気づきがありました。</p><p>出所者支援は長い時間をかけて続いていくものです。出所者が戻る場所にいる地域住民の一人である私たちも、その一端を担っています。彼らを特別視せず、「ただそこにいていい」と思える場所をつくるために何ができるのか、考えていきたいと思います。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_899077db230843cf38d03c43a55281e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">掛川直之（かけがわ・なおゆき）</h2><p>立教大学コミュニティ福祉学部准教授。日本司法福祉学会理事・事務局長。近年は、主に出所者の生活史を手がかりに犯罪からの社会復帰とは何かを問い、累犯者が犯罪行為を手離して生きることを支える仕組みについて社会福祉政策の観点から検討するとともに、大阪・名古屋・東京を中心とした調査・研究を継続しつつ、出所者を支える地域づくりの実践、地域におけるコンフリクト・マネジメント、さらには高齢受刑者処遇の日韓比較等にも取り組んでいる。同時に、地域生活定着促進事業や地域再犯防止推進計画の展開にも注視しつつ、社会福祉学／ソーシャルワーク論の立場から刑事司法と福祉に関連する研究を進めている。</p><p></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 21 Apr 2026 20:44:03 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>熊本地震から10年。熊本城の「見せる復興」――壊れた姿をさらけ出し紡いだ信頼と勇気</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121460/disaster</link>
      <pubDate>Thu, 16 Apr 2026 08:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>熊本城の被災した姿や修復過程を公開することで、市民からの信頼と応援を生んだ</li><li>復旧過程では、文化財の保存と安全性の両立、記憶の風化を防ぐ継承が大きな課題となる</li><li>被災地を訪れ自分の目で見る。そして身の回りの日常の風景を見直し、記憶を語り継いでほしい</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>2016年4月に発生した熊本地震から、今年（2026年）で10年が経過します。</p><p>震災後、地域の象徴である熊本城は、重要文化財13棟を含む全33棟が被災。2052年度の復旧完了を目指し、今も工事は続いています。</p><p>熊本城は1877年の西南戦争での焼失をはじめ、幾度も被災と再建を重ねてきた歴史を持ちます。その歩みを調査研究し、次世代への継承を目指して活動しているのが、熊本市に属する組織である<a href="https://www.city.kumamoto.jp/kiji0035566/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">熊本城調査研究センター（外部リンク）</a>です。</p><p>復旧の過程そのものが新たな歴史となりつつある今、いかに災害の記憶を次世代につないでいくべきなのでしょうか。同センター所長の岩佐康弘（いわさ・やすひろ）さんと、熊本市・復旧整備課課長の上村祐一（うえむら・ゆういち）さんに話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00005-1024x683.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_8625f82c04b301dcf5dbd52b489cf678" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「櫓」とは、敵の攻撃を防ぎ、武器や物資を保管するために、曲輪（くるわ）の端の土塁や石垣の上に建てられた建物</div><h2 id="tnf-text-heading-block_89212067f02e649d33072a8a347c97f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「保存」と「安全性」の間にある、矛盾を超えて目指す復旧</h2><p>――熊本城調査研究センターについて教えてください。</p><p>岩佐さん（以下、敬称略）： 特別史跡熊本城跡の持つ学術的価値や特徴を、発掘調査、文献資料の調査など各種の調査・研究を通して明らかにするとともに、その成果を広く情報発信して特別史跡熊本城跡への理解を深め、適切な保存と次世代への継承を図っていくため、平成25年（2013年）に設けられました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00002-1024x610.png">1877年以降の熊本城の歴史。西南戦争での火災や、金峰山地震での被災などによって、再建を重ねてきた歴史を持つ。出典：熊本城公式サイト<p>――では、センター設立から3年後に熊本地震が起きたわけですね。組織としてはどのような変化がありましたか。</p><p>岩佐：平成28年（2016年）熊本地震後は、被災状況の記録をはじめ、復旧事業に先立つ発掘調査や石垣解体の際の立会調査、石垣に関する調査研究など、復旧事業に係る調査研究も担っています。</p><p>センター設立当初は、熊本城の維持管理及び運営管理を行う熊本城総合事務所とは別組織でしたが、地震の後、熊本城総合事務所内の課相当の組織として統合されました。現在は、復旧事業を主に担う「復旧整備課」と運営管理を担う「総務管理課」とともに事業に取り組んでいます。</p><p>ところで、復旧事業を進めるにあたり熊本市が掲げた基本方針の1つに「石垣・建造物等の文化財的価値保全と計画的復旧」があります。これは、文化財である熊本城においては、単に被災箇所の復旧工事を行うということではなく、文化財としての価値を損なわないように復旧していく必要があるということです。</p><p>組織ごとに見ると、「安全性」を追求する「復旧整備課」と、「保存」を重視する調査研究センターでは、熊本城の復旧という同じ目標に向かいながらも、突き詰めると異なる観点を持っているのです。</p><p>異なる観点、価値観が存在する中で、いかに効果的に、確実に復旧事業を進めていくのか。</p><p>そこで、1つの組織内で情報を共有し、日常的に議論できる体制をつくる。それがこの統合の背景です。どちらか一方が正しいのではなく、両方が納得できる着地点を見つけていく。今の体制だからこそ、それがスムーズにできていると感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_ea088dfe14e05efe9c8cef22f412f6ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">城郭構造の制約の中で進む復旧。「どこまで残すか」の判断は苦渋の作業</h2><p>――地震による被害規模と、現在の復旧状況について教えてください。</p><p>上村さん（以下、敬称略）：熊本城内にある全33棟が被災し、全体の復旧は3段階のスケジュールで進めています。</p><p>まず2032年度までに、重要文化財の宇土櫓や本丸御殿などの復旧を終え、2042年度までに本丸地区を重点的に復旧。最終的には、外周部を含めた全ての復旧が2052年度に完了する予定です。</p><p>現時点では天守閣と長塀、監物櫓が復旧しており、「奇跡の一本石垣」として知られる飯田丸五階櫓については、2028年度の復旧を目指して、2025年度から本体工事に着手したところです。</p><p>岩佐：復旧の順番は、被害の大小ではなく、城の構造上の制約が大きいです。道が複雑に回り込む三段構造になっているため、物理的な作業動線と予算を考慮した上で、順序を組み立てています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00015-1024x683.jpg">地震後の飯田丸五階櫓。角の石垣だけで建物を支えていたことから「奇跡の一本石垣」と呼ばれた。2026年度から本体工事に着手。画像提供：熊本城総合事務所<p>――石垣の被害と修復について教えてください。</p><p>上村：城内で特に深刻なのが石垣の被害です。全体面積のおよそ3割にあたる約2万3,600平方メートルで崩落や膨らみが発生しており、積み直しが必要な石は7万から10万個に上ると推計されています。</p><p>岩佐：崩落した石垣の復旧のために、まず行うことは崩落石材の回収です。そして、石垣復旧の鉄則は「元の石材（築石）を、元の場所に、元の通りに戻す」ことです。</p><p>崩落した石の1つひとつに番号を付け、崩落場所を記録しながら回収していきます。そして被災前の写真との比較や、崩落地点から地震前の位置を推測することなどにより、元の位置を特定又は推定していきます。</p><p>しかしながら、実際に積んでみると事前に推測した位置では上下の石とのおさまりがうまくいかず、石工（いしく※）さんの意見も踏まえながら積み直していく場合もあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_f6da6d7ff0a50fa826fe2bb275797331" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「石工」とは、石材の切り出しや加工等を行う職人のこと</div><p>――熊本城の復旧作業では、どのような難しさや試行錯誤があるのでしょうか。</p><p>上村：石垣の復旧作業では、計画通りに積んでいったのに、途中で不安定なことが分かり、50個以上の石を外してやり直したこともあります。</p><p>重要文化財の宇土櫓の解体では、シロアリに食い荒らされた柱も見つかりました。全ての柱を新材に替えれば安全面では安心ですが、文化財保存の観点から、使える部分はギリギリまで残し、傷んだ部分だけを新しい木材で継いでいます。</p><p>瓦も何万枚もの数を1枚ずつ叩いて音を聞き、目に見えないヒビがないかを選別して、再利用します。この「どこまで残すか」という判断は、文化財の価値と安全性の間で揺れ動く、苦渋を伴う作業です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00001-1024x373.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_7777d7b660ef2cc519c7df5d9cc7a7f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">職人の腕と科学の力、専門知識を結集し、議論を重ねる修復の現場</h2><p>――これだけ大規模な復旧を進める上で、現場が直面している最大の課題はなんでしょうか。</p><p>岩佐：「保存」と「安全性」、2つの価値観のせめぎ合いそのものが最大の課題であり、毎日向き合い続けている核心です。今回の復旧では「新しく作り直す」のではなく、「今そこに残っている文化財をどう守るか」が問われています。</p><p>解決策は、1つひとつの事案を丁寧にクリアし、その判断に至る経緯を蓄積していくこと以外にありません。安易なスピードアップを狙って後世に恥じる方向へ進まないよう、丁寧にやるしかない。それが今の正直な実感です。</p><p>――そうした課題が現れた具体的な事例はありますか。</p><p>岩佐：地震で一部が大きく膨らんでしまった、宇土櫓の続櫓（つづきやぐら）の下にある石垣の改修方針です。合意形成をするまでに、5年の歳月を費やしました。</p><p>当初の見立てでは「石垣構築当時の貴重な技法がそのまま残っている箇所」だと考えられていました。もしそうなら、修理のために解体してしまえば昔の技術を永遠に失うことになります。</p><p>文化財としての「美しさ（意匠）」や、「中身の技法」をどう守るか。私たちは、石垣の表面を詳細に観察し、文献を調べ、過去の「修理履歴」を徹底的にひも解くとともに、この膨らんだ石垣をどう修復していくのかについて議論を進めていきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00009-1024x682.jpg">地震後の宇土櫓と崩落した石垣の様子。画像提供：熊本城総合事務所<p>――どのような結論に至ったのでしょうか。</p><p>岩佐：決め手となったのは「石垣そのものが語る歴史」です。続櫓下の空堀を発掘調査したところ、この石垣が4メートルほども地下に埋没しており、本来の高さは25メートルあり、かなり堀側に張り出してきていることが判りました。</p><p>この結果、石垣の変状を巾木石垣で抑え込もうとすると大変な重量物を埋没した石垣の上に作ることになり、逆に悪影響を与えかねないことが判りました。</p><p>さらには武骨な重圧感のある巾木が高石垣の意匠を損なってしまうというマイナス面への配慮もあり、これらのことから石垣の解体修理はやむを得ないこととなりましたが、、それでもなるべく古い様相を留める石垣を残せるよう、解体範囲に検討を加えて解体範囲を決定しました。</p><p>石垣の「本来の姿」や「修理履歴」が調査・研究によって明らかになってきたこと、それによって解体して積み直す以外の修理の方法がないということが分かり、ようやく方針が定まりました。2024年度から解体に着手しており、解体により石垣内部を確認した上で石垣補強などの設計に進む予定です。</p><p>――そうした修復方針の判断や合意形成は、どのように行われているのでしょうか。</p><p>上村：日本建築史、石垣や城郭の考古学などに詳しい、外部の専門家7名で構成される「熊本城文化財修復検討委員会」を中心に検討を進めています。安定性の計算データや写真、資料、全てを提示し、委員会の承認を得なければ石1個も動かせません。</p><p>かつての職人は、経験と勘で石を積んでいました。私たちが今やろうとしているのは、その「職人の勘」をいかに数値化し、現代の構造計算で安全性を裏付けるか、ということです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00004-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_13623f2e9aa14091b739bdfe0d90af38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが登れる天守閣へ、ユニバーサルデザインと文化財の役割分担</h2><p>――天守閣の復旧にあたり、エレベーターを導入して、誰もが登れる城を目指すという決断をされました。どのような考えからだったのでしょうか。</p><p>岩佐：天守閣は1960年に鉄骨鉄筋コンクリート造りで再建された「復元建造物」です。</p><p>当時の再建費用約2億円のうち、5,000万円を地元有志（企業、個人）の寄付で賄う計画だったものを、熊本証券金融会社の松崎吉次郎氏が5,000万円全額を寄付したという逸話もあります。また、再建に賛同した多くの市民が瓦募金を行うなど、熊本城の天守閣は、戦後復興における市民のアイデンティティの象徴だったのです。</p><p>震災後、「誰もが登れる天守閣」を目指したのは、復興のシンボルであり博物館でもあるこの場所に、障害のある方も高齢者も、誰もが内部を観覧でき、熊本の街を一望できるようにしたいという考えからでした。</p><p>以前からエレベーター設置の議論はありましたが、機械室のスペースといった物理的な問題で断念していました。しかし、技術の進歩で機器がコンパクト化し、今回の復旧でようやく導入が可能になったのです。</p><p>――その決断に対して、どのような反響がありましたか。</p><p>岩佐：もちろん「重要文化財である櫓を優先すべき」「コンクリート造の天守閣を直してどうする」といったお叱りの声も届きました。</p><p>天守閣は「復元建造物」として誰もがアクセスできる場所を目指し、宇土櫓をはじめとする重要文化財である櫓は往時の姿を留め文化財としての価値を保存する。その「役割分担」こそが、熊本城を次世代につなぐための最適解だと信じて決断しました。</p><p>2021年の公開前には、障害者団体の方々や、車いすを利用されている市議会議員の方に、修復した天守閣を内覧していただきました。車いすで最上階まで上がり、そこからの景色を見た皆さんが「ついにお城の上に来られた」と涙を流して喜んでくださった。</p><p>この決断は間違っていなかった、と確信できた瞬間でした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00003-1024x683.jpg">熊本城を築いた加藤清正公に初めて興味を持ったのは、熊本の地下水を支えた“治水の神”としての存在だったという岩佐さん<h2 id="tnf-text-heading-block_8fdebb10ae37e2fcc2fe19b27c51c6c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">壊れた姿をあえて公開する「見せる復興」が生んだ信頼</h2><p>――現在進めている復旧工事の現場は、一般の方が見学できる「特別見学通路」を設けて公開しています。あえて「壊れた姿」を見せ続ける意義についてお聞かせください。</p><p>岩佐：地震直後、城内の全てが危険な状態になり、立ち入りが制限されました。もしそこで、「全ての復旧が終わるまで20年間入れません」と決めていたら、熊本城は人々の記憶から薄れてしまうでしょう。</p><p>お城は地域のアイデンティティであると同時に、重要な観光資源でもあります。少しでも早く足を運んでいただくことは、地域の経済にとっても文化財の存続にとっても極めて重要でした。</p><p>また、何百億円という予算と36年という歳月をかける以上、どのような困難に直面しながら作業を進めているのかを、透明性を持って示す責任があります。そのため、工事の節目ごとに報道公開し、委員会の議論も全て公表してきました。</p><p>2023年、工事の完了時期を15年延長することになりました。その時に届いたのは、「そんなに大変なんだ」「頑張って」という励ましの声がほとんどでした。復旧の過程を公開することで、市民の皆さんが「自分たちの物語」として受け取ってくださっていたからこそだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00014-1024x333.jpg"><p>――熊本城復旧の過程を市民に公開する中で、得られた気づきがあれば教えてください。</p><p>上村：「見える化」の重要性は、震災から学んだ大きな教訓でもあります。地震直後、重要な生活インフラである水道も壊滅的な被害を受けました。でも、地面の下のことは市民には見えません。水が出ない不便さの中で、「何が起きているのか、いつ直るのか」という不安はとても大きいものでした。</p><p>熊本城の復旧工事も見える形にすれば「確かに進んでいる」と実感できます。その「実感こそが希望になる」と考えたのが「特別見学通路」設置の原点だといえます。</p><p>岩佐：ただ、この通路の実現そのものが異例中の異例でした。熊本城は土地そのものが「特別史跡」に指定されており、地盤面そのものが遺構面です。そんな場所に巨大な構造物を置くことは、本来なら認められるはずがありません。</p><p>「復旧の過程を、市民や来場者に安全に見ていただくことこそ、復興には不可欠だ」という強いコンセプトを掲げた、粘り強い交渉の上で形にすることができました。バリアフリー化も、この「見せる復興」も、日本財団からの支援の後押しがあったからこそ、妥協のない形で実現できました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00013-1.jpg">2020年には高さ約6メートルの特別見学通路が開通。画像提供：熊本城総合事務所</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00010-1024x682.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e9cff0783fea8ea20335579e5042bc2e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地震から10年。市民の心を支え、記憶をつなぐ「我が城」の存在</h2><p>――生活の再建が優先事項になる被災時において、文化財を修復することにはどのような意義があるのでしょうか。</p><p>岩佐：文化財、とりわけ熊本城のようなシンボルは、地域の人々が「私たちが暮らす街（地域）」を実感する道しるべのような存在だと思います。</p><p>崩落した石垣の前で観光客が記念写真を撮るのを見て、「まるで焼けた自分の家の前で写真を撮られているような悲しさだった」と語る職員がいました。また、天守閣の展示映像の中には、涙しながら被災した城を見つめる市民の姿が記録されています。</p><p>熊本市内ではどこからでもお城が見えますし、熊本の礎を築いた加藤清正公は「せいしょこさん」として今でも慕われており、現在も熊本市民のシビックプライド（Civic Pride※）につながっています。</p><p>市民にとって「あって当たり前の風景」が傷ついたとき、初めてその存在の大きさに気づかされるのです。</p><p>「奇跡の一本石垣」として知られる飯田丸五階櫓もそうです。隅の角石だけでギリギリ持ち堪えているあの姿に、過酷な環境の中で踏ん張っている被災者の姿を重ね合わせて「お城があんなふうに耐えているんだから、自分も頑張ろう」と思ってくださった方がたくさんいた。</p><p>お城は言葉を発しませんが、そこに在るだけで人を勇気づける力を持っている。それを震災で強く実感しました。</p><div id="tnf-text-notes-block_92993dc5cc97ea35b70f4f9db48dfcae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「シビックプライド」とは、「地域への誇りと愛着」を表す言葉</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00011-1024x682.jpg">熊本市役所14階の展望ロビーからは熊本城を一望できる。画像提供：熊本城総合事務所<p>――震災から10年が経ちます。記憶の風化という課題に、どのように向き合っていますか。</p><p>岩佐：天守閣が立派に蘇ったことで、県外の方には「熊本城は復旧した」と思われることが多いのですが、実際は、まだまだ手つかずの崩落石垣や櫓が山ほど残っています。復旧は終わっていないという現実をどう伝え続けるかも、私たちの大きな課題です。</p><p>力を入れているのが「出前講座」と定期講座「熊本城学」です。自治会や学校、企業まで幅広くご依頼をいただき、「歴史をひも解く」切り口と「現在の復旧状況を解説する」切り口の2本柱で実施しています。現場の熱量を直接届け、関心を持っていただく接点を少しでも増やしたいと考えています。</p><p>地震で断水した際、私は江津湖（えづこ）に水を汲みに行きました。そこで、同じ境遇の被災者同士、目が合うと自然に「こんにちは」と挨拶をして、会話が生まれます。共通の困難や大切な場所を共有しているとき、人と人は自然につながれる。お城もまた、そうやって人をつなぐ存在であってほしいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00008-1024x683.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/kumamotojo00006-1024x683.jpg">熊本城では毎年、伝統的な催事や音楽イベントを中心とした「春のお城まつり」と、紅葉の時期に合わせて特別公開エリアの開園時間を延長する「秋のお城まつり」を開催<h2 id="tnf-text-heading-block_3d7c3f65587acd3cbc395738900c8ca2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害の記憶を次世代につなぐために、私たち一人一人ができること</h2><p>災害の記憶を次世代につなぐために、私たち一人一人にできることを岩佐さんと上村さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3c548506978ce169d07646c86c9d8371" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］被災地の文化財を訪ね、「今の姿」を自分の目で見る</h2><p>熊本城がそうであるように、たとえ「壊れた姿」だったとしても、被災地に足を運んで文化財を見ることで、写真や映像では伝わらない現実を目の当たりにできる。実際に足を運び、自分の目で見た体験こそが、記憶を風化させない力になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_29ff53989db4a03e8744ee2fb9b3f7ae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］自分の地域の「当たり前の風景」に目を向けてみる</h2><p>建物や史跡、山や川、お店など、どの地域にも失って初めてその大きさに気づく存在がある。まずは自分が住んでいる街の風景に目を向け「これがなくなったらどんな気持ちになるか」を想像してみることも、災害の記憶や地域のアイデンティティについて考える一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_72e96967ab664e8b22f746ba3ab72931" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］復興の歩みを、家族や身近な人と話題にし続ける</h2><p>熊本に限らず、災害の経験や復興のエピソードを言葉にして伝え合い、同じ記憶を共有し続けることも大切。「お城のあの部分が直った時はうれしかったね」といった些細な会話が、家族や仲間の間で交わされ続けることが、風化を防ぐ最大の力になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>熊本地震から10年が経過し、今も熊本城の復旧が進む中、被災地における文化財修復の意義について伺いたいと思い、熊本城総合事務所のお二人にお話を伺いました。</p><p>1607年の築城から400年以上経ちますが、その間に熊本城は幾度も被災と再建を重ねてきました。実際、今回の地震で被害を受けた箇所の約8割が、1889年（明治22年）の地震でも被害を受けていたことが分かっています。</p><p>同じ場所が、同じように傷つき、そのたびに人の手で蘇る。熊本城の歩みそのものが、災害と向き合う日本の縮図のようにも思えました。</p><p>壊れた姿をあえて公開し、復旧の過程を市民と共有し続けた取り組みは、数字にも表れています。2019年度に約18万人だった入園者数は、天守閣内部公開や特別見学通路の整備を経て、2024から2025年度には141万人を超えました。</p><p>取材中、ある職員の方が「熊本の人間には、自覚していなくても心の中にお城の種が植えられているのだと思います」と語っていたのが印象的でした。復旧が完了する2052年まで、あと26年。その種が、この記事を読んだ誰かの心にも芽吹くことを願っています。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の災害・防災・復興に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121220/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 14 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>近年、地球温暖化に伴う災害の激甚化や、能登半島地震で見られたような震災と水害の「複合災害」の発生により、従来の想定を上回る備えが求められています。</p><p>誰もが安心して暮らせる社会を次世代に引き継ぐためには、ハード面の整備だけでなく、防災教育による意識改革や、高齢者や障害者といった「避難行動要支援者」を誰一人取り残さないための個別計画の策定、そして官民が連携したボランティア支援の強化など、多層的なアプローチが不可欠です。</p><p>命を守り、速やかな復興を実現するために、今どのような現状があり、解決に向けてどのような視点が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●災害の激甚化</a></p><p><a href="#link2">●防災教育</a></p><p><a href="#link3">●高齢者・障害者の防災</a></p><p><a href="#link4">●災害ボランティア（被災地ボランティア）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">災害の激甚化</h2><p>地球温暖化によって、世界的に自然災害が甚大な被害をもたらすようになってきています。気温上昇により大気中の水蒸気量が増加し、線状降水帯による猛烈な雨や非常に強い台風が頻発するようになったためです。</p><p>実際に日本でも、2024年に発生した能登半島地震では、最大震度7を観測するほどの地震が起きた後、同年9月に被災地を「奥能登豪雨」が襲い、仮設住宅が浸水するなど深刻な複合被害を受けました。また、同年8月には「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるなど、広域的な巨大災害のリスクも一段と高まっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600001.jpg"><p>これに対し政府は、司令塔機能を強化するため、令和8年度中の「防災庁」設置に向けた準備を進めています。対策としては、堤防整備だけでなく流域のあらゆる関係者が協働する「流域治水」の推進や、AIによる浸水予測といった「防災DX」の導入が不可欠です。</p><p>今後は、行政による公助のみならず、クリエイティブな視点を取り入れた防災教育や遊びを交えた訓練を通じて、全ての世代が災害を「自分ごと」として捉え、共に備えをアップデートしていく社会の仕組みづくりが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a847d79961b1b429d35b109cd20d16f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［災害の激甚化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120562/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「72時間」の壁を越えろ――横須賀市消防局が挑む“命をつなぐ重機救助”の最前線（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112594/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「地球温暖化」の時代はもう終わる？ 「地球沸騰化」を食い止めるために、私たちには何ができる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/107823/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地震や豪雨、災害から命を守る「防災テック」とは？ 自治体や企業の最新事例に注目！（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105011/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日立製作所が開発した浸水被害予測システム。自治体・民間との連携で減災を（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">防災教育</h2><p>「防災教育」とは、災害時に的確な判断で自らの安全を確保する「自助」の能力を養い、周囲と助け合う「共助」の精神を育むことで、究極的には「命を守る」ことを目的とした教育活動です。文部科学省の定義では、自然災害のメカニズムを正しく理解する基礎知識の習得に加え、日常的な備えを実践できる態度を養うことが重視されています。</p><p>全国の教育機関ではそれらを踏まえた防災教育の指導要領が定められており、避難訓練や道徳など限られた時間だけでなく、全ての教科で防災を意識した「教科横断的」な防災教育を進めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600002.jpg">避難訓練以外の防災教育が求められている<p>しかし、文部科学省は防災教育の推進において、「人材」「内容」「方法」の3つの側面に課題があると指摘しています。人材面では、学校と地域を繋ぐ「担い手」の不足や、教員の異動による継続性の欠如が深刻です。内容面では、発達段階に応じた教え方の基準があいまいで、教材の共有が不十分である点。方法面では、訓練が画一的で家庭や地域への波及効果が薄い点が課題となっています。</p><p>今後は、教職員の研修充実やデジタル技術を活用した能動的な学習を取り入れ、学校、家庭、地域が一体となって「自分たちの命は自分たちで守る」文化を醸成する仕組みづくりが急務です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b378eb58437e1e1b12582be4940c19a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［防災教育をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120406/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東日本大震災から15年——地域は誰が支える？　石巻西高校の探究学習が育てる次の担い手（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85377/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防災教育の担い手を育成。必要なのは「＋クリエイティブ」（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/81261/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防災訓練に必要なのは遊び？　防災を広げるための仕掛けづくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/58573" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「遊び」を通して、支え合うの大切さを伝える。防災ゲームの開発に秘めた菅原清香さんの想い（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">高齢者・障害者の防災</h2><p>高齢者や障害者は、災害が発生した際に自力での避難が困難で、周囲の支援が必要となる「避難行動要支援者」にあたります。近年の大規模水害では犠牲者の多くがこの層に集中しており、令和2年7月豪雨では、死者のうち65歳以上が約79パーセントを占めるなど、「逃げ遅れ」による被害は依然として深刻です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600003.jpg"><p>政府は対策として災害対策基本法を改正し、以前から義務化されていた「避難行動要支援者名簿（対象者のリスト）」の作成に加え、一人一人に合わせた具体的な逃げ方を決める「個別避難計画」の策定を市町村の努力義務としました。</p><p>しかし、実効性には大きな課題が残っており、2023年10月の時点で対象者の特定（名簿整備）はほぼ完了しているものの、計画を「全部策定済」とした自治体はわずか8.7パーセントに留まります。また、福祉避難所全体（24,935カ所）のうち、法律に基づき正式に指定、公示された「指定福祉避難所」は31.2パーセントに過ぎません。</p><p>背景には受け入れ態勢への不安や、防災部局と福祉部局の連携不足、現場の支援者不足といった構造的な問題があります。</p><p>こうした状況の改善に向け、現在はデジタル技術を活用した「クラウド型被災者支援システム」による情報の高度化や、福祉施設へのBCP（業務継続計画）策定の義務化が進められています。</p><p>誰も取り残さない防災を実現するためには、制度の整備に加え、地域社会全体で要支援者の存在を把握し、平時から福祉と防災が手を取り合う「顔の見える関係づくり」が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8105b1c7ea7f9c5edef52c0e59069e1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[高齢者・障害者の防災をテーマにした記事]</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101070/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">自力での避難やSOSを出すことが難しい「要配慮者」の支援課題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100964/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">命をつなぐ支援が求められる「緊急対応期」。災害発生直後の被災地の課題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/71241" target="_blank" rel="noreferrer noopener">みんなが大変なとき、より「助けて」と言えない障害者。誰も取り残さないための防災（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">災害ボランティア（被災地ボランティア）</h2><p>災害ボランティア（被災地ボランティア）は、発災時に被災地に駆けつけ、きめ細やかな被災者支援を行う重要な存在です。一般ボランティアの役割は、被災家屋の清掃や片付け、家屋内・水路の土砂搬出、災害ごみの運び出しから、避難所での物品配布や引越し支援まで多岐にわたります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600005.jpg"><p>能登半島地震では、避難所運営やがれき撤去などを専門とする300を超えるNPO等の専門ボランティア団体が被災地に入りました。一般ボランティアは、5月6日までの累計で石川・富山・新潟の3県合わせて延べ約9万人が活動しました。</p><p>しかし、現場には大きな課題も残っています。それは「連携」の壁です。行政、社会福祉協議会、NPO等の民間団体の三者間での情報共有や役割分担が十分ではなく、支援のハブ機能が不足している地域が少なくありません。令和6年能登半島地震では、発災当初に道路の渋滞や宿泊場所の不足により、一般ボランティアの被災地入りが制限されたほか、多くの被災者が広域避難したことでボランティアニーズの把握が困難になるということもありました。</p><p>こうした課題に対し、現在は行政、社会福祉協議会、NPO等が平時から顔の見える関係を築くための研修会や、多様な担い手間の調整や情報共有を担う「災害中間支援組織」の育成が進められています。</p><p>誰も取り残さない防災を実現するためには、SNSを活用したニーズ把握や戸別訪問（アウトリーチ）を強化し、公助の手が届きにくい個別ニーズに寄り添う、柔軟で継続的な支援体制づくりが急がれます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_67bb523e114f97526c6721a5b3ddc62b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[災害ボランティアをテーマにした記事]</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119292/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被災者・ご遺族の思いに応え、家族の「生きた証し」を守り続ける。「思い出の品」を持ち主の元へ（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109662/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「災害ボランティア」ってなに？ 参加方法や知っておくべき心得（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99342/social_contributions" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ボランティア」は誰のため？　その定義は？ 専門家・二宮雅也教授に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/38453" target="_blank" rel="noreferrer noopener">学生ボランティアだからできる支援。被災地ボランティアの意義を探る（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/r7_tokushu_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震を踏まえた防災体制の見直し」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bousaichou_preparation/kihonhoshin/pdf/r71226_honbun.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣官房「防災立国の推進に向けた基本方針」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/saigai03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「学校防災のための参考資料『生きる力』を育む防災教育の展開」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h21/01/special_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「特集　防災教育 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/006/shiryo/attach/1367196.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「現在の防災教育における課題」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/yoshiensha.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001075647.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「高齢者・障害者等の要配慮者に関する防災と福祉の連携について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/kihonhou/pdf/r3_01_gaiyou.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「災害対策基本法等の一部を改正する法律の概要」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/r5hinan.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「個別避難計画の策定等に係る進捗状況の把握について（フォローアップの結果）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/220606_kouhyou.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「指定避難所等の指定状況等の調査結果」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/r6_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「防災に関してとった措置の概況令和6年度の防災に関する計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/hokoku.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について（報告書）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/meeting/200807/pdf/02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和2年度 被災者支援主体の連携体制に関する現状調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/siryo5_2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「災害中間支援組織による支援調整について」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>魚が減る原因にもなる海の酸欠「貧酸素水塊（ひんさんそすいかい）」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121064/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Thu, 09 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>海中の酸素が不足する「貧酸素水塊」は、魚介類の生息環境を悪化させ、漁業にも影響を与える</li><li>「貧酸素水塊」は気候変動や人間活動によって発生しやすくなるが、自然現象の側面もある</li><li>生活排水や食品ロスを減らすことは海に流れ込む過剰な栄養分を減らすことにつながり、海の環境を守る一歩になる</li></ul><p></p><p>「最近、スーパーに並ぶ魚が高くなった気がする」「いつもの魚が売り場に並んでいない」そんな変化を感じたことはありませんか。</p><p>その背景の1つといわれているのが、“海の酸欠”とも呼ばれる「貧酸素水塊」です。これは、海面水温の上昇や、海中の水温差によって生じる層構造などにより、海底付近の酸素が極端に不足する現象や、その水の塊を指します。</p><p>この「貧酸素水塊」が発生すると、魚介類の生息環境が悪化し、海の生物の大量死や漁場の機能低下を招くことがあり、漁獲量の減少や養殖業への深刻な影響にもつながる恐れがあります。また、植物プランクトンが大量に増える「赤潮」や、海底の「貧酸素水塊」が湧き上がる「青潮」という現象にも関係することがあるといわれています。</p><p>こうした海で起きているさまざまな変化は、魚の価格上昇や供給不安という形で、私たちの食卓に影響を及ぼします。</p><p>本記事では、海洋環境の研究に長年携わってきた<a href="https://www.fra.go.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">水産研究・教育機構（外部リンク）</a>の筧茂穂（かけひ・しげほ）さんに、「貧酸素水塊」が起きる仕組み、漁業や養殖業への影響を伺うとともに、持続可能な海洋環境を実現するために必要な視点について考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00009-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_bb7fcfb5d6d9f91827aa9df3a73f014f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の酸素はなぜ減るのか。「貧酸素水塊」ができる仕組み</h2><p>――「貧酸素水塊」とはどのような状態を指すのでしょうか。</p><p>筧さん（以下、敬称略）：私たちが空気中にある酸素を呼吸に使っているのと同じように、海の生き物も海に溶け込んでいる酸素を使って呼吸します。この酸素を、専門的には「溶存酸素（ようぞんさんそ※）」と呼んでいます。</p><p>この「溶存酸素」の濃度が低くなった状態が「貧酸素」です。海水に溶ける酸素の量には限界があり、水温20度の海水では、1リットルあたり5ミリリットル程度。わずかな量に感じますが、生き物にとっては欠かせない酸素です。</p><p>そして、「溶存酸素」の濃度が低い水がまとまって存在する状態を「貧酸素水塊」といいます。</p><div id="tnf-text-notes-block_457bcbe15cb128793f0a325322d91238" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「溶存酸素」とは、水に溶けている酸素のこと</div><p>――なぜ海の中で酸素が不足するのでしょうか。</p><p>筧：水温が高くなると、酸素は海水に溶けにくくなります。加えて、海の中の酸素は、多くの生物の呼吸によって消費されています。なかでも数が多いのは、バクテリアやプランクトンなどの微生物です。</p><p>一方で、海には酸素を補う働きもあります。海面から大気中の酸素が溶け込むこと、そして植物プランクトンや海藻が光合成によって酸素を生み出す働きです。しかし、海面から離れた光が届かない水深帯では、光合成によって酸素を生み出すことができません。</p><p>さらに、水の流れが弱い場所では、周囲の水と入れ替わりにくくなり、酸素だけが消費され続けます。こうして水が周囲と混ざらずに、取り残される状態を「水の孤立化」と呼びます。</p><p>密閉された空間で酸素が少しずつ減っていくのと同じことが海の中でも起こり、やがて酸素の少ない水が広がっていくのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00011.jpg">「貧酸素水塊」が発生するメカニズム。バクテリアが有機物を分解する際の呼吸に加え、海中の水の混合が弱まって、酸素が補給されにくくなることで発生する。監修：筧茂穂<h2 id="tnf-text-heading-block_724509a21f332302a4e992eeedff8609" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「貧酸素水塊」が発生しやすい条件は、成層、地形、人間活動</h2><p>――「貧酸素水塊」が発生しやすい条件はあるのでしょうか。</p><p>筧：水の流れが滞りやすい場所では、酸素の供給が限られるため、貧酸素が起きやすくなります。例えば、海底のくぼ地、航路を掘った場所、防波堤で囲まれた港内などです。</p><p>もう1つ、「貧酸素水塊」の発生に関係する現象として「成層（せいそう）」があります。夏になると、海面は日射で暖められますが、深いところには熱が届きにくいため、「上層は暖かく、下層は冷たい」層構造ができます。</p><p>ダイビングをしたことがある方は、表層は暖かいのに、少し潜ると急に冷たく感じた経験があるかもしれません。あの温度差こそが、海の中で「成層」ができている状態です。</p><p>冷たい下層の水は上層と混ざりにくく、孤立しやすくなります。すると、孤立した水の中で酸素の消費が進み、貧酸素化が起こります。大きな湾では、夏場に成層の状態が強まり、海底付近で「貧酸素水塊」が発生しやすくなります。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生には、人間の活動も影響を及ぼしているのでしょうか。</p><p>筧：河川を通じた農業排水や下水の流入による海水の富栄養化（※）、そして地球温暖化による水温上昇などは、人間活動が影響していると考えられています。</p><p>ただ、「貧酸素水塊」は必ずしも人間活動だけが原因というわけではありません。成層の構造や、地形の条件によっても発生しますし、太古の昔から貧酸素は存在していたと考えられています。</p><p>例えば、大分県の別府湾では、かつて貧酸素状態が続いていたことを示す痕跡が見つかっています。本来は分解されやすいイワシのうろこが海底に残っており、海底が酸素の乏しい環境だったため、有機物の分解が進みにくかった可能性を示す証拠の1つとされています。</p><div id="tnf-text-notes-block_b221d9ef87d66423a3c1fd51cb46f845" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「富栄養化」とは、海や湖、河川などの水域に、窒素やリンといった栄養分が過剰に流れ込み、プランクトン等が増え過ぎる状態のこと。もともとは自然の変化を指す言葉だったが、近年は生活排水や農業排水など人間活動によって栄養分が増える現象を指して使われることが多い</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00002.jpeg"><p>――「貧酸素水塊」の発生は、気象条件によっても左右されるのでしょうか。</p><p>筧：はい。例えば、強い日差しで海面が暖められたり、大雨で川から塩分の少ない水が流れ込んだりすると、表層の水は軽くなって上にとどまりやすくなります。こうして、成層が強まり、貧酸素化が進行します。</p><p>一方で、台風や強い風によって海が大きくかき混ぜられると、成層は崩れやすくなります。上下の水が混ざることで酸素が行き渡り、貧酸素が解消されることもあります。そのため、しけの日（海が荒れている日）が多い年は、貧酸素が起こりにくかったり、あるいは発生しても解消しやすかったりする傾向があります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f0d82ddcdb4b189d2ea8ce915aa7f900" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">内湾に多発する「貧酸素水塊」、地形と気候変動の影響</h2><p>――最近の発生状況はどうなっていますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>筧：改善している地域もありますが、全国各地で発生しています。特に発生しやすいのが、内湾と呼ばれる閉鎖性の高い湾です。外海との水の交換が限られ、成層が強まりやすいためです。</p><p>代表的なのは、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海です。いずれも湾口が比較的狭く、水が滞留しやすい地形を持っています。そして、規模の小さい湾でも、入り口が狭く水の流れが弱い場所では、同様に貧酸素が起こりやすい傾向にあります。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00003.jpg">湾口が狭く、外の海との水の交換が限られる伊勢湾の地形。出典：環境省ホームページ</div></div><p>――ということは、日本は地形的に「貧酸素水塊」が発生しやすいのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>筧：比較的、発生しやすい環境だと思いますね。日本には内湾が多く、外海との水の交換が限られやすい地形が各地にあります。</p><p>例えば、伊勢湾は湾口が狭く水が滞留しやすいことに加え、湾の中央には海底が深くくぼんだ場所があります。こうした地形では、深いところにたまった水が外と入れ替わりにくくなります。夏場には成層も加わって、「貧酸素水塊」が発生しやすくなります。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00012.jpg"></div></div><div id="tnf-text-notes-block_275dfaa300effd2c53665a87db6fb674" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※水中の実際の溶存酸素量が、その時の温度や気圧における最大溶解量（飽和溶存酸素量）に対してどの程度の割合かを示す指標のこと</div><p>――「貧酸素水塊」の発生には、気候変動も関係しているのでしょうか。</p><p>筧：関係は大きいといわれています。ここ数年、集中豪雨や洪水が各地で増えていますが、大量に雨が降ると、河川から土砂や栄養塩（※）、有機物などが海へ流れ込みます。</p><p>海に流れ込んだ有機物は、バクテリアによって分解され、その過程で酸素が消費されます。有機物が多いほど酸素の消費量も増えるため、「貧酸素水塊」が発生しやすい条件が整います。</p><div id="tnf-text-notes-block_20a233bc9b8fbc0eaea22c735f9cdc58" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「栄養塩」とは、主に窒素やリンなど、生物が生命活動を営む上で必要な主要元素のこと。工場排水や生活排水、農地からの流出水などに含まれ、水環境に過剰に排出されると、赤潮や青潮などの深刻な環境被害を引き起こすことがある</div><p>――地球温暖化による気温の上昇も影響していますか。</p><p>筧：はい。本来であれば、冬に海面が冷やされることで水が重くなり、海の水が上下に混ざって海底付近にも酸素が補給されます。いわば自然の“リセット”です。しかし、気候変動によって冬の冷え込みが弱まると、この混合が十分に起きない可能性があります。</p><p>その結果、海底付近の酸素濃度がやや低い状態のまま春を迎え、再び夏の成層が始まります。これが毎年積み重なることで、貧酸素がより深刻化する恐れがあると考えられています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b53f5c41e92a7e9a25aee0b58fdf3dcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「赤潮」は貧酸素を強め、「青潮」は無酸素状態のサイン</h2><p>――「赤潮」とはどんなものでしょうか、また「貧酸素水塊」とはどのような関係があるのでしょうか。</p><p>筧：そもそも「赤潮」は、植物プランクトンが大量に増殖し、海水が赤や茶色に見える現象です。</p><p>「赤潮」そのものが、直接的に「貧酸素水塊」を生み出すわけではありません。ただし、植物プランクトンも生き物です。大量に増殖していると、昼間は光合成をしますが、夜間に酸素を多く消費するため、局所的に酸素濃度が下がることがあります。</p><p>さらに重要なのは、「赤潮」が終わった後です。増えた植物プランクトンが死ぬと、有機物として海底へ沈み、それをバクテリアが分解する過程で酸素が消費されます。その結果、海底付近で貧酸素化が進行します。つまり「赤潮」は、間接的に貧酸素を強める要因となり得ます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00005-1024x683.jpg">赤潮が発生した様子<p>――では、「青潮」とはどんなものでしょうか、また「貧酸素水塊」とはどのような関係があるのでしょうか。</p><p>筧：「青潮」は、貧酸素化がさらに進行し、酸素がほぼゼロになった「無酸素水塊」が関係しています。</p><p>海が無酸素状態になると、今度は酸素を使わない「嫌気性細菌（※）」が活動を始めます。その過程で硫化物が生成されます。この硫化物を含んだ無酸素水が、風の影響で海面近くまで持ち上がると、海面付近の酸素と反応します。すると、硫黄の微粒子ができ、それが青白く見える。これが「青潮」です。</p><div id="tnf-text-notes-block_7afcc7df2f4939420fc2bbac21fb0921" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「嫌気性細菌」とは、酸素がある環境では生育できない、または生育しにくい細菌のこと。酸素の少ない土壌や海底、動物の体内などに生息し、酸素を使わない「嫌気呼吸」等によってエネルギーを得る</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00007-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4534c9a6eb8da1ade00525c5a7398916" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧酸素が漁業に与える影響と自然現象としての側面</h2><p>――海の中の酸素が少なくなると、養殖業や水産業にも影響がありますか。</p><p>筧：すでに各地で影響が出ています。特に夏場になると「網を引いてもほとんど何も入らない」という漁師さんの声を聞きます。</p><p>海底付近で暮らす生き物は深刻な状況にあります。エビやカニなどの甲殻類は、酸素濃度が下がると弱りやすく、クルマエビのように海底近くで暮らす生物は強い影響を受けます。</p><p>一方で、魚はある程度泳いで移動できるため、酸素が足りなくなると条件の良い場所へ逃げることができます。しかし、アサリや赤貝などの貝類はほとんど動けません。逃げ場がないため、貧酸素が長く続くと成長に悪影響が出たり、大量死につながったりします。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生は、時代とともに変化しているのでしょうか。</p><p>筧：1970年代の高度経済成長期には、水質汚濁が深刻でした。栄養塩や有機物を多く含んだ川の水がそのまま海へ流れ込んでいた時代です。海水の富栄養化が進み、赤潮や悪臭が問題になり、貧酸素も今より頻繁に起きていました。</p><p>その後、排水規制や下水処理の整備が進み、水質は大きく改善しました。1970年代と比べれば、「貧酸素水塊」を減らす対策も進み、発生頻度はかなり抑えられています。</p><p>ただし、「貧酸素水塊」を完全になくすことはできません。海は水槽のように外と切り離された空間ではなく、川や外洋とつながっています。外から栄養分が流れ込めばプランクトンが増えます。増えたプランクトンが沈んで分解されると、酸素は消費されます。これは自然の循環の一部でもあります。</p><p>つまり、人間による汚染は減りましたが、「貧酸素水塊」そのものは自然のプロセスの中でも起こり得る現象だということです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c7e28a5235f2caace3275d5b083a150c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧酸素は必ずしも悪ではない、海のバランスを取り戻すことが重要</h2><p>――「貧酸素水塊」を減らすために、どのような対策が行われているのでしょうか。</p><p>筧：まずは、海に流れ込む有機物を減らすことです。下水処理を高度化し、川から海に入る汚れを減らす取り組みが進められています。</p><p>また、すでに海底にとどまっている有機物を除去する取り組みや、汚泥が堆積した海底をきれいな砂で覆う「覆砂（ふくさ）」という方法もあります。海底の泥と海水が直接触れにくくなることで、酸素の消費を抑える効果が期待されています。</p><p>ただ、こうした対策には費用や労力がかかり、効果も長続きするとは限らないため、継続的な取り組みが必要になります。</p><p>例えば、瀬戸内海沿岸では、自治体が主体となって対策を進めています。そのほか、漁業者が協力し、現場での取り組みを続けている地域もあります。</p><p>――今後、「貧酸素水塊」が長期化した場合、どのような影響がありますか。</p><p>筧：一概には言えず、難しいところですが、必ずしも全てが悪い影響とは限りません。</p><p>もちろん、規模が大きくなり過ぎたり、長期間続いたりすれば、漁業や生態系に深刻な影響を及ぼします。ただ、夏の限られた期間だけ発生し、その時期に漁業や養殖業への影響が小さい場合には、大きな問題にならないこともあります。</p><p>貧酸素化の過程では、海中の有機物が分解され、窒素やリンといった栄養分に変わります。つまり、酸素が消費される一方で、海の中で栄養が再生産される側面もあるのです。</p><p>近年は、海に流れ込む有機物を減らす対策が進んだことで、逆に海の栄養が不足している面もあるんです。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生を事前に把握することはできますか。</p><p>筧：研究が進み、どんな条件で貧酸素が起きやすいかは、かなり分かってきました。水中にセンサーを設置し、水温や溶存酸素濃度をリアルタイムで測定する仕組みも広がっています。</p><p>こうしたシステムを活用すれば、酸素が減る前に「養殖いけす」を移動させることによって、被害を減らす対応が可能になります。重要なのは、「貧酸素水塊」を一律に悪いものと捉えるのではなく、状況に応じて向き合うことだと思います。</p><p>――持続可能な日本の海を実現するために、どのような未来像を描いていますか。</p><p>筧：1970年代は、栄養塩や有機物が大量に海に流れ込むことが問題でした。しかし現在は、むしろ栄養分である窒素やリンの不足によって、ノリの色落ちが起きたり、イカナゴのような小魚が減ったりしています。小魚が減れば、それを餌にする魚も減ってしまい、漁獲量の減少にもつながっているのです。</p><p>こうした状況を踏まえ、近年は赤潮の発生に注意しながら、必要な場所には栄養が行き渡るよう海の環境を管理する取り組みも進められています。</p><p>中国の言葉に「水清ければ魚すまず」というものがありますが、海の水をきれいにすることだけを正義として進めるのが必ずしも適切とは限りません。海水の有機物を減らすか増やすかという単純な二択ではなく、海全体を見ながらバランスを整えていくことが、持続可能な海につながるのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00001-1024x768.jpg">筧さんが勤める水産研究・教育機構の宮城県塩釜庁舎からは松島湾が眺められる。松島湾でも夏季に海底付近の酸素が減少する現象が観測されている。写真提供：筧茂穂<h2 id="tnf-text-heading-block_20fd51efd58865e59800fa550cce860e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来の海や食卓を守るために、私たち一人一人ができること</h2><p>筧さんから、未来の海や食卓を守るために、社会全体や私たち一人一人ができる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_505ab74cd221b08121c45b8ea52b24bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自然を体験し、守りたいという気持ちを持つ</h2><p>海だけでなく、川や山にも足を運び、その大きさや美しさ、ときには怖さも含めて体験し、自然を感じてみることが大切。実体験を通じて「この景色がこれからも続いてほしい」と感じる心が、自然を守ろうとする意識につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b93ac7beba754074fc7e59e5c6233df8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］海ごみを減らすために、身近な行動を見直す</h2><p>ごみを捨てないことはもちろん、プラスチックをできるだけ減らすこと。特にマイクロプラスチックの問題は深刻になっているため、まずは海ごみやマイクロプラスチックの問題について知る、そして身近なところから減らす努力をする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b00f1aa9c4dc8ce5f1c92033d6fb9cbb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］日常の積み重ねが、「未来の環境を守る」と意識する</h2><p>無理に大きなことをするというよりも、自分が日常生活の中で排出している二酸化炭素が気候に影響しているかもしれない、という感覚を持つことが大切。“ちょっとそこまで”なら車を使わずに徒歩や自転車で移動するといった、日常の積み重ねが未来の環境を守ることにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材は、「海の酸欠」と呼ばれる現象があると知ったことがきっかけでした。調べていくうちに、漁業や食卓に影響するといわれる「貧酸素水塊」について、きちんと理解したいと思うようになりました。</p><p>取材を通して、海の中の酸素濃度が季節や気候条件によって変動していることや、場所によっては栄養不足が問題になっていることを知りました。日本は海に囲まれているのに、まだまだ知らないことがたくさんあると感じます。</p><p>海へ行く機会がないという人も、水族館でさまざまな生き物を見て海の豊かさに触れたり、おいしい寿司を味わったりする機会はあります。そんなときに、「これからも魚たちが生き続けるために」「これからもおいしい魚を食べ続けるために」と、少しだけ海に思いを巡らせてみていただければと思います。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>災害時、言葉にできない不安を抱える子どものために、大人が知っておくべき「心のケア」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121023/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 07 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>災害という非常事態に対して、子どもに心や体の不調、行動の変化が表れるのは正常な反応</li><li>災害時、子どものSOSは気づきにくい。また、発災時のショッキングな映像を見たり、取材を受けたりすることは心の大きな負担になる可能性も</li><li>大人は子どもに表れやすいストレス反応を理解し、災害時も子どもが安心して過ごせるよう守る責任がある</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>もし、大規模災害でいつもの生活が失われたら――。</p><p>突然日常が奪われ、家族や地域の人たちも余裕を失う状況で、子どもに対してどう接すればよいのか、戸惑う保護者も少なくありません。</p><p>大規模災害では、家の倒壊や親族との離別、慣れない避難生活といった非日常の中で、子どもたちは強いストレスを抱えやすくなります。</p><p>しかし、発達の途中にある子どもは、不安や恐怖を言葉で表現できないこともあります。その代わりに、「赤ちゃん返り」「無口になる」といった行動の変化、情緒の不安定、体調不良という形でストレスを表出させる場合があります。</p><p>そんなとき、子どもの心を回復させるために重要な役割を担うのが、保護者や教師、地域住民などの身近な大人です。一方で、大人自身も被災という非常事態にあるため、子どもの変化を適切に理解し、細やかに対応することも難しい状況にあります。</p><p>そこで参考にしたいのが、一般社団法人日本児童青年精神医学会 災害対策委員会が作成した<a href="https://child-adolesc.jp/saigai/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『災害下における子どものこころのケアの手引きとリーフレット』</a>です。東日本大震災や熊本地震などの支援経験と医学的知見をもとに、子どもに起こり得る変化や、大人ができる対応を分かりやすく解説しています。</p><p>自然災害が多く発生する日本では、いつ誰が被災し、避難所で子どもと共に生活することになるかは分かりません。本記事では、日本児童青年精神医学会の中西大介（なかにし・だいすけ）さんに、災害時に子どもに起こりやすい変化と、身近な大人ができる心のケアについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00007-1024x575.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_0e7cd4bc8e7294a15984b454278ac0b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害時、「行動」「心」「体」に表れる「変化」は正常な反応</h2><p>――大規模災害が起こったとき、子どもはどんなストレスを抱えやすいのでしょうか。</p><p>中西さん（以下、敬称略）：まず挙げられるのが、「災害による破壊と喪失によるストレス」です。具体的に言うと、大切な家族や友人、ペットなどとの別れ、それまでの生活空間や大切なおもちゃ、思い出の品などを失うことです。</p><p>さらに、被災によって生活様式が劇的に変わることによる二次的なストレスも生じます。長く続く避難所や仮設住宅での生活、転居などは、子どもにとって大きな負荷となり得ます。</p><p>これらのストレスは、「行動の反応」「心の反応」「体の反応」といったさまざまな形で表れることがあります。</p><p>いずれも、非常事態から心や体を守るための正常な防衛反応です。私たちは、こうした反応がどんな子にも起こり得ると知っておく必要があります。</p><p>――知識がなければ、病気による不調やわがままだと思ってしまう人も多そうです。</p><p>中西：年齢や発達段階によって異なりますが、症状や特徴がはっきりしない上、子ども自身が自分に起きている変化を捉えて、言葉で表現するのは難しいことなので、見落とされたり、誤解されたりしやすいんです。</p><p>それに、災害時は大人も余裕がなく、子どもの些細な変化に気づきにくくなります。</p><p>――こうした反応は、いつ頃治まるのでしょうか。</p><p>中西：回復の経過は個人差が大きいのですが、ほとんどの子どもは「安心・安全を実感できる生活」を送るうちに回復していきます。</p><p>また、災害が発生してから1カ月程度の間に適切なケアを受けられると、精神医学的な問題が起きるのを一定程度予防できると考えられています。</p><p>ただし、生活が再建されても不安定さが続くときは、自治体の子育て支援の窓口や保健師、スクールカウンセラー、かかりつけの小児科などに相談しましょう。必要に応じて、専門的な医療機関を紹介されることもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00004.jpg">子どもに現れやすい行動面のストレス反応の例。事前に知っておくと誤解や過小、過大評価を防げる。出典：日本児童青年精神医学会「保護者向けリーフレット」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_65315b458ce109e68629d214dce32150" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災によって失われる「世界への基本的な信頼感」</h2><p>――被災した子どもには、どう接すればいいのでしょうか。</p><p>中西：大人が子どもの変化に過敏に反応すると、かえって不安を強めることがあります。「災害時、子どもにストレス反応が表れるのは正常」だと認識し、できるだけいつもと同じように接すること、規則正しい生活を維持することが大切です。</p><p>子どもにとっての被災経験は「世界に対する基本的な信頼感や安心感」が失われる衝撃的な出来事です。無力感にさいなまれ、自分自身に対する信頼や自信さえも失います。そこから回復するには「自分は独りぼっちじゃない。周りの大人から守られ、尊重されている」と感じられることが重要です。</p><p>子どもの変化を受け止めるには大人自身の安定も必要です。しかし、非常事態にいるのは大人も同じ。心や体にさまざまな反応が表れることも当然あります。</p><p>大人もつらいときは周囲に相談し、助けを求めましょう。そうした姿は、子どもにとって「人を頼ってもいい」という手本にもなります。</p><p>――子どもに安心感を与えられる、具体的な行動を教えてもらえますか。</p><p>中西：まずは、真摯に話を聞くことですね。余計なことを言わず、根掘り葉掘り質問せず、本人が話したいことを、話したいときに、話してもらう。感情が爆発しても受け止める。そうした関わりの繰り返しで、不安定さは徐々に落ち着いていきます。</p><p>自分の心身の変化に戸惑う子どもには、なぜそうしたことが起きるのか、その子が理解できる言葉で説明しましょう。その上で「誰にでも起こることなんだよ」「つらさは無理に押さえ込まず、外に出していいんだよ」と伝えてください。</p><p>生活が徐々に戻り、学校での集団生活が再開すると、「被災したのはみんな同じなのに、自分だけが泣き言を言っている」と感じ、不安な気持ちや自身に起こっている体験を表に出しにくくなる子もいます。</p><p>そうした子には、「相談したいときには相談できる環境があるよ」と繰り返し伝え、これまで日常的に関わってきた大人と近況を話せる機会をつくることも大切です。</p><p>――被災した子どもは「地震ごっこ」や「津波ごっこ」をすることもあると聞きます。大人はどう対応すべきでしょうか。</p><p>中西：子どもはそれらの遊びを通して、心の中の不安を表現し、克服しようとしているんです。不安や恐怖が解消されれば、こうした遊びは徐々に消失します。「不謹慎だ」といった言葉で否定や禁止をせず、見守るのが原則です。</p><p>ただし、その遊びを見て嫌がる子がいるときは、別の場所に誘導しましょう。また、遊びによって不安がますます高まっている様子を目にしたら、穏やかに介入し、安心・安全な結末に誘導するといった配慮も必要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00009-1024x425.jpg">災害による心身の変化は個人の弱さではなく、誰にでも起こり得るもの。表に出してもよいことを伝えることが大切<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00011-1024x724.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_da7501dc01f13313e33ceadadfa897e3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">死別を経験した子、障害のある子、特別な配慮が必要な子</h2><p>――家族や大切な人を亡くした子どもには、どう関わればいいのでしょうか。</p><p>中西：子どもが幼い場合、大人は「言っても理解できないだろう」と思い込み、死について語ることを避けがちです。</p><p>しかし、大切な人の死をその子が理解できるよう、丁寧に伝え、語り合うことは、子どもが何歳であっても必ずしてほしいです。</p><p>その際、できるだけシンプルに分かりやすく伝えることが重要です。例えば、「遠く長い旅に出た」「長い眠りについた」といった表現を使うよりも、正確な事実を必要なだけ伝えてください。事実を曖昧にして放置すると、逆に不安を強め、死を自分の落ち度や責任と思い込む可能性があるからです。</p><p>大切な人の死を理解した子どもは、当然ながら悲しみや怒りをあらわにすることもあります。その子が自分の感情を出しても構わないと思えるよう、感情の表出をさえぎらないようにしてください。</p><p>お通夜や葬儀にも、本人が希望するなら参加させましょう。嫌がる場合は無理強いをせず、線香やろうそくを灯してお祈りをする、亡くなった方の写真を整理する、という形で簡単なお別れの儀式を行うことも1つの方法です。</p><p>そうした体験を通して、徐々に喪失の悲しみを乗り越え、いずれは前に進めるようにつなげることが大切です。</p><p>――発達障害や知的障害のある子どもとの、被災後の関わり方についても教えてください。</p><p>中西：一人一人特性が異なるので、支援の方法はさまざまです。しかし、普段と違う支援をすると、余計に混乱を助長してしまうこともあります。家族以外の大人は、本人や家族をよく知る支援者に、対応策や支援法を確認してもらえたらと思います。</p><p>発達障害のある子どもは変化が苦手で、周囲の刺激の影響を受けやすい傾向があります。また、見通しの立たないことに強い不安を感じることも多いです。</p><p>避難生活では、「感覚の過敏さや鈍感さが強くなる」「不安から奇妙な行動をする」「落ち着きがなくなる」「他者の働きかけに強い抵抗を示す」といった特徴が目立ちがちです。情動の不安定さから大声を上げたり、衝動的に自傷や他害に至ったりすることもあります。周囲の大人が、彼らの不安を軽減できるように関わることがとても重要です。</p><p>――どうすれば不安を軽減できるのでしょうか。</p><p>中西：可能な範囲でその子に適した環境調整をすること、簡単な日課を作って見通しが持てる生活をできるよう支援することがカギになります。</p><p>また、家族に発達障害や知的障害のある子がいる場合は、子どもの特性を周りの人に伝え、理解を求めていくことも大切です。</p><p>障害のある子どもがいる家庭は、周囲に遠慮して避難所での生活を避け、車中泊や損壊した家での孤立した生活を余儀なくされているケースもあると聞きます。それを避けるためにも普段から地域の中でつながりを持ち、頼れる関係性を築いておくとよいでしょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00010-1024x383.jpg">発達障害のある子どもを持つ家族は、子どもが安心できるアイテムやおもちゃを、いつでも持ち運べるよう、準備しておくことが大切だという<h2 id="tnf-text-heading-block_575c10a49f9fe2a17d08dfe373f3b978" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">報道に映る被災地の子どもの笑顔、実際は深く傷ついていることも</h2><p>――被災をきっかけにPTSDや抑うつ、不安障害などを発症する子どももいると聞きます。発症リスクを上げる要因にはどのようなものがありますか。</p><p>中西：この点については、不確かな回答を避けるため、学術的な説明になることをご理解いただければと思います。</p><p>東日本大震災後の実践報告や研究データを見ていると、震災から数年を経てトラウマに関連する症状で受診する子どもの特徴として、以下の点が挙げられます（※1）。</p>震災前に何らかのトラウマ体験がある心的外傷後ストレス障害（PTSD）の症状がみられる情動コントロール（※2）の困難さがある対人不信や否定的自己観など、対人的な傷つきの蓄積による問題を持っている診断ができるかどうかは別として、発達障害の特性を持っている<p>また、さらに長期的な治療が必要となる子どもは、次の特徴も併せ持ちます。</p>圧倒的な喪失体験を持っている行動と情緒の問題が深刻である転居や転校によって、トラウマ体験を共有できる仲間がいる環境に置かれていない家族のサポートが得られにくい環境に置かれている<div id="tnf-text-notes-block_cec949e4e7f6303aec85f85b75c7ca19" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：「被災地の子どものこころのケア　東日本大震災のケースからみる支援の実際」編著，松浦直己　著者，八木淳子・福地成・枡屋二郎：2018中央法規出版※2.「情動コントロール」とは、不安や怒り、焦りなどの不快な感情によって生じるストレスに対し、自分の気持ちや状況を整理し、感情の高ぶりを落ち着かせていく働きのこと </div><p>――では、災害後に子どもが精神疾患を発症するような深刻な問題は、周囲の環境や支援によって軽減できるのでしょうか。</p><p>中西：自然災害ではありませんが、2001年の「アメリカ同時多発テロ事件」の後にも、PTSDや広場恐怖症（※1）、予期不安（※2）、アルコール依存などの精神疾患を抱える子どもが報告されています。</p><p>ただし、爆心地周辺の地域（グラウンド・ゼロ地区）の学校に通っていた子どもたちは、精神的な問題の程度がむしろ軽かったことが分かっています（※3）。これは、事件後に行われた、手厚い社会的サポートとメンタルヘルス支援の結果によるものと推測されています。</p><p>つまり、ニーズに合わせた社会的なサポートや心理的な支援の介入によって、精神的な問題の発生はある程度予防、軽減できる可能性があるということです。このことは、希望となり得る情報ではないでしょうか。</p><p>ちなみに、同時多発テロ後の研究では、報道への曝露、つまり被災地のショッキングな映像を目にすることが、子どもの精神的な問題の発生リスクを増大させることも明らかになりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_9f2e8506e6551cd42eb7edce13789e6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「広場恐怖症」とは、特定の場所（広場に限らない）で、強い恐怖や不安を感じてしまい、日常生活に支障をきたす病気のこと※2.「予期不安」とは、発作が起こっていないときに、また発作を起こすのではないか、次に発作が起こったら死んでしまうのではないか、あの場所に行ったら発作が起こるのではないかと不安に感じる症状のこと※3.出典：Hoven et al. Psychopathology among New York City public school 6 months after September 11.Arch Gen Psychiatry 62:545-552,2005</div><p>――報道で被災地のショッキングな映像を目にする影響について、詳しく教えてください。</p><p>中西：災害発生時に報道される被災地のリアルな情報は、大人にとっては必要なこともあります。ただし、子どもが目にした場合は強い不安や動揺を引き起こしかねません。</p><p>さらに、ネット上で規制なしに溢れる情報の中には、とてもショッキングなものがあるにもかかわらず簡単に閲覧できてしまうものもあります。</p><p>このことは、全国の多くの児童精神科医が憂慮している事態のひとつです。報道関係者も周囲の大人もこの重大さを理解し、子どもを守る責務を強く認識してもらいたいです。</p><p>――また、被災地の子どもの様子を伝える報道については、どのような点に注意が必要でしょうか。</p><p>中西：報道を見ていると、避難所で子どもが元気そうにしている姿が映し出されることがありますよね。見ている人は「被災地でも元気に過ごしている子がいるんだ」と安心したり、勇気付けられたりするかもしれません。</p><p>しかし、実際には、深く傷つき、疲れている子どもがカメラを向けられ、知らず知らずのうちに演技をしていることもあります。</p><p>子どもたちは「みんなで頑張ろう」というシンボルとして扱われがちですが、彼らは俳優ではありません。周囲の大人は子どもへの配慮が必要であることを理解し、「取材に協力するかしないかは、自分で選んでいいんだよ」と伝えることで、子どもを守ってほしいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8ab5cf3695742a6fc758a734d4367ede" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害時の子どものケアの拡充には、複数分野の連携が不可欠</h2><p>――「災害時の子どもの心のケア」に関する体制の現状と、今後の展望を聞かせてください。</p><p>中西：現在もすでに、医療、保健、教育、福祉などの分野で支援が行われており、今後の支援についても検討が進められています。ただ、それぞれの分野に従事する人たちが、互いの準備や取り組みについて知る機会は極めて限定的です。本来は、複数の分野が「連携する」必要があります。</p><p>というのも、実際に災害が起こったとき、1つの機関だけでは対応しきれない可能性が高いからです。ただ、どの分野でも人手が不足しているため、災害時の他機関との連携を平時から検討する余裕がある機関はほとんどありません。各地域の子どもに関わる職員が一堂に会し、災害に関する研修会を開く機会が必要だと思います。</p><p>災害をはじめとするさまざまなストレスによって心的外傷を受け、治療が必要になる子どもは決して珍しくはありません。今後はぜひ、国や自治体が主導して各地域にトラウマケアの拠点施設を設置し、専門人材の育成や災害時の心のケア体制の整備を進めてほしいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00003-1024x383.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_8e46e4a0a826d3b2b7a2e9a0321c817b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※上記の資料は、災害時の子どものこころのケアに関する基本的な考え方をまとめたものであり、実際の支援では被災地の状況に応じた対応が求められる。また、平時の備えの重要性を踏まえて公開しているもので、使用の際は改変せず現行のまま利用することが求められている</div><h2 id="tnf-text-heading-block_b2d0ec119e3dae1468cb4412d39d90f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災した子どもを支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>災害時に子どもたちを支えるために、私たち大人にできることについて、中西さんから3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ea23d78875a413773e3164d00cb098f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 平時から「災害時の子ども特有の反応」について知っておく</h2><p>子どもが災害時にどんな反応を示すかをあらかじめ知っておけば、適切な対応をとれるようになる。日本児童青年精神医学会が公開している「被災地支援者向け講義資料」「保護者向けリーフレット」「災害時の障害児への対応のための手引き」を参考に、正しい知識を身に付けておく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7698ce01db54a4653f7fd4e1dd5b1a9d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 地域で顔の見える関係をつくっておく</h2><p>普段から地域住民同士のつながりをつくっておくことが大切。特に障害のある子どもがいる家庭は、子どもの特性から避難所を避けてしまうこともある。日頃から関係を築いておくことで、いざというときに支え合いやすくなり、子どもの変化にも周囲の大人が気づきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_074b5bce9d2cd0fd7df7249aed1968cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 子どもを支える大人も、自身の心のケアをする</h2><p>災害時は子どもも大人も被災者。自分自身も傷ついている可能性があり、ストレス反応が表れるのは自然なことだと理解し、助けを求めたり休息をとったりして、心のケアをおざなりにしない。そうした大人の姿勢を見せることが、子どもが素直に傷つきを表現できる環境につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>昨今では、「災害後のこころのケア」の必要性について話題になることも増えましたが、「子ども特有のこころのケア」に焦点が当たるのは、どうしても後回しになりがちだと感じ、中西さんにお話を伺いました。</p><p>中西さんが語ってくれた、「災害によって、子どもは世界や自分自身に対する信頼感を失う」「非常事態の後にストレス反応が起こるのは正常」「過剰に反応せず、普段通りの生活を守ってあげることが大切」という事実。災害によって傷ついた子どもと接する可能性が誰にでもあると考えると、全ての大人が知っておくべきことだと感じました。</p><p>また、報道を通じて被災地のショッキングな映像を目にすることや、被災地の子どもが取材を受けることのリスクについてのお話がとても印象的でした。多くの場合、子どもたちは自分の意思でこうした事態を回避することはできません。私たち一人一人が、大人として子どもの心を守る責任を負うことの大切さを痛感させられる取材でした。</p><div id="tnf-text-notes-block_845e2000aa5b4f54772fed407c46cb32" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※記事内で紹介している日本児童青年精神医学会の資料は、同学会の<a href="https://child-adolesc.jp/saigai/" target="_blank" rel="noopener">公式ホームページ（外部リンク）</a>で閲覧可能</div><p></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 08 Apr 2026 01:28:44 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>121254</guid>
      <title>日本の社会課題一覧</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/121254</link>
      <pubDate>Fri, 03 Apr 2026 12:35:15 +0000</pubDate>
      
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<p>知っているようで、実はよく知らない。私たちの暮らしの中にある社会課題を、改めて見つめ直してみませんか？</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>120958</guid>
