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<title><![CDATA[日本財団ジャーナル]]></title>
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<![CDATA[未来のために何ができる？が見つかるメディア]]>
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      <title>日本の災害・防災・復興に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121220/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 14 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>近年、地球温暖化に伴う災害の激甚化や、能登半島地震で見られたような震災と水害の「複合災害」の発生により、従来の想定を上回る備えが求められています。</p><p>誰もが安心して暮らせる社会を次世代に引き継ぐためには、ハード面の整備だけでなく、防災教育による意識改革や、高齢者や障害者といった「避難行動要支援者」を誰一人取り残さないための個別計画の策定、そして官民が連携したボランティア支援の強化など、多層的なアプローチが不可欠です。</p><p>命を守り、速やかな復興を実現するために、今どのような現状があり、解決に向けてどのような視点が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●災害の激甚化</a></p><p><a href="#link2">●防災教育</a></p><p><a href="#link3">●高齢者・障害者の防災</a></p><p><a href="#link4">●災害ボランティア（被災地ボランティア）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">災害の激甚化</h2><p>地球温暖化によって、世界的に自然災害が甚大な被害をもたらすようになってきています。気温上昇により大気中の水蒸気量が増加し、線状降水帯による猛烈な雨や非常に強い台風が頻発するようになったためです。</p><p>実際に日本でも、2024年に発生した能登半島地震では、最大震度7を観測するほどの地震が起きた後、同年9月に被災地を「奥能登豪雨」が襲い、仮設住宅が浸水するなど深刻な複合被害を受けました。また、同年8月には「南海トラフ地震臨時情報」が発表されるなど、広域的な巨大災害のリスクも一段と高まっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600001.jpg"><p>これに対し政府は、司令塔機能を強化するため、令和8年度中の「防災庁」設置に向けた準備を進めています。対策としては、堤防整備だけでなく流域のあらゆる関係者が協働する「流域治水」の推進や、AIによる浸水予測といった「防災DX」の導入が不可欠です。</p><p>今後は、行政による公助のみならず、クリエイティブな視点を取り入れた防災教育や遊びを交えた訓練を通じて、全ての世代が災害を「自分ごと」として捉え、共に備えをアップデートしていく社会の仕組みづくりが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a847d79961b1b429d35b109cd20d16f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［災害の激甚化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120562/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「72時間」の壁を越えろ――横須賀市消防局が挑む“命をつなぐ重機救助”の最前線（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112594/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「地球温暖化」の時代はもう終わる？ 「地球沸騰化」を食い止めるために、私たちには何ができる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/107823/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地震や豪雨、災害から命を守る「防災テック」とは？ 自治体や企業の最新事例に注目！（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105011/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日立製作所が開発した浸水被害予測システム。自治体・民間との連携で減災を（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">防災教育</h2><p>「防災教育」とは、災害時に的確な判断で自らの安全を確保する「自助」の能力を養い、周囲と助け合う「共助」の精神を育むことで、究極的には「命を守る」ことを目的とした教育活動です。文部科学省の定義では、自然災害のメカニズムを正しく理解する基礎知識の習得に加え、日常的な備えを実践できる態度を養うことが重視されています。</p><p>全国の教育機関ではそれらを踏まえた防災教育の指導要領が定められており、避難訓練や道徳など限られた時間だけでなく、全ての教科で防災を意識した「教科横断的」な防災教育を進めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600002.jpg">避難訓練以外の防災教育が求められている<p>しかし、文部科学省は防災教育の推進において、「人材」「内容」「方法」の3つの側面に課題があると指摘しています。人材面では、学校と地域を繋ぐ「担い手」の不足や、教員の異動による継続性の欠如が深刻です。内容面では、発達段階に応じた教え方の基準があいまいで、教材の共有が不十分である点。方法面では、訓練が画一的で家庭や地域への波及効果が薄い点が課題となっています。</p><p>今後は、教職員の研修充実やデジタル技術を活用した能動的な学習を取り入れ、学校、家庭、地域が一体となって「自分たちの命は自分たちで守る」文化を醸成する仕組みづくりが急務です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b378eb58437e1e1b12582be4940c19a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［防災教育をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120406/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東日本大震災から15年——地域は誰が支える？　石巻西高校の探究学習が育てる次の担い手（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85377/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防災教育の担い手を育成。必要なのは「＋クリエイティブ」（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/81261/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防災訓練に必要なのは遊び？　防災を広げるための仕掛けづくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/58573" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「遊び」を通して、支え合うの大切さを伝える。防災ゲームの開発に秘めた菅原清香さんの想い（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">高齢者・障害者の防災</h2><p>高齢者や障害者は、災害が発生した際に自力での避難が困難で、周囲の支援が必要となる「避難行動要支援者」にあたります。近年の大規模水害では犠牲者の多くがこの層に集中しており、令和2年7月豪雨では、死者のうち65歳以上が約79パーセントを占めるなど、「逃げ遅れ」による被害は依然として深刻です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600003.jpg"><p>政府は対策として災害対策基本法を改正し、以前から義務化されていた「避難行動要支援者名簿（対象者のリスト）」の作成に加え、一人一人に合わせた具体的な逃げ方を決める「個別避難計画」の策定を市町村の努力義務としました。</p><p>しかし、実効性には大きな課題が残っており、2023年10月の時点で対象者の特定（名簿整備）はほぼ完了しているものの、計画を「全部策定済」とした自治体はわずか8.7パーセントに留まります。また、福祉避難所全体（24,935カ所）のうち、法律に基づき正式に指定、公示された「指定福祉避難所」は31.2パーセントに過ぎません。</p><p>背景には受け入れ態勢への不安や、防災部局と福祉部局の連携不足、現場の支援者不足といった構造的な問題があります。</p><p>こうした状況の改善に向け、現在はデジタル技術を活用した「クラウド型被災者支援システム」による情報の高度化や、福祉施設へのBCP（業務継続計画）策定の義務化が進められています。</p><p>誰も取り残さない防災を実現するためには、制度の整備に加え、地域社会全体で要支援者の存在を把握し、平時から福祉と防災が手を取り合う「顔の見える関係づくり」が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8105b1c7ea7f9c5edef52c0e59069e1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[高齢者・障害者の防災をテーマにした記事]</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101070/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">自力での避難やSOSを出すことが難しい「要配慮者」の支援課題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100964/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">命をつなぐ支援が求められる「緊急対応期」。災害発生直後の被災地の課題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/71241" target="_blank" rel="noreferrer noopener">みんなが大変なとき、より「助けて」と言えない障害者。誰も取り残さないための防災（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">災害ボランティア（被災地ボランティア）</h2><p>災害ボランティア（被災地ボランティア）は、発災時に被災地に駆けつけ、きめ細やかな被災者支援を行う重要な存在です。一般ボランティアの役割は、被災家屋の清掃や片付け、家屋内・水路の土砂搬出、災害ごみの運び出しから、避難所での物品配布や引越し支援まで多岐にわたります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/04/jisyo0600005.jpg"><p>能登半島地震では、避難所運営やがれき撤去などを専門とする300を超えるNPO等の専門ボランティア団体が被災地に入りました。一般ボランティアは、5月6日までの累計で石川・富山・新潟の3県合わせて延べ約9万人が活動しました。</p><p>しかし、現場には大きな課題も残っています。それは「連携」の壁です。行政、社会福祉協議会、NPO等の民間団体の三者間での情報共有や役割分担が十分ではなく、支援のハブ機能が不足している地域が少なくありません。令和6年能登半島地震では、発災当初に道路の渋滞や宿泊場所の不足により、一般ボランティアの被災地入りが制限されたほか、多くの被災者が広域避難したことでボランティアニーズの把握が困難になるということもありました。</p><p>こうした課題に対し、現在は行政、社会福祉協議会、NPO等が平時から顔の見える関係を築くための研修会や、多様な担い手間の調整や情報共有を担う「災害中間支援組織」の育成が進められています。</p><p>誰も取り残さない防災を実現するためには、SNSを活用したニーズ把握や戸別訪問（アウトリーチ）を強化し、公助の手が届きにくい個別ニーズに寄り添う、柔軟で継続的な支援体制づくりが急がれます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_67bb523e114f97526c6721a5b3ddc62b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">[災害ボランティアをテーマにした記事]</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119292/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被災者・ご遺族の思いに応え、家族の「生きた証し」を守り続ける。「思い出の品」を持ち主の元へ（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109662/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「災害ボランティア」ってなに？ 参加方法や知っておくべき心得（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99342/social_contributions" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ボランティア」は誰のため？　その定義は？ 専門家・二宮雅也教授に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/38453" target="_blank" rel="noreferrer noopener">学生ボランティアだからできる支援。被災地ボランティアの意義を探る（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/r7_tokushu_1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震を踏まえた防災体制の見直し」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bousaichou_preparation/kihonhoshin/pdf/r71226_honbun.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣官房「防災立国の推進に向けた基本方針」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://anzenkyouiku.mext.go.jp/mextshiryou/data/saigai03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「学校防災のための参考資料『生きる力』を育む防災教育の展開」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h21/01/special_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「特集　防災教育 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/kaihatu/006/shiryo/attach/1367196.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「現在の防災教育における課題」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/yoshiensha.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「避難行動要支援者の避難行動支援に関すること 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001075647.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「高齢者・障害者等の要配慮者に関する防災と福祉の連携について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/kihonhou/pdf/r3_01_gaiyou.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「災害対策基本法等の一部を改正する法律の概要」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hisaisyagyousei/pdf/r5hinan.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「個別避難計画の策定等に係る進捗状況の把握について（フォローアップの結果）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/taisaku/hinanjo/pdf/220606_kouhyou.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「指定避難所等の指定状況等の調査結果」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/pdf/r6_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「防災に関してとった措置の概況令和6年度の防災に関する計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/hokoku.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和6年能登半島地震を踏まえた災害対応の在り方について（報告書）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/kyoiku/bousai-vol/meeting/200807/pdf/02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「令和2年度 被災者支援主体の連携体制に関する現状調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.bousai.go.jp/jishin/noto/taisaku_wg_02/pdf/siryo5_2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 防災情報のページ「災害中間支援組織による支援調整について」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <title>魚が減る原因にもなる海の酸欠「貧酸素水塊（ひんさんそすいかい）」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121064/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Thu, 09 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>海中の酸素が不足する「貧酸素水塊」は、魚介類の生息環境を悪化させ、漁業にも影響を与える</li><li>「貧酸素水塊」は気候変動や人間活動によって発生しやすくなるが、自然現象の側面もある</li><li>生活排水や食品ロスを減らすことは海に流れ込む過剰な栄養分を減らすことにつながり、海の環境を守る一歩になる</li></ul><p></p><p>「最近、スーパーに並ぶ魚が高くなった気がする」「いつもの魚が売り場に並んでいない」そんな変化を感じたことはありませんか。</p><p>その背景の1つといわれているのが、“海の酸欠”とも呼ばれる「貧酸素水塊」です。これは、海面水温の上昇や、海中の水温差によって生じる層構造などにより、海底付近の酸素が極端に不足する現象や、その水の塊を指します。</p><p>この「貧酸素水塊」が発生すると、魚介類の生息環境が悪化し、海の生物の大量死や漁場の機能低下を招くことがあり、漁獲量の減少や養殖業への深刻な影響にもつながる恐れがあります。また、植物プランクトンが大量に増える「赤潮」や、海底の「貧酸素水塊」が湧き上がる「青潮」という現象にも関係することがあるといわれています。</p><p>こうした海で起きているさまざまな変化は、魚の価格上昇や供給不安という形で、私たちの食卓に影響を及ぼします。</p><p>本記事では、海洋環境の研究に長年携わってきた<a href="https://www.fra.go.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">水産研究・教育機構（外部リンク）</a>の筧茂穂（かけひ・しげほ）さんに、「貧酸素水塊」が起きる仕組み、漁業や養殖業への影響を伺うとともに、持続可能な海洋環境を実現するために必要な視点について考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00009-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_bb7fcfb5d6d9f91827aa9df3a73f014f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の酸素はなぜ減るのか。「貧酸素水塊」ができる仕組み</h2><p>――「貧酸素水塊」とはどのような状態を指すのでしょうか。</p><p>筧さん（以下、敬称略）：私たちが空気中にある酸素を呼吸に使っているのと同じように、海の生き物も海に溶け込んでいる酸素を使って呼吸します。この酸素を、専門的には「溶存酸素（ようぞんさんそ※）」と呼んでいます。</p><p>この「溶存酸素」の濃度が低くなった状態が「貧酸素」です。海水に溶ける酸素の量には限界があり、水温20度の海水では、1リットルあたり5ミリリットル程度。わずかな量に感じますが、生き物にとっては欠かせない酸素です。</p><p>そして、「溶存酸素」の濃度が低い水がまとまって存在する状態を「貧酸素水塊」といいます。</p><div id="tnf-text-notes-block_457bcbe15cb128793f0a325322d91238" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「溶存酸素」とは、水に溶けている酸素のこと</div><p>――なぜ海の中で酸素が不足するのでしょうか。</p><p>筧：水温が高くなると、酸素は海水に溶けにくくなります。加えて、海の中の酸素は、多くの生物の呼吸によって消費されています。なかでも数が多いのは、バクテリアやプランクトンなどの微生物です。</p><p>一方で、海には酸素を補う働きもあります。海面から大気中の酸素が溶け込むこと、そして植物プランクトンや海藻が光合成によって酸素を生み出す働きです。しかし、海面から離れた光が届かない水深帯では、光合成によって酸素を生み出すことができません。</p><p>さらに、水の流れが弱い場所では、周囲の水と入れ替わりにくくなり、酸素だけが消費され続けます。こうして水が周囲と混ざらずに、取り残される状態を「水の孤立化」と呼びます。</p><p>密閉された空間で酸素が少しずつ減っていくのと同じことが海の中でも起こり、やがて酸素の少ない水が広がっていくのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00011.jpg">「貧酸素水塊」が発生するメカニズム。バクテリアが有機物を分解する際の呼吸に加え、海中の水の混合が弱まって、酸素が補給されにくくなることで発生する。監修：筧茂穂<h2 id="tnf-text-heading-block_724509a21f332302a4e992eeedff8609" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「貧酸素水塊」が発生しやすい条件は、成層、地形、人間活動</h2><p>――「貧酸素水塊」が発生しやすい条件はあるのでしょうか。</p><p>筧：水の流れが滞りやすい場所では、酸素の供給が限られるため、貧酸素が起きやすくなります。例えば、海底のくぼ地、航路を掘った場所、防波堤で囲まれた港内などです。</p><p>もう1つ、「貧酸素水塊」の発生に関係する現象として「成層（せいそう）」があります。夏になると、海面は日射で暖められますが、深いところには熱が届きにくいため、「上層は暖かく、下層は冷たい」層構造ができます。</p><p>ダイビングをしたことがある方は、表層は暖かいのに、少し潜ると急に冷たく感じた経験があるかもしれません。あの温度差こそが、海の中で「成層」ができている状態です。</p><p>冷たい下層の水は上層と混ざりにくく、孤立しやすくなります。すると、孤立した水の中で酸素の消費が進み、貧酸素化が起こります。大きな湾では、夏場に成層の状態が強まり、海底付近で「貧酸素水塊」が発生しやすくなります。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生には、人間の活動も影響を及ぼしているのでしょうか。</p><p>筧：河川を通じた農業排水や下水の流入による海水の富栄養化（※）、そして地球温暖化による水温上昇などは、人間活動が影響していると考えられています。</p><p>ただ、「貧酸素水塊」は必ずしも人間活動だけが原因というわけではありません。成層の構造や、地形の条件によっても発生しますし、太古の昔から貧酸素は存在していたと考えられています。</p><p>例えば、大分県の別府湾では、かつて貧酸素状態が続いていたことを示す痕跡が見つかっています。本来は分解されやすいイワシのうろこが海底に残っており、海底が酸素の乏しい環境だったため、有機物の分解が進みにくかった可能性を示す証拠の1つとされています。</p><div id="tnf-text-notes-block_b221d9ef87d66423a3c1fd51cb46f845" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「富栄養化」とは、海や湖、河川などの水域に、窒素やリンといった栄養分が過剰に流れ込み、プランクトン等が増え過ぎる状態のこと。もともとは自然の変化を指す言葉だったが、近年は生活排水や農業排水など人間活動によって栄養分が増える現象を指して使われることが多い</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00002.jpeg"><p>――「貧酸素水塊」の発生は、気象条件によっても左右されるのでしょうか。</p><p>筧：はい。例えば、強い日差しで海面が暖められたり、大雨で川から塩分の少ない水が流れ込んだりすると、表層の水は軽くなって上にとどまりやすくなります。こうして、成層が強まり、貧酸素化が進行します。</p><p>一方で、台風や強い風によって海が大きくかき混ぜられると、成層は崩れやすくなります。上下の水が混ざることで酸素が行き渡り、貧酸素が解消されることもあります。そのため、しけの日（海が荒れている日）が多い年は、貧酸素が起こりにくかったり、あるいは発生しても解消しやすかったりする傾向があります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f0d82ddcdb4b189d2ea8ce915aa7f900" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">内湾に多発する「貧酸素水塊」、地形と気候変動の影響</h2><p>――最近の発生状況はどうなっていますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>筧：改善している地域もありますが、全国各地で発生しています。特に発生しやすいのが、内湾と呼ばれる閉鎖性の高い湾です。外海との水の交換が限られ、成層が強まりやすいためです。</p><p>代表的なのは、東京湾、伊勢湾、大阪湾、瀬戸内海です。いずれも湾口が比較的狭く、水が滞留しやすい地形を持っています。そして、規模の小さい湾でも、入り口が狭く水の流れが弱い場所では、同様に貧酸素が起こりやすい傾向にあります。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00003.jpg">湾口が狭く、外の海との水の交換が限られる伊勢湾の地形。出典：環境省ホームページ</div></div><p>――ということは、日本は地形的に「貧酸素水塊」が発生しやすいのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>筧：比較的、発生しやすい環境だと思いますね。日本には内湾が多く、外海との水の交換が限られやすい地形が各地にあります。</p><p>例えば、伊勢湾は湾口が狭く水が滞留しやすいことに加え、湾の中央には海底が深くくぼんだ場所があります。こうした地形では、深いところにたまった水が外と入れ替わりにくくなります。夏場には成層も加わって、「貧酸素水塊」が発生しやすくなります。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00012.jpg"></div></div><div id="tnf-text-notes-block_275dfaa300effd2c53665a87db6fb674" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※水中の実際の溶存酸素量が、その時の温度や気圧における最大溶解量（飽和溶存酸素量）に対してどの程度の割合かを示す指標のこと</div><p>――「貧酸素水塊」の発生には、気候変動も関係しているのでしょうか。</p><p>筧：関係は大きいといわれています。ここ数年、集中豪雨や洪水が各地で増えていますが、大量に雨が降ると、河川から土砂や栄養塩（※）、有機物などが海へ流れ込みます。</p><p>海に流れ込んだ有機物は、バクテリアによって分解され、その過程で酸素が消費されます。有機物が多いほど酸素の消費量も増えるため、「貧酸素水塊」が発生しやすい条件が整います。</p><div id="tnf-text-notes-block_20a233bc9b8fbc0eaea22c735f9cdc58" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「栄養塩」とは、主に窒素やリンなど、生物が生命活動を営む上で必要な主要元素のこと。工場排水や生活排水、農地からの流出水などに含まれ、水環境に過剰に排出されると、赤潮や青潮などの深刻な環境被害を引き起こすことがある</div><p>――地球温暖化による気温の上昇も影響していますか。</p><p>筧：はい。本来であれば、冬に海面が冷やされることで水が重くなり、海の水が上下に混ざって海底付近にも酸素が補給されます。いわば自然の“リセット”です。しかし、気候変動によって冬の冷え込みが弱まると、この混合が十分に起きない可能性があります。</p><p>その結果、海底付近の酸素濃度がやや低い状態のまま春を迎え、再び夏の成層が始まります。これが毎年積み重なることで、貧酸素がより深刻化する恐れがあると考えられています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b53f5c41e92a7e9a25aee0b58fdf3dcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「赤潮」は貧酸素を強め、「青潮」は無酸素状態のサイン</h2><p>――「赤潮」とはどんなものでしょうか、また「貧酸素水塊」とはどのような関係があるのでしょうか。</p><p>筧：そもそも「赤潮」は、植物プランクトンが大量に増殖し、海水が赤や茶色に見える現象です。</p><p>「赤潮」そのものが、直接的に「貧酸素水塊」を生み出すわけではありません。ただし、植物プランクトンも生き物です。大量に増殖していると、昼間は光合成をしますが、夜間に酸素を多く消費するため、局所的に酸素濃度が下がることがあります。</p><p>さらに重要なのは、「赤潮」が終わった後です。増えた植物プランクトンが死ぬと、有機物として海底へ沈み、それをバクテリアが分解する過程で酸素が消費されます。その結果、海底付近で貧酸素化が進行します。つまり「赤潮」は、間接的に貧酸素を強める要因となり得ます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00005-1024x683.jpg">赤潮が発生した様子<p>――では、「青潮」とはどんなものでしょうか、また「貧酸素水塊」とはどのような関係があるのでしょうか。</p><p>筧：「青潮」は、貧酸素化がさらに進行し、酸素がほぼゼロになった「無酸素水塊」が関係しています。</p><p>海が無酸素状態になると、今度は酸素を使わない「嫌気性細菌（※）」が活動を始めます。その過程で硫化物が生成されます。この硫化物を含んだ無酸素水が、風の影響で海面近くまで持ち上がると、海面付近の酸素と反応します。すると、硫黄の微粒子ができ、それが青白く見える。これが「青潮」です。</p><div id="tnf-text-notes-block_7afcc7df2f4939420fc2bbac21fb0921" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「嫌気性細菌」とは、酸素がある環境では生育できない、または生育しにくい細菌のこと。酸素の少ない土壌や海底、動物の体内などに生息し、酸素を使わない「嫌気呼吸」等によってエネルギーを得る</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00007-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4534c9a6eb8da1ade00525c5a7398916" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧酸素が漁業に与える影響と自然現象としての側面</h2><p>――海の中の酸素が少なくなると、養殖業や水産業にも影響がありますか。</p><p>筧：すでに各地で影響が出ています。特に夏場になると「網を引いてもほとんど何も入らない」という漁師さんの声を聞きます。</p><p>海底付近で暮らす生き物は深刻な状況にあります。エビやカニなどの甲殻類は、酸素濃度が下がると弱りやすく、クルマエビのように海底近くで暮らす生物は強い影響を受けます。</p><p>一方で、魚はある程度泳いで移動できるため、酸素が足りなくなると条件の良い場所へ逃げることができます。しかし、アサリや赤貝などの貝類はほとんど動けません。逃げ場がないため、貧酸素が長く続くと成長に悪影響が出たり、大量死につながったりします。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生は、時代とともに変化しているのでしょうか。</p><p>筧：1970年代の高度経済成長期には、水質汚濁が深刻でした。栄養塩や有機物を多く含んだ川の水がそのまま海へ流れ込んでいた時代です。海水の富栄養化が進み、赤潮や悪臭が問題になり、貧酸素も今より頻繁に起きていました。</p><p>その後、排水規制や下水処理の整備が進み、水質は大きく改善しました。1970年代と比べれば、「貧酸素水塊」を減らす対策も進み、発生頻度はかなり抑えられています。</p><p>ただし、「貧酸素水塊」を完全になくすことはできません。海は水槽のように外と切り離された空間ではなく、川や外洋とつながっています。外から栄養分が流れ込めばプランクトンが増えます。増えたプランクトンが沈んで分解されると、酸素は消費されます。これは自然の循環の一部でもあります。</p><p>つまり、人間による汚染は減りましたが、「貧酸素水塊」そのものは自然のプロセスの中でも起こり得る現象だということです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c7e28a5235f2caace3275d5b083a150c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貧酸素は必ずしも悪ではない、海のバランスを取り戻すことが重要</h2><p>――「貧酸素水塊」を減らすために、どのような対策が行われているのでしょうか。</p><p>筧：まずは、海に流れ込む有機物を減らすことです。下水処理を高度化し、川から海に入る汚れを減らす取り組みが進められています。</p><p>また、すでに海底にとどまっている有機物を除去する取り組みや、汚泥が堆積した海底をきれいな砂で覆う「覆砂（ふくさ）」という方法もあります。海底の泥と海水が直接触れにくくなることで、酸素の消費を抑える効果が期待されています。</p><p>ただ、こうした対策には費用や労力がかかり、効果も長続きするとは限らないため、継続的な取り組みが必要になります。</p><p>例えば、瀬戸内海沿岸では、自治体が主体となって対策を進めています。そのほか、漁業者が協力し、現場での取り組みを続けている地域もあります。</p><p>――今後、「貧酸素水塊」が長期化した場合、どのような影響がありますか。</p><p>筧：一概には言えず、難しいところですが、必ずしも全てが悪い影響とは限りません。</p><p>もちろん、規模が大きくなり過ぎたり、長期間続いたりすれば、漁業や生態系に深刻な影響を及ぼします。ただ、夏の限られた期間だけ発生し、その時期に漁業や養殖業への影響が小さい場合には、大きな問題にならないこともあります。</p><p>貧酸素化の過程では、海中の有機物が分解され、窒素やリンといった栄養分に変わります。つまり、酸素が消費される一方で、海の中で栄養が再生産される側面もあるのです。</p><p>近年は、海に流れ込む有機物を減らす対策が進んだことで、逆に海の栄養が不足している面もあるんです。</p><p>――「貧酸素水塊」の発生を事前に把握することはできますか。</p><p>筧：研究が進み、どんな条件で貧酸素が起きやすいかは、かなり分かってきました。水中にセンサーを設置し、水温や溶存酸素濃度をリアルタイムで測定する仕組みも広がっています。</p><p>こうしたシステムを活用すれば、酸素が減る前に「養殖いけす」を移動させることによって、被害を減らす対応が可能になります。重要なのは、「貧酸素水塊」を一律に悪いものと捉えるのではなく、状況に応じて向き合うことだと思います。</p><p>――持続可能な日本の海を実現するために、どのような未来像を描いていますか。</p><p>筧：1970年代は、栄養塩や有機物が大量に海に流れ込むことが問題でした。しかし現在は、むしろ栄養分である窒素やリンの不足によって、ノリの色落ちが起きたり、イカナゴのような小魚が減ったりしています。小魚が減れば、それを餌にする魚も減ってしまい、漁獲量の減少にもつながっているのです。</p><p>こうした状況を踏まえ、近年は赤潮の発生に注意しながら、必要な場所には栄養が行き渡るよう海の環境を管理する取り組みも進められています。</p><p>中国の言葉に「水清ければ魚すまず」というものがありますが、海の水をきれいにすることだけを正義として進めるのが必ずしも適切とは限りません。海水の有機物を減らすか増やすかという単純な二択ではなく、海全体を見ながらバランスを整えていくことが、持続可能な海につながるのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/hinsanso00001-1024x768.jpg">筧さんが勤める水産研究・教育機構の宮城県塩釜庁舎からは松島湾が眺められる。松島湾でも夏季に海底付近の酸素が減少する現象が観測されている。写真提供：筧茂穂<h2 id="tnf-text-heading-block_20fd51efd58865e59800fa550cce860e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来の海や食卓を守るために、私たち一人一人ができること</h2><p>筧さんから、未来の海や食卓を守るために、社会全体や私たち一人一人ができる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_505ab74cd221b08121c45b8ea52b24bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自然を体験し、守りたいという気持ちを持つ</h2><p>海だけでなく、川や山にも足を運び、その大きさや美しさ、ときには怖さも含めて体験し、自然を感じてみることが大切。実体験を通じて「この景色がこれからも続いてほしい」と感じる心が、自然を守ろうとする意識につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b93ac7beba754074fc7e59e5c6233df8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］海ごみを減らすために、身近な行動を見直す</h2><p>ごみを捨てないことはもちろん、プラスチックをできるだけ減らすこと。特にマイクロプラスチックの問題は深刻になっているため、まずは海ごみやマイクロプラスチックの問題について知る、そして身近なところから減らす努力をする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b00f1aa9c4dc8ce5f1c92033d6fb9cbb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］日常の積み重ねが、「未来の環境を守る」と意識する</h2><p>無理に大きなことをするというよりも、自分が日常生活の中で排出している二酸化炭素が気候に影響しているかもしれない、という感覚を持つことが大切。“ちょっとそこまで”なら車を使わずに徒歩や自転車で移動するといった、日常の積み重ねが未来の環境を守ることにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材は、「海の酸欠」と呼ばれる現象があると知ったことがきっかけでした。調べていくうちに、漁業や食卓に影響するといわれる「貧酸素水塊」について、きちんと理解したいと思うようになりました。</p><p>取材を通して、海の中の酸素濃度が季節や気候条件によって変動していることや、場所によっては栄養不足が問題になっていることを知りました。日本は海に囲まれているのに、まだまだ知らないことがたくさんあると感じます。</p><p>海へ行く機会がないという人も、水族館でさまざまな生き物を見て海の豊かさに触れたり、おいしい寿司を味わったりする機会はあります。そんなときに、「これからも魚たちが生き続けるために」「これからもおいしい魚を食べ続けるために」と、少しだけ海に思いを巡らせてみていただければと思います。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>災害時、言葉にできない不安を抱える子どものために、大人が知っておくべき「心のケア」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/121023/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 07 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>災害という非常事態に対して、子どもに心や体の不調、行動の変化が表れるのは正常な反応</li><li>災害時、子どものSOSは気づきにくい。また、発災時のショッキングな映像を見たり、取材を受けたりすることは心の大きな負担になる可能性も</li><li>大人は子どもに表れやすいストレス反応を理解し、災害時も子どもが安心して過ごせるよう守る責任がある</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>もし、大規模災害でいつもの生活が失われたら――。</p><p>突然日常が奪われ、家族や地域の人たちも余裕を失う状況で、子どもに対してどう接すればよいのか、戸惑う保護者も少なくありません。</p><p>大規模災害では、家の倒壊や親族との離別、慣れない避難生活といった非日常の中で、子どもたちは強いストレスを抱えやすくなります。</p><p>しかし、発達の途中にある子どもは、不安や恐怖を言葉で表現できないこともあります。その代わりに、「赤ちゃん返り」「無口になる」といった行動の変化、情緒の不安定、体調不良という形でストレスを表出させる場合があります。</p><p>そんなとき、子どもの心を回復させるために重要な役割を担うのが、保護者や教師、地域住民などの身近な大人です。一方で、大人自身も被災という非常事態にあるため、子どもの変化を適切に理解し、細やかに対応することも難しい状況にあります。</p><p>そこで参考にしたいのが、一般社団法人日本児童青年精神医学会 災害対策委員会が作成した<a href="https://child-adolesc.jp/saigai/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『災害下における子どものこころのケアの手引きとリーフレット』</a>です。東日本大震災や熊本地震などの支援経験と医学的知見をもとに、子どもに起こり得る変化や、大人ができる対応を分かりやすく解説しています。</p><p>自然災害が多く発生する日本では、いつ誰が被災し、避難所で子どもと共に生活することになるかは分かりません。本記事では、日本児童青年精神医学会の中西大介（なかにし・だいすけ）さんに、災害時に子どもに起こりやすい変化と、身近な大人ができる心のケアについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00007-1024x575.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_0e7cd4bc8e7294a15984b454278ac0b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害時、「行動」「心」「体」に表れる「変化」は正常な反応</h2><p>――大規模災害が起こったとき、子どもはどんなストレスを抱えやすいのでしょうか。</p><p>中西さん（以下、敬称略）：まず挙げられるのが、「災害による破壊と喪失によるストレス」です。具体的に言うと、大切な家族や友人、ペットなどとの別れ、それまでの生活空間や大切なおもちゃ、思い出の品などを失うことです。</p><p>さらに、被災によって生活様式が劇的に変わることによる二次的なストレスも生じます。長く続く避難所や仮設住宅での生活、転居などは、子どもにとって大きな負荷となり得ます。</p><p>これらのストレスは、「行動の反応」「心の反応」「体の反応」といったさまざまな形で表れることがあります。</p><p>いずれも、非常事態から心や体を守るための正常な防衛反応です。私たちは、こうした反応がどんな子にも起こり得ると知っておく必要があります。</p><p>――知識がなければ、病気による不調やわがままだと思ってしまう人も多そうです。</p><p>中西：年齢や発達段階によって異なりますが、症状や特徴がはっきりしない上、子ども自身が自分に起きている変化を捉えて、言葉で表現するのは難しいことなので、見落とされたり、誤解されたりしやすいんです。</p><p>それに、災害時は大人も余裕がなく、子どもの些細な変化に気づきにくくなります。</p><p>――こうした反応は、いつ頃治まるのでしょうか。</p><p>中西：回復の経過は個人差が大きいのですが、ほとんどの子どもは「安心・安全を実感できる生活」を送るうちに回復していきます。</p><p>また、災害が発生してから1カ月程度の間に適切なケアを受けられると、精神医学的な問題が起きるのを一定程度予防できると考えられています。</p><p>ただし、生活が再建されても不安定さが続くときは、自治体の子育て支援の窓口や保健師、スクールカウンセラー、かかりつけの小児科などに相談しましょう。必要に応じて、専門的な医療機関を紹介されることもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00004.jpg">子どもに現れやすい行動面のストレス反応の例。事前に知っておくと誤解や過小、過大評価を防げる。出典：日本児童青年精神医学会「保護者向けリーフレット」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_65315b458ce109e68629d214dce32150" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災によって失われる「世界への基本的な信頼感」</h2><p>――被災した子どもには、どう接すればいいのでしょうか。</p><p>中西：大人が子どもの変化に過敏に反応すると、かえって不安を強めることがあります。「災害時、子どもにストレス反応が表れるのは正常」だと認識し、できるだけいつもと同じように接すること、規則正しい生活を維持することが大切です。</p><p>子どもにとっての被災経験は「世界に対する基本的な信頼感や安心感」が失われる衝撃的な出来事です。無力感にさいなまれ、自分自身に対する信頼や自信さえも失います。そこから回復するには「自分は独りぼっちじゃない。周りの大人から守られ、尊重されている」と感じられることが重要です。</p><p>子どもの変化を受け止めるには大人自身の安定も必要です。しかし、非常事態にいるのは大人も同じ。心や体にさまざまな反応が表れることも当然あります。</p><p>大人もつらいときは周囲に相談し、助けを求めましょう。そうした姿は、子どもにとって「人を頼ってもいい」という手本にもなります。</p><p>――子どもに安心感を与えられる、具体的な行動を教えてもらえますか。</p><p>中西：まずは、真摯に話を聞くことですね。余計なことを言わず、根掘り葉掘り質問せず、本人が話したいことを、話したいときに、話してもらう。感情が爆発しても受け止める。そうした関わりの繰り返しで、不安定さは徐々に落ち着いていきます。</p><p>自分の心身の変化に戸惑う子どもには、なぜそうしたことが起きるのか、その子が理解できる言葉で説明しましょう。その上で「誰にでも起こることなんだよ」「つらさは無理に押さえ込まず、外に出していいんだよ」と伝えてください。</p><p>生活が徐々に戻り、学校での集団生活が再開すると、「被災したのはみんな同じなのに、自分だけが泣き言を言っている」と感じ、不安な気持ちや自身に起こっている体験を表に出しにくくなる子もいます。</p><p>そうした子には、「相談したいときには相談できる環境があるよ」と繰り返し伝え、これまで日常的に関わってきた大人と近況を話せる機会をつくることも大切です。</p><p>――被災した子どもは「地震ごっこ」や「津波ごっこ」をすることもあると聞きます。大人はどう対応すべきでしょうか。</p><p>中西：子どもはそれらの遊びを通して、心の中の不安を表現し、克服しようとしているんです。不安や恐怖が解消されれば、こうした遊びは徐々に消失します。「不謹慎だ」といった言葉で否定や禁止をせず、見守るのが原則です。</p><p>ただし、その遊びを見て嫌がる子がいるときは、別の場所に誘導しましょう。また、遊びによって不安がますます高まっている様子を目にしたら、穏やかに介入し、安心・安全な結末に誘導するといった配慮も必要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00009-1024x425.jpg">災害による心身の変化は個人の弱さではなく、誰にでも起こり得るもの。表に出してもよいことを伝えることが大切<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00011-1024x724.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_da7501dc01f13313e33ceadadfa897e3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">死別を経験した子、障害のある子、特別な配慮が必要な子</h2><p>――家族や大切な人を亡くした子どもには、どう関わればいいのでしょうか。</p><p>中西：子どもが幼い場合、大人は「言っても理解できないだろう」と思い込み、死について語ることを避けがちです。</p><p>しかし、大切な人の死をその子が理解できるよう、丁寧に伝え、語り合うことは、子どもが何歳であっても必ずしてほしいです。</p><p>その際、できるだけシンプルに分かりやすく伝えることが重要です。例えば、「遠く長い旅に出た」「長い眠りについた」といった表現を使うよりも、正確な事実を必要なだけ伝えてください。事実を曖昧にして放置すると、逆に不安を強め、死を自分の落ち度や責任と思い込む可能性があるからです。</p><p>大切な人の死を理解した子どもは、当然ながら悲しみや怒りをあらわにすることもあります。その子が自分の感情を出しても構わないと思えるよう、感情の表出をさえぎらないようにしてください。</p><p>お通夜や葬儀にも、本人が希望するなら参加させましょう。嫌がる場合は無理強いをせず、線香やろうそくを灯してお祈りをする、亡くなった方の写真を整理する、という形で簡単なお別れの儀式を行うことも1つの方法です。</p><p>そうした体験を通して、徐々に喪失の悲しみを乗り越え、いずれは前に進めるようにつなげることが大切です。</p><p>――発達障害や知的障害のある子どもとの、被災後の関わり方についても教えてください。</p><p>中西：一人一人特性が異なるので、支援の方法はさまざまです。しかし、普段と違う支援をすると、余計に混乱を助長してしまうこともあります。家族以外の大人は、本人や家族をよく知る支援者に、対応策や支援法を確認してもらえたらと思います。</p><p>発達障害のある子どもは変化が苦手で、周囲の刺激の影響を受けやすい傾向があります。また、見通しの立たないことに強い不安を感じることも多いです。</p><p>避難生活では、「感覚の過敏さや鈍感さが強くなる」「不安から奇妙な行動をする」「落ち着きがなくなる」「他者の働きかけに強い抵抗を示す」といった特徴が目立ちがちです。情動の不安定さから大声を上げたり、衝動的に自傷や他害に至ったりすることもあります。周囲の大人が、彼らの不安を軽減できるように関わることがとても重要です。</p><p>――どうすれば不安を軽減できるのでしょうか。</p><p>中西：可能な範囲でその子に適した環境調整をすること、簡単な日課を作って見通しが持てる生活をできるよう支援することがカギになります。</p><p>また、家族に発達障害や知的障害のある子がいる場合は、子どもの特性を周りの人に伝え、理解を求めていくことも大切です。</p><p>障害のある子どもがいる家庭は、周囲に遠慮して避難所での生活を避け、車中泊や損壊した家での孤立した生活を余儀なくされているケースもあると聞きます。それを避けるためにも普段から地域の中でつながりを持ち、頼れる関係性を築いておくとよいでしょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00010-1024x383.jpg">発達障害のある子どもを持つ家族は、子どもが安心できるアイテムやおもちゃを、いつでも持ち運べるよう、準備しておくことが大切だという<h2 id="tnf-text-heading-block_575c10a49f9fe2a17d08dfe373f3b978" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">報道に映る被災地の子どもの笑顔、実際は深く傷ついていることも</h2><p>――被災をきっかけにPTSDや抑うつ、不安障害などを発症する子どももいると聞きます。発症リスクを上げる要因にはどのようなものがありますか。</p><p>中西：この点については、不確かな回答を避けるため、学術的な説明になることをご理解いただければと思います。</p><p>東日本大震災後の実践報告や研究データを見ていると、震災から数年を経てトラウマに関連する症状で受診する子どもの特徴として、以下の点が挙げられます（※1）。</p>震災前に何らかのトラウマ体験がある心的外傷後ストレス障害（PTSD）の症状がみられる情動コントロール（※2）の困難さがある対人不信や否定的自己観など、対人的な傷つきの蓄積による問題を持っている診断ができるかどうかは別として、発達障害の特性を持っている<p>また、さらに長期的な治療が必要となる子どもは、次の特徴も併せ持ちます。</p>圧倒的な喪失体験を持っている行動と情緒の問題が深刻である転居や転校によって、トラウマ体験を共有できる仲間がいる環境に置かれていない家族のサポートが得られにくい環境に置かれている<div id="tnf-text-notes-block_cec949e4e7f6303aec85f85b75c7ca19" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：「被災地の子どものこころのケア　東日本大震災のケースからみる支援の実際」編著，松浦直己　著者，八木淳子・福地成・枡屋二郎：2018中央法規出版※2.「情動コントロール」とは、不安や怒り、焦りなどの不快な感情によって生じるストレスに対し、自分の気持ちや状況を整理し、感情の高ぶりを落ち着かせていく働きのこと </div><p>――では、災害後に子どもが精神疾患を発症するような深刻な問題は、周囲の環境や支援によって軽減できるのでしょうか。</p><p>中西：自然災害ではありませんが、2001年の「アメリカ同時多発テロ事件」の後にも、PTSDや広場恐怖症（※1）、予期不安（※2）、アルコール依存などの精神疾患を抱える子どもが報告されています。</p><p>ただし、爆心地周辺の地域（グラウンド・ゼロ地区）の学校に通っていた子どもたちは、精神的な問題の程度がむしろ軽かったことが分かっています（※3）。これは、事件後に行われた、手厚い社会的サポートとメンタルヘルス支援の結果によるものと推測されています。</p><p>つまり、ニーズに合わせた社会的なサポートや心理的な支援の介入によって、精神的な問題の発生はある程度予防、軽減できる可能性があるということです。このことは、希望となり得る情報ではないでしょうか。</p><p>ちなみに、同時多発テロ後の研究では、報道への曝露、つまり被災地のショッキングな映像を目にすることが、子どもの精神的な問題の発生リスクを増大させることも明らかになりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_9f2e8506e6551cd42eb7edce13789e6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「広場恐怖症」とは、特定の場所（広場に限らない）で、強い恐怖や不安を感じてしまい、日常生活に支障をきたす病気のこと※2.「予期不安」とは、発作が起こっていないときに、また発作を起こすのではないか、次に発作が起こったら死んでしまうのではないか、あの場所に行ったら発作が起こるのではないかと不安に感じる症状のこと※3.出典：Hoven et al. Psychopathology among New York City public school 6 months after September 11.Arch Gen Psychiatry 62:545-552,2005</div><p>――報道で被災地のショッキングな映像を目にする影響について、詳しく教えてください。</p><p>中西：災害発生時に報道される被災地のリアルな情報は、大人にとっては必要なこともあります。ただし、子どもが目にした場合は強い不安や動揺を引き起こしかねません。</p><p>さらに、ネット上で規制なしに溢れる情報の中には、とてもショッキングなものがあるにもかかわらず簡単に閲覧できてしまうものもあります。</p><p>このことは、全国の多くの児童精神科医が憂慮している事態のひとつです。報道関係者も周囲の大人もこの重大さを理解し、子どもを守る責務を強く認識してもらいたいです。</p><p>――また、被災地の子どもの様子を伝える報道については、どのような点に注意が必要でしょうか。</p><p>中西：報道を見ていると、避難所で子どもが元気そうにしている姿が映し出されることがありますよね。見ている人は「被災地でも元気に過ごしている子がいるんだ」と安心したり、勇気付けられたりするかもしれません。</p><p>しかし、実際には、深く傷つき、疲れている子どもがカメラを向けられ、知らず知らずのうちに演技をしていることもあります。</p><p>子どもたちは「みんなで頑張ろう」というシンボルとして扱われがちですが、彼らは俳優ではありません。周囲の大人は子どもへの配慮が必要であることを理解し、「取材に協力するかしないかは、自分で選んでいいんだよ」と伝えることで、子どもを守ってほしいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8ab5cf3695742a6fc758a734d4367ede" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害時の子どものケアの拡充には、複数分野の連携が不可欠</h2><p>――「災害時の子どもの心のケア」に関する体制の現状と、今後の展望を聞かせてください。</p><p>中西：現在もすでに、医療、保健、教育、福祉などの分野で支援が行われており、今後の支援についても検討が進められています。ただ、それぞれの分野に従事する人たちが、互いの準備や取り組みについて知る機会は極めて限定的です。本来は、複数の分野が「連携する」必要があります。</p><p>というのも、実際に災害が起こったとき、1つの機関だけでは対応しきれない可能性が高いからです。ただ、どの分野でも人手が不足しているため、災害時の他機関との連携を平時から検討する余裕がある機関はほとんどありません。各地域の子どもに関わる職員が一堂に会し、災害に関する研修会を開く機会が必要だと思います。</p><p>災害をはじめとするさまざまなストレスによって心的外傷を受け、治療が必要になる子どもは決して珍しくはありません。今後はぜひ、国や自治体が主導して各地域にトラウマケアの拠点施設を設置し、専門人材の育成や災害時の心のケア体制の整備を進めてほしいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/saigaijinokodomo00003-1024x383.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_8e46e4a0a826d3b2b7a2e9a0321c817b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※上記の資料は、災害時の子どものこころのケアに関する基本的な考え方をまとめたものであり、実際の支援では被災地の状況に応じた対応が求められる。また、平時の備えの重要性を踏まえて公開しているもので、使用の際は改変せず現行のまま利用することが求められている</div><h2 id="tnf-text-heading-block_b2d0ec119e3dae1468cb4412d39d90f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災した子どもを支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>災害時に子どもたちを支えるために、私たち大人にできることについて、中西さんから3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ea23d78875a413773e3164d00cb098f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 平時から「災害時の子ども特有の反応」について知っておく</h2><p>子どもが災害時にどんな反応を示すかをあらかじめ知っておけば、適切な対応をとれるようになる。日本児童青年精神医学会が公開している「被災地支援者向け講義資料」「保護者向けリーフレット」「災害時の障害児への対応のための手引き」を参考に、正しい知識を身に付けておく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7698ce01db54a4653f7fd4e1dd5b1a9d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 地域で顔の見える関係をつくっておく</h2><p>普段から地域住民同士のつながりをつくっておくことが大切。特に障害のある子どもがいる家庭は、子どもの特性から避難所を避けてしまうこともある。日頃から関係を築いておくことで、いざというときに支え合いやすくなり、子どもの変化にも周囲の大人が気づきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_074b5bce9d2cd0fd7df7249aed1968cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 子どもを支える大人も、自身の心のケアをする</h2><p>災害時は子どもも大人も被災者。自分自身も傷ついている可能性があり、ストレス反応が表れるのは自然なことだと理解し、助けを求めたり休息をとったりして、心のケアをおざなりにしない。そうした大人の姿勢を見せることが、子どもが素直に傷つきを表現できる環境につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>昨今では、「災害後のこころのケア」の必要性について話題になることも増えましたが、「子ども特有のこころのケア」に焦点が当たるのは、どうしても後回しになりがちだと感じ、中西さんにお話を伺いました。</p><p>中西さんが語ってくれた、「災害によって、子どもは世界や自分自身に対する信頼感を失う」「非常事態の後にストレス反応が起こるのは正常」「過剰に反応せず、普段通りの生活を守ってあげることが大切」という事実。災害によって傷ついた子どもと接する可能性が誰にでもあると考えると、全ての大人が知っておくべきことだと感じました。</p><p>また、報道を通じて被災地のショッキングな映像を目にすることや、被災地の子どもが取材を受けることのリスクについてのお話がとても印象的でした。多くの場合、子どもたちは自分の意思でこうした事態を回避することはできません。私たち一人一人が、大人として子どもの心を守る責任を負うことの大切さを痛感させられる取材でした。</p><div id="tnf-text-notes-block_845e2000aa5b4f54772fed407c46cb32" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※記事内で紹介している日本児童青年精神医学会の資料は、同学会の<a href="https://child-adolesc.jp/saigai/" target="_blank" rel="noopener">公式ホームページ（外部リンク）</a>で閲覧可能</div><p></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 08 Apr 2026 01:28:44 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の社会課題一覧</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/121254</link>
      <pubDate>Fri, 03 Apr 2026 12:35:15 +0000</pubDate>
      
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<p>知っているようで、実はよく知らない。私たちの暮らしの中にある社会課題を、改めて見つめ直してみませんか？</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>120958</guid>
      <title>日本のジェンダー・多様性に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120958/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 02 Apr 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>現代社会における一人一人の生き方や背景はますます多様化しています。性別や出身国、障害の有無にかかわらず、誰もが自分らしく生き、その個性を尊重し合える社会を築くことが求められています。</p><p>しかし現実には、ジェンダーギャップや性的マイノリティーへの無理解、外国にルーツを持つ人々が直面する言葉や文化の壁、過ちを犯した人の再出発が難しい社会の厳しさや、障害者の就労における機会の格差など、多様性を包み込むための道のりには多層的な課題が山積しています。</p><p>誰もが尊厳を持って共に生活し、それぞれの可能性を最大限に広げられる未来を築くために、私たちは現状をどのように捉え、解決に向けて具体的にどのような行動をとるべきでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●ジェンダーギャップ</a></p><p><a href="#link2">●性的マイノリティー</a></p><p><a href="#link3">●多文化共生（外国ルーツの子どもを含む）</a></p><p><a href="#link4">●更生しづらい社会</a></p><p><a href="#link5">●障害者の自立（就労・雇用）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">ジェンダーギャップ</h2><p>ジェンダーギャップとは、社会における男女間の格差や不平等のことです。</p><p>世界経済フォーラムが公表する「ジェンダー・ギャップ指数（GGI）2025」において、G7に属する先進国が50位以内となるなか、日本は148カ国中118位と著しく低水準の結果となりました。特に政治と経済の分野での遅れが顕著です。</p><p>政治面では、直近の2026年衆院選における女性当選者は68人で、当選者全体に占める割合は14.6パーセントでした。経済面でも、管理的職業に従事する女性の割合は15.3パーセントと低いほか、男性の賃金を100とした場合の女性の賃金は75.8という大きな格差が生じているのが現状です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500006.jpg"><p>是正のためには「家事・育児・介護は女性の仕事」といった固定的な性別役割分担意識・無意識の思い込み（アンコンシャス・バイアス）の解消や、長時間労働の是正やテレワークなどの柔軟な働き方の導入、家事支援サービスの利用促進などにより、男女ともに仕事と生活の負担を軽減する環境整備が重要とされています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_083e02a2b04deddd40003f06e961da12" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ジェンダーギャップをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109406/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地方女子が難関大学を目指しにくい理由とは？ 自由に進路を選択するために（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106987/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ男性は女性優遇に敏感？ 澁谷知美さん、清田隆之さんが語るジェンダー問題（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97905/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">勉強や仕事で「女の子だから」差別（さべつ）されることがある？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90358/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本にパリテは可能？　議員の「男女平等」のヒントを専門家に聞いた（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">性的マイノリティー</h2><p>性的マイノリティーとは、性的指向（好きになる性）やジェンダー・アイデンティティー（性自認）が多数派と異なる人々のことです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500002.jpg"><p><a href="https://tokyorainbowpride.org/learn/lgbtq/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人東京レインボープライド（外部リンク）</a>によれば、性のあり方は「法律上の性別」「性自認・性同一性」「性的指向」「性表現」の4つの要素で構成されており、誰もがその要素の中に存在しています。近年の調査では、調査機関や調査方法によってデータにバラつきがあるものの、性的マイノリティに該当する人は人口の約3パーセントから10パーセントの割合で存在するといわれています。</p><p>しかし、社会には依然として根強い偏見や差別が残っており、学校でのいじめや就職における不利益、さらには周囲の無理解による孤立など、多くの困難を抱えています。</p><p>今後は、若者が安心して過ごせる居場所の整備や、自治体による「PRIDE指標」への取り組み、性的マイノリティー当事者のことを理解、支援しようとし、偏見や差別をなくすために行動する人である「アライ」を増やす活動など、多様な性が尊重される社会の形を広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_36fd6336c48589cacc579f8f58e39cb6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［性的マイノリティーをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113908/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">性のあり方は多様で一人一人違うもの。LGBTQ+の若者が安心できる居場所とは（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102470/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「アライ」の役割は？　「LGBTQ」など性の多様性を理解するために必要な視点（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/85918/diversity_and_Inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">LGBTQ＋への取り組みを評価する「PRIDE指標」で国立市が最高評価を得た理由（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80401/diversity_and_Inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">LGBTQなど性的マイノリティを取り巻く課題。私たちにできること（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">多文化共生（外国ルーツの子どもを含む）</h2><p>多文化共生とは、国籍などの異なる人々が、互いの文化的差異を認め合い、対等な関係を築こうとしながら、地域社会の一員として共に生きていくことです。</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁の資料（外部リンク）</a>によれば、2025年（令和7年）6月末時点の在留外国人数は395万6,619人と過去最多を更新しており、すでに地域を共につくる「担い手」の一員となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500003.jpg"><p>しかし、急増する外国人を社会の一員として迎えるための課題は多くあり、<a href="https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00094.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁（外部リンク）</a>では主な施策として「外国人が生活のために必要な日本語等を習得できる環境の整備」「外国人の目線に立った情報発信の強化」「ライフステージ・ライフサイクルに応じた支援」などを挙げています。</p><p>今後は、生活上の困りごとを支える「外国人支援コーディネーター」の育成や、多文化交流シェアハウスのような「人とのつながり」を生む住まいの活用を通じ、誰もが取り残されない共生基盤の構築が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_14e6af2018c68a2d5ac333298b4f7d40" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［多文化共生をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90429/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外国人と日本人が半々の国際交流シェアハウスに学ぶ「多文化共生」の糸口（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集【避難民と多文化共生の壁】記事一覧（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">更生しづらい社会</h2><p>更生しづらい社会とは、犯罪を犯した人が罪を償い、やり直しを願っても、社会への復帰が困難な状況にあることを指します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500005.jpg">更正しづらい社会構造が、再犯という負の連鎖を生んでいる<p>近年、刑法犯の検挙人員自体は減少傾向にある反面、再犯者率の高止まりが深刻な課題です。法務省の<a href="https://www.moj.go.jp/content/001451881.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">令和7年版再犯防止推進白書（外部リンク/PDF）</a>よれば、2024年の刑法犯検挙者数は19万1,826人、そのうち再犯者は8万8,697人に上ります。再犯者率は46.2パーセントに達しており、検挙された人の約半数が再び罪を犯しているのが現状です。</p><p>背景には出所後の仕事や住まい、人間関係の欠如が挙げられ、実際に再犯者のうち約8割が犯行時に無職でした。社会の厳しい視線や偏見によって就労機会が限られることが、再犯という負の連鎖を招く大きな要因です。</p><p>今後は、この負の連鎖の理解推進、また日本財団職親プロジェクトのような就労や住居の支援、民間ボランティアである保護司による伴走支援、個々の特性に応じた柔軟な指導を行う「拘禁刑」の活用など、地域ぐるみで立ち直りを支える仕組みを広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fd8f0be19f7640b8c412138140140546" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［更生しづらい社会をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112081/shoku-shin" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出所者の再出発を支える民間ボランティア「保護司」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94985/shoku-shin" target="_blank" rel="noreferrer noopener">刑務所内で就職活動。受刑者専用の求人誌『Chance!!』が生まれた理由 （別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/24698" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被害者も加害者も生まない社会へ～表裏一体の支援事業を行う担当者の思い〜 （別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">障害者の自立（就労・雇用）</h2><p>障害者の自立とは、障害のある人がその特性に応じた支援を受けながら、地域社会の一員として働き、自立した生活を送ることを指します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0500001.jpg"><p>日本には企業に対し一定割合以上の障害者雇用を義務づける「障害者雇用率制度」があり、法律で「法定雇用率」という割合を決め、社会全体で共に生きる仕組みがつくられています。</p><p>厚生労働省の<a href="https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/25/dl/zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 厚生労働白書」（外部リンク/PDF）</a>によれば、民間企業における障害者の雇用者数は2024年6月時点で約67.7万人に達し、21年連続で過去最高を更新しました。民間企業の実雇用率は2.41パーセントまで上昇、特に精神障害者の雇用が対前年比15.7パーセント増と大きく伸び、働く場は着実に広がっています。</p><p>しかし、法定雇用率を達成している企業の割合はいまだ46パーセントに留まっており、法定雇用率未達成企業の約6割が、障害者を一人も雇用していない「障害者雇用ゼロ企業」となっており、企業ごとにばらつきがあるのが現状です。</p><p>この背景には、企業側のノウハウ不足や、障害特性に応じた「合理的配慮」への理解不足が挙げられています。単に人数を増やすだけに留まらず、障害者の能力開発やキャリアアップなど雇用の質向上を図る、短時間の勤務が可能な環境を整えるといった、多様な働き方の受け皿づくりも重要なテーマです。</p><p>今後は、ハローワークなどによる支援に加え、農業の人手不足と障害者の就労問題を同時に解決する「農福連携」といった新しい仕組みを広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0322b6d8ef9aa6df72e5649e23792004" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［障害者の自立をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110444/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">“脱福祉”型就労施設が目指す障害者の経済的自立。活躍できる職場づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101917/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「農福連携」が農業の人手不足と、障害者の就労問題を解決するかも？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/88571/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">就労支援先はクラフトビール醸造所。街ぐるみで取り組むアイコンづくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/28347" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害者と社会成長にコミットする就労支援のカタチ（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.gender.go.jp/international/int_syogaikoku/int_shihyo/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府男女共同参画局「男女共同参画に関する国際的な指数」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/pdf/r07_10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener"></a><a href="https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r07/zentai/pdf/r07_10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府男女共同参画局「令和7年版男女共同参画白書（全体版）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://digital.asahi.com/articles/ASV290J48V29UTFK00VM.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">朝日新聞「衆院選2026｜衆院選で女性候補68人当選、過去2番目の多さ 当選者の14.6%」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://tokyorainbowpride.org/learn/lgbtq/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人東京レインボープライド「LGBTQ+とは」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken04_00126.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「性的マイノリティに関する偏見や差別をなくしましょう」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/kokusai/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省｜地域の国際化の推進（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00057.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁「令和7年6月末現在における在留外国人数について 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD3029O0Q5A730C2000000/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本経済新聞「在留外国人とは 日本の総人口の3%、過半が20~30代 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/isa/support/coexistence/04_00094.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">出入国在留管理庁「外国人材の受入れ・共生のための総合対応策（令和7年度改訂）（概要）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001451881.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省 令和7年12月「令和7年版 再犯防止推進白書（概要）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001410095.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務総合研究所「令和５年版犯罪白書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/25/dl/zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「令和7年版 厚生労働白書」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の国際・政治に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120687/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 31 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>グローバル化が進み、日本でも国外にルーツを持つ人々との共生が日常となっています。移民や難民の方々の人権を尊重し、多様性を認め合いながら、安全で豊かな社会をいかにつくり上げていくかは、今私たちが向き合うべき大きなテーマです。</p><p>さらに、緊迫する安全保障環境や人道支援のあり方、そして民主主義の根幹を支える「政治参加」の停滞など、日本を取り巻く課題は国内外で多層的に広がっています。</p><p>誰もが尊厳を持って共生し、次世代に確かな未来を引き継ぐために、今どのような現状があり、どのような視点が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●移民・難民</a></p><p><a href="#link2">●戦争・紛争</a></p><p><a href="#link3">●児童労働・人身取引（人身売買）</a></p><p><a href="#link4">●投票率の低さ（政治への不参加）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">移民・難民</h2><p>「移民」とは、「出生国や国籍国を離れ、法的地位や移動理由を問わず他国へ移り住む人々」を指す総称です。国際移住機関（IOM）は、これには自発的な意思だけでなく、やむを得ない事情による移動も含まれるとしています。</p><p>「難民」とは、国連難民高等弁務官事務所（UNHCR）によると、「人種や宗教、政治的意見などを理由とした迫害の恐れから逃れ、国際的保護を必要とする人々」と定義されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400001.jpg"><p>どこまでを移民とし、どこからを難民として扱うか。この定義の解釈の違いが、各国の受け入れ態勢や支援の判断に大きく影響しています。</p><p>日本における難民問題は極めて深刻です。日本は難民条約加盟国でありながら、2024年の各国の難民認定数比較によれば、難民認定率はわずか2.2パーセントと、諸外国に比べて著しく低い水準にあります。認定を求める人々は極めて厳しい状況に置かれており、出入国在留管理庁（入管）の対応についても、収容の長期化や不透明な手続きなど、人権保護の観点から多くの課題が山積しています。</p><p>特に懸念されるのは、認定が降りないまま強制送還の対象となるケースです。自国に戻れば弾圧や紛争によって命の危険にさらされることが明白であっても、公的な保護を受けられない人々が少なくありません。</p><p>現在は「難民・移民フェス」のような草の根の支援活動が広がっていますが、今後は制度の透明性を高め、排除するのではなく、共に生きる隣人として受け入れる社会の仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8a857f83dca63d7605d48c056387c690" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［移民・難民テーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89568/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">課題が山積する難民問題。いまできる支援を「難民・移民フェス」開催者に聞く（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特集【避難民と多文化共生の壁】記事一覧（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/80151/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「彼らに日本を憎んでほしくない」。約5万5,000人の技能実習生を支援するベトナム人住職（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">戦争・紛争</h2><p>日本は戦後一貫して「戦争をしていない国」ですが、世界各地での衝突や日本周辺の軍事的緊張は、私たちの安全や暮らしに直結する深刻な社会課題となっています。</p><p>外務省の<a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2025/html/chapter3_01_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「外交青書 2025」（外部リンク）</a>や<a href="https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 防衛白書」（外部リンク/PDF）</a>においても、日本を取り巻く安全保障環境は、戦後最も厳しく複雑な状況にあると警鐘を鳴らしています。これは、近隣諸国における核・ミサイル開発の進展や、力による一方的な現状変更の試みといった軍事的な圧力に加え、サイバー攻撃や偽情報の拡散といった、大規模な武力衝突には至らない「グレーゾーン」の脅威が複合的に高まっているためです。</p><p>こうした多様な事態の常態化により、かつてのように「有事」と「平時」を明確に分けることが難しく、その境界が極めて曖昧になっているのが現状です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400002.jpg">現代における戦争は武力の衝突のみではない<p>これに対し、日本政府は「国家安全保障戦略」に基づき、防衛力の抜本的強化と外交努力の両立を進めています。具体的な数値目標として、2027年度には防衛関係予算を国内総生産（GDP）比で2パーセントに到達させる方針を掲げており、2023年度からの5年間で約43兆円に上る防衛力整備計画を推進しています。</p><p>軍事的な枠組みにとどまらず、経済や技術、サイバー空間といった広範な領域において、国としてのレジリエンス（回復力・強靭性）を高め、予測困難な事態に対して切れ目のない備えを講じていくことが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3f928cf2d5d832bea19ad0dc15b3d6c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［戦争・紛争をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/96977/SDGs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界では5分に1人の子どもが暴力で命を落としてる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/93031/ukraine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">祖国から離れた地で働くことを決めたウクライナの若者たち。心の支えは “同窓”（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/66164" target="_blank" rel="noreferrer noopener">永井陽右さんがソマリアから目指す、全ての若者が武器を置くことができる社会（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">児童労働・人身取引（人身売買）</h2><p>児童労働の中でも、子どもの成長や教育を妨げ、身体的、精神的に有害な影響を及ぼす労働は「最悪の形態の児童労働」と定義されています。<a href="https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本ユニセフ協会（外部リンク）</a>によれば、2024年時点で5歳から17歳の子ども約1億3,800万人が児童労働に従事しており、そのうち約5,400万人は、「最悪の形態の児童労働」を強いられています。</p><p>これに密接に関わる深刻な課題が「人身取引（人身売買）」です。これは暴力や脅迫、詐欺などの手段を用いて、性的搾取や強制労働を目的に人が売買される行為を指します。</p><p>こうした事態を招く要因の1つに貧困があります。経済的に困窮した親や親族が「良い仕事がある」という誘いに乗り、結果として子どもたちが過酷な環境へと送り出されてしまう構図が数多く存在します。</p><p>この問題は海外に限った話ではなく、日本国内でも発生しています。政府広報によれば、巧妙な勧誘や不当な債務によって、風俗店や建設現場、農場などで自由を奪われ働かされる事例が報告されています。被害者は外部との接触を制限されることが多く、実態が表面化しにくいのがこの問題の恐ろしさです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400005.jpg"><p>今後は、国際的な監視体制の強化はもちろん、消費者が製品の背景にある労働環境に関心を持つなど、社会全体で不当な搾取を許さない仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fcf27b283a07a767a2bbe40c1a716313" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［児童労働・人身取引（人身売買）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106271/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">カカオの生産者は現地の子ども。世界から児童労働を減らすためにできること（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100300/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界には教育も訓練（くんれん）も受けられず、仕事もない若者（わかもの）が4人に1人いる？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94631/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">学校に通いたくても通えない子どもがいるのはなぜ？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86913/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">解消できない途上国の児童労働。最新のIT技術は救世主になれるか（外部リンク）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">投票率の低さ（政治への不参加）</h2><p>2026年2月に行われた衆議院議員総選挙の投票率は56.26パーセントと、戦後で5番目の低さでした。投票率の低さは、国民の意思が十分に反映されない状況を招き、政治の正当性を揺るがせます。政策の偏りを生む要因にもなるため、政治への不参加は深刻な社会課題といえます</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho0400004.jpg">衆議院選における年代別投票率の推移（直近の2026年2月分は集計中につき含まず）。データ引用：<a href="https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「国政選挙の年代別投票率の推移について」（外部リンク）</a><p>総務省のデータでは、衆議院選挙の投票率は平成初期まで70パーセント前後でしたが、以降は下落傾向にあります。特に若年層の低さが顕著で、60〜70代が高い水準を維持する一方、20代は30パーセント台に留まり、倍近い世代間格差が生じています。</p><p><a href="https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t198-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本学術会議の提言（外部リンク/PDF）</a>によると、背景には複数の要因があり、相次ぐ不祥事による政治不信や、自分の票で政治を変えられるという「政治的有効性感覚」の欠如が投票意欲を削いでいます。また、戸別訪問の禁止などの厳しい選挙規制や、投票所の再編による物理的制約、制度解説に偏った主権者教育の不足も若者の意識低下を招いています。</p><p>政治が一部の層の意見だけに偏らないためには、主権者教育の充実や利便性の向上を通じて、全ての世代が「自分たちの未来を自ら選ぶ」感覚を取り戻せる社会の仕組みづくりが急務と言えます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0c3ef46854c262869b1fe0e8daca1737" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［投票率の低さ（政治への不参加）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116529/election" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本若者協議会に聞く、若者が主体的に政治と関わる方法（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113084/social_good" target="_blank" rel="noreferrer noopener">あなたの１票で社会が変えられる？ 選挙のキホンについて学ぼう！</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90358/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">面倒な国民が政治を変える？　議員の「男女平等」を実現するヒントを専門家に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/73616" target="_blank" rel="noreferrer noopener">若者が選挙へ行くべき理由とは。NYNJ能條桃子さんに問う（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国連広報センター「難民と移民の定義」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://japan.iom.int/migrant-definition" target="_blank" rel="noreferrer noopener"> IOM Japan（国際移住機関 日本）「移住（人の移動）について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unhcr.org/jp/what-is-refugee" target="_blank" rel="noreferrer noopener">UNHCR 日本「難民とは？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.refugee.or.jp/refugee/japan_recog/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人 難民支援協会「日本の難民認定はなぜ少ないか？－制度面の課題から」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/bluebook/2025/html/chapter3_01_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外務省「外交青書 2025 ｜ 1 安全保障に関する取組」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mod.go.jp/j/press/wp/wp2025/pdf/R07zenpen.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">防衛省「令和7年版 防衛白書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cas.go.jp/jp/siryou/221216anzenhoshou/hosyousennryaku_gaiyou.pdf">国家安全保障局令和4年12月「国家安全保障戦略（概要）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.gov-online.go.jp/article/201111/entry-8193.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">政府広報オンライン「人身取引」は日本でも発生しています。あなたの周りで被害を受けている人はいませんか？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/about_unicef/about_act04_02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener"> 日本ユニセフ協会「ユニセフの主な活動分野｜子どもの保護｜児童労働 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省「国政選挙の年代別投票率の推移について」（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>受刑者同士の対話で再犯を減らす――刑務所の新しい教育プログラム「回復共同体TC」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120610/crime</link>