      <title>日本のジェンダー・多様性に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120958/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 02 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>現代社会における一人一人の生き方や背景はますます多様化しています。性別や出身国、障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく生き、その個性を尊重し合える社会を築くことが求められています。</p><p>しかし現実には、ジェンダーギャップや性的マイノリティーへの無理解、外国にルーツを持つ人々が直面する言葉や文化の壁、過ちを犯した人の再出発が難しい社会の厳しさや、障害者の就労における機会の格差など、多様性を包み込むための道のりには多層的な課題が山積しています。</p><p>誰もが尊厳を持って共に生活し、それぞれの可能性を最大限に広げられる未来を築くために、私たちは現状をどのように捉え、解決に向けて具体的にどのような行動をとるべきでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●ジェンダーギャップ</a></p><p><a href="#link2">●性的マイノリティー</a></p><p><a href="#link3">●多文化共生（外国ルーツの子どもを含む）</a></p><p><a href="#link4">●更生しづらい社会</a></p><p><a href="#link5">●障害者の自立（就労・雇用）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">ジェンダーギャップ</h2><p>ジェンダーギャップとは、社会における男女間の格差や不平等のことです。</p><p>世界経済フォーラムが公表する「ジェンダー・ギャップ指数（GGI）2025」において、G7に属する先進国が50位以内となるなか、日本は148カ国中118位と著しく低水準の結果となりました。特に政治と経済の分野での遅れが顕著です。</p><p>政治面では、直近の2026年衆院選における女性当選者は68人で、当選者全体に占める割合は14.6パーセントでした。経済面でも、管理的職業に従事する女性の割合は15.3パーセントと低いほか、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は75.8という大きな格差が生じているのが現状です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500006.jpg"><p>是正のためには「家事・育児・介護は女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識・無意識の思い込み（アンコンシャス・バイアス）の解消や、長時間労働の是正やテレワークなどの柔軟な働き方の導入、家事支援サービスの利用促進などにより、男女ともに仕事と生活の負担を軽減する環境整備が重要とされています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_083e02a2b04deddd40003f06e961da12" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ジェンダーギャップをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109406/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地方女子が難関大学を目指しにくい理由とは？ 自由に進路を選択するために（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106987/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ男性は女性優遇に敏感？ 澁谷知美さん、清田隆之さんが語るジェンダー問題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97905/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">勉強や仕事で「女の子だから」差別（さべつ）されることがある？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90358/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本にパリテは可能？　議員の「男女平等」のヒントを専門家に聞いた（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">性的マイノリティー</h2><p>性的マイノリティーとは、性的指向（好きになる性）やジェンダー・アイデンティティー（性自認）が多数派と異なる人々のことです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500002.jpg"><p><a href="https://tokyorainbowpride.org/learn/lgbtq/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人東京レインボープライド（外部リンク）</a>によれば、性のあり方は「法律上の性別」「性自認・性同一性」「性的指向」「性表現」の4つの要素で構成されており、誰もがその要素の中に存在しています。近年の調査では、調査機関や調査方法によってデータにバラつきがあるものの、性的マイノリティに該当する人は人口の約3パーセントから10パーセントの割合で存在するといわれています。</p><p>しかし、社会には依然として根強い偏見や差別が残っており、学校でのいじめや就職における不利益、さらには周囲の無理解による孤立など、多くの困難を抱えています。</p><p>今後は、若者が安心して過ごせる居場所の整備や、自治体による「PRIDE指標」への取り組み、性的マイノリティー当事者のことを理解、支援しようとし、偏見や差別をなくすために行動する人である「アライ」を増やす活動など、多様な性が尊重される社会の形を広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_36fd6336c48589cacc579f8f58e39cb6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［性的マイノリティーをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113908/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">性のあり方は多様で一人一人違うもの。LGBTQ+の若者が安心できる居場所とは（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102470/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「アライ」の役割は？　「LGBTQ」など性の多様性を理解するために必要な視点（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85918/diversity_and_Inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">LGBTQ＋への取り組みを評価する「PRIDE指標」で国立市が最高評価を得た理由（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80401/diversity_and_Inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">LGBTQなど性的マイノリティを取り巻く課題。私たちにできること（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">多文化共生（外国ルーツの子どもを含む）</h2><p>多文化共生とは、国籍などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の一員として共に生きていくことです。</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁の資料（外部リンク）</a>によれば、2025年（令和7年）6月末時点の在留外国人数は395万6,619人と過去最多を更新しており、すでに地域を共につくる「担い手」の一員となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500003.jpg"><p>しかし、急増する外国人を社会の一員として迎えるための課題は多くあり、<a href="https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00094.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁（外部リンク）</a>では主な施策として「外国人が生活のために必要な日本語等を習得できる環境の整備」「外国人の目線に立った情報発信の強化」「ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援」などを挙げています。</p><p>今後は、生活上の困りごとを支える「外国人支援コーディネーター」の育成や、多文化交流シェアハウスのような「人とのつながり」を生む住まいの活用を通じ、誰もが取り残されない共生基盤の構築が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_14e6af2018c68a2d5ac333298b4f7d40" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［多文化共生をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90429/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外国人と日本人が半々の国際交流シェアハウスに学ぶ「多文化共生」の糸口（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集【避難民と多文化共生の壁】記事一覧（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">更生しづらい社会</h2><p>更生しづらい社会とは、犯罪を犯した人が罪を償い、やり直しを願っても、社会への復帰が困難な状況にあることを指します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500005.jpg">更正しづらい社会構造が、再犯という負の連鎖を生んでいる<p>近年、刑法犯の検挙人員自体は減少傾向にある反面、再犯者率の高止まりが深刻な課題です。法務省の<a href="https://www.moj.go.jp/content/001451881.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">令和7年版再犯防止推進白書（外部リンク/PDF）</a>よれば、2024年の刑法犯検挙者数は19万1,826人、そのうち再犯者は8万8,697人に上ります。再犯者率は46.2パーセントに達しており、検挙された人の約半数が再び罪を犯しているのが現状です。</p><p>背景には出所後の仕事や住まい、人間関係の欠如が挙げられ、実際に再犯者のうち約8割が犯行時に無職でした。社会の厳しい視線や偏見によって就労機会が限られることが、再犯という負の連鎖を招く大きな要因です。</p><p>今後は、この負の連鎖の理解推進、また日本財団職親プロジェクトのような就労や住居の支援、民間ボランティアである保護司による伴走支援、個々の特性に応じた柔軟な指導を行う「拘禁刑」の活用など、地域ぐるみで立ち直りを支える仕組みを広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fd8f0be19f7640b8c412138140140546" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［更生しづらい社会をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112081/shoku-shin" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出所者の再出発を支える民間ボランティア「保護司」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94985/shoku-shin" target="_blank" rel="noreferrer noopener">刑務所内で就職活動。受刑者専用の求人誌『Chance!!』が生まれた理由 （別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/24698" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被害者も加害者も生まない社会へ～表裏一体の支援事業を行う担当者の思い〜 （別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">障害者の自立（就労・雇用）</h2><p>障害者の自立とは、障害のある人がその特性に応じた支援を受けながら、地域社会の一員として働き、自立した生活を送ることを指します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500001.jpg"><p>日本には企業に対し一定割合以上の障害者雇用を義務づける「障害者雇用率制度」があり、法律で「法定雇用率」という割合を決め、社会全体で共に生きる仕組みがつくられています。</p><p>厚生労働省の<a href="https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/25/dl/zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 厚生労働白書」（外部リンク/PDF）</a>によれば、民間企業における障害者の雇用者数は2024年6月時点で約67.7万人に達し、21年連続で過去最高を更新しました。民間企業の実雇用率は2.41パーセントまで上昇、特に精神障害者の雇用が対前年比15.7パーセント増と大きく伸び、働く場は着実に広がっています。</p><p>しかし、法定雇用率を達成している企業の割合はいまだ46パーセントに留まっており、法定雇用率未達成企業の約6割が、障害者を一人も雇用していない「障害者雇用ゼロ企業」となっており、企業ごとにばらつきがあるのが現状です。</p><p>この背景には、企業側のノウハウ不足や、障害特性に応じた「合理的配慮」への理解不足が挙げられています。単に人数を増やすだけに留まらず、障害者の能力開発やキャリアアップなど雇用の質向上を図る、短時間の勤務が可能な環境を整えるといった、多様な働き方の受け皿づくりも重要なテーマです。</p><p>今後は、ハローワークなどによる支援に加え、農業の人手不足と障害者の就労問題を同時に解決する「農福連携」といった新しい仕組みを広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0322b6d8ef9aa6df72e5649e23792004" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［障害者の自立をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110444/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">“脱福祉”型就労施設が目指す障害者の経済的自立。活躍できる職場づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101917/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「農福連携」が農業の人手不足と、障害者の就労問題を解決するかも？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/88571/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">就労支援先はクラフトビール醸造所。街ぐるみで取り組むアイコンづくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/28347" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害者と社会成長にコミットする就労支援のカタチ（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/pdf/r07_10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/pdf/r07_10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府男女共同参画局「令和7年版男女共同参画白書（全体版）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://digital.asahi.com/articles/ASV290J48V29UTFK00VM.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">朝日新聞「衆院選2026｜衆院選で女性候補68人当選、過去2番目の多さ 当選者の14.6%」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://tokyorainbowpride.org/learn/lgbtq/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人東京レインボープライド「LGBTQ+とは」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00126.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「性的マイノリティに関する偏見や差別をなくしましょう」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/kokusai/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省｜地域の国際化の推進（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD3029O0Q5A730C2000000/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本経済新聞「在留外国人とは 日本の総人口の3%、過半が20~30代 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00094.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁「外国人材の受入れ・共生のための総合対応策（令和7年度改訂）（概要）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001451881.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省 令和7年12月「令和7年版 再犯防止推進白書（概要）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001410095.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務総合研究所「令和５年版犯罪白書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/25/dl/zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「令和7年版 厚生労働白書」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の国際・政治に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120687/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 31 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>グローバル化が進み、日本でも国外にルーツを持つ人々との共生が日常となっています。移民や難民の方々の人権を尊重し、多様性を認め合いながら、安全で豊かな社会をいかにつくり上げていくかは、今私たちが向き合うべき大きなテーマです。</p><p>さらに、緊迫する安全保障環境や人道支援のあり方、そして民主主義の根幹を支える「政治参加」の停滞など、日本を取り巻く課題は国内外で多層的に広がっています。</p><p>誰もが尊厳を持って共生し、次世代に確かな未来を引き継ぐために、今どのような現状があり、どのような視点が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●移民・難民</a></p><p><a href="#link2">●戦争・紛争</a></p><p><a href="#link3">●児童労働・人身取引（人身売買）</a></p><p><a href="#link4">●投票率の低さ（政治への不参加）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">移民・難民</h2><p>「移民」とは、「出生国や国籍国を離れ、法的地位や移動理由を問わず他国へ移り住む人々」を指す総称です。国際移住機関（IOM）は、これには自発的な意思だけでなく、やむを得ない事情による移動も含まれるとしています。</p><p>「難民」とは、国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）によると、「人種や宗教、政治的意見などを理由とした迫害の恐れから逃れ、国際的保護を必要とする人々」と定義されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400001.jpg"><p>どこまでを移民とし、どこからを難民として扱うか。この定義の解釈の違いが、各国の受け入れ態勢や支援の判断に大きく影響しています。</p><p>日本における難民問題は極めて深刻です。日本は難民条約加盟国でありながら、2024年の各国の難民認定数比較によれば、難民認定率はわずか2.2パーセントと、諸外国に比べて著しく低い水準にあります。認定を求める人々は極めて厳しい状況に置かれており、出入国在留管理庁（入管）の対応についても、収容の長期化や不透明な手続きなど、人権保護の観点から多くの課題が山積しています。</p><p>特に懸念されるのは、認定が降りないまま強制送還の対象となるケースです。自国に戻れば弾圧や紛争によって命の危険にさらされることが明白であっても、公的な保護を受けられない人々が少なくありません。</p><p>現在は「難民・移民フェス」のような草の根の支援活動が広がっていますが、今後は制度の透明性を高め、排除するのではなく、共に生きる隣人として受け入れる社会の仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8a857f83dca63d7605d48c056387c690" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［移民・難民テーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89568/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">課題が山積する難民問題。いまできる支援を「難民・移民フェス」開催者に聞く（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集【避難民と多文化共生の壁】記事一覧（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80151/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「彼らに日本を憎んでほしくない」。約5万5,000人の技能実習生を支援するベトナム人住職（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">戦争・紛争</h2><p>日本は戦後一貫して「戦争をしていない国」ですが、世界各地での衝突や日本周辺の軍事的緊張は、私たちの安全や暮らしに直結する深刻な社会課題となっています。</p><p>外務省の<a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2025/html/chapter3_01_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「外交青書 2025」（外部リンク）</a>や<a href="https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 防衛白書」（外部リンク/PDF）</a>においても、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあると警鐘を鳴らしています。これは、近隣諸国における核・ミサイル開発の進展や、力による一方的な現状変更の試みといった軍事的な圧力に加え、サイバー攻撃や偽情報の拡散といった、大規模な武力衝突には至らない「グレーゾーン」の脅威が複合的に高まっているためです。</p><p>こうした多様な事態の常態化により、かつてのように「有事」と「平時」を明確に分けることが難しく、その境界が極めて曖昧になっているのが現状です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400002.jpg">現代における戦争は武力の衝突のみではない<p>これに対し、日本政府は「国家安全保障戦略」に基づき、防衛力の抜本的強化と外交努力の両立を進めています。具体的な数値目標として、2027年度には防衛関係予算を国内総生産（GDP）比で2パーセントに到達させる方針を掲げており、2023年度からの5年間で約43兆円に上る防衛力整備計画を推進しています。</p><p>軍事的な枠組みにとどまらず、経済や技術、サイバー空間といった広範な領域において、国としてのレジリエンス（回復力・強靭性）を高め、予測困難な事態に対して切れ目のない備えを講じていくことが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3f928cf2d5d832bea19ad0dc15b3d6c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［戦争・紛争をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/96977/SDGs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界では5分に1人の子どもが暴力で命を落としてる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/93031/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">祖国から離れた地で働くことを決めたウクライナの若者たち。心の支えは “同窓”（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/66164" target="_blank" rel="noreferrer noopener">永井陽右さんがソマリアから目指す、全ての若者が武器を置くことができる社会（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">児童労働・人身取引（人身売買）</h2><p>児童労働の中でも、子どもの成長や教育を妨げ、身体的、精神的に有害な影響を及ぼす労働は「最悪の形態の児童労働」と定義されています。<a href="https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本ユニセフ協会（外部リンク）</a>によれば、2024年時点で5歳から17歳の子ども約1億3,800万人が児童労働に従事しており、そのうち約5,400万人は、「最悪の形態の児童労働」を強いられています。</p><p>これに密接に関わる深刻な課題が「人身取引（人身売買）」です。これは暴力や脅迫、詐欺などの手段を用いて、性的搾取や強制労働を目的に人が売買される行為を指します。</p><p>こうした事態を招く要因の1つに貧困があります。経済的に困窮した親や親族が「良い仕事がある」という誘いに乗り、結果として子どもたちが過酷な環境へと送り出されてしまう構図が数多く存在します。</p><p>この問題は海外に限った話ではなく、日本国内でも発生しています。政府広報によれば、巧妙な勧誘や不当な債務によって、風俗店や建設現場、農場などで自由を奪われ働かされる事例が報告されています。被害者は外部との接触を制限されることが多く、実態が表面化しにくいのがこの問題の恐ろしさです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400005.jpg"><p>今後は、国際的な監視体制の強化はもちろん、消費者が製品の背景にある労働環境に関心を持つなど、社会全体で不当な搾取を許さない仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fcf27b283a07a767a2bbe40c1a716313" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［児童労働・人身取引（人身売買）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106271/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">カカオの生産者は現地の子ども。世界から児童労働を減らすためにできること（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100300/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界には教育も訓練（くんれん）も受けられず、仕事もない若者（わかもの）が4人に1人いる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94631/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">学校に通いたくても通えない子どもがいるのはなぜ？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86913/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">解消できない途上国の児童労働。最新のIT技術は救世主になれるか（外部リンク）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">投票率の低さ（政治への不参加）</h2><p>2026年2月に行われた衆議院議員総選挙の投票率は56.26パーセントと、戦後で5番目の低さでした。投票率の低さは、国民の意思が十分に反映されない状況を招き、政治の正当性を揺るがせます。政策の偏りを生む要因にもなるため、政治への不参加は深刻な社会課題といえます</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400004.jpg">衆議院選における年代別投票率の推移（直近の2026年2月分は集計中につき含まず）。データ引用：<a href="https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「国政選挙の年代別投票率の推移について」（外部リンク）</a><p>総務省のデータでは、衆議院選挙の投票率は平成初期まで70パーセント前後でしたが、以降は下落傾向にあります。特に若年層の低さが顕著で、60〜70代が高い水準を維持する一方、20代は30パーセント台に留まり、倍近い世代間格差が生じています。</p><p><a href="https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t198-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本学術会議の提言（外部リンク/PDF）</a>によると、背景には複数の要因があり、相次ぐ不祥事による政治不信や、自分の票で政治を変えられるという「政治的有効性感覚」の欠如が投票意欲を削いでいます。また、戸別訪問の禁止などの厳しい選挙規制や、投票所の再編による物理的制約、制度解説に偏った主権者教育の不足も若者の意識低下を招いています。</p><p>政治が一部の層の意見だけに偏らないためには、主権者教育の充実や利便性の向上を通じて、全ての世代が「自分たちの未来を自ら選ぶ」感覚を取り戻せる社会の仕組みづくりが急務と言えます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0c3ef46854c262869b1fe0e8daca1737" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［投票率の低さ（政治への不参加）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116529/election" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本若者協議会に聞く、若者が主体的に政治と関わる方法（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113084/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">あなたの１票で社会が変えられる？ 選挙のキホンについて学ぼう！</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90358/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">面倒な国民が政治を変える？　議員の「男女平等」を実現するヒントを専門家に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/73616" target="_blank" rel="noreferrer noopener">若者が選挙へ行くべき理由とは。NYNJ能條桃子さんに問う（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国連広報センター「難民と移民の定義」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://japan.iom.int/migrant-definition" target="_blank" rel="noreferrer noopener"> IOM Japan（国際移住機関 日本）「移住（人の移動）について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unhcr.org/jp/what-is-refugee" target="_blank" rel="noreferrer noopener">UNHCR 日本「難民とは？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人 難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか？－制度面の課題から」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2025/html/chapter3_01_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外務省「外交青書 2025 ｜ 1 安全保障に関する取組」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防衛省「令和7年版 防衛白書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/hosyousennryaku_gaiyou.pdf">国家安全保障局令和4年12月「国家安全保障戦略（概要）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.gov-online.go.jp/article/201111/entry-8193.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">政府広報オンライン「人身取引」は日本でも発生しています。あなたの周りで被害を受けている人はいませんか？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"> 日本ユニセフ協会「ユニセフの主な活動分野｜子どもの保護｜児童労働 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「国政選挙の年代別投票率の推移について」（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>受刑者同士の対話で再犯を減らす――刑務所の新しい教育プログラム「回復共同体TC」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120610/crime</link>
      <pubDate>Thu, 26 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>厳罰だけでは再犯防止は困難。受刑者の社会復帰をどう支えるかが課題となっている</li><li>島根あさひ社会復帰促進センターでは、対話で内省を促す「回復共同体（TC）」を実践し、再入率の低下につなげている</li><li>厳罰だけでは再犯は防げないことを知り、感情を言葉にできる対話の場を育むことが大切</li></ul><p></p><p>厳罰化だけで、再犯は防げるのでしょうか。</p><p>罪を犯した人が社会に戻ったとき、再び犯罪をしてしまえば、その影響は当事者だけでなく、被害者や地域社会にも及びます。だからこそ今、「どうすれば再犯を防げるのか」が社会全体の課題として問われています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>近年、日本の刑事政策の現場では、厳罰化だけでは再犯防止につながらないという認識が広がり、受刑者の背景や特性に応じて更生や回復を支援する取り組みが重視されるようになりました。</p><p>その1つが、島根県の官民協働刑事施設「島根あさひ社会復帰促進センター」で導入されている「回復共同体（Therapeutic Community、以下TC）」。対等な関係の集団で対話を重ねながら、参加者が自身の過去や問題と向き合い、回復を目指すプログラムです。</p><p>この取り組みは、2020年公開のドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』で広く知られるようになりました。受刑者が葛藤を言葉にしながら変化していく姿は、当時大きな反響を呼びました。</p><p>この記事では、同センターのTC立ち上げに関わった同志社大学の<a href="https://psych.doshisha.ac.jp/professors/mouri/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">毛利真弓（もうり・まゆみ）教授（外部リンク）</a>に、その実践の内容や受刑者の変化、そして刑務所という現場が抱える課題について伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00005.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_728df919c1e04e953f06978d6ff65b4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">共に暮らし、共に学ぶ。対話を通じて自分を見つめ直す</h2><p>――TCの概要や成り立ちについて教えてください。</p><p>毛利さん（以下、敬称略）：TCは元々、刑務所に特化したものではありません。精神科病院や地域社会の中で、犯罪や依存症から回復するための手法として始まり、世界各国で展開されている支援モデルです。</p><p>治す側、治される側という上下関係をできるだけ取り払い、徹底的にグループでの対話を重ねることで、自らの問題と向き合って全人格的な成長を目指します。</p><p>前提にあるのは、「一緒に住む」ということです。島根あさひ社会復帰促進センターは刑務所なので自由な出入りはできませんが、その中でも「共に暮らし、共に学ぶ」というコンセプトを重視しました。</p><p>――同センターでは、TCをどのように実践したのでしょうか。</p><p>毛利：参加を希望した人が定員58名のユニットで共同生活を送りながら、午前と午後で半分ずつのグループに分かれて教育プログラムに参加してもらいます。生活と教育が一体になっているということです。</p><p>ですから、教育プログラムの対話の場でどれだけ立派なことを語っていても、日常生活の中でルールを守らなかったり、不誠実な態度をとったりすれば、すぐに周囲に見抜かれてしまいます。教育の場だけで「いい顔」をすることはできません。共に暮らしているからこそ、言葉と行動の一致が問われるのです。</p><p>そうした生活の中で、誰かとけんかした、誰かに対してネガティブな気持ちを持っている、といったリアルな出来事を素材に、自分の考え方や態度、人付き合いを見つめ直していける。そこが大きな特徴だと思います。</p><p>――従来の刑務所のシステムとは、どのような違いがあるのでしょうか。</p><p>毛利：最近は法律が変わり雰囲気が変わりましたが、かつての刑務所では、受刑者同士が深く話し合うことや、個人的な話をするのは、好ましくないという考え方があったと思います。話し合いは争いのもとになりかねない、出所後にまた一緒に罪を犯すかもしれない、そうした発想があります。</p><p>TCは教育の一部として対話を組み込んでいるという点で、新しい取り組みではないかと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00006-1024x576.jpg">毛利さんの専門は非行・犯罪臨床心理学で、現在はグループの手法を用いた回復支援や、性問題行動のある人の治療教育や研究を行っている<h2 id="tnf-text-heading-block_49786c503c9f7c2b970c1598e9fe02d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">テキスト学習とコミュニティーへの貢献によって成長を促す</h2><p>――教育プログラムの中身について教えてください。</p><p>毛利：大きく分けて2つあります。1つは朝と夕方に全員で行うミーティング。もう1つはグループごとのテキスト学習です。</p><p>ミーティングでは、刑務所内で実際に起きた出来事や、取り上げるべきテーマを題材に、各々が感じたことを話し合います。</p><p>テキストは基本的に2種類使用します。1つは、同センターで導入されたTCの参考となったアメリカの回復施設「アミティ（※）」の教材で、過去の経験や家族関係、感情の状態を振り返ります。</p><p>もう1つは、世界的に再犯防止に効果があるといわれている、認知行動療法を基盤とする自分たちで作った教材です。思考や行動パターンの癖、犯罪に至る流れを構造的に分析し、「どこで止められたか」「どこで考えを変えられたか」を整理していきます。</p><div id="tnf-text-notes-block_1da6190568d6e04bb14a2bd722bed968" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「アミティ」とは、アメリカ・アリゾナ州に拠点がある依存症回復の施設。1980年代に依存症当事者によって立ち上げられ、「回復共同体モデル（TC）」を確立した</div><p>――プログラムはどのように進んでいくのでしょうか。</p><p>毛利：3カ月を1クールとする段階性です。最初の3カ月は新人として学ぶことに専念し、次の3カ月では新しく入った人を支える立場になります。</p><p>単なる受講者ではなく、コミュニティーの一員として役割が変わっていきます。最終的には、コミュニティー全体の生活に目を配り、カリキュラムを教える役割へと責任が広がっていきます。</p><p>テキストは各クールで変わらず、同じ内容を繰り返し扱います。読むたびに理解が深まり、生活の中で実践し、また振り返る。その「テキストによる内省」と「コミュニティーへの貢献」という両輪で、成長を促していく仕組みになっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00004-1024x641.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2fcb8e80a00e04ffed618ed6d38bbc21" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">和を尊ぶ文化の中で、「対話」への抵抗を乗り越える</h2><p>――同センターにTCが導入された背景とその目的について教えてください。</p><p>毛利：官民協働の刑務所を設けたいという国の方針があり、民間からさまざまな試みが提案される中で、採用されたのがTCです。</p><p>科学的に再犯低下の根拠を示していたことに加え、「管理」に重きを置いた従来の刑務所とは異なり、改善や更生に力を入れた処遇モデルを構築するという目的がありました。</p><p>――TCは元々アメリカやイギリスで実践されていた手法ですが、日本で導入する難しさはありましたか。</p><p>毛利：最も大きかったのは、対話そのものへの抵抗感です。日本では、相反するさまざまな気持ちを言語化したり、葛藤を語ったりすることにためらいが強く、感情を表に出すのははしたない、我慢して丸く収まるならそれでよい、といった感覚が根付いています。</p><p>それから、参加する受刑者が話し合いを勝ち負けで捉えてしまう傾向があったり、葛藤や感情を口にすることに対して、どうしてもネガティブな結果を想像してしまったりするという難しさはありました。</p><p>実際、けんかした相手と気持ちを吐露し合った結果、関係が良くなるという経験を持つ人は多くないですよね。</p><p>――その問題を、どのように乗り越えたのでしょうか。</p><p>毛利：まずは職員にもTCを体験してもらい、少しずつ理解を深めてもらうようにしました。また、グループが成熟するまでは全員に発言の機会を設け、自由に話せる安全な場づくりを丁寧に進めました。</p><p>アメリカのような率直なコミュニケーションとは異なり、日本では、親密さと距離感のバランスを重視する文化があります。その特性を踏まえながら、コミュニティーを育てていきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9431c52ae3be4fd4cab376fade4846c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多くの受刑者に共通する「自分の声を聞いてもらえなかった」体験</h2><p>――TCに参加する受刑者の背景には、どのような傾向がありますか。</p><p>毛利：ざっくりいうと、共通しているのは、自分の声を十分に聞いてもらえなかったということです。</p><p>「聞いてもらえなさ」の度合いは人それぞれで、虐待の環境にあった人もいれば、一見すると中流家庭だけれども親からの期待や抑圧があって弱音を吐けない人もいます。被差別部落で育ち、社会の中で自分の痛みを声に出す経験が乏しかった人もいました。</p><p>またTC希望者に対して2015年までに行ったPTSDのスクリーニング検査（※）では、36.4パーセントの人にPTSDの可能性が見られました。多くの人が、何らかの心理的な傷を抱えたまま生きてきたといえます（2023年までのまとめでは42.6パーセント）。</p><div id="tnf-text-notes-block_1df0864146426384759c57f203e41564" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※PTSDの可能性があるかどうかを簡易的に調べる質問テスト</div><p>――受刑者は加害者でありながら、多くは何らかの被害者でもあるということですね。</p><p>毛利：はい。こうした背景の話をすると、「同じ経験をしても犯罪をしない人もいる」という反応を受けることがあります。もちろん、その通りです。</p><p>ただ、受刑者には「運悪く誰にも出会えなかった」という面があるのだと思います。しんどい環境の中でも、話を聞いてくれる人や、声をかけてくれる人など、つながりを持てる誰かがいたかどうかで、人生が違ってくるところはあると思います。</p><p>――そうした受刑者が、刑務所で直面する困難にはどんなものがあるのでしょうか。</p><p>毛利：法律も変わりつつあり、待遇も変化してきていると期待しますが、基本的に刑務所は自由を奪われている場所です。全てを指示され、その通りに動いているだけで生活が成り立つため、「主体的に考えて構築する力」が奪われやすいともいえます。</p><p>私が勤めていた刑務所では、大きな声で怒鳴られたり、雑に扱われたりする中で、心を病んでいく人もいました。そうした状況下で、「自分は犯罪者だから仕方がない」と卑屈になっていく人もいます。</p><p>それから、刑務所の特殊で厳格なルールの中で生き延びるために、幼稚でネガティブな行動が引き出される場合もあります。ルールが厳しいからこそ、隠れて悪さをしたり、目先の楽しさを追い求めたり、徒党を組んで誰かをいじめたり……。そうした環境になじまざるを得ず、社会性が落ちていく側面もあると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00008-1024x542.jpg">同センターでTC希望者に行われた、遭遇した出来事の内容とPTSDスクリーニング検査（IES-R）の結果。IES-Rは25点以上だとPTSDの可能性があると判断される。希望者の多くが家族や学校での被害体験を有していた。資料提供：広島国際大学・羽山順子氏「第23回日本トラウマティック・ストレス学会発表資料」<h2 id="tnf-text-heading-block_d92d0a90bd6dff4dbec8726ff8a3d7c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">感情を言葉にし、対話する姿勢が関係性を変える</h2><p>――実際にTCを経験した受刑者には、どのような変化がありましたか。</p><p>毛利：社会的な問題解決スキルは比較的早く伸びます。多くの人が6カ月ほどで、衝動的に行動する前に立ち止まり、考えられるようになります。</p><p>一方で、トラウマに関する感情を言語化する力をつけるには時間を要しますが、トラウマ群（IES-R25点以上）でも1年半ほど継続すると改善が見られました。</p><p>例えば、以前は怒鳴ったり黙り込んだりしていた人が、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになる。衝突を避けて逃げるのではなく、話し合おうとする姿勢が生まれてくる。表情も次第にやわらかくなり、周囲との関係性が変わる。そうした中で、自己肯定感が回復していく様子が見て取れますね。</p><p>――再犯への影響については、どのような結果が出ていますか。</p><p>毛利：刑務所への再入率が低いという結果が出ています。TCの受講者148人と、年齢や罪種、再犯リスクなどをマッチング（※）させたTC非受講者148人の比較では、受講者の刑務所再入所率が9.5パーセント、非受講者が19.6パーセントと差がありました（統計的有意差あり、2018年の研究）。</p><p>より最近の調査では、あくまで単純比較になりますが、刑務所初入者の2年以内の再入率が6.2～7.8パーセント（令和6年度犯罪白書）なのに対し、6カ月以上にわたってTCに参加した人の再入率は2.4パーセントでした。</p><div id="tnf-text-notes-block_886300e0087b126201072ea932e17423" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「マッチング」とは、比べる前に「なるべく似た人同士」を選び直す方法。もともとの条件が違っていると結果も変わってしまうため、年齢やリスクの高さなどが同じくらいの人をそろえて、より公平に比較できるようにする</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00007-1024x573-1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a324acde4bfbbc9a6968626decda08fe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">主体的に選び、社会と調整する力が再犯を抑止する</h2><p>――これまでの活動を通して、犯罪をした人が更生するためには、どのようなことが必要だと考えていますか。</p><p>毛利：抽象的かもしれませんが「自分で考えて選択する力を育てること」だと思います。罪を犯した人の中には、人生のさまざまな場面で自ら取捨選択をすることが苦手な人も少なくない印象があります。</p><p>彼らは、「悪い存在」「足りない存在」として扱われ続け、間違っている点を正すように説教を受けがちです。そうした指示に従うことに慣れてしまうと、うまくいかなかったときに、自分で責任を引き受けることが難しくなってしまう。</p><p>だからこそ、人生がどう転んでも、自己否定に傾いたり、被害者意識を持ったりせず、自分の選択として責任を引き受けられるよう、自ら考え、選択できるようになることが重要だと思います。</p><p>――TCを経験し、社会に戻った人たちは、そうした力が身についているのでしょうか。</p><p>毛利：以前、TCを経て出所した人たちにインタビューをしたところ、再犯に至っていない人の多くが、「考える力」と「感情を表現する力」が身についたと答えていました。感情を表現できるようになるということは、自分と他者の折り合いがつけられるようになるということです。</p><p>感情を表現しないでいると、「我慢するか、思い通りにしようとするか、爆発するか」といった極端な反応に偏りやすくなります。しかし、「言葉にしてもよい」と思えるようになると、少しずつ折り合いをつける方向に向かっていけます。</p><p>その結果、不適切な手段に飛びつかず、立ち止まって、適切な我慢や調整をしながら生きていく力が身につく。それが再犯防止につながっているのだと考えています。</p><p>再犯を防ぐには、出所後の居場所や人とのつながりも大切です。ただ、居場所があっても、以前と同じ考え方や振る舞いのままではうまくいかない場面がある。そんなときに、「これは前と同じパターンだ」と気づき、どう考えるべきかを自分で問い直す力が必要なのだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00003-1024x753.jpg">自分の感情の扱い方を学ぶことが、他者との衝突や不適切な関わりを防ぐことにつながる<h2 id="tnf-text-heading-block_ce8b9f17631d24af79adcf16ddf2264f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被害者の代弁者ではなく、再犯を防ぐ立場としての支援</h2><p>――加害者の回復支援に関して、「被害者感情をどう考えるのか」という議論は根強いと感じます。実際に支援に関わる中で、罪を犯した人を罰しようとする社会の感情にどのように向き合ってきましたか。</p><p>毛利：厳罰を望む人が一定数いるのは仕方ないし、感情面では理解できる部分もあります。</p><p>ただ、罰によってしんどい思いをさせても再犯は減らない、ということは研究で明らかになっています。また、被害者の痛みを知るのは、タイミングや方法を間違えると逆効果になることもありえます。</p><p>私はそうした処罰感情や議論に向き合うよりも、データと実践に基づいて、再犯防止につながる実質的な支援を積み重ねることに集中してきました。</p><p>実際に回復プログラムに取り組む受刑者の姿を見て、犯罪に至った背景を知ることで、見方が変わる人もいます。そうした機会を積み重ねながら、「犯罪は処罰だけでは解決しない」という視点を持つ社会にしていきたいと思っています。</p><p>――では、被害者の視点とはどのように向き合ってきましたか。</p><p>毛利：被害者側の視点については難しさがあります。被害者が癒され、十分な支援を受けられる制度を整えていくことは重要です。一方で、それは加害者支援とは別の領域の課題だという認識を持っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>刑務所では、「歯を見せて笑うな」「被害者のことを考えろ」といった指導が行われることがあります。ただ、被害者の気持ちは本人にしか分からないものだと思います。勝手に第三者が被害者の感情を代弁するのも、それはそれで被害者への尊重を欠く行為だと思っています。</p><p>もちろん、加害者が自らの行為によって生じた被害に向き合う支援もしますし、向き合うべきだと思えばそう伝えます。しかし、支援に関わる人は被害者の代弁者ではないのと同時に、どちらかの味方でもありません。</p><p>私自身も被害者の方の話を聞くと、「被害者はこんなに辛い思いをしているのに……」と心が揺れる部分もあります。しかし、私たちは事件の当事者ではないから、冷静に支援に関わることができます。だからこそ、感情の切り分けをして、バランスを保ちたいと考えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00001.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_234ead78cdf0f3f5b9ae91415511edf2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">再犯を生まない社会をつくるために、一人一人ができること</h2><p>再犯を生まない社会をつくるために、私たち一人一人に何ができるのかについて、毛利さんに3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_15674ebabe8140f2512c3d373856b78e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「厳罰＝再犯防止」ではないことを知る</h2><p>犯罪をした人に対して、「罰を重くすれば問題は解決する」というイメージを持ちやすいが、罰を与えるだけでは再犯は減らないことが研究でも示されている。まずは、加害者の背景や回復支援の試みについて関心を持ち、正しい知識を得ることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c1a5bc5215842beb32af7658a722ee84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］身近ないじめや人権侵害を見逃さない</h2><p>加害者の多くは、虐待やいじめ、過度な期待、社会的な差別など、何らかの被害を経験してきた側面もある。いじめや人権侵害を目にしたときに声を上げ、被害に遭っている人の声を聞く。そうした小さな行動が、将来的な犯罪や孤立を防ぐきっかけになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_229502ac7995e642c7198287229858db" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］対話の場を身近につくり、コミュニケーションを深める</h2><p>犯罪に至る背景の1つには、感情をうまく言葉にできず、「我慢するか、爆発（犯行）するか」の極端な選択に傾きやすいことがある。互いの気持ちを言葉にして伝え合える対話の場を、身近なコミュニティーでつくり、コミュニケーションを深めていくことが、犯罪を抑止につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>犯罪者に対する罰しようという感情は、再犯防止につながらないばかりか、罪を犯した人を追い詰め、回復の機会から遠ざけた結果、さらなる犯罪を生み出しているのではないか。そんな問いを抱いた時に、映画『プリズン・サークル』と出合い、TCの取り組みをもっと知りたいと考え、毛利さんに取材を申し込みました。</p><p>取材の中で印象的だったのは、再犯を生まないために社会に必要なことを尋ねた際の、毛利さんの言葉です。</p><p>「社会全体で犯罪をした人への偏見をなくそうとすることは大切ですが、それ以上に、偏見を受けたときに孤立せずに対処することが重要です。『こんなことがあってね……』と気持ちを打ち明けられる場所があるだけでも、人はずいぶん違ってきます」</p><p>TCを修了した人たちは、現在もつながりを保ち続けているといいます。社会全体の偏見を一気になくそうと意気込むよりも、身近な誰かの声に耳を傾け、自分自身が気持ちを吐き出せる場になること。その積み重ねこそが、再犯を防ぐ力につながっていくのかもしれません。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_10dd878ae06a1e234274b80a5f7f2e4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_8642ccde7e3b6cda9ba79777325ec003" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">毛利真弓（もうり・まゆみ）</h3><p>同志社大学心理学部教授、公認心理師、臨床心理士。名古屋少年鑑別所法務技官兼法務教官、株式会社大林組／官民協働刑務所島根あさひ社会復帰促進センター社会復帰支援員を歴任。専門は非行・犯罪臨床心理学。回復共同体を用いた犯罪者の回復支援、性問題行動を起こした人の査定と処遇について実践と研究を行っている。著書に『刑務所に回復共同体をつくる』（青土社）、『性問題行動のある子どもへの対応－治療教育の現場から』（誠信書房）、『学校に尊重の対話の文化をつくる－修復的実践プレイブック』（翻訳、明石書店）など。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の環境・まちづくりに関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120545/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 24 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>私たちが暮らすまちや環境は、気候変動、環境汚染、インフラの老朽化、地方の過疎化といったさまざまな問題を抱えています。豊かな自然や安心できる暮らしを次世代に引き継ぐために、解決すべき課題は多岐にわたります。それぞれどのような現状があり、どのような解決策が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●環境汚染（海洋・大気・水質・土壌）</a></p><p><a href="#link2">●森林破壊</a></p><p><a href="#link3">●生物多様性の減少</a></p><p><a href="#link4">●地球温暖化・気候変動</a></p><p><a href="#link5">●インフラ老朽化</a></p><p><a href="#link6">●再生可能エネルギーの普及</a></p><p><a href="#link7">●過疎化</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">環境汚染（海洋・大気・水質・土壌）</h2><p>環境汚染とは、人間の活動により海洋、大気、水質、土壌などの自然環境が汚染されることです。産業の発展は豊かな暮らしをもたらした反面、排出される廃棄物や有害物質の蓄積により、地球規模での環境悪化が深刻な問題となっています。</p><p>海洋汚染については、毎年約800万トンのプラスチックごみや、分解されにくい化学物質「PFAS」が流入しており、また、海水の二酸化炭素吸収による「海洋酸性化」で、pH（水素イオン濃度指数）が約0.1低下しました。これによってサンゴや貝類が骨格をつくれず死滅すれば、生態系が崩壊し、食卓から魚が消える可能性があります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300003.jpg"><p>大気汚染では、微小粒子状物質であるPM2.5（大気中に浮遊している2.5マイクロメートル以下の小さな粒子）が深刻です。国内のPM2.5の環境基準は「1立方メートルあたり年平均15マイクログラム以下」ですが、現在も基準を超える地域があります。わずか10マイクログラムの濃度上昇でも循環器疾患等の死亡リスクが高まるため、警戒が必要です。</p><p>水質面では、公共用水域の環境基準達成率が99.1パーセントに達する一方、特定の地域で指針値を超えるPFASが検出されるなど、飲み水の安全性への影響が懸念されています。</p><p>土壌においても、工場の跡地などで有害物質が地下水を通じて広がり、農作物を介して体内に蓄積されるリスクがあります。</p><p>今後は資源を再利用する循環型社会への転換を進め、豊かな自然を次世代に引き継ぐための行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e977a079751a5cf3380a165ba9196f03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［環境汚染をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/104571/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">分解されないから、永遠に残る化学物質「PFAS」は、なにが怖い？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99723/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">持続可能な社会の担い手がつながり、育つ場。日本で初めて誕生した、武蔵野大学・サステナビリティ学科とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91843/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海の生物の命をおびやかす「海洋酸性化」。日本と世界の実態、いまできること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/43293/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">今さら聞けない海洋ごみ問題。私たちにできること（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">森林破壊</h2><p>森林破壊とは、過度な伐採や土地の開発、火災などで森林が失われ、森林が本来持っている働きが大きく損なわれてしまうことです。</p><p>世界的に森林減少が進むなか、日本の森林面積は約2,500万ヘクタールと、国土の約3分の2を占める規模を60年以上にわたって維持しています。この森林率は、フィンランド、スウェーデンに次いでOECD加盟国で3番目の高さを誇ります。</p><p>現在の日本における森林の課題は、面積の減少よりも、手入れが行き届かない「管理放棄」や資源の循環が滞っている点です。例えば里山では、人口減少などで人の働きかけが減る「アンダーユース（過少利用）」により、竹の侵入やナラ枯れといった問題が発生し、生物多様性に影響を与えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300006.jpg">カシノナガキクイムシ（カシナガ）が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯れる「ナラ枯れ」<p>森林の公益的な機能を保つためには、「伐（き）って、使って、植える」という資源の循環を確立し、伐採後に再び木を植える「再造林」を確実に行う仕組み作りが強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cc17cef57e02941d6d15cc51fcd5b26d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［森林破壊をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119025/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">どんぐり育成で土砂災害を防ぐ。ソマノベースが挑む命を守る森づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99422/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界では1分間で東京ドーム2つ分の森林が失われている？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">生物多様性の減少</h2><p>生物多様性とは、地球上のあらゆる生き物たちが互いにつながり合い、豊かな生態系を形成している状態のことです。私たちは食料や水の供給、気候の安定など、自然がもたらす多くの恩恵（生態系サービス）を受けて暮らしており、この絶妙なバランスは生存に欠かせない基盤となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300001.jpg"><p>しかし、人間の活動によって、この生命のネットワークがかつてない速度で損われています。地球上にいるとされる約3,000万種類の生き物のうち、4万8,646種が絶滅の危機に瀕しています。絶滅速度は過去の100倍から1,000倍ともいわれ「6度目の大量絶滅」と呼ばれる異常事態です。</p><p>日本でも環境省のレッドリスト（種の絶滅の危険度を客観的に評価してリストにまとめたもの）に3,700種以上が掲載され、絶滅危惧種が急速に増加しています。一度崩れてしまった生態系は、単に木を植えたり種を放したりするだけでは元に戻りません。</p><p>今後は損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」への転換が必要です。2030年までに陸と海の少なくとも30パーセントを保全する「30 by 30（サーティ・バイ・サーティ）」の実現に向け、自然と共生する未来を目指す行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_44a898ff2f4b96f48a140d4c5d90fc65" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［生物多様性の減少をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117068/ocean_pollution" target="_blank" rel="noreferrer noopener">水中清掃とサンゴ再生で海を守る。持続可能な海洋環境づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106910/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海草が二酸化炭素を減らす？　地球温暖化対策になるブルーカーボンって？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91870/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">将来カキが食べられなくなる？ 海洋酸性化の日本の現状と将来予測を研究者に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/65564" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海ごみ、地球温暖化、生物多様性。女子高生たちのアクション（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">地球温暖化・気候変動</h2><p>地球温暖化とは、人間の経済活動によって排出された温室効果ガスが大気中に増加し、地球全体の平均気温が上昇する現象です。特に化石燃料の大量消費が、本来熱を宇宙に逃がす自然のバランスを崩し、世界規模で異常気象や海面上昇といった「気候変動」を引き起こしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300004.jpg"><p>「気候変動」は世界各地で起こっており、2022年7月にはイギリスで40.3度まで気温が上昇し、国内最高気温を記録。2023年6月にはインドのベラーバルの降水量が平均比311パーセントとなるほど雨が降り、カナダでは約1,850万ヘクタールが消失する森林火災が発生するなど、さまざまな地域で極端な気象現象が頻発しています。</p><p>日本でも「温室効果ガスを2030年度までに2013年度比で46パーセント削減する」という高い目標を掲げ、対策を急いでいます。気温の上昇は、猛暑による熱中症の増加や農作物の品質低下、さらには大雨や台風の激甚化など、私たちの命や生活を脅かす被害をもたらしています。一度始まった温暖化を止めるのは容易ではありません。</p><p>今後は再生可能エネルギーへの転換を進める「脱炭素社会」への移行とともに、一人一人がエネルギーの使い方を見直し、未来のために行動を積み重ねることが強く求められています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_11eadb2254abb558d8e0b7ce05eafb26" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［地球温暖化・気候変動をテーマにした記事］</h2><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113324/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">新たな地球温暖化対策として注目のCO2回収技術「DAC」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/107895/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">気候変動でスキーやスノボができなくなる？ 「冬」と「雪」を守るために私たちができること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/76735/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">備えとイメージトレーニングが命を守る。気象予報士・増田雅昭さんに聞く豪雨対策（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/70105" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ストップ地球温暖化をカルチャーにして未来を守る（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">インフラ老朽化</h2><p>インフラとは、道路、橋、水道、電気など、私たちの生活や経済活動を支える土台となる公共施設のことです。インフラは、産業の発展を支え、人々の生活と安全を守るために欠かせない存在です。</p><p>しかし現在の日本では、高度経済成長期に一斉に作られた施設の老朽化が深刻な社会課題となっています。国土交通省の推計によれば、全国に約73万ある道路橋のうち、作られてから50年以上経過したものの割合は、2023年に約37パーセント。今後15年ほどで急増し、2040年には約75パーセントにまで上昇する見込みです。また、トンネルについても2023年には約25パーセントだったのが、2040年には約52パーセントまで上昇すると見込まれています。</p><p>これらを放置すれば、崩壊や重大な事故、災害時の被害拡大につながる恐れがあります。しかし、多くの地方公共団体では体制面・予算面に課題を抱えており、限られた資源で社会の安全を維持する新しい仕組み作りが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a0541385788837d5ca562acab66c56f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［インフラ老朽化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105011/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日立製作所が開発した浸水被害予測システム。自治体・民間との連携で減災を（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101625/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">インフラって何？ なぜ、インフラがないと国が豊かにならない？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101549/health_Disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">少子高齢化、人口減少で広がる地域医療の格差。航空救急が解決の一手に（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">再生可能エネルギーの普及</h2><p>再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など、自然界に常に存在し、繰り返し利用できるエネルギーのことです。発電時に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策の切り札として期待されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300005.jpg"><p>現在、世界では約6億7,500万人が電気を使えない環境に置かれており、誰もが安価でクリーンなエネルギーを利用できる社会の実現が求められています。日本でも2030年度の発電量に占める再エネ比率を36〜38パーセントに引き上げる目標を掲げており、2022年度の実績は約21.7パーセントまで拡大しました。</p><p>さらなる普及には高い発電コストや、天候による発電量の変動といった課題が残ります。また、発電に適した土地が偏っているため、送電網の整備や地域環境との調和も不可欠です。</p><p>今後は技術革新によるコスト低減に加え、消費者一人一人が環境に配慮した電力を選択できる仕組みを広げ、持続可能な社会を築くための行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_308f9e4915b5ec1f33679e2623d838ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［再生可能エネルギーの普及をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116146/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団助成金活用レポート：長崎海洋産業クラスター形成推進協議会（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109518/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地球温暖化に対してスポーツはなにができる？ Ｊリーグの気候アクション（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99166/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">電気代の2パーセントが発電所やNPOへの寄付に。ハチドリ電力の取り組み（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link7">過疎化</h2><p>過疎化とは、急激な人口減少と高齢化により、医療、交通、財政など生活基盤の維持が難しくなっている状態を指します。総務省の<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/001000617.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度版 過疎対策の現況」（外部リンク/PDF）</a>によると、全国の市町村の約51.5パーセント（885市町村）が過疎地域に指定されています。このエリアは国土の約6割を占める広大さにもかかわらず、居住人口は全体の約9.3パーセントに過ぎず、極端な人口偏在が発生しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300002.jpg">過疎化により消滅可能性都市に分類される自治体も増加<p>こうした地域では、採算悪化による路線の廃止が相次ぎ、移動手段の有無が生活の質を左右する「移動格差」が深刻化しています。実際に公共交通機関の撤退が進む地域では、免許を持たない高齢者らが通院や買い物などの手段を失う「交通難民（移動弱者）」が増加し問題となっています。</p><p>現在は、AIを活用し予約に応じて柔軟に運行するオンデマンド交通など、テクノロジーで移動の壁を取り払う試みも始まっています。誰もが自由に移動できる権利を守るため、地域の実情に即した持続可能な交通網の再構築が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d457908a5b3a7f45f1cb75dafe9e209c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［過疎化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120119" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東日本大震災から15年——「消滅可能性」の町を「希望の循環」へ。陸前高田を支える「関係人口」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101336/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">都市に人口が集中すると、なぜ安心・安全に暮らせない人が増える？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99814/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">移動格差解消と高齢者の外出機会を創出する、オンデマンド交通サービス「チョイソコ」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/40133" target="_blank" rel="noreferrer noopener">豊かな未来の鍵は地方の余白？「ポスト資本主義社会」を探る（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「海洋プラスチック問題について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">気象庁「日本の気候変動2025」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html#ABOUT" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「大気環境・自動車対策｜微小粒子状物質（PM2.5）に関する情報」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/press/press_02935.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「令和4年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/r6gaikyousokuhou-pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境局「令和6年度 東京都地下水概況調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/content/000227044.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省・（公財）日本環境協会「土壌汚染対策法のしくみ」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/campaign/forest/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「森林破壊の現状・原因・影響と私たちにできること」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/231013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">林野庁「森林資源の現況」について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">林野庁「ナラ枯れ被害」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/oecmsites/20230719.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「ecojin（エコジン）｜生物多様性とはなにか？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「【2025更新】レッドリストとは？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/press/107905.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「環境省レッドリスト2020の公表について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「30by30」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「地球温暖化対策計画（令和3年10月22日閣議決定）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省「インフラメンテナンス情報｜社会資本の老朽化の現状と将来」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/html/n2140000.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通白書2024「第4節社会資本の老朽化対策等」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく！再生可能エネルギー｜総論 再生可能エネルギーとは」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">経済産業省資源エネルギー庁「第6次エネルギー基本計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/content/000234564.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「2022年度（令和4年度）温室効果ガス排出・吸収量について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/001000617.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省 地域力創造グループ過疎対策室「令和5年度版過疎対策の現況（概要版）」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「72時間」の壁を越えろ――横須賀市消防局が挑む“命をつなぐ重機救助”の最前線</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120562/disaster</link>
      <pubDate>Thu, 19 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>横須賀市では、消防局と消防団がより一体となった災害救助活動を行うため重機運用に特化した「土砂災害機動部隊」を発足</li><li>発災時の役割を消防局と消防団で明確に分けることで、迅速な救助を可能にした</li><li>「公助」に頼るのではなく、自分の身を守る「自助」と隣近所で助け合う「共助」が、災害時には重要</li></ul><p></p><p>災害が起きたとき、人命救助のタイムリミットは「72時間」といわれています。</p><p>一刻も早く助けに向かいたいのに、救助隊の前に立ちはだかるのはがれきや寸断された道路。助けたいのに、たどり着けない。そんな状況が実際に起きています。</p><p>2011年の東日本大震災でも、道路復旧が進まず救助活動が遅れたことが大きな課題に。その経験を受け、国や自治体では災害時の救助活動に重機を活用する体制づくりが進められてきました。</p><p>しかし、2024年の能登半島地震では、重機を十分に活用するための人材や運用面の課題も指摘されています。人材や技術の不足、運用面の問題などが重なり、現場で力を発揮したのは専門スキルを持つボランティア「プロボノ」たちでした。</p><p>もし自分の住むまちで同じことが起きたら……。そんな問いに向き合い、いち早く対策を進めているのが横須賀市です。2023年に消防局内に、2024年には消防団にも「土砂災害機動部隊（LTF）」を発足させました。全国でも珍しい2つの専門部隊が重機を活用し、合同訓練を重ねながら災害への備えを強化しています。</p><p>災害は決して“他人ごと”ではありません。本記事では、横須賀市消防局警防課長の福本亨（ふくもと・とおる）さんと総務課長の小山幸男（こやま・ゆきお）さんに、LTF発足の背景や訓練の様子、そして私たち一人ひとりにできる備えについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_1.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_735d01da34924fcd28965388e455e4ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2つの専門部隊が連携することによって、迅速な救助が可能になる</h2><p>――横須賀市では2つの土砂災害機動部隊が発足されていますが、そもそものきっかけは何だったのでしょうか？</p><p>福本さん（以下、敬称略）：横須賀市が位置する三浦半島は狭い道路や急な斜面が多く、大雨の際には土砂災害が起こりやすい地域として以前から課題となっていました。そのため、以前より重機を用意しておく必要があるのではないかと考えていたんです。</p><p>そんな矢先、隣にある逗子市で斜面の崩落が起き、高校生の方が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。そういった災害が起きたときに、自分たちの手元に重機を用意しておけば迅速に救助に向かえると改めて痛感したんです。</p><p>「早めに用意しなければいけない」、そう考えていたところ、横須賀市消防団で団長をされている方が、建設業を営んでいることもあって2台の重機を寄贈していただくことになりました。</p><p>しかし、操縦できる人材なんて当然いません。どの部隊に重機の運用を任せればよいのかも判断がつきませんでした。土砂災害機動部隊となる下地がなかったんです。</p><p>そこで予算を確保するために、重機を操縦する訓練ができる場所に最も近い、浦賀の消防隊に土砂災害機動部隊を兼務させることにしたのが始まりです。</p><p>――消防局LTFと消防団LTFとでは、どのように役割分担されているのでしょうか？</p><p>福本：土砂災害が起こったら、まずは周辺の道路を整備しなければいけません。その対応は、高度な技術を持つ建設業の団長率いる消防団LTFにお願いをして、私たち救助部隊が進入できる経路をつくってもらいます。そこから消防局LTFが現場へと入っていき、人命救助にあたります。</p><p>――消防局と消防団が密に連携されているのですね。</p><p>福本：それが大きな特徴と感じています。幸いなことに、まだ土砂災害機動部隊の出動を要するような災害は発生しておりませんので、現場での実感はないんですが、それでも訓練を通じて消防局と消防団の距離が縮まっているように感じます。</p><p>土砂災害機動部隊を発足したとはいえ、消防局には重機が2台しかない。それでは災害規模によっては対応しきれないですし、これまでは神奈川県内に応援要請をかけるしかなかった。</p><p>しかし、これからは消防団と協力し合えるので、より迅速な対応が可能に。また、団長をはじめ、消防団LTFには重機の扱いを専門とする人がたくさんいます。ですので、訓練の際に専門的な操作を教わることができ、局員のスキルアップが図れています。</p><p>これから先、災害が起こったとしても上手く連携できると感じていますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_2.jpg">横須賀市消防局・警防課長の福本さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_9a3bc8481761ede8f7a7a34433ac147c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">現場で活動する若い隊員たちのリアルな声を反映</h2><p>――重機を扱う訓練はどのように行われているのでしょうか？</p><p>福本：個々が技術向上を図るための訓練をしているほか、実際の災害現場を再現した環境下で2つの部隊が連携する総合的な訓練も行っています。</p><p>――消防局LTFに所属する隊員さんの声も反映されているのでしょうか？</p><p>福本：もちろんです。隊員たちの生の声を隊長が吸い上げて、現場に反映しています。もっとリアルな環境で訓練を積みたいという声があれば、建築現場などから残土やがれきをもらってきて被災地の状況を再現したり、グラウンドを掘り下げて泥濘地（水分を含む土砂）をつくったりして、訓練しています。</p><p>そもそも私たちには重機に関する知見がなかったものですから、さまざまなところからご教示いただきながら経験と知識を積み上げている段階です。その過程において、実際に現場で活動する隊員たちの声は非常に重要だと考えています。</p><p>しかし、若手の隊員たちが声を上げることは容易ではありません。だからこそ、隊長がしっかり耳を傾ける姿勢が重要だと思います。その点、局内では上下の信頼関係はできていますし、ざっくばらんに話せる関係を築いています。</p><p>――横須賀市の反応はいかがですか？</p><p>福本：議会の方々は、私たちの活動に理解を示し、応援してくださっています。昨今、日本のあらゆる場所で災害が発生していることもあり、皆さん災害対策への意識が高い。</p><p>ですから、土砂災害機動部隊にかける予算についても理解してくださっていて、「これで安心できる」と言っていただけることが多いですね。</p><p>小山さん（以下、敬称略）：2025年に消防団LTFと合同訓練を行ったのですが、かなりの人数の議員さんも出席してくれました。間近で訓練を目にしたことが、より深い理解につながっているのかもしれません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_4.jpg">横須賀市消防局・総務課長の小山さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_699b68b0068f06d67dc6badd7e5756c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">大切なのは「自助・共助・公助」という考え方</h2><p>――一般市民の方々への周知活動は力を入れているのでしょうか？</p><p>福本：そうですね。おかげさまで大きな災害が発生していないこともあり、市民の方々が重機のメリットを実感する機会がないのが現状です。だから、例えば消防パレードなどを行う際には重機も加えて、広く地域にアピールすることにも取り組んでいきたいと考えています。</p><p>小山：今後は一般公開を積極的に行っていきたいと。小学生を対象にしたイベントなどで重機を披露していけたらいいな、と考えています。</p><p>福本：さらにSNSでの発信も強化し、広く知っていただく機会をつくっていくつもりです。</p><p>――改めて、各自治体に重機を整備する重要性をどのように考えていらっしゃいますか。</p><p>福本：先ほども申し上げたように、横須賀市の地形的な特性を考えますと、土砂災害が発生したときに重機は必要だろうと考えていたんです。人手による作業よりも重機を使ったほうが、多くの命を救える可能性が高まりますから。それは他の自治体にも通ずることかもしれません。</p><p>また、横須賀市は狭くて急峻な地形が多いこともあり、小型重機も採用しています。そんなふうに地形に合わせて、臨機応変に整備しておくことは重要かもしれません。</p><p>――最後に、私たち一人一人が自分の身を守るために大切な考え方を聞かせてください。</p><p>福本：「自助・共助・公助」という言葉があります。発災時、消防のような「公助」はどうしても発動させるのに時間がかかってしまう。だからこそ、まずは自分で自分の身を守る「自助」、そして隣近所で助け合う「共助」が大切ではないかと。</p><p>日頃からそれを意識してもらいながら、例えば津波が発生したときにはどこへ逃げればいいのか、家族がバラバラになったら連絡手段はどうするのか、食料はどのように備蓄しておくのか、地域の皆さんにも危機感を持って考えていただけると、より多くの方の命を守ることができると考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_6.jpg">YOKOSUKA消防パレードの様子。画像提供：横須賀市観光情報<h2 id="tnf-text-heading-block_7d9533695dd6bc2e673b365cf0cc5d9c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害発生時に1つでも多くの命を守るために、私たち一人一人にできること</h2><p>発災時、被害を最小限に抑えるために、私たち一人一人に何ができるのか。福本さん、小山さんに教えていただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e5b06f64127a75812d202d9670e6894f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自分の身は自分で守る</h2><p>発災時、まずは自分の身を自分で守れるようにしておくことが大切。そのためにも事前の防災シミュレーションをしておくとともに、それを家族や身近な人に共有しておく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6d76e1988883fe6f42f8046558ee0d14" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］地域で助け合う精神を持つ</h2><p>長く続く避難生活のなかでは、周囲の人と連携し助け合う精神が大切。足りないものを補い合い、ともに命をつないでいくことで、より多くの人が救われる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_324ebed1919ea3eccdc2775732797414" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］普段から災害に備えて準備をしておく</h2><p>災害が起こったら少しでも冷静になれるよう、避難の流れ、連絡手段の確保、備蓄の用意などは日頃から心がけておくこと</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>全国でも類を見ない土砂災害機動部隊を発足させた横須賀市消防局は、人命救助に対してとても熱く、真摯な思いを抱いていることが分かりました。</p><p>しかし、発災時、彼らが助けに来てくれることを待つだけではいけません。大事なのは一人一人が、「自分の身を守る」という意識を持つこと。改めて、そんな基本的なことを思い出させてくれる取材となりました。</p><p>撮影；十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の医療・健康・福祉に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120336/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 17 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>誰もが健やかに、そして自分らしく最期まで生きるためには、どのような壁があり、私たちは何を変えていくべきなのでしょうか。まずは、日本の医療や福祉が直面している社会課題について知るところから始めましょう。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●社会保障費（社会保障給付費）の増大・医療制度の維持</a></p><p><a href="#link2">●労働力不足</a></p><p><a href="#link3">●終末期医療</a></p><p><a href="#link4">●独居高齢者の増加</a></p><p><a href="#link5">●子育ての孤立（孤育て）</a></p><p><a href="#link6">●ひとり親世帯の貧困</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">社会保障費（社会保障給付費）の増大・医療制度の維持</h2><p>社会保障制度とは、病気や高齢などの不安をみんなで支え合う仕組みです。日本では社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生の4つの柱を税金や保険料で支え、人々の生活を守っています。</p><p>しかし、少子高齢化で現役世代が減り、制度の維持が難しくなってきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200006.jpg"><p>内閣府の<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a>によると、2024年の高齢化率は29.3パーセントに達しています。財務省の広報誌<a href="https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202404/index.html#page=7" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ファイナンス 2024年4月号」（外部リンク）</a>でも、同年の社会保障関係費は約37.7兆円と過去最高を更新したと伝えています。</p><p>医療現場の人手不足も深刻で、将来十分なサポートを受けられない可能性もあり、今後は効率的な予算利用や予防医療を進め、若い世代も自分ごととして支え合いの形を考える姿勢が大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_5fef57228ff9c89b3892b1b1795d30f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［社会保障費の増大・医療制度の維持をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/111255/eighteen_survey" target="_blank" rel="noreferrer noopener">年金より貯蓄？　若者の老後不安と私たちにできること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102887/health_disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">治療費が払えない……。そんなときに頼れる医療ソーシャルワーカーという仕事（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101549/health_Disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">少子高齢化、人口減少で広がる地域医療の格差。航空救急が解決の一手に（別タブで開く）</a><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89142/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大——間近に迫る「2025年問題」とは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">労働力不足</h2><p>労働人不足とは、仕事を担う人手が足りず、社会の支えが不十分になる状態です。</p><p>日本を支える生産年齢人口（15歳から64歳の人口）は、1995年をピークに減り続けています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200003.jpg">生産年齢人口（15〜64歳）の推移。1995年をピークに減少している。引用：<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「令和7年版　高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a><p>また、2025年の<a href="https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「中小企業白書」（外部リンク）</a>によると、中小企業の約52.7パーセントで後継者が決まっておらず、優れた技術やサービスが途絶える危機に直面しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200004.jpg"><p>その他、高齢化に伴う介護ニーズの増大に反して職員は不足しており、医療・福祉の提供体制における人材確保は今すぐに考えるべき課題です。特に地方においては、若年層の流出や採用市場の競争激化により、その傾向は顕著になっています。</p><p>今後はロボットの活用や働き方の工夫に加え、地域全体で支え合う新しい仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_22b0ff6a18cb6f521ea9c6c1481c916d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［労働力不足をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112023/social_issues" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中小企業の廃業は加速。後継者不在を解消する「第三者承継」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110713/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">600万人もの“働きたくても働けない”就労困難な人を支援する、新しい「就労支援」のかたちとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/108896/health_disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">病院に搬送ロボットを導入。人手不足を乗り超えるトヨタ式「カイゼン」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/40204" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本で1,500万人以上が抱える「働きづらさ」。今求められる就労支援の在り方を考える（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">終末期医療</h2><p>終末期医療とは、病気の回復が難しくなった際に痛みや苦しみを和らげ、最期まで穏やかに過ごせるように支える医療です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200002.jpg"><p>かつては自宅で家族に囲まれて亡くなるのが一般的でしたが、現在は多くの方が病院で最期を迎えています。</p><p>約59パーセントの人が自宅での最期を希望しているのに対し、実際に自宅で最期を迎えられる人は17パーセント、病院が67.4パーセントというのが現状です。背景には、家族による介護の負担や一人暮らしの増加といった課題があります。</p><p>今後は病院や自宅以外の選択肢として、安心して過ごせるホームホスピスの拡充が必要です。本人の意思を尊重し、地域全体で寄り添う仕組みを整える姿勢が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a26993ac0d15d474a47d49ceeba07381" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［終末期医療をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115479/nursing_care" target="_blank" rel="noreferrer noopener">終末期のためのもう一つの家「ホームホスピス」ってなに？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/65916" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どものための終末期ケアがなぜ必要か？　作家・石井光太さんに問う（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">独居高齢者の増加</h2><p>独居高齢者とは、一人で暮らす65歳以上の人のことです。</p><p>近年、高齢者の増加に加え、未婚率の上昇といった家族形態の変化によって、独居高齢者が急増しています。内閣府の<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a>によると、2020年には約672万人が独居高齢者となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200005.jpg"><p>一人での生活は、認知症の進行に気づきにくかったり、詐欺や押し入りなどの犯罪に狙われやすかったりと、多くのリスクを抱えています。社会からの孤立が原因で生活意欲が低下し、孤独死を招く事態も深刻な問題です。</p><p>今後は、高齢者向けのシェアハウスや多世代型住宅など、人とのつながりを感じられる住まいの形を広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b9c0d769643aeb69af3c25497478666c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［独居高齢者をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118772/inclusive-society" target="_blank" rel="noreferrer noopener">高齢者と若者が共生。新しい「多世代型コミュニティー住宅」のかたち（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114172/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2040年には高齢者の7人に1人が認知症に。ご本人の声に耳を傾け、共に生きる社会づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103052/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">増加するシングル高齢者。いま注目される「高齢者シェアハウス」とは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">子育ての孤立（孤育て）</h2><p>子育ての孤立（孤育て）とは、周囲の助けが得られず、主に母親親が一人で育児の不安や負担を抱え込む状態です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200007.jpg"><p>育児をする人の約4割が育児において孤立感を感じたと回答しており、子育ては非常に孤独に陥りやすい環境といえます。</p><p>背景には核家族が進み、身近な親族に頼るのが難しいということ、パートナーの育児休暇の取得が進まない状況や、地域とのつながりが薄くなったなどが挙げられます。</p><p>今後は多世代が交流できる場を整え、地域全体で親を支える仕組みを作っていく姿勢が大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9f7c6671eaf9ecc3f47099aa3a347c58" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［子育ての孤立（孤育て）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty" target="_blank" rel="noreferrer noopener">負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102749/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子持ち様」という言葉はなぜ生まれた？ withworkの運営者に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101297/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">医療施設や子育て情報の不足——離島の子育て支援から探る「孤育て」解決の糸口（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">ひとり親世帯の貧困</h2><p>ひとり親世帯の貧困とは、父か母のどちらかとその子どもが暮らす世帯において、生活に必要なお金が十分にない状態を指します。</p><p>子ども家庭庁の<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9bde9c85/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、日本国民全体の相対的貧困率が15.4パーセントなのに対して、ひとり親世帯は44.5パーセント。</p><p>その背景には、非正規雇用で働く親が多く収入が不安定になりやすい点や、子育てとの両立により働く時間が限られるといった複数の壁があります。</p><p>今後は行政による支援の充実や養育費を確実に受け取れる仕組みを整え、親子が安心して将来を描ける環境作りが大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_16a233f67022b115ea66fb3d20349909" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ひとり親世帯の貧困をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty" target="_blank" rel="noreferrer noopener">負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭の貧困率は約5割。子育てに活用できる国や自治体の支援制度（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/95337/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">母子家庭の7割が直面する「養育費を払わない」問題。泣き寝入りしない「本人訴訟」という手段（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/28194" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本の子どもの7人に1人が貧困。「第三の居場所」がなぜ必要なのか？（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21479.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「社会保障とは何か」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/07pdf_index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 「令和7年版　高齢社会白書（全文）（PDF版）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202404/index.html#page=1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">財務省「ファイナンス 2024年4月号 No.701」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中小企業庁「中小企業白書 2025年版」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210329-55543.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「人生の最期の迎え方に関する全国調査（2021年）」（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/11/new_inf_20191202_07.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「子育て実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9bde9c85/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <title>一般社団法人を設立するまでの流れは？ 必要な書類や費用も解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120055</link>
      <pubDate>Fri, 13 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>一般社団法人は、法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可は必要ない</li><li>定款には、「絶対的記載事項」という7つの項目を記載しなければ設立できない</li><li>設立に必要な書類は、定款認証時と設立登記申請で異なる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>一般社団法人の設立には、社員の確保や必要書類の作成など、いくつかのステップを踏む必要がある。株式会社と比較すると簡単に設立することができるが、専門的な知識を要する部分もある。</p><p>本記事では、一般社団法人を設立するまでの流れや、設立に必要な書類などについて解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_89d821ccc65e32152d125e4ccc1ef293" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. 一般社団法人設立のメリット</h2><p>一般社団法人を設立するメリットは、次の通りである。</p>設立手続きが簡単 → 法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可が不要小規模での運営ができる → 最低2名の社員で設立できる設立にかかる費用が比較的安い → 資本金が不要で、設立費用も株式会社などと比べて安い事業内容に制限がない → NPO法人と比べ、幅広い事業活動を行える行政等による監督が少ない → 行政からの監督や報告義務が少ないため、運営の自由度が高い社会的信用が高まる → 法人格を持つことで社会的な信用力が高まる税制上の優遇措置が受けられる → 非営利型の場合、収益事業以外の所得には課税されない一般社団法人だけに認められる基金制度がある → 寄付が集めやすくなる<p>将来的な事業の拡大や円滑な社会活動を進める上で、一般社団法人設立のメリットを十分に感じられるだろう。 </p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_5a6f57aaf85db76b9f6e210f61e40d89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. 一般社団法人を設立するまでの8ステップ</h2><p>一般社団法人を設立するまでの流れを8つのステップに分けて紹介しよう。</p><p>STEP1：2名以上の社員を確保するSTEP2：定款を作成するSTEP3：公証役場で定款認証を受けるSTEP4：設立に必要な書類を作成するSTEP5：法務局に設立登記を申請するSTEP6：登記事項証明書や法人の印鑑証明書を取得するSTEP7：役所で法人設立届出の手続きを行うSTEP8：設立後に必要な手続きを行う</p><h3 id="tnf-text-heading-block_990feada1b41ba9ab0e0f6c149f7bc9e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. STEP1：2名以上の社員を確保する</h3><p>一般社団法人を設立するためには、2名以上の社員と1名以上の理事が必要だが、社員と理事は同一人物でも構わない。ただし、設立時に理事会を設置する場合は、理事3名以上と監事1名以上、つまり最低4名が必要となる。</p><p>理事会を設けるかどうかは任意である。一般社団法人では、重要事項の決定は社員総会で決める必要があるが、理事会を設置すれば、社員総会を開かなくても意思決定が行えるため迅速な対応が可能となる。</p><p>ここでいう「社員」は、一般的な会社の社員とは異なり、株式会社にとっての株主に近い立ち位置で、社員総会で議決権を持つ人のことを指す。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_93f3a0733d6b08327cf1e031684e8384" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2. STEP2：定款を作成する</h3><p>定款とは、「法人の憲法」とも呼ばれ、一般社団法人の根本原則となるものである。一般社団法人の定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」として、次の7項目がある。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_1.jpeg"><p>絶対的記載事項は1つでも欠けていると、定款が無効になる。また絶対的記載事項がなければ法人設立が認められない。</p><p>定款の記載事項には、このほかに「相対的記載事項」「任意的記載事項」がある。</p><p>相対的記載事項は、記載しなくても定款自体の効力は有効だが、定款に記載しない限り、その事項の法的効力が認められない事項のこと。例えば、理事会の設置、監事の設置、残余財産の帰属先などがこれにあたる。</p><p> 任意的記載事項は、公序良俗や法令に反しない限り、法人が自由に定めることができる事項。定款に記載しなくても有効だが、あえて記載することで内容の変更に定款変更の手続き（社員総会の特別決議）が必要になり、ルールの法的根拠を強める効果がある。例えば、役員の数、会員の種別、事業内容の詳細などがこれにあたる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0c21da5093c6bab15d4005800db23239" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. STEP3：公証役場で定款認証を受ける</h3><p>定款認証とは、法的な手続きに則って定款が作成されたことを公証人が証明すること。</p><p>作成した定款は、公証役場（※）で認証を受ける必要があり、認証を受けなければ法務局で設立登記をする際に受理されない。定款認証を受ける公証役場は、主たる事務所を設置する都道府県内にある公証役場であれば、どこでも構わない。</p><div id="tnf-text-notes-block_9631cb65e0de07012aae701b5591b73f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「公証役場」とは、法務局が管轄する機関で、公証人が公正証書の作成や私文書の認証などを行っている。参考：<a href="https://www.koshonin.gr.jp/list" target="_blank" rel="noopener">日本公証連合会「公証役場一覧」（外部リンク）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_c21c9cb3dcc64d8655846678dc859c5a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. STEP4：設立に必要な書類を作成する</h3><p>定款の認証を受けた後は、法務局で設立登記申請を行う必要がある。</p><p>必要な書類は定款認証時と設立登記申請で異なる。具体的な書類内容については、次の章「一般社団法人の設立に必要な書類」で紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_32eca9ca449a8f001eb8b0147b3216fc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5. STEP5：法務局に設立登記を申請する</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>設立登記の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行う。</p><p>一般社団法人の設立日は、申請が承認された日ではなく、法務局に設立登記の申請をした日となり、この日から活動を行うことが可能だ。</p><p>登記が完了するまでには1〜2週間ほどかかる。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_2.jpeg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_8db178b524f7497a1f33f0afee1f51d0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-6. STEP6：登記事項証明書や印鑑証明書を取得する</h3><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や法人の印鑑証明書は、法人用の銀行口座開設や税務署などへの各種届出の際に必要となる。</p><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や法人の印鑑証明書を取得するには、法人印鑑カードが必要である。法人印鑑カードは、登記完了後に法務局で発行できる。発行の際には、法人の実印と代表者の身分証明書等が必要となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_5098530163b0f3bef162d40b894c8706" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-7. STEP7：各役所で法人の設立届出を行う</h3><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や印鑑証明書を取得後は、次の役所で法人設立届出の手続きを行う。</p>税務署都道府県税事務所市区町村役場<p>特に、税務署への届出は期限内（設立の日以後2カ月を経過する日まで）に行わなければ、税金面で不利になる可能性がある。</p><p>また、年金事務所やハローワーク、労働基準監督署でも届出の手続きが必要なケースもある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bcb88c2feab3a6d8f8d9bacd95edd82a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-8. STEP8：法人設立後に必要な手続き</h2><p>一般社団法人の設立登記が完了し、各役所への届け出を終えたら、事業を開始するために必要な手続きを行う。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_02215c81e35c250d89a6b93ad93a80d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. 一般社団法人の設立に必要な書類</h2><p>一般社団法人を設立するためには、定款認証と設立登記申請のために書類を作成しなければいけない。この章では、それぞれ必要な書類を解説する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b57489f9dccca4570b356e217986d0a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 定款認証</h3><p>定款認証の方法には、紙定款と電子定款の2種類があり、若干必要書類が異なる。</p>定款（3部：原本、謄本、保存用）設立時社員全員分の印鑑証明書（発行後3カ月以内）設立時社員全員の実印（電子定款の場合は電子署名）実質的支配者（※）となるべき者の申告書身分証明書（運転免許証など）委任状（代理人が定款認証を行う場合） ・実印（当日、原本還付等の手続きで使用）<div id="tnf-text-notes-block_4a18d688ace7aeb741cc3a3596808f41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※実質的支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配する権限を持つ個人（一般社団法人の場合は通常、設立時社員など）を指す</div><p>定款は、会社保存用・公証役場用・法務局用の3部用意する。</p><p>管轄となる公証役場によって指定の書類が異なる可能性があるため、あらかじめホームページなどで事前に確認しておくとスムーズに進められるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_90eaa18d44ac2ed92719f8deeb7c362d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2. 設立登記申請</h3><p>登記申請に必要な書類は、次の通りである。</p>定款委任状設立登記申請書登記事項を記録したCD-R（またはオンライン申請・QRコード付き書面申請も可）」設立時代表理事・理事・監事の就任承諾書印鑑証明書本人確認書類設立時代表理事選定書設立時社員の決議書印鑑届書<p>法務局のウェブサイト<a href="https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor5-1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「商業・法人登記の申請書様式」（外部リンク）</a>で申請書様式をダウンロードできるので、ぜひ活用しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d68a38141023675c9e15312eabdcc54e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4. 一般社団法人の設立にかかる費用</h2><p>一般社団法人の設立には、定款認証や登記申請などの手続きに伴い、次の費用がかかる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_4.jpg"><p>そのほか、印鑑証明書交付の手数料や登記簿謄本や印鑑証明証の取得費用がかかり、自分で手続きをした場合は15万円ほど必要になる、</p><p>専門的な知識が必要な場面も多いため、設立手続きの代行を司法書士や行政書士に依頼する場合もある。その場合は、5万円から10万円程度かかる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5d4ad44aa9c335214c3b9000c78c0ec3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>一般社団法人の設立には、2名以上の社員の確保、定款の作成、公証役場での定款認証、法務局への設立登記申請などの手続きが必要。定款には、目的、名称、主たる事務所の所在地などの絶対的記載事項を記載しなければならず、1つでも欠けると定款は無効となる。</p><p>また、定款認証には、定款、設立時社員全員分の印鑑証明書、実質的支配者となるべき者の申請書などが必要だ。</p><p>一般社団法人を設立する費用としては、定款認証手数料（5万円）、登録免許税（6万円）などがかかる。司法書士や行政書士などにも5万円から10万円で設立手続きの代行を依頼できるから、スムーズに設立を望むなら活用をおすすめする。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#02" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001406605.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「公証人による定款認証について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「登記手数料について」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119787</guid>
      <title>日本の子ども・若者に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119787/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 12 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>日本で暮らす子どもや、学校や保育園で彼らと向き合う先生・保育士は日々、さまざまな問題に直面しています。それぞれどのような課題があるのか、問題を解決するにはどうすればよいのか。</p><p>まずは日本のこども・教育にまつわる社会課題について知るところから始めましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>目次</p><p><a href="#link1">●教育格差・体験格差</a></p><p><a href="#link2">●いじめ・不登校・自殺</a></p><p><a href="#link3">●児童虐待</a></p><p><a href="#link4">●教育現場の疲弊</a></p><p><a href="#link5">●インクルーシブ教育</a></p><p><a href="#link6">●ヤングケアラー</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 class="wp-block-heading" id="link1">教育格差・体験格差</h2><p>「教育格差・体験格差」とは、貧困や家庭環境、言語背景などが重なって起こる複合的な社会課題で、子ども・若者の将来の進路や成長に影響を与えています。</p><p>格差の原因として主に挙げられるのは、家庭の経済的要因。内閣府が2021年に調査した<a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230403094438/www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年子供の生活状況調査の分析報告書」（外部リンク）</a>によると、世帯の収入が低いほど、学校がある日に授業以外の勉強を「全くしない」と回答した割合や、クラスの中での成績について「下のほう」と回答した割合、学校の授業について「分からない」と回答した割合が高いということが分かっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100006.jpg"><p>また、日本語指導が必要な外国ルーツの子どもは、日本語や学校文化に不慣れなまま通常学級に入ると、授業理解や友人関係で不利になりやすく、そうした支援の薄さも問題視されています。</p><p>このような格差は各々の努力だけでは解消しにくく、含む公的・民間の連携施策が不可欠とされています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_92f54e60061953aa1532b2c68e60e29a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［教育格差・体験格差をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109823/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">高校生の11人に1人が「通信制高校」へ進学。多様化するカリキュラムとニーズの高まりが、その背景に？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109406/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ地方に住む女性は難関大学を目指さないことが多いのか？　誰もが自由に進路を選択できる社会にするには？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/92359/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ世界から貧困（ひんこん）はなくならない？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭の貧困率は約5割。子育てに活用できる国や自治体の支援制度（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">いじめ・不登校・自殺</h2><p>いじめや不登校は、子どもたちの学校生活において深刻な問題となっており、精神的に追い詰められた結果、最悪の場合、自殺という選択をしてしまうことも。</p><p>「いじめ防止対策推進法（※）」施行後も、令和6年度の文部科学省の調査では、小・中学校におけるいじめの認知件数は約75万件、不登校の生徒数は約35万人と、いずれも過去最多となりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_c47409b85caefa451438d53c317c10da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※いじめから子どもの尊厳と心身を守るため、国や地方自治体の責務を定め、防止・早期発見・対処の対策を総合的に推進することを目的とした法律。2013年に制定。参考：<a href="https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm" target="_blank" rel="noopener">文部科学省「いじめ防止対策推進法（平成25年法律第71号）」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100007.jpg">2024年の小・中・高校生のいじめ認知件数は76万9,022件と過去最多に。データ引用元：<a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」（外部リンク/PDF）</a><p>さらに、最近の小・中・高校生の年間自殺者数は500人を超えており、年々増加し続けています。こうした状況が続くのは、子どもが相談しにくく、周囲がその変化に気づきにくい環境が一因とされています。また、深刻化する前に支援につなげる体制づくりも十分とはいえません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100004.jpg"><p>これから求められるのは、子どもが安心して気持ちを打ち明けられる場を広げること。学校や家庭、地域が協力し、気づいた人がすぐに声をかけられる環境整備が重要といえるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b4bb63752ee0708d87245b44b107688a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［いじめ・不登校・自殺問題をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117041/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「苦しまないで済む不登校」の環境を社会全体でつくりあげる。第三の居場所づくりに大切なこととは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110864/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">発達障害傾向、不登校——困りごとを抱えた子どもたちの居場所づくり。必要なのは「自己理解」を促す支援（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114810/bully" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100285/suicide" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの言葉に深く耳を傾け、気持ちに寄り添う。子どもの自殺予防のために親ができること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/69071" target="_blank" rel="noreferrer noopener">深刻化する「SNSいじめ」から子どもたちを守るには？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">児童虐待</h2><p>「児童虐待」とは、親や親に代わる保護者、養育者、そのほか子どもに関わる大人が子どもの心身を傷つけ、健全な成長や発達を妨げる行為を指します。例えば、暴力をふるう、怒鳴る、食事を与えず放置する（ネグレクト）などが児童虐待にあたります。</p><p>全国の児童相談所への虐待相談件数は年々増加し、2023年度には過去最多の約22万件が報告されました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100005.jpg">2023年度の児童虐待相談対応件数は22万5,509件と過去最多に。データ引用元：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/5fbbaa2e/20250327_policies_jidougyakutai_32.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和５年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」（外部リンク/PDF）</a><p>その背景には家庭内だけの問題ではなく「貧困」や「孤立」といった社会的要因が深く関わっていると考えられています。また、家庭内の問題は表面化しづらく、子ども自身もなかなか助けを求めることができません。</p><p>そのような状況を改善するためには、身近な大人が子どもの小さな変化に気づき、必要に応じて専門機関へつなげることが重要。さらに、子どもが安心して相談できる環境づくりや、地域社会全体で子どもたちを見守り、支援する体制をつくることが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d10709b8b54cd070f3406eef5d3179f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［児童虐待をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114845/crime" target="_blank" rel="noreferrer noopener">虐待や性被害——つらい体験をした子どもは「優しい聞き取り」と「専門のケア」が必要。子どもの被害者支援に必要なこととは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/107329/social_isolation" target="_blank" rel="noreferrer noopener">居場所のない若者への居場所づくりに取り組む。目指すのは「トー横」と「行政」の間にある存在（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99465/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本初、虐待を学ぶ研究科が誕生。山梨県立大学大学院が「人間福祉学研究科」を設立した理由（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98154/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ親は子どもに虐待をしてしまうのか？　背景にあるのは貧困と孤立（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98934/social_business" target="_blank" rel="noreferrer noopener">音に敏感、頑張りすぎる。虐待サバイバーの働きづらさとは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">教育現場の疲弊</h2><p>「教育現場の疲弊」とは、学校の先生が過度な業務負担によって、心と体のゆとりを失ってしまう状態です。先生たちは授業の準備はもちろん、行事の計画や部活動の指導、保護者対応、事務作業など、多くの業務を担当しています。</p><p>その結果として残業が増え、長時間労働が日常化し、過重労働という深刻な問題を引き起こしています。文部科学省の調査では、1カ月に45時間以上の残業がある教師は20パーセントを超えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo01000071.jpg"><p>このような環境が続くと授業の質を保てなくなり、生徒一人一人に向き合う時間も減ってしまうでしょう。また、労働環境が悪いと教員不足や若い先生の離職につながり、学校運営自体が危うくなる可能性もあります。</p><p>今後は労働環境や待遇の改善とともに、業務の見直しや多様な人材の活用を進め、持続可能な教育現場を築いていくことが求められます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a7775a03ce8a914d09cbda2c193b19a2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［教育現場の疲弊をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114053/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">免許の有無にかかわらず、多様な人材を教室へ。Teach For Japanの挑戦（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/108301/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教師の4人に3人が自己負担の経験あり。教師の働き方を改善するには？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/87142/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">部活は子どもの大切な体験機会。学校に指導員を派遣する団体に聞く部活動の意義（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/72403" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教師の過重労働、教師不足と向き合う現役教師たち（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">インクルーシブ教育</h2><p>「インクルーシブ教育」とは、障害の有無や国籍、性的マイノリティー（※）などさまざまな違いを超えて、全ての子どもが同じ場で共に学ぶ環境を指します。幼い頃から多様な仲間と過ごすことで自分とは異なる個性や価値観を受け入れる心が育まれ、将来みんなで支え合い、誰もが活躍できる共生社会につながると期待されています。</p><div id="tnf-text-notes-block_2fe1f8dc3eea369e962b0a929105204d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「こころの性・からだの性・表現する性が一致している異性愛者」ではない人の総称。参考：<a href="https://jobrainbow.jp/magazine/whatissexualminority" target="_blank" rel="noopener">JobRainbow MAGAZINE「【「LGBTQ+」と違う？】セクシュアルマイノリティ・セクマイとは？【定義や種類まとめ】」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100001.jpg"><p>ですが、日本では実践事例が少なく、インクルーシブ教育がまだ十分に進んでいるとはいえません。その要因には、周囲や保護者の理解をはじめ、専門の支援員や教員研修の不足、バリアフリー環境の未整備といった学校施設の問題などが挙げられます。</p><p>誰もが安心して学べる環境を整え、一人一人に応じた柔軟な支援を充実させるべく、今後は、教育現場だけでなく、自治体、医療・福祉機関などとも連携し、社会全体で取り組む必要があるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_da14fc2a6a374f12f07ca7b8dfb343de" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［インクルーシブ教育をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103768/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教室から広がるインクルーシブ社会。パラリンピック教材開発者の一人、マセソン美季さんの想い（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98705/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">多様な子どもたちが共に学ぶ「インクルーシブ教育」は、いまなぜ必要か？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98734/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害者だけじゃない。子ども視点で考える「学校のバリアフリー」（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">ヤングケアラー</h2><p>「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うべき家事、介護、家族の世話などを日常的に行っている子ども・若者のことです。晩婚化、核家族化、高齢化といった社会背景から、家族のケアを担う子ども・若者が増加しており、厚生労働省と文部科学省の調査では、中高生のおよそ17人に1人がヤングケアラー状態にあるとされています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100002.jpg">子どもへの過度な負担は、学校生活や進路選択に深刻な影響を及ぼす可能性がある。引用：<a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「ヤングケアラーって、実はけっこう身近なのかも」（外部リンク/</a><a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">PDF</a>）<p>こうした子どもたちは、自分の時間や学習機会が制限され、進路選択や人間関係にも影響が出ることがあります。しかし、家庭内の問題として捉えられがちで、周囲の理解不足も相まって、その実態は表面化しにくい状況です。2022年の法改正により、ヤングケアラー支援が法律に明記され、自治体やNPOなどによる実態調査や相談体制の整備といった支援の取り組みは進みつつありますが、必要な支援が全ての子どもに行き届いているとはいえません。</p><p>今後、社会全体でヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援を行うとともに、子ども・若者たちが自分らしく生活できるよう、周囲の理解と協力体制を強化していくことが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_504991149023dba3c350a94bc54107e4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ヤングケアラーをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115835/young-carers" target="_blank" rel="noreferrer noopener">精神疾患の親を持つ子どもたちに本当に必要な支援とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114810/bully" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/young-carers/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">連載【家族を看る10代】（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230403094438/www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」（8ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」（8ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001464717.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省自殺対策推進室警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年</a><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001464717.pdf">中における自殺の状況」（16ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/5fbbaa2e/20250327_policies_jidougyakutai_32.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和5年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」（2ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20260303-mxt_kyoikujinzai01-000036300_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査【結果概要】」（4〜6ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「ヤングケアラーって、実はけっこう身近なのかも」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人の経費処理とは？ 削減の方法や安定的に運営するためのコツを解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119865/academy</link>
      <pubDate>Wed, 11 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人の経費の中でも「人件費」にかかる割合が多い</li><li>人件費を削減するためにはITツールの導入やフローの見直しなど業務の効率化が重要</li><li>安定した組織運営のためには、経費削減だけでなく資金調達にも力を入れることが大切</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人の経費は会社とは異なる？」「経費に関する課題は？」</p><p>このような疑問を持つ人もいるだろう。</p><p>NPO法人は会計の方法や情報公開の義務といった点で営利企業（株式会社等）と対応の仕方が異なる。また「人件費」に関わるコストが課題といえるため、ITツールを取り入れたり、業務フローを見直すなど業務の効率化も重要だ。</p><p>この記事では、NPO法人の経費について、営利企業と異なる点や、運営する上で抱えやすい問題と改善策について紹介する。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_accea8bdadaed264b67adcc6eb4c0f1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. NPO法人の経費とは</h2><p>NPO法人が発生する費用は大まかに「経常費用」と「経常外費用」の2種類に分けられる。これは「NPO法人会計基準」の分類に則ったものだ。</p><p>このうち「経常費用」がいわゆる経費と呼ばれるもので、営利企業とは異なるのは経費が事業費（事業を遂行するための費用）と管理費（事業を管理するために支出した費用）に分類される点だ。事業費と管理費はそれぞれ「人件費」と「その他経費」に分類される。</p><p>またNPO法人は、会計の透明性と信頼性を確保するため、活動計算書といった財務状況を開示する義務がある。所轄庁のサイトやNPO法人の事務所で誰でも閲覧できるのも大きな特徴だ。</p><p>「経常外費用」とは、NPO法人の事業活動以外で発生した臨時的な費用をいう。「固定資産売却損益」や「災害損失」などが該当する。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118435/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人の会計とは？ 会計基準や処理方法、勘定科目を具体的に解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_1bc8fb51b5b21c7d1a7ec119000a64e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1. 「人件費」とは？</h3><p>「人件費」は法人の運営や事業活動に関わる人材に発生する費用。項目は営利企業と同様、次の通りだ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">給与、通勤手当役員報酬アルバイト賃金</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">法定福利費（社会保険）退職給付費用（退職金）福利厚生費 など</div></div><p>営利企業と異なる点は、認定NPO法人になると給与規程や役員報酬規程を開示する義務があることが挙げられる。 </p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_6c9dc30ad2c382b3c8c2627816df8d72" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2. 「その他経費」とは？</h3><p>「その他経費」は人件費以外の全てが該当する。営利企業と共通している項目は、次の通りだ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">売上原価地代家賃水道光熱費</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">通信運搬費消耗品費雑費 など</div></div><p>ここでは、営利企業と項目自体は共通しているが内容が異なる点、営利企業にはない項目について解説する。</p>1-2-1. 旅費交通費<p>自団体の関連機関や税務署への相談、他団体や講師との打ち合わせなどで発生する移動費、出張にかかる宿泊費などが該当する。営利企業とは異なる点として、旅費・交通費規程を開示している団体もあること。</p><p>例えば、認定NPO法人キッズドアの「<a href="https://kidsdoor.net/data/media/kidsdoor/page/about/outline/2024/OR_travel_transportation_expense.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">旅費・交通費規程」（外部リンク/PDF） </a>では、鉄道、船舶、航空機、バスなどは実費の支給だ。宿泊費は地域によって8,000〜1万円の上限を定めている。</p><p>認定NPO法人ふーどばんくOSAKAの<a href="https://www.foodbank-osaka.jp/foodbank/pdf/document5-10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「職員旅費規程」（外部リンク/PDF）</a>は、交通費は実費だが、宿泊費を1万2,000円、出張手当は3,000円の定額としている。</p>1-2-2. 租税公課<p>租税公課とは、いわゆる税金のこと。NPO法人を設立すると、営利企業と同様にさまざまな税金が課税される。具体的には、法人住民税、消費税、源泉所得税、都市計画税、固定資産税、法人事業税などだ。土地建物を所有しているか、収益事業を行うかなどによって発生する税金もある。</p><p>ただし、営利企業とは異なり、法人税法施行令で定める34の収益業以外は法人税がかからない。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説（別タブで開く）</a></p>1-2-3. ファンドレイジング（資金調達）費<p>ファンドレイジング費とは、個人や企業から寄付金を集めたり、助成金や補助金を申請したりするために必要な活動にかかる経費だ。</p><p>具体的には、資金調達のために作成するパンフレットの制作費やイベント開催費、ホームページなどの広告宣伝費などが挙げられる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9591c751b39a593b609e924abf54937d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人の経費は年間でどのくらいかかる？</h2><p>内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では、経費の中央値について次のような結果が出ている。</p>NPO法人：604万2,000円認定NPO法人、特例認定NPO法人：2,667万8,000円<p>金額別の法人の内訳については次の通りだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_1.png"><p>年間の経費が100万円以下のNPO法人は30パーセントほどであり、経費を抑えて運営している団体もいることが分かる。</p><p>一方で認定NPO法人・特例認定NPO法人では、年間の経費が1000万円を超える団体が7割ほどだ。認定NPO法人になると税制の優遇措置が受けられることから、寄付金を集めやすく、事業規模が大きくなりやすいことが理由と考えられる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_74a30fe64c81c602fc291b180e5bb216" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.人件費の割合が多い</h3><p>福祉医療機構（WAM）の<a href="https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/230531_No002.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">調査（外部リンク/PDF）</a>では、福祉系NPOの人件費率は約67パーセントと非常に高い数値が出ている。</p><p>営利企業（サービス業）の目安は40〜50パーセントと言われるが、NPOは労働集約的な対人支援サービスが中心であるため、どうしても人件費の割合が高くなりがちだ。</p><p> 一方で、<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では65.6パーセントの法人が「人材の確保・育成」を課題に挙げている。「人件費の割合は高いが、一人一人の給与水準や教育費に十分なコストをかけられていない」という構造的な悩みが浮き彫りになっている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_2.jpeg">人材を育てるために十分な費用をかけられないで悩むNPO法人は多い<h2 id="tnf-text-heading-block_7207b7a379a1f3007d7422dfe976769c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人が経費削減に成功した事例</h2><p>ここまで、NPO法人の運営では「人件費」が課題になりやすいということに触れたが、法人によっては削減すべき経費が異なる。</p><p>ここからは、NPO法人が経費削減に成功した事例について、「人件費」と「それ以外」に分けて紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_08dd7676886c79e8a4cb2d4828b1184f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 残業時間を減らし人件費を削減した事例</h3><p>NPO法人 Chance For ALLでは、学童保育施設を運営しており、職員により手作りによる紙で「おたより」や「連絡帳」を保護者に配布していた。しかし、作成業務にかかる残業が多いことが問題となっていた</p><p>そこで、作成業務をIT化することを検討。アプリケーションで情報を管理し、スマホやパソコンで閲覧できるようにし業務の効率化に成功。作業時間を短縮できただけでなく、印刷にかかる紙代やインク代の削減にもつながった。</p><p>また「おたより」の発行ペースも週1回から毎日に変更し保護者とのコミュニケーションを強化。さらに子どもたちと向き合う時間も増えたことで、サービスの向上も実現した。</p><p>参考：<a href="https://www.jtua.or.jp/ict/topic/cloud/201905_01/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人日本電信電話ユーザ協会「企業ICT導入事例」（外部リンク）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_632927aa55a9456fca53bac18d2d3304" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.「よろず支援拠点」に相談し、固定費を削減した例</h3><p>独立行政法人中小企業基盤整備機構の「よろず支援拠点」に経営相談した「NPO法人ぱるぱる」の例を取り上げる。</p><p>NPO法人ぱるぱるは、「就労継続支援B型」「居宅介護」「移動支援」「同行援助」「生活介護」などの事業を展開していたが、慢性的な資金不足に陥っていた。そこで、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業・小規模事業者向けの経営相談所「よろず支援拠点」に相談したところ、次の4つの課題が上がった。</p>多様な事業を手がけるも多くが赤字だった売上に対して経費が過大（特に固定費が大きい）資金繰りが悪化しているため、運転資金がない基本的な経営管理ができていない<p>それに対し、経費の削減面で行った改善策は次の2つ。</p>事業の絞り込みと事務所の移転を提案。販売管理費を月に約30万円削減できた会計ソフトの導入により月次試算表の作成が可能に。業務効率化と経費の把握ができるようになった<p>「よろず支援拠点」では経営に関する相談が無料で行える。各都道府県に支援拠点が設置されているため、経営課題の解決に活用するのもおすすめだ。</p><p>参考：<a href="https://yorozu.smrj.go.jp/support/nara_paruparu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">よろず支援拠点「全国の支援事例」（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b43d014d572fc7770d45c4cf7cc148fa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.NPO法人が安定的に運営するために</h2><p>NPO法人に必要な経費にはさまざまな項目が存在する。安定した組織運営を行うためには、限られた資金の中でいかにうまくやり繰りできるかが肝心だ。</p><p>ここでは、経費を抑える、あるいは資金を増やすのにおすすめの方法について紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0219753db1b250fffa31141bd200b575" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.IT化を積極的に行う</h3><p>経費削減の成功事例でも紹介したとおり、IT化が人件費の削減に与える影響は大きい。</p><p>また、日本財団がNPO法人、一般社団法人、一般財団法人を対象に行なった調査では、事業活動の各局面におけるIT化について、「事務の改善・効率化」を重要と感じる団体が9割強を占めた。</p><p>一方で、「デジタルツール／デジタルデバイスを十分に活用できていない」と回答している団体が「わからない」も含めて5割弱であったことから、多くの法人でIT化の導入が課題といえる。</p><p>また、活用できていない理由として「費用がかかる」「技術的なサポートや専門的なスキルや知識」「使いこなせる職員がいない」などが障壁となっている。</p><p>参考：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2022/20221205-82117.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「ソーシャルセクターを対象とした『NPO・NGOに係るデジタル支援のニーズ調査』を実施」（外部リンク）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_3.png"><p>ここからは、IT化を実現するための方法をいくつか紹介する。</p>4-1-1. IT導入補助金の活用<p>IT導入の障壁が「費用」であるなら、補助金を活用するのがおすすめだ。<a href="https://it-shien.smrj.go.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「IT導入補助金」（外部リンク）</a>は、中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的とした、業務効率化やDX（※）等に向けたデジタルツール（ソフトウェア、サービス等）の導入を支援する制度だ。</p><div id="tnf-text-notes-block_8f97b1cb00a6d6b70a2e5be8342c977a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「DX」とは、デジタル技術を活用して業務の効率化やビジネスモデル・企業風土の変革を実現すること</div><p>例えば、デジタルツールの導入に活用できる「通常枠」では、補助率（費用のうち補助される割合）が1/2以内で、ツールが対応する業務プロセス数に応じて5万円〜450万円の補助額となる。</p><p>IT導入補助金の申請から交付までの流れは次の通りだ。</p>事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組む導入するITツールを選定申請、交付決定ITツールの発注実績報告補助金交付<p>ただし、補助金は審査が必要であり、申請したからといって必ず視急されるわけではない。</p>4-1-2.支援団体へ相談<p>専門的なスキルや知識がない場合や、ITを活用できる人材が不足している場合は、支援団体への相談も検討しよう。デジタルツールの導入や運用をサポートしてくれる支援団体は全国にあるが、主な例として<a href="https://npo-sc.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人NPOサポートセンター（外部リンク）</a>を紹介する。</p><p>NPOサポートセンターでは、顧客関係管理（CRM）ソフト「Salesforce」の導入・活用サポートや、会計や支援者・会員管理などのバックオフィス業務効率化のためのデジタルツール導入支援、管理代行などをサポートしてくれる。</p><p>業務改善などのセミナーも定期的に実施されており、ITを使いこなす人材の育成にも活用できる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_4.jpeg">IT化は、非営利企、営利に関わらず全ての企業にとってコストダウンと業務効率を高めるための必須の取り組みだ<h3 id="tnf-text-heading-block_e582ed275febb6b12619a76afde0ae50" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.資金調達に力を入れる</h3><p>経費の削減のみでは捻出できる資金に限界があるため、資金を増やすことも考えよう。</p><p>NPO法人においては、会費や寄付金が活動資金源の多くを占めているケースも多い。また、インターネットの進化により、広報活動もずいぶんしやすくなった。</p><p>例えばSNSやホームページを利用した積極的な活動報告や、インターネットからでも寄付が可能な環境を整えるなど、資金を募る活動に力を入れてみるのもよいだろう。</p><p>待っているだけの状況と、積極的に資金調達活動を行った状況では、結果が大きく異なる。NPO法人の安定的な運営には、経費削減と資金調達、両方の側面での努力が必要だ。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119846/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人が抱える収入源の課題とは？ 安定した活動資金を確保する方法を解説（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_8a104a1058595744c72d640f2cfb7631" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人の経費においては、人件費が課題になりやすいといえる。人件費削減のためには業務効率化が重要であり、IT化を積極的に行うなどの対策がおすすめだ。実際にIT導入を実現したことで、大幅な作業時間の短縮に成功したNPO法人もいる。</p><p>また、経費の削減はしたいが、具体的な対策が分からない場合は、よろず支援拠点や支援団体などに相談することもおすすめだ。安定した組織運営を実現するためのアドバイスを受けられるだろう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/202106_manual_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/230531_No002.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター「2021年度 特定非営利活動法人（NPO 法人）の経営状況について」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>東日本大震災から15年、地域は誰が支えるのか？ 石巻西高校の探究学習が育てる“次の担い手”</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120406/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 10 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>東日本大震災の被災地の多くは人口減少が進み、コミュニティの再生や地域を担う人材の育成が課題に</li><li>石巻西高等学校では地域と連携し、持続可能な未来をつくる探究学習プログラムを実施。地元での大学進学や就職を選ぶ生徒が大幅に増加した</li><li>学校だけでなく、地域全体で教育に取り組むことで、子どもたちの可能性を広げ、地元愛が育つ</li></ul><p></p><p>宮城県東松島市では、震災により地域の4割近くが浸水し、人口流出が急速に進みました。住宅やインフラの復旧が進む一方で、いま課題となっているのはコミュニティの再生と地域を担う人材の育成です。</p><p>こうしたなか、<a href="https://inisi.myswan.ed.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">石巻西高等学校（外部リンク）</a>では2019年度から、地域と連携した探究学習プログラムに取り組んできました。生徒たちは震災を知識として学ぶだけでなく、地域の人々との対話を通して自ら問いを立て、行動しています。</p><p>その経験は、課題解決力に加え、人と関わる力や自己肯定感、地元への意識の変化にもつながっています。実際に、学びをきっかけに地元での大学進学や就職を選ぶ生徒も大幅に増加しています。</p><p>本記事では、石巻西高等学校教頭の髙橋好伸（たかはし・よしのぶ）先生、プログラムを担当する平岡拓（ひらおか・たく）先生、そして3年間にわたってプログラムに参加した生徒4人への取材を通して、自分で考え行動するための力を育む探究学習の形と、地域づくりへの可能性を探ります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5700d8e87418694ebf1748994c614f05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域への愛着を育て、持続可能な未来を担う人材を育成</h2><p>――東日本大震災から15年目を迎えました。現在の石巻地域の復興状況や、地域が抱えている課題について教えてください。</p><p>平岡先生（以下、敬称略）：あくまで学校周辺に限った話になりますが、復興公営住宅や新しい宅地造成が進み、移り住んでくる人が増えています。その影響で、周辺の小中学校がマンモス校になるといった状況も生まれています。</p><p>また、交通インフラも大きく変化しました。震災後、学校から徒歩10分ほどの場所にJRの駅が新設され快速電車が停車するようになるなど、アクセスは大幅に改善されています。</p><p>一方で、地域全体で見ると、石巻市、東松島市、女川町の3市町では、この10〜15年で約3万人が減少。小中学生の学力や体力の低下も課題として挙げられます。これは震災前からの課題でもありますが、学校と地域との関わりが薄く、子どもたちが身近な課題に主体的に取り組む機会が少なかったことも、背景の1つだと感じています。</p><p>髙橋教頭先生（以下、敬称略）：どこまで復興しているかという点については、地域によって違っているように感じます。</p><p>震災から15年の月日が経ち、まだあの時点で時が止まっている方もいらっしゃるでしょう。一方で「これからどうしていくことが良いのか」と少しずつ前を向くことができるようになってきた人も増えているのかなと感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_1.jpg"><p>――改めて、探究学習「震災を乗り越え持続可能な未来社会を創造する市民の育成プログラム」の実施背景と目的について教えてください</p><p>平岡：本校は、創立40周年を迎えましたが、石巻地域では比較的歴史の浅い学校です。人口減少が進み、少子化が加速するなかで、将来的には学校統廃合の対象になるかもしれないという強い危機感がありました。</p><p>そこで、伝統校と同じように進学実績だけを追求するのではなく、「石巻西高校に入らなければ得られない魅力」をつくっていく必要があると考えるようになりました。それがこの探究学習に取り組み始めた1つのきっかけです。</p><p>ちょうど2019年に文部科学省が実施した「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」に応募するタイミングと重なったこともあり、本格的に進めることになりました。</p><p>いまの生徒たちからは感じられませんが、以前は、自己肯定感の低さや失敗を恐れる姿勢、主体性や当事者意識の不足といった傾向も見られました。</p><p>そこで、地域と学校が協働し、持続可能な地域の未来を自らつくっていける人材を育てることを、学校全体の取り組みとして進めようと決めました。地域のことをもっと知ってもらい、地元愛も育てたいと考えたんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_2.jpg">育成プログラムについて説明する平岡先生<p>――このプログラムでは、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。</p><p>平岡：単なる知識の習得ではなく、6つの力を3年間で段階的に育成することを目指しています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">地域社会貢献自己調整力・自己決定力学び続ける力達成感と自尊感情対話力・共感力・合意形成他者と関わる力</div></div><p>1年次は「街ライブラリー」と呼ぶ取り組みを行っています。地域の企業や店舗、農園など、さまざまな事業者に集まってもらい、それぞれの想いや、解決したい「ミッション」を生徒が受け取ります。</p><p>生徒は4〜5人のグループに分かれ、ミッションに対する調査・検討を行い、自分たちで考えた内容を発表します。そして12月には「街ミッション」として発表の場を設けています。</p><p>この取り組みでは、本校の地域コーディネーターである<a href="https://machihito.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般財団法人「まちと人と」（外部リンク）</a>さんと連携・協力をしており、学校と地域をつないでいただいています。</p><p>2年次の「街クエスト」では、1年次に扱ったミッションから一歩進み、生徒自身が取り組みたいテーマを設定します。自分たちでアポイントを取り、実際に現地へ足を運び、フィールドワークを行います。</p><p>どんな人に会えたら前に進めそうかも自分たちで考え、大学の専門家に意見を聞いたり、市役所を訪ねて取材をしたりと、活動の範囲は生徒によってさまざまです。</p><p>3年次の「地域課題研究」では、それまでの探究活動を土台に、地域の課題と本格的に向き合います。2年次のテーマをさらに深める生徒もいれば、これまでの経験を通して新たに関心を持った分野に取り組む生徒もいます。</p><p>なかには、活動を発展させてイベントを企画・実施する生徒もいます。具体的な内容については、ここにいる生徒たち自身の言葉で聞いてもらえたらと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_3.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_4.jpg">地域のカフェ店主の依頼のもと、1年生が探究学習で手作りしたという、石巻駅周辺の観光マップ。カフェで展示される予定だという <h2 id="tnf-text-heading-block_f01d414e6c3b8f3dafc929a7a2db6aa5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域の人たちと出会い、対話するなかで学んだこと</h2><p>――では、生徒の皆さんがそれぞれ「地域課題研究」で取り組んだことについて教えてください。</p><p>板坂翼輝（いたさか・つばき）さん（以下、板坂）：僕はフードロスの問題に取り組みました。</p><p>出発点となったのが、2年生の時に仙台で参加したフードロスに関するイベントです。そのとき、味はおいしいのに、形が少し悪かったり、キズが付いていたりするだけで出荷されない野菜がたくさんあることを知り、自分にも何かできないかと考えるようになりました。</p><p>3年生の地域課題研究では、フードロスの問題を子どもたちにも伝えたいと考え、実践的な取り組みを行いました。</p><p>具体的には、津波で被災した小学校を再生した施設「KIBOTCHA（キボッチャ※）」で11月に行われた地域フェスに参加し、規格外の野菜を使ったピザづくりのワークショップを開催しました。</p><p>活動にあたっては、地元の農家さんを紹介していただき、11月に旬を迎える野菜の中からピザに合うものを相談し、野菜を無償で提供していただきました。食材を余らせないために、参加者も事前予約制としました。</p><div id="tnf-text-notes-block_7698794710b8b7feb0601090d6aaef17" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「KIBOTCHA」とは、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の旧野蒜（のびる）小学校を再利用した、防災教育・体験型の宿泊施設。「希望」「防災」「Future（未来）」をコンセプトに、家族で楽しめるアスレチック、防災体験、グランピング、レストランなどを提供している</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_5.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_6.jpg">板坂さんが発表した「フードロス」ワークショップのポイントをまとめたレポート</div><p>佐藤大成（さとう・たいせい）さん（以下、佐藤）：僕は探究の授業をきっかけに、深海に興味を持ちました。</p><p>2年生の時、「海は命の源だと言われているけれど、深いところと浅いところでは、どちらで先に生命が誕生したのか」という疑問を持ったのが始まりです。石巻専修大学の鈴木英勝（すずき・ひでかつ）先生のもとを訪れて取材したり、自分でもいろいろ調べたりしたのですが、はっきりした答えは出ませんでした。</p><p>そこで3年生の課題研究では、視点を変えて、身近なところから取り組んでみようと考えました。もともと釣りが好きだったので、テーマは「釣れる条件を科学する」としました。</p><p>石巻・女川エリアではアイナメのゲームフィッシング（※）が盛んで、僕もよく釣りに出かけているのですが、アイナメが釣れる時間帯や潮の動きなどに注目して調べ始めました。</p><p>釣れる時間帯が分かるアプリもあるのですが、実際に釣ってみると、ほとんどアプリが示す時間とずれている。そこで、自分の釣果データ（釣りで得られた魚の成果や量）を集めて、潮の動きや風速、波の高さなどと照らし合わせながら、どんな条件のときに釣れやすいのかを分析。実は、釣りって探究そのものなんだと、実感することができました。</p><div id="tnf-text-notes-block_a3d1f121374108cb1ff4f7bcf04243f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ゲームフィッシング」とは、魚を食料としてではなく、釣る過程の駆け引きやテクニック、魚との出会いを楽しむ「趣味としての釣り」のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_7.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_8.jpg">佐藤さんが発表した「釣れる条件を科学する」のポイントをまとめたレポート</div><p>遠藤美優（えんどう・みひろ）さん（以下、遠藤（美））：私たち2年生の時、探究活動に行き詰まり、どう進めたらいいのか悩んでいたところ、平岡先生から「宮城県が、地域のためにイベントをやってくれる人を募集している」と聞きました。</p><p>それをきっかけに、女川町内の中高生で構成されているボランティアサークルに参加し、地域との関わりを持つようになりました。</p><p>活動するなかで宮城県の生涯学習課の方とお話しする機会があり、「世代間交流をつくりたいが、どうしたらいいのか悩んでいる」という相談を受けました。そこで周囲の方に意見を求めたところ、「昔遊び」を通して子どもたちと高齢の方が交流できるイベントがよいのでは、というアドバイスをいただきました。</p><p>サークルの担当者をはじめ、さまざまな方のサポートを受けながら、夏休みに子どもたちを招き、地域の方にも参加してもらう形でイベントを開催することができました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_9.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_10.jpg">遠藤さん姉妹が取り組んだ「昔遊び」イベントのポイントをまとめたレポート</div><p>――プログラムに取り組むなかで、考え方や行動に変化はありましたか？</p><p>板坂：初めて自分でイベントを企画・運営することになり、「ひとりでもなんとかなるだろう」と、どこかで甘く考えていた自分に気づきました。実際に進めてみると、多くの人と関わり、いろいろな意見を聞くことの大切さと、その一方で自分が大切にしたい軸を持ったまま進めることも重要だと学びました。</p><p>子どもたちには、実際にピザに使う野菜に触ってもらいながら話をしました。野菜について伝えるときも、「形が悪い」「規格外」といった言葉ではなく、「個性的」「おもしろい形」と表現することを心がけました。</p><p>そうした関わりを通して、相手の興味・関心を引くための工夫ができるようになったと感じています。</p><p>佐藤：三陸・金華山（きんかさん）沖は世界三大漁場の1つとされ、魚が集まりやすい地形でもあります。ただ、探究活動を進める中で、この海の豊かさは決して当たり前のものではないと感じるようになりました。</p><p>環境の変化が魚の移動や漁獲量に影響していることも分かり、この海をこれからも守り続けなければならないと、広い視点でとらえられるようになりました。</p><p>遠藤（美）：2年生の時はボランティアとしてイベントを「サポートする側」でしたが、3年生になって初めて自分たちが主催する立場になり、何から手をつければいいのか分からないところからのスタートでした。</p><p>周囲の方に相談するなかで言われたのが、「とにかく人を巻き込んでほしい」ということです。 そこで、昔遊びのプロフェッショナルである高齢者の方々に協力していただいたり、会場の手配や、子どもたちをどう集めるかを考えたり、イベントをゼロから形にしていくことの大変さを実感しました。</p><p>遠藤真優（えんどう・まひろ）さん（以下、遠藤（真））：私も、イベントづくりの大変さを体験できたことは大きかったです。それと同時に、ボランティアで関わってくださった方のなかに、役場の方がいたことも印象に残りました。皆さんが地域の方のために働く様子をすぐそばで見ながら、私も地域に貢献する仕事がしたいという気持ちが強くなりました。</p><p>――これから、地域とどんなふうに関わりたいと思っていますか？</p><p>板坂：僕は、まずはフードロス削減のイベントを市内で継続して開催し、しっかり成功させることが、地元に貢献するためのひとつのステップだと考えています。</p><p>その先では、自分が暮らす地域だけにとどまらず、別の地域にも取り組みを広げ、フードロス削減がどれだけ大変かということも含めて伝えていきたいと思っています。</p><p>イベントに関わってくれた人たちにノウハウを共有しながら、最終的には全国的な広がりにつなげていけたらと考えています。</p><p>佐藤：三陸沖の状況は、ここ数年で目まぐるしく変化しています。クエといった、これまで釣れなかった魚が釣れるようになるなど、海の変化を実感しています。</p><p>今後は大学で海洋学を学びながら、こうした海の変化を見つめ、海を守る活動につなげていけたらと考えています。</p><p>遠藤（真）：この春から女川町役場に就職することが決まりました。これからは町民の皆さんを支える立場になるので、覚悟を持って仕事に向き合いたいと思っています。</p><p>困っていることはないか、どうしたら住みやすいまちになるかを考えながら、まちづくりを支える役割を担っていきたいです。</p><p>遠藤（美）：私は東松島市への就職が決まっています。女川のイベントだけでなく、東松島市で行われたイベントにもボランティアとして参加する機会があったのですが、市役所の方が地域の方たちに接する様子がとても温かくて……。</p><p>これからは私たちも、地域の方々に寄り添いながら地元のために仕事ができる職員になりたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_11.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7603df31cf15099e7f592b6dac92b7c5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">歴史、自然、人。さまざまな地域の魅力に出会ってほしい</h2><p>――改めて先生にお伺いします。育成プログラムを実施することにより、地域の方々との関わり方に変化はありましたか？</p><p>平岡：地域との結びつきは強まっていて、プログラムに参加してくださった企業や団体のなかには、生徒たちの取り組みを他の場所で紹介してくださるところもあります。</p><p>また、卒業生の中には、地元の企業や役場に就職し、後輩たちのプログラムに積極的に関わってくれている人もいます。</p><p>さらに、プログラムに参加してくださった方々と一緒に協議会を立ち上げ、活動へのフィードバックをいただく仕組みも整えました。こうした取り組みを通して、今後は学校だけでなく、地域全体で子どもたちを育てていけたらと考えています。</p><p>――このプログラムを通して、生徒たちに望んでいることは何でしょうか。</p><p>平岡：これまでは将来、地元で就職するとしたら自分の未来はどうなるのか、自分のやりたいことはどうなるのか、地域にどんな魅力的な場所や人、資源があるのかなど、このまちの魅力を十分に伝えられないまま進路指導を進めてきた側面がありました。</p><p>だからこそ、プログラムを通して子どもたちに「このまちには、こんなに素敵なものがたくさんあるんだよ」ということを伝えていくと同時に、自分にとってロールモデルになるような「かっこいい大人」に出会ってほしいと思っています。</p><p>だから、先ほど遠藤姉妹から、プログラムでお世話になった方たちの働く姿を見て、「自分たちもこんな仕事がしたい」と感じたという言葉が聞けたのは、うれしかったですね。</p><p>生徒たちにも、プログラムや学校主催のイベントを通して地域の子どもたちと関わる機会があります。そんなときに、地域の子どもたちから「かっこいいお兄さん、お姉さん」と思われるような存在になってほしいと思っています。</p><p>――そのうえで、地域の皆さんに伝えたいことはありますか。</p><p>髙橋：地域の皆さんには子どもたちにもっと関心を持っていただきたいですね。学校だけでは子どもたち一人一人の力を引き出し、育てることはできません。だからこそ、ご家庭や身近な大人の皆さんも、子どもたちと対話を重ね、褒めたり、失敗を受け入れたりすることで、子どもたちの可能性を伸ばしていただけたらと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1c6ded841e807ce85f226bc4af48b6cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの生きる力と地元愛を育てるために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、髙橋教頭先生と平岡先生に、子どもの生きる力と、地元への愛着心を育てるために、私たち一人一人ができることについて伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e772b9fbd3774889aaf2e53dafccddc7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子ども一人一人の存在や思いを肯定する</h2><p>若い世代をひと括りにせず、まずは話を聞いてみること。対話を通じて、若者ならではの視点や新しいアイデアに気づかされることもある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_46f7c97e88c468bd787155c0aad47498" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］学校や地域を「安全に失敗できる場所」と捉える</h2><p>心を育て、自己肯定感を高めるためには、失敗を許容する姿勢が欠かせない。学校や地域は、子どもたちが挑戦と失敗を経験できる土台となってほしい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8581a0cf74c53fc2ef8b862c42a1dbfc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ロールモデルとなる「かっこいい大人」を意識する</h2><p>自分たちが暮らす地域で「この人、素敵だな」と思える大人に出会うことが、子どもたちにとって大きな力となる。そのことを大人たち自身が意識することで、地元愛を育てることにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>4人の生徒さんが探究プログラムを通して学んだ内容はどれも工夫に満ちていて、聞きながらワクワクしました。それと同時に、彼らが話す様子を、嬉しそうに温かく見守る髙橋教頭先生や平岡先生の姿が印象的でした。</p><p>身近な大人との信頼関係が、子どもたちの自信を育て、可能性を広げるのだと実感した取材でした。多くの地域でこうした取り組みが広がり、被災地はもちろん日本全体が元気になることを願ってやみません。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>東日本大震災から15年——「消滅可能性」の町を「希望の循環」へ。陸前高田を支える「関係人口」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120119</link>
      <pubDate>Fri, 06 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>人口減少と少子高齢化が進む日本。全国4割の自治体が将来的に消滅の可能性がある</li><li>岩手県陸前高田市に拠点を置く認定NPO法人SETは、学生と地域との交流事業を通して「関係人口」の増加に貢献している</li><li>移住や定住にこだわるのではなく、気軽に「地域の一員」として若者を受け入れることが、「関係人口」につながる</li></ul><p></p><p>「関係人口」とは、 移住や定住といった形態に限らず、仕事、学び、交流などを通じて特定の地域と継続的に関わり続ける人々のことを指します。</p><p>人口減少に歯止めがかからない日本では、特定の地域だけで住民を増やすことが難しくなっています。2024年の最新報告（人口戦略会議）では、全国の約4割にあたる744の自治体が、将来的に消滅する可能性があると指摘されました。</p><p>こうした危機的な状況に対し、「地域と人の新しいつながり」を生み出しているのが、岩手県陸前高田市広田町を拠点とする認定NPO法人SETです。東日本大震災を機に設立されたSETは、民泊型修学旅行やインターンシップ、キャリア教育支援などを通じて、都市部の若者と地域を結ぶ交流を創出してきました。2024年度には5,000人を超える人々が活動に関わり、地域と若者の間に“希望の循環”を生み出しています。</p><p>震災から15年。 復興のその先にある、持続可能な地域の未来づくりとは何か。</p><p>今回はSET理事長の三井俊介（みつい・しゅんすけ）さんに、「関係人口」を広げ、地域を次世代につなぐためのヒントを伺います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2d1ed8962d4079edb6aa0925de1281ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">震災発生2日目にSETを創設。5日目には物資支援をスタート</h2><p>――三井さんがSETを立ち上げた経緯について教えてください。</p><p>三井さん（以下、敬称略）：高校時代に『世界がもし100人の村だったら』という本を読んだのをきっかけに、世界には自分が知らない人たちがいて、さまざまな出来事が起きていることを知り、関心を持つようになりました。</p><p>そこから「いつか海外に行ってみたい」と思うようになり、国際協力について学べる大学へ進学しました。</p><p>当時の僕は、世界中で起きている問題を生み出しているのは「人」ではないかと考えていました。だとしたら、ひとりでも多くの人がボランティアなどを通じて社会課題に関わる機会が増えれば、問題解決に近づくのではないか、と思ったんです。</p><p>そのために何ができるのかと考えた末にたどり着いたのが、「国際協力 × エンターテインメント」という発想でした。楽しむことが、結果的に誰かの助けにつながるのであれば、もっと多くの人が関われるのではないかと考えました。</p><p>そうして大学2年生のときに立ち上げたのが、サッカーを通じてカンボジアの子どもたちを支援する学生団体だったんですが、3年生になって下の世代に引き継ぎ、残りの学生生活で何をしようかと考えていた矢先に、東日本大震災が発生しました。</p><p>自分にできることをしようとボランティア活動を始めたことが、その後の活動につながりました。</p><p>――東日本大震災発生時は、どのように動かれたのでしょうか。</p><p>三井：当時、Twitter（現在のX）で震災に関する情報を発信していたところ、学生団体の活動でつながった仲間たちから「一緒に何かやろう」と声がかかって。3月12日の深夜に集まり、翌13日にはSETを立ち上げました。</p><p>情報収集を進めるなか、活動を通じてつながっていたAAR Japan（難民を助ける会）がすでに現地に入っており、連絡を取れる状況にあったこと、さらに企業から衣類を無償提供したいという申し出があったことが重なりました。加えて、ヤマト運輸が輸送ルートを無償で担ってくださることになり、それらをつなぎ合わせる形で支援の体制を整えていきました。</p><p>当時、僕ら学生は春休み期間中だったので、人手として動くことができたんです。物資の搬入や搬出、仕分け作業などを行い、3月17日の早朝には第一便を被災地へ送り出しました。</p><p>――ボランティア活動を続けるだけでなく、陸前高田市広田町への移住を決めたのはなぜでしょうか。</p><p>三井：立ち上げ当初は、月に1度必ず広田町に通うと決めて、ボランティア活動を続けてきました。そんなある日、町の方に「50年後には、この町はなくなってしまうかもしれない」と言われたんです。しかもそれは、「震災があってもなくても変わらない未来だろう」と……。</p><p>一方で、「震災をきっかけに若い人たちが全国から来てくれて、いまはチャンスかもしれない。だからこそ、この機会を生かしたいんだ」ともお話されていました。</p><p>それを受けて、この町がより良くなるために自分自身の人生を一度投げ込んでみようと、大学を卒業してすぐ、2012年の春には引っ越しました。</p><p>――移住後は、どのように生活を始めたのでしょうか。</p><p>三井：移住する時点では、具体的に何をするかは決めていませんでした。唯一決まっていたのは住む場所だけで、広田町で一人暮らしをしているご高齢の方が、「うちの2階が空いているから、1年間、住む場所と食事を提供するよ」と言ってくれたんです。</p><p>本格的にこの町で生活するなら、まず運転免許がないと困るなと思い、教習所に通うところから始めました。その後、ありがたいことに車を寄贈してくださる方もいて、どんな活動が求められているのか、現金収入をどうするか、ガソリン代をどうするかといったことを、一つ一つ解決していった感じです。</p><p>――住んでみて感じる、広田町の魅力はどんなところでしょう？</p><p>三井：食べ物が豊かでおいしく、自然がきれい、という魅力はありますが、それだけで言えば、正直どの地方にも当てはまってしまう。そう考えると、やはり一番の魅力は「人」だと思います。</p><p>僕が言う「人」というのは、その土地ならではの歴史や文脈と結びついて形成されてきた存在のことです。</p><p>いわゆる「田舎」と呼ばれる地域には、それぞれにオンリーワンの魅力がありますが、観光として訪れるだけでは、なかなか見えてきません。そんな表面的な魅力ではなく、そうした深い文脈に触れることで、初めてその地域の本当の面白さが分かってくる。それが「関係人口」を増やすことにつながっていくのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_2.jpg">東日本大震災直後に、現地へ支援物資を送るSETのメンバー。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_bffaf541f5587e9e07c5726630c350f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">どちらかが我慢や犠牲を強いられる関係性は、継続しないと気づいた</h2><p>――SETは、どのようなミッションを掲げて活動しているのでしょうか。</p><p>三井：立ち上げた当初は、ボランティア活動をしていた頃と同じように、広田町の人から要望を受けたことに対して、その都度対応していました。ただ、活動を続けるうちに、少しずつ自己犠牲的な側面が強くなっていったんです。</p><p>「やれと言われたことは何でもやる」という状態になっていて、相手自身も本当にそれをやりたいわけではなさそうだと感じることまで、頼まれるようになっていました。それは結果的に、自分たちにとっても健全な状態ではありませんでした。</p><p>そこで、改めて自分たちのミッションを見直そうと考え、2013年にNPO法人化しました。その際に掲げたのが、「一人一人の“やりたい”を“できた”に変え、日本の未来に対して“Good”な“Change”が起こっている社会を創る」というミッションです。</p><p>当時、東日本大震災の被災地は、過疎化における「課題先進地（※）」と呼ばれていました。だからこそ、ここでの活動は、この町だけのためではなく、日本の未来で起こり得る課題に対する解決策をつくっている、という意識で取り組んでいました。</p><p>ミッションのなかでも、特に大事にしているのが「一人一人の“やりたい”を“できた”に変える」という点です。広田町の人が本当にやりたいことと、僕ら自身がやりたいと思えること、その両方を一緒に「できた」に変えていくことが重要だと考えています。</p><p>誰かが本気でやりたいかどうかも分からないことを「やれ」と言われ、こちらも本当にやりたいか分からないまま取り組むと、結局は誰も幸せにならない。そのことが、ボランティア活動を通してよく分かりました。</p><p>このミッションは、僕ら自身もこの町で幸せに生き、やりたいことをやって生きていく、という決意表明でもあります。当時、「被災者に寄り添う」「復興」を前面に打ち出す支援団体が多い中では、かなり珍しい存在だったと思います。</p><p>――そこから生まれた事業の1つ「チェンジメーカースタディプログラム（CMSP）」について教えてください。</p><p>三井：CMSPは、大学生を対象にした実践型のプログラムです。地域に滞在しながら田舎暮らしを体験し、町が抱える課題と向き合い、１週間の滞在期間中、アイデアを考えるだけでなく、具体的な行動にまでつなげていきます。</p><p>さらに、月１回の訪問と長期休暇中の3週間程度の滞在を組み合わせた、半年間のインターンシップへと発展させることもできます。</p><p>このプログラムの原点になったのは、広田町で野菜の産直に取り組む農家の方から、「野菜を売りたいのだけれど、どうしたらいいだろう」と相談を受けたことでした。何度も話し合いを重ねた結果、海に近いこの町で採れる野菜を「浜野菜」としてブランディングし、東京へ発送するサービスを一緒に立ち上げることができました。</p><p>――素敵なネーミングですね。</p><p>三井：ありがとうございます。特に印象的だったのが、地域の方が涙を流して喜んでくださったこと。ボランティア活動でも感謝の言葉をいただくことはありますが、それとは少し違う笑顔が見られたことです。</p><p>その時に、町の中の人と外の人が本気で向き合い、対話を重ねながら挑戦すると、感動が生まれ、結果として町のためになる取り組みが生まれると実感しました。その経験から、「地域の人たちと外から来た若者が本気で関わり合う場を、継続的な事業としてつくろう」と、CMSPを立ち上げたんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_d4f0a9f0d97e64fe6c164b8e766fa857" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「課題先進地」とは、人口減少、少子高齢化、過疎化など、今後多くの地域が直面するであろう課題を抱え、その解決策を模索、実証している地域のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_4.jpg">2014年7月の活動報告より。CMSPの原点となった「浜野菜」を育てている地域の皆さんとSETのメンバー（左端）。画像提供：認定NPO法人SET <img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_158c5e5d059551274dc69b7c064911e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「みんなをうちに泊めちゃだめなの？」――地元の人の声から始まった民泊事業</h2><p>――民泊事業もSETの重要な活動になるかと思いますが、始めたきっかけはなんだったのでしょうか。</p><p>三井：外部から多くの若者を広田町に連れてくる最中、町に暮らすある方が「うちに泊めちゃダメなの？」と声をかけてくれたことがありました。その一言が、現在では陸前高田市全域で163軒（2026年2月時点）協力していただけるご家庭が広がり、年間約4,000人が訪れる民泊事業の原点になっています。</p><p>――研究や調査事業にも取り組まれているそうですが、その理由を教えてください。</p><p>三井：10年以上にわたり、若者と地域の人をつなぐ活動を続けてきました。そこで見えてきたのが、外部の人と交流している人ほど、考え方や行動が前向きに変わっていく場面を何度も目にしてきました。</p><p>一方で、そうした変化はこれまで「当事者の実感」や「エピソード」として語られることが多く、客観的に伝える手段が十分ではないと感じていました。そこで、アンケートやヒアリングを通じた調査に取り組むようになりました。</p><p>調査を重ねるうちに、外部の人と交流している人は、そうでない人に比べて幸福度が高く、地域のつながりの強さを示すソーシャルキャピタルも高い傾向があることが見えてきました。また、社会に関わろうとする意欲や、具体的な行動が増えていく様子も確認されています。さらに、自己肯定感やウェルビーイングの向上、抑うつ傾向の低下といった変化についても、調査結果から見えてきました。</p><p>こうしたデータをもとに、CMSPや民泊プログラムの改善や、関係人口づくりに力を入れる他の自治体との提携にもつなげています。</p><p>――CMSPや民泊に参加した学生からは、どのような声が寄せられていますか。また、三井さんから見て、参加後に感じる変化はありますか。</p><p>三井：民泊は2泊3日という短い期間ですが、お別れ会では多くの生徒が泣いてしまいます。共働きといった家庭の事情で、普段は1人で食事をすることが当たり前という生徒が、「みんなで一緒にご飯を食べるのは初めてです」と話してくれたこともありました。</p><p>また、両親や祖父母も含めて都会育ちだという生徒が、畑でキュウリを収穫してその場で食べる体験をし、「『となりのトトロ』で憧れていた夢がかなった！」と感動していたこともありましたね。</p><p>CMSPでは、かつて引きこもりを経験し、「自分には人と共に生きる力がない」と思い込んでいた学生が参加してくれたことがありました。彼女は陸前高田市の人や仲間に受け入れられる経験を重ねたことで、「自分にも人と『つながりたい』という気持ちがあったことに気づけた」と、涙ながらに話してくれたことが印象に残っています。</p><p>都会では効率や合理性が優先されがちですが、ここでの暮らしや人との関わりを通して、感情を素直に出し、自分らしさを取り戻したり、「自分は何を大切にしたいのか」「何をやりたいのか」を見つめ直したりする学生は多いと感じています。</p><p>――一方で、SETの活動に関わった地元の人からはどんな声が寄せられていますか。</p><p>三井：ある民泊事業に協力いただいている家庭の方が、「最初はSETへの協力のつもりだったけれど、今はSETを通して、私の（民宿をしたいという）夢を叶えてもらっている。ありがとう」と話してくれたことがあります。その方は、もともとは受け入れに消極的だったのですが、気づけば10年以上、100回近く受け入れを続けてくださっています。</p><p>また、別の協力者の方は、大学生たちと話していくうちに、「これまでは町が悪いとか、誰かのせいにしていた。でも、人っていつからでも変われるんだと大学生に勇気をもらった。自分も今日から変わる」と話していました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_6.jpg">2026年1月に実施されたCMSPの様子。学生たちは、地域行事である「虎舞（とらまい）」にも参加し、地域の人たちと楽しい思い出をつくった。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_efc350dc57f53043770fa77014cb72e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域が「関係人口」を増やすために</h2><p>――人口減少を問題に抱える地域は、これからどうしていく必要があると思いますか。</p><p>三井：そういった地域の人たちは、これまで都会に人が出ていく姿はたくさん見てこられたことでしょう。一方で「人を受け入れる」という経験があまりないから、受け入れ方が分からないのではないでしょうか。</p><p>自分たちの地域にただ「人を呼ぶ」のではなく、地域を「一人一人のやりたいことを叶えられるフィールド」「挑戦できるフィールド」として捉え直してみるとよいかもしれません。</p><p>移住や定住にこだわるのではなく、外から来た人を気軽に「地域の一員」として受け入れることが、「関係人口」を増やすことにもつながると考えます。</p><p>――頭では理解できても、行動に移すのはなかなか難しいかもしれませんね。</p><p>三井：だから、僕たちのように、地域の人の気持ちも外から来る人の気持ちも分かるコーディネーターの存在が、両者をつなぐハブの役割を果たしていけるのではないかと思っています。</p><p>「関係人口の創出」という言葉が行政の施策として語られる場合、どのようにして地域の経済につなげるか、雇用に結びつけるか、みたいなことがKPI（評価指標）になりがちで、「いますぐ移住できる人がいい」「いい人材に来て欲しい」みたいな考え方になる。</p><p>ですが、外から来る側は、ある程度大人になるとしがらみが生じやすいし、暮らしに合わない場合もある。そういった意味で、地方と真っさらな大学生は相性がいいと思うんです。</p><p>地方の人たちは急ぐのではなく、早いうちから関わり合い、若者を育てていくといった姿勢が必要で、それが「関係人口」を増やすことにもつながると思うんです。</p><p>――震災、そしてSETの立ち上げから15年が経ちますが、いまどんな未来を思い描いていますか。</p><p>三井：15年の節目を迎えるにあたって、<a href="https://note.com/setforjapan/n/n2387c010fe9e" target="_blank" rel="noreferrer noopener">これまでの歩みと実践をまとめた本の出版プロジェクト</a>を進めています。</p><p>未曾有の大災害とも呼ばれた東日本大震災が発生した当初、復興をどう進めるか誰も答えを持っていませんでした。僕たちも答えが分からないままSETを立ち上げて移住し、試行錯誤しながら地域の人に叱られたり、泥まみれになったりもしながら、多くの人に支えられて活動を続けてきました。</p><p>これからも災害は起こり、地域の過疎化も進んでいくでしょう。そうすると、自分たちのように試行錯誤する若者も出てくると思います。地域で活動するのは、思っている以上に孤独です。そういう人たちに、僕たちの15年間の経験と思いを手渡す一冊になればと思っています。</p><p>僕にとって震災は、もはや人生とは切り離せないもの。はじめの頃は、町の人から教えてもらったことを、外から来た人に伝えていましたが、最近では自分の経験として、自分の言葉で語る段階に来ていると感じています。</p><p>この15年間で得た経験を次の世代に継承していけたらと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_8.jpg">2011年、東日本大震災直後の3月13日に立ち上げた当時のSETのメンバーと町の人々。右から2人目が三井さん。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_9.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_dcbc7db8465a4bf8554e89fc9babaa41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人口減少を課題に抱える地域のために私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、三井さんに人口減少を課題に抱える地域の人々が「関係人口」を増やすために、私たち一人一人ができることについて伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8adacd8a4a3f35a794668456139956f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域に足を運び、そのまちの人と出会う</h2><p>民泊や農泊など、単なる観光に留まらない地域の暮らしに触れる体験が、その地域への愛着を生み、「関係人口」につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1030cf7e0be3bee1a540c0b44d8ad569" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域とのつながりを支援する団体に寄付をする</h2><p>地域の人と外の人をつなぐコーディネーターの存在は大きい。SETのように地域とつながるプログラムを提供、支援する団体に寄付することも手段の1つ</p><div class="wp-block-spacer"></div><p> SETが提供するプログラムをきっかけに、「関係人口」にとどまらず、これまで80人以上の若者が岩手県内に移住しているそうです。その理由を尋ねると、永住ではなく「単なる引越し」的な感覚で暮らし始める人も多いという答えが返ってきました。</p><p>そのまちを好きになって、居心地の良さから長く住み続ける人がいてもいいし、数年で別の場所へ移る人がいてもいい。地域に足を運ぶ人も、受け入れる側も、こうした“ゆるい”スタンスでいることが、「関係人口」を無理なく増やし、つながり続けられるヒントになるのかもしれません。 </p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d2a0a204b13c5e652cc797d717059665" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">三井俊介（みつい・しゅんすけ）</h2><p>1988年茨城県生まれ。大学在学中に学生団体WorldFutを創設。カンボジアへの国際協力活動を行う。同じく在学中の2011年3月、復興支援団体SETを設立。同年6月に同団体をNPO法人化。2025年に認定NPO法人の認定を受ける。NPO法人新公益連盟北海道・東北ブロック共同代表。元岩手県陸前高田市議。2022年にミネルヴァ書房より『政策起業家が社会を変える』（著者：M・ミントロム、翻訳：石田祐／三井俊介）を出版。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Mon, 09 Mar 2026 19:26:46 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>自殺を「個人の問題」にしない社会へ。自死遺族が直面する偏見や孤立と、私たちにできること</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119641/suicide</link>