      <pubDate>Thu, 26 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>厳罰だけでは再犯防止は困難。受刑者の社会復帰をどう支えるかが課題となっている</li><li>島根あさひ社会復帰促進センターでは、対話で内省を促す「回復共同体（TC）」を実践し、再入率の低下につなげている</li><li>厳罰だけでは再犯は防げないことを知り、感情を言葉にできる対話の場を育むことが大切</li></ul><p></p><p>厳罰化だけで、再犯は防げるのでしょうか。</p><p>罪を犯した人が社会に戻ったとき、再び犯罪をしてしまえば、その影響は当事者だけでなく、被害者や地域社会にも及びます。だからこそ今、「どうすれば再犯を防げるのか」が社会全体の課題として問われています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>近年、日本の刑事政策の現場では、厳罰化だけでは再犯防止につながらないという認識が広がり、受刑者の背景や特性に応じて更生や回復を支援する取り組みが重視されるようになりました。</p><p>その1つが、島根県の官民協働刑事施設「島根あさひ社会復帰促進センター」で導入されている「回復共同体（Therapeutic Community、以下TC）」。対等な関係の集団で対話を重ねながら、参加者が自身の過去や問題と向き合い、回復を目指すプログラムです。</p><p>この取り組みは、2020年公開のドキュメンタリー映画『プリズン・サークル』で広く知られるようになりました。受刑者が葛藤を言葉にしながら変化していく姿は、当時大きな反響を呼びました。</p><p>この記事では、同センターのTC立ち上げに関わった同志社大学の<a href="https://psych.doshisha.ac.jp/professors/mouri/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">毛利真弓（もうり・まゆみ）教授（外部リンク）</a>に、その実践の内容や受刑者の変化、そして刑務所という現場が抱える課題について伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00005.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_728df919c1e04e953f06978d6ff65b4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">共に暮らし、共に学ぶ。対話を通じて自分を見つめ直す</h2><p>――TCの概要や成り立ちについて教えてください。</p><p>毛利さん（以下、敬称略）：TCは元々、刑務所に特化したものではありません。精神科病院や地域社会の中で、犯罪や依存症から回復するための手法として始まり、世界各国で展開されている支援モデルです。</p><p>治す側、治される側という上下関係をできるだけ取り払い、徹底的にグループでの対話を重ねることで、自らの問題と向き合って全人格的な成長を目指します。</p><p>前提にあるのは、「一緒に住む」ということです。島根あさひ社会復帰促進センターは刑務所なので自由な出入りはできませんが、その中でも「共に暮らし、共に学ぶ」というコンセプトを重視しました。</p><p>――同センターでは、TCをどのように実践したのでしょうか。</p><p>毛利：参加を希望した人が定員58名のユニットで共同生活を送りながら、午前と午後で半分ずつのグループに分かれて教育プログラムに参加してもらいます。生活と教育が一体になっているということです。</p><p>ですから、教育プログラムの対話の場でどれだけ立派なことを語っていても、日常生活の中でルールを守らなかったり、不誠実な態度をとったりすれば、すぐに周囲に見抜かれてしまいます。教育の場だけで「いい顔」をすることはできません。共に暮らしているからこそ、言葉と行動の一致が問われるのです。</p><p>そうした生活の中で、誰かとけんかした、誰かに対してネガティブな気持ちを持っている、といったリアルな出来事を素材に、自分の考え方や態度、人付き合いを見つめ直していける。そこが大きな特徴だと思います。</p><p>――従来の刑務所のシステムとは、どのような違いがあるのでしょうか。</p><p>毛利：最近は法律が変わり雰囲気が変わりましたが、かつての刑務所では、受刑者同士が深く話し合うことや、個人的な話をするのは、好ましくないという考え方があったと思います。話し合いは争いのもとになりかねない、出所後にまた一緒に罪を犯すかもしれない、そうした発想があります。</p><p>TCは教育の一部として対話を組み込んでいるという点で、新しい取り組みではないかと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00006-1024x576.jpg">毛利さんの専門は非行・犯罪臨床心理学で、現在はグループの手法を用いた回復支援や、性問題行動のある人の治療教育や研究を行っている<h2 id="tnf-text-heading-block_49786c503c9f7c2b970c1598e9fe02d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">テキスト学習とコミュニティーへの貢献によって成長を促す</h2><p>――教育プログラムの中身について教えてください。</p><p>毛利：大きく分けて2つあります。1つは朝と夕方に全員で行うミーティング。もう1つはグループごとのテキスト学習です。</p><p>ミーティングでは、刑務所内で実際に起きた出来事や、取り上げるべきテーマを題材に、各々が感じたことを話し合います。</p><p>テキストは基本的に2種類使用します。1つは、同センターで導入されたTCの参考となったアメリカの回復施設「アミティ（※）」の教材で、過去の経験や家族関係、感情の状態を振り返ります。</p><p>もう1つは、世界的に再犯防止に効果があるといわれている、認知行動療法を基盤とする自分たちで作った教材です。思考や行動パターンの癖、犯罪に至る流れを構造的に分析し、「どこで止められたか」「どこで考えを変えられたか」を整理していきます。</p><div id="tnf-text-notes-block_1da6190568d6e04bb14a2bd722bed968" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「アミティ」とは、アメリカ・アリゾナ州に拠点がある依存症回復の施設。1980年代に依存症当事者によって立ち上げられ、「回復共同体モデル（TC）」を確立した</div><p>――プログラムはどのように進んでいくのでしょうか。</p><p>毛利：3カ月を1クールとする段階性です。最初の3カ月は新人として学ぶことに専念し、次の3カ月では新しく入った人を支える立場になります。</p><p>単なる受講者ではなく、コミュニティーの一員として役割が変わっていきます。最終的には、コミュニティー全体の生活に目を配り、カリキュラムを教える役割へと責任が広がっていきます。</p><p>テキストは各クールで変わらず、同じ内容を繰り返し扱います。読むたびに理解が深まり、生活の中で実践し、また振り返る。その「テキストによる内省」と「コミュニティーへの貢献」という両輪で、成長を促していく仕組みになっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00004-1024x641.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2fcb8e80a00e04ffed618ed6d38bbc21" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">和を尊ぶ文化の中で、「対話」への抵抗を乗り越える</h2><p>――同センターにTCが導入された背景とその目的について教えてください。</p><p>毛利：官民協働の刑務所を設けたいという国の方針があり、民間からさまざまな試みが提案される中で、採用されたのがTCです。</p><p>科学的に再犯低下の根拠を示していたことに加え、「管理」に重きを置いた従来の刑務所とは異なり、改善や更生に力を入れた処遇モデルを構築するという目的がありました。</p><p>――TCは元々アメリカやイギリスで実践されていた手法ですが、日本で導入する難しさはありましたか。</p><p>毛利：最も大きかったのは、対話そのものへの抵抗感です。日本では、相反するさまざまな気持ちを言語化したり、葛藤を語ったりすることにためらいが強く、感情を表に出すのははしたない、我慢して丸く収まるならそれでよい、といった感覚が根付いています。</p><p>それから、参加する受刑者が話し合いを勝ち負けで捉えてしまう傾向があったり、葛藤や感情を口にすることに対して、どうしてもネガティブな結果を想像してしまったりするという難しさはありました。</p><p>実際、けんかした相手と気持ちを吐露し合った結果、関係が良くなるという経験を持つ人は多くないですよね。</p><p>――その問題を、どのように乗り越えたのでしょうか。</p><p>毛利：まずは職員にもTCを体験してもらい、少しずつ理解を深めてもらうようにしました。また、グループが成熟するまでは全員に発言の機会を設け、自由に話せる安全な場づくりを丁寧に進めました。</p><p>アメリカのような率直なコミュニケーションとは異なり、日本では、親密さと距離感のバランスを重視する文化があります。その特性を踏まえながら、コミュニティーを育てていきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9431c52ae3be4fd4cab376fade4846c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多くの受刑者に共通する「自分の声を聞いてもらえなかった」体験</h2><p>――TCに参加する受刑者の背景には、どのような傾向がありますか。</p><p>毛利：ざっくりいうと、共通しているのは、自分の声を十分に聞いてもらえなかったということです。</p><p>「聞いてもらえなさ」の度合いは人それぞれで、虐待の環境にあった人もいれば、一見すると中流家庭だけれども親からの期待や抑圧があって弱音を吐けない人もいます。被差別部落で育ち、社会の中で自分の痛みを声に出す経験が乏しかった人もいました。</p><p>またTC希望者に対して2015年までに行ったPTSDのスクリーニング検査（※）では、36.4パーセントの人にPTSDの可能性が見られました。多くの人が、何らかの心理的な傷を抱えたまま生きてきたといえます（2023年までのまとめでは42.6パーセント）。</p><div id="tnf-text-notes-block_1df0864146426384759c57f203e41564" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※PTSDの可能性があるかどうかを簡易的に調べる質問テスト</div><p>――受刑者は加害者でありながら、多くは何らかの被害者でもあるということですね。</p><p>毛利：はい。こうした背景の話をすると、「同じ経験をしても犯罪をしない人もいる」という反応を受けることがあります。もちろん、その通りです。</p><p>ただ、受刑者には「運悪く誰にも出会えなかった」という面があるのだと思います。しんどい環境の中でも、話を聞いてくれる人や、声をかけてくれる人など、つながりを持てる誰かがいたかどうかで、人生が違ってくるところはあると思います。</p><p>――そうした受刑者が、刑務所で直面する困難にはどんなものがあるのでしょうか。</p><p>毛利：法律も変わりつつあり、待遇も変化してきていると期待しますが、基本的に刑務所は自由を奪われている場所です。全てを指示され、その通りに動いているだけで生活が成り立つため、「主体的に考えて構築する力」が奪われやすいともいえます。</p><p>私が勤めていた刑務所では、大きな声で怒鳴られたり、雑に扱われたりする中で、心を病んでいく人もいました。そうした状況下で、「自分は犯罪者だから仕方がない」と卑屈になっていく人もいます。</p><p>それから、刑務所の特殊で厳格なルールの中で生き延びるために、幼稚でネガティブな行動が引き出される場合もあります。ルールが厳しいからこそ、隠れて悪さをしたり、目先の楽しさを追い求めたり、徒党を組んで誰かをいじめたり……。そうした環境になじまざるを得ず、社会性が落ちていく側面もあると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00008-1024x542.jpg">同センターでTC希望者に行われた、遭遇した出来事の内容とPTSDスクリーニング検査（IES-R）の結果。IES-Rは25点以上だとPTSDの可能性があると判断される。希望者の多くが家族や学校での被害体験を有していた。資料提供：広島国際大学・羽山順子氏「第23回日本トラウマティック・ストレス学会発表資料」<h2 id="tnf-text-heading-block_d92d0a90bd6dff4dbec8726ff8a3d7c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">感情を言葉にし、対話する姿勢が関係性を変える</h2><p>――実際にTCを経験した受刑者には、どのような変化がありましたか。</p><p>毛利：社会的な問題解決スキルは比較的早く伸びます。多くの人が6カ月ほどで、衝動的に行動する前に立ち止まり、考えられるようになります。</p><p>一方で、トラウマに関する感情を言語化する力をつけるには時間を要しますが、トラウマ群（IES-R25点以上）でも1年半ほど継続すると改善が見られました。</p><p>例えば、以前は怒鳴ったり黙り込んだりしていた人が、自分の気持ちを言葉で伝えられるようになる。衝突を避けて逃げるのではなく、話し合おうとする姿勢が生まれてくる。表情も次第にやわらかくなり、周囲との関係性が変わる。そうした中で、自己肯定感が回復していく様子が見て取れますね。</p><p>――再犯への影響については、どのような結果が出ていますか。</p><p>毛利：刑務所への再入率が低いという結果が出ています。TCの受講者148人と、年齢や罪種、再犯リスクなどをマッチング（※）させたTC非受講者148人の比較では、受講者の刑務所再入所率が9.5パーセント、非受講者が19.6パーセントと差がありました（統計的有意差あり、2018年の研究）。</p><p>より最近の調査では、あくまで単純比較になりますが、刑務所初入者の2年以内の再入率が6.2～7.8パーセント（令和6年度犯罪白書）なのに対し、6カ月以上にわたってTCに参加した人の再入率は2.4パーセントでした。</p><div id="tnf-text-notes-block_886300e0087b126201072ea932e17423" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「マッチング」とは、比べる前に「なるべく似た人同士」を選び直す方法。もともとの条件が違っていると結果も変わってしまうため、年齢やリスクの高さなどが同じくらいの人をそろえて、より公平に比較できるようにする</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00007-1024x573-1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a324acde4bfbbc9a6968626decda08fe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">主体的に選び、社会と調整する力が再犯を抑止する</h2><p>――これまでの活動を通して、犯罪をした人が更生するためには、どのようなことが必要だと考えていますか。</p><p>毛利：抽象的かもしれませんが「自分で考えて選択する力を育てること」だと思います。罪を犯した人の中には、人生のさまざまな場面で自ら取捨選択をすることが苦手な人も少なくない印象があります。</p><p>彼らは、「悪い存在」「足りない存在」として扱われ続け、間違っている点を正すように説教を受けがちです。そうした指示に従うことに慣れてしまうと、うまくいかなかったときに、自分で責任を引き受けることが難しくなってしまう。</p><p>だからこそ、人生がどう転んでも、自己否定に傾いたり、被害者意識を持ったりせず、自分の選択として責任を引き受けられるよう、自ら考え、選択できるようになることが重要だと思います。</p><p>――TCを経験し、社会に戻った人たちは、そうした力が身についているのでしょうか。</p><p>毛利：以前、TCを経て出所した人たちにインタビューをしたところ、再犯に至っていない人の多くが、「考える力」と「感情を表現する力」が身についたと答えていました。感情を表現できるようになるということは、自分と他者の折り合いがつけられるようになるということです。</p><p>感情を表現しないでいると、「我慢するか、思い通りにしようとするか、爆発するか」といった極端な反応に偏りやすくなります。しかし、「言葉にしてもよい」と思えるようになると、少しずつ折り合いをつける方向に向かっていけます。</p><p>その結果、不適切な手段に飛びつかず、立ち止まって、適切な我慢や調整をしながら生きていく力が身につく。それが再犯防止につながっているのだと考えています。</p><p>再犯を防ぐには、出所後の居場所や人とのつながりも大切です。ただ、居場所があっても、以前と同じ考え方や振る舞いのままではうまくいかない場面がある。そんなときに、「これは前と同じパターンだ」と気づき、どう考えるべきかを自分で問い直す力が必要なのだと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00003-1024x753.jpg">自分の感情の扱い方を学ぶことが、他者との衝突や不適切な関わりを防ぐことにつながる<h2 id="tnf-text-heading-block_ce8b9f17631d24af79adcf16ddf2264f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被害者の代弁者ではなく、再犯を防ぐ立場としての支援</h2><p>――加害者の回復支援に関して、「被害者感情をどう考えるのか」という議論は根強いと感じます。実際に支援に関わる中で、罪を犯した人を罰しようとする社会の感情にどのように向き合ってきましたか。</p><p>毛利：厳罰を望む人が一定数いるのは仕方ないし、感情面では理解できる部分もあります。</p><p>ただ、罰によってしんどい思いをさせても再犯は減らない、ということは研究で明らかになっています。また、被害者の痛みを知るのは、タイミングや方法を間違えると逆効果になることもありえます。</p><p>私はそうした処罰感情や議論に向き合うよりも、データと実践に基づいて、再犯防止につながる実質的な支援を積み重ねることに集中してきました。</p><p>実際に回復プログラムに取り組む受刑者の姿を見て、犯罪に至った背景を知ることで、見方が変わる人もいます。そうした機会を積み重ねながら、「犯罪は処罰だけでは解決しない」という視点を持つ社会にしていきたいと思っています。</p><p>――では、被害者の視点とはどのように向き合ってきましたか。</p><p>毛利：被害者側の視点については難しさがあります。被害者が癒され、十分な支援を受けられる制度を整えていくことは重要です。一方で、それは加害者支援とは別の領域の課題だという認識を持っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>刑務所では、「歯を見せて笑うな」「被害者のことを考えろ」といった指導が行われることがあります。ただ、被害者の気持ちは本人にしか分からないものだと思います。勝手に第三者が被害者の感情を代弁するのも、それはそれで被害者への尊重を欠く行為だと思っています。</p><p>もちろん、加害者が自らの行為によって生じた被害に向き合う支援もしますし、向き合うべきだと思えばそう伝えます。しかし、支援に関わる人は被害者の代弁者ではないのと同時に、どちらかの味方でもありません。</p><p>私自身も被害者の方の話を聞くと、「被害者はこんなに辛い思いをしているのに……」と心が揺れる部分もあります。しかし、私たちは事件の当事者ではないから、冷静に支援に関わることができます。だからこそ、感情の切り分けをして、バランスを保ちたいと考えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/TC00001.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_234ead78cdf0f3f5b9ae91415511edf2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">再犯を生まない社会をつくるために、一人一人ができること</h2><p>再犯を生まない社会をつくるために、私たち一人一人に何ができるのかについて、毛利さんに3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_15674ebabe8140f2512c3d373856b78e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「厳罰＝再犯防止」ではないことを知る</h2><p>犯罪をした人に対して、「罰を重くすれば問題は解決する」というイメージを持ちやすいが、罰を与えるだけでは再犯は減らないことが研究でも示されている。まずは、加害者の背景や回復支援の試みについて関心を持ち、正しい知識を得ることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c1a5bc5215842beb32af7658a722ee84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］身近ないじめや人権侵害を見逃さない</h2><p>加害者の多くは、虐待やいじめ、過度な期待、社会的な差別など、何らかの被害を経験してきた側面もある。いじめや人権侵害を目にしたときに声を上げ、被害に遭っている人の声を聞く。そうした小さな行動が、将来的な犯罪や孤立を防ぐきっかけになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_229502ac7995e642c7198287229858db" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］対話の場を身近につくり、コミュニケーションを深める</h2><p>犯罪に至る背景の1つには、感情をうまく言葉にできず、「我慢するか、爆発（犯行）するか」の極端な選択に傾きやすいことがある。互いの気持ちを言葉にして伝え合える対話の場を、身近なコミュニティーでつくり、コミュニケーションを深めていくことが、犯罪を抑止につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>犯罪者に対する罰しようという感情は、再犯防止につながらないばかりか、罪を犯した人を追い詰め、回復の機会から遠ざけた結果、さらなる犯罪を生み出しているのではないか。そんな問いを抱いた時に、映画『プリズン・サークル』と出合い、TCの取り組みをもっと知りたいと考え、毛利さんに取材を申し込みました。</p><p>取材の中で印象的だったのは、再犯を生まないために社会に必要なことを尋ねた際の、毛利さんの言葉です。</p><p>「社会全体で犯罪をした人への偏見をなくそうとすることは大切ですが、それ以上に、偏見を受けたときに孤立せずに対処することが重要です。『こんなことがあってね……』と気持ちを打ち明けられる場所があるだけでも、人はずいぶん違ってきます」</p><p>TCを修了した人たちは、現在もつながりを保ち続けているといいます。社会全体の偏見を一気になくそうと意気込むよりも、身近な誰かの声に耳を傾け、自分自身が気持ちを吐き出せる場になること。その積み重ねこそが、再犯を防ぐ力につながっていくのかもしれません。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_10dd878ae06a1e234274b80a5f7f2e4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_8642ccde7e3b6cda9ba79777325ec003" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">毛利真弓（もうり・まゆみ）</h3><p>同志社大学心理学部教授、公認心理師、臨床心理士。名古屋少年鑑別所法務技官兼法務教官、株式会社大林組／官民協働刑務所島根あさひ社会復帰促進センター社会復帰支援員を歴任。専門は非行・犯罪臨床心理学。回復共同体を用いた犯罪者の回復支援、性問題行動を起こした人の査定と処遇について実践と研究を行っている。著書に『刑務所に回復共同体をつくる』（青土社）、『性問題行動のある子どもへの対応－治療教育の現場から』（誠信書房）、『学校に尊重の対話の文化をつくる－修復的実践プレイブック』（翻訳、明石書店）など。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の環境・まちづくりに関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120545/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 24 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>私たちが暮らすまちや環境は、気候変動、環境汚染、インフラの老朽化、地方の過疎化といったさまざまな問題を抱えています。豊かな自然や安心できる暮らしを次世代に引き継ぐために、解決すべき課題は多岐にわたります。それぞれどのような現状があり、どのような解決策が求められているのでしょうか。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●環境汚染（海洋・大気・水質・土壌）</a></p><p><a href="#link2">●森林破壊</a></p><p><a href="#link3">●生物多様性の減少</a></p><p><a href="#link4">●地球温暖化・気候変動</a></p><p><a href="#link5">●インフラ老朽化</a></p><p><a href="#link6">●再生可能エネルギーの普及</a></p><p><a href="#link7">●過疎化</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">環境汚染（海洋・大気・水質・土壌）</h2><p>環境汚染とは、人間の活動により海洋、大気、水質、土壌などの自然環境が汚染されることです。産業の発展は豊かな暮らしをもたらした反面、排出される廃棄物や有害物質の蓄積により、地球規模での環境悪化が深刻な問題となっています。</p><p>海洋汚染については、毎年約800万トンのプラスチックごみや、分解されにくい化学物質「PFAS」が流入しており、また、海水の二酸化炭素吸収による「海洋酸性化」で、pH（水素イオン濃度指数）が約0.1低下しました。これによってサンゴや貝類が骨格をつくれず死滅すれば、生態系が崩壊し、食卓から魚が消える可能性があります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300003.jpg"><p>大気汚染では、微小粒子状物質であるPM2.5（大気中に浮遊している2.5マイクロメートル以下の小さな粒子）が深刻です。国内のPM2.5の環境基準は「1立方メートルあたり年平均15マイクログラム以下」ですが、現在も基準を超える地域があります。わずか10マイクログラムの濃度上昇でも循環器疾患等の死亡リスクが高まるため、警戒が必要です。</p><p>水質面では、公共用水域の環境基準達成率が99.1パーセントに達する一方、特定の地域で指針値を超えるPFASが検出されるなど、飲み水の安全性への影響が懸念されています。</p><p>土壌においても、工場の跡地などで有害物質が地下水を通じて広がり、農作物を介して体内に蓄積されるリスクがあります。</p><p>今後は資源を再利用する循環型社会への転換を進め、豊かな自然を次世代に引き継ぐための行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e977a079751a5cf3380a165ba9196f03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［環境汚染をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/104571/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">分解されないから、永遠に残る化学物質「PFAS」は、なにが怖い？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99723/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">持続可能な社会の担い手がつながり、育つ場。日本で初めて誕生した、武蔵野大学・サステナビリティ学科とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91843/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海の生物の命をおびやかす「海洋酸性化」。日本と世界の実態、いまできること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/43293/ocean_pollution/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">今さら聞けない海洋ごみ問題。私たちにできること（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">森林破壊</h2><p>森林破壊とは、過度な伐採や土地の開発、火災などで森林が失われ、森林が本来持っている働きが大きく損なわれてしまうことです。</p><p>世界的に森林減少が進むなか、日本の森林面積は約2,500万ヘクタールと、国土の約3分の2を占める規模を60年以上にわたって維持しています。この森林率は、フィンランド、スウェーデンに次いでOECD加盟国で3番目の高さを誇ります。</p><p>現在の日本における森林の課題は、面積の減少よりも、手入れが行き届かない「管理放棄」や資源の循環が滞っている点です。例えば里山では、人口減少などで人の働きかけが減る「アンダーユース（過少利用）」により、竹の侵入やナラ枯れといった問題が発生し、生物多様性に影響を与えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300006.jpg">カシノナガキクイムシ（カシナガ）が媒介するナラ菌により、ミズナラ等が集団的に枯れる「ナラ枯れ」<p>森林の公益的な機能を保つためには、「伐（き）って、使って、植える」という資源の循環を確立し、伐採後に再び木を植える「再造林」を確実に行う仕組み作りが強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cc17cef57e02941d6d15cc51fcd5b26d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［森林破壊をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119025/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">どんぐり育成で土砂災害を防ぐ。ソマノベースが挑む命を守る森づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99422/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界では1分間で東京ドーム2つ分の森林が失われている？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">生物多様性の減少</h2><p>生物多様性とは、地球上のあらゆる生き物たちが互いにつながり合い、豊かな生態系を形成している状態のことです。私たちは食料や水の供給、気候の安定など、自然がもたらす多くの恩恵（生態系サービス）を受けて暮らしており、この絶妙なバランスは生存に欠かせない基盤となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300001.jpg"><p>しかし、人間の活動によって、この生命のネットワークがかつてない速度で損われています。地球上にいるとされる約3,000万種類の生き物のうち、4万8,646種が絶滅の危機に瀕しています。絶滅速度は過去の100倍から1,000倍ともいわれ「6度目の大量絶滅」と呼ばれる異常事態です。</p><p>日本でも環境省のレッドリスト（種の絶滅の危険度を客観的に評価してリストにまとめたもの）に3,700種以上が掲載され、絶滅危惧種が急速に増加しています。一度崩れてしまった生態系は、単に木を植えたり種を放したりするだけでは元に戻りません。</p><p>今後は損失を止め、回復軌道に乗せる「ネイチャーポジティブ」への転換が必要です。2030年までに陸と海の少なくとも30パーセントを保全する「30 by 30（サーティ・バイ・サーティ）」の実現に向け、自然と共生する未来を目指す行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_44a898ff2f4b96f48a140d4c5d90fc65" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［生物多様性の減少をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117068/ocean_pollution" target="_blank" rel="noreferrer noopener">水中清掃とサンゴ再生で海を守る。持続可能な海洋環境づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/106910/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海草が二酸化炭素を減らす？　地球温暖化対策になるブルーカーボンって？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91870/ocean_acidification" target="_blank" rel="noreferrer noopener">将来カキが食べられなくなる？ 海洋酸性化の日本の現状と将来予測を研究者に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/65564" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海ごみ、地球温暖化、生物多様性。女子高生たちのアクション（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">地球温暖化・気候変動</h2><p>地球温暖化とは、人間の経済活動によって排出された温室効果ガスが大気中に増加し、地球全体の平均気温が上昇する現象です。特に化石燃料の大量消費が、本来熱を宇宙に逃がす自然のバランスを崩し、世界規模で異常気象や海面上昇といった「気候変動」を引き起こしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300004.jpg"><p>「気候変動」は世界各地で起こっており、2022年7月にはイギリスで40.3度まで気温が上昇し、国内最高気温を記録。2023年6月にはインドのベラーバルの降水量が平均比311パーセントとなるほど雨が降り、カナダでは約1,850万ヘクタールが消失する森林火災が発生するなど、さまざまな地域で極端な気象現象が頻発しています。</p><p>日本でも「温室効果ガスを2030年度までに2013年度比で46パーセント削減する」という高い目標を掲げ、対策を急いでいます。気温の上昇は、猛暑による熱中症の増加や農作物の品質低下、さらには大雨や台風の激甚化など、私たちの命や生活を脅かす被害をもたらしています。一度始まった温暖化を止めるのは容易ではありません。</p><p>今後は再生可能エネルギーへの転換を進める「脱炭素社会」への移行とともに、一人一人がエネルギーの使い方を見直し、未来のために行動を積み重ねることが強く求められています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_11eadb2254abb558d8e0b7ce05eafb26" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［地球温暖化・気候変動をテーマにした記事］</h2><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113324/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">新たな地球温暖化対策として注目のCO2回収技術「DAC」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/107895/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">気候変動でスキーやスノボができなくなる？ 「冬」と「雪」を守るために私たちができること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/76735/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">備えとイメージトレーニングが命を守る。気象予報士・増田雅昭さんに聞く豪雨対策（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/70105" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ストップ地球温暖化をカルチャーにして未来を守る（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">インフラ老朽化</h2><p>インフラとは、道路、橋、水道、電気など、私たちの生活や経済活動を支える土台となる公共施設のことです。インフラは、産業の発展を支え、人々の生活と安全を守るために欠かせない存在です。</p><p>しかし現在の日本では、高度経済成長期に一斉に作られた施設の老朽化が深刻な社会課題となっています。国土交通省の推計によれば、全国に約73万ある道路橋のうち、作られてから50年以上経過したものの割合は、2023年に約37パーセント。今後15年ほどで急増し、2040年には約75パーセントにまで上昇する見込みです。また、トンネルについても2023年には約25パーセントだったのが、2040年には約52パーセントまで上昇すると見込まれています。</p><p>これらを放置すれば、崩壊や重大な事故、災害時の被害拡大につながる恐れがあります。しかし、多くの地方公共団体では体制面・予算面に課題を抱えており、限られた資源で社会の安全を維持する新しい仕組み作りが急務となっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a0541385788837d5ca562acab66c56f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［インフラ老朽化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105011/disaster" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日立製作所が開発した浸水被害予測システム。自治体・民間との連携で減災を（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101625/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">インフラって何？ なぜ、インフラがないと国が豊かにならない？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101549/health_Disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">少子高齢化、人口減少で広がる地域医療の格差。航空救急が解決の一手に（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">再生可能エネルギーの普及</h2><p>再生可能エネルギーとは、太陽光や風力、地熱など、自然界に常に存在し、繰り返し利用できるエネルギーのことです。発電時に二酸化炭素を排出しないため、地球温暖化対策の切り札として期待されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300005.jpg"><p>現在、世界では約6億7,500万人が電気を使えない環境に置かれており、誰もが安価でクリーンなエネルギーを利用できる社会の実現が求められています。日本でも2030年度の発電量に占める再エネ比率を36〜38パーセントに引き上げる目標を掲げており、2022年度の実績は約21.7パーセントまで拡大しました。</p><p>さらなる普及には高い発電コストや、天候による発電量の変動といった課題が残ります。また、発電に適した土地が偏っているため、送電網の整備や地域環境との調和も不可欠です。</p><p>今後は技術革新によるコスト低減に加え、消費者一人一人が環境に配慮した電力を選択できる仕組みを広げ、持続可能な社会を築くための行動が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_308f9e4915b5ec1f33679e2623d838ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［再生可能エネルギーの普及をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116146/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団助成金活用レポート：長崎海洋産業クラスター形成推進協議会（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109518/sports" target="_blank" rel="noreferrer noopener">地球温暖化に対してスポーツはなにができる？ Ｊリーグの気候アクション（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99166/sustainable" target="_blank" rel="noreferrer noopener">電気代の2パーセントが発電所やNPOへの寄付に。ハチドリ電力の取り組み（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link7">過疎化</h2><p>過疎化とは、急激な人口減少と高齢化により、医療、交通、財政など生活基盤の維持が難しくなっている状態を指します。総務省の<a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/001000617.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度版 過疎対策の現況」（外部リンク/PDF）</a>によると、全国の市町村の約51.5パーセント（885市町村）が過疎地域に指定されています。このエリアは国土の約6割を占める広大さにもかかわらず、居住人口は全体の約9.3パーセントに過ぎず、極端な人口偏在が発生しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisyo0300002.jpg">過疎化により消滅可能性都市に分類される自治体も増加<p>こうした地域では、採算悪化による路線の廃止が相次ぎ、移動手段の有無が生活の質を左右する「移動格差」が深刻化しています。実際に公共交通機関の撤退が進む地域では、免許を持たない高齢者らが通院や買い物などの手段を失う「交通難民（移動弱者）」が増加し問題となっています。</p><p>現在は、AIを活用し予約に応じて柔軟に運行するオンデマンド交通など、テクノロジーで移動の壁を取り払う試みも始まっています。誰もが自由に移動できる権利を守るため、地域の実情に即した持続可能な交通網の再構築が強く求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d457908a5b3a7f45f1cb75dafe9e209c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［過疎化をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120119" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東日本大震災から15年——「消滅可能性」の町を「希望の循環」へ。陸前高田を支える「関係人口」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101336/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">都市に人口が集中すると、なぜ安心・安全に暮らせない人が増える？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99814/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">移動格差解消と高齢者の外出機会を創出する、オンデマンド交通サービス「チョイソコ」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/40133" target="_blank" rel="noreferrer noopener">豊かな未来の鍵は地方の余白？「ポスト資本主義社会」を探る（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「海洋プラスチック問題について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">気象庁「日本の気候変動2025」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html#ABOUT" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「大気環境・自動車対策｜微小粒子状物質（PM2.5）に関する情報」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/press/press_02935.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「令和4年度公共用水域水質測定結果及び地下水質測定結果について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/kankyo/r6gaikyousokuhou-pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境局「令和6年度 東京都地下水概況調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/content/000227044.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省・（公財）日本環境協会「土壌汚染対策法のしくみ」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/campaign/forest/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「森林破壊の現状・原因・影響と私たちにできること」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/keikaku/231013.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">林野庁「森林資源の現況」について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.rinya.maff.go.jp/j/hogo/higai/naragare.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">林野庁「ナラ枯れ被害」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/guide/info/ecojin/oecmsites/20230719.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「ecojin（エコジン）｜生物多様性とはなにか？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">WWFジャパン「【2025更新】レッドリストとは？」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/press/107905.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「環境省レッドリスト2020の公表について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「30by30」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/earth/ondanka/keikaku/211022.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「地球温暖化対策計画（令和3年10月22日閣議決定）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/maintenance/02research/02_01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省「インフラメンテナンス情報｜社会資本の老朽化の現状と将来」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/statistics/file000004/html/n2140000.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通白書2024「第4節社会資本の老朽化対策等」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/outline/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">経済産業省 資源エネルギー庁「なっとく！再生可能エネルギー｜総論 再生可能エネルギーとは」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.enecho.meti.go.jp/category/others/basic_plan/pdf/20211022_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">経済産業省資源エネルギー庁「第6次エネルギー基本計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.env.go.jp/content/000234564.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「2022年度（令和4年度）温室効果ガス排出・吸収量について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.soumu.go.jp/main_content/001000617.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">総務省 地域力創造グループ過疎対策室「令和5年度版過疎対策の現況（概要版）」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「72時間」の壁を越えろ――横須賀市消防局が挑む“命をつなぐ重機救助”の最前線</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120562/disaster</link>
      <pubDate>Thu, 19 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>横須賀市では、消防局と消防団がより一体となった災害救助活動を行うため重機運用に特化した「土砂災害機動部隊」を発足</li><li>発災時の役割を消防局と消防団で明確に分けることで、迅速な救助を可能にした</li><li>「公助」に頼るのではなく、自分の身を守る「自助」と隣近所で助け合う「共助」が、災害時には重要</li></ul><p></p><p>災害が起きたとき、人命救助のタイムリミットは「72時間」といわれています。</p><p>一刻も早く助けに向かいたいのに、救助隊の前に立ちはだかるのはがれきや寸断された道路。助けたいのに、たどり着けない。そんな状況が実際に起きています。</p><p>2011年の東日本大震災でも、道路復旧が進まず救助活動が遅れたことが大きな課題に。その経験を受け、国や自治体では災害時の救助活動に重機を活用する体制づくりが進められてきました。</p><p>しかし、2024年の能登半島地震では、重機を十分に活用するための人材や運用面の課題も指摘されています。人材や技術の不足、運用面の問題などが重なり、現場で力を発揮したのは専門スキルを持つボランティア「プロボノ」たちでした。</p><p>もし自分の住むまちで同じことが起きたら……。そんな問いに向き合い、いち早く対策を進めているのが横須賀市です。2023年に消防局内に、2024年には消防団にも「土砂災害機動部隊（LTF）」を発足させました。全国でも珍しい2つの専門部隊が重機を活用し、合同訓練を重ねながら災害への備えを強化しています。</p><p>災害は決して“他人ごと”ではありません。本記事では、横須賀市消防局警防課長の福本亨（ふくもと・とおる）さんと総務課長の小山幸男（こやま・ゆきお）さんに、LTF発足の背景や訓練の様子、そして私たち一人ひとりにできる備えについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_1.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_735d01da34924fcd28965388e455e4ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2つの専門部隊が連携することによって、迅速な救助が可能になる</h2><p>――横須賀市では2つの土砂災害機動部隊が発足されていますが、そもそものきっかけは何だったのでしょうか？</p><p>福本さん（以下、敬称略）：横須賀市が位置する三浦半島は狭い道路や急な斜面が多く、大雨の際には土砂災害が起こりやすい地域として以前から課題となっていました。そのため、以前より重機を用意しておく必要があるのではないかと考えていたんです。</p><p>そんな矢先、隣にある逗子市で斜面の崩落が起き、高校生の方が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。そういった災害が起きたときに、自分たちの手元に重機を用意しておけば迅速に救助に向かえると改めて痛感したんです。</p><p>「早めに用意しなければいけない」、そう考えていたところ、横須賀市消防団で団長をされている方が、建設業を営んでいることもあって2台の重機を寄贈していただくことになりました。</p><p>しかし、操縦できる人材なんて当然いません。どの部隊に重機の運用を任せればよいのかも判断がつきませんでした。土砂災害機動部隊となる下地がなかったんです。</p><p>そこで予算を確保するために、重機を操縦する訓練ができる場所に最も近い、浦賀の消防隊に土砂災害機動部隊を兼務させることにしたのが始まりです。</p><p>――消防局LTFと消防団LTFとでは、どのように役割分担されているのでしょうか？</p><p>福本：土砂災害が起こったら、まずは周辺の道路を整備しなければいけません。その対応は、高度な技術を持つ建設業の団長率いる消防団LTFにお願いをして、私たち救助部隊が進入できる経路をつくってもらいます。そこから消防局LTFが現場へと入っていき、人命救助にあたります。</p><p>――消防局と消防団が密に連携されているのですね。</p><p>福本：それが大きな特徴と感じています。幸いなことに、まだ土砂災害機動部隊の出動を要するような災害は発生しておりませんので、現場での実感はないんですが、それでも訓練を通じて消防局と消防団の距離が縮まっているように感じます。</p><p>土砂災害機動部隊を発足したとはいえ、消防局には重機が2台しかない。それでは災害規模によっては対応しきれないですし、これまでは神奈川県内に応援要請をかけるしかなかった。</p><p>しかし、これからは消防団と協力し合えるので、より迅速な対応が可能に。また、団長をはじめ、消防団LTFには重機の扱いを専門とする人がたくさんいます。ですので、訓練の際に専門的な操作を教わることができ、局員のスキルアップが図れています。</p><p>これから先、災害が起こったとしても上手く連携できると感じていますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_2.jpg">横須賀市消防局・警防課長の福本さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_9a3bc8481761ede8f7a7a34433ac147c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">現場で活動する若い隊員たちのリアルな声を反映</h2><p>――重機を扱う訓練はどのように行われているのでしょうか？</p><p>福本：個々が技術向上を図るための訓練をしているほか、実際の災害現場を再現した環境下で2つの部隊が連携する総合的な訓練も行っています。</p><p>――消防局LTFに所属する隊員さんの声も反映されているのでしょうか？</p><p>福本：もちろんです。隊員たちの生の声を隊長が吸い上げて、現場に反映しています。もっとリアルな環境で訓練を積みたいという声があれば、建築現場などから残土やがれきをもらってきて被災地の状況を再現したり、グラウンドを掘り下げて泥濘地（水分を含む土砂）をつくったりして、訓練しています。</p><p>そもそも私たちには重機に関する知見がなかったものですから、さまざまなところからご教示いただきながら経験と知識を積み上げている段階です。その過程において、実際に現場で活動する隊員たちの声は非常に重要だと考えています。</p><p>しかし、若手の隊員たちが声を上げることは容易ではありません。だからこそ、隊長がしっかり耳を傾ける姿勢が重要だと思います。その点、局内では上下の信頼関係はできていますし、ざっくばらんに話せる関係を築いています。</p><p>――横須賀市の反応はいかがですか？</p><p>福本：議会の方々は、私たちの活動に理解を示し、応援してくださっています。昨今、日本のあらゆる場所で災害が発生していることもあり、皆さん災害対策への意識が高い。</p><p>ですから、土砂災害機動部隊にかける予算についても理解してくださっていて、「これで安心できる」と言っていただけることが多いですね。</p><p>小山さん（以下、敬称略）：2025年に消防団LTFと合同訓練を行ったのですが、かなりの人数の議員さんも出席してくれました。間近で訓練を目にしたことが、より深い理解につながっているのかもしれません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_4.jpg">横須賀市消防局・総務課長の小山さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_699b68b0068f06d67dc6badd7e5756c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">大切なのは「自助・共助・公助」という考え方</h2><p>――一般市民の方々への周知活動は力を入れているのでしょうか？</p><p>福本：そうですね。おかげさまで大きな災害が発生していないこともあり、市民の方々が重機のメリットを実感する機会がないのが現状です。だから、例えば消防パレードなどを行う際には重機も加えて、広く地域にアピールすることにも取り組んでいきたいと考えています。</p><p>小山：今後は一般公開を積極的に行っていきたいと。小学生を対象にしたイベントなどで重機を披露していけたらいいな、と考えています。</p><p>福本：さらにSNSでの発信も強化し、広く知っていただく機会をつくっていくつもりです。</p><p>――改めて、各自治体に重機を整備する重要性をどのように考えていらっしゃいますか。</p><p>福本：先ほども申し上げたように、横須賀市の地形的な特性を考えますと、土砂災害が発生したときに重機は必要だろうと考えていたんです。人手による作業よりも重機を使ったほうが、多くの命を救える可能性が高まりますから。それは他の自治体にも通ずることかもしれません。</p><p>また、横須賀市は狭くて急峻な地形が多いこともあり、小型重機も採用しています。そんなふうに地形に合わせて、臨機応変に整備しておくことは重要かもしれません。</p><p>――最後に、私たち一人一人が自分の身を守るために大切な考え方を聞かせてください。</p><p>福本：「自助・共助・公助」という言葉があります。発災時、消防のような「公助」はどうしても発動させるのに時間がかかってしまう。だからこそ、まずは自分で自分の身を守る「自助」、そして隣近所で助け合う「共助」が大切ではないかと。</p><p>日頃からそれを意識してもらいながら、例えば津波が発生したときにはどこへ逃げればいいのか、家族がバラバラになったら連絡手段はどうするのか、食料はどのように備蓄しておくのか、地域の皆さんにも危機感を持って考えていただけると、より多くの方の命を守ることができると考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/LTF_6.jpg">YOKOSUKA消防パレードの様子。画像提供：横須賀市観光情報<h2 id="tnf-text-heading-block_7d9533695dd6bc2e673b365cf0cc5d9c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">災害発生時に1つでも多くの命を守るために、私たち一人一人にできること</h2><p>発災時、被害を最小限に抑えるために、私たち一人一人に何ができるのか。福本さん、小山さんに教えていただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e5b06f64127a75812d202d9670e6894f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自分の身は自分で守る</h2><p>発災時、まずは自分の身を自分で守れるようにしておくことが大切。そのためにも事前の防災シミュレーションをしておくとともに、それを家族や身近な人に共有しておく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6d76e1988883fe6f42f8046558ee0d14" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］地域で助け合う精神を持つ</h2><p>長く続く避難生活のなかでは、周囲の人と連携し助け合う精神が大切。足りないものを補い合い、ともに命をつないでいくことで、より多くの人が救われる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_324ebed1919ea3eccdc2775732797414" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］普段から災害に備えて準備をしておく</h2><p>災害が起こったら少しでも冷静になれるよう、避難の流れ、連絡手段の確保、備蓄の用意などは日頃から心がけておくこと</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>全国でも類を見ない土砂災害機動部隊を発足させた横須賀市消防局は、人命救助に対してとても熱く、真摯な思いを抱いていることが分かりました。</p><p>しかし、発災時、彼らが助けに来てくれることを待つだけではいけません。大事なのは一人一人が、「自分の身を守る」という意識を持つこと。改めて、そんな基本的なことを思い出させてくれる取材となりました。</p><p>撮影；十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>日本の医療・健康・福祉に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120336/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 17 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>誰もが健やかに、そして自分らしく最期まで生きるためには、どのような壁があり、私たちは何を変えていくべきなのでしょうか。まずは、日本の医療や福祉が直面している社会課題について知るところから始めましょう。</p><p>目次</p><p><a href="#link1">●社会保障費（社会保障給付費）の増大・医療制度の維持</a></p><p><a href="#link2">●労働力不足</a></p><p><a href="#link3">●終末期医療</a></p><p><a href="#link4">●独居高齢者の増加</a></p><p><a href="#link5">●子育ての孤立（孤育て）</a></p><p><a href="#link6">●ひとり親世帯の貧困</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link1">社会保障費（社会保障給付費）の増大・医療制度の維持</h2><p>社会保障制度とは、病気や高齢などの不安をみんなで支え合う仕組みです。日本では社会保険、社会福祉、公的扶助、保健医療・公衆衛生の4つの柱を税金や保険料で支え、人々の生活を守っています。</p><p>しかし、少子高齢化で現役世代が減り、制度の維持が難しくなってきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200006.jpg"><p>内閣府の<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a>によると、2024年の高齢化率は29.3パーセントに達しています。財務省の広報誌<a href="https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202404/index.html#page=7" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ファイナンス 2024年4月号」（外部リンク）</a>でも、同年の社会保障関係費は約37.7兆円と過去最高を更新したと伝えています。</p><p>医療現場の人手不足も深刻で、将来十分なサポートを受けられない可能性もあり、今後は効率的な予算利用や予防医療を進め、若い世代も自分ごととして支え合いの形を考える姿勢が大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_5fef57228ff9c89b3892b1b1795d30f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［社会保障費の増大・医療制度の維持をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/111255/eighteen_survey" target="_blank" rel="noreferrer noopener">年金より貯蓄？　若者の老後不安と私たちにできること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102887/health_disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">治療費が払えない……。そんなときに頼れる医療ソーシャルワーカーという仕事（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101549/health_Disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">少子高齢化、人口減少で広がる地域医療の格差。航空救急が解決の一手に（別タブで開く）</a><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/89142/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">労働力不足、医療人材不足、社会保障費の増大——間近に迫る「2025年問題」とは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">労働力不足</h2><p>労働人不足とは、仕事を担う人手が足りず、社会の支えが不十分になる状態です。</p><p>日本を支える生産年齢人口（15歳から64歳の人口）は、1995年をピークに減り続けています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200003.jpg">生産年齢人口（15〜64歳）の推移。1995年をピークに減少している。引用：<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「令和7年版　高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a><p>また、2025年の<a href="https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「中小企業白書」（外部リンク）</a>によると、中小企業の約52.7パーセントで後継者が決まっておらず、優れた技術やサービスが途絶える危機に直面しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200004.jpg"><p>その他、高齢化に伴う介護ニーズの増大に反して職員は不足しており、医療・福祉の提供体制における人材確保は今すぐに考えるべき課題です。特に地方においては、若年層の流出や採用市場の競争激化により、その傾向は顕著になっています。</p><p>今後はロボットの活用や働き方の工夫に加え、地域全体で支え合う新しい仕組みづくりが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_22b0ff6a18cb6f521ea9c6c1481c916d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［労働力不足をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/112023/social_issues" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中小企業の廃業は加速。後継者不在を解消する「第三者承継」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110713/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">600万人もの“働きたくても働けない”就労困難な人を支援する、新しい「就労支援」のかたちとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/108896/health_disparities" target="_blank" rel="noreferrer noopener">病院に搬送ロボットを導入。人手不足を乗り超えるトヨタ式「カイゼン」とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2020/40204" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本で1,500万人以上が抱える「働きづらさ」。今求められる就労支援の在り方を考える（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">終末期医療</h2><p>終末期医療とは、病気の回復が難しくなった際に痛みや苦しみを和らげ、最期まで穏やかに過ごせるように支える医療です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200002.jpg"><p>かつては自宅で家族に囲まれて亡くなるのが一般的でしたが、現在は多くの方が病院で最期を迎えています。</p><p>約59パーセントの人が自宅での最期を希望しているのに対し、実際に自宅で最期を迎えられる人は17パーセント、病院が67.4パーセントというのが現状です。背景には、家族による介護の負担や一人暮らしの増加といった課題があります。</p><p>今後は病院や自宅以外の選択肢として、安心して過ごせるホームホスピスの拡充が必要です。本人の意思を尊重し、地域全体で寄り添う仕組みを整える姿勢が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a26993ac0d15d474a47d49ceeba07381" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［終末期医療をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115479/nursing_care" target="_blank" rel="noreferrer noopener">終末期のためのもう一つの家「ホームホスピス」ってなに？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/65916" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どものための終末期ケアがなぜ必要か？　作家・石井光太さんに問う（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">独居高齢者の増加</h2><p>独居高齢者とは、一人で暮らす65歳以上の人のことです。</p><p>近年、高齢者の増加に加え、未婚率の上昇といった家族形態の変化によって、独居高齢者が急増しています。内閣府の<a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/pdf/1s1s_03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和7年版 高齢社会白書」（外部リンク/PDF）</a>によると、2020年には約672万人が独居高齢者となっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200005.jpg"><p>一人での生活は、認知症の進行に気づきにくかったり、詐欺や押し入りなどの犯罪に狙われやすかったりと、多くのリスクを抱えています。社会からの孤立が原因で生活意欲が低下し、孤独死を招く事態も深刻な問題です。</p><p>今後は、高齢者向けのシェアハウスや多世代型住宅など、人とのつながりを感じられる住まいの形を広める工夫が求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b9c0d769643aeb69af3c25497478666c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［独居高齢者をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118772/inclusive-society" target="_blank" rel="noreferrer noopener">高齢者と若者が共生。新しい「多世代型コミュニティー住宅」のかたち（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114172/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">2040年には高齢者の7人に1人が認知症に。ご本人の声に耳を傾け、共に生きる社会づくり（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103052/health_aging" target="_blank" rel="noreferrer noopener">増加するシングル高齢者。いま注目される「高齢者シェアハウス」とは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">子育ての孤立（孤育て）</h2><p>子育ての孤立（孤育て）とは、周囲の助けが得られず、主に母親親が一人で育児の不安や負担を抱え込む状態です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/jisho200007.jpg"><p>育児をする人の約4割が育児において孤立感を感じたと回答しており、子育ては非常に孤独に陥りやすい環境といえます。</p><p>背景には核家族が進み、身近な親族に頼るのが難しいということ、パートナーの育児休暇の取得が進まない状況や、地域とのつながりが薄くなったなどが挙げられます。</p><p>今後は多世代が交流できる場を整え、地域全体で親を支える仕組みを作っていく姿勢が大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9f7c6671eaf9ecc3f47099aa3a347c58" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［子育ての孤立（孤育て）をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty" target="_blank" rel="noreferrer noopener">負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102749/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子持ち様」という言葉はなぜ生まれた？ withworkの運営者に聞いた（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101297/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">医療施設や子育て情報の不足——離島の子育て支援から探る「孤育て」解決の糸口（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">ひとり親世帯の貧困</h2><p>ひとり親世帯の貧困とは、父か母のどちらかとその子どもが暮らす世帯において、生活に必要なお金が十分にない状態を指します。</p><p>子ども家庭庁の<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9bde9c85/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、日本国民全体の相対的貧困率が15.4パーセントなのに対して、ひとり親世帯は44.5パーセント。</p><p>その背景には、非正規雇用で働く親が多く収入が不安定になりやすい点や、子育てとの両立により働く時間が限られるといった複数の壁があります。</p><p>今後は行政による支援の充実や養育費を確実に受け取れる仕組みを整え、親子が安心して将来を描ける環境作りが大切です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_16a233f67022b115ea66fb3d20349909" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ひとり親世帯の貧困をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty" target="_blank" rel="noreferrer noopener">負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭の貧困率は約5割。子育てに活用できる国や自治体の支援制度（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/95337/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">母子家庭の7割が直面する「養育費を払わない」問題。泣き寝入りしない「本人訴訟」という手段（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/28194" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本の子どもの7人に1人が貧困。「第三の居場所」がなぜ必要なのか？（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_21479.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「社会保障とは何か」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2025/zenbun/07pdf_index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府 「令和7年版　高齢社会白書（全文）（PDF版）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mof.go.jp/public_relations/finance/denshi/202404/index.html#page=1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">財務省「ファイナンス 2024年4月号 No.701」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2025/PDF/chusho/00Hakusyo_zentai.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中小企業庁「中小企業白書 2025年版」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210329-55543.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「人生の最期の迎え方に関する全国調査（2021年）」（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/11/new_inf_20191202_07.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「子育て実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/f1dc19f2-79dc-49bf-a774-21607026a21d/9bde9c85/20230725_councils_shingikai_hinkon_hitorioya_6TseCaln_01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <title>一般社団法人を設立するまでの流れは？ 必要な書類や費用も解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120055</link>
      <pubDate>Fri, 13 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>一般社団法人は、法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可は必要ない</li><li>定款には、「絶対的記載事項」という7つの項目を記載しなければ設立できない</li><li>設立に必要な書類は、定款認証時と設立登記申請で異なる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>一般社団法人の設立には、社員の確保や必要書類の作成など、いくつかのステップを踏む必要がある。株式会社と比較すると簡単に設立することができるが、専門的な知識を要する部分もある。</p><p>本記事では、一般社団法人を設立するまでの流れや、設立に必要な書類などについて解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_89d821ccc65e32152d125e4ccc1ef293" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. 一般社団法人設立のメリット</h2><p>一般社団法人を設立するメリットは、次の通りである。</p>設立手続きが簡単 → 法務局への登記申請のみで設立でき、行政の許認可が不要小規模での運営ができる → 最低2名の社員で設立できる設立にかかる費用が比較的安い → 資本金が不要で、設立費用も株式会社などと比べて安い事業内容に制限がない → NPO法人と比べ、幅広い事業活動を行える行政等による監督が少ない → 行政からの監督や報告義務が少ないため、運営の自由度が高い社会的信用が高まる → 法人格を持つことで社会的な信用力が高まる税制上の優遇措置が受けられる → 非営利型の場合、収益事業以外の所得には課税されない一般社団法人だけに認められる基金制度がある → 寄付が集めやすくなる<p>将来的な事業の拡大や円滑な社会活動を進める上で、一般社団法人設立のメリットを十分に感じられるだろう。 </p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_5a6f57aaf85db76b9f6e210f61e40d89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. 一般社団法人を設立するまでの8ステップ</h2><p>一般社団法人を設立するまでの流れを8つのステップに分けて紹介しよう。</p><p>STEP1：2名以上の社員を確保するSTEP2：定款を作成するSTEP3：公証役場で定款認証を受けるSTEP4：設立に必要な書類を作成するSTEP5：法務局に設立登記を申請するSTEP6：登記事項証明書や法人の印鑑証明書を取得するSTEP7：役所で法人設立届出の手続きを行うSTEP8：設立後に必要な手続きを行う</p><h3 id="tnf-text-heading-block_990feada1b41ba9ab0e0f6c149f7bc9e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. STEP1：2名以上の社員を確保する</h3><p>一般社団法人を設立するためには、2名以上の社員と1名以上の理事が必要だが、社員と理事は同一人物でも構わない。ただし、設立時に理事会を設置する場合は、理事3名以上と監事1名以上、つまり最低4名が必要となる。</p><p>理事会を設けるかどうかは任意である。一般社団法人では、重要事項の決定は社員総会で決める必要があるが、理事会を設置すれば、社員総会を開かなくても意思決定が行えるため迅速な対応が可能となる。</p><p>ここでいう「社員」は、一般的な会社の社員とは異なり、株式会社にとっての株主に近い立ち位置で、社員総会で議決権を持つ人のことを指す。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_93f3a0733d6b08327cf1e031684e8384" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2. STEP2：定款を作成する</h3><p>定款とは、「法人の憲法」とも呼ばれ、一般社団法人の根本原則となるものである。一般社団法人の定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」として、次の7項目がある。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_1.jpeg"><p>絶対的記載事項は1つでも欠けていると、定款が無効になる。また絶対的記載事項がなければ法人設立が認められない。</p><p>定款の記載事項には、このほかに「相対的記載事項」「任意的記載事項」がある。</p><p>相対的記載事項は、記載しなくても定款自体の効力は有効だが、定款に記載しない限り、その事項の法的効力が認められない事項のこと。例えば、理事会の設置、監事の設置、残余財産の帰属先などがこれにあたる。</p><p> 任意的記載事項は、公序良俗や法令に反しない限り、法人が自由に定めることができる事項。定款に記載しなくても有効だが、あえて記載することで内容の変更に定款変更の手続き（社員総会の特別決議）が必要になり、ルールの法的根拠を強める効果がある。例えば、役員の数、会員の種別、事業内容の詳細などがこれにあたる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0c21da5093c6bab15d4005800db23239" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. STEP3：公証役場で定款認証を受ける</h3><p>定款認証とは、法的な手続きに則って定款が作成されたことを公証人が証明すること。</p><p>作成した定款は、公証役場（※）で認証を受ける必要があり、認証を受けなければ法務局で設立登記をする際に受理されない。定款認証を受ける公証役場は、主たる事務所を設置する都道府県内にある公証役場であれば、どこでも構わない。</p><div id="tnf-text-notes-block_9631cb65e0de07012aae701b5591b73f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「公証役場」とは、法務局が管轄する機関で、公証人が公正証書の作成や私文書の認証などを行っている。参考：<a href="https://www.koshonin.gr.jp/list" target="_blank" rel="noopener">日本公証連合会「公証役場一覧」（外部リンク）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_c21c9cb3dcc64d8655846678dc859c5a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. STEP4：設立に必要な書類を作成する</h3><p>定款の認証を受けた後は、法務局で設立登記申請を行う必要がある。</p><p>必要な書類は定款認証時と設立登記申請で異なる。具体的な書類内容については、次の章「一般社団法人の設立に必要な書類」で紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_32eca9ca449a8f001eb8b0147b3216fc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5. STEP5：法務局に設立登記を申請する</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>設立登記の申請は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行う。</p><p>一般社団法人の設立日は、申請が承認された日ではなく、法務局に設立登記の申請をした日となり、この日から活動を行うことが可能だ。</p><p>登記が完了するまでには1〜2週間ほどかかる。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_2.jpeg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_8db178b524f7497a1f33f0afee1f51d0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-6. STEP6：登記事項証明書や印鑑証明書を取得する</h3><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や法人の印鑑証明書は、法人用の銀行口座開設や税務署などへの各種届出の際に必要となる。</p><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や法人の印鑑証明書を取得するには、法人印鑑カードが必要である。法人印鑑カードは、登記完了後に法務局で発行できる。発行の際には、法人の実印と代表者の身分証明書等が必要となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_5098530163b0f3bef162d40b894c8706" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-7. STEP7：各役所で法人の設立届出を行う</h3><p>登記事項証明書（登記簿謄本）や印鑑証明書を取得後は、次の役所で法人設立届出の手続きを行う。</p>税務署都道府県税事務所市区町村役場<p>特に、税務署への届出は期限内（設立の日以後2カ月を経過する日まで）に行わなければ、税金面で不利になる可能性がある。</p><p>また、年金事務所やハローワーク、労働基準監督署でも届出の手続きが必要なケースもある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bcb88c2feab3a6d8f8d9bacd95edd82a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-8. STEP8：法人設立後に必要な手続き</h2><p>一般社団法人の設立登記が完了し、各役所への届け出を終えたら、事業を開始するために必要な手続きを行う。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_02215c81e35c250d89a6b93ad93a80d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. 一般社団法人の設立に必要な書類</h2><p>一般社団法人を設立するためには、定款認証と設立登記申請のために書類を作成しなければいけない。この章では、それぞれ必要な書類を解説する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b57489f9dccca4570b356e217986d0a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 定款認証</h3><p>定款認証の方法には、紙定款と電子定款の2種類があり、若干必要書類が異なる。</p>定款（3部：原本、謄本、保存用）設立時社員全員分の印鑑証明書（発行後3カ月以内）設立時社員全員の実印（電子定款の場合は電子署名）実質的支配者（※）となるべき者の申告書身分証明書（運転免許証など）委任状（代理人が定款認証を行う場合） ・実印（当日、原本還付等の手続きで使用）<div id="tnf-text-notes-block_4a18d688ace7aeb741cc3a3596808f41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※実質的支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配する権限を持つ個人（一般社団法人の場合は通常、設立時社員など）を指す</div><p>定款は、会社保存用・公証役場用・法務局用の3部用意する。</p><p>管轄となる公証役場によって指定の書類が異なる可能性があるため、あらかじめホームページなどで事前に確認しておくとスムーズに進められるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_90eaa18d44ac2ed92719f8deeb7c362d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2. 設立登記申請</h3><p>登記申請に必要な書類は、次の通りである。</p>定款委任状設立登記申請書登記事項を記録したCD-R（またはオンライン申請・QRコード付き書面申請も可）」設立時代表理事・理事・監事の就任承諾書印鑑証明書本人確認書類設立時代表理事選定書設立時社員の決議書印鑑届書<p>法務局のウェブサイト<a href="https://houmukyoku.moj.go.jp/homu/COMMERCE_11-1.html#anchor5-1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「商業・法人登記の申請書様式」（外部リンク）</a>で申請書様式をダウンロードできるので、ぜひ活用しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d68a38141023675c9e15312eabdcc54e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4. 一般社団法人の設立にかかる費用</h2><p>一般社団法人の設立には、定款認証や登記申請などの手続きに伴い、次の費用がかかる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO-15_4.jpg"><p>そのほか、印鑑証明書交付の手数料や登記簿謄本や印鑑証明証の取得費用がかかり、自分で手続きをした場合は15万円ほど必要になる、</p><p>専門的な知識が必要な場面も多いため、設立手続きの代行を司法書士や行政書士に依頼する場合もある。その場合は、5万円から10万円程度かかる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5d4ad44aa9c335214c3b9000c78c0ec3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>一般社団法人の設立には、2名以上の社員の確保、定款の作成、公証役場での定款認証、法務局への設立登記申請などの手続きが必要。定款には、目的、名称、主たる事務所の所在地などの絶対的記載事項を記載しなければならず、1つでも欠けると定款は無効となる。</p><p>また、定款認証には、定款、設立時社員全員分の印鑑証明書、実質的支配者となるべき者の申請書などが必要だ。</p><p>一般社団法人を設立する費用としては、定款認証手数料（5万円）、登録免許税（6万円）などがかかる。司法書士や行政書士などにも5万円から10万円で設立手続きの代行を依頼できるから、スムーズに設立を望むなら活用をおすすめする。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#02" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「一般社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/content/001406605.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「公証人による定款認証について」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/TESURYO/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「登記手数料について」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119787</guid>
      <title>日本の子ども・若者に関する社会課題</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119787/social_issues</link>
      <pubDate>Thu, 12 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>日本で暮らす子どもや、学校や保育園で彼らと向き合う先生・保育士は日々、さまざまな問題に直面しています。それぞれどのような課題があるのか、問題を解決するにはどうすればよいのか。</p><p>まずは日本のこども・教育にまつわる社会課題について知るところから始めましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>目次</p><p><a href="#link1">●教育格差・体験格差</a></p><p><a href="#link2">●いじめ・不登校・自殺</a></p><p><a href="#link3">●児童虐待</a></p><p><a href="#link4">●教育現場の疲弊</a></p><p><a href="#link5">●インクルーシブ教育</a></p><p><a href="#link6">●ヤングケアラー</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 class="wp-block-heading" id="link1">教育格差・体験格差</h2><p>「教育格差・体験格差」とは、貧困や家庭環境、言語背景などが重なって起こる複合的な社会課題で、子ども・若者の将来の進路や成長に影響を与えています。</p><p>格差の原因として主に挙げられるのは、家庭の経済的要因。内閣府が2021年に調査した<a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230403094438/www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年子供の生活状況調査の分析報告書」（外部リンク）</a>によると、世帯の収入が低いほど、学校がある日に授業以外の勉強を「全くしない」と回答した割合や、クラスの中での成績について「下のほう」と回答した割合、学校の授業について「分からない」と回答した割合が高いということが分かっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100006.jpg"><p>また、日本語指導が必要な外国ルーツの子どもは、日本語や学校文化に不慣れなまま通常学級に入ると、授業理解や友人関係で不利になりやすく、そうした支援の薄さも問題視されています。</p><p>このような格差は各々の努力だけでは解消しにくく、含む公的・民間の連携施策が不可欠とされています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_92f54e60061953aa1532b2c68e60e29a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［教育格差・体験格差をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109823/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">高校生の11人に1人が「通信制高校」へ進学。多様化するカリキュラムとニーズの高まりが、その背景に？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109406/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ地方に住む女性は難関大学を目指さないことが多いのか？　誰もが自由に進路を選択できる社会にするには？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/92359/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ世界から貧困（ひんこん）はなくならない？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/86934/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ひとり親家庭の貧困率は約5割。子育てに活用できる国や自治体の支援制度（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link2">いじめ・不登校・自殺</h2><p>いじめや不登校は、子どもたちの学校生活において深刻な問題となっており、精神的に追い詰められた結果、最悪の場合、自殺という選択をしてしまうことも。</p><p>「いじめ防止対策推進法（※）」施行後も、令和6年度の文部科学省の調査では、小・中学校におけるいじめの認知件数は約75万件、不登校の生徒数は約35万人と、いずれも過去最多となりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_c47409b85caefa451438d53c317c10da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※いじめから子どもの尊厳と心身を守るため、国や地方自治体の責務を定め、防止・早期発見・対処の対策を総合的に推進することを目的とした法律。2013年に制定。参考：<a href="https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1337278.htm" target="_blank" rel="noopener">文部科学省「いじめ防止対策推進法（平成25年法律第71号）」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100007.jpg">2024年の小・中・高校生のいじめ認知件数は76万9,022件と過去最多に。データ引用元：<a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」（外部リンク/PDF）</a><p>さらに、最近の小・中・高校生の年間自殺者数は500人を超えており、年々増加し続けています。こうした状況が続くのは、子どもが相談しにくく、周囲がその変化に気づきにくい環境が一因とされています。また、深刻化する前に支援につなげる体制づくりも十分とはいえません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100004.jpg"><p>これから求められるのは、子どもが安心して気持ちを打ち明けられる場を広げること。学校や家庭、地域が協力し、気づいた人がすぐに声をかけられる環境整備が重要といえるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b4bb63752ee0708d87245b44b107688a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［いじめ・不登校・自殺問題をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117041/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「苦しまないで済む不登校」の環境を社会全体でつくりあげる。第三の居場所づくりに大切なこととは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110864/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">発達障害傾向、不登校——困りごとを抱えた子どもたちの居場所づくり。必要なのは「自己理解」を促す支援（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114810/bully" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/100285/suicide" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの言葉に深く耳を傾け、気持ちに寄り添う。子どもの自殺予防のために親ができること（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/69071" target="_blank" rel="noreferrer noopener">深刻化する「SNSいじめ」から子どもたちを守るには？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link3">児童虐待</h2><p>「児童虐待」とは、親や親に代わる保護者、養育者、そのほか子どもに関わる大人が子どもの心身を傷つけ、健全な成長や発達を妨げる行為を指します。例えば、暴力をふるう、怒鳴る、食事を与えず放置する（ネグレクト）などが児童虐待にあたります。</p><p>全国の児童相談所への虐待相談件数は年々増加し、2023年度には過去最多の約22万件が報告されました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100005.jpg">2023年度の児童虐待相談対応件数は22万5,509件と過去最多に。データ引用元：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/5fbbaa2e/20250327_policies_jidougyakutai_32.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和５年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」（外部リンク/PDF）</a><p>その背景には家庭内だけの問題ではなく「貧困」や「孤立」といった社会的要因が深く関わっていると考えられています。また、家庭内の問題は表面化しづらく、子ども自身もなかなか助けを求めることができません。</p><p>そのような状況を改善するためには、身近な大人が子どもの小さな変化に気づき、必要に応じて専門機関へつなげることが重要。さらに、子どもが安心して相談できる環境づくりや、地域社会全体で子どもたちを見守り、支援する体制をつくることが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d10709b8b54cd070f3406eef5d3179f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［児童虐待をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114845/crime" target="_blank" rel="noreferrer noopener">虐待や性被害——つらい体験をした子どもは「優しい聞き取り」と「専門のケア」が必要。子どもの被害者支援に必要なこととは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/107329/social_isolation" target="_blank" rel="noreferrer noopener">居場所のない若者への居場所づくりに取り組む。目指すのは「トー横」と「行政」の間にある存在（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/99465/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本初、虐待を学ぶ研究科が誕生。山梨県立大学大学院が「人間福祉学研究科」を設立した理由（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98154/childcare" target="_blank" rel="noreferrer noopener">なぜ親は子どもに虐待をしてしまうのか？　背景にあるのは貧困と孤立（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98934/social_business" target="_blank" rel="noreferrer noopener">音に敏感、頑張りすぎる。虐待サバイバーの働きづらさとは？（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link4">教育現場の疲弊</h2><p>「教育現場の疲弊」とは、学校の先生が過度な業務負担によって、心と体のゆとりを失ってしまう状態です。先生たちは授業の準備はもちろん、行事の計画や部活動の指導、保護者対応、事務作業など、多くの業務を担当しています。</p><p>その結果として残業が増え、長時間労働が日常化し、過重労働という深刻な問題を引き起こしています。文部科学省の調査では、1カ月に45時間以上の残業がある教師は20パーセントを超えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo01000071.jpg"><p>このような環境が続くと授業の質を保てなくなり、生徒一人一人に向き合う時間も減ってしまうでしょう。また、労働環境が悪いと教員不足や若い先生の離職につながり、学校運営自体が危うくなる可能性もあります。</p><p>今後は労働環境や待遇の改善とともに、業務の見直しや多様な人材の活用を進め、持続可能な教育現場を築いていくことが求められます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a7775a03ce8a914d09cbda2c193b19a2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［教育現場の疲弊をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114053/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">免許の有無にかかわらず、多様な人材を教室へ。Teach For Japanの挑戦（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/108301/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教師の4人に3人が自己負担の経験あり。教師の働き方を改善するには？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/87142/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">部活は子どもの大切な体験機会。学校に指導員を派遣する団体に聞く部活動の意義（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/72403" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教師の過重労働、教師不足と向き合う現役教師たち（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link5">インクルーシブ教育</h2><p>「インクルーシブ教育」とは、障害の有無や国籍、性的マイノリティー（※）などさまざまな違いを超えて、全ての子どもが同じ場で共に学ぶ環境を指します。幼い頃から多様な仲間と過ごすことで自分とは異なる個性や価値観を受け入れる心が育まれ、将来みんなで支え合い、誰もが活躍できる共生社会につながると期待されています。</p><div id="tnf-text-notes-block_2fe1f8dc3eea369e962b0a929105204d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「こころの性・からだの性・表現する性が一致している異性愛者」ではない人の総称。参考：<a href="https://jobrainbow.jp/magazine/whatissexualminority" target="_blank" rel="noopener">JobRainbow MAGAZINE「【「LGBTQ+」と違う？】セクシュアルマイノリティ・セクマイとは？【定義や種類まとめ】」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100001.jpg"><p>ですが、日本では実践事例が少なく、インクルーシブ教育がまだ十分に進んでいるとはいえません。その要因には、周囲や保護者の理解をはじめ、専門の支援員や教員研修の不足、バリアフリー環境の未整備といった学校施設の問題などが挙げられます。</p><p>誰もが安心して学べる環境を整え、一人一人に応じた柔軟な支援を充実させるべく、今後は、教育現場だけでなく、自治体、医療・福祉機関などとも連携し、社会全体で取り組む必要があるでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_da14fc2a6a374f12f07ca7b8dfb343de" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［インクルーシブ教育をテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/113336/multicultural_symbiosis" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教育の機会をすべての子どもに。外国にルーツを持つ子どもたちの学びを支える日本語初期指導教室とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103768/diversity_and_inclusion" target="_blank" rel="noreferrer noopener">教室から広がるインクルーシブ社会。パラリンピック教材開発者の一人、マセソン美季さんの想い（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98705/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">多様な子どもたちが共に学ぶ「インクルーシブ教育」は、いまなぜ必要か？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/98734/education" target="_blank" rel="noreferrer noopener">障害者だけじゃない。子ども視点で考える「学校のバリアフリー」（別タブで開く）</a></p><h2 class="wp-block-heading" id="link6">ヤングケアラー</h2><p>「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うべき家事、介護、家族の世話などを日常的に行っている子ども・若者のことです。晩婚化、核家族化、高齢化といった社会背景から、家族のケアを担う子ども・若者が増加しており、厚生労働省と文部科学省の調査では、中高生のおよそ17人に1人がヤングケアラー状態にあるとされています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jisyo0100002.jpg">子どもへの過度な負担は、学校生活や進路選択に深刻な影響を及ぼす可能性がある。引用：<a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「ヤングケアラーって、実はけっこう身近なのかも」（外部リンク/</a><a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">PDF</a>）<p>こうした子どもたちは、自分の時間や学習機会が制限され、進路選択や人間関係にも影響が出ることがあります。しかし、家庭内の問題として捉えられがちで、周囲の理解不足も相まって、その実態は表面化しにくい状況です。2022年の法改正により、ヤングケアラー支援が法律に明記され、自治体やNPOなどによる実態調査や相談体制の整備といった支援の取り組みは進みつつありますが、必要な支援が全ての子どもに行き届いているとはいえません。</p><p>今後、社会全体でヤングケアラーを早期に発見し、適切な支援を行うとともに、子ども・若者たちが自分らしく生活できるよう、周囲の理解と協力体制を強化していくことが求められています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_504991149023dba3c350a94bc54107e4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［ヤングケアラーをテーマにした記事］</h3><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115835/young-carers" target="_blank" rel="noreferrer noopener">精神疾患の親を持つ子どもたちに本当に必要な支援とは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114810/bully" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは？（別タブで開く）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/young-carers/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">連載【家族を看る10代】（別タブで開く）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考資料］</p><p><a href="https://warp.ndl.go.jp/web/20230403094438/www8.cao.go.jp/kodomonohinkon/chousa/r03/pdf-index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「令和3年 子供の生活状況調査の分析 報告書」（8ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20260305-mxt_jidou02-100002753_3.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」（8ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001464717.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省自殺対策推進室警察庁生活安全局生活安全企画課「令和6年</a><a href="https://www.mhlw.go.jp/content/001464717.pdf">中における自殺の状況」（16ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a176de99-390e-4065-a7fb-fe569ab2450c/5fbbaa2e/20250327_policies_jidougyakutai_32.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「令和5年度 児童相談所における児童虐待相談対応件数」（2ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20260303-mxt_kyoikujinzai01-000036300_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「令和6年度 教育委員会における学校の働き方改革のための取組状況調査【結果概要】」（4〜6ページ）（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://kodomoshien.cfa.go.jp/young-carer/lib/dl/R6_YC_leaflet_A4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「ヤングケアラーって、実はけっこう身近なのかも」（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人の経費処理とは？ 削減の方法や安定的に運営するためのコツを解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119865/academy</link>
      <pubDate>Wed, 11 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人の経費の中でも「人件費」にかかる割合が多い</li><li>人件費を削減するためにはITツールの導入やフローの見直しなど業務の効率化が重要</li><li>安定した組織運営のためには、経費削減だけでなく資金調達にも力を入れることが大切</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人の経費は会社とは異なる？」「経費に関する課題は？」</p><p>このような疑問を持つ人もいるだろう。</p><p>NPO法人は会計の方法や情報公開の義務といった点で営利企業（株式会社等）と対応の仕方が異なる。また「人件費」に関わるコストが課題といえるため、ITツールを取り入れたり、業務フローを見直すなど業務の効率化も重要だ。</p><p>この記事では、NPO法人の経費について、営利企業と異なる点や、運営する上で抱えやすい問題と改善策について紹介する。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_accea8bdadaed264b67adcc6eb4c0f1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. NPO法人の経費とは</h2><p>NPO法人が発生する費用は大まかに「経常費用」と「経常外費用」の2種類に分けられる。これは「NPO法人会計基準」の分類に則ったものだ。</p><p>このうち「経常費用」がいわゆる経費と呼ばれるもので、営利企業とは異なるのは経費が事業費（事業を遂行するための費用）と管理費（事業を管理するために支出した費用）に分類される点だ。事業費と管理費はそれぞれ「人件費」と「その他経費」に分類される。</p><p>またNPO法人は、会計の透明性と信頼性を確保するため、活動計算書といった財務状況を開示する義務がある。所轄庁のサイトやNPO法人の事務所で誰でも閲覧できるのも大きな特徴だ。</p><p>「経常外費用」とは、NPO法人の事業活動以外で発生した臨時的な費用をいう。「固定資産売却損益」や「災害損失」などが該当する。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118435/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人の会計とは？ 会計基準や処理方法、勘定科目を具体的に解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_1bc8fb51b5b21c7d1a7ec119000a64e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1. 「人件費」とは？</h3><p>「人件費」は法人の運営や事業活動に関わる人材に発生する費用。項目は営利企業と同様、次の通りだ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">給与、通勤手当役員報酬アルバイト賃金</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">法定福利費（社会保険）退職給付費用（退職金）福利厚生費 など</div></div><p>営利企業と異なる点は、認定NPO法人になると給与規程や役員報酬規程を開示する義務があることが挙げられる。 </p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_6c9dc30ad2c382b3c8c2627816df8d72" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2. 「その他経費」とは？</h3><p>「その他経費」は人件費以外の全てが該当する。営利企業と共通している項目は、次の通りだ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">売上原価地代家賃水道光熱費</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">通信運搬費消耗品費雑費 など</div></div><p>ここでは、営利企業と項目自体は共通しているが内容が異なる点、営利企業にはない項目について解説する。</p>1-2-1. 旅費交通費<p>自団体の関連機関や税務署への相談、他団体や講師との打ち合わせなどで発生する移動費、出張にかかる宿泊費などが該当する。営利企業とは異なる点として、旅費・交通費規程を開示している団体もあること。</p><p>例えば、認定NPO法人キッズドアの「<a href="https://kidsdoor.net/data/media/kidsdoor/page/about/outline/2024/OR_travel_transportation_expense.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">旅費・交通費規程」（外部リンク/PDF） </a>では、鉄道、船舶、航空機、バスなどは実費の支給だ。宿泊費は地域によって8,000〜1万円の上限を定めている。</p><p>認定NPO法人ふーどばんくOSAKAの<a href="https://www.foodbank-osaka.jp/foodbank/pdf/document5-10.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「職員旅費規程」（外部リンク/PDF）</a>は、交通費は実費だが、宿泊費を1万2,000円、出張手当は3,000円の定額としている。</p>1-2-2. 租税公課<p>租税公課とは、いわゆる税金のこと。NPO法人を設立すると、営利企業と同様にさまざまな税金が課税される。具体的には、法人住民税、消費税、源泉所得税、都市計画税、固定資産税、法人事業税などだ。土地建物を所有しているか、収益事業を行うかなどによって発生する税金もある。</p><p>ただし、営利企業とは異なり、法人税法施行令で定める34の収益業以外は法人税がかからない。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説（別タブで開く）</a></p>1-2-3. ファンドレイジング（資金調達）費<p>ファンドレイジング費とは、個人や企業から寄付金を集めたり、助成金や補助金を申請したりするために必要な活動にかかる経費だ。</p><p>具体的には、資金調達のために作成するパンフレットの制作費やイベント開催費、ホームページなどの広告宣伝費などが挙げられる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9591c751b39a593b609e924abf54937d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人の経費は年間でどのくらいかかる？</h2><p>内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では、経費の中央値について次のような結果が出ている。</p>NPO法人：604万2,000円認定NPO法人、特例認定NPO法人：2,667万8,000円<p>金額別の法人の内訳については次の通りだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_1.png"><p>年間の経費が100万円以下のNPO法人は30パーセントほどであり、経費を抑えて運営している団体もいることが分かる。</p><p>一方で認定NPO法人・特例認定NPO法人では、年間の経費が1000万円を超える団体が7割ほどだ。認定NPO法人になると税制の優遇措置が受けられることから、寄付金を集めやすく、事業規模が大きくなりやすいことが理由と考えられる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_74a30fe64c81c602fc291b180e5bb216" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.人件費の割合が多い</h3><p>福祉医療機構（WAM）の<a href="https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/230531_No002.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">調査（外部リンク/PDF）</a>では、福祉系NPOの人件費率は約67パーセントと非常に高い数値が出ている。</p><p>営利企業（サービス業）の目安は40〜50パーセントと言われるが、NPOは労働集約的な対人支援サービスが中心であるため、どうしても人件費の割合が高くなりがちだ。</p><p> 一方で、<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和5年度 特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では65.6パーセントの法人が「人材の確保・育成」を課題に挙げている。「人件費の割合は高いが、一人一人の給与水準や教育費に十分なコストをかけられていない」という構造的な悩みが浮き彫りになっている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_2.jpeg">人材を育てるために十分な費用をかけられないで悩むNPO法人は多い<h2 id="tnf-text-heading-block_7207b7a379a1f3007d7422dfe976769c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人が経費削減に成功した事例</h2><p>ここまで、NPO法人の運営では「人件費」が課題になりやすいということに触れたが、法人によっては削減すべき経費が異なる。</p><p>ここからは、NPO法人が経費削減に成功した事例について、「人件費」と「それ以外」に分けて紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_08dd7676886c79e8a4cb2d4828b1184f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 残業時間を減らし人件費を削減した事例</h3><p>NPO法人 Chance For ALLでは、学童保育施設を運営しており、職員により手作りによる紙で「おたより」や「連絡帳」を保護者に配布していた。しかし、作成業務にかかる残業が多いことが問題となっていた</p><p>そこで、作成業務をIT化することを検討。アプリケーションで情報を管理し、スマホやパソコンで閲覧できるようにし業務の効率化に成功。作業時間を短縮できただけでなく、印刷にかかる紙代やインク代の削減にもつながった。</p><p>また「おたより」の発行ペースも週1回から毎日に変更し保護者とのコミュニケーションを強化。さらに子どもたちと向き合う時間も増えたことで、サービスの向上も実現した。</p><p>参考：<a href="https://www.jtua.or.jp/ict/topic/cloud/201905_01/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人日本電信電話ユーザ協会「企業ICT導入事例」（外部リンク）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_632927aa55a9456fca53bac18d2d3304" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.「よろず支援拠点」に相談し、固定費を削減した例</h3><p>独立行政法人中小企業基盤整備機構の「よろず支援拠点」に経営相談した「NPO法人ぱるぱる」の例を取り上げる。</p><p>NPO法人ぱるぱるは、「就労継続支援B型」「居宅介護」「移動支援」「同行援助」「生活介護」などの事業を展開していたが、慢性的な資金不足に陥っていた。そこで、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する中小企業・小規模事業者向けの経営相談所「よろず支援拠点」に相談したところ、次の4つの課題が上がった。</p>多様な事業を手がけるも多くが赤字だった売上に対して経費が過大（特に固定費が大きい）資金繰りが悪化しているため、運転資金がない基本的な経営管理ができていない<p>それに対し、経費の削減面で行った改善策は次の2つ。</p>事業の絞り込みと事務所の移転を提案。販売管理費を月に約30万円削減できた会計ソフトの導入により月次試算表の作成が可能に。業務効率化と経費の把握ができるようになった<p>「よろず支援拠点」では経営に関する相談が無料で行える。各都道府県に支援拠点が設置されているため、経営課題の解決に活用するのもおすすめだ。</p><p>参考：<a href="https://yorozu.smrj.go.jp/support/nara_paruparu/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">よろず支援拠点「全国の支援事例」（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b43d014d572fc7770d45c4cf7cc148fa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.NPO法人が安定的に運営するために</h2><p>NPO法人に必要な経費にはさまざまな項目が存在する。安定した組織運営を行うためには、限られた資金の中でいかにうまくやり繰りできるかが肝心だ。</p><p>ここでは、経費を抑える、あるいは資金を増やすのにおすすめの方法について紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0219753db1b250fffa31141bd200b575" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.IT化を積極的に行う</h3><p>経費削減の成功事例でも紹介したとおり、IT化が人件費の削減に与える影響は大きい。</p><p>また、日本財団がNPO法人、一般社団法人、一般財団法人を対象に行なった調査では、事業活動の各局面におけるIT化について、「事務の改善・効率化」を重要と感じる団体が9割強を占めた。</p><p>一方で、「デジタルツール／デジタルデバイスを十分に活用できていない」と回答している団体が「わからない」も含めて5割弱であったことから、多くの法人でIT化の導入が課題といえる。</p><p>また、活用できていない理由として「費用がかかる」「技術的なサポートや専門的なスキルや知識」「使いこなせる職員がいない」などが障壁となっている。</p><p>参考：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2022/20221205-82117.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「ソーシャルセクターを対象とした『NPO・NGOに係るデジタル支援のニーズ調査』を実施」（外部リンク）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_3.png"><p>ここからは、IT化を実現するための方法をいくつか紹介する。</p>4-1-1. IT導入補助金の活用<p>IT導入の障壁が「費用」であるなら、補助金を活用するのがおすすめだ。<a href="https://it-shien.smrj.go.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「IT導入補助金」（外部リンク）</a>は、中小企業・小規模事業者の労働生産性の向上を目的とした、業務効率化やDX（※）等に向けたデジタルツール（ソフトウェア、サービス等）の導入を支援する制度だ。</p><div id="tnf-text-notes-block_8f97b1cb00a6d6b70a2e5be8342c977a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「DX」とは、デジタル技術を活用して業務の効率化やビジネスモデル・企業風土の変革を実現すること</div><p>例えば、デジタルツールの導入に活用できる「通常枠」では、補助率（費用のうち補助される割合）が1/2以内で、ツールが対応する業務プロセス数に応じて5万円〜450万円の補助額となる。</p><p>IT導入補助金の申請から交付までの流れは次の通りだ。</p>事務局に登録された「IT導入支援事業者」とパートナーシップを組む導入するITツールを選定申請、交付決定ITツールの発注実績報告補助金交付<p>ただし、補助金は審査が必要であり、申請したからといって必ず視急されるわけではない。</p>4-1-2.支援団体へ相談<p>専門的なスキルや知識がない場合や、ITを活用できる人材が不足している場合は、支援団体への相談も検討しよう。デジタルツールの導入や運用をサポートしてくれる支援団体は全国にあるが、主な例として<a href="https://npo-sc.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人NPOサポートセンター（外部リンク）</a>を紹介する。</p><p>NPOサポートセンターでは、顧客関係管理（CRM）ソフト「Salesforce」の導入・活用サポートや、会計や支援者・会員管理などのバックオフィス業務効率化のためのデジタルツール導入支援、管理代行などをサポートしてくれる。</p><p>業務改善などのセミナーも定期的に実施されており、ITを使いこなす人材の育成にも活用できる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_14_4.jpeg">IT化は、非営利企、営利に関わらず全ての企業にとってコストダウンと業務効率を高めるための必須の取り組みだ<h3 id="tnf-text-heading-block_e582ed275febb6b12619a76afde0ae50" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.資金調達に力を入れる</h3><p>経費の削減のみでは捻出できる資金に限界があるため、資金を増やすことも考えよう。</p><p>NPO法人においては、会費や寄付金が活動資金源の多くを占めているケースも多い。また、インターネットの進化により、広報活動もずいぶんしやすくなった。</p><p>例えばSNSやホームページを利用した積極的な活動報告や、インターネットからでも寄付が可能な環境を整えるなど、資金を募る活動に力を入れてみるのもよいだろう。</p><p>待っているだけの状況と、積極的に資金調達活動を行った状況では、結果が大きく異なる。NPO法人の安定的な運営には、経費削減と資金調達、両方の側面での努力が必要だ。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119846/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人が抱える収入源の課題とは？ 安定した活動資金を確保する方法を解説（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_8a104a1058595744c72d640f2cfb7631" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人の経費においては、人件費が課題になりやすいといえる。人件費削減のためには業務効率化が重要であり、IT化を積極的に行うなどの対策がおすすめだ。実際にIT導入を実現したことで、大幅な作業時間の短縮に成功したNPO法人もいる。</p><p>また、経費の削減はしたいが、具体的な対策が分からない場合は、よろず支援拠点や支援団体などに相談することもおすすめだ。安定した組織運営を実現するためのアドバイスを受けられるだろう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/202106_manual_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/230531_No002.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">独立行政法人福祉医療機構 経営サポートセンター「2021年度 特定非営利活動法人（NPO 法人）の経営状況について」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>東日本大震災から15年、地域は誰が支えるのか？ 石巻西高校の探究学習が育てる“次の担い手”</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120406/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 10 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>東日本大震災の被災地の多くは人口減少が進み、コミュニティの再生や地域を担う人材の育成が課題に</li><li>石巻西高等学校では地域と連携し、持続可能な未来をつくる探究学習プログラムを実施。地元での大学進学や就職を選ぶ生徒が大幅に増加した</li><li>学校だけでなく、地域全体で教育に取り組むことで、子どもたちの可能性を広げ、地元愛が育つ</li></ul><p></p><p>宮城県東松島市では、震災により地域の4割近くが浸水し、人口流出が急速に進みました。住宅やインフラの復旧が進む一方で、いま課題となっているのはコミュニティの再生と地域を担う人材の育成です。</p><p>こうしたなか、<a href="https://inisi.myswan.ed.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">石巻西高等学校（外部リンク）</a>では2019年度から、地域と連携した探究学習プログラムに取り組んできました。生徒たちは震災を知識として学ぶだけでなく、地域の人々との対話を通して自ら問いを立て、行動しています。</p><p>その経験は、課題解決力に加え、人と関わる力や自己肯定感、地元への意識の変化にもつながっています。実際に、学びをきっかけに地元での大学進学や就職を選ぶ生徒も大幅に増加しています。</p><p>本記事では、石巻西高等学校教頭の髙橋好伸（たかはし・よしのぶ）先生、プログラムを担当する平岡拓（ひらおか・たく）先生、そして3年間にわたってプログラムに参加した生徒4人への取材を通して、自分で考え行動するための力を育む探究学習の形と、地域づくりへの可能性を探ります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5700d8e87418694ebf1748994c614f05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域への愛着を育て、持続可能な未来を担う人材を育成</h2><p>――東日本大震災から15年目を迎えました。現在の石巻地域の復興状況や、地域が抱えている課題について教えてください。</p><p>平岡先生（以下、敬称略）：あくまで学校周辺に限った話になりますが、復興公営住宅や新しい宅地造成が進み、移り住んでくる人が増えています。その影響で、周辺の小中学校がマンモス校になるといった状況も生まれています。</p><p>また、交通インフラも大きく変化しました。震災後、学校から徒歩10分ほどの場所にJRの駅が新設され快速電車が停車するようになるなど、アクセスは大幅に改善されています。</p><p>一方で、地域全体で見ると、石巻市、東松島市、女川町の3市町では、この10〜15年で約3万人が減少。小中学生の学力や体力の低下も課題として挙げられます。これは震災前からの課題でもありますが、学校と地域との関わりが薄く、子どもたちが身近な課題に主体的に取り組む機会が少なかったことも、背景の1つだと感じています。</p><p>髙橋教頭先生（以下、敬称略）：どこまで復興しているかという点については、地域によって違っているように感じます。</p><p>震災から15年の月日が経ち、まだあの時点で時が止まっている方もいらっしゃるでしょう。一方で「これからどうしていくことが良いのか」と少しずつ前を向くことができるようになってきた人も増えているのかなと感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_1.jpg"><p>――改めて、探究学習「震災を乗り越え持続可能な未来社会を創造する市民の育成プログラム」の実施背景と目的について教えてください</p><p>平岡：本校は、創立40周年を迎えましたが、石巻地域では比較的歴史の浅い学校です。人口減少が進み、少子化が加速するなかで、将来的には学校統廃合の対象になるかもしれないという強い危機感がありました。</p><p>そこで、伝統校と同じように進学実績だけを追求するのではなく、「石巻西高校に入らなければ得られない魅力」をつくっていく必要があると考えるようになりました。それがこの探究学習に取り組み始めた1つのきっかけです。</p><p>ちょうど2019年に文部科学省が実施した「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」に応募するタイミングと重なったこともあり、本格的に進めることになりました。</p><p>いまの生徒たちからは感じられませんが、以前は、自己肯定感の低さや失敗を恐れる姿勢、主体性や当事者意識の不足といった傾向も見られました。</p><p>そこで、地域と学校が協働し、持続可能な地域の未来を自らつくっていける人材を育てることを、学校全体の取り組みとして進めようと決めました。地域のことをもっと知ってもらい、地元愛も育てたいと考えたんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_2.jpg">育成プログラムについて説明する平岡先生<p>――このプログラムでは、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか。</p><p>平岡：単なる知識の習得ではなく、6つの力を3年間で段階的に育成することを目指しています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">地域社会貢献自己調整力・自己決定力学び続ける力達成感と自尊感情対話力・共感力・合意形成他者と関わる力</div></div><p>1年次は「街ライブラリー」と呼ぶ取り組みを行っています。地域の企業や店舗、農園など、さまざまな事業者に集まってもらい、それぞれの想いや、解決したい「ミッション」を生徒が受け取ります。</p><p>生徒は4〜5人のグループに分かれ、ミッションに対する調査・検討を行い、自分たちで考えた内容を発表します。そして12月には「街ミッション」として発表の場を設けています。</p><p>この取り組みでは、本校の地域コーディネーターである<a href="https://machihito.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般財団法人「まちと人と」（外部リンク）</a>さんと連携・協力をしており、学校と地域をつないでいただいています。</p><p>2年次の「街クエスト」では、1年次に扱ったミッションから一歩進み、生徒自身が取り組みたいテーマを設定します。自分たちでアポイントを取り、実際に現地へ足を運び、フィールドワークを行います。</p><p>どんな人に会えたら前に進めそうかも自分たちで考え、大学の専門家に意見を聞いたり、市役所を訪ねて取材をしたりと、活動の範囲は生徒によってさまざまです。</p><p>3年次の「地域課題研究」では、それまでの探究活動を土台に、地域の課題と本格的に向き合います。2年次のテーマをさらに深める生徒もいれば、これまでの経験を通して新たに関心を持った分野に取り組む生徒もいます。</p><p>なかには、活動を発展させてイベントを企画・実施する生徒もいます。具体的な内容については、ここにいる生徒たち自身の言葉で聞いてもらえたらと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_3.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_4.jpg">地域のカフェ店主の依頼のもと、1年生が探究学習で手作りしたという、石巻駅周辺の観光マップ。カフェで展示される予定だという <h2 id="tnf-text-heading-block_f01d414e6c3b8f3dafc929a7a2db6aa5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域の人たちと出会い、対話するなかで学んだこと</h2><p>――では、生徒の皆さんがそれぞれ「地域課題研究」で取り組んだことについて教えてください。</p><p>板坂翼輝（いたさか・つばき）さん（以下、板坂）：僕はフードロスの問題に取り組みました。</p><p>出発点となったのが、2年生の時に仙台で参加したフードロスに関するイベントです。そのとき、味はおいしいのに、形が少し悪かったり、キズが付いていたりするだけで出荷されない野菜がたくさんあることを知り、自分にも何かできないかと考えるようになりました。</p><p>3年生の地域課題研究では、フードロスの問題を子どもたちにも伝えたいと考え、実践的な取り組みを行いました。</p><p>具体的には、津波で被災した小学校を再生した施設「KIBOTCHA（キボッチャ※）」で11月に行われた地域フェスに参加し、規格外の野菜を使ったピザづくりのワークショップを開催しました。</p><p>活動にあたっては、地元の農家さんを紹介していただき、11月に旬を迎える野菜の中からピザに合うものを相談し、野菜を無償で提供していただきました。食材を余らせないために、参加者も事前予約制としました。</p><div id="tnf-text-notes-block_7698794710b8b7feb0601090d6aaef17" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「KIBOTCHA」とは、東日本大震災で被災した宮城県東松島市の旧野蒜（のびる）小学校を再利用した、防災教育・体験型の宿泊施設。「希望」「防災」「Future（未来）」をコンセプトに、家族で楽しめるアスレチック、防災体験、グランピング、レストランなどを提供している</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_5.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_6.jpg">板坂さんが発表した「フードロス」ワークショップのポイントをまとめたレポート</div><p>佐藤大成（さとう・たいせい）さん（以下、佐藤）：僕は探究の授業をきっかけに、深海に興味を持ちました。</p><p>2年生の時、「海は命の源だと言われているけれど、深いところと浅いところでは、どちらで先に生命が誕生したのか」という疑問を持ったのが始まりです。石巻専修大学の鈴木英勝（すずき・ひでかつ）先生のもとを訪れて取材したり、自分でもいろいろ調べたりしたのですが、はっきりした答えは出ませんでした。</p><p>そこで3年生の課題研究では、視点を変えて、身近なところから取り組んでみようと考えました。もともと釣りが好きだったので、テーマは「釣れる条件を科学する」としました。</p><p>石巻・女川エリアではアイナメのゲームフィッシング（※）が盛んで、僕もよく釣りに出かけているのですが、アイナメが釣れる時間帯や潮の動きなどに注目して調べ始めました。</p><p>釣れる時間帯が分かるアプリもあるのですが、実際に釣ってみると、ほとんどアプリが示す時間とずれている。そこで、自分の釣果データ（釣りで得られた魚の成果や量）を集めて、潮の動きや風速、波の高さなどと照らし合わせながら、どんな条件のときに釣れやすいのかを分析。実は、釣りって探究そのものなんだと、実感することができました。</p><div id="tnf-text-notes-block_a3d1f121374108cb1ff4f7bcf04243f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ゲームフィッシング」とは、魚を食料としてではなく、釣る過程の駆け引きやテクニック、魚との出会いを楽しむ「趣味としての釣り」のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_7.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_8.jpg">佐藤さんが発表した「釣れる条件を科学する」のポイントをまとめたレポート</div><p>遠藤美優（えんどう・みひろ）さん（以下、遠藤（美））：私たち2年生の時、探究活動に行き詰まり、どう進めたらいいのか悩んでいたところ、平岡先生から「宮城県が、地域のためにイベントをやってくれる人を募集している」と聞きました。</p><p>それをきっかけに、女川町内の中高生で構成されているボランティアサークルに参加し、地域との関わりを持つようになりました。</p><p>活動するなかで宮城県の生涯学習課の方とお話しする機会があり、「世代間交流をつくりたいが、どうしたらいいのか悩んでいる」という相談を受けました。そこで周囲の方に意見を求めたところ、「昔遊び」を通して子どもたちと高齢の方が交流できるイベントがよいのでは、というアドバイスをいただきました。</p><p>サークルの担当者をはじめ、さまざまな方のサポートを受けながら、夏休みに子どもたちを招き、地域の方にも参加してもらう形でイベントを開催することができました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_9.jpg"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_10.jpg">遠藤さん姉妹が取り組んだ「昔遊び」イベントのポイントをまとめたレポート</div><p>――プログラムに取り組むなかで、考え方や行動に変化はありましたか？</p><p>板坂：初めて自分でイベントを企画・運営することになり、「ひとりでもなんとかなるだろう」と、どこかで甘く考えていた自分に気づきました。実際に進めてみると、多くの人と関わり、いろいろな意見を聞くことの大切さと、その一方で自分が大切にしたい軸を持ったまま進めることも重要だと学びました。</p><p>子どもたちには、実際にピザに使う野菜に触ってもらいながら話をしました。野菜について伝えるときも、「形が悪い」「規格外」といった言葉ではなく、「個性的」「おもしろい形」と表現することを心がけました。</p><p>そうした関わりを通して、相手の興味・関心を引くための工夫ができるようになったと感じています。</p><p>佐藤：三陸・金華山（きんかさん）沖は世界三大漁場の1つとされ、魚が集まりやすい地形でもあります。ただ、探究活動を進める中で、この海の豊かさは決して当たり前のものではないと感じるようになりました。</p><p>環境の変化が魚の移動や漁獲量に影響していることも分かり、この海をこれからも守り続けなければならないと、広い視点でとらえられるようになりました。</p><p>遠藤（美）：2年生の時はボランティアとしてイベントを「サポートする側」でしたが、3年生になって初めて自分たちが主催する立場になり、何から手をつければいいのか分からないところからのスタートでした。</p><p>周囲の方に相談するなかで言われたのが、「とにかく人を巻き込んでほしい」ということです。 そこで、昔遊びのプロフェッショナルである高齢者の方々に協力していただいたり、会場の手配や、子どもたちをどう集めるかを考えたり、イベントをゼロから形にしていくことの大変さを実感しました。</p><p>遠藤真優（えんどう・まひろ）さん（以下、遠藤（真））：私も、イベントづくりの大変さを体験できたことは大きかったです。それと同時に、ボランティアで関わってくださった方のなかに、役場の方がいたことも印象に残りました。皆さんが地域の方のために働く様子をすぐそばで見ながら、私も地域に貢献する仕事がしたいという気持ちが強くなりました。</p><p>――これから、地域とどんなふうに関わりたいと思っていますか？</p><p>板坂：僕は、まずはフードロス削減のイベントを市内で継続して開催し、しっかり成功させることが、地元に貢献するためのひとつのステップだと考えています。</p><p>その先では、自分が暮らす地域だけにとどまらず、別の地域にも取り組みを広げ、フードロス削減がどれだけ大変かということも含めて伝えていきたいと思っています。</p><p>イベントに関わってくれた人たちにノウハウを共有しながら、最終的には全国的な広がりにつなげていけたらと考えています。</p><p>佐藤：三陸沖の状況は、ここ数年で目まぐるしく変化しています。クエといった、これまで釣れなかった魚が釣れるようになるなど、海の変化を実感しています。</p><p>今後は大学で海洋学を学びながら、こうした海の変化を見つめ、海を守る活動につなげていけたらと考えています。</p><p>遠藤（真）：この春から女川町役場に就職することが決まりました。これからは町民の皆さんを支える立場になるので、覚悟を持って仕事に向き合いたいと思っています。</p><p>困っていることはないか、どうしたら住みやすいまちになるかを考えながら、まちづくりを支える役割を担っていきたいです。</p><p>遠藤（美）：私は東松島市への就職が決まっています。女川のイベントだけでなく、東松島市で行われたイベントにもボランティアとして参加する機会があったのですが、市役所の方が地域の方たちに接する様子がとても温かくて……。</p><p>これからは私たちも、地域の方々に寄り添いながら地元のために仕事ができる職員になりたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/Ishinomaki-Nishi-High-School_11.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7603df31cf15099e7f592b6dac92b7c5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">歴史、自然、人。さまざまな地域の魅力に出会ってほしい</h2><p>――改めて先生にお伺いします。育成プログラムを実施することにより、地域の方々との関わり方に変化はありましたか？</p><p>平岡：地域との結びつきは強まっていて、プログラムに参加してくださった企業や団体のなかには、生徒たちの取り組みを他の場所で紹介してくださるところもあります。</p><p>また、卒業生の中には、地元の企業や役場に就職し、後輩たちのプログラムに積極的に関わってくれている人もいます。</p><p>さらに、プログラムに参加してくださった方々と一緒に協議会を立ち上げ、活動へのフィードバックをいただく仕組みも整えました。こうした取り組みを通して、今後は学校だけでなく、地域全体で子どもたちを育てていけたらと考えています。</p><p>――このプログラムを通して、生徒たちに望んでいることは何でしょうか。</p><p>平岡：これまでは将来、地元で就職するとしたら自分の未来はどうなるのか、自分のやりたいことはどうなるのか、地域にどんな魅力的な場所や人、資源があるのかなど、このまちの魅力を十分に伝えられないまま進路指導を進めてきた側面がありました。</p><p>だからこそ、プログラムを通して子どもたちに「このまちには、こんなに素敵なものがたくさんあるんだよ」ということを伝えていくと同時に、自分にとってロールモデルになるような「かっこいい大人」に出会ってほしいと思っています。</p><p>だから、先ほど遠藤姉妹から、プログラムでお世話になった方たちの働く姿を見て、「自分たちもこんな仕事がしたい」と感じたという言葉が聞けたのは、うれしかったですね。</p><p>生徒たちにも、プログラムや学校主催のイベントを通して地域の子どもたちと関わる機会があります。そんなときに、地域の子どもたちから「かっこいいお兄さん、お姉さん」と思われるような存在になってほしいと思っています。</p><p>――そのうえで、地域の皆さんに伝えたいことはありますか。</p><p>髙橋：地域の皆さんには子どもたちにもっと関心を持っていただきたいですね。学校だけでは子どもたち一人一人の力を引き出し、育てることはできません。だからこそ、ご家庭や身近な大人の皆さんも、子どもたちと対話を重ね、褒めたり、失敗を受け入れたりすることで、子どもたちの可能性を伸ばしていただけたらと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1c6ded841e807ce85f226bc4af48b6cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの生きる力と地元愛を育てるために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、髙橋教頭先生と平岡先生に、子どもの生きる力と、地元への愛着心を育てるために、私たち一人一人ができることについて伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e772b9fbd3774889aaf2e53dafccddc7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子ども一人一人の存在や思いを肯定する</h2><p>若い世代をひと括りにせず、まずは話を聞いてみること。対話を通じて、若者ならではの視点や新しいアイデアに気づかされることもある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_46f7c97e88c468bd787155c0aad47498" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］学校や地域を「安全に失敗できる場所」と捉える</h2><p>心を育て、自己肯定感を高めるためには、失敗を許容する姿勢が欠かせない。学校や地域は、子どもたちが挑戦と失敗を経験できる土台となってほしい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8581a0cf74c53fc2ef8b862c42a1dbfc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ロールモデルとなる「かっこいい大人」を意識する</h2><p>自分たちが暮らす地域で「この人、素敵だな」と思える大人に出会うことが、子どもたちにとって大きな力となる。そのことを大人たち自身が意識することで、地元愛を育てることにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>4人の生徒さんが探究プログラムを通して学んだ内容はどれも工夫に満ちていて、聞きながらワクワクしました。それと同時に、彼らが話す様子を、嬉しそうに温かく見守る髙橋教頭先生や平岡先生の姿が印象的でした。</p><p>身近な大人との信頼関係が、子どもたちの自信を育て、可能性を広げるのだと実感した取材でした。多くの地域でこうした取り組みが広がり、被災地はもちろん日本全体が元気になることを願ってやみません。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>東日本大震災から15年——「消滅可能性」の町を「希望の循環」へ。陸前高田を支える「関係人口」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/120119</link>
      <pubDate>Fri, 06 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>人口減少と少子高齢化が進む日本。全国4割の自治体が将来的に消滅の可能性がある</li><li>岩手県陸前高田市に拠点を置く認定NPO法人SETは、学生と地域との交流事業を通して「関係人口」の増加に貢献している</li><li>移住や定住にこだわるのではなく、気軽に「地域の一員」として若者を受け入れることが、「関係人口」につながる</li></ul><p></p><p>「関係人口」とは、 移住や定住といった形態に限らず、仕事、学び、交流などを通じて特定の地域と継続的に関わり続ける人々のことを指します。</p><p>人口減少に歯止めがかからない日本では、特定の地域だけで住民を増やすことが難しくなっています。2024年の最新報告（人口戦略会議）では、全国の約4割にあたる744の自治体が、将来的に消滅する可能性があると指摘されました。</p><p>こうした危機的な状況に対し、「地域と人の新しいつながり」を生み出しているのが、岩手県陸前高田市広田町を拠点とする認定NPO法人SETです。東日本大震災を機に設立されたSETは、民泊型修学旅行やインターンシップ、キャリア教育支援などを通じて、都市部の若者と地域を結ぶ交流を創出してきました。2024年度には5,000人を超える人々が活動に関わり、地域と若者の間に“希望の循環”を生み出しています。</p><p>震災から15年。 復興のその先にある、持続可能な地域の未来づくりとは何か。</p><p>今回はSET理事長の三井俊介（みつい・しゅんすけ）さんに、「関係人口」を広げ、地域を次世代につなぐためのヒントを伺います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2d1ed8962d4079edb6aa0925de1281ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">震災発生2日目にSETを創設。5日目には物資支援をスタート</h2><p>――三井さんがSETを立ち上げた経緯について教えてください。</p><p>三井さん（以下、敬称略）：高校時代に『世界がもし100人の村だったら』という本を読んだのをきっかけに、世界には自分が知らない人たちがいて、さまざまな出来事が起きていることを知り、関心を持つようになりました。</p><p>そこから「いつか海外に行ってみたい」と思うようになり、国際協力について学べる大学へ進学しました。</p><p>当時の僕は、世界中で起きている問題を生み出しているのは「人」ではないかと考えていました。だとしたら、ひとりでも多くの人がボランティアなどを通じて社会課題に関わる機会が増えれば、問題解決に近づくのではないか、と思ったんです。</p><p>そのために何ができるのかと考えた末にたどり着いたのが、「国際協力 × エンターテインメント」という発想でした。楽しむことが、結果的に誰かの助けにつながるのであれば、もっと多くの人が関われるのではないかと考えました。</p><p>そうして大学2年生のときに立ち上げたのが、サッカーを通じてカンボジアの子どもたちを支援する学生団体だったんですが、3年生になって下の世代に引き継ぎ、残りの学生生活で何をしようかと考えていた矢先に、東日本大震災が発生しました。</p><p>自分にできることをしようとボランティア活動を始めたことが、その後の活動につながりました。</p><p>――東日本大震災発生時は、どのように動かれたのでしょうか。</p><p>三井：当時、Twitter（現在のX）で震災に関する情報を発信していたところ、学生団体の活動でつながった仲間たちから「一緒に何かやろう」と声がかかって。3月12日の深夜に集まり、翌13日にはSETを立ち上げました。</p><p>情報収集を進めるなか、活動を通じてつながっていたAAR Japan（難民を助ける会）がすでに現地に入っており、連絡を取れる状況にあったこと、さらに企業から衣類を無償提供したいという申し出があったことが重なりました。加えて、ヤマト運輸が輸送ルートを無償で担ってくださることになり、それらをつなぎ合わせる形で支援の体制を整えていきました。</p><p>当時、僕ら学生は春休み期間中だったので、人手として動くことができたんです。物資の搬入や搬出、仕分け作業などを行い、3月17日の早朝には第一便を被災地へ送り出しました。</p><p>――ボランティア活動を続けるだけでなく、陸前高田市広田町への移住を決めたのはなぜでしょうか。</p><p>三井：立ち上げ当初は、月に1度必ず広田町に通うと決めて、ボランティア活動を続けてきました。そんなある日、町の方に「50年後には、この町はなくなってしまうかもしれない」と言われたんです。しかもそれは、「震災があってもなくても変わらない未来だろう」と……。</p><p>一方で、「震災をきっかけに若い人たちが全国から来てくれて、いまはチャンスかもしれない。だからこそ、この機会を生かしたいんだ」ともお話されていました。</p><p>それを受けて、この町がより良くなるために自分自身の人生を一度投げ込んでみようと、大学を卒業してすぐ、2012年の春には引っ越しました。</p><p>――移住後は、どのように生活を始めたのでしょうか。</p><p>三井：移住する時点では、具体的に何をするかは決めていませんでした。唯一決まっていたのは住む場所だけで、広田町で一人暮らしをしているご高齢の方が、「うちの2階が空いているから、1年間、住む場所と食事を提供するよ」と言ってくれたんです。</p><p>本格的にこの町で生活するなら、まず運転免許がないと困るなと思い、教習所に通うところから始めました。その後、ありがたいことに車を寄贈してくださる方もいて、どんな活動が求められているのか、現金収入をどうするか、ガソリン代をどうするかといったことを、一つ一つ解決していった感じです。</p><p>――住んでみて感じる、広田町の魅力はどんなところでしょう？</p><p>三井：食べ物が豊かでおいしく、自然がきれい、という魅力はありますが、それだけで言えば、正直どの地方にも当てはまってしまう。そう考えると、やはり一番の魅力は「人」だと思います。</p><p>僕が言う「人」というのは、その土地ならではの歴史や文脈と結びついて形成されてきた存在のことです。</p><p>いわゆる「田舎」と呼ばれる地域には、それぞれにオンリーワンの魅力がありますが、観光として訪れるだけでは、なかなか見えてきません。そんな表面的な魅力ではなく、そうした深い文脈に触れることで、初めてその地域の本当の面白さが分かってくる。それが「関係人口」を増やすことにつながっていくのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_2.jpg">東日本大震災直後に、現地へ支援物資を送るSETのメンバー。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_bffaf541f5587e9e07c5726630c350f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">どちらかが我慢や犠牲を強いられる関係性は、継続しないと気づいた</h2><p>――SETは、どのようなミッションを掲げて活動しているのでしょうか。</p><p>三井：立ち上げた当初は、ボランティア活動をしていた頃と同じように、広田町の人から要望を受けたことに対して、その都度対応していました。ただ、活動を続けるうちに、少しずつ自己犠牲的な側面が強くなっていったんです。</p><p>「やれと言われたことは何でもやる」という状態になっていて、相手自身も本当にそれをやりたいわけではなさそうだと感じることまで、頼まれるようになっていました。それは結果的に、自分たちにとっても健全な状態ではありませんでした。</p><p>そこで、改めて自分たちのミッションを見直そうと考え、2013年にNPO法人化しました。その際に掲げたのが、「一人一人の“やりたい”を“できた”に変え、日本の未来に対して“Good”な“Change”が起こっている社会を創る」というミッションです。</p><p>当時、東日本大震災の被災地は、過疎化における「課題先進地（※）」と呼ばれていました。だからこそ、ここでの活動は、この町だけのためではなく、日本の未来で起こり得る課題に対する解決策をつくっている、という意識で取り組んでいました。</p><p>ミッションのなかでも、特に大事にしているのが「一人一人の“やりたい”を“できた”に変える」という点です。広田町の人が本当にやりたいことと、僕ら自身がやりたいと思えること、その両方を一緒に「できた」に変えていくことが重要だと考えています。</p><p>誰かが本気でやりたいかどうかも分からないことを「やれ」と言われ、こちらも本当にやりたいか分からないまま取り組むと、結局は誰も幸せにならない。そのことが、ボランティア活動を通してよく分かりました。</p><p>このミッションは、僕ら自身もこの町で幸せに生き、やりたいことをやって生きていく、という決意表明でもあります。当時、「被災者に寄り添う」「復興」を前面に打ち出す支援団体が多い中では、かなり珍しい存在だったと思います。</p><p>――そこから生まれた事業の1つ「チェンジメーカースタディプログラム（CMSP）」について教えてください。</p><p>三井：CMSPは、大学生を対象にした実践型のプログラムです。地域に滞在しながら田舎暮らしを体験し、町が抱える課題と向き合い、１週間の滞在期間中、アイデアを考えるだけでなく、具体的な行動にまでつなげていきます。</p><p>さらに、月１回の訪問と長期休暇中の3週間程度の滞在を組み合わせた、半年間のインターンシップへと発展させることもできます。</p><p>このプログラムの原点になったのは、広田町で野菜の産直に取り組む農家の方から、「野菜を売りたいのだけれど、どうしたらいいだろう」と相談を受けたことでした。何度も話し合いを重ねた結果、海に近いこの町で採れる野菜を「浜野菜」としてブランディングし、東京へ発送するサービスを一緒に立ち上げることができました。</p><p>――素敵なネーミングですね。</p><p>三井：ありがとうございます。特に印象的だったのが、地域の方が涙を流して喜んでくださったこと。ボランティア活動でも感謝の言葉をいただくことはありますが、それとは少し違う笑顔が見られたことです。</p><p>その時に、町の中の人と外の人が本気で向き合い、対話を重ねながら挑戦すると、感動が生まれ、結果として町のためになる取り組みが生まれると実感しました。その経験から、「地域の人たちと外から来た若者が本気で関わり合う場を、継続的な事業としてつくろう」と、CMSPを立ち上げたんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_d4f0a9f0d97e64fe6c164b8e766fa857" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「課題先進地」とは、人口減少、少子高齢化、過疎化など、今後多くの地域が直面するであろう課題を抱え、その解決策を模索、実証している地域のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_4.jpg">2014年7月の活動報告より。CMSPの原点となった「浜野菜」を育てている地域の皆さんとSETのメンバー（左端）。画像提供：認定NPO法人SET <img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_158c5e5d059551274dc69b7c064911e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「みんなをうちに泊めちゃだめなの？」――地元の人の声から始まった民泊事業</h2><p>――民泊事業もSETの重要な活動になるかと思いますが、始めたきっかけはなんだったのでしょうか。</p><p>三井：外部から多くの若者を広田町に連れてくる最中、町に暮らすある方が「うちに泊めちゃダメなの？」と声をかけてくれたことがありました。その一言が、現在では陸前高田市全域で163軒（2026年2月時点）協力していただけるご家庭が広がり、年間約4,000人が訪れる民泊事業の原点になっています。</p><p>――研究や調査事業にも取り組まれているそうですが、その理由を教えてください。</p><p>三井：10年以上にわたり、若者と地域の人をつなぐ活動を続けてきました。そこで見えてきたのが、外部の人と交流している人ほど、考え方や行動が前向きに変わっていく場面を何度も目にしてきました。</p><p>一方で、そうした変化はこれまで「当事者の実感」や「エピソード」として語られることが多く、客観的に伝える手段が十分ではないと感じていました。そこで、アンケートやヒアリングを通じた調査に取り組むようになりました。</p><p>調査を重ねるうちに、外部の人と交流している人は、そうでない人に比べて幸福度が高く、地域のつながりの強さを示すソーシャルキャピタルも高い傾向があることが見えてきました。また、社会に関わろうとする意欲や、具体的な行動が増えていく様子も確認されています。さらに、自己肯定感やウェルビーイングの向上、抑うつ傾向の低下といった変化についても、調査結果から見えてきました。</p><p>こうしたデータをもとに、CMSPや民泊プログラムの改善や、関係人口づくりに力を入れる他の自治体との提携にもつなげています。</p><p>――CMSPや民泊に参加した学生からは、どのような声が寄せられていますか。また、三井さんから見て、参加後に感じる変化はありますか。</p><p>三井：民泊は2泊3日という短い期間ですが、お別れ会では多くの生徒が泣いてしまいます。共働きといった家庭の事情で、普段は1人で食事をすることが当たり前という生徒が、「みんなで一緒にご飯を食べるのは初めてです」と話してくれたこともありました。</p><p>また、両親や祖父母も含めて都会育ちだという生徒が、畑でキュウリを収穫してその場で食べる体験をし、「『となりのトトロ』で憧れていた夢がかなった！」と感動していたこともありましたね。</p><p>CMSPでは、かつて引きこもりを経験し、「自分には人と共に生きる力がない」と思い込んでいた学生が参加してくれたことがありました。彼女は陸前高田市の人や仲間に受け入れられる経験を重ねたことで、「自分にも人と『つながりたい』という気持ちがあったことに気づけた」と、涙ながらに話してくれたことが印象に残っています。</p><p>都会では効率や合理性が優先されがちですが、ここでの暮らしや人との関わりを通して、感情を素直に出し、自分らしさを取り戻したり、「自分は何を大切にしたいのか」「何をやりたいのか」を見つめ直したりする学生は多いと感じています。</p><p>――一方で、SETの活動に関わった地元の人からはどんな声が寄せられていますか。</p><p>三井：ある民泊事業に協力いただいている家庭の方が、「最初はSETへの協力のつもりだったけれど、今はSETを通して、私の（民宿をしたいという）夢を叶えてもらっている。ありがとう」と話してくれたことがあります。その方は、もともとは受け入れに消極的だったのですが、気づけば10年以上、100回近く受け入れを続けてくださっています。</p><p>また、別の協力者の方は、大学生たちと話していくうちに、「これまでは町が悪いとか、誰かのせいにしていた。でも、人っていつからでも変われるんだと大学生に勇気をもらった。自分も今日から変わる」と話していました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_6.jpg">2026年1月に実施されたCMSPの様子。学生たちは、地域行事である「虎舞（とらまい）」にも参加し、地域の人たちと楽しい思い出をつくった。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_efc350dc57f53043770fa77014cb72e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域が「関係人口」を増やすために</h2><p>――人口減少を問題に抱える地域は、これからどうしていく必要があると思いますか。</p><p>三井：そういった地域の人たちは、これまで都会に人が出ていく姿はたくさん見てこられたことでしょう。一方で「人を受け入れる」という経験があまりないから、受け入れ方が分からないのではないでしょうか。</p><p>自分たちの地域にただ「人を呼ぶ」のではなく、地域を「一人一人のやりたいことを叶えられるフィールド」「挑戦できるフィールド」として捉え直してみるとよいかもしれません。</p><p>移住や定住にこだわるのではなく、外から来た人を気軽に「地域の一員」として受け入れることが、「関係人口」を増やすことにもつながると考えます。</p><p>――頭では理解できても、行動に移すのはなかなか難しいかもしれませんね。</p><p>三井：だから、僕たちのように、地域の人の気持ちも外から来る人の気持ちも分かるコーディネーターの存在が、両者をつなぐハブの役割を果たしていけるのではないかと思っています。</p><p>「関係人口の創出」という言葉が行政の施策として語られる場合、どのようにして地域の経済につなげるか、雇用に結びつけるか、みたいなことがKPI（評価指標）になりがちで、「いますぐ移住できる人がいい」「いい人材に来て欲しい」みたいな考え方になる。</p><p>ですが、外から来る側は、ある程度大人になるとしがらみが生じやすいし、暮らしに合わない場合もある。そういった意味で、地方と真っさらな大学生は相性がいいと思うんです。</p><p>地方の人たちは急ぐのではなく、早いうちから関わり合い、若者を育てていくといった姿勢が必要で、それが「関係人口」を増やすことにもつながると思うんです。</p><p>――震災、そしてSETの立ち上げから15年が経ちますが、いまどんな未来を思い描いていますか。</p><p>三井：15年の節目を迎えるにあたって、<a href="https://note.com/setforjapan/n/n2387c010fe9e" target="_blank" rel="noreferrer noopener">これまでの歩みと実践をまとめた本の出版プロジェクト</a>を進めています。</p><p>未曾有の大災害とも呼ばれた東日本大震災が発生した当初、復興をどう進めるか誰も答えを持っていませんでした。僕たちも答えが分からないままSETを立ち上げて移住し、試行錯誤しながら地域の人に叱られたり、泥まみれになったりもしながら、多くの人に支えられて活動を続けてきました。</p><p>これからも災害は起こり、地域の過疎化も進んでいくでしょう。そうすると、自分たちのように試行錯誤する若者も出てくると思います。地域で活動するのは、思っている以上に孤独です。そういう人たちに、僕たちの15年間の経験と思いを手渡す一冊になればと思っています。</p><p>僕にとって震災は、もはや人生とは切り離せないもの。はじめの頃は、町の人から教えてもらったことを、外から来た人に伝えていましたが、最近では自分の経験として、自分の言葉で語る段階に来ていると感じています。</p><p>この15年間で得た経験を次の世代に継承していけたらと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_8.jpg">2011年、東日本大震災直後の3月13日に立ち上げた当時のSETのメンバーと町の人々。右から2人目が三井さん。画像提供：認定NPO法人SET<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/03/SET_9.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_dcbc7db8465a4bf8554e89fc9babaa41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人口減少を課題に抱える地域のために私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、三井さんに人口減少を課題に抱える地域の人々が「関係人口」を増やすために、私たち一人一人ができることについて伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8adacd8a4a3f35a794668456139956f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域に足を運び、そのまちの人と出会う</h2><p>民泊や農泊など、単なる観光に留まらない地域の暮らしに触れる体験が、その地域への愛着を生み、「関係人口」につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1030cf7e0be3bee1a540c0b44d8ad569" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域とのつながりを支援する団体に寄付をする</h2><p>地域の人と外の人をつなぐコーディネーターの存在は大きい。SETのように地域とつながるプログラムを提供、支援する団体に寄付することも手段の1つ</p><div class="wp-block-spacer"></div><p> SETが提供するプログラムをきっかけに、「関係人口」にとどまらず、これまで80人以上の若者が岩手県内に移住しているそうです。その理由を尋ねると、永住ではなく「単なる引越し」的な感覚で暮らし始める人も多いという答えが返ってきました。</p><p>そのまちを好きになって、居心地の良さから長く住み続ける人がいてもいいし、数年で別の場所へ移る人がいてもいい。地域に足を運ぶ人も、受け入れる側も、こうした“ゆるい”スタンスでいることが、「関係人口」を無理なく増やし、つながり続けられるヒントになるのかもしれません。 </p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d2a0a204b13c5e652cc797d717059665" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">三井俊介（みつい・しゅんすけ）</h2><p>1988年茨城県生まれ。大学在学中に学生団体WorldFutを創設。カンボジアへの国際協力活動を行う。同じく在学中の2011年3月、復興支援団体SETを設立。同年6月に同団体をNPO法人化。2025年に認定NPO法人の認定を受ける。NPO法人新公益連盟北海道・東北ブロック共同代表。元岩手県陸前高田市議。2022年にミネルヴァ書房より『政策起業家が社会を変える』（著者：M・ミントロム、翻訳：石田祐／三井俊介）を出版。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Mon, 09 Mar 2026 19:26:46 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>自殺を「個人の問題」にしない社会へ。自死遺族が直面する偏見や孤立と、私たちにできること</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119641/suicide</link>
      <pubDate>Thu, 05 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「本人の意思の弱さが原因」といった自死に対する社会の無理解や偏見はいまだに根強い</li><li>自死遺族は社会の偏見、孤立、法的な手続き、損害賠償請求など多重の困難に直面することがある</li><li>「自分の身近にいる人も自死遺族かもしれない」と想像し、自殺を私たちの社会の課題として捉える視点が大切</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><div id="tnf-text-notes-block_8d3fac97889b8f8a90eee8318cc69395" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※この記事には、自死（自殺）に関する記述が含まれています。つらい気持ちになる可能性がある方はご注意ください</div><p>もし、あなたの家族や大切な友だちが、ある日突然いなくなってしまったら――。</p><p>日本では年間2万人を超える方が自ら命を絶ち、2024年は2万320人、なかでも小中高生の自殺者数は529人と、1980年以降で最も多い人数となりました。</p><p>自死により家族を失った遺族たちは「自死遺族（じしいぞく）」と呼ばれています。深い悲しみを抱えることに加え、警察や役所での対応、相続や損害賠償などの法的、金銭的な問題に直面しなければならない場合もあります。</p><p>しかし社会には、「自殺は本人の弱さが原因」といった無理解や偏見が根深く残っています。そのため多くの遺族はさまざまな思いを抱えながらも、「人に話すことができない」と孤立を深めてしまうといいます。</p><p>今回は、自死遺族の支援に長年携わってきた、<a href="https://izoku-center.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター（外部リンク）</a>の代表・杉本脩子（すぎもと・なおこ）さんに、自死遺族が抱える痛みや思い、社会に必要な視点についてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00006-1024x586.jpg"><h2 class="wp-block-heading">自責の念、孤立、法的負担——自死遺族が直面する困難</h2><p>――身近な人を自死で亡くした遺族は、どのような状況に置かれるのでしょうか。</p><p>杉本さん（以下、敬称略）：身近な人を亡くすことは、人生の中でとても大きな出来事です。自死となると、ほかの死因と比べて、納得のいく筋道が見えにくく、「理由が分からない」「なぜ」という思いを抱えやすくなります。</p><p>そして、「あの時、気づいていれば……」「もっと何かできたのではないか」という自責の念、自罰感が強くなりやすいです。</p><p>そうした精神的な負担に加えて、実務的な負担が押し寄せることもあります。例えば、鉄道会社や不動産会社からの損害賠償請求、相続に関する手続きなど、法的、金銭的な問題が発生します。</p><p>また、いじめやハラスメントが原因の場合では、事実関係を調べて裁判を起こすこともあります。悲しみを抱えながらも、数多の現実的な壁に直面するのが自死遺族の置かれる状況だといえます。</p><p>――亡くなった方との関係性によって、悲嘆の現れ方に傾向のようなものはあるのでしょうか。</p><p>杉本：一人一人の悲嘆は全て異なるものだ、というのは大前提ですが、関係性によって一定の傾向が見られるのも事実です。</p><p>家族を例にすると、子どもを亡くした親の場合は「わが子を守れなかった」という強烈な自責の念を抱きやすい傾向にあります。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>また、親を亡くした子どもは、「自分の存在は、親にとって生きる理由にはならなかったのか」という思いや、「自分のせいで死んだのではないか」という罪悪感を抱きやすいとされています。</p><p>一方で、きょうだいを亡くした方の場合は、「親をこれ以上悲しませないように」と自分の苦しみにふたをしてしまうことがあります。私たちの関係者の中にもきょうだいを自死で亡くした方がいますが、「親の苦しむ姿を見ると、自分はいい子で居続けるしかなかった」と語っていたことを思い出します。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00008.jpg">同センターが編集した書籍『自殺で家族を亡くして〜私たち家族の物語』（三省堂）。27人の自死遺族の体験をまとめている。画像提供：特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター</div></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5cb670ea3a199d725f36c089a39979e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">求めている助けをひも解き、必要な支援につなぐ「仲人」の役割</h2><p>――全国自死遺族総合支援センターでは、どのような支援を行っているのでしょうか。</p><p>杉本：活動の柱となるのは、主に3つの支援です。</p><p>1つ目は「電話相談窓口」です。身近な人が自死で亡くなった直後、「どうすればいいか分からない」と現場から電話がかかってくることもあります。</p><p>精神的な苦しみを聞いてほしいという方もいれば、法的、金銭的な相談もあります。ただ、言いたいことをすぐに言葉にできるとは限りません。どんな助けを求めているのか、少しずつひも解いていくお手伝いができればと思っています。</p><p>2つ目は、「遺族を自治体や専門家につなぐ支援」です。全国の自治体には自死遺族向けの相談窓口があります。しかし、見知らぬ人たちが集まる役所で個人的な事情を話すのは、遺族にとって心理的に高いハードルがあると思います。</p><p>そこで、まずは私たちが遺族の話を伺い、整理した上で、自治体の担当部署に「こういったご相談がある」と橋渡しをしています。また、自死に関する知識と経験を持つ士業の専門家とも連携し、必要に応じて紹介しています。遺族と必要な支援先をつなぐ、いわば「仲人」のような役割が、当センターの大きな特徴だと思っています。</p><p>3つ目は、同じ体験をした人たちが集まる「つどいの場」の運営と紹介です。センターでは「身近な人を亡くした子どもとその家族のつどい」や、身近な人を亡くした18歳から30代を対象とした「身近な人を亡くした若者のつどい」を運営しています。併せて、全国各地で行われている「つどいの場」を遺族の方に紹介し、適切な場につないでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00010.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f1fd73dd8e0142825655530d1fd22db6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">支援の歴史と「つながり」の力。10万人の署名から「つどい」へ</h2><p>――同じ体験をした人たちが集うことには、どのような意味があるのでしょうか。</p><p>杉本：「つどい」は遺族にとって、とても重要な場です。自死遺族は苦しみの中で「自分が悪い」「やるべきことをやらなかったからだ」という自責の念にもとらわれやすい。しかも、身近な人を自死で失ったことを周囲に話すことができず、孤立しやすいんです。</p><p>だからこそ、同じ体験をした方のお話を聞くことで、「同じように苦しんでいる人がいるんだ」という気づきが起こります。そうした気づきを繰り返すことで、自分だけを責め続けていた視点から少し離れることができる。そして、「できなかったこともあったけれど、やれたこともあった」と、自分の行動を多角的に捉え直せるようになります。</p><p>亡くなった方は戻ってきませんから、悲しみが消えて楽になることはありません。でも、視野が広がることで、少なくとも、自分を責め続けてより苦しい道へ進むことは避けられる。「より苦しくはならない」状態を保てることが、遺族がその人らしい生き方を再構築するための、大きな一歩になるのです。</p><p>――当事者の声が集まることで、社会や制度にどのような変化が生まれてきたのでしょうか。</p><p>杉本：2006年に成立した「自殺対策基本法（※）」は、自死遺族自身が声を上げたことをきっかけに実現しました。私もその署名活動に参加していました。</p><p>当初「3,000人の署名を集められるかどうか」と不安に思っていたところ、結果的に10万人を超える署名が集まりました。あの署名の束の重さは、一生忘れることができません。</p><p>署名書類の中には「（自死遺族である事実は）誰にも言っていないので（署名集めに）協力できなくて申し訳ない」というコメントが添えられているものもありました。その一文は、いまでも強く記憶に残っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c8ab3b58d1d8905d1eae46058f7e98be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「自殺対策基本法」とは、自殺対策に関する基本理念や国・自治体の責務を定め、自殺の防止と自殺者の親族等に対する支援の充実を目的とする法律。2006年10月に施行され、2016年の改正で、全ての都道府県・市町村に自殺対策計画の策定が義務づけられた</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00004-1024x682.jpg">杉本さんをはじめ、NPO法人 自殺対策支援センターライフリンクの清水康之さんらの署名活動を通じ、自殺を個人の問題と捉える見方から、社会問題としての認識が広がった<h2 id="tnf-text-heading-block_50d9850b5f1de721f2af1e6f4b2d72c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">悪気のない言葉が自死遺族を傷つける</h2><p>――自死遺族の支援を続ける上で、社会の側に必要だと感じる視点について教えてください。</p><p>杉本：社会の無理解や、よかれと思った行動が、遺族を追い詰めてしまうことがあります。</p><p>かつて自殺防止の啓発ポスターに「あなたの力で守れる命がある」といった文言が使われていました。子どもを自死で亡くした、保健師として働く遺族の方がそれを見て、「子どもの命を守れなかった自分は親としてもダメ。保健師としてもダメ。自分が全面的に否定された気持ちになった」と心情を述べていました。</p><p>自殺防止啓発はとても大切です。ただ、すでに身近な人を自死で失った遺族たちの存在も決して忘れてはいけません。「自殺は防ぐことができる」と断言するような表現は、自死遺族に対する配慮のない言葉です。</p><p>精神科医で長年自殺予防に取り組んでおられる河西千秋（かわにし・ちあき）札幌医科大学教授は、「亡くなった方の多くが精神疾患に罹患していたという事実があるが、精神疾患は脳の機能障害を引き起こす病気であり、自殺は本人の意思や責任とは別次元のものである」と繰り返し発言しておられます（※）。</p><p>この理解は、「守ることができなかったんだ」という遺族の自責感を和らげると同時に、自殺は誰にでも起こりうる社会課題である、と考え直すきっかけにもなると私は考えます。</p><div id="tnf-text-notes-block_d2a4f20e8ae8730a248be18df83b0f0d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※文献：杉本脩子（2025）ポストベンション―遺族支援．精神療法 51（2）；201-202.</div><p>――こうした社会の無理解や言葉が自死遺族に与える影響を踏まえ、センターでは自死に関わる言葉について、どのような点を心掛けていますか。</p><p>杉本：センターでは「自死」と「自殺」を状況に応じて使い分けることを提唱しています（※1）。</p><p>「自死」は、死という動かせない事実を指すため、「自死遺族」「自死遺児」のように遺族の心情に配慮した表現として用います。</p><p>「自殺」は、自死に至る行為や、追い込まれていくプロセスを指すため、「自殺防止」「自殺未遂」といった表現で用います。厚生労働省の自殺総合対策大綱（※2）には「自殺は、その多くが追い込まれた末の死」と定義されています。これは「自ら命を絶たなければならないほど追い込まれた末に亡くなった」状況を表すものです。</p><p>つまり、「自殺という行為やプロセス」の結果として「自死」に至る、という理解です。どちらか一方に言葉を統一してしまうと、自殺念慮を抱える当事者の痛みや、自死遺族の痛みのいずれかを切り捨ててしまうことになりかねないと考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c3a5c5704722d08239e48e84b0996f6c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.詳しくは、全国⾃死遺族総合⽀援センターの公式サイトで公開されている「『⾃死・⾃殺』の表現に関するガイドライン 〜『⾔い換え』ではなく丁寧な『使い分け』を〜」を参照 ※2.「自殺総合対策大綱」とは、2022年10月に閣議決定された。自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものであり、おおむね5年を目途に見直すこととされている </div><p>――センターでは、遺族を指す表現として、「大切な人を亡くした人」だけでなく「身近な人を亡くした人」という言葉も使うことを提唱されていますね。</p><p>杉本：私たちも立ち上げ当初は、「大切な人を亡くした人」という表現で「自死遺族」への呼びかけをしてきました。</p><p>しかしある時、長男を亡くして「つどい」に来ていた家族のうち、次男が「帰りたい」と言い出したんです。理由を聞くと、「両親も僕も、兄の自殺でとても苦しんでいる。こんなに家族を苦しめた兄を許せない。だから“大切な人を亡くした”家族の集まりに、自分は参加する資格がない」と語りました。</p><p>実際、全ての遺族が故人を「大切」と呼べるかは分かりません。その死によって苦しんでいる事実に変わりはないけれど、故人との間に確執や虐待があったケースもあります。「大切な人」という表現を使うことで、そうした人たちを排除する可能性があったのです。</p><p>アメリカにある、死別を経験した子どもとその家族を支えるケア施設「ダギー・センター（The Dougy Center）」でも、かつて使われていた「Loved one（愛する人）を亡くした」、という表現をやめ、「Someone close（身近な人）を亡くした」という言い方に改めたと聞きました。</p><p>この気づきをきっかけに、国や自治体に働きかけを始めたのが20年以上前です。最近では、東京都が自殺防止パンフレットで「身近な人、大切な人」と並列表記してくれるようになりました。少しずつですが、ほかの自治体にも広がっています。</p><p>自死で亡くなった人と、どのような関係性であったとしても、その死によって苦しんでいる人を一人も取り残さないという姿勢こそが大切だと考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00009-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_842bd72cd165c33fa803547b80ef2b4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自殺は「人を追い詰める」社会全体の構造的な課題</h2><p>――自殺を「個人の問題」として捉える見方は根強く社会に残っています。この捉え方について、杉本さんのご見解をお聞かせください。</p><p>杉本：かつて自殺未遂を経験した、若い男性から聞いた印象的な話があります。</p><p>彼は自身について「普通の家庭に育ち、特別成績が良いわけでもないけれど悪くもなかった」と語っていました。しかし、家族からは「出過ぎたことをしてはいけない。でも、周囲から遅れてもいけない」という無言のプレッシャーを感じてきたそうです。</p><p>それを突き詰めて考えたとき、彼は「透明人間になるしかない」と思った。そして「透明人間なら、生きていてもしょうがない」という思いに至り、自殺を考えたと言うのです。</p><p>日本社会には、世間体や周りの目というプレッシャーがあります。それはときに、人を「透明人間」にさせるまでに追い込んでしまう。さらに、インターネットが登場して以降、情報が氾濫し、社会の矛盾や限界も全て見えてしまうようになりました。</p><p>これは特に若い人にとって、希望を持って生きることが難しい社会になっている、といえるかもしれません。そうした中で、「自分の居場所はどこにもない」と感じてしまう人は少なくないのだと思います。自殺は個人の問題ではなく、社会全体の構造的な課題だと言っていいのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/jishiizoku00007-1024x587.jpg">遺族に寄り添う際の順序と大切なこと。相手のペースを尊重し、結果的に遺族が「支えられたと実感できること」が大切。画像提供：特定非営利活動法人 全国自死遺族総合支援センター<h2 id="tnf-text-heading-block_6553d4a17b47fe6ca2ab13938b8a8b9e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自死遺族を支える社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>杉本さんから、自死遺族が孤立せず、その人らしく生きられる社会にするために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_efd25409e50479b72ba3856aed65c9f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］身近に自死遺族が「いない」のではなく、「いるかもしれない」と考える</h2><p>多くの自死遺族は、身近な人を亡くした思いを誰にも言えず、沈黙の中で耐えている。身近に自死遺族が「いない」のではなく、「言えない」だけなのではないかと考えてほしい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_952a318621b51905264340f04ee7437d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］遺族の思いを聞いたら、「そっか」「そうなんだ」と受け止める言葉を使う</h2><p>遺族は自己否定や自責の念で苦しみやすい。勇気を出して胸の内を語ったとき、「いいね」「すごい」といった評価を含む言葉ではなく、「そっか」「そうなんだ」と、そのまま受け止める言葉で寄り添うことで、安心して思いを吐き出しやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_51f9e118a6047c93a1ae903ee32d5f66" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「してあげたい」ということより、「相手が何を求めているか」を考える</h2><p>「力になりたい」という気持ちは自然だが、「何かしてあげたい」という自分の思いではなく、「相手が今、何を求めているか」に意識を向けることが大切。ときには「そっとしておいてほしい」という思いを尊重する姿勢も大事なこと</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本では年間2万人を超える方が自ら命を絶っています。その遺族や身近な人がどのような思いを抱え、どのような状況に置かれているのか、自死遺族への支援を長年続けてきた杉本さんに伺いたいと考え、取材を申し込みました。</p><p>今回の記事で詳しく触れることはできませんでしたが、2006年に成立した「自殺対策基本法」は、自死遺族の子どもたちが「親やきょうだいが自殺したと人に言えない」という胸の内を社会に明かし、切実に訴えたことを発端としています。</p><p>そして、遺族支援が「個人の問題」ではなく「社会全体で支えるべき課題」として法的に位置付けられたのは、10万人もの署名を集めた当事者や関係者による運動の大きな成果といえるでしょう。</p><p>2025年6月には自殺対策基本法のさらなる改正が行われました。小中高生の自殺者数が過去最多を更新した事態を受け、「こどもに係る自殺対策」や「親族等への支援」の強化が明記されたのです。法律は一度作って終わりではなく、現代の深刻な状況に合わせて今も更新され続けています。</p><p>ただ、法律という大きな仕組みがあっても、自死遺族の悲嘆そのものが軽くなるわけではありません。だからこそ、私たちが日常の中で痛みに想像力を働かせ、寄り添いながら共に歩む社会を考えていく必要がある、と強く実感した取材でした。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人が抱える収入源の課題とは？ 安定した活動資金を確保する方法を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119846/academy</link>
      <pubDate>Wed, 04 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>多くのNPO法人では「収入源の多様化」が課題となっている</li><li>多様な収入源がある中で、安定した収入が見込めるのは「寄付金」「会費」「事業収入」</li><li>安定した収入を確保するためには、活動内容の発信や寄付者に対するフォローが重要になる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人にはどのような収入源がある？」</p><p>このような疑問をお持ちの人もいるだろう。</p><p>NPO法人として活動するためには、株式会社同様、さまざまなコストがかかる。そのため、安定した収入源を確保できるかどうかが活動をし続けるために重要となる。しかし、収入面での課題を抱えるNPO法人は多い。</p><p>この記事では、NPO法人の主な収入源と共に、安定した収入源を作るためのヒントを紹介する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b584599c9e8cf2b76e485c3872a0e4fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人の主な収入源</h2><p>NPO法人には、株式会社と比べて多様な収入源があり、団体によって何を主な手段としているかは異なる。内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>では、次のような結果が出ている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-1-1.png"><p>NPO法人（認証NPO法人※）で最も多いのは「会員からの会費収入」で23.7パーセント、続いて「行政からの委託、または指定管理者として業務」が20パーセント、「行政から助成金・補助金」が19.1パーセントという結果になっている。</p><p>一方で認定NPO法人（※）・特例認定NPO法人（※）は、「個人や民間（企業）からの寄付金」が25.3パーセントと最も多く、寄付をする側とされる側ともに税制上の優遇措置があることが大きな理由と考えられる。</p><p>2番目に多いのは「行政からの委託、または指定管理者として業務」で20パーセント、「行政からの助成金・補助金」が14.3パーセントとなり、NPO法人と同様だ。</p><div id="tnf-text-notes-block_d6077def77e8bdc6162669083802ffce" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>認証法人は、所轄庁で認証を受けたいわゆる一般的なNPO法人。認定NPO法人は、NPO法人の中でも厳しい条件をクリアし所轄庁より認定を受けた法人で、さまざまな税制優遇措置が適用される。特例認定NPO法人は設立5年以内のスタートアップを対象にした制度で、認定NPO法人と認定基準や税制優遇措置の範囲、有効期間などが異なる</p></div><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><p>では、NPO法人の主な収入源の内容とそのメリット・デメリットについて見ていこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a83f0fe4c37831df167697530ea42894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.寄付金</h3><p>寄付金とは、団体や個人から、見返りなしで提供される金銭のこと。NPO法人が受け付けていれば、物品や土地、建物などを寄付することもできる。寄付者が亡くなった際に、遺言書によって財産を譲る「遺贈」も寄付の1つだ。</p><p>なお、寄付者が特定の事業や活動などを指定した場合は、用途が制限される。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_327a70538236972457b227036f3474f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.会費収入</h3><p>会員から支払われる費用のこと。「寄付金」は特定の活動に賛同し提供される傾向にあるが、「会費」はNPO法人の事業活動そのものに共感し提供されるもの。用途に制限なく、自由度が高い。月会費や年会費といった形で安定した収入が見込めるのもメリットが大きい。</p><p>また、会員は、主に次の2種類に分類される。</p>正会員：総会で議決権を持つ構成員のこと（「社員」ともいう）賛助会員：議決権を持たない会員のこと<h3 id="tnf-text-heading-block_5f7d6a4fd4f5ffa28c79779fc8884493" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3.事業収入</h3><p>非営利活動や、物品の販売やサービスの提供などの収益事業によって得られる収入で、重要な資金源の1つ。NPO法人は、一般企業（営利団体）のように利益を追求するのではなく、収入を得ることで活動資金や人件費を賄っている。</p><p>NPO法人が行う事業には、基本的に法人税や事業税などは発生しないが、法で定められた34業種の収益事業を行う場合は、法人税が課せられる。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_012b76a6009e4eddafaceab11e7229eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-4.助成金・補助金</h3><p>国や自治体、企業や財団などの支援団体などが実施する資金援助制度のこと。設立直後や新たな事業を始める際の資金調達として役立つ。申請後、それぞれに設けられた所定の条件を満たせば支給される。</p><p>あくまで一時的な資金のため、安定した収入源とはいえない点を理解しておこう。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人が活用できる助成金は？ 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_1868d469a34a5156469f00f581974041" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-5.委託事業による収入</h3><p>国や自治体から委託されて行う事業で得られる収入のこと。行政では手が回らない保健や福祉といった分野で委託する場合が多く、例えば、子どもや困窮者などを対象とする支援活動のような直接収入を得ることが難しい事業を行う際に、重要な活動資金となる。</p><p>金額は大きい傾向にあるが、単年で委託が終わってしまうケースもあるため、継続した事業を行う場合は頼り過ぎないよう注意したい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_dc141ff764baf8da5f570350682d1c44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人の収入源に関する課題</h2><p>内閣府が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、NPO法人が抱える課題として「収入源の多様化」を挙げた団体が39.8パーセントに上った。また、NPO法人の収益内訳では「事業収益」が81.4パーセントを占めており、収入源に偏りが見られる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-2-1024x842.png">NPO法人が抱える課題。出典：内閣府「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」p11<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-3-1024x738.png"><p>また、活動を継続させるための資金調達に課題を抱えるNPO法人も少なくない。株式会社のように設立資金は不要だが、事業を運営のための資金は必要だ。運営資金が不足し、個人からの借り入れで賄っている場合もある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_16fdeed4fbb926b45b486edbe09c0842" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人が安定した収入源を確保するために</h2><p>前段で触れた資金面での課題を解決するためには、安定した収入源を複数確保することが重要だ。NPO法人でどのような活動を行うかによって、中心となる収入源は異なる。</p><p>例えば、子どもや困窮者を対象とした支援活動では、直接収入を得ることは難しい。しかし、活動内容に共感が得やすいため会費や寄付金が募りやすかったり、助成金に申請したりして収入源を確保することができる。</p><p>一方で、ものづくりの技術支援や保育事業などはサービスを提供することで直接収入が得やすい。この場合は事業収入が基盤となるだろう。</p><p>このように、取り組む活動が「寄付型」なのか、あるいは「事業型」なのかを理解して、基盤となる収入源を決める。その上で、他の資金調達を行うことで、バランスよく収入源を確保することができるだろう。</p><p>ここからは、主に寄付金や会費、事業収入について、安定して確保するためのポイントを紹介しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_69bde4c54f1af6020e25c4585f94962a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.寄付金や会費を集めるためには</h3><p>内閣府NPO、が実施した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、NPO法人の69.2パーセントが寄付に対して「特に取り組んでいることはない」と回答。また55パーセントは個人からの寄付がない状況であり、取り組みを行う重要性がうかがえる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-4-1024x644.png">NPO法人の寄付への取り組み。出典：内閣府「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」p41<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/SEO_13-5-1024x740.png"><p>一方で、認定NPO法人と特例認定NPO法人は、前述の「収益内訳」の図にある通り収入のうち寄付金の占める割合が48.2パーセントで、事業収入のみに依存していない。実際に、寄付を集めるためにさまざまな取り組みを行っており、それが成果につながっていると考えられる。</p><p>同調査では、認定NPO法人、特例認定NPO法人が次の4つの取り組みを主に行っていることが分かった。</p>寄付金の受け入れ状況や用途に関する資料を作成し、公表しているSNSを活用し情報を発信している紙媒体やインターネットなどの広告で、寄付金を呼びかけしているイベント実施等による対面などで、直接寄付を呼びかけている<p>また、寄付金のお礼として、お礼状や活動報告、無料の会報を渡している認定NPO法人も多い。そうすることで、継続した寄付につながる可能性が高くなる。</p><p>このような取り組みは、会員を増やす取り組みとしても有効といえる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_228688c6643e27b92452d9f9bd125158" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.寄付金の決済方法を増やす</h3><p>決済手段が豊富なことで、多くの人から寄付を集めやすくなる。例えば、現金払いにしか対応していない場合、手数料がかからないといったメリットはあるが、遠方の人は寄付することができない。</p><p>ホームページに寄付専用ページを設けて、銀行振込やクレジットカード、電子マネー、コンビニ払いなど複数の決済方法に対応させると、より多くの人が支援しやすくなるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_358a93d363b53a8a6bb006a34888fe08" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.寄付できる方法を増やす</h3><p>時代の変化に伴い、寄付の形も多様化している。より多くの人に届けるために、寄付できる方法を増やすのもおすすめだ。</p><p>ここからは、いま注目される寄付の仕組みについていくつか紹介する。</p>3-3-1.クラウドファンディング<p>プロジェクトを立ち上げた人や団体に対して、それに共感した不特定多数の人が資金を提供する仕組みだ。社会貢献性の高い事業を行うNPO法人にとって相性の良い資金の調達方法といえる。</p><p>資金提供者に対して、物品や権利を提供する「購入型」、利子や配当を提供する「金融型」が一般的だが、対価を提供しない、あるいは少ない「寄付型」もある。</p><p>例えば、非営利のための寄付募集サービスである、<a href="https://congrant.com/jp/lp_crowdfunding.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「コングラント」（外部リンク）</a>や社会課題の解決に特化したクラウドファンディングサービス<a href="https://readyfor.jp/apply/social/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「READYFOR」（外部リンク）</a>などがよく知られており、領収書の自動生成システムや寄付金の管理機能など、寄付を集めるのに便利な機能も設けられている。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109911/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">寄付者にはお礼が重要？ 寄付金管理を楽にする「コングラント」に、NPOに必要なことを聞いた（別タブで開く）</a></p>3-3-2.マンスリーサポーター制度<p>毎月、定額の寄付でNPOやNGOの活動を継続的に支援するのが「マンスリーサポーター制度」だ。安定した収入源として見込めるだけでなく、定期的なお知らせや報告を行うことで支援者との関係を深めることができるのも魅力といえる。</p><p>ほとんどの団体で、クレジットカードや口座振替など自動引き落としを採用しているため、支援者にとっても負担なく寄付が続けられ、若年層にも受け入れられやすい傾向にある。活動に参加している実感や一体感も生まれやすいため、ボランティアや職員といった将来的に団体の運営に関わる人材の入り口としても活用できる。</p>3-3-3.ふるさと納税制度<p><a href="https://www.city.hiroshima.lg.jp/site/nposhien/350881.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">広島市（外部リンク）</a>や<a href="https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1297517/seidoannaiver.2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">鳥取県（外部リンク/PDF）</a>のように、ふるさと納税の寄付先として申請できる自治体がいくつかある。</p><p>ただし、自治体によって申請条件が異なる場合があるため、ホームページを確認しよう。例えば、<a href="https://www.city.shibuya.tokyo.jp/kurashi/kifu/kifu/furusato-tax_shien.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">渋谷区（外部リンク）</a>では「認定NPO法人」が対象となっている。</p><p>また、申請から寄付の募集開始までに数カ月かかる場合もある。そのほか、申請書類や寄付募集の方法がいくつかあり、手続きが複雑なため、各自治体の担当窓口へ相談するのもおすすめだ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_70c258fc8c27672d068909da29ec9daa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人が抱える課題として、「収入源の多様化」を上げる団体が多い。継続して活動に取り組むためには、安定した収入源を複数にわたって確保することが重要といえる。</p><p>特に、寄付金や会費はNPO法人が主体となって行動しなければ集まらない。そのために、SNSやホームページで活動内容の発信や報告、寄付への呼びかけを積極的に行うことが、安定的な組織の運営につながるだろう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><p></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>男女ともに訪れる更年期。少しでも快適に過ごせるよう症状の仕組みと治療法を学ぶ</title>