      <pubDate>Thu, 05 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「本人の意思の弱さが原因」といった自死に対する社会の無理解や偏見はいまだに根強い</li><li>自死遺族は社会の偏見、孤立、法的な手続き、損害賠償請求など多重の困難に直面することがある</li><li>「自分の身近にいる人も自死遺族かもしれない」と想像し、自殺を私たちの社会の課題として捉える視点が大切</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><div id="tnf-text-notes-block_8d3fac97889b8f8a90eee8318cc69395" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※この記事には、自死（自殺）に関する記述が含まれています。つらい気持ちになる可能性がある方はご注意ください</div><p>もし、あなたの家族や大切な友だちが、ある日突然いなくなってしまったら――。</p><p>日本では年間2万人を超える方が自ら命を絶ち、2024年は2万320人、なかでも小中高生の自殺者数は529人と、1980年以降で最も多い人数となりました。</p><p>自死により家族を失った遺族たちは「自死遺族（じしいぞく）」と呼ばれています。深い悲しみを抱えることに加え、警察や役所での対応、相続や損害賠償などの法的、金銭的な問題に直面しなければならない場合もあります。</p><p>しかし社会には、「自殺は本人の弱さが原因」といった無理解や偏見が根深く残っています。そのため多くの遺族はさまざまな思いを抱えながらも、「人に話すことができない」と孤立を深めてしまうといいます。</p><p>今回は、自死遺族の支援に長年携わってきた、<a href="https://izoku-center.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター（外部リンク）</a>の代表・杉本脩子（すぎもと・なおこ）さんに、自死遺族が抱える痛みや思い、社会に必要な視点についてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00006-1024x586.jpg"><h2 class="wp-block-heading">自責の念、孤立、法的負担——自死遺族が直面する困難</h2><p>――身近な人を自死で亡くした遺族は、どのような状況に置かれるのでしょうか。</p><p>杉本さん（以下、敬称略）：身近な人を亡くすことは、人生の中でとても大きな出来事です。自死となると、ほかの死因と比べて、納得のいく筋道が見えにくく、「理由が分からない」「なぜ」という思いを抱えやすくなります。</p><p>そして、「あの時、気づいていれば……」「もっと何かできたのではないか」という自責の念、自罰感が強くなりやすいです。</p><p>そうした精神的な負担に加えて、実務的な負担が押し寄せることもあります。例えば、鉄道会社や不動産会社からの損害賠償請求、相続に関する手続きなど、法的、金銭的な問題が発生します。</p><p>また、いじめやハラスメントが原因の場合では、事実関係を調べて裁判を起こすこともあります。悲しみを抱えながらも、数多の現実的な壁に直面するのが自死遺族の置かれる状況だといえます。</p><p>――亡くなった方との関係性によって、悲嘆の現れ方に傾向のようなものはあるのでしょうか。</p><p>杉本：一人一人の悲嘆は全て異なるものだ、というのは大前提ですが、関係性によって一定の傾向が見られるのも事実です。</p><p>家族を例にすると、子どもを亡くした親の場合は「わが子を守れなかった」という強烈な自責の念を抱きやすい傾向にあります。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>また、親を亡くした子どもは、「自分の存在は、親にとって生きる理由にはならなかったのか」という思いや、「自分のせいで死んだのではないか」という罪悪感を抱きやすいとされています。</p><p>一方で、きょうだいを亡くした方の場合は、「親をこれ以上悲しませないように」と自分の苦しみにふたをしてしまうことがあります。私たちの関係者の中にもきょうだいを自死で亡くした方がいますが、「親の苦しむ姿を見ると、自分はいい子で居続けるしかなかった」と語っていたことを思い出します。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00008.jpg">同センターが編集した書籍『自殺で家族を亡くして〜私たち家族の物語』（三省堂）。27人の自死遺族の体験をまとめている。画像提供：特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター</div></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5cb670ea3a199d725f36c089a39979e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">求めている助けをひも解き、必要な支援につなぐ「仲人」の役割</h2><p>――全国自死遺族総合支援センターでは、どのような支援を行っているのでしょうか。</p><p>杉本：活動の柱となるのは、主に3つの支援です。</p><p>1つ目は「電話相談窓口」です。身近な人が自死で亡くなった直後、「どうすればいいか分からない」と現場から電話がかかってくることもあります。</p><p>精神的な苦しみを聞いてほしいという方もいれば、法的、金銭的な相談もあります。ただ、言いたいことをすぐに言葉にできるとは限りません。どんな助けを求めているのか、少しずつひも解いていくお手伝いができればと思っています。</p><p>2つ目は、「遺族を自治体や専門家につなぐ支援」です。全国の自治体には自死遺族向けの相談窓口があります。しかし、見知らぬ人たちが集まる役所で個人的な事情を話すのは、遺族にとって心理的に高いハードルがあると思います。</p><p>そこで、まずは私たちが遺族の話を伺い、整理した上で、自治体の担当部署に「こういったご相談がある」と橋渡しをしています。また、自死に関する知識と経験を持つ士業の専門家とも連携し、必要に応じて紹介しています。遺族と必要な支援先をつなぐ、いわば「仲人」のような役割が、当センターの大きな特徴だと思っています。</p><p>3つ目は、同じ体験をした人たちが集まる「つどいの場」の運営と紹介です。センターでは「身近な人を亡くした子どもとその家族のつどい」や、身近な人を亡くした18歳から30代を対象とした「身近な人を亡くした若者のつどい」を運営しています。併せて、全国各地で行われている「つどいの場」を遺族の方に紹介し、適切な場につないでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00010.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f1fd73dd8e0142825655530d1fd22db6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">支援の歴史と「つながり」の力。10万人の署名から「つどい」へ</h2><p>――同じ体験をした人たちが集うことには、どのような意味があるのでしょうか。</p><p>杉本：「つどい」は遺族にとって、とても重要な場です。自死遺族は苦しみの中で「自分が悪い」「やるべきことをやらなかったからだ」という自責の念にもとらわれやすい。しかも、身近な人を自死で失ったことを周囲に話すことができず、孤立しやすいんです。</p><p>だからこそ、同じ体験をした方のお話を聞くことで、「同じように苦しんでいる人がいるんだ」という気づきが起こります。そうした気づきを繰り返すことで、自分だけを責め続けていた視点から少し離れることができる。そして、「できなかったこともあったけれど、やれたこともあった」と、自分の行動を多角的に捉え直せるようになります。</p><p>亡くなった方は戻ってきませんから、悲しみが消えて楽になることはありません。でも、視野が広がることで、少なくとも、自分を責め続けてより苦しい道へ進むことは避けられる。「より苦しくはならない」状態を保てることが、遺族がその人らしい生き方を再構築するための、大きな一歩になるのです。</p><p>――当事者の声が集まることで、社会や制度にどのような変化が生まれてきたのでしょうか。</p><p>杉本：2006年に成立した「自殺対策基本法（※）」は、自死遺族自身が声を上げたことをきっかけに実現しました。私もその署名活動に参加していました。</p><p>当初「3,000人の署名を集められるかどうか」と不安に思っていたところ、結果的に10万人を超える署名が集まりました。あの署名の束の重さは、一生忘れることができません。</p><p>署名書類の中には「（自死遺族である事実は）誰にも言っていないので（署名集めに）協力できなくて申し訳ない」というコメントが添えられているものもありました。その一文は、いまでも強く記憶に残っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c8ab3b58d1d8905d1eae46058f7e98be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「自殺対策基本法」とは、自殺対策に関する基本理念や国・自治体の責務を定め、自殺の防止と自殺者の親族等に対する支援の充実を目的とする法律。2006年10月に施行され、2016年の改正で、全ての都道府県・市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられた</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00004-1024x682.jpg">杉本さんをはじめ、NPO法人 自殺対策支援センターライフリンクの清水康之さんらの署名活動を通じ、自殺を個人の問題と捉える見方から、社会問題としての認識が広がった<h2 id="tnf-text-heading-block_50d9850b5f1de721f2af1e6f4b2d72c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">悪気のない言葉が自死遺族を傷つける</h2><p>――自死遺族の支援を続ける上で、社会の側に必要だと感じる視点について教えてください。</p><p>杉本：社会の無理解や、よかれと思った行動が、遺族を追い詰めてしまうことがあります。</p><p>かつて自殺防止の啓発ポスターに「あなたの力で守れる命がある」といった文言が使われていました。子どもを自死で亡くした、保健師として働く遺族の方がそれを見て、「子どもの命を守れなかった自分は親としてもダメ。保健師としてもダメ。自分が全面的に否定された気持ちになった」と心情を述べていました。</p><p>自殺防止啓発はとても大切です。ただ、すでに身近な人を自死で失った遺族たちの存在も決して忘れてはいけません。「自殺は防ぐことができる」と断言するような表現は、自死遺族に対する配慮のない言葉です。</p><p>精神科医で長年自殺予防に取り組んでおられる河西千秋（かわにし・ちあき）札幌医科大学教授は、「亡くなった方の多くが精神疾患に罹患していたという事実があるが、精神疾患は脳の機能障害を引き起こす病気であり、自殺は本人の意思や責任とは別次元のものである」と繰り返し発言しておられます（※）。</p><p>この理解は、「守ることができなかったんだ」という遺族の自責感を和らげると同時に、自殺は誰にでも起こりうる社会課題である、と考え直すきっかけにもなると私は考えます。</p><div id="tnf-text-notes-block_d2a4f20e8ae8730a248be18df83b0f0d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※文献：杉本脩子（2025）ポストベンション―遺族支援．精神療法 51（2）；201-202.</div><p>――こうした社会の無理解や言葉が自死遺族に与える影響を踏まえ、センターでは自死に関わる言葉について、どのような点を心掛けていますか。</p><p>杉本：センターでは「自死」と「自殺」を状況に応じて使い分けることを提唱しています（※1）。</p><p>「自死」は、死という動かせない事実を指すため、「自死遺族」「自死遺児」のように遺族の心情に配慮した表現として用います。</p><p>「自殺」は、自死に至る行為や、追い込まれていくプロセスを指すため、「自殺防止」「自殺未遂」といった表現で用います。厚生労働省の自殺総合対策大綱（※2）には「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」と定義されています。これは「自ら命を絶たなければならないほど追い込まれた末に亡くなった」状況を表すものです。</p><p>つまり、「自殺という行為やプロセス」の結果として「自死」に至る、という理解です。どちらか一方に言葉を統一してしまうと、自殺念慮を抱える当事者の痛みや、自死遺族の痛みのいずれかを切り捨ててしまうことになりかねないと考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c3a5c5704722d08239e48e84b0996f6c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.詳しくは、全国⾃死遺族総合⽀援センターの公式サイトで公開されている「『⾃死・⾃殺』の表現に関するガイドライン 〜『⾔い換え』ではなく丁寧な『使い分け』を〜」を参照 ※2.「自殺総合対策大綱」とは、2022年10月に閣議決定された。自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものであり、おおむね5年を目途に見直すこととされている </div><p>――センターでは、遺族を指す表現として、「大切な人を亡くした人」だけでなく「身近な人を亡くした人」という言葉も使うことを提唱されていますね。</p><p>杉本：私たちも立ち上げ当初は、「大切な人を亡くした人」という表現で「自死遺族」への呼びかけをしてきました。</p><p>しかしある時、長男を亡くして「つどい」に来ていた家族のうち、次男が「帰りたい」と言い出したんです。理由を聞くと、「両親も僕も、兄の自殺でとても苦しんでいる。こんなに家族を苦しめた兄を許せない。だから“大切な人を亡くした”家族の集まりに、自分は参加する資格がない」と語りました。</p><p>実際、全ての遺族が故人を「大切」と呼べるかは分かりません。その死によって苦しんでいる事実に変わりはないけれど、故人との間に確執や虐待があったケースもあります。「大切な人」という表現を使うことで、そうした人たちを排除する可能性があったのです。</p><p>アメリカにある、死別を経験した子どもとその家族を支えるケア施設「ダギー・センター（The Dougy Center）」でも、かつて使われていた「Loved one（愛する人）を亡くした」、という表現をやめ、「Someone close（身近な人）を亡くした」という言い方に改めたと聞きました。</p><p>この気づきをきっかけに、国や自治体に働きかけを始めたのが20年以上前です。最近では、東京都が自殺防止パンフレットで「身近な人、大切な人」と並列表記してくれるようになりました。少しずつですが、ほかの自治体にも広がっています。</p><p>自死で亡くなった人と、どのような関係性であったとしても、その死によって苦しんでいる人を一人も取り残さないという姿勢こそが大切だと考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00009-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_842bd72cd165c33fa803547b80ef2b4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自殺は「人を追い詰める」社会全体の構造的な課題</h2><p>――自殺を「個人の問題」として捉える見方は根強く社会に残っています。この捉え方について、杉本さんのご見解をお聞かせください。</p><p>杉本：かつて自殺未遂を経験した、若い男性から聞いた印象的な話があります。</p><p>彼は自身について「普通の家庭に育ち、特別成績が良いわけでもないけれど悪くもなかった」と語っていました。しかし、家族からは「出過ぎたことをしてはいけない。でも、周囲から遅れてもいけない」という無言のプレッシャーを感じてきたそうです。</p><p>それを突き詰めて考えたとき、彼は「透明人間になるしかない」と思った。そして「透明人間なら、生きていてもしょうがない」という思いに至り、自殺を考えたと言うのです。</p><p>日本社会には、世間体や周りの目というプレッシャーがあります。それはときに、人を「透明人間」にさせるまでに追い込んでしまう。さらに、インターネットが登場して以降、情報が氾濫し、社会の矛盾や限界も全て見えてしまうようになりました。</p><p>これは特に若い人にとって、希望を持って生きることが難しい社会になっている、といえるかもしれません。そうした中で、「自分の居場所はどこにもない」と感じてしまう人は少なくないのだと思います。自殺は個人の問題ではなく、社会全体の構造的な課題だと言っていいのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00007-1024x587.jpg">遺族に寄り添う際の順序と大切なこと。相手のペースを尊重し、結果的に遺族が「支えられたと実感できること」が大切。画像提供：特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター<h2 id="tnf-text-heading-block_6553d4a17b47fe6ca2ab13938b8a8b9e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自死遺族を支える社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>杉本さんから、自死遺族が孤立せず、その人らしく生きられる社会にするために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_efd25409e50479b72ba3856aed65c9f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］身近に自死遺族が「いない」のではなく、「いるかもしれない」と考える</h2><p>多くの自死遺族は、身近な人を亡くした思いを誰にも言えず、沈黙の中で耐えている。身近に自死遺族が「いない」のではなく、「言えない」だけなのではないかと考えてほしい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_952a318621b51905264340f04ee7437d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］遺族の思いを聞いたら、「そっか」「そうなんだ」と受け止める言葉を使う</h2><p>遺族は自己否定や自責の念で苦しみやすい。勇気を出して胸の内を語ったとき、「いいね」「すごい」といった評価を含む言葉ではなく、「そっか」「そうなんだ」と、そのまま受け止める言葉で寄り添うことで、安心して思いを吐き出しやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_51f9e118a6047c93a1ae903ee32d5f66" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「してあげたい」ということより、「相手が何を求めているか」を考える</h2><p>「力になりたい」という気持ちは自然だが、「何かしてあげたい」という自分の思いではなく、「相手が今、何を求めているか」に意識を向けることが大切。ときには「そっとしておいてほしい」という思いを尊重する姿勢も大事なこと</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本では年間2万人を超える方が自ら命を絶っています。その遺族や身近な人がどのような思いを抱え、どのような状況に置かれているのか、自死遺族への支援を長年続けてきた杉本さんに伺いたいと考え、取材を申し込みました。</p><p>今回の記事で詳しく触れることはできませんでしたが、2006年に成立した「自殺対策基本法」は、自死遺族の子どもたちが「親やきょうだいが自殺したと人に言えない」という胸の内を社会に明かし、切実に訴えたことを発端としています。</p><p>そして、遺族支援が「個人の問題」ではなく「社会全体で支えるべき課題」として法的に位置付けられたのは、10万人もの署名を集めた当事者や関係者による運動の大きな成果といえるでしょう。</p><p>2025年6月には自殺対策基本法のさらなる改正が行われました。小中高生の自殺者数が過去最多を更新した事態を受け、「こどもに係る自殺対策」や「親族等への支援」の強化が明記されたのです。法律は一度作って終わりではなく、現代の深刻な状況に合わせて今も更新され続けています。</p><p>ただ、法律という大きな仕組みがあっても、自死遺族の悲嘆そのものが軽くなるわけではありません。だからこそ、私たちが日常の中で痛みに想像力を働かせ、寄り添いながら共に歩む社会を考えていく必要がある、と強く実感した取材でした。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人が抱える収入源の課題とは？ 安定した活動資金を確保する方法を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119846/academy</link>
      <pubDate>Wed, 04 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>多くのNPO法人では「収入源の多様化」が課題となっている</li><li>多様な収入源がある中で、安定した収入が見込めるのは「寄付金」「会費」「事業収入」</li><li>安定した収入を確保するためには、活動内容の発信や寄付者に対するフォローが重要になる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人にはどのような収入源がある？」</p><p>このような疑問をお持ちの人もいるだろう。</p><p>NPO法人として活動するためには、株式会社同様、さまざまなコストがかかる。そのため、安定した収入源を確保できるかどうかが活動をし続けるために重要となる。しかし、収入面での課題を抱えるNPO法人は多い。</p><p>この記事では、NPO法人の主な収入源と共に、安定した収入源を作るためのヒントを紹介する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b584599c9e8cf2b76e485c3872a0e4fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人の主な収入源</h2><p>NPO法人には、株式会社と比べて多様な収入源があり、団体によって何を主な手段としているかは異なる。内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では、次のような結果が出ている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-1-1.png"><p>NPO法人（認証NPO法人※）で最も多いのは「会員からの会費収入」で23.7パーセント、続いて「行政からの委託、または指定管理者として業務」が20パーセント、「行政から助成金・補助金」が19.1パーセントという結果になっている。</p><p>一方で認定NPO法人（※）・特例認定NPO法人（※）は、「個人や民間（企業）からの寄付金」が25.3パーセントと最も多く、寄付をする側とされる側ともに税制上の優遇措置があることが大きな理由と考えられる。</p><p>2番目に多いのは「行政からの委託、または指定管理者として業務」で20パーセント、「行政からの助成金・補助金」が14.3パーセントとなり、NPO法人と同様だ。</p><div id="tnf-text-notes-block_d6077def77e8bdc6162669083802ffce" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>認証法人は、所轄庁で認証を受けたいわゆる一般的なNPO法人。認定NPO法人は、NPO法人の中でも厳しい条件をクリアし所轄庁より認定を受けた法人で、さまざまな税制優遇措置が適用される。特例認定NPO法人は設立5年以内のスタートアップを対象にした制度で、認定NPO法人と認定基準や税制優遇措置の範囲、有効期間などが異なる</p></div><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><p>では、NPO法人の主な収入源の内容とそのメリット・デメリットについて見ていこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a83f0fe4c37831df167697530ea42894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.寄付金</h3><p>寄付金とは、団体や個人から、見返りなしで提供される金銭のこと。NPO法人が受け付けていれば、物品や土地、建物などを寄付することもできる。寄付者が亡くなった際に、遺言書によって財産を譲る「遺贈」も寄付の1つだ。</p><p>なお、寄付者が特定の事業や活動などを指定した場合は、用途が制限される。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_327a70538236972457b227036f3474f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.会費収入</h3><p>会員から支払われる費用のこと。「寄付金」は特定の活動に賛同し提供される傾向にあるが、「会費」はNPO法人の事業活動そのものに共感し提供されるもの。用途に制限なく、自由度が高い。月会費や年会費といった形で安定した収入が見込めるのもメリットが大きい。</p><p>また、会員は、主に次の2種類に分類される。</p>正会員：総会で議決権を持つ構成員のこと（「社員」ともいう）賛助会員：議決権を持たない会員のこと<h3 id="tnf-text-heading-block_5f7d6a4fd4f5ffa28c79779fc8884493" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3.事業収入</h3><p>非営利活動や、物品の販売やサービスの提供などの収益事業によって得られる収入で、重要な資金源の1つ。NPO法人は、一般企業（営利団体）のように利益を追求するのではなく、収入を得ることで活動資金や人件費を賄っている。</p><p>NPO法人が行う事業には、基本的に法人税や事業税などは発生しないが、法で定められた34業種の収益事業を行う場合は、法人税が課せられる。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_012b76a6009e4eddafaceab11e7229eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-4.助成金・補助金</h3><p>国や自治体、企業や財団などの支援団体などが実施する資金援助制度のこと。設立直後や新たな事業を始める際の資金調達として役立つ。申請後、それぞれに設けられた所定の条件を満たせば支給される。</p><p>あくまで一時的な資金のため、安定した収入源とはいえない点を理解しておこう。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人が活用できる助成金は？ 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_1868d469a34a5156469f00f581974041" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-5.委託事業による収入</h3><p>国や自治体から委託されて行う事業で得られる収入のこと。行政では手が回らない保健や福祉といった分野で委託する場合が多く、例えば、子どもや困窮者などを対象とする支援活動のような直接収入を得ることが難しい事業を行う際に、重要な活動資金となる。</p><p>金額は大きい傾向にあるが、単年で委託が終わってしまうケースもあるため、継続した事業を行う場合は頼り過ぎないよう注意したい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_dc141ff764baf8da5f570350682d1c44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人の収入源に関する課題</h2><p>内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、NPO法人が抱える課題として「収入源の多様化」を挙げた団体が39.8パーセントに上った。また、NPO法人の収益内訳では「事業収益」が81.4パーセントを占めており、収入源に偏りが見られる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-2-1024x842.png">NPO法人が抱える課題。出典：内閣府「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」p11<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-3-1024x738.png"><p>また、活動を継続させるための資金調達に課題を抱えるNPO法人も少なくない。株式会社のように設立資金は不要だが、事業を運営のための資金は必要だ。運営資金が不足し、個人からの借り入れで賄っている場合もある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_16fdeed4fbb926b45b486edbe09c0842" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人が安定した収入源を確保するために</h2><p>前段で触れた資金面での課題を解決するためには、安定した収入源を複数確保することが重要だ。NPO法人でどのような活動を行うかによって、中心となる収入源は異なる。</p><p>例えば、子どもや困窮者を対象とした支援活動では、直接収入を得ることは難しい。しかし、活動内容に共感が得やすいため会費や寄付金が募りやすかったり、助成金に申請したりして収入源を確保することができる。</p><p>一方で、ものづくりの技術支援や保育事業などはサービスを提供することで直接収入が得やすい。この場合は事業収入が基盤となるだろう。</p><p>このように、取り組む活動が「寄付型」なのか、あるいは「事業型」なのかを理解して、基盤となる収入源を決める。その上で、他の資金調達を行うことで、バランスよく収入源を確保することができるだろう。</p><p>ここからは、主に寄付金や会費、事業収入について、安定して確保するためのポイントを紹介しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_69bde4c54f1af6020e25c4585f94962a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.寄付金や会費を集めるためには</h3><p>内閣府NPO、が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、NPO法人の69.2パーセントが寄付に対して「特に取り組んでいることはない」と回答。また55パーセントは個人からの寄付がない状況であり、取り組みを行う重要性がうかがえる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-4-1024x644.png">NPO法人の寄付への取り組み。出典：内閣府「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」p41<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-5-1024x740.png"><p>一方で、認定NPO法人と特例認定NPO法人は、前述の「収益内訳」の図にある通り収入のうち寄付金の占める割合が48.2パーセントで、事業収入のみに依存していない。実際に、寄付を集めるためにさまざまな取り組みを行っており、それが成果につながっていると考えられる。</p><p>同調査では、認定NPO法人、特例認定NPO法人が次の4つの取り組みを主に行っていることが分かった。</p>寄付金の受け入れ状況や用途に関する資料を作成し、公表しているSNSを活用し情報を発信している紙媒体やインターネットなどの広告で、寄付金を呼びかけしているイベント実施等による対面などで、直接寄付を呼びかけている<p>また、寄付金のお礼として、お礼状や活動報告、無料の会報を渡している認定NPO法人も多い。そうすることで、継続した寄付につながる可能性が高くなる。</p><p>このような取り組みは、会員を増やす取り組みとしても有効といえる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_228688c6643e27b92452d9f9bd125158" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.寄付金の決済方法を増やす</h3><p>決済手段が豊富なことで、多くの人から寄付を集めやすくなる。例えば、現金払いにしか対応していない場合、手数料がかからないといったメリットはあるが、遠方の人は寄付することができない。</p><p>ホームページに寄付専用ページを設けて、銀行振込やクレジットカード、電子マネー、コンビニ払いなど複数の決済方法に対応させると、より多くの人が支援しやすくなるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_358a93d363b53a8a6bb006a34888fe08" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.寄付できる方法を増やす</h3><p>時代の変化に伴い、寄付の形も多様化している。より多くの人に届けるために、寄付できる方法を増やすのもおすすめだ。</p><p>ここからは、いま注目される寄付の仕組みについていくつか紹介する。</p>3-3-1.クラウドファンディング<p>プロジェクトを立ち上げた人や団体に対して、それに共感した不特定多数の人が資金を提供する仕組みだ。社会貢献性の高い事業を行うNPO法人にとって相性の良い資金の調達方法といえる。</p><p>資金提供者に対して、物品や権利を提供する「購入型」、利子や配当を提供する「金融型」が一般的だが、対価を提供しない、あるいは少ない「寄付型」もある。</p><p>例えば、非営利のための寄付募集サービスである、<a href="https://congrant.com/jp/lp_crowdfunding.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「コングラント」（外部リンク）</a>や社会課題の解決に特化したクラウドファンディングサービス<a href="https://readyfor.jp/apply/social/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「READYFOR」（外部リンク）</a>などがよく知られており、領収書の自動生成システムや寄付金の管理機能など、寄付を集めるのに便利な機能も設けられている。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109911/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">寄付者にはお礼が重要？ 寄付金管理を楽にする「コングラント」に、NPOに必要なことを聞いた（別タブで開く）</a></p>3-3-2.マンスリーサポーター制度<p>毎月、定額の寄付でNPOやNGOの活動を継続的に支援するのが「マンスリーサポーター制度」だ。安定した収入源として見込めるだけでなく、定期的なお知らせや報告を行うことで支援者との関係を深めることができるのも魅力といえる。</p><p>ほとんどの団体で、クレジットカードや口座振替など自動引き落としを採用しているため、支援者にとっても負担なく寄付が続けられ、若年層にも受け入れられやすい傾向にある。活動に参加している実感や一体感も生まれやすいため、ボランティアや職員といった将来的に団体の運営に関わる人材の入り口としても活用できる。</p>3-3-3.ふるさと納税制度<p><a href="https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/nposhien/350881.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">広島市（外部リンク）</a>や<a href="https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1297517/seidoannaiver.2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">鳥取県（外部リンク/PDF）</a>のように、ふるさと納税の寄付先として申請できる自治体がいくつかある。</p><p>ただし、自治体によって申請条件が異なる場合があるため、ホームページを確認しよう。例えば、<a href="https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/kifu/kifu/furusato-tax_shien.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">渋谷区（外部リンク）</a>では「認定NPO法人」が対象となっている。</p><p>また、申請から寄付の募集開始までに数カ月かかる場合もある。そのほか、申請書類や寄付募集の方法がいくつかあり、手続きが複雑なため、各自治体の担当窓口へ相談するのもおすすめだ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_70c258fc8c27672d068909da29ec9daa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人が抱える課題として、「収入源の多様化」を上げる団体が多い。継続して活動に取り組むためには、安定した収入源を複数にわたって確保することが重要といえる。</p><p>特に、寄付金や会費はNPO法人が主体となって行動しなければ集まらない。そのために、SNSやホームページで活動内容の発信や報告、寄付への呼びかけを積極的に行うことが、安定的な組織の運営につながるだろう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><p></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>男女ともに訪れる更年期。少しでも快適に過ごせるよう症状の仕組みと治療法を学ぶ</title>
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      <pubDate>Tue, 03 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>40代、50代の女性の多くが更年期症状を抱え、男性も心身の疲労をきっかけに症状が現れることがある</li><li>「年齢のせい、我慢すべき」と考え、症状があるにもかかわらず、受診しない人が多い</li><li>更年期には適切な治療法があることを知り、更年期について気軽に話せる環境が必要</li></ul><p></p><p>最近、「疲れが抜けにくい」「気分の浮き沈みが激しい」「集中力が続かない」、そんな変化を感じることはありませんか。</p><p>それは単なる年齢やストレスではなく、更年期によるホルモンバランスの変化が関係しているかもしれません。更年期は40〜50代の女性に多いイメージがありますが、近年では男性にも更年期症状が現れることが知られるようになってきました。つまり、更年期は誰にとっても無関係ではない身近な健康課題なのです。</p><p>40代から50代を中心に、女性ホルモンの減少によって心身にさまざまな不調が現れる更年期。近年では、女性だけでなく男性にもホルモンバランスを崩すことによって症状が現れることが知られるようになってきました。</p><p>2024年の経済産業省の調査（※）では、更年期症状による国内経済損失は年間約3.1兆円に上るとされています。更年期症状によって仕事や生活に影響を受ける人が少なくないという現実が浮かび上がってきます。</p><p>こうした状況から、更年期は個人の健康問題にとどまらず、社会や企業も向き合うべきテーマとなっています。一方で、更年期に対する正しい知識や治療法は、まだ十分に浸透していません。</p><p>この記事では、<a href="https://www.ho.chiba-u.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">千葉大学医学部附属病院（外部リンク）</a>で産科・婦人科を専門とし、2024年に泌尿器科医の佐々木春明医師と共に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』（主婦の友社）を監修・刊行した甲賀かをり（こうが・かをり）先生に、更年期の仕組みや症状、向き合い方について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_5eb1dbb3c93c6abbdf9a391186f17e7d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：経済産業省「令和6年2月 女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00015-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_5a978f72dcf465466f1820e3ae9500e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">男女で異なる、更年期の時期とホルモンの変化</h2><p>――まず、女性が更年期になりやすい時期や仕組みについて教えてください。</p><p>甲賀先生（以下、敬称略）：女性の場合、更年期とは、閉経前の5年間と、閉経後の5年間を合わせた約10年間と定義されています。</p><p>日本人は、50歳前後で閉経する人が多いため、更年期の時期は45歳から55歳が平均的です。更年期になると、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン（卵巣ホルモンの1つ※）」が、乱高下を繰り返しながら減少していきます。</p><p>この急激なホルモン変動によって現れる不調が更年期症状です。</p><div id="tnf-text-notes-block_e13a21f125a757a79e07b6011ddfed5b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エストロゲン」とは、子宮内膜を増殖させて妊娠の準備を整える卵巣（女性）ホルモンのこと</div><p>――次に、男性が更年期になる時期やメカニズムについて教えてください。</p><p>甲賀：男性の場合は、女性と違って決まった時期があるわけではありません。</p><p>通常は「テストステロン（※）」という男性ホルモンの値が、20代をピークに緩やかに下がっていきます。ただ、ストレスや疲労が蓄積することで、急激に減ってしまうことがあるんです。すると、さまざまな更年期症状が現れてきます。</p><p>テストステロンは早ければ30代から減少するので、若いうちから症状が出る人もいますね。</p><div id="tnf-text-notes-block_a32517c3a4818eb7c396cf537dc2199b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「テストステロン」とは、主に精巣で作られる男性ホルモンのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00013-1024x680.jpg">女性は閉経が近づくと、女性ホルモンの分泌量が急激に減る。一方、男性の場合、男性ホルモンが緩やかに減少していくのが特徴<h2 id="tnf-text-heading-block_4c574c9d8a3aa87d0fd904d44ef76c03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">気づきにくい更年期のサインと症状の個人差</h2><p>――更年期になったと分かるサインはありますか。</p><p>甲賀：女性の場合だと、閉経してからでないと正確には分かりませんが、月経の変化がサインになります。</p><p>更年期が始まると、月経周期が不規則になり、日数が短くなったり、長引いたり。経血量が以前よりも減ったり増えたり、といった変化があります。40代に入ったら「もしかしたら更年期かもしれない」と意識しておくとよいでしょう。</p><p>一方、男性の場合は分かりやすいサインが少ないため、自分でも気づかないうちに症状に悩まされている人も多くいます。</p><p>――更年期になると、どんな症状が出るのでしょうか。</p><p>甲賀：女性の場合は、ホットフラッシュと言われる異常な発汗をはじめ、関節痛、肩凝り、不眠、めまい、頭痛、手足の冷え、不正出血、疲れやすい、といった身体症状が現れることがあります。</p><p>加えて、不安感、抑うつ、イライラする、といったメンタルの不調に悩まされる人もいます。症状には個人差があり、ほとんど症状を感じない人もいますね。</p><p>ただし、厚生労働省の調査（※）によると、50代女性の約4割、50代男性の約1割が日常生活に支障をきたすほどの更年期症状を抱えているんです。こうした重い症状は「更年期障害」と呼ばれます。</p><p>そして、男性の更年期障害は、医学的に「LOH症候群（加齢性腺機能低下症）」と呼ばれています。主な症状には、やる気がなくなる、気分が塞ぐ、イライラする、食欲不振、性欲の低下、不眠、集中力や記憶力の低下などがあります。これらの症状はうつ病とよく似ており、見分けがつきにくいというのが注意点です。</p><div id="tnf-text-notes-block_0426d4ea97bc9e9478069ffd4496da5e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」（2022年）</div><p>――女性で更年期症状が出る人と出ない人には、どんな違いがあるのでしょうか。</p><p>甲賀：年齢とともに女性ホルモンが減少する生理現象は誰にでも起きることですが、体質によってはその変動が少ない人もいます。緩やかに減少していくと体が対応できるため、症状が出にくいのです。</p><p>また、体の変化に敏感な人もいれば鈍感な人もいます。同じようにホルモンが減少していても、感じ方によっては気にならず、「症状がない」と感じる人もいますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00012-1024x655.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_5e815a60936a4e7eaafa79d5d973d02b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">受診につながりにくい理由と、予期せぬ疾患の可能性</h2><p>――更年期症状が出る人は、日常生活でどんなことに困るのでしょうか。</p><p>甲賀：私は婦人科に勤めているのですが、女性の患者さんで、ホットフラッシュで汗が止まらず、職場や家庭でお困りの方がたくさんいらっしゃいます。</p><p>暑い時期だけでなく、寒い時期でも汗をかくのでいつもタオルが手放せませんし、洋服が濡れてしまって着替えなければならないことも。「大事な場面で汗をかいたらどうしよう」と心配になって、仕事に集中できないこともあるでしょう。</p><p>寝ている間も汗をかくので、夜中に何度も目が覚めてしまう人もいます。ぐっすり寝られないので、体が休まらず、次の日の活動にも影響が出ます。ほかにも関節痛の症状によってパソコン作業がしづらくなった、料理ができなくなったという声も聞きます。</p><p>2021年のNHKの調査（※1）では、更年期症状を理由に仕事を辞めた人が、女性で9.4パーセント、男性で7.4パーセントいることが分かりました。一方で、これだけ日常生活に支障が出ているにもかかわらず、厚生労働省の調査では（※2）、医療機関を受診している人は10パーセント以下にとどまっています。</p><div id="tnf-text-notes-block_8311012da0fdba7e214f0ac3ae435b3d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.参考：NHK「更年期と仕事に関する調査2021」※2.参考：厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果（2022年7月26日）</div><p>――症状が出ていても治療に結びついていないのは、なぜでしょうか。</p><p>甲賀：まだまだ多くの人が「年齢のせい」「我慢するもの」と思っているからです。また、治療法があることは知っていても、ホルモン剤での治療に抵抗があることで、受診をためらう人もいるようです。</p><p>男性の更年期に関しては、女性と比べて認知度が低く、そもそも「男性に更年期があることすら知らなかった」という人が多いのも実情です。</p><p>知っていても、「更年期だと認めたくない」という気持ちがあり、受診につながらないことも。周囲の人に相談するハードルも、女性よりずっと高いのではないかと思います。</p><p>――更年期であることを言い出しづらいという背景があるのですね。</p><p>甲賀：そうですね。ただ、何か症状がある場合に「更年期だ」と自分で決めつけてしまうのも危険です。というのも更年期とみられる症状の中には、ほかの疾患が隠れていることもあるからです。</p><p>――どんな疾患が隠れている可能性があるのでしょうか。</p><p>甲賀：例えば、更年期によくあるホットフラッシュやほてり、動悸は、甲状腺疾患の代表的な症状でもあります。</p><p>ほかにも月経不順だと思っていたら、子宮体がんによる不正出血だったというケースも。これらが発症する年齢は更年期の時期と重なるため、更年期症状だと思い込んで重大な疾患を見落とさないように注意が必要です。</p><p>ですので、お困りの症状があれば医療機関を受診してほしいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00006-1024x916.jpg">男性には明確な更年期のサインがなく、自分でも気づかないうちに、症状に悩まされがち<h2 id="tnf-text-heading-block_ce7fd31c25e2bcb1344ae4f4b8e76500" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">減少したホルモンを補充する治療で症状は改善していく</h2><p>――女性の更年期症状には、どんな治療法があるのでしょうか。</p><p>甲賀：更年期で減ってしまったホルモンを補う「ホルモン補充療法」が主な治療法です。</p><p>治療薬には飲み薬や貼り薬、ジェルタイプの塗り薬があります。どれも効き目は同程度ですが、飲み薬よりは皮膚から摂取する貼り薬や塗り薬のほうが、副作用が出にくいことが分かっています。</p><p>――貼り薬や塗り薬もあるんですね。手軽に始められそうです。</p><p>甲賀：貼り薬は腹部に貼ることが推奨されていて、目立たないので取り入れやすいと思います。塗り薬は腕や太ももなどに塗るのが一般的です。</p><p>「皮膚がかぶれやすい人には貼り薬ではなく塗り薬」「飲み忘れの心配がある人には持続期間が長い貼り薬」というように、ライフスタイルや体質に合わせて使い分けできるようになっています。</p><p>使用する薬剤の種類や量は、患者さんの年齢や症状、月経の有無や持病、これまでにかかった病気などを考慮しながら、医師が慎重に判断します。</p><p>――「ホルモン補充療法」ではどのような効果が得られるのでしょうか。</p><p>甲賀：多くの人は2カ月ほどで症状が軽快していきます。なかでも、ホットフラッシュや動悸などの症状は改善が早く、数日で効果が出る人もいます。</p><p>治療を始めることで、更年期以降の健康維持にもつながるので、症状を我慢せず、早めに受診することをおすすめします。</p><p>実は、エストロゲンが低い状態が長く続くと、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクが高まります。ただし、半年から1年ほど治療を続けることで、徐々に骨密度が上がっていくんです。</p><p>――「ホルモン補充療法」のリスクについて教えてください。</p><p>甲賀：かつてはホルモン剤の投与によって、乳がんのリスクが高まるといわれていましたが、今では乳がんになるリスクはとても少ないことがデータでも明らかになっています。</p><p>ただし、「ホルモン補充療法」を受けられない人もいます。その一つが乳がんの既往歴がある患者さんです。そのほかにも、慎重な投与が必要とされるケースがガイドラインで定められています。</p><p>「ホルモン補充療法」に限らず、漢方による治療を行っている病院もあります。自分の体質や症状に合った治療法を、医師と相談しながら選んでいくことが大切です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00004.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00005-1024x640.jpg">更年期障害の治療には、カウンセリングや漢方、抗うつ薬や不安薬といった治療の選択肢もある。画像出典：日本女性医学学会「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」<h2 id="tnf-text-heading-block_e375659181dacaaa7a5891c3ba042f18" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">気づきにくい男性の更年期。受診の目安はセルフチェックできる</h2><p>――男性の更年期症状には、どのような治療がありますか。</p><p>甲賀：男性は「テストステロン補充療法」が有効です。2週間から4週間に1回の通院で筋肉注射を行います。保険適用ではありませんが、自由診療で飲み薬もあります。男性の場合も効き目には即効性があります。</p><p>――更年期症状があれば、すぐに医療機関に相談したほうがよさそうですね。</p><p>甲賀：生活に支障が出るような症状があれば、迷わず受診しましょう。受診の目安として、更年期症状をセルフチェックできる質問票を活用することができます。</p><p>女性は「SMIスコア（簡略更年期指数）」、男性は「AMSスコア（男性更年期障害質問票）」が代表的です。身体的・精神的症状に関する質問に答え、合計点数から症状の程度や受診の必要性を判断することができます。</p><p>――何科を受診すればよいでしょうか。</p><p>甲賀：女性は婦人科に相談してみてください。専門外来を設けている専門機関もありますし、日本女性医学学会のホームページには専門医が在籍する医療機関が掲載されていますので、参考にしてみてください。</p><p>男性の場合は、泌尿器科でも更年期を扱っていないことがあるため、「LOH外来」や「男性更年期外来」と掲げている医療機関を調べて受診することをおすすめします。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00003.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00002.jpg">男性が自身の更年期症状を判断できる「AMS スコア（男性更年期障害質問票）」。出典・参考：日本泌尿器科学会／日本 Men’s Health 医学会 「LOH 症候群診療ガイドライン」検討 ワーキング委員会「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」<h2 id="tnf-text-heading-block_6165acb4ec1dc4c567f639c3b6898b1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">更年期は自分の人生を見直し、生活習慣を整えるチャンス</h2><p>――治療以外に、日常生活で気をつけられることはありますか。</p><p>甲賀：大前提として、規則正しい生活を送ることが大切です。バランスの良い食事をとり、適度な運動をして夜にぐっすり眠る。それが自律神経を整えることにもつながります。</p><p>男性の場合、年齢を重ねると職場以外の人とのコミュニケーションが減ってしまう傾向があるので、ワクワクできる趣味を始めたり、新しい人間関係を築いたりすることが、更年期の症状を乗り越えるために大事なポイントです。</p><p>――更年期について知られてきたとはいえ、職場や家庭など日常の会話の中では話題にしづらいと感じます。</p><p>甲賀：更年期に対する職場や社会での認識を変えていく必要がありますよね。タブー視されているとまでは言いませんが、扱いづらいテーマであることは確かです。ただし、更年期は誰にでも訪れるものですから、理解し合うことが大切です。</p><p>そのためには企業側の努力も必要です。例えば、更年期についてのセミナーや勉強会を開き、福利厚生の一環として取り入れていけば、更年期を迎えても元気に働き続けられる人が増えていくはず。また、若い人たちが準備できるような啓発活動も求められていると思います。</p><p>――同じように家庭でも、更年期について話せるようになるといいですよね。</p><p>甲賀：そうですね。もし身近な人が更年期かもしれないと思ったら、「更年期なんじゃない？」と指摘するのではなく、「治療法があるみたいだよ」と教えてあげてほしいです。普段の何気ない会話で伝えることができれば、きっと素直に受け止めてもらえると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00010-1024x566.jpg"><p>――甲賀先生は医師として診療にあたり、また大学院で教授を務める傍ら、更年期の正しい知識を広める活動にも力を入れているそうですね。</p><p>甲賀：まず、書籍『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』（主婦の友社）を出版したことで、「本を読んで治療を始めました」「家族が更年期だと気づきました」という声も多く、更年期の知識を広めることに役立てたのではないかと思っています。</p><p>そして、日本女性医学学会の理事として、ガイドブック「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」の制作にも携わりました。治療法を考える際の参考資料として、活用いただければと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>――これから更年期を迎える人たちは、どんな備えが必要でしょうか。</p><p>甲賀：更年期には、つらい症状が現れることがありますが、効果のある治療法は確立されていますので、対処できるものとしてポジティブに受け止めてほしいです。</p><p>まずは、更年期がどんなもので、どんな治療法があるのかを知るために、アンテナを張っておくことが大事。心の準備をしっかりしておけば必要以上に恐れなくて済みます。</p><p>そして、更年期はこれからの人生を考える準備期間でもあります。自分が何に価値を置いて生きていきたいのか、その先の人生をどう楽しむのか。自分の生活リズムや時間配分を工夫できるチャンスでもあります。</p><p>そんなふうに考えて、更年期を前向きに捉えていきましょう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00014-722x1024.jpg">日本女性医学学会「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」.2023 より。許可を得て転載</div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00001-1024x726.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_42a9104005c42913a59f8fbfb85cace3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">更年期を迎えた人たちが暮らしやすい社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>更年期を迎えた人たちが暮らしやすい社会をつくるために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスを甲賀先生に伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e3ad204c21eb3f080bf7d60c47839ea1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］更年期は誰にでも訪れる変化だと理解する</h2><p>更年期は、誰にでも訪れる。個人差が大きく、日常生活に支障を来たすようなつらい症状が出ることもあるため、周りの人は配慮を心がける。また、女性だけでなく、男性にも症状が現れることがあることを、本人も周囲も理解しておくことが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4eb52c95a9e016ee2f474880d3968653" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］更年期について気軽に話せる環境をつくる</h2><p>更年期の話題をタブー視せずに、職場や家庭で気軽に話題にできるような環境を整えていく。症状に悩んでいる人がいれば、「まずは病院に相談してみたら」「治療で楽になることもあるよ」と声をかけてみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_59481dfb93e8288cbf63e90850159422" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］治療法があることを知れば、適切な受診につなげられる</h2><p>更年期症状には、すでに効果的な治療法が確立されています。対処できるものだと知ることが第一歩。症状が現れ始めたらチェックリストを活用して状況を把握し、治療が必要なタイミングで医療機関を受診してみる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>両親が中高年になり、「もしかしたら更年期なのでは」と感じる場面が増えてきました。身近な人であっても話題にしづらい更年期について正しく知りたい、そして、いずれ更年期を迎える若い世代にも情報を届けたいと思い、取材を申し込みました。</p><p>更年期にはさまざまな症状があり、仕事や生活に支障をきたすことがある。その一方で、効果のある治療法が確立されていることはあまり知られていません。先生の話を伺って、更年期に対する漠然と感じていた不安が解消されました。</p><p>そして今、更年期に悩んでいる人が適切な治療へとつながるよう、身近な人たちに悩みを打ち明け、情報を共有し合える関係性や環境を構築することが大事なのだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>年38万円の通信制大学「ZEN大学」が切り拓く「学修者本位の教育」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119499/education</link>
      <pubDate>Thu, 26 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>学費高騰や教育格差に対し、年38万円の完全オンライン教育で学びの門戸を開く</li><li>教育者本位の壁を壊し、学生が社会で役立つ力を自ら選んで伸ばせる環境を構築</li><li>単なる学歴取得の場を超え、自分を更新し仲間と高め合う自由な学びの共同体を目指す</li></ul><p></p><p>学費の高騰や地域による教育格差、偏差値を軸とした評価のあり方など、日本の教育はさまざまな課題を抱えています。こうした状況を背景に、株式会社ドワンゴと日本財団の提携により、2025年4月、「年間授業料38万円」を掲げる新しい通信制大学<a href="https://zen.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ZEN大学」（外部リンク）</a>が開学しました。</p><p>今回は同大学を運営する学校法人日本財団ドワンゴ学園理事長の山中伸一（やまなか・しんいち）さんに、既存の大学システムでは対応しきれなかった層や、画一的な学びに違和感を持つ若者たちに対し、ZEN大学がどのような選択肢を提示しているのかを伺います。</p><p>また、実際にZEN大学で学ぶ3名の学生にもインタビューを行いました。なぜ彼らは従来の全日制・通信制大学ではなく、新しい学びの場を選んだのでしょうか。当事者のリアルな声を通して、現代における「大学のあり方」と、自分らしい学び方を選ぶ意味を探っていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_11676b272b2796abf667b0c8c498c9b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ZEN大学が目指す、「学修者本位」の教育とは？</h2><p>――現在の学校教育が抱える課題をどのようにお考えですか。</p><p>山中さん（以下、敬称略）：現在の学校教育の現場では、教育者が「何を教えたいか」を主軸に据えた、いわば教育者本位の仕組みが続いています。</p><p>特に大学では、専門的な知識を授けることが目的とされるあまり、教える側の論理が優先され、学生が何を学びたいのか、そのためにどのような力を身につけ、伸ばしていくべきかという、学修者本位の視点が十分に反映されていないと感じています。</p><p>大学教育においては、教える内容そのものも重要ですが、それ以上に「社会の中で使える力をどれだけ身につけられたか」が問われるべきだと数十年前から指摘されてきました。</p><p>それにもかかわらず、現在もなお「教えること」自体が重視される傾向が強く、結果として、学生が実社会で活躍するための実践的なスキルを修得する機会が限られているのが現状です。</p><p>そこで私たちは、「学修者本位」の教育現場を目指してZEN大学を創立しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00002.jpg">社会で活躍する人材を育成したいと語る山中さん<p>――「学修者本位」の教育とは、具体的にどのようなものでしょうか。</p><p>山中：ZEN大学では、学部を「知能情報社会学部」の1つに絞っています。AIやデジタル技術が社会のあらゆる分野に浸透するなかで、これからの社会を支える基盤となる知識や考え方を、分野横断的に学べる設計にしました。</p><p>具体的には、「数理」「情報」「文化・思想」「社会・ネットワーク」「経済・マーケット」「デジタル産業」という6つの分野から、学生一人一人が学びたい科目を自由に選択できる仕組みを採っています。</p><p>これは、オンライン大学だからこそ可能になった学び方で、授業はオンデマンド形式で、決められた時間に縛られることなく、学生が自分のペースで受講できます。各学期に定められた科目数を履修し、単位認定試験に合格することで単位を修得します。</p><p>多くの科目の中から何をどのように学べばよいか迷わないよう、学修（※）モデル例を提示しているほか、履修計画の立案や学修上の相談窓口としてクラス・コーチを配置しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_975140132d04b7de90396cd719834c6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※学習は「教わる・学ぶ」という行為。学修は「自ら考え、主体的に学び続けること」に重きを置いた表現</div><p>現在、ZEN大学には約4,000人の学生が在籍しています。教員だけで一人一人の学びを支えるのは難しいため、ティーチング・アシスタントやアカデミック・アドバイザーが学修を支援する体制を整えています。</p><p>こうした仕組みにより、学生の理解度をデータとして把握し、その結果をもとに授業内容を改善し、ブラッシュアップすることで、教育の質を高めることにつながると考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_f34aa8e34c19a43ad34fcff3e529fbb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://zen.ac.jp/support/study" target="_blank" rel="noopener">ZEN大学「学びのサポート 」（外部リンク）</a></div><p>――ドワンゴと日本財団の提携により、どのような取り組みが可能になったのでしょうか。</p><p>山中：オンライン教育は社会との関わりが薄いと思われがちですが、私たちはそのイメージを払拭したいと考えています。ZEN大学では、学生の8割以上を占める10代・20代の若者が、学びながら実社会で働く力を養うことを重視しています。</p><p>オンライン大学は時間を自由に設計できるため、『学びながら働く』ことが可能です。その実践の場を広げる上で、日本財団の存在が大きな役割を果たしています。</p><p>具体的には、日本財団が全国に持つ自治体や企業、NPOとの広大なネットワークを活用し、学生が多様な社会課題解決プログラムに参加できる仕組みを整えました。初年度の夏から約100種類のプログラムを展開しており、多くの学生が実際に現場での経験を積んでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00005.jpg"><p>――先ほどのお話にもありましたが、日常的に学生同士が交流する機会はあるのでしょうか。</p><p>山中：学生同士のコミュニケーションを支える仕組みとして、チャットツールであるSlackを導入しています。Slack内では同じ関心や趣味を持つ学生が集まる場として、学生自身が自発的にサークルを立ち上げており、例えばイラストサークルには約240人（ 2026年月時点）の学生が参加し活動しています。</p><p>オンラインを超えたコミュニケーションの場としては、学生たちが企画・運営を担う大学祭を開催しています。ドワンゴが主催する「ニコニコ超会議」内で開催するもので、2026年度はオンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド形式で実施する予定です。</p><p>今後も、学生同士がつながり、帰属意識を持てるような場を提供したいと考えているところです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00006.jpg">ZEN大学の大学祭2025年の様子。画像提供：ZEN大学<h2 id="tnf-text-heading-block_e9167d33e99d50b34be63c6a78a7202c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ZEN大学に実際に通う3名の学生にインタビュー</h2><p>――ここからはZEN大学で学んでいる山本一男（やまもと・かずお）さん、金田明幸（かねだ・あきゆき）さん、小辻桃果（こつじ・ももか）さんにお話を伺います。なぜ数ある選択肢の中から、ZEN大学を選んだのでしょうか。</p><p>山本さん（以下、敬称略）：私は親の介護や地域の市民活動に携わっており、特定の場所や時間に合わせて通学することは物理的に困難でした。</p><p>ZEN大学はオンデマンド型で、場所を選ばずに学べる環境が整っている点に魅力を感じました。また、国立大学並みに授業料が抑えられていることも、シニア世代の私が、もう一度新しい世界へ飛び出すための大きな後押しとなりました。</p><p>金田さん（以下、敬称略）：社会人として約30年働いてきましたが、これまでは仕事に追われ、休日はただ疲れて寝ているだけの、ルーティン化した生活を送っていました。そんな現状を打破したい、何か社会的に認められることをしたいという思いから、大学で学びたいと考えるようになったんです。</p><p>以前、別の通信制大学を検討したこともありましたが、試験のたびに指定の場所へ通う必要があると知り、継続は難しいと感じました。その点、ZEN大学の「すべてオンラインで完結する」仕組みであれば、現実的に卒業を目指せると確信しました。</p><p>小辻さん（以下、敬称略）：もともと同じN高グループの高校に通っていたので、ネットで学ぶ効率の良さや、時間的な自由度の高さを実感していました。</p><p>高校卒業の時点で将来を1つに絞りきれなかった私にとって、ZEN大学の学びの選択肢の広さは非常に魅力的でした。以前通っていた全日制高校では、往復2時間の通学による乗り物酔いに悩まされていたこともあり、そうした身体的な負担がないことも、入学を決めた大きな理由です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00007.jpg"><p>――学生同士の交流はありますか。</p><p>金田：地域連携プログラムや日本財団のゼミなどを通じて、他大学の学生とも交流しています。つい先日も、世界最難関と言われるミネルバ大学の学生と直接対話する機会がありました。世界を旅しながら学ぶ彼女らの姿勢や、優秀な若者たちの熱量に触れ、自分の凝り固まった常識が揺さぶられるような強烈な刺激を受けました。</p><p>小辻：福島での1カ月の共同生活や学祭実行委員としての活動など、交流の機会は意外と多いです。目標を共有していれば、物理的な距離があっても強い結びつきを感じられます。</p><p>山本：Slackでの交流が中心ですが、文字だけでは孤独感や誤解も生じやすいため、自らサークルを立ち上げました。将来は地元の滋賀に仲間を招くなど、リアルな交流も広げていきたいです。</p><p>――入学後の変化や気づきはありましたか。</p><p>金田：優秀な若者たちの圧倒的な熱量に触れ、彼らと対等に議論し続けるには「知的な体力」が必要だと痛感しました。そこで生活習慣をアンラーニング（見直し）して10キロの減量に成功。身軽になった心身で、現在は机上の空論で終わらせないよう、福祉施設でのフィールドワークなど「現場」に飛び込む活動に挑戦しています。</p><p>山本：「学びには年齢の制限がない」と実感しました。過去の経験が学びによって「点から線」へとつながり、人生の答え合わせをしているような感覚です。</p><p>小辻：勉強は机でするものだと思っていましたが、知識を即座に実社会で試す経験を通じ、学び・仕事・遊びは全て地続きなのだと気づきました。</p><p>――ZEN大学は社会にどう影響すると思いますか。</p><p>金田：多忙な社会人にとって、完全オンラインと手厚いサポートの両立は、諦めていた大卒資格取得を可能にする希望となります。</p><p>山本：事情を抱え、学びを断念した人にとっては扉を開くきっかけになるはずです。また、社会側もオンラインという形式ではなく、そこで何を身につけたかという本質を評価する文化が必要になるでしょう。</p><p>小辻：学費が抑えられることで、家庭の事情で進学を諦めるということが減ると思います。若者が学費のためのアルバイトに追われず、興味のある活動に時間を使えることは社会のプラスになるはずです。</p><p>――皆さんにとって「大学」とは、どんな存在でしょうか。</p><p>金田：単なる資格取得の場ではなく、これまでの経験や古びた知識を一度捨てる「アンラーニング」の場だと考えています。知識を増やして武装するのではなく、減らして身軽になることで、最後に残る「物事の本質」のようなものを見つけたいですね。</p><p>山本：大学とは、物理的な校舎や長い歴史に依存するものではなく、学びたい意志を持つ人たちの共同体だと思います。卒業後もOB会を立ち上げて、ZEN大学で生まれた出会いを、これからも大切にしていきたいですね。</p><p>小辻：私にとって大学は、自分をアップデートするための「自由な遊び場」だと思っています。実社会とは違って、失敗してもやり直せる。自分のやりたいことを仲間やメンターに聞いてもらったり、とことん話し合えるところが魅力です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c023a827f7d8454d3b884f755930867a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">さまざまな学びを通して、社会で活躍する力を付けてほしい</h2><p>――改めて、山中さんに伺います。「就職予備校化」と言われる従来の大学のあり方に対して、ZEN大学はどんな役割を担おうとしているのでしょうか。</p><p>山中：ZEN大学の最大の強みは、従来の通学制大学に比べて固定費を大幅に抑制できる点にあります。1万4,000人規模の学生を受け入れるための巨大な校舎を維持する必要がない分、学費を低く設定できるのです。</p><p>年間の授業料は38万円で、日本財団の協力による奨学金制度も整えています。地域によっては、進学に伴う引越し費用や家賃、通学費といった経済的負担も大幅に軽減できるでしょう。</p><p>ただし、学費が安いだけでは不十分です。日本社会では依然として「大学を卒業して就職する」というモデルが主流ですから、採用側から「この大学の卒業生は確かな実力を備えている」と信頼される学生を育てることも不可欠です。開学1年目の現在はまだスタート地点ですが、実社会で通用する力を養える大学を目指していきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00003.jpg">ZEN大学の未来について話す山中さん<h2 id="tnf-text-heading-block_fa6ab8c4ae701d398396903a37233e76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">可能性を広げる教育のために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、可能性が広がる教育のために、私たち一人一人ができることを山中さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_566c991dabc9b7c5defc663853293f48" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］オンライン授業や通信制に対する先入観をなくす</h2><p>過去のネガティブなイメージにとらわれず、11人に1人が通信制高校に進学し、リモート授業が当たり前となった現実を知る。固定観念を捨て、実際に学ぶ学生たちの姿をありのままに見ることが大切</p><div id="tnf-text-notes-block_8ff5cf972b11f004add9d8513804d676" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109823/education" target="_blank" rel="noopener">高校生の11人に1人が通信制高校へ。多様化するカリキュラムと高まるニーズ（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_1db7a3aab49363c8e995919b2ea223e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「どの大学か」ではなく、その人が「何を学び、何に挑戦しているか」に目を向ける</h2><p>大学の価値を、偏差値や知名度といった外形的な評価だけで判断するのではなく、「その人がそこで何を学び、どんな挑戦を重ねているのか」という本質的な視点で捉えるようする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c653ebe2c1e9de9865a9a8c74c1c8eae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］通信制のオープンキャンパスや文化祭に参加し、学生たちの声に耳を傾ける</h2><p>実際に学ぶ人と触れ合うことで、外側からでは見えにくかった学びの実態がぐっと身近になる。それが、自分自身の学びの選択肢を広げるための確かな第一歩となるはず</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>2025年に開学したZEN大学。既存の通信制学校との違いを伺いたく、今回、取材に至りました。</p><p>70代の山本さんが「人生の答え合わせ」と語り、若者の小辻さんが「自由な遊び場」と表現する。その横で金田さんが「強烈な刺激を受けた」と目を輝かせる。画面越しに並ぶ彼らの姿に、大学とは本来、年齢や場所で区切られるものではなく、同じ志を持つ「学びの共同体」なのだと強く実感させられました。</p><p>ZEN大学の試みは、教育格差を埋めるだけでなく、誰もが何度でも人生を再スタートできる社会への、大きな一歩になるのではないでしょうか。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <title>寄付に安心があたりまえの社会へ——日本非営利組織評価センター・佐藤大吾さんが進める「グッドギビングマーク制度」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119745/donation</link>
      <pubDate>Wed, 25 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPOは「市場原理」では救えない人々を支援し、寄付や助成金を主な資金源とする</li><li>「信頼の欠如」が最大の壁。健全なNPOであっても「ネットのうわさ」に悩まされている</li><li>第三者が客観的に審査する「グッドギビングマーク制度」が信頼の新基準になっている</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>あなたは「NPO」と聞いて、どんな印象を持ちますか？</p><p>社会のために活動している大切な団体だと思う一方で、「何をしているのか分かりにくい」「本当に信頼できるの？」と感じたことはないでしょうか。</p><p>NPOは、行政や企業だけでは手が届きにくい社会課題に向き合う、いまの社会に欠かせない存在です。でも活動内容が見えにくいことから、評価や信頼を得づらく、資金や人手が集まりにくいという現実もあります。</p><p>そんな課題を変えようと、NPOの信頼性を“見える化”する取り組みを進めているのが、公益財団法人 日本非営利組織評価センター（以下、JCNE）です。第三者の立場からNPOを評価し、2025年春には信頼性を認証する「グッドギビングマーク制度」をスタートさせました。</p><p>理事長の佐藤大吾（さとう・だいご）さんは、25年以上にわたりNPOの現場を見つめ続けてきた人物。「NPOがもっと信頼されれば、社会はもっと良くなるはず」と考え続けてきました。</p><p>NPOの信頼性が高まると、私たちの暮らしはどう変わるのか。寄付やボランティアは、もっと身近なものになるのか。誰もが生きやすい社会をつくるために、私たちにできることを佐藤さんに伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_3701098787bf761defcf0ecc92e51d20" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPOは「受益者負担の原則」が成立しない領域を担う、社会に不可欠な存在</h2><p>——そもそも現代社会において、「NPO」の必要性とはどこにあるのでしょうか。</p><p>佐藤さん（以下、敬称略）：最近は株式会社であっても、単なる利益の追求にとどまらず社会課題の解決を目指す「パーパス経営（※）」を掲げる企業が増えています。ただ、NPOとの決定的な違いは「ビジネスモデル」にあります。</p><p>例えば、おにぎりを作っている会社は、代金を「食べる人」からいただきます。おにぎりという商品を受け取る人が、代わりに金銭を支払う「1対1の関係」が成立している。これを私は「受益者負担の原則」と呼んでいます。この原則が成立するのは株式会社の世界です。</p><p>しかし、ホームレスを支援する活動では、おにぎりを提供しても食べる人から代金を回収できません。こういった分野では、原材料費や人件費などのコストを、寄付や助成といった「おにぎりを食べない第三者」に負担してもらわなければなりません。</p><p>このような「市場原理が成立しない分野」が世の中には確実に存在しています。そこで採算性に縛られず、寄付という善意のお金を使って助けを必要としている全ての人に対して活動できることが、非営利組織であるNPOの社会における必要性だと思っています。</p><p>――市場原理で救えない人々をサポートするのは「行政」の役目では？　と考える人もいるかもしれません。NPOだからこそできる役割についてお聞かせください。</p><p>佐藤： 行政の支援が追いつかない場所というのは確実に存在します。そこでNPOは先んじて現場に入り、当事者の抱えるリアルな課題を知って、解決のモデルを先行実装できます。最終的にはそのデータをもとに政策を提言し、社会全体の制度を更新していくことができます。</p><p>特定の誰かを助ける「点」の活動を、より多くの人々、つまり「まだ出会っていない不特定多数」にも支援が届くよう社会全体の仕組みに変えていく。この「次の公共」をデザインすることこそが、NPOの本質的な役割であると私は考えています。</p><p>ここで重要なのは、「他人の善意の資金を預かる」仕組みで成り立つ組織にとって、信頼は活動の「基礎」であり、存立するための前提条件だということです。</p><p>どれほど立派な活動をしていても、運営の安心感が伝わらなければ支援という名の「善意の水」は流れてきません。「信頼」というインフラを整えることがあって初めて、NPOは社会を変えるスタートラインに立てるのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_a558da939054a9706f8d2f90edef542a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「パーパス経営」とは、社会における存在意義（Purpose）を明確にし、それを軸として事業を行う経営モデルのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_3.jpg">社会におけるNPOの役割について語る佐藤さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_4.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_73c6415df5ecf728a4c4e46b0539b7f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「文化は変えられる」。 星取り表で見えた、日本に足りない「評価の仕組み」</h2><p>――佐藤さんは25年以上にわたり、一貫してNPOの運営や資金調達に携わって来られました。その根底にある思いについてお聞かせいただけますか。</p><p>佐藤： 始まりは、大学生時代に企業向けインターンシップ事業を行う株式会社を立ち上げたことです。そのうち、議員事務所や行政、NPOでもインターンを体験したい、という要望が届くようになりました。</p><p>しかし双方に利がある企業インターンシップと違って、これらの組織は学生を受け入れるための予算を持っていません。「1対1の関係」ではビジネスが成立しないです。</p><p>やむを得ず赤字覚悟で実施したところ、学生や受け入れ先からは非常に好評で、「後輩にも体験させたい」「うちにも学生を紹介してほしい」という問い合わせがたくさん届きました。</p><p>社会的ニーズは高いのに、資金の問題で続けられない。この構造を何とかしたいと考えた時、大学の恩師で「NPO法」の制定に関わった山内直人（やまうち・なおと）教授から「その不採算部門を切り離して、NPO法人にしてみたら」と助言をいただきました。そうして生まれたのが私の最初のNPO法人ドットジェイピーでした。</p><p>その後、NPOの経営者仲間が増えて行くなかで、彼らの多くが共通して資金面の悩みを抱えている事実に直面します。というのも、株式会社であればベンチャーキャピタルからの出資や銀行融資といったファイナンス手法が確立されています。しかし、当時のNPOには寄付や助成金などの限られた手段以外に、まとまった資金を調達する術がほとんどありませんでした。</p><p>――その原体験が、NPOがどうやって運営資金を獲得していくか、という課題意識につながった、ということでしょうか。</p><p>佐藤：海外に目を向けると、驚くほど規模が大きく、多くの寄付金を集めて安定した運営を行っているNPOがたくさんあります。日本の環境と何が違うのか、解決策を探るために日本・アメリカ・イギリスの寄付環境を比較する星取り表を作りました。</p><p>よく「英米はキリスト教で寄付文化があるからお金が集まるんだ」という声も聞きます。しかし、日本でも伊勢神宮の式年遷宮の際には数百億円以上も寄付が集まります。問題の本質は「宗教」の違いではありませんでした。比較の結果、明らかな違いが現れたのは「ルール」と「ツール」でした。</p><p>例えば、いただいた寄付金の財務情報を公開する「ルール」。英米では義務化されていますが、当時の日本では役所に行かなければ閲覧できず、ウェブ公開の義務もありませんでした。また、ネットで簡単に寄付決済ができる「ツール」についても、英米では当たり前に整備されていましたが、当時の日本ではまだ使えませんでした。</p><p>こうした×印をひとつずつ○に変えていけば、日本にもNPOに対する寄付文化が根付くはず。それが私の立てた仮説でした。そして、星取り表の中に残った日本に足りない大きな仕組みの1つが、「第三者による非営利組織の評価機関」の存在です。</p><p>――確かに、日本ではいまだに「NPOは資金をどう使っているか分からない」といったイメージを持たれやすい現状があります。「第三者による評価の欠如」についてどのような課題を感じていますか。</p><p>佐藤：昔から「マネーロンダリングにNPOが使われている」といった都市伝説のような話がありますが、実際にはほとんど事件化されていません。</p><p>しかし、権威のある人物が「理論上はあり得る」と言うだけで一般の方は信じてしまいますし、「あのNPOはうさんくさい」といったネット上のうわさ話に対抗するのは至難の技です。NPO自体が「当団体は潔白です」と言ったところで、本人による証明には客観性が伴いません。</p><p>実際にあった事例ですが、あるNPOが銀行融資を申し込んだ際、銀行側がネット調査の過程で怪しい書き込みを見つけ、事実確認もないまま「お断り」で終わってしまったことがありました。融資の担当者はわざわざ「これは本当ですか？」なんて聞いてくれません。団体には反論のチャンスすら与えられません。</p><p>これはあまりに理不尽で悔しいことです。だからこそ、私たちのような第三者が支援者や銀行、企業に成り代わって、あえて「耳の痛い話」まで含めて徹底的に調査を行います。そういった事実確認の上で「チェック済み」というお墨付きを出すことができれば、それが健全な団体をフェイクニュースや誹謗中傷から守る「盾」になります。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_5.jpg">2024年JCNEが実施した「NPOの信頼性に関する3,000名の意識調査」。およそ5人に1人しか『NPOを信頼していない』ことが分かった。画像提供：公益財団法人 日本非営利組織評価センター</div><h2 id="tnf-text-heading-block_08475300bab38d3aa3c7d1d5890c81e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「グッドギビングマーク」は支援者を守り、健全な団体を支える「盾」</h2><p>――不当な攻撃から団体を守る「盾」という発想は、今の時代非常に重要ですね。その具体的な仕組みとしてスタートした「グッドギビングマーク制度」について教えてください。</p><p>佐藤：ひと言で言えば、NPOが適切なガバナンスを行っていることを専門の評価員が客観的に証明する「信頼の証」です。最大の特徴は、これまで私たちが取り組んできた「NPOの信頼性向上」という目的に加え、「支援者保護」を明確な目的に掲げている点にあります。</p><p>金融業界には、一般の預金者や投資家がプロにだまされないための「預金者保護」「投資家保護」という厳しいルールがあります。対して、寄付の世界ではこうした概念が希薄でした。</p><p>善意でお金や時間を差し出している支援者が、もし不適切な運営によって裏切られたとしたら、金銭的にも心理的にも大きなショックを受けます。そこで専門知識を持たない一般の方に代わって、第三者機関であるJCNEが事前に「身体検査（KYC）」を済ませておこう、という発想です。</p><p>――具体的には、どのような基準で審査されているのでしょうか？</p><p>佐藤：大きく5つのカテゴリー、14の基準で審査します。例えば「団体確認・ガバナンス」では、理事会が形骸化せず適切に機能しているか。「コンプライアンス」では、不正経理やハラスメント対策、そして特に企業や行政が重視する「反社会的勢力との断絶」ができているか。「資金管理・情報公開」では、寄付金の使途が透明で適切に管理されているか、といった点を確認します。</p><p>これは「素晴らしい団体を表彰する」性質のものではありません。他者の資金を預かる組織として「当たり前のことが当たり前にできているか」を証明する、いわば組織の健康診断のようなものです。マイナス要素を持つ団体を排除し、安心を担保するための「フィルター」だと考えてください。</p><p>――「グッドギビングマーク」を取得することで、どのようなメリットがありますか。</p><p>佐藤：まず、企業や助成団体にとっては、独自の審査コストを大幅に削減できるメリットがあります。というのも、制度設計の段階で企業500社へのアンケートや膨大な助成申請書を分析し、各社・助成団体が共通して確認している項目を抽出しました。その結果、基礎的な団体審査を一括代行できる仕組みが完成しました。</p><p>現在、このマークを審査に活用している助成プログラムの年間総額は614億円に達しており、いわば信用調査のシェアリングサービスのような機能を果たしています。実際に認証を受けたNPOからも、「自ら潔白を証明するのは難しかったが、第三者がやってくれるのでありがたい」という声をいただいています。</p><p>団体側にとっては、客観的な評価基準によって信頼性を示せることが大きなメリットです。そして一般の寄付者やボランティアの方にとっても、「この団体は第三者のチェックを受けている」という安心感が得られます。支援先を選ぶときの判断材料になりますし、「寄付をしたいけどなんとなく不安」とためらっていた方の背中を押すことにもつながります。</p><p>――この制度が広く定着した先に、佐藤さんはどのような社会の姿を描いていますか。</p><p>佐藤：同じ基準で全ジャンル、全地域の団体を評価することで、NPOの中でも「相場観の醸成」ができると考えています。</p><p>例えば、「人件費の割合は何パーセントが妥当」といった正解は基本的にありません。ただ、さまざまな団体のデータを蓄積して見せることで、寄付者や助成団体、企業といった支援する側が、自分なりの考えや判断の尺度を持つことができるようになります。その助けになる役割を果たしたいんです。</p><p>NPOにとっても、「人件費が高過ぎるのではないか」などの疑問を投げかけられたとき、類似団体との比較データを見せることができれば、根拠を持って説明できます。これによって、NPOが政府や企業と対等に渡り合える土壌が整いますし、政策提言もしやすくなります。</p><p>今は「マークを取得している団体が目立つ」状態ですが、いずれは「取っていない団体がおかしい」と思われるレベルまで逆転させたい。そのためにはまず、企業や助成団体の方に「マークの有無を確認してください」と働きかけ続けています。</p><p>最終的な目標は、信頼情報の公開が当然の義務となる社会へと進化させていくこと。NPOを単なる「善意の集まり」から、現場、政策、市民をつないで「次の公共」を設計する社会変革のインフラへと変えていく、それがJCNEのミッションだと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_6.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_759c19525d18a2f9169c3e121eb8c09e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して支援できる社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>社会課題に取り組むNPOを安心して支援できる社会にするために、私たち一人一人にできるアクションを佐藤さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a3bda46ff53b263bf2a351cb54dd284d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］少額でいいので、寄付を体験してみる</h2><p>寄付は「社会のために何かしたい」という善意によって行われるもの。自分にお金が返ってこない行為を人はなかなか選ばないかもしれない。だからこそ、まずは少額でいいので実際に寄付をしてみること。それによって自分の心がどう動いたか、寄付した団体からどのような反響があるかを実体験することが寄付文化をつくる最初の一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_65f857f4862ad18114c6e03922103065" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］支援の現場でボランティアやインターン体験をする</h2><p>世の中には膨大な社会課題があり、一人の力は無力であるように思えることも多い。しかしボランティアなどで実際の支援現場に足を運んでみると、社会課題のリアルを肌で感じることができるほか、「自分にできる等身大の支援」がうっすらと見えてくるはず。この「私にもできる」という感覚を多くの市民が持つことが、社会を変える力になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6fb6602ae59914d56fe5000f2394d1e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］支援団体に「なぜグッドギビングマークを取らないのですか？」と問いかける</h2><p>支援者からの問いかけによって、NPO側には「ガバナンスをきちんと整えなければ……」と意識変革を促す良いプレッシャーが生まれる。支援者からのこういった問いかけが増えることで、信頼情報の公開がNPOにとって「当然の義務」である、という世の意識が醸成され、より安心して支援ができるインフラが整っていく</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_7.jpg">NPOを安心して支援できる社会づくりのヒントについて教えてくれた佐藤さん<div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材を通じて、佐藤さんが繰り返し強調されていたのは「文化は変えられる」という言葉でした。</p><p>「150年前まで日本人は牛肉を食べていなかったけれど、今では当たり前に食べています。星取り表の×を○に変えていけば、寄付の文化も必ず根づくはず」。その言葉から、NPOの信頼向上に腰を据えて取り組もうという強い信念が伝わってきました。</p><p>もし、疑念によってせき止められていた「善意の水」が、社会の隅々まで流れ、NPOが「潔白の証明」という重荷から解放されたら？　彼らの本来の役割である「まだ出会っていない不特定多数」を救うための仕組みづくりが加速していく、そんな未来が見てみたいと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e0f280287730a81aa251f31dd6d74160" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">佐藤大吾（さとう・だいご）</h2><p>佐藤大吾（さとう・だいご）</p><p>1973年大阪生まれ。大阪大学在学中に起業、その後中退。1998年、NPO法人ドットジェイピーを設立。大学生を対象に、議員事務所・大使館・NPO等でのインターンシッププログラムを全国で展開。これまでに5万人が参加し、約250人が議員に就任するなど、社会的リーダーを多数輩出。2010年、英国発の世界最大の寄付サイト「JustGiving」を日本に誘致し、日本代表に就任。国内最大規模の寄付プラットフォームへと成長させる。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授、大阪芸術大学客員教授、公益財団法人日本非営利組織評価センター理事長、NPO法人ドットジェイピー 理事長、一般社団法人42Tokyo副理事長兼事務局長など兼任。</p><p><a href="https://goodgiving.jcne.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">グッドギビングマーク制度 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 12 Aug 2026 13:23:20 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「私がいなくなったら、この子はどうなる？」病気や障害、8050問題を抱える家族の不安に向き合う「親なきあと」相談室とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119434/disability</link>
      <pubDate>Tue, 24 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>病気や障害のある人の多くは親と同居しており、親は自分が亡くなった後の子どもの生活に不安を抱えながらも、その不安は多岐にわたるため、相談に踏み出しにくい</li><li>引きこもり状態の方は、福祉や医療につながっていないケースもあり、親が亡くなった後に社会とのつながりを失うリスクが高い</li><li>「親なきあと」問題は高齢化が進む日本社会全体の課題。全国どこでも同等の支援を受けられる体制が必要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>病気や障害のある人のうち、親と同居し、日常的に介助や支援を受けて生活している人がたくさんいます。そのため、親は、「将来自分がいなくなった後、この子はどうなるのか」という不安を抱えています。</p><p>しかし、住居の確保や金銭管理、身の回りの世話や医療へのアクセスなど、課題があまりに多岐にわたるため、どこに、何を相談すべきかが分からないまま時間だけが過ぎていく……という現状があるのも事実です。</p><p>こうした背景を受け、大分県で障害児・者や高齢者への支援を行う<a href="https://oitaswo.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人 大分県社会福祉事業団（外部リンク）</a>は、2017年から県内6カ所に「親なきあと」相談室を開設。家族だけでなく、本人の相談を受け止め、専門家と連携した支援を展開しています。</p><p>この取り組みは「おおいたモデル」と呼ばれ、日本財団と協働して全国に広げる活動も始まっています。</p><p>この記事の前半では、「親なきあと」相談室を運営する同事業団の久保田明義（くぼた・あきよし）常務理事、矢野和彦（やの・かずひこ）さん、後藤寛子（ごとう・ひろこ）さんの3人に、後半では日本財団の事業担当者である箕輪拓真（みのわ・たくま）さんに、「親なきあと」問題の実情と、社会全体や私たち一人一人が取り組むべき支援について話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00002.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00006-1024x576.jpg">「親なきあと」相談員を長年担当している後藤さん（左）、相談室の立ち上げに関わった久保田さん（真ん中）、「おおいたモデル」事業の総括コーディネーターを務める矢野さん<h2 id="tnf-text-heading-block_3864aa83306aac724e9bae10840cc102" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「親なきあと」問題は、親が元気なうちから始まっている</h2><p>前半では、大分県社会福祉事業団の久保田さん、矢野さん、後藤さんに、「親なきあと」問題の実情や、「親なきあと相談室」での活動について伺います。</p><p>――「親なきあと」問題とはどういうものか、概要を教えてください。</p><p>久保田さん（以下、敬称略）： 病気や障害のある方で、一人では金銭管理や意思決定ができなかったり、身の回りのことに介助が必要だったりする場合、日常的に支援をしてきた親を失った後に生活全般にわたる課題に直面してしまうことを指します。</p><p>この問題がなぜ深刻かというと、将来の不安を抱えながらも、具体的な備えに踏み出せない状況が少なくないからです。</p><p>その背景には、親が元気なうちに死後のことを考えるのは縁起が悪いと感じたり、身近な人に相談しづらかったりする事情があります。さらに、「住居」「福祉」「法律」「お金」「医療」など、悩みの分野が多岐にわたるため、どこから手をつけるべきかが分からず、必要な準備を先送りにしてしまうということがあります。</p><p>また、この問題は必ずしも「親が亡くなった後」に始まるわけではありません。親が高齢化したり、病気になったりして、これまで通りのサポートができなくなった時点で、すでに問題は顕在化していると言えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_b5855f23f0e4204f44390503b27bed04" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">親の死によって引き継がれにくくなる、ケアの情報</h2><p>――病気や障害のある方の親が亡くなった後、具体的にはどのような困り事が生じるのでしょうか。</p><p>久保田：1つは、情報の断絶です。例えば、意思表現や意思決定ができない方をケアしていた母親が急に亡くなったケースでは、通っている病院はどこか、どんな薬を飲んでいるのか、障害者手帳や通帳はどこにあるのか、といった本人の情報をほとんど把握できていません。</p><p>同居していない兄弟姉妹や親戚がいたとしても、そういった情報が分からなければ、本人の意思を尊重した支援ができなくなり、人生が望まない形に誘導されてしまう恐れがあります。</p><p>後藤さん（以下、敬称略）： そういった医療や財産に関わる大きな問題のほか、日々の暮らしの中で生じる困り事もあります。</p><p>例えば、福祉作業所（※）に自転車で通っている障害のある子どもに対し、雨の日は母親が車で迎えに行き、自転車を積んで帰るという習慣を続けている家庭があります。</p><p>しかし、母親も高齢になり、「この先、車の運転ができなくなったらどうすればいいのだろう」と不安を抱えながら、具体的な解決策が分からないという相談もあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_cea4b19419964806122874cd965b01ea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「福祉作業所」とは、障害者の就労支援のための施設の1つ</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00010-1-1024x483.jpg">障害のある子どもの将来に向けて、支援者に知ってほしいことをまとめるノート「わが子の記録」の表紙（左）。医療情報（真ん中）・生活スタイル（左）。そのほか福祉関係情報などを記載できる。画像提供：社会福祉法人大分県社会福祉事業団<h2 id="tnf-text-heading-block_f27d3f1f89c2de0f2c19318f5ca1d0f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「親なきあと」問題は引きこもり状態の家族がいる家庭も抱えている</h2><p>――病気や障害のある方とその親のほかに、「親なきあと」問題の影響を受ける人はいますか。</p><p>後藤：兄弟姉妹といった、いわゆる「きょうだい児（※）」が抱える負担も存在します。「親がいなくなったら、次は兄弟姉妹がケアを担う」という前提で、親や親戚、福祉の支援者が接してしまうことがあります。</p><p>しかし、兄弟姉妹にも自分の仕事や結婚、育児といった人生があるため、親と同じようにケアを担えるわけではありません。離れて暮らしている場合はなおさらです。</p><p>親は「いつか頼まなければ」と思いながらも切り出せず、兄弟姉妹はプレッシャーを感じながらも本音を言えない。そういう重圧が、家族のコミュニケーションを難しくさせてしまうんです。</p><p>矢野さん（以下、敬称略）：引きこもり状態の家族がいる方も「親なきあと」問題を抱えています。</p><p>引きこもり状態の場合は福祉サービスとのつながりがなかったり、医療機関にもかかっていなかったりするケースもあるため、社会から見えない存在になりやすいんです。親が元気なうちは生活が成り立っていても、親がいなくなった途端に本人は社会とつながる術を失ってしまうリスクがとても高いと言えます。</p><p>――こうした「親なきあと」問題の深刻さに気づき、相談室をつくろうと思ったきっかけを教えてください。</p><p>久保田：2015年度に当法人が行った調査の中で、障害者の家族会の方々から「高齢になったときに（子どもの）その後のことが心配だ」「気軽に相談できる場所がほしい」という声を数多く聞きました。</p><p>ただ、私たちは福祉を専門としており、お金や法律の問題には対応できません。そこで、いち早く「親なきあと」問題に着目し、東京で「親なきあと」相談室を立ち上げていた行政書士の渡部伸（わたなべ・しん）さんに相談してみることにしました。</p><p>その時、「悩みを解決する道筋が分かるだけでも安心する方が多い」「相談室は、具体的な解決をするよりも、適切な専門家につなぐことが大切」と教えていただいたんです。こうした方針をもとに、2017年1月に「親なきあと」相談室を開設しました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>後藤：私たちの相談室では「親なきあと」問題に関する研修を受けた「親なきあと」相談員が、家族の漠然とした不安を受け止め、必要に応じて専門家につないでいます。</p><p>大切にしているのは、解決を急がない、こちらが決定権を持たないという姿勢です。まずはお話を聞いて、「ここでちゃんと話を聞いてもらえた」という安心感を持っていただくことを重視しています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00007-683x1024.jpg"></div></div><div id="tnf-text-notes-block_208f053a9cfbef397500d26f889c835f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「きょうだい児」とは、障害者を兄弟・姉妹に持つ子どものこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_684535b2049f385d220e651d7ff98783" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不安を受け止め、適切な専門家へとつなぐ「おおいたモデル」</h2><p>――相談室の利用者や、寄せられている相談内容についてお聞かせください。</p><p>後藤：開設後から2025年度までの相談実績は251件で、相談対象となる方は20代から70代まで幅広い年代です。相談室を訪れるのは50代から80代の保護者が中心ですが、相談対象者の配偶者やきょうだい、親戚のほか、ご本人からのご相談もあります。県内在住者が主ですが、中には県外からインターネットで調べてお問い合わせいただくケースもあります。</p><p>お悩みの内容は、遺言書の作成や成年後見制度（※1）、年金の申請、相続など多岐にわたります。</p><p>ただ、「成年後見制度を利用したい」という具体的な目的があるというよりも、「成年後見制度って実際どうなのか話を聞いてみたい」「前に相談した社労士さんとは相性が合わなかったけれど、障害年金を申請したいと考えている」というように、気持ちや考えの整理を求めている方が多いと感じます。</p><p>――行政や専門家と連携して支援をする「おおいたモデル」の特徴や強みについて教えてください。</p><p>矢野：「おおいたモデル」の特徴は、私たちのような地域に根差した社会福祉法人が相談窓口となり、障害福祉（※2）に理解のある弁護士や司法書士、社会保険労務士、税理士などの専門家へと適切につなげていく仕組みにあります。</p><p>そして、こうした連携を一部の担当者にとどめず、養成を通じて地域内の相談員を増やし、法人内だけでなく地域全体へと広げている点が強みです。養成研修では、福祉の知識だけでなく、法律やお金の基礎知識についても学べるよう、さまざまな専門家の方に講師として関わっていただいています。</p><p>社会福祉協議会（※3）や相談支援事業所、行政の窓口担当者にも研修を受けていただき、地域として同じ視点で支援ができる体制づくりを進めています。</p><p>――専門家と連携し、相談員を養成することで、地域にはどのような変化が生まれていますか。</p><p>久保田：専門家の方々とは毎年欠かさず連携会議を行っています。年数を重ねる中で「親なきあと」問題全体に対して、それぞれの立場から主体的に意見を出してくださるようになっています。互いの立場や専門性への理解を深めることで、社会課題に向き合う意識や対応の質が高まっていると感じます。</p><p>矢野：こうした関係性を土台に、相談員と専門家が横につながり、専門性を高め合いながら、ご利用者に安心をお届けする。</p><p>大分県内にある6カ所の相談室を中核に、地域の相談員、そして専門家へとつながる重層的な体制が「おおいたモデル」の強みです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00001-1024x576.jpg">「親なきあと」相談室の連携図。画像提供：社会福祉法人大分県社会福祉事業団<div id="tnf-text-notes-block_cef73f98d09b73d145697fd2e409c127" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「成年後見制度」とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人（「後見人」等）を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度のこと※2「障害福祉」とは、障害のある方が自らの望む生活を営むことができるように支援すること※3.「社会福祉協議会」とは、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織</div><h2 id="tnf-text-heading-block_14f1deac0fe2c370dec2995fca889a8b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">早い段階から日常の中で相談できる、地域に浸透した相談室</h2><p>――今後、「親なきあと」相談室をどのような形で発展させていきたいとお考えですか。</p><p>久保田：親が元気なうちから、気軽に足を運べる場所として、より多くの方に知っていただきたいです。</p><p>将来的には、病気や障害のある家族、引きこもり状態の家族を持つ方などが、日常の小さな困り事を気軽に相談でき、地域とつながるきっかけになる場所になれればと考えています。</p><p>矢野：それを実現するには、地域への浸透が欠かせません。</p><p>人はどうしても目の前の自分のやるべきことで精一杯になり、他人のことまで考える余裕を失いがちです。しかし、こうした問題を「我が事として考える」瞬間を増やしていくことが、「お互いさま」で助け合える社会の土台になるのではないでしょうか。</p><p>「親なきあと」相談室の存在が広く知られることで、困っている人に「あそこに相談してみたら」と声をかける、そんな小さなおせっかいが自然に生まれやすくなります。</p><p>後藤： そのためには、地域の中に相談員を増やし、身近な場所で気軽に話せる環境を整えていくことが必要です。大きな問題を抱えてから訪れるのではなく、日常の小さな不安から解消していける場所がいくつもあることが、本当の意味での安心につながるのではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_22a10c0b2b8e601d8fb289d41c552251" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">当事者としての実感から見えた、包括的な支援の必要性</h2><p>日本財団では、2025年度から<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/%20after-parental-support" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「親なきあと」サポートプロジェクト（外部リンク）</a>を立ち上げ、「おおいたモデル」の「親なきあと」相談室の全国普及と制度化を目指す同事業団を支援しています。後半では、同プロジェクトを担当する日本財団の箕輪さんに、全国展開の意義と今後の展望について伺います。</p><p>――日本財団が「親なきあと」サポートプロジェクトに取り組む背景を教えてください。</p><p>箕輪さん（以下、敬称略）： 日本財団が実施した全国調査では、障害者の家族のうち85.5パーセントが「親なきあと」の不安を感じていることが分かりました。一方で「親なきあとの準備ができずにいる」という人が4割程度いました。</p><p>また、「準備している」と回答した人でも、準備内容としては資金面（預貯金、生命保険等）が最も多く、住まい、「わが子の記録」のようなノートの作成、遺言書の作成といった障害者の「親なきあと」の生活に関する準備ができているという人は少ない結果となりました。</p><p>この背景には、日本の福祉制度が障害者本人へのサービス提供を中心としており、親が高齢化したり亡くなったりした場合の準備を含む、家族への支援が限定的であるという課題があります。</p><p>実は私自身も「親なきあと」問題の当事者です。重度知的障害のある妹がいて、親が日常的なケアを担ってきたのですが、ある日、突然倒れたことがあって。親からは「申し訳ないけど……もし、何かあったらあとは頼むね。」と言われたものの、妹の障害者手帳の保管場所はおろか、どこの、どんな障害福祉サービスを利用しているのかさえも分かりませんでした。</p><p>障害福祉サービスのことなら自治体の障害福祉課に行けば何とかなるかもしれませんが、親が亡くなってしまった場合の相続手続き、保険手続きやライフプランニング、金銭管理といった福祉領域以外の相談はどこに行けばいいのか。いろいろと考えを巡らせる中で強い不安を感じるとともに、ワンストップで包括的に相談できる場所の必要性を痛感しました。</p><p>そうした時、渡部伸さんや大分県社会福祉事業団が運営する「親なきあと」相談室を知りました。とりわけ、私が「おおいたモデル」に着目したのは、地元に根差した社会福祉法人が県内広域で相談室を運営し、障害者支援に理解のある士業の専門家とも連携しているところです。</p><p>地域に信頼されながら、支援のハブとなっている点が素晴らしいと感じ、この体制を全国に広げる必要があると考えたのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00005-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_57fff3897657c41c7fb1f15ea609b9eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">全国に広がる「親なきあと」相談室。国による制度化を目指して</h2><p>――全国展開に向けて、プロジェクトではどのようなことに取り組んでいますか。</p><p>箕輪：まずは、この「おおいたモデル」を全国10カ所に広げることを目指しています。</p><p>具体的には、大分県社会福祉事業団が実施する相談員の養成講座・テキストの開発、広報、ネットワーキングに対して助成支援を行い、各地域で相談室を立ち上げる準備を進めています。目下の課題は持続可能性です。</p><p>全国には、士業やライフプランナーなどの専門家が、ボランティアで「親なきあと」相談を受け付けている事例もありますが、無報酬での支援には限界があります。どの地域でも均一な支援を届けられるよう、国の制度化を目指すのが最終的な目標です。</p><p>そのために、まずモデル地域で有効性を示し、その成果をもって「家族を支える仕組みが必要だ」と提言していく予定です。</p><p>制度化を実現するためには、この取り組みに共感し、一緒に運営してくれる自治体や団体を増やしていく必要があります。市の障害福祉課内に「親なきあと」相談室を設置した栃木県宇都宮市、業務委託で「親なきあと」相談を実施している大阪府八尾市など、ニーズの高まりを感じる動きも出てきているので、今後も働きかけを続けていきます。</p><p>他にも、「わが子の記録」のような素晴らしいノートをベースに、親が持つ貴重な支援・療育情報を「親なきあと」の次の支援者へ引き継ぎ、更には支援者間での情報共有・連携を可能にするプラットフォーム（アプリケーション）の開発と公的サービスとしての導入を目指しています。</p><p>また、当財団の調査で重度知的障害者の家族が「親なきあと」の住まいに関する支援の充実を求めているということも明らかになりました。</p><p>全国の入所施設やグループホームの待機者が2万2,000人以上いることを踏まえると、重度障害者でも入居可能なグループホーム、共生型、循環型（移行型）、重度訪問介護を活用した一人暮らし、シェアハウスなど地域に多様な選択肢がある状態をつくることが急務であると考え、この課題についても積極的に取り組んでいきたいと考えています。</p><p>――「親なきあと」相談室を全国に広げていく上で、どのような社会を目指しているのでしょうか。</p><p>箕輪：まずは障害のある方の家族への支援（家族ケア）として制度を確立する。将来的には、引きこもり状態の方をはじめ、生きづらさを抱える全ての方が利用できる仕組みに発展させたいと考えています。</p><p>福祉制度につながっていない方々の中には、「もう少し早く支援につながっていれば・・・」というケースも少なくありません。そういった方々にも手を伸ばしていけるようにしていきたいんです。</p><p>現在、「親なきあと」相談室を必要としているのは、障害のある方の家族が中心かもしれません。しかし、高齢の親が、障害の有無を問わず子どもの生活を支え続ける状況は珍しくなく、「8050問題（※1）」「老障介護（※2）」といった社会課題も広がっています。</p><p>この「親なきあと」問題は特定の家庭に限られたものではなく、社会全体が取り組むべき課題だと言えます。将来的には困ったときに誰もが利用できる場所になっていくことを目指していきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00008-1024x577.png">日本財団では2025年に、障害がある18歳以上の子供または兄弟がいる家族を対象に「親なきあと」に関する全国調査を行った。障害者の「親なきあと」について、多くの家族が不安を抱える一方、必要な資金や制度の選択肢が分からず、準備に踏み出せていない実態が明らかとなった。画像出典：日本財団「障害者の『親なきあと』に関する意識・実態調査」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00009-1024x577.png"><div id="tnf-text-notes-block_9184a5b9f19a87d404b60c97123e33b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「8050問題」とは、80代の高齢の親と50代の未婚の子どもが同居する中で抱えている生活問題※2.「老障介護」とは、高齢の親が障害のある子どもの介護をし続けること</div><h2 id="tnf-text-heading-block_738b264ee4d7e2723b78dc29f89d349f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">病気や障害のある方の「親なきあと」を支える社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>「親なきあと」問題を社会全体で支えるため、私たち一人一人に何ができるのかについて、久保田さん、矢野さん、後藤さん、箕輪さんに3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ed9a708f2725314ce7e9a86b7e4ae534" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］できる範囲で、地域につながりを育てる</h2><p>「親なきあと」問題を抱える家族は、周囲に悩みを話せず孤立しがちな傾向にある。何気ない挨拶やちょっとした立ち話など、自分のできる範囲で小さな関わりを積み重ねることが、地域にささやかなつながりを育て、当事者家族が抱える不安や悩みを見えやすくする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_21d91fbbf8b6baff06668fc751b25773" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「少しのおせっかい」を恐れず、情報を伝える勇気を持つ</h2><p>相談の仕組みは、必要な人に届いて初めて意味を成すもの。困り事を抱えている人がいたら、少しおせっかいに思われるかも……という不安を乗り越えて、「こんな相談先があるらしい」とそっと伝えるだけでも、課題解決につながる一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ee1e893e255420e7fc04735e38e26ebf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「自分には関係ない」ではなく、社会全体の課題として受け止める</h2><p>「8050問題」をはじめ、「親なきあと」問題の当事者は、病気や障害のある家族を持つ方に限らない社会全体の課題。「自分には関係ない」と線を引くのではなく、困ったときに支え合える仕組みを地域で育てていくことが、誰もが安心して暮らせる社会につながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>病気や障害のある家族のケアを担っていた親が亡くなったときに必要となる手続きや、引き継ぎすべき情報などが想像以上に多いと知ったことをきっかけに、大分県社会福祉事業団に取材しました。</p><p>障害の有無にかかわらず、制度の狭間におかれ、医療や福祉につながれないまま課題を抱え込んでいる人は社会のあちこちに存在しています。そうした複雑な悩みに対して、複数の領域を横断して相談できる「親なきあと」相談室は困り事を抱える人が最初に立ち寄れる「入口」として機能し始めています。</p><p>専門的な支援につながる仕組みを整えることに加え、私たち一人一人が身近な人とのつながりを育むこともまた、孤立を防ぎ、安心して暮らせる環境をつくる一助になるのだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>聴覚障害者の日常に潜むさまざまなリスク。アプリやAIでは代替できない聴導犬の仕事とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119394/disability</link>