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      <pubDate>Tue, 03 Mar 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>40代、50代の女性の多くが更年期症状を抱え、男性も心身の疲労をきっかけに症状が現れることがある</li><li>「年齢のせい、我慢すべき」と考え、症状があるにもかかわらず、受診しない人が多い</li><li>更年期には適切な治療法があることを知り、更年期について気軽に話せる環境が必要</li></ul><p></p><p>最近、「疲れが抜けにくい」「気分の浮き沈みが激しい」「集中力が続かない」、そんな変化を感じることはありませんか。</p><p>それは単なる年齢やストレスではなく、更年期によるホルモンバランスの変化が関係しているかもしれません。更年期は40〜50代の女性に多いイメージがありますが、近年では男性にも更年期症状が現れることが知られるようになってきました。つまり、更年期は誰にとっても無関係ではない身近な健康課題なのです。</p><p>40代から50代を中心に、女性ホルモンの減少によって心身にさまざまな不調が現れる更年期。近年では、女性だけでなく男性にもホルモンバランスを崩すことによって症状が現れることが知られるようになってきました。</p><p>2024年の経済産業省の調査（※）では、更年期症状による国内経済損失は年間約3.1兆円に上るとされています。更年期症状によって仕事や生活に影響を受ける人が少なくないという現実が浮かび上がってきます。</p><p>こうした状況から、更年期は個人の健康問題にとどまらず、社会や企業も向き合うべきテーマとなっています。一方で、更年期に対する正しい知識や治療法は、まだ十分に浸透していません。</p><p>この記事では、<a href="https://www.ho.chiba-u.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">千葉大学医学部附属病院（外部リンク）</a>で産科・婦人科を専門とし、2024年に泌尿器科医の佐々木春明医師と共に『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』（主婦の友社）を監修・刊行した甲賀かをり（こうが・かをり）先生に、更年期の仕組みや症状、向き合い方について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_5eb1dbb3c93c6abbdf9a391186f17e7d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：経済産業省「令和6年2月 女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00015-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_5a978f72dcf465466f1820e3ae9500e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">男女で異なる、更年期の時期とホルモンの変化</h2><p>――まず、女性が更年期になりやすい時期や仕組みについて教えてください。</p><p>甲賀先生（以下、敬称略）：女性の場合、更年期とは、閉経前の5年間と、閉経後の5年間を合わせた約10年間と定義されています。</p><p>日本人は、50歳前後で閉経する人が多いため、更年期の時期は45歳から55歳が平均的です。更年期になると、卵巣から分泌される女性ホルモン「エストロゲン（卵巣ホルモンの1つ※）」が、乱高下を繰り返しながら減少していきます。</p><p>この急激なホルモン変動によって現れる不調が更年期症状です。</p><div id="tnf-text-notes-block_e13a21f125a757a79e07b6011ddfed5b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エストロゲン」とは、子宮内膜を増殖させて妊娠の準備を整える卵巣（女性）ホルモンのこと</div><p>――次に、男性が更年期になる時期やメカニズムについて教えてください。</p><p>甲賀：男性の場合は、女性と違って決まった時期があるわけではありません。</p><p>通常は「テストステロン（※）」という男性ホルモンの値が、20代をピークに緩やかに下がっていきます。ただ、ストレスや疲労が蓄積することで、急激に減ってしまうことがあるんです。すると、さまざまな更年期症状が現れてきます。</p><p>テストステロンは早ければ30代から減少するので、若いうちから症状が出る人もいますね。</p><div id="tnf-text-notes-block_a32517c3a4818eb7c396cf537dc2199b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「テストステロン」とは、主に精巣で作られる男性ホルモンのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00013-1024x680.jpg">女性は閉経が近づくと、女性ホルモンの分泌量が急激に減る。一方、男性の場合、男性ホルモンが緩やかに減少していくのが特徴<h2 id="tnf-text-heading-block_4c574c9d8a3aa87d0fd904d44ef76c03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">気づきにくい更年期のサインと症状の個人差</h2><p>――更年期になったと分かるサインはありますか。</p><p>甲賀：女性の場合だと、閉経してからでないと正確には分かりませんが、月経の変化がサインになります。</p><p>更年期が始まると、月経周期が不規則になり、日数が短くなったり、長引いたり。経血量が以前よりも減ったり増えたり、といった変化があります。40代に入ったら「もしかしたら更年期かもしれない」と意識しておくとよいでしょう。</p><p>一方、男性の場合は分かりやすいサインが少ないため、自分でも気づかないうちに症状に悩まされている人も多くいます。</p><p>――更年期になると、どんな症状が出るのでしょうか。</p><p>甲賀：女性の場合は、ホットフラッシュと言われる異常な発汗をはじめ、関節痛、肩凝り、不眠、めまい、頭痛、手足の冷え、不正出血、疲れやすい、といった身体症状が現れることがあります。</p><p>加えて、不安感、抑うつ、イライラする、といったメンタルの不調に悩まされる人もいます。症状には個人差があり、ほとんど症状を感じない人もいますね。</p><p>ただし、厚生労働省の調査（※）によると、50代女性の約4割、50代男性の約1割が日常生活に支障をきたすほどの更年期症状を抱えているんです。こうした重い症状は「更年期障害」と呼ばれます。</p><p>そして、男性の更年期障害は、医学的に「LOH症候群（加齢性腺機能低下症）」と呼ばれています。主な症状には、やる気がなくなる、気分が塞ぐ、イライラする、食欲不振、性欲の低下、不眠、集中力や記憶力の低下などがあります。これらの症状はうつ病とよく似ており、見分けがつきにくいというのが注意点です。</p><div id="tnf-text-notes-block_0426d4ea97bc9e9478069ffd4496da5e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」（2022年）</div><p>――女性で更年期症状が出る人と出ない人には、どんな違いがあるのでしょうか。</p><p>甲賀：年齢とともに女性ホルモンが減少する生理現象は誰にでも起きることですが、体質によってはその変動が少ない人もいます。緩やかに減少していくと体が対応できるため、症状が出にくいのです。</p><p>また、体の変化に敏感な人もいれば鈍感な人もいます。同じようにホルモンが減少していても、感じ方によっては気にならず、「症状がない」と感じる人もいますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00012-1024x655.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_5e815a60936a4e7eaafa79d5d973d02b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">受診につながりにくい理由と、予期せぬ疾患の可能性</h2><p>――更年期症状が出る人は、日常生活でどんなことに困るのでしょうか。</p><p>甲賀：私は婦人科に勤めているのですが、女性の患者さんで、ホットフラッシュで汗が止まらず、職場や家庭でお困りの方がたくさんいらっしゃいます。</p><p>暑い時期だけでなく、寒い時期でも汗をかくのでいつもタオルが手放せませんし、洋服が濡れてしまって着替えなければならないことも。「大事な場面で汗をかいたらどうしよう」と心配になって、仕事に集中できないこともあるでしょう。</p><p>寝ている間も汗をかくので、夜中に何度も目が覚めてしまう人もいます。ぐっすり寝られないので、体が休まらず、次の日の活動にも影響が出ます。ほかにも関節痛の症状によってパソコン作業がしづらくなった、料理ができなくなったという声も聞きます。</p><p>2021年のNHKの調査（※1）では、更年期症状を理由に仕事を辞めた人が、女性で9.4パーセント、男性で7.4パーセントいることが分かりました。一方で、これだけ日常生活に支障が出ているにもかかわらず、厚生労働省の調査では（※2）、医療機関を受診している人は10パーセント以下にとどまっています。</p><div id="tnf-text-notes-block_8311012da0fdba7e214f0ac3ae435b3d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.参考：NHK「更年期と仕事に関する調査2021」※2.参考：厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」基本集計結果（2022年7月26日）</div><p>――症状が出ていても治療に結びついていないのは、なぜでしょうか。</p><p>甲賀：まだまだ多くの人が「年齢のせい」「我慢するもの」と思っているからです。また、治療法があることは知っていても、ホルモン剤での治療に抵抗があることで、受診をためらう人もいるようです。</p><p>男性の更年期に関しては、女性と比べて認知度が低く、そもそも「男性に更年期があることすら知らなかった」という人が多いのも実情です。</p><p>知っていても、「更年期だと認めたくない」という気持ちがあり、受診につながらないことも。周囲の人に相談するハードルも、女性よりずっと高いのではないかと思います。</p><p>――更年期であることを言い出しづらいという背景があるのですね。</p><p>甲賀：そうですね。ただ、何か症状がある場合に「更年期だ」と自分で決めつけてしまうのも危険です。というのも更年期とみられる症状の中には、ほかの疾患が隠れていることもあるからです。</p><p>――どんな疾患が隠れている可能性があるのでしょうか。</p><p>甲賀：例えば、更年期によくあるホットフラッシュやほてり、動悸は、甲状腺疾患の代表的な症状でもあります。</p><p>ほかにも月経不順だと思っていたら、子宮体がんによる不正出血だったというケースも。これらが発症する年齢は更年期の時期と重なるため、更年期症状だと思い込んで重大な疾患を見落とさないように注意が必要です。</p><p>ですので、お困りの症状があれば医療機関を受診してほしいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00006-1024x916.jpg">男性には明確な更年期のサインがなく、自分でも気づかないうちに、症状に悩まされがち<h2 id="tnf-text-heading-block_ce7fd31c25e2bcb1344ae4f4b8e76500" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">減少したホルモンを補充する治療で症状は改善していく</h2><p>――女性の更年期症状には、どんな治療法があるのでしょうか。</p><p>甲賀：更年期で減ってしまったホルモンを補う「ホルモン補充療法」が主な治療法です。</p><p>治療薬には飲み薬や貼り薬、ジェルタイプの塗り薬があります。どれも効き目は同程度ですが、飲み薬よりは皮膚から摂取する貼り薬や塗り薬のほうが、副作用が出にくいことが分かっています。</p><p>――貼り薬や塗り薬もあるんですね。手軽に始められそうです。</p><p>甲賀：貼り薬は腹部に貼ることが推奨されていて、目立たないので取り入れやすいと思います。塗り薬は腕や太ももなどに塗るのが一般的です。</p><p>「皮膚がかぶれやすい人には貼り薬ではなく塗り薬」「飲み忘れの心配がある人には持続期間が長い貼り薬」というように、ライフスタイルや体質に合わせて使い分けできるようになっています。</p><p>使用する薬剤の種類や量は、患者さんの年齢や症状、月経の有無や持病、これまでにかかった病気などを考慮しながら、医師が慎重に判断します。</p><p>――「ホルモン補充療法」ではどのような効果が得られるのでしょうか。</p><p>甲賀：多くの人は2カ月ほどで症状が軽快していきます。なかでも、ホットフラッシュや動悸などの症状は改善が早く、数日で効果が出る人もいます。</p><p>治療を始めることで、更年期以降の健康維持にもつながるので、症状を我慢せず、早めに受診することをおすすめします。</p><p>実は、エストロゲンが低い状態が長く続くと、骨粗しょう症や動脈硬化のリスクが高まります。ただし、半年から1年ほど治療を続けることで、徐々に骨密度が上がっていくんです。</p><p>――「ホルモン補充療法」のリスクについて教えてください。</p><p>甲賀：かつてはホルモン剤の投与によって、乳がんのリスクが高まるといわれていましたが、今では乳がんになるリスクはとても少ないことがデータでも明らかになっています。</p><p>ただし、「ホルモン補充療法」を受けられない人もいます。その一つが乳がんの既往歴がある患者さんです。そのほかにも、慎重な投与が必要とされるケースがガイドラインで定められています。</p><p>「ホルモン補充療法」に限らず、漢方による治療を行っている病院もあります。自分の体質や症状に合った治療法を、医師と相談しながら選んでいくことが大切です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00004.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00005-1024x640.jpg">更年期障害の治療には、カウンセリングや漢方、抗うつ薬や不安薬といった治療の選択肢もある。画像出典：日本女性医学学会「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」<h2 id="tnf-text-heading-block_e375659181dacaaa7a5891c3ba042f18" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">気づきにくい男性の更年期。受診の目安はセルフチェックできる</h2><p>――男性の更年期症状には、どのような治療がありますか。</p><p>甲賀：男性は「テストステロン補充療法」が有効です。2週間から4週間に1回の通院で筋肉注射を行います。保険適用ではありませんが、自由診療で飲み薬もあります。男性の場合も効き目には即効性があります。</p><p>――更年期症状があれば、すぐに医療機関に相談したほうがよさそうですね。</p><p>甲賀：生活に支障が出るような症状があれば、迷わず受診しましょう。受診の目安として、更年期症状をセルフチェックできる質問票を活用することができます。</p><p>女性は「SMIスコア（簡略更年期指数）」、男性は「AMSスコア（男性更年期障害質問票）」が代表的です。身体的・精神的症状に関する質問に答え、合計点数から症状の程度や受診の必要性を判断することができます。</p><p>――何科を受診すればよいでしょうか。</p><p>甲賀：女性は婦人科に相談してみてください。専門外来を設けている専門機関もありますし、日本女性医学学会のホームページには専門医が在籍する医療機関が掲載されていますので、参考にしてみてください。</p><p>男性の場合は、泌尿器科でも更年期を扱っていないことがあるため、「LOH外来」や「男性更年期外来」と掲げている医療機関を調べて受診することをおすすめします。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00003.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00002.jpg">男性が自身の更年期症状を判断できる「AMS スコア（男性更年期障害質問票）」。出典・参考：日本泌尿器科学会／日本 Men’s Health 医学会 「LOH 症候群診療ガイドライン」検討 ワーキング委員会「加齢男性性腺機能低下症候群診療の手引き」<h2 id="tnf-text-heading-block_6165acb4ec1dc4c567f639c3b6898b1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">更年期は自分の人生を見直し、生活習慣を整えるチャンス</h2><p>――治療以外に、日常生活で気をつけられることはありますか。</p><p>甲賀：大前提として、規則正しい生活を送ることが大切です。バランスの良い食事をとり、適度な運動をして夜にぐっすり眠る。それが自律神経を整えることにもつながります。</p><p>男性の場合、年齢を重ねると職場以外の人とのコミュニケーションが減ってしまう傾向があるので、ワクワクできる趣味を始めたり、新しい人間関係を築いたりすることが、更年期の症状を乗り越えるために大事なポイントです。</p><p>――更年期について知られてきたとはいえ、職場や家庭など日常の会話の中では話題にしづらいと感じます。</p><p>甲賀：更年期に対する職場や社会での認識を変えていく必要がありますよね。タブー視されているとまでは言いませんが、扱いづらいテーマであることは確かです。ただし、更年期は誰にでも訪れるものですから、理解し合うことが大切です。</p><p>そのためには企業側の努力も必要です。例えば、更年期についてのセミナーや勉強会を開き、福利厚生の一環として取り入れていけば、更年期を迎えても元気に働き続けられる人が増えていくはず。また、若い人たちが準備できるような啓発活動も求められていると思います。</p><p>――同じように家庭でも、更年期について話せるようになるといいですよね。</p><p>甲賀：そうですね。もし身近な人が更年期かもしれないと思ったら、「更年期なんじゃない？」と指摘するのではなく、「治療法があるみたいだよ」と教えてあげてほしいです。普段の何気ない会話で伝えることができれば、きっと素直に受け止めてもらえると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00010-1024x566.jpg"><p>――甲賀先生は医師として診療にあたり、また大学院で教授を務める傍ら、更年期の正しい知識を広める活動にも力を入れているそうですね。</p><p>甲賀：まず、書籍『マンガでわかる!男女で知っておきたい更年期』（主婦の友社）を出版したことで、「本を読んで治療を始めました」「家族が更年期だと気づきました」という声も多く、更年期の知識を広めることに役立てたのではないかと思っています。</p><p>そして、日本女性医学学会の理事として、ガイドブック「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」の制作にも携わりました。治療法を考える際の参考資料として、活用いただければと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>――これから更年期を迎える人たちは、どんな備えが必要でしょうか。</p><p>甲賀：更年期には、つらい症状が現れることがありますが、効果のある治療法は確立されていますので、対処できるものとしてポジティブに受け止めてほしいです。</p><p>まずは、更年期がどんなもので、どんな治療法があるのかを知るために、アンテナを張っておくことが大事。心の準備をしっかりしておけば必要以上に恐れなくて済みます。</p><p>そして、更年期はこれからの人生を考える準備期間でもあります。自分が何に価値を置いて生きていきたいのか、その先の人生をどう楽しむのか。自分の生活リズムや時間配分を工夫できるチャンスでもあります。</p><p>そんなふうに考えて、更年期を前向きに捉えていきましょう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00014-722x1024.jpg">日本女性医学学会「ホルモン補充療法の正しい理解をすすめるために」.2023 より。許可を得て転載</div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/konenki00001-1024x726.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_42a9104005c42913a59f8fbfb85cace3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">更年期を迎えた人たちが暮らしやすい社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>更年期を迎えた人たちが暮らしやすい社会をつくるために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスを甲賀先生に伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e3ad204c21eb3f080bf7d60c47839ea1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］更年期は誰にでも訪れる変化だと理解する</h2><p>更年期は、誰にでも訪れる。個人差が大きく、日常生活に支障を来たすようなつらい症状が出ることもあるため、周りの人は配慮を心がける。また、女性だけでなく、男性にも症状が現れることがあることを、本人も周囲も理解しておくことが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4eb52c95a9e016ee2f474880d3968653" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］更年期について気軽に話せる環境をつくる</h2><p>更年期の話題をタブー視せずに、職場や家庭で気軽に話題にできるような環境を整えていく。症状に悩んでいる人がいれば、「まずは病院に相談してみたら」「治療で楽になることもあるよ」と声をかけてみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_59481dfb93e8288cbf63e90850159422" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］治療法があることを知れば、適切な受診につなげられる</h2><p>更年期症状には、すでに効果的な治療法が確立されています。対処できるものだと知ることが第一歩。症状が現れ始めたらチェックリストを活用して状況を把握し、治療が必要なタイミングで医療機関を受診してみる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>両親が中高年になり、「もしかしたら更年期なのでは」と感じる場面が増えてきました。身近な人であっても話題にしづらい更年期について正しく知りたい、そして、いずれ更年期を迎える若い世代にも情報を届けたいと思い、取材を申し込みました。</p><p>更年期にはさまざまな症状があり、仕事や生活に支障をきたすことがある。その一方で、効果のある治療法が確立されていることはあまり知られていません。先生の話を伺って、更年期に対する漠然と感じていた不安が解消されました。</p><p>そして今、更年期に悩んでいる人が適切な治療へとつながるよう、身近な人たちに悩みを打ち明け、情報を共有し合える関係性や環境を構築することが大事なのだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>年38万円の通信制大学「ZEN大学」が切り拓く「学修者本位の教育」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119499/education</link>
      <pubDate>Thu, 26 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>学費高騰や教育格差に対し、年38万円の完全オンライン教育で学びの門戸を開く</li><li>教育者本位の壁を壊し、学生が社会で役立つ力を自ら選んで伸ばせる環境を構築</li><li>単なる学歴取得の場を超え、自分を更新し仲間と高め合う自由な学びの共同体を目指す</li></ul><p></p><p>学費の高騰や地域による教育格差、偏差値を軸とした評価のあり方など、日本の教育はさまざまな課題を抱えています。こうした状況を背景に、株式会社ドワンゴと日本財団の提携により、2025年4月、「年間授業料38万円」を掲げる新しい通信制大学<a href="https://zen.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ZEN大学」（外部リンク）</a>が開学しました。</p><p>今回は同大学を運営する学校法人日本財団ドワンゴ学園理事長の山中伸一（やまなか・しんいち）さんに、既存の大学システムでは対応しきれなかった層や、画一的な学びに違和感を持つ若者たちに対し、ZEN大学がどのような選択肢を提示しているのかを伺います。</p><p>また、実際にZEN大学で学ぶ3名の学生にもインタビューを行いました。なぜ彼らは従来の全日制・通信制大学ではなく、新しい学びの場を選んだのでしょうか。当事者のリアルな声を通して、現代における「大学のあり方」と、自分らしい学び方を選ぶ意味を探っていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_11676b272b2796abf667b0c8c498c9b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ZEN大学が目指す、「学修者本位」の教育とは？</h2><p>――現在の学校教育が抱える課題をどのようにお考えですか。</p><p>山中さん（以下、敬称略）：現在の学校教育の現場では、教育者が「何を教えたいか」を主軸に据えた、いわば教育者本位の仕組みが続いています。</p><p>特に大学では、専門的な知識を授けることが目的とされるあまり、教える側の論理が優先され、学生が何を学びたいのか、そのためにどのような力を身につけ、伸ばしていくべきかという、学修者本位の視点が十分に反映されていないと感じています。</p><p>大学教育においては、教える内容そのものも重要ですが、それ以上に「社会の中で使える力をどれだけ身につけられたか」が問われるべきだと数十年前から指摘されてきました。</p><p>それにもかかわらず、現在もなお「教えること」自体が重視される傾向が強く、結果として、学生が実社会で活躍するための実践的なスキルを修得する機会が限られているのが現状です。</p><p>そこで私たちは、「学修者本位」の教育現場を目指してZEN大学を創立しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00002.jpg">社会で活躍する人材を育成したいと語る山中さん<p>――「学修者本位」の教育とは、具体的にどのようなものでしょうか。</p><p>山中：ZEN大学では、学部を「知能情報社会学部」の1つに絞っています。AIやデジタル技術が社会のあらゆる分野に浸透するなかで、これからの社会を支える基盤となる知識や考え方を、分野横断的に学べる設計にしました。</p><p>具体的には、「数理」「情報」「文化・思想」「社会・ネットワーク」「経済・マーケット」「デジタル産業」という6つの分野から、学生一人一人が学びたい科目を自由に選択できる仕組みを採っています。</p><p>これは、オンライン大学だからこそ可能になった学び方で、授業はオンデマンド形式で、決められた時間に縛られることなく、学生が自分のペースで受講できます。各学期に定められた科目数を履修し、単位認定試験に合格することで単位を修得します。</p><p>多くの科目の中から何をどのように学べばよいか迷わないよう、学修（※）モデル例を提示しているほか、履修計画の立案や学修上の相談窓口としてクラス・コーチを配置しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_975140132d04b7de90396cd719834c6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※学習は「教わる・学ぶ」という行為。学修は「自ら考え、主体的に学び続けること」に重きを置いた表現</div><p>現在、ZEN大学には約4,000人の学生が在籍しています。教員だけで一人一人の学びを支えるのは難しいため、ティーチング・アシスタントやアカデミック・アドバイザーが学修を支援する体制を整えています。</p><p>こうした仕組みにより、学生の理解度をデータとして把握し、その結果をもとに授業内容を改善し、ブラッシュアップすることで、教育の質を高めることにつながると考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_f34aa8e34c19a43ad34fcff3e529fbb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://zen.ac.jp/support/study" target="_blank" rel="noopener">ZEN大学「学びのサポート 」（外部リンク）</a></div><p>――ドワンゴと日本財団の提携により、どのような取り組みが可能になったのでしょうか。</p><p>山中：オンライン教育は社会との関わりが薄いと思われがちですが、私たちはそのイメージを払拭したいと考えています。ZEN大学では、学生の8割以上を占める10代・20代の若者が、学びながら実社会で働く力を養うことを重視しています。</p><p>オンライン大学は時間を自由に設計できるため、『学びながら働く』ことが可能です。その実践の場を広げる上で、日本財団の存在が大きな役割を果たしています。</p><p>具体的には、日本財団が全国に持つ自治体や企業、NPOとの広大なネットワークを活用し、学生が多様な社会課題解決プログラムに参加できる仕組みを整えました。初年度の夏から約100種類のプログラムを展開しており、多くの学生が実際に現場での経験を積んでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00005.jpg"><p>――先ほどのお話にもありましたが、日常的に学生同士が交流する機会はあるのでしょうか。</p><p>山中：学生同士のコミュニケーションを支える仕組みとして、チャットツールであるSlackを導入しています。Slack内では同じ関心や趣味を持つ学生が集まる場として、学生自身が自発的にサークルを立ち上げており、例えばイラストサークルには約240人（ 2026年月時点）の学生が参加し活動しています。</p><p>オンラインを超えたコミュニケーションの場としては、学生たちが企画・運営を担う大学祭を開催しています。ドワンゴが主催する「ニコニコ超会議」内で開催するもので、2026年度はオンラインとリアルを組み合わせたハイブリッド形式で実施する予定です。</p><p>今後も、学生同士がつながり、帰属意識を持てるような場を提供したいと考えているところです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00006.jpg">ZEN大学の大学祭2025年の様子。画像提供：ZEN大学<h2 id="tnf-text-heading-block_e9167d33e99d50b34be63c6a78a7202c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ZEN大学に実際に通う3名の学生にインタビュー</h2><p>――ここからはZEN大学で学んでいる山本一男（やまもと・かずお）さん、金田明幸（かねだ・あきゆき）さん、小辻桃果（こつじ・ももか）さんにお話を伺います。なぜ数ある選択肢の中から、ZEN大学を選んだのでしょうか。</p><p>山本さん（以下、敬称略）：私は親の介護や地域の市民活動に携わっており、特定の場所や時間に合わせて通学することは物理的に困難でした。</p><p>ZEN大学はオンデマンド型で、場所を選ばずに学べる環境が整っている点に魅力を感じました。また、国立大学並みに授業料が抑えられていることも、シニア世代の私が、もう一度新しい世界へ飛び出すための大きな後押しとなりました。</p><p>金田さん（以下、敬称略）：社会人として約30年働いてきましたが、これまでは仕事に追われ、休日はただ疲れて寝ているだけの、ルーティン化した生活を送っていました。そんな現状を打破したい、何か社会的に認められることをしたいという思いから、大学で学びたいと考えるようになったんです。</p><p>以前、別の通信制大学を検討したこともありましたが、試験のたびに指定の場所へ通う必要があると知り、継続は難しいと感じました。その点、ZEN大学の「すべてオンラインで完結する」仕組みであれば、現実的に卒業を目指せると確信しました。</p><p>小辻さん（以下、敬称略）：もともと同じN高グループの高校に通っていたので、ネットで学ぶ効率の良さや、時間的な自由度の高さを実感していました。</p><p>高校卒業の時点で将来を1つに絞りきれなかった私にとって、ZEN大学の学びの選択肢の広さは非常に魅力的でした。以前通っていた全日制高校では、往復2時間の通学による乗り物酔いに悩まされていたこともあり、そうした身体的な負担がないことも、入学を決めた大きな理由です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00007.jpg"><p>――学生同士の交流はありますか。</p><p>金田：地域連携プログラムや日本財団のゼミなどを通じて、他大学の学生とも交流しています。つい先日も、世界最難関と言われるミネルバ大学の学生と直接対話する機会がありました。世界を旅しながら学ぶ彼女らの姿勢や、優秀な若者たちの熱量に触れ、自分の凝り固まった常識が揺さぶられるような強烈な刺激を受けました。</p><p>小辻：福島での1カ月の共同生活や学祭実行委員としての活動など、交流の機会は意外と多いです。目標を共有していれば、物理的な距離があっても強い結びつきを感じられます。</p><p>山本：Slackでの交流が中心ですが、文字だけでは孤独感や誤解も生じやすいため、自らサークルを立ち上げました。将来は地元の滋賀に仲間を招くなど、リアルな交流も広げていきたいです。</p><p>――入学後の変化や気づきはありましたか。</p><p>金田：優秀な若者たちの圧倒的な熱量に触れ、彼らと対等に議論し続けるには「知的な体力」が必要だと痛感しました。そこで生活習慣をアンラーニング（見直し）して10キロの減量に成功。身軽になった心身で、現在は机上の空論で終わらせないよう、福祉施設でのフィールドワークなど「現場」に飛び込む活動に挑戦しています。</p><p>山本：「学びには年齢の制限がない」と実感しました。過去の経験が学びによって「点から線」へとつながり、人生の答え合わせをしているような感覚です。</p><p>小辻：勉強は机でするものだと思っていましたが、知識を即座に実社会で試す経験を通じ、学び・仕事・遊びは全て地続きなのだと気づきました。</p><p>――ZEN大学は社会にどう影響すると思いますか。</p><p>金田：多忙な社会人にとって、完全オンラインと手厚いサポートの両立は、諦めていた大卒資格取得を可能にする希望となります。</p><p>山本：事情を抱え、学びを断念した人にとっては扉を開くきっかけになるはずです。また、社会側もオンラインという形式ではなく、そこで何を身につけたかという本質を評価する文化が必要になるでしょう。</p><p>小辻：学費が抑えられることで、家庭の事情で進学を諦めるということが減ると思います。若者が学費のためのアルバイトに追われず、興味のある活動に時間を使えることは社会のプラスになるはずです。</p><p>――皆さんにとって「大学」とは、どんな存在でしょうか。</p><p>金田：単なる資格取得の場ではなく、これまでの経験や古びた知識を一度捨てる「アンラーニング」の場だと考えています。知識を増やして武装するのではなく、減らして身軽になることで、最後に残る「物事の本質」のようなものを見つけたいですね。</p><p>山本：大学とは、物理的な校舎や長い歴史に依存するものではなく、学びたい意志を持つ人たちの共同体だと思います。卒業後もOB会を立ち上げて、ZEN大学で生まれた出会いを、これからも大切にしていきたいですね。</p><p>小辻：私にとって大学は、自分をアップデートするための「自由な遊び場」だと思っています。実社会とは違って、失敗してもやり直せる。自分のやりたいことを仲間やメンターに聞いてもらったり、とことん話し合えるところが魅力です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c023a827f7d8454d3b884f755930867a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">さまざまな学びを通して、社会で活躍する力を付けてほしい</h2><p>――改めて、山中さんに伺います。「就職予備校化」と言われる従来の大学のあり方に対して、ZEN大学はどんな役割を担おうとしているのでしょうか。</p><p>山中：ZEN大学の最大の強みは、従来の通学制大学に比べて固定費を大幅に抑制できる点にあります。1万4,000人規模の学生を受け入れるための巨大な校舎を維持する必要がない分、学費を低く設定できるのです。</p><p>年間の授業料は38万円で、日本財団の協力による奨学金制度も整えています。地域によっては、進学に伴う引越し費用や家賃、通学費といった経済的負担も大幅に軽減できるでしょう。</p><p>ただし、学費が安いだけでは不十分です。日本社会では依然として「大学を卒業して就職する」というモデルが主流ですから、採用側から「この大学の卒業生は確かな実力を備えている」と信頼される学生を育てることも不可欠です。開学1年目の現在はまだスタート地点ですが、実社会で通用する力を養える大学を目指していきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/zend00003.jpg">ZEN大学の未来について話す山中さん<h2 id="tnf-text-heading-block_fa6ab8c4ae701d398396903a37233e76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">可能性を広げる教育のために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、可能性が広がる教育のために、私たち一人一人ができることを山中さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_566c991dabc9b7c5defc663853293f48" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］オンライン授業や通信制に対する先入観をなくす</h2><p>過去のネガティブなイメージにとらわれず、11人に1人が通信制高校に進学し、リモート授業が当たり前となった現実を知る。固定観念を捨て、実際に学ぶ学生たちの姿をありのままに見ることが大切</p><div id="tnf-text-notes-block_8ff5cf972b11f004add9d8513804d676" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109823/education" target="_blank" rel="noopener">高校生の11人に1人が通信制高校へ。多様化するカリキュラムと高まるニーズ（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_1db7a3aab49363c8e995919b2ea223e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「どの大学か」ではなく、その人が「何を学び、何に挑戦しているか」に目を向ける</h2><p>大学の価値を、偏差値や知名度といった外形的な評価だけで判断するのではなく、「その人がそこで何を学び、どんな挑戦を重ねているのか」という本質的な視点で捉えるようする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c653ebe2c1e9de9865a9a8c74c1c8eae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］通信制のオープンキャンパスや文化祭に参加し、学生たちの声に耳を傾ける</h2><p>実際に学ぶ人と触れ合うことで、外側からでは見えにくかった学びの実態がぐっと身近になる。それが、自分自身の学びの選択肢を広げるための確かな第一歩となるはず</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>2025年に開学したZEN大学。既存の通信制学校との違いを伺いたく、今回、取材に至りました。</p><p>70代の山本さんが「人生の答え合わせ」と語り、若者の小辻さんが「自由な遊び場」と表現する。その横で金田さんが「強烈な刺激を受けた」と目を輝かせる。画面越しに並ぶ彼らの姿に、大学とは本来、年齢や場所で区切られるものではなく、同じ志を持つ「学びの共同体」なのだと強く実感させられました。</p><p>ZEN大学の試みは、教育格差を埋めるだけでなく、誰もが何度でも人生を再スタートできる社会への、大きな一歩になるのではないでしょうか。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>寄付に安心があたりまえの社会へ——日本非営利組織評価センター・佐藤大吾さんが進める「グッドギビングマーク制度」とは ？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119745/donation</link>
      <pubDate>Wed, 25 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPOは「市場原理」では救えない人々を支援し、寄付や助成金を主な資金源とする</li><li>「信頼の欠如」が最大の壁。健全なNPOであっても「ネットのうわさ」に悩まされている</li><li>第三者が客観的に審査する「グッドギビングマーク制度」が信頼の新基準になっている</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>あなたは「NPO」と聞いて、どんな印象を持ちますか？</p><p>社会のために活動している大切な団体だと思う一方で、「何をしているのか分かりにくい」「本当に信頼できるの？」と感じたことはないでしょうか。</p><p>NPOは、行政や企業だけでは手が届きにくい社会課題に向き合う、いまの社会に欠かせない存在です。でも活動内容が見えにくいことから、評価や信頼を得づらく、資金や人手が集まりにくいという現実もあります。</p><p>そんな課題を変えようと、NPOの信頼性を“見える化”する取り組みを進めているのが、公益財団法人 日本非営利組織評価センター（以下、JCNE）です。第三者の立場からNPOを評価し、2025年春には信頼性を認証する「グッドギビングマーク制度」をスタートさせました。</p><p>理事長の佐藤大吾（さとう・だいご）さんは、25年以上にわたりNPOの現場を見つめ続けてきた人物。「NPOがもっと信頼されれば、社会はもっと良くなるはず」と考え続けてきました。</p><p>NPOの信頼性が高まると、私たちの暮らしはどう変わるのか。寄付やボランティアは、もっと身近なものになるのか。誰もが生きやすい社会をつくるために、私たちにできることを佐藤さんに伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_3701098787bf761defcf0ecc92e51d20" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPOは「受益者負担の原則」が成立しない領域を担う、社会に不可欠な存在</h2><p>——そもそも現代社会において、「NPO」の必要性とはどこにあるのでしょうか。</p><p>佐藤さん（以下、敬称略）：最近は株式会社であっても、単なる利益の追求にとどまらず社会課題の解決を目指す「パーパス経営（※）」を掲げる企業が増えています。ただ、NPOとの決定的な違いは「ビジネスモデル」にあります。</p><p>例えば、おにぎりを作っている会社は、代金を「食べる人」からいただきます。おにぎりという商品を受け取る人が、代わりに金銭を支払う「1対1の関係」が成立している。これを私は「受益者負担の原則」と呼んでいます。この原則が成立するのは株式会社の世界です。</p><p>しかし、ホームレスを支援する活動では、おにぎりを提供しても食べる人から代金を回収できません。こういった分野では、原材料費や人件費などのコストを、寄付や助成といった「おにぎりを食べない第三者」に負担してもらわなければなりません。</p><p>このような「市場原理が成立しない分野」が世の中には確実に存在しています。そこで採算性に縛られず、寄付という善意のお金を使って助けを必要としている全ての人に対して活動できることが、非営利組織であるNPOの社会における必要性だと思っています。</p><p>――市場原理で救えない人々をサポートするのは「行政」の役目では？　と考える人もいるかもしれません。NPOだからこそできる役割についてお聞かせください。</p><p>佐藤： 行政の支援が追いつかない場所というのは確実に存在します。そこでNPOは先んじて現場に入り、当事者の抱えるリアルな課題を知って、解決のモデルを先行実装できます。最終的にはそのデータをもとに政策を提言し、社会全体の制度を更新していくことができます。</p><p>特定の誰かを助ける「点」の活動を、より多くの人々、つまり「まだ出会っていない不特定多数」にも支援が届くよう社会全体の仕組みに変えていく。この「次の公共」をデザインすることこそが、NPOの本質的な役割であると私は考えています。</p><p>ここで重要なのは、「他人の善意の資金を預かる」仕組みで成り立つ組織にとって、信頼は活動の「基礎」であり、存立するための前提条件だということです。</p><p>どれほど立派な活動をしていても、運営の安心感が伝わらなければ支援という名の「善意の水」は流れてきません。「信頼」というインフラを整えることがあって初めて、NPOは社会を変えるスタートラインに立てるのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_a558da939054a9706f8d2f90edef542a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「パーパス経営」とは、社会における存在意義（Purpose）を明確にし、それを軸として事業を行う経営モデルのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_3.jpg">社会におけるNPOの役割について語る佐藤さん<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_4.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_73c6415df5ecf728a4c4e46b0539b7f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「文化は変えられる」。 星取り表で見えた、日本に足りない「評価の仕組み」</h2><p>――佐藤さんは25年以上にわたり、一貫してNPOの運営や資金調達に携わって来られました。その根底にある思いについてお聞かせいただけますか。</p><p>佐藤： 始まりは、大学生時代に企業向けインターンシップ事業を行う株式会社を立ち上げたことです。そのうち、議員事務所や行政、NPOでもインターンを体験したい、という要望が届くようになりました。</p><p>しかし双方に利がある企業インターンシップと違って、これらの組織は学生を受け入れるための予算を持っていません。「1対1の関係」ではビジネスが成立しないです。</p><p>やむを得ず赤字覚悟で実施したところ、学生や受け入れ先からは非常に好評で、「後輩にも体験させたい」「うちにも学生を紹介してほしい」という問い合わせがたくさん届きました。</p><p>社会的ニーズは高いのに、資金の問題で続けられない。この構造を何とかしたいと考えた時、大学の恩師で「NPO法」の制定に関わった山内直人（やまうち・なおと）教授から「その不採算部門を切り離して、NPO法人にしてみたら」と助言をいただきました。そうして生まれたのが私の最初のNPO法人ドットジェイピーでした。</p><p>その後、NPOの経営者仲間が増えて行くなかで、彼らの多くが共通して資金面の悩みを抱えている事実に直面します。というのも、株式会社であればベンチャーキャピタルからの出資や銀行融資といったファイナンス手法が確立されています。しかし、当時のNPOには寄付や助成金などの限られた手段以外に、まとまった資金を調達する術がほとんどありませんでした。</p><p>――その原体験が、NPOがどうやって運営資金を獲得していくか、という課題意識につながった、ということでしょうか。</p><p>佐藤：海外に目を向けると、驚くほど規模が大きく、多くの寄付金を集めて安定した運営を行っているNPOがたくさんあります。日本の環境と何が違うのか、解決策を探るために日本・アメリカ・イギリスの寄付環境を比較する星取り表を作りました。</p><p>よく「英米はキリスト教で寄付文化があるからお金が集まるんだ」という声も聞きます。しかし、日本でも伊勢神宮の式年遷宮の際には数百億円以上も寄付が集まります。問題の本質は「宗教」の違いではありませんでした。比較の結果、明らかな違いが現れたのは「ルール」と「ツール」でした。</p><p>例えば、いただいた寄付金の財務情報を公開する「ルール」。英米では義務化されていますが、当時の日本では役所に行かなければ閲覧できず、ウェブ公開の義務もありませんでした。また、ネットで簡単に寄付決済ができる「ツール」についても、英米では当たり前に整備されていましたが、当時の日本ではまだ使えませんでした。</p><p>こうした×印をひとつずつ○に変えていけば、日本にもNPOに対する寄付文化が根付くはず。それが私の立てた仮説でした。そして、星取り表の中に残った日本に足りない大きな仕組みの1つが、「第三者による非営利組織の評価機関」の存在です。</p><p>――確かに、日本ではいまだに「NPOは資金をどう使っているか分からない」といったイメージを持たれやすい現状があります。「第三者による評価の欠如」についてどのような課題を感じていますか。</p><p>佐藤：昔から「マネーロンダリングにNPOが使われている」といった都市伝説のような話がありますが、実際にはほとんど事件化されていません。</p><p>しかし、権威のある人物が「理論上はあり得る」と言うだけで一般の方は信じてしまいますし、「あのNPOはうさんくさい」といったネット上のうわさ話に対抗するのは至難の技です。NPO自体が「当団体は潔白です」と言ったところで、本人による証明には客観性が伴いません。</p><p>実際にあった事例ですが、あるNPOが銀行融資を申し込んだ際、銀行側がネット調査の過程で怪しい書き込みを見つけ、事実確認もないまま「お断り」で終わってしまったことがありました。融資の担当者はわざわざ「これは本当ですか？」なんて聞いてくれません。団体には反論のチャンスすら与えられません。</p><p>これはあまりに理不尽で悔しいことです。だからこそ、私たちのような第三者が支援者や銀行、企業に成り代わって、あえて「耳の痛い話」まで含めて徹底的に調査を行います。そういった事実確認の上で「チェック済み」というお墨付きを出すことができれば、それが健全な団体をフェイクニュースや誹謗中傷から守る「盾」になります。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_5.jpg">2024年JCNEが実施した「NPOの信頼性に関する3,000名の意識調査」。およそ5人に1人しか『NPOを信頼していない』ことが分かった。画像提供：公益財団法人 日本非営利組織評価センター</div><h2 id="tnf-text-heading-block_08475300bab38d3aa3c7d1d5890c81e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「グッドギビングマーク」は支援者を守り、健全な団体を支える「盾」</h2><p>――不当な攻撃から団体を守る「盾」という発想は、今の時代非常に重要ですね。その具体的な仕組みとしてスタートした「グッドギビングマーク制度」について教えてください。</p><p>佐藤：ひと言で言えば、NPOが適切なガバナンスを行っていることを専門の評価員が客観的に証明する「信頼の証」です。最大の特徴は、これまで私たちが取り組んできた「NPOの信頼性向上」という目的に加え、「支援者保護」を明確な目的に掲げている点にあります。</p><p>金融業界には、一般の預金者や投資家がプロにだまされないための「預金者保護」「投資家保護」という厳しいルールがあります。対して、寄付の世界ではこうした概念が希薄でした。</p><p>善意でお金や時間を差し出している支援者が、もし不適切な運営によって裏切られたとしたら、金銭的にも心理的にも大きなショックを受けます。そこで専門知識を持たない一般の方に代わって、第三者機関であるJCNEが事前に「身体検査（KYC）」を済ませておこう、という発想です。</p><p>――具体的には、どのような基準で審査されているのでしょうか？</p><p>佐藤：大きく5つのカテゴリー、14の基準で審査します。例えば「団体確認・ガバナンス」では、理事会が形骸化せず適切に機能しているか。「コンプライアンス」では、不正経理やハラスメント対策、そして特に企業や行政が重視する「反社会的勢力との断絶」ができているか。「資金管理・情報公開」では、寄付金の使途が透明で適切に管理されているか、といった点を確認します。</p><p>これは「素晴らしい団体を表彰する」性質のものではありません。他者の資金を預かる組織として「当たり前のことが当たり前にできているか」を証明する、いわば組織の健康診断のようなものです。マイナス要素を持つ団体を排除し、安心を担保するための「フィルター」だと考えてください。</p><p>――「グッドギビングマーク」を取得することで、どのようなメリットがありますか。</p><p>佐藤：まず、企業や助成団体にとっては、独自の審査コストを大幅に削減できるメリットがあります。というのも、制度設計の段階で企業500社へのアンケートや膨大な助成申請書を分析し、各社・助成団体が共通して確認している項目を抽出しました。その結果、基礎的な団体審査を一括代行できる仕組みが完成しました。</p><p>現在、このマークを審査に活用している助成プログラムの年間総額は614億円に達しており、いわば信用調査のシェアリングサービスのような機能を果たしています。実際に認証を受けたNPOからも、「自ら潔白を証明するのは難しかったが、第三者がやってくれるのでありがたい」という声をいただいています。</p><p>団体側にとっては、客観的な評価基準によって信頼性を示せることが大きなメリットです。そして一般の寄付者やボランティアの方にとっても、「この団体は第三者のチェックを受けている」という安心感が得られます。支援先を選ぶときの判断材料になりますし、「寄付をしたいけどなんとなく不安」とためらっていた方の背中を押すことにもつながります。</p><p>――この制度が広く定着した先に、佐藤さんはどのような社会の姿を描いていますか。</p><p>佐藤：同じ基準で全ジャンル、全地域の団体を評価することで、NPOの中でも「相場観の醸成」ができると考えています。</p><p>例えば、「人件費の割合は何パーセントが妥当」といった正解は基本的にありません。ただ、さまざまな団体のデータを蓄積して見せることで、寄付者や助成団体、企業といった支援する側が、自分なりの考えや判断の尺度を持つことができるようになります。その助けになる役割を果たしたいんです。</p><p>NPOにとっても、「人件費が高過ぎるのではないか」などの疑問を投げかけられたとき、類似団体との比較データを見せることができれば、根拠を持って説明できます。これによって、NPOが政府や企業と対等に渡り合える土壌が整いますし、政策提言もしやすくなります。</p><p>今は「マークを取得している団体が目立つ」状態ですが、いずれは「取っていない団体がおかしい」と思われるレベルまで逆転させたい。そのためにはまず、企業や助成団体の方に「マークの有無を確認してください」と働きかけ続けています。</p><p>最終的な目標は、信頼情報の公開が当然の義務となる社会へと進化させていくこと。NPOを単なる「善意の集まり」から、現場、政策、市民をつないで「次の公共」を設計する社会変革のインフラへと変えていく、それがJCNEのミッションだと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_6.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_759c19525d18a2f9169c3e121eb8c09e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して支援できる社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>社会課題に取り組むNPOを安心して支援できる社会にするために、私たち一人一人にできるアクションを佐藤さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a3bda46ff53b263bf2a351cb54dd284d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］少額でいいので、寄付を体験してみる</h2><p>寄付は「社会のために何かしたい」という善意によって行われるもの。自分にお金が返ってこない行為を人はなかなか選ばないかもしれない。だからこそ、まずは少額でいいので実際に寄付をしてみること。それによって自分の心がどう動いたか、寄付した団体からどのような反響があるかを実体験することが寄付文化をつくる最初の一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_65f857f4862ad18114c6e03922103065" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］支援の現場でボランティアやインターン体験をする</h2><p>世の中には膨大な社会課題があり、一人の力は無力であるように思えることも多い。しかしボランティアなどで実際の支援現場に足を運んでみると、社会課題のリアルを肌で感じることができるほか、「自分にできる等身大の支援」がうっすらと見えてくるはず。この「私にもできる」という感覚を多くの市民が持つことが、社会を変える力になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6fb6602ae59914d56fe5000f2394d1e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］支援団体に「なぜグッドギビングマークを取らないのですか？」と問いかける</h2><p>支援者からの問いかけによって、NPO側には「ガバナンスをきちんと整えなければ……」と意識変革を促す良いプレッシャーが生まれる。支援者からのこういった問いかけが増えることで、信頼情報の公開がNPOにとって「当然の義務」である、という世の意識が醸成され、より安心して支援ができるインフラが整っていく</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/JCNE_7.jpg">NPOを安心して支援できる社会づくりのヒントについて教えてくれた佐藤さん<div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材を通じて、佐藤さんが繰り返し強調されていたのは「文化は変えられる」という言葉でした。</p><p>「150年前まで日本人は牛肉を食べていなかったけれど、今では当たり前に食べています。星取り表の×を○に変えていけば、寄付の文化も必ず根づくはず」。その言葉から、NPOの信頼向上に腰を据えて取り組もうという強い信念が伝わってきました。</p><p>もし、疑念によってせき止められていた「善意の水」が、社会の隅々まで流れ、NPOが「潔白の証明」という重荷から解放されたら？　彼らの本来の役割である「まだ出会っていない不特定多数」を救うための仕組みづくりが加速していく、そんな未来が見てみたいと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e0f280287730a81aa251f31dd6d74160" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">佐藤大吾（さとう・だいご）</h2><p>佐藤大吾（さとう・だいご）</p><p>1973年大阪生まれ。大阪大学在学中に起業、その後中退。1998年、NPO法人ドットジェイピーを設立。大学生を対象に、議員事務所・大使館・NPO等でのインターンシッププログラムを全国で展開。これまでに5万人が参加し、約250人が議員に就任するなど、社会的リーダーを多数輩出。2010年、英国発の世界最大の寄付サイト「JustGiving」を日本に誘致し、日本代表に就任。国内最大規模の寄付プラットフォームへと成長させる。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部教授、大阪芸術大学客員教授、公益財団法人日本非営利組織評価センター理事長、NPO法人ドットジェイピー 理事長、一般社団法人42Tokyo副理事長兼事務局長など兼任。</p><p><a href="https://goodgiving.jcne.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">グッドギビングマーク制度 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Wed, 25 Feb 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「私がいなくなったら、この子はどうなる？」病気や障害、8050問題を抱える家族の不安に向き合う「親なきあと」相談室とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119434/disability</link>
      <pubDate>Tue, 24 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>病気や障害のある人の多くは親と同居しており、親は自分が亡くなった後の子どもの生活に不安を抱えながらも、その不安は多岐にわたるため、相談に踏み出しにくい</li><li>引きこもり状態の方は、福祉や医療につながっていないケースもあり、親が亡くなった後に社会とのつながりを失うリスクが高い</li><li>「親なきあと」問題は高齢化が進む日本社会全体の課題。全国どこでも同等の支援を受けられる体制が必要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>病気や障害のある人のうち、親と同居し、日常的に介助や支援を受けて生活している人がたくさんいます。そのため、親は、「将来自分がいなくなった後、この子はどうなるのか」という不安を抱えています。</p><p>しかし、住居の確保や金銭管理、身の回りの世話や医療へのアクセスなど、課題があまりに多岐にわたるため、どこに、何を相談すべきかが分からないまま時間だけが過ぎていく……という現状があるのも事実です。</p><p>こうした背景を受け、大分県で障害児・者や高齢者への支援を行う<a href="https://oitaswo.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人 大分県社会福祉事業団（外部リンク）</a>は、2017年から県内6カ所に「親なきあと」相談室を開設。家族だけでなく、本人の相談を受け止め、専門家と連携した支援を展開しています。</p><p>この取り組みは「おおいたモデル」と呼ばれ、日本財団と協働して全国に広げる活動も始まっています。</p><p>この記事の前半では、「親なきあと」相談室を運営する同事業団の久保田明義（くぼた・あきよし）常務理事、矢野和彦（やの・かずひこ）さん、後藤寛子（ごとう・ひろこ）さんの3人に、後半では日本財団の事業担当者である箕輪拓真（みのわ・たくま）さんに、「親なきあと」問題の実情と、社会全体や私たち一人一人が取り組むべき支援について話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00002.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00006-1024x576.jpg">「親なきあと」相談員を長年担当している後藤さん（左）、相談室の立ち上げに関わった久保田さん（真ん中）、「おおいたモデル」事業の総括コーディネーターを務める矢野さん<h2 id="tnf-text-heading-block_3864aa83306aac724e9bae10840cc102" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「親なきあと」問題は、親が元気なうちから始まっている</h2><p>前半では、大分県社会福祉事業団の久保田さん、矢野さん、後藤さんに、「親なきあと」問題の実情や、「親なきあと相談室」での活動について伺います。</p><p>――「親なきあと」問題とはどういうものか、概要を教えてください。</p><p>久保田さん（以下、敬称略）： 病気や障害のある方で、一人では金銭管理や意思決定ができなかったり、身の回りのことに介助が必要だったりする場合、日常的に支援をしてきた親を失った後に生活全般にわたる課題に直面してしまうことを指します。</p><p>この問題がなぜ深刻かというと、将来の不安を抱えながらも、具体的な備えに踏み出せない状況が少なくないからです。</p><p>その背景には、親が元気なうちに死後のことを考えるのは縁起が悪いと感じたり、身近な人に相談しづらかったりする事情があります。さらに、「住居」「福祉」「法律」「お金」「医療」など、悩みの分野が多岐にわたるため、どこから手をつけるべきかが分からず、必要な準備を先送りにしてしまうということがあります。</p><p>また、この問題は必ずしも「親が亡くなった後」に始まるわけではありません。親が高齢化したり、病気になったりして、これまで通りのサポートができなくなった時点で、すでに問題は顕在化していると言えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_b5855f23f0e4204f44390503b27bed04" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">親の死によって引き継がれにくくなる、ケアの情報</h2><p>――病気や障害のある方の親が亡くなった後、具体的にはどのような困り事が生じるのでしょうか。</p><p>久保田：1つは、情報の断絶です。例えば、意思表現や意思決定ができない方をケアしていた母親が急に亡くなったケースでは、通っている病院はどこか、どんな薬を飲んでいるのか、障害者手帳や通帳はどこにあるのか、といった本人の情報をほとんど把握できていません。</p><p>同居していない兄弟姉妹や親戚がいたとしても、そういった情報が分からなければ、本人の意思を尊重した支援ができなくなり、人生が望まない形に誘導されてしまう恐れがあります。</p><p>後藤さん（以下、敬称略）： そういった医療や財産に関わる大きな問題のほか、日々の暮らしの中で生じる困り事もあります。</p><p>例えば、福祉作業所（※）に自転車で通っている障害のある子どもに対し、雨の日は母親が車で迎えに行き、自転車を積んで帰るという習慣を続けている家庭があります。</p><p>しかし、母親も高齢になり、「この先、車の運転ができなくなったらどうすればいいのだろう」と不安を抱えながら、具体的な解決策が分からないという相談もあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_cea4b19419964806122874cd965b01ea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「福祉作業所」とは、障害者の就労支援のための施設の1つ</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00010-1-1024x483.jpg">障害のある子どもの将来に向けて、支援者に知ってほしいことをまとめるノート「わが子の記録」の表紙（左）。医療情報（真ん中）・生活スタイル（左）。そのほか福祉関係情報などを記載できる。画像提供：社会福祉法人大分県社会福祉事業団<h2 id="tnf-text-heading-block_f27d3f1f89c2de0f2c19318f5ca1d0f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「親なきあと」問題は引きこもり状態の家族がいる家庭も抱えている</h2><p>――病気や障害のある方とその親のほかに、「親なきあと」問題の影響を受ける人はいますか。</p><p>後藤：兄弟姉妹といった、いわゆる「きょうだい児（※）」が抱える負担も存在します。「親がいなくなったら、次は兄弟姉妹がケアを担う」という前提で、親や親戚、福祉の支援者が接してしまうことがあります。</p><p>しかし、兄弟姉妹にも自分の仕事や結婚、育児といった人生があるため、親と同じようにケアを担えるわけではありません。離れて暮らしている場合はなおさらです。</p><p>親は「いつか頼まなければ」と思いながらも切り出せず、兄弟姉妹はプレッシャーを感じながらも本音を言えない。そういう重圧が、家族のコミュニケーションを難しくさせてしまうんです。</p><p>矢野さん（以下、敬称略）：引きこもり状態の家族がいる方も「親なきあと」問題を抱えています。</p><p>引きこもり状態の場合は福祉サービスとのつながりがなかったり、医療機関にもかかっていなかったりするケースもあるため、社会から見えない存在になりやすいんです。親が元気なうちは生活が成り立っていても、親がいなくなった途端に本人は社会とつながる術を失ってしまうリスクがとても高いと言えます。</p><p>――こうした「親なきあと」問題の深刻さに気づき、相談室をつくろうと思ったきっかけを教えてください。</p><p>久保田：2015年度に当法人が行った調査の中で、障害者の家族会の方々から「高齢になったときに（子どもの）その後のことが心配だ」「気軽に相談できる場所がほしい」という声を数多く聞きました。</p><p>ただ、私たちは福祉を専門としており、お金や法律の問題には対応できません。そこで、いち早く「親なきあと」問題に着目し、東京で「親なきあと」相談室を立ち上げていた行政書士の渡部伸（わたなべ・しん）さんに相談してみることにしました。</p><p>その時、「悩みを解決する道筋が分かるだけでも安心する方が多い」「相談室は、具体的な解決をするよりも、適切な専門家につなぐことが大切」と教えていただいたんです。こうした方針をもとに、2017年1月に「親なきあと」相談室を開設しました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>後藤：私たちの相談室では「親なきあと」問題に関する研修を受けた「親なきあと」相談員が、家族の漠然とした不安を受け止め、必要に応じて専門家につないでいます。</p><p>大切にしているのは、解決を急がない、こちらが決定権を持たないという姿勢です。まずはお話を聞いて、「ここでちゃんと話を聞いてもらえた」という安心感を持っていただくことを重視しています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00007-683x1024.jpg"></div></div><div id="tnf-text-notes-block_208f053a9cfbef397500d26f889c835f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「きょうだい児」とは、障害者を兄弟・姉妹に持つ子どものこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_684535b2049f385d220e651d7ff98783" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不安を受け止め、適切な専門家へとつなぐ「おおいたモデル」</h2><p>――相談室の利用者や、寄せられている相談内容についてお聞かせください。</p><p>後藤：開設後から2025年度までの相談実績は251件で、相談対象となる方は20代から70代まで幅広い年代です。相談室を訪れるのは50代から80代の保護者が中心ですが、相談対象者の配偶者やきょうだい、親戚のほか、ご本人からのご相談もあります。県内在住者が主ですが、中には県外からインターネットで調べてお問い合わせいただくケースもあります。</p><p>お悩みの内容は、遺言書の作成や成年後見制度（※1）、年金の申請、相続など多岐にわたります。</p><p>ただ、「成年後見制度を利用したい」という具体的な目的があるというよりも、「成年後見制度って実際どうなのか話を聞いてみたい」「前に相談した社労士さんとは相性が合わなかったけれど、障害年金を申請したいと考えている」というように、気持ちや考えの整理を求めている方が多いと感じます。</p><p>――行政や専門家と連携して支援をする「おおいたモデル」の特徴や強みについて教えてください。</p><p>矢野：「おおいたモデル」の特徴は、私たちのような地域に根差した社会福祉法人が相談窓口となり、障害福祉（※2）に理解のある弁護士や司法書士、社会保険労務士、税理士などの専門家へと適切につなげていく仕組みにあります。</p><p>そして、こうした連携を一部の担当者にとどめず、養成を通じて地域内の相談員を増やし、法人内だけでなく地域全体へと広げている点が強みです。養成研修では、福祉の知識だけでなく、法律やお金の基礎知識についても学べるよう、さまざまな専門家の方に講師として関わっていただいています。</p><p>社会福祉協議会（※3）や相談支援事業所、行政の窓口担当者にも研修を受けていただき、地域として同じ視点で支援ができる体制づくりを進めています。</p><p>――専門家と連携し、相談員を養成することで、地域にはどのような変化が生まれていますか。</p><p>久保田：専門家の方々とは毎年欠かさず連携会議を行っています。年数を重ねる中で「親なきあと」問題全体に対して、それぞれの立場から主体的に意見を出してくださるようになっています。互いの立場や専門性への理解を深めることで、社会課題に向き合う意識や対応の質が高まっていると感じます。</p><p>矢野：こうした関係性を土台に、相談員と専門家が横につながり、専門性を高め合いながら、ご利用者に安心をお届けする。</p><p>大分県内にある6カ所の相談室を中核に、地域の相談員、そして専門家へとつながる重層的な体制が「おおいたモデル」の強みです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00001-1024x576.jpg">「親なきあと」相談室の連携図。画像提供：社会福祉法人大分県社会福祉事業団<div id="tnf-text-notes-block_cef73f98d09b73d145697fd2e409c127" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「成年後見制度」とは、認知症、知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人（「後見人」等）を選ぶことで、本人を法律的に支援する制度のこと※2「障害福祉」とは、障害のある方が自らの望む生活を営むことができるように支援すること※3.「社会福祉協議会」とは、民間の社会福祉活動を推進することを目的とした営利を目的としない民間組織</div><h2 id="tnf-text-heading-block_14f1deac0fe2c370dec2995fca889a8b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">早い段階から日常の中で相談できる、地域に浸透した相談室</h2><p>――今後、「親なきあと」相談室をどのような形で発展させていきたいとお考えですか。</p><p>久保田：親が元気なうちから、気軽に足を運べる場所として、より多くの方に知っていただきたいです。</p><p>将来的には、病気や障害のある家族、引きこもり状態の家族を持つ方などが、日常の小さな困り事を気軽に相談でき、地域とつながるきっかけになる場所になれればと考えています。</p><p>矢野：それを実現するには、地域への浸透が欠かせません。</p><p>人はどうしても目の前の自分のやるべきことで精一杯になり、他人のことまで考える余裕を失いがちです。しかし、こうした問題を「我が事として考える」瞬間を増やしていくことが、「お互いさま」で助け合える社会の土台になるのではないでしょうか。</p><p>「親なきあと」相談室の存在が広く知られることで、困っている人に「あそこに相談してみたら」と声をかける、そんな小さなおせっかいが自然に生まれやすくなります。</p><p>後藤： そのためには、地域の中に相談員を増やし、身近な場所で気軽に話せる環境を整えていくことが必要です。大きな問題を抱えてから訪れるのではなく、日常の小さな不安から解消していける場所がいくつもあることが、本当の意味での安心につながるのではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_22a10c0b2b8e601d8fb289d41c552251" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">当事者としての実感から見えた、包括的な支援の必要性</h2><p>日本財団では、2025年度から<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/%20after-parental-support" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「親なきあと」サポートプロジェクト（外部リンク）</a>を立ち上げ、「おおいたモデル」の「親なきあと」相談室の全国普及と制度化を目指す同事業団を支援しています。後半では、同プロジェクトを担当する日本財団の箕輪さんに、全国展開の意義と今後の展望について伺います。</p><p>――日本財団が「親なきあと」サポートプロジェクトに取り組む背景を教えてください。</p><p>箕輪さん（以下、敬称略）： 日本財団が実施した全国調査では、障害者の家族のうち85.5パーセントが「親なきあと」の不安を感じていることが分かりました。一方で「親なきあとの準備ができずにいる」という人が4割程度いました。</p><p>また、「準備している」と回答した人でも、準備内容としては資金面（預貯金、生命保険等）が最も多く、住まい、「わが子の記録」のようなノートの作成、遺言書の作成といった障害者の「親なきあと」の生活に関する準備ができているという人は少ない結果となりました。</p><p>この背景には、日本の福祉制度が障害者本人へのサービス提供を中心としており、親が高齢化したり亡くなったりした場合の準備を含む、家族への支援が限定的であるという課題があります。</p><p>実は私自身も「親なきあと」問題の当事者です。重度知的障害のある妹がいて、親が日常的なケアを担ってきたのですが、ある日、突然倒れたことがあって。親からは「申し訳ないけど……もし、何かあったらあとは頼むね。」と言われたものの、妹の障害者手帳の保管場所はおろか、どこの、どんな障害福祉サービスを利用しているのかさえも分かりませんでした。</p><p>障害福祉サービスのことなら自治体の障害福祉課に行けば何とかなるかもしれませんが、親が亡くなってしまった場合の相続手続き、保険手続きやライフプランニング、金銭管理といった福祉領域以外の相談はどこに行けばいいのか。いろいろと考えを巡らせる中で強い不安を感じるとともに、ワンストップで包括的に相談できる場所の必要性を痛感しました。</p><p>そうした時、渡部伸さんや大分県社会福祉事業団が運営する「親なきあと」相談室を知りました。とりわけ、私が「おおいたモデル」に着目したのは、地元に根差した社会福祉法人が県内広域で相談室を運営し、障害者支援に理解のある士業の専門家とも連携しているところです。</p><p>地域に信頼されながら、支援のハブとなっている点が素晴らしいと感じ、この体制を全国に広げる必要があると考えたのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00005-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_57fff3897657c41c7fb1f15ea609b9eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">全国に広がる「親なきあと」相談室。国による制度化を目指して</h2><p>――全国展開に向けて、プロジェクトではどのようなことに取り組んでいますか。</p><p>箕輪：まずは、この「おおいたモデル」を全国10カ所に広げることを目指しています。</p><p>具体的には、大分県社会福祉事業団が実施する相談員の養成講座・テキストの開発、広報、ネットワーキングに対して助成支援を行い、各地域で相談室を立ち上げる準備を進めています。目下の課題は持続可能性です。</p><p>全国には、士業やライフプランナーなどの専門家が、ボランティアで「親なきあと」相談を受け付けている事例もありますが、無報酬での支援には限界があります。どの地域でも均一な支援を届けられるよう、国の制度化を目指すのが最終的な目標です。</p><p>そのために、まずモデル地域で有効性を示し、その成果をもって「家族を支える仕組みが必要だ」と提言していく予定です。</p><p>制度化を実現するためには、この取り組みに共感し、一緒に運営してくれる自治体や団体を増やしていく必要があります。市の障害福祉課内に「親なきあと」相談室を設置した栃木県宇都宮市、業務委託で「親なきあと」相談を実施している大阪府八尾市など、ニーズの高まりを感じる動きも出てきているので、今後も働きかけを続けていきます。</p><p>他にも、「わが子の記録」のような素晴らしいノートをベースに、親が持つ貴重な支援・療育情報を「親なきあと」の次の支援者へ引き継ぎ、更には支援者間での情報共有・連携を可能にするプラットフォーム（アプリケーション）の開発と公的サービスとしての導入を目指しています。</p><p>また、当財団の調査で重度知的障害者の家族が「親なきあと」の住まいに関する支援の充実を求めているということも明らかになりました。</p><p>全国の入所施設やグループホームの待機者が2万2,000人以上いることを踏まえると、重度障害者でも入居可能なグループホーム、共生型、循環型（移行型）、重度訪問介護を活用した一人暮らし、シェアハウスなど地域に多様な選択肢がある状態をつくることが急務であると考え、この課題についても積極的に取り組んでいきたいと考えています。</p><p>――「親なきあと」相談室を全国に広げていく上で、どのような社会を目指しているのでしょうか。</p><p>箕輪：まずは障害のある方の家族への支援（家族ケア）として制度を確立する。将来的には、引きこもり状態の方をはじめ、生きづらさを抱える全ての方が利用できる仕組みに発展させたいと考えています。</p><p>福祉制度につながっていない方々の中には、「もう少し早く支援につながっていれば・・・」というケースも少なくありません。そういった方々にも手を伸ばしていけるようにしていきたいんです。</p><p>現在、「親なきあと」相談室を必要としているのは、障害のある方の家族が中心かもしれません。しかし、高齢の親が、障害の有無を問わず子どもの生活を支え続ける状況は珍しくなく、「8050問題（※1）」「老障介護（※2）」といった社会課題も広がっています。</p><p>この「親なきあと」問題は特定の家庭に限られたものではなく、社会全体が取り組むべき課題だと言えます。将来的には困ったときに誰もが利用できる場所になっていくことを目指していきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00008-1024x577.png">日本財団では2025年に、障害がある18歳以上の子供または兄弟がいる家族を対象に「親なきあと」に関する全国調査を行った。障害者の「親なきあと」について、多くの家族が不安を抱える一方、必要な資金や制度の選択肢が分からず、準備に踏み出せていない実態が明らかとなった。画像出典：日本財団「障害者の『親なきあと』に関する意識・実態調査」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/oya00009-1024x577.png"><div id="tnf-text-notes-block_9184a5b9f19a87d404b60c97123e33b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「8050問題」とは、80代の高齢の親と50代の未婚の子どもが同居する中で抱えている生活問題※2.「老障介護」とは、高齢の親が障害のある子どもの介護をし続けること</div><h2 id="tnf-text-heading-block_738b264ee4d7e2723b78dc29f89d349f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">病気や障害のある方の「親なきあと」を支える社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>「親なきあと」問題を社会全体で支えるため、私たち一人一人に何ができるのかについて、久保田さん、矢野さん、後藤さん、箕輪さんに3つのアドバイスを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ed9a708f2725314ce7e9a86b7e4ae534" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］できる範囲で、地域につながりを育てる</h2><p>「親なきあと」問題を抱える家族は、周囲に悩みを話せず孤立しがちな傾向にある。何気ない挨拶やちょっとした立ち話など、自分のできる範囲で小さな関わりを積み重ねることが、地域にささやかなつながりを育て、当事者家族が抱える不安や悩みを見えやすくする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_21d91fbbf8b6baff06668fc751b25773" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「少しのおせっかい」を恐れず、情報を伝える勇気を持つ</h2><p>相談の仕組みは、必要な人に届いて初めて意味を成すもの。困り事を抱えている人がいたら、少しおせっかいに思われるかも……という不安を乗り越えて、「こんな相談先があるらしい」とそっと伝えるだけでも、課題解決につながる一歩になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ee1e893e255420e7fc04735e38e26ebf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「自分には関係ない」ではなく、社会全体の課題として受け止める</h2><p>「8050問題」をはじめ、「親なきあと」問題の当事者は、病気や障害のある家族を持つ方に限らない社会全体の課題。「自分には関係ない」と線を引くのではなく、困ったときに支え合える仕組みを地域で育てていくことが、誰もが安心して暮らせる社会につながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>病気や障害のある家族のケアを担っていた親が亡くなったときに必要となる手続きや、引き継ぎすべき情報などが想像以上に多いと知ったことをきっかけに、大分県社会福祉事業団に取材しました。</p><p>障害の有無にかかわらず、制度の狭間におかれ、医療や福祉につながれないまま課題を抱え込んでいる人は社会のあちこちに存在しています。そうした複雑な悩みに対して、複数の領域を横断して相談できる「親なきあと」相談室は困り事を抱える人が最初に立ち寄れる「入口」として機能し始めています。</p><p>専門的な支援につながる仕組みを整えることに加え、私たち一人一人が身近な人とのつながりを育むこともまた、孤立を防ぎ、安心して暮らせる環境をつくる一助になるのだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>聴覚障害者の日常に潜むさまざまなリスク。アプリやAIでは代替できない聴導犬の仕事とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119394/disability</link>
      <pubDate>Thu, 19 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>聴導犬は聴覚に障害のある人に「音の情報」を伝え、日常生活や安全をサポートする存在</li><li>聴導犬の認知度は低く、活動頭数も2025年10月時点で52頭と不足している</li><li>「聞こえる」ことを社会全体が意識し、無意識に得ている音の情報の多さを知ることが理解への第一歩</li></ul><p></p><p>「聴導犬（ちょうどうけん）」をご存知でしょうか。聴導犬は、聴覚に障害のある方の生活を支える大切なパートナー。目覚まし時計の音や赤ちゃんの泣き声など日常生活の音から、火災報知器や車のクラクションといった命と安全に関わる音まで、さまざまな音をユーザーに伝え、自立した生活を可能にする役割を担っています。</p><p>しかし、全国で活動している聴導犬は、2025年10月時点でわずか52頭。利用を必要とする潜在的なユーザー数に対して、追いついていないのが現状です。</p><p>その背景には、いくつもの課題が重なっています。聴導犬の育成には多額の費用がかかり、財源の多くを寄付に頼っていますが、認知度の低さから支援の輪が広がりにくい状況にあります。加えて、訓練士や育成に携わる人材も不足しており、聴導犬という仕組み自体がほとんど知られていないのが現状です。</p><p>今回は、<a href="https://www.hearingdogjp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴導犬推進協会（外部リンク）</a>の水越みゆき（みずこし・みゆき）さんに、聴導犬を取り巻く現状や課題、そして支援の輪を広げていくために何ができるのかについて話を聞きました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00003-1.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_1f8be44977e02c4e17b51f5823ca2940" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/103443/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">視覚障害者の生活を支える盲導犬。ボランティア不足解消が喫緊の課題（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9da9be7d1210ad4753be707d52ff7c2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「空間」を把握し、命を守る。アプリでは代替できない聴導犬の仕事</h2><p>――聴導犬の役割について具体的に教えてください。</p><p>水越さん（以下、敬称略）：聴導犬の仕事は、日常生活で発生する音に含まれる情報を伝えることです。例えば、「お客様が来た」「冷蔵庫の扉が開いたままになっている」「洗濯が終わった」「赤ちゃんが泣いている」といった音です。</p><p>私たちの生活は、大半が音をきっかけに情報を得る仕組みになっています。緊急時も同様で、火災報知器や緊急地震速報、救急車や消防車など、まず音によって危険が伝えられます。</p><p>聴覚に障害がある人は、生活の中で起きていることを音で知ることはできません。その情報を伝え、生活をサポートするのが聴導犬の役割です。</p><p>――聴導犬は自分のパートナーが「聞こえない」ということを理解しているのでしょうか。</p><p>水越：はい、理解しています。私たちは、聴導犬自身が「この人は音が聞こえない。だから自分が伝えるんだ」という意義を持って動けるよう、訓練しています。</p><p>ひと言で聴覚障害といっても、聞こえ方や生活環境は一人一人異なり、知らせてほしい音も違います。そのため、育成過程では、それぞれのユーザーに合わせて、人の動きや行動、何をしようとしているのかといった意図をくみ取りながら、どの音をどのように伝えるのかを教えていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00001.jpg">聴導犬は日常の中にあるさまざまな音の情報を知らせてくれる。画像提供：公益社団法人日本聴導犬推進協会<p>――「知らせてほしい音」は、どのように決めているのでしょうか。</p><p>水越：基本的には、ユーザーと相談しながら決めていきます。生活環境が変わることで、後から追加されることもあります。 分かりやすい例では、緊急地震速報があります。東日本大震災をきっかけに広く使われるようになった音ですが、こうした新しい音についても、その都度、聴導犬に追加で教えていきます。</p><p>――一般的に、犬は吠えて何かを知らせるイメージがありますが、聴導犬の場合はどのように音の情報を伝えているのでしょうか。</p><p>水越：私たちの協会では、体を触ってから音源に連れていく方法や、「頭の向き」で音の方向を伝えるように訓練しています。例えば、外出中に後ろから何か情報があれば後ろを向きますし、右を向いていれば、右側から音の情報があるといった具合です。</p><p>――最近ではアプリやAIなど技術も進んでいますが、聴導犬ならではの役割はあるのでしょうか。</p><p>水越：実は何年か前に、聴覚障害者のためのアプリを開発したいという企業のお手伝いをさせていただいたことがあります。ただ、話を進めていく中で、最終的には「これは難しいよね」という結論になりました。</p><p>最も大きな理由は、聴導犬は「空間」を把握できるという点です。</p><p>例えば、「この範囲で鳴っている音は知らせるけれど、隣の部屋の音は知らせない」といった判断ができるんです。ホテルに宿泊するときも、「今日はここで過ごすからね」と打ち合わせをすることで、その空間の中で起きる音だけを拾って知らせてくれます。</p><p>こうした空間認識や状況判断は、現在の技術では機械に置き換えることが困難です。</p><p>また、聴導犬はユーザーにとって、精神的な支柱となるパートナーでもあります。この安心感は機械では代えがたいものでしょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32d8e705e60c5c0006600d3a9dc9ddef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">想像しづらい「聞こえない」暮らし。パートナーとして信頼関係を築くまで</h2><p>――聴覚に障害がある方は、外見からは「聞こえない」ことが分からないので、周囲とのコミュニケーションですれ違いが起きてしまうことが多いと聞いたことがあります。</p><p>水越：コミュニケーションの問題は、本当に大きいですね。だからこそ、聴導犬と一緒に社会に出ることには、「『この人は聞こえない』ということを周囲に知ってもらえる」という意味もあると思っています。</p><p>「人工内耳や補聴器などで見分けられるのでは？」と思われるかもしれませんが、全ての方がそういった機器を使っているわけではありませんし、最近はワイヤレスイヤホンと見分けがつきにくくなっているのが現状です。</p><div id="tnf-text-notes-block_8a95d93cd7c4b86026af6e10d345bd8e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/102379/disability" target="_blank" rel="noopener">視覚障害者をナビゲートするロボット「AIスーツケース」ってどんなもの？（別タブで開く）</a></div><p>――ユーザー自身も、聴導犬と暮らすためには訓練が必要だと伺いました。</p><p>水越：はい。まずは、どのようなユーザーにも対応できるよう共通の基礎訓練を行いますが、ペアとなる方が決まれば、その方の実際の生活圏に合わせた「個別訓練」へと移ります。</p><p>具体的には、実際の生活の中で「どの音が必要で、どの音は聞き流してよいのか」を、犬に一つ一つ教え込みます。近場なら通い、遠方の場合は数日間泊まり込んで、このプロセスを何度も繰り返していくのです。</p><p>半年ほどかけて犬側の準備が整うと、いよいよユーザー自身も参加する訓練期間に入ります。聴導犬との接し方や、パートナーとなる犬の性格・癖を理解するのはもちろん、社会参加のための実践的なスキルも学びます。</p><p>例えば、日本ではまだ聴導犬への理解が十分とはいえないため、入店を断られた際の適切な説明方法なども、この訓練に含まれます。</p><p>単なるペットではなく耳の代わりを担う存在だからこそ、音の情報を正しく共有し、深い信頼関係を築かなければなりません。そのため、初めて聴導犬を迎える場合、全体で最低でも200時間という長い時間を要するのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/chodoken00004.jpg"><p>――たくさんの訓練期間を経て、パートナーになるのですね。</p><p>水越：その通りです。社会の一員として活動する以上、最低限のマナーを守ることはもちろん、周囲に配慮しながら聴導犬を適切に導く責任が伴います。</p><p>万が一、ユーザー自身の振る舞いによってトラブルが生じれば、それは個人の問題にとどまりません。聴導犬だけでなく、盲導犬や介助犬を含む補助犬全体に対して、「やはり働く犬を受け入れるのは難しいのではないか」といったネガティブな先入観を植え付けてしまう恐れがあるからです。</p><p>また、パートナーとして一頭の命を預かる重みや、犬の安全を第一に守るという強い意識も欠かせません。だからこそ私たちは、聴導犬を希望される方に対して「それだけの覚悟があるか」という問いを、時間をかけて何度も確認します。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a134c6e0edd54533a2eeef75b3b8c6f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人生が変わったユーザーも。それでも普及が進まない現状と課題</h2><p>――実際に聴導犬と生活している方からは、どんな声が寄せられていますか。</p><p>水越：よく言われるのは「人生が180度変わった」ということです。それまで、情報は自分から取りにいかなければ入ってこなかったのが、聴導犬が音を知らせてくれるようになる。それだけでも暮らしの質が変わります。</p><p>また、聴導犬を連れていることで、はじめから「耳が聞こえない人」と認識してもらえるようになったという方もいます。人に会うたびに毎回「私は耳が聞こえません」と説明しなければならなかったことを考えると、大きな変化ですよね。</p><p>街中で注目されやすくなったことで、「身だしなみに気を遣うようになった」と話す方もいらっしゃいました。</p><p>――それほど大きな変化があるにもかかわらず、現在、聴導犬として活動しているのは全国で52頭（2025年10月時点）と伺いました。なぜ、これほど少ないのでしょうか。</p><p>水越：まず、聴覚障害自体が情報へのアクセスが困難な「情報障害」であるため、聴導犬に関する正しい情報にたどり着きにくいという現状があります。</p><p>もう1つは、生まれつき耳が聞こえない方の場合、「音」というものを体験していないため、音によって情報が伝えられているという仕組み自体をイメージしにくいことです。その結果、聴導犬の必要性を感じにくい方もいらっしゃいます。</p><p>――その他、聴導犬に関わる課題があれば教えてください。</p><p>水越：聴導犬の育成そのものに対する国の補助金や公的な助成制度がなく、基本的には寄付によって支えられています。一部、普及活動を目的とした助成金を活用することもありますが、決して十分とはいえません。</p><p>聴導犬はまだまだ知られていない存在です。そのため、育成と並行して、聴導犬の役割や必要性を知ってもらうための普及活動にも力を入れています。</p><p>聴導犬と暮らしたいと考えながら、待っている方も多くいらっしゃいますが、認知度が低いために資金が十分に集まらないことに加え、育成に関わる人材を増やすための資金や、教育にかかる時間の問題など、いくつもの課題が重なって、追いついていないのが現状です。</p><p>だからこそ、まずは聴導犬の存在を知っていただくこと、そして「耳が聞こえない」とはどういうことなのかを理解していただくことが大切だと感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5d8e04b046970c3d5ebf79d541c5358b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">聴導犬の存在を知り、聴覚障害についてより深く理解するために、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に、聴導犬の存在を知り、聴覚障害についてより深く理解するために、私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ef4e9dee12362a4809cf5365e061d4b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「聴導犬」の情報を共有する</h2><p>最も取り組みやすい支援は、聴導犬の存在を誰かに話すこと。 聴導犬の認知度は盲導犬に比べて低いため、「聴導犬っていう犬がいるって知ってた？」と誰かに聞くだけでも、その言葉を知る人が1人増えることになり、立派な普及活動になる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9f6d4a7057c3cd4b3c1d1f876050d932" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「今、聞こえる音」を意識してみる</h2><p>まずは1分間、自分が今「音を聞いている」という事実に意識を集中させてみる。普段はいかに膨大な音の情報に囲まれ、守られて生きているかに驚くはず。無意識に得ている音の一つ一つを自覚することが、「聞こえない日常」への深い理解、そして聴導犬という存在の必要性を知る第一歩になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>福祉機器の展示会で聴導犬に関する講演に参加する機会があり、「なぜ、認知度が低いのだろう？」と疑問が浮かび、今回、取材に至りました。</p><p>私たちは無意識のうちに、膨大な音の情報に守られて生きています。もし火災報知器の音が聞こえなかったら。もし後ろから走ってくる車の音に気づけなかったら。水越さんのお話を通じて、当たり前だと思っていた日常が、聴覚障害のある方にとっては常に危険と隣り合わせであることを痛感しました。</p><p>聴導犬を育成するには、多くの時間と費用、そして人手が必要です。まずはその存在を知り、「聞こえない」暮らしを理解することが、社会を少しずつ変えていく一歩になると感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.hearingdogjp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴導犬推進協会 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>いまも被災者・ご遺族の思いに応え、家族の「生きた証し」を守り続ける。「思い出の品」を持ち主の元へ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119292/disaster</link>
      <pubDate>Tue, 17 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>東日本大震災による津波で流され持ち主が分からなくなった｢思い出の品｣（写真や物品）は、発災直後から現在も返却活動が続けられている</li><li>保管場所の維持や活動資金不足で現場は厳しい状況にある一方、自身や家族の思い出の品を探し、また受け取る心の準備に時間を要する人も多い</li><li>返却期限を設けず、被災者一人一人の心のタイミングに寄り添う長期的な支援が必要</li></ul><p></p><p>2011年3月11日に発生した東日本大震災。その津波によって流された写真や位牌、卒業証書などの「思い出の品」は、ボランティアや自治体などによって回収、保管され、持ち主への返却活動が続けられてきました。</p><p>しかし、震災から10年経った2021年3月に国の財政支援が終了。保管場所の確保や資金不足、担い手不足、劣化を防ぐ難しさなどから、やむを得ず処分する動きが広がっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>こうしたなか、「災害時に保管された思い出の写真や物品が、希望する全ての人に返却される社会の実現」を目指して、東日本大震災発災直後から活動を続けているのが、岩手県陸前高田市を拠点にする<a href="https://sanriku-archive.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人三陸アーカイブ減災センター（外部リンク）</a>です。</p><p>災害時の「思い出の品」が持ち主の元に戻らない背景には、「震災による心の傷が癒えていない」「亡くなった家族や友人のことや当時の状況を思い出すことが辛い」「被災地から離れて暮らし、訪問して探す時間が取れない」「量が多く探すのに時間がかかる」などといった、さまざまな事情があります。</p><p>今回は、同センターの代表である秋山真理（あきやま・まり）さんに、震災時の「思い出の品」の回収、保管、返却をはじめとする取り組みや、品物が持ち主に戻る意義、活動継続における課題などについて話を伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00001-723x1024.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00015-1024x684.jpg">岩手県陸前高田市竹駒町に設けられた常設返却会場には、今も多くの写真や物品が保管・展示されている。画像提供：三陸アーカイブ減災センター<p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/53861">連載【災害を風化させない】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_752300ddd495908048b8b3818cd4ecde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">発災後、砂にまみれ海水に濡れた写真をきれいにして返却する活動が、全国に広がる写真洗浄等の活動の原点に</h2><p>――まず、三陸アーカイブ減災センターの活動内容について教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：私たちは岩手県陸前高田市を拠点に、東日本大震災の津波で流された写真や物品、いわゆる「思い出の品」の返却活動を行っています。</p><p>この震災では推定20万枚から30万枚の写真が流出したとされており、そのうちのおおよそ7割から8割は返却が完了しました。現在は約7万4,000枚の写真やプリクラに加え、ご位牌、卒業証書などの賞状、母子手帳、へその緒、トロフィー・盾、祭祀道具、表札、掛け軸、生活用品、絵画、木像など、約2,400点の物品を保管している状態です。</p><p>――秋山さんがこの活動に携わるようになったきっかけを教えてください。</p><p>秋山：震災前、私は東京で防災コンサルタントをしていました。発災後、行政ボランティアとして岩手に入り、2011年のゴールデンウイークに最初に従事したのが、陸前高田市で開催された「思い出の品の返却会」だったんです。</p><p>小高い山の上にある気仙大工左官伝承館の駐車場で、海水に濡れたアルバムを乾かしながらお返しする。そこから陸前高田市の思い出の品の返却活動が始まりました。</p><p>その後、支援者や他の被災自治体などとのご縁を経て、復興支援や記録保存を目的として三陸アーカイブ減災センターを立ち上げました。現在は「思い出の品」の返却活動と全国の災害で被災した「写真」を救う活動を中心に取り組んでいます。</p><p>――東日本大震災以前もこういった活動は行われてきたのでしょうか。</p><p>秋山：自治体の「思い出の品」の回収・保管・返却は、東日本大震災から始まりました。環境省が、「災害廃棄物対策指針」において、いずれの災害においても、土砂やがれきなどにまぎれた「思い出の品」を「所有者等の個人にとって価値があると認められるもの（思い出の品）については、廃棄に回さず、自治体等で保管し、可能な限り所有者に引渡す」と位置付けたためです。</p><p>――返却活動は、具体的にどのような方法で行われているのでしょうか。</p><p>秋山：そもそもこの事業は、「早く返して、早く終えるべき」性質のものです。そのため単に待つだけではなく、さまざまな方法で返却を試みてきました。</p><p>まずは返却会の開催です。いつでも探しに来られる常設会場として、現在は陸前高田市の竹駒町に設置しています。そのほかにも、市内や近隣自治体の仮設住宅や災害公営住宅の集会所やコミュニティセンター、岩手県内陸の商業施設、また離れた場所で暮らす被災者のために、盛岡、仙台、東京などでも出張返却会を行ってきました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00006-1024x683.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00004-1024x683.jpg">2024年11月に盛岡で行われた出張返却会の様子。震災直後からしばらくは現物を閲覧できる返却会に始まり、いまではデジタル化した思い出の品をPCで、またオンラインでも閲覧ができる機会を設けてきた。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_908a7f61169447bba847796617a658fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日常生活で特別ではない閲覧機会やオンライン申請。返却への多角的な取り組み</h2><p>――返却会以外にも返却を進める方法はあるのでしょうか。</p><p>秋山：そうですね。震災直後は地元紙への写真の掲載や、市内の美容室・理容室、診療所などに「思い出の品」の一部を閲覧できるインデックスファイルの設置、広報紙として「陸前高田市 思い出の品通信」の毎月発行など、日常生活の中に思い出の品に触れる機会を増やしていきました。</p><p>「明日は探しに行こう」と、どきどきしながら明日の朝を迎えるといった心のハードルを超えることは被災者やご遺族の心に負荷をかけてしまうので、被災者やご遺族が、気負うことなくごく自然に思い出の品に触れることができる環境を整えることも重要です。</p><p>遠方の方にはインデックスファイルの貸し出しや、写真に写っている方のお名前やご年齢をデータベースにして、名前や生年、住んでいらした町名などから該当する写真をピックアップしてお見せして、「最初の1枚」にできるだけ早くたどり着くように工夫もしています。</p><p>――さまざまな方法でのアプローチを行っているのですね。</p><p>秋山：はい。2022年末からは、オンラインでの閲覧も始めました。ご本人確認等を経て許可制で写真を閲覧できる仕組みを取り入れることで、物理的な距離や時間の制約がある方でも探せる取組みも試験的に始めています。</p><p>「思い出の品」のうち、特に写真は、本来震災さえなければご家族以外の目に触れることはありませんでした。そのため、プライバシーへの配慮は特に重要視しています。申請時にいただいた氏名や住所を基に、ご本人確認も兼ねて、ご案内書類一式と、利用規約に同意いただくためのURLを記載した書類を郵送します。その後、SNSなどにアップしないなどといった利用規約への承諾を確認できた方にのみ、閲覧用のURLとパスワードを送付するという段階的な手順を踏んでいます。</p><p>また、探してもなかなかご家族やご自身の写真が見つからない方のために、また傷みがないきれいな写真をお渡しするために、発災前に撮影された入学・卒業時の写真や幼稚園等で撮影されたスナップ写真、陸前高田市の町並みやお祭りの動画等を収集して、提供する取り組み。加えて、陸前高田市の広報担当者が撮影した14万枚以上の写真から写真をピックアップし人物が写っている写真を閲覧できるようにするなど、思い出の品を「増やす」取組みにも力を入れてきました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00012-1024x686-1.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00013.jpg">物品のインデックスファイルの例。写真は複数枚ある「アルバム」から見つけやすい1枚を、また物品は、記名がある物品のリストのほか、細かい品目に分類され、「思い出の品」を探しやすいよう丁寧に整理されている。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_7c55647918b878f2ab438587c4b56ed0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「思い出の品」は家族の歴史であり、生きていた証し</h2><p>――「思い出の品」は、被災者にとってどのような意味を持つのでしょうか。</p><p>秋山：「思い出の品」の価値を決めるのは私たちではなく、持ち主ご本人とそのご家族。持ち主の手元に返るその日まで、思い出の品の一つひとつを大切にお預かりしています。例えば、たった1枚の診察券でも、ご家族やご遺族にとっては「その人が生きてきた証し」「唯一の遺品」になることもあります。</p><p>特に、ご遺体が見つかっていないご遺族にとって、「思い出の品」はご家族の大切な宝物で、ご家族の大切な記憶、歴史そのものです。被災して家の土台以外の全てを失った方にとって、思い出の品を取り戻した時、ほとんどの方はとても嬉しそうになさいます。</p><p>「津波から初めて戻ってきた縁起物」とおっしゃる方もいますが、何か一つでも戻ることで、被災者やご遺族の心にぽっかりと空いてしまった喪失感を埋め、前を向く力となり、心の回復に大きく寄与するのではないかと考えています。</p><p>――一方で、思い出と向き合うのがつらいという声もあるのではないでしょうか。</p><p>秋山：はい。それも難しい課題です。思い出の品を探す過程で、PTSDなど、当時の状況や深い悲しみ、また後悔などを呼び起こす引き金になることもあります。</p><p>ご本人も、日々気持ちや環境の変化もありますし、時間を要する方も数多くいらっしゃいます。思い出の品の報道に触れて「いつか心が落ち着いたら見に行きたい」とお電話をいただいたこともありますが、現在も継続した長期的な活動が求められています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00014-1024x576.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00008.jpg">「思い出の品」のオンライン閲覧申請者や、陸前高田市に縁のある人を対象とした意向調査（2022年〜2025年に実施）。10年以上の長期取り組みを望む方が8割を超え、また「期限を設けず活動を続けてほしい」と答えた人が半数以上を占めた。データ提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター<h2 id="tnf-text-heading-block_17209f956e7de626d6720d778727468b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「まだ受け取りたくなかった」――「思い出の品」と向き合い、再び経験する別れ</h2><p>――「思い出の品」の返却活動を続けていく上で、保管場所の確保や資金面など、直面する課題はありますか。</p><p>秋山：実は2017年に一度、国の予算が確保できなくなったことを理由に、陸前高田市から「思い出の品」の返却活動を終了するという決定が下されたことがあります。</p><p>これを受けて、新聞やテレビなどのメディアでは「今年が最後の返却機会になる」といった趣旨の報道が相次いで行われました。この「活動終了」の報道と、初めての東京等での返却会の開催がきっかけとなり、東京や仙台などでの出張返却会に多くのご遺族や陸前高田に縁のある方が訪れることになりました。</p><p>一方で、「思い出の品が見つかったことはうれしいけれど、まだ受け取りたくなかった」とおっしゃるご家族も複数いらっしゃいました。思い出の品を受け取ることは、お身内を亡くした厳しい現実を受け入れることにもなります。「まだどこかで生きていると信じていたい」——そうしたお気持ちを抱えるご家族はとても多くいらっしゃるものと思います。</p><p>そうしたご遺族の深い悲しみ、心の傷みに触れ、人の気持ち、内面の問題に「いつまでに見に来て欲しい」と終わりを告げる、期限を設けることの難しさを痛感しました。震災から15年を迎えるいま、本活動の一部に充てていた国からの補助金も今年度で終わります。被災者等の思いに応えるための寄付をお願いする活動は、これからが正念場になります。</p><p>――受け取る準備が整うまでに、長い時間が必要な方もいるのですね。</p><p>秋山：はい、「探したい」と思うタイミングは人それぞれです。例えば、震災から10年以上が経ち、お孫さんが生まれたことをきっかけに、「『お父様の若い頃にそっくりね』と皆が言うが、孫は父の若い頃を知らないので写真を探しに来た」と来場される方もいます。</p><p>できれば、一律に「返却期限」を区切ることなく、またどこかでセーフティーネットを設けられたら、と考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00009.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00007-1024x768.jpg">子ども（当時4歳）が乳児の時の自分と対面する様子。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター<h2 id="tnf-text-heading-block_790d8e67884c402d11436ef9204b7dcf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">次の災害が起きたとき、「思い出の品」をどう守るか</h2><p>――全国の災害において、「思い出の品」を希望する全ての人に返却できる社会を実現するためには、何が必要でしょうか。</p><p>秋山：災害が起きた直後の応急対応活動では、もちろん生命や生活が最優先されますが、落ち着いてくると、思い出の品の大切さ、必要性に気づかされるケースがほとんどです。</p><p>こうしたことを、全国の行政、国民の多くに知っていただいて、現状を変えていく必要があります。自治体の災害時の具体的な計画づくりから、現物をいずれ処分せざるを得ない際のセーフティーネットとしてのデジタル化とオンラインで探す仕組み、また立体物のデジタル化や顔認証などといった最新技術の活用、そして被災した写真を救うためのボランティアの育成まで、さまざまな取り組みが必要です。</p><p>私たちは、これまで培ってきたノウハウを全国の自治体等に広めたいと願っています。</p><p>――現場の負担を減らしつつ返却を進める方法について、詳しく教えてください。</p><p>秋山：まず重要なのは、思い出の品の回収・保管・返却といった具体的な内容やマニュアルを、普段の備えとして、環境省と自治体の「災害廃棄物処理指針」や「災害廃棄物処理計画（※）」「地域防災計画」等に落とし込んでいただくことです。</p><p>自治体によっては担当課が決まっていないこともしばしばです。いざ災害が起きたときには「災害廃棄物処理実行計画」を策定されますが、思い出の品の取り扱いを「災害廃棄物（がれき）の処理」に含め、がれきから思い出の品を取り出して、乾燥、洗浄、デジタル化等といった処理を業者に委託することができたなら、応急対応活動に追われる自治体職員の負担を極めて軽くすることができます。</p><p>これにより被災自治体は、思い出の品に関する財源の確保や担当者の不足に悩むこともなく、また早い乾燥等で劣化を最小に抑えることができ、その後の返却業務もスムーズに取り組むことが可能になります。</p><div id="tnf-text-notes-block_4c428cdc044c61e3dcf85fbe64864607" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「災害廃棄物処理計画」とは、災害時に発生する災害廃棄物に対する平常時の備えや、発災時の状況に応じた適正かつ円滑な処理、ならびに迅速な復旧・復興に寄与するために必要な事項をまとめた計画を指す</div><p>――返却活動を進める上で、自治体が直面しやすい課題や、今後備えておくべき点についてはどのようにお考えでしょうか。</p><p>秋山：自治体が返却活動をするなかで、被災者の気持ちを汲み取って活動を続けていただきたいと願っておりますが、それでもどこかで区切りをつけ、思い出の品の現物を廃棄せざるを得なくなるときが訪れるかもしれません。</p><p>そうした場合のセーフティネットとして、今後デジタル化された写真や物品のデータを利用して、安価に利用できる「オンライン」の仕組みが必要になります。津波や洪水、土砂災害では、品物は行政区を越えて流出することもしばしばです。都道府県域を越えて探すことができる仕組みの構築や、顔認証技術の活用が求められてもいます。</p><p>さらに、被災した写真の応急処置方法や写真洗浄等の処置方法を周知し、災害時に、必要な方に手を差し伸べることができる担い手の育成も欠かせません。</p><p>実は、泥にまみれたり水に濡れた写真でも救えるといった知識が広まっていないことで、捨てられたり失われてしまった写真も数多く存在します。「土にまみれたり水に濡れた写真でも救えるので捨てない」「まずは乾燥（あるいは可能なら冷凍）させる」といった、災害時の応急処置の方法を、例えばボランティアに入った先で被災者に伝えていただくだけでも、一度失うと二度と手に入らない写真をご家族の宝物として留めることができます。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00011-717x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00002-724x1024.jpg">「水に濡れた写真の応急処置」のちらし（英語版）。画像提供：一般社団法人三陸アーカイブ減災センター</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9b16a92a51673b6cb73ac8626f11d4ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">一枚の写真が心の回復を支える</h2><p>――災害支援では後回しにされがちな「思い出の品」ですが、長年活動を続ける中で、「思い出の品」の返却にどのような意味を感じていますか。</p><p>秋山：発災直後は、まず生命を守ること、そしてその後の暮らし、仕事など生活の立て直しが最優先です。一方で、震災から15年を迎える今も変わらず、私が目の当たりにしているのは、「やっぱり写真が一番大切と思う」と話す被災者やご遺族の声です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>例えば、50代の方が、亡くなったお父様が撮ってくれたご自身の幼少期の写真を見つけた時、当時の思い出やお父様のことなどの記憶が呼び起こされ、たくさんのエピソードを話してくださいます。</p><p>また、80歳を超えた方が、自身の学生時代の集合写真を手にした時は、子どもの頃に遠足に行った思い出や先生のエピソードなどをお聞かせくださいました。このように写真は、記憶や思い出のトリガーにもなっていて、一度失うと二度と同じ物が手に入らない家族みんなの宝物です。そうした思い出の品の重要性と価値をこれからも伝えていきたいと考えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00005-768x1024.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/omoide00010.jpg">濡れたや泥にまみれた写真は湿気やバクテリアなどの影響で徐々に画像が失われる。同センターでは、被災した写真の乾燥等の応急処置や乾燥後の処理について動画で発信している。出典：三陸アーカイブ減災センター公式YouTube<h2 id="tnf-text-heading-block_760bf8876c279248063fa3b6b29aa333" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被災者に寄り添う活動を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>秋山さんから、被災者の心を支える活動を支援するために、私たち一人一人にできる3つのヒントをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_805832278a387128508256c3c1669551" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 「思い出の品」の保管や返却の必要性を広め、寄付で活動を支える</h2><p>「思い出の品」の返却は、短期間で完結するものでも期間を区切られるものでもない。写真や品物を探すための心が落ち着くまでに長時間かかる人もいる。</p><p>震災から15年を迎えるいまも「探したい」人は多くいて、長期的な活動を行う必要性にも迫られているため、資金面の支援は不可欠。被災者の心を支える支援として、活動の価値を周囲に伝え、寄付をすることも重要な関わり方の一つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_221ac55c7170d2e27c5018de92de1af7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］災害時に泥や汚れにまみれた写真を救うために正しい知識を広める</h2><p>泥や水で汚れた写真やアルバムでも、できるだけ早く乾燥や冷凍を施すことで、画像を守ることができ、あとで生活が落ち着いてからゆっくり適切な処理を行うことができる。</p><p>「まずは捨てずに乾かす」「写真の状態により、拭き・洗浄・デジタル化という手段を取ることができる」といった初期対応の知識が共有されるだけで、将来、持ち主の心の支え、心の回復をうながす「思い出」を守ることができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_accd1c57d8a2afe1acac81ea1a37020e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 写真洗浄ボランティアという、被災地への関わり方</h2><p>東日本大震災をきっかけに広まった写真洗浄等のボランティアは、現在では東京、神奈川、大阪、山口、熊本、金沢、能登など全国各地に広がっている。被災地に足を運べなくても、写真の洗浄やデジタル化などを通じて参加できる活動もあり、誰もが被災者やご遺族の「思い出」を守る担い手になることができる</p><p>参考サイト：</p><a href="https://vokatsu.jp/volunteers/?genres%5B%5D=disastervolunteer&amp;subgenres%5B%5D=disasterrelief&amp;subgenres%5B%5D=reconstruction&amp;subgenres%5B%5D=disasterprevention" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団ボランティアセンター「ボランティア活動を探す」</a><a href="https://rescue-photo.net/link/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">被災写真救済ネットワーク「写真救済・洗浄活動団体のご紹介」</a><div class="wp-block-spacer"></div><p>2021年に国の財政支援が終了した後も「思い出の品」の返却活動を継続している三陸アーカイブ減災センターの取り組みについて、お話を伺いたいと取材を申し込みました。</p><p>被災者やご遺族と長年にわたり向き合ってきた秋山さんの言葉から、「思い出の品」が人の心にどれほど深く寄り添う存在であるのか、改めて実感することができました。</p><p>災害を経験した人が、自身の「思い出の品」と向き合えるようになるまでには、それぞれに異なる時間が必要です。災害を経験し、その心の準備が整う瞬間を待ち続ける、息の長い支援が欠かせません。</p><p>その重要性を理解し、行動していくことが、私たち一人一人に求められていると感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/53861">連載【災害を風化させない】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119353</guid>
      <title>南鳥島沖海底に眠る2.3億トンもの海底鉱物資源。そして「暗黒酸素」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119353/sustainable</link>
      <pubDate>Thu, 12 Feb 2026 12:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>南鳥島近海で発見された大量の海底鉱物資源。採掘は深海の生態系に影響を及ぼす恐れも。最新の科学とデータを大事にし、慎重なアプローチが必要</li><li>世の中のどのような物事とも同じように、海底資源採取にもメリットと懸念されるデメリットがある</li><li>海底資源採取を通して、物事の「光」と「影」のバランスをどのように取るべきか、自分なりに考えるきっかけにしてほしい</li></ul><p></p><p>「レアメタル」とは「希少な金属」の総称で、地球上に存在する量が少ない、または採掘・精製が難しいにもかかわらず、世界的に安定した供給が求められる金属のこと。その中でも17種類の元素グループは「レアアース」と呼ばれています。</p><p>これらは私たちの身近な製品に広く使われており、電気自動車やスマートフォン、パソコンなど、数えきれない製品の製造に欠かせません。現代の豊かな生活を支える重要な資源となっています。</p><p>しかし今、この資源の採掘・精錬・供給が限られた地域に集中していることや、国際情勢の緊張を背景に、各国が資源を安定的に確保できるのかという懸念が世界で高まっています。</p><p>こうした中、日本財団と東京大学大学院工学系研究科は、2024年4月下旬より日本の排他的経済水域（EEZ※）内、特に南鳥島近海で海底鉱物資源の調査を進めてきました。</p><p>その結果、この海域にはレアメタルを豊富に含む海底鉱物資源「マンガンノジュール」が推計2.3億トン以上も存在する可能性が明らかになりました。「資源を持たない国」とされてきた日本の常識を覆し、将来の選択肢を大きく広げる発見として、国内外から注目を集めています。</p><p>本記事では、この調査プロジェクトに携わる日本財団海洋事業部の海野光行（うんの・みつゆき）常務理事にこの調査結果について話を伺い、日本の未来にどのような可能性をもたらすのかを探ります。</p><div id="tnf-text-notes-block_706d46386a0f9a0a284451b8eeb39b4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「排他的経済水域（EEZ）」とは、沿岸国がその範囲内において、天然資源の探査・開発などを含めた経済的活動についての主権的権利と、海洋の科学的調査、海洋環境の保護・保全等についての管轄権を有する水域のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00002-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_06764122072493e6434ad4807c8c1c1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の海底に眠る国産レアメタル資源「マンガンノジュール」</h2><p>――そもそも、海底鉱物資源とはなんでしょうか。</p><p>海野さん（以下、敬称略）：深海を含む海底に存在する鉱物資源やエネルギー資源のうち、これまで経済的・技術的な理由から、十分に利用されてこなかった資源の総称です。</p><p>代表的なものとしては、「レアアース泥（でい）」や「マンガンノジュール」「コバルトリッチクラスト（コバルトを多く含む海底鉱物資源）」、そして海底から熱水が噴き出す場所に金属成分が集積して形成される「海底熱水鉱床（銅、鉛、亜鉛、金、銀などのレアメタルを含有）」などがあります。</p><p>――なぜ今、海底鉱物資源が注目されているのでしょうか。</p><p>海野：電気自動車や再生可能エネルギー、半導体といった現代社会を支える先端産業には、レアアースをはじめとする鉱物資源が欠かせません。これらは、将来の産業基盤や社会の持続可能性を左右する存在として位置付けられています。</p><p>資源の乏しい日本にとって、自国の排他的経済水域（EEZ）内にまだ利用されていない資源が存在することは、極めて大きな意味を持ちます。現在、レアアース市場のほとんどを中国が占めており、供給が滞るリスクは、各国にとって大きな課題となっています。</p><p>もし日本が自国で資源を確保できれば、他国への依存度を下げることができます。さらに、実際に採掘するかどうかにかかわらず、「資源が存在すること」、そして「それを採取できる技術があること」を示すだけでも、国際的なビジネスだけでなく、外交上の重要なカードになるといわれています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00004-1024x682.jpg">実際に採取したマンガンノジュールを持つ海野常務。手に持つと重みがある</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00009.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>【動画】南鳥島周辺海域における海底鉱物資源マンガンノジュールの調査航海</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_9df3fe9d6ddfc762e456d01844e819e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">資源が開く未来の可能性と環境配慮を探る、3段階の調査</h2><p>――日本財団は、これまでにどのような調査を行ってきたのでしょうか。</p><p>海野：大きく3つのフェーズに分けて調査を進めてきました。</p><p>第1フェーズでは、海底にあるマンガンノジュールをどのように回収するか、技術的なシミュレーションを行いました。深い海の底から安全に資源を引き上げる方法や、作業に必要な技術を検討する段階です。</p><p>第2フェーズでは、実際に南鳥島周辺の海域に調査船を出し、海底鉱物資源のサンプリングを行いました。回収した資源について、重さや質、含まれるレアアースの量を詳細に調べたほか、放射能の有無など、安全性の確認も行っています。</p><p>併せて、資源がどの海域にどの程度分布しているのかを調査した結果、南鳥島周辺ではマンガンノジュールが高い密度で存在していることが明らかになりました。現在までに確認されている資源量を日本の年間消費量に換算すると、コバルトは約75年分以上、ニッケルは約11年分以上に相当することが分かっています。</p><p>今回、調査した海域の範囲は、南鳥島周辺の日本の排他的経済水域（EEZ）のうちおよそ2パーセントに当たります。これは関東平野とほぼ同じ広さです。</p><p>――こうした調査結果を踏まえ、現在はどのような段階に入っているのでしょうか。</p><p>海野：現在は第3フェーズに入り、将来的な利用を見据えて、環境への影響を予測・評価することに重点を置いて調査を進めています。海底には観測機器を設置し、潮の流れを長期的に測定するとともに、水深5,500～6,000メートルの深海では、遠隔操作の無人潜水機を用いた観察や、深海生物・水質のサンプル採取を行っています。</p><p>これにより、資源を採取した際に海底で巻き上がる「プルーム（泥や魚の死骸などの堆積物）」が、周囲の環境や生物にどのような影響を与えるのかを、科学的に明らかにしようと動いています。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00006.jpg"></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00005-1024x682.jpg">古代のサメの歯を核に成長したマンガンノジュール<h2 id="tnf-text-heading-block_a09b20af52ae9767d0ced390a991acb5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1,000万年の深海に眠る奇跡と「暗黒酸素」の謎</h2><p>――マンガンノジュールは、どのようにして出来たものなのでしょうか。</p><p>海野：マンガンノジュールは、核となる物質に金属成分が少しずつ付着し、非常にゆっくりと成長していきます。大人のこぶしほどの大きさになるまでに、およそ1,000万年かかるといわれています。つまり、人間がこの世に誕生する以前から、とてつもなく長い時間をかけて形成されてきたのです。</p><p>調査で回収されたマンガンノジュールの一部には、三角形になっているものがあります。これは、「メガロドン」と呼ばれる古代ザメの歯が核になってできたものなんです。サメの骨は時とともに分解されてしまいますが、歯はとても硬いため、深海でも消えずに残ってノジュールの核になったのですね。</p><p>――最近、ニュースで話題になった「暗黒酸素」とマンガンノジュールは何か関係があるのでしょうか。</p><p>海野：まず「暗黒酸素」とは、太陽の光がまったく届かない深海底で酸素が観測される現象を指します。通常、酸素は植物や海藻、それに植物性プランクトンなどの光合成によって作られますが、光の届かない深海において、マンガンノジュールといった鉱物が関与して酸素が発生している可能性がある、という論文が2024年7月に学術誌で発表されました。</p><p>この論文は、私たちがマンガンノジュールの調査を進めている最中に発表されました。酸素の発生源が資源そのものに関係している可能性がある以上、採取した場合に生態系へどのような影響が及ぶのかを、科学的に検証する必要があります。</p><p>現在は、「暗黒酸素」の謎についても、スコットランドやアメリカの研究機関と共同で調査研究を進めているところです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00008-1024x576.jpg"></div></div><div class="wp-block-embed__wrapper"></div>【動画】深海の謎の「暗黒酸素」解明へ<h2 id="tnf-text-heading-block_cb6bedca0367b1d1d8ff5c9cf06fd3bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未知の可能性と海洋環境に向き合う、日本財団の多面的なアプローチ</h2><p>――海底鉱物資源について、日本財団はどのように考えているのでしょうか。</p><p>海野：まず優先すべきなのは、採取が環境にどのような影響を及ぼすのかを科学的に明らかにすること。採取の判断は、その結果を踏まえた上で行うべきものです。</p><p>環境への影響が十分に検証されないまま進めることについては慎重になるべきです。少なくとも私たちは、科学的な裏付けがない段階で採取に踏み出すべきではないと考えています。</p><p>――海底鉱物資源や「暗黒酸素」は、日本や社会にどんな可能性をもたらすと考えていますか。</p><p>海野：深海だけでなく、海については、ほとんどのことが未解明だともいわれています。言い換えれば、それだけ未知と可能性が広がっているということです。</p><p>「暗黒酸素」のように、深海底では、これまでの常識では想像もできなかった自然現象が存在する可能性が次々と明らかになっています。日本財団として科学を重要視しているからこそ、暗黒酸素のような新たな研究にも目を向けたうえで、商業利用を始める前に、それが海底環境で果たしている役割などを見極めなければならないと考えています。</p><p>さらに、いま私たちの判断で商業利用を進めるべきなのか、それとも次の世代に判断を託すべきなのかを判断する上でも、最新の科学に目を向けることは不可欠なプロセスだと考えています。言い換えれば、その時代の感覚や勢いだけでなく、科学に基づいて冷静に判断していくという多面的なアプローチが大切だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00003-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f0f42664296363c7e62220a91708bd6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「無知・無関心・無視」を超えて、未来を考える</h2><p>――未来の資源利用を考えるとき、環境問題とも向き合う必要があります。私たち一人一人にできることは何でしょうか。</p><p>海野：長年、海と向き合う仕事をしてきて感じるのは、海に対して「無知」や「無関心」な人が多いということです。日本は海に囲まれた国ですが、意外と海のことを知らない、考える機会が少ない人も多いのではないでしょうか。</p><p>日本財団では、海に関心を持ってもらい、海を未来へ引き継ぐために、さまざまなプロジェクトや情報発信を行ってきました。</p><p>「問題がある」「何かよくないことが起きている」と気づいているにもかかわらず、知らないふりをしてしまい、その問題を放置してさらに悪化させてしまうことがある。「無知」や「無関心」以上に、「無視」だけはいけないと思っており、特に子どもたちに知ってほしいと思っています</p><p>もう一つ理解してほしいのは、物事には必ず「光と影」があるということ。私たちは何かを評価するとき、どうしてもどちらか一方だけを見て判断しがちですが、本来はメリットとデメリットの両方が存在します。その両面を見た上で物事を考える姿勢が重要です。</p><p>例えば今回の調査では、「南鳥島周辺で大量の海底鉱物資源が見つかった」という点が大きく報道されました。すると、「資源が乏しい日本にとって朗報だ」「積極的に採掘を進めるべきだ」という声が出てきます。これは、いわば「光」の部分に注目した見方ですよね。</p><p>しかし、必ず「影」の部分もあります。その影が何なのかを、きちんと調べなければなりません。もしかすると、その影が次の世代に影響を与えるかもしれない、環境に影響が及ぶかもしれない。</p><p>だからこそ、今の段階で慎重に向き合う必要があるのです。自分がどの立場に立つとしても、そうした現実に思いを巡らせながら、海との向き合い方を考えてもらえたらと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/02/MarineFrontier00001.jpg">調査結果の記者会見の様子。日本財団が企画・全体調整を担い、東京大学が環境影響評価プロジェクトを主導。アメリカやオーストラリアの研究機関、日本エヌ・ユー・エス株式会社と共同で調査を進めている<h2 id="tnf-text-heading-block_8613ce65d764c9b34c77df26acb2e3cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">未来の資源活用や環境問題を考えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>海野さんから、未来の資源活用や環境問題を考えるために、社会全体や私たち一人一人ができる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c95f7c72b4ad06e816b435857c2d4ae0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 無関心と無知から離れ、自分なりに考えてみる</h2><p>何事も「知ること」から。今回のような研究発表や、環境問題に関する報道など、気になることがあれば、自ら調べて情報を得る。そして自分なりの意見や考えを導き出してみる。こうした姿勢の積み重ねによって、興味関心の幅が広がり、考える力を養うことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_249f324451d6c1e1c3e0bf3b6a267a6d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 分かっている問題を無視せずに向き合い、行動する</h2><p>「地球温暖化」「海洋ごみ問題」など環境にまつわる課題の存在を知っている人は多いはず。知って終わりにするのではなく、自身の行動がどのように課題に影響を及ぼしているのかを考え、小さなことから行動に移してみることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b1178ddf9ee7799dbd83248a407c1e22" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 物事の「光と影」を見つめる</h2><p>新しいテーマや課題に触れたとき、第一印象だけで判断せず、いったん立ち止まり、ニュートラルな視点で見つめ直してみる。そして、その課題にどんな「光と影」があるのかを考える。そうした思考を繰り返すことで、より良い未来を選び取ることにつながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>海野さん自身は、海底鉱物資源の商業的な採取について、個人的な考えとして「とても難しい判断になると思う」と語っていました。取材でも話されていたように、マンガンノジュールは、形成されるまでにおよそ1,000万年もかかるといわれています。</p><p>一度手を入れた自然は、同じ姿に戻るとは限りません。そう考えると、未知へのときめきを感じる一方で、決して簡単に結論を出してよい問題ではありません。だからこそ、もし手を入れるのであれば、地球環境にどのような影響を及ぼすのかを、あらゆる側面から徹底的に明らかにする必要があるということを、改めて実感させられました。</p><p>2026年6月から9月にかけて、2度目となる航海調査が予定されています。今後どのような事実が明らかになるのか、その動向を見つめていきたいところです。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Thu, 12 Feb 2026 12:30:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>119187</guid>
      <title>性暴力の傷を二人で抱え込まないために。被害者のパートナーが直面する孤独と、必要な支援とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119187/crime</link>
      <pubDate>Tue, 10 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>性暴力の被害者の回復には、パートナーや身近な人の関わりが大きな影響を与える</li><li>一方で、被害者のパートナーは怒りや自責感、パートナーとの関係に悩みを抱え、孤立しやすい</li><li>被害者とパートナーの双方に適切な知識と支援を届けることで、回復を後押しできる</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>もし、あなたの大切な人が性暴力被害に遭ったら、あなたはどう寄り添えばいいのでしょうか。</p><p>痴漢や盗撮、セクシュアルハラスメント、性的暴行など、本人が望まない性的な言動や行為は「性暴力」と呼ばれ、被害者の心身に深刻な影響を及ぼします。</p><p>PTSD（＝心的外傷後ストレス障害※）を発症したり、自責の念に苦しんだり、他者から「あなたにも落ち度があったはずだ」といった心ない言葉を浴びせられ、二重の傷を負うケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_9c5513a932990548c37637e737f105f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「PTSD」とは、命の危険を感じる出来事や、過度ないじめ、性的暴力に遭うなど、強いショックを受けた体験が原因で、心と体にさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたす病気</div><p>こうした性暴力被害者の回復には、周囲の人や支援機関の支えが欠かせません。なかでも、家族やパートナーなど、身近な人との関わりは、回復を左右するカギになるといわれています。</p><p>一方その過程で、被害者を間近で支えるパートナー自身もまた、戸惑いや孤立感、強いストレスを抱えがちです。その背景には、婚姻関係にないパートナーは支援の対象に含まれにくい傾向にあること。そして、性被害を経験した方とのパートナー関係に関する適切な情報や、相談先にアクセスしづらいという課題があります。</p><p>そんな支援の空白を埋めるべく、性暴力被害者の男性パートナーの語り場「寅さんのなみだ」を開催してきたのが、性暴力撲滅に向けた啓発活動に取り組む<a href="https://shiawasenamida.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人しあわせなみだ（外部リンク）</a>です。</p><p>本記事では、理事長の千谷直史（ちや・なおふみ）さんに、性暴力被害者のパートナーが直面する苦悩や必要な支援、性暴力のない社会を実現するために、私たち一人一人にできることについて話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00006-1024x576.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_ad15f7643a8b9e4f402954eb171b4154" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">怒りや悲しみ、孤立。性暴力被害者の男性パートナーの苦悩</h2><p>――性被害を打ち明けられた男性パートナーは、具体的にどのような感情を抱くのでしょうか。</p><p>千谷さん（以下、敬称略）：以前、知り合いから性被害を告白されたことをきっかけに、しあわせなみだにつながりました。今回は、私たちが運営する語り場に参加した方々の声に合わせて、私自身が感じたことをお答えします。</p><p>まず私の場合は、加害者に対して、これまでに感じたことのないような、すさまじい怒りを感じました。同時に「自分が被害を防げたのではないか」という強い自責感にもとらわれました。そして、同じような感情を抱く男性は多い印象です。</p><p>加えて、「どう反応すべきか分からなかった」という声をよく耳にします。</p><p>混乱のあまり「気にしなくてもいいんじゃないか」「勘違いかもしれない」と被害を軽視するような言葉をかけてしまったり、「服装のせいで被害に遭ったのではないか」といった被害の責任が被害者にあるような考え方をしてしまったりする人もいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00002.jpg">性被害を打ち明けられたことによる、男性パートナーの悩みからは社会の見方への変化や心の葛藤が伝わってくる。参考：しあわせなみだ「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」<p>――なぜ、そのような考え方や言動をしてしまうのでしょうか。</p><p>千谷：性被害のような理不尽な出来事が起きたとき、人は「被害者になんらかの落ち度や問題があったのではないか」という考え方を持ちやすいといわれています。</p><p>なんの落ち度もない人が被害に遭ったという現実を受け入れることができず、混乱する感情を処理するために、被害者側に落ち度を見出そうとする心理が働くためです。</p><p>また、性暴力に対する誤った認識が、不適切な言動を招いてしまうこともあります。</p><p>例えば、被害者の中には、心を守るために、被害を正面から受け止めず、あえて明るく振る舞う人もいます。そうした様子を見て「たいしたことではなかったのだ」と受け取ってしまうと、被害の深刻さを否定する言動につながりかねません。</p><p>そうした言動は、被害後にさらに被害者が傷つけられる二次被害として「セカンドレイプ（※）」と呼ばれています。</p><div id="tnf-text-notes-block_4699c2404aa85964bea526ece59ef59a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「セカンドレイプ」とは、性犯罪の被害に遭った後、被害時の服装や行動を問題視されたり、「たいしたことではない」「早く忘れるべき」など被害を矮小化したりする周囲の言動によって、被害者がさらに傷つけられること</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00003.jpg"><p>――強い怒りや自責感を抱く一方、二次加害に至ってしまうこともあるという矛盾から、動揺の大きさが伝わります。男性パートナーは、心にどのような影響を受けているのでしょうか。</p><p>千谷：被害者に寄り添って、トラウマ体験や苦しみに触れ続けることで、被害者と同じようなストレス反応が生じる二次受傷（※）が起こることがあります。</p><p>ただ、男性パートナーはこうしたつらさにふたをして、誰にも相談できないまま、一人で抱え込んでしまいがちです。背景には、「男は強くあらねばならない」という固定観念や、パートナーのプライベートな情報を他者に話すことができないという葛藤があります。</p><p>さらに、性暴力の話題すら「エロコンテンツ」として消費されがちな風潮への抵抗感が強まり、ほかの男性との間に溝が生まれることも珍しくありません。</p><div id="tnf-text-notes-block_46bc03811ee05eeeb722c1a07b0a5310" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「二次受傷」とは、トラウマ体験をもった人の話を聞くことで生じる、被害者と同様の外傷性ストレス反応のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_d7d0ae8a6c4851ef589b199be3b9f6a5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">パートナーは「医師やカウンセラーの代わり」にはなれない</h2><p>――パートナー関係ではどのような悩みが生じるのでしょうか。</p><p>千谷：「性暴力被害に遭ったパートナーとどう接するべきか分からない」というのが主な悩みです。男性側はどんな言動が相手を傷つけてしまうのかが分からず、関係がぎくしゃくしやすいんです。</p><p>例えば、「一緒にテレビを見ていて、性暴力を想起させる場面があったとき、すぐに消すべきか、何事もないように振る舞うべきか。どちらにしても傷つけそうで不安」といった声はとてもよく挙がります。</p><p>さらに、互いに心に傷を負っている状態が続くと、相手に依存し合う共依存（※）に陥ることがあります。そうなると、「自分がいないときに被害の記憶がよみがえって、パートナーが自殺してしまったらどうしよう」といった大きな不安を抱きやすくなります。</p><div id="tnf-text-notes-block_ae292f1c204e250e8975bbcef7c8b6d2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「共依存」とは、自分の価値を周囲の基準だけで判断したり、他者の問題解決や期待に応えたりすることに集中するあまり、自己犠牲的な献身に傾き、自分自身に目を向けられなくなっている状態</div><p>――共依存が深刻化すると、どのような変化が見られますか。</p><p>千谷：共依存が進むと、外出や仕事などの社会生活を送る上で当たり前のことができなくなり、生活全般に深刻な影響が及ぶことがあります。</p><p>例えば、「仕事を休みがちになり、お金が足りなくて家賃を滞納してしまう」「友人との誘いを断り続け、誰からも誘われなくなる」といった、以前と明らかに変わったところがあれば要注意です。</p><p>こうした状況であっても、誰にも相談できず、二人きりで苦しんでいる人は、可視化されていないだけでたくさんいるのではないかと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00005.jpg">性暴力被害者の男性パートナーが抱くパートナー関係における悩み例。周囲に相談しづらい悩みを多く抱えている。参考：しあわせなみだ「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_71e7fdd691077a2a829bc801939d6237" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">男性パートナーへの支援が、被害者の回復につながる</h2><p>――あらためて、しあわせなみだという団体について教えてください。</p><p>千谷：2009年に前代表で理事の中野宏美（なかの・ひろみ）が設立した団体です。</p><p>性被害当事者ではない第三者の立場から、被害者支援に関する情報提供や、研修・講演、行政への意見提出などに取り組んできました。</p><p>活動を続ける中で、「パートナーの存在によって性被害からの回復が早くなる人がいる」ということが見えてきました。そこで、パートナーを支えることが間接的に被害者を支えることにつながるのではないかと考え、2016年に性暴力被害者の男性パートナーの語り場「寅さんのなみだ」を立ち上げました。</p><p>「寅さんのなみだ」という名前は、「自分たち男だって、つらいと認めてよい場である」ということを表したいと考え、初期の頃の参加者と共に決めました。</p><p>――しあわせなみだが、性暴力被害者の男性パートナーへの支援を重視する理由を詳しく教えてください。</p><p>千谷：男性パートナーが適切な支援を受けることで、共依存や共倒れを回避しながら、適切な距離感で、孤立・疲弊することなく、被害者を支えることができるからです。</p><p>性被害からの回復には、医師やカウンセラー、支援団体、家族など、多方面からの支援体制があるのが理想で、パートナーは、あくまでもそのうちの一人なんです。</p><p>パートナーだけで支えようとすると、負担が集中し、結果として被害者の回復を遅らせてしまうこともあります。だからこそ、パートナーは、適切に外部の支援を頼りながら、二人で穏やかで楽しい時間を重ねていくことに専念してほしいと考えています。</p><p>――「寅さんのなみだ」に参加した性暴力被害者の男性パートナーたちからは、どんな声が寄せられていますか。</p><p>千谷：「誰にも言えなかった悩みを話せて、孤独感がやわらいだ」という声はとても多いです。「男は人に弱みを見せてはならない」という先入観が強い人でも、ほかの参加者が心の内を率直に語る姿を見せると、少しずつ安心して話せるようになっていきます。</p><p>また、加害者が男性であった場合に、自分も同じ男性であることに強い嫌悪感を抱く人もいます。そうした葛藤を話してくれることもありますね。</p><p>「寅さんのなみだ」では、私をはじめ、しあわせなみだの男性スタッフが進行役を務めています。参加者が安心して話せるよう、どのように進行するか、どんな言葉をかけるかについて、工夫を重ねています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00007-1024x577.jpg">千谷さんが「寅さんのなみだ」の進行役を務めることも。場で知り得た情報の守秘に同意した人のみが参加でき、オンラインで参加できる場合もある<p>――一方で、対面での参加が難しい人もいるのではないでしょうか。</p><p>千谷：そうですね。そうした方に向けて、24時間匿名で相談できるチャットボット「Two Drops」を制作し、2024年6月から7月にかけて期間限定で運用しました。</p><p>その際に集まった声やデータを基に、パートナーが性被害を経験した男性向けのQ＆Aをまとめた「性被害に向き合う男性パートナーのためのガイドブック」を、2025年1月に発行しました。</p><p>男性パートナーが知りたい情報が載っているだけでなく、被害者本人が自身の経験や思いをパートナーに伝える際にも活用できる内容になっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00009.jpg"><p>――チャットボットやガイドブックには、どのような反響がありましたか。</p><p>千谷：「こんな悩みを抱えてもいいと知れて安心した」「同じ悩みを持つ人がいるとは知らなかった」などの声が寄せられました。</p><p>支援者の中には「加害者とパートナーが同じ性別である場合、被害者と良好な関係を継続するのは難しい」と考える人もいます。しかし、実際には男性パートナーに支えてほしい、良好な関係を築きたいと望む被害者もいるし、支えたいと思う男性パートナーもたくさんいます。</p><p>これをきっかけに、支援のあり方がいっそう発展していくことを期待しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00008-1024x577.jpg">「寅さんのなみだ」の開催は、しあわせなみだ公式サイトから確認できる。画像提供：NPO法人しあわせなみだ<h2 id="tnf-text-heading-block_8fdb2d14d14958552becefab694dae50" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「NO」を言える第三者が性暴力のない社会をつくる</h2><p>――しあわせなみだの今後の展望を聞かせてください。</p><p>千谷：性暴力で苦しむ人をなくすことです。そのために、性暴力を起こさない環境と、被害者を支える仕組みの両方をつくる必要があります。</p><p>性暴力を起こさない環境づくりには、正しい知識を広めることが欠かせません。今後は、若い世代への啓発を目的にしたショート動画を公開する予定です。</p><p>そして、被害者を支えるためには、公的機関による支援の拡充や質の向上が必須です。残念ながら、事情聴取の過程で二次加害を経験し「被害そのもの以上につらかった」と語る人もいます。警察や検察などの公的機関であっても、性暴力に関する正しい知識が十分に共有されているとは限りません。</p><p>だからこそ、公的機関への啓発に力を入れていきたいです。そのほかには、「障害のある人の性暴力被害」についても取り組んでおり、警察で複数回の講座を実施しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/torasannonamida00001-1024x576.jpg"><p>――性暴力を起こさない社会をつくるために、私たち一人一人にはどのようなことができるでしょうか。</p><p>千谷：まずは「性暴力とは何か」を正確に知ること。性暴力は「された側が嫌だと感じた性的な出来事」ですが、きちんと理解していない人がとても多いんです。</p><p>加害者は自分の基準で「これくらいなら大丈夫だろう」と性暴力に及び、「これも性暴力と呼ぶのか」と怒ることさえあります。しかし、そんなことがまかり通る社会はおかしいのだと、多くの人に認識してもらいたいです。</p><p>そして、被害者だけに声を上げる責任を負わせるのではなく、周囲の第三者が加害者に「NO」を突き付け、被害を発生させづらい社会をつくらなければなりません。</p><p>――それでも性暴力が起こってしまったときは、どうすればいいのでしょうか。</p><p>千谷：被害者は自己嫌悪や自責感にとらわれやすいため、周囲の人が寄り添い、孤立させないことが大切です。そして、支えが持続可能なものとなるよう、苦しいと感じたときは、勇気を出して外部の支援機関に頼ってほしいと思います。</p><p>一方で、相談の受け皿が足りていないのも事実です。相談先が増えること、そしてパートナーを支えることが間接的に被害者を支えることにつながるという考え方がもっと社会に共有されていくことを願っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_908f10aee5d365464ef9f3cd7bc1b715" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">性被害に遭った人を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>千谷さんから、身近な人が性被害に遭ったときに、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_158b4bc0e9e7abb8ee556b07e15ed75a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］安心して話せる空気をつくり、自分は被害の真偽を判断する立場ではないことを踏まえて話を聴くことに徹する</h2><p>被害を打ち明けられたときは「あなたは悪くない」と伝え、自分の感情をぶつけないことが大切。また「本当に起きたのか」といった疑念を示す質問をしない。事実確認は警察や司法の役割であり、親しい人の役割ではない。問い詰めず、ただ話を聞くことが支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fa086bedd77090f1244827db50b05b73" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］一人で支えるのではなく、多方面の支援につなげる架け橋になる</h2><p>被害者を身近でサポートしていると、二次受傷や共依存のリスクが高まることがある。一人で抱え込まず、適切な専門機関に相談するようアドバイスする。あなたが架け橋となって、被害者が医療や司法へとつなげることで、回復への道筋が描きやすくなることもある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_61f97c48a86461892fa26d5be8011a05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］性被害を未然に防げるような環境づくりを支える</h2><p>性被害を未然に防ぐためには、周囲の人が不適切な言動を見過ごさないことが重要。第三者が不適切な言動に介入することで、被害の拡大や深刻化を防ぐことができる。こうした行動の積み重ねが環境や組織に変化をもたらし、誰もが安全に過ごせる社会へとつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>性被害に遭った方のパートナーを支援する団体があると聞き、なぜパートナーに支援が必要なのか、また支援がどのような意味を持つのかを知るために取材しました。</p><p>特に印象的だったのは「パートナーの二次受傷」の話です。犯罪被害者の家族に二次受傷や家庭内不和が起こることがあるのは想定されており、すでに一定の支援体制が整っています。</p><p>しかし、婚姻関係にないパートナーへの支援は、彼らが被害者にとってもっとも近しい存在の一人であるにもかかわらず、多くの機関で対象外とされているのが現状です。</p><p>性暴力が、被害者だけでなく周囲の人の人生まで変えてしまう、れっきとした犯罪であること、パートナーが被害者の回復を助けるキーパーソンであることを踏まえると、性暴力被害者のパートナーへの支援の不足は大きな課題と言えます。</p><p>まずは公的機関において、十分な支援の受け皿が確保されることを願ってやみません。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>2人目を目指す1人目に——Z世代が“自分たちの言葉”でつくった「海の教科書」が広げるアクションの輪</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119120/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Thu, 05 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>海洋問題に取り組む「Blue Campus」は、海が大好きな高校生たちにより結成された</li><li>海の問題をテーマにした教科書を自分たちで作り、同世代に届けることで、アクションの輪を広げている</li><li>社会課題を知り、小さな一歩でも行動に移すことが、自分たちの豊かな未来をつくるために大切</li></ul><p></p><p>海の問題は、ニュースの向こう側の話だと思っていませんか？</p><p>「海水温の上昇」「海洋ごみ」「漁獲量の減少」——こうした言葉を聞いても、どこか自分の生活とは離れた話だと感じる人は少なくないでしょう。</p><p>しかし実際には、私たちが普段食べている魚、海辺で過ごす時間、そしてこれからの日本の食や産業とも、深くつながっているのです。</p><p>そんな“海の問題を自分ごととして捉えるきっかけ”をつくっているのが、一般社団法人海洋連盟と日本財団が共催する、全国の高校生向けコンテスト<a href="https://umipos.com/koshien/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「うみぽす甲子園」（外部リンク）</a>です。2022年の開始以降、4年間で延べ4,631人の高校生が参加し、海の豊かさを未来につなぐためのアイデアやアクションを生み出してきました。</p><p>2025年のグランプリに選ばれたのは、全国の高校生らで結成された団体<a href="https://www.instagram.com/blue__campus/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「Blue Campus」（外部リンク）</a>。彼らが制作したのは、海の問題を知識として学ぶのではなく、“自分の言葉で考える”ための教科書『Z世代が明日の海と語ってみた話』です。</p><p>「ダイビングが好き」「魚にくわしい」「釣りが趣味」。そんなメンバー一人一人の「好き」という好奇心を入り口に、大学教授やNPO代表、漁師、YouTuberなど、さまざまな海の専門家にインタビューを実施。海でいま何が起きているのか、その背景にある課題、そして「私たちにもできること」を同世代の目線でまとめました。</p><p>そして完成した教科書は、全国約2万2,000人以上（2026年1月末時点）の若者のもとに届けられています。</p><p>本記事では、「Blue Campus」のメンバーに、その活動内容とともに「うみぽす甲子園」に参加した理由や、海洋問題の教科書に込めた想いについて話を伺い、未来を担う若者が社会課題解決のためのアクションを起こしたいときのヒントを届けます。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>〈取材した「Blue Campus」メンバー紹介（※）〉</p><div id="tnf-text-notes-block_5f35849f29fbf89982844f5acb055ac2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※学年は2026年2月時点</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>大沼七奈（おおぬま・なな）埼玉県・淑徳与野高等学校3年生。「Blue Campus」初代代表。メキシコ留学をきっかけに海への関心が高まり、高校時代は「Blue Campus」の活動以外に漁業ボランティアや海や藻場に関する研究に注力。趣味はダイビング。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%AA%E3%81%AA%E3%81%95%E3%82%93.jpeg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>片岸拓也（かたぎし・たくや）神奈川県立横浜国際高等学校2年生。2026年度から「Blue Campus」の代表に就任。幼少期から海に触れるうちに、海が好きになる。高校2年の夏にタイへ留学し、海洋保護問題について学んだことを機に「Blue Campus」に参加。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%9F%E3%81%8F%E3%82%84%E3%81%95%E3%82%93-768x1024.jpg">画像提供：Blue Campus</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>山本詩（やまもと・うた）石川県・小松大谷高等学校2年生。小学5年生の頃から一人で釣りに出かけるほど、釣りが大好き。海ごみの量が増える光景を見て、海の豊かさを守り、釣りの文化を未来に残すための行動を起こしたいと「Blue Campus」に参加。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/%E3%81%86%E3%81%9F%E3%81%95%E3%82%93.jpg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>中島想羽（なかじま・そわ）市立札幌開成中等教育学校1年生。海洋教育を学びにフィジー諸島へ留学。その経験を経て「自分で研究するだけではなく、未来へのアクションにつなげたい」と感じるようになり「Blue Campus」に参加。趣味は魚の骨格標本作り。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/IMG_0703.jpg">画像提供：Blue Campus</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3fbf34cdc65e80eac13dc152473e9934" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">同世代で海を守る大きなアクションを起こしたい</h2><p>――はじめに、大沼さんが「Blue Campus」を結成したきっかけを教えてください。</p><p>大沼さん（以下、敬称略）：もともと、私は個人で海に関する活動をしており、その時に得た学びや経験談を学校の友だちに共有していたんです。</p><p>その時、友だちから「話を聞くうちに、だんだん海に興味が湧いてきた」と言ってもらえるようになり、「このまま興味を持ってくれる人が増えれば、海を一緒に守る大きなアクションを起こせる！」と考え始めました。</p><p>そこでSNSを通して自分の想いを発信し、一緒に活動に参加してくれるメンバーを募集したんです。最終的に5人集まり、2024年の11月に「Blue Campus」を結成しました。いまは15～20人で活動をしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_5.jpg"><p>――片岸さん、山本さん、中島さんが「Blue Campus」へ参加したきっかけについても教えてもらえますか。</p><p>片岸さん（以下、敬称略）：大沼さんのInstagramの投稿を見て、その想いに共感したのが大きな理由です。ただ学ぶだけでなく、仲間とひとつの目標に向かって取り組める「Blue Campus」の環境はとても魅力的でした。</p><p>山本さん（以下、敬称略）：「Blue Campus」を知ったのは、知人からの紹介でした。そこで大沼さんのInstagramを見て「課題を抱えているだけでは何も変わらない。自分も大沼さんと同じように何か行動を起こしていきたい」と思い、メッセージを送りました。</p><p>中島さん（以下、敬称略）：私は、フィジーに留学した時の探究テーマが「海洋教育」ということもあり、教育啓発の分野にはとても興味がありました。</p><p>と同時に国内外で起業や学生団体を立ち上げることも考えていましたが、まだ組織を動かす人としてのスキルや知識が足りていなかったんです。</p><p>大沼さんが結成した「Blue Campus」に参加すれば、教育啓発にも携わりながら組織を動かすためのスキルや知識も得られるのではないかと感じて、応募を決意しました。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_6.png">「Blue Campus」の公式Instagram。メンバーの海を守りたい思いとアクションが発信されている。画像提供：Blue Campus</div><p>――皆さんそれぞれ活動内容が異なると思います。現在取り組んでいることを教えてください。</p><p>大沼：私は2025年で代表を退きましたが、今後もメンバーの一人として活動していく予定です。今は「Blue Campus」を卒業した高校3年生や大学生と一緒にSNSの発信に力を入れています。</p><p>片岸：2026年度からは私が代表を務めるのですが、実は団体をまとめるのは初めてです。</p><p>大変なこともあるとは思いますが、大沼さんが作り上げた2025年の「Blue Campus」の良かった点を継ぎつつ、私とこれからのメンバーが思い描く「Blue Campus」の色を加えて、より良い団体にしていきたいと考えています。</p><p>山本：私は、教科書の英語版チームのリーダーを務めています。</p><p>2026年の夏までにフィリピンやインドネシアといった海と関わりが深い国に向けた英語版・海洋問題の教科書を作る予定です。世界中に日本の海洋問題に関する教科書を届けることで、各国の学生に「自分の国の海はどうなっているんだろう」と興味・関心を持ってもらえると嬉しいですね。</p><p>中島：私は小学生版・海洋問題の教科書を作るチームリーダーを務めています。</p><p>中高生版と異なる点は、海の問題だけでなく、海の魅力を伝えることに焦点を当てている点。子どもの海離れが進むいま、いきなり海の問題を説明しても興味を抱く小学生は少ないと思うんです。</p><p>だから、まずは小学生が海に興味を持つきっかけをつくり、海に対する自分なりの疑問を抱いてもらう内容に整えていきたいと思っています。</p><p>2月9日からは小学生版をつくるためのクラウドファンディングも実施しますので、関心のある方は、ぜひチェックしていただけるとありがたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_1a02dcef70597f2674527755809112ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「うみぽす甲子園2025」に参加して得たもの</h2><p>――「うみぽす甲子園2025」に応募した理由を教えてください。</p><p>大沼：団体結成時に、私たちは「2025年までに1万人の高校生に海の魅力と海洋問題を伝える」という目標を立てていました。一度立てた目標は達成したかったですし、何より「うみぽす甲子園」への参加は「Blue Campus」の活動をより活発にするきっかけになると思ったんです。</p><p>またコンテストのスローガン「2人目を目指す1人目になろう」に深く共感したことも応募を決めた理由でした。</p><p>――他の皆さんは大沼さんから「うみぽす甲子園2025」に参加すると聞いたとき、どのような気持ちでしたか？</p><p>片岸：素直にワクワクしました。海洋問題の解決に向けた活動は、明確なゴールが見えにくいので、ひとりではモチベーションを維持するのがとても難しいんです。</p><p>でも「うみぽす甲子園」なら、メンバーと支え合いながらひとつの目標に向かって取り組める。実際、常に高いモチベーションで活動することができました。いい刺激をもらったことに感謝しています。</p><p>山本：私は、自分が通っている高校から「うみぽす甲子園」への出場を打診されていましたが、勇気がなくて参加を見送っていました。</p><p>しかし、大沼さんから参加の意思を告げられたとき、途端に「大沼さんが参加するなら、自分もやるしかない！」と気持ちが沸き上がってきたんです。それからは無我夢中で教科書制作に取り組みました。</p><p>中島：当時、私はフィジーに留学をしていて、「うみぽす甲子園」に応募したことを大沼さんから電話で伝えられました。自分にとっていい成長の場になると思い、すぐに「参加したいです！」と返事をしました。</p><p>――グランプリを受賞したとき、どのような思いを抱きましたか？</p><p>大沼：グランプリをいただけたことはとても嬉しく、自分たちが信じてきたことを貫いてきて本当に良かったと思いました。</p><p>また、審査員で九州大学院工学研究院・准教授の清野聡子（せいの・さとこ）さんから「自分たちが目標としてきた学校教育に海洋教育を取り入れる試みを、高校生のあなたたちが取り組んでくれて嬉しい」とほめていただけて、大きな自信にもなりました。</p><p>片岸：喜びとともに、達成感に満ちていたことを覚えています。</p><p>また、私たちとは異なる視点から海の研究をしてきた他チームのプレゼンテーションを聞くことで、「なるほど、こういうアプローチの方法もあるのか」と新たな気付きを得られた機会でもありました。</p><p>中島：私も片岸さんと同じように、多くの高校生が異なる視点で海の課題解決に向けて取り組んでいることを知ることができて、とてもいい刺激になりました。</p><p>海の問題に対するアプローチの方法は無限大なのだと実感しました。</p><p>山本：グランプリ受賞はとても嬉しかったです。</p><p>あと、私の中で強く印象に残っているのは、コンテスト後に開催された交流会。他のファイナリストのチームと交流を深めていくうちに、全国には私たちと同じように海の課題解決に向けたアクションを起こしている人たちがいることを実感できました。</p><p>いまは小さなつながりかもしれませんが、この積み重ねが大きなアクションを起こすきっかけになるのだろうと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_8.jpg">「うみぽす甲子園2025」にて、多くの参加者の前でプレゼンをする「Blue Campus」の様子。画像提供：Blue Campus<h2 id="tnf-text-heading-block_8b6e5e56088e2464137471cf27b1e01d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海洋問題の教科書を制作することが、仲間を増やすきっかけに</h2><p>――教科書を制作するにあたり、工夫したことを教えてください。</p><p>大沼：私の担当は、主にチーム全体のマネジメントや仕事の割り振り。留学中のメンバーもいたため、全体ミーティングを開くことはせず一人一人と密に連絡を取るようにしました。</p><p>その中でメンバーが得意なことや取り組みたいことを把握し、それらに少しでも携われるように割り振りを工夫しつつ、作業負担も誰かに偏らないようにバランスを取っていました。</p><p>片岸：私は、教科書内のレイアウトを担当しました。</p><p>同世代の心を動かし、海に興味を持ってもらうには、各ページの文章の質、構成の質、デザインの質に妥協しないことが大事だと考えていたので、写真の配置やフォントといった細かい部分までこだわりました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_9-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_10-726x1024.jpg">もう片面にはその課題に関する専門家インタビューとメッセージを入れ、メリハリのあるデザインに仕上げた。画像提供：Blue Campus</div></div><p>山本：私は、海洋問題の教科書を全国の同世代に届けるための<a href="https://camp-fire.jp/projects/868156/view" target="_blank" rel="noreferrer noopener">クラウドファンディング（外部リンク）</a>を担当しました。</p><p>目的は、教科書やクラウドファンディング自体を通して海の問題が誰にとっても身近な問題であると知ってもらうことでした。</p><p>そのための工夫として取り入れたのが、SNSでのライブ配信やトークショーです。文章だけでなく、自分たちの声で想いを伝えることで、説得力も増すのではないかと考えました。</p><p>その結果、さまざまな人に支援をしてもらえるようになり、クラウドファンディングの目標額も無事に達成できました。</p><p>中島：私が担当したのは教科書内のワークシート作成です。</p><p>ワークシートは、海の問題を、少しでも自分ごととして考えられるような工夫をしました。多くの場合、壮大過ぎる海洋問題について知る途中で「自分とは無関係だ」と見放されてしまいがちです。</p><p>ただこのワークシートを通して思考プロセスを整理することで、より海洋問題を身近に捉えられるようになっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_11-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_12-726x1024.jpg">ワークシートでは、「答え」を出すのではなく、思考を深められるよう工夫している。画像提供：Blue Campus</div></div><p>――教科書を配布したとき、支援者や同世代の方々からはどのような反響がありましたか？</p><p>大沼：いままで海洋問題に興味がなかった子が、この教科書を通して興味を持ってくれたという声をいただけて嬉しかったです。</p><p>また教科書内には「高校生がこの本を作るまで」というページを設けているのですが、それを読んだ人から「課題に対するアクションの起こし方や、伝え方の参考になった」と言っていただけたことも、励みになりました。</p><p>片岸：同世代の仲間が教科書を読んでくれて、一緒に海について話す機会が増えたことが嬉しかったですね。</p><p>大人の方からは「海の問題に、こんなに本気で取り組む高校生がいるんだ」と言葉もかけていただき、さまざまな世代の方に良い影響を与えられたのではないかと感じています。</p><p>山本：友だちから「教科書に書いてあるこれってどういうこと？」と、質問してもらえることが増えました。自分たちで起こしたアクションが、誰かの最初の一歩につながっていると実感できて嬉しいです。</p><p>中島：教科書を届けに訪れた学校の先生から、「ぜひ授業で使いたい」と言ってもらえたことが素直に嬉しかったです。当初のターゲット層を超えて「Blue Campus」が海について考える“2人目”を生み出すことができたと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_13-726x1024.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_14-726x1024.jpg">「高校生がこの本を作るまで」には、社会課題へアクションを起こすためのヒントが詰まっている。画像提供：Blue Campus</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e9dc053bf0056ba16a6938e67410442f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「Blue Campus」を世界規模の団体に成長させたい</h2><p>――教科書の制作や配布を通して、得た学びや気づきはありますか？</p><p>大沼：高校生が社会課題に向けたアクションを起こすことは、あらゆる世代に「高校生が頑張っているのだから自分たちも頑張ろう」と思わせるきっかけとなるのだと気付きました。</p><p>これは海の問題に限らず、あらゆる社会課題を解決に導く上でとても意味のあることだと思っています。</p><p>片岸：教科書を作る側に回って、初めて「伝えること」と「伝わること」の違いに気付くことができました。そのおかげで、より海の問題を自分ごとにできたと思います。</p><p>山本：海の変化をどう伝えていくべきか、これまで以上に深く考えられるようになったと思います。またクラウドファンディングを通して、自分の発信する言葉には責任があることにも気付けました。</p><p>中島：行動力のある先輩方と一緒に活動したことで、これからの自分の目指す姿が明確になりました。似たような志を持つ高校生とチームとなって活動できたことも、自分の自信につながりました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_15.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_16.jpg">海洋問題の教科書は、多くの同世代から共感を得ている。画像提供：Blue Campus</div></div><p>――皆さんの今後の目標を教えてください。</p><p>大沼：「Blue Campus」を世界スケールの団体にしていきたいと考えています。個人としては、研究者として藻場の観測研究を進めていきたいですね。</p><p>片岸：「Blue Campus」代表として、「50年後も豊かな海と暮らしていけるように同世代の仲間とつながり、海へアクションを起こす」という理念を大切に、教科書をアップデートしていきたいと考えています。</p><p>また個人的には大学受験を迎える大切な1年でもあるので、これまで学んできたことを整理して、自分の未来につなげていけるように準備していきたいです。</p><p>山本：これからは日本の海だけでなく、世界の海も含めて活動していきたいです。そして、いつまでも大好きな釣りができる未来を実現させたいですね。</p><p>中島：私は、引き続き「Blue campus」のメンバーとして、高校生の視点から海洋問題について伝え続けていこうと思っています。将来的には海洋研究機関に所属し、研究者として教育啓発に関わっていきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/BlueCampus_17.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_901955aae9996981610ba744145f96e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会課題を解決するために、若者一人一人ができること</h2><p>最後に、「Blue Campus」の皆さんに、社会を良くするために何か行動を起こしたいと思っている若者に向けて、一歩前に踏み出すためのヒントをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_15a9534c63d8fee9115bf80a8d1f4299" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］常にアンテナを張り、分野を超えてさまざまなトピックに触れる</h2><p>アンテナを張り続けることで、自然とさまざまな社会課題に興味・関心を持つようになる。関心を持つだけでも、立派なアクションの1つ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5274a62392d35a29b7d4e25222e81aa9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］社会課題に対する思いを誰かと共有する</h2><p>「自分はこの社会課題に対してこう思うんだけどどう思う？」と友人に振ってみるのもいい。もし同じ考えを持っていたのなら一緒にアクションを起こせるかもしれない。その思いをSNS発信したら、さらに多くの人に思いが届くかもしれない</p><h2 id="tnf-text-heading-block_96bd983a5c4b597d53cbe0c91f4a6b84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］先駆者のアクションに便乗してみる</h2><p>自分で一から行動を起こすのは「ハードルが高いかも」と思う人は、（「Blue Campus」のような）先駆者を追いかけて、そのアクションを自分でも実行したり、拡散したりするのも大事な一歩</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>社会課題に関する情報を収集する中で、全国から集まって海洋問題に取り組む高校生がいると聞き、「Blue Campus」の皆さんに取材を申し込みました。</p><p>お話を通して、思い切って世の中に思いを発信することの大切さや、それによって誰かとつながり、アクションを広められるかもしれないという可能性を強く感じました。</p><p>小さな一歩でもいい、自分のなかで思いを馳せるだけでなく行動に移すことが、より良い社会につながっていくのではないでしょうか。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>毎日笑顔で過ごしたい！ 「ウェルビーイング」ってなんだろう？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119045/social_good</link>
      <pubDate>Wed, 04 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：日本財団ジャーナル</p><p>10代の今だからこそ読んでほしいトピックをお届けする「ジャーナル＠ソーシャルグッドラボ」。皆さんは、「ウェルビーイング」という言葉を聞いたことがありますか？　</p><p>「ウェルビーイング(Well-being) 」とは、「体や心、生活が満たされ、“幸せだ”と実感できる状態」のことをいいます。1900年代初めごろに生まれた考え方で、1946年にWHO（世界保健機関）が提唱し、世界に広がりました。</p><p>皆さんや皆さんのご家族、お友だちはいま、「ウェルビーイング」でしょうか。悩んでいたり、良い状態になかったりしていませんか？</p><p>今回は、皆さんの人生に欠かせない「ウェルビーイング」の考え方を解説し、皆さんの「ウェルビーイング」を高める取り組みや、皆さんが今日からできることを紹介します。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>この記事のPOINT！</p>「ウェルビーイング」は体と心、社会の健康によって実現するもの日本の子どもたちは、幸福度を示す指標のアンバランスさが目立つ状態にある一人一人の意識や取り組みによって、「ウェルビーイング」になれる<h2 id="tnf-text-heading-block_52dd00b70f03405039975141d800a47b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ウェルビーイング」をつくる3つの要素</h2><p>「ウェルビーイング」は互いに関連する3つの要素からできています。</p><p>1.体の健康病気やけががなく、睡眠と栄養が十分で、元気に過ごせている。「心の健康」「社会の健康」の土台になる要素</p><p>2.心の健康不安やストレスなどに悩むことなく、気持ちが安定しており、ポジティブに生活できている。毎日、充実感や満足感がある</p><p>3.社会の健康良い人間関係を築けている。自分が誰かのために役立つという実感を持ちながら、自分らしく過ごせている</p><p>この3つが揃うと心と体の両方が満たされ、「最高のウェルビーイング」が実現します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_de8856e6f97af3509f8fda5958bb325d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">なぜいま「ウェルビーイング」が注目されているの？</h2><p>「ウェルビーイング」が注目を集める背景には、現代ならではの事情があります。一緒に「ウェルビーイング」の大切さを考えてみましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_75ddae4c4e9f05e91c5706f973783f4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●お金があるだけでは、心は満たされない</h3><p>かつて日本人は、経済的な豊かさ（良い会社に就職し、多くの給料を手にできる状態）を追い求めていました。</p><p>でも、現代は将来に希望を持てない人が増えています。社会が複雑になり、ストレスにさらされ続け、悩みや不安、心に病を抱える人が増えています。</p><p>生活できるお金があって衣食住に困っていなくても、「心は満たされはしない」と、人々は気づき始めました。</p><p>心と体が健康で、社会と自分がつながり、役立っているという実感こそ必要だとの考えから、「ウェルビーイング」に注目が集まっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cf0e6e1cb5ec68d8df0fbe2c21363c8e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「ウェルビーイング」が世界共通の目標になった</h3><p>SDGs（持続可能な開発目標）を知っていますか？　国連が決めた、「世界の課題を解決し、誰一人取り残さないより良い世界をつくろう」という目標です。</p><p>全部で17項目あり、「ウェルビーイング」は3番目の「すべての人に健康と福祉を」として加えられています。</p><p>「すべての人に健康と福祉を」の、“健康”は「ウェルビーイング」の考え方そのもの。“福祉”という言葉には、健康で満たされた生活ができる社会環境を整えよう、との意味が込められています。</p><p>世界各国がSDGsの達成に向け動いていることも、「ウェルビーイング」が注目を集める理由です。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/97226/sdgs" target="_blank" rel="noreferrer noopener">世界の2人に1人が、お医者さんにみてもらえない？（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_465bdf491ac3da1fb544ad68a0485ee7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学校教育でも「ウェルビーイング」を向上させる方針が立てられた</h3><p>社会構造の変化や価値観の変化などにより、学校は多くの困難に直面しています。不登校生や無気力な子どもの増加、いじめなどは、困難が形になって現れたものです。</p><p>学校生活の充実は、子どもの「ウェルビーイング」の実現にとても重要です。一人一人の可能性を引き出す教育や、ペースを合わせた学習の実現などの方針が、文部科学省の「教育振興基本計画（※）」でも触れられています。</p><p>学校もまさに、「ウェルビーイング」の実現に動いている最中なのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_67b16c89a5cbbd48d61e2a0fec315a3f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※文部科学省が作成した「教育振興基本計画」では、2006年に改正された教育基本法に基づき、政府が策定する教育に関する総合計画。今後5年間の国の教育政策全体の方向性や目標、施策などを定めている</div><h2 id="tnf-text-heading-block_1829673edf823b0c3dce17d3a5bed529" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本の子どもの幸福度は36カ国中14位</h2><p>ここで、世界に目を向けてみましょう。</p><p>ユニセフによる「子どもの幸福度ランキング（※）」ともいうべき調査があります。最新の調査結果（2025）から、日本の子どもには両極端な要素が見られることが分かりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_76066e57c4712fb8af811adaf0da0e80" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※ユニセフ「レポートカード 19： 予測できない世界における子どもたちのウェルビーイング」（2025年5月発表）</div><h3 id="tnf-text-heading-block_9603cc12dd0e7148caed3de16a076898" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●体の健康は世界トップ</h3><p>日本の子どもは、身体的健康の調査結果で第1位です。</p><p>子ども（5～14歳）の死亡率は調査対象となった国の中で最も低く、過体重（肥満）も他国と比べて低いスコアを出しています。</p><p>医療体制や健康保険制度が整備され治療を受けやすいこと、良好な食生活や衛生事情によって健康な体を維持しやすいことが、良い結果につながっていると考えられます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2657325fc03e380fa9d7bf2635606742" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●精神的な幸福度は32位</h3><p>精神的幸福度の順位は調査対象36カ国中、32位でした。</p><p>精神的な幸福度は、生活の満足度と自殺率の2つで構成されています。日本は、生活の満足度は他国をわずかに上回るものの、自殺率が極めて高く出ています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_2.jpg">若者（15～19歳）の自殺率の比較。※10万人あたりの人数<p>日本には「生活に不満はなく体も健康、しかし心は悲鳴を上げている」、そんな子どもが多いといえます。</p><p>心と体の幸福度のつり合いがとれていない状態を解消することが、日本が解決すべき課題といえます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f84426d17104944abc2ac66fe04e8909" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学力・社会的スキルは12位</h3><p>学力と社会性を指標とする「スキル」は、36カ国中12位でした。</p><p>日本の子どもの学力的スキル（数学、読解力など）、は対象国全体と比べても高い水準です。ただし、家庭の経済力の差が学力差につながっている点が心配されています。実際、経済的要因による学力格差の指標で、日本は上から8番目に位置します。</p><p>社会的スキルは、「すぐに友だちができる」といった人間関係のスキルです。日本の子どもは他国に比べて社会的スキルが低めで41カ国中29位でした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_3.jpg"><p>専門家によると、日本の現状には3つの要因があるといいます。</p><p>●自己肯定感の低さ日本の子どもは、自分を無条件で「かけがえのない存在」と認める気持ち（自己肯定感）が低い傾向がある</p><p>●人間関係の課題日本の子どもは、身近な人との精神的なつながりが弱く、コミュニケーション不足の傾向がある</p><p>●競争とプレッシャー勉強や受験競争などのプレッシャーが大きい。常にストレスにさらされ、満足度が低下する</p><p>日本の子どもの自己肯定感の低さは、こども家庭庁の調査でも、同じ結果が出ています。</p><p>子どもの心と体の健康は、社会全体で考えるべきテーマ。まずは、私たち自身が「ウェルビーイング」についてくわしくなりましょう。そして、身近な大人に伝え理解してもらい、社会全体の変化につなげていきませんか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_24a0f5a4582a73d2415550b8f659b610" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもの「ウェルビーイング」を向上させる取り組みの例</h2><p>各地で、子どもの「ウェルビーイング」を高める取り組みが実践されています。北海道と東京での実例を見てみましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_398f7bcd301e13c524dc85973ecf95b7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●北海道・中頓別町（なかとんべつちょう）「人生100年学びの拠点・中頓別学園」</h3><p>北海道・中頓別町では、幼少中一貫の義務教育学校「中頓別学園」を2026年4月に開校予定。保育から教育へ、子どもたちが安心して学び続けられる学校としてだけでなく、あらゆる世代を対象とした「人生100の学びの拠点」を目指し、教育委員会、学校、地域が一体となって取り組んでいます。</p>・教育に特化したウェルビーイングの実践事例を、自治体同士で共有<p>中頓別町は、東京学芸大学と5つの自治体が連携する「教育ウェルビーイング研究開発プロジェクト」に参画。各自治体の教育施策や現場に即した独自のウェルビーイング指標の開発に注力しています。</p> ・地域が一体となり、子どもが主体となって学び、成長できる環境づくり<p>中頓別学園の開校に向けて月に1度、「新しい学校づくり授業」を実施。地域の人たちも参加し子どもたちと対話を深めながら、子どもの自ら学ぶ力や、社会を生きるための力を育んでいます。</p>・学びの選択肢を増やす仕組みを取り入れ、一人一人の可能性を伸ばす<p>子どもたちが、自ら選び、調べ、学び合うUDL（学びのユニバーサルデザイン）の視点を導入。一人一人の可能性を伸ばす授業の実践を始めています。子どもたちが「公平」に学び、成長できることを大切にしています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_4.jpg">2025年11月に実施した「新しい学校づくり授業」における「なかとんミーティング」の様子。子どもたちは「人生のウェルビーイング」をテーマに、地域の大人たちと一緒に語り合った。画像提供：中頓別町教育委員会</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_5.jpg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_72d7501d6e9cba2d54f5ce74c2de10b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●東京学芸大学附属竹早中学校「生徒が主体となった未来型の学習空間づくり」</h3><p>パソコン室のリニューアル計画には、生徒（使う人）が設計から参加しています。計画を大人（企業・学校・教員）任せにせず、生徒の声を取り入れた結果、使いやすく愛着が湧く空間となりました。</p><p>子どもと大人が協力し合って、素晴らしい空間が生み出された例です。</p>・生徒の「やりたい」を形にできる空間へ<p>計画の進行時期は、コロナ禍でした。活動が制限される中、「もっといろいろやってみたい」という生徒の思いを形にできるよう、多様な学習を支え創造力を刺激する空間へと改修しました。</p>・型にはまった考え方にとらわれない、家具メーカーを交えたワークショップ<p>「学校」「教室」などの枠にとらわれず、「リラックスして新しいアイデアを生み出す場」にしたいと、家具メーカーと力を合わせました。生徒も会議や改修作業に参加しています。</p>・多様な工夫により、授業での活用が拡大<p>ワークショップから生まれた多様なスペースや家具が、探究学習といった授業に活気を生み出しています。通常教室とは異なる個性的な空間に向かう生徒の足取りも軽いそうです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_8.jpg">新しいものを創造するスペース。画像提供：東京学芸大学附属竹早中学校</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_9.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_71d680b21817dff82a4713285316bb6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ウェルビーイング」を高めるために、何ができる？</h2><p>皆さんが自分自身の「ウェルビーイング」を高めるために、今日からできることはなんでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_622497ac2fba61349794a21df8ba3fb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●安心できる人間関係をつくってみよう</h3><p>「ウェルビーイング」には、安全で安心できる環境と、健全で親しみある人間関係が重要です。</p><p>まずは、友だちの話を否定せず、じっくり耳を傾けてみてください。友だちや親に、自分の正直な感情を言葉にして伝え、気持ちの交流を試みるのも良いアプローチです。交流は、やがて信頼関係につながります。</p><p>失敗しても大丈夫です。失敗はダメなことではなく、次の挑戦への土台。挑戦を歓迎し、互いに認め合える仲間を増やしていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4d015bc112d148edf3c3e109ac84293a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●自分で選ぶ機会を増やしてみよう</h3><p>自己効力感（「自分はできる」という感覚）は、物事の選択で育まれます。日常生活で、意思を持って選択する機会を増やしてみてください。</p><p>「宿題を進める順番を決める」「自主学習のテーマを自分で決める」などは、今日からできる取り組みです。学校の係決めも他人任せにせず、自分が貢献できそうな係を選択するようにしましょう。</p><p>小さな選択を積み重ねるうちに、自己効力感が高まり、自信が持てるようになってきます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_49eb8d2315de667031da542ae871b8c0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●結果も大切だけど、「プロセスの良さ」も振り返ってみよう</h3><p>テストやスポーツの大会など、皆さんの生活は結果（点数・勝敗）に注目が集まりがちです。</p><p>ただ、「ウェルビーイング」には、結果に至るまでの努力や挑戦の承認が大切です。まわりの大人にも、「結果より過程を見てほしい」と伝えてみてください。</p><p>工夫したポイントや、くじけそうなときに踏ん張った気持ちなど、自分の取り組みを丁寧に振り返るうちに、自己肯定感が高まっていくことでしょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f10b859a24eff858e80162dc18d867eb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●心と体の健康を整える習慣をつくってみよう</h3><p>「ウェルビーイング」の土台は、心と体の健康です。自分自身を健やかに保つ習慣も大切にしましょう。</p><p>十分な睡眠と食事は、生活の基本です。そして適度な運動は、心のリフレッシュに役立ちます。</p><p>ゲームやスマホはルールを決め、自律心を持って使います。悩みや不安は早めに周囲に相談し、一人で抱え込まないことも重要です。</p><p>生活が整うと気持ちが安定し、心を保つ自己調整力も向上します。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_af3b7f4e8794c08df8859729ae4b405e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●学校、習い事、地域など、自分にとって「居心地の良い居場所」をつくろう</h3><p>家庭以外に、自分らしくいられる居場所（サードプレイス）をつくりましょう。心地よくいられる空間がいくつかあると、精神的な安定度が高まります。</p><p>学校は、教室以外に図書室や保健室も居場所になります。習い事や児童館、クラブチームなどもサードプレイスに適しています。</p><p>オンラインのコミュニティも良いでしょう。ただし、オンラインコミュニティは安全性に懸念が残るため、親や信頼できる大人と一緒に探すようにしましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/SGL11_10.jpg">皆さんの「ウェルビーイング」は、親や家族、さらには学校や塾、放課後の時間での先生や大人、そして地域の人々とのつながりの中で、安心できる時間や空間があることが大切<p>心も体も満たされた、良い状態を指す「ウェルビーイング」。社会の変化が必要なものもあれば、私たちの心がけで実現するものもあります。いま自分ができることから、取り組んでいきませんか。</p><p>イラスト：白鳥みち子</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考資料：</p><p><a href="https://www.benesse.co.jp/well-being/about/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ベネッセ ウェルビーイングLab「ウェルビーイング(Well-being)とは？ 意味・注目される背景や取り組みをわかりやすく解説」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/kaigisiryo/content/000214299.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「【資料8】ウェルビーイングの向上について（次期教育振興基本計画における方向性）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20230928-mxt_soseisk02-100000597_07.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「第4期（令和5年度～令和9年度）教育振興基本計画」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/news/2025/0081.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ユニセフ「レポートカード19 先進国の子どものウェルビーイング コロナ禍後、急激に悪化」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.unicef.or.jp/report/rc19_jpnhighlights.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ユニセフ「イノチェンティ研究所レポートカード19ハイライト～日本の子どものウェルビーイング～」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/d0d674d3-bf0a-4552-847c-e9af2c596d4e/3b48b9f7/20240620_policies_kodomo-research_02.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭蝶「我が国と諸外国のこどもと若者の意識に関する調査（令和５年度）｜こども家庭庁」（外部リンク/PDF)</a></p><p><a href="https://www.mext.go.jp/content/20240911-mxt_sisetuki-000037979_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「ウェルビーイング向上のための学校施設づくりのアイディア集」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/106446">連載【ジャーナル＠ソーシャルグッドラボ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>なぜ南極の氷は急速に減っているのか。9,000年前の現象からひも解く、氷床融解（ひょうしょうゆうかい）の仕組みとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119067/sustainable</link>