      <pubDate>Thu, 19 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>聴導犬は聴覚に障害のある人に「音の情報」を伝え、日常生活や安全をサポートする存在</li><li>聴導犬の認知度は低く、活動頭数も2025年10月時点で52頭と不足している</li><li>「聞こえる」ことを社会全体が意識し、無意識に得ている音の情報の多さを知ることが理解への第一歩</li></ul><p></p><p>「聴導犬（ちょうどうけん）」をご存知でしょうか。聴導犬は、聴覚に障害のある方の生活を支える大切なパートナー。目覚まし時計の音や赤ちゃんの泣き声など日常生活の音から、火災報知器や車のクラクションといった命と安全に関わる音まで、さまざまな音をユーザーに伝え、自立した生活を可能にする役割を担っています。</p><p>しかし、全国で活動している聴導犬は、2025年10月時点でわずか52頭。利用を必要とする潜在的なユーザー数に対して、追いついていないのが現状です。</p><p>その背景には、いくつもの課題が重なっています。聴導犬の育成には多額の費用がかかり、財源の多くを寄付に頼っていますが、認知度の低さから支援の輪が広がりにくい状況にあります。加えて、訓練士や育成に携わる人材も不足しており、聴導犬という仕組み自体がほとんど知られていないのが現状です。</p><p>今回は、<a href="https://www.hearingdogjp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴導犬推進協会（外部リンク）</a>の水越みゆき（みずこし・みゆき）さんに、聴導犬を取り巻く現状や課題、そして支援の輪を広げていくために何ができるのかについて話を聞きました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00003-1.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_1f8be44977e02c4e17b51f5823ca2940" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103443/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">視覚障害者の生活を支える盲導犬。ボランティア不足解消が喫緊の課題（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9da9be7d1210ad4753be707d52ff7c2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「空間」を把握し、命を守る。アプリでは代替できない聴導犬の仕事</h2><p>――聴導犬の役割について具体的に教えてください。</p><p>水越さん（以下、敬称略）：聴導犬の仕事は、日常生活で発生する音に含まれる情報を伝えることです。例えば、「お客様が来た」「冷蔵庫の扉が開いたままになっている」「洗濯が終わった」「赤ちゃんが泣いている」といった音です。</p><p>私たちの生活は、大半が音をきっかけに情報を得る仕組みになっています。緊急時も同様で、火災報知器や緊急地震速報、救急車や消防車など、まず音によって危険が伝えられます。</p><p>聴覚に障害がある人は、生活の中で起きていることを音で知ることはできません。その情報を伝え、生活をサポートするのが聴導犬の役割です。</p><p>――聴導犬は自分のパートナーが「聞こえない」ということを理解しているのでしょうか。</p><p>水越：はい、理解しています。私たちは、聴導犬自身が「この人は音が聞こえない。だから自分が伝えるんだ」という意義を持って動けるよう、訓練しています。</p><p>ひと言で聴覚障害といっても、聞こえ方や生活環境は一人一人異なり、知らせてほしい音も違います。そのため、育成過程では、それぞれのユーザーに合わせて、人の動きや行動、何をしようとしているのかといった意図をくみ取りながら、どの音をどのように伝えるのかを教えていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00001.jpg">聴導犬は日常の中にあるさまざまな音の情報を知らせてくれる。画像提供：公益社団法人日本聴導犬推進協会<p>――「知らせてほしい音」は、どのように決めているのでしょうか。</p><p>水越：基本的には、ユーザーと相談しながら決めていきます。生活環境が変わることで、後から追加されることもあります。 分かりやすい例では、緊急地震速報があります。東日本大震災をきっかけに広く使われるようになった音ですが、こうした新しい音についても、その都度、聴導犬に追加で教えていきます。</p><p>――一般的に、犬は吠えて何かを知らせるイメージがありますが、聴導犬の場合はどのように音の情報を伝えているのでしょうか。</p><p>水越：私たちの協会では、体を触ってから音源に連れていく方法や、「頭の向き」で音の方向を伝えるように訓練しています。例えば、外出中に後ろから何か情報があれば後ろを向きますし、右を向いていれば、右側から音の情報があるといった具合です。</p><p>――最近ではアプリやAIなど技術も進んでいますが、聴導犬ならではの役割はあるのでしょうか。</p><p>水越：実は何年か前に、聴覚障害者のためのアプリを開発したいという企業のお手伝いをさせていただいたことがあります。ただ、話を進めていく中で、最終的には「これは難しいよね」という結論になりました。</p><p>最も大きな理由は、聴導犬は「空間」を把握できるという点です。</p><p>例えば、「この範囲で鳴っている音は知らせるけれど、隣の部屋の音は知らせない」といった判断ができるんです。ホテルに宿泊するときも、「今日はここで過ごすからね」と打ち合わせをすることで、その空間の中で起きる音だけを拾って知らせてくれます。</p><p>こうした空間認識や状況判断は、現在の技術では機械に置き換えることが困難です。</p><p>また、聴導犬はユーザーにとって、精神的な支柱となるパートナーでもあります。この安心感は機械では代えがたいものでしょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32d8e705e60c5c0006600d3a9dc9ddef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">想像しづらい「聞こえない」暮らし。パートナーとして信頼関係を築くまで</h2><p>――聴覚に障害がある方は、外見からは「聞こえない」ことが分からないので、周囲とのコミュニケーションですれ違いが起きてしまうことが多いと聞いたことがあります。</p><p>水越：コミュニケーションの問題は、本当に大きいですね。だからこそ、聴導犬と一緒に社会に出ることには、「『この人は聞こえない』ということを周囲に知ってもらえる」という意味もあると思っています。</p><p>「人工内耳や補聴器などで見分けられるのでは？」と思われるかもしれませんが、全ての方がそういった機器を使っているわけではありませんし、最近はワイヤレスイヤホンと見分けがつきにくくなっているのが現状です。</p><div id="tnf-text-notes-block_8a95d93cd7c4b86026af6e10d345bd8e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102379/disability" target="_blank" rel="noopener">視覚障害者をナビゲートするロボット「AIスーツケース」ってどんなもの？（別タブで開く）</a></div><p>――ユーザー自身も、聴導犬と暮らすためには訓練が必要だと伺いました。</p><p>水越：はい。まずは、どのようなユーザーにも対応できるよう共通の基礎訓練を行いますが、ペアとなる方が決まれば、その方の実際の生活圏に合わせた「個別訓練」へと移ります。</p><p>具体的には、実際の生活の中で「どの音が必要で、どの音は聞き流してよいのか」を、犬に一つ一つ教え込みます。近場なら通い、遠方の場合は数日間泊まり込んで、このプロセスを何度も繰り返していくのです。</p><p>半年ほどかけて犬側の準備が整うと、いよいよユーザー自身も参加する訓練期間に入ります。聴導犬との接し方や、パートナーとなる犬の性格・癖を理解するのはもちろん、社会参加のための実践的なスキルも学びます。</p><p>例えば、日本ではまだ聴導犬への理解が十分とはいえないため、入店を断られた際の適切な説明方法なども、この訓練に含まれます。</p><p>単なるペットではなく耳の代わりを担う存在だからこそ、音の情報を正しく共有し、深い信頼関係を築かなければなりません。そのため、初めて聴導犬を迎える場合、全体で最低でも200時間という長い時間を要するのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00004.jpg"><p>――たくさんの訓練期間を経て、パートナーになるのですね。</p><p>水越：その通りです。社会の一員として活動する以上、最低限のマナーを守ることはもちろん、周囲に配慮しながら聴導犬を適切に導く責任が伴います。</p><p>万が一、ユーザー自身の振る舞いによってトラブルが生じれば、それは個人の問題にとどまりません。聴導犬だけでなく、盲導犬や介助犬を含む補助犬全体に対して、「やはり働く犬を受け入れるのは難しいのではないか」といったネガティブな先入観を植え付けてしまう恐れがあるからです。</p><p>また、パートナーとして一頭の命を預かる重みや、犬の安全を第一に守るという強い意識も欠かせません。だからこそ私たちは、聴導犬を希望される方に対して「それだけの覚悟があるか」という問いを、時間をかけて何度も確認します。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a134c6e0edd54533a2eeef75b3b8c6f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人生が変わったユーザーも。それでも普及が進まない現状と課題</h2><p>――実際に聴導犬と生活している方からは、どんな声が寄せられていますか。</p><p>水越：よく言われるのは「人生が180度変わった」ということです。それまで、情報は自分から取りにいかなければ入ってこなかったのが、聴導犬が音を知らせてくれるようになる。それだけでも暮らしの質が変わります。</p><p>また、聴導犬を連れていることで、はじめから「耳が聞こえない人」と認識してもらえるようになったという方もいます。人に会うたびに毎回「私は耳が聞こえません」と説明しなければならなかったことを考えると、大きな変化ですよね。</p><p>街中で注目されやすくなったことで、「身だしなみに気を遣うようになった」と話す方もいらっしゃいました。</p><p>――それほど大きな変化があるにもかかわらず、現在、聴導犬として活動しているのは全国で52頭（2025年10月時点）と伺いました。なぜ、これほど少ないのでしょうか。</p><p>水越：まず、聴覚障害自体が情報へのアクセスが困難な「情報障害」であるため、聴導犬に関する正しい情報にたどり着きにくいという現状があります。</p><p>もう1つは、生まれつき耳が聞こえない方の場合、「音」というものを体験していないため、音によって情報が伝えられているという仕組み自体をイメージしにくいことです。その結果、聴導犬の必要性を感じにくい方もいらっしゃいます。</p><p>――その他、聴導犬に関わる課題があれば教えてください。</p><p>水越：聴導犬の育成そのものに対する国の補助金や公的な助成制度がなく、基本的には寄付によって支えられています。一部、普及活動を目的とした助成金を活用することもありますが、決して十分とはいえません。</p><p>聴導犬はまだまだ知られていない存在です。そのため、育成と並行して、聴導犬の役割や必要性を知ってもらうための普及活動にも力を入れています。</p><p>聴導犬と暮らしたいと考えながら、待っている方も多くいらっしゃいますが、認知度が低いために資金が十分に集まらないことに加え、育成に関わる人材を増やすための資金や、教育にかかる時間の問題など、いくつもの課題が重なって、追いついていないのが現状です。</p><p>だからこそ、まずは聴導犬の存在を知っていただくこと、そして「耳が聞こえない」とはどういうことなのかを理解していただくことが大切だと感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5d8e04b046970c3d5ebf79d541c5358b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">聴導犬の存在を知り、聴覚障害についてより深く理解するために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、聴導犬の存在を知り、聴覚障害についてより深く理解するために、私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ef4e9dee12362a4809cf5365e061d4b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「聴導犬」の情報を共有する</h2><p>最も取り組みやすい支援は、聴導犬の存在を誰かに話すこと。 聴導犬の認知度は盲導犬に比べて低いため、「聴導犬っていう犬がいるって知ってた？」と誰かに聞くだけでも、その言葉を知る人が1人増えることになり、立派な普及活動になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9f6d4a7057c3cd4b3c1d1f876050d932" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「今、聞こえる音」を意識してみる</h2><p>まずは1分間、自分が今「音を聞いている」という事実に意識を集中させてみる。普段はいかに膨大な音の情報に囲まれ、守られて生きているかに驚くはず。無意識に得ている音の一つ一つを自覚することが、「聞こえない日常」への深い理解、そして聴導犬という存在の必要性を知る第一歩になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>福祉機器の展示会で聴導犬に関する講演に参加する機会があり、「なぜ、認知度が低いのだろう？」と疑問が浮かび、今回、取材に至りました。</p><p>私たちは無意識のうちに、膨大な音の情報に守られて生きています。もし火災報知器の音が聞こえなかったら。もし後ろから走ってくる車の音に気づけなかったら。水越さんのお話を通じて、当たり前だと思っていた日常が、聴覚障害のある方にとっては常に危険と隣り合わせであることを痛感しました。</p><p>聴導犬を育成するには、多くの時間と費用、そして人手が必要です。まずはその存在を知り、「聞こえない」暮らしを理解することが、社会を少しずつ変えていく一歩になると感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.hearingdogjp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴導犬推進協会 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>いまも被災者・ご遺族の思いに応え、家族の「生きた証し」を守り続ける。「思い出の品」を持ち主の元へ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119292/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 17 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>東日本大震災による津波で流され持ち主が分からなくなった｢思い出の品｣（写真や物品）は、発災直後から現在も返却活動が続けられている</li><li>保管場所の維持や活動資金不足で現場は厳しい状況にある一方、自身や家族の思い出の品を探し、また受け取る心の準備に時間を要する人も多い</li><li>返却期限を設けず、被災者一人一人の心のタイミングに寄り添う長期的な支援が必要</li></ul><p></p><p>2011年3月11日に発生した東日本大震災。その津波によって流された写真や位牌、卒業証書などの「思い出の品」は、ボランティアや自治体などによって回収、保管され、持ち主への返却活動が続けられてきました。</p><p>しかし、震災から10年経った2021年3月に国の財政支援が終了。保管場所の確保や資金不足、担い手不足、劣化を防ぐ難しさなどから、やむを得ず処分する動きが広がっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>こうしたなか、「災害時に保管された思い出の写真や物品が、希望する全ての人に返却される社会の実現」を目指して、東日本大震災発災直後から活動を続けているのが、岩手県陸前高田市を拠点にする<a href="https://sanriku-archive.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人三陸アーカイブ減災センター（外部リンク）</a>です。</p><p>災害時の「思い出の品」が持ち主の元に戻らない背景には、「震災による心の傷が癒えていない」「亡くなった家族や友人のことや当時の状況を思い出すことが辛い」「被災地から離れて暮らし、訪問して探す時間が取れない」「量が多く探すのに時間がかかる」などといった、さまざまな事情があります。</p><p>今回は、同センターの代表である秋山真理（あきやま・まり）さんに、震災時の「思い出の品」の回収、保管、返却をはじめとする取り組みや、品物が持ち主に戻る意義、活動継続における課題などについて話を伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00001-723x1024.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00015-1024x684.jpg">岩手県陸前高田市竹駒町に設けられた常設返却会場には、今も多くの写真や物品が保管・展示されている。画像提供：三陸アーカイブ減災センター<p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/53861">連載【災害を風化させない】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_752300ddd495908048b8b3818cd4ecde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">発災後、砂にまみれ海水に濡れた写真をきれいにして返却する活動が、全国に広がる写真洗浄等の活動の原点に</h2><p>――まず、三陸アーカイブ減災センターの活動内容について教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：私たちは岩手県陸前高田市を拠点に、東日本大震災の津波で流された写真や物品、いわゆる「思い出の品」の返却活動を行っています。</p><p>この震災では推定20万枚から30万枚の写真が流出したとされており、そのうちのおおよそ7割から8割は返却が完了しました。現在は約7万4,000枚の写真やプリクラに加え、ご位牌、卒業証書などの賞状、母子手帳、へその緒、トロフィー・盾、祭祀道具、表札、掛け軸、生活用品、絵画、木像など、約2,400点の物品を保管している状態です。</p><p>――秋山さんがこの活動に携わるようになったきっかけを教えてください。</p><p>秋山：震災前、私は東京で防災コンサルタントをしていました。発災後、行政ボランティアとして岩手に入り、2011年のゴールデンウイークに最初に従事したのが、陸前高田市で開催された「思い出の品の返却会」だったんです。</p><p>小高い山の上にある気仙大工左官伝承館の駐車場で、海水に濡れたアルバムを乾かしながらお返しする。そこから陸前高田市の思い出の品の返却活動が始まりました。</p><p>その後、支援者や他の被災自治体などとのご縁を経て、復興支援や記録保存を目的として三陸アーカイブ減災センターを立ち上げました。現在は「思い出の品」の返却活動と全国の災害で被災した「写真」を救う活動を中心に取り組んでいます。</p><p>――東日本大震災以前もこういった活動は行われてきたのでしょうか。</p><p>秋山：自治体の「思い出の品」の回収・保管・返却は、東日本大震災から始まりました。環境省が、「災害廃棄物対策指針」において、いずれの災害においても、土砂やがれきなどにまぎれた「思い出の品」を「所有者等の個人にとって価値があると認められるもの（思い出の品）については、廃棄に回さず、自治体等で保管し、可能な限り所有者に引渡す」と位置付けたためです。</p><p>――返却活動は、具体的にどのような方法で行われているのでしょうか。</p><p>秋山：そもそもこの事業は、「早く返して、早く終えるべき」性質のものです。そのため単に待つだけではなく、さまざまな方法で返却を試みてきました。</p><p>まずは返却会の開催です。いつでも探しに来られる常設会場として、現在は陸前高田市の竹駒町に設置しています。そのほかにも、市内や近隣自治体の仮設住宅や災害公営住宅の集会所やコミュニティセンター、岩手県内陸の商業施設、また離れた場所で暮らす被災者のために、盛岡、仙台、東京などでも出張返却会を行ってきました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00006-1024x683.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00004-1024x683.jpg">2024年11月に盛岡で行われた出張返却会の様子。震災直後からしばらくは現物を閲覧できる返却会に始まり、いまではデジタル化した思い出の品をPCで、またオンラインでも閲覧ができる機会を設けてきた。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_908a7f61169447bba847796617a658fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日常生活で特別ではない閲覧機会やオンライン申請。返却への多角的な取り組み</h2><p>――返却会以外にも返却を進める方法はあるのでしょうか。</p><p>秋山：そうですね。震災直後は地元紙への写真の掲載や、市内の美容室・理容室、診療所などに「思い出の品」の一部を閲覧できるインデックスファイルの設置、広報紙として「陸前高田市 思い出の品通信」の毎月発行など、日常生活の中に思い出の品に触れる機会を増やしていきました。</p><p>「明日は探しに行こう」と、どきどきしながら明日の朝を迎えるといった心のハードルを超えることは被災者やご遺族の心に負荷をかけてしまうので、被災者やご遺族が、気負うことなくごく自然に思い出の品に触れることができる環境を整えることも重要です。</p><p>遠方の方にはインデックスファイルの貸し出しや、写真に写っている方のお名前やご年齢をデータベースにして、名前や生年、住んでいらした町名などから該当する写真をピックアップしてお見せして、「最初の1枚」にできるだけ早くたどり着くように工夫もしています。</p><p>――さまざまな方法でのアプローチを行っているのですね。</p><p>秋山：はい。2022年末からは、オンラインでの閲覧も始めました。ご本人確認等を経て許可制で写真を閲覧できる仕組みを取り入れることで、物理的な距離や時間の制約がある方でも探せる取組みも試験的に始めています。</p><p>「思い出の品」のうち、特に写真は、本来震災さえなければご家族以外の目に触れることはありませんでした。そのため、プライバシーへの配慮は特に重要視しています。申請時にいただいた氏名や住所を基に、ご本人確認も兼ねて、ご案内書類一式と、利用規約に同意いただくためのURLを記載した書類を郵送します。その後、SNSなどにアップしないなどといった利用規約への承諾を確認できた方にのみ、閲覧用のURLとパスワードを送付するという段階的な手順を踏んでいます。</p><p>また、探してもなかなかご家族やご自身の写真が見つからない方のために、また傷みがないきれいな写真をお渡しするために、発災前に撮影された入学・卒業時の写真や幼稚園等で撮影されたスナップ写真、陸前高田市の町並みやお祭りの動画等を収集して、提供する取り組み。加えて、陸前高田市の広報担当者が撮影した14万枚以上の写真から写真をピックアップし人物が写っている写真を閲覧できるようにするなど、思い出の品を「増やす」取組みにも力を入れてきました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00012-1024x686-1.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00013.jpg">物品のインデックスファイルの例。写真は複数枚ある「アルバム」から見つけやすい1枚を、また物品は、記名がある物品のリストのほか、細かい品目に分類され、「思い出の品」を探しやすいよう丁寧に整理されている。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_7c55647918b878f2ab438587c4b56ed0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「思い出の品」は家族の歴史であり、生きていた証し</h2><p>――「思い出の品」は、被災者にとってどのような意味を持つのでしょうか。</p><p>秋山：「思い出の品」の価値を決めるのは私たちではなく、持ち主ご本人とそのご家族。持ち主の手元に返るその日まで、思い出の品の一つひとつを大切にお預かりしています。例えば、たった1枚の診察券でも、ご家族やご遺族にとっては「その人が生きてきた証し」「唯一の遺品」になることもあります。</p><p>特に、ご遺体が見つかっていないご遺族にとって、「思い出の品」はご家族の大切な宝物で、ご家族の大切な記憶、歴史そのものです。被災して家の土台以外の全てを失った方にとって、思い出の品を取り戻した時、ほとんどの方はとても嬉しそうになさいます。</p><p>「津波から初めて戻ってきた縁起物」とおっしゃる方もいますが、何か一つでも戻ることで、被災者やご遺族の心にぽっかりと空いてしまった喪失感を埋め、前を向く力となり、心の回復に大きく寄与するのではないかと考えています。</p><p>――一方で、思い出と向き合うのがつらいという声もあるのではないでしょうか。</p><p>秋山：はい。それも難しい課題です。思い出の品を探す過程で、PTSDなど、当時の状況や深い悲しみ、また後悔などを呼び起こす引き金になることもあります。</p><p>ご本人も、日々気持ちや環境の変化もありますし、時間を要する方も数多くいらっしゃいます。思い出の品の報道に触れて「いつか心が落ち着いたら見に行きたい」とお電話をいただいたこともありますが、現在も継続した長期的な活動が求められています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00014-1024x576.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00008.jpg">「思い出の品」のオンライン閲覧申請者や、陸前高田市に縁のある人を対象とした意向調査（2022年〜2025年に実施）。10年以上の長期取り組みを望む方が8割を超え、また「期限を設けず活動を続けてほしい」と答えた人が半数以上を占めた。データ提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター<h2 id="tnf-text-heading-block_17209f956e7de626d6720d778727468b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「まだ受け取りたくなかった」――「思い出の品」と向き合い、再び経験する別れ</h2><p>――「思い出の品」の返却活動を続けていく上で、保管場所の確保や資金面など、直面する課題はありますか。</p><p>秋山：実は2017年に一度、国の予算が確保できなくなったことを理由に、陸前高田市から「思い出の品」の返却活動を終了するという決定が下されたことがあります。</p><p>これを受けて、新聞やテレビなどのメディアでは「今年が最後の返却機会になる」といった趣旨の報道が相次いで行われました。この「活動終了」の報道と、初めての東京等での返却会の開催がきっかけとなり、東京や仙台などでの出張返却会に多くのご遺族や陸前高田に縁のある方が訪れることになりました。</p><p>一方で、「思い出の品が見つかったことはうれしいけれど、まだ受け取りたくなかった」とおっしゃるご家族も複数いらっしゃいました。思い出の品を受け取ることは、お身内を亡くした厳しい現実を受け入れることにもなります。「まだどこかで生きていると信じていたい」——そうしたお気持ちを抱えるご家族はとても多くいらっしゃるものと思います。</p><p>そうしたご遺族の深い悲しみ、心の傷みに触れ、人の気持ち、内面の問題に「いつまでに見に来て欲しい」と終わりを告げる、期限を設けることの難しさを痛感しました。震災から15年を迎えるいま、本活動の一部に充てていた国からの補助金も今年度で終わります。被災者等の思いに応えるための寄付をお願いする活動は、これからが正念場になります。</p><p>――受け取る準備が整うまでに、長い時間が必要な方もいるのですね。</p><p>秋山：はい、「探したい」と思うタイミングは人それぞれです。例えば、震災から10年以上が経ち、お孫さんが生まれたことをきっかけに、「『お父様の若い頃にそっくりね』と皆が言うが、孫は父の若い頃を知らないので写真を探しに来た」と来場される方もいます。</p><p>できれば、一律に「返却期限」を区切ることなく、またどこかでセーフティーネットを設けられたら、と考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00009.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00007-1024x768.jpg">子ども（当時4歳）が乳児の時の自分と対面する様子。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター<h2 id="tnf-text-heading-block_790d8e67884c402d11436ef9204b7dcf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">次の災害が起きたとき、「思い出の品」をどう守るか</h2><p>――全国の災害において、「思い出の品」を希望する全ての人に返却できる社会を実現するためには、何が必要でしょうか。</p><p>秋山：災害が起きた直後の応急対応活動では、もちろん生命や生活が最優先されますが、落ち着いてくると、思い出の品の大切さ、必要性に気づかされるケースがほとんどです。</p><p>こうしたことを、全国の行政、国民の多くに知っていただいて、現状を変えていく必要があります。自治体の災害時の具体的な計画づくりから、現物をいずれ処分せざるを得ない際のセーフティーネットとしてのデジタル化とオンラインで探す仕組み、また立体物のデジタル化や顔認証などといった最新技術の活用、そして被災した写真を救うためのボランティアの育成まで、さまざまな取り組みが必要です。</p><p>私たちは、これまで培ってきたノウハウを全国の自治体等に広めたいと願っています。</p><p>――現場の負担を減らしつつ返却を進める方法について、詳しく教えてください。</p><p>秋山：まず重要なのは、思い出の品の回収・保管・返却といった具体的な内容やマニュアルを、普段の備えとして、環境省と自治体の「災害廃棄物処理指針」や「災害廃棄物処理計画（※）」「地域防災計画」等に落とし込んでいただくことです。</p><p>自治体によっては担当課が決まっていないこともしばしばです。いざ災害が起きたときには「災害廃棄物処理実行計画」を策定されますが、思い出の品の取り扱いを「災害廃棄物（がれき）の処理」に含め、がれきから思い出の品を取り出して、乾燥、洗浄、デジタル化等といった処理を業者に委託することができたなら、応急対応活動に追われる自治体職員の負担を極めて軽くすることができます。</p><p>これにより被災自治体は、思い出の品に関する財源の確保や担当者の不足に悩むこともなく、また早い乾燥等で劣化を最小に抑えることができ、その後の返却業務もスムーズに取り組むことが可能になります。</p><div id="tnf-text-notes-block_4c428cdc044c61e3dcf85fbe64864607" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「災害廃棄物処理計画」とは、災害時に発生する災害廃棄物に対する平常時の備えや、発災時の状況に応じた適正かつ円滑な処理、ならびに迅速な復旧・復興に寄与するために必要な事項をまとめた計画を指す</div><p>――返却活動を進める上で、自治体が直面しやすい課題や、今後備えておくべき点についてはどのようにお考えでしょうか。</p><p>秋山：自治体が返却活動をするなかで、被災者の気持ちを汲み取って活動を続けていただきたいと願っておりますが、それでもどこかで区切りをつけ、思い出の品の現物を廃棄せざるを得なくなるときが訪れるかもしれません。</p><p>そうした場合のセーフティネットとして、今後デジタル化された写真や物品のデータを利用して、安価に利用できる「オンライン」の仕組みが必要になります。津波や洪水、土砂災害では、品物は行政区を越えて流出することもしばしばです。都道府県域を越えて探すことができる仕組みの構築や、顔認証技術の活用が求められてもいます。</p><p>さらに、被災した写真の応急処置方法や写真洗浄等の処置方法を周知し、災害時に、必要な方に手を差し伸べることができる担い手の育成も欠かせません。</p><p>実は、泥にまみれたり水に濡れた写真でも救えるといった知識が広まっていないことで、捨てられたり失われてしまった写真も数多く存在します。「土にまみれたり水に濡れた写真でも救えるので捨てない」「まずは乾燥（あるいは可能なら冷凍）させる」といった、災害時の応急処置の方法を、例えばボランティアに入った先で被災者に伝えていただくだけでも、一度失うと二度と手に入らない写真をご家族の宝物として留めることができます。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00011-717x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00002-724x1024.jpg">「水に濡れた写真の応急処置」のちらし（英語版）。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9b16a92a51673b6cb73ac8626f11d4ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">一枚の写真が心の回復を支える</h2><p>――災害支援では後回しにされがちな「思い出の品」ですが、長年活動を続ける中で、「思い出の品」の返却にどのような意味を感じていますか。</p><p>秋山：発災直後は、まず生命を守ること、そしてその後の暮らし、仕事など生活の立て直しが最優先です。一方で、震災から15年を迎える今も変わらず、私が目の当たりにしているのは、「やっぱり写真が一番大切と思う」と話す被災者やご遺族の声です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>例えば、50代の方が、亡くなったお父様が撮ってくれたご自身の幼少期の写真を見つけた時、当時の思い出やお父様のことなどの記憶が呼び起こされ、たくさんのエピソードを話してくださいます。</p><p>また、80歳を超えた方が、自身の学生時代の集合写真を手にした時は、子どもの頃に遠足に行った思い出や先生のエピソードなどをお聞かせくださいました。このように写真は、記憶や思い出のトリガーにもなっていて、一度失うと二度と同じ物が手に入らない家族みんなの宝物です。そうした思い出の品の重要性と価値をこれからも伝えていきたいと考えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00005-768x1024.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00010.jpg">濡れたや泥にまみれた写真は湿気やバクテリアなどの影響で徐々に画像が失われる。同センターでは、被災した写真の乾燥等の応急処置や乾燥後の処理について動画で発信している。出典：三陸アーカイブ減災センター公式YouTube<h2 id="tnf-text-heading-block_760bf8876c279248063fa3b6b29aa333" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災者に寄り添う活動を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>秋山さんから、被災者の心を支える活動を支援するために、私たち一人一人にできる3つのヒントをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_805832278a387128508256c3c1669551" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 「思い出の品」の保管や返却の必要性を広め、寄付で活動を支える</h2><p>「思い出の品」の返却は、短期間で完結するものでも期間を区切られるものでもない。写真や品物を探すための心が落ち着くまでに長時間かかる人もいる。</p><p>震災から15年を迎えるいまも「探したい」人は多くいて、長期的な活動を行う必要性にも迫られているため、資金面の支援は不可欠。被災者の心を支える支援として、活動の価値を周囲に伝え、寄付をすることも重要な関わり方の一つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_221ac55c7170d2e27c5018de92de1af7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］災害時に泥や汚れにまみれた写真を救うために正しい知識を広める</h2><p>泥や水で汚れた写真やアルバムでも、できるだけ早く乾燥や冷凍を施すことで、画像を守ることができ、あとで生活が落ち着いてからゆっくり適切な処理を行うことができる。</p><p>「まずは捨てずに乾かす」「写真の状態により、拭き・洗浄・デジタル化という手段を取ることができる」といった初期対応の知識が共有されるだけで、将来、持ち主の心の支え、心の回復をうながす「思い出」を守ることができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_accd1c57d8a2afe1acac81ea1a37020e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 写真洗浄ボランティアという、被災地への関わり方</h2><p>東日本大震災をきっかけに広まった写真洗浄等のボランティアは、現在では東京、神奈川、大阪、山口、熊本、金沢、能登など全国各地に広がっている。被災地に足を運べなくても、写真の洗浄やデジタル化などを通じて参加できる活動もあり、誰もが被災者やご遺族の「思い出」を守る担い手になることができる</p><p>参考サイト：</p><a href="https://vokatsu.jp/volunteers/?genres%5B%5D=disastervolunteer&amp;subgenres%5B%5D=disasterrelief&amp;subgenres%5B%5D=reconstruction&amp;subgenres%5B%5D=disasterprevention" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団ボランティアセンター「ボランティア活動を探す」</a><a href="https://rescue-photo.net/link/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被災写真救済ネットワーク「写真救済・洗浄活動団体のご紹介」</a><div class="wp-block-spacer"></div><p>2021年に国の財政支援が終了した後も「思い出の品」の返却活動を継続している三陸アーカイブ減災センターの取り組みについて、お話を伺いたいと取材を申し込みました。</p><p>被災者やご遺族と長年にわたり向き合ってきた秋山さんの言葉から、「思い出の品」が人の心にどれほど深く寄り添う存在であるのか、改めて実感することができました。</p><p>災害を経験した人が、自身の「思い出の品」と向き合えるようになるまでには、それぞれに異なる時間が必要です。災害を経験し、その心の準備が整う瞬間を待ち続ける、息の長い支援が欠かせません。</p><p>その重要性を理解し、行動していくことが、私たち一人一人に求められていると感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/53861">連載【災害を風化させない】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119353</guid>
      <title>南鳥島沖海底に眠る2.3億トンもの海底鉱物資源。そして「暗黒酸素」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119353/sustainable</link>
      <pubDate>Thu, 12 Feb 2026 12:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>南鳥島近海で発見された大量の海底鉱物資源。採掘は深海の生態系に影響を及ぼす恐れも。最新の科学とデータを大事にし、慎重なアプローチが必要</li><li>世の中のどのような物事とも同じように、海底資源採取にもメリットと懸念されるデメリットがある</li><li>海底資源採取を通して、物事の「光」と「影」のバランスをどのように取るべきか、自分なりに考えるきっかけにしてほしい</li></ul><p></p><p>「レアメタル」とは「希少な金属」の総称で、地球上に存在する量が少ない、または採掘・精製が難しいにもかかわらず、世界的に安定した供給が求められる金属のこと。その中でも17種類の元素グループは「レアアース」と呼ばれています。</p><p>これらは私たちの身近な製品に広く使われており、電気自動車やスマートフォン、パソコンなど、数えきれない製品の製造に欠かせません。現代の豊かな生活を支える重要な資源となっています。</p><p>しかし今、この資源の採掘・精錬・供給が限られた地域に集中していることや、国際情勢の緊張を背景に、各国が資源を安定的に確保できるのかという懸念が世界で高まっています。</p><p>こうした中、日本財団と東京大学大学院工学系研究科は、2024年4月下旬より日本の排他的経済水域（EEZ※）内、特に南鳥島近海で海底鉱物資源の調査を進めてきました。</p><p>その結果、この海域にはレアメタルを豊富に含む海底鉱物資源「マンガンノジュール」が推計2.3億トン以上も存在する可能性が明らかになりました。「資源を持たない国」とされてきた日本の常識を覆し、将来の選択肢を大きく広げる発見として、国内外から注目を集めています。</p><p>本記事では、この調査プロジェクトに携わる日本財団海洋事業部の海野光行（うんの・みつゆき）常務理事にこの調査結果について話を伺い、日本の未来にどのような可能性をもたらすのかを探ります。</p><div id="tnf-text-notes-block_706d46386a0f9a0a284451b8eeb39b4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「排他的経済水域（EEZ）」とは、沿岸国がその範囲内において、天然資源の探査・開発などを含めた経済的活動についての主権的権利と、海洋の科学的調査、海洋環境の保護・保全等についての管轄権を有する水域のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00002-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_06764122072493e6434ad4807c8c1c1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の海底に眠る国産レアメタル資源「マンガンノジュール」</h2><p>――そもそも、海底鉱物資源とはなんでしょうか。</p><p>海野さん（以下、敬称略）：深海を含む海底に存在する鉱物資源やエネルギー資源のうち、これまで経済的・技術的な理由から、十分に利用されてこなかった資源の総称です。</p><p>代表的なものとしては、「レアアース泥（でい）」や「マンガンノジュール」「コバルトリッチクラスト（コバルトを多く含む海底鉱物資源）」、そして海底から熱水が噴き出す場所に金属成分が集積して形成される「海底熱水鉱床（銅、鉛、亜鉛、金、銀などのレアメタルを含有）」などがあります。</p><p>――なぜ今、海底鉱物資源が注目されているのでしょうか。</p><p>海野：電気自動車や再生可能エネルギー、半導体といった現代社会を支える先端産業には、レアアースをはじめとする鉱物資源が欠かせません。これらは、将来の産業基盤や社会の持続可能性を左右する存在として位置付けられています。</p><p>資源の乏しい日本にとって、自国の排他的経済水域（EEZ）内にまだ利用されていない資源が存在することは、極めて大きな意味を持ちます。現在、レアアース市場のほとんどを中国が占めており、供給が滞るリスクは、各国にとって大きな課題となっています。</p><p>もし日本が自国で資源を確保できれば、他国への依存度を下げることができます。さらに、実際に採掘するかどうかにかかわらず、「資源が存在すること」、そして「それを採取できる技術があること」を示すだけでも、国際的なビジネスだけでなく、外交上の重要なカードになるといわれています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00004-1024x682.jpg">実際に採取したマンガンノジュールを持つ海野常務。手に持つと重みがある</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00009.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>【動画】南鳥島周辺海域における海底鉱物資源マンガンノジュールの調査航海</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9df3fe9d6ddfc762e456d01844e819e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">資源が開く未来の可能性と環境配慮を探る、3段階の調査</h2><p>――日本財団は、これまでにどのような調査を行ってきたのでしょうか。</p><p>海野：大きく3つのフェーズに分けて調査を進めてきました。</p><p>第1フェーズでは、海底にあるマンガンノジュールをどのように回収するか、技術的なシミュレーションを行いました。深い海の底から安全に資源を引き上げる方法や、作業に必要な技術を検討する段階です。</p><p>第2フェーズでは、実際に南鳥島周辺の海域に調査船を出し、海底鉱物資源のサンプリングを行いました。回収した資源について、重さや質、含まれるレアアースの量を詳細に調べたほか、放射能の有無など、安全性の確認も行っています。</p><p>併せて、資源がどの海域にどの程度分布しているのかを調査した結果、南鳥島周辺ではマンガンノジュールが高い密度で存在していることが明らかになりました。現在までに確認されている資源量を日本の年間消費量に換算すると、コバルトは約75年分以上、ニッケルは約11年分以上に相当することが分かっています。</p><p>今回、調査した海域の範囲は、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域（EEZ）のうちおよそ2パーセントに当たります。これは関東平野とほぼ同じ広さです。</p><p>――こうした調査結果を踏まえ、現在はどのような段階に入っているのでしょうか。</p><p>海野：現在は第3フェーズに入り、将来的な利用を見据えて、環境への影響を予測・評価することに重点を置いて調査を進めています。海底には観測機器を設置し、潮の流れを長期的に測定するとともに、水深5,500～6,000メートルの深海では、遠隔操作の無人潜水機を用いた観察や、深海生物・水質のサンプル採取を行っています。</p><p>これにより、資源を採取した際に海底で巻き上がる「プルーム（泥や魚の死骸などの堆積物）」が、周囲の環境や生物にどのような影響を与えるのかを、科学的に明らかにしようと動いています。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00006.jpg"></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00005-1024x682.jpg">古代のサメの歯を核に成長したマンガンノジュール<h2 id="tnf-text-heading-block_a09b20af52ae9767d0ced390a991acb5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1,000万年の深海に眠る奇跡と「暗黒酸素」の謎</h2><p>――マンガンノジュールは、どのようにして出来たものなのでしょうか。</p><p>海野：マンガンノジュールは、核となる物質に金属成分が少しずつ付着し、非常にゆっくりと成長していきます。大人のこぶしほどの大きさになるまでに、およそ1,000万年かかるといわれています。つまり、人間がこの世に誕生する以前から、とてつもなく長い時間をかけて形成されてきたのです。</p><p>調査で回収されたマンガンノジュールの一部には、三角形になっているものがあります。これは、「メガロドン」と呼ばれる古代ザメの歯が核になってできたものなんです。サメの骨は時とともに分解されてしまいますが、歯はとても硬いため、深海でも消えずに残ってノジュールの核になったのですね。</p><p>――最近、ニュースで話題になった「暗黒酸素」とマンガンノジュールは何か関係があるのでしょうか。</p><p>海野：まず「暗黒酸素」とは、太陽の光がまったく届かない深海底で酸素が観測される現象を指します。通常、酸素は植物や海藻、それに植物性プランクトンなどの光合成によって作られますが、光の届かない深海において、マンガンノジュールといった鉱物が関与して酸素が発生している可能性がある、という論文が2024年7月に学術誌で発表されました。</p><p>この論文は、私たちがマンガンノジュールの調査を進めている最中に発表されました。酸素の発生源が資源そのものに関係している可能性がある以上、採取した場合に生態系へどのような影響が及ぶのかを、科学的に検証する必要があります。</p><p>現在は、「暗黒酸素」の謎についても、スコットランドやアメリカの研究機関と共同で調査研究を進めているところです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00008-1024x576.jpg"></div></div><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>【動画】深海の謎の「暗黒酸素」解明へ<h2 id="tnf-text-heading-block_cb6bedca0367b1d1d8ff5c9cf06fd3bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未知の可能性と海洋環境に向き合う、日本財団の多面的なアプローチ</h2><p>――海底鉱物資源について、日本財団はどのように考えているのでしょうか。</p><p>海野：まず優先すべきなのは、採取が環境にどのような影響を及ぼすのかを科学的に明らかにすること。採取の判断は、その結果を踏まえた上で行うべきものです。</p><p>環境への影響が十分に検証されないまま進めることについては慎重になるべきです。少なくとも私たちは、科学的な裏付けがない段階で採取に踏み出すべきではないと考えています。</p><p>――海底鉱物資源や「暗黒酸素」は、日本や社会にどんな可能性をもたらすと考えていますか。</p><p>海野：深海だけでなく、海については、ほとんどのことが未解明だともいわれています。言い換えれば、それだけ未知と可能性が広がっているということです。</p><p>「暗黒酸素」のように、深海底では、これまでの常識では想像もできなかった自然現象が存在する可能性が次々と明らかになっています。日本財団として科学を重要視しているからこそ、暗黒酸素のような新たな研究にも目を向けたうえで、商業利用を始める前に、それが海底環境で果たしている役割などを見極めなければならないと考えています。</p><p>さらに、いま私たちの判断で商業利用を進めるべきなのか、それとも次の世代に判断を託すべきなのかを判断する上でも、最新の科学に目を向けることは不可欠なプロセスだと考えています。言い換えれば、その時代の感覚や勢いだけでなく、科学に基づいて冷静に判断していくという多面的なアプローチが大切だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00003-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f0f42664296363c7e62220a91708bd6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「無知・無関心・無視」を超えて、未来を考える</h2><p>――未来の資源利用を考えるとき、環境問題とも向き合う必要があります。私たち一人一人にできることは何でしょうか。</p><p>海野：長年、海と向き合う仕事をしてきて感じるのは、海に対して「無知」や「無関心」な人が多いということです。日本は海に囲まれた国ですが、意外と海のことを知らない、考える機会が少ない人も多いのではないでしょうか。</p><p>日本財団では、海に関心を持ってもらい、海を未来へ引き継ぐために、さまざまなプロジェクトや情報発信を行ってきました。</p><p>「問題がある」「何かよくないことが起きている」と気づいているにもかかわらず、知らないふりをしてしまい、その問題を放置してさらに悪化させてしまうことがある。「無知」や「無関心」以上に、「無視」だけはいけないと思っており、特に子どもたちに知ってほしいと思っています</p><p>もう一つ理解してほしいのは、物事には必ず「光と影」があるということ。私たちは何かを評価するとき、どうしてもどちらか一方だけを見て判断しがちですが、本来はメリットとデメリットの両方が存在します。その両面を見た上で物事を考える姿勢が重要です。</p><p>例えば今回の調査では、「南鳥島周辺で大量の海底鉱物資源が見つかった」という点が大きく報道されました。すると、「資源が乏しい日本にとって朗報だ」「積極的に採掘を進めるべきだ」という声が出てきます。これは、いわば「光」の部分に注目した見方ですよね。</p><p>しかし、必ず「影」の部分もあります。その影が何なのかを、きちんと調べなければなりません。もしかすると、その影が次の世代に影響を与えるかもしれない、環境に影響が及ぶかもしれない。</p><p>だからこそ、今の段階で慎重に向き合う必要があるのです。自分がどの立場に立つとしても、そうした現実に思いを巡らせながら、海との向き合い方を考えてもらえたらと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00001.jpg">調査結果の記者会見の様子。日本財団が企画・全体調整を担い、東京大学が環境影響評価プロジェクトを主導。アメリカやオーストラリアの研究機関、日本エヌ・ユー・エス株式会社と共同で調査を進めている<h2 id="tnf-text-heading-block_8613ce65d764c9b34c77df26acb2e3cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来の資源活用や環境問題を考えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>海野さんから、未来の資源活用や環境問題を考えるために、社会全体や私たち一人一人ができる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c95f7c72b4ad06e816b435857c2d4ae0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 無関心と無知から離れ、自分なりに考えてみる</h2><p>何事も「知ること」から。今回のような研究発表や、環境問題に関する報道など、気になることがあれば、自ら調べて情報を得る。そして自分なりの意見や考えを導き出してみる。こうした姿勢の積み重ねによって、興味関心の幅が広がり、考える力を養うことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_249f324451d6c1e1c3e0bf3b6a267a6d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 分かっている問題を無視せずに向き合い、行動する</h2><p>「地球温暖化」「海洋ごみ問題」など環境にまつわる課題の存在を知っている人は多いはず。知って終わりにするのではなく、自身の行動がどのように課題に影響を及ぼしているのかを考え、小さなことから行動に移してみることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b1178ddf9ee7799dbd83248a407c1e22" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 物事の「光と影」を見つめる</h2><p>新しいテーマや課題に触れたとき、第一印象だけで判断せず、いったん立ち止まり、ニュートラルな視点で見つめ直してみる。そして、その課題にどんな「光と影」があるのかを考える。そうした思考を繰り返すことで、より良い未来を選び取ることにつながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>海野さん自身は、海底鉱物資源の商業的な採取について、個人的な考えとして「とても難しい判断になると思う」と語っていました。取材でも話されていたように、マンガンノジュールは、形成されるまでにおよそ1,000万年もかかるといわれています。</p><p>一度手を入れた自然は、同じ姿に戻るとは限りません。そう考えると、未知へのときめきを感じる一方で、決して簡単に結論を出してよい問題ではありません。だからこそ、もし手を入れるのであれば、地球環境にどのような影響を及ぼすのかを、あらゆる側面から徹底的に明らかにする必要があるということを、改めて実感させられました。</p><p>2026年6月から9月にかけて、2度目となる航海調査が予定されています。今後どのような事実が明らかになるのか、その動向を見つめていきたいところです。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Thu, 12 Feb 2026 12:30:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119187</guid>
      <title>性暴力の傷を二人で抱え込まないために。被害者のパートナーが直面する孤独と、必要な支援とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119187/crime</link>
      <pubDate>Tue, 10 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>性暴力の被害者の回復には、パートナーや身近な人の関わりが大きな影響を与える</li><li>一方で、被害者のパートナーは怒りや自責感、パートナーとの関係に悩みを抱え、孤立しやすい</li><li>被害者とパートナーの双方に適切な知識と支援を届けることで、回復を後押しできる</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>もし、あなたの大切な人が性暴力被害に遭ったら、あなたはどう寄り添えばいいのでしょうか。</p><p>痴漢や盗撮、セクシュアルハラスメント、性的暴行など、本人が望まない性的な言動や行為は「性暴力」と呼ばれ、被害者の心身に深刻な影響を及ぼします。</p><p>PTSD（＝心的外傷後ストレス障害※）を発症したり、自責の念に苦しんだり、他者から「あなたにも落ち度があったはずだ」といった心ない言葉を浴びせられ、二重の傷を負うケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_9c5513a932990548c37637e737f105f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「PTSD」とは、命の危険を感じる出来事や、過度ないじめ、性的暴力に遭うなど、強いショックを受けた体験が原因で、心と体にさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたす病気</div><p>こうした性暴力被害者の回復には、周囲の人や支援機関の支えが欠かせません。なかでも、家族やパートナーなど、身近な人との関わりは、回復を左右するカギになるといわれています。</p><p>一方その過程で、被害者を間近で支えるパートナー自身もまた、戸惑いや孤立感、強いストレスを抱えがちです。その背景には、婚姻関係にないパートナーは支援の対象に含まれにくい傾向にあること。そして、性被害を経験した方とのパートナー関係に関する適切な情報や、相談先にアクセスしづらいという課題があります。</p><p>そんな支援の空白を埋めるべく、性暴力被害者の男性パートナーの語り場「寅さんのなみだ」を開催してきたのが、性暴力撲滅に向けた啓発活動に取り組む<a href="https://shiawasenamida.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人しあわせなみだ（外部リンク）</a>です。</p><p>本記事では、理事長の千谷直史（ちや・なおふみ）さんに、性暴力被害者のパートナーが直面する苦悩や必要な支援、性暴力のない社会を実現するために、私たち一人一人にできることについて話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00006-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_ad15f7643a8b9e4f402954eb171b4154" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">怒りや悲しみ、孤立。性暴力被害者の男性パートナーの苦悩</h2><p>――性被害を打ち明けられた男性パートナーは、具体的にどのような感情を抱くのでしょうか。</p><p>千谷さん（以下、敬称略）：以前、知り合いから性被害を告白されたことをきっかけに、しあわせなみだにつながりました。今回は、私たちが運営する語り場に参加した方々の声に合わせて、私自身が感じたことをお答えします。</p><p>まず私の場合は、加害者に対して、これまでに感じたことのないような、すさまじい怒りを感じました。同時に「自分が被害を防げたのではないか」という強い自責感にもとらわれました。そして、同じような感情を抱く男性は多い印象です。</p><p>加えて、「どう反応すべきか分からなかった」という声をよく耳にします。</p><p>混乱のあまり「気にしなくてもいいんじゃないか」「勘違いかもしれない」と被害を軽視するような言葉をかけてしまったり、「服装のせいで被害に遭ったのではないか」といった被害の責任が被害者にあるような考え方をしてしまったりする人もいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00002.jpg">性被害を打ち明けられたことによる、男性パートナーの悩みからは社会の見方への変化や心の葛藤が伝わってくる。参考：しあわせなみだ「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」<p>――なぜ、そのような考え方や言動をしてしまうのでしょうか。</p><p>千谷：性被害のような理不尽な出来事が起きたとき、人は「被害者になんらかの落ち度や問題があったのではないか」という考え方を持ちやすいといわれています。</p><p>なんの落ち度もない人が被害に遭ったという現実を受け入れることができず、混乱する感情を処理するために、被害者側に落ち度を見出そうとする心理が働くためです。</p><p>また、性暴力に対する誤った認識が、不適切な言動を招いてしまうこともあります。</p><p>例えば、被害者の中には、心を守るために、被害を正面から受け止めず、あえて明るく振る舞う人もいます。そうした様子を見て「たいしたことではなかったのだ」と受け取ってしまうと、被害の深刻さを否定する言動につながりかねません。</p><p>そうした言動は、被害後にさらに被害者が傷つけられる二次被害として「セカンドレイプ（※）」と呼ばれています。</p><div id="tnf-text-notes-block_4699c2404aa85964bea526ece59ef59a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「セカンドレイプ」とは、性犯罪の被害に遭った後、被害時の服装や行動を問題視されたり、「たいしたことではない」「早く忘れるべき」など被害を矮小化したりする周囲の言動によって、被害者がさらに傷つけられること</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00003.jpg"><p>――強い怒りや自責感を抱く一方、二次加害に至ってしまうこともあるという矛盾から、動揺の大きさが伝わります。男性パートナーは、心にどのような影響を受けているのでしょうか。</p><p>千谷：被害者に寄り添って、トラウマ体験や苦しみに触れ続けることで、被害者と同じようなストレス反応が生じる二次受傷（※）が起こることがあります。</p><p>ただ、男性パートナーはこうしたつらさにふたをして、誰にも相談できないまま、一人で抱え込んでしまいがちです。背景には、「男は強くあらねばならない」という固定観念や、パートナーのプライベートな情報を他者に話すことができないという葛藤があります。</p><p>さらに、性暴力の話題すら「エロコンテンツ」として消費されがちな風潮への抵抗感が強まり、ほかの男性との間に溝が生まれることも珍しくありません。</p><div id="tnf-text-notes-block_46bc03811ee05eeeb722c1a07b0a5310" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「二次受傷」とは、トラウマ体験をもった人の話を聞くことで生じる、被害者と同様の外傷性ストレス反応のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_d7d0ae8a6c4851ef589b199be3b9f6a5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">パートナーは「医師やカウンセラーの代わり」にはなれない</h2><p>――パートナー関係ではどのような悩みが生じるのでしょうか。</p><p>千谷：「性暴力被害に遭ったパートナーとどう接するべきか分からない」というのが主な悩みです。男性側はどんな言動が相手を傷つけてしまうのかが分からず、関係がぎくしゃくしやすいんです。</p><p>例えば、「一緒にテレビを見ていて、性暴力を想起させる場面があったとき、すぐに消すべきか、何事もないように振る舞うべきか。どちらにしても傷つけそうで不安」といった声はとてもよく挙がります。</p><p>さらに、互いに心に傷を負っている状態が続くと、相手に依存し合う共依存（※）に陥ることがあります。そうなると、「自分がいないときに被害の記憶がよみがえって、パートナーが自殺してしまったらどうしよう」といった大きな不安を抱きやすくなります。</p><div id="tnf-text-notes-block_ae292f1c204e250e8975bbcef7c8b6d2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「共依存」とは、自分の価値を周囲の基準だけで判断したり、他者の問題解決や期待に応えたりすることに集中するあまり、自己犠牲的な献身に傾き、自分自身に目を向けられなくなっている状態</div><p>――共依存が深刻化すると、どのような変化が見られますか。</p><p>千谷：共依存が進むと、外出や仕事などの社会生活を送る上で当たり前のことができなくなり、生活全般に深刻な影響が及ぶことがあります。</p><p>例えば、「仕事を休みがちになり、お金が足りなくて家賃を滞納してしまう」「友人との誘いを断り続け、誰からも誘われなくなる」といった、以前と明らかに変わったところがあれば要注意です。</p><p>こうした状況であっても、誰にも相談できず、二人きりで苦しんでいる人は、可視化されていないだけでたくさんいるのではないかと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00005.jpg">性暴力被害者の男性パートナーが抱くパートナー関係における悩み例。周囲に相談しづらい悩みを多く抱えている。参考：しあわせなみだ「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_71e7fdd691077a2a829bc801939d6237" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">男性パートナーへの支援が、被害者の回復につながる</h2><p>――あらためて、しあわせなみだという団体について教えてください。</p><p>千谷：2009年に前代表で理事の中野宏美（なかの・ひろみ）が設立した団体です。</p><p>性被害当事者ではない第三者の立場から、被害者支援に関する情報提供や、研修・講演、行政への意見提出などに取り組んできました。</p><p>活動を続ける中で、「パートナーの存在によって性被害からの回復が早くなる人がいる」ということが見えてきました。そこで、パートナーを支えることが間接的に被害者を支えることにつながるのではないかと考え、2016年に性暴力被害者の男性パートナーの語り場「寅さんのなみだ」を立ち上げました。</p><p>「寅さんのなみだ」という名前は、「自分たち男だって、つらいと認めてよい場である」ということを表したいと考え、初期の頃の参加者と共に決めました。</p><p>――しあわせなみだが、性暴力被害者の男性パートナーへの支援を重視する理由を詳しく教えてください。</p><p>千谷：男性パートナーが適切な支援を受けることで、共依存や共倒れを回避しながら、適切な距離感で、孤立・疲弊することなく、被害者を支えることができるからです。</p><p>性被害からの回復には、医師やカウンセラー、支援団体、家族など、多方面からの支援体制があるのが理想で、パートナーは、あくまでもそのうちの一人なんです。</p><p>パートナーだけで支えようとすると、負担が集中し、結果として被害者の回復を遅らせてしまうこともあります。だからこそ、パートナーは、適切に外部の支援を頼りながら、二人で穏やかで楽しい時間を重ねていくことに専念してほしいと考えています。</p><p>――「寅さんのなみだ」に参加した性暴力被害者の男性パートナーたちからは、どんな声が寄せられていますか。</p><p>千谷：「誰にも言えなかった悩みを話せて、孤独感がやわらいだ」という声はとても多いです。「男は人に弱みを見せてはならない」という先入観が強い人でも、ほかの参加者が心の内を率直に語る姿を見せると、少しずつ安心して話せるようになっていきます。</p><p>また、加害者が男性であった場合に、自分も同じ男性であることに強い嫌悪感を抱く人もいます。そうした葛藤を話してくれることもありますね。</p><p>「寅さんのなみだ」では、私をはじめ、しあわせなみだの男性スタッフが進行役を務めています。参加者が安心して話せるよう、どのように進行するか、どんな言葉をかけるかについて、工夫を重ねています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00007-1024x577.jpg">千谷さんが「寅さんのなみだ」の進行役を務めることも。場で知り得た情報の守秘に同意した人のみが参加でき、オンラインで参加できる場合もある<p>――一方で、対面での参加が難しい人もいるのではないでしょうか。</p><p>千谷：そうですね。そうした方に向けて、24時間匿名で相談できるチャットボット「Two Drops」を制作し、2024年6月から7月にかけて期間限定で運用しました。</p><p>その際に集まった声やデータを基に、パートナーが性被害を経験した男性向けのQ＆Aをまとめた「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」を、2025年1月に発行しました。</p><p>男性パートナーが知りたい情報が載っているだけでなく、被害者本人が自身の経験や思いをパートナーに伝える際にも活用できる内容になっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00009.jpg"><p>――チャットボットやガイドブックには、どのような反響がありましたか。</p><p>千谷：「こんな悩みを抱えてもいいと知れて安心した」「同じ悩みを持つ人がいるとは知らなかった」などの声が寄せられました。</p><p>支援者の中には「加害者とパートナーが同じ性別である場合、被害者と良好な関係を継続するのは難しい」と考える人もいます。しかし、実際には男性パートナーに支えてほしい、良好な関係を築きたいと望む被害者もいるし、支えたいと思う男性パートナーもたくさんいます。</p><p>これをきっかけに、支援のあり方がいっそう発展していくことを期待しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00008-1024x577.jpg">「寅さんのなみだ」の開催は、しあわせなみだ公式サイトから確認できる。画像提供：NPO法人しあわせなみだ<h2 id="tnf-text-heading-block_8fdb2d14d14958552becefab694dae50" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「NO」を言える第三者が性暴力のない社会をつくる</h2><p>――しあわせなみだの今後の展望を聞かせてください。</p><p>千谷：性暴力で苦しむ人をなくすことです。そのために、性暴力を起こさない環境と、被害者を支える仕組みの両方をつくる必要があります。</p><p>性暴力を起こさない環境づくりには、正しい知識を広めることが欠かせません。今後は、若い世代への啓発を目的にしたショート動画を公開する予定です。</p><p>そして、被害者を支えるためには、公的機関による支援の拡充や質の向上が必須です。残念ながら、事情聴取の過程で二次加害を経験し「被害そのもの以上につらかった」と語る人もいます。警察や検察などの公的機関であっても、性暴力に関する正しい知識が十分に共有されているとは限りません。</p><p>だからこそ、公的機関への啓発に力を入れていきたいです。そのほかには、「障害のある人の性暴力被害」についても取り組んでおり、警察で複数回の講座を実施しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00001-1024x576.jpg"><p>――性暴力を起こさない社会をつくるために、私たち一人一人にはどのようなことができるでしょうか。</p><p>千谷：まずは「性暴力とは何か」を正確に知ること。性暴力は「された側が嫌だと感じた性的な出来事」ですが、きちんと理解していない人がとても多いんです。</p><p>加害者は自分の基準で「これくらいなら大丈夫だろう」と性暴力に及び、「これも性暴力と呼ぶのか」と怒ることさえあります。しかし、そんなことがまかり通る社会はおかしいのだと、多くの人に認識してもらいたいです。</p><p>そして、被害者だけに声を上げる責任を負わせるのではなく、周囲の第三者が加害者に「NO」を突き付け、被害を発生させづらい社会をつくらなければなりません。</p><p>――それでも性暴力が起こってしまったときは、どうすればいいのでしょうか。</p><p>千谷：被害者は自己嫌悪や自責感にとらわれやすいため、周囲の人が寄り添い、孤立させないことが大切です。そして、支えが持続可能なものとなるよう、苦しいと感じたときは、勇気を出して外部の支援機関に頼ってほしいと思います。</p><p>一方で、相談の受け皿が足りていないのも事実です。相談先が増えること、そしてパートナーを支えることが間接的に被害者を支えることにつながるという考え方がもっと社会に共有されていくことを願っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_908f10aee5d365464ef9f3cd7bc1b715" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">性被害に遭った人を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>千谷さんから、身近な人が性被害に遭ったときに、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_158b4bc0e9e7abb8ee556b07e15ed75a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］安心して話せる空気をつくり、自分は被害の真偽を判断する立場ではないことを踏まえて話を聴くことに徹する</h2><p>被害を打ち明けられたときは「あなたは悪くない」と伝え、自分の感情をぶつけないことが大切。また「本当に起きたのか」といった疑念を示す質問をしない。事実確認は警察や司法の役割であり、親しい人の役割ではない。問い詰めず、ただ話を聞くことが支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fa086bedd77090f1244827db50b05b73" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］一人で支えるのではなく、多方面の支援につなげる架け橋になる</h2><p>被害者を身近でサポートしていると、二次受傷や共依存のリスクが高まることがある。一人で抱え込まず、適切な専門機関に相談するようアドバイスする。あなたが架け橋となって、被害者が医療や司法へとつなげることで、回復への道筋が描きやすくなることもある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_61f97c48a86461892fa26d5be8011a05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］性被害を未然に防げるような環境づくりを支える</h2><p>性被害を未然に防ぐためには、周囲の人が不適切な言動を見過ごさないことが重要。第三者が不適切な言動に介入することで、被害の拡大や深刻化を防ぐことができる。こうした行動の積み重ねが環境や組織に変化をもたらし、誰もが安全に過ごせる社会へとつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>性被害に遭った方のパートナーを支援する団体があると聞き、なぜパートナーに支援が必要なのか、また支援がどのような意味を持つのかを知るために取材しました。</p><p>特に印象的だったのは「パートナーの二次受傷」の話です。犯罪被害者の家族に二次受傷や家庭内不和が起こることがあるのは想定されており、すでに一定の支援体制が整っています。</p><p>しかし、婚姻関係にないパートナーへの支援は、彼らが被害者にとってもっとも近しい存在の一人であるにもかかわらず、多くの機関で対象外とされているのが現状です。</p><p>性暴力が、被害者だけでなく周囲の人の人生まで変えてしまう、れっきとした犯罪であること、パートナーが被害者の回復を助けるキーパーソンであることを踏まえると、性暴力被害者のパートナーへの支援の不足は大きな課題と言えます。</p><p>まずは公的機関において、十分な支援の受け皿が確保されることを願ってやみません。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>2人目を目指す1人目に——Z世代が“自分たちの言葉”でつくった「海の教科書」が広げるアクションの輪</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119120/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Thu, 05 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>海洋問題に取り組む「Blue Campus」は、海が大好きな高校生たちにより結成された</li><li>海の問題をテーマにした教科書を自分たちで作り、同世代に届けることで、アクションの輪を広げている</li><li>社会課題を知り、小さな一歩でも行動に移すことが、自分たちの豊かな未来をつくるために大切</li></ul><p></p><p>海の問題は、ニュースの向こう側の話だと思っていませんか？</p><p>「海水温の上昇」「海洋ごみ」「漁獲量の減少」——こうした言葉を聞いても、どこか自分の生活とは離れた話だと感じる人は少なくないでしょう。</p><p>しかし実際には、私たちが普段食べている魚、海辺で過ごす時間、そしてこれからの日本の食や産業とも、深くつながっているのです。</p><p>そんな“海の問題を自分ごととして捉えるきっかけ”をつくっているのが、一般社団法人海洋連盟と日本財団が共催する、全国の高校生向けコンテスト<a href="https://umipos.com/koshien/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「うみぽす甲子園」（外部リンク）</a>です。2022年の開始以降、4年間で延べ4,631人の高校生が参加し、海の豊かさを未来につなぐためのアイデアやアクションを生み出してきました。</p><p>2025年のグランプリに選ばれたのは、全国の高校生らで結成された団体<a href="https://www.instagram.com/blue__campus/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「Blue Campus」（外部リンク）</a>。彼らが制作したのは、海の問題を知識として学ぶのではなく、“自分の言葉で考える”ための教科書『Z世代が明日の海と語ってみた話』です。</p><p>「ダイビングが好き」「魚にくわしい」「釣りが趣味」。そんなメンバー一人一人の「好き」という好奇心を入り口に、大学教授やNPO代表、漁師、YouTuberなど、さまざまな海の専門家にインタビューを実施。海でいま何が起きているのか、その背景にある課題、そして「私たちにもできること」を同世代の目線でまとめました。</p><p>そして完成した教科書は、全国約2万2,000人以上（2026年1月末時点）の若者のもとに届けられています。</p><p>本記事では、「Blue Campus」のメンバーに、その活動内容とともに「うみぽす甲子園」に参加した理由や、海洋問題の教科書に込めた想いについて話を伺い、未来を担う若者が社会課題解決のためのアクションを起こしたいときのヒントを届けます。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>〈取材した「Blue Campus」メンバー紹介（※）〉</p><div id="tnf-text-notes-block_5f35849f29fbf89982844f5acb055ac2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※学年は2026年2月時点</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>大沼七奈（おおぬま・なな）埼玉県・淑徳与野高等学校3年生。「Blue Campus」初代代表。メキシコ留学をきっかけに海への関心が高まり、高校時代は「Blue Campus」の活動以外に漁業ボランティアや海や藻場に関する研究に注力。趣味はダイビング。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%AA%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>片岸拓也（かたぎし・たくや）神奈川県立横浜国際高等学校2年生。2026年度から「Blue Campus」の代表に就任。幼少期から海に触れるうちに、海が好きになる。高校2年の夏にタイへ留学し、海洋保護問題について学んだことを機に「Blue Campus」に参加。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%82%84%E3%81%95%E3%82%93-768x1024.jpg">画像提供：Blue Campus</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>山本詩（やまもと・うた）石川県・小松大谷高等学校2年生。小学5年生の頃から一人で釣りに出かけるほど、釣りが大好き。海ごみの量が増える光景を見て、海の豊かさを守り、釣りの文化を未来に残すための行動を起こしたいと「Blue Campus」に参加。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%95%E3%82%93.jpg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>中島想羽（なかじま・そわ）市立札幌開成中等教育学校1年生。海洋教育を学びにフィジー諸島へ留学。その経験を経て「自分で研究するだけではなく、未来へのアクションにつなげたい」と感じるようになり「Blue Campus」に参加。趣味は魚の骨格標本作り。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/IMG_0703.jpg">画像提供：Blue Campus</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3fbf34cdc65e80eac13dc152473e9934" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">同世代で海を守る大きなアクションを起こしたい</h2><p>――はじめに、大沼さんが「Blue Campus」を結成したきっかけを教えてください。</p><p>大沼さん（以下、敬称略）：もともと、私は個人で海に関する活動をしており、その時に得た学びや経験談を学校の友だちに共有していたんです。</p><p>その時、友だちから「話を聞くうちに、だんだん海に興味が湧いてきた」と言ってもらえるようになり、「このまま興味を持ってくれる人が増えれば、海を一緒に守る大きなアクションを起こせる！」と考え始めました。</p><p>そこでSNSを通して自分の想いを発信し、一緒に活動に参加してくれるメンバーを募集したんです。最終的に5人集まり、2024年の11月に「Blue Campus」を結成しました。いまは15～20人で活動をしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_5.jpg"><p>――片岸さん、山本さん、中島さんが「Blue Campus」へ参加したきっかけについても教えてもらえますか。</p><p>片岸さん（以下、敬称略）：大沼さんのInstagramの投稿を見て、その想いに共感したのが大きな理由です。ただ学ぶだけでなく、仲間とひとつの目標に向かって取り組める「Blue Campus」の環境はとても魅力的でした。</p><p>山本さん（以下、敬称略）：「Blue Campus」を知ったのは、知人からの紹介でした。そこで大沼さんのInstagramを見て「課題を抱えているだけでは何も変わらない。自分も大沼さんと同じように何か行動を起こしていきたい」と思い、メッセージを送りました。</p><p>中島さん（以下、敬称略）：私は、フィジーに留学した時の探究テーマが「海洋教育」ということもあり、教育啓発の分野にはとても興味がありました。</p><p>と同時に国内外で起業や学生団体を立ち上げることも考えていましたが、まだ組織を動かす人としてのスキルや知識が足りていなかったんです。</p><p>大沼さんが結成した「Blue Campus」に参加すれば、教育啓発にも携わりながら組織を動かすためのスキルや知識も得られるのではないかと感じて、応募を決意しました。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_6.png">「Blue Campus」の公式Instagram。メンバーの海を守りたい思いとアクションが発信されている。画像提供：Blue Campus</div><p>――皆さんそれぞれ活動内容が異なると思います。現在取り組んでいることを教えてください。</p><p>大沼：私は2025年で代表を退きましたが、今後もメンバーの一人として活動していく予定です。今は「Blue Campus」を卒業した高校3年生や大学生と一緒にSNSの発信に力を入れています。</p><p>片岸：2026年度からは私が代表を務めるのですが、実は団体をまとめるのは初めてです。</p><p>大変なこともあるとは思いますが、大沼さんが作り上げた2025年の「Blue Campus」の良かった点を継ぎつつ、私とこれからのメンバーが思い描く「Blue Campus」の色を加えて、より良い団体にしていきたいと考えています。</p><p>山本：私は、教科書の英語版チームのリーダーを務めています。</p><p>2026年の夏までにフィリピンやインドネシアといった海と関わりが深い国に向けた英語版・海洋問題の教科書を作る予定です。世界中に日本の海洋問題に関する教科書を届けることで、各国の学生に「自分の国の海はどうなっているんだろう」と興味・関心を持ってもらえると嬉しいですね。</p><p>中島：私は小学生版・海洋問題の教科書を作るチームリーダーを務めています。</p><p>中高生版と異なる点は、海の問題だけでなく、海の魅力を伝えることに焦点を当てている点。子どもの海離れが進むいま、いきなり海の問題を説明しても興味を抱く小学生は少ないと思うんです。</p><p>だから、まずは小学生が海に興味を持つきっかけをつくり、海に対する自分なりの疑問を抱いてもらう内容に整えていきたいと思っています。</p><p>2月9日からは小学生版をつくるためのクラウドファンディングも実施しますので、関心のある方は、ぜひチェックしていただけるとありがたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_1a02dcef70597f2674527755809112ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「うみぽす甲子園2025」に参加して得たもの</h2><p>――「うみぽす甲子園2025」に応募した理由を教えてください。</p><p>大沼：団体結成時に、私たちは「2025年までに1万人の高校生に海の魅力と海洋問題を伝える」という目標を立てていました。一度立てた目標は達成したかったですし、何より「うみぽす甲子園」への参加は「Blue Campus」の活動をより活発にするきっかけになると思ったんです。</p><p>またコンテストのスローガン「2人目を目指す1人目になろう」に深く共感したことも応募を決めた理由でした。</p><p>――他の皆さんは大沼さんから「うみぽす甲子園2025」に参加すると聞いたとき、どのような気持ちでしたか？</p><p>片岸：素直にワクワクしました。海洋問題の解決に向けた活動は、明確なゴールが見えにくいので、ひとりではモチベーションを維持するのがとても難しいんです。</p><p>でも「うみぽす甲子園」なら、メンバーと支え合いながらひとつの目標に向かって取り組める。実際、常に高いモチベーションで活動することができました。いい刺激をもらったことに感謝しています。</p><p>山本：私は、自分が通っている高校から「うみぽす甲子園」への出場を打診されていましたが、勇気がなくて参加を見送っていました。</p><p>しかし、大沼さんから参加の意思を告げられたとき、途端に「大沼さんが参加するなら、自分もやるしかない！」と気持ちが沸き上がってきたんです。それからは無我夢中で教科書制作に取り組みました。</p><p>中島：当時、私はフィジーに留学をしていて、「うみぽす甲子園」に応募したことを大沼さんから電話で伝えられました。自分にとっていい成長の場になると思い、すぐに「参加したいです！」と返事をしました。</p><p>――グランプリを受賞したとき、どのような思いを抱きましたか？</p><p>大沼：グランプリをいただけたことはとても嬉しく、自分たちが信じてきたことを貫いてきて本当に良かったと思いました。</p><p>また、審査員で九州大学院工学研究院・准教授の清野聡子（せいの・さとこ）さんから「自分たちが目標としてきた学校教育に海洋教育を取り入れる試みを、高校生のあなたたちが取り組んでくれて嬉しい」とほめていただけて、大きな自信にもなりました。</p><p>片岸：喜びとともに、達成感に満ちていたことを覚えています。</p><p>また、私たちとは異なる視点から海の研究をしてきた他チームのプレゼンテーションを聞くことで、「なるほど、こういうアプローチの方法もあるのか」と新たな気付きを得られた機会でもありました。</p><p>中島：私も片岸さんと同じように、多くの高校生が異なる視点で海の課題解決に向けて取り組んでいることを知ることができて、とてもいい刺激になりました。</p><p>海の問題に対するアプローチの方法は無限大なのだと実感しました。</p><p>山本：グランプリ受賞はとても嬉しかったです。</p><p>あと、私の中で強く印象に残っているのは、コンテスト後に開催された交流会。他のファイナリストのチームと交流を深めていくうちに、全国には私たちと同じように海の課題解決に向けたアクションを起こしている人たちがいることを実感できました。</p><p>いまは小さなつながりかもしれませんが、この積み重ねが大きなアクションを起こすきっかけになるのだろうと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_8.jpg">「うみぽす甲子園2025」にて、多くの参加者の前でプレゼンをする「Blue Campus」の様子。画像提供：Blue Campus<h2 id="tnf-text-heading-block_8b6e5e56088e2464137471cf27b1e01d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋問題の教科書を制作することが、仲間を増やすきっかけに</h2><p>――教科書を制作するにあたり、工夫したことを教えてください。</p><p>大沼：私の担当は、主にチーム全体のマネジメントや仕事の割り振り。留学中のメンバーもいたため、全体ミーティングを開くことはせず一人一人と密に連絡を取るようにしました。</p><p>その中でメンバーが得意なことや取り組みたいことを把握し、それらに少しでも携われるように割り振りを工夫しつつ、作業負担も誰かに偏らないようにバランスを取っていました。</p><p>片岸：私は、教科書内のレイアウトを担当しました。</p><p>同世代の心を動かし、海に興味を持ってもらうには、各ページの文章の質、構成の質、デザインの質に妥協しないことが大事だと考えていたので、写真の配置やフォントといった細かい部分までこだわりました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_9-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_10-726x1024.jpg">もう片面にはその課題に関する専門家インタビューとメッセージを入れ、メリハリのあるデザインに仕上げた。画像提供：Blue Campus</div></div><p>山本：私は、海洋問題の教科書を全国の同世代に届けるための<a href="https://camp-fire.jp/projects/868156/view" target="_blank" rel="noreferrer noopener">クラウドファンディング（外部リンク）</a>を担当しました。</p><p>目的は、教科書やクラウドファンディング自体を通して海の問題が誰にとっても身近な問題であると知ってもらうことでした。</p><p>そのための工夫として取り入れたのが、SNSでのライブ配信やトークショーです。文章だけでなく、自分たちの声で想いを伝えることで、説得力も増すのではないかと考えました。</p><p>その結果、さまざまな人に支援をしてもらえるようになり、クラウドファンディングの目標額も無事に達成できました。</p><p>中島：私が担当したのは教科書内のワークシート作成です。</p><p>ワークシートは、海の問題を、少しでも自分ごととして考えられるような工夫をしました。多くの場合、壮大過ぎる海洋問題について知る途中で「自分とは無関係だ」と見放されてしまいがちです。</p><p>ただこのワークシートを通して思考プロセスを整理することで、より海洋問題を身近に捉えられるようになっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_11-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_12-726x1024.jpg">ワークシートでは、「答え」を出すのではなく、思考を深められるよう工夫している。画像提供：Blue Campus</div></div><p>――教科書を配布したとき、支援者や同世代の方々からはどのような反響がありましたか？</p><p>大沼：いままで海洋問題に興味がなかった子が、この教科書を通して興味を持ってくれたという声をいただけて嬉しかったです。</p><p>また教科書内には「高校生がこの本を作るまで」というページを設けているのですが、それを読んだ人から「課題に対するアクションの起こし方や、伝え方の参考になった」と言っていただけたことも、励みになりました。</p><p>片岸：同世代の仲間が教科書を読んでくれて、一緒に海について話す機会が増えたことが嬉しかったですね。</p><p>大人の方からは「海の問題に、こんなに本気で取り組む高校生がいるんだ」と言葉もかけていただき、さまざまな世代の方に良い影響を与えられたのではないかと感じています。</p><p>山本：友だちから「教科書に書いてあるこれってどういうこと？」と、質問してもらえることが増えました。自分たちで起こしたアクションが、誰かの最初の一歩につながっていると実感できて嬉しいです。</p><p>中島：教科書を届けに訪れた学校の先生から、「ぜひ授業で使いたい」と言ってもらえたことが素直に嬉しかったです。当初のターゲット層を超えて「Blue Campus」が海について考える“2人目”を生み出すことができたと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_13-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_14-726x1024.jpg">「高校生がこの本を作るまで」には、社会課題へアクションを起こすためのヒントが詰まっている。画像提供：Blue Campus</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e9dc053bf0056ba16a6938e67410442f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「Blue Campus」を世界規模の団体に成長させたい</h2><p>――教科書の制作や配布を通して、得た学びや気づきはありますか？</p><p>大沼：高校生が社会課題に向けたアクションを起こすことは、あらゆる世代に「高校生が頑張っているのだから自分たちも頑張ろう」と思わせるきっかけとなるのだと気付きました。</p><p>これは海の問題に限らず、あらゆる社会課題を解決に導く上でとても意味のあることだと思っています。