      <pubDate>Tue, 03 Feb 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>南極氷床（※）は地球上の氷の約9割を占め、将来の海面上昇を左右する重要な存在</li><li>約9,000年前の現象解明から、将来的に氷床融解が連鎖的に広がり、想定を超える海面上昇の可能性が示された</li><li>氷床融解は変化を実感しにくいからこそ、長期的な視点で地球環境を捉える姿勢が重要</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_84086ce3dfe7d9b57682ac356ea7b0e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「氷床」とは、広い土地を覆う、厚い氷のこと</div><p></p><p>地球温暖化が進む中、世界各地で海面上昇への不安が高まっています。こうした将来のリスクを考える上で、今注目されているのが、南極に広がる巨大な氷の存在です。南極大陸の上には「南極氷床」と呼ばれる、地球上の氷の約9割を占める大きな氷のかたまりがあります。</p><p>国連の関連組織であるIPCC（※）は、温室効果ガスの排出量が多い場合、2100年までに世界の平均海面上昇は約1メートルにも達すると予測しています。さらに、南極氷床が大きく失われる事態がひとたび生じれば、その影響は予想を超える規模に及ぶ可能性もあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_18705c56fbb7f1612ff241ef37073010" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「IPCC」とは、1988年に世界気象機関（WMO）と国連環境計画（UNEP）によって設立された世界的な政府間組織で、気候変動とその対策に関する科学的な知見を提供している</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyoushou_A.jpg"><p>一方で、極地という過酷な環境ゆえに、氷床融解の仕組みについて本格的な観測と研究が始まったのは、ここ20年ほど。いまだ分からないことも多いのが現状です。</p><p>この記事では、約9,000年前に起きた現象の調査から見えてきた南極氷床の融解の仕組みと、将来起こり得るリスクについて、<a href="https://www.nipr.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国立極地研究所（外部リンク）</a>の菅沼悠介（すがぬま・ゆうすけ）教授に話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00007-1024x682.jpg">国立極地研究所の地圏研究グループおよび総合研究大学院大学教授の菅沼悠介さん。背後のケースには、南極で収集したサンプルが収められている<h2 id="tnf-text-heading-block_098c803f936fddcc61cf93ae8357776c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">南極氷床が、世界の海面上昇と海の環境を左右する</h2><p>――まず氷床とは、どんなものでしょうか。</p><p>菅沼教授（以下、敬称略）：陸地の上に乗っている、巨大な氷のかたまりを指します。雪が積もり、長い時間をかけて押し固められて氷になり、これが何千年、何万年と積み重なって、大陸のサイズにまで成長したものが氷床です。</p><p>南極氷床の面積はおよそ1,400万平方キロメートル、平均の厚さは約2,000メートル、厚いところでは約4,000メートルにも達します。この氷床が全て融（と）け出した場合、全世界の海面は最大で約58メートルも上昇すると考えられているのです。</p><p>そのため、南極氷床の変化は世界中の海面上昇や海洋環境に直結する問題として、国際的にも大きな注目を集めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00005-1024x682.jpg"><p>――氷床融解とは、どのような現象なのでしょうか。</p><p>菅沼：氷床が融けたり、壊れたりすることで量が減っていくことを指します。</p><p>南極は平均気温がとても低く、高所では年間平均でマイナス40度からマイナス55度と極寒です。そのため、まだ気温の上昇によって氷の表面がどんどん融けていく段階には達していません。</p><p>南極氷床が縮小する主な要因は、海と接する部分で起きる変化です。海に浮いている氷「棚氷（陸上の氷が海上に突き出した部分）」の底面が海洋の熱で融ける「底面融解（ていめんゆうかい）」と、氷が割れて崩れる「分離」。南極氷床は、主にこの2つの要因によって減っていきます。</p><p>――この氷床の融解は、急速に進んでいるのでしょうか。</p><p>菅沼：氷床全体の変化を把握できる衛星観測が本格的に始まったのは2000年代に入ってからで、それ以前の状況はよく分かっていません。南極氷床はあまりにも巨大で、現場での観測が難しく、衛星による上空からの観測に頼らざるを得ないからです。</p><p>しかも、氷床の重要な変化は、棚氷の下など氷や海面の下で起きているため、上空から衛星で観測するだけでは全体像を捉えにくい。南極氷床は変化を把握すること自体が難しい存在なのです。</p><p>ただ、2000年以降のデータを見る限りでは、少なくとも氷床融解は「加速しているように見える」状態にあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00002-1024x578.png">南極氷床の氷の量の変化を示しており、年々減っている傾向が見て取れる。出典：NASA and JPL/Caltech<p>菅沼：その一例が、2002年に起きた「ラーセンB」と呼ばれる南極半島の棚氷の崩壊です。</p><p>鳥取県の広さに近い面積（※）が、わずか数週間で一気に失われました。これは氷が徐々に融けるのではなく、壊れることで急激に縮小する可能性を示し、研究者たちに大きな衝撃を与えました。</p><p>こうした崩壊は、数週間から数日という非常に短い期間で起こる場合もあり、大きな変化が突然起き得るということを示しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_fdf24f725f65d3f44c6418dc9421b639" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※ラーセンB棚氷から分離した氷山の面積は3,250平方キロメートル、鳥取県の面積は3,507平方キロメートル</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00003.jpg"></div><p>――氷床融解は、世界にどんな影響をもたらすのでしょうか。</p><p>菅沼：大きく分けて、「世界的な海面上昇」と「海洋循環（※）の変化」の2つが挙げられます。</p><p>まず氷床融解による海面上昇についてですが、南極氷床は地球上の氷の約9割を占めており、その巨大な氷が融けて海に流れ込むことで、世界の海面は大きく上昇します。東京や大阪、ニューヨークなどの沿岸都市や、低地に広がる農業地帯にも深刻な影響が及ぶ可能性があります。</p><div id="tnf-text-notes-block_130d0e4ce75003046c0273f43195ee15" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「海洋循環」とは、海水が長い時間をかけて世界の海洋を大きく循環すること</div><p>「海洋循環の変化」についてですが、氷床が融けると、南極大陸周辺の海域に大量の淡水（※）が流れ込みます。淡水は海水に比べて軽いので、海洋にふたがされるような状態となり、その影響で、海の大きな流れが弱まる可能性が指摘されています。</p><p>海洋循環は、深海から表層へ栄養分を運ぶ役割も担っています。その流れが弱まると、プランクトンの生産が減少し、魚類にも影響が及びます。これによって世界的な食料問題につながる恐れがあります。</p><p>また、海洋循環は地球の熱を運ぶ役割も担っているため、その変化は各地域の気候にも影響します。地球温暖化が進む中でも、場所によっては寒冷化が起こる可能性もあるのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_5a5f6c06f0f48bfa23f1a8db32279ad0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「淡水」とは、塩分をほとんど含まない水。一般に淡水の塩分は約0.05パーセント以下で、海水の塩分は約3.5パーセントとされる</div><h2 id="tnf-text-heading-block_8ead170151dea070aef149f4dfa6b685" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">約9,000年前の現象から見えた「ティッピング・カスケード」</h2><p>――近年「ティッピング・カスケード」という言葉が注目されています。これは、どのような現象なのでしょうか。</p><p>菅沼：「ティッピング・カスケード」というのは、1つの気候変動がきっかけとなり、別の変化を誘発することで、ドミノ倒しのように連鎖的な環境変化を引き起こす現象のことです。</p><p>地球の気候は、いくつもの重要な要素（ティッピング・エレメント）によって成り立っています。それらは互いに影響し合っているため、どれか1つが大きく変わると、それをきっかけに別の変化を呼び起こすことがあるのです。</p><p>――その「ティッピング・カスケード」が、南極でも起きていた可能性はあるのでしょうか。</p><p>菅沼：私たちが2019年から2020年にかけて行った南極調査の結果によって、それが明らかになりました。</p><p>現在の観測では、南極氷床がすでに大規模に融解するような状態にあるとはいえず、また将来どのような条件で大規模な融解が発生するのかは分かっていません。</p><p>そこで、その手がかりを得るために、約9,000年前、実際に氷床が大きく融解した時代に何が起きていたのかを調べました。その結果、水深1,000メートル以下から500メートルぐらいまで湧き上がってくる暖かい深層水が南極沿岸に流れ込み、棚氷を崩壊させたことで、内陸の氷床が流れ出し、大規模に縮小したことが分かりました。</p><p>さらに重要なのは、この場所が最初の引き金ではなかった可能性があるという点です。別の地域で先に氷床の融解が始まり、その影響が連鎖する形で、この地域にも変化が及んだ可能性が見えてきたのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00008-1024x766.jpg">2019年に南極で行われた調査の様子。堆積物の解析から、約9,000年前に氷床が縮小したメカニズムを、菅沼教授を含む研究チームが解明した。画像提供：産業技術総合研究所<p>――約9,000年前の南極では、どのような仕組みで氷床融解が連鎖的に進んでいったのでしょうか。</p><p>菅沼：ここがとても重要なので詳しく説明します。この連鎖のカギになるのが、氷床が融けて生まれる淡水と、南極特有の「海が混ざりにくい」性質です。</p><p>通常、海では冷たい水は重くなって沈み、温かい水は軽くなって上にとどまります。しかし南極周辺では、温度よりも塩分の違いが、水の重さに大きく影響します。</p><p>氷床が融けて流れ出した淡水は、非常に冷たいものの、塩分を含む海水より軽いため、沈まずに海の表面を覆うように広がります。いわば、海の上部に「冷たい淡水のふた」がある状態です。</p><p>その下の水深400〜500メートルほどの深さには、水温が約1度の比較的暖かい深層水が入ってきます。本来であれば、表面の冷たい水と混ざって冷やされますが、「淡水のふた」ができることで混ざりにくくなり、暖かいまま棚氷の底面まで入り込みやすくなるのです。</p><p>その結果、海水が棚氷の裏側を融かす「底面融解」が進み、棚氷が崩壊します。その結果、内陸の氷床の流出が加速し、大規模に氷床が縮小していきます。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00001.png"></div><p>――そうすることで、連鎖的な融解が進んでしまうということでしょうか。</p><p>菅沼：はい。「底面融解」が進めば、氷は薄くなります。そして氷が薄くなれば棚氷は壊れやすくなり、崩壊によってまた大量の淡水が生まれます。その淡水が再び海の表面を覆い、さらに暖かい水が氷床の底面に入り込みやすくなる。</p><p>こうして、「氷が融ける→淡水が増える→さらに氷が融けやすくなる」という循環が繰り返され、融解と崩壊が雪だるま式に起こっていくのです。</p><p>さらに問題なのは、この連鎖は1つの場所にとどまらないということ。南極沿岸を流れる海流に乗って淡水が広がれば、ある場所での融解が、別の場所の融解を引き起こす可能性があるのです。まさに、ドミノ倒しのように広がっていく「ティッピング・カスケード」です。</p><p>約9,000年前の南極では、実際にこの仕組みが働き、棚氷の崩壊と内陸氷床の大規模な流出が同時に起きた痕跡が残されていました。この過去の記録は、将来、南極で同じように連鎖的な融解が起こり得ることを示す、極めて重要な手がかりです。</p><p>――連鎖的な融解が止まる可能性はあるのでしょうか。</p><p>菅沼：氷が減ることで、地面が持ち上がり、海と接する部分が減ることで融解が弱まる仕組みはあります。ただし、こうした動きはとてもゆっくりで、数千年近い時間がかかるため、短期的にはこの仕組みは働かないだろうと考えています。</p><p>――菅沼教授が実際に現地を訪れたからこそ、地球の未来に対して強く感じている危機感があれば、教えてください。</p><p>菅沼：私が最も強く感じているのは、「体感できる頃には手遅れになる」ということです。</p><p>南極氷床はあまりにも巨大なため、その変化を人の目で捉えることは困難です。つまり、全体が減っているのか増えているのかを、人間の感覚で判断することはできないということです。</p><p>それでも変化は確実に進み、もし誰もが実感できる段階に入ったときには、すでに取り返しがつかない状況になっているかもしれません。</p><p>もう1つは、こうした長期的なリスクに対して、社会全体として将来を見据えた判断が十分に行われていないことへの危機感です。</p><p>海面上昇の問題は、今の時代に意思決定を担う人にとっては、「自分が生きていない未来」の出来事かもしれません。だからこそ、短期的な視点だけでなく、長い時間軸で未来を考える姿勢そのものが、社会に求められているのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/hyosho00006-1024x682.jpg">約9,000年前に起きた南極氷床大規模融解の原因解析は、菅沼教授をはじめ、産業技術総合研究所、海洋研究開発機構、東京大学、高知大学、北海道大学、青森公立大学などの研究者からなる研究グループによって行われた<h2 id="tnf-text-heading-block_b9a79803c7c91a2011218c3c59f33e1a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">南極氷床の融解を周知し、地球環境を身近に考えるために私たち一人一人ができること</h2><p>菅沼教授から、地球環境を身近に考えるために、私たち一人一人にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_008424e6d8d3cbf7c3910160c79a35e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］見えないことを、知識で補い、自分ごととして知ろうとする</h2><p>南極や深海で起きている変化は、私たちの日常ではもちろん、人間の感覚では体感することすらできない。だからこそ、研究者が発信する情報や報道に触れてみる。見えない変化を自分ごととして知ろうとする姿勢が、地球環境を身近に考える出発点となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f4805e7bd7ff4005712b46ba05441555" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］50年後、100年後の地球を地続きの未来として想像する</h2><p>氷床融解や海面上昇によって、今すぐに大きな影響を受ける人が少ない一方、その影響は長い時間をかけて確実に蓄積し、将来の社会に重い負担として現れる。遠い未来の暮らしや環境問題を「今の判断の積み重ね」として捉える</p><h2 id="tnf-text-heading-block_100db0acf7de898d3080268de147a0cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］長期的な視点を重視する社会の選択を支える</h2><p>環境問題の解決には、個人の努力だけでは限界があり、社会全体の意思決定が長期的に積み重なることで、将来の姿が形づくられていく。短期的な利益や成果だけでなく、将来を見据えた考え方や取り組みを大切にする社会を選び、支えていくことが求められている</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>海面上昇のリスクの中でも、もっとも大きなカギを握るのが南極氷床の融解だと知り、菅沼教授にお話を伺いました。</p><p>海面上昇や気候変動は、どこか遠い未来の出来事のように感じていましたが、菅沼教授が語った「体感できる頃には、すでに手遅れかもしれない」という言葉は、今を生きる私たちの判断そのものを問いかけているように感じました。</p><p>長い時間軸で物事を考える視点を持って、私たち一人一人が生きていくことで、次の世代、そのまた次の世代が安心して暮らしていける未来を実現できるのではないかと感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3c52138d1772e81ab6035910ddf83a30" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_bf75ee32a2615d5493681da045ff1e51" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">菅沼悠介（すがぬま・ゆうすけ）</h3><p>国立極地研究所および総合研究大学院大学教授。地質学・古地磁気学を専門とし、南極や北極の氷床変動や過去の地球環境の解明に取り組む研究者。これまで7回にわたり南極での現地観測に参加し、氷床上での調査や海底堆積物の分析など、過酷なフィールドワークを重ねてきた。特に約9,000年前の南極で起きた大規模な氷床融解の痕跡を明らかにし、将来起こり得る連鎖的な氷床崩壊「ティッピング・カスケード」の可能性を示した研究は、国際的にも注目を集めている。現在も、南極氷床の不安定化メカニズムの解明を通して、地球環境の未来を見据えた研究を続けている。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>どんぐり育成が「命を守る」一歩に。林業従事者以外も巻き込む、土砂災害による人的被害ゼロへの道</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/119025/sustainable</link>
      <pubDate>Fri, 30 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>林業の資金・人手不足の問題が、土砂災害の被害増加につながっている</li><li>ソマノベースは「森や林業を身近にする」取り組みを通じ、土砂災害による人的被害ゼロを目指している</li><li>山間部に住んでいなくても、土砂災害の当事者になり得る。地域の山を「遠い自然」から「守るべき対象」へ変える意識が不可欠</li></ul><p></p><p>近年、豪雨や台風の影響により、日本各地で土砂災害が相次いでいます。気象庁が公表している<a href="https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/ccj/2025/html_honpen/cc2025_honpen_5.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「日本の気候変動2025」（外部リンク）</a>によると、1980年頃と比較し、2015年から2024年の10年間の大雨発生頻度は約2倍増加。併せて大雨の強度も全国平均で高まっています。</p><p>気候変動が進む中、土砂災害による人的被害をいかに減らすかは、重大な社会課題となっています。</p><p>こうした課題に、森づくりという視点から向き合っているのが<a href="https://somanobase.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社ソマノベース（外部リンク）</a>。和歌山県を拠点に、ユーザーが育てたどんぐりの苗を山に植えるプロジェクト「MODRINAE（戻り苗）」を展開し、森を身近に感じる体験の提供と、災害に強い山づくりの両立を叶えています。</p><p>今回は、代表取締役CEOの奥川季花（おくがわ・ときか）さんに、土砂災害による人的被害を減らすための取り組みや、林業が抱える問題解決のために必要なことを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c7c377dac32a3530f7856b4528606621" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">土砂災害の背景にあるのは林業が抱える課題</h2><p>――ソマノベースは「土砂災害による人的被害をゼロにする」ことを目的に設立されたとのことですが、そもそも土砂災害はどうして起こるのでしょうか。</p><p>奥川さん（以下敬称略）：土砂災害は、大きく分けて「表層崩壊」と「深層崩壊」の2つに分けられます。</p><p>表層崩壊は、山の表面から1〜3メートルほどの浅い部分が崩れる現象で、雨量や地質に加え、斜面に木が生えているかどうかが大きく影響します。樹木の根は土壌を網目状につなぎ、雨水による流出を抑える役割を果たすため、植林や適切な森林管理によって、発生のリスクを下げることができるんです。</p><p>小さな土砂流出でも、ダムに堆積すれば貯水容量が減り、大雨時の洪水リスクが高まります。山で土砂の流出を抑えることは、流域全体の安全につながるのです。</p><p>一方、深層崩壊は、より深い地層から山全体が崩れる大規模な災害で、主な要因は地質構造や極端な豪雨です。現時点では人の手で直接防ぐことは難しく、ダム整備や避難計画など、被害を最小限に抑える対策が中心となります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano000023.jpg"><p>――土砂災害への対策について教えてください。</p><p>奥川：深層崩壊のような大規模な災害は、地質や極端な豪雨が原因となるため、避難体制の整備や情報伝達など、「災害が起きた際に被害を最小限に抑えるための対策」が中心となります。</p><p>一方で、表層崩壊については、人と自然の関わり方次第でリスクを下げることが可能です。重要なのは、山を使いっ放しにせず、きちんと次につなげていくことです。木を切ったら植える、成長に合わせて間伐を行うなど、基本的な森林管理が続けられていれば、雨水の流出を抑え、土砂の崩落を起こりにくくすることができます。</p><p>しかし、こうした管理が行き届かない山が増えているのが現状です。本来は防災機能を持っているはずの森が、その役割を果たせなくなっているんです。</p><p>だからこそ、山の管理を一部の専門家だけに任せるのではなく、社会全体でどう支えていくかを考えることが、これからの土砂災害対策には欠かせないと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00004.jpg">取材に対応いただいたソマノベースの奥川さん。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――国内の林業における課題も関係しているのでしょうか。</p><p>奥川：そうですね。林業が抱える課題は複合的ですが、なかでも林業全体の経済的困窮と、木を切ったあとに植え直す「再造林」の停滞が大きな問題です。</p><p>木材価格は長期的に下落しており、50年かけて育てた木でも、丸太1本あたり2,000円から3,000円程度にしかならないケースもあります。この水準では伐採して売ることはできても、その後に苗を植え、山を更新するための投資にまでお金が回りません。</p><p>さらに、安価で安定供給される外国産木材との競争も厳しく、国産木材を選ぶ積極的な理由を見出しにくい状況があります。その結果、伐採後に再造林されずに放置される山が増え、悪循環が続いているのです。</p><p>――産業を支える人の面では、どのような課題がありますか。</p><p>奥川：労働環境の厳しさと人材不足も深刻です。林業は全産業の中でも死傷者数が多く、危険性の高い仕事とされていますが、この状況は長年大きく改善されていません。</p><p>収益性も低いため十分な人員を確保しづらく、結果として効率を優先せざるを得ない場面があります。その過度な効率化が、かえって安全面のリスクを高めるという問題が生じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00001.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2275fcbfc917b5f4214d0dd9ed3c782a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">森を育てる体験が、防災を「自分ごと」に変える</h2><p>――これらの課題に対して、どのような解決策が考えられるのでしょうか。</p><p>奥川：全ての課題に共通して私が大切だと思うのは「山の手入れを、限られた専門家だけの仕事にしないこと」です。専門知識や体力が必要な林業の現場は、どうしても関わる人が限られ、担い手不足が加速してきました。</p><p>そこで重要となるのが、山づくりへの関わり方を分解し、入り口を増やすことです。いきなり山に入って作業をする必要はありません。苗を育てる、植林に関心を持つ、地域の山の現状を知る。そうした小さな関わりが、山を放置しないための土台となります。</p><p>林業の外から、異なる専門性を持つ人たちが関わりやすくすることも重要です。</p><p>――そのためにソマノベースが行っていることを教えてください。</p><p>奥川：ソマノベースの代表的な取り組みが「MODRINAE（戻り苗）」です。「MODRINAE」は、誰にとっても身近であるどんぐりから苗木を育て、成長したところでそれを山に返して植える仕組みです。</p><p>現在は和歌山県、北海道、東京都の3拠点でプロジェクトを展開し、それぞれの地域の気候や山林環境に適したどんぐりの樹種を選定しています。</p><p>森づくりを専門家だけのものにせず、誰もが楽しく、主体的に参加できる防災の形を目指しました。森の一部を育てる体験を通して、防災を「自分ごと」として感じてもらう。その積み重ねが、林業が抱える課題解決や、土砂災害による人的被害の軽減につながると信じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/2.png">「MODRINAE」は公式サイトから誰でも購入できる。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――プロジェクトは、どのような流れで進んでいくのですか。</p><p>奥川：「MODRINAE」は公式サイトでどなたでも購入が可能で、最初に木の鉢、どんぐり、土のセットが届きます。苗木を育てる目安は約2年間。30センチほどの大きさまで成長したところで、郵送で返送、もしくは毎年開催される植樹ツアーに参加し、自らの手で山に植えることも可能です。</p><p>山に植えられた苗木は、ソマノベースや地域の林業家が仕事として引き継ぎ、継続的に管理し参加者が育てた苗を植えて終わりにせず、プロの手で守り育てていく体制が整えられています。</p><p>苗を送り出した後は、どんぐりと土のみを再購入し、次の育成サイクルを始めることもできます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_70b83c1b43e6cdff9082bb3f036b358c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">林業を開く「架け橋」へ、人と森をつなぐ新しい仕組み</h2><p>――一般の方を巻き込む仕組みづくりは、これまでの林業の常識にとらわれないものだと感じます。</p><p>奥川：災害や人手不足など、林業が抱える課題は30年以上大きく変わっていないと言われているんです。異なる専門性や視点を持つ人材が関わることで、これまでになかった発想や仕組みが生まれる。その積み重ねが林業の抱える課題解決につながると捉えています。</p><p>ソマノベースのメンバーも、林業現場の出身者だけでなく、デザインやプログラミングなど、他分野のバックグラウンドを持つ人がほとんどです。</p><p>――林業に多様な視点を取り入れ、業界をさらに開いていくための具体的な取り組みも教えてください。</p><p>奥川：ソマノベースは「専門性が高い」という林業のイメージを覆し、山に関わりたいと願う人や企業の「架け橋となる存在」を目指しています。</p><p>「MODRINAE」の他、定期的に企業を巻き込んだセミナーなどを開催しています。外からは見えにくい林業の複雑な構造や、他社・他地域の取り組みを積極的に共有することで、企業や個人が参入しやすい土壌づくりを進めています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/somano00002.jpg">ソマノベースの植林会の様子。画像提供：株式会社ソマノベース<p>――既存の防災活動に対しては、どのような点に問題を感じていますか。</p><p>奥川：土砂災害対策に関わる中で、防災訓練やセミナーの参加者が高齢者の方に偏っている現状を目の当たりにしました。若い世代や、防災に関心を持ちにくい層には情報が届いていません。このままでは人的被害を減らせないのではないか、という危機感を抱きました。</p><p>老若男女関係なく、多くの人がより気軽に関われるオープンな情報発信の必要性を感じています。</p><p>――最後に、土砂災害による人的被害を減らすために、社会としてどのような方向を目指すべきだと考えていますか。</p><p>奥川：土砂災害による被害を減らすためには、インフラ整備や避難計画といった行政主導の対策だけでなく、一人一人が防災を「自分ごと」として捉えられる社会をつくっていくことが重要だと感じています。</p><p>これまで、林業や防災対策は専門性が高く、限られた人だけが関わる分野になりがちでした。しかし、山の管理や防災の問題は、私たちの暮らしと切り離せるものではありません。森や山と日常的に関わる人が増えれば、災害リスクへの理解も自然と深まり、いざという時の行動にもつながります。</p><p>将来的には、年齢や立場を問わず、多くの人が森や防災に関心を持ち、情報を共有し合える状態が当たり前になること。その積み重ねが、土砂災害による人的被害を限りなくゼロに近づけられると考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_587d38fb50ea2fe74ffa20380c5ebe9c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">土砂災害による人的被害を減らすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に奥川さんに土砂災害による人的被害を減らすために、私たち一人一人ができることをお伺いしました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8afa74a651ad0bea7b695e2320630713" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］自分の住んでいる地域が、どの山とつながっているのかを調べる</h2><p>土砂災害は、山間部だけの問題ではない。都市部を含む多くの住宅地は、山や川の「下流」に位置している。自分の暮らす場所が、どの山や流域とつながっているか、その視点を持つだけで、災害は遠い出来事ではなく、身近に起こりうると認識できる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_869797bf78c34ea1c55c52c85eac4ae0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］身近な自然に目を向け、できることから関わってみる</h2><p>防災や森づくりは、特別な知識がなくても始められる。例えば、街中でどんぐりを拾い、土に埋めて育ててみる。そんな小さな行動でも、植物の成長を通じて「森」や「山」とつながる感覚を持つことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_208f0ec56de3891b02ec1f8b08ada187" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］楽しみながら、森や山とつながり続ける</h2><p>登山やハイキングなど、レジャーとして山を楽しむことも立派な関わり方の一つ。さらに、植林ツアーや保全活動への参加、応援したい山への寄付など、関わり方はさまざま</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>クマの被害のニュースを見て、山林の荒廃が気になり、ソマノベースを知りました。</p><p>豪雨や土砂災害が毎年のように報じられるなか、「森を育てること」が私たちの日常とどう結びつくのかは、どこか遠い話に感じられがちです。しかし、どんぐりを拾い、育て、森へ返すソマノベースの取り組みは、自然と人との距離を確かに縮めていました。</p><p>土砂災害を防ぐための森づくりは、特別な人だけのものではありません。このプロジェクトは、私たちの意識を変えるきっかけとなるプロジェクトだと感じました。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>高齢者と若者が共生して暮らす。新しいかたちの「多世代型コミュニティー住宅」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118772/inclusive-society</link>
      <pubDate>Tue, 20 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>高齢化が進む現代社会。高齢者の多くが年齢を理由に賃貸住宅への入居拒否を経験している</li><li>ノビシロハウスは多様な人々が支え合いながら暮らす「多世代コミュニティー型集合住宅」</li><li>老いや死をタブー視せず、多世代が互いに「生き方を学ぶ場」としてのコミュニティーを目指す</li></ul><p></p><p>日本では単身高齢者の増加に伴って、「保証人が見つからない」「年齢を理由に賃貸契約を断られる」といった理由で住宅を借りられない高齢者が増えています。地域コミュニティーの希薄化により、孤立や孤独死のリスクも深刻化しています。</p><p>一方、管理されないまま放置される空き家が増加する「空き家問題」も加速しています。</p><p>こうした複数の課題に同時に向き合う取り組みとして、株式会社ノビシロが神奈川県藤沢市・亀井野で運営する多世代型コミュニティー住宅「ノビシロハウス」が注目されています。</p><p>入居者は個別住居で一人暮らしをし、若者はソーシャルワーカーとしてノビシロハウスに住む高齢者と関わることで家賃が半額になるという仕組みを導入。月例のお茶会も開き、住民同士がつながり、共生する場づくりも行っています。</p><p>今回、株式会社ノビシロの代表・鮎川沙代（あゆかわ・さよ）さんに、多世代共生の実践と、地域を巻き込むコミュニティーづくりの工夫を伺い、誰もが安心して暮らせる地域社会を実現するうえで、私たちに何ができるのかを探ります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_e7687a5804841ac14707f3f38b01f2d6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">部屋探しに苦労した経験から、どんな人でも受け入れる不動産仲介業を立ち上げた</h2><p>――改めて、「ノビシロハウス」とはどのような取り組みなのでしょうか。</p><p>鮎川：同じ敷地内に高齢者向けと若者向けの住居が存在する、多世代共生の住まいです。まずハード面では、高齢者の方が最期まで暮らせるバリアフリー設計の住居に加え、地域に開かれた「カフェノビシロ」や、24時間対応の訪問診療クリニックを併設しています。</p><p>そこにソフト面の取り組みとして、若者は「ソーシャルワーカー」として入居し、高齢者の生活をサポートしたり、月例のお茶会で住民同士のつながりをつくったりすることで、若者の家賃が半額になる仕組みを導入しました。</p><p>あくまでアパートで自立した生活を送りながら、医療や福祉にもアクセスが可能な場所です。カフェが日常的な交流のハブとして機能することで、一人暮らしでも孤立しない環境を整えています。</p><p>――なぜ、住まいにそのような仕組みを取り入れたのでしょうか。</p><p>鮎川：人が地域や社会とつながり続けるための「土台」をつくることが目的だからです。</p><p>孤独が心身に与える悪影響は大きく、今の社会では自然に関係性が生まれるのを待っていても解決しません。だからこそ、住まいという建物だけでなく、若者との関わりといった仕組みの両面から、誰かと支え合える環境を設計しました。</p><p>一人暮らしであっても社会との接点を失わない、そんな新しい住まいの形を具現化しています。</p><p>――そもそも、なぜ「ノビシロハウス」をつくろうと思ったのでしょうか。</p><p>鮎川：自身の苦い部屋探しの経験から、社会生活における課題のある方に寄り添う不動産業を始めました。しかし、資産があっても高齢というだけで断られる現実に直面し、大きなショックを受けたんです。</p><p>孤独死や認知症への懸念など管理側の事情も知る中で、根性論ではなく仕組みで解決する必要があると考え、ノビシロハウスをつくりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00005.jpg">ノビシロ代表の鮎川さん。画像提供：ノビシロハウス<h2 id="tnf-text-heading-block_c1420bd0ce7ca2e531cd73fcd2e44ee9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ノビシロハウスが目指す、最期まで暮らせる賃貸</h2><p>――地域コミュニティーが希薄化している現代だからこそ生まれた取り組みだと思います。背景には何があるとお考えでしょうか。</p><p>鮎川：根底にあるのは核家族化だと思います。三世代、四世代で暮らす社会から、個々が独立して暮らすことが前提の社会へと大きく変わりました。生活は便利になった一方で、「一人で老いること」については十分に考えられてこなかったのではないでしょうか。</p><p>かつて家族が担っていた高齢者の介護も、現在は施設に委ねられるケースが増えています。いま80代、90代の方々は、その転換期を最初に経験した世代です。その姿を見てきた60代、70代の方からは、「自分は施設には入りたくない」という声をよく聞きます。</p><p>もちろん、施設での暮らしが合う人もいます。ただ、「高齢者は高齢者だけで暮らす」「地域から切り離す」という形が、全ての人にとって最善なのか。そこに疑問を持つ人が増えていると感じています。</p><p>安心・安全だけでなく、「幸せかどうか」や「社会とつながり続けられるか」という視点で住まいを見直す必要がある。その問題意識がノビシロハウスの出発点です。</p><p>三世代同居のような暮らしを、そのまま現代に戻すことは現実的ではありません。血縁に限らず、価値観の近い他人同士が集まり、親戚のような関係性を築く。そうした多世代の暮らし方が、ひとつの折衷案として受け入れられ始めていると感じています。</p><p>――現在、どのような方がノビシロハウスで暮らしているのでしょうか。</p><p>鮎川：ソーシャルワーカーとして関わっている学生を除くと、年齢層は60代から90代までと幅広いです。年齢ではなく「どのように暮らしたいか」を重視しているからこそ、親子ほど年齢差のある人同士でも無理なく暮らしが成り立ち、多世代を受け入れる場になっていると感じています。</p><p>――ソーシャルワーカーについては、家賃の安さが決め手になっているわけではなさそうですね。</p><p>鮎川：おっしゃる通りです。周辺相場と比べると、多少安いという程度ですので、人と関わることを好まない方にとっては正直面倒くささのほうが勝つと思います。それでも来てくれるのは、やはり「関わり」に価値を感じている若者たちですね。</p><p>ある学生は私が大学で担当している講義を受講していたのですが、もともと高齢者と一緒に暮らす多世代共生の住まいに興味を持っていたそうです。「いろいろ調べた結果、ノビシロハウスの形が一番しっくりきた」と言ってくれました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_6fa5ceb6d17ec7cc74e6bad12618e806" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">暮らしを支えるのは、共感でつながる人の存在</h2><p>――ノビシロハウスのような取り組みを広げるためには、何が必要だと考えますか。</p><p>鮎川：一番大切なのは、考え方に賛同してくれる人を増やすことだと思っています。ノビシロハウスには常駐のスタッフがいるわけではなく、コミュニティーをつくるのは、あくまで住んでいる方たち自身です。</p><p>だからこそ、「誰が住むか」はとても重要になります。そのため、入居希望者とは必ず面談を行いますし、選定にはかなり力を入れています。</p><p>まずは、入居者同士、地域の方々とのコミュニティーづくりを重視する「ノビシロ的な暮らし」に共感していること。高齢者の方は、コミュニティーに参加することに前向きで、若い世代とも自然に関われるかどうかもポイントです。</p><p>――最近では、隣に住んでいる人の名前も顔も知らないまま、次の住居へ引っ越すことも当たり前になっています。地域コミュニティーが希薄化することで、何を失うことになると考えますか。</p><p>鮎川：特に高齢者の場合、体調や生活に変化があっても、周囲に気づく人がいなければ、そのまま深刻な状況につながってしまうことがあります。</p><p>ただこれは、高齢者に限った話ではありません。若い世代であっても、関わりが職場だけ、あるいは誰とも深くつながらないまま暮らしていると、何かあったときに頼れる相手がいなくなってしまいます。</p><p>直接的な助けがなくても、「話を聞いてくれる人がいる」「気にかけてくれる人がいる」という実感があるだけで、心の状態は大きく変わるのではないでしょうか。</p><p>――ノビシロハウス内のコミュニケーションが活発化するために、運営として大切にされている工夫はありますか。</p><p>鮎川：こちらから細かく仕掛けるというよりは、ゆるやかに「集まるきっかけ」を用意するようにしています。例えば、月に一度のお茶会ですね。全員が定期的に顔を合わせる場があると、そこから自然に関係が深まりやすくなるんです。</p><p>現在92歳の入居者様が「昔よく通っていた寿司屋に、もう一度行きたい」と話されたことがありました。それを聞いた若い人たちから「ぜひ私たちも一緒に行きたいです」という声が上がり、結果的にみんなで食事に出かけることになったんです。</p><p>30年以上前に通っていたそのお店は今も変わらず営業しており、大将もその方のことを覚えていて、温かく声をかけてくれました。なじみの店で再会を楽しむ様子を、ご本人がとても誇らしそうにされていたのが、今でも深く印象に残っています。</p><p>――とても素敵なエピソードですね。若い人たちからはどんな声がありますか。</p><p>鮎川：「想像していた関わり方と全然違った」という声をよく聞きます。</p><p>最初は、高齢者の方に気をつかったり、「何かしてあげなければいけない存在」だと思っていたりしたそうです。でも実際に暮らしてみると、自然と仲良くなり、気づけば友だちのような関係になっていったそうです。</p><p>一緒に映画やカラオケに行ったり、ごはんを食べに行ったりする中で、「支える側」「支えられる側」という関係ではなく、年齢の違う友人として関われることが一番良かったという声が多いですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/nobishiro00003.jpg">日頃から顔を合わせる関係性があることが、孤立を防ぐことにつながる<h2 id="tnf-text-heading-block_0edf998a1cd5ae0ef0212b8e1743c9ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「老い」や「死」から目を背けず、「どう生きるか」を考える</h2><p>――「高齢者は優遇されているのではないか」といったバッシングが、SNSを中心に強まっていると感じます。こうした風潮を、どうすれば変えていくことができるとお考えでしょうか。</p><p>鮎川：まず前提として、誰もが歳をとり、いつかは必ず死を迎えます。その当たり前の事実を、何か特別なことや、あるいは避けるべきこととして遠ざけ過ぎてている。それ自体が、世代間の分断やバッシングを生む背景にあるのではないかと思っています。</p><p>かつては「家で老い、家で亡くなる」光景は日常的なものでした。ノビシロハウスでも、入居者様には「ここには最期まで住んでいいんですよ」とお伝えしています。</p><p>誰かが亡くなれば部屋が空き、また新しい人が入ってくる。それは特別な出来事ではなく、暮らしの延長線上にある自然な巡りです。まずは死をタブー視し過ぎないことが大切だと考えています。</p><p>今の若い世代の多くは、祖父母と一緒に暮らした経験がありません。そのため「人生100年時代」といわれながらも、80代以降の暮らしを、どこか彩りのない無機質な時間として、無意識に捉えてしまっている方も多いと感じます。</p><p>しかし実際は、たとえ認知症を患ったとしても、人は楽しみながら生きることができます。そして、その方の人生を周囲で見守り、最期を共に見送ることは、とても温かな体験でもあります。</p><p>そうした姿を、知識としてではなく、日々の暮らしの中で自然に感じてもらえる場所でありたいです。「教育」という言葉は少し大げさかもしれませんが、老いや死を特別なものにしないため、ノビシロハウスを「学びの場」にしていきたいと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b045c09f7fe24ef1820d5b31f222d271" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが安心して暮らせる地域社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に鮎川さんに誰もが安心して暮らせる地域社会をつくるために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_791695a165d2f61278410f30e8b59591" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域の行事や集まりに、顔を出してみる</h2><p>お祭りやイベントなど、自身が住んでいる地域の中で人が集まる場に参加してみる。自然と会話が生まれ、関係性の入り口となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7c46367eb5e8c35ba7fe419ae8f04d48" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］家族や身近な人と、「死」について話してみる</h2><p>「生前葬を行うとしたら誰を呼びたいか」「もしものときはどんな対応をしてほしいか」など、死について日常的に話し合う機会を持つ。老いや死を特別なものにせず、暮らしの延長として語ることが、孤独感を和らげることになるかもしれない</p><h2 id="tnf-text-heading-block_37c7b411ff11dc5b14a7b478154fafbb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］家族だけではなく、近隣の知り合い同士で支え合うという考え方に意識を向ける</h2><p>家族だけで支え合うことは、現代において現実的ではなくなってきている。「他人同士でも支え合える」という考え方や暮らし方へに意識を向けていくことが大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>若者と高齢者のつながりを生む活動を探している中で、ノビシロハウスを知り、今回、取材に至りました。</p><p>「『老い』や『死』を遠ざけるのではなく、日常の風景として受け入れる」。鮎川さんの言葉からは、現代社会が失いかけていた「互助」の真髄が伝わってきました。若者の家賃が半額になるという仕組みはきっかけに過ぎず、その先にあるのは、世代を超えた一対一の関係性です。</p><p>血縁に頼り切れない時代だからこそ、住まいを起点に他人同士がゆるやかにつながるノビシロハウスの試みは、私たちの未来を照らす温かな希望のように感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_2a00e3e6fad797301286a8aa907c3b4a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_0270fea5afd5cc5519694c26129c4cde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">鮎川沙代（あゆかわ・さよ）</h3><p>株式会社ノビシロ代表取締役。1982年佐賀生まれ。東日本大震災を契機に上京し、2012年に株式会社エドボンド代表取締役に就任。一人一人の理想の暮らしの実現に向け、10年以上不動産仲介業に取り組む。2019年に「高齢になるとお金があっても家が借りられない」という社会課題を解決するべく株式会社ノビシロを創業し、代表取締役に就任。2023年、株式会社BAKERUとのM＆Aを締結し、グループ入り。</p><p><a href="https://www.nobishiro.co.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社ノビシロ 公式サイト</a></p><p></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 20 Jan 2026 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>行政と民間の連携で全ての子どもが健やかに暮らせるまちづくり。東京・世田谷区の里親支援センターの取り組みとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118733/social_care</link>
      <pubDate>Thu, 15 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親制度を特別なことではなく当たり前にするため、世田谷区ではまちぐるみの環境づくりを始めた</li><li>2025年より民間機関が支援を包括的に担い、よりきめ細やかな伴走支援が本格化</li><li>家族という言葉に縛られず、子どもの「安心して暮らしたい」という本音に寄り添う、当事者視点に立った広報や支援が必要</li></ul><p></p><p>　</p><p>「社会的養護」とは、保護者のいない子どもや、保護者に監護させることが適当でない子どもを、公的責任で社会的に養育し、保護するとともに、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと。</p><p>こども家庭庁支援局家庭福祉課による2024年の調査<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/6dc5801e/20240614_policies_shakaiteki-yougo_98.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「社会的養育の推進に向けて」（外部リンク/PDF）</a>によると、約4万2,000人の子どもが社会的養護のもとで生活しています。しかし、そのうち里親（家庭における養育やファミリーホーム）の環境で暮らしている子どもは約19パーセント。その他の子どもは乳児院や児童養護施設などで暮らしているのが現状です。</p><p>日本財団ではこうした現状を変えるべく<a href="https://nf-kodomokatei.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子どもたちに家庭をプロジェクト」（外部リンク）</a>を通じて、里親や養子縁組の理解促進などを進めています。</p><div id="tnf-text-notes-block_f2f2b4f1ac32cb54e0afd9deb9a00927" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/17667" target="_blank" rel="noopener">なぜ里親・養子縁組制度が日本に普及しないのか？（別タブで開く）</a></div><p>今回は東京都世田谷区で里親支援事業を担う<a href="https://seta-oya.com/Home" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「里親支援センターともがき」（外部リンク）</a>のセンター長である岩田祐一郎（いわた・ゆういちろう）さんに、これまでの世田谷区での取り組みや、里親制度を地域に根付かせるために必要なこと、直面する課題とその解決の方向性についてお話しを伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d4250b87f2785ddcadb5d03a2e117682" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">■制度の変化とともに、里親支援の拠点としてスタート</h2><p>――「ともがき」は、具体的にどのような業務を担っているのでしょうか。</p><p>岩田さん（以下、敬称略）：「ともがき」は<a href="https://to-iku.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人東京育成園（外部リンク）</a>を母体としており、世田谷区と連携しながら、里親支援センター（※）としての業務を包括的に担っています。現在8名のスタッフが在籍しており、そのうちの多くはもともと児童養護施設で子どもたちを支えていました。それぞれの経験を活かして里親支援に取り組んでいます。</p><p>主な活動は大きく分けて「里親制度の普及促進」「研修の実施」「マッチング」「養育開始後のサポート」「養子縁組成立後の支援」の5つです。</p><p>まず、「里親制度の普及促進」は、制度を知ってもらうための広報啓発活動、相談対応、登録までの伴走支援を行います。</p><p>「研修の実施」は、里親を希望する方や里親に対して、里親としての養育力を高める研修を児童相談所と連携して行っています。</p><p>「マッチング」は、社会的養護を必要とする子どもに対し、適切な里親家庭を検討、提案します。</p><p>「養育開始後のサポート」は、」乳児から中高校生まで、里親家庭それぞれの状況に応じて、子育ての相談関係機関との連携調整や、学校、医療、福祉との橋渡しなど、日常的な生活を支援しています。里親家庭から巣立った18歳以上の若者に対しても、必要に応じて対応します。</p><p>最後に「養子縁組成立後の支援」。子育てに関する支援、家庭訪問、サロン運営、相談援助などを行い、養子縁組成立後の家族を継続的にサポートしています。</p><p>このように、里親に関することを包括的に担う組織が「ともがき」です。</p><div id="tnf-text-notes-block_fe1566ea82f5466d815a70e705cc2366" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2022年（令和4年）の児童福祉法の一部改正により、新たに創設された施設。設置・運営の主体は、地方公共団体、または社会福祉法人等で、都道府県知事等が適当と認めた者と定められている。参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a23cc922-6f03-41a4-a39d-c7bdadaf7adf/9ca98478/20250319_policies_shakaiteki-yougo_tsuuchi_59.pdf" target="_blank" rel="noopener">こども家庭庁「里親支援センターの設置運営について」（外部リンク/PDF）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00008.jpg">世田谷区の養育支援体制図。チームで委託児童を支援する。画像提供：里親支援センターともがき<p>――「ともがき」が立ち上がった背景についてお聞かせください。</p><p>岩田：里親支援センターとしての本格的なスタートは2025年4月ですが、基盤となる活動は2020年に始まりました。</p><p>2020年に世田谷区が児童相談所を開設した際、国の児童福祉法改正によって、里親の支援や普及促進、研修等のフォスタリング業務（里親の普及促進、研修、支援など里親制度を支援する活動のこと）を民間に委託できるようになりました。そこで私たちの法人が普及促進や研修といった一部の業務を受託することになりました。</p><p>その後、3年間は体制を整えながら活動を続け、フォスタリング業務を包括的に担う形へ移行し、さらに国の制度改正と区の準備が整ったことを受け、2025年からは組織体制を「里親支援センター」として再構築し、より広く里親制度を支える役割を担うことになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_032dbb49a32225b15d9abcabab9a90cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度を身近な存在に！ まち全体で支える取り組み「里親子フレンドリーシティ」</h2><p>――里親制度を身近に感じてもらうため、具体的にはどんな広報活動を行っていますか。</p><p>岩田：まずはウェブサイトの運営を軸に、Instagramやnoteなど複数のSNSで情報発信をしています。実際の里親の方に協力してもらい、YouTubeでインタビュー動画を公開したこともありました。紙のチラシやリーフレットも制作し、幅広く広報活動を行っています。</p><p>また、里親制度を「自分ごと」として感じてもらうため、現役里親と直接話せる「里親カフェ」の開催や、商業施設でのマーケット出店、展示なども行っています。</p><p>制度の紹介だけではなく、「なぜ子どもは家庭を離れることになるのか」「そのときどんな思いを抱えているのか」を丁寧に示すことで、より深い理解につなげることが目的です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00007-1.jpg">企画やナレーション、撮影など、世田谷区の里親の協力により完成した<a href="https://www.youtube.com/watch?v=3mQgpFU50aE" target="_blank" rel="noreferrer noopener">YouTube動画（外部リンク/動画）</a>。画像提供：里親支援センターともがき<p>――イベントで大切にしていることを教えてください。</p><p>岩田：子どもたちは、「もとの家庭を離れたあとも「里子」という立場で壁にぶつかることがあります。だからこそ、特別扱いではなく、当たり前に地域に溶け込める環境をつくりたいんです。</p><p>制度の紹介だけでは見えにくい、子どもや実親の複雑な思いも伝えたい。そんな願いから世田谷区は「里親子フレンドリーシティ」を掲げました。</p><p>地域の誰もが子育てを支え合えるまちを目指した結果、今では多くの区民や団体との協力の輪が広がっています。ワークショップの開催や行政計画への反映など、一歩ずつ「誰もが暮らしやすいまち」へと近づいています</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_28e68025afb3b4067d29ce06ccf441d3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">行政と連携し、多様化する課題の解決を目指す</h2><p>――里親支援を進めるうえで、今感じている課題を教えてください。</p><p>岩田：現在の里親制度では、子どもの状況に応じて受け入れられる里親の「受け皿」が十分ではありません。東京都内でも登録家庭はあるものの、実際に子どもを受け入れている里親は限られており、近年増えている中高生の一時的な受け入れや、実親への復帰を前提としたケースに対応できる家庭が不足しています。</p><p>また、養育の難しさも課題の1つです。世田谷区では、経済的には恵まれていても、教育虐待や思春期の葛藤を背景に社会的養護につながる子どもが多く、信頼関係づくりに困難を抱えるケースも少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00003.jpg">「ともがき」の前は児童養護施設で多くの子どもと関わってきた岩田さん<p>――それらの課題を解決するためにどのような取り組みをされているのでしょうか。</p><p>岩田：里親の数を増やすだけでなく、子どもの多様なニーズに合った関わり方を広げることに力を入れています。近年増えている中高生の一時的な受け入れや、数日間のみの受け入れなど、里親にはさまざまな形があることを知っていただけるとうれしいです。</p><p>――多様なニーズに応えられる里親を増やすために、候補者の方々への働きかけや意識の醸成については、どのような工夫をされていますか。</p><p>岩田：里親登録前後の研修では制度や養育知識に加え、「なぜ里親になりたいのか」を見つめ直す自己理解のプロセスを重視しています。児童養護施設での実習や、小児医学・発達心理学・医療的ケアに関する専門的な講義などを通して子どもの背景を具体的に知り、子ども中心の関わりができるよう支援しています。</p><p>また、養育開始後も相談対応や関係機関との連携を継続し、里親家庭が孤立しない体制を整えることが大切です。こうした伴走型の支援を通じて、子どもと里親の双方にとって無理のない関係づくりを目指しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/setaoya00001.jpg"><p>――制度を普及していくうえで、意識している視点や工夫はありますか。</p><p>岩田：普及啓発では、「家族」という言葉を安易に使わないようにしています。子どもが里親家庭を選ぶ理由は、「家族を求めて」ではなく、「より自由に、安心して暮らしたい」といった切実な思いであることも少なくありません。</p><p>そのため広報においても、年齢の低い子どもの写真を強調し過ぎないことはもちろん、大人側の「子育てしたい」という欲求に訴えかけるような表現を避けるなど、「子どもの当事者が見たときにどう感じるか」を常に意識しています。</p><p>今後も子どもの声に立ち返り続けることを大切に、行政や地域と連携して支援を続けていきたいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7aacdaa7d0146e3a1a600e19acb59c1f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度の正しい認識を増やすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に岩田さんに里親制度の正しい認識を増やすために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_acf510a038b3a1ca2bc0b6e57ea8a7a6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］里親制度について正しい情報を知る</h2><p>里親支援センターや支援団体のSNSをフォローし、記事や発信を読み正しい情報を得る。正しい認識を持つ人が増えること自体が、里親制度の理解につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bbe67a9f5e44f2c60677d920ffb2093b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］里親制度の背後にある社会課題を考える</h2><p>里親家庭で暮らす子ども背景には、貧困、ジェンダー不平等、家族の分断など、さまざまな社会課題が重なっている。里親制度がそれぞれの社会課題にどう関連しているのかを理解することが重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4cb6012cd62338274b5f239590330be0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］里親制度にはさまざまな支援の形や方法がある</h2><p>里親制度には、ボランティア参加やイベント運営、広報の手伝いなど、子どもを直接迎え入れなくても関われる役割がある。また短期間の受け入れや特定の年齢層を支える形など、多様な関わり方もある。最初は限られた時間での関わりでも構わない、関心を行動に移す経験が大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>里親制度を扱った記事はあまり多くなく、世田谷区が発信してるのが目に留まり、今回取材に至りました。</p><p>里親制度は「里親になる人と子ども」の関係だけで語られがちです。しかし取材を通して見えてきたのは、その背景にさまざまな社会課題が重なり合い、それらは私たちの身近にもつながっているということでした。どんな子どもであっても、「当たり前に暮らせる環境」が必要である。そのことを改めて考えさせられました。</p><p>行政や民間だけでなく、私たち一人一人もフレンドリーシティの担い手です。「子どもが特別視されないまち」を、自分たちの足元からつくっていきたいと思います。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>楽しいはずのスポーツで子どもが傷つけられる？ 安心安全な環境をつくるセーフガーディングとは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2026/118510/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 07 Jan 2026 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>スポーツ現場では、子どもがハラスメントや機会の不平等に直面することがある</li><li>子どもの権利を尊重し、不適切な扱いから守る｢セーフガーディング｣が注目されている</li><li>子どもの声に耳を傾け、指導者同士が指摘し合える関係性が、安心安全な環境づくりにつながる</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>スポーツ現場では、長年にわたり子どもの人権が十分に守られない側面がありました。その深刻さが広く知られるようになったのは、子どもへの体罰や過度な指導をめぐる問題が相次いで明らかになった2010年代でした。</p><p>2013年には、主要なスポーツ競技団体が「スポーツ界における暴力行為根絶宣言」を発信しましたが、10年以上経った現在も、子どもへの体罰やハラスメントに関する報道は後を絶ちません。</p><p>こうした背景から、近年スポーツ現場で注目されているのが「セーフガーディング」です。セーフガーディングとは、子どもや弱い立場にある人が安心して活動できる環境をつくり、暴力や搾取から守る仕組みや考え方のこと。</p><p>日本でも、子ども支援の現場を中心に導入が進み、日本財団も<a href="https://kodomokihonhou.jp/news/250401_news.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども基本法プロジェクト（外部リンク）</a>の一環としてセーフガーディングを推奨しています。</p><p>今回は、子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングの推進や、誰もが楽しめるスポーツ教室の開催に取り組む、<a href="https://scpjapan.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人S.C.P.Japan（外部リンク）</a>の代表理事・井上由惟子（いのうえ・ゆいこ）さんと、プロジェクトスタッフ・川合みなみ（かわい・みなみ）さんに、子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングの重要性や団体の活動内容について伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00003-1024x683.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a7ec5665ab2eed888d1c51bf3e4cba92" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">スポーツ現場の人権侵害。二度とスポーツができなくなる子も</h2><p>――スポーツの現場では、今なお子どもが人権侵害に遭うことがあるのでしょうか。</p><p>井上さん（以下、敬称略）：残念ながら、2025年現在も大人から子どもに対する暴言や威圧的な指導はなくなっていません。昔から厳しい指導が多い競技や強豪チームだけでなく、どんなレベルやカテゴリーにも存在します。</p><p>スポーツ界では「勝つためには強くならなければいけない」という考えのもと、子どもの人権を軽視した接し方が容認されていると感じます。</p><p>そもそも日本では、習い事や体育の授業など、子どもが関わるスポーツのほとんどで、強くなることを強制されがちです。一方で、勝ち負けにこだわらず純粋に体を動かすことを楽しめる機会はあまり多くありません。その結果、あらゆる場所で運動が得意な子しか楽しめず、苦手な子が引け目を感じる構造になっています。</p><p>川合さん（以下、敬称略）：海外では、スポーツを通じて、自分に対する信頼感やリーダーシップといった内面的な力を育むことに重きを置かれていますが、日本ではその視点が政策の中で十分に位置付けられていない傾向があると感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00002-1024x683.jpg">井上さんは、サッカー選手を引退後、JICA海外協力隊員としてブータンに赴任。帰国後、筑波大学大学院に進学。研究に取り組む傍ら、S.C.P.Japanを設立した<p>――2025年の日本スポーツ協会（JSPO）の発表（※）によると、スポーツにおけるハラスメントの被害者の多くが子どもでした。どういった背景があるのでしょうか。</p><p>川合：まず、スポーツの指導者と選手には明確な立場の差があり、主従関係のような状態になりがちです。そうした状態は、指導者の不適切な行為を招きやすくします。さらに、大人と子どもでは上下関係や力の差が一層生じやすくなり、指導者側は「子どもは大人の言うことを聞いて当然」、子どもは「大人の言っていることは正しい」と思い込んでしまいます。</p><p>すると、子どもは不適切な指導を限界まで我慢し、いずれは耐え切れずに爆発してしまう。食事が喉を通らなくなる子や、練習に出られなくなる子、スポーツと二度と関われなくなる子もいます。</p><p>井上：そして、ハラスメントの直後に症状が出るとは限りません。心の奥に傷が残り、大人になってから影響が出ることもあります。スポーツは本来、ポジティブな体験であるべきもの。スポーツの機会を提供する大人たちは、子どもにネガティブな影響を与えていないかを見つめ直すべきだと感じます。</p><div id="tnf-text-notes-block_4134e3266eacf3ec325f31cee4905175" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※JSPOは、スポーツ現場における不適切行為に対応するため、2013年に「スポーツにおける暴力行為等相談窓口」を開設。寄せられる相談で、小学生・中学生・高校生の多くが被害者となっているという</div><div id="tnf-text-notes-block_857760fa687394575af4513ce121b320" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/105889/sports" target="_blank" rel="noopener">子どもたちにスポーツを心から楽しんでもらいたい。「監督が怒ってはいけない大会」代表・益子直美さんの想い（別タブで開く）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00001-1024x682.jpg"><p>――スポーツの現場では、障害の有無や性別、国籍などによって、参加のしやすさに差が生じることがあるとも聞きますが、実際にはどのような課題があるのでしょうか。</p><p>井上：そうですね。マイノリティを差別する意図がなくても、例えば地域の小学生向けサッカーチームでは、指導者の多くが男性で、メンバーも健常者の男の子ばかりだと、その他の子はどうしても参加しにくくなります。</p><p>川合：実際に「女の子は思春期にスポーツから離れる傾向がある」というスポーツ庁の調査結果（※）もあります。背景には、第二次性徴の体の変化を男性の指導者に指摘されて傷つく、生理の症状について打ち明けられないといった困難が存在すると考えられています。</p><p>そうした機会の不平等やハラスメントを防ぐため、私たちは「セーフガーディング」という考え方を推進しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_e4c066df6ba05dd44730beba55602eaa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：スポーツ庁「平成30年度体力・運動能力調査結果」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00010-1024x682.jpg">S.C.P.Japanでは、「障害・性別・国籍などに関係なく楽しむスポーツ教室」や「障害のある女の子のためのスポーツ教室」などを実施している<h2 id="tnf-text-heading-block_f3470a86b3407faa2d1884d560df7ea8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どものスポーツ現場におけるセーフガーディングとは</h2><p>――子どものスポーツ現場で推進されるセーフガーディングについて教えてください。</p><p>川合：スポーツに関わる全ての子どもたちを、ハラスメントや虐待などの不適切な行為から守り、安心してスポーツを楽しめるようにする取り組みです。ポリシーを策定し、それに則った関わり方を徹底することで子どもの権利を守ります。</p><p>関わり方の例としては「怒鳴らない」「威圧的な態度をとらない」「暴力を振るわない」「密室で大人と子どもが一対一にならない」「一対一での連絡を控える」「不適切なスキンシップや過保護な手助けをしない」などがあります。</p><p>相談窓口の設置はもちろん、相談を受けたあとの対応プロセス、支援体制を整えておくのも基本です。</p><p>――ハラスメントを受けていても、相談すること自体が難しい子もいると思います。そうした状況も想定されているのでしょうか。</p><p>井上：はい。セーフガーディングの担当者は、相談を待つだけでなく、子どもの変化に気づき、自ら声をかける役割も担っています。ただ、担当者だけに任せるのでは不十分です。大人全員が日常的に子どもの様子に気を配ることが重要だと考えています。</p><p>また、「相談窓口があるから大丈夫」と考えるのではなく、通報に至るほど深刻化する前に異変に気づき、改善するのも、組織として欠かせない姿勢です。ハラスメントをしている当人が自らの行為を自覚し改善すること、指導者同士が互いに指摘し合うことも重要です。</p><p>――とはいえ、実際には同僚や上司のハラスメントを指摘しづらい人も多いのではないでしょうか。</p><p>井上：私たちの現場では、毎回活動後に振り返りの時間を設けています。もし不適切な行為があったとしても、すぐに修正できるようにするためです。その際、「誰の何が悪かったか」を問うのではなく、「セーフガーディングの観点から見て、今日の活動はどうだったか」という切り口で話し合い、意見を出しやすくします。</p><p>こういった話し合いも、相互に尊重し合うオープンな土壌がないと成立しません。まずは指導者の大人同士が、互いの意見を受け入れる健全な関係性を築くことが、子どもを守る環境づくりの土台になると考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00007-1024x682.jpg"><p>――ほかにも、セーフガーディングの視点に基づく組織づくりのために必要なことはありますか。</p><p>井上：保護者や子どもを含めた関係者全員を巻き込むことです。いくら指導者が意識して取り組んでいても、一人一人がその意義を理解していなければ、「もっと厳しく指導してほしい」「個別の連絡をくれなくて寂しい」といった不満が生まれてしまいます。子どもを守るための取り組みであると丁寧に説明し、納得してもらうプロセスが欠かせません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00014-1024x576.jpg">子どもの権利を守るため、コーチが大切にする約束を子どもたちや保護者に伝えるリーフレットと、その記入例。画像提供：一般社団法人S.C.P.Japan<p>川合：加えて、リーダーが持つ「組織の文化をつくる力」はとても大きいので、リーダーのマインドセットや振る舞いから変えていくことが重要です。例えば、チームの苦しい場面で、監督が「大丈夫だよ」と声をかけるのか、「おい、何をやっているんだ！」と罵声を浴びせるのかで、チームの雰囲気は大きく変わりますよね。リーダーが威圧的だと、選手間でもそうした関わりが当たり前になってしまい、選手が組織に対して意見しにくい環境が形成されてしまいます。</p><p>井上：かつて当たり前とされていた権威的な指導に頼るのではなく、子ども自身の意思決定を尊重し、主体性を育む指導へと転換していくことも大切です。</p><p>指導者の方々と接すると、「子どもに悪影響を与えたくないが、どう接すればいいのか分からない」という声をよく聞きます。これからは、指導者自身が学び直し、指導法をアップデートしていく姿勢が求められているのではないでしょうか。</p><p>――国内のスポーツ界で、すでにセーフガーディングを取り入れている組織はありますか。</p><p>井上：サッカー界では、ヨーロッパを中心にセーフガーディングが浸透していて、その流れを受けて、日本でもJリーグ（日本プロサッカーリーグ）が導入を進めています。また、日本サッカー協会では、指導者ライセンスの講習会において、セーフガーディングを基礎的な知識として学ぶ機会を設けています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00013-1024x639.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00012-1024x639.jpg">動画はS.C.P.Japanの公式YouTubeで閲覧可能。画像出典：「スポーツにおけるセーフガーディング（コーチの声編）」</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_2b9ed0e2d4e040f620a81d377e09da68" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">スポーツで「誰もが自分らしく生きられる共生社会をつくる」</h2><p>――改めて、S.C.P.Japanという団体について教えてください。</p><p>井上：元サッカー選手らが中心となり、2020年に設立した一般社団法人です。誰もが自分らしく生きられる共生社会を目指し、スポーツを通じて社会課題の解決や子ども・若者の可能性を広げる活動を行っています。</p><p>具体的には、スポーツ指導者を対象としたセーフガーディング研修事業や、誰もが楽しめる運動共育（※）事業などを行っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_5196180bd6229a42bfcd1e72476ac470" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「共育」とは、子どもが成長に必要なことを学ぶだけではなく、子どもと接している大人も共に学び、成長し合うこと</div><p>――セーフガーディング研修とは、どのような内容なのでしょうか。</p><p>井上：基礎編では、現状のスポーツ界が抱える課題を振り返りながら、なぜセーフガーディングが必要なのかをさまざまな視点から考えます。応用編では、実際に取り組みを始めるために必要なことや、問題が起きた場合の具体的な対応方法を学んでいきます。</p><p>国内ではセーフガーディングの考え方が浸透していないので、受講者からは「こんな考え方があることを学べて良かった」「必要性がよく理解できた」といった声が寄せられています。まずは多くの方に知ってもらい、いずれは実践につなげられる人を増やしていきたいですね。</p><p>――運動共育事業ではどんなことをしていますか。</p><p>井上：障害・性別・国籍などに関係なく誰もが楽しめるスポーツ教室、障害のある女の子たち向けのスポーツ教室、障害のある女性向けのサッカーチーム「FC RESIA」の3つの事業を運営しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00011-1024x768.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_abc3aa6ebd8a1379dd57cb58e3ef1205" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">多くの子どもたちに、スポーツの素晴らしさを知ってほしい</h2><p>――スポーツにアクセスしにくい子どもたちは、どんな困難に直面するのでしょうか。</p><p>川合：例えば日本語を母国語としない子は、情報へのアクセスの難しさから、スポーツ活動を含む地域のコミュニティに参加しにくく、他の子どもとうまくなじめないことがあります。しかし、スポーツは言語に頼らなくても成立するもの。共に体を動かし、同じ目標に向かう中で、自然と子どもたちの関係性を深める重要な手段にもなり得ます。</p><p>井上：障害のある子は、一人ひとりの特性やペースが異なるため、集団で同じ形の活動や、長時間指導者の話を聞くことが難しい場面もあります。そのため、ご本人や保護者自身が「自分は（自分の子どもは）ここに居ていいのだろうか」と不安に感じてしまうことも少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00004-1024x683.jpg">スポーツ教室に参加する子どもたちと保護者の皆さん<p>――そうした子どもたちの障壁を取り除くにはどうすればいいでしょうか。</p><p>井上：まずは、誰もがスポーツにアクセスしやすい環境をつくること、そして、アクセスした先で安心できることが重要です。</p><p>例えば、「スポーツ教室」と掲げると、健常者の男の子のための活動と認識されがちなので、チラシに「障害のある子も、女の子も、日本語が苦手と感じている子も歓迎です」という文言を入れる、多言語で発信する、といった広報面での工夫です。</p><p>そして、一人一人の子どもたちが「自分は歓迎されている」と思える環境づくりも大切です。プログラムの内容や指導者の声かけを工夫し、子どもそれぞれに応じた関わり方を意識することが、安心して参加できる土台になります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00005-1024x683.jpg"><p>――最後に、今後のS.C.P.Japanの展望を教えてください。</p><p>井上：スポーツは本来、強力なエンパワーメント（※）のツールです。仲間と力を合わせてチャレンジして、勇気が必要な場面もたくさんあって、失敗しても励ましてくれる人がいる。豊かな体験や心の変化を経験でき、ポジティブな影響を与えてくれます。</p><p>今は、子どものスポーツ現場におけるマイナスな側面をゼロにする活動がメインですが、今後はそうしたプラスの面を届ける活動にも積極的に取り組みたいですね。「スポーツを好きになった」「自信がついた」という子どもを一人でも増やせたらうれしいです。</p><div id="tnf-text-notes-block_fd63c8c62a1db6dc89c0a56a3f3481bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エンパワーメント」とは、立場の弱い人が主体的に社会と関われるよう力を付け、自身の生活や環境をコントロールできるように支援する考え方。英語の「empower（能力や権限を与える）」に由来する</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00009-1024x683.jpg">S.C.P.Japanは、千葉県流山市、柏市を中心に、月1回スポーツ教室を開催している<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2026/01/Safeguarding00008-1024x682.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7a242433bd8f8bc108077e56f22c4ce1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">全ての子どもたちがスポーツを楽しむために、周囲の大人やスポーツ指導者にできること</h2><p>井上さんと川合さんから、全ての子どもたちがスポーツを楽しむために、周囲の大人やスポーツ指導者にできる3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0737d1e06779a73eeb264a37a1984480" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子どもの声や意見を尊重し、主体性を育む</h2><p>大人が一方的に答えを与えるのではなく、子どもの声に耳を傾け、共に考える姿勢が重要。こうした関わりは主体的な判断力を育み、将来さまざまな場面で役立つ。また、対等なコミュニケーションを重ねることで、子どもの変化やSOSのサインに気づきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e5c69da0c48c3fa93d61033f22daf82d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもがスポーツを楽しめる最善の方法を考える</h2><p>指導者は「勝つために強くなるべき」という目標だけに捉われず「この指導は子どもにとって最善か」を問い続ける。幼い頃にスポーツで受けた心の傷は、後年に影響を及ぼすこともある。短期的な成果ではなく、長く安心してスポーツに関われる体験を提供する</p><h2 id="tnf-text-heading-block_adbfb5c4d6323d5df5c80224b25b6b71" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］自身の指導法の長所とセーフガーディングをミックスする</h2><p>自身の指導や組織の文化を見つめ直し、子どもにとって適切でない点は改め、良い点は活かす。学び直しを通じて、指導や振る舞いを改善し、組織に属するメンバーや周囲の指導者同士で価値観を共有することが、安全で健全な環境づくりにつながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>子どもへの過度な指導や暴力に関するニュースを目にし、「なぜ不適切な指導はなくならず、どうすれば改善できるのか」という疑問から取材を行いました。</p><p>特に印象的だったのは、「指導者同士が指摘し合える関係性が重要」というお話でした。子どもを守るためには、まず大人たちが自身の弱さや間違いを認め、対話し合える土壌が必要だという視点は、家庭や職場などあらゆる組織に通じることではないでしょうか。</p><p>セーフガーディングとは、単なる危機管理のルールではなく、私たち大人自身の心に余裕があるか、子どもを一人の尊重されるべき存在として向き合えているかを問い直すための考え方でもあるかもしれません。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>社会課題を「楽しさ」で届けるメディア。さまざまな人の小さな行動や気づきのバタフライエフェクトが社会を動かす</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118390/social_issues</link>
      <pubDate>Fri, 26 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>社会課題を伝えるメディアは敬遠されやすく、関心の広がりを妨げている現状がある</li><li>RICEメディアはショート動画を活用し、「興味のない層」へのアプローチに成功</li><li>「正しさ」よりも「楽しさ」を入り口にすることで、小さな行動が連鎖し社会を動かす</li></ul><p></p><p>日本財団が2024年2月に実施した<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2024/20240403-100595.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">18歳意識調査「国や社会に対する意識（6カ国調査）」（外部リンク）</a>によると、「国や社会の役に立ちたい」と答えた若者は64.3パーセント、「自分の行動で社会を変えられる」と答えた若者は45.8パーセントでした。調査対象となった諸外国と比べると、日本は社会や社会課題に対する意識が低い傾向が見えてきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00004.jpg"><p>このような事象の背景には、社会課題が「真面目で重い」「説教くさい」といった理由で敬遠されやすいテーマであるという点がしばしば指摘されます。情報が飽和する現代において、社会課題に関する情報は、エンタメ性の高いコンテンツと比べて、人々に選ばれにくいことが、関心の広がりを妨げる要因になっているといえるでしょう。</p><p>しかし、社会課題を未認知の層にも情報を届け、結果として若い世代からの支持も集めている動画メディアがあります。総再生回数5.9億回（2025年9月時点）、視聴者の約半数が24歳以下という<a href="https://rice-media.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">RICEメディア（外部リンク）</a>です。</p><p>RICEメディアは「日本で最も面白く社会課題やSDGsを知れるメディア」を掲げ、約1分のショート動画で社会課題を軽やかに楽しく伝えることを特徴としています。<a href="https://www.youtube.com/@RICEMEDIA" target="_blank" rel="noreferrer noopener">YouTube（外部リンク）</a> 、<a href="https://www.instagram.com/rice.media21/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Instagram（外部リンク）</a> 、<a href="https://www.tiktok.com/@rice_media" target="_blank" rel="noreferrer noopener">TikTok（外部リンク）</a>で、忙しい社会人や若者でもつい見たくなる切り口で発信を続けています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00006.jpg">プラスチックごみ問題を伝えるため、<a href="https://www.youtube.com/watch?v=FOo9MV1R1Lc" target="_blank" rel="noreferrer noopener">1カ月プラスチックを使わないという体当たり動画企画（YouTube/外部リンク）</a>にも挑戦。画像提供：RICEメディア<div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回、RICEメディア代表のトムさんこと廣瀬智之（ひろせ・ともゆき）さんにインタビューし、どのようにして社会課題を「見たくなる」形にしているのか、発信の工夫やその根底にある思いを伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/image.jpeg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_0b1674047c0f246310dbb0251722c41b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">忙しく情報に触れられない生活がメディア誕生のきっかけ</h2><p>――RICEメディアを立ち上げたきっかけ教えてください。</p><p>廣瀬さん（以下、敬称略）：最初のきっかけは、フォトジャーナリスト志望だった大学生時代に抱いた違和感です。報道の情報は「興味のある人」には届くのですが、それ以外の層にはなかなか届きづらい。社会課題はとっつきにくく、避けられがちなトピックであるということを感じていました。</p><p>世の中には困っている人がこんなに多いのに、なぜそこに興味を持つ人が少ないんだろう。なぜ多くの社会課題が当事者だけの問題として扱われてしまうんだろう。そして、どうすれば、この社会で生きてる人たち全員で社会課題について考えたり、解決に向けて動いたりできるのだろうか。そうしたことを常に考えていました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/rice00005.jpg"><p>――学生時代からすでに伝わらないもどかしさを感じていたんですね。</p><p>廣瀬：はい。ただ、自分が社会人になってみると、生活に追われてニュースを追えない時期がありました。TikTokやYouTubeなどでエンタメ動画を見るのが精一杯という状態になったんです。</p><p>この経験から、多くの人は社会課題に対してどうでもいいと思っているわけではなく、情報に触れる余裕がない、つまり、「未認知な状態にあるだけなのではないか？」という仮説を持つようになりました。これが、情報が多い現代でも、忙しい人でも見やすい、エンタメ的な入り口から社会課題を発信したいと考えるようになったきっかけです。</p><p>社会課題があることは理解している。でも、「自分にできることがある」と思う人は少ないのかもしれない、という印象です。</p><p>――その要因はどこにあるのでしょうか。</p><p>廣瀬：根本的には教育の形にあると思っています。日本の教育は与えられた答えに従うことや、決まったルールを守ることを重視してきました。また、自分で答えを探していくことや、何かを変えていく成功体験を積む機会が少ないまま育つため、大人になって突然「答えのない問題を解決する側」になるのは難しいんだと思います。</p><p>ただ、成功体験が1つあれば、社会を変えるプレーヤーになれるかというと、そう単純でもありません。継続的に社会課題への関心を保ち続けること、そして知り続けることがとても大切だと思っています。その役割を果たすのがメディアではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5c518e675648f9cb024c07cdb12e6785" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">掲げたのは「社会課題への無関心の打破」</h2><p>――RICEメディアで特に大切にしていることはなんでしょうか。</p><p>廣瀬：僕たちのミッションは「社会課題の無関心を打破する」ことです。そのため、「社会課題に対して興味がない人に届ける」ことを最優先にしており、全てのコンテンツは「どうすれば見たくなるか」を軸に設計しています。</p><p>――具体的にはどんな工夫をしていますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>廣瀬：一番工夫をしているのは動画冒頭の3秒です。RICEメディアの動画は基本的に長さ1分程度のショート動画なのですが、ショート動画では、何割の人がその動画を視聴し続けたかを示す「視聴選択率」というものがポイントになります。冒頭3秒の視聴選択率が5割を切ってしまうと、その動画が見られる可能性はぐっと低くなるんです。</p><p>そのため、冒頭にどの切り口を持ってくるか、どんな言葉で始めるか、表情やリアクションはどうするか、キャッチコピーを何にするか。細かい部分まで徹底的に考えます。</p><p>ただインパクトがあればいいわけではなく、成功法則を一元化できるものでもありません。地道に試行錯誤を重ねていくしかない世界なんです。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/image-1-1.jpeg"></div></div></div><p>――たった3秒の勝負。とてもシビアですね。</p><p>廣瀬：はい。興味のない人に見てもらうという目的を達成するには、作り手の思いだけを軸にした構成ではなかなか難しいです。どうすれば視聴者が自然と見続けたくなるのか、その視点を徹底的に考え抜く必要があります。少しでも面白くないと感じられた瞬間に、画面をスワイプされて、すぐ次の動画へ切り替えられてしまいます。</p><p>社会課題を伝えようとすると、どうしても重くなりがちですが、そうなると「社会のことを考えるのはしんどいから、もう見るのをやめよう」と思われてしまう可能性があり、これは社会的に見てもあまり良いことではありません。</p><p>自発的に「この解決策っていいな」「自分もやってみたい」と思ってもらえるような、気づきの入り口になることをRICEメディアでは意識しています。</p><p>――社会課題を知ってもらいたいと願う団体や当事者は、多くの人に課題を知ってもらいたいと思う一方で、なかなか興味すら持ってもらえないことに悩んでいると思います。この状況はどう打開すればよいのでしょうか。</p><p>廣瀬：社会課題を深く考えたり、実際に行動したりしている方というのは、その課題に対してしっかりアンテナを張っていて、正しく真面目に取り組んでいるからこそ、そういった行動をしているのだと思います。</p><p>この「正しく真面目」はとても大事なのですが、「多くの人に広く届けるエンタメ性」とは必ずしも相性が良いとはいえません。</p><p>だからこそ、「正しく真面目」と、「多くの人に広く届ける」の役割分担が必要だと思います。</p><p>とはいえ、どんな活動でも切り口1つで、多くの人に届く可能性は秘めていると思います。そういう意味で、自身の活動を、「他者が見たときにどう思うか」という視点や、マーケティング的な観点を持つことが重要だと感じます。</p><p>――長く社会課題に携わっていると、一向に社会課題が解決せず、変わらないことに、無力感を覚えることはありませんか。</p><p>廣瀬：僕はあまりないかもしれません。というのも、この活動自体、自分がやりたくてやっているという気持ちが大きいからです。僕は制作したコンテンツが、これまで関心のなかった人の認知や興味を動かす瞬間に、興奮を覚えるタイプで、この気分の良さが何にも勝ります。</p><p>また、社会は一人で変えられるとは思っていません。人類史全体を見ても、一人の力で社会を変えた人など、ごくわずかしかいないはずです。社会は誰か一人の大きな力ではなく、バタフライエフェクト（※）のように、さまざまな人の無数の小さな行動や気づき、アクションが連鎖していくことで、少しずつ変化していくものだと思います。</p><p>だからこそ、今を悲観しすぎず、10年後、100年後の最悪の事態を避けるために、自分にできることを続けるしかないと思っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_ecb368aa802709c174dacb9f771157c3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※小さな変化が時間の経過とともに大きな結果を引き起こす現象</div><h2 id="tnf-text-heading-block_cd5131aa4d29e464f9c735960bdb7e16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会課題を多くの人が認知し、行動していく社会にするために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に廣瀬さんに社会課題を多くの人が認知し、行動していく社会にするために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5cdb0e3b92dbf98a6d954ff32a6f99be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］社会課題に関する情報は自分からシェアする</h2><p>情報は「人を介して広がる」ことで、もっとも力を発揮する。自分がシェアすることで、大切な人や友人に情報が届き、そこから新たな関心が生まれていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8452ab305a9d27d34f1ef3bfa3a30f6e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］社会課題に関わることを楽しむ</h2><p>人は「正しさ」よりも「楽しさ」に巻き込まれやすい。社会課題の取り組みを、自分が楽しみながら実践すれば、周囲に波及効果を生み出すことができる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2e259896e9eaa2cfcb1b8fbbf83d3caf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］知り続ける姿勢を持ち、市民としての役割を果たす</h2><p>関心は時間ともに薄れ、時間を置くと「無関心」となってしまう。これを防ぐためには、忙しいときでも情報やニュースに触れ、知り続ける姿勢が重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>社会課題を扱うメディアは数多くありますが、興味のない層へはなかなか届けられていないのが現状です。そんな中で若い世代へのリーチに成功しているRICEメディアの廣瀬さんにお話を伺いたいと考え、取材をお願いしました。</p><p>印象的だったのは、廣瀬さんが「正しさ」を軸に誰かを責めるのではなく、「楽しい」を入り口に社会課題へ近づける方法を追究していたことです。重いテーマだから届かないのではなく、届け方の工夫次第で可能性は広がる。そして廣瀬さん自身も楽しみながら発信を続ける姿に強く励まされました。</p><p>「正しいから取り組む」ではなく、「楽しいから続けられる」。私たちを含めてその考え方を持つことが、社会を変えていく力につながっていくのだと感じました。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5b25f88bbc5d104953fa0fa3b311cf27" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_0ff5887f14b1cb6f34902c6f69d64090" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">廣瀬智之（ひろせ・ともゆき）</h3><p>RICEメディア 代表。1995年滋賀県生まれ。学生時代報道写真家を志し、取材活動に取り組む。情報過多な現代において、社会的な発信が届きづらくなっている現状に課題意識を持ち、Tomoshi Bito株式会社を創業。社会課題を企画やキャッチコピーなどの力で分かりやすく、時に面白く届ける動画メディア「RICEメディア」を展開している。社会課題解決に取り組むZ世代・ミレニアル世代を表彰する「BEYOND MILLENNIALS 2024」に選出。第7回日経ソーシャルビジネスコンテストにて大賞を受賞。</p><p><a href="https://rice-media.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">RICEメディア　公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人と一般社団法人の法人税はどうなる？ 計算方法やその他税金を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118450/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:02:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「NPO法人」と「一般社団法人」は、法人税率は同じだが課税対象が異なる</li><li>一般社団法人は、「非営利型」と「非営利型法人以外」の法人で税務上の扱いが異なる</li><li>法人税以外に法人住民税、法人事業税などが発生するが、収益事業を行わなければ非課税になる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人や一般社団法人の法人税はどのように計算する？」</p><p>「ほかにはどのような税金がかかってくる？」</p><p>このような疑問を持っている人はいるだろう。</p><p>NPO法人と一般社団法人の法人税は、税率は同じだが、課税対象が異なる。法人税以外にも法人住民税や法人事業税などが発生し、NPO法人と一般社団法人では課税要件や計算方法が異なってくる。</p><p>今回の記事では、NPO法人と一般社団法人の法人税について詳しく解説しつつ、法人税以外の税金や、自治体による免税・減免措置にも焦点を当てて紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_dc30919171c0c2dee6a1b362e8035fdb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人と一般社団法人に発生する法人税とは</h2><p>NPO法人と一般社団法人では、法人税の課税対象が異なる。NPO法人は、法人税法上の「収益事業」から生じた所得のみが課税対象であるのに対し、一般社団法人はその形態によって全所得に課税される場合がある。</p><p>この違いを理解するには、一般社団法人の税法上の分類を把握する必要がある。一般社団法人は、税法上の区分として「非営利型」と「非営利型以外（普通法人型）」の2種類に分けられる。</p>非営利型の一般社団法人： 課税対象はNPO法人と同じく「収益事業から生じた所得のみ」非営利型以外の一般社団法人： 株式会社と同様に「すべての所得」が課税対象となる<p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy">一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介（別タブで開く）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-1-1-1.png"><h3 id="tnf-text-heading-block_1b3adfd8f608a49acd5dd752c619f7b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.法人税の対象となる「収益事業」とは？</h3><p>NPO法人や非営利型一般社団法人が行う事業のうち、法人税が課される「収益事業」とは、法人税法施行令で定められた「34業種」の事業を指す。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">物品販売業不動産販売業金銭貸付物品貸付業不動産貸付業製造業通信業運送業倉庫業請負業印刷業出版業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">写真業席貸業旅館業料理店業その他の飲食業周旋業代理業仲立業問屋業鉱業土石採取業浴場業理容業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">美容業興行業遊技所業遊覧所業医療保健業技芸教授業駐車場業信用保証業無体財産権の提供等を行う事業労働者派遣業</div></div><p>上記に該当し、かつ「継続して」「事業場を設けて」行われる場合に収益事業とみなされる。 </p><p>ただし、これら34業種に該当しても、実務に従事する者の半数以上が特定の障害者や生活保護受給者などで、その生活保護に寄与している場合などは、収益事業から除外される特例がある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d7ba184ebd16dbccb9c702eb892ea2aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.非営利型一般社団法人の要件</h3><p>一般社団法人が「非営利型」として扱われるためには、定款に適切な定めがあり、実態が要件を満たしていることが条件に。大きく分けて以下の2つのタイプがある。</p><p>［非営利性が徹底された法人］</p>剰余金（利益）の分配を行わないことを定款に定めている解散時の残余財産を国・地方公共団体や特定の公益団体に贈与することを定款に定めている上記1、2の定款に違反する行為を行っていない理事の親族制限（特定の理事とその親族が理事総数の3分の1以下）を守っている<p>［共益的活動を目的とする法人］</p>会員に共通する利益を図る活動を目的としている定款に会費の定めがある主な事業として収益事業を行っていない特定の個人・団体に剰余金（利益）の分配を行うことを定款に定めていない解散したときに財産を特定の個人や団体に渡さないことを定款に記載している上記1から5と下記7の定款の定めに違反する行為を行っていない理事の親族制限（3分の1以下）を守っている<h3 id="tnf-text-heading-block_1e6f96ab2ddfb7cdac2756a4264a0da3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3.会費や寄付金は法人税の課税対象に？</h3><p>NPO法人や非営利型一般社団法人が受け取る「会費」や「寄付金」は、原則として法人税の課税対象外（非課税）に。これらは収益事業の対価ではないためだ。</p><p>ただし、寄付金であっても「収益事業に関連して受け取るもの」や、対価性があるもの（会費という名目だが実態はサービスの購入代金である場合など）は、課税対象に含まれる可能性があるため注意しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_57646976359a2125a3baf11a3c3f93a8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-4.法人税の計算方法</h3><p>NPO法人と非営利型一般社団法人の法人税の計算方法は、年間所得が800万円以下の場合と、800万円超えの場合で異なる。</p>年間所得が800万円以下の場合：税率15パーセント（※）年間所得800万円超えの場合：税率23.2パーセント<div id="tnf-text-notes-block_cf67284718489992870ba4ae57a0288c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※年間所得が800万円以下の場合の軽減税率15パーセントは、中小法人等に適用される特例税率</div><div id="tnf-text-notes-block_ac8f1f1ba638551027423bb69fd35a38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※NPO法人と非営利型一般社団法人の場合、収益事業で発生した所得のみが課税対象</div><h2 id="tnf-text-heading-block_4fdde6aac7c58ae0c9951fd76b960c28" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.法人税以外の主な税金</h2><p>法人税以外にも、法人が納めるべき税金はいくつか存在する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1e0e140ec3e61994c564c0fc403d1711" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.法人住民税</h3><p>法人住民税の目的は、「法人も地域社会の構成員」という考えに基づき、行政サービスの費用を負担すること。都道府県に納付する「都道府県民税」と、市町村に納付する「市町村民税」から成る。ただし、東京23区内に事業所がある場合は、都民税と市町村民税を一括して納付可能だ。</p><p>法人住民税には、資本金や従業員数に応じて決まる「均等割」と、法人税額に応じて決まる「法人税割」があり、両税割で算出された金額を合算して納付する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-2.png"> 法人住民税の概要を示す図<p>なお、NPO法人と非営利型一般社団法人は、収益事業を行わなければ法人税は非課税のため、「都道府県民税法人税割」「市町村民税法人税割」も発生しない。</p><p>また多くの自治体では、収益事業を行っていないNPO法人や非営利型法人に対し、申請により均等割を全額免除または減免する制度を設けている。</p>2-1-1.法人住民税の計算方法<p>法人住民税は、均等割と法人税割で算出した金額を合算した値を納税する。税率や金額は法人の規模や自治体によって異なり、東京都では次のとおりだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO_8-3.png"><p>■都道府県民税法人税割</p>法人税額×1.0パーセント<p>■市町村税法人税割</p>法人税額×6.0パーセント<h3 id="tnf-text-heading-block_78d0ba7b1ae19c6a9128e140244f0491" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2.法人事業税</h3><p>法人そのものを課税対象とする法人住民税に対し、法人事業税の課税対象は「事業」だ。</p><p>例えば、法人が事務所や店舗を運営するためには、周辺道路や上下水道などが整備されていなければならない。法人事業税は、こうした行政サービスの費用負担が目的である。</p><p>また、法人住民税は都道府県と市町村に納税するが、法人事業税は都道府県にのみ納税するという違いもある。税割は以下の4つで、合計した金額を納税する。</p>加価値割：各事業年度の損益をもとに決定される資本割：資本金の額をもとに決定される所得割：各事業年度の所得（収入から必要経費を引いた値）をもとに決定される入割：各事業年度の収入をもとに決定される（小売電気事業等と発電事業等を除く電気供給業、ガス供給業、保険業を営む法人のみが対象）<p>なお、NPO法人と非営利型一般社団法人は、収益事業を行わない限り、法人事業税は非課税である。</p>2-2-1.法人事業税の計算方法<p>法人事業税の金額は、法人の形態によって異なる。計算式は次のとおり。</p><p>■収益事業を行うNPO法人と一般社団法人/非営利型以外の一般社団法人（資本金1億円以下）</p>年間所得が400万円以下の場合：年間所得×3.5パーセント年間所得が400万円超800万円以下の場合：14万円+（年間所得-400万円）×5.3パーセント年間所得が800万超の場合：35万2,000円+（年間所得-800万円）×7.0パーセント<p>■非営利型以外の一般社団法人（資本金1億円超）</p>付加価値額（※）×1.2パーセント+資本金×0.5パーセント+所得×1.0パーセント<div id="tnf-text-notes-block_c798e90f5ac18fc88b9beaf0d4aa6dc3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※付加価値額＝給与報酬額＋純支払利子＋純支払賃借料＋単年度損益また多くの自治体では、収益事業を行っていないNPO法人や非営利型法人に対し、申請により均等割を全額免除または減免する制度を設けている。</div><h3 id="tnf-text-heading-block_02eaf6ae2c005c16de0785f6ad0af446" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. 特別法人事業税</h3><p>法人事業税の所得割額（もしくは収入割額）に一定割合を掛けた金額が「特別法人事業税」だ。</p><p>特別法人事業税の目的は、地方間で財源が偏ることの解消だ。地方住民税や法人事業税は、法人が集中する大都市圏ほど多く納税される。この差を縮めるため、特別法人事業税を徴収し、人口に応じて再分配する。</p><p>なお、収益事業を行わないNPO法人と非営利型の一般社団法人は、法人事業税が発生しないため、特別法人事業税も課されない。</p>2-3-1. 特別法人事業税の計算方法<p>特別法人事業税の計算方法は次のとおり。</p><p>（法人事業税の所得割額、もしくは収入割額）×税率</p><p>税率は都道府県ごとに異なり、例えば東京都では37パーセントである。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b84e524da90ab6c2a83b6210922abf0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. 消費税</h3><p>売上げで発生した消費税額から、仕入れで発生した消費税額を差し引いた値を納付する。ただし、前々事業年度の課税売上高（消費税が発生する取引の売上金額と、免税売上金額の合計）が1,000万円以下の場合、納付義務が免除される。</p><p>また、前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下などの条件を満たせば、消費税が一部免除される「簡易課税制度」も利用可能だ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4eee1c8f78cac3975112ebfc356d12a0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5.登録免許税</h3><p>登録免許税は、法人の設立登記や、登記情報を変更する際などに生じる税金だ。登記とは、法人を設立する際に、法人の名称や所在地、役員情報などを公示することで、情報を更新した際も届け出なければならない。</p><p>この登録免許税は、NPO法人は免除されるが、一般社団法人では主に次のような時に発生する。</p>法人設立時：6万円事務所移転時：3万円、管轄外移転の場合は6万円役員変更時：1万円法人解散時：3万円<h2 id="tnf-text-heading-block_53bde29e0e9d1cdb58bc200765fa76ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.免税・減免制度を実施している自治体もある</h2><p>NPO法人や一般社団法人を対象とした、免税・減免制度を実施している自治体もある。</p><p>例えば大阪府は、収益事業を行わないNPO法人に対し、法人府民税均等割（年額2万円）の減免の取扱いがある。</p><p>また宮城県では、全てのNPO法人に対して、法人県民税均等割、不動産取得税、自動車税環境性能割・軽自動車税環境性能割などの免除制度がある。</p><p>免除・減免の条件・内容や、申請に必要な書類などは自治体ごとに異なるため、ホームページで確認しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6e951460e7d52f31cb44232fc860d1e8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NNPO法人と一般社団法人に発生する法人税は、税率は同じだが、課税対象が異なる場合がある。</p><p>具体的には、NPO法人は収益事業以外の所得に課税されるのに対し、一般社団法人は非営利型と認められれば課税対象が収益事業のみとなり、NPO法人と同じ扱いになる。</p><p>法人税以外には、法人住民税、法人事業税、消費税などが発生する。また、一般社団法人は登記の際に登録免許税が必要だ。</p><p>各税については、自治体によって免除、減免が行われている場合もある。法人を設立する際は、自治体のホームページなどで確認しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/pdf/01.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「一般社団法人・一般財団法人と法人税」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「新たな公益法人関係税制の手引」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/c05_1.pdf">財務省「公益法人などの主な課税の取扱い」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人の会計とは？ 会計基準や処理方法、勘定科目を具体的に解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118435/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:01:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」が推奨されている</li><li>「NPO法人会計基準」は、活動計算書、貸借対照表、注記から成る</li><li>「NPO法人会計基準」では、財務諸表とは別に財産目録が必要となる</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO法人会計基準って何？」</p><p>「具体的なやり方を知りたい」</p><p>「勘定科目はどうなる？」</p><p>そのような疑問を持つ人はいるだろう。</p><p>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」に則することが推奨されている。「NPO法人会計基準」は、「活動計算書」「貸借対照表」「注記」から成り、特に注記が担う役割が大きい。</p><p>今記事では「NPO法人会計基準」を中心に、財務諸表の解説や、勘定科目にも焦点を当てて紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_4444e50b17741b5b41ab60b6c9181c03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.「NPO法人会計基準」とは？</h2><p>「NPO法人会計基準」は、NPOの活動をより多くの人に知ってもらい共感と支援を得るために、会計報告を作成する統一ルールとして、2010年に市民によるボランティアで作られた。</p><p>「誰にとっても分かりやすい」ことが重視されており、内閣府からも「望ましい会計基準」と評価されている。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2d89f2619ecbcd15bdd4e14ef7a3fced" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.「NPO法人会計基準」の特徴</h3><p>「NPO法人会計基準」の特徴は、NPO法人の活動内容を正確に反映できるよう設計されていること。具体的なポイントは次のとおり。</p>活動計算書」「貸借対照表」「注記」から成る規模が小さな団体でも利用しやすい現物寄付やボランティアなど、NPO特有の事象にも対応している事業部門の費用と管理部門の費用に区分する注記（補足）できる内容が幅広い<h3 id="tnf-text-heading-block_23051b464378ff87f0d619beb2e09405" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.「NPO法人会計基準が」推奨される理由</h3><p>「NPO法人会計基準」の採用は強制ではないため、法人の活動内容によっては、ほかの会計基準を用いてもよい。具体的には、公益法人が用いる「公益法人会計基準」や社会福祉法人の会計に特化した「社会福祉法人会計基準」などがある。</p><p>しかし、会計基準が団体ごとに異なると、閲覧者が不便に感じる可能性がある。例えば、市民が寄付する団体を選ぶ際に各法人の決算書類の記載が異なると、比較することが難しい。会計基準が統一されていると、閲覧者の負担が減少し、寄付のハードルが下がる効果も期待できる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_44b73942b415c1ac7255db374d4ac511" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.「NPO法人会計基準」の「活動計算書」とは？</h2><p>活動計算書は、営利団体における「損益計算書」のようなものだ。年間の「収益」「費用」と、その差額である「当期正味財産（※）増減額」を示す。当期正味財産増減額がプラスなら黒字、マイナスなら赤字を意味する。</p><div id="tnf-text-notes-block_b2b8ce488d5df6ede7a4b6dda06d0df0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※正味財産：資産から負債を引いたもの（営利企業における「純資産」のこと）</div><p>NPO法人は利益を追求するわけではないが、正味財産がマイナスになると組織の維持が困難になるため、寄付者や会員になる人にとって重要な情報となる。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_1-1.jpg"></div><h3 id="tnf-text-heading-block_acc802c5fc2fe3a9af5a92a68db0906a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.「経常収益」の勘定科目</h3><p>経常収益は、会費や補助金など、NPO法人の主要事業で継続して生じる収益。次の5つの勘定科目で構成される。</p><p>■受取会費</p>正会員受取会費賛助会員受取会費 など<p>■受取寄付金</p>資産受贈益（寄付された現物資産）施設等受入評価益（寄付された施設）ボランティア受入評価益（ボランティアから提供された労働力） など<p>■受取助成金等</p>受取助成金受取補助金 など<p>■事業収益</p>自主事業収益受託事業収益 など<p>■その他収益</p>受取利息為替差益雑収益（金銭的な重要度が低い収益） など<p>NPO法人は営利企業と異なり、事業以外にも多くの収入源があるため、内容ごとに分けることが求められる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5deded838e7a2e67bac6d26434bd0704" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2.「経常費用」の勘定科目</h2><p>経常費用は、NPO法人の主要事業で定期的に生じる費用で「事業費」と「管理費」から構成される。</p><p>事業費は、主要事業に直接投じられた費用。会場の賃貸料や講師への謝礼など、事業との関連が明らかな費用が該当する。</p><p>一方、管理費は、NPO法人の各事業を管理する費用。総会の開催運営費や、会報の発行費用など、事業に直接は影響しないが、団体を継続するために不可欠な費用などが当てはまる。</p><p>また、事業費と管理費の内訳は、それぞれ「人件費」と「その他経費」に分かれる。</p><p>■人件費</p>給料手当役員報酬ボランティア評価費用（ボランティアから提供された労働力） など<p>■その他経費（人件費以外の費用）</p>修繕費車両費旅費交通費 など<h3 id="tnf-text-heading-block_11f5c882569aabaac1e9562ef2465014" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3.「ボランティア受入評価益・評価費用」とは？</h3><p>ボランティア受入評価益・評価費用とは、ボランティアの労働力を金額評価したもの。</p><p>ボランティアには給料が払われないことが多く、その場合は人件費がかからない。しかし、NPO法人の多くはボランティアによって支えられている。そのため、ボランティアを除いた財務諸表では、事業規模を正しく把握できない可能性がある。</p><p>この欠点を補う勘定科目が、ボランティア受入評価益と、ボランティア評価費用だ。ボランティアによる労働力を金額に置き換えることで、NPO法人の真の活動規模を評価するもので、評価益と評価費用は同額を計上する。ただし、金額の算定基準を「客観的に把握できる場合」に限られる。</p>2-3-1.客観的に把握できる場合とは？<p>「客観的に把握できる」とは、金額算定の根拠が、誰でも入手可能な資料に基づいていること。最低賃金や、一般に公表されている統計資料などが該当する。</p><p>一方、賃金を独自に設定した場合などは、基本「客観的」とは認められず、ボランティア評価益・評価費用に計上することはできない。ただし、合理的（※）に算出できれば注記することができる。</p><div id="tnf-text-notes-block_6cea2031b376b845c6c7367d527296de" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※他のNPO法人の業務委託料や過去の平均単価を参考にした場合など</div><h3 id="tnf-text-heading-block_811f9cc214413e0e4bbc3ccca1850137" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4.共通経費の処理方法</h3><p>経常費用は、主要事業で発生した「事業費」と、主要事業以外で発生した「管理費」で構成される。そのため、経常費用を計上する際は、例えば「旅費交通費のうち、⚫︎⚫︎⚫︎円が事業費、⚫︎⚫︎⚫︎円が管理費」というように振り分けなければならない。</p><p>振り分ける基準には、勤務時間から計算する「従事割合」や、業務に使用する場所（面積）から計算する「面積割合」などが用いられる。</p>2-4-1.「従事割合」について<p>従事割合は、主要事業に従事した時間と、主要事業以外に従事した時間を見積もり、その比率で経常費用を振り分ける方法だ。</p><p>例えば、総額5万円の旅費交通費を、事業費と管理費に振り分けるとする。主要事業に費やした時間は90時間、主要事業以外に費やした時間は10時間だった場合、以下のように振り分けられる。</p>事業費：5万円×90時間/100時間＝4万5,000円管理費：5万円×10時間/100時間＝5,000円2-4-2.「面積割合」について<p>面積割合は、主要事業で使用される場所の面積と、主要事業以外で使用される場所の面積を算出し、その比率で経常費用を振り分ける方法だ。</p><p>例えば、50平方メートルの事務所のうち、事業運営に最低限必要と思われる面積が10平方メートルの場合、地代家賃が20万円だった場合、次のように振り分ける。</p>事業費：20万円×40平方メートル/50平方メートル＝16万円管理費：20万円×10平方メートル/50平方メートル＝4万円<h2 id="tnf-text-heading-block_68a8bafef12d794de8219bf4aa50465c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.「NPO法人会計基準」の「貸借対照表」とは？</h2><p>貸借対照表は、年度末時点での「資産」「負債」と、その差額である「正味財産」を集計したもの。貸借対照表によって、団体の財政状態を確認できる。</p><p>なお、前期の「正味財産」と、活動計算書の「当期正味財産増減額」を合計した金額が、当期の「正味財産」となる。</p><p>（例）2023年度末の正味財産＋2024年度の当期正味財産増減額＝2024年度末の正味財産</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_2.jpg">参考：貸借対照表の一例。郡山市「特定非営利活動法人（NPO法人）会計の手引き」を参考に作成</div><h2 id="tnf-text-heading-block_2a451e369b3fdc870d2969bdd590439e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.「NPO法人会計基準」の「注記」とは？</h2><p>注記は、活動計算書と貸借対照表に記入できない情報を盛りこむ、補足資料だ。主に次のような内容を記載する。</p><p>■必ず記載する内容</p>使用した会計基準<p>■該当する場合に記載する内容</p>会計基準などの会計方針を変更した場合、変更内容、理由、変更が各勘定科目に与える影響使い方などに制限がある寄付金などの内訳固定資産の増減の内訳借入金の増減の内訳役員、およびその2親等内の親族との取引の内容NPO法人の資産・負債や、正味財産の状態を明らかにするために必要な情報<p>■任意で記載する内容</p>各事業の費用の内訳や事業別の損益状況と詳細（事業を複数行っている場合）受け入れたサービスの明細と計算方法（施設の提供などの物的サービスを受けたことを財務諸表に記載する場合）受け入れたボランティアの明細と計算方法（ボランティアスタッフを受け入れたことを財務諸表に記載する場合）<h3 id="tnf-text-heading-block_347e672f0489012610e173f850ca70c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.使い方などに制限がある寄付金とは</h3><p>NPO法人への寄付金には使用用途が指定されているものがある。これらは、NPO法人が自由に使えるお金ではないため、通常の寄付金と区別する。注記に記載する内容は、その期の増加額、減少額、期末残高だ。</p><p>ただし、重要性（※）の高い寄付金は「指定正味財産」として、貸借対照表の正味財産に計上できる。</p><div id="tnf-text-notes-block_309a3741c8d77178a442d80c34df8da5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※内閣府NPOホームページ「使途等が指定された寄付金の取扱いに関する整理」<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/report28_6_shiryo_2.pdf" target="_blank" rel="noopener">「(３)重要性の原則の適用について」（外部リンク/PDF）</a>を参照</div><h3 id="tnf-text-heading-block_17f7286ce6650f932d65cb272173b9f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.複数事業の記載方法</h3><p>「NPO法人会計基準」の活動計算書は、事業単位での費用は記載できない。そこで複数事業を展開する場合は、総事業費と各事業の関係を2つの方法で注記に記載できる。</p><p>1つは、事業費の内訳を掲載する方法だ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_3.jpg"><p>もう1つは、損益状況を事業単位で記載する方法である。この方法では、事業費だけでなく、管理費や収益の情報も記載できる。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_4.jpg">損益状況を事業単位で記載した注記。NPO法人会計基準協議会「NPO法人会計基準ハンドブック」を参考に作成<p>収益と費用を、事業部門と管理部門に分類する基準は、次のとおり。</p><p>■収益</p>事業部門：事業収益、助成金、補助金、使い方に制限がある寄付金など管理部門：正会員や賛助会員の会費、使い方に制限がない寄付金など<p>■費用</p>事業部門：主要事業に直接投じられた費用管理部門：事業に直接は影響しないが、団体を継続する上で不可欠な費用<h2 id="tnf-text-heading-block_685df21316203036f1adeb60492129d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.NPO法人は「財産目録」の作成も必要</h2><p>NPO法人は、活動計算書、貸借対照表、注記に加えて「財産目録」も作成し財務状況を報告する必要がある。</p><p>財産目録には、事業年度末における資産と負債の内訳を示す。表記する対象は貸借対照表と同じだが、内容は財産目録のほうが細かい。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-10_5.jpg"><p>なお、「NPO法人会計基準」の財産目録は、貸借対照表を補足する機能に留まるなどの理由から、財務諸表ではなく「会計報告書」として扱われる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e0846d2e344af26c64de66d7da0929ba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人が会計処理を行う際には「NPO法人会計基準」が推奨されている。強制ではないが、ほかのNPO団体と共通の会計基準を用いることで市民が確認しやすくなるため、支援の増加も期待できる。</p><p>NPO法人会計基準は、活動計算書、損益計算書、注記から成る。このうち注記の役割が大きい点が特徴だ。活動計算書と損益計算書で表せない、事業単位の費用内訳などを注記に盛り込むことで、組織運営の透明性を向上することができるため、ぜひ会計の際には活用いただきたい。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/report33_2_4.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPO法人会計基準導入の意義と普及状況、今後の課題」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npokaikeikijun.jp/wp-content/uploads/handbook201712-1.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人会計基準協議会「NPO法人会計基準ハンドブック」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.city.koriyama.lg.jp/uploaded/attachment/77359.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">郡山市「特定非営利活動法人（NPO 法人）会計の手引き（外部リンク/PDF）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>一般社団法人とは？ NPO法人や他団体との違い、設立のメリット・デメリットを紹介</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118430/academy</link>
      <pubDate>Thu, 25 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>一般社団法人には税法上「非営利型法人」と「非営利型法人以外の法人（普通型）」がある</li><li>一般社団法人は設立が簡単、信用力が高まる、基金制度を設けられるなどメリットがある</li><li>一方、非営利型でなければメリットが少ない、利益が出ても社員に分配できないというデメリットも</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「一般社団法人」は、法人格が必要な任意団体や公益性の高い業務を行う場合の選択肢の一つである。といっても、一般社団法人がどのような団体か、NPO法人との違いや、設立・運営する上でどのようなメリットやデメリットがあるかなど、イメージが湧かない人も多いだろう。</p><p>この記事では、一般社団法人について解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_cdb2521b7cc966eccbfcd20314d154cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.一般社団法人とは</h2><p>法人格を持つ団体を設立する際の選択肢の一つが、非営利法人である「一般社団法人」だ。まずは、一般社団法人になるための要件や特徴を確認しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f73cb30a9df8fc529d567bd15296fe47" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.一般社団法人の要件</h3><p>一般社団法人は「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立された法人のことを指す。。一般社団法人を設立するためには、法律で定められた次の要件を満たす必要がある。</p>設立時に2名以上の社員（社員になろうとする者）がいなければならない社員総会を設置しなければならない社員総会の決議によって選任された1人以上の理事を置かなければならない団体の設立者（社員になろうとする者）が定款を作成し、署名もしくは記名押印が必要<p>これらを満たした上で、事務所を管轄する法務局に登記をすることで設立できる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_60e1224c20b30141b053fdd7785e6b97" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.一般社団法人の特徴</h3><p>一般社団法人の法人格としての特徴も確認しておこう。</p>登記のみで設立でき、認定を受ける必要がない株式会社などの法人でも社員になれる事業内容に制限がない収益を得る事業もできるが、社員に対し剰余金の分配はできない設立後行政庁の監督なしに運営ができる<p>一般社団法人は、設立だけでなく、運営面に置いてもNPO法人と比べて負担も少ない。非営利法人のため、利益を社員へ分配することはできないものの、収益を得ることも可能だ。</p><p>なお一般社団法人において「社員」とは、株式会社の株主にも似た役割を果たすもので、一般的な「会社員」という意味とは異なる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_37eddf6c65b1fd007e78111618a1ffd8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.一般社団法人の種類</h2><p>一般社団法人は法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれる。どちらも非営利法人だが、法人税の課税対象となる所得が異なり、支払う税金の額に影響してくるため、違いを把握しておきたい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fff1a9dc076f35bef9c983b8efe32a6b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. 非営利型法人</h3><p>「非営利型法人」とは「非営利性が徹底されている法人」または「共益的活動を目的とする法人」のことをいう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-15_1.jpg"><p>「非営利性が徹底されている法人」「共益的活動を目的とする法人」とは、次のいずれかの要件を全て満たした法人を指す。</p>（1）非営利性が徹底された法人剰余金（利益）を分配しないことを定款に定めていること解散時の残余財産を国・地方公共団体や特定の公益団体に贈与することを定款に定めている上記1、2の定款に違反する行為を行っていない理事の親族制限（特定の理事とその親族が理事総数の3分の1以下）を守っている（2）共益的活動を目的とする法人会員に共通する利益を図る活動を目的としている定款に会費の定めがある主な事業として収益事業を行っていない特定の個人・団体に剰余金（利益）の分配を行うことを定款に定めていない解散したときに財産を特定の個人や団体に渡さないことを定款に記載している上記1から5と下記7の定款の定めに違反する行為を行っていない理事の親族制限（3分の1以下）を守っている<p>一般社団法人は、これらの要件を満たすことで非営利型法人となる。なお、非営利型法人には税制上のメリットはあるが、次の34事業の収益から生じた所得は課税対象となるため注意したい。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">物品販売業不動産販売業金銭貸付物品貸付業不動産貸付業製造業通信業運送業倉庫業請負業印刷業出版業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">写真業席貸業旅館業料理店業その他の飲食業周旋業代理業仲立業問屋業鉱業土石採取業浴場業理容業</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow">美容業興行業遊技所業遊覧所業医療保健業技芸教授業駐車場業信用保証業無体財産権の提供等を行う事業労働者派遣業</div></div><p>非営利型法人以外（普通型）の法人は、全ての事業の所得が課税対象となる。</p><p>なお、「非営利性が徹底された法人」「共益的活動を目的とする法人」いずれも、それぞれの各種要件のうち1つでも該当しなくなった段階で自動的に普通型の法人となる。</p><p>ただし、収益事業を行っている非営利型法人が、非営利型法人以外の法人になった場合や、反対に非営利型法人以外の法人が非営利型法人となった場合は、所轄の税務署に「異動届出書」を提出する必要がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ae65687e099f0f7cabd9f4dd55bc0055" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.一般社団法人とほかの法人・会社との違い</h2><p>会社を設立する際には、どの法人格が適切か比較検討する必要がある。そこで、一般社団法人とそのほかの法人格との違いを見ていこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_497664575857b21a232d5031dd990279" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.一般財団法人との違い</h3><p>一般社団法人と名称が似ている法人格に「一般財団法人」がある。</p><p>一般財団法人も「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」に基づき設立するものだ。そのため、設立の手続きや法人税の課税対象などは、一般社団法人とほぼ同じである。</p><p>ただし、一般財団法人は、設立時に300万円以上の財産が必要となる。</p><p>一般社団法人と異なる点は、社団法人が「人」によって構成されるのに対し、財団法人は一定の目的に対する「財産」の集合体によって構成されること。財産の維持や運用を目的に団体を設立する場合に、一般財団法人は有効な法人格といえるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_198c63af4b3e503acb631ad382ad9a76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.公益社団法人との違い</h3><p>一般社団法人は、内閣府もしくは都道府県から公益認定を受けることで、公益社団法人を名乗ることができるようになる。</p><p>公益社団法人になると、次のようなメリットがある。</p>社会的信用がさらに高まる助成金や補助金などの支援を受けやすくなる認められた公益目的事業における所得が非課税となる寄付者に対しても税制上の優遇措置があり、寄付金などを集めやすくなる<p>ただし、公益社団法人の事業や財務は「公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律」により、理事や監事への報酬などいくつかの制約がある。</p><p>また、一般社団法人と比べ情報公開義務が厳しくなることや、会計管理が難しくなることも留意すべき点となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f775f586251513994fa31dc625774f4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.株式会社との違い</h3><p>株式会社と一般社団法人の最大の違いは、営利目的であるかどうかである。株式会社は営利法人であり、剰余金（利益）が出た場合は株主に配当できる。</p><p>また、総会による議決権が一般社団法人は1社員に対し1票であるが、株式会社は1株1票であり、株を多く保有する株主の意向が反映されやすい。意思決定を迅速にできるというメリットもある。</p><p>なお、株式会社も定款の作成後、登記のみで設立できる点や、事業の範囲に制限がない点などは一般社団法人と共通である。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a2248418924a26319e9abe55b8456d9f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4.NPO法人との違い</h3><p>一般社団法人とNPO法人は、非営利法人である点は共通しているが、事業内容の範囲や設立手続きの方法などが異なっている。</p><p>事業内容は自由な一般社団法人に対し、NPO法人は「特定非営利活動」「その他の事業」に限られている。</p><p>「特定非営利活動」とは「特定非営利活動促進法」の別表（第二条関係）に指定された20種類のことで、「その他の事業」とは、上記20種類の活動以外の活動のことを指す。その他の事業は特定非営利活動に支障のない範囲で、計上された利益を特定非営利活動に充てることを目的とした場合に限り認められている。</p><p>なお、設立手続きの際には、都道府県や政令指定都市など自治体の認証を得てから登記する必要があり、一般社団法人と比べ設立に時間がかかりやすい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人とは？収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_84af0412b2dfa7baa940bee8b7fd71ae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.一般社団法人を設立するメリット</h2><p>一般社団法人には、さまざまなメリットがある。とくに次の4つは、設立や設立後の運営のしやすさにも関わってくる。</p>設立の要件が比較的優しい法人名義で取引ができ信頼を得やすい助成金を利用できる場合がある一般社団法人だけに認められる基金制度がある<p>1つずつ、詳しく確認してみよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2b3bb42fc6e023b87452416749a0ac1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.設立要件が比較的優しい</h3><p>設立の要件がそれほど厳しくない点は、一般社団法人の大きなメリットといえる。</p><p>登記さえすれば設立できる上に、一般財団法人のように財産も必要ない。また、社員も2人いれば設立でき、設立後そのうちの1人が欠けたとしても、解散する必要はない（社員が0人となった場合は、解散）。</p><p>法人格を持つ団体の中では、もっとも簡単に設立できる団体といえるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a95b1d2443a3ad71f1431336f20e7910" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.法人名義で取引ができ信頼が得やすい</h3><p>法人名義で取引できることで、社会的な信用も得やすくなる。法人格を取得することで、法人名義で銀行口座の開設や不動産の所有、事務所を借りることができるようになる。</p><p>任意団体は、個人でこれらの契約が必要なため、万が一代表者に何かあった場合取引が停止する可能性があるといった、取引先にとっては不安材料となる。その点、法人名義としておくことで、取引先も安心でき、信頼も得やすいだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7f342572a9576bb8b4401e8c3750f8f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-3.助成金を利用できる場合がある</h3><p>一般社団法人は、事業内容によって行政機関や民間企業が実施する助成金を利用できる。助成金は団体として受給要件を満たしていることの証明となるため、社会的な信用度が上がることも期待できる。</p><p>ただし、助成金の種類によっては、非営利性が徹底されている法人に限るケース、細かい制限があるケースもあるため、条件を細かく確認する必要があるだろう。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/introduction" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団（外部リンク）</a>でも、国内外の社会課題解決に取り組む公益活動団体へ助成金による支援を行っているので、ぜひ確認してほしい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人や一般社団法人が受給できる助成金とは？ 受給条件や申請方法・注意点を解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_92828ba7940e9ed7c3bd74c95b154a53" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-4.一般社団法人だけに認められる基金制度がある</h3><p>一般社団法人には、一定の要件に基づき返還義務を負ってはいるものの、一般社団法人だけに認められた基金制度がある。</p><p>一般社団法人は、株式会社のような資本金や、一般財団法人のような300万円以上の財産は必要なく設立できるが、活動資金は調達しなければならない。利益の分配を目的としていない非営利法人としての立場を維持しながら、活動の原資となる資金を調達し財産的基礎を維持することができる基金制度は、非常にメリットの大きい方法といえるだろう。</p><p>基金制度を活用する可能性がある場合は、あらかじめ定款に定めておこう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/SEO-15_2.jpg"><p>継続して活動するために基金制度は利用したい。yom98/PIXTA</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0b56d2ef1c91a191276b370a6fb1e3ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.一般社団法人を設立するデメリット</h2><p>一般社団法人の設立を検討する際は、いろんな制約があることも考慮したい。非営利型法人にするか、非営利型法人以外の法人にするか、考える際にも参考にしてほしい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f176b73f33195c905c0607ce049a76b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-1.利益が出ても分配できない</h3><p>一般社団法人は非営利法人のため、利益が出たとしても社員に分配することはできない。定款に設立者に対し利益の分配を受ける権利を与える旨を記載したとしても、効力はないため注意しよう。</p><p>とはいえ、利益を出すような事業は禁止されているわけではなく、分配さえしなければ活動資金として活用できる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0abf8166099792d3781fe2fc6d462658" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-2.非営利型でなければメリットが少ない</h3><p>一般社団法人には非営利型法人と非営利型法人以外の法人があるが、非営利型法人でなければ、一般社団法人としてのメリットを最大限活かすことができない。</p><p>非営利型法人以外の法人は、事業で得た利益全てに税金が課せられるため、株式会社とほぼ変わらない税制度のもとで運営を行う。税制優遇の観点では、非営利型でないとメリットは少ないといえる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f0cdbfc89736255845ce1c0f1992a6ad" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-3.意思決定に時間がかかることがある</h3><p>一般社団法人では、重要事項の決定は社員総会で決める。最高意思決定機関である社員総会では、意見のとりまとめに時間がかかる可能性がある。</p><p>定款において定めがない限り、社員総会では1社員1票が原則だ。株式会社の大株主のように議決権を持つものがはっきりしないため、意思決定に時間がかかってしまう恐れがある。</p><p>ただし、理事全員が書面や電磁的記録によって同意の意思表示をしている場合に限り、社員総会を開かずに可決できる旨を定款で定められる。あらかじめ対策をしておくことも可能だ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b1dfc4abc57ef5ba612a2ea9437b5419" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6.一般社団法人の設立方法</h2><p>一般社団法人の設立手続きは比較的簡単。次のような流れとなる。</p>定款を作成し、公証人の認証を受ける設立時理事（設立時監事や設立時会計監査人を置く場合は、これらの者も）の選任を行う設立時理事（設立時監事が置かれている場合は、その者も）が、設立手続の調査を行う法人を代表すべき者（設立時理事または設立時代表理事）が、法定の期限内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局または地方法務局に設立の登記の申請を行う<p>このうち、1と２は設立時の社員2名以上で行う必要がある。</p><p>なお定款には「目的」「名称」「主たる事務所の所在地」「設立時社員の氏名または名称及び住所」「社員の資格の得喪に関する規定」「公告方法」「事業年度」の7項目を記載しなければ定款として認められないため注意しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bc424c3ee506d017ef4b7e3f25461b2a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>「一般社団法人」とは、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律に基づいて設立された団体のことをいう。非営利法人の特徴をもち「人」によって構成される団体だ。</p><p>登記をすることで設立できるため、法人格の団体の中でも、設立しやすい団体といえるだろう。</p><p>法人格にはほかにもさまざまな種類があるため、まずはそれぞれのメリット・デメリットを把握し、適切な法人格を見極めた上で設立しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#01" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001470659.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省官公庁 「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」第3章法人格の種類による財源の特徴（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/publication/pamph/hojin/koekihojin/01.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「一般社団法人・一般財団法人と法人税」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cao.go.jp/others/koeki_npo/koeki_npo_seido.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/qa/seido-gaiyou/katsudou-bunya#Q1-3-4" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ 活動分野質問一覧（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/houjintouki.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省 登記－商業・法人登記－（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>実態の見えづらい「女性のひきこもり」。社会との「つながり」が生まれるきっかけとなる女性限定の当事者会とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118249/social_issues</link>
      <pubDate>Tue, 23 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>近年、調査対象の変更などにより、ひきこもり状態にある人の約半数が女性であることが判明</li><li>女性のひきこもり当事者の中には、男性への恐怖心から当事者会に参加しづらい人がいる</li><li>ひきこもり状態への偏見や誤解の目がなくなれば、当事者は安心して社会に踏み出しやすくなる</li></ul><div class="wp-block-spacer"></div><p></p><p>2023年に内閣府が公表した調査（※）では、15～64歳でひきこもり状態にある人は推計146万人にも上ることが分かりました。</p><p>従来の国の調査では、「主婦」や「家事手伝い」をしている人が対象外だったこともあり、ひきこもり状態にある人の大半が男性とされてきました。しかし、2018年以降の調査では対象が広がったことで、約半数が女性であることが明らかになったのです。</p><p>さらに、女性のひきこもり当事者の中には、男性への恐怖心から、当事者会に参加しづらかったり、参加しても安心してその場に居られないなど、その実態は見えにくいものとなっています。</p><p>こうした課題を受け、一般社団法人ひきこもりUX会議では、2016年から女性限定の当事者会「ひきこもりUX女子会」を開催しています。</p><p>今回は同法人の代表であり、自身も20年以上にわたり、ひきこもり状態を経験した林恭子（はやし・きょうこ）さんに、ひきこもり女性の現状と、支援課題について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_adca7f8889df26e64bb6e03a2936bdf4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：こども家庭庁「こども・若者の意識と生活に関する調査（令和4年度）」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_970c7e6eaf6c62dd31ab5e414ec21de3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ひきこもり状態の女性が可視化されづらい理由</h2><p>――当事者がひきこもり状態に至る理由にはどのようなものがあるのでしょうか。</p><p>林さん（以下、敬称略）：原因は「100人いれば100通り」あるといわれ、人によって異なります。ただ、いくつもの要因が複雑に絡み合っていることが多いですね。</p><p>例えば、学校では不登校やいじめ、家庭では親との関係、社会に出てからはパワハラやセクハラ、過重労働といったことによるストレスや孤立が少しずつ積み重なり、心身の限界を迎えたときに、ひきこもり状態になる傾向があります。</p><p>――ひきこもり状態にある方の約半数が女性とのことですが、その原因に男性との違いはあるのでしょうか。</p><p>林：基本的には、男女が感じるプレッシャーに大きな差はないというのが私の見解です。</p><p>少し前までは「男性が働き、家族を養って一人前」とされていたため、社会的な重圧は男性の方が大きかったかもしれません。</p><p>けれど今は、女性も正社員として働きつつ、出産や育児もしなければならないというプレッシャーを、特に若い世代が強く抱えている印象です。そうした意味では、背負う負荷の大きさはほとんど変わらなくなっているのではないでしょうか。</p><p>――女性のひきこもりが社会から見えづらい理由を教えてください。</p><p>林：長年、「主婦」や「家事手伝い」が調査対象に含まれてこなかったため、実態が数字に現れてこなかったことが大きな要因です。また女性の場合、「家事手伝い」という言い方ができたことや、家にいても家族がさほど問題としてこなかったということもあります。</p><p>さらに、ひきこもり状態の女性は、刃物で手首や腕の皮膚を傷つける「リストカット」や「摂食障害（※1）」といった別の課題の中で捉えられ、ひきこもりという枠組みに含まれてこなかったこともあります。</p><p>私たちがひきこもり女性を対象に行った実態調査（※2）では、約7割の女性が「男性が怖い、苦手だ」と回答しています。男性がいるかもしれない支援の場に参加しづらいことも、女性の姿を見えにくくしている一因だと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_eff8dd86d53f39ade1c39f514dc21be3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「摂食障害」とは、食事の量や食べ方など、食事に関連した行動の異常が続き、体重や体型の捉え方などを中心に、心と体の両方に影響が及ぶ病気をまとめた言葉※2.参考：一般社団法人ひきこもりUX会議「女性のひきこもり・生きづらさについての実態調査2017」</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00001.jpg">東京・国分寺市で開催された「ひきこもりUX女子会」終了後、取材に応じてくれた林さん<h2 id="tnf-text-heading-block_2500f232547de259526c9f2b395c9962" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「あなたの感覚は正しい」。医師のこの言葉が社会復帰のきっかけに</h2><p>――林さんご自身もひきこもり当事者だったそうですね、当時はどのような状況だったのでしょうか。</p><p>林：私は高校2年生のゴールデンウィーク明けに不登校になりました。最初は発熱や頭痛といった体調不良が続き、学校に行けなくなったんです。家族はもちろん、私自身も何が起こっているのか分からず、身体的な病気だと捉えていました。</p><p>自宅で療養を続けましたが、家庭の事情で転校した先でも違和感を感じ、再び体調を崩してしまって……。結局高校を中退し、その後20年近くひきこもり状態が続きました。</p><p>私は厳格な母の下で、「いい高校、いい大学、いい就職先に進むのが当たり前」という価値観の中で育ったので、高校を中退した時には「自分の人生は終わった」と感じていました。</p><p>――何がきっかけで、外に出られるようになったのですか。</p><p>林：信頼できる精神科の先生や、同じような経験をした当事者の人たちに出会えたことが大きかったですね。それまでに7人の医師や臨床心理士などにかかっていましたが、8人目の先生が初めて私の話をきちんと受け止めてくれたんです。</p><p>私は、昔から理不尽なことに対して「どうしてこんなことがまかり通るのだろう」と憤りを感じるタイプでしたが、それを周囲に話しても「そんなことを言っていたら社会は回らない」「みんな折り合いをつけてやっている」とたしなめられるだけでした。</p><p>次第に「同じ日本語を話しているはずなのに何も通じない」と感じるようになり、誰にも本当の気持ちを話さなくなっていったんです。</p><p>――そうした中で、その先生だけは違ったのですね。</p><p>林：はい。私が思い切って自分の率直な考えや気持ちを話してみたところ、先生が「生き物としては、あなたの感覚の方が正しいのでは」と言ってくれて、その言葉に救われました。</p><p>それから、少しずつ自分の思いを話せるようになり、空っぽだった自分の中に、まるで地下水が少しずつ汲み上がるようにエネルギーがたまっていったのではないかと思います。</p><p>――その後、林さんも当事者会にご参加されたのですね。</p><p>林：そうですね。「ひきこもり」という言葉が社会で使われ始めた1999年頃のことです。東京では、当事者や家族が集まる会が生まれつつありました。私も勇気を出して参加してみたところ、そこにはたくさんの当事者たちがいたんです。</p><p>それまで、「こんな状態なのは世界で自分だけだ」と思い込み、自分を責め続けていたので、「同じように苦しんできた人がこんなにいる、ひとりじゃなかった」と分かった時、とても安心しました。</p><p>――林さんは現在、当事者会を主催していますが、参加される方が外に出られるようになる背景には、どんなきっかけがあると感じていますか。</p><p>林：何か劇的なきっかけがあるというより、薄皮を一枚ずつはがしていくように、少しずつ心の重荷を下ろし、わずかでも自分への信頼や希望を取り戻していく過程が必要なんだと感じます。</p><p>ひきこもり状態の人の多くは、「自分は最低だ」「生きている価値なんてない」と感じています。その粉々になっている自己肯定感を、一気に回復させることはできません。</p><p>だからこそ「安心して話せて、否定や価値判断をされない」「自分のことを分かってもらえる」、そんな人や場所に出会うことが何よりも大切です。</p><p>「ひきこもりUX女子会」でも、安心できる場づくりを何よりも重視しています。自信がなくても、「自分は生きていていいのかもしれない」と思える瞬間を、少しずつ積み上げていく。それが回復への第一歩だと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c0a0d37b66bd7941c044597ac8949258" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">就労をゴールにしないひきこもり支援。ニーズに従い女子会を発足</h2><p>――一般社団法人ひきこもりUX会議を立ち上げたきっかけを教えてください。</p><p>林：当事者として支援現場を見てきましたが、最近までのひきこもり支援はほぼ「就労支援」しかありませんでした。</p><p>働かせることがゴールとされていて、当事者にとってそれはあまりにもハードルが高かった。また、部屋から力ずくでも引っ張り出したり、ようやく相談窓口にたどり着いても、説教や説得、暴言を受けるなど、人権侵害にあたるようなこともありました。</p><p>こうした支援のあり方は、当事者のニーズと合っていないんですね。それは「当事者の声が届いていない」ことが原因だと感じ、当事者が中心となって活動し、発信しようと思ったのがきっかけです。</p><p>そこでまず企画したのが、ひきこもり状態にあった人たちが意見を発信する「ひきこもりUX会議」というイベントです。320人ほどの方が参加してくださり、「当事者の声を届けていく必要がある」と実感しました。</p><p>――「ひきこもりUX女子会」を始めた理由を教えてください。</p><p>林：従来の当事者会の参加者は、9割近くが男性で、女性が安心して参加できる場はほとんどありませんでした。性暴力や男性家族からの暴力、いじめの加害者が男性だったといった背景から、男性を苦手とする女性も多く、女性限定の場が必要だと感じました。そこで始めたのが「ひきこもりUX女子会」です。</p><p>現在は東京都の広域連携事業として、毎月都内のどこかの地域で開催しています。ですから、調子が整わず参加できないときでも、次のチャンスがあります。</p><p>また、自分の住むまちの窓口や当事者会には行きづらいという声も多いため、近隣の自治体同士が連携することにより、より参加しやすい環境になっていると思います。</p><p>――「ひきこもりUX女子会」の内容を教えてください。</p><p>林：2部構成で行っており、1部ではひきこもり経験者が自身の体験を語ります。幼少期から現在に至るまでのリアルな経緯を率直に打ち明けることで、参加者に「ここなら自分の思いを安心して話せる」と感じてもらい、自身の経験を語りやすい空気をつくるという意味もあります。</p><p>2部では、当事者/経験者は「女子会」に、広域連携事業に於いては当事者の家族や支援者は「つながる待合室」に分かれます。</p><p>――2部の「女子会」と「つながる待合室」ではどのようなことを話すのでしょうか。</p><p>林：「女子会」では、テーブルにテーマスタンドを置き、話したいテーマがある席に自由に座ってもらいます。</p><p>自己紹介を兼ねて「呼んでほしい名前」、差し支えのない範囲で「どこから来たのか」「なぜこのテーマについて話したいと思ったか」などを話し、あとはフリートークです。</p><p>「つながる待合室」は、当事者の家族や支援者が交流できる場で、性別を問わず参加できるので、男性の当事者が参加することもあります。もともと「女子会」に参加する当事者の中には、母親や姉妹が付き添って来られるケースもあり、2部の間、廊下やロビーで待っている方がいたことがきっかけでした。</p><p>「せっかくなら、その時間を交流の場にしよう」と考え、誕生したのが「つながる待合室」です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00006.jpg">「女子会」でテーブルに置かれるテーマカード<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00007.jpg"><div id="tnf-text-notes-block_de8cb00f922402f0c58c6973095d0b41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ソーシャルファーム」とは、一般的な企業と同様に自律的な経営を行いながら、就労に困難を抱える方が必要なサポートを受け、他の従業員と共に働いている社会的企業のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_ecbbab8a8143d6b70943ea74477a93fe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「安心して来られる場」を最優先にした運営と支援の未来</h2><p>――「ひきこもりUX女子会」に参加した方の声を教えてください。</p><p>林：徐々に変化が起こり、就労や自立に至った方や、結婚して子どもが産まれたという声も聞いています。</p><p>あとは、参加者同士で連絡を取り合うようになったり、会の後にお茶をしたりする人たちもいます。なかには、一緒に遊園地に行ったという人たちもいるんですよ。</p><p>女子会をきっかけに、社会との接点を少しずつ取り戻していく人が増えています。</p><p>――開催に当たって、意識していることを教えてください。</p><p>林：女子会に限りませんが、一番大事にしているのは、当事者が「安心して参加できること」です。</p><p>まず、参加のハードルを下げるために、原則予約制にはしていません。当日にならないと体調や気持ちが分からない方や、本名・住所・電話番号などの個人情報を知られたくない人も多いからです。</p><p>また、途中参加・途中退出も自由です。会場の一角には、他の参加者と交流せずに休める「非交流スペース」も設けています。当日は会場の扉の開閉角度にも工夫し、外からは見えないけれど、中に入りやすいように心がけています。</p><p>事前申し込み制ではないため、当日になるまで参加人数が分からないわけですが、私たちの活動の柱の1つに「最大の利益は当事者に」というのがあります。主催側の都合よりも、当事者が安心して来られることを最優先にしています。</p><p>――現場で感じる、ひきこもり女性支援の課題を教えてください。</p><p>林：課題はいくつもありますが、まず、女性が安心して相談できる環境が足りていないということはいまだ強く感じます。女性職員や、理解がある職員が支援の窓口にいることが重要ではないかと思います。</p><p>また、広域連携の支援がもっと広がって、全国どこでも相談ができるようになってほしいです。それに加えて各自治体の中でも、ひきこもりを含むさまざまな課題に連携して対応できる、縦割りでない支援体制が必要だと感じます。</p><p>さらに、行政がひきこもり支援策を作る場合には、当事者や経験者が入ることも望んでいます。当事者の意見を聞かずに進めてしまうと、ニーズとのずれが生じてしまいますからね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hikikomorizyosi00003.jpg">ひきこもりUX会議による、ひきこもり状態の女性が安心して参加できる場づくりの工夫は多岐にわたる。監修：一般社団法人ひきこもりUX会議<h2 id="tnf-text-heading-block_bd040ecac7318993af74b4650674b9c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ひきこもり状態の方を支えるために私たち一人一人ができること</h2><p>ひきこもり状態の方を支えるために、社会全体や私たち一人一人ができることについて、林さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_702a74cabf5a4a186431044b511c8f00" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］関心を持ち、正しい知識を身に付ける</h2><p>誤解や偏見、差別的なイメージが残る「ひきこもり」という言葉。まずは、どんな人が、どんな状況で困難を抱えているのかに関心を持ち、講演会に足を運んだり、本を読んだりしてみる。私たちが正しい知識を身に付けることで、当事者は社会に出ていきやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_da0a410a0d53920c34b1e257e860b27f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める</h2><p>良かれと思ってのアドバイスは、当事者の孤立感を深めてしまうことがある。当事者の話を聞くときは、助言や自分の意見を挟まず、ただ受け止める。当事者の心情に真摯に心を寄せ、ただそばにいるという姿勢が重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bbb30d0e5c7eb0404e7c2985973f57b0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］当事者の周囲にいる私たちは、情報を集めながら助けを求められるときを見守る</h2><p>当事者と近い関係性の場合は、地域の家族会になど参加し、まずは自身を労わり気持ちが楽になれるようにする。そして、当事者本人が「そろそろ一歩踏み出せるかも」と感じたタイミングで、情報を差し出せるよう、適切な相談窓口や精神科医などの情報を集めておく。周りは焦らず、温かく見守りつつ、自身の生活や人生も大切にすることを心がける</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>ひきこもり状態にある女性の実態が見えにくいことや、女性ならではの支援の課題があることを知り、今回の取材に至りました。</p><p>印象的だったのは、支援活動が「就労」や「自立」ではなく、「つながりを育むこと」「共にあること」に重きを置いている点です。その根底には、元当事者である林さんの経験とまなざしがあります。私たちも「支援しなければ」と力むより、当事者のニーズを知り、共にある姿勢を持つことが何よりも大切なのかもしれないと感じました。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_28f2413e537791904b52d829f5a7d9be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">林恭子（はやし・きょうこ）</h2><p>一般社団法人ひきこもりUX会議・代表理事。高校2年で不登校、20代半ばまでひきこもりを経験する。2012年から、「自分たちのことは自分たちで伝えよう」と当事者発信を開始し、イベント開催や講演、研修会の講師などの当事者活動をしている。東京都ひきこもりに係る支援協議会委員／就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム議員等。 著書に『ひきこもりの真実―就労より自立より大切なこと』 （ちくま新書）。</p><p><a href="https://uxkaigi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人ひきこもりUX会議 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 23 Dec 2025 10:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>障害を力に変えて——横山温大選手、森宏明選手の生きざまから感じる「スポーツの力」</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118284</link>
      <pubDate>Thu, 18 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p></p><p>2025年夏の全国高校野球選手権大会では、岐阜県立岐阜商業高等学校（以下、県岐阜商）が16年ぶりのベスト4進出。公立校の快進撃、とりわけ準々決勝では春の選抜大会優勝校・横浜高等学校（以下、横浜）との激闘を制し高校野球ファンを魅了しました。</p><p>その中で、ひときわ注目を集めたのが県岐阜商の横山温大（よこやま・はると）選手です。生まれつき、左手の人差し指から小指までがないという障害がありながら、レギュラーとして出場。守備・打撃ともに存在感を示し、チームの躍進を支えたといっても過言ではありません。</p><p>今回、そんな横山選手と、2026年ミラノ・コルティナパラリンピック冬季競技大会の日本代表推薦選手であるクロスカントリースキーの森宏明（もり・ひろあき）選手の対談が実現。森選手は、小中高と野球に情熱を捧げますが、高校2年生のときに事故で両足のひざ下を切断。大好きな野球を諦めますが、その後、パラスポーツと出会い、パラスキー選手としての道を歩み出します。</p><p>障害がありながらも努力を重ね、輝ける存在となり、多くの人たちに勇気を与えているお二人に、競技に取り組む姿勢や自身の障害との向き合い方などに触れながら、それぞれが思う「スポーツの力」についても語り合っていただきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2f0c79daf299cd70620f0c7aa3465a0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">好きだから続けてきた、野球のエリート街道をまっしぐら</h2><p>森さん（以下、敬称略）：横山選手は、野球を始めたのは小学3年からだそうですが、当時は義手を使っていたそうですね。</p><p>横山さん（以下、敬称略）：はい。でも小学校では軟式だったのが中学校で硬式に変わり、硬くて重い硬式球だと義手をつけてのクロスプレーの危険性や脱臼を心配されるようになりました。また、投手のときは義手だとクイック（※１）がうまくできなくて……。それで義手は使うのをやめたんです。</p><p>森：中学ではボーイズリーグで投手と外野手の二刀流だったとか。そこから県岐阜商へ入るまで、どんな経緯をたどったんですか。</p><p>横山：小学校からやってきた投手は好きでしたが、他に身体能力の高い選手がいたので、試合に出るためにバッティングを磨いて外野にも挑戦。バッティングは好きだったし、障害を武器にできるよう工夫したことで、結果的に主軸（※2）も任されました。それが成長につながったと思います。</p><p>県岐阜商への入学を決めたのは中学2年の冬。早めに声をかけてもらったので、他校は考えなかったですね。高校でも最初は投手をやろうと思ったのですが、思うように球速が上がらず、高1の秋に野手に転向しました。</p><p>森選手も小学2年から野球を始められたとお聞きしました。</p><p>森：友人と一緒に野球をしたくて始めました。そこで野球漬けの毎日を送り、中学では強豪クラブチームへ。僕も横山選手と同じで、投手をやりたかったけれど他に強い選手がたくさんいたので、内外野を転々とし、最終的に捕手でチャンスをつかみました。最終学年では日本リトルシニア野球選手権大会で準優勝したので、いい経験ができたと思います。</p><p>僕には親戚にモデルケースとなる人がいて、その人と同じ野球人生を歩みたいという目標がありました。高校卒業後は駒澤大学、そしてSUBARU硬式野球部へ所属することを目指して、野球の強豪校である淑徳高校に入学。練習に励み、高2の新チーム体制からは主将も任されました。</p><p>事故に遭ったのは、さぁこれから、という同年の8月のこと。他校を招いて行われた練習試合を終え、片付けをしている最中に、猛スピードで敷地内に入ってきた野球部OBが運転する車に足をひかれたんです。それで、両足を切断することになり、野球を続けることを断念しました。</p><p>横山：大変な経験をされてきたんですね。</p><div id="tnf-text-notes-block_7484d479af63ecfb2264d13a7333c46e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.盗塁を防ぐためにピッチャーが投球動作を小さく素早くする投法</div><div id="tnf-text-notes-block_5febb27f62b551d1a70cd8e0a0edda56" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2.野球の「主軸」とは、打順における3番、4番、5番の打者を指す</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_2-1024x680.jpg">小3から高1までの野球人生を振り返る横山選手<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_3.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_11441c483d1e9cb7146b9c3358632358" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自ら考え、動く。その結果が人生を変える</h2><p>高校までの野球人生を振り返りながら、徐々に打ち解け合う二人。会話を交わす中で、横山選手は、周囲が障害など関係なく普通に接してくれることがうれしいと語ります。</p><p>森：良き仲間にめぐり会ってきたんですね。甲子園で躍動した県岐阜商野球部のチームカラーはどのようなものだったんですか。</p><p>横山：チームのモットーは「明るく、笑顔で」。（高2の）秋季県大会、（高3の）春季県大会はどちらも準々決勝で敗れましたが、その悔しさが“勝ちたい”という強い気持ちにつながり、チームのみんなが同じ目標に向かってまとまるきっかけになりました。</p><p>また、藤井監督（※）は主体性を重んじる指導方法で、選手個人が見つけた課題に取り組む「課題練習」が中心です。自分たちで考える野球を大切にすることで、一人ひとりの主体性が育ち、結果としてチームのレベルが上がったと感じています。</p><p>森：「自ら考えて動く」って、とても大事だと思います。僕自身、事故後の治療3カ月とリハビリ3カ月、合わせて半年の空白時間があり、そこで今後の人生について向き合い、縁もあってパラスポーツに出会うことができました。</p><p>じっくり考えた末に選んだ道だからこそ、その後も「なぜ自分はパラスポーツをやるのだろう」と迷うことがない。それが今も続けられている理由かもしれません。</p><p>横山：挫折することはなかったんですか？</p><p>森：ありましたよ。僕は“事故”だったので、どうしても加害者・被害者の立場で裁判が行われます。すでにリハビリを経て自分なりの日常生活を取り戻しつつあるのに、「こんなに自分は困っています」と被害者の立場から主張しなければならないことに大きな違和感がありました。</p><p>「もう、どうでもいい」と投げ出したくなるときもありましたが、先ほどお話しした“空白時間”の中で、自分の人生を整理できていたのが、立ち直る支えになったのかなと思っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_abce5e168eb48453ff7093d974ff6493" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※県岐阜商をけん引する藤井潤作（ふじい・じゅんさく）監督。前任で監督を務めた鍛治舍巧（かじしゃ・たくみ）さんが、しばらく甲子園から遠ざかっていた県岐阜商を6年間で甲子園出場4回と復活させ、藤井監督がバトンを受け継いだ</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_4.jpg">挫折にまつわる森選手（右）の話に、真剣な眼差しで耳を傾ける横山選手<h2 id="tnf-text-heading-block_81b2337b5cfc2d2464b0663dbae3b270" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「障害」を武器に。自分の“最適解”をどう見い出すか</h2><p>中学時代、障害を武器にしたかったという横山選手。横山選手・森選手ともに、努力を重ね、今では自分なりのプレースタイルと練習方法を確立しています。</p><p>森：甲子園で一番印象に残っているプレーは？</p><p>横山：準々決勝の横浜戦、初回の守備ですね（※1）。自分が捕っていなかったら相手に先制点を許し、戦況が変わっていた場面。まだ緊張していた投手を助けられて良かったです。</p><p>森：あれはすごかったですね！ 僕は夏の甲子園が始まる前から横山選手には大注目していました。守備では右手につけたグローブで捕球。そして素早くグローブを外して左脇に抱え、球を“握り替え”して右手でボールを投げる。この一連の動作は甲子園でも話題になりましたね。</p><p>横山：あれは外野を始めた中学１年の頃から取り入れました。最初はうまく握り替えができず、捕球後のステップが多くなってしまって。0コンマ何秒でも早く返球できるよう反復練習し、今ではしっかり体に染みついています。</p><p>森：打撃では右手１本で振り抜いていたのが印象的です。</p><p>横山：振り抜くときは片手ですが、インパクト（バットとボールがぶつかる瞬間）は両手で押し込むようにしています。速球でも左手が押し負けないようにするために練習を重ねました。</p><p>誰よりも多く素振りをし、自分のフォームをしっかり固められるように取り組みましたが、やはりスイングの力だけではみんなに勝てないかもしれない。ですから、バットへのボールの乗せ方とか、パワー以外で球を飛ばす技術的な方法などもずっと考えてきました。</p><p>ところで、森さんは大学3年でノルディックスキーに初チャレンジして、その後にはカナダでのワールドカップに出場されていますよね。どんな苦労をされたんですか。</p><p>森：僕がシットスキー（※2）を始めた頃、日本国内にはシットスキーの競技者がいませんでした。だから、早く国際大会に出て、海外選手の滑走を“生”で観るのが一番勉強になると考えたんです。また、過去のパラリンピックの競技動画を繰り返し見て、あらゆる研究を重ねましたね。</p><p>ただ、2022年北京パラリンピックで順位が振るわなかった時「このままではダメだ」と。シットスキーは座り競技なので、それまでの僕は上半身ばかり鍛えていました。しかし、レースの後半でバテてしまってフォームが崩れてくるのは、下半身の強化が足りないということに気づいたんです。</p><p>僕は両ひざから10センチ下が欠損していますが、それ以外に使える筋肉を余すことなく100パーセント使うことで、はじめて戦えることに気づきました。そこからの4年間は特にフィジカルトレーニングに注力してきました。</p><p>横山：森さんは（2019年に）朝日新聞社に入社してから、今も週5日勤務しながら練習に励んでいると聞きました。</p><p>森：はい。パラスキー選手としては珍しいかもしれませんが、ある意味、学校の授業が終わって放課後から練習をする横山選手と一緒です。現在は退勤後、ナショナルトレーニングセンターで毎日4時間ほど練習しています。</p><p>練習する上で大切にしているのは、人と比べるのではなく、限られた時間の中でどう成果を出すかという視点。例えば、「今年中にベンチプレスで100キロを挙げる」など、必ず具体的な目標や数値を設定してモチベーションを上げています。</p><p>ただし、完璧主義になり過ぎず、良い意味で割り切ることも大事かな、と。柔軟な思考でトレーニングに向き合うようにしています。</p><div id="tnf-text-notes-block_494249e3e8afbed4a9b8b19c2356bd9d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.初回２アウト２塁の場面、横浜４番打者の痛烈なライト線方向へのライナーをキャッチしたファインプレー。横浜の先制点を阻止した</div><div id="tnf-text-notes-block_e4330930fdf5db44fa3e75a8bc19dabc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2.主に下肢に障害のある人が、シートにスキー板を固定した専用の競技用具を使って座った状態で滑るスキーのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_5.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_6.jpg">森選手は国内外のクロスカントリースキーの大会で奮闘を続ける。画像提供：森宏明<h2 id="tnf-text-heading-block_8a6207e6ee5f184fc41284dff4611553" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">生きざまが誰かの夢になり「スポーツの力」になる</h2><p>森：今回の対談の大事なテーマが「スポーツの力」ということなんですが、横山選手にとって、スポーツの力とはどのようなものだと思いますか。</p><p>横山：難しいですね……。僕にとって野球は人生そのものです。だから「甲子園を観て感動したよ！」と言われても、自分にとっては当たり前のことをがむしゃらにやってきただけで、人に感動を与えるようなことをしてきたとも思えず（笑）。</p><p>ただ、自分が楽しんで野球をやっている姿が、誰かの心を揺さぶることもある、それがスポーツの力なのかなと今は思うようになりました。</p><p>森：なるほど、生まれてからずっと障害とともに生きてきた横山選手にとっては、「障害」の有無は関係なく、当たり前のように努力を重ねられてきただけですもんね。</p><p>一方、事故で足を失ってしまった僕にとって、スポーツの力は障害をポジティブに変えてくれるもの。特にパラスポーツの選手は、僕と同じように一目で障害だと分かる人が多く、挫折を乗り越えて今がある人も少なくありません。だからこそ観戦者は、その人の生きざまそのものを見て応援したいという気持ちになり、そこから感動が生まれるのかな、と。</p><p>僕自身も、スポーツを続けることができ、応援してくださる人たちに感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思っています。</p><p>最後に横山選手の今後の目標を聞かせていただけますか。</p><p>横山：高校卒業後は岐阜聖徳大学へ進学します。野球はもちろん、商業系の教員免許取得も視野に入れて決めました。しっかり勉強と野球を両立し、野球はできる限り長く、高いレベルを目指せるよう頑張っていきたいです。</p><p>森選手の目標はなんですか。</p><p>森：僕は2026年パラリンピック冬季でのメダル獲得が目標です。社会人アスリートとして、奮闘する姿を皆さんにお見せしたいですね。</p><p>何かやりたいことがあるなら、未経験でも、何歳からでも決して遅いことはない。だからこの記事を読んでいる人には、チャレンジ精神を大切にしてほしいですし、私自身、頑張る人たちの背中を押せるような活動を今後もしていきたいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/yokoyama%EF%BC%8Bmori_7.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_6482ea273632dfa0eea5160ae8f60a31" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>障害のある人でも、その向き合い方や考え方が人それぞれ異なるのだと、取材を通して改めて気づきました。</p><p>ただ、共通して言えるのは、スポーツを継続する上で、自分自身と向き合い、「自分らしく」輝けるよう不屈の努力を重ねていること。その生きざまそのものが、私たちに希望と感動を与えてくれます。</p><p>この記事が、これから何かにチャレンジしてみようと思っているご本人・ご家族の背中を押すきっかけになれば幸いです。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_59aa2043d2f1acd3b4191843195cba6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">横山温大（よこやま・はると）</h2><p>2007年7月17日生まれ、岐阜県出身。県立岐阜商業高等学校に在学中。ポジションは外野手、右投左打。生まれつき左手の指がないという障害を乗り越え、優れた打撃センスと守備力で活躍し、2025年夏の甲子園にも出場。16年ぶりにベスト4入り果たすという、チームの活躍に貢献した。卒業後は大学へ進学し、野球を継続する予定。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a06d4e45baad2a3801b927be51285429" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">森宏明（もり・ひろあき）</h2><p>1996年生まれ。東京都出身。高校2年の夏に、交通事故で両足を切断。大学3年生のとき（2017年）、パラノルディックスキーを始める。北京2022冬季パラリンピックに出場。2026年のミラノ・コルティナ冬季パラリンピックも日本代表推薦選手となる。日本財団パラスポーツサポートセンター（パラサポ）が主催する小・中・高・特別支援学校向けの教育プログラム「あすチャレ！ジュニアアカデミー」の講師も務める。</p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 06 Jan 2026 14:46:04 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>負の連鎖を止める鍵は“家”。母子ハウスが叶える社会的自立と心の安定</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118167/child_poverty</link>
      <pubDate>Thu, 18 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>母子ハウスは、母子家庭（シングルマザー）を対象としたシェアハウスやアパート</li><li>住まいがないと保育園に入れず、保育園に入れないと就労できず、就労できないと入居審査に通らない負のサイクルに陥る構造がある</li><li>全国ひとり親居住支援機構は母子ハウス運営者の中間支援とデータ収集を行い、自治体への政策提言に向け準備中</li></ul><p></p><p>厚生労働省の<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和4年国民生活基礎調査」（外部リンク/PDF）</a>によると、子どもがいる現役世帯において、大人が2人以上いる世帯の相対的貧困率（※）が8.6パーセントなのに対し、大人が1人の世帯の相対的貧困率は44.5パーセントで、ひとり親世帯の生活は苦しいということが分かっています。</p><div id="tnf-text-notes-block_cdf3be641deb42772cbacc8706b83fc5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※世帯の所得が、その国の中央値の半分にも満たない状態を指す</div><p>また、厚生労働省が2022年に公表した<a href="https://www.moj.go.jp/content/001388755.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和3年度全国ひとり親世帯等調査」（外部リンク/PDF）</a>では、ひとり親世帯の中でも父子家庭の平均就労年収が496万円なのに対して、母子家庭は236万円となっており、母子家庭（シングルマザー）は相対的に厳しい経済状況にあることが伺えます。</p><p>収入が限られる中で、安心して暮らせる住居を確保することは、ひとり親家庭にとって大きな課題の1つです。<a href="https://singleparenthouse.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人全国ひとり親居住支援機構（外部リンク）</a>は、そんな母子に快適な住環境を提供し、自立をサポートするため、空き家を活用したシェアハウス「母子ハウス」の運営支援を行っています。</p><p>今回、全国ひとり親居住支援機構の代表理事の秋山怜史（あきやま・さとし）さんに、具体的な活動内容や行政と協働で行うプログラムの成果など、課題解決のための取り組みについてお伺いしました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_db7acd4f3c85e479180590db61d440b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して子育てできる暮らしのために、住まいの確保から負の連鎖を断ち切る</h2><p>――全国ひとり親居住支援機構の活動内容を教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：全国で母子ハウスを運営している事業者の方々を支援する中間支援組織として活動しています。私たち自身が母子ハウスを直接運営しているわけではなく、現場で活動されている方々を後方から支える団体という位置づけです。</p><p>活動の大きな柱は3つあります。1つ目は、母子ハウスの運営者の支援。全国に25ある加盟団体のとりまとめやサポートを行っています。</p><p>2つ目は、母子ハウスの存在を世の中に広めること。まずは住まい探しに困っている母子家庭の方々に、必要な情報を適切に届けることを目指しています。また、行政や政治家の方々に、母子家庭の居住支援が必要であることを理解していただくための働きかけも大切な活動の1つです。</p><p>3つ目は、この取り組みに関わるプレーヤーを増やしていくことです。具体的な取り組みとして最も多くの方の目に触れているのが、母子家庭向けの不動産サイト<a href="https://motherport.net/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「マザーポート」（外部リンク）</a>で、このサイトは母子ハウスへ入居を希望される方と全国の運営者をつなぐ役割を担っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00006.jpg">全国ひとり親居住支援機構が運営するサイト「マザーポート」のトップページ。画像提供：NPO法人全国ひとり親居住支援機構<p>――建築家として働かれる中で、ひとり親の居住支援に関わろうと思ったきっかけを教えてください。</p><p>秋山：社会に出てからずっと建築家としての社会貢献を考えてきました。東日本大震災では、ボランティアで現地に赴きましたが、建築家としてできることがすごく少なく、無力感を味わいました。また、当時の建築家たちが、これからのまちづくりなどについて多くの提言をしたにもかかわらず、社会に認識されていないのを実感して、「課題に対して、いますぐできることを始めなければ」と考えるようになりました。</p><p>そのころ、関心を持っていたのが「子育てと仕事の両立」です。住まいのあり方次第で、子どもを持つ方々の負担を軽くできるのではないかと考え、母子家庭の貧困問題を知り、現在の活動へとつながっていきました。</p><p>――そうして、シングルマザー専用シェアハウスの立ち上げにつながったんですね。</p><p>秋山：はい。2012年に日本で初めてシングルマザー専用のシェアハウス「ペアレンティングホーム高津」ができたのですが、その立ち上げに携わりました。</p><p>実際にシェアハウスを立ち上げると、より具体的にひとり親世帯の深刻な現実が見えてきました。「母子家庭である」という理由だけで住まいを借りることが難しく、劣悪な住環境に住まざるを得ないケースも多々あるんです。</p><p>また、人は清潔で安全な環境でないと、前向きにはなれません。建築家として、そして子どもたちの成長環境を思う立場として、「住まいから支える必要がある」と、さらに強く感じるようになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00001.jpg"><p>――なぜ母子家庭の方は住居の確保が難しいのでしょうか。</p><p>秋山：日本の現状では、住宅契約の名義人が夫で、離婚後は妻が子どもを連れて家を出るというケースが多いからです。また、その際妻は妊娠、出産などのために仕事を辞めているケースも多く、入居における審査が通らないということも少なくありません。</p><p>住まいが見つからないと保育園に入れられない、保育園に入れられないと仕事が見つからない、仕事が見つからないと入居審査に通らないという、負のサイクルになってしまうんです。この悪循環を断ち切るには、まず住まいを確保することが必要不可欠です。住所が決まらなければ、手続きを行う行政窓口すら定まりませんから。全てのスタート地点が住まいなんです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1cf1b8a28dd8f476a42a6b436b1be817" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心できる住まいを軸に、働く力と心も支える取り組み</h2><p>――母子ハウスの特徴を教えてください。</p><p>秋山：運営者によって細かい点は異なりますが、個人の部屋と共有スペースがある一軒家が多く、入居者の方同士がコミュニケーションを取りながら生活をしています。</p><p>基本的には「家賃をいただいて成り立つ民間事業」ですので、仕組みとしては一般の不動産と同じで、所有または借り上げた物件に入居していただき、家賃をお支払いしていただく形になります。ただし、多くの運営者が「母親と子どもを支えたい」という福祉的な気持ちを持っているため、一般的な相場より安い価格で入居が可能です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00005.jpg">実際の母子ハウスで暮らしの模様。画像提供：NPO法人全国ひとり親居住支援機<p>――母子ハウスには、どのようなきっかけで入居希望者が集まってくるのでしょうか。</p><p>秋山：さまざまなルートがありますが、最近は「マザーポート」を見て問い合わせてくださる方が増えています。気になる物件を見つけて問い合わせると、当団体と運営者の双方にメールが届く仕組みになっており、年間500件弱の問い合わせをいただいております。</p><p>入居者に共通して確認するのは「働いて自立していきたい」という意思があるかということです。受け入れ方針はそれぞれ異なりますが、多くの運営者は自立を応援したいという思いを持って運営されています。</p><p>――自治体との連携についても教えてください。</p><p>秋山：東京都豊島区と連携した「豊島区モデル」というプロジェクトを2023年から進めています。豊島区にはもともと空き家とその活用事業者をマッチングする制度がありましたが、十分に活用しきれていませんでした。2023年から区の方針で制度の強化が行われ、その中で私どものNPOとつながり、この分野での協働が実現しました。</p><p>区内に空き家を持つオーナーから相談を受けた区の職員が、その内容を踏まえた上で私たちNPOにつないでくれます。</p><p>私たちが直接オーナーに「空き家を貸してほしい」と訪ねても、多くの場合は相手にしてもらえません。しかし、このプロジェクトでは行政の担当者が丁寧に趣旨を説明し、橋渡しをしてくれます。オーナーが貸す前提で我々とコンタクトをとってもらえるのは本当にありがたいです。</p><p>――ほかにも行っている取り組みがあれば教えてください。</p><p>秋山：「SWIP（スウィップ）」という、女性の自立を支援するプログラムを2023年度に立ち上げました。住まいの確保と同時に、自立に向けた相談支援やキャリア支援も行う「住まいと心と就労」の伴走支援です。入居者に対して、家賃補助に加え、家計相談、キャリア相談、コーチによる伴走などをオンラインで提供しています。</p><p>これまでに58世帯に提供しており、6カ月間でほとんどの方が収入の増加を実現しました。また、キャリアコンサルトとつながることで新たな自分の可能性に気づくことができたという方、またSWIPに参加された方は、日本全体の女性の平均値と比べて、PTSD（心的外傷後ストレス障害）の指標が高い傾向があるのですが、6カ月のプログラムを通じてその数値が改善したという方がいらっしゃるなど、想定以上に良い成果が出ています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00008.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_a907d06ef2a02589e4d19e268eb84df9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">住まい支援の価値を、確かな根拠として提示する</h2><p>――母子ハウスにまつわる、現状の課題があれば教えてください。</p><p>秋山：母子ハウスの運営には、暮らしに寄り添う人的支援が欠かせません。精神的につらいときはそれに適した施設につないだり、行政手続きに同行したりするといったサポートは日常的に必要ですが、現状は無償で担われています。本来は福祉的な役割であり、人件費に対する公的な手当てが必要だと思います。</p><p>住宅に関するセーフティネットを提供するため、住宅保証や家賃補助を行う「住宅セーフティネット法」という制度はあるものの、全国約1,700自治体の中で、活用されているのはわずか40程度しかありません。自治体が課題や制度を認識し、予算化しない限り使えない仕組みとなっているのが現状です。</p><p>自治体からすると「費用対効果が見えにくい」というのが、制度が使われない理由の1つでしょう。一方でSWIPでのデータを見ると、収入の増加や正社員登用など、自立につながる効果が確実に出ていて、長期的には社会保険料や税収の増加によって、2年以内にコストが回収できる見込みも示されています。住まい支援は「見えづらいが確実に効果のある社会投資」だと知ってもらうことが今の課題です。</p><p>――課題を解決するためには、どのような取り組みが必要でしょうか？</p><p>秋山：まずはこの課題で起きている社会的影響力を可視化することです。「豊島区モデル」はデータ収集も目的の1つで、居住者の自立や生活安定、経済的な運営リスクなどを数値化して収集しているところです。SWIPは2026年の2月で事業が終了するため、年度内に報告書をまとめ、その後は政府や自治体への提言を本格的に行っていきます。</p><p>自治体や議員の方々に響くのは、数字に加え「人の変化」が伝わるストーリーです。例えば、「収入が上がった」という数字だけでなく、「その結果、子どもの習い事を続けられるようになった」「子どもが胸を張って友だちと遊べるようになった」など、生活の変化が見えると政策として取り組む意義がより伝わると思います。</p><p>今後は、こうした具体的な変化を丁寧に集め、確かな根拠として行政に示していきたいと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/hitooya00002.jpg">母子ハウスで培ったノウハウを全国に伝えていきたいと話す秋山さん<h2 id="tnf-text-heading-block_14ec44af0dff5965b48c9bf751d077ab" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">安心して暮らせるひとり親世帯を増やすために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、秋山さんに安心して暮らせるひとり親世帯を増やすために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6f85d0ee6904a107aeba7115ae6ce11f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］地域の母子ハウスにボランティアとして関わる</h2><p>多くの母子ハウスではボランティアの受け入れ体制があるといわれている。最も多いのは夕食づくりの手伝いで、仕事と子育てを両立しているシングルマザーにとって、帰宅後に料理をするのは大きな負担となるため、非常に喜ばれるそう</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9e4f5b452207d19f4fe5baaf140734a1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］母子ハウスの存在を周囲の人に広める</h2><p>まだまだ母子ハウスの認知度は低く、その存在を知らないために支援を受けられずにいる人も少なくない。困難な状況に陥ったとき、「母子ハウスという言葉を聞いたことがある」という記憶が頭の片隅にあるだけでも、いざというときの大きな拠りどころとなる。そのため、母子ハウスをできるだけ周りの人に伝えることが大切</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>ひとり親世帯の貧困率に関する統計を目にし、その背景にある「住まいの困難」について深く知りたいと考えていた時に、秋山さんの活動を知りました。</p><p>秋山さんの思いから始まった支援が、地域へ根を張り、そして全国へと枝を広げようとしています。そこには、秋山さんはじめ、運営者や自治体の方など多くの方の「社会をよくしていきたい」という想いが込められていることを感じました。</p><p>データはもちろん、数字だけでは語り切れない変化を、どう記録し、どう未来へ渡していくのか。今後の秋山さんの活動や、その結果自治体がどのように動いていくかも気になります。</p><p>現場で起きている変化を記録し、社会へ届けることの大切さを、取材を通して改めて感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>10人に1人が経験する「産後うつ」。妊産婦を支えるために必要な支援とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/118149/childcare</link>