</p><p>片岸：教科書を作る側に回って、初めて「伝えること」と「伝わること」の違いに気付くことができました。そのおかげで、より海の問題を自分ごとにできたと思います。</p><p>山本：海の変化をどう伝えていくべきか、これまで以上に深く考えられるようになったと思います。またクラウドファンディングを通して、自分の発信する言葉には責任があることにも気付けました。</p><p>中島：行動力のある先輩方と一緒に活動したことで、これからの自分の目指す姿が明確になりました。似たような志を持つ高校生とチームとなって活動できたことも、自分の自信につながりました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_15.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_16.jpg">海洋問題の教科書は、多くの同世代から共感を得ている。画像提供：Blue Campus</div></div><p>――皆さんの今後の目標を教えてください。</p><p>大沼：「Blue Campus」を世界スケールの団体にしていきたいと考えています。個人としては、研究者として藻場の観測研究を進めていきたいですね。</p><p>片岸：「Blue Campus」代表として、「50年後も豊かな海と暮らしていけるように同世代の仲間とつながり、海へアクションを起こす」という理念を大切に、教科書をアップデートしていきたいと考えています。</p><p>また個人的には大学受験を迎える大切な1年でもあるので、これまで学んできたことを整理して、自分の未来につなげていけるように準備していきたいです。</p><p>山本：これからは日本の海だけでなく、世界の海も含めて活動していきたいです。そして、いつまでも大好きな釣りができる未来を実現させたいですね。</p><p>中島：私は、引き続き「Blue campus」のメンバーとして、高校生の視点から海洋問題について伝え続けていこうと思っています。将来的には海洋研究機関に所属し、研究者として教育啓発に関わっていきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_17.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_901955aae9996981610ba744145f96e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会課題を解決するために、若者一人一人ができること</h2><p>最後に、「Blue Campus」の皆さんに、社会を良くするために何か行動を起こしたいと思っている若者に向けて、一歩前に踏み出すためのヒントをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_15a9534c63d8fee9115bf80a8d1f4299" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］常にアンテナを張り、分野を超えてさまざまなトピックに触れる</h2><p>アンテナを張り続けることで、自然とさまざまな社会課題に興味・関心を持つようになる。関心を持つだけでも、立派なアクションの1つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5274a62392d35a29b7d4e25222e81aa9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］社会課題に対する思いを誰かと共有する</h2><p>「自分はこの社会課題に対してこう思うんだけどどう思う？」と友人に振ってみるのもいい。もし同じ考えを持っていたのなら一緒にアクションを起こせるかもしれない。その思いをSNS発信したら、さらに多くの人に思いが届くかもしれない</p><h2 id="tnf-text-heading-block_96bd983a5c4b597d53cbe0c91f4a6b84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］先駆者のアクションに便乗してみる</h2><p>自分で一から行動を起こすのは「ハードルが高いかも」と思う人は、（「Blue Campus」のような）先駆者を追いかけて、そのアクションを自分でも実行したり、拡散したりするのも大事な一歩</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>社会課題に関する情報を収集する中で、全国から集まって海洋問題に取り組む高校生がいると聞き、「Blue Campus」の皆さんに取材を申し込みました。</p><p>お話を通して、思い切って世の中に思いを発信することの大切さや、それによって誰かとつながり、アクションを広められるかもしれないという可能性を強く感じました。</p><p>小さな一歩でもいい、自分のなかで思いを馳せるだけでなく行動に移すことが、より良い社会につながっていくのではないでしょうか。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>毎日笑顔で過ごしたい！ 「ウェルビーイング」ってなんだろう？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119045/social_good</link>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：日本財団ジャーナル</p><p>10代の今だからこそ読んでほしいトピックをお届けする「ジャーナル＠ソーシャルグッドラボ」。皆さんは、「ウェルビーイング」という言葉を聞いたことがありますか？　</p><p>「ウェルビーイング(Well-being) 」とは、「体や心、生活が満たされ、“幸せだ”と実感できる状態」のことをいいます。1900年代初めごろに生まれた考え方で、1946年にWHO（世界保健機関）が提唱し、世界に広がりました。</p><p>皆さんや皆さんのご家族、お友だちはいま、「ウェルビーイング」でしょうか。悩んでいたり、良い状態になかったりしていませんか？</p><p>今回は、皆さんの人生に欠かせない「ウェルビーイング」の考え方を解説し、皆さんの「ウェルビーイング」を高める取り組みや、皆さんが今日からできることを紹介します。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>この記事のPOINT！</p>「ウェルビーイング」は体と心、社会の健康によって実現するもの日本の子どもたちは、幸福度を示す指標のアンバランスさが目立つ状態にある一人一人の意識や取り組みによって、「ウェルビーイング」になれる<h2 id="tnf-text-heading-block_52dd00b70f03405039975141d800a47b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ウェルビーイング」をつくる3つの要素</h2><p>「ウェルビーイング」は互いに関連する3つの要素からできています。</p><p>1.体の健康病気やけががなく、睡眠と栄養が十分で、元気に過ごせている。「心の健康」「社会の健康」の土台になる要素</p><p>2.心の健康不安やストレスなどに悩むことなく、気持ちが安定しており、ポジティブに生活できている。毎日、充実感や満足感がある</p><p>3.社会の健康良い人間関係を築けている。自分が誰かのために役立つという実感を持ちながら、自分らしく過ごせている</p><p>この3つが揃うと心と体の両方が満たされ、「最高のウェルビーイング」が実現します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_de8856e6f97af3509f8fda5958bb325d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜいま「ウェルビーイング」が注目されているの？</h2><p>「ウェルビーイング」が注目を集める背景には、現代ならではの事情があります。一緒に「ウェルビーイング」の大切さを考えてみましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_75ddae4c4e9f05e91c5706f973783f4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●お金があるだけでは、心は満たされない</h3><p>かつて日本人は、経済的な豊かさ（良い会社に就職し、多くの給料を手にできる状態）を追い求めていました。</p><p>でも、現代は将来に希望を持てない人が増えています。社会が複雑になり、ストレスにさらされ続け、悩みや不安、心に病を抱える人が増えています。</p><p>生活できるお金があって衣食住に困っていなくても、「心は満たされはしない」と、人々は気づき始めました。</p><p>心と体が健康で、社会と自分がつながり、役立っているという実感こそ必要だとの考えから、「ウェルビーイング」に注目が集まっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cf0e6e1cb5ec68d8df0fbe2c21363c8e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「ウェルビーイング」が世界共通の目標になった</h3><p>SDGs（持続可能な開発目標）を知っていますか？　国連が決めた、「世界の課題を解決し、誰一人取り残さないより良い世界をつくろう」という目標です。</p><p>全部で17項目あり、「ウェルビーイング」は3番目の「すべての人に健康と福祉を」として加えられています。</p><p>「すべての人に健康と福祉を」の、“健康”は「ウェルビーイング」の考え方そのもの。“福祉”という言葉には、健康で満たされた生活ができる社会環境を整えよう、との意味が込められています。</p><p>世界各国がSDGsの達成に向け動いていることも、「ウェルビーイング」が注目を集める理由です。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97226/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界の2人に1人が、お医者さんにみてもらえない？（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_465bdf491ac3da1fb544ad68a0485ee7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学校教育でも「ウェルビーイング」を向上させる方針が立てられた</h3><p>社会構造の変化や価値観の変化などにより、学校は多くの困難に直面しています。不登校生や無気力な子どもの増加、いじめなどは、困難が形になって現れたものです。</p><p>学校生活の充実は、子どもの「ウェルビーイング」の実現にとても重要です。一人一人の可能性を引き出す教育や、ペースを合わせた学習の実現などの方針が、文部科学省の「教育振興基本計画（※）」でも触れられています。</p><p>学校もまさに、「ウェルビーイング」の実現に動いている最中なのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_67b16c89a5cbbd48d61e2a0fec315a3f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※文部科学省が作成した「教育振興基本計画」では、2006年に改正された教育基本法に基づき、政府が策定する教育に関する総合計画。今後5年間の国の教育政策全体の方向性や目標、施策などを定めている</div><h2 id="tnf-text-heading-block_1829673edf823b0c3dce17d3a5bed529" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の子どもの幸福度は36カ国中14位</h2><p>ここで、世界に目を向けてみましょう。</p><p>ユニセフによる「子どもの幸福度ランキング（※）」ともいうべき調査があります。最新の調査結果（2025）から、日本の子どもには両極端な要素が見られることが分かりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_76066e57c4712fb8af811adaf0da0e80" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※ユニセフ「レポートカード 19： 予測できない世界における子どもたちのウェルビーイング」（2025年5月発表）</div><h3 id="tnf-text-heading-block_9603cc12dd0e7148caed3de16a076898" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●体の健康は世界トップ</h3><p>日本の子どもは、身体的健康の調査結果で第1位です。</p><p>子ども（5～14歳）の死亡率は調査対象となった国の中で最も低く、過体重（肥満）も他国と比べて低いスコアを出しています。</p><p>医療体制や健康保険制度が整備され治療を受けやすいこと、良好な食生活や衛生事情によって健康な体を維持しやすいことが、良い結果につながっていると考えられます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2657325fc03e380fa9d7bf2635606742" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●精神的な幸福度は32位</h3><p>精神的幸福度の順位は調査対象36カ国中、32位でした。</p><p>精神的な幸福度は、生活の満足度と自殺率の2つで構成されています。日本は、生活の満足度は他国をわずかに上回るものの、自殺率が極めて高く出ています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_2.jpg">若者（15～19歳）の自殺率の比較。※10万人あたりの人数<p>日本には「生活に不満はなく体も健康、しかし心は悲鳴を上げている」、そんな子どもが多いといえます。</p><p>心と体の幸福度のつり合いがとれていない状態を解消することが、日本が解決すべき課題といえます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f84426d17104944abc2ac66fe04e8909" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学力・社会的スキルは12位</h3><p>学力と社会性を指標とする「スキル」は、36カ国中12位でした。</p><p>日本の子どもの学力的スキル（数学、読解力など）、は対象国全体と比べても高い水準です。ただし、家庭の経済力の差が学力差につながっている点が心配されています。実際、経済的要因による学力格差の指標で、日本は上から8番目に位置します。</p><p>社会的スキルは、「すぐに友だちができる」といった人間関係のスキルです。日本の子どもは他国に比べて社会的スキルが低めで41カ国中29位でした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_3.jpg"><p>専門家によると、日本の現状には3つの要因があるといいます。</p><p>●自己肯定感の低さ日本の子どもは、自分を無条件で「かけがえのない存在」と認める気持ち（自己肯定感）が低い傾向がある</p><p>●人間関係の課題日本の子どもは、身近な人との精神的なつながりが弱く、コミュニケーション不足の傾向がある</p><p>●競争とプレッシャー勉強や受験競争などのプレッシャーが大きい。常にストレスにさらされ、満足度が低下する</p><p>日本の子どもの自己肯定感の低さは、こども家庭庁の調査でも、同じ結果が出ています。</p><p>子どもの心と体の健康は、社会全体で考えるべきテーマ。まずは、私たち自身が「ウェルビーイング」についてくわしくなりましょう。そして、身近な大人に伝え理解してもらい、社会全体の変化につなげていきませんか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_24a0f5a4582a73d2415550b8f659b610" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの「ウェルビーイング」を向上させる取り組みの例</h2><p>各地で、子どもの「ウェルビーイング」を高める取り組みが実践されています。北海道と東京での実例を見てみましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_398f7bcd301e13c524dc85973ecf95b7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●北海道・中頓別町（なかとんべつちょう）「人生100年学びの拠点・中頓別学園」</h3><p>北海道・中頓別町では、幼少中一貫の義務教育学校「中頓別学園」を2026年4月に開校予定。保育から教育へ、子どもたちが安心して学び続けられる学校としてだけでなく、あらゆる世代を対象とした「人生100の学びの拠点」を目指し、教育委員会、学校、地域が一体となって取り組んでいます。</p>・教育に特化したウェルビーイングの実践事例を、自治体同士で共有<p>中頓別町は、東京学芸大学と5つの自治体が連携する「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」に参画。各自治体の教育施策や現場に即した独自のウェルビーイング指標の開発に注力しています。</p> ・地域が一体となり、子どもが主体となって学び、成長できる環境づくり<p>中頓別学園の開校に向けて月に1度、「新しい学校づくり授業」を実施。地域の人たちも参加し子どもたちと対話を深めながら、子どもの自ら学ぶ力や、社会を生きるための力を育んでいます。</p>・学びの選択肢を増やす仕組みを取り入れ、一人一人の可能性を伸ばす<p>子どもたちが、自ら選び、調べ、学び合うUDL（学びのユニバーサルデザイン）の視点を導入。一人一人の可能性を伸ばす授業の実践を始めています。子どもたちが「公平」に学び、成長できることを大切にしています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_4.jpg">2025年11月に実施した「新しい学校づくり授業」における「なかとんミーティング」の様子。子どもたちは「人生のウェルビーイング」をテーマに、地域の大人たちと一緒に語り合った。画像提供：中頓別町教育委員会</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_5.jpg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_72d7501d6e9cba2d54f5ce74c2de10b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●東京学芸大学附属竹早中学校「生徒が主体となった未来型の学習空間づくり」</h3><p>パソコン室のリニューアル計画には、生徒（使う人）が設計から参加しています。計画を大人（企業・学校・教員）任せにせず、生徒の声を取り入れた結果、使いやすく愛着が湧く空間となりました。</p><p>子どもと大人が協力し合って、素晴らしい空間が生み出された例です。</p>・生徒の「やりたい」を形にできる空間へ<p>計画の進行時期は、コロナ禍でした。活動が制限される中、「もっといろいろやってみたい」という生徒の思いを形にできるよう、多様な学習を支え創造力を刺激する空間へと改修しました。</p>・型にはまった考え方にとらわれない、家具メーカーを交えたワークショップ<p>「学校」「教室」などの枠にとらわれず、「リラックスして新しいアイデアを生み出す場」にしたいと、家具メーカーと力を合わせました。生徒も会議や改修作業に参加しています。</p>・多様な工夫により、授業での活用が拡大<p>ワークショップから生まれた多様なスペースや家具が、探究学習といった授業に活気を生み出しています。通常教室とは異なる個性的な空間に向かう生徒の足取りも軽いそうです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_8.jpg">新しいものを創造するスペース。画像提供：東京学芸大学附属竹早中学校</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_9.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_71d680b21817dff82a4713285316bb6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ウェルビーイング」を高めるために、何ができる？</h2><p>皆さんが自分自身の「ウェルビーイング」を高めるために、今日からできることはなんでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_622497ac2fba61349794a21df8ba3fb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●安心できる人間関係をつくってみよう</h3><p>「ウェルビーイング」には、安全で安心できる環境と、健全で親しみある人間関係が重要です。</p><p>まずは、友だちの話を否定せず、じっくり耳を傾けてみてください。友だちや親に、自分の正直な感情を言葉にして伝え、気持ちの交流を試みるのも良いアプローチです。交流は、やがて信頼関係につながります。</p><p>失敗しても大丈夫です。失敗はダメなことではなく、次の挑戦への土台。挑戦を歓迎し、互いに認め合える仲間を増やしていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4d015bc112d148edf3c3e109ac84293a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●自分で選ぶ機会を増やしてみよう</h3><p>自己効力感（「自分はできる」という感覚）は、物事の選択で育まれます。日常生活で、意思を持って選択する機会を増やしてみてください。</p><p>「宿題を進める順番を決める」「自主学習のテーマを自分で決める」などは、今日からできる取り組みです。学校の係決めも他人任せにせず、自分が貢献できそうな係を選択するようにしましょう。</p><p>小さな選択を積み重ねるうちに、自己効力感が高まり、自信が持てるようになってきます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_49eb8d2315de667031da542ae871b8c0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●結果も大切だけど、「プロセスの良さ」も振り返ってみよう</h3><p>テストやスポーツの大会など、皆さんの生活は結果（点数・勝敗）に注目が集まりがちです。</p><p>ただ、「ウェルビーイング」には、結果に至るまでの努力や挑戦の承認が大切です。まわりの大人にも、「結果より過程を見てほしい」と伝えてみてください。</p><p>工夫したポイントや、くじけそうなときに踏ん張った気持ちなど、自分の取り組みを丁寧に振り返るうちに、自己肯定感が高まっていくことでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f10b859a24eff858e80162dc18d867eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●心と体の健康を整える習慣をつくってみよう</h3><p>「ウェルビーイング」の土台は、心と体の健康です。自分自身を健やかに保つ習慣も大切にしましょう。</p><p>十分な睡眠と食事は、生活の基本です。そして適度な運動は、心のリフレッシュに役立ちます。</p><p>ゲームやスマホはルールを決め、自律心を持って使います。悩みや不安は早めに周囲に相談し、一人で抱え込まないことも重要です。</p><p>生活が整うと気持ちが安定し、心を保つ自己調整力も向上します。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_af3b7f4e8794c08df8859729ae4b405e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学校、習い事、地域など、自分にとって「居心地の良い居場所」をつくろう</h3><p>家庭以外に、自分らしくいられる居場所（サードプレイス）をつくりましょう。心地よくいられる空間がいくつかあると、精神的な安定度が高まります。</p><p>学校は、教室以外に図書室や保健室も居場所になります。習い事や児童館、クラブチームなどもサードプレイスに適しています。</p><p>オンラインのコミュニティも良いでしょう。ただし、オンラインコミュニティは安全性に懸念が残るため、親や信頼できる大人と一緒に探すようにしましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_10.jpg">皆さんの「ウェルビーイング」は、親や家族、さらには学校や塾、放課後の時間での先生や大人、そして地域の人々とのつながりの中で、安心できる時間や空間があることが大切<p>心も体も満たされた、良い状態を指す「ウェルビーイング」。社会の変化が必要なものもあれば、私たちの心がけで実現するものもあります。いま自分ができることから、取り組んでいきませんか。</p><p>イラスト：白鳥みち子</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考資料：</p><p><a href="https://www.benesse.co.jp/well-being/about/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ベネッセ ウェルビーイングLab「ウェルビーイング(Well-being)とは？ 意味・注目される背景や取り組みをわかりやすく解説」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000214299.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「【資料8】ウェルビーイングの向上について（次期教育振興基本計画における方向性）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20230928-mxt_soseisk02-100000597_07.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「第4期（令和5年度～令和9年度）教育振興基本計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/news/2025/0081.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ユニセフ「レポートカード19 先進国の子どものウェルビーイング コロナ禍後、急激に悪化」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/report/rc19_jpnhighlights.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ユニセフ「イノチェンティ研究所レポートカード19ハイライト～日本の子どものウェルビーイング～」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/d0d674d3-bf0a-4552-847c-e9af2c596d4e/3b48b9f7/20240620_policies_kodomo-research_02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭蝶「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査（令和５年度）｜こども家庭庁」（外部リンク/PDF)</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20240911-mxt_sisetuki-000037979_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「ウェルビーイング向上のための学校施設づくりのアイディア集」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/106446">連載【ジャーナル＠ソーシャルグッドラボ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>なぜ南極の氷は急速に減っているのか。9,000年前の現象からひも解く、氷床融解（ひょうしょうゆうかい）の仕組みとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119067/sustainable</link>
      <pubDate>Tue, 03 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>南極氷床（※）は地球上の氷の約9割を占め、将来の海面上昇を左右する重要な存在</li><li>約9,000年前の現象解明から、将来的に氷床融解が連鎖的に広がり、想定を超える海面上昇の可能性が示された</li><li>氷床融解は変化を実感しにくいからこそ、長期的な視点で地球環境を捉える姿勢が重要</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_84086ce3dfe7d9b57682ac356ea7b0e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「氷床」とは、広い土地を覆う、厚い氷のこと</div><p></p><p>地球温暖化が進む中、世界各地で海面上昇への不安が高まっています。こうした将来のリスクを考える上で、今注目されているのが、南極に広がる巨大な氷の存在です。南極大陸の上には「南極氷床」と呼ばれる、地球上の氷の約9割を占める大きな氷のかたまりがあります。</p><p>国連の関連組織であるIPCC（※）は、温室効果ガスの排出量が多い場合、2100年までに世界の平均海面上昇は約1メートルにも達すると予測しています。さらに、南極氷床が大きく失われる事態がひとたび生じれば、その影響は予想を超える規模に及ぶ可能性もあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_18705c56fbb7f1612ff241ef37073010" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「IPCC」とは、1988年に世界気象機関（WMO）と国連環境計画（UNEP）によって設立された世界的な政府間組織で、気候変動とその対策に関する科学的な知見を提供している</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyoushou_A.jpg"><p>一方で、極地という過酷な環境ゆえに、氷床融解の仕組みについて本格的な観測と研究が始まったのは、ここ20年ほど。いまだ分からないことも多いのが現状です。</p><p>この記事では、約9,000年前に起きた現象の調査から見えてきた南極氷床の融解の仕組みと、将来起こり得るリスクについて、<a href="https://www.nipr.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国立極地研究所（外部リンク）</a>の菅沼悠介（すがぬま・ゆうすけ）教授に話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00007-1024x682.jpg">国立極地研究所の地圏研究グループおよび総合研究大学院大学教授の菅沼悠介さん。背後のケースには、南極で収集したサンプルが収められている<h2 id="tnf-text-heading-block_098c803f936fddcc61cf93ae8357776c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">南極氷床が、世界の海面上昇と海の環境を左右する</h2><p>――まず氷床とは、どんなものでしょうか。</p><p>菅沼教授（以下、敬称略）：陸地の上に乗っている、巨大な氷のかたまりを指します。雪が積もり、長い時間をかけて押し固められて氷になり、これが何千年、何万年と積み重なって、大陸のサイズにまで成長したものが氷床です。</p><p>南極氷床の面積はおよそ1,400万平方キロメートル、平均の厚さは約2,000メートル、厚いところでは約4,000メートルにも達します。この氷床が全て融（と）け出した場合、全世界の海面は最大で約58メートルも上昇すると考えられているのです。</p><p>そのため、南極氷床の変化は世界中の海面上昇や海洋環境に直結する問題として、国際的にも大きな注目を集めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00005-1024x682.jpg"><p>――氷床融解とは、どのような現象なのでしょうか。</p><p>菅沼：氷床が融けたり、壊れたりすることで量が減っていくことを指します。</p><p>南極は平均気温がとても低く、高所では年間平均でマイナス40度からマイナス55度と極寒です。そのため、まだ気温の上昇によって氷の表面がどんどん融けていく段階には達していません。</p><p>南極氷床が縮小する主な要因は、海と接する部分で起きる変化です。海に浮いている氷「棚氷（陸上の氷が海上に突き出した部分）」の底面が海洋の熱で融ける「底面融解（ていめんゆうかい）」と、氷が割れて崩れる「分離」。南極氷床は、主にこの2つの要因によって減っていきます。</p><p>――この氷床の融解は、急速に進んでいるのでしょうか。</p><p>菅沼：氷床全体の変化を把握できる衛星観測が本格的に始まったのは2000年代に入ってからで、それ以前の状況はよく分かっていません。南極氷床はあまりにも巨大で、現場での観測が難しく、衛星による上空からの観測に頼らざるを得ないからです。</p><p>しかも、氷床の重要な変化は、棚氷の下など氷や海面の下で起きているため、上空から衛星で観測するだけでは全体像を捉えにくい。南極氷床は変化を把握すること自体が難しい存在なのです。</p><p>ただ、2000年以降のデータを見る限りでは、少なくとも氷床融解は「加速しているように見える」状態にあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00002-1024x578.png">南極氷床の氷の量の変化を示しており、年々減っている傾向が見て取れる。出典：NASA and JPL/Caltech<p>菅沼：その一例が、2002年に起きた「ラーセンB」と呼ばれる南極半島の棚氷の崩壊です。</p><p>鳥取県の広さに近い面積（※）が、わずか数週間で一気に失われました。これは氷が徐々に融けるのではなく、壊れることで急激に縮小する可能性を示し、研究者たちに大きな衝撃を与えました。</p><p>こうした崩壊は、数週間から数日という非常に短い期間で起こる場合もあり、大きな変化が突然起き得るということを示しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_fdf24f725f65d3f44c6418dc9421b639" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※ラーセンB棚氷から分離した氷山の面積は3,250平方キロメートル、鳥取県の面積は3,507平方キロメートル</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00003.jpg"></div><p>――氷床融解は、世界にどんな影響をもたらすのでしょうか。</p><p>菅沼：大きく分けて、「世界的な海面上昇」と「海洋循環（※）の変化」の2つが挙げられます。</p><p>まず氷床融解による海面上昇についてですが、南極氷床は地球上の氷の約9割を占めており、その巨大な氷が融けて海に流れ込むことで、世界の海面は大きく上昇します。東京や大阪、ニューヨークなどの沿岸都市や、低地に広がる農業地帯にも深刻な影響が及ぶ可能性があります。</p><div id="tnf-text-notes-block_130d0e4ce75003046c0273f43195ee15" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「海洋循環」とは、海水が長い時間をかけて世界の海洋を大きく循環すること</div><p>「海洋循環の変化」についてですが、氷床が融けると、南極大陸周辺の海域に大量の淡水（※）が流れ込みます。淡水は海水に比べて軽いので、海洋にふたがされるような状態となり、その影響で、海の大きな流れが弱まる可能性が指摘されています。</p><p>海洋循環は、深海から表層へ栄養分を運ぶ役割も担っています。その流れが弱まると、プランクトンの生産が減少し、魚類にも影響が及びます。これによって世界的な食料問題につながる恐れがあります。</p><p>また、海洋循環は地球の熱を運ぶ役割も担っているため、その変化は各地域の気候にも影響します。地球温暖化が進む中でも、場所によっては寒冷化が起こる可能性もあるのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_5a5f6c06f0f48bfa23f1a8db32279ad0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「淡水」とは、塩分をほとんど含まない水。一般に淡水の塩分は約0.05パーセント以下で、海水の塩分は約3.5パーセントとされる</div><h2 id="tnf-text-heading-block_8ead170151dea070aef149f4dfa6b685" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">約9,000年前の現象から見えた「ティッピング・カスケード」</h2><p>――近年「ティッピング・カスケード」という言葉が注目されています。これは、どのような現象なのでしょうか。</p><p>菅沼：「ティッピング・カスケード」というのは、1つの気候変動がきっかけとなり、別の変化を誘発することで、ドミノ倒しのように連鎖的な環境変化を引き起こす現象のことです。</p><p>地球の気候は、いくつもの重要な要素（ティッピング・エレメント）によって成り立っています。それらは互いに影響し合っているため、どれか1つが大きく変わると、それをきっかけに別の変化を呼び起こすことがあるのです。</p><p>――その「ティッピング・カスケード」が、南極でも起きていた可能性はあるのでしょうか。</p><p>菅沼：私たちが2019年から2020年にかけて行った南極調査の結果によって、それが明らかになりました。</p><p>現在の観測では、南極氷床がすでに大規模に融解するような状態にあるとはいえず、また将来どのような条件で大規模な融解が発生するのかは分かっていません。</p><p>そこで、その手がかりを得るために、約9,000年前、実際に氷床が大きく融解した時代に何が起きていたのかを調べました。その結果、水深1,000メートル以下から500メートルぐらいまで湧き上がってくる暖かい深層水が南極沿岸に流れ込み、棚氷を崩壊させたことで、内陸の氷床が流れ出し、大規模に縮小したことが分かりました。</p><p>さらに重要なのは、この場所が最初の引き金ではなかった可能性があるという点です。別の地域で先に氷床の融解が始まり、その影響が連鎖する形で、この地域にも変化が及んだ可能性が見えてきたのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00008-1024x766.jpg">2019年に南極で行われた調査の様子。堆積物の解析から、約9,000年前に氷床が縮小したメカニズムを、菅沼教授を含む研究チームが解明した。画像提供：産業技術総合研究所<p>――約9,000年前の南極では、どのような仕組みで氷床融解が連鎖的に進んでいったのでしょうか。</p><p>菅沼：ここがとても重要なので詳しく説明します。この連鎖のカギになるのが、氷床が融けて生まれる淡水と、南極特有の「海が混ざりにくい」性質です。</p><p>通常、海では冷たい水は重くなって沈み、温かい水は軽くなって上にとどまります。しかし南極周辺では、温度よりも塩分の違いが、水の重さに大きく影響します。</p><p>氷床が融けて流れ出した淡水は、非常に冷たいものの、塩分を含む海水より軽いため、沈まずに海の表面を覆うように広がります。いわば、海の上部に「冷たい淡水のふた」がある状態です。</p><p>その下の水深400〜500メートルほどの深さには、水温が約1度の比較的暖かい深層水が入ってきます。本来であれば、表面の冷たい水と混ざって冷やされますが、「淡水のふた」ができることで混ざりにくくなり、暖かいまま棚氷の底面まで入り込みやすくなるのです。</p><p>その結果、海水が棚氷の裏側を融かす「底面融解」が進み、棚氷が崩壊します。その結果、内陸の氷床の流出が加速し、大規模に氷床が縮小していきます。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00001.png"></div><p>――そうすることで、連鎖的な融解が進んでしまうということでしょうか。</p><p>菅沼：はい。「底面融解」が進めば、氷は薄くなります。そして氷が薄くなれば棚氷は壊れやすくなり、崩壊によってまた大量の淡水が生まれます。その淡水が再び海の表面を覆い、さらに暖かい水が氷床の底面に入り込みやすくなる。</p><p>こうして、「氷が融ける→淡水が増える→さらに氷が融けやすくなる」という循環が繰り返され、融解と崩壊が雪だるま式に起こっていくのです。</p><p>さらに問題なのは、この連鎖は1つの場所にとどまらないということ。南極沿岸を流れる海流に乗って淡水が広がれば、ある場所での融解が、別の場所の融解を引き起こす可能性があるのです。まさに、ドミノ倒しのように広がっていく「ティッピング・カスケード」です。</p><p>約9,000年前の南極では、実際にこの仕組みが働き、棚氷の崩壊と内陸氷床の大規模な流出が同時に起きた痕跡が残されていました。この過去の記録は、将来、南極で同じように連鎖的な融解が起こり得ることを示す、極めて重要な手がかりです。</p><p>――連鎖的な融解が止まる可能性はあるのでしょうか。</p><p>菅沼：氷が減ることで、地面が持ち上がり、海と接する部分が減ることで融解が弱まる仕組みはあります。ただし、こうした動きはとてもゆっくりで、数千年近い時間がかかるため、短期的にはこの仕組みは働かないだろうと考えています。</p><p>――菅沼教授が実際に現地を訪れたからこそ、地球の未来に対して強く感じている危機感があれば、教えてください。</p><p>菅沼：私が最も強く感じているのは、「体感できる頃には手遅れになる」ということです。</p><p>南極氷床はあまりにも巨大なため、その変化を人の目で捉えることは困難です。つまり、全体が減っているのか増えているのかを、人間の感覚で判断することはできないということです。</p><p>それでも変化は確実に進み、もし誰もが実感できる段階に入ったときには、すでに取り返しがつかない状況になっているかもしれません。</p><p>もう1つは、こうした長期的なリスクに対して、社会全体として将来を見据えた判断が十分に行われていないことへの危機感です。</p><p>海面上昇の問題は、今の時代に意思決定を担う人にとっては、「自分が生きていない未来」の出来事かもしれません。だからこそ、短期的な視点だけでなく、長い時間軸で未来を考える姿勢そのものが、社会に求められているのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00006-1024x682.jpg">約9,000年前に起きた南極氷床大規模融解の原因解析は、菅沼教授をはじめ、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構、東京大学、高知大学、北海道大学、青森公立大学などの研究者からなる研究グループによって行われた<h2 id="tnf-text-heading-block_b9a79803c7c91a2011218c3c59f33e1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">南極氷床の融解を周知し、地球環境を身近に考えるために私たち一人一人ができること</h2><p>菅沼教授から、地球環境を身近に考えるために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_008424e6d8d3cbf7c3910160c79a35e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］見えないことを、知識で補い、自分ごととして知ろうとする</h2><p>南極や深海で起きている変化は、私たちの日常ではもちろん、人間の感覚では体感することすらできない。だからこそ、研究者が発信する情報や報道に触れてみる。見えない変化を自分ごととして知ろうとする姿勢が、地球環境を身近に考える出発点となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f4805e7bd7ff4005712b46ba05441555" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］50年後、100年後の地球を地続きの未来として想像する</h2><p>氷床融解や海面上昇によって、今すぐに大きな影響を受ける人が少ない一方、その影響は長い時間をかけて確実に蓄積し、将来の社会に重い負担として現れる。遠い未来の暮らしや環境問題を「今の判断の積み重ね」として捉える</p><h2 id="tnf-text-heading-block_100db0acf7de898d3080268de147a0cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］長期的な視点を重視する社会の選択を支える</h2><p>環境問題の解決には、個人の努力だけでは限界があり、社会全体の意思決定が長期的に積み重なることで、将来の姿が形づくられていく。短期的な利益や成果だけでなく、将来を見据えた考え方や取り組みを大切にする社会を選び、支えていくことが求められている</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>海面上昇のリスクの中でも、もっとも大きなカギを握るのが南極氷床の融解だと知り、菅沼教授にお話を伺いました。</p><p>海面上昇や気候変動は、どこか遠い未来の出来事のように感じていましたが、菅沼教授が語った「体感できる頃には、すでに手遅れかもしれない」という言葉は、今を生きる私たちの判断そのものを問いかけているように感じました。</p><p>長い時間軸で物事を考える視点を持って、私たち一人一人が生きていくことで、次の世代、そのまた次の世代が安心して暮らしていける未来を実現できるのではないかと感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3c52138d1772e81ab6035910ddf83a30" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_bf75ee32a2615d5493681da045ff1e51" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">菅沼悠介（すがぬま・ゆうすけ）</h3><p>国立極地研究所および総合研究大学院大学教授。地質学・古地磁気学を専門とし、南極や北極の氷床変動や過去の地球環境の解明に取り組む研究者。これまで7回にわたり南極での現地観測に参加し、氷床上での調査や海底堆積物の分析など、過酷なフィールドワークを重ねてきた。特に約9,000年前の南極で起きた大規模な氷床融解の痕跡を明らかにし、将来起こり得る連鎖的な氷床崩壊「ティッピング・カスケード」の可能性を示した研究は、国際的にも注目を集めている。現在も、南極氷床の不安定化メカニズムの解明を通して、地球環境の未来を見据えた研究を続けている。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>どんぐり育成が「命を守る」一歩に。林業従事者以外も巻き込む、土砂災害による人的被害ゼロへの道</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119025/sustainable</link>
      <pubDate>Fri, 30 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>林業の資金・人手不足の問題が、土砂災害の被害増加につながっている</li><li>ソマノベースは「森や林業を身近にする」取り組みを通じ、土砂災害による人的被害ゼロを目指している</li><li>山間部に住んでいなくても、土砂災害の当事者になり得る。地域の山を「遠い自然」から「守るべき対象」へ変える意識が不可欠</li></ul><p></p><p>近年、豪雨や台風の影響により、日本各地で土砂災害が相次いでいます。気象庁が公表している<a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2025/html_honpen/cc2025_honpen_5.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「日本の気候変動2025」（外部リンク）</a>によると、1980年頃と比較し、2015年から2024年の10年間の大雨発生頻度は約2倍増加。併せて大雨の強度も全国平均で高まっています。</p><p>気候変動が進む中、土砂災害による人的被害をいかに減らすかは、重大な社会課題となっています。</p><p>こうした課題に、森づくりという視点から向き合っているのが<a href="https://somanobase.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社ソマノベース（外部リンク）</a>。和歌山県を拠点に、ユーザーが育てたどんぐりの苗を山に植えるプロジェクト「MODRINAE（戻り苗）」を展開し、森を身近に感じる体験の提供と、災害に強い山づくりの両立を叶えています。</p><p>今回は、代表取締役CEOの奥川季花（おくがわ・ときか）さんに、土砂災害による人的被害を減らすための取り組みや、林業が抱える問題解決のために必要なことを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c7c377dac32a3530f7856b4528606621" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">土砂災害の背景にあるのは林業が抱える課題</h2><p>――ソマノベースは「土砂災害による人的被害をゼロにする」ことを目的に設立されたとのことですが、そもそも土砂災害はどうして起こるのでしょうか。</p><p>奥川さん（以下敬称略）：土砂災害は、大きく分けて「表層崩壊」と「深層崩壊」の2つに分けられます。</p><p>表層崩壊は、山の表面から1〜3メートルほどの浅い部分が崩れる現象で、雨量や地質に加え、斜面に木が生えているかどうかが大きく影響します。樹木の根は土壌を網目状につなぎ、雨水による流出を抑える役割を果たすため、植林や適切な森林管理によって、発生のリスクを下げることができるんです。</p><p>小さな土砂流出でも、ダムに堆積すれば貯水容量が減り、大雨時の洪水リスクが高まります。山で土砂の流出を抑えることは、流域全体の安全につながるのです。</p><p>一方、深層崩壊は、より深い地層から山全体が崩れる大規模な災害で、主な要因は地質構造や極端な豪雨です。現時点では人の手で直接防ぐことは難しく、ダム整備や避難計画など、被害を最小限に抑える対策が中心となります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano000023.jpg"><p>――土砂災害への対策について教えてください。</p><p>奥川：深層崩壊のような大規模な災害は、地質や極端な豪雨が原因となるため、避難体制の整備や情報伝達など、「災害が起きた際に被害を最小限に抑えるための対策」が中心となります。</p><p>一方で、表層崩壊については、人と自然の関わり方次第でリスクを下げることが可能です。重要なのは、山を使いっ放しにせず、きちんと次につなげていくことです。木を切ったら植える、成長に合わせて間伐を行うなど、基本的な森林管理が続けられていれば、雨水の流出を抑え、土砂の崩落を起こりにくくすることができます。</p><p>しかし、こうした管理が行き届かない山が増えているのが現状です。本来は防災機能を持っているはずの森が、その役割を果たせなくなっているんです。</p><p>だからこそ、山の管理を一部の専門家だけに任せるのではなく、社会全体でどう支えていくかを考えることが、これからの土砂災害対策には欠かせないと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00004.jpg">取材に対応いただいたソマノベースの奥川さん。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――国内の林業における課題も関係しているのでしょうか。</p><p>奥川：そうですね。林業が抱える課題は複合的ですが、なかでも林業全体の経済的困窮と、木を切ったあとに植え直す「再造林」の停滞が大きな問題です。</p><p>木材価格は長期的に下落しており、50年かけて育てた木でも、丸太1本あたり2,000円から3,000円程度にしかならないケースもあります。この水準では伐採して売ることはできても、その後に苗を植え、山を更新するための投資にまでお金が回りません。</p><p>さらに、安価で安定供給される外国産木材との競争も厳しく、国産木材を選ぶ積極的な理由を見出しにくい状況があります。その結果、伐採後に再造林されずに放置される山が増え、悪循環が続いているのです。</p><p>――産業を支える人の面では、どのような課題がありますか。</p><p>奥川：労働環境の厳しさと人材不足も深刻です。林業は全産業の中でも死傷者数が多く、危険性の高い仕事とされていますが、この状況は長年大きく改善されていません。</p><p>収益性も低いため十分な人員を確保しづらく、結果として効率を優先せざるを得ない場面があります。その過度な効率化が、かえって安全面のリスクを高めるという問題が生じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00001.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2275fcbfc917b5f4214d0dd9ed3c782a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">森を育てる体験が、防災を「自分ごと」に変える</h2><p>――これらの課題に対して、どのような解決策が考えられるのでしょうか。</p><p>奥川：全ての課題に共通して私が大切だと思うのは「山の手入れを、限られた専門家だけの仕事にしないこと」です。専門知識や体力が必要な林業の現場は、どうしても関わる人が限られ、担い手不足が加速してきました。</p><p>そこで重要となるのが、山づくりへの関わり方を分解し、入り口を増やすことです。いきなり山に入って作業をする必要はありません。苗を育てる、植林に関心を持つ、地域の山の現状を知る。そうした小さな関わりが、山を放置しないための土台となります。</p><p>林業の外から、異なる専門性を持つ人たちが関わりやすくすることも重要です。</p><p>――そのためにソマノベースが行っていることを教えてください。</p><p>奥川：ソマノベースの代表的な取り組みが「MODRINAE（戻り苗）」です。「MODRINAE」は、誰にとっても身近であるどんぐりから苗木を育て、成長したところでそれを山に返して植える仕組みです。</p><p>現在は和歌山県、北海道、東京都の3拠点でプロジェクトを展開し、それぞれの地域の気候や山林環境に適したどんぐりの樹種を選定しています。</p><p>森づくりを専門家だけのものにせず、誰もが楽しく、主体的に参加できる防災の形を目指しました。森の一部を育てる体験を通して、防災を「自分ごと」として感じてもらう。その積み重ねが、林業が抱える課題解決や、土砂災害による人的被害の軽減につながると信じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/2.png">「MODRINAE」は公式サイトから誰でも購入できる。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――プロジェクトは、どのような流れで進んでいくのですか。</p><p>奥川：「MODRINAE」は公式サイトでどなたでも購入が可能で、最初に木の鉢、どんぐり、土のセットが届きます。苗木を育てる目安は約2年間。30センチほどの大きさまで成長したところで、郵送で返送、もしくは毎年開催される植樹ツアーに参加し、自らの手で山に植えることも可能です。</p><p>山に植えられた苗木は、ソマノベースや地域の林業家が仕事として引き継ぎ、継続的に管理し参加者が育てた苗を植えて終わりにせず、プロの手で守り育てていく体制が整えられています。</p><p>苗を送り出した後は、どんぐりと土のみを再購入し、次の育成サイクルを始めることもできます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_70b83c1b43e6cdff9082bb3f036b358c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">林業を開く「架け橋」へ、人と森をつなぐ新しい仕組み</h2><p>――一般の方を巻き込む仕組みづくりは、これまでの林業の常識にとらわれないものだと感じます。</p><p>奥川：災害や人手不足など、林業が抱える課題は30年以上大きく変わっていないと言われているんです。異なる専門性や視点を持つ人材が関わることで、これまでになかった発想や仕組みが生まれる。その積み重ねが林業の抱える課題解決につながると捉えています。</p><p>ソマノベースのメンバーも、林業現場の出身者だけでなく、デザインやプログラミングなど、他分野のバックグラウンドを持つ人がほとんどです。</p><p>――林業に多様な視点を取り入れ、業界をさらに開いていくための具体的な取り組みも教えてください。</p><p>奥川：ソマノベースは「専門性が高い」という林業のイメージを覆し、山に関わりたいと願う人や企業の「架け橋となる存在」を目指しています。</p><p>「MODRINAE」の他、定期的に企業を巻き込んだセミナーなどを開催しています。外からは見えにくい林業の複雑な構造や、他社・他地域の取り組みを積極的に共有することで、企業や個人が参入しやすい土壌づくりを進めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00002.jpg">ソマノベースの植林会の様子。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――既存の防災活動に対しては、どのような点に問題を感じていますか。</p><p>奥川：土砂災害対策に関わる中で、防災訓練やセミナーの参加者が高齢者の方に偏っている現状を目の当たりにしました。若い世代や、防災に関心を持ちにくい層には情報が届いていません。このままでは人的被害を減らせないのではないか、という危機感を抱きました。</p><p>老若男女関係なく、多くの人がより気軽に関われるオープンな情報発信の必要性を感じています。</p><p>――最後に、土砂災害による人的被害を減らすために、社会としてどのような方向を目指すべきだと考えていますか。</p><p>奥川：土砂災害による被害を減らすためには、インフラ整備や避難計画といった行政主導の対策だけでなく、一人一人が防災を「自分ごと」として捉えられる社会をつくっていくことが重要だと感じています。</p><p>これまで、林業や防災対策は専門性が高く、限られた人だけが関わる分野になりがちでした。しかし、山の管理や防災の問題は、私たちの暮らしと切り離せるものではありません。森や山と日常的に関わる人が増えれば、災害リスクへの理解も自然と深まり、いざという時の行動にもつながります。</p><p>将来的には、年齢や立場を問わず、多くの人が森や防災に関心を持ち、情報を共有し合える状態が当たり前になること。その積み重ねが、土砂災害による人的被害を限りなくゼロに近づけられると考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_587d38fb50ea2fe74ffa20380c5ebe9c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">土砂災害による人的被害を減らすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に奥川さんに土砂災害による人的被害を減らすために、私たち一人一人ができることをお伺いしました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8afa74a651ad0bea7b695e2320630713" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自分の住んでいる地域が、どの山とつながっているのかを調べる</h2><p>土砂災害は、山間部だけの問題ではない。都市部を含む多くの住宅地は、山や川の「下流」に位置している。自分の暮らす場所が、どの山や流域とつながっているか、その視点を持つだけで、災害は遠い出来事ではなく、身近に起こりうると認識できる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_869797bf78c34ea1c55c52c85eac4ae0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］身近な自然に目を向け、できることから関わってみる</h2><p>防災や森づくりは、特別な知識がなくても始められる。例えば、街中でどんぐりを拾い、土に埋めて育ててみる。そんな小さな行動でも、植物の成長を通じて「森」や「山」とつながる感覚を持つことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_208f0ec56de3891b02ec1f8b08ada187" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］楽しみながら、森や山とつながり続ける</h2><p>登山やハイキングなど、レジャーとして山を楽しむことも立派な関わり方の一つ。さらに、植林ツアーや保全活動への参加、応援したい山への寄付など、関わり方はさまざま</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>クマの被害のニュースを見て、山林の荒廃が気になり、ソマノベースを知りました。</p><p>豪雨や土砂災害が毎年のように報じられるなか、「森を育てること」が私たちの日常とどう結びつくのかは、どこか遠い話に感じられがちです。しかし、どんぐりを拾い、育て、森へ返すソマノベースの取り組みは、自然と人との距離を確かに縮めていました。</p><p>土砂災害を防ぐための森づくりは、特別な人だけのものではありません。このプロジェクトは、私たちの意識を変えるきっかけとなるプロジェクトだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>高齢者と若者が共生して暮らす。新しいかたちの「多世代型コミュニティー住宅」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118772/inclusive-society</link>
      <pubDate>Tue, 20 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>高齢化が進む現代社会。高齢者の多くが年齢を理由に賃貸住宅への入居拒否を経験している</li><li>ノビシロハウスは多様な人々が支え合いながら暮らす「多世代コミュニティー型集合住宅」</li><li>老いや死をタブー視せず、多世代が互いに「生き方を学ぶ場」としてのコミュニティーを目指す</li></ul><p></p><p>日本では単身高齢者の増加に伴って、「保証人が見つからない」「年齢を理由に賃貸契約を断られる」といった理由で住宅を借りられない高齢者が増えています。地域コミュニティーの希薄化により、孤立や孤独死のリスクも深刻化しています。</p><p>一方、管理されないまま放置される空き家が増加する「空き家問題」も加速しています。</p><p>こうした複数の課題に同時に向き合う取り組みとして、株式会社ノビシロが神奈川県藤沢市・亀井野で運営する多世代型コミュニティー住宅「ノビシロハウス」が注目されています。</p><p>入居者は個別住居で一人暮らしをし、若者はソーシャルワーカーとしてノビシロハウスに住む高齢者と関わることで家賃が半額になるという仕組みを導入。月例のお茶会も開き、住民同士がつながり、共生する場づくりも行っています。</p><p>今回、株式会社ノビシロの代表・鮎川沙代（あゆかわ・さよ）さんに、多世代共生の実践と、地域を巻き込むコミュニティーづくりの工夫を伺い、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するうえで、私たちに何ができるのかを探ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_e7687a5804841ac14707f3f38b01f2d6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">部屋探しに苦労した経験から、どんな人でも受け入れる不動産仲介業を立ち上げた</h2><p>――改めて、「ノビシロハウス」とはどのような取り組みなのでしょうか。</p><p>鮎川：同じ敷地内に高齢者向けと若者向けの住居が存在する、多世代共生の住まいです。まずハード面では、高齢者の方が最期まで暮らせるバリアフリー設計の住居に加え、地域に開かれた「カフェノビシロ」や、24時間対応の訪問診療クリニックを併設しています。</p><p>そこにソフト面の取り組みとして、若者は「ソーシャルワーカー」として入居し、高齢者の生活をサポートしたり、月例のお茶会で住民同士のつながりをつくったりすることで、若者の家賃が半額になる仕組みを導入しました。</p><p>あくまでアパートで自立した生活を送りながら、医療や福祉にもアクセスが可能な場所です。カフェが日常的な交流のハブとして機能することで、一人暮らしでも孤立しない環境を整えています。</p><p>――なぜ、住まいにそのような仕組みを取り入れたのでしょうか。</p><p>鮎川：人が地域や社会とつながり続けるための「土台」をつくることが目的だからです。</p><p>孤独が心身に与える悪影響は大きく、今の社会では自然に関係性が生まれるのを待っていても解決しません。だからこそ、住まいという建物だけでなく、若者との関わりといった仕組みの両面から、誰かと支え合える環境を設計しました。</p><p>一人暮らしであっても社会との接点を失わない、そんな新しい住まいの形を具現化しています。</p><p>――そもそも、なぜ「ノビシロハウス」をつくろうと思ったのでしょうか。</p><p>鮎川：自身の苦い部屋探しの経験から、社会生活における課題のある方に寄り添う不動産業を始めました。しかし、資産があっても高齢というだけで断られる現実に直面し、大きなショックを受けたんです。</p><p>孤独死や認知症への懸念など管理側の事情も知る中で、根性論ではなく仕組みで解決する必要があると考え、ノビシロハウスをつくりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00005.jpg">ノビシロ代表の鮎川さん。画像提供：ノビシロハウス<h2 id="tnf-text-heading-block_c1420bd0ce7ca2e531cd73fcd2e44ee9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ノビシロハウスが目指す、最期まで暮らせる賃貸</h2><p>――地域コミュニティーが希薄化している現代だからこそ生まれた取り組みだと思います。背景には何があるとお考えでしょうか。</p><p>鮎川：根底にあるのは核家族化だと思います。三世代、四世代で暮らす社会から、個々が独立して暮らすことが前提の社会へと大きく変わりました。生活は便利になった一方で、「一人で老いること」については十分に考えられてこなかったのではないでしょうか。</p><p>かつて家族が担っていた高齢者の介護も、現在は施設に委ねられるケースが増えています。いま80代、90代の方々は、その転換期を最初に経験した世代です。その姿を見てきた60代、70代の方からは、「自分は施設には入りたくない」という声をよく聞きます。</p><p>もちろん、施設での暮らしが合う人もいます。ただ、「高齢者は高齢者だけで暮らす」「地域から切り離す」という形が、全ての人にとって最善なのか。そこに疑問を持つ人が増えていると感じています。</p><p>安心・安全だけでなく、「幸せかどうか」や「社会とつながり続けられるか」という視点で住まいを見直す必要がある。その問題意識がノビシロハウスの出発点です。</p><p>三世代同居のような暮らしを、そのまま現代に戻すことは現実的ではありません。血縁に限らず、価値観の近い他人同士が集まり、親戚のような関係性を築く。そうした多世代の暮らし方が、ひとつの折衷案として受け入れられ始めていると感じています。</p><p>――現在、どのような方がノビシロハウスで暮らしているのでしょうか。</p><p>鮎川：ソーシャルワーカーとして関わっている学生を除くと、年齢層は60代から90代までと幅広いです。年齢ではなく「どのように暮らしたいか」を重視しているからこそ、親子ほど年齢差のある人同士でも無理なく暮らしが成り立ち、多世代を受け入れる場になっていると感じています。</p><p>――ソーシャルワーカーについては、家賃の安さが決め手になっているわけではなさそうですね。</p><p>鮎川：おっしゃる通りです。周辺相場と比べると、多少安いという程度ですので、人と関わることを好まない方にとっては正直面倒くささのほうが勝つと思います。それでも来てくれるのは、やはり「関わり」に価値を感じている若者たちですね。</p><p>ある学生は私が大学で担当している講義を受講していたのですが、もともと高齢者と一緒に暮らす多世代共生の住まいに興味を持っていたそうです。「いろいろ調べた結果、ノビシロハウスの形が一番しっくりきた」と言ってくれました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_6fa5ceb6d17ec7cc74e6bad12618e806" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">暮らしを支えるのは、共感でつながる人の存在</h2><p>――ノビシロハウスのような取り組みを広げるためには、何が必要だと考えますか。</p><p>鮎川：一番大切なのは、考え方に賛同してくれる人を増やすことだと思っています。ノビシロハウスには常駐のスタッフがいるわけではなく、コミュニティーをつくるのは、あくまで住んでいる方たち自身です。</p><p>だからこそ、「誰が住むか」はとても重要になります。そのため、入居希望者とは必ず面談を行いますし、選定にはかなり力を入れています。</p><p>まずは、入居者同士、地域の方々とのコミュニティーづくりを重視する「ノビシロ的な暮らし」に共感していること。高齢者の方は、コミュニティーに参加することに前向きで、若い世代とも自然に関われるかどうかもポイントです。</p><p>――最近では、隣に住んでいる人の名前も顔も知らないまま、次の住居へ引っ越すことも当たり前になっています。地域コミュニティーが希薄化することで、何を失うことになると考えますか。</p><p>鮎川：特に高齢者の場合、体調や生活に変化があっても、周囲に気づく人がいなければ、そのまま深刻な状況につながってしまうことがあります。</p><p>ただこれは、高齢者に限った話ではありません。若い世代であっても、関わりが職場だけ、あるいは誰とも深くつながらないまま暮らしていると、何かあったときに頼れる相手がいなくなってしまいます。</p><p>直接的な助けがなくても、「話を聞いてくれる人がいる」「気にかけてくれる人がいる」という実感があるだけで、心の状態は大きく変わるのではないでしょうか。</p><p>――ノビシロハウス内のコミュニケーションが活発化するために、運営として大切にされている工夫はありますか。</p><p>鮎川：こちらから細かく仕掛けるというよりは、ゆるやかに「集まるきっかけ」を用意するようにしています。例えば、月に一度のお茶会ですね。全員が定期的に顔を合わせる場があると、そこから自然に関係が深まりやすくなるんです。</p><p>現在92歳の入居者様が「昔よく通っていた寿司屋に、もう一度行きたい」と話されたことがありました。それを聞いた若い人たちから「ぜひ私たちも一緒に行きたいです」という声が上がり、結果的にみんなで食事に出かけることになったんです。</p><p>30年以上前に通っていたそのお店は今も変わらず営業しており、大将もその方のことを覚えていて、温かく声をかけてくれました。なじみの店で再会を楽しむ様子を、ご本人がとても誇らしそうにされていたのが、今でも深く印象に残っています。</p><p>――とても素敵なエピソードですね。若い人たちからはどんな声がありますか。</p><p>鮎川：「想像していた関わり方と全然違った」という声をよく聞きます。</p><p>最初は、高齢者の方に気をつかったり、「何かしてあげなければいけない存在」だと思っていたりしたそうです。でも実際に暮らしてみると、自然と仲良くなり、気づけば友だちのような関係になっていったそうです。</p><p>一緒に映画やカラオケに行ったり、ごはんを食べに行ったりする中で、「支える側」「支えられる側」という関係ではなく、年齢の違う友人として関われることが一番良かったという声が多いですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00003.jpg">日頃から顔を合わせる関係性があることが、孤立を防ぐことにつながる<h2 id="tnf-text-heading-block_0edf998a1cd5ae0ef0212b8e1743c9ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「老い」や「死」から目を背けず、「どう生きるか」を考える</h2><p>――「高齢者は優遇されているのではないか」といったバッシングが、SNSを中心に強まっていると感じます。こうした風潮を、どうすれば変えていくことができるとお考えでしょうか。</p><p>鮎川：まず前提として、誰もが歳をとり、いつかは必ず死を迎えます。その当たり前の事実を、何か特別なことや、あるいは避けるべきこととして遠ざけ過ぎてている。それ自体が、世代間の分断やバッシングを生む背景にあるのではないかと思っています。</p><p>かつては「家で老い、家で亡くなる」光景は日常的なものでした。ノビシロハウスでも、入居者様には「ここには最期まで住んでいいんですよ」とお伝えしています。</p><p>誰かが亡くなれば部屋が空き、また新しい人が入ってくる。それは特別な出来事ではなく、暮らしの延長線上にある自然な巡りです。まずは死をタブー視し過ぎないことが大切だと考えています。</p><p>今の若い世代の多くは、祖父母と一緒に暮らした経験がありません。そのため「人生100年時代」といわれながらも、80代以降の暮らしを、どこか彩りのない無機質な時間として、無意識に捉えてしまっている方も多いと感じます。</p><p>しかし実際は、たとえ認知症を患ったとしても、人は楽しみながら生きることができます。そして、その方の人生を周囲で見守り、最期を共に見送ることは、とても温かな体験でもあります。</p><p>そうした姿を、知識としてではなく、日々の暮らしの中で自然に感じてもらえる場所でありたいです。「教育」という言葉は少し大げさかもしれませんが、老いや死を特別なものにしないため、ノビシロハウスを「学びの場」にしていきたいと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b045c09f7fe24ef1820d5b31f222d271" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが安心して暮らせる地域社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に鮎川さんに誰もが安心して暮らせる地域社会をつくるために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_791695a165d2f61278410f30e8b59591" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域の行事や集まりに、顔を出してみる</h2><p>お祭りやイベントなど、自身が住んでいる地域の中で人が集まる場に参加してみる。自然と会話が生まれ、関係性の入り口となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7c46367eb5e8c35ba7fe419ae8f04d48" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］家族や身近な人と、「死」について話してみる</h2><p>「生前葬を行うとしたら誰を呼びたいか」「もしものときはどんな対応をしてほしいか」など、死について日常的に話し合う機会を持つ。老いや死を特別なものにせず、暮らしの延長として語ることが、孤独感を和らげることになるかもしれない</p><h2 id="tnf-text-heading-block_37c7b411ff11dc5b14a7b478154fafbb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］家族だけではなく、近隣の知り合い同士で支え合うという考え方に意識を向ける</h2><p>家族だけで支え合うことは、現代において現実的ではなくなってきている。「他人同士でも支え合える」という考え方や暮らし方へに意識を向けていくことが大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>若者と高齢者のつながりを生む活動を探している中で、ノビシロハウスを知り、今回、取材に至りました。</p><p>「『老い』や『死』を遠ざけるのではなく、日常の風景として受け入れる」。鮎川さんの言葉からは、現代社会が失いかけていた「互助」の真髄が伝わってきました。若者の家賃が半額になるという仕組みはきっかけに過ぎず、その先にあるのは、世代を超えた一対一の関係性です。</p><p>血縁に頼り切れない時代だからこそ、住まいを起点に他人同士がゆるやかにつながるノビシロハウスの試みは、私たちの未来を照らす温かな希望のように感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_2a00e3e6fad797301286a8aa907c3b4a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_0270fea5afd5cc5519694c26129c4cde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">鮎川沙代（あゆかわ・さよ）</h3><p>株式会社ノビシロ代表取締役。1982年佐賀生まれ。東日本大震災を契機に上京し、2012年に株式会社エドボンド代表取締役に就任。一人一人の理想の暮らしの実現に向け、10年以上不動産仲介業に取り組む。2019年に「高齢になるとお金があっても家が借りられない」という社会課題を解決するべく株式会社ノビシロを創業し、代表取締役に就任。2023年、株式会社BAKERUとのM＆Aを締結し、グループ入り。</p><p><a href="https://www.nobishiro.co.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社ノビシロ 公式サイト</a></p><p></p>    ]]>
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      <title>行政と民間の連携で全ての子どもが健やかに暮らせるまちづくり。東京・世田谷区の里親支援センターの取り組みとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118733/social_care</link>
      <pubDate>Thu, 15 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親制度を特別なことではなく当たり前にするため、世田谷区ではまちぐるみの環境づくりを始めた</li><li>2025年より民間機関が支援を包括的に担い、よりきめ細やかな伴走支援が本格化</li><li>家族という言葉に縛られず、子どもの「安心して暮らしたい」という本音に寄り添う、当事者視点に立った広報や支援が必要</li></ul><p></p><p>　</p><p>「社会的養護」とは、保護者のいない子どもや、保護者に監護させることが適当でない子どもを、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと。</p><p>こども家庭庁支援局家庭福祉課による2024年の調査<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/6dc5801e/20240614_policies_shakaiteki-yougo_98.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「社会的養育の推進に向けて」（外部リンク/PDF）</a>によると、約4万2,000人の子どもが社会的養護のもとで生活しています。しかし、そのうち里親（家庭における養育やファミリーホーム）の環境で暮らしている子どもは約19パーセント。その他の子どもは乳児院や児童養護施設などで暮らしているのが現状です。</p><p>日本財団ではこうした現状を変えるべく<a href="https://nf-kodomokatei.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子どもたちに家庭をプロジェクト」（外部リンク）</a>を通じて、里親や養子縁組の理解促進などを進めています。</p><div id="tnf-text-notes-block_f2f2b4f1ac32cb54e0afd9deb9a00927" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/17667" target="_blank" rel="noopener">なぜ里親・養子縁組制度が日本に普及しないのか？（別タブで開く）</a></div><p>今回は東京都世田谷区で里親支援事業を担う<a href="https://seta-oya.com/Home" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「里親支援センターともがき」（外部リンク）</a>のセンター長である岩田祐一郎（いわた・ゆういちろう）さんに、これまでの世田谷区での取り組みや、里親制度を地域に根付かせるために必要なこと、直面する課題とその解決の方向性についてお話しを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d4250b87f2785ddcadb5d03a2e117682" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">■制度の変化とともに、里親支援の拠点としてスタート</h2><p>――「ともがき」は、具体的にどのような業務を担っているのでしょうか。</p><p>岩田さん（以下、敬称略）：「ともがき」は<a href="https://to-iku.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人東京育成園（外部リンク）</a>を母体としており、世田谷区と連携しながら、里親支援センター（※）としての業務を包括的に担っています。現在8名のスタッフが在籍しており、そのうちの多くはもともと児童養護施設で子どもたちを支えていました。それぞれの経験を活かして里親支援に取り組んでいます。</p><p>主な活動は大きく分けて「里親制度の普及促進」「研修の実施」「マッチング」「養育開始後のサポート」「養子縁組成立後の支援」の5つです。</p><p>まず、「里親制度の普及促進」は、制度を知ってもらうための広報啓発活動、相談対応、登録までの伴走支援を行います。</p><p>「研修の実施」は、里親を希望する方や里親に対して、里親としての養育力を高める研修を児童相談所と連携して行っています。</p><p>「マッチング」は、社会的養護を必要とする子どもに対し、適切な里親家庭を検討、提案します。</p><p>「養育開始後のサポート」は、」乳児から中高校生まで、里親家庭それぞれの状況に応じて、子育ての相談関係機関との連携調整や、学校、医療、福祉との橋渡しなど、日常的な生活を支援しています。里親家庭から巣立った18歳以上の若者に対しても、必要に応じて対応します。</p><p>最後に「養子縁組成立後の支援」。子育てに関する支援、家庭訪問、サロン運営、相談援助などを行い、養子縁組成立後の家族を継続的にサポートしています。</p><p>このように、里親に関することを包括的に担う組織が「ともがき」です。</p><div id="tnf-text-notes-block_fe1566ea82f5466d815a70e705cc2366" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2022年（令和4年）の児童福祉法の一部改正により、新たに創設された施設。設置・運営の主体は、地方公共団体、または社会福祉法人等で、都道府県知事等が適当と認めた者と定められている。参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a23cc922-6f03-41a4-a39d-c7bdadaf7adf/9ca98478/20250319_policies_shakaiteki-yougo_tsuuchi_59.pdf" target="_blank" rel="noopener">こども家庭庁「里親支援センターの設置運営について」（外部リンク/PDF）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00008.jpg">世田谷区の養育支援体制図。チームで委託児童を支援する。画像提供：里親支援センターともがき<p>――「ともがき」が立ち上がった背景についてお聞かせください。</p><p>岩田：里親支援センターとしての本格的なスタートは2025年4月ですが、基盤となる活動は2020年に始まりました。</p><p>2020年に世田谷区が児童相談所を開設した際、国の児童福祉法改正によって、里親の支援や普及促進、研修等のフォスタリング業務（里親の普及促進、研修、支援など里親制度を支援する活動のこと）を民間に委託できるようになりました。そこで私たちの法人が普及促進や研修といった一部の業務を受託することになりました。</p><p>その後、3年間は体制を整えながら活動を続け、フォスタリング業務を包括的に担う形へ移行し、さらに国の制度改正と区の準備が整ったことを受け、2025年からは組織体制を「里親支援センター」として再構築し、より広く里親制度を支える役割を担うことになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_032dbb49a32225b15d9abcabab9a90cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度を身近な存在に！ まち全体で支える取り組み「里親子フレンドリーシティ」</h2><p>――里親制度を身近に感じてもらうため、具体的にはどんな広報活動を行っていますか。</p><p>岩田：まずはウェブサイトの運営を軸に、Instagramやnoteなど複数のSNSで情報発信をしています。実際の里親の方に協力してもらい、YouTubeでインタビュー動画を公開したこともありました。紙のチラシやリーフレットも制作し、幅広く広報活動を行っています。</p><p>また、里親制度を「自分ごと」として感じてもらうため、現役里親と直接話せる「里親カフェ」の開催や、商業施設でのマーケット出店、展示なども行っています。</p><p>制度の紹介だけではなく、「なぜ子どもは家庭を離れることになるのか」「そのときどんな思いを抱えているのか」を丁寧に示すことで、より深い理解につなげることが目的です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00007-1.jpg">企画やナレーション、撮影など、世田谷区の里親の協力により完成した<a href="https://www.youtube.com/watch?v=3mQgpFU50aE" target="_blank" rel="noreferrer noopener">YouTube動画（外部リンク/動画）</a>。画像提供：里親支援センターともがき<p>――イベントで大切にしていることを教えてください。</p><p>岩田：子どもたちは、「もとの家庭を離れたあとも「里子」という立場で壁にぶつかることがあります。だからこそ、特別扱いではなく、当たり前に地域に溶け込める環境をつくりたいんです。</p><p>制度の紹介だけでは見えにくい、子どもや実親の複雑な思いも伝えたい。そんな願いから世田谷区は「里親子フレンドリーシティ」を掲げました。</p><p>地域の誰もが子育てを支え合えるまちを目指した結果、今では多くの区民や団体との協力の輪が広がっています。ワークショップの開催や行政計画への反映など、一歩ずつ「誰もが暮らしやすいまち」へと近づいています</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_28e68025afb3b4067d29ce06ccf441d3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">行政と連携し、多様化する課題の解決を目指す</h2><p>――里親支援を進めるうえで、今感じている課題を教えてください。</p><p>岩田：現在の里親制度では、子どもの状況に応じて受け入れられる里親の「受け皿」が十分ではありません。東京都内でも登録家庭はあるものの、実際に子どもを受け入れている里親は限られており、近年増えている中高生の一時的な受け入れや、実親への復帰を前提としたケースに対応できる家庭が不足しています。</p><p>また、養育の難しさも課題の1つです。世田谷区では、経済的には恵まれていても、教育虐待や思春期の葛藤を背景に社会的養護につながる子どもが多く、信頼関係づくりに困難を抱えるケースも少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00003.jpg">「ともがき」の前は児童養護施設で多くの子どもと関わってきた岩田さん<p>――それらの課題を解決するためにどのような取り組みをされているのでしょうか。</p><p>岩田：里親の数を増やすだけでなく、子どもの多様なニーズに合った関わり方を広げることに力を入れています。近年増えている中高生の一時的な受け入れや、数日間のみの受け入れなど、里親にはさまざまな形があることを知っていただけるとうれしいです。</p><p>――多様なニーズに応えられる里親を増やすために、候補者の方々への働きかけや意識の醸成については、どのような工夫をされていますか。</p><p>岩田：里親登録前後の研修では制度や養育知識に加え、「なぜ里親になりたいのか」を見つめ直す自己理解のプロセスを重視しています。児童養護施設での実習や、小児医学・発達心理学・医療的ケアに関する専門的な講義などを通して子どもの背景を具体的に知り、子ども中心の関わりができるよう支援しています。</p><p>また、養育開始後も相談対応や関係機関との連携を継続し、里親家庭が孤立しない体制を整えることが大切です。こうした伴走型の支援を通じて、子どもと里親の双方にとって無理のない関係づくりを目指しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00001.jpg"><p>――制度を普及していくうえで、意識している視点や工夫はありますか。</p><p>岩田：普及啓発では、「家族」という言葉を安易に使わないようにしています。子どもが里親家庭を選ぶ理由は、「家族を求めて」ではなく、「より自由に、安心して暮らしたい」といった切実な思いであることも少なくありません。</p><p>そのため広報においても、年齢の低い子どもの写真を強調し過ぎないことはもちろん、大人側の「子育てしたい」という欲求に訴えかけるような表現を避けるなど、「子どもの当事者が見たときにどう感じるか」を常に意識しています。</p><p>今後も子どもの声に立ち返り続けることを大切に、行政や地域と連携して支援を続けていきたいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7aacdaa7d0146e3a1a600e19acb59c1f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度の正しい認識を増やすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に岩田さんに里親制度の正しい認識を増やすために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_acf510a038b3a1ca2bc0b6e57ea8a7a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］里親制度について正しい情報を知る</h2><p>里親支援センターや支援団体のSNSをフォローし、記事や発信を読み正しい情報を得る。正しい認識を持つ人が増えること自体が、里親制度の理解につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bbe67a9f5e44f2c60677d920ffb2093b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］里親制度の背後にある社会課題を考える</h2><p>里親家庭で暮らす子ども背景には、貧困、ジェンダー不平等、家族の分断など、さまざまな社会課題が重なっている。里親制度がそれぞれの社会課題にどう関連しているのかを理解することが重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4cb6012cd62338274b5f239590330be0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］里親制度にはさまざまな支援の形や方法がある</h2><p>里親制度には、ボランティア参加やイベント運営、広報の手伝いなど、子どもを直接迎え入れなくても関われる役割がある。また短期間の受け入れや特定の年齢層を支える形など、多様な関わり方もある。最初は限られた時間での関わりでも構わない、関心を行動に移す経験が大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>里親制度を扱った記事はあまり多くなく、世田谷区が発信してるのが目に留まり、今回取材に至りました。</p><p>里親制度は「里親になる人と子ども」の関係だけで語られがちです。しかし取材を通して見えてきたのは、その背景にさまざまな社会課題が重なり合い、それらは私たちの身近にもつながっているということでした。どんな子どもであっても、「当たり前に暮らせる環境」が必要である。そのことを改めて考えさせられました。</p><p>行政や民間だけでなく、私たち一人一人もフレンドリーシティの担い手です。「子どもが特別視されないまち」を、自分たちの足元からつくっていきたいと思います。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>楽しいはずのスポーツで子どもが傷つけられる？ 安心安全な環境をつくるセーフガーディングとは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118510/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 07 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>スポーツ現場では、子どもがハラスメントや機会の不平等に直面することがある</li><li>子どもの権利を尊重し、不適切な扱いから守る｢セーフガーディング｣が注目されている</li><li>子どもの声に耳を傾け、指導者同士が指摘し合える関係性が、安心安全な環境づくりにつながる</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>スポーツ現場では、長年にわたり子どもの人権が十分に守られない側面がありました。その深刻さが広く知られるようになったのは、子どもへの体罰や過度な指導をめぐる問題が相次いで明らかになった2010年代でした。</p><p>2013年には、主要なスポーツ競技団体が「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を発信しましたが、10年以上経った現在も、子どもへの体罰やハラスメントに関する報道は後を絶ちません。</p><p>こうした背景から、近年スポーツ現場で注目されているのが「セーフガーディング」です。セーフガーディングとは、子どもや弱い立場にある人が安心して活動できる環境をつくり、暴力や搾取から守る仕組みや考え方のこと。</p><p>日本でも、子ども支援の現場を中心に導入が進み、日本財団も<a href="https://kodomokihonhou.jp/news/250401_news.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども基本法プロジェクト（外部リンク）</a>の一環としてセーフガーディングを推奨しています。</p><p>今回は、子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングの推進や、誰もが楽しめるスポーツ教室の開催に取り組む、<a href="https://scpjapan.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人S.C.P.Japan（外部リンク）</a>の代表理事・井上由惟子（いのうえ・ゆいこ）さんと、プロジェクトスタッフ・川合みなみ（かわい・みなみ）さんに、子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングの重要性や団体の活動内容について伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00003-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a7ec5665ab2eed888d1c51bf3e4cba92" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">スポーツ現場の人権侵害。二度とスポーツができなくなる子も</h2><p>――スポーツの現場では、今なお子どもが人権侵害に遭うことがあるのでしょうか。</p><p>井上さん（以下、敬称略）：残念ながら、2025年現在も大人から子どもに対する暴言や威圧的な指導はなくなっていません。昔から厳しい指導が多い競技や強豪チームだけでなく、どんなレベルやカテゴリーにも存在します。</p><p>スポーツ界では「勝つためには強くならなければいけない」という考えのもと、子どもの人権を軽視した接し方が容認されていると感じます。</p><p>そもそも日本では、習い事や体育の授業など、子どもが関わるスポーツのほとんどで、強くなることを強制されがちです。一方で、勝ち負けにこだわらず純粋に体を動かすことを楽しめる機会はあまり多くありません。その結果、あらゆる場所で運動が得意な子しか楽しめず、苦手な子が引け目を感じる構造になっています。</p><p>川合さん（以下、敬称略）：海外では、スポーツを通じて、自分に対する信頼感やリーダーシップといった内面的な力を育むことに重きを置かれていますが、日本ではその視点が政策の中で十分に位置付けられていない傾向があると感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00002-1024x683.jpg">井上さんは、サッカー選手を引退後、JICA海外協力隊員としてブータンに赴任。帰国後、筑波大学大学院に進学。研究に取り組む傍ら、S.C.P.Japanを設立した<p>――2025年の日本スポーツ協会（JSPO）の発表（※）によると、スポーツにおけるハラスメントの被害者の多くが子どもでした。どういった背景があるのでしょうか。</p><p>川合：まず、スポーツの指導者と選手には明確な立場の差があり、主従関係のような状態になりがちです。そうした状態は、指導者の不適切な行為を招きやすくします。さらに、大人と子どもでは上下関係や力の差が一層生じやすくなり、指導者側は「子どもは大人の言うことを聞いて当然」、子どもは「大人の言っていることは正しい」と思い込んでしまいます。</p><p>すると、子どもは不適切な指導を限界まで我慢し、いずれは耐え切れずに爆発してしまう。食事が喉を通らなくなる子や、練習に出られなくなる子、スポーツと二度と関われなくなる子もいます。</p><p>井上：そして、ハラスメントの直後に症状が出るとは限りません。心の奥に傷が残り、大人になってから影響が出ることもあります。スポーツは本来、ポジティブな体験であるべきもの。スポーツの機会を提供する大人たちは、子どもにネガティブな影響を与えていないかを見つめ直すべきだと感じます。</p><div id="tnf-text-notes-block_4134e3266eacf3ec325f31cee4905175" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※JSPOは、スポーツ現場における不適切行為に対応するため、2013年に「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」を開設。寄せられる相談で、小学生・中学生・高校生の多くが被害者となっているという</div><div id="tnf-text-notes-block_857760fa687394575af4513ce121b320" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105889/sports" target="_blank" rel="noopener">子どもたちにスポーツを心から楽しんでもらいたい。「監督が怒ってはいけない大会」代表・益子直美さんの想い（別タブで開く）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00001-1024x682.jpg"><p>――スポーツの現場では、障害の有無や性別、国籍などによって、参加のしやすさに差が生じることがあるとも聞きますが、実際にはどのような課題があるのでしょうか。</p><p>井上：そうですね。マイノリティを差別する意図がなくても、例えば地域の小学生向けサッカーチームでは、指導者の多くが男性で、メンバーも健常者の男の子ばかりだと、その他の子はどうしても参加しにくくなります。</p><p>川合：実際に「女の子は思春期にスポーツから離れる傾向がある」というスポーツ庁の調査結果（※）もあります。背景には、第二次性徴の体の変化を男性の指導者に指摘されて傷つく、生理の症状について打ち明けられないといった困難が存在すると考えられています。</p><p>そうした機会の不平等やハラスメントを防ぐため、私たちは「セーフガーディング」という考え方を推進しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_e4c066df6ba05dd44730beba55602eaa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：スポーツ庁「平成30年度体力・運動能力調査結果」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00010-1024x682.jpg">S.C.P.Japanでは、「障害・性別・国籍などに関係なく楽しむスポーツ教室」や「障害のある女の子のためのスポーツ教室」などを実施している<h2 id="tnf-text-heading-block_f3470a86b3407faa2d1884d560df7ea8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングとは</h2><p>――子どものスポーツ現場で推進されるセーフガーディングについて教えてください。</p><p>川合：スポーツに関わる全ての子どもたちを、ハラスメントや虐待などの不適切な行為から守り、安心してスポーツを楽しめるようにする取り組みです。ポリシーを策定し、それに則った関わり方を徹底することで子どもの権利を守ります。</p><p>関わり方の例としては「怒鳴らない」「威圧的な態度をとらない」「暴力を振るわない」「密室で大人と子どもが一対一にならない」「一対一での連絡を控える」「不適切なスキンシップや過保護な手助けをしない」などがあります。</p><p>相談窓口の設置はもちろん、相談を受けたあとの対応プロセス、支援体制を整えておくのも基本です。</p><p>――ハラスメントを受けていても、相談すること自体が難しい子もいると思います。そうした状況も想定されているのでしょうか。</p><p>井上：はい。セーフガーディングの担当者は、相談を待つだけでなく、子どもの変化に気づき、自ら声をかける役割も担っています。ただ、担当者だけに任せるのでは不十分です。大人全員が日常的に子どもの様子に気を配ることが重要だと考えています。</p><p>また、「相談窓口があるから大丈夫」と考えるのではなく、通報に至るほど深刻化する前に異変に気づき、改善するのも、組織として欠かせない姿勢です。ハラスメントをしている当人が自らの行為を自覚し改善すること、指導者同士が互いに指摘し合うことも重要です。</p><p>――とはいえ、実際には同僚や上司のハラスメントを指摘しづらい人も多いのではないでしょうか。</p><p>井上：私たちの現場では、毎回活動後に振り返りの時間を設けています。もし不適切な行為があったとしても、すぐに修正できるようにするためです。その際、「誰の何が悪かったか」を問うのではなく、「セーフガーディングの観点から見て、今日の活動はどうだったか」という切り口で話し合い、意見を出しやすくします。</p><p>こういった話し合いも、相互に尊重し合うオープンな土壌がないと成立しません。まずは指導者の大人同士が、互いの意見を受け入れる健全な関係性を築くことが、子どもを守る環境づくりの土台になると考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00007-1024x682.jpg"><p>――ほかにも、セーフガーディングの視点に基づく組織づくりのために必要なことはありますか。</p><p>井上：保護者や子どもを含めた関係者全員を巻き込むことです。いくら指導者が意識して取り組んでいても、一人一人がその意義を理解していなければ、「もっと厳しく指導してほしい」「個別の連絡をくれなくて寂しい」といった不満が生まれてしまいます。子どもを守るための取り組みであると丁寧に説明し、納得してもらうプロセスが欠かせません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00014-1024x576.jpg">子どもの権利を守るため、コーチが大切にする約束を子どもたちや保護者に伝えるリーフレットと、その記入例。画像提供：一般社団法人S.C.P.Japan<p>川合：加えて、リーダーが持つ「組織の文化をつくる力」はとても大きいので、リーダーのマインドセットや振る舞いから変えていくことが重要です。例えば、チームの苦しい場面で、監督が「大丈夫だよ」と声をかけるのか、「おい、何をやっているんだ！」と罵声を浴びせるのかで、チームの雰囲気は大きく変わりますよね。リーダーが威圧的だと、選手間でもそうした関わりが当たり前になってしまい、選手が組織に対して意見しにくい環境が形成されてしまいます。</p><p>井上：かつて当たり前とされていた権威的な指導に頼るのではなく、子ども自身の意思決定を尊重し、主体性を育む指導へと転換していくことも大切です。</p><p>指導者の方々と接すると、「子どもに悪影響を与えたくないが、どう接すればいいのか分からない」という声をよく聞きます。これからは、指導者自身が学び直し、指導法をアップデートしていく姿勢が求められているのではないでしょうか。</p><p>――国内のスポーツ界で、すでにセーフガーディングを取り入れている組織はありますか。</p><p>井上：サッカー界では、ヨーロッパを中心にセーフガーディングが浸透していて、その流れを受けて、日本でもJリーグ（日本プロサッカーリーグ）が導入を進めています。また、日本サッカー協会では、指導者ライセンスの講習会において、セーフガーディングを基礎的な知識として学ぶ機会を設けています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00013-1024x639.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00012-1024x639.jpg">動画はS.C.P.Japanの公式YouTubeで閲覧可能。画像出典：「スポーツにおけるセーフガーディング（コーチの声編）」</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_2b9ed0e2d4e040f620a81d377e09da68" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">スポーツで「誰もが自分らしく生きられる共生社会をつくる」</h2><p>――改めて、S.C.P.Japanという団体について教えてください。</p><p>井上：元サッカー選手らが中心となり、2020年に設立した一般社団法人です。誰もが自分らしく生きられる共生社会を目指し、スポーツを通じて社会課題の解決や子ども・若者の可能性を広げる活動を行っています。</p><p>具体的には、スポーツ指導者を対象としたセーフガーディング研修事業や、誰もが楽しめる運動共育（※）事業などを行っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_5196180bd6229a42bfcd1e72476ac470" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「共育」とは、子どもが成長に必要なことを学ぶだけではなく、子どもと接している大人も共に学び、成長し合うこと</div><p>――セーフガーディング研修とは、どのような内容なのでしょうか。</p><p>井上：基礎編では、現状のスポーツ界が抱える課題を振り返りながら、なぜセーフガーディングが必要なのかをさまざまな視点から考えます。応用編では、実際に取り組みを始めるために必要なことや、問題が起きた場合の具体的な対応方法を学んでいきます。</p><p>国内ではセーフガーディングの考え方が浸透していないので、受講者からは「こんな考え方があることを学べて良かった」「必要性がよく理解できた」といった声が寄せられています。まずは多くの方に知ってもらい、いずれは実践につなげられる人を増やしていきたいですね。</p><p>――運動共育事業ではどんなことをしていますか。</p><p>井上：障害・性別・国籍などに関係なく誰もが楽しめるスポーツ教室、障害のある女の子たち向けのスポーツ教室、障害のある女性向けのサッカーチーム「FC RESIA」の3つの事業を運営しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00011-1024x768.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_abc3aa6ebd8a1379dd57cb58e3ef1205" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多くの子どもたちに、スポーツの素晴らしさを知ってほしい</h2><p>――スポーツにアクセスしにくい子どもたちは、どんな困難に直面するのでしょうか。</p><p>川合：例えば日本語を母国語としない子は、情報へのアクセスの難しさから、スポーツ活動を含む地域のコミュニティに参加しにくく、他の子どもとうまくなじめないことがあります。しかし、スポーツは言語に頼らなくても成立するもの。共に体を動かし、同じ目標に向かう中で、自然と子どもたちの関係性を深める重要な手段にもなり得ます。</p><p>井上：障害のある子は、一人ひとりの特性やペースが異なるため、集団で同じ形の活動や、長時間指導者の話を聞くことが難しい場面もあります。そのため、ご本人や保護者自身が「自分は（自分の子どもは）ここに居ていいのだろうか」と不安に感じてしまうことも少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00004-1024x683.jpg">スポーツ教室に参加する子どもたちと保護者の皆さん<p>――そうした子どもたちの障壁を取り除くにはどうすればいいでしょうか。</p><p>井上：まずは、誰もがスポーツにアクセスしやすい環境をつくること、そして、アクセスした先で安心できることが重要です。</p><p>例えば、「スポーツ教室」と掲げると、健常者の男の子のための活動と認識されがちなので、チラシに「障害のある子も、女の子も、日本語が苦手と感じている子も歓迎です」という文言を入れる、多言語で発信する、といった広報面での工夫です。</p><p>そして、一人一人の子どもたちが「自分は歓迎されている」と思える環境づくりも大切です。プログラムの内容や指導者の声かけを工夫し、子どもそれぞれに応じた関わり方を意識することが、安心して参加できる土台になります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00005-1024x683.jpg"><p>――最後に、今後のS.C.P.Japanの展望を教えてください。</p><p>井上：スポーツは本来、強力なエンパワーメント（※）のツールです。仲間と力を合わせてチャレンジして、勇気が必要な場面もたくさんあって、失敗しても励ましてくれる人がいる。豊かな体験や心の変化を経験でき、ポジティブな影響を与えてくれます。</p><p>今は、子どものスポーツ現場におけるマイナスな側面をゼロにする活動がメインですが、今後はそうしたプラスの面を届ける活動にも積極的に取り組みたいですね。「スポーツを好きになった」「自信がついた」という子どもを一人でも増やせたらうれしいです。</p><div id="tnf-text-notes-block_fd63c8c62a1db6dc89c0a56a3f3481bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エンパワーメント」とは、立場の弱い人が主体的に社会と関われるよう力を付け、自身の生活や環境をコントロールできるように支援する考え方。英語の「empower（能力や権限を与える）」に由来する</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00009-1024x683.jpg">S.C.P.Japanは、千葉県流山市、柏市を中心に、月1回スポーツ教室を開催している<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00008-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7a242433bd8f8bc108077e56f22c4ce1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">全ての子どもたちがスポーツを楽しむために、周囲の大人やスポーツ指導者にできること</h2><p>井上さんと川合さんから、全ての子どもたちがスポーツを楽しむために、周囲の大人やスポーツ指導者にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0737d1e06779a73eeb264a37a1984480" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子どもの声や意見を尊重し、主体性を育む</h2><p>大人が一方的に答えを与えるのではなく、子どもの声に耳を傾け、共に考える姿勢が重要。こうした関わりは主体的な判断力を育み、将来さまざまな場面で役立つ。また、対等なコミュニケーションを重ねることで、子どもの変化やSOSのサインに気づきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e5c69da0c48c3fa93d61033f22daf82d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもがスポーツを楽しめる最善の方法を考える</h2><p>指導者は「勝つために強くなるべき」という目標だけに捉われず「この指導は子どもにとって最善か」を問い続ける。幼い頃にスポーツで受けた心の傷は、後年に影響を及ぼすこともある。短期的な成果ではなく、長く安心してスポーツに関われる体験を提供する</p><h2 id="tnf-text-heading-block_adbfb5c4d6323d5df5c80224b25b6b71" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］自身の指導法の長所とセーフガーディングをミックスする</h2><p>自身の指導や組織の文化を見つめ直し、子どもにとって適切でない点は改め、良い点は活かす。学び直しを通じて、指導や振る舞いを改善し、組織に属するメンバーや周囲の指導者同士で価値観を共有することが、安全で健全な環境づくりにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>子どもへの過度な指導や暴力に関するニュースを目にし、「なぜ不適切な指導はなくならず、どうすれば改善できるのか」という疑問から取材を行いました。</p><p>特に印象的だったのは、「指導者同士が指摘し合える関係性が重要」というお話でした。子どもを守るためには、まず大人たちが自身の弱さや間違いを認め、対話し合える土壌が必要だという視点は、家庭や職場などあらゆる組織に通じることではないでしょうか。</p><p>セーフガーディングとは、単なる危機管理のルールではなく、私たち大人自身の心に余裕があるか、子どもを一人の尊重されるべき存在として向き合えているかを問い直すための考え方でもあるかもしれません。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>社会課題を「楽しさ」で届けるメディア。さまざまな人の小さな行動や気づきのバタフライエフェクトが社会を動かす</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118390/social_issues</link>
      <pubDate>Fri, 26 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>社会課題を伝えるメディアは敬遠されやすく、関心の広がりを妨げている現状がある</li><li>RICEメディアはショート動画を活用し、「興味のない層」へのアプローチに成功</li><li>「正しさ」よりも「楽しさ」を入り口にすることで、小さな行動が連鎖し社会を動かす</li></ul><p></p><p>日本財団が2024年2月に実施した<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240403-100595.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">18歳意識調査「国や社会に対する意識（6カ国調査）」（外部リンク）</a>によると、「国や社会の役に立ちたい」と答えた若者は64.3パーセント、「自分の行動で社会を変えられる」と答えた若者は45.8パーセントでした。調査対象となった諸外国と比べると、日本は社会や社会課題に対する意識が低い傾向が見えてきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00004.jpg"><p>このような事象の背景には、社会課題が「真面目で重い」「説教くさい」といった理由で敬遠されやすいテーマであるという点がしばしば指摘されます。情報が飽和する現代において、社会課題に関する情報は、エンタメ性の高いコンテンツと比べて、人々に選ばれにくいことが、関心の広がりを妨げる要因になっているといえるでしょう。</p><p>しかし、社会課題を未認知の層にも情報を届け、結果として若い世代からの支持も集めている動画メディアがあります。総再生回数5.9億回（2025年9月時点）、視聴者の約半数が24歳以下という<a href="https://rice-media.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">RICEメディア（外部リンク）</a>です。</p><p>RICEメディアは「日本で最も面白く社会課題やSDGsを知れるメディア」を掲げ、約1分のショート動画で社会課題を軽やかに楽しく伝えることを特徴としています。<a href="https://www.youtube.com/@RICEMEDIA" target="_blank" rel="noreferrer noopener">YouTube（外部リンク）</a> 、<a href="https://www.instagram.com/rice.media21/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Instagram（外部リンク）</a> 、<a href="https://www.tiktok.com/@rice_media" target="_blank" rel="noreferrer noopener">TikTok（外部リンク）</a>で、忙しい社会人や若者でもつい見たくなる切り口で発信を続けています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00006.jpg">プラスチックごみ問題を伝えるため、<a href="https://www.youtube.com/watch?v=FOo9MV1R1Lc" target="_blank" rel="noreferrer noopener">1カ月プラスチックを使わないという体当たり動画企画（YouTube/外部リンク）</a>にも挑戦。画像提供：RICEメディア<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回、RICEメディア代表のトムさんこと廣瀬智之（ひろせ・ともゆき）さんにインタビューし、どのようにして社会課題を「見たくなる」形にしているのか、発信の工夫やその根底にある思いを伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/image.jpeg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_0b1674047c0f246310dbb0251722c41b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">忙しく情報に触れられない生活がメディア誕生のきっかけ</h2><p>――RICEメディアを立ち上げたきっかけ教えてください。</p><p>廣瀬さん（以下、敬称略）：最初のきっかけは、フォトジャーナリスト志望だった大学生時代に抱いた違和感です。報道の情報は「興味のある人」には届くのですが、それ以外の層にはなかなか届きづらい。社会課題はとっつきにくく、避けられがちなトピックであるということを感じていました。</p><p>世の中には困っている人がこんなに多いのに、なぜそこに興味を持つ人が少ないんだろう。なぜ多くの社会課題が当事者だけの問題として扱われてしまうんだろう。そして、どうすれば、この社会で生きてる人たち全員で社会課題について考えたり、解決に向けて動いたりできるのだろうか。そうしたことを常に考えていました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00005.jpg"><p>――学生時代からすでに伝わらないもどかしさを感じていたんですね。</p><p>廣瀬：はい。ただ、自分が社会人になってみると、生活に追われてニュースを追えない時期がありました。TikTokやYouTubeなどでエンタメ動画を見るのが精一杯という状態になったんです。</p><p>この経験から、多くの人は社会課題に対してどうでもいいと思っているわけではなく、情報に触れる余裕がない、つまり、「未認知な状態にあるだけなのではないか？」という仮説を持つようになりました。これが、情報が多い現代でも、忙しい人でも見やすい、エンタメ的な入り口から社会課題を発信したいと考えるようになったきっかけです。</p><p>社会課題があることは理解している。でも、「自分にできることがある」と思う人は少ないのかもしれない、という印象です。</p><p>――その要因はどこにあるのでしょうか。</p><p>廣瀬：根本的には教育の形にあると思っています。日本の教育は与えられた答えに従うことや、決まったルールを守ることを重視してきました。また、自分で答えを探していくことや、何かを変えていく成功体験を積む機会が少ないまま育つため、大人になって突然「答えのない問題を解決する側」になるのは難しいんだと思います。</p><p>ただ、成功体験が1つあれば、社会を変えるプレーヤーになれるかというと、そう単純でもありません。継続的に社会課題への関心を保ち続けること、そして知り続けることがとても大切だと思っています。その役割を果たすのがメディアではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5c518e675648f9cb024c07cdb12e6785" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">掲げたのは「社会課題への無関心の打破」</h2><p>――RICEメディアで特に大切にしていることはなんでしょうか。</p><p>廣瀬：僕たちのミッションは「社会課題の無関心を打破する」ことです。そのため、「社会課題に対して興味がない人に届ける」ことを最優先にしており、全てのコンテンツは「どうすれば見たくなるか」を軸に設計しています。</p><p>――具体的にはどんな工夫をしていますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>廣瀬：一番工夫をしているのは動画冒頭の3秒です。RICEメディアの動画は基本的に長さ1分程度のショート動画なのですが、ショート動画では、何割の人がその動画を視聴し続けたかを示す「視聴選択率」というものがポイントになります。冒頭3秒の視聴選択率が5割を切ってしまうと、その動画が見られる可能性はぐっと低くなるんです。</p><p>そのため、冒頭にどの切り口を持ってくるか、どんな言葉で始めるか、表情やリアクションはどうするか、キャッチコピーを何にするか。細かい部分まで徹底的に考えます。</p><p>ただインパクトがあればいいわけではなく、成功法則を一元化できるものでもありません。地道に試行錯誤を重ねていくしかない世界なんです。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/image-1-1.jpeg"></div></div></div><p>――たった3秒の勝負。とてもシビアですね。</p><p>廣瀬：はい。興味のない人に見てもらうという目的を達成するには、作り手の思いだけを軸にした構成ではなかなか難しいです。どうすれば視聴者が自然と見続けたくなるのか、その視点を徹底的に考え抜く必要があります。少しでも面白くないと感じられた瞬間に、画面をスワイプされて、すぐ次の動画へ切り替えられてしまいます。</p><p>社会課題を伝えようとすると、どうしても重くなりがちですが、そうなると「社会のことを考えるのはしんどいから、もう見るのをやめよう」と思われてしまう可能性があり、これは社会的に見てもあまり良いことではありません。</p><p>自発的に「この解決策っていいな」「自分もやってみたい」と思ってもらえるような、気づきの入り口になることをRICEメディアでは意識しています。</p><p>――社会課題を知ってもらいたいと願う団体や当事者は、多くの人に課題を知ってもらいたいと思う一方で、なかなか興味すら持ってもらえないことに悩んでいると思います。この状況はどう打開すればよいのでしょうか。</p><p>廣瀬：社会課題を深く考えたり、実際に行動したりしている方というのは、その課題に対してしっかりアンテナを張っていて、正しく真面目に取り組んでいるからこそ、そういった行動をしているのだと思います。</p><p>この「正しく真面目」はとても大事なのですが、「多くの人に広く届けるエンタメ性」とは必ずしも相性が良いとはいえません。</p><p>だからこそ、「正しく真面目」と、「多くの人に広く届ける」の役割分担が必要だと思います。</p><p>とはいえ、どんな活動でも切り口1つで、多くの人に届く可能性は秘めていると思います。そういう意味で、自身の活動を、「他者が見たときにどう思うか」という視点や、マーケティング的な観点を持つことが重要だと感じます。</p><p>――長く社会課題に携わっていると、一向に社会課題が解決せず、変わらないことに、無力感を覚えることはありませんか。</p><p>廣瀬：僕はあまりないかもしれません。というのも、この活動自体、自分がやりたくてやっているという気持ちが大きいからです。僕は制作したコンテンツが、これまで関心のなかった人の認知や興味を動かす瞬間に、興奮を覚えるタイプで、この気分の良さが何にも勝ります。</p><p>また、社会は一人で変えられるとは思っていません。人類史全体を見ても、一人の力で社会を変えた人など、ごくわずかしかいないはずです。社会は誰か一人の大きな力ではなく、バタフライエフェクト（※）のように、さまざまな人の無数の小さな行動や気づき、アクションが連鎖していくことで、少しずつ変化していくものだと思います。</p><p>だからこそ、今を悲観しすぎず、10年後、100年後の最悪の事態を避けるために、自分にできることを続けるしかないと思っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_ecb368aa802709c174dacb9f771157c3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※小さな変化が時間の経過とともに大きな結果を引き起こす現象</div><h2 id="tnf-text-heading-block_cd5131aa4d29e464f9c735960bdb7e16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会課題を多くの人が認知し、行動していく社会にするために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に廣瀬さんに社会課題を多くの人が認知し、行動していく社会にするために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5cdb0e3b92dbf98a6d954ff32a6f99be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］社会課題に関する情報は自分からシェアする</h2><p>情報は「人を介して広がる」ことで、もっとも力を発揮する。自分がシェアすることで、大切な人や友人に情報が届き、そこから新たな関心が生まれていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8452ab305a9d27d34f1ef3bfa3a30f6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］社会課題に関わることを楽しむ</h2><p>人は「正しさ」よりも「楽しさ」に巻き込まれやすい。社会課題の取り組みを、自分が楽しみながら実践すれば、周囲に波及効果を生み出すことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2e259896e9eaa2cfcb1b8fbbf83d3caf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］知り続ける姿勢を持ち、市民としての役割を果たす</h2><p>関心は時間ともに薄れ、時間を置くと「無関心」となってしまう。これを防ぐためには、忙しいときでも情報やニュースに触れ、知り続ける姿勢が重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>社会課題を扱うメディアは数多くありますが、興味のない層へはなかなか届けられていないのが現状です。そんな中で若い世代へのリーチに成功しているRICEメディアの廣瀬さんにお話を伺いたいと考え、取材をお願いしました。</p><p>印象的だったのは、廣瀬さんが「正しさ」を軸に誰かを責めるのではなく、「楽しい」を入り口に社会課題へ近づける方法を追究していたことです。重いテーマだから届かないのではなく、届け方の工夫次第で可能性は広がる。そして廣瀬さん自身も楽しみながら発信を続ける姿に強く励まされました。</p><p>「正しいから取り組む」ではなく、「楽しいから続けられる」。私たちを含めてその考え方を持つことが、社会を変えていく力につながっていくのだと感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5b25f88bbc5d104953fa0fa3b311cf27" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_0ff5887f14b1cb6f34902c6f69d64090" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">廣瀬智之（ひろせ・ともゆき）</h3><p>RICEメディア 代表。1995年滋賀県生まれ。学生時代報道写真家を志し、取材活動に取り組む。情報過多な現代において、社会的な発信が届きづらくなっている現状に課題意識を持ち、Tomoshi Bito株式会社を創業。社会課題を企画やキャッチコピーなどの力で分かりやすく、時に面白く届ける動画メディア「RICEメディア」を展開している。社会課題解決に取り組むZ世代・ミレニアル世代を表彰する「BEYOND MILLENNIALS 2024」に選出。第7回日経ソーシャルビジネスコンテストにて大賞を受賞。</p><p><a href="https://rice-media.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">RICEメディア　公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:02:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「NPO法人」と「一般社団法人」は、法人税率は同じだが課税対象が異なる</li><li>一般社団法人は、「非営利型」と「非営利型法人以外」の法人で税務上の扱いが異なる</li><li>法人税以外に法人住民税、法人事業税などが発生するが、収益事業を行わなければ非課税になる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人や一般社団法人の法人税はどのように計算する？」</p><p>「ほかにはどのような税金がかかってくる？」</p><p>このような疑問を持っている人はいるだろう。</p><p>NPO法人と一般社団法人の法人税は、税率は同じだが、課税対象が異なる。法人税以外にも法人住民税や法人事業税などが発生し、NPO法人と一般社団法人では課税要件や計算方法が異なってくる。</p><p>今回の記事では、NPO法人と一般社団法人の法人税について詳しく解説しつつ、法人税以外の税金や、自治体による免税・減免措置にも焦点を当てて紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_dc30919171c0c2dee6a1b362e8035fdb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人と一般社団法人に発生する法人税とは</h2><p>NPO法人と一般社団法人では、法人税の課税対象が異なる。NPO法人は、法人税法上の「収益事業」から生じた所得のみが課税対象であるのに対し、一般社団法人はその形態によって全所得に課税される場合がある。</p><p>この違いを理解するには、一般社団法人の税法上の分類を把握する必要がある。一般社団法人は、税法上の区分として「非営利型」と「非営利型以外（普通法人型）」の2種類に分けられる。</p>非営利型の一般社団法人： 課税対象はNPO法人と同じく「収益事業から生じた所得のみ」非営利型以外の一般社団法人： 株式会社と同様に「すべての所得」が課税対象となる<p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy">一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介（別タブで開く）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-1-1-1.png"><h3 id="tnf-text-heading-block_1b3adfd8f608a49acd5dd752c619f7b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.法人税の対象となる「収益事業」とは？</h3><p>NPO法人や非営利型一般社団法人が行う事業のうち、法人税が課される「収益事業」とは、法人税法施行令で定められた「34業種」の事業を指す。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">物品販売業不動産販売業金銭貸付物品貸付業不動産貸付業製造業通信業運送業倉庫業請負業印刷業出版業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">写真業席貸業旅館業料理店業その他の飲食業周旋業代理業仲立業問屋業鉱業土石採取業浴場業理容業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">美容業興行業遊技所業遊覧所業医療保健業技芸教授業駐車場業信用保証業無体財産権の提供等を行う事業労働者派遣業</div></div><p>上記に該当し、かつ「継続して」「事業場を設けて」行われる場合に収益事業とみなされる。 </p><p>ただし、これら34業種に該当しても、実務に従事する者の半数以上が特定の障害者や生活保護受給者などで、その生活保護に寄与している場合などは、収益事業から除外される特例がある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d7ba184ebd16dbccb9c702eb892ea2aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.非営利型一般社団法人の要件</h3><p>一般社団法人が「非営利型」として扱われるためには、定款に適切な定めがあり、実態が要件を満たしていることが条件に。大きく分けて以下の2つのタイプがある。</p><p>［非営利性が徹底された法人］</p>剰余金（利益）の分配を行わないことを定款に定めている解散時の残余財産を国・地方公共団体や特定の公益団体に贈与することを定款に定めている上記1、2の定款に違反する行為を行っていない理事の親族制限（特定の理事とその親族が理事総数の3分の1以下）を守っている<p>［共益的活動を目的とする法人］</p>会員に共通する利益を図る活動を目的としている定款に会費の定めがある主な事業として収益事業を行っていない特定の個人・団体に剰余金（利益）の分配を行うことを定款に定めていない解散したときに財産を特定の個人や団体に渡さないことを定款に記載している上記1から5と下記7の定款の定めに違反する行為を行っていない理事の親族制限（3分の1以下）を守っている<h3 id="tnf-text-heading-block_1e6f96ab2ddfb7cdac2756a4264a0da3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3.会費や寄付金は法人税の課税対象に？</h3><p>NPO法人や非営利型一般社団法人が受け取る「会費」や「寄付金」は、原則として法人税の課税対象外（非課税）に。これらは収益事業の対価ではないためだ。</p><p>ただし、寄付金であっても「収益事業に関連して受け取るもの」や、対価性があるもの（会費という名目だが実態はサービスの購入代金である場合など）は、課税対象に含まれる可能性があるため注意しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_57646976359a2125a3baf11a3c3f93a8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-4.法人税の計算方法</h3><p>NPO法人と非営利型一般社団法人の法人税の計算方法は、年間所得が800万円以下の場合と、800万円超えの場合で異なる。</p>年間所得が800万円以下の場合：税率15パーセント（※）年間所得800万円超えの場合：税率23.2パーセント<div id="tnf-text-notes-block_cf67284718489992870ba4ae57a0288c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※年間所得が800万円以下の場合の軽減税率15パーセントは、中小法人等に適用される特例税率</div><div id="tnf-text-notes-block_ac8f1f1ba638551027423bb69fd35a38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※NPO法人と非営利型一般社団法人の場合、収益事業で発生した所得のみが課税対象</div><h2 id="tnf-text-heading-block_4fdde6aac7c58ae0c9951fd76b960c28" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.法人税以外の主な税金</h2><p>法人税以外にも、法人が納めるべき税金はいくつか存在する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1e0e140ec3e61994c564c0fc403d1711" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.法人住民税</h3><p>法人住民税の目的は、「法人も地域社会の構成員」という考えに基づき、行政サービスの費用を負担すること。都道府県に納付する「都道府県民税」と、市町村に納付する「市町村民税」から成る。ただし、東京23区内に事業所がある場合は、都民税と市町村民税を一括して納付可能だ。</p><p>法人住民税には、資本金や従業員数に応じて決まる「均等割」と、法人税額に応じて決まる「法人税割」があり、両税割で算出された金額を合算して納付する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-2.png"> 法人住民税の概要を示す図<p>なお、NPO法人と非営利型一般社団法人は、収益事業を行わなければ法人税は非課税のため、「都道府県民税法人税割」「市町村民税法人税割」も発生しない。</p><p>また多くの自治体では、収益事業を行っていないNPO法人や非営利型法人に対し、申請により均等割を全額免除または減免する制度を設けている。</p>2-1-1.法人住民税の計算方法<p>法人住民税は、均等割と法人税割で算出した金額を合算した値を納税する。税率や金額は法人の規模や自治体によって異なり、東京都では次のとおりだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-3.png"><p>■都道府県民税法人税割</p>法人税額×1.0パーセント<p>■市町村税法人税割</p>法人税額×6.0パーセント<h3 id="tnf-text-heading-block_78d0ba7b1ae19c6a9128e140244f0491" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2.法人事業税</h3><p>法人そのものを課税対象とする法人住民税に対し、法人事業税の課税対象は「事業」だ。</p><p>例えば、法人が事務所や店舗を運営するためには、周辺道路や上下水道などが整備されていなければならない。法人事業税は、こうした行政サービスの費用負担が目的である。</p><p>また、法人住民税は都道府県と市町村に納税するが、法人事業税は都道府県にのみ納税するという違いもある。税割は以下の4つで、合計した金額を納税する。</p>加価値割：各事業年度の損益をもとに決定される資本割：資本金の額をもとに決定される所得割：各事業年度の所得（収入から必要経費を引いた値）をもとに決定される入割：各事業年度の収入をもとに決定される（小売電気事業等と発電事業等を除く電気供給業、ガス供給業、保険業を営む法人のみが対象）<p>なお、NPO法人と非営利型一般社団法人は、収益事業を行わない限り、法人事業税は非課税である。</p>2-2-1.法人事業税の計算方法<p>法人事業税の金額は、法人の形態によって異なる。計算式は次のとおり。</p><p>■収益事業を行うNPO法人と一般社団法人/非営利型以外の一般社団法人（資本金1億円以下）</p>年間所得が400万円以下の場合：年間所得×3.5パーセント年間所得が400万円超800万円以下の場合：14万円+（年間所得-400万円）×5.3パーセント年間所得が800万超の場合：35万2,000円+（年間所得-800万円）×7.0パーセント<p>■非営利型以外の一般社団法人（資本金1億円超）</p>付加価値額（※）×1.2パーセント+資本金×0.5パーセント+所得×1.0パーセント<div id="tnf-text-notes-block_c798e90f5ac18fc88b9beaf0d4aa6dc3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※付加価値額＝給与報酬額＋純支払利子＋純支払賃借料＋単年度損益また多くの自治体では、収益事業を行っていないNPO法人や非営利型法人に対し、申請により均等割を全額免除または減免する制度を設けている。</div><h3 id="tnf-text-heading-block_02eaf6ae2c005c16de0785f6ad0af446" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. 特別法人事業税</h3><p>法人事業税の所得割額（もしくは収入割額）に一定割合を掛けた金額が「特別法人事業税」だ。</p><p>特別法人事業税の目的は、地方間で財源が偏ることの解消だ。地方住民税や法人事業税は、法人が集中する大都市圏ほど多く納税される。この差を縮めるため、特別法人事業税を徴収し、人口に応じて再分配する。</p><p>なお、収益事業を行わないNPO法人と非営利型の一般社団法人は、法人事業税が発生しないため、特別法人事業税も課されない。</p>2-3-1. 特別法人事業税の計算方法<p>特別法人事業税の計算方法は次のとおり。</p><p>（法人事業税の所得割額、もしくは収入割額）×税率</p><p>税率は都道府県ごとに異なり、例えば東京都では37パーセントである。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b84e524da90ab6c2a83b6210922abf0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. 消費税</h3><p>売上げで発生した消費税額から、仕入れで発生した消費税額を差し引いた値を納付する。ただし、前々事業年度の課税売上高（消費税が発生する取引の売上金額と、免税売上金額の合計）が1,000万円以下の場合、納付義務が免除される。</p><p>また、前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下などの条件を満たせば、消費税が一部免除される「簡易課税制度」も利用可能だ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4eee1c8f78cac3975112ebfc356d12a0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5.登録免許税</h3><p>登録免許税は、法人の設立登記や、登記情報を変更する際などに生じる税金だ。登記とは、法人を設立する際に、法人の名称や所在地、役員情報などを公示することで、情報を更新した際も届け出なければならない。</p><p>この登録免許税は、NPO法人は免除されるが、一般社団法人では主に次のような時に発生する。</p>法人設立時：6万円事務所移転時：3万円、管轄外移転の場合は6万円役員変更時：1万円法人解散時：3万円<h2 id="tnf-text-heading-block_53bde29e0e9d1cdb58bc200765fa76ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.免税・減免制度を実施している自治体もある</h2><p>NPO法人や一般社団法人を対象とした、免税・減免制度を実施している自治体もある。</p><p>例えば大阪府は、収益事業を行わないNPO法人に対し、法人府民税均等割（年額2万円）の減免の取扱いがある。</p><p>また宮城県では、全てのNPO法人に対して、法人県民税均等割、不動産取得税、自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割などの免除制度がある。</p><p>免除・減免の条件・内容や、申請に必要な書類などは自治体ごとに異なるため、ホームページで確認しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6e951460e7d52f31cb44232fc860d1e8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NNPO法人と一般社団法人に発生する法人税は、税率は同じだが、課税対象が異なる場合がある。</p><p>具体的には、NPO法人は収益事業以外の所得に課税されるのに対し、一般社団法人は非営利型と認められれば課税対象が収益事業のみとなり、NPO法人と同じ扱いになる。</p><p>法人税以外には、法人住民税、法人事業税、消費税などが発生する。また、一般社団法人は登記の際に登録免許税が必要だ。</p><p>各税については、自治体によって免除、減免が行われている場合もある。法人を設立する際は、自治体のホームページなどで確認しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/pdf/01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「一般社団法人・一般財団法人と法人税」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「新たな公益法人関係税制の手引」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c05_1.pdf">財務省「公益法人などの主な課税の取扱い」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人の会計とは？ 会計基準や処理方法、勘定科目を具体的に解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118435/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:01:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」が推奨されている</li><li>「NPO法人会計基準」は、活動計算書、貸借対照表、注記から成る</li><li>「NPO法人会計基準」では、財務諸表とは別に財産目録が必要となる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人会計基準って何？」</p><p>「具体的なやり方を知りたい」</p><p>「勘定科目はどうなる？」</p><p>そのような疑問を持つ人はいるだろう。</p><p>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」に則することが推奨されている。「NPO法人会計基準」は、「活動計算書」「貸借対照表」「注記」から成り、特に注記が担う役割が大きい。</p><p>今記事では「NPO法人会計基準」を中心に、財務諸表の解説や、勘定科目にも焦点を当てて紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_4444e50b17741b5b41ab60b6c9181c03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.「NPO法人会計基準」とは？</h2><p>「NPO法人会計基準」は、NPOの活動をより多くの人に知ってもらい共感と支援を得るために、会計報告を作成する統一ルールとして、2010年に市民によるボランティアで作られた。</p><p>「誰にとっても分かりやすい」ことが重視されており、内閣府からも「望ましい会計基準」と評価されている。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2d89f2619ecbcd15bdd4e14ef7a3fced" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.「NPO法人会計基準」の特徴</h3><p>「NPO法人会計基準」の特徴は、NPO法人の活動内容を正確に反映できるよう設計されていること。具体的なポイントは次のとおり。</p>活動計算書」「貸借対照表」「注記」から成る規模が小さな団体でも利用しやすい現物寄付やボランティアなど、NPO特有の事象にも対応している事業部門の費用と管理部門の費用に区分する注記（補足）できる内容が幅広い<h3 id="tnf-text-heading-block_23051b464378ff87f0d619beb2e09405" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.「NPO法人会計基準が」推奨される理由</h3><p>「NPO法人会計基準」の採用は強制ではないため、法人の活動内容によっては、ほかの会計基準を用いてもよい。具体的には、公益法人が用いる「公益法人会計基準」や社会福祉法人の会計に特化した「社会福祉法人会計基準」などがある。</p><p>しかし、会計基準が団体ごとに異なると、閲覧者が不便に感じる可能性がある。例えば、市民が寄付する団体を選ぶ際に各法人の決算書類の記載が異なると、比較することが難しい。会計基準が統一されていると、閲覧者の負担が減少し、寄付のハードルが下がる効果も期待できる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_44b73942b415c1ac7255db374d4ac511" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.「NPO法人会計基準」の「活動計算書」とは？</h2><p>活動計算書は、営利団体における「損益計算書」のようなものだ。年間の「収益」「費用」と、その差額である「当期正味財産（※）増減額」を示す。当期正味財産増減額がプラスなら黒字、マイナスなら赤字を意味する。</p><div id="tnf-text-notes-block_b2b8ce488d5df6ede7a4b6dda06d0df0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※正味財産：資産から負債を引いたもの（営利企業における「純資産」のこと）</div><p>NPO法人は利益を追求するわけではないが、正味財産がマイナスになると組織の維持が困難になるため、寄付者や会員になる人にとって重要な情報となる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_1-1.jpg"></div><h3 id="tnf-text-heading-block_acc802c5fc2fe3a9af5a92a68db0906a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.「経常収益」の勘定科目</h3><p>経常収益は、会費や補助金など、NPO法人の主要事業で継続して生じる収益。次の5つの勘定科目で構成される。</p><p>■受取会費</p>正会員受取会費賛助会員受取会費 など<p>■受取寄付金</p>資産受贈益（寄付された現物資産）施設等受入評価益（寄付された施設）ボランティア受入評価益（ボランティアから提供された労働力） など<p>■受取助成金等</p>受取助成金受取補助金 など<p>■事業収益</p>自主事業収益受託事業収益 など<p>■その他収益</p>受取利息為替差益雑収益（金銭的な重要度が低い収益） など<p>NPO法人は営利企業と異なり、事業以外にも多くの収入源があるため、内容ごとに分けることが求められる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5deded838e7a2e67bac6d26434bd0704" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2.「経常費用」の勘定科目</h2><p>経常費用は、NPO法人の主要事業で定期的に生じる費用で「事業費」と「管理費」から構成される。</p><p>事業費は、主要事業に直接投じられた費用。会場の賃貸料や講師への謝礼など、事業との関連が明らかな費用が該当する。</p><p>一方、管理費は、NPO法人の各事業を管理する費用。総会の開催運営費や、会報の発行費用など、事業に直接は影響しないが、団体を継続するために不可欠な費用などが当てはまる。</p><p>また、事業費と管理費の内訳は、それぞれ「人件費」と「その他経費」に分かれる。</p><p>■人件費</p>給料手当役員報酬ボランティア評価費用（ボランティアから提供された労働力） など<p>■その他経費（人件費以外の費用）</p>修繕費車両費旅費交通費 など<h3 id="tnf-text-heading-block_11f5c882569aabaac1e9562ef2465014" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3.「ボランティア受入評価益・評価費用」とは？</h3><p>ボランティア受入評価益・評価費用とは、ボランティアの労働力を金額評価したもの。</p><p>ボランティアには給料が払われないことが多く、その場合は人件費がかからない。しかし、NPO法人の多くはボランティアによって支えられている。そのため、ボランティアを除いた財務諸表では、事業規模を正しく把握できない可能性がある。</p><p>この欠点を補う勘定科目が、ボランティア受入評価益と、ボランティア評価費用だ。ボランティアによる労働力を金額に置き換えることで、NPO法人の真の活動規模を評価するもので、評価益と評価費用は同額を計上する。ただし、金額の算定基準を「客観的に把握できる場合」に限られる。</p>2-3-1.客観的に把握できる場合とは？<p>「客観的に把握できる」とは、金額算定の根拠が、誰でも入手可能な資料に基づいていること。最低賃金や、一般に公表されている統計資料などが該当する。</p><p>一方、賃金を独自に設定した場合などは、基本「客観的」とは認められず、ボランティア評価益・評価費用に計上することはできない。ただし、合理的（※）に算出できれば注記することができる。</p><div id="tnf-text-notes-block_6cea2031b376b845c6c7367d527296de" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※他のNPO法人の業務委託料や過去の平均単価を参考にした場合など</div><h3 id="tnf-text-heading-block_811f9cc214413e0e4bbc3ccca1850137" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4.共通経費の処理方法</h3><p>経常費用は、主要事業で発生した「事業費」と、主要事業以外で発生した「管理費」で構成される。そのため、経常費用を計上する際は、例えば「旅費交通費のうち、⚫︎⚫︎⚫︎円が事業費、⚫︎⚫︎⚫︎円が管理費」というように振り分けなければならない。</p><p>振り分ける基準には、勤務時間から計算する「従事割合」や、業務に使用する場所（面積）から計算する「面積割合」などが用いられる。</p>2-4-1.「従事割合」について<p>従事割合は、主要事業に従事した時間と、主要事業以外に従事した時間を見積もり、その比率で経常費用を振り分ける方法だ。</p><p>例えば、総額5万円の旅費交通費を、事業費と管理費に振り分けるとする。主要事業に費やした時間は90時間、主要事業以外に費やした時間は10時間だった場合、以下のように振り分けられる。</p>事業費：5万円×90時間/100時間＝4万5,000円管理費：5万円×10時間/100時間＝5,000円2-4-2.「面積割合」について<p>面積割合は、主要事業で使用される場所の面積と、主要事業以外で使用される場所の面積を算出し、その比率で経常費用を振り分ける方法だ。</p><p>例えば、50平方メートルの事務所のうち、事業運営に最低限必要と思われる面積が10平方メートルの場合、地代家賃が20万円だった場合、次のように振り分ける。</p>事業費：20万円×40平方メートル/50平方メートル＝16万円管理費：20万円×10平方メートル/50平方メートル＝4万円<h2 id="tnf-text-heading-block_68a8bafef12d794de8219bf4aa50465c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.「NPO法人会計基準」の「貸借対照表」とは？</h2><p>貸借対照表は、年度末時点での「資産」「負債」と、その差額である「正味財産」を集計したもの。貸借対照表によって、団体の財政状態を確認できる。</p><p>なお、前期の「正味財産」と、活動計算書の「当期正味財産増減額」を合計した金額が、当期の「正味財産」となる。</p><p>（例）2023年度末の正味財産＋2024年度の当期正味財産増減額＝2024年度末の正味財産</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_2.jpg">参考：貸借対照表の一例。郡山市「特定非営利活動法人（NPO法人）会計の手引き」を参考に作成</div><h2 id="tnf-text-heading-block_2a451e369b3fdc870d2969bdd590439e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.「NPO法人会計基準」の「注記」とは？</h2><p>注記は、活動計算書と貸借対照表に記入できない情報を盛りこむ、補足資料だ。主に次のような内容を記載する。</p><p>■必ず記載する内容</p>使用した会計基準<p>■該当する場合に記載する内容</p>会計基準などの会計方針を変更した場合、変更内容、理由、変更が各勘定科目に与える影響使い方などに制限がある寄付金などの内訳固定資産の増減の内訳借入金の増減の内訳役員、およびその2親等内の親族との取引の内容NPO法人の資産・負債や、正味財産の状態を明らかにするために必要な情報<p>■任意で記載する内容</p>各事業の費用の内訳や事業別の損益状況と詳細（事業を複数行っている場合）受け入れたサービスの明細と計算方法（施設の提供などの物的サービスを受けたことを財務諸表に記載する場合）受け入れたボランティアの明細と計算方法（ボランティアスタッフを受け入れたことを財務諸表に記載する場合）<h3 id="tnf-text-heading-block_347e672f0489012610e173f850ca70c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.使い方などに制限がある寄付金とは</h3><p>NPO法人への寄付金には使用用途が指定されているものがある。これらは、NPO法人が自由に使えるお金ではないため、通常の寄付金と区別する。注記に記載する内容は、その期の増加額、減少額、期末残高だ。</p><p>ただし、重要性（※）の高い寄付金は「指定正味財産」として、貸借対照表の正味財産に計上できる。</p><div id="tnf-text-notes-block_309a3741c8d77178a442d80c34df8da5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※内閣府NPOホームページ「使途等が指定された寄付金の取扱いに関する整理」<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/report28_6_shiryo_2.pdf" target="_blank" rel="noopener">「(３)重要性の原則の適用について」（外部リンク/PDF）</a>を参照</div><h3 id="tnf-text-heading-block_17f7286ce6650f932d65cb272173b9f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.複数事業の記載方法</h3><p>「NPO法人会計基準」の活動計算書は、事業単位での費用は記載できない。そこで複数事業を展開する場合は、総事業費と各事業の関係を2つの方法で注記に記載できる。</p><p>1つは、事業費の内訳を掲載する方法だ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_3.jpg"><p>もう1つは、損益状況を事業単位で記載する方法である。この方法では、事業費だけでなく、管理費や収益の情報も記載できる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_4.jpg">損益状況を事業単位で記載した注記。NPO法人会計基準協議会「NPO法人会計基準ハンドブック」を参考に作成<p>収益と費用を、事業部門と管理部門に分類する基準は、次のとおり。</p><p>■収益</p>事業部門：事業収益、助成金、補助金、使い方に制限がある寄付金など管理部門：正会員や賛助会員の会費、使い方に制限がない寄付金など<p>■費用</p>事業部門：主要事業に直接投じられた費用管理部門：事業に直接は影響しないが、団体を継続する上で不可欠な費用<h2 id="tnf-text-heading-block_685df21316203036f1adeb60492129d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.NPO法人は「財産目録」の作成も必要</h2><p>NPO法人は、活動計算書、貸借対照表、注記に加えて「財産目録」も作成し財務状況を報告する必要がある。</p><p>財産目録には、事業年度末における資産と負債の内訳を示す。表記する対象は貸借対照表と同じだが、内容は財産目録のほうが細かい。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_5.jpg"><p>なお、「NPO法人会計基準」の財産目録は、貸借対照表を補足する機能に留まるなどの理由から、財務諸表ではなく「会計報告書」として扱われる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e0846d2e344af26c64de66d7da0929ba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」が推奨されている。強制ではないが、ほかのNPO団体と共通の会計基準を用いることで市民が確認しやすくなるため、支援の増加も期待できる。</p><p>NPO法人会計基準は、活動計算書、損益計算書、注記から成る。このうち注記の役割が大きい点が特徴だ。活動計算書と損益計算書で表せない、事業単位の費用内訳などを注記に盛り込むことで、組織運営の透明性を向上することができるため、ぜひ会計の際には活用いただきたい。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/report33_2_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPO法人会計基準導入の意義と普及状況、今後の課題」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npokaikeikijun.jp/wp-content/uploads/handbook201712-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人会計基準協議会「NPO法人会計基準ハンドブック」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.city.koriyama.lg.jp/uploaded/attachment/77359.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">郡山市「特定非営利活動法人（NPO 法人）会計の手引き（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <title>一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>一般社団法人には税法上「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人（普通型）」がある</li><li>一般社団法人は設立が簡単、信用力が高まる、基金制度を設けられるなどメリットがある</li><li>一方、非営利型でなければメリットが少ない、利益が出ても社員に分配できないというデメリットも</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「一般社団法人」は、法人格が必要な任意団体や公益性の高い業務を行う場合の選択肢の一つである。といっても、一般社団法人がどのような団体か、NPO法人との違いや、設立・運営する上でどのようなメリットやデメリットがあるかなど、イメージが湧かない人も多いだろう。</p><p>この記事では、一般社団法人について解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_cdb2521b7cc966eccbfcd20314d154cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.一般社団法人とは</h2><p>法人格を持つ団体を設立する際の選択肢の一つが、非営利法人である「一般社団法人」だ。まずは、一般社団法人になるための要件や特徴を確認しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f73cb30a9df8fc529d567bd15296fe47" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.一般社団法人の要件</h3><p>一般社団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された法人のことを指す。。一般社団法人を設立するためには、法律で定められた次の要件を満たす必要がある。</p>設立時に2名以上の社員（社員になろうとする者）がいなければならない社員総会を設置しなければならない社員総会の決議によって選任された1人以上の理事を置かなければならない団体の設立者（社員になろうとする者）が定款を作成し、署名もしくは記名押印が必要<p>これらを満たした上で、事務所を管轄する法務局に登記をすることで設立できる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_60e1224c20b30141b053fdd7785e6b97" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.一般社団法人の特徴</h3><p>一般社団法人の法人格としての特徴も確認しておこう。</p>登記のみで設立でき、認定を受ける必要がない株式会社などの法人でも社員になれる事業内容に制限がない収益を得る事業もできるが、社員に対し剰余金の分配はできない設立後行政庁の監督なしに運営ができる<p>一般社団法人は、設立だけでなく、運営面に置いてもNPO法人と比べて負担も少ない。非営利法人のため、利益を社員へ分配することはできないものの、収益を得ることも可能だ。</p><p>なお一般社団法人において「社員」とは、株式会社の株主にも似た役割を果たすもので、一般的な「会社員」という意味とは異なる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_37eddf6c65b1fd007e78111618a1ffd8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.一般社団法人の種類</h2><p>一般社団法人は法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれる。どちらも非営利法人だが、法人税の課税対象となる所得が異なり、支払う税金の額に影響してくるため、違いを把握しておきたい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fff1a9dc076f35bef9c983b8efe32a6b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. 非営利型法人</h3><p>「非営利型法人」とは「非営利性が徹底されている法人」または「共益的活動を目的とする法人」のことをいう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-15_1.jpg"><p>「非営利性が徹底されている法人」「共益的活動を目的とする法人」とは、次のいずれかの要件を全て満たした法人を指す。</p>（1）非営利性が徹底された法人剰余金（利益）を分配しないことを定款に定めていること解散時の残余財産を国・地方公共団体や特定の公益団体に贈与することを定款に定めている上記1、2の定款に違反する行為を行っていない理事の親族制限（特定の理事とその親族が理事総数の3分の1以下）を守っている（2）共益的活動を目的とする法人会員に共通する利益を図る活動を目的としている定款に会費の定めがある主な事業として収益事業を行っていない特定の個人・団体に剰余金（利益）の分配を行うことを定款に定めていない解散したときに財産を特定の個人や団体に渡さないことを定款に記載している上記1から5と下記7の定款の定めに違反する行為を行っていない理事の親族制限（3分の1以下）を守っている<p>一般社団法人は、これらの要件を満たすことで非営利型法人となる。なお、非営利型法人には税制上のメリットはあるが、次の34事業の収益から生じた所得は課税対象となるため注意したい。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">物品販売業不動産販売業金銭貸付物品貸付業不動産貸付業製造業通信業運送業倉庫業請負業印刷業出版業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">写真業席貸業旅館業料理店業その他の飲食業周旋業代理業仲立業問屋業鉱業土石採取業浴場業理容業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">美容業興行業遊技所業遊覧所業医療保健業技芸教授業駐車場業信用保証業無体財産権の提供等を行う事業労働者派遣業</div></div><p>非営利型法人以外（普通型）の法人は、全ての事業の所得が課税対象となる。</p><p>なお、「非営利性が徹底された法人」「共益的活動を目的とする法人」いずれも、それぞれの各種要件のうち1つでも該当しなくなった段階で自動的に普通型の法人となる。</p><p>ただし、収益事業を行っている非営利型法人が、非営利型法人以外の法人になった場合や、反対に非営利型法人以外の法人が非営利型法人となった場合は、所轄の税務署に「異動届出書」を提出する必要がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ae65687e099f0f7cabd9f4dd55bc0055" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.一般社団法人とほかの法人・会社との違い</h2><p>会社を設立する際には、どの法人格が適切か比較検討する必要がある。そこで、一般社団法人とそのほかの法人格との違いを見ていこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_497664575857b21a232d5031dd990279" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.一般財団法人との違い</h3><p>一般社団法人と名称が似ている法人格に「一般財団法人」がある。</p><p>一般財団法人も「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立するものだ。そのため、設立の手続きや法人税の課税対象などは、一般社団法人とほぼ同じである。</p><p>ただし、一般財団法人は、設立時に300万円以上の財産が必要となる。</p><p>一般社団法人と異なる点は、社団法人が「人」によって構成されるのに対し、財団法人は一定の目的に対する「財産」の集合体によって構成されること。財産の維持や運用を目的に団体を設立する場合に、一般財団法人は有効な法人格といえるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_198c63af4b3e503acb631ad382ad9a76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.公益社団法人との違い</h3><p>一般社団法人は、内閣府もしくは都道府県から公益認定を受けることで、公益社団法人を名乗ることができるようになる。</p><p>公益社団法人になると、次のようなメリットがある。</p>社会的信用がさらに高まる助成金や補助金などの支援を受けやすくなる認められた公益目的事業における所得が非課税となる寄付者に対しても税制上の優遇措置があり、寄付金などを集めやすくなる<p>ただし、公益社団法人の事業や財務は「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」により、理事や監事への報酬などいくつかの制約がある。</p><p>また、一般社団法人と比べ情報公開義務が厳しくなることや、会計管理が難しくなることも留意すべき点となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f775f586251513994fa31dc625774f4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.株式会社との違い</h3><p>株式会社と一般社団法人の最大の違いは、営利目的であるかどうかである。株式会社は営利法人であり、剰余金（利益）が出た場合は株主に配当できる。</p><p>また、総会による議決権が一般社団法人は1社員に対し1票であるが、株式会社は1株1票であり、株を多く保有する株主の意向が反映されやすい。意思決定を迅速にできるというメリットもある。</p><p>なお、株式会社も定款の作成後、登記のみで設立できる点や、事業の範囲に制限がない点などは一般社団法人と共通である。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a2248418924a26319e9abe55b8456d9f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4.NPO法人との違い</h3><p>一般社団法人とNPO法人は、非営利法人である点は共通しているが、事業内容の範囲や設立手続きの方法などが異なっている。</p><p>事業内容は自由な一般社団法人に対し、NPO法人は「特定非営利活動」「その他の事業」に限られている。</p><p>「特定非営利活動」とは「特定非営利活動促進法」の別表（第二条関係）に指定された20種類のことで、「その他の事業」とは、上記20種類の活動以外の活動のことを指す。その他の事業は特定非営利活動に支障のない範囲で、計上された利益を特定非営利活動に充てることを目的とした場合に限り認められている。</p><p>なお、設立手続きの際には、都道府県や政令指定都市など自治体の認証を得てから登記する必要があり、一般社団法人と比べ設立に時間がかかりやすい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人とは？収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_84af0412b2dfa7baa940bee8b7fd71ae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.一般社団法人を設立するメリット</h2><p>一般社団法人には、さまざまなメリットがある。とくに次の4つは、設立や設立後の運営のしやすさにも関わってくる。</p>設立の要件が比較的優しい法人名義で取引ができ信頼を得やすい助成金を利用できる場合がある一般社団法人だけに認められる基金制度がある<p>1つずつ、詳しく確認してみよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2b3bb42fc6e023b87452416749a0ac1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.設立要件が比較的優しい</h3><p>設立の要件がそれほど厳しくない点は、一般社団法人の大きなメリットといえる。</p><p>登記さえすれば設立できる上に、一般財団法人のように財産も必要ない。また、社員も2人いれば設立でき、設立後そのうちの1人が欠けたとしても、解散する必要はない（社員が0人となった場合は、解散）。</p><p>法人格を持つ団体の中では、もっとも簡単に設立できる団体といえるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a95b1d2443a3ad71f1431336f20e7910" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.法人名義で取引ができ信頼が得やすい</h3><p>法人名義で取引できることで、社会的な信用も得やすくなる。法人格を取得することで、法人名義で銀行口座の開設や不動産の所有、事務所を借りることができるようになる。</p><p>任意団体は、個人でこれらの契約が必要なため、万が一代表者に何かあった場合取引が停止する可能性があるといった、取引先にとっては不安材料となる。その点、法人名義としておくことで、取引先も安心でき、信頼も得やすいだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7f342572a9576bb8b4401e8c3750f8f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-3.助成金を利用できる場合がある</h3><p>一般社団法人は、事業内容によって行政機関や民間企業が実施する助成金を利用できる。助成金は団体として受給要件を満たしていることの証明となるため、社会的な信用度が上がることも期待できる。</p><p>ただし、助成金の種類によっては、非営利性が徹底されている法人に限るケース、細かい制限があるケースもあるため、条件を細かく確認する必要があるだろう。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/introduction" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団（外部リンク）</a>でも、国内外の社会課題解決に取り組む公益活動団体へ助成金による支援を行っているので、ぜひ確認してほしい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人や一般社団法人が受給できる助成金とは？ 受給条件や申請方法・注意点を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_92828ba7940e9ed7c3bd74c95b154a53" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-4.一般社団法人だけに認められる基金制度がある</h3><p>一般社団法人には、一定の要件に基づき返還義務を負ってはいるものの、一般社団法人だけに認められた基金制度がある。</p><p>一般社団法人は、株式会社のような資本金や、一般財団法人のような300万円以上の財産は必要なく設立できるが、活動資金は調達しなければならない。利益の分配を目的としていない非営利法人としての立場を維持しながら、活動の原資となる資金を調達し財産的基礎を維持することができる基金制度は、非常にメリットの大きい方法といえるだろう。</p><p>基金制度を活用する可能性がある場合は、あらかじめ定款に定めておこう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-15_2.jpg"><p>継続して活動するために基金制度は利用したい。yom98/PIXTA</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0b56d2ef1c91a191276b370a6fb1e3ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.一般社団法人を設立するデメリット</h2><p>一般社団法人の設立を検討する際は、いろんな制約があることも考慮したい。非営利型法人にするか、非営利型法人以外の法人にするか、考える際にも参考にしてほしい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f176b73f33195c905c0607ce049a76b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-1.利益が出ても分配できない</h3><p>一般社団法人は非営利法人のため、利益が出たとしても社員に分配することはできない。定款に設立者に対し利益の分配を受ける権利を与える旨を記載したとしても、効力はないため注意しよう。</p><p>とはいえ、利益を出すような事業は禁止されているわけではなく、分配さえしなければ活動資金として活用できる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0abf8166099792d3781fe2fc6d462658" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-2.非営利型でなければメリットが少ない</h3><p>一般社団法人には非営利型法人と非営利型法人以外の法人があるが、非営利型法人でなければ、一般社団法人としてのメリットを最大限活かすことができない。</p><p>非営利型法人以外の法人は、事業で得た利益全てに税金が課せられるため、株式会社とほぼ変わらない税制度のもとで運営を行う。税制優遇の観点では、非営利型でないとメリットは少ないといえる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f0cdbfc89736255845ce1c0f1992a6ad" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-3.意思決定に時間がかかることがある</h3><p>一般社団法人では、重要事項の決定は社員総会で決める。最高意思決定機関である社員総会では、意見のとりまとめに時間がかかる可能性がある。</p><p>定款において定めがない限り、社員総会では1社員1票が原則だ。株式会社の大株主のように議決権を持つものがはっきりしないため、意思決定に時間がかかってしまう恐れがある。</p><p>ただし、理事全員が書面や電磁的記録によって同意の意思表示をしている場合に限り、社員総会を開かずに可決できる旨を定款で定められる。あらかじめ対策をしておくことも可能だ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b1dfc4abc57ef5ba612a2ea9437b5419" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6.一般社団法人の設立方法</h2><p>一般社団法人の設立手続きは比較的簡単。次のような流れとなる。</p>定款を作成し、公証人の認証を受ける設立時理事（設立時監事や設立時会計監査人を置く場合は、これらの者も）の選任を行う設立時理事（設立時監事が置かれている場合は、その者も）が、設立手続の調査を行う法人を代表すべき者（設立時理事または設立時代表理事）が、法定の期限内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局に設立の登記の申請を行う<p>このうち、1と２は設立時の社員2名以上で行う必要がある。</p><p>なお定款には「目的」「名称」「主たる事務所の所在地」「設立時社員の氏名または名称及び住所」「社員の資格の得喪に関する規定」「公告方法」「事業年度」の7項目を記載しなければ定款として認められないため注意しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bc424c3ee506d017ef4b7e3f25461b2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>「一般社団法人」とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づいて設立された団体のことをいう。非営利法人の特徴をもち「人」によって構成される団体だ。</p><p>登記をすることで設立できるため、法人格の団体の中でも、設立しやすい団体といえるだろう。</p><p>法人格にはほかにもさまざまな種類があるため、まずはそれぞれのメリット・デメリットを把握し、適切な法人格を見極めた上で設立しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#01" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001470659.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省官公庁 「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」第3章法人格の種類による財源の特徴（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「一般社団法人・一般財団法人と法人税」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cao.go.jp/others/koeki_npo/koeki_npo_seido.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/qa/seido-gaiyou/katsudou-bunya#Q1-3-4" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ 活動分野質問一覧（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/houjintouki.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省 登記－商業・法人登記－（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>実態の見えづらい「女性のひきこもり」。社会との「つながり」が生まれるきっかけとなる女性限定の当事者会とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118249/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 23 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>近年、調査対象の変更などにより、ひきこもり状態にある人の約半数が女性であることが判明</li><li>女性のひきこもり当事者の中には、男性への恐怖心から当事者会に参加しづらい人がいる</li><li>ひきこもり状態への偏見や誤解の目がなくなれば、当事者は安心して社会に踏み出しやすくなる</li></ul><div class="wp-block-spacer"></div><p></p><p>2023年に内閣府が公表した調査（※）では、15～64歳でひきこもり状態にある人は推計146万人にも上ることが分かりました。</p><p>従来の国の調査では、「主婦」や「家事手伝い」をしている人が対象外だったこともあり、ひきこもり状態にある人の大半が男性とされてきました。しかし、2018年以降の調査では対象が広がったことで、約半数が女性であることが明らかになったのです。</p><p>さらに、女性のひきこもり当事者の中には、男性への恐怖心から、当事者会に参加しづらかったり、参加しても安心してその場に居られないなど、その実態は見えにくいものとなっています。</p><p>こうした課題を受け、一般社団法人ひきこもりUX会議では、2016年から女性限定の当事者会「ひきこもりUX女子会」を開催しています。</p><p>今回は同法人の代表であり、自身も20年以上にわたり、ひきこもり状態を経験した林恭子（はやし・きょうこ）さんに、ひきこもり女性の現状と、支援課題について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_adca7f8889df26e64bb6e03a2936bdf4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査（令和4年度）」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_970c7e6eaf6c62dd31ab5e414ec21de3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ひきこもり状態の女性が可視化されづらい理由</h2><p>――当事者がひきこもり状態に至る理由にはどのようなものがあるのでしょうか。</p><p>林さん（以下、敬称略）：原因は「100人いれば100通り」あるといわれ、人によって異なります。ただ、いくつもの要因が複雑に絡み合っていることが多いですね。</p><p>例えば、学校では不登校やいじめ、家庭では親との関係、社会に出てからはパワハラやセクハラ、過重労働といったことによるストレスや孤立が少しずつ積み重なり、心身の限界を迎えたときに、ひきこもり状態になる傾向があります。</p><p>――ひきこもり状態にある方の約半数が女性とのことですが、その原因に男性との違いはあるのでしょうか。</p><p>林：基本的には、男女が感じるプレッシャーに大きな差はないというのが私の見解です。</p><p>少し前までは「男性が働き、家族を養って一人前」とされていたため、社会的な重圧は男性の方が大きかったかもしれません。</p><p>けれど今は、女性も正社員として働きつつ、出産や育児もしなければならないというプレッシャーを、特に若い世代が強く抱えている印象です。そうした意味では、背負う負荷の大きさはほとんど変わらなくなっているのではないでしょうか。</p><p>――女性のひきこもりが社会から見えづらい理由を教えてください。</p><p>林：長年、「主婦」や「家事手伝い」が調査対象に含まれてこなかったため、実態が数字に現れてこなかったことが大きな要因です。また女性の場合、「家事手伝い」という言い方ができたことや、家にいても家族がさほど問題としてこなかったということもあります。</p><p>さらに、ひきこもり状態の女性は、刃物で手首や腕の皮膚を傷つける「リストカット」や「摂食障害（※1）」といった別の課題の中で捉えられ、ひきこもりという枠組みに含まれてこなかったこともあります。</p><p>私たちがひきこもり女性を対象に行った実態調査（※2）では、約7割の女性が「男性が怖い、苦手だ」と回答しています。男性がいるかもしれない支援の場に参加しづらいことも、女性の姿を見えにくくしている一因だと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_eff8dd86d53f39ade1c39f514dc21be3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「摂食障害」とは、食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型の捉え方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめた言葉※2.参考：一般社団法人ひきこもりUX会議「女性のひきこもり・生きづらさについての実態調査2017」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00001.jpg">東京・国分寺市で開催された「ひきこもりUX女子会」終了後、取材に応じてくれた林さん<h2 id="tnf-text-heading-block_2500f232547de259526c9f2b395c9962" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「あなたの感覚は正しい」。医師のこの言葉が社会復帰のきっかけに</h2><p>――林さんご自身もひきこもり当事者だったそうですね、当時はどのような状況だったのでしょうか。</p><p>林：私は高校2年生のゴールデンウィーク明けに不登校になりました。最初は発熱や頭痛といった体調不良が続き、学校に行けなくなったんです。家族はもちろん、私自身も何が起こっているのか分からず、身体的な病気だと捉えていました。</p><p>自宅で療養を続けましたが、家庭の事情で転校した先でも違和感を感じ、再び体調を崩してしまって……。結局高校を中退し、その後20年近くひきこもり状態が続きました。</p><p>私は厳格な母の下で、「いい高校、いい大学、いい就職先に進むのが当たり前」という価値観の中で育ったので、高校を中退した時には「自分の人生は終わった」と感じていました。</p><p>――何がきっかけで、外に出られるようになったのですか。</p><p>林：信頼できる精神科の先生や、同じような経験をした当事者の人たちに出会えたことが大きかったですね。それまでに7人の医師や臨床心理士などにかかっていましたが、8人目の先生が初めて私の話をきちんと受け止めてくれたんです。</p><p>私は、昔から理不尽なことに対して「どうしてこんなことがまかり通るのだろう」と憤りを感じるタイプでしたが、それを周囲に話しても「そんなことを言っていたら社会は回らない」「みんな折り合いをつけてやっている」とたしなめられるだけでした。</p><p>次第に「同じ日本語を話しているはずなのに何も通じない」と感じるようになり、誰にも本当の気持ちを話さなくなっていったんです。</p><p>――そうした中で、その先生だけは違ったのですね。</p><p>林：はい。私が思い切って自分の率直な考えや気持ちを話してみたところ、先生が「生き物としては、あなたの感覚の方が正しいのでは」と言ってくれて、その言葉に救われました。</p><p>それから、少しずつ自分の思いを話せるようになり、空っぽだった自分の中に、まるで地下水が少しずつ汲み上がるようにエネルギーがたまっていったのではないかと思います。</p><p>――その後、林さんも当事者会にご参加されたのですね。</p><p>林：そうですね。「ひきこもり」という言葉が社会で使われ始めた1999年頃のことです。東京では、当事者や家族が集まる会が生まれつつありました。私も勇気を出して参加してみたところ、そこにはたくさんの当事者たちがいたんです。</p><p>それまで、「こんな状態なのは世界で自分だけだ」と思い込み、自分を責め続けていたので、「同じように苦しんできた人がこんなにいる、ひとりじゃなかった」と分かった時、とても安心しました。</p><p>――林さんは現在、当事者会を主催していますが、参加される方が外に出られるようになる背景には、どんなきっかけがあると感じていますか。</p><p>林：何か劇的なきっかけがあるというより、薄皮を一枚ずつはがしていくように、少しずつ心の重荷を下ろし、わずかでも自分への信頼や希望を取り戻していく過程が必要なんだと感じます。</p><p>ひきこもり状態の人の多くは、「自分は最低だ」「生きている価値なんてない」と感じています。その粉々になっている自己肯定感を、一気に回復させることはできません。</p><p>だからこそ「安心して話せて、否定や価値判断をされない」「自分のことを分かってもらえる」、そんな人や場所に出会うことが何よりも大切です。</p><p>「ひきこもりUX女子会」でも、安心できる場づくりを何よりも重視しています。自信がなくても、「自分は生きていていいのかもしれない」と思える瞬間を、少しずつ積み上げていく。それが回復への第一歩だと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c0a0d37b66bd7941c044597ac8949258" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">就労をゴールにしないひきこもり支援。ニーズに従い女子会を発足</h2><p>――一般社団法人ひきこもりUX会議を立ち上げたきっかけを教えてください。</p><p>林：当事者として支援現場を見てきましたが、最近までのひきこもり支援はほぼ「就労支援」しかありませんでした。</p><p>働かせることがゴールとされていて、当事者にとってそれはあまりにもハードルが高かった。また、部屋から力ずくでも引っ張り出したり、ようやく相談窓口にたどり着いても、説教や説得、暴言を受けるなど、人権侵害にあたるようなこともありました。</p><p>こうした支援のあり方は、当事者のニーズと合っていないんですね。それは「当事者の声が届いていない」ことが原因だと感じ、当事者が中心となって活動し、発信しようと思ったのがきっかけです。</p><p>そこでまず企画したのが、ひきこもり状態にあった人たちが意見を発信する「ひきこもりUX会議」というイベントです。320人ほどの方が参加してくださり、「当事者の声を届けていく必要がある」と実感しました。</p><p>――「ひきこもりUX女子会」を始めた理由を教えてください。</p><p>林：従来の当事者会の参加者は、9割近くが男性で、女性が安心して参加できる場はほとんどありませんでした。性暴力や男性家族からの暴力、いじめの加害者が男性だったといった背景から、男性を苦手とする女性も多く、女性限定の場が必要だと感じました。そこで始めたのが「ひきこもりUX女子会」です。</p><p>現在は東京都の広域連携事業として、毎月都内のどこかの地域で開催しています。ですから、調子が整わず参加できないときでも、次のチャンスがあります。</p><p>また、自分の住むまちの窓口や当事者会には行きづらいという声も多いため、近隣の自治体同士が連携することにより、より参加しやすい環境になっていると思います。</p><p>――「ひきこもりUX女子会」の内容を教えてください。</p><p>林：2部構成で行っており、1部ではひきこもり経験者が自身の体験を語ります。幼少期から現在に至るまでのリアルな経緯を率直に打ち明けることで、参加者に「ここなら自分の思いを安心して話せる」と感じてもらい、自身の経験を語りやすい空気をつくるという意味もあります。</p><p>2部では、当事者/経験者は「女子会」に、広域連携事業に於いては当事者の家族や支援者は「つながる待合室」に分かれます。</p><p>――2部の「女子会」と「つながる待合室」ではどのようなことを話すのでしょうか。</p><p>林：「女子会」では、テーブルにテーマスタンドを置き、話したいテーマがある席に自由に座ってもらいます。</p><p>自己紹介を兼ねて「呼んでほしい名前」、差し支えのない範囲で「どこから来たのか」「なぜこのテーマについて話したいと思ったか」などを話し、あとはフリートークです。</p><p>「つながる待合室」は、当事者の家族や支援者が交流できる場で、性別を問わず参加できるので、男性の当事者が参加することもあります。もともと「女子会」に参加する当事者の中には、母親や姉妹が付き添って来られるケースもあり、2部の間、廊下やロビーで待っている方がいたことがきっかけでした。</p><p>「せっかくなら、その時間を交流の場にしよう」と考え、誕生したのが「つながる待合室」です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00006.jpg">「女子会」でテーブルに置かれるテーマカード<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00007.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_de8cb00f922402f0c58c6973095d0b41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ソーシャルファーム」とは、一般的な企業と同様に自律的な経営を行いながら、就労に困難を抱える方が必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_ecbbab8a8143d6b70943ea74477a93fe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「安心して来られる場」を最優先にした運営と支援の未来</h2><p>――「ひきこもりUX女子会」に参加した方の声を教えてください。</p><p>林：徐々に変化が起こり、就労や自立に至った方や、結婚して子どもが産まれたという声も聞いています。</p><p>あとは、参加者同士で連絡を取り合うようになったり、会の後にお茶をしたりする人たちもいます。なかには、一緒に遊園地に行ったという人たちもいるんですよ。</p><p>女子会をきっかけに、社会との接点を少しずつ取り戻していく人が増えています。</p><p>――開催に当たって、意識していることを教えてください。</p><p>林：女子会に限りませんが、一番大事にしているのは、当事者が「安心して参加できること」です。</p><p>まず、参加のハードルを下げるために、原則予約制にはしていません。当日にならないと体調や気持ちが分からない方や、本名・住所・電話番号などの個人情報を知られたくない人も多いからです。</p><p>また、途中参加・途中退出も自由です。会場の一角には、他の参加者と交流せずに休める「非交流スペース」も設けています。当日は会場の扉の開閉角度にも工夫し、外からは見えないけれど、中に入りやすいように心がけています。</p><p>事前申し込み制ではないため、当日になるまで参加人数が分からないわけですが、私たちの活動の柱の1つに「最大の利益は当事者に」というのがあります。主催側の都合よりも、当事者が安心して来られることを最優先にしています。</p><p>――現場で感じる、ひきこもり女性支援の課題を教えてください。</p><p>林：課題はいくつもありますが、まず、女性が安心して相談できる環境が足りていないということはいまだ強く感じます。女性職員や、理解がある職員が支援の窓口にいることが重要ではないかと思います。</p><p>また、広域連携の支援がもっと広がって、全国どこでも相談ができるようになってほしいです。それに加えて各自治体の中でも、ひきこもりを含むさまざまな課題に連携して対応できる、縦割りでない支援体制が必要だと感じます。</p><p>さらに、行政がひきこもり支援策を作る場合には、当事者や経験者が入ることも望んでいます。当事者の意見を聞かずに進めてしまうと、ニーズとのずれが生じてしまいますからね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00003.jpg">ひきこもりUX会議による、ひきこもり状態の女性が安心して参加できる場づくりの工夫は多岐にわたる。監修：一般社団法人ひきこもりUX会議<h2 id="tnf-text-heading-block_bd040ecac7318993af74b4650674b9c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ひきこもり状態の方を支えるために私たち一人一人ができること</h2><p>ひきこもり状態の方を支えるために、社会全体や私たち一人一人ができることについて、林さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_702a74cabf5a4a186431044b511c8f00" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］関心を持ち、正しい知識を身に付ける</h2><p>誤解や偏見、差別的なイメージが残る「ひきこもり」という言葉。まずは、どんな人が、どんな状況で困難を抱えているのかに関心を持ち、講演会に足を運んだり、本を読んだりしてみる。私たちが正しい知識を身に付けることで、当事者は社会に出ていきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_da0a410a0d53920c34b1e257e860b27f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める</h2><p>良かれと思ってのアドバイスは、当事者の孤立感を深めてしまうことがある。当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める。当事者の心情に真摯に心を寄せ、ただそばにいるという姿勢が重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bbb30d0e5c7eb0404e7c2985973f57b0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］当事者の周囲にいる私たちは、情報を集めながら助けを求められるときを見守る</h2><p>当事者と近い関係性の場合は、地域の家族会になど参加し、まずは自身を労わり気持ちが楽になれるようにする。そして、当事者本人が「そろそろ一歩踏み出せるかも」と感じたタイミングで、情報を差し出せるよう、適切な相談窓口や精神科医などの情報を集めておく。周りは焦らず、温かく見守りつつ、自身の生活や人生も大切にすることを心がける</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>ひきこもり状態にある女性の実態が見えにくいことや、女性ならではの支援の課題があることを知り、今回の取材に至りました。</p><p>印象的だったのは、支援活動が「就労」や「自立」ではなく、「つながりを育むこと」「共にあること」に重きを置いている点です。その根底には、元当事者である林さんの経験とまなざしがあります。私たちも「支援しなければ」と力むより、当事者のニーズを知り、共にある姿勢を持つことが何よりも大切なのかもしれないと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_28f2413e537791904b52d829f5a7d9be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">林恭子（はやし・きょうこ）</h2><p>一般社団法人ひきこもりUX会議・代表理事。高校2年で不登校、20代半ばまでひきこもりを経験する。2012年から、「自分たちのことは自分たちで伝えよう」と当事者発信を開始し、イベント開催や講演、研修会の講師などの当事者活動をしている。東京都ひきこもりに係る支援協議会委員／就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム議員等。 著書に『ひきこもりの真実―就労より自立より大切なこと』 （ちくま新書）。</p><p><a href="https://uxkaigi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人ひきこもりUX会議 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 23 Dec 2025 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>障害を力に変えて——横山温大選手、森宏明選手の生きざまから感じる「スポーツの力」</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118284</link>
      <pubDate>Thu, 18 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p></p><p>2025年夏の全国高校野球選手権大会では、岐阜県立岐阜商業高等学校（以下、県岐阜商）が16年ぶりのベスト4進出。公立校の快進撃、とりわけ準々決勝では春の選抜大会優勝校・横浜高等学校（以下、横浜）との激闘を制し高校野球ファンを魅了しました。</p><p>その中で、ひときわ注目を集めたのが県岐阜商の横山温大（よこやま・はると）選手です。生まれつき、左手の人差し指から小指までがないという障害がありながら、レギュラーとして出場。守備・打撃ともに存在感を示し、チームの躍進を支えたといっても過言ではありません。</p><p>今回、そんな横山選手と、2026年ミラノ・コルティナパラリンピック冬季競技大会の日本代表推薦選手であるクロスカントリースキーの森宏明（もり・ひろあき）選手の対談が実現。森選手は、小中高と野球に情熱を捧げますが、高校2年生のときに事故で両足のひざ下を切断。大好きな野球を諦めますが、その後、パラスポーツと出会い、パラスキー選手としての道を歩み出します。</p><p>障害がありながらも努力を重ね、輝ける存在となり、多くの人たちに勇気を与えているお二人に、競技に取り組む姿勢や自身の障害との向き合い方などに触れながら、それぞれが思う「スポーツの力」についても語り合っていただきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2f0c79daf299cd70620f0c7aa3465a0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">好きだから続けてきた、野球のエリート街道をまっしぐら</h2><p>森さん（以下、敬称略）：横山選手は、野球を始めたのは小学3年からだそうですが、当時は義手を使っていたそうですね。</p><p>横山さん（以下、敬称略）：はい。でも小学校では軟式だったのが中学校で硬式に変わり、硬くて重い硬式球だと義手をつけてのクロスプレーの危険性や脱臼を心配されるようになりました。また、投手のときは義手だとクイック（※１）がうまくできなくて……。それで義手は使うのをやめたんです。</p><p>森：中学ではボーイズリーグで投手と外野手の二刀流だったとか。そこから県岐阜商へ入るまで、どんな経緯をたどったんですか。</p><p>横山：小学校からやってきた投手は好きでしたが、他に身体能力の高い選手がいたので、試合に出るためにバッティングを磨いて外野にも挑戦。バッティングは好きだったし、障害を武器にできるよう工夫したことで、結果的に主軸（※2）も任されました。それが成長につながったと思います。</p><p>県岐阜商への入学を決めたのは中学2年の冬。早めに声をかけてもらったので、他校は考えなかったですね。高校でも最初は投手をやろうと思ったのですが、思うように球速が上がらず、高1の秋に野手に転向しました。</p><p>森選手も小学2年から野球を始められたとお聞きしました。</p><p>森：友人と一緒に野球をしたくて始めました。そこで野球漬けの毎日を送り、中学では強豪クラブチームへ。僕も横山選手と同じで、投手をやりたかったけれど他に強い選手がたくさんいたので、内外野を転々とし、最終的に捕手でチャンスをつかみました。最終学年では日本リトルシニア野球選手権大会で準優勝したので、いい経験ができたと思います。</p><p>僕には親戚にモデルケースとなる人がいて、その人と同じ野球人生を歩みたいという目標がありました。高校卒業後は駒澤大学、そしてSUBARU硬式野球部へ所属することを目指して、野球の強豪校である淑徳高校に入学。練習に励み、高2の新チーム体制からは主将も任されました。</p><p>事故に遭ったのは、さぁこれから、という同年の8月のこと。他校を招いて行われた練習試合を終え、片付けをしている最中に、猛スピードで敷地内に入ってきた野球部OBが運転する車に足をひかれたんです。それで、両足を切断することになり、野球を続けることを断念しました。</p><p>横山：大変な経験をされてきたんですね。</p><div id="tnf-text-notes-block_7484d479af63ecfb2264d13a7333c46e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.盗塁を防ぐためにピッチャーが投球動作を小さく素早くする投法</div><div id="tnf-text-notes-block_5febb27f62b551d1a70cd8e0a0edda56" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2.野球の「主軸」とは、打順における3番、4番、5番の打者を指す</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_2-1024x680.jpg">小3から高1までの野球人生を振り返る横山選手<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_11441c483d1e9cb7146b9c3358632358" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自ら考え、動く。その結果が人生を変える</h2><p>高校までの野球人生を振り返りながら、徐々に打ち解け合う二人。会話を交わす中で、横山選手は、周囲が障害など関係なく普通に接してくれることがうれしいと語ります。</p><p>森：良き仲間にめぐり会ってきたんですね。甲子園で躍動した県岐阜商野球部のチームカラーはどのようなものだったんですか。</p><p>横山：チームのモットーは「明るく、笑顔で」。（高2の）秋季県大会、（高3の）春季県大会はどちらも準々決勝で敗れましたが、その悔しさが“勝ちたい”という強い気持ちにつながり、チームのみんなが同じ目標に向かってまとまるきっかけになりました。</p><p>また、藤井監督（※）は主体性を重んじる指導方法で、選手個人が見つけた課題に取り組む「課題練習」が中心です。自分たちで考える野球を大切にすることで、一人ひとりの主体性が育ち、結果としてチームのレベルが上がったと感じています。</p><p>森：「自ら考えて動く」って、とても大事だと思います。僕自身、事故後の治療3カ月とリハビリ3カ月、合わせて半年の空白時間があり、そこで今後の人生について向き合い、縁もあってパラスポーツに出会うことができました。</p><p>じっくり考えた末に選んだ道だからこそ、その後も「なぜ自分はパラスポーツをやるのだろう」と迷うことがない。それが今も続けられている理由かもしれません。</p><p>横山：挫折することはなかったんですか？</p><p>森：ありましたよ。僕は“事故”だったので、どうしても加害者・被害者の立場で裁判が行われます。すでにリハビリを経て自分なりの日常生活を取り戻しつつあるのに、「こんなに自分は困っています」と被害者の立場から主張しなければならないことに大きな違和感がありました。</p><p>「もう、どうでもいい」と投げ出したくなるときもありましたが、先ほどお話しした“空白時間”の中で、自分の人生を整理できていたのが、立ち直る支えになったのかなと思っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_abce5e168eb48453ff7093d974ff6493" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※県岐阜商をけん引する藤井潤作（ふじい・じゅんさく）監督。前任で監督を務めた鍛治舍巧（かじしゃ・たくみ）さんが、しばらく甲子園から遠ざかっていた県岐阜商を6年間で甲子園出場4回と復活させ、藤井監督がバトンを受け継いだ</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_4.jpg">挫折にまつわる森選手（右）の話に、真剣な眼差しで耳を傾ける横山選手<h2 id="tnf-text-heading-block_81b2337b5cfc2d2464b0663dbae3b270" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「障害」を武器に。自分の“最適解”をどう見い出すか</h2><p>中学時代、障害を武器にしたかったという横山選手。横山選手・森選手ともに、努力を重ね、今では自分なりのプレースタイルと練習方法を確立しています。</p><p>森：甲子園で一番印象に残っているプレーは？</p><p>横山：準々決勝の横浜戦、初回の守備ですね（※1）。自分が捕っていなかったら相手に先制点を許し、戦況が変わっていた場面。まだ緊張していた投手を助けられて良かったです。</p><p>森：あれはすごかったですね！ 僕は夏の甲子園が始まる前から横山選手には大注目していました。守備では右手につけたグローブで捕球。そして素早くグローブを外して左脇に抱え、球を“握り替え”して右手でボールを投げる。この一連の動作は甲子園でも話題になりましたね。</p><p>横山：あれは外野を始めた中学１年の頃から取り入れました。最初はうまく握り替えができず、捕球後のステップが多くなってしまって。0コンマ何秒でも早く返球できるよう反復練習し、今ではしっかり体に染みついています。</p><p>森：打撃では右手１本で振り抜いていたのが印象的です。</p><p>横山：振り抜くときは片手ですが、インパクト（バットとボールがぶつかる瞬間）は両手で押し込むようにしています。速球でも左手が押し負けないようにするために練習を重ねました。</p><p>誰よりも多く素振りをし、自分のフォームをしっかり固められるように取り組みましたが、やはりスイングの力だけではみんなに勝てないかもしれない。ですから、バットへのボールの乗せ方とか、パワー以外で球を飛ばす技術的な方法などもずっと考えてきました。</p><p>ところで、森さんは大学3年でノルディックスキーに初チャレンジして、その後にはカナダでのワールドカップに出場されていますよね。どんな苦労をされたんですか。</p><p>森：僕がシットスキー（※2）を始めた頃、日本国内にはシットスキーの競技者がいませんでした。だから、早く国際大会に出て、海外選手の滑走を“生”で観るのが一番勉強になると考えたんです。また、過去のパラリンピックの競技動画を繰り返し見て、あらゆる研究を重ねましたね。</p><p>ただ、2022年北京パラリンピックで順位が振るわなかった時「このままではダメだ」と。シットスキーは座り競技なので、それまでの僕は上半身ばかり鍛えていました。しかし、レースの後半でバテてしまってフォームが崩れてくるのは、下半身の強化が足りないということに気づいたんです。</p><p>僕は両ひざから10センチ下が欠損していますが、それ以外に使える筋肉を余すことなく100パーセント使うことで、はじめて戦えることに気づきました。そこからの4年間は特にフィジカルトレーニングに注力してきました。</p><p>横山：森さんは（2019年に）朝日新聞社に入社してから、今も週5日勤務しながら練習に励んでいると聞きました。</p><p>森：はい。パラスキー選手としては珍しいかもしれませんが、ある意味、学校の授業が終わって放課後から練習をする横山選手と一緒です。現在は退勤後、ナショナルトレーニングセンターで毎日4時間ほど練習しています。</p><p>練習する上で大切にしているのは、人と比べるのではなく、限られた時間の中でどう成果を出すかという視点。例えば、「今年中にベンチプレスで100キロを挙げる」など、必ず具体的な目標や数値を設定してモチベーションを上げています。</p><p>ただし、完璧主義になり過ぎず、良い意味で割り切ることも大事かな、と。柔軟な思考でトレーニングに向き合うようにしています。</p><div id="tnf-text-notes-block_494249e3e8afbed4a9b8b19c2356bd9d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.初回２アウト２塁の場面、横浜４番打者の痛烈なライト線方向へのライナーをキャッチしたファインプレー。横浜の先制点を阻止した</div><div id="tnf-text-notes-block_e4330930fdf5db44fa3e75a8bc19dabc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2.主に下肢に障害のある人が、シートにスキー板を固定した専用の競技用具を使って座った状態で滑るスキーのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_5.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_6.jpg">森選手は国内外のクロスカントリースキーの大会で奮闘を続ける。画像提供：森宏明<h2 id="tnf-text-heading-block_8a6207e6ee5f184fc41284dff4611553" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">生きざまが誰かの夢になり「スポーツの力」になる</h2><p>森：今回の対談の大事なテーマが「スポーツの力」ということなんですが、横山選手にとって、スポーツの力とはどのようなものだと思いますか。</p><p>横山：難しいですね……。僕にとって野球は人生そのものです。だから「甲子園を観て感動したよ！」と言われても、自分にとっては当たり前のことをがむしゃらにやってきただけで、人に感動を与えるようなことをしてきたとも思えず（笑）。</p><p>ただ、自分が楽しんで野球をやっている姿が、誰かの心を揺さぶることもある、それがスポーツの力なのかなと今は思うようになりました。</p><p>森：なるほど、生まれてからずっと障害とともに生きてきた横山選手にとっては、「障害」の有無は関係なく、当たり前のように努力を重ねられてきただけですもんね。</p><p>一方、事故で足を失ってしまった僕にとって、スポーツの力は障害をポジティブに変えてくれるもの。特にパラスポーツの選手は、僕と同じように一目で障害だと分かる人が多く、挫折を乗り越えて今がある人も少なくありません。だからこそ観戦者は、その人の生きざまそのものを見て応援したいという気持ちになり、そこから感動が生まれるのかな、と。</p><p>僕自身も、スポーツを続けることができ、応援してくださる人たちに感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思っています。</p><p>最後に横山選手の今後の目標を聞かせていただけますか。</p><p>横山：高校卒業後は岐阜聖徳大学へ進学します。野球はもちろん、商業系の教員免許取得も視野に入れて決めました。しっかり勉強と野球を両立し、野球はできる限り長く、高いレベルを目指せるよう頑張っていきたいです。</p><p>森選手の目標はなんですか。</p><p>森：僕は2026年パラリンピック冬季でのメダル獲得が目標です。社会人アスリートとして、奮闘する姿を皆さんにお見せしたいですね。</p><p>何かやりたいことがあるなら、未経験でも、何歳からでも決して遅いことはない。だからこの記事を読んでいる人には、チャレンジ精神を大切にしてほしいですし、私自身、頑張る人たちの背中を押せるような活動を今後もしていきたいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_6482ea273632dfa0eea5160ae8f60a31" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>障害のある人でも、その向き合い方や考え方が人それぞれ異なるのだと、取材を通して改めて気づきました。</p><p>ただ、共通して言えるのは、スポーツを継続する上で、自分自身と向き合い、「自分らしく」輝けるよう不屈の努力を重ねていること。その生きざまそのものが、私たちに希望と感動を与えてくれます。</p><p>この記事が、これから何かにチャレンジしてみようと思っているご本人・ご家族の背中を押すきっかけになれば幸いです。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_59aa2043d2f1acd3b4191843195cba6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">横山温大（よこやま・はると）</h2><p>2007年7月17日生まれ、岐阜県出身。県立岐阜商業高等学校に在学中。ポジションは外野手、右投左打。生まれつき左手の指がないという障害を乗り越え、優れた打撃センスと守備力で活躍し、2025年夏の甲子園にも出場。16年ぶりにベスト4入り果たすという、チームの活躍に貢献した。卒業後は大学へ進学し、野球を継続する予定。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a06d4e45baad2a3801b927be51285429" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">森宏明（もり・ひろあき）</h2><p>1996年生まれ。東京都出身。高校2年の夏に、交通事故で両足を切断。大学3年生のとき（2017年）、パラノルディックスキーを始める。北京2022冬季パラリンピックに出場。2026年のミラノ・コルティナ冬季パラリンピックも日本代表推薦選手となる。日本財団パラスポーツサポートセンター（パラサポ）が主催する小・中・高・特別支援学校向けの教育プログラム「あすチャレ！ジュニアアカデミー」の講師も務める。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 06 Jan 2026 14:46:04 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty</link>
      <pubDate>Thu, 18 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>母子ハウスは、母子家庭（シングルマザー）を対象としたシェアハウスやアパート</li><li>住まいがないと保育園に入れず、保育園に入れないと就労できず、就労できないと入居審査に通らない負のサイクルに陥る構造がある</li><li>全国ひとり親居住支援機構は母子ハウス運営者の中間支援とデータ収集を行い、自治体への政策提言に向け準備中</li></ul><p></p><p>厚生労働省の<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和4年国民生活基礎調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、子どもがいる現役世帯において、大人が2人以上いる世帯の相対的貧困率（※）が8.6パーセントなのに対し、大人が1人の世帯の相対的貧困率は44.5パーセントで、ひとり親世帯の生活は苦しいということが分かっています。</p><div id="tnf-text-notes-block_cdf3be641deb42772cbacc8706b83fc5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※世帯の所得が、その国の中央値の半分にも満たない状態を指す</div><p>また、厚生労働省が2022年に公表した<a href="https://www.moj.go.jp/content/001388755.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a>では、ひとり親世帯の中でも父子家庭の平均就労年収が496万円なのに対して、母子家庭は236万円となっており、母子家庭（シングルマザー）は相対的に厳しい経済状況にあることが伺えます。</p><p>収入が限られる中で、安心して暮らせる住居を確保することは、ひとり親家庭にとって大きな課題の1つです。<a href="https://singleparenthouse.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人全国ひとり親居住支援機構（外部リンク）</a>は、そんな母子に快適な住環境を提供し、自立をサポートするため、空き家を活用したシェアハウス「母子ハウス」の運営支援を行っています。</p><p>今回、全国ひとり親居住支援機構の代表理事の秋山怜史（あきやま・さとし）さんに、具体的な活動内容や行政と協働で行うプログラムの成果など、課題解決のための取り組みについてお伺いしました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_db7acd4f3c85e479180590db61d440b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して子育てできる暮らしのために、住まいの確保から負の連鎖を断ち切る</h2><p>――全国ひとり親居住支援機構の活動内容を教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：全国で母子ハウスを運営している事業者の方々を支援する中間支援組織として活動しています。私たち自身が母子ハウスを直接運営しているわけではなく、現場で活動されている方々を後方から支える団体という位置づけです。</p><p>活動の大きな柱は3つあります。1つ目は、母子ハウスの運営者の支援。全国に25ある加盟団体のとりまとめやサポートを行っています。</p><p>2つ目は、母子ハウスの存在を世の中に広めること。まずは住まい探しに困っている母子家庭の方々に、必要な情報を適切に届けることを目指しています。また、行政や政治家の方々に、母子家庭の居住支援が必要であることを理解していただくための働きかけも大切な活動の1つです。</p><p>3つ目は、この取り組みに関わるプレーヤーを増やしていくことです。具体的な取り組みとして最も多くの方の目に触れているのが、母子家庭向けの不動産サイト<a href="https://motherport.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「マザーポート」（外部リンク）</a>で、このサイトは母子ハウスへ入居を希望される方と全国の運営者をつなぐ役割を担っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00006.jpg">全国ひとり親居住支援機構が運営するサイト「マザーポート」のトップページ。画像提供：NPO法人全国ひとり親居住支援機構<p>――建築家として働かれる中で、ひとり親の居住支援に関わろうと思ったきっかけを教えてください。</p><p>秋山：社会に出てからずっと建築家としての社会貢献を考えてきました。東日本大震災では、ボランティアで現地に赴きましたが、建築家としてできることがすごく少なく、無力感を味わいました。また、当時の建築家たちが、これからのまちづくりなどについて多くの提言をしたにもかかわらず、社会に認識されていないのを実感して、「課題に対して、いますぐできることを始めなければ」と考えるようになりました。</p><p>そのころ、関心を持っていたのが「子育てと仕事の両立」です。住まいのあり方次第で、子どもを持つ方々の負担を軽くできるのではないかと考え、母子家庭の貧困問題を知り、現在の活動へとつながっていきました。</p><p>――そうして、シングルマザー専用シェアハウスの立ち上げにつながったんですね。</p><p>秋山：はい。2012年に日本で初めてシングルマザー専用のシェアハウス「ペアレンティングホーム高津」ができたのですが、その立ち上げに携わりました。</p><p>実際にシェアハウスを立ち上げると、より具体的にひとり親世帯の深刻な現実が見えてきました。「母子家庭である」という理由だけで住まいを借りることが難しく、劣悪な住環境に住まざるを得ないケースも多々あるんです。</p><p>また、人は清潔で安全な環境でないと、前向きにはなれません。建築家として、そして子どもたちの成長環境を思う立場として、「住まいから支える必要がある」と、さらに強く感じるようになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00001.jpg"><p>――なぜ母子家庭の方は住居の確保が難しいのでしょうか。</p><p>秋山：日本の現状では、住宅契約の名義人が夫で、離婚後は妻が子どもを連れて家を出るというケースが多いからです。また、その際妻は妊娠、出産などのために仕事を辞めているケースも多く、入居における審査が通らないということも少なくありません。</p><p>住まいが見つからないと保育園に入れられない、保育園に入れられないと仕事が見つからない、仕事が見つからないと入居審査に通らないという、負のサイクルになってしまうんです。この悪循環を断ち切るには、まず住まいを確保することが必要不可欠です。住所が決まらなければ、手続きを行う行政窓口すら定まりませんから。全てのスタート地点が住まいなんです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1cf1b8a28dd8f476a42a6b436b1be817" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心できる住まいを軸に、働く力と心も支える取り組み</h2><p>――母子ハウスの特徴を教えてください。</p><p>秋山：運営者によって細かい点は異なりますが、個人の部屋と共有スペースがある一軒家が多く、入居者の方同士がコミュニケーションを取りながら生活をしています。</p><p>基本的には「家賃をいただいて成り立つ民間事業」ですので、仕組みとしては一般の不動産と同じで、所有または借り上げた物件に入居していただき、家賃をお支払いしていただく形になります。ただし、多くの運営者が「母親と子どもを支えたい」という福祉的な気持ちを持っているため、一般的な相場より安い価格で入居が可能です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00005.jpg">実際の母子ハウスで暮らしの模様。画像提供：NPO法人全国ひとり親居住支援機<p>――母子ハウスには、どのようなきっかけで入居希望者が集まってくるのでしょうか。</p><p>秋山：さまざまなルートがありますが、最近は「マザーポート」を見て問い合わせてくださる方が増えています。気になる物件を見つけて問い合わせると、当団体と運営者の双方にメールが届く仕組みになっており、年間500件弱の問い合わせをいただいております。</p><p>入居者に共通して確認するのは「働いて自立していきたい」という意思があるかということです。受け入れ方針はそれぞれ異なりますが、多くの運営者は自立を応援したいという思いを持って運営されています。</p><p>――自治体との連携についても教えてください。</p><p>秋山：東京都豊島区と連携した「豊島区モデル」というプロジェクトを2023年から進めています。豊島区にはもともと空き家とその活用事業者をマッチングする制度がありましたが、十分に活用しきれていませんでした。2023年から区の方針で制度の強化が行われ、その中で私どものNPOとつながり、この分野での協働が実現しました。</p><p>区内に空き家を持つオーナーから相談を受けた区の職員が、その内容を踏まえた上で私たちNPOにつないでくれます。</p><p>私たちが直接オーナーに「空き家を貸してほしい」と訪ねても、多くの場合は相手にしてもらえません。しかし、このプロジェクトでは行政の担当者が丁寧に趣旨を説明し、橋渡しをしてくれます。オーナーが貸す前提で我々とコンタクトをとってもらえるのは本当にありがたいです。</p><p>――ほかにも行っている取り組みがあれば教えてください。</p><p>秋山：「SWIP（スウィップ）」という、女性の自立を支援するプログラムを2023年度に立ち上げました。住まいの確保と同時に、自立に向けた相談支援やキャリア支援も行う「住まいと心と就労」の伴走支援です。入居者に対して、家賃補助に加え、家計相談、キャリア相談、コーチによる伴走などをオンラインで提供しています。</p><p>これまでに58世帯に提供しており、6カ月間でほとんどの方が収入の増加を実現しました。また、キャリアコンサルトとつながることで新たな自分の可能性に気づくことができたという方、またSWIPに参加された方は、日本全体の女性の平均値と比べて、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の指標が高い傾向があるのですが、6カ月のプログラムを通じてその数値が改善したという方がいらっしゃるなど、想定以上に良い成果が出ています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00008.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a907d06ef2a02589e4d19e268eb84df9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">住まい支援の価値を、確かな根拠として提示する</h2><p>――母子ハウスにまつわる、現状の課題があれば教えてください。</p><p>秋山：母子ハウスの運営には、暮らしに寄り添う人的支援が欠かせません。精神的につらいときはそれに適した施設につないだり、行政手続きに同行したりするといったサポートは日常的に必要ですが、現状は無償で担われています。本来は福祉的な役割であり、人件費に対する公的な手当てが必要だと思います。</p><p>住宅に関するセーフティネットを提供するため、住宅保証や家賃補助を行う「住宅セーフティネット法」という制度はあるものの、全国約1,700自治体の中で、活用されているのはわずか40程度しかありません。自治体が課題や制度を認識し、予算化しない限り使えない仕組みとなっているのが現状です。</p><p>自治体からすると「費用対効果が見えにくい」というのが、制度が使われない理由の1つでしょう。一方でSWIPでのデータを見ると、収入の増加や正社員登用など、自立につながる効果が確実に出ていて、長期的には社会保険料や税収の増加によって、2年以内にコストが回収できる見込みも示されています。住まい支援は「見えづらいが確実に効果のある社会投資」だと知ってもらうことが今の課題です。</p><p>――課題を解決するためには、どのような取り組みが必要でしょうか？</p><p>秋山：まずはこの課題で起きている社会的影響力を可視化することです。「豊島区モデル」はデータ収集も目的の1つで、居住者の自立や生活安定、経済的な運営リスクなどを数値化して収集しているところです。SWIPは2026年の2月で事業が終了するため、年度内に報告書をまとめ、その後は政府や自治体への提言を本格的に行っていきます。</p><p>自治体や議員の方々に響くのは、数字に加え「人の変化」が伝わるストーリーです。例えば、「収入が上がった」という数字だけでなく、「その結果、子どもの習い事を続けられるようになった」「子どもが胸を張って友だちと遊べるようになった」など、生活の変化が見えると政策として取り組む意義がより伝わると思います。</p><p>今後は、こうした具体的な変化を丁寧に集め、確かな根拠として行政に示していきたいと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00002.jpg">母子ハウスで培ったノウハウを全国に伝えていきたいと話す秋山さん<h2 id="tnf-text-heading-block_14ec44af0dff5965b48c9bf751d077ab" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して暮らせるひとり親世帯を増やすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、秋山さんに安心して暮らせるひとり親世帯を増やすために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6f85d0ee6904a107aeba7115ae6ce11f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域の母子ハウスにボランティアとして関わる</h2><p>多くの母子ハウスではボランティアの受け入れ体制があるといわれている。最も多いのは夕食づくりの手伝いで、仕事と子育てを両立しているシングルマザーにとって、帰宅後に料理をするのは大きな負担となるため、非常に喜ばれるそう</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9e4f5b452207d19f4fe5baaf140734a1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］母子ハウスの存在を周囲の人に広める</h2><p>まだまだ母子ハウスの認知度は低く、その存在を知らないために支援を受けられずにいる人も少なくない。困難な状況に陥ったとき、「母子ハウスという言葉を聞いたことがある」という記憶が頭の片隅にあるだけでも、いざというときの大きな拠りどころとなる。そのため、母子ハウスをできるだけ周りの人に伝えることが大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>ひとり親世帯の貧困率に関する統計を目にし、その背景にある「住まいの困難」について深く知りたいと考えていた時に、秋山さんの活動を知りました。</p><p>秋山さんの思いから始まった支援が、地域へ根を張り、そして全国へと枝を広げようとしています。そこには、秋山さんはじめ、運営者や自治体の方など多くの方の「社会をよくしていきたい」という想いが込められていることを感じました。</p><p>データはもちろん、数字だけでは語り切れない変化を、どう記録し、どう未来へ渡していくのか。今後の秋山さんの活動や、その結果自治体がどのように動いていくかも気になります。</p><p>現場で起きている変化を記録し、社会へ届けることの大切さを、取材を通して改めて感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>10人に1人が経験する「産後うつ」。妊産婦を支えるために必要な支援とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118149/childcare</link>
      <pubDate>Fri, 12 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「産後うつ（※1）」になる人は約10人に1人、なかには妊娠中や産後に自殺に至る人もいる</li><li>妊産婦（※2）への支援や産後ケアが推進される一方で、妊娠から産後まで切れ目のない支援体制は不十分</li><li>妊産婦を支え、心の不調を防ぐためには、支援の拡充と社会全体の意識のアップデートが必要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><div id="tnf-text-notes-block_97a8ac957e90bcd31a6aaa28f8ea2bdd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「産後うつ」とは、およそ10パーセントの罹患率があり、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3カ月以内に発症することが多い※2. 「妊産婦」とは、妊娠から出産、そして産後6～8週間の産褥期（さんじょくき）と呼ばれる期間が終わるまでの女性を指す。妊婦、産婦、産褥婦を総称して妊産婦と呼ぶ</div><p>「妊娠中または産後1年以内の妊産婦の死因は、自殺が最も多い」。2023年に日本産婦人科医会が行った調査（※）によって、衝撃的ともいえる事実が明らかになりました。産後は、10人に1人が「産後うつ」と呼ばれる心の不調を経験し、なかには「産後うつ」が原因で子どもへの虐待、育児放棄につながってしまうケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_348e600625b853c001fbc9cf0add1c7e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：日本産婦人科医会医療安全部/母子保健部 関沢明彦「自殺による妊産婦死亡について」</div><p>こうした状況を受け、大阪府では妊産婦のサポート体制を充実するべく、<a href="https://www.ninsanpu-cocoro.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">大阪府妊産婦こころの相談センター（外部リンク）</a>を設置。妊産婦やその家族の電話相談に応じるほか、保健所や自治体、医療機関、助産師と連携して妊産婦のケアに対応しています。</p><p>妊産婦のメンタルヘルスの実情や背景、妊産婦を支えるために必要な社会づくり、同センターの活動内容について、大阪府立病院機構大阪母子医療センターの皆さんに、お話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_b2c72229c6bcd1821953634f3c604397" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊娠期、産後は、ホルモン変動と環境変化で心が不安定になる</h2><p>――近年「産後うつ」という言葉をよく聞きますが、どんな病気ですか。</p><p>光田さん・病院長（以下、敬称/役職略）：「うつ」という言葉は、状態として一時的に生じる「うつ状態」と、病気として診断される「うつ病」があり、これらは明確に区別されます。一般的に「産後うつ」とは、妊娠出産をきっかけに表れる「うつ状態」やメンタル不調も含めて抑うつ症状を伴う広範囲な状態を指す場合が多いです。</p><p>症状が長く継続し、「うつ病」をはじめとする精神疾患と診断される初期の場合や、一時的な不調の場合も含みます。具体的な症状としては、意欲の減退、不眠や食欲の低下、それらに伴う育児の困難などが挙げられます。</p><p>――「産後うつ」に至るメカニズムを教えてください。</p><p>光田：妊娠出産に伴う急激なホルモンの変動により、気分が不安定になることが大きな原因の1つです。また、妊娠中や産後の環境変化とも深く関わっています。</p><p>和田さん（産婦人科外来師長。以下、敬称/役職略）：妊娠、出産、育児は「幸せ」だけでは片付けられないほど大変です。妊産婦さんは体に重い負荷がかかって思うように動けませんし、出産後は24時間365日赤ちゃんのお世話をして、自分のことは後回しになってしまいます。それまでの夫婦の自由な生活とは全く異なります。</p><p>妊娠前は健康で元気な人でも、妊娠出産を機に「産後うつ」や、その手前のメンタル不調の状態になることはよくあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00001.jpg">子どものいる母親の8割弱が「とてもつらかった」「少しつらい時期があった」と回答。データ出典：株式会社キッズライン「2024年産後のメンタルヘルスに関するアンケート」<p>――近年はインターネットやSNSの発達で、情報に振り回される人が増えていると聞きます。そうした状況もメンタルヘルスに影響するのでしょうか。</p><p>和田：可能性はありますね。私たちの病院に来る妊産婦さんの中にも、専門家よりもインターネットの情報に頼る人が急速に増えています。SNSで見るキラキラした子育てを「普通」だと思い込み、そうではない自分にどんどん落ち込んでいく人もいます。</p><p>平山さん（子どものこころの診療科副部長。以下、敬称/役職略）：ネットの情報は必ずしも全てが正しいわけではないですし、子育ては家庭や子どもによってそれぞれです。</p><p>それにもかかわらず、「子育てには正解があって、それを知るために情報収集しなければいけない」と思い込む人が増えている印象です。少子化や核家族化によって、身近なモデルケースが減っていることも関係しているのではないでしょうか。</p><p>――「産後うつ」から自殺につながるケースもあるそうですが、どんなことがリスクを高めているのでしょうか。</p><p>平山：多くの研究で「精神疾患の既往歴がある」「妊産婦の年齢が若年もしくは高齢」「子育てのサポートが得られない」「望まない妊娠」「子どもに病気や障害がある」などの要因が指摘されています。</p><p>「産後うつや妊産婦の自殺に関連性があると思われること」とは想定されていますが、実際自殺に至る根本的な要因は一人一人異なり、なかなか減らすことができずに苦労しているのが現状です。</p><p>ほかの精神疾患と同様に、「これがこうなると発症する」「こういう状況にあると自殺につながる」といった直接的な要因を特定するのは難しいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00003.jpg"><p>――「産後うつ」のリスクを把握するために、病院ではどのような取り組みを実施していますか。</p><p>和田：私たちの病院に来た妊産婦さんには全員に助産師との保健相談の時間を設けています。妊娠中からのちょっとした不安や家族を含めての心配ごとを話してもらう中で、その不安を解消する手立てはないか、また産後に不安が大きくならないように、地域の担当保健師につなぐなど、早めの支援を心がけています。そして出産後は「エジンバラ産後うつ病質問票（※）」という産後の気分の落ち込みを測る質問票に回答してもらっています。</p><p>産後の「うつ病」のリスクが高い人の特徴を調べたところ、精神科や心療内科の受診歴以外に目立った特徴はありませんでした。</p><p>一方で、元々はリスクが高かったものの、リスクが下がった人は、「助産師や保健師との関わりが多い」という明確な傾向が確認できました。仮説ではありますが、相談相手がいることは自殺のリスクを低下させる一助になり得るのではないかと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_21c2ba79bc36e2e58d146cd6e498bbcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エジンバラ産後うつ病質問票」とは、産後うつ病のスクリーニング（選別試験、ふるい分け試験）を目的に作られた10項目の質問票。支援者が母親とコミュニケーションをとり、傾聴と共感という基本的なメンタルケアを行うためのツールとしても用いられている</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00006.jpg">質問票の冒頭には「ご出産から今までのあいだにどのようにお感じになったかをお知らせください。今日だけでなく、 過去７日間にあなたが感じたことに最も近い答えに○をつけてください」と記載。参考：<a href="https://mcmc.jaog.or.jp/pages/epds" target="_blank" rel="noreferrer noopener">MCMC 母と子のメンタルヘルスケア:EPDS多言語版ダウンロードページ（外部リンク）</a><p>――妊産婦の自殺はどのくらい起こっているのでしょうか。</p><p>光田：調査によって細かい数字は異なりますが、一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターの調査によると、2022年から2024年の3年間で162人とするデータがあります。</p><p>この数は、女性全体の自殺率と比べて抜きんでているとはいえません。しかし、妊産婦の死因の1位が自殺であること、さらに統計上カウントされていない人もいると推測されていることなどを踏まえると、決して軽視できない事態です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2000996573d145aca50c500f2956c417" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">悩みを抱える妊産婦に寄り添う「妊産婦こころの相談センター」</h2><p>――大阪府妊産婦こころの相談センターは、どんな機関か教えてください。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>和田： 1つは、電話で妊産婦ご本人やご家族、パートナーからの相談を受ける役割を担っています。もう1つは、保健所や子ども家庭センター（※）、医療機関、自治体などの関係機関のワンストップ窓口として支援を行うと共に、関係機関からの相談に助言しています</p><p>光田：母子手帳を交付する際に案内チラシを配布し、府内の全ての妊産婦さんに当センターの存在を知ってもらうことを目指しています。相談員が話を聞く中で専門的なケアが必要と判断した場合は、精神科、心療内科などの医療機関を紹介することもできます。</p><div id="tnf-text-notes-block_5fd0d94bcef4be206aa5c08c0fee853f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「子ども家庭センター」は、市区町村の母子保健機能と児童福祉機能が一体的に妊産婦や子育て家庭への相談支援を行い、早期から切れ目ない包括的で継続的な支援を実施することを目的としている</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00007-724x1024.jpg">母子手帳を交付する際に妊産婦の方に配布しているチラシ。画像提供：大阪府立病院機構大阪母子医療センター</div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00009.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f3c82e556bfd0700b8ce800fac0c6179" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「妊産婦こころの相談センター」に寄せられる声</h2><p>――センターにはどんな相談が寄せられますか。</p><p>和田：匿名で電話をかけられるので、周囲に言いづらいことを正直に話してくれる人が多い印象です。よくあるのは、夫婦関係の悩みですね。</p><p>「働きながら子育てをしているのに、夫が協力的でない」という不満は頻繁に聞きます。ただ、じっくり話を聞いてみると、どちらか一方だけが悪いわけではなく、両者共に余裕がないのだろうと感じます。</p><p>――出産前の夫婦生活は順調に送れていたとしても、子育てが始まると関係がギクシャクする夫婦もいるんですね。</p><p>和田：慣れない子育てでお互いにストレスが溜まり、不満のぶつけ合いになってしまうんですよね。ここ数年で、男性育休の取得率が飛躍的に上昇しました。それ自体はよい変化ですが、夫婦が四六時中一緒に過ごすようになり、かえってストレスを溜める人が増えている印象もあります。</p><p>子育て環境も夫婦のあり方も激変している近年は、その変化に適応できない人も多いのかもしれません。</p><p>嶋田さん（母性内科副部長。以下、敬称/役職略）：一見悩みのなさそうな人、SNSで順風満帆な生活を発信している人でも、実際にはかなり追い詰められている場合もあるかもしれません。</p><p>「こうあるべき」という基準がインターネットを通して可視化されることで、親しい人にすら、ありのままの姿を見せられない人が増えているのではないかと思います。</p><p>また、特に妊娠後に初めてメンタル不調となった場合、相談や受診のハードルが高くなりやすく、「どこに相談したらいいんだろう」「こんなことで相談してもいいのかな」と悩みがちです。そんなときに悩みを話せたり、専門的なケアにつながれる場所は大切だと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_70e4c34e4142d6f62084a6b68f2cfb95" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊娠から産後まで、切れ目のない支援を提供できる仕組みづくり</h2><p>――「産後うつ」になる妊産婦を減らすには、どんな施策が必要ですか。</p><p>光田：妊娠、出産、子育てという大きなライフイベントは、妊産婦だけでどうにかできるものではありません。現代では、地域のつながりの希薄化や核家族化によって、親子を支えるセーフティーネットも失われつつあり、子育ての難易度が上がっています。</p><p>今後は、欧米では一般的である、妊娠中から出産前後の女性に寄り添い、家事や育児を手伝う「ドゥーラ」のような、妊産婦への伴走支援を行う職種や仕組みが求められていると思います。</p><p>こども家庭庁でも「医療・保健・福祉の切れ目ない連携」を推奨しているように、こうした支援の重要性は以前から指摘されています。それにもかかわらず、現場では支援が縦割りのままで、各機関の連携がうまく機能せず、初動が遅れがちです。それぞれの現場の人々はとても頑張っているので、仕組みを改善してほしいですね。</p><p>また、妊娠中から妊産婦さんを診る産婦人科と、赤ちゃんを診る小児科が連携を取りやすくなる仕組みも必要だと感じています。妊産婦さんの子育て状況を、赤ちゃんのかかりつけ医と共有することができれば、虐待や育児放棄などを減らせる可能性がありますからね。</p><p>――現状では、どんな職種や機関の人が妊産婦のケアにあたっているのでしょうか。</p><p>光田：「社会的ハイリスク妊産婦（※）」の方や、子育て困難の妊産婦さんの話を聞いてケアする役割は、産婦人科の医師やスタッフが担うことが多いです。</p><p>ただ、病院本来の医療的な機能とは重ならないところもあるため、半ばボランティアのようになっており、現場の運営に無理が生じているのが実情です。</p><div id="tnf-text-notes-block_20c253a3e82f44b5bfdbbeb869126522" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「社会的ハイリスク妊産婦」とは、さまざまな要因により、今後の子育てが困難であろうと思われる妊娠をした妊産婦のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_89cb3ffea68eb3e1d55d393692ae1ee3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子育て家庭を支えることは、社会の未来を育てること</h2><p>――国が推進している「産後ケア事業（※）」の普及状況はいかがでしょうか。</p><p>和田：普及しつつあり、とても良い流れだと感じています。ただ、社会全体の認識として「妊産婦には特別なケアが必要で、みんなでそれを支えていくべきだ」という考えがもっと当たり前になってほしいです。</p><p>近年は「子どもを持つ、持たない」という立場の違いで分断が起こりがちですが、未来を担う子どもやその子たちを育てる妊産婦への支援は、社会的な意義がとても大きいはずです。</p><div id="tnf-text-notes-block_0014f409ac391d409d06c2dd37adcc01" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「産後ケア事業」とは、市町村が、出産後１年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う事業のこと</div><p>――SNS上では「子持ち様論争」と呼ばれる、子どもがいることを理由に配慮を求める親を揶揄する動きも目立っていますね。</p><p>和田：「なぜ子持ちばかりが優遇されるのか」「子どもの看病で欠勤した人の仕事が、子どものいない自分に回ってくる」といった不満の声が頻繁に聞かれるようになりました。</p><p>しかし、これも「子どもがいる人が悪い」という話ではなく、仕組みの問題です。みんな必死で日々を過ごしているので、個人の親切心に頼るのは無理があります。こうした不満が出ないよう、職場であれば、フォローした人に手当を支給するといった、子育て家庭を助ける周りの人を支援する仕組みが社会全体に求められていると思います。</p><p>「子どもを産んだのは自己責任」「人に迷惑をかけるうるさい子連れは嫌だ」といった風潮が広がっていますが、子育てしにくい社会では子どもの数がますます減ってしまいます。今の時代に合った方法で「社会で子どもを育てる」という空気をつくっていく必要があるのではないでしょうか。</p><p>――そのために、私たち一人一人ができることを教えてください。</p><p>光田：まずは、妊産婦に適切なケアを提供し、子育て家庭が健やかでいられる環境を整えることの社会的なメリットをもっと知ってほしいです。</p><p>妊産婦が子育て困難になり、虐待や育児放棄をしてしまうと、子どもの将来的な精神不調や疾患のリスクが高まります。社会全体の発展や幸福度アップを考えるならば、やはり心身共に健康に生きられる人が増えるに越したことはないですよね。</p><p>妊産婦や子どもへの支援は、将来の社会を担う子どもたちが健やかに育ち、やがて自立して社会に貢献できるようにするための、社会に行う｢先行投資｣という見方もできるかもしれません。</p><p>「子どもがいる、いない」にかかわらず、みんなで協力し、子どもたちが幸せに生きられる社会をつくれば、みんなの人生がより豊かになると思います。そうした視点を持つ人がどんどん増えていってほしいですね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5e96e9188e7df793646809a19827cba1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊産婦の方を支えるために私たち一人一人にできること</h2><p>妊産婦の方が暮らしやすい社会をつくるために、社会全体や周囲の人たちに私たち一人一人ができることを大阪府立病院機構大阪母子医療センターの皆さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_18edc7598c72e65486ee76379ac8f2ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 困っている妊産婦に気を配り、サポートする</h2><p>妊産婦の力になりたいと感じたら、勇気を出して行動する。席を譲る、電車やバスの乗り降りでベビーカーを持つのを手伝うなど、些細な行動に救われる人は多い。また、無理のない範囲で育児を助け、相手のありのままの姿を受け入れる姿勢も支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_054e4d5ddefcfed4f310d94eadd11c3e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］相談できる専門家がいることを知らせる</h2><p>周囲の人や家族が妊産婦になり、困り事に直面していたら、気軽に専門家に相談することを勧め、自治体のワンストップ窓口や妊産婦向けの相談センターなど、頼れる場所があることを知らせる。相性の合わない相談相手に出会うこともあるが、「誰も助けてくれないと諦めず、別の相談先を探してみることも大切」ということも伝えるようにする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_69814bf8b570054d0a4c0efea17c4e0d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］母親だけに育児の責任を負わせない</h2><p>子育ての責任は母親だけが背負うべきものではない。「家族、地域、社会がみんなで子育てをする」という意識を持ち、積極的に子育てに関わる。身近に子どもがいない場合でも、子どもや子連れの方に、温かいまなざしを持つ人が増えるだけで社会は変わっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「産後うつ」を経験する女性が多いことを知り、具体的な支援策を知りたいと思い、今回の取材に至りました。</p><p>取材を通じて感じたのは、妊産婦を取り巻く環境の複雑さと、周囲の一人一人の小さな関わりがとても大切だということ。そして、支援の現場では、相談に来る人も、支援する側もそれぞれの事情を抱えており、現状の制度だけでは解決できない課題も見えてきました。</p><p>妊産婦への支援の拡充、そして「子育てしやすい社会をみんなでつくろう」という意識の浸透によって、健やかな状態で子育てできる環境が広がっていくような支援をしていきたいと思います。</p>    ]]>
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      <title>誰もが学びを諦めない社会へ。聴覚障害者の教育格差を変える留学支援</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117978/disability</link>
      <pubDate>Thu, 04 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>奨学金で聴覚障害者の留学を支援し、学びの可能性を広げる活動がある</li><li>「前例がない」といった理由で聴覚障害者の受け入れを拒否する教育機関も残っている</li><li>障害の有無にかかわらず、未来の可能性を閉ざさない情報提供や教育機会が必要</li></ul><p></p><p>将来の夢を叶えるため、あるいは自身の興味関心を探求するため、学生のうちに「留学をしてみたい」と考える若者は多くいます。しかし、それを実現するためには高いハードルを越えなければいけない人たちがいます。障害と共に生きる若者たちです。</p><p>例えば、聴覚障害のある学生は、学習の場で手話通訳や字幕などの「情報保障（※）」を求めなければいけません。手話や文字で情報が提供されなければ、他の学生と同じように学びを得ることが困難だからです。</p><div id="tnf-text-notes-block_4511dedb32f812a47d2db94f7e409f98" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「情報保障」とは、音声による情報やコミュニケーションを、聴覚障害者が理解できる形に変換して提供すること</div><p>そんな聴覚障害のある若者を取り巻く国内の進学環境には、多くの壁が残っており、聴覚障害者の受験を可能と明示する大学は45パーセント（※）にとどまります。また、受験可否を明らかにしない大学も多く見られ、学びたい分野があっても、キャリア形成に向かう前の段階から、ハードルに直面しているのが現実です。</p><div id="tnf-text-notes-block_0275948c406045f52482ecce04e4b9fd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：一般社団法人全国障害学生支援センター「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2024」</div><p>一方で、大学に進学する障害のある学生は、一般高校卒業生の進学率と比べて低いものの、増加傾向にあります。その中には、海外留学を視野に入れる学生もいるでしょう。</p><p>しかし、国内ですら十分な進学先が整っていない中で、海外留学をどう実現すればいいのか悩む学生も少なくありません。こうした聴覚障害者の留学を、奨学金制度を通じて支援しているのが<a href="https://www.npojass.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人日本ASL協会（外部リンク）</a>です。</p><p>本記事では、同協会で「聴覚障害者海外奨学金事業」を担当する、ろう者（※）の秋山なみ（あきやま・なみ）さん、きこえる人の根本和江（ねもと・かずえ）さんにお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_9cf9e4dd8b869df7a44cba2bc9cabff9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ろう者」とは、きこえない・きこえにくい人で、日本手話言語で話す人のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_431d80ad90af00f30208995b13df0150" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「前例がないから」と受け入れを断られてしまう現実</h2><p>――日本の教育機関において、聴覚障害のある学生が直面している課題を教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：やはり、聴覚障害者の受け入れ体制がいまだに整っていないことです。大学に限らず、高校を受験することさえ断られてしまうケースもあります。</p><p>理由の多くは、「聴覚障害者を受け入れた前例がないから」というもの。前例がないから、「情報保障」をはじめとする聴覚障害者の学習を支えるシステムが整っておらず、結局「うちよりも大きな学校に相談してください」と避けられてしまうのです。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00002.jpg"></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00003.jpg">情報保障の手段「連係入力によるパソコンノートテイク」。授業中の音情報を複数人が協力して入力し、表示用パソコンに映し出す方法。インターネットを介し、離れた席や別の場所からでも入力できる方法もあり、主流になりつつある。画像提供：<a href="https://www.pepnet-j.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク（外部リンク）</a></div><p>――2021年に「障害者差別解消法（※1）」が改正され、事業者（※2）による合理的配慮の提供が義務化されましたが、いまだに聴覚障害者の受け入れを断る学校があるのですね。</p><p>秋山：残念ながら、それが実情です。背景としては、「義務化」はされたものの「罰則」が設けられていないことも影響しているのではないかと思います。</p><p>受け入れの姿勢は国によって大きく異なります。例えばアメリカでは、過去に「音楽の先生になりたい」という夢を持つ聴覚障害者の女性が大学に入学を断られたことがありました。「あなたは耳が聞こえないのだから、音楽の先生なんて無理でしょう」と言われたそうです。その女性は裁判を起こし、勝訴。大学側から多額の賠償金が支払われることになりました。</p><p>アメリカでは個人の人権が重視されているため、事業者側もそれを意識せざるを得ません。一方日本では、まだ権利保障が軽んじられている場合があるといえるでしょう。</p><div id="tnf-text-notes-block_703259ad2185115e07aa432be9736b7e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「障害者差別解消法」とは、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的に、2013年6月に制定された法律※2.障害者差別解消法における「事業者」とは、商業その他の事業を行う企業や団体、店舗であり、目的の営利・ 非営利、個人・法人の別を問わず、同じサービス等を反復継続する意思をもって行う者 </div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00001.jpg"><p>秋山：だからこそ、留学を経験した聴覚障害者たちは、権利に対する意識が様変わりするようです。</p><p>留学前までは、「こんなことを求めたらわがままなんじゃないか」と悩んでいた人も、帰国すると「自分の権利を求めるのは正当なことなんだ」と気がつきます。そうやって気づいた人たちが社会に働きかけていくことで、日本全体がより良い方向へと変わっていくかもしれない。</p><p>私たちは「聴覚障害者海外奨学金事業」を通して、そんなことも期待しているんです。</p><p>――当事者が自分の権利を遠慮してしまうのは、社会のどんな状況が影響しているのでしょうか。</p><p>根本さん（以下、敬称略）：大きな要因の1つは、障害者に関する情報が社会全体に十分浸透していないことだと思います。</p><p>少し前までは、教育現場でも障害者について学ぶ機会がほとんどありませんでした。そのため、社会の中で当事者と出会ったとき、どう接すればよいのか分からず、距離を取ってしまう人が多かったんです。</p><p>周囲の理解が乏しい環境にいると、「こんなことを求めたら迷惑だと思われるんじゃないか」と、当事者が助けを求めたり、権利を主張したりすることをためらってしまうんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00006.jpg">聴覚障害者は身近な存在だと話す根本さん<h2 id="tnf-text-heading-block_534d996014f3851ad83db50dbd4991e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いまだに壁が残る、聴覚障害者の進学・留学・雇用の課題</h2><p>――日本ASL協会が実施している「聴覚障害者海外奨学金事業」について教えてください。</p><p>秋山：2004年から日本財団の助成を受けて、ろう者・難聴者の海外留学を支援しています。対象は、日本やアジアのろう者コミュニティーをけん引していくことを目指す方。給付制の奨学金を通じて学費や生活面のサポートを行うほか、聴覚障害者の受け入れ体制が整った海外の教育機関との橋渡しもしています。</p><p>――同事業の目的や大切にしている考え方を教えてください。</p><p>秋山：そもそも日本では、長きにわたって、きこえる人と聴覚障害者の間に教育格差がありました。私と同世代のろう者の中には、ろう学校でも口話中心の授業だった影響で、英語の授業を十分に理解できず、文法の細かな仕組みが苦手な人たちがいます。</p><p>手話などの視覚的な学習方法が十分に保障されていなかった時代だったことが背景にあります。すると、必然的に進学先や就職先にも差が生まれ、ましてや留学なんて考えられない状態でした。</p><p>こうした教育格差を解消するために必要なのは、聴覚障害の当事者自身がアメリカ手話言語をはじめとする外国語を学んだり、海外留学を経験したりして、そこで学んだ知識や経験を日本の社会に還元していくことです。</p><p>本事業では、この考え方を大切にしているので、事業を通して留学した皆さんには日本の聴覚障害者のコミュニティーを盛り上げていってほしいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00004.jpg"><p>根本：そして、この事業は若者だけを対象としているわけではなく、中には40代以上の応募者もいます。皆さん、「学生時代に思う存分勉強できなかったからこそ、大人になって社会に出た今、もう一度勉強し直したい。海外留学で学びを深めたい」と考えているようですね。</p><p>――留学先で得たものを日本の当事者コミュニティーに還元することで、日本の聴覚障害者の環境も前進していくように感じます。</p><p>秋山：そうですね。ただ、留学で学んだことを日本で活かしたいと思っても、帰国後の受け皿が十分に整っていないという課題があります。</p><p>例えば、帰国後に海外で学んだ分野を日本の大学院で深めようとしても、留学先で受けられた情報保障の水準が確保されていないことがあります。また、留学経験を活かして就職しようとしても、聴覚障害者にはまだ門戸が開かれていない、という現実が往々にしてあります。</p><p>その結果、「せっかく留学したのに、この経験を活かせないなんて」と壁にぶつかってしまうことがあります。これまで支援してきた方々を見ると、自分のやりたい分野で活躍できるようになるには、かなり時間を要するようです。</p><p>留学で得た学びを日本で活かそうと、環境づくりや下積みを続けていく中で、10年ほど経ってようやく力を発揮できるようになる方もいます。その過程で自分の居場所を新しく見つける人や、海外でさらなるキャリアを広げる人もいます。</p><p>――障害に対する教育問題は「雇用機会の平等」という課題にもつながってくるんですね。</p><p>秋山：過去に支援した方の中には、ろう英語教育の改善を志した方もいました。しかし、聴覚障害のある方がろう学校で正規採用されるには、採用試験の段階からさまざまな困難が伴うのが現実です。</p><p>だから、留学支援をすると同時に、聴覚障害者の雇用についても考えていかなければいけないと常に感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_166a53fd299651be1831aebb2225edcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「聞こえないから無理」を突破していくために必要なこととは？</h2><p>――そうした当事者が自分の権利を遠慮してしまう環境を変えていくためには、教育の役割も大きいのでしょうか。</p><p>根本：現在、「インクルーシブ教育（※）」が進んでいるカナダに留学している学生がいるのですが、大学の中で耳が聞こえないのは彼一人らしいんです。</p><p>でも、周りの学生たちは自然と筆談したり、彼が授業に取り残されていそうだったらメモを渡してくれたりするそうです。日本だったら、当事者が自ら「何を話しているのか筆談で教えてくれませんか？」とお願いをしなければいけない場合が多いですよね。</p><p>カナダではその必要がない。それは、違いのある人が身近にいるのは当たり前という経験を幼い頃から積み重ねてきたからだと思います。だから、周りの学生たちも特別なことではなく、ごく自然な行動として対応できる。彼自身も、こうした環境を日本に広めたいと話していました。</p><div id="tnf-text-notes-block_1008e16d211150947200b27bd32cc554" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「インクルーシブ教育」とは、障害のある子もない子も同じ場で学び、個々に必要な配慮を受けながら学ぶ権利を保障する教育の仕組みのこと。障害を理由に通常の教育から排除されず、身近な地域で学べることを目指す考え方</div><p>――2026年2月には「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の記念式典が開催されるそうですね。</p><p>根本：2026年2月15日に日本財団ビルで記念式典を行います。式典では、留学事業の振り返りや、これまでに支援した奨学生一人ひとりの留学での学びをまとめたポスター発表、交流、留学に興味がある方々が留学について学べるような企画も考えています。</p><p>また、記念誌の発行も予定しており、奨学生が、さまざまなテーマで座談会を行い、それらをまとめて掲載して発行する予定です。</p><p>秋山：これまでの歩みを発表することで、日本の環境も少しずつ変わってきていることを示したいですね。そして、留学したいと思ってくれる子どもたちが増えてくれたらいいなと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00010.jpg">「聴覚障害者海外奨学金事業20周年記念式典」（左）と「聴覚障害者海外奨学金事業」のチラシ<p>――留学はもちろんですし、国内の進学状況も改善されていくことを願います。そのためにも、私たち一人一人にできることはありますか。</p><p>秋山：私が高校生の頃、同級生のお母さんがとても聡明な方で、「耳が聞こえなくたって留学する人がいるんだよ」と教えてくれたことがあったんです。</p><p>その時に見せてくれたのが、実際に留学している聴覚障害者の新聞記事でした。それを読んで、衝撃を受けました。それまで、「あなたは聞こえないんだから無理」と言われることばかりだったので、世界が開けていくようでした。</p><p>だから、もしも身近に聴覚障害のある子どもがいたとしたら、その子にさまざまな可能性があることを教えてあげてほしいです。直接伝えることができなかったとしても、そういう情報を周囲の人にシェアしていくだけでもいいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00005.jpg"><p>根本：同時に、未知の世界にもどんどんアクセスしてもらいたいです。例えば、11月に日本でデフリンピックが開催され、東京の街ではデフリンピック関連のポスターが至る所に掲示されていました。「デフリンピックってなんだろう？」と思うだけで終わらせて、素通りしてしまうのはもったいない。</p><p>少しでも気になったら調べてみることで、世界の見え方が変わるのではないでしょうか。どんなことでもスマホで調べられる時代になったのだから、聴覚障害の世界についても関心を持ってもらいたいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00012.jpg">「聴覚障害者海外奨学金事業」では毎年、海外留学奨学生を募集している。画像提供：NPO法人日本ASL協会<h2 id="tnf-text-heading-block_a011ce0e5024e7a55814852bcfaad45e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">聴覚障害者の教育環境を変えていくために、私たち一人一人にできること</h2><p>聴覚障害者の教育環境を変えていくために、社会全体や周囲の人たちに何ができるのかについて、秋山さん、根本さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ac44fb0429dee9431e293d10514ec537" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］情報保障を「特別な配慮」ではなく、自然な行動とする</h2><p>周囲に聴覚障害のある方がいると気づいたら、共有メモや字幕を自然に差し出す。日常の中で、「気づいた人から動く」を積み重ねることで、当事者が「迷惑かもしれない」と権利主張をためらう状況が減らし、インクルーシブな学びの土台をつくる一助となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_896b82a6b62193135a53d46b87207357" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「前例がない」ことで学ぶ機会が制限される構造に対して、問題意識を持つ</h2><p>聴覚障害のある学生の教育機会を広げるためには、周囲の人や在校生が問題意識を持つことも大きな力になる。当事者だけでなく、第三者の声が加わることで、当事者の孤立した交渉が減り、受け入れ体制の整備が進みやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4ed8532b1ba258200ddf55a0bd054e5f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］自ら調べる行動を取り、機会があれば情報を伝える</h2><p>自分にとって未知の世界について調べてみる。例えば、デフリンピックや情報保障の取り組みを調べることで、障害者に関する情報を増やすことができる。機会があれば、聴覚障害のある子どもや友人に、留学をはじめとした選択肢の可能性を伝えてみる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>聴覚障害者の留学を、給付制の奨学金をもって支援する事業があると知り、取材に至りました。そんな事業の取材を通じて浮き彫りになったのは、当事者が直面する進学や雇用の問題でした。</p><p>たとえどんな障害があろうとも、やりたいことに思い切りチャレンジする社会をつくるためには、何をするべきか。私たち一人ひとりが当事者の置かれている現状を自分ごととして理解していくことが、その第一歩かもしれません。</p><p>そういった小さな一歩を積み重ねていった先に見えてくるのは、誰もが自由に生きられる、格差のない社会ではないでしょうか。</p><p>撮影：永西永美手話通訳：小松智美</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Wed, 09 Sep 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>亡くなった赤ちゃんへの思いに寄り添う。死産、新生児死亡による「周産期喪失」に必要な支援とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117944/childcare</link>
      <pubDate>Tue, 02 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす「流産や死産」は「社会に認められにくい悲嘆」であり、当事者の多くが孤立してしまう</li><li>死産や新生児死亡というような「周産期喪失（※1）」による悲嘆に対しては、精神的な支援である「グリーフケア」を行う施設が増えている。しかし流産に対しての「グリーフケア」はこれからの課題である</li><li>回復に決まった道筋はなく、カウンセリングや当事者同士の支え合いが力となり、社会全体での理解促進や、適切な制度を整備することが当事者への孤立防止につながる</li></ul><p></p><p>流産、死産（※2）、人工妊娠中絶などで、妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす経験をする人は、決して少なくありません。流産は妊娠の15〜20パーセントに起こるとされ、流産や死産を2回以上繰り返す状態を「不育症」と呼びます。</p><p>近年、妊娠年齢の高齢化に伴い、流死産や、それを繰り返す「不育症」の割合は増加しており、毎年妊娠する人のうち、数万人に「不育症」の可能性があるとされています。しかし、その悲しみや苦しさは、亡くなった赤ちゃんの存在を知る人が少ないこともあり、周囲から認められにくく、当事者は孤立しがちだといいます。</p><p>こうした当事者に向けて支援を行っているのが、岡山大学病院内にある「不妊・不育とこころの相談室」です。相談支援やカウンセリング、当事者同士の支え合いの場の提供など、包括的な支援を提供しています。</p><p>今回は、同相談室でセンター長を務める岡山大学教授の中塚幹也（なかつか・みきや）さんに、流死産を経験した方の実態、支援の現状や課題ついてお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_e1f2ce4e97b45829bfafdcdb94a1e0ab" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「周産期喪失」とは、妊娠22週から、出生後7日未満までの期間を「周産期」といい、「周産期喪失」は、妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす喪失感や悲嘆の感情のことをいう※2.妊娠21週までに妊娠が終わることを「流産」といい、妊娠22週以降に胎児が死亡することを「死産」という</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00012.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c0c8701245c9425df45099e5deede967" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会に認められにくい悲嘆、周産期喪失の実態とその特徴</h2><p>――まず、「周産期喪失」とはどのようなものか、教えてください。</p><p>中塚さん（以下、敬称略）：英語の「ペリネイタル・ロス（Perinatal loss＝周産期の喪失）」を日本語に当てた言葉で、死産、新生児の死亡など、妊娠中や出産から間もない時期に子どもを亡くすことであり、喪失感、悲嘆の感情を伴います。</p><p>亡くなった赤ちゃんを出産する死産の悲しみや負担が大きいことは想像しやすいかもしれませんが、妊娠初期の流産だから体への負担や悲しみが少ないわけでは決してなく、どの時期であっても当事者の方の喪失感や悲嘆に違いはありません。ただ、母親の体験については、妊娠週数の違いが関係してきます。</p><p>――妊娠週数によって、当事者の体験はどのように変わるのでしょうか。</p><p>中塚：例えば、妊娠初期の流産であれば、日本では麻酔をかけて子宮内を吸引するような手術が一般的です。つまり、眠っている間に赤ちゃんがいなくなってしまうことになります。</p><p>存在していた命が確かな実感を得る前に失われてしまう悲しみは「曖昧な喪失」と呼ばれ、似た例として挙げられるのが戦死です。死亡通知は届いたけれど遺体が見つからず、会って別れることができないので、なかなか心の整理ができない。それと同じようなことが起きやすいのです。</p><p>また、妊娠週数が進んだ状態では、通常の分娩と同じで、陣痛に耐えながら出産をし、赤ちゃんとのお別れを経験することになります。産声を上げない赤ちゃんと対面する直接的な喪失感と向き合うことになりますし、妊婦の身体的負担も大きくなります。</p><p>以前は、母親が悲しむだろうと、赤ちゃんとの対面を家族がさせないことも多くありました。このような場合は「曖昧な喪失」になってしまいます。</p><p>――周産期喪失は「社会に認められにくい悲嘆」と呼ばれますが、なぜそう呼ばれるのでしょうか。</p><p>中塚：亡くなった赤ちゃんの存在を知る人が限られていることが大きな要因です。妊娠を公表する前に流死産してしまった場合、その悲しみを分かち合える人がほとんどいません。</p><p>さらに、母親と周囲の人との実感の違いという問題もあります。生まれた子どもが亡くなったのであれば、家族や友人も悲しみますが、流死産の場合は夫や親ですら「赤ちゃんがいた」という実感が薄く、母親の悲嘆が軽視されがちなのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00013.jpg">妊娠や出産は「喜ばしいこと」として社会に認識されているため、その過程で生じる喪失について語ることは、はばかられ、当事者の孤立を深める要因となっている<h2 id="tnf-text-heading-block_7921e8975f4cdc5a830d187eb9679e16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「人生で最も悲しかった体験」。当事者が抱える多重の困難</h2><p>――流死産を経験したご本人でないと分からない困難がそこにはあるということですね。</p><p>中塚：私たちの調査では、流死産を経験した方の多くが「人生で最も悲しかった体験」と回答しており、配偶者や親との死別に匹敵するくらい非常に深刻な心理的打撃だということが分かりました。</p><p>また、流産の手術には合併症（※）のリスクもあり、出血が止まらなかったり子宮が損傷したりする可能性や、麻酔による事故のリスクも完全にゼロではありません。</p><p>――周産期喪失の経験は夫婦関係にも影響を及ぼすのでしょうか。</p><p>中塚：流死産に伴う悲嘆からの回復におけるキーパーソンとなるのは夫で、その次が実母という結果でした。親しい人と喪失についての話ができると、うつや不安の状態が良くなる傾向があるんです。</p><p>ただ、ご本人と夫では流死産の受け止め方が違うこともありますし、夫が妻のためにと思うあまり、「悲しませないように」と亡くなった赤ちゃんに関する話をしないケースも多い。</p><p>また、忘れてはいけないのが夫も当事者の一人であるということ。自分も悲しいけれど、「まずは妻を助けないと」と、頑張り過ぎてしまう人もいます。女性よりも男性の方が周囲の人に悩みごとを打ち明けづらい傾向にあるので抱え込んでしまいやすく、そうして夫婦の心がすれ違ってしまうとますます苦しくなりますね。</p><p>――夫婦間以外の人間関係ではどういった課題があるのでしょうか。</p><p>中塚：流死産の後には、周囲が良かれと思って「なかったことだと思って、早く忘れなさい」「次の妊娠に気持ちを切り替えよう」などと励ますケースはよくあります。次の妊娠がうまくいくかどうかの確信もないまま、実家や義理の家族から「次も頑張れ」と期待やプレッシャーをかけられても、女性の不安は消えず、さらに追い詰められてしまうこともあるんです。</p><p>そうした無理解が当事者の方の傷を深めてしまい、心のバランスを崩してしまったり、妻の方から「私といると夫が子どもを持つことができない」と離婚を切り出したりするケースも起こっています。このように、流死産の経験が日常生活に支障をきたすことは決してまれではありません。</p><p>不育症の場合も、適切な検査や治療ができれば7〜8割の方が無事にお子さんを持つことができることも、皆さんに知ってもらいたいですね。</p><div id="tnf-text-notes-block_80275c005aeb0996261de97874580918" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「合併症」とは、ある病気が原因となって起こる別の病気、あるいは、手術や検査などが元になって起こることがある病気のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00005.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00006.jpg">不育症女性が「周囲の人々との関係」から持つ自身の価値についての調査結果。データー出典：中塚幹也：臨床助産ケア,2013年<h2 id="tnf-text-heading-block_3c07c7704eba90b760588f2a07b978e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不育症治療の負担と仕事との両立の課題</h2><p>――流死産を繰り返した場合は、不育症の治療に取り組む方も多いと思います。そうした治療にはどのような負担があるのでしょうか。</p><p>中塚：まず、経済的な負担が存在します。不妊治療は保険適用となり、自治体独自の助成も拡大しつつありますが、不育症の診察では保険適用の部分は少なく、自費の検査や治療となると高額となることがあります。</p><p>また、数々の検査を重ねても原因が特定できないケースも多くあります。明確なリスク因子が見つけられれば治療方針も決まり、成功率も推測しやすくなります。</p><p>一方、原因が見つからず、「どこも悪くない」と言われた不育症の方の心境は複雑です。「そんなことはないよ」と説明しますが、「自分が動き過ぎたから流産したのでは」「体を冷やしたのが悪かったのでは」などと、自責感が強くなり、心理的負担となりやすいこともあります。そういうなかで流産を繰り返したり、死産を経験したりというのはさらなる心身の負担となります。</p><p>働いている方の場合、妊娠週数が早い段階では周囲に打ち明けにくいこともありますね。しかし、体調によっては、仕事を急に休まなければいけないこともある。そうした状況への理解が得られず、仕事を辞めたり、辞めなくても昇進に影響したという声も聞こえてきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_63b38e06013c3b6cf8b7fefa92e059cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個別相談や当事者間の支え合い、医療と心理が連携する包括的支援</h2><p>――「不妊・不育とこころの相談室」はどのような支援を行っているのでしょうか。</p><p>中塚：私たちの相談室は、厚生労働省が各都道府県に不妊専門相談センターの設置を求めたことを受け、岡山県からの委託により2004年に設立されました。現在は、「メールや電話での相談」「対面での個別カウンセリング」「市民公開講座などによる啓発」、そして「ピアサポート（※）の場の提供」を中心に支援を行っています。</p><p>不妊カウンセラーや心理士による「個別カウンセリング」では、傾聴と共感を基本方針としています。多くの当事者が「話をよく聞いてもらえていない」と感じている場合もあるため、まずはしっかりと話を聞き、ご自身の気持ちを吐き出していただくことを大切にしています。</p><p>中塚：「個別カウンセリング」では医師による「医療情報の提供」も行います。検査結果の解釈や治療方針の説明、地域の医療機関の情報提供などを行います。</p><p>設立当初から重視してきたのは、当事者の立場に寄り添える多様な専門職が関わることです。医師からの言葉だけでは、どうしても距離を感じてしまう方が多いため、助産師や臨床心理士、看護師などがチームを組んでそれぞれの専門性を活かしながら対応しています。</p><p>――ピアサポートグループ「ママとたまごの会」について教えてください。</p><p>中塚：流産や死産を経験した方、不育症の方同士が集まって、お互いの思いや体験を分かち合う場です。最も大きな意義は、参加者が「自分は一人ぼっちではない」「自分と同じような経験をした人がいる」と実感できることだと思います。</p><p>流死産は日常生活では話題に出づらく、多くの当事者が孤立しています。だからこそ、同じ経験をした方と出会うことで孤独感が大きく軽減されます。治療により既に子どもを持っている方の体験談を聞くことで希望を見出すきっかけにもなります。</p><p>――相談室が岡山大学病院内にある利点を教えてください。</p><p>中塚：医療面と心理面の両方から包括的なケアを提供できることです。検査結果について疑問があれば即座に医学的な説明ができますし、必要に応じて適切な診療科を紹介することも可能です。</p><p>精神的に深刻な状況にある方については、院内の精神科と連携を図ることもできます。岡山大学病院の産科病棟では、周産期喪失を経験したカップルやご家族へのサポートであるグリーフケアを行っています。退院後はさらに、相談室での心理的支援に引き継ぐことが可能です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>中塚：具体的にグリーフケアでは、亡くなった赤ちゃんのための小さな衣服や棺、手形や足形をとる色紙などの準備、また、家族の面会時間の確保など、赤ちゃんのためにできることをリスト化しています。また、赤ちゃんを抱いたり写真を撮ったりすることなど、このように赤ちゃんとお別れする家族に寄り添ったケアを実践しています。しかしグリーフケアでは「何をするか」ではなく、「どのようにカップルや家族の悲嘆をやわらげるか」が重要です。</p><p>こうした医学的なケアと心理的サポートを同時に提供できる体制が整っていることが大学病院内にある「不妊・不育とこころの相談室」の大きな強みだと思います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00014-724x1024.jpg">「不妊・不育とこころの相談室」では、妊娠や不育症、性に関する悩みのほか、不妊治療や保険制度、特別養子縁組、性の多様性など、幅広い相談を受け付けている。画像提供：不妊・不育とこころの相談室</div></div><div id="tnf-text-notes-block_942b4983e9f0a6fdd4d5be07cb018b89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ピアサポート」とは、同じ病気や立場にある、同じ課題に直面している仲間との支え合いのこと</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00003.png"></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00002-1024x576.jpg">来所相談に応じる中塚さん（左）。相談の内容に応じて医師、不妊カウンセラー、心理士などが対応している。画像提供：不妊・不育とこころの相談室<h2 id="tnf-text-heading-block_5b7f437df97ba83120907e8d01eaa68b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">教科書通りにならない回復。悲しみに寄り添う社会づくり</h2><p>――長年の支援を通じて、当事者の回復についてどのようなことが分かってきましたか。</p><p>中塚：私たちの研究では、相談相手の数と精神的な回復の早さには相関関係があることが分かっています。誰にも話せない方はうつ状態が長引く傾向がありますが、心の中を話せる相手が多いほど症状が改善しやすいのです。</p><p>流産や死産をした母親が最も話したいと思っているのは、「亡くなった赤ちゃんのこと」であることも多いのです。しかし周囲はそういう話題を避けてしまう。その結果、母親の方は一番大切なことを語れない状況に追い込まれてしまいます。</p><p>「個別カウンセリング」では、そうした心の回復を支える役割を担います。そして、「ママとたまごの会」では、同じ経験をした方々とつながり、今度は支援する側、される側双方としての輪が広がる。そうやって一歩ずつ、悲しみが和らいでいくようです。</p><p>ただ、回復というものは、そんな教科書通りに進むものでもないんです。海外では、悲嘆に向き合う段階的回復モデルに従って、順序立てて回復が進むという考え方が提唱されています。しかし、日本ではそれとは異なる独特のパターンもある、というのが私の考えです。</p><p>――日本での回復パターンはどういう点が独特なのですか。</p><p>中塚：亡くなった子のことを忘れて前に進むのではなく、その存在を心の中にとどめながら、新しい日常を築く方も多いのが特徴です。これは「生まれ変わり」や「魂」といった観念を持つ文化的な背景が影響しており、決して病的なことではありません。その人なりの喪失への意味付けや、死への向き合い方の表れだと考えています。</p><p>一方で、次に生まれた子どもを「前の子の生まれ変わり」と捉えてしまって、子どもにある種の期待や先入観を背負わせて育ててしまう、というケースも存在します。支援する側も、日本独特の回復パターンを理解した上で、適切なケアを提供することが重要だと感じています。</p><p>――今後、社会全体として取り組むべき課題はどこにあるでしょうか。</p><p>中塚：近年、厚生労働省は不妊治療への支援を強化しており、体外受精でも保険適用になりました。しかし、不育症の検査や治療は自費のものも多く、経済的助成制度をはじめとする自治体間での支援格差も見られます。不育症への理解促進も含めて、全国で統一された支援体制を整備していく必要があります。</p><p>また、企業レベルでの制度整備も重要な課題です。不育症の方は頻繁な受診が必要になりますし、流産を繰り返すことで何度も休暇を取らざるを得ない場合もあります。現状ではこうした状況が離職につながったり、昇進や業務上の評価などに影響を与えたりしてしまうケースが見られます。制度的な配慮によって改善可能な問題であるはずです。</p><p>当事者が適切な情報に接し、適切なケアを受けられる体制を全国で整備していくことが、流産や死産で苦しむ方々の孤立を防ぐために不可欠ではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00011.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00004.jpeg">不妊症・不育症女性における治療と就労の両立の状況。中塚幹也らの調査（2023年）<h2 id="tnf-text-heading-block_c1af7385a99f96968ca3a90749fda98e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">流産や死産を経験した方を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>流産や死産を経験した方を支えるために、私たち一人一人ができることについて、中塚さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_22f6a5e70170ff30f52415814110f50c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 流産や死産について正しい知識を身に付ける</h2><p>流死産は決して珍しい出来事ではなく、実際には多くの方が経験しているという事実を理解することが第一歩。話題に上りにくいため、見えていないだけである、と知っておくことが、当事者への理解と支援の基盤となる。流死産を繰り返していても、適切な検査や治療により、高率に子どもを持つことがでできることも重要な情報である</p><h2 id="tnf-text-heading-block_95473fe45f56eec69a113ca88a780e4e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 流産や死産妊娠中絶にまつわる話題を受け止める</h2><p>当事者が流死産や周産期喪失のことを話そうとしているときは、助言や励ましではなく、受け止める姿勢が重要。思いやりのつもりで流産や死産の話題を避けてしまうと、当事者がより深い孤立感を抱く場合もある。無理に聞き出す必要はないが、「話を聞くからね」と声をかけるだけでも支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e2f32a7d5a44114bedd16fcf5164b96d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］流産や死産への理解を広めることを応援する</h2><p>流産や死産は多くの人が経験する可能性がある一方で、社会全体での理解が不足している。教育の中こうした内容が取り扱われるよう働きかけることや、市民公開講座で、流産や死産について知ってもらうことは、将来的な社会の意識変化を促す重要な取り組みとなる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>編集部の家族に周産期喪失の経験者がいたことが、今回取材するきっかけになりました。流死産を経験した方々の実態が社会であまり知られていないことに気づき、当事者の声に耳を傾けたいと考えました。</p><p>最も印象的だったのは、当事者が亡くなった赤ちゃんのことを話したくても、周囲の配慮によって話題が避けられがちであるという現実。まずは身近な人の話を傾聴することから始めて、誰もが安心して悲しみを表現できる社会をつくっていくことができればと思います。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5c2bc4f03868005fe728cf527d35b8c6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中塚幹也（なかつか・みきや）</h2><p>医学博士。岡山大学学術研究院保健学域教授。。岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」センター長。専門領域は生殖医学、産婦人科医として30年以上にわたり不妊・不育症治療に従事。流死産カップルの支援を行うほか、性別違和の悩みを持つ人のための専門機関である岡山大学ジェンダークリニックにて開設時より診療を行う。また、Yahoo!ニュースエキスパート「生殖とジェンダーの今」で発信をしている。</p><p><a href="https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~funin/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">不妊・不育とこころの相談室 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 02 Dec 2025 14:07:51 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>非営利団体にはいくつ法人格の種類がある？ それぞれの特徴と設立要件を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117906/academy</link>
      <pubDate>Thu, 27 Nov 2025 10:01:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>非営利団体にはNPO法人や社団法人、財団法人などさまざまな法人格がある</li><li>そのうちNPO法人には4種類あり、それぞれ認定要件や優遇措置が異なる</li><li>法人を設立する際には、団体の活動内容や規模に適した法人格選びが重要</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>事業として社会課題の解決に取り組むためには、団体の目的に適した法人格の選択が重要である。</p><p>非営利団体には、NPO法人や一般社団法人などさまざまな種類があり、それぞれに特徴や設立要件、税制上の優遇措置などが異なる。</p><p>この記事では、これから非営利団体の設立を考えている方、あるいは既存団体の法人化を検討している方に向けて、主な非営利法人の種類や特徴、選択のポイントを解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_419c4ba64c1e09497b061778aac6e454" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> 1.営利法人と非営利法人の違い</h2><p>営利法人と非営利活動法人との根本的な違いは、事業で得た利益の配分方法にある。</p>営利法人株式会社、合同会社、合資会社などが該当。事業活動で得た利益を、株主などの出資者に分配することを目的としている。例えば、営利法人である株式会社は、商品の製造・販売、サービスの提供などを通じて利益を上げ、株主へ配当という形で利益を分配する非営利法人NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、医療法人などが該当。寄付金・支援金・会費・事業活動から得た利益を、社員や設立者などに分配することは認められず、事業活動を継続するために使用しなければならない。ちなみにここでいう「社員」とは、株式会社における株主のような、法人の意思決定に参加する権利を持つ構成員を指す<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_3.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_74b457e681dd818ee915af07d02a7495" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. 非営利団体の法人格の種類とそれぞれの違い</h2><p>非営利活動法人は法人格の種類によって特徴、要件、優遇内容が異なる。ここでは、法人格ごとの詳細について解説する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a154b1919ddcd2d4bb91c4e7e0c8a0e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. NPO法人（特定非営利活動法人）</h3><p>保険、福祉、教育、まちづくり、環境保全、国際協力など、法律で定められた20分野など、法律で定められた20分野の社会貢献活動を行う団体。設立するためには10人以上の社員が必要となり、都道府県または政令市の長が管轄する所轄庁の認証を受ける必要がある。</p><p>法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課され、収益事業以外には課されない。特に公益性が高いと認められた場合には認定NPO法人、特例認定NPO法人、指定NPO法人となることができ、寄付者への税制優遇などがある。</p><p>これらの詳細は後の章で解説する。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人とは？収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_97b28cc3c197030c0a26410344f90fcd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2. 一般社団法人</h3><p>一般社団法人は、事業内容に制限がなく幅広い活動を行える。社員2名以上、理事1名（社員と理事は兼任可）以上いれば設立できる。</p><p>一般社団法人は法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれる。どちらも非営利法人だが、法人税の課税対象となる所得が異なる。</p><p>非営利型の一般社団法人の課税対象は、NPO法人と同じ「収益事業から生じた所得のみ」。一方、非営利型法人以外の法人は、全所得に課税される。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0defddb5e450fd71f5fa72424ee68214" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. 一般財団法人</h3><p>一般財団法人は個人や法人が拠出した財産（300万円以上）を維持・運用し、その運用益を特定の事業に活用する団体。設立するには設立者1名以上（理事・監事と兼任可）、理事3名以上、評議員3名以上、 監事1名以上の最低7名以上が必要となる。</p><p>大きな特徴は、一般的な法人が「人の集団」に法人格が与えられるのに対し、一般財団法人は「一定の財産」に法人格が与えられる点にある。</p><p>また、一般社団法人同様、事業内容に制限がなく幅広い活動を行えるが、法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれ、課税対象も同じ。「非営利型法人」の特定の事業の具体例としては、奨学金の支給、研究活動への助成、芸術・文化活動への支援などがある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_25d4d85fcee388f3c58258cc5e42efb7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. 公益社団法人・公益財団法人</h3><p>公益社団法人・公益財団法人は、一般社団法人・一般財団法人のうち、公益性が高いと行政庁（内閣府または都道府県）から認定を受けた団体。公益目的事業の割合が費用額において50パーセント以上を占めるといった、厳しい認定基準を満たす必要がある。</p><p>また公益目的事業は非課税であり、寄付者も税制優遇を受けられる。</p><p>公益性が高いと認定されるには、学術・技芸・慈善などに関する事業であって、不特定の多くの人の利益に寄与する事業を行うことが必要となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9c02edc5cf2401c408014709ebb13748" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5. 社会福祉法人</h3><p>社会福祉法人は、介護、障害者支援、児童福祉など、社会福祉事業を行う団体。具体的には特別養護老人ホームや介護老人保健施設、障害者支援施設、保育所の運営などが挙げられる。設立には、最低6名以上の理事と2名以上の監事が必要だ。</p><p>事業運営には、社会福祉法に基づいて国や自治体からの指導監督を受ける。社会福祉事業の適正な運営確保のために、事業報告書の提出、会計監査、運用状況の報告などが求められる。社会福祉事業は非課税であり、さまざまな税制優遇がある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_54dce5ab46837fde98926b5663b6b059" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-6. その他の非営利法人</h3><p>その他にも次のような非営利法人がある。</p>学校法人私立学校の設置・運営を行う医療法人病院や診療所などの開設・運営を行う宗教法人神社、寺院、教会などの宗教団体が、礼拝施設の所有・維持や教義の普及などの宗教活動を行う<p>自分たちで取り組む事業が、法令で定められた特定の事業に該当するか、また、どのような組織形態で運営したいかなどを考慮し、法人格を選択するようにしよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1090ca24417920d98048bd44ac0d7a38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. NPO法人の4つの種類それぞれの概要と認定までの流れ</h2><p>NPO法人には、特定非営利活動法人（NPO法人）、認定特定非営利活動法人（認定NPO法人）、控除対象特定非営利活動法人（指定NPO法人）、特例認定特定非営利活動法人（特例認定NPO法人）の4種類がある。ここではそれぞれの概要を解説する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/SEO-9_1.png">NPO法人の種類と認定の流れ<h3 id="tnf-text-heading-block_9acf1f34958b50f36ca424257bd3c54c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 特定非営利活動法人（NPO法人）</h3><p>特定非営利活動法人（NPO法人）は、「特定非営利活動促進法」に基づいて所轄庁の認証を受けて設立されたNPOのことを指す。4種類のNPO法人の基本となるものだ。</p><p>前章で紹介したNPOの税制優遇や社会的信用などのメリットが得られる。社会への貢献が認知されれば、寄付金を集めやすいというメリットにもつながる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c9123536af631bee48f588469afe4724" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.認定特定非営利活動法人</h3><p>「認定特定非営利活動法人制度」によって認められるのが「認定特定非営利活動法人」、いわゆる認定NPO法人である。通常のNPO法人より厳しい基準を満たす必要があるが、税制上の優遇処置が拡張され、寄付金を集めやすい。</p><p>さらに認定NPO法人自身に対する税の優遇措置（みなし寄附金制度）も適用され、収益事業から公益目的事業へ金銭その他の資産を支出した場合に、その支出した金額も収益事業にかかる寄付金の額とみなして税額を計算することができる。</p><p>認定されるためには、NPO法人として1年を超える活動実績があることに加え、より公益性の高い活動を適正に行っていることを確認するための要件を満たしている必要がある。</p><p>要件のうちの一つが、市民から広く支援を受けていることを判断する基準を指すパブリック・サポート・テスト（PST）には、次の基準のうち1つを満たす必要がある。</p>相対値基準経常収入のうち、寄付金収入が5分の1以上絶対値基準寄付金総額が3,000円以上の人が、年平均で100人以上条件個別指定自治体の条例によって「寄付金税額控除の対象となる法人」に指定されていること<p>なお、認定NPO法人の有効期間は、認定日から起算して5年となっている。更新する場合は、有効期間満了日の6カ月前～3カ月前までに申請が必要だ。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_18ef367d45accc7bb8c4fde7105798a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.条例指定特定非営利活動法人</h3><p>各自治体が独自に定める基準を満たすことで、指定を受けられるのが「条例指定特定非営利活動法人」、いわゆる指定NPO法人だ。</p><p>指定NPO法人は、認定NPO法人に準じた税制優遇を寄付者が受けられる。認定NPO法人の認定要件を満たせない場合でも、指定NPO法人を目指すことで、寄付促進につなげられる。</p><p>認定NPO法人の認定要件を満たせない具体例は、設立後間もない、支援者数が少ないなどのケースだ。</p><p>なお、条例指定されることでパブリック・サポート・テスト（PST）の基準を1つ満たすことができ「認定NPO法人」の認定を受けやすくなるメリットもある。ただし、指定期間が5年間と定められており、5年ごとに更新を受けなければならない。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_639a5240d3d067ee344e2ac61766c4e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4. 特例認定特定非営利活動法人（特例認定NPO法人）</h3><p>NPO法人のうち、特にスタートアップ期を支援するために設けられた法人格が「特例認定特定非営利活動法人」、いわゆる特例認定NPO法人だ。設立後5年以内のNPO法人を対象に、申請の機会は認定の有効期間（3年間）を含め、1回のみ認められる。以前は「仮認定NPO法人制度」と呼ばれていた。</p><p>認定NPO法人になるための基準を満たすことが難しいNPOのスタートアップ支援として作られたものである。</p><p>特例認定NPO法人も個人や法人の寄付者に税制上の優遇措置があり、寄付金を集めやすく、支援活動がしやすくなるメリットがある。ただし、認定NPO法人の優遇措置「みなし寄付金制度」は適用されない。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d048814b89c12bfd411be99539c5c9e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人など、非営利団体にはさまざまな法人格がある。</p><p>さらに、NPO法人の中にはNPO法人、認定NPO法人、指定NPO法人、特例認定NPO法人の4種類があり、それぞれに認定・指定の要件が異なる。</p><p>法人を設立する際には、各法人格の特徴を比較検討しよう。また、どの法人格を選ぶにしても、団体の理念や活動内容を明確に示し、広く周知させ市民に共感を得ることが継続した活動を続けるために重要だ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/14.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/npoiroha" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPOのイロハ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou#:~:text=%E3%80%8C%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AB,%E3%81%AE%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動(NPO法人)制度の概要」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cao.go.jp/others/koeki_npo/koeki_npo_seido.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#01" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「 一般社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics04_000162.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省官公庁『「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」 第3章法人格の種類による財源の特徴』（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.koeki-info.go.jp/content/01-01-02.PDF" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益法人Information「（公益社団・財団法人と一般社団・財団法人の違い）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省　「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&amp;A」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-fukushi-houjin-seido/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省　「社会福祉法人制度」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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