      <pubDate>Fri, 12 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「産後うつ（※1）」になる人は約10人に1人、なかには妊娠中や産後に自殺に至る人もいる</li><li>妊産婦（※2）への支援や産後ケアが推進される一方で、妊娠から産後まで切れ目のない支援体制は不十分</li><li>妊産婦を支え、心の不調を防ぐためには、支援の拡充と社会全体の意識のアップデートが必要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><div id="tnf-text-notes-block_97a8ac957e90bcd31a6aaa28f8ea2bdd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「産後うつ」とは、およそ10パーセントの罹患率があり、気分の落ち込みや楽しみの喪失、自責感や自己評価の低下などを訴え、産後3カ月以内に発症することが多い※2. 「妊産婦」とは、妊娠から出産、そして産後6～8週間の産褥期（さんじょくき）と呼ばれる期間が終わるまでの女性を指す。妊婦、産婦、産褥婦を総称して妊産婦と呼ぶ</div><p>「妊娠中または産後1年以内の妊産婦の死因は、自殺が最も多い」。2023年に日本産婦人科医会が行った調査（※）によって、衝撃的ともいえる事実が明らかになりました。産後は、10人に1人が「産後うつ」と呼ばれる心の不調を経験し、なかには「産後うつ」が原因で子どもへの虐待、育児放棄につながってしまうケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_348e600625b853c001fbc9cf0add1c7e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：日本産婦人科医会医療安全部/母子保健部 関沢明彦「自殺による妊産婦死亡について」</div><p>こうした状況を受け、大阪府では妊産婦のサポート体制を充実するべく、<a href="https://www.ninsanpu-cocoro.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">大阪府妊産婦こころの相談センター（外部リンク）</a>を設置。妊産婦やその家族の電話相談に応じるほか、保健所や自治体、医療機関、助産師と連携して妊産婦のケアに対応しています。</p><p>妊産婦のメンタルヘルスの実情や背景、妊産婦を支えるために必要な社会づくり、同センターの活動内容について、大阪府立病院機構大阪母子医療センターの皆さんに、お話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_b2c72229c6bcd1821953634f3c604397" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊娠期、産後は、ホルモン変動と環境変化で心が不安定になる</h2><p>――近年「産後うつ」という言葉をよく聞きますが、どんな病気ですか。</p><p>光田さん・病院長（以下、敬称/役職略）：「うつ」という言葉は、状態として一時的に生じる「うつ状態」と、病気として診断される「うつ病」があり、これらは明確に区別されます。一般的に「産後うつ」とは、妊娠出産をきっかけに表れる「うつ状態」やメンタル不調も含めて抑うつ症状を伴う広範囲な状態を指す場合が多いです。</p><p>症状が長く継続し、「うつ病」をはじめとする精神疾患と診断される初期の場合や、一時的な不調の場合も含みます。具体的な症状としては、意欲の減退、不眠や食欲の低下、それらに伴う育児の困難などが挙げられます。</p><p>――「産後うつ」に至るメカニズムを教えてください。</p><p>光田：妊娠出産に伴う急激なホルモンの変動により、気分が不安定になることが大きな原因の1つです。また、妊娠中や産後の環境変化とも深く関わっています。</p><p>和田さん（産婦人科外来師長。以下、敬称/役職略）：妊娠、出産、育児は「幸せ」だけでは片付けられないほど大変です。妊産婦さんは体に重い負荷がかかって思うように動けませんし、出産後は24時間365日赤ちゃんのお世話をして、自分のことは後回しになってしまいます。それまでの夫婦の自由な生活とは全く異なります。</p><p>妊娠前は健康で元気な人でも、妊娠出産を機に「産後うつ」や、その手前のメンタル不調の状態になることはよくあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00001.jpg">子どものいる母親の8割弱が「とてもつらかった」「少しつらい時期があった」と回答。データ出典：株式会社キッズライン「2024年産後のメンタルヘルスに関するアンケート」<p>――近年はインターネットやSNSの発達で、情報に振り回される人が増えていると聞きます。そうした状況もメンタルヘルスに影響するのでしょうか。</p><p>和田：可能性はありますね。私たちの病院に来る妊産婦さんの中にも、専門家よりもインターネットの情報に頼る人が急速に増えています。SNSで見るキラキラした子育てを「普通」だと思い込み、そうではない自分にどんどん落ち込んでいく人もいます。</p><p>平山さん（子どものこころの診療科副部長。以下、敬称/役職略）：ネットの情報は必ずしも全てが正しいわけではないですし、子育ては家庭や子どもによってそれぞれです。</p><p>それにもかかわらず、「子育てには正解があって、それを知るために情報収集しなければいけない」と思い込む人が増えている印象です。少子化や核家族化によって、身近なモデルケースが減っていることも関係しているのではないでしょうか。</p><p>――「産後うつ」から自殺につながるケースもあるそうですが、どんなことがリスクを高めているのでしょうか。</p><p>平山：多くの研究で「精神疾患の既往歴がある」「妊産婦の年齢が若年もしくは高齢」「子育てのサポートが得られない」「望まない妊娠」「子どもに病気や障害がある」などの要因が指摘されています。</p><p>「産後うつや妊産婦の自殺に関連性があると思われること」とは想定されていますが、実際自殺に至る根本的な要因は一人一人異なり、なかなか減らすことができずに苦労しているのが現状です。</p><p>ほかの精神疾患と同様に、「これがこうなると発症する」「こういう状況にあると自殺につながる」といった直接的な要因を特定するのは難しいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00003.jpg"><p>――「産後うつ」のリスクを把握するために、病院ではどのような取り組みを実施していますか。</p><p>和田：私たちの病院に来た妊産婦さんには全員に助産師との保健相談の時間を設けています。妊娠中からのちょっとした不安や家族を含めての心配ごとを話してもらう中で、その不安を解消する手立てはないか、また産後に不安が大きくならないように、地域の担当保健師につなぐなど、早めの支援を心がけています。そして出産後は「エジンバラ産後うつ病質問票（※）」という産後の気分の落ち込みを測る質問票に回答してもらっています。</p><p>産後の「うつ病」のリスクが高い人の特徴を調べたところ、精神科や心療内科の受診歴以外に目立った特徴はありませんでした。</p><p>一方で、元々はリスクが高かったものの、リスクが下がった人は、「助産師や保健師との関わりが多い」という明確な傾向が確認できました。仮説ではありますが、相談相手がいることは自殺のリスクを低下させる一助になり得るのではないかと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_21c2ba79bc36e2e58d146cd6e498bbcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「エジンバラ産後うつ病質問票」とは、産後うつ病のスクリーニング（選別試験、ふるい分け試験）を目的に作られた10項目の質問票。支援者が母親とコミュニケーションをとり、傾聴と共感という基本的なメンタルケアを行うためのツールとしても用いられている</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00006.jpg">質問票の冒頭には「ご出産から今までのあいだにどのようにお感じになったかをお知らせください。今日だけでなく、 過去７日間にあなたが感じたことに最も近い答えに○をつけてください」と記載。参考：<a href="https://mcmc.jaog.or.jp/pages/epds" target="_blank" rel="noreferrer noopener">MCMC 母と子のメンタルヘルスケア:EPDS多言語版ダウンロードページ（外部リンク）</a><p>――妊産婦の自殺はどのくらい起こっているのでしょうか。</p><p>光田：調査によって細かい数字は異なりますが、一般社団法人いのち支える自殺対策推進センターの調査によると、2022年から2024年の3年間で162人とするデータがあります。</p><p>この数は、女性全体の自殺率と比べて抜きんでているとはいえません。しかし、妊産婦の死因の1位が自殺であること、さらに統計上カウントされていない人もいると推測されていることなどを踏まえると、決して軽視できない事態です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00004.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2000996573d145aca50c500f2956c417" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">悩みを抱える妊産婦に寄り添う「妊産婦こころの相談センター」</h2><p>――大阪府妊産婦こころの相談センターは、どんな機関か教えてください。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>和田： 1つは、電話で妊産婦ご本人やご家族、パートナーからの相談を受ける役割を担っています。もう1つは、保健所や子ども家庭センター（※）、医療機関、自治体などの関係機関のワンストップ窓口として支援を行うと共に、関係機関からの相談に助言しています</p><p>光田：母子手帳を交付する際に案内チラシを配布し、府内の全ての妊産婦さんに当センターの存在を知ってもらうことを目指しています。相談員が話を聞く中で専門的なケアが必要と判断した場合は、精神科、心療内科などの医療機関を紹介することもできます。</p><div id="tnf-text-notes-block_5fd0d94bcef4be206aa5c08c0fee853f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「子ども家庭センター」は、市区町村の母子保健機能と児童福祉機能が一体的に妊産婦や子育て家庭への相談支援を行い、早期から切れ目ない包括的で継続的な支援を実施することを目的としている</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00007-724x1024.jpg">母子手帳を交付する際に妊産婦の方に配布しているチラシ。画像提供：大阪府立病院機構大阪母子医療センター</div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/ninsanpu00009.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f3c82e556bfd0700b8ce800fac0c6179" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「妊産婦こころの相談センター」に寄せられる声</h2><p>――センターにはどんな相談が寄せられますか。</p><p>和田：匿名で電話をかけられるので、周囲に言いづらいことを正直に話してくれる人が多い印象です。よくあるのは、夫婦関係の悩みですね。</p><p>「働きながら子育てをしているのに、夫が協力的でない」という不満は頻繁に聞きます。ただ、じっくり話を聞いてみると、どちらか一方だけが悪いわけではなく、両者共に余裕がないのだろうと感じます。</p><p>――出産前の夫婦生活は順調に送れていたとしても、子育てが始まると関係がギクシャクする夫婦もいるんですね。</p><p>和田：慣れない子育てでお互いにストレスが溜まり、不満のぶつけ合いになってしまうんですよね。ここ数年で、男性育休の取得率が飛躍的に上昇しました。それ自体はよい変化ですが、夫婦が四六時中一緒に過ごすようになり、かえってストレスを溜める人が増えている印象もあります。</p><p>子育て環境も夫婦のあり方も激変している近年は、その変化に適応できない人も多いのかもしれません。</p><p>嶋田さん（母性内科副部長。以下、敬称/役職略）：一見悩みのなさそうな人、SNSで順風満帆な生活を発信している人でも、実際にはかなり追い詰められている場合もあるかもしれません。</p><p>「こうあるべき」という基準がインターネットを通して可視化されることで、親しい人にすら、ありのままの姿を見せられない人が増えているのではないかと思います。</p><p>また、特に妊娠後に初めてメンタル不調となった場合、相談や受診のハードルが高くなりやすく、「どこに相談したらいいんだろう」「こんなことで相談してもいいのかな」と悩みがちです。そんなときに悩みを話せたり、専門的なケアにつながれる場所は大切だと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_70e4c34e4142d6f62084a6b68f2cfb95" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊娠から産後まで、切れ目のない支援を提供できる仕組みづくり</h2><p>――「産後うつ」になる妊産婦を減らすには、どんな施策が必要ですか。</p><p>光田：妊娠、出産、子育てという大きなライフイベントは、妊産婦だけでどうにかできるものではありません。現代では、地域のつながりの希薄化や核家族化によって、親子を支えるセーフティーネットも失われつつあり、子育ての難易度が上がっています。</p><p>今後は、欧米では一般的である、妊娠中から出産前後の女性に寄り添い、家事や育児を手伝う「ドゥーラ」のような、妊産婦への伴走支援を行う職種や仕組みが求められていると思います。</p><p>こども家庭庁でも「医療・保健・福祉の切れ目ない連携」を推奨しているように、こうした支援の重要性は以前から指摘されています。それにもかかわらず、現場では支援が縦割りのままで、各機関の連携がうまく機能せず、初動が遅れがちです。それぞれの現場の人々はとても頑張っているので、仕組みを改善してほしいですね。</p><p>また、妊娠中から妊産婦さんを診る産婦人科と、赤ちゃんを診る小児科が連携を取りやすくなる仕組みも必要だと感じています。妊産婦さんの子育て状況を、赤ちゃんのかかりつけ医と共有することができれば、虐待や育児放棄などを減らせる可能性がありますからね。</p><p>――現状では、どんな職種や機関の人が妊産婦のケアにあたっているのでしょうか。</p><p>光田：「社会的ハイリスク妊産婦（※）」の方や、子育て困難の妊産婦さんの話を聞いてケアする役割は、産婦人科の医師やスタッフが担うことが多いです。</p><p>ただ、病院本来の医療的な機能とは重ならないところもあるため、半ばボランティアのようになっており、現場の運営に無理が生じているのが実情です。</p><div id="tnf-text-notes-block_20c253a3e82f44b5bfdbbeb869126522" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「社会的ハイリスク妊産婦」とは、さまざまな要因により、今後の子育てが困難であろうと思われる妊娠をした妊産婦のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_89cb3ffea68eb3e1d55d393692ae1ee3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子育て家庭を支えることは、社会の未来を育てること</h2><p>――国が推進している「産後ケア事業（※）」の普及状況はいかがでしょうか。</p><p>和田：普及しつつあり、とても良い流れだと感じています。ただ、社会全体の認識として「妊産婦には特別なケアが必要で、みんなでそれを支えていくべきだ」という考えがもっと当たり前になってほしいです。</p><p>近年は「子どもを持つ、持たない」という立場の違いで分断が起こりがちですが、未来を担う子どもやその子たちを育てる妊産婦への支援は、社会的な意義がとても大きいはずです。</p><div id="tnf-text-notes-block_0014f409ac391d409d06c2dd37adcc01" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「産後ケア事業」とは、市町村が、出産後１年以内の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、産後も安心して子育てができる支援体制の確保を行う事業のこと</div><p>――SNS上では「子持ち様論争」と呼ばれる、子どもがいることを理由に配慮を求める親を揶揄する動きも目立っていますね。</p><p>和田：「なぜ子持ちばかりが優遇されるのか」「子どもの看病で欠勤した人の仕事が、子どものいない自分に回ってくる」といった不満の声が頻繁に聞かれるようになりました。</p><p>しかし、これも「子どもがいる人が悪い」という話ではなく、仕組みの問題です。みんな必死で日々を過ごしているので、個人の親切心に頼るのは無理があります。こうした不満が出ないよう、職場であれば、フォローした人に手当を支給するといった、子育て家庭を助ける周りの人を支援する仕組みが社会全体に求められていると思います。</p><p>「子どもを産んだのは自己責任」「人に迷惑をかけるうるさい子連れは嫌だ」といった風潮が広がっていますが、子育てしにくい社会では子どもの数がますます減ってしまいます。今の時代に合った方法で「社会で子どもを育てる」という空気をつくっていく必要があるのではないでしょうか。</p><p>――そのために、私たち一人一人ができることを教えてください。</p><p>光田：まずは、妊産婦に適切なケアを提供し、子育て家庭が健やかでいられる環境を整えることの社会的なメリットをもっと知ってほしいです。</p><p>妊産婦が子育て困難になり、虐待や育児放棄をしてしまうと、子どもの将来的な精神不調や疾患のリスクが高まります。社会全体の発展や幸福度アップを考えるならば、やはり心身共に健康に生きられる人が増えるに越したことはないですよね。</p><p>妊産婦や子どもへの支援は、将来の社会を担う子どもたちが健やかに育ち、やがて自立して社会に貢献できるようにするための、社会に行う｢先行投資｣という見方もできるかもしれません。</p><p>「子どもがいる、いない」にかかわらず、みんなで協力し、子どもたちが幸せに生きられる社会をつくれば、みんなの人生がより豊かになると思います。そうした視点を持つ人がどんどん増えていってほしいですね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5e96e9188e7df793646809a19827cba1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">妊産婦の方を支えるために私たち一人一人にできること</h2><p>妊産婦の方が暮らしやすい社会をつくるために、社会全体や周囲の人たちに私たち一人一人ができることを大阪府立病院機構大阪母子医療センターの皆さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_18edc7598c72e65486ee76379ac8f2ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 困っている妊産婦に気を配り、サポートする</h2><p>妊産婦の力になりたいと感じたら、勇気を出して行動する。席を譲る、電車やバスの乗り降りでベビーカーを持つのを手伝うなど、些細な行動に救われる人は多い。また、無理のない範囲で育児を助け、相手のありのままの姿を受け入れる姿勢も支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_054e4d5ddefcfed4f310d94eadd11c3e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］相談できる専門家がいることを知らせる</h2><p>周囲の人や家族が妊産婦になり、困り事に直面していたら、気軽に専門家に相談することを勧め、自治体のワンストップ窓口や妊産婦向けの相談センターなど、頼れる場所があることを知らせる。相性の合わない相談相手に出会うこともあるが、「誰も助けてくれないと諦めず、別の相談先を探してみることも大切」ということも伝えるようにする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_69814bf8b570054d0a4c0efea17c4e0d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］母親だけに育児の責任を負わせない</h2><p>子育ての責任は母親だけが背負うべきものではない。「家族、地域、社会がみんなで子育てをする」という意識を持ち、積極的に子育てに関わる。身近に子どもがいない場合でも、子どもや子連れの方に、温かいまなざしを持つ人が増えるだけで社会は変わっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「産後うつ」を経験する女性が多いことを知り、具体的な支援策を知りたいと思い、今回の取材に至りました。</p><p>取材を通じて感じたのは、妊産婦を取り巻く環境の複雑さと、周囲の一人一人の小さな関わりがとても大切だということ。そして、支援の現場では、相談に来る人も、支援する側もそれぞれの事情を抱えており、現状の制度だけでは解決できない課題も見えてきました。</p><p>妊産婦への支援の拡充、そして「子育てしやすい社会をみんなでつくろう」という意識の浸透によって、健やかな状態で子育てできる環境が広がっていくような支援をしていきたいと思います。</p>    ]]>
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      <title>誰もが学びを諦めない社会へ。聴覚障害者の教育格差を変える留学支援</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117978/disability</link>
      <pubDate>Thu, 04 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>奨学金で聴覚障害者の留学を支援し、学びの可能性を広げる活動がある</li><li>「前例がない」といった理由で聴覚障害者の受け入れを拒否する教育機関も残っている</li><li>障害の有無にかかわらず、未来の可能性を閉ざさない情報提供や教育機会が必要</li></ul><p></p><p>将来の夢を叶えるため、あるいは自身の興味関心を探求するため、学生のうちに「留学をしてみたい」と考える若者は多くいます。しかし、それを実現するためには高いハードルを越えなければいけない人たちがいます。障害と共に生きる若者たちです。</p><p>例えば、聴覚障害のある学生は、学習の場で手話通訳や字幕などの「情報保障（※）」を求めなければいけません。手話や文字で情報が提供されなければ、他の学生と同じように学びを得ることが困難だからです。</p><div id="tnf-text-notes-block_4511dedb32f812a47d2db94f7e409f98" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「情報保障」とは、音声による情報やコミュニケーションを、聴覚障害者が理解できる形に変換して提供すること</div><p>そんな聴覚障害のある若者を取り巻く国内の進学環境には、多くの壁が残っており、聴覚障害者の受験を可能と明示する大学は45パーセント（※）にとどまります。また、受験可否を明らかにしない大学も多く見られ、学びたい分野があっても、キャリア形成に向かう前の段階から、ハードルに直面しているのが現実です。</p><div id="tnf-text-notes-block_0275948c406045f52482ecce04e4b9fd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：一般社団法人全国障害学生支援センター「大学における障害学生の受け入れ状況に関する調査2024」</div><p>一方で、大学に進学する障害のある学生は、一般高校卒業生の進学率と比べて低いものの、増加傾向にあります。その中には、海外留学を視野に入れる学生もいるでしょう。</p><p>しかし、国内ですら十分な進学先が整っていない中で、海外留学をどう実現すればいいのか悩む学生も少なくありません。こうした聴覚障害者の留学を、奨学金制度を通じて支援しているのが<a href="https://www.npojass.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人日本ASL協会（外部リンク）</a>です。</p><p>本記事では、同協会で「聴覚障害者海外奨学金事業」を担当する、ろう者（※）の秋山なみ（あきやま・なみ）さん、きこえる人の根本和江（ねもと・かずえ）さんにお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_9cf9e4dd8b869df7a44cba2bc9cabff9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ろう者」とは、きこえない・きこえにくい人で、日本手話言語で話す人のこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_431d80ad90af00f30208995b13df0150" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「前例がないから」と受け入れを断られてしまう現実</h2><p>――日本の教育機関において、聴覚障害のある学生が直面している課題を教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：やはり、聴覚障害者の受け入れ体制がいまだに整っていないことです。大学に限らず、高校を受験することさえ断られてしまうケースもあります。</p><p>理由の多くは、「聴覚障害者を受け入れた前例がないから」というもの。前例がないから、「情報保障」をはじめとする聴覚障害者の学習を支えるシステムが整っておらず、結局「うちよりも大きな学校に相談してください」と避けられてしまうのです。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00002.jpg"></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00003.jpg">情報保障の手段「連係入力によるパソコンノートテイク」。授業中の音情報を複数人が協力して入力し、表示用パソコンに映し出す方法。インターネットを介し、離れた席や別の場所からでも入力できる方法もあり、主流になりつつある。画像提供：<a href="https://www.pepnet-j.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク（外部リンク）</a></div><p>――2021年に「障害者差別解消法（※1）」が改正され、事業者（※2）による合理的配慮の提供が義務化されましたが、いまだに聴覚障害者の受け入れを断る学校があるのですね。</p><p>秋山：残念ながら、それが実情です。背景としては、「義務化」はされたものの「罰則」が設けられていないことも影響しているのではないかと思います。</p><p>受け入れの姿勢は国によって大きく異なります。例えばアメリカでは、過去に「音楽の先生になりたい」という夢を持つ聴覚障害者の女性が大学に入学を断られたことがありました。「あなたは耳が聞こえないのだから、音楽の先生なんて無理でしょう」と言われたそうです。その女性は裁判を起こし、勝訴。大学側から多額の賠償金が支払われることになりました。</p><p>アメリカでは個人の人権が重視されているため、事業者側もそれを意識せざるを得ません。一方日本では、まだ権利保障が軽んじられている場合があるといえるでしょう。</p><div id="tnf-text-notes-block_703259ad2185115e07aa432be9736b7e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「障害者差別解消法」とは、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的に、2013年6月に制定された法律※2.障害者差別解消法における「事業者」とは、商業その他の事業を行う企業や団体、店舗であり、目的の営利・ 非営利、個人・法人の別を問わず、同じサービス等を反復継続する意思をもって行う者 </div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00001.jpg"><p>秋山：だからこそ、留学を経験した聴覚障害者たちは、権利に対する意識が様変わりするようです。</p><p>留学前までは、「こんなことを求めたらわがままなんじゃないか」と悩んでいた人も、帰国すると「自分の権利を求めるのは正当なことなんだ」と気がつきます。そうやって気づいた人たちが社会に働きかけていくことで、日本全体がより良い方向へと変わっていくかもしれない。</p><p>私たちは「聴覚障害者海外奨学金事業」を通して、そんなことも期待しているんです。</p><p>――当事者が自分の権利を遠慮してしまうのは、社会のどんな状況が影響しているのでしょうか。</p><p>根本さん（以下、敬称略）：大きな要因の1つは、障害者に関する情報が社会全体に十分浸透していないことだと思います。</p><p>少し前までは、教育現場でも障害者について学ぶ機会がほとんどありませんでした。そのため、社会の中で当事者と出会ったとき、どう接すればよいのか分からず、距離を取ってしまう人が多かったんです。</p><p>周囲の理解が乏しい環境にいると、「こんなことを求めたら迷惑だと思われるんじゃないか」と、当事者が助けを求めたり、権利を主張したりすることをためらってしまうんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00006.jpg">聴覚障害者は身近な存在だと話す根本さん<h2 id="tnf-text-heading-block_534d996014f3851ad83db50dbd4991e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いまだに壁が残る、聴覚障害者の進学・留学・雇用の課題</h2><p>――日本ASL協会が実施している「聴覚障害者海外奨学金事業」について教えてください。</p><p>秋山：2004年から日本財団の助成を受けて、ろう者・難聴者の海外留学を支援しています。対象は、日本やアジアのろう者コミュニティーをけん引していくことを目指す方。給付制の奨学金を通じて学費や生活面のサポートを行うほか、聴覚障害者の受け入れ体制が整った海外の教育機関との橋渡しもしています。</p><p>――同事業の目的や大切にしている考え方を教えてください。</p><p>秋山：そもそも日本では、長きにわたって、きこえる人と聴覚障害者の間に教育格差がありました。私と同世代のろう者の中には、ろう学校でも口話中心の授業だった影響で、英語の授業を十分に理解できず、文法の細かな仕組みが苦手な人たちがいます。</p><p>手話などの視覚的な学習方法が十分に保障されていなかった時代だったことが背景にあります。すると、必然的に進学先や就職先にも差が生まれ、ましてや留学なんて考えられない状態でした。</p><p>こうした教育格差を解消するために必要なのは、聴覚障害の当事者自身がアメリカ手話言語をはじめとする外国語を学んだり、海外留学を経験したりして、そこで学んだ知識や経験を日本の社会に還元していくことです。</p><p>本事業では、この考え方を大切にしているので、事業を通して留学した皆さんには日本の聴覚障害者のコミュニティーを盛り上げていってほしいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00004.jpg"><p>根本：そして、この事業は若者だけを対象としているわけではなく、中には40代以上の応募者もいます。皆さん、「学生時代に思う存分勉強できなかったからこそ、大人になって社会に出た今、もう一度勉強し直したい。海外留学で学びを深めたい」と考えているようですね。</p><p>――留学先で得たものを日本の当事者コミュニティーに還元することで、日本の聴覚障害者の環境も前進していくように感じます。</p><p>秋山：そうですね。ただ、留学で学んだことを日本で活かしたいと思っても、帰国後の受け皿が十分に整っていないという課題があります。</p><p>例えば、帰国後に海外で学んだ分野を日本の大学院で深めようとしても、留学先で受けられた情報保障の水準が確保されていないことがあります。また、留学経験を活かして就職しようとしても、聴覚障害者にはまだ門戸が開かれていない、という現実が往々にしてあります。</p><p>その結果、「せっかく留学したのに、この経験を活かせないなんて」と壁にぶつかってしまうことがあります。これまで支援してきた方々を見ると、自分のやりたい分野で活躍できるようになるには、かなり時間を要するようです。</p><p>留学で得た学びを日本で活かそうと、環境づくりや下積みを続けていく中で、10年ほど経ってようやく力を発揮できるようになる方もいます。その過程で自分の居場所を新しく見つける人や、海外でさらなるキャリアを広げる人もいます。</p><p>――障害に対する教育問題は「雇用機会の平等」という課題にもつながってくるんですね。</p><p>秋山：過去に支援した方の中には、ろう英語教育の改善を志した方もいました。しかし、聴覚障害のある方がろう学校で正規採用されるには、採用試験の段階からさまざまな困難が伴うのが現実です。</p><p>だから、留学支援をすると同時に、聴覚障害者の雇用についても考えていかなければいけないと常に感じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_166a53fd299651be1831aebb2225edcc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「聞こえないから無理」を突破していくために必要なこととは？</h2><p>――そうした当事者が自分の権利を遠慮してしまう環境を変えていくためには、教育の役割も大きいのでしょうか。</p><p>根本：現在、「インクルーシブ教育（※）」が進んでいるカナダに留学している学生がいるのですが、大学の中で耳が聞こえないのは彼一人らしいんです。</p><p>でも、周りの学生たちは自然と筆談したり、彼が授業に取り残されていそうだったらメモを渡してくれたりするそうです。日本だったら、当事者が自ら「何を話しているのか筆談で教えてくれませんか？」とお願いをしなければいけない場合が多いですよね。</p><p>カナダではその必要がない。それは、違いのある人が身近にいるのは当たり前という経験を幼い頃から積み重ねてきたからだと思います。だから、周りの学生たちも特別なことではなく、ごく自然な行動として対応できる。彼自身も、こうした環境を日本に広めたいと話していました。</p><div id="tnf-text-notes-block_1008e16d211150947200b27bd32cc554" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「インクルーシブ教育」とは、障害のある子もない子も同じ場で学び、個々に必要な配慮を受けながら学ぶ権利を保障する教育の仕組みのこと。障害を理由に通常の教育から排除されず、身近な地域で学べることを目指す考え方</div><p>――2026年2月には「日本財団聴覚障害者海外奨学金事業」の記念式典が開催されるそうですね。</p><p>根本：2026年2月15日に日本財団ビルで記念式典を行います。式典では、留学事業の振り返りや、これまでに支援した奨学生一人ひとりの留学での学びをまとめたポスター発表、交流、留学に興味がある方々が留学について学べるような企画も考えています。</p><p>また、記念誌の発行も予定しており、奨学生が、さまざまなテーマで座談会を行い、それらをまとめて掲載して発行する予定です。</p><p>秋山：これまでの歩みを発表することで、日本の環境も少しずつ変わってきていることを示したいですね。そして、留学したいと思ってくれる子どもたちが増えてくれたらいいなと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00010.jpg">「聴覚障害者海外奨学金事業20周年記念式典」（左）と「聴覚障害者海外奨学金事業」のチラシ<p>――留学はもちろんですし、国内の進学状況も改善されていくことを願います。そのためにも、私たち一人一人にできることはありますか。</p><p>秋山：私が高校生の頃、同級生のお母さんがとても聡明な方で、「耳が聞こえなくたって留学する人がいるんだよ」と教えてくれたことがあったんです。</p><p>その時に見せてくれたのが、実際に留学している聴覚障害者の新聞記事でした。それを読んで、衝撃を受けました。それまで、「あなたは聞こえないんだから無理」と言われることばかりだったので、世界が開けていくようでした。</p><p>だから、もしも身近に聴覚障害のある子どもがいたとしたら、その子にさまざまな可能性があることを教えてあげてほしいです。直接伝えることができなかったとしても、そういう情報を周囲の人にシェアしていくだけでもいいと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00005.jpg"><p>根本：同時に、未知の世界にもどんどんアクセスしてもらいたいです。例えば、11月に日本でデフリンピックが開催され、東京の街ではデフリンピック関連のポスターが至る所に掲示されていました。「デフリンピックってなんだろう？」と思うだけで終わらせて、素通りしてしまうのはもったいない。</p><p>少しでも気になったら調べてみることで、世界の見え方が変わるのではないでしょうか。どんなことでもスマホで調べられる時代になったのだから、聴覚障害の世界についても関心を持ってもらいたいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/12/asl00012.jpg">「聴覚障害者海外奨学金事業」では毎年、海外留学奨学生を募集している。画像提供：NPO法人日本ASL協会<h2 id="tnf-text-heading-block_a011ce0e5024e7a55814852bcfaad45e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">聴覚障害者の教育環境を変えていくために、私たち一人一人にできること</h2><p>聴覚障害者の教育環境を変えていくために、社会全体や周囲の人たちに何ができるのかについて、秋山さん、根本さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ac44fb0429dee9431e293d10514ec537" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］情報保障を「特別な配慮」ではなく、自然な行動とする</h2><p>周囲に聴覚障害のある方がいると気づいたら、共有メモや字幕を自然に差し出す。日常の中で、「気づいた人から動く」を積み重ねることで、当事者が「迷惑かもしれない」と権利主張をためらう状況が減らし、インクルーシブな学びの土台をつくる一助となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_896b82a6b62193135a53d46b87207357" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「前例がない」ことで学ぶ機会が制限される構造に対して、問題意識を持つ</h2><p>聴覚障害のある学生の教育機会を広げるためには、周囲の人や在校生が問題意識を持つことも大きな力になる。当事者だけでなく、第三者の声が加わることで、当事者の孤立した交渉が減り、受け入れ体制の整備が進みやすくなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4ed8532b1ba258200ddf55a0bd054e5f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］自ら調べる行動を取り、機会があれば情報を伝える</h2><p>自分にとって未知の世界について調べてみる。例えば、デフリンピックや情報保障の取り組みを調べることで、障害者に関する情報を増やすことができる。機会があれば、聴覚障害のある子どもや友人に、留学をはじめとした選択肢の可能性を伝えてみる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>聴覚障害者の留学を、給付制の奨学金をもって支援する事業があると知り、取材に至りました。そんな事業の取材を通じて浮き彫りになったのは、当事者が直面する進学や雇用の問題でした。</p><p>たとえどんな障害があろうとも、やりたいことに思い切りチャレンジする社会をつくるためには、何をするべきか。私たち一人ひとりが当事者の置かれている現状を自分ごととして理解していくことが、その第一歩かもしれません。</p><p>そういった小さな一歩を積み重ねていった先に見えてくるのは、誰もが自由に生きられる、格差のない社会ではないでしょうか。</p><p>撮影：永西永美手話通訳：小松智美</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>亡くなった赤ちゃんへの思いに寄り添う。死産、新生児死亡による「周産期喪失」に必要な支援とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117944/childcare</link>
      <pubDate>Tue, 02 Dec 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす「流産や死産」は「社会に認められにくい悲嘆」であり、当事者の多くが孤立してしまう</li><li>死産や新生児死亡というような「周産期喪失（※1）」による悲嘆に対しては、精神的な支援である「グリーフケア」を行う施設が増えている。しかし流産に対しての「グリーフケア」はこれからの課題である</li><li>回復に決まった道筋はなく、カウンセリングや当事者同士の支え合いが力となり、社会全体での理解促進や、適切な制度を整備することが当事者への孤立防止につながる</li></ul><p></p><p>流産、死産（※2）、人工妊娠中絶などで、妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす経験をする人は、決して少なくありません。流産は妊娠の15〜20パーセントに起こるとされ、流産や死産を2回以上繰り返す状態を「不育症」と呼びます。</p><p>近年、妊娠年齢の高齢化に伴い、流死産や、それを繰り返す「不育症」の割合は増加しており、毎年妊娠する人のうち、数万人に「不育症」の可能性があるとされています。しかし、その悲しみや苦しさは、亡くなった赤ちゃんの存在を知る人が少ないこともあり、周囲から認められにくく、当事者は孤立しがちだといいます。</p><p>こうした当事者に向けて支援を行っているのが、岡山大学病院内にある「不妊・不育とこころの相談室」です。相談支援やカウンセリング、当事者同士の支え合いの場の提供など、包括的な支援を提供しています。</p><p>今回は、同相談室でセンター長を務める岡山大学教授の中塚幹也（なかつか・みきや）さんに、流死産を経験した方の実態、支援の現状や課題ついてお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_e1f2ce4e97b45829bfafdcdb94a1e0ab" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「周産期喪失」とは、妊娠22週から、出生後7日未満までの期間を「周産期」といい、「周産期喪失」は、妊娠中や出産直後に赤ちゃんを亡くす喪失感や悲嘆の感情のことをいう※2.妊娠21週までに妊娠が終わることを「流産」といい、妊娠22週以降に胎児が死亡することを「死産」という</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00012.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c0c8701245c9425df45099e5deede967" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会に認められにくい悲嘆、周産期喪失の実態とその特徴</h2><p>――まず、「周産期喪失」とはどのようなものか、教えてください。</p><p>中塚さん（以下、敬称略）：英語の「ペリネイタル・ロス（Perinatal loss＝周産期の喪失）」を日本語に当てた言葉で、死産、新生児の死亡など、妊娠中や出産から間もない時期に子どもを亡くすことであり、喪失感、悲嘆の感情を伴います。</p><p>亡くなった赤ちゃんを出産する死産の悲しみや負担が大きいことは想像しやすいかもしれませんが、妊娠初期の流産だから体への負担や悲しみが少ないわけでは決してなく、どの時期であっても当事者の方の喪失感や悲嘆に違いはありません。ただ、母親の体験については、妊娠週数の違いが関係してきます。</p><p>――妊娠週数によって、当事者の体験はどのように変わるのでしょうか。</p><p>中塚：例えば、妊娠初期の流産であれば、日本では麻酔をかけて子宮内を吸引するような手術が一般的です。つまり、眠っている間に赤ちゃんがいなくなってしまうことになります。</p><p>存在していた命が確かな実感を得る前に失われてしまう悲しみは「曖昧な喪失」と呼ばれ、似た例として挙げられるのが戦死です。死亡通知は届いたけれど遺体が見つからず、会って別れることができないので、なかなか心の整理ができない。それと同じようなことが起きやすいのです。</p><p>また、妊娠週数が進んだ状態では、通常の分娩と同じで、陣痛に耐えながら出産をし、赤ちゃんとのお別れを経験することになります。産声を上げない赤ちゃんと対面する直接的な喪失感と向き合うことになりますし、妊婦の身体的負担も大きくなります。</p><p>以前は、母親が悲しむだろうと、赤ちゃんとの対面を家族がさせないことも多くありました。このような場合は「曖昧な喪失」になってしまいます。</p><p>――周産期喪失は「社会に認められにくい悲嘆」と呼ばれますが、なぜそう呼ばれるのでしょうか。</p><p>中塚：亡くなった赤ちゃんの存在を知る人が限られていることが大きな要因です。妊娠を公表する前に流死産してしまった場合、その悲しみを分かち合える人がほとんどいません。</p><p>さらに、母親と周囲の人との実感の違いという問題もあります。生まれた子どもが亡くなったのであれば、家族や友人も悲しみますが、流死産の場合は夫や親ですら「赤ちゃんがいた」という実感が薄く、母親の悲嘆が軽視されがちなのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00013.jpg">妊娠や出産は「喜ばしいこと」として社会に認識されているため、その過程で生じる喪失について語ることは、はばかられ、当事者の孤立を深める要因となっている<h2 id="tnf-text-heading-block_7921e8975f4cdc5a830d187eb9679e16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「人生で最も悲しかった体験」。当事者が抱える多重の困難</h2><p>――流死産を経験したご本人でないと分からない困難がそこにはあるということですね。</p><p>中塚：私たちの調査では、流死産を経験した方の多くが「人生で最も悲しかった体験」と回答しており、配偶者や親との死別に匹敵するくらい非常に深刻な心理的打撃だということが分かりました。</p><p>また、流産の手術には合併症（※）のリスクもあり、出血が止まらなかったり子宮が損傷したりする可能性や、麻酔による事故のリスクも完全にゼロではありません。</p><p>――周産期喪失の経験は夫婦関係にも影響を及ぼすのでしょうか。</p><p>中塚：流死産に伴う悲嘆からの回復におけるキーパーソンとなるのは夫で、その次が実母という結果でした。親しい人と喪失についての話ができると、うつや不安の状態が良くなる傾向があるんです。</p><p>ただ、ご本人と夫では流死産の受け止め方が違うこともありますし、夫が妻のためにと思うあまり、「悲しませないように」と亡くなった赤ちゃんに関する話をしないケースも多い。</p><p>また、忘れてはいけないのが夫も当事者の一人であるということ。自分も悲しいけれど、「まずは妻を助けないと」と、頑張り過ぎてしまう人もいます。女性よりも男性の方が周囲の人に悩みごとを打ち明けづらい傾向にあるので抱え込んでしまいやすく、そうして夫婦の心がすれ違ってしまうとますます苦しくなりますね。</p><p>――夫婦間以外の人間関係ではどういった課題があるのでしょうか。</p><p>中塚：流死産の後には、周囲が良かれと思って「なかったことだと思って、早く忘れなさい」「次の妊娠に気持ちを切り替えよう」などと励ますケースはよくあります。次の妊娠がうまくいくかどうかの確信もないまま、実家や義理の家族から「次も頑張れ」と期待やプレッシャーをかけられても、女性の不安は消えず、さらに追い詰められてしまうこともあるんです。</p><p>そうした無理解が当事者の方の傷を深めてしまい、心のバランスを崩してしまったり、妻の方から「私といると夫が子どもを持つことができない」と離婚を切り出したりするケースも起こっています。このように、流死産の経験が日常生活に支障をきたすことは決してまれではありません。</p><p>不育症の場合も、適切な検査や治療ができれば7〜8割の方が無事にお子さんを持つことができることも、皆さんに知ってもらいたいですね。</p><div id="tnf-text-notes-block_80275c005aeb0996261de97874580918" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「合併症」とは、ある病気が原因となって起こる別の病気、あるいは、手術や検査などが元になって起こることがある病気のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00005.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00006.jpg">不育症女性が「周囲の人々との関係」から持つ自身の価値についての調査結果。データー出典：中塚幹也：臨床助産ケア,2013年<h2 id="tnf-text-heading-block_3c07c7704eba90b760588f2a07b978e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不育症治療の負担と仕事との両立の課題</h2><p>――流死産を繰り返した場合は、不育症の治療に取り組む方も多いと思います。そうした治療にはどのような負担があるのでしょうか。</p><p>中塚：まず、経済的な負担が存在します。不妊治療は保険適用となり、自治体独自の助成も拡大しつつありますが、不育症の診察では保険適用の部分は少なく、自費の検査や治療となると高額となることがあります。</p><p>また、数々の検査を重ねても原因が特定できないケースも多くあります。明確なリスク因子が見つけられれば治療方針も決まり、成功率も推測しやすくなります。</p><p>一方、原因が見つからず、「どこも悪くない」と言われた不育症の方の心境は複雑です。「そんなことはないよ」と説明しますが、「自分が動き過ぎたから流産したのでは」「体を冷やしたのが悪かったのでは」などと、自責感が強くなり、心理的負担となりやすいこともあります。そういうなかで流産を繰り返したり、死産を経験したりというのはさらなる心身の負担となります。</p><p>働いている方の場合、妊娠週数が早い段階では周囲に打ち明けにくいこともありますね。しかし、体調によっては、仕事を急に休まなければいけないこともある。そうした状況への理解が得られず、仕事を辞めたり、辞めなくても昇進に影響したという声も聞こえてきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_63b38e06013c3b6cf8b7fefa92e059cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個別相談や当事者間の支え合い、医療と心理が連携する包括的支援</h2><p>――「不妊・不育とこころの相談室」はどのような支援を行っているのでしょうか。</p><p>中塚：私たちの相談室は、厚生労働省が各都道府県に不妊専門相談センターの設置を求めたことを受け、岡山県からの委託により2004年に設立されました。現在は、「メールや電話での相談」「対面での個別カウンセリング」「市民公開講座などによる啓発」、そして「ピアサポート（※）の場の提供」を中心に支援を行っています。</p><p>不妊カウンセラーや心理士による「個別カウンセリング」では、傾聴と共感を基本方針としています。多くの当事者が「話をよく聞いてもらえていない」と感じている場合もあるため、まずはしっかりと話を聞き、ご自身の気持ちを吐き出していただくことを大切にしています。</p><p>中塚：「個別カウンセリング」では医師による「医療情報の提供」も行います。検査結果の解釈や治療方針の説明、地域の医療機関の情報提供などを行います。</p><p>設立当初から重視してきたのは、当事者の立場に寄り添える多様な専門職が関わることです。医師からの言葉だけでは、どうしても距離を感じてしまう方が多いため、助産師や臨床心理士、看護師などがチームを組んでそれぞれの専門性を活かしながら対応しています。</p><p>――ピアサポートグループ「ママとたまごの会」について教えてください。</p><p>中塚：流産や死産を経験した方、不育症の方同士が集まって、お互いの思いや体験を分かち合う場です。最も大きな意義は、参加者が「自分は一人ぼっちではない」「自分と同じような経験をした人がいる」と実感できることだと思います。</p><p>流死産は日常生活では話題に出づらく、多くの当事者が孤立しています。だからこそ、同じ経験をした方と出会うことで孤独感が大きく軽減されます。治療により既に子どもを持っている方の体験談を聞くことで希望を見出すきっかけにもなります。</p><p>――相談室が岡山大学病院内にある利点を教えてください。</p><p>中塚：医療面と心理面の両方から包括的なケアを提供できることです。検査結果について疑問があれば即座に医学的な説明ができますし、必要に応じて適切な診療科を紹介することも可能です。</p><p>精神的に深刻な状況にある方については、院内の精神科と連携を図ることもできます。岡山大学病院の産科病棟では、周産期喪失を経験したカップルやご家族へのサポートであるグリーフケアを行っています。退院後はさらに、相談室での心理的支援に引き継ぐことが可能です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>中塚：具体的にグリーフケアでは、亡くなった赤ちゃんのための小さな衣服や棺、手形や足形をとる色紙などの準備、また、家族の面会時間の確保など、赤ちゃんのためにできることをリスト化しています。また、赤ちゃんを抱いたり写真を撮ったりすることなど、このように赤ちゃんとお別れする家族に寄り添ったケアを実践しています。しかしグリーフケアでは「何をするか」ではなく、「どのようにカップルや家族の悲嘆をやわらげるか」が重要です。</p><p>こうした医学的なケアと心理的サポートを同時に提供できる体制が整っていることが大学病院内にある「不妊・不育とこころの相談室」の大きな強みだと思います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00014-724x1024.jpg">「不妊・不育とこころの相談室」では、妊娠や不育症、性に関する悩みのほか、不妊治療や保険制度、特別養子縁組、性の多様性など、幅広い相談を受け付けている。画像提供：不妊・不育とこころの相談室</div></div><div id="tnf-text-notes-block_942b4983e9f0a6fdd4d5be07cb018b89" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ピアサポート」とは、同じ病気や立場にある、同じ課題に直面している仲間との支え合いのこと</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00003.png"></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00002-1024x576.jpg">来所相談に応じる中塚さん（左）。相談の内容に応じて医師、不妊カウンセラー、心理士などが対応している。画像提供：不妊・不育とこころの相談室<h2 id="tnf-text-heading-block_5b7f437df97ba83120907e8d01eaa68b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">教科書通りにならない回復。悲しみに寄り添う社会づくり</h2><p>――長年の支援を通じて、当事者の回復についてどのようなことが分かってきましたか。</p><p>中塚：私たちの研究では、相談相手の数と精神的な回復の早さには相関関係があることが分かっています。誰にも話せない方はうつ状態が長引く傾向がありますが、心の中を話せる相手が多いほど症状が改善しやすいのです。</p><p>流産や死産をした母親が最も話したいと思っているのは、「亡くなった赤ちゃんのこと」であることも多いのです。しかし周囲はそういう話題を避けてしまう。その結果、母親の方は一番大切なことを語れない状況に追い込まれてしまいます。</p><p>「個別カウンセリング」では、そうした心の回復を支える役割を担います。そして、「ママとたまごの会」では、同じ経験をした方々とつながり、今度は支援する側、される側双方としての輪が広がる。そうやって一歩ずつ、悲しみが和らいでいくようです。</p><p>ただ、回復というものは、そんな教科書通りに進むものでもないんです。海外では、悲嘆に向き合う段階的回復モデルに従って、順序立てて回復が進むという考え方が提唱されています。しかし、日本ではそれとは異なる独特のパターンもある、というのが私の考えです。</p><p>――日本での回復パターンはどういう点が独特なのですか。</p><p>中塚：亡くなった子のことを忘れて前に進むのではなく、その存在を心の中にとどめながら、新しい日常を築く方も多いのが特徴です。これは「生まれ変わり」や「魂」といった観念を持つ文化的な背景が影響しており、決して病的なことではありません。その人なりの喪失への意味付けや、死への向き合い方の表れだと考えています。</p><p>一方で、次に生まれた子どもを「前の子の生まれ変わり」と捉えてしまって、子どもにある種の期待や先入観を背負わせて育ててしまう、というケースも存在します。支援する側も、日本独特の回復パターンを理解した上で、適切なケアを提供することが重要だと感じています。</p><p>――今後、社会全体として取り組むべき課題はどこにあるでしょうか。</p><p>中塚：近年、厚生労働省は不妊治療への支援を強化しており、体外受精でも保険適用になりました。しかし、不育症の検査や治療は自費のものも多く、経済的助成制度をはじめとする自治体間での支援格差も見られます。不育症への理解促進も含めて、全国で統一された支援体制を整備していく必要があります。</p><p>また、企業レベルでの制度整備も重要な課題です。不育症の方は頻繁な受診が必要になりますし、流産を繰り返すことで何度も休暇を取らざるを得ない場合もあります。現状ではこうした状況が離職につながったり、昇進や業務上の評価などに影響を与えたりしてしまうケースが見られます。制度的な配慮によって改善可能な問題であるはずです。</p><p>当事者が適切な情報に接し、適切なケアを受けられる体制を全国で整備していくことが、流産や死産で苦しむ方々の孤立を防ぐために不可欠ではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00011.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/shusanki00004.jpeg">不妊症・不育症女性における治療と就労の両立の状況。中塚幹也らの調査（2023年）<h2 id="tnf-text-heading-block_c1af7385a99f96968ca3a90749fda98e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">流産や死産を経験した方を支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>流産や死産を経験した方を支えるために、私たち一人一人ができることについて、中塚さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_22f6a5e70170ff30f52415814110f50c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 流産や死産について正しい知識を身に付ける</h2><p>流死産は決して珍しい出来事ではなく、実際には多くの方が経験しているという事実を理解することが第一歩。話題に上りにくいため、見えていないだけである、と知っておくことが、当事者への理解と支援の基盤となる。流死産を繰り返していても、適切な検査や治療により、高率に子どもを持つことがでできることも重要な情報である</p><h2 id="tnf-text-heading-block_95473fe45f56eec69a113ca88a780e4e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 流産や死産妊娠中絶にまつわる話題を受け止める</h2><p>当事者が流死産や周産期喪失のことを話そうとしているときは、助言や励ましではなく、受け止める姿勢が重要。思いやりのつもりで流産や死産の話題を避けてしまうと、当事者がより深い孤立感を抱く場合もある。無理に聞き出す必要はないが、「話を聞くからね」と声をかけるだけでも支えになる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e2f32a7d5a44114bedd16fcf5164b96d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］流産や死産への理解を広めることを応援する</h2><p>流産や死産は多くの人が経験する可能性がある一方で、社会全体での理解が不足している。教育の中こうした内容が取り扱われるよう働きかけることや、市民公開講座で、流産や死産について知ってもらうことは、将来的な社会の意識変化を促す重要な取り組みとなる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>編集部の家族に周産期喪失の経験者がいたことが、今回取材するきっかけになりました。流死産を経験した方々の実態が社会であまり知られていないことに気づき、当事者の声に耳を傾けたいと考えました。</p><p>最も印象的だったのは、当事者が亡くなった赤ちゃんのことを話したくても、周囲の配慮によって話題が避けられがちであるという現実。まずは身近な人の話を傾聴することから始めて、誰もが安心して悲しみを表現できる社会をつくっていくことができればと思います。</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5c2bc4f03868005fe728cf527d35b8c6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">中塚幹也（なかつか・みきや）</h2><p>医学博士。岡山大学学術研究院保健学域教授。。岡山県不妊専門相談センター「不妊・不育とこころの相談室」センター長。専門領域は生殖医学、産婦人科医として30年以上にわたり不妊・不育症治療に従事。流死産カップルの支援を行うほか、性別違和の悩みを持つ人のための専門機関である岡山大学ジェンダークリニックにて開設時より診療を行う。また、Yahoo!ニュースエキスパート「生殖とジェンダーの今」で発信をしている。</p><p><a href="https://www.cc.okayama-u.ac.jp/~funin/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">不妊・不育とこころの相談室 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 02 Dec 2025 14:07:51 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>非営利団体にはいくつ法人格の種類がある？ それぞれの特徴と設立要件を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117906/academy</link>
      <pubDate>Thu, 27 Nov 2025 10:01:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>非営利団体にはNPO法人や社団法人、財団法人などさまざまな法人格がある</li><li>そのうちNPO法人には4種類あり、それぞれ認定要件や優遇措置が異なる</li><li>法人を設立する際には、団体の活動内容や規模に適した法人格選びが重要</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>事業として社会課題の解決に取り組むためには、団体の目的に適した法人格の選択が重要である。</p><p>非営利団体には、NPO法人や一般社団法人などさまざまな種類があり、それぞれに特徴や設立要件、税制上の優遇措置などが異なる。</p><p>この記事では、これから非営利団体の設立を考えている方、あるいは既存団体の法人化を検討している方に向けて、主な非営利法人の種類や特徴、選択のポイントを解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_419c4ba64c1e09497b061778aac6e454" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> 1.営利法人と非営利法人の違い</h2><p>営利法人と非営利活動法人との根本的な違いは、事業で得た利益の配分方法にある。</p>営利法人株式会社、合同会社、合資会社などが該当。事業活動で得た利益を、株主などの出資者に分配することを目的としている。例えば、営利法人である株式会社は、商品の製造・販売、サービスの提供などを通じて利益を上げ、株主へ配当という形で利益を分配する非営利法人NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、医療法人などが該当。寄付金・支援金・会費・事業活動から得た利益を、社員や設立者などに分配することは認められず、事業活動を継続するために使用しなければならない。ちなみにここでいう「社員」とは、株式会社における株主のような、法人の意思決定に参加する権利を持つ構成員を指す<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_3.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_74b457e681dd818ee915af07d02a7495" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. 非営利団体の法人格の種類とそれぞれの違い</h2><p>非営利活動法人は法人格の種類によって特徴、要件、優遇内容が異なる。ここでは、法人格ごとの詳細について解説する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a154b1919ddcd2d4bb91c4e7e0c8a0e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1. NPO法人（特定非営利活動法人）</h3><p>保険、福祉、教育、まちづくり、環境保全、国際協力など、法律で定められた20分野など、法律で定められた20分野の社会貢献活動を行う団体。設立するためには10人以上の社員が必要となり、都道府県または政令市の長が管轄する所轄庁の認証を受ける必要がある。</p><p>法人税は、収益事業から生じた所得にのみ課され、収益事業以外には課されない。特に公益性が高いと認められた場合には認定NPO法人、特例認定NPO法人、指定NPO法人となることができ、寄付者への税制優遇などがある。</p><p>これらの詳細は後の章で解説する。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人とは？収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_97b28cc3c197030c0a26410344f90fcd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2. 一般社団法人</h3><p>一般社団法人は、事業内容に制限がなく幅広い活動を行える。社員2名以上、理事1名（社員と理事は兼任可）以上いれば設立できる。</p><p>一般社団法人は法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれる。どちらも非営利法人だが、法人税の課税対象となる所得が異なる。</p><p>非営利型の一般社団法人の課税対象は、NPO法人と同じ「収益事業から生じた所得のみ」。一方、非営利型法人以外の法人は、全所得に課税される。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0defddb5e450fd71f5fa72424ee68214" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3. 一般財団法人</h3><p>一般財団法人は個人や法人が拠出した財産（300万円以上）を維持・運用し、その運用益を特定の事業に活用する団体。設立するには設立者1名以上（理事・監事と兼任可）、理事3名以上、評議員3名以上、 監事1名以上の最低7名以上が必要となる。</p><p>大きな特徴は、一般的な法人が「人の集団」に法人格が与えられるのに対し、一般財団法人は「一定の財産」に法人格が与えられる点にある。</p><p>また、一般社団法人同様、事業内容に制限がなく幅広い活動を行えるが、法人税法上「非営利型法人」「非営利型法人以外の法人（普通型）」の2つに分かれ、課税対象も同じ。「非営利型法人」の特定の事業の具体例としては、奨学金の支給、研究活動への助成、芸術・文化活動への支援などがある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_25d4d85fcee388f3c58258cc5e42efb7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4. 公益社団法人・公益財団法人</h3><p>公益社団法人・公益財団法人は、一般社団法人・一般財団法人のうち、公益性が高いと行政庁（内閣府または都道府県）から認定を受けた団体。公益目的事業の割合が費用額において50パーセント以上を占めるといった、厳しい認定基準を満たす必要がある。</p><p>また公益目的事業は非課税であり、寄付者も税制優遇を受けられる。</p><p>公益性が高いと認定されるには、学術・技芸・慈善などに関する事業であって、不特定の多くの人の利益に寄与する事業を行うことが必要となる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9c02edc5cf2401c408014709ebb13748" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-5. 社会福祉法人</h3><p>社会福祉法人は、介護、障害者支援、児童福祉など、社会福祉事業を行う団体。具体的には特別養護老人ホームや介護老人保健施設、障害者支援施設、保育所の運営などが挙げられる。設立には、最低6名以上の理事と2名以上の監事が必要だ。</p><p>事業運営には、社会福祉法に基づいて国や自治体からの指導監督を受ける。社会福祉事業の適正な運営確保のために、事業報告書の提出、会計監査、運用状況の報告などが求められる。社会福祉事業は非課税であり、さまざまな税制優遇がある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_54dce5ab46837fde98926b5663b6b059" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-6. その他の非営利法人</h3><p>その他にも次のような非営利法人がある。</p>学校法人私立学校の設置・運営を行う医療法人病院や診療所などの開設・運営を行う宗教法人神社、寺院、教会などの宗教団体が、礼拝施設の所有・維持や教義の普及などの宗教活動を行う<p>自分たちで取り組む事業が、法令で定められた特定の事業に該当するか、また、どのような組織形態で運営したいかなどを考慮し、法人格を選択するようにしよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1090ca24417920d98048bd44ac0d7a38" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. NPO法人の4つの種類それぞれの概要と認定までの流れ</h2><p>NPO法人には、特定非営利活動法人（NPO法人）、認定特定非営利活動法人（認定NPO法人）、控除対象特定非営利活動法人（指定NPO法人）、特例認定特定非営利活動法人（特例認定NPO法人）の4種類がある。ここではそれぞれの概要を解説する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/SEO-9_1.png">NPO法人の種類と認定の流れ<h3 id="tnf-text-heading-block_9acf1f34958b50f36ca424257bd3c54c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. 特定非営利活動法人（NPO法人）</h3><p>特定非営利活動法人（NPO法人）は、「特定非営利活動促進法」に基づいて所轄庁の認証を受けて設立されたNPOのことを指す。4種類のNPO法人の基本となるものだ。</p><p>前章で紹介したNPOの税制優遇や社会的信用などのメリットが得られる。社会への貢献が認知されれば、寄付金を集めやすいというメリットにもつながる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c9123536af631bee48f588469afe4724" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.認定特定非営利活動法人</h3><p>「認定特定非営利活動法人制度」によって認められるのが「認定特定非営利活動法人」、いわゆる認定NPO法人である。通常のNPO法人より厳しい基準を満たす必要があるが、税制上の優遇処置が拡張され、寄付金を集めやすい。</p><p>さらに認定NPO法人自身に対する税の優遇措置（みなし寄附金制度）も適用され、収益事業から公益目的事業へ金銭その他の資産を支出した場合に、その支出した金額も収益事業にかかる寄付金の額とみなして税額を計算することができる。</p><p>認定されるためには、NPO法人として1年を超える活動実績があることに加え、より公益性の高い活動を適正に行っていることを確認するための要件を満たしている必要がある。</p><p>要件のうちの一つが、市民から広く支援を受けていることを判断する基準を指すパブリック・サポート・テスト（PST）には、次の基準のうち1つを満たす必要がある。</p>相対値基準経常収入のうち、寄付金収入が5分の1以上絶対値基準寄付金総額が3,000円以上の人が、年平均で100人以上条件個別指定自治体の条例によって「寄付金税額控除の対象となる法人」に指定されていること<p>なお、認定NPO法人の有効期間は、認定日から起算して5年となっている。更新する場合は、有効期間満了日の6カ月前～3カ月前までに申請が必要だ。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_18ef367d45accc7bb8c4fde7105798a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.条例指定特定非営利活動法人</h3><p>各自治体が独自に定める基準を満たすことで、指定を受けられるのが「条例指定特定非営利活動法人」、いわゆる指定NPO法人だ。</p><p>指定NPO法人は、認定NPO法人に準じた税制優遇を寄付者が受けられる。認定NPO法人の認定要件を満たせない場合でも、指定NPO法人を目指すことで、寄付促進につなげられる。</p><p>認定NPO法人の認定要件を満たせない具体例は、設立後間もない、支援者数が少ないなどのケースだ。</p><p>なお、条例指定されることでパブリック・サポート・テスト（PST）の基準を1つ満たすことができ「認定NPO法人」の認定を受けやすくなるメリットもある。ただし、指定期間が5年間と定められており、5年ごとに更新を受けなければならない。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_639a5240d3d067ee344e2ac61766c4e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4. 特例認定特定非営利活動法人（特例認定NPO法人）</h3><p>NPO法人のうち、特にスタートアップ期を支援するために設けられた法人格が「特例認定特定非営利活動法人」、いわゆる特例認定NPO法人だ。設立後5年以内のNPO法人を対象に、申請の機会は認定の有効期間（3年間）を含め、1回のみ認められる。以前は「仮認定NPO法人制度」と呼ばれていた。</p><p>認定NPO法人になるための基準を満たすことが難しいNPOのスタートアップ支援として作られたものである。</p><p>特例認定NPO法人も個人や法人の寄付者に税制上の優遇措置があり、寄付金を集めやすく、支援活動がしやすくなるメリットがある。ただし、認定NPO法人の優遇措置「みなし寄付金制度」は適用されない。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d048814b89c12bfd411be99539c5c9e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人、一般社団法人、一般財団法人、公益社団法人・公益財団法人、社会福祉法人など、非営利団体にはさまざまな法人格がある。</p><p>さらに、NPO法人の中にはNPO法人、認定NPO法人、指定NPO法人、特例認定NPO法人の4種類があり、それぞれに認定・指定の要件が異なる。</p><p>法人を設立する際には、各法人格の特徴を比較検討しよう。また、どの法人格を選ぶにしても、団体の理念や活動内容を明確に示し、広く周知させ市民に共感を得ることが継続した活動を続けるために重要だ。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/14.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/npoiroha" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPOのイロハ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou#:~:text=%E3%80%8C%E7%89%B9%E5%AE%9A%E9%9D%9E%E5%96%B6%E5%88%A9%E6%B4%BB%E5%8B%95%E3%81%AB,%E3%81%AE%E4%B8%80%E3%81%A4%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%82%8A%E3%81%BE%E3%81%99%E3%80%82" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動(NPO法人)制度の概要」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.cao.go.jp/others/koeki_npo/koeki_npo_seido.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府「公益法人制度とNPO法人制度の比較について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html#01" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「 一般社団法人及び一般財団法人制度Ｑ＆Ａ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mlit.go.jp/kankocho/topics04_000162.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国土交通省官公庁『「観光地域づくり法人(DMO)における自主財源開発手法ガイドブック」 第3章法人格の種類による財源の特徴』（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.koeki-info.go.jp/content/01-01-02.PDF" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益法人Information「（公益社団・財団法人と一般社団・財団法人の違い）」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省　「一般社団法人及び一般財団法人制度Q&amp;A」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/shakai-fukushi-houjin-seido/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省　「社会福祉法人制度」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人を設立するには？ 設立の要件、手続きの流れを詳しく解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117899/academy</link>
      <pubDate>Thu, 27 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人を設立するには、活動目的や社員数、役員報酬などいくつかの要件を満たす必要がある</li><li>NPO法人設立は、情報公開や適正な会計処理などの義務を負う一方、社会的信用や税制優遇のメリットがある</li><li>設立手続きや運営については、所轄庁、中間支援組織、専門家への相談が可能</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>NPO法人を設立するには、さまざまな準備や手続きが必要だ。また、法人設立後は情報公開や適正な会計処理などの義務が生じる。</p><p>この記事では、NPO法人を立ち上げる際に把握しておきたい、要件や手続きの流れについて紹介する。法人格を取得した際に生じる義務についても詳しく触れているので、ぜひチェックしてほしい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_6c768b4c5b1d7673776b75eb9a56d30c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人設立要件</h2><p>NPO法人を設立するには、次の要件を満たす必要がある。</p>特定非営利活動を主な目的にしている営利を目的としないこと社員（構成員）の入会資格や退会の条件が不当ではないこと役員のうち報酬を受け取るのが、役員総数の3分の1以下であること宗教活動や政治活動を主な目的としないこと特定の公職者（候補者を含む）や政党を推薦、支持、反対することを目的としないこと暴力団やその構成員、または構成員でなくなった日から5年を経過しない者が統制する団体ではないこと社員を10人以上有すること<p>2つ目の「営利を目的としない」とは、事業で得た利益を構成員で分配しないという意味であり、利益の計上自体を禁じているわけではない。NPO法人は、利益を団体の運営や事業の遂行など、本来の活動目的のために使うことは認められている。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_56d224af08f74b8a257a2c8fc143e3b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人が負う義務</h2><p>NPO法人を設立した後に生じる義務もある。これらの義務を果たすことは、透明性を高め社会的な信用を得ることにもつながる。</p>情報公開義務NPO法人は、活動内容やお金の使い道を、市民に分かりやすく説明する責任がある。 そのため、事業報告書や活動計算書など、事業やお金の動きなどをまとめた報告書を作成し、求めがあればいつでも見せられるようにしておかなくてはならない。また、事業年度ごとに事業報告書等を所轄庁に提出することも求められる適正な会計処理NPO法人は、団体のお金の出入りや活動内容を、ルールに沿って正確かに分かりやすく、継続的に記録して管理しなければならない法令および定款の遵守 NPO法人は、非営利活動法人法と定款を守って正しく運営しなくてはならない。定款には、団体の目的、活動内容、役員についてなど、運営の基本ルールを記載する。定款に記載していない新しい活動をする際には、定款の変更手続きをする必要がある納税義務収益事業を行う場合、法人税や消費税などの納税義務が生じる。税額は、収益事業で得た利益から、収益事業で生じた経費を差し引いて計算する解散NPO法人は、活動を続けられない場合や続ける意思がない場合に、解散の手続きをする必要がある。清算人が中心になって、必要な手続きを行う。もし団体に財産が残った場合は、定款に記載されている通りに、他のNPO法人や国などに引き継ぐことになる<p>団体の将来像を見据え、義務とメリットの双方を理解した上で、法人格取得を検討したい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d4e615a18f9d443987b22498caa85ec2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人設立の流れ</h2><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/SEO-8_1.png"><p>NPO法人を設立するときには、次の4つの段階に分けて準備を進めよう。事前準備、申請手続き、縦覧・可否決定、登記手続きについて説明する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cacf9c9ce68490ec4525e6241d8edcee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.事前準備</h3><p>事前に、団体の方向性や軸（ビジョン・ミッションなど）を決める。</p><p>方向性の決定と人員確保ができたら、NPO団体としての設立総会を開催し、議事録を取ると共に次の書類を作成する必要がある。</p>会則・定款会員名簿役員名簿向こう1年分の事業計画書予算書<h3 id="tnf-text-heading-block_fcb5f388003c1fa4e48ae973ebc59ef6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.申請手続き</h3><p>NPO法人として申請する準備ができたら、特定非営利活動法人設立申請書を自治体へ提出する。申請に際しては申請書の他に、次の10種類の書類が必要となる。</p>定款役員名簿（役員の氏名、住所、報酬の有無を記載した名簿）役員の就任承諾書、誓約書の謄本役員の住所又は居所を証明する書類社員のうち 10 人以上の氏名、住所を示す書類確認書（認証要件への適合を確認したことを示す書類）設立趣旨書（​​設立目的や経緯、活動方針を記載する書類）設立についての意思決定を証明する議事録の謄本事業計画書（設立当初の年度と翌事業年度分）活動予算書（設立当初の年度と翌事業年度分）<p>事前確認（事前相談）は、自治体によっては予約や書類の準備が必要となる。詳細は、各自治体のホームページを確認しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_da85dfd757e47825b126dbee3154366a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.縦覧・可否決定</h3><p>提出した書類一式は、自治体で審査される。そのうち一部は2週間にわたり縦覧（公開）され、市民の目で確認・点検が行われる。</p><p>縦覧期間で2週間、その後2カ月以内に審査結果が確定するのが一般的なスケジュールだ。</p><p>縦覧期間と審査期間で時間がかかる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_62932d7eea659496d1c3752511f0d511" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4.登記手続き</h3><p>自治体と縦覧による審査に通過したら、事務所の所在地を管轄する法務局で、法人設立の登記手続きをする必要がある。</p><p>登記手続きは、認証されてから2週間以内に次の書類を提出しなければならない。</p>登記申請書定款代表権を有する者の資格を証する書面設立許可書又はその謄本<p>また法人登記の際は、登記所に提出した代表印・会社実印が必要だ。</p><p>登記が完了することで、NPO法人が正式に設立されたこととなる。登記完了後は、以下の書類を所轄庁へ届け出なければならない。</p>設立登記完了届出書登記事項証明書財産目録<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/SEO-8_2.jpg">登記申請には、定款や認証書、印鑑届書などの書類が必要だ。ururu/PIXTA<h2 id="tnf-text-heading-block_798ef843544ae7bb8a5debe84341b420" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.NPO法人設立にかかる費用</h2><p>NPO法人の設立自体には、株式会社の設立登記のような登録免許税や、定款認証の手数料はかからない。</p><p>自分自身で設立をする場合、実際にかかる費用項目は次のような諸経費分である。</p>印鑑作成費用役員の住民票取得費用登記簿謄本取得費用<p>上記の中で大半を占めるのは印鑑の作成費用で、5,000円～3万円程度。</p><p>また、行政書士や税理士などの専門家に設立手続きを代行依頼することも可能だ。その場合、10万円から30万円程度の費用がかかる場合がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_845dd005e3d714c0a49367be66b86053" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.NPO法人設立のために活用できる助成金</h2><p>NPO法人の助成金についての詳細は、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NPO法人が活用できる助成金は？ 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説」（別タブで開く）</a>で詳しく解説している。設立・スタートアップ時の助成金についても解説しているので、参考にしてほしい。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_32df4a94866d83b086a9a4d896cc6ee0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6.NPO法人設立に関する相談先</h2><p>NPO法人の設立には、多くの書類作成や手続きが必要となり、その内容は複雑で多岐にわたる。書類の不備や手続きの漏れは認証の遅れにつながるため、専門家への相談も検討したい。</p><p>最も身近な相談先は、事務所所在地を管轄する都道府県または政令指定都市の<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/shokatsucho" target="_blank" rel="noreferrer noopener">所轄庁（外部リンク）</a>だ。設立認証申請に関する相談はもちろん、NPO法人の運営や手続きに関する一般的な相談にも応じている。</p><p>また、各地域には、NPO法人の設立や運営を支援する<a href="https://www.jnpoc.ne.jp/activity/npo-supporter/to-connect/npo-support-center/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中間支援組織（外部リンク）</a>と呼ばれる民間の支援団体がある。中間支援組織に明確な定義はないが、資金・人材・情報・ノウハウなど、NPO法人が必要とする資源を提供している。中間支援組織によって、支援内容は異なるため、事前に支援内容について確認しておこう。</p><p>さらに、NPO法人の設立・運営に詳しい税理士、公認会計士、社会保険労務士、司法書士、行政書士などの専門家に相談するのも有効な手段。例えば、NPO法人の設立サポートに強い税理士事務所では、設立の手続きを代行するほか、資金調達や運営相談などの顧問としても対応している。</p><p>設立の手続きは煩雑で、時間も労力もかかる。専門家のサポートを上手に活用し、スムーズな法人設立を実現しよう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_62803e329b3e3372569cc09aea849407" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人設立には、所轄庁への認証申請や登記などの手続きが必要である。申請が通りNPO法人になれば、義務を負う一方で、活動を進める上で重要な「信用を得らえる」というメリットも得られる。</p><p>設立手続きを自分で行う場合、設立費用は法人実印の作成費用や各種証明書の取得費などであり、株式会社の設立と比較すると費用を安く抑えられる。ただし、設立の際の業務を代行する場合に、税理士や行政書士などに依頼するケースも少なくない。</p><p>計画的に準備を進め、スムーズな法人設立を実現しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/ninshouseido" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認証制度について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/hojin/21/14.htm" target="_blank" rel="noreferrer noopener">国税庁「特定非営利活動促進法により設立されたNPO法人の法人税法上の取扱い」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/202106_manual_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/qa/ninshouseido/ninshou-tetsuzuki" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「設立の認証・手続き等」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h13b-2.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「第2章中間支援組織の活動実態」（外部リンク/PDF） </a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>人や地域の課題解決の伴走者、「社会教育士」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117419/social_contributions</link>
      <pubDate>Tue, 25 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「社会教育士」は、「伴走者＋学びのオーガナイザー（まとめ役）」として、地域課題の解決に向けた場や機会をコーディネートする役割を担う</li><li>「社会教育士」は、効率化が進む社会で失われつつある「お互い様」の文化や、助け合いの関係性を取り戻す可能性を持つ</li><li>身近な課題を解決しようとする一人一人の行動は、サークルや団体へと広がり、地域や社会全体の課題解決へとつながっていく</li></ul><p></p><p>子育て、介護、災害時の対応、商店街の空き店舗解消……。どのまちにもその地域ならではの課題があります。これまで、こうした課題は基本的に国や自治体が主体となって解決策を講じてきました。しかし、地域によって特色が異なるように、課題の性質や背景にも細かな違いがあるため、画一的な施策だけでは根本的な解決に至りにくいのが現状です。</p><p>課題解決に向けて真に必要なのは、当事者意識を持ち、住民一人一人の思いに寄り添いながら継続的に取り組める、いわば「伴走者」のような存在です。「社会教育士」は、まさにその役割を担う専門人材として期待されています。</p><p>「社会教育士」とは、長期的な地域づくりのビジョンのもと、各々の専門性と社会教育（※）を通して、地域活動や市民活動に持続的に取り組んでいく支援者のこと。文部科学省が認める公的な称号で、活躍の幅は広がりつつあり、今後はNPOや企業、学校といった場での活躍が期待されています。</p><div id="tnf-text-notes-block_2731d54ccf28807e7a14f60a186fff06" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主に青少年及び成人に対して行われる組織的な教育活動のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/kyoiku00001.jpg"><p>「社会教育士」が、人や地域に関わっていくことが、日本社会全体にどのような変化をもたらすのでしょうか。今回、<a href="https://sites.google.com/view/shakyoshikai" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人日本社会教育士会（外部リンク）</a>の代表理事・鈴木麻里（すずき・まり）さんと、常務理事の岸本和久（きしもと・かずひさ）さんに話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/kyoiku00005.jpg">今回、取材にご協力いただいた鈴木さん（左）と、岸本さん<h2 id="tnf-text-heading-block_a047e720807d252049dcde1141ecfaa9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">伴走者＋学びのオーガナイザー——課題を解決に導く「社会教育士」</h2><p>――はじめに、「社会教育士」は、どのような活動を行うのでしょうか。</p><p>鈴木：「社会教育士」は、社会全体が抱える課題を、社会教育を通して解決に導き、支援する専門家であり、文部科学省が認める公的な称号です。いま、私たちが暮らす社会には、介護に関する問題をはじめ、防災、子育て、住民減少などさまざまな課題があり、地域によってはその課題や背景、要因も細かく異なります。</p><p>これらの課題を解決するためには、一人一人が主体的に地域活動に参加し、学びを通じて協働することが必要です。「社会教育士」は、「伴走者＋学びのオーガナイザー（まとめ役）」として、解決のきっかけとなる場や機会をコーディネートし、一人一人の活動を支える存在なのです。</p><p>――「社会教育士」は2020年に設立された制度とのことですが、経緯をお聞かせください。</p><p>鈴木：「社会教育主事」というものが基になっています。「社会教育主事」とは社会教育法に基づいて、教育委員会事務局（自治体）に置かれる専門職のことで、当時、社会教育は公民館や地域の社会教育センターに所属する人が主に行なっていました。</p><p>「社会教育主事」が職務に就くためには、大学で「社会教育主事養成課程」を履修するか、社会人になって「社会教育主事講習」というものを受け、かつ都道府県・市町村教育委員会からの発令が必要です。自治体の職員である必要があったんです。また、講習を受講するためには社会教育現場（社会教育施設、官公署、教育委員会など）での実務経験も必要になります。</p><p>しかし、時代の流れとともに、多様な人材の必要性が議論されるようになりました。そして2018年、文部科学省が「社会教育主事講習（※）」規程の一部改正を行い、2020年に「社会教育士」という称号が新設されました。</p><p>「社会教育士」は、「社会教育主事養成課程」、「社会教育主事講習」を修了した時点から「社会教育士」を名乗って職務に就くことが可能です。どちらも、伴走者＋学びのオーガナイザーという役割は変わりませんが、「社会教育士」の方が、学びの場や地域活動への参画が容易になったと考えられます。自治体の職員以外にも社会教育の扉が開かれたと言えば分かりやすいでしょうか。</p><div id="tnf-text-notes-block_87f2262ef84c71a56ad63da7126adb40" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「社会教育主事」の資格を得るために受講する講習。参考：<a href="https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/classes.html" target="_blank" rel="noopener">文部科学省「社会教育主事講習・社会教育主事養成課程について」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/kyoiku00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d6a3b7f01895484c12f8ce488633eb44" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">医療従事者、演出家、防災士……。あらゆる職種の人が「社会教育士」として活動</h2><p>――「社会教育士」には、どのような人がいるのでしょうか。</p><p>鈴木：制度創設から2025年までに、約1万人の方が「社会教育士」の称号を取得される見通しです。職種は医療・福祉分野、コンサルティング会社、舞台芸術の演出家、防災士などさまざまです。取り組んでいる課題も、居住地域のまちづくり、災害対策、世代間情報格差や子どもの居場所不足の解消などそれぞれ異なります。</p><p>岸本：なお、「社会教育士」になるために、「社会教育主事講習」を受けることができる対象者は、今後さらに拡大される予定です。現在、児童福祉関連業務、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士として2年以上従事した人、地域おこし協力隊として地域振興業務を2年以上担当した人、保育士として4年以上従事した人などにも受講要件を認める方向で検討されています。</p><p>――あらゆる専門性を持った人が「社会教育士」として活動しているのですね。鈴木さんはどのような活動をしているのでしょうか。</p><p>鈴木：2013年から、不登校やひきこもりなど学校や社会に関わりにくくなっている子どもを育てる親が集まって、都内の公民館で講座や学習会を開いたり、年1回の講演会を開催したりしています。現在は親御さんなどの当事者が主体となってサークルを立ち上げて活動しており、私はサークル活動がうまくいくように、「社会教育士」として支援をしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/kyoiku00004.jpg">防災について講習を行う「社会教育士」。文部科学省のウェブサイトでは「社会教育士」として活躍するさまざまな人をインタビューとともに紹介している。引用：<a href="https://www.mext.go.jp/a_menu/01_l/08052911/active/active-02.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「社会教育士の活躍事例（防災）」（外部リンク）</a><h2 id="tnf-text-heading-block_a45fb450440182ac9d210f8b0eeddb90" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「社会教育士」として活動する人の多くは、身近な課題との出合いがきっかけ</h2><p>――お話を伺っていると、「社会教育士」として活動する方々は、日頃から地域や社会の課題に目を向けて活動しているように感じます。</p><p>鈴木：結果的に地域や社会の課題に取り組んでいます。しかし、多くの「社会教育士」は、「情報弱者である高齢者」や「ワンオペ育児で悲鳴を上げる母親」、「不登校やひきこもりの子を持つ親」、「日本語を話せない外国人児童」といった、いままさに困難を抱えている目の前の人と向き合い、「個人的なことは社会的なこと」と捉え返すことで、学習に組み立てていく。そうして始まった学習の学習者が、学習サークルを立ち上げて、地域に学習を提供する側になっていくことで、学習者にも地域にも変容が起きるのだと、私は捉えています。</p><p>岸本：おそらく、活動の幅も最初は個々の当事者に向けたものが多いはずです。ただ、そういった一つ一つの時間と空間の共有が、つながりを生み、同じような課題を抱えた人たちを呼び、サークルや団体という少し大きな学習体へと形を変えるのではないでしょうか。結果として、地域や社会が抱える課題を解決するための大きな輪となっていくものと私は考えています。</p><p>鈴木：よく、「社会教育士制度は地域コミュニティーのためにできた」「学校教育と社会教育の連携のためにできた資格」といわれていますが、始まりは、個への支援であるということを知っていただきたいです。</p><p>――今後、「社会教育士」が増えることで、社会にどのような影響があると考えますか。</p><p>岸本：まず挙げられるのが、「誰も取りこぼさない社会」が実現に近づくのではないかと考えています。生産性や効率化が重視され、日々急速に進化する社会から一人も取りこぼさないことも、「社会教育士」の大きな使命と言えるでしょう。</p><p>鈴木：現代は、あらゆる分野で市場化が進んでいます。保育や介護においては、ポイント制や保育所のフランチャイズ化が進んでいます。もちろん便利になることはいいことですが、代わりにお金では買えない人間関係や助け合い、お互いがお互いを支え合う互恵性（ごけいせい）の価値が失われているような気がします。</p><p>「社会教育士」の存在が大きくなり、一人一人の声を聞く力が増えれば、少し前の日本では普通だった「お互い様」の文化が再構築されるはずです。誰にとっても優しい社会の実現も夢ではないでしょう。</p><p>――いま「社会教育士」の方が抱えている課題はありますか。</p><p>岸本：活動拠点や課題の内容によっては、情報共有の機会が少なく、また役割も明確ではなく、実践事例も少ないため、講習や養成課程で得た学びをどのように活かしていけばいいのか戸惑ってしまう「社会教育士」も多いと聞いています。</p><p>鈴木：ほかにも、「社会教育士」として活躍できる場は増えているものの、多くがボランティアであり、仕事として確立されていない点が挙げられるでしょう。日本社会教育士会としては、「社会教育士」の社会的地位と、それに伴う収入の確保まで視野を広げて支援していく必要があると考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_dad9c5c2e3aaeb4e04d0e527d2aa4b0c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個人や社会が抱える課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会をつくるために私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、個や社会が抱える課題を解決し、誰もが暮らしやすい社会をつくるために私たち一人一人ができることをお二人に伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f4811e826ce5cf35bfa5912949a3896b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【1】 気になること、気になる人に出会えるチャンスをものにする</h2><p>いまはスマートフォンやパソコンでさまざまな情報が手に入る時代。もし気になる情報や気になる人物がいるなら、一歩踏み出して「出かけること」「話しかけてみること」が大切。積極的に行動を起こす</p><h2 id="tnf-text-heading-block_79707025ba4c383a85ac6b24e02cabe4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【2】「しょうがない」「損をするだけ」「どうせ」という考えを払拭する</h2><p>誰もが抱きがちな「言ってもしょうがない」、「どうせ聞いてもらえない」という諦めの感情を改める。発言をすれば何かが変わるかもしれないし、共感してくれる人ができるかもしれないが、発言しなければその可能性すら生まれない。しかし、発言したことでリスクが生じる場合もある。発言するかしないかを自ら選び行動していく主体になっていく。「学習者が成り行き任せの客体から、主体になっていくことを支える」のが社会教育の役割</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7b014a6653170965b29b01f1013aa7d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【3】利他の精神を大事にする</h2><p>効率を求めたり、成果主義に振り回されたりせずに、意識的に利他性や公正性といった価値観を意識的に保つ。これにより、「お互い様」が似合うような社会を促すことができるとともに、「公共」をつくっていくという視座も必要になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>文部科学省のサイトを見ていたところ、「社会教育士」という制度があることを知り、鈴木さんと岸本さんにお話を伺いました。</p><p>課題を抱えて取りこぼされがちな人を支え、コミュニティーを広げ、地域の活性化や貢献につなげていく「社会教育士」。まさに、多様な課題が山積する現代にこそ欠かせない制度だと感じました。</p><p>ただ、「社会教育士」のような専門的な伴走はできなくても、課題を抱える人に目を向け、耳を傾けることは誰にでもできるかもしれません。お二人から聞いた「一人一人ができること」を参考に、まずは小さな一歩から行動してみたいと思います。</p>    ]]>
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      <title>止まらぬかゆみ、見た目への偏見で仕事や生活に影響を及ぼす「アトピー性皮膚炎」。患者が抱える困難とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117577/social_contributions</link>
      <pubDate>Thu, 20 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>アトピー患者は、かゆみや偏見、経済的負担など、あらゆる場面で困難を抱えている</li><li>睡眠不足や見た目への偏見や差別、職場での理解不足などが重なり、仕事との両立に苦しむ人も多い</li><li>「アトピー性皮膚炎はかゆいだけ」と軽視せず、正しい知識を持ち、思いやりのある環境をつくることが大切</li></ul><p></p><p>「アトピー性皮膚炎（※）」は、かゆみを伴う湿疹が慢性的に続く病気で、睡眠不足やストレス、見た目への偏見、経済的負担など、生活の中でさまざまな困難に直面しています。成人患者にとっては仕事との両立が大きな課題であり、アトピー性皮膚炎のために仕事を辞めたり、仕事で通院が制限されて症状が悪化したりする人もいます。</p><p>こうしたアトピー患者の困難に寄り添い、支援活動を行っているのが特定非営利活動法人日本アトピー協会です。電話やメールでの相談に応じるほか、災害支援として肌にやさしい日用品を詰め合わせた「レスキューパック」を被災地に届ける活動にも取り組んでいます。</p><p>本記事では同協会の代表理事を務める倉谷康孝（くらたに・やすたか）さんに、アトピー患者の実態や日常で抱える困難について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_c826035a0933b3b10a549f6953a1203b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「アトピー性皮膚炎」とは、強いかゆみのある湿疹ができ、症状が悪くなったり良くなったりを繰り返す病気</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_9f80dcf8d49c35a8ffa067d012973bcf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">24時間365日、体の内側がかゆいという感覚</h2><p>――アトピー性皮膚炎とはどのような疾患でしょうか。</p><p>倉谷さん（以下、敬称略）：アトピー性皮膚炎の診療ガイドラインには「増悪と軽快をくり返す瘙痒（そうよう）のある湿疹を主病変とする疾患」とあります。</p><p>これを、簡単に言うと「24時間365日、かゆみに悩まされ、症状が良くなったり悪くなったりする疾患」です。かき傷からは「浸出液（※）」という液体や血が出て、痛みを伴います。</p><p>幼い頃に発症し、成長とともに治ることもありますが、大人になっても症状が持続する人や、大人になってから発症、再発する人もいます。</p><p>――アトピー患者の方が感じている「かゆみ」はどういうものなのでしょうか。</p><p>倉谷：アトピーのかゆさは皮膚表面ではなく、内側で起こります。よくいわれるのが、「体の表面ではなく、体の中がかゆい」という感覚です。皮膚の上から、内側のかゆいところに向かってかくので「かいても、かいても届かない」。だから、血が出るまで、痛くなるまで、かいてしまうんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_7faffae28d441e783d4cf1ab0e0049bf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「浸出液」とは、炎症時に出る分泌液で、皮膚の再生を促す物質が含まれる</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00014.jpg">受験や就職、妊娠や出産といった環境の変化をきっかけに発症するケースもある</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_8a3307be7fd8282b8389dd0c7e4d3cf0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日常生活での制限や時間的負担も大きい</h2><p>――2020年の厚生労働省の調査（※1）によると、アトピー性皮膚炎の患者数は125万人を超えるとされています。アトピー患者の方は日常的にどんなケアをされているのでしょうか。</p><p>倉谷：アトピーの症状は、皮膚が乾燥しやすいことで、外部の刺激物やアレルゲン（※2）に敏感になって炎症が引き起こされます。そのため、常に肌の清潔を保つ必要があります。例えば、汗をかいたときはこまめに拭いたり、お風呂に入って流したり、バスタオルは1回使ったら交換したりするといった工夫をされている方もいます。</p><p>肌着は綿100パーセントが推奨されていますね。「デザインを重視したいが、素材や着心地で着るものを選んでいる」という方もいますし、塗り薬は衣服につくとなかなか落ちないため「すぐに汚れてしまうから高価な肌着は購入しづらい」という声も聞きます。</p><p>日常的なケアとしては、主に朝とお風呂上がりに保湿剤とステロイド（※3）の塗り薬を塗ります。保湿剤は全身に、塗り薬はかゆみがある部位にそれぞれ使うのが一般的です。</p><p>――日常生活の中で、薬を塗り続けなければならないのは大変ですよね。</p><p>倉谷：患者さんの中には、数種類の塗り薬を部位ごとに使い分けなければならない人もいて、多くの時間と手間がかかります。たとえ疲れていても、どんなに眠くても、お風呂に入って薬を塗らなければならない。薬を処方している皮膚科の先生自身も、「これを毎日続けるのは本当に大変だと思う」というくらい日々のケアによる負担が大きいのです。</p><p>面倒だからといって薬を塗るのをやめてしまうと、たった数日だとしても、確実に症状は悪化してしまいます。</p><div id="tnf-text-notes-block_1fa2613446062d995d7e181becc2f140" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.出典：厚生労働省「令和2年（2020）患者調査の概況」※2.「アレルゲン」とは、アレルギーの原因となる抗原（原因物質）のこと※3.「ステロイド」とは、体内の副腎という臓器でつくられているホルモンで、このホルモンがもつ作用を薬として応用したものがステロイド薬</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00004.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00008.jpg">患部によって薬の塗り方には工夫が必要で、適切に塗らなければ効果が出ないこともある<h2 id="tnf-text-heading-block_638e09f864f25964db804bce9f902ad3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">慢性的な睡眠不足から精神疾患になる人や仕事との両立に悩む人もいる</h2><p>――かゆみの症状で眠れなくなる人もいるそうですね。</p><p>倉谷：アトピーのかゆさで眠れない、寝ながらかきむしってしまい朝起きるとシーツが血だらけになっている、というのは多くの患者さんから伺います。</p><p>睡眠専門外来で不眠症（※1）患者を診療してきたスリープクリニックの遠藤拓郎先生は、「アトピー性皮膚炎の不眠が全ての不眠症疾患の中で最も重症である」という論文を発表しています。</p><p>アトピー患者さんはかゆさで入眠が難しく、1時間ごとに目が覚めてしまう方もいるので、長く安定した睡眠が取れません。</p><p>そうした慢性的な不眠が続くことで、精神的にも追い詰められ、重い精神疾患を抱えてしまう方や、「死ぬまで、この痛くてかゆいままなのだろうか」とネガティブな考えから抜け出せない方もいます。</p><p>アトピーは「かゆいだけの疾患」と思うかもしれませんが、それが何年、何十年と続くのですから、時として命にも関わるということを知ってほしいと思います。</p><p>――眠れないことで、仕事や生活にも影響があるのではないでしょうか。</p><p>倉谷：厚労省がアトピー患者に対して行った調査（※2）では、「アトピー性皮膚炎のために仕事量や内容が制限されることが時々以上ある」と答えた割合が 34.8パーセント、「アトピー性皮膚炎のために仕事を辞めたことがある」と答えた割合が13.7パーセントもいることが分かりました。</p><p>症状にもよりますが、かゆみで勉強や仕事に集中できなかったり、満員電車での通勤がストレスになって症状が悪化してしまったりと、仕事との両立に難しさを感じる患者さんは一定数います。</p><p>通院のために仕事を休みたくても、職場での理解がなければ、なかなか言い出せないこともあるようです。我慢しているうちに症状が悪化し、寝不足になり……、と悪循環に陥ることもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_977f6eb7c953f35a591ba9e786f16475" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「不眠症」とは、眠りに関する問題があり、日中に倦怠感、意欲低下などの不調が出る病気※2.参考：厚生労働科学研究費補助金「令和2年度アレルギー疾患の患者および養育者の就労・就学支援を推進するための研究」</div><div id="tnf-text-notes-block_91fc11d7f5be59127284ae7a3ddccb6b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes "></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_cd851869ae41cc14943bfc01fbf8edfe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">かさむ経済的負担と、間違った認識による偏見の目</h2><p>――他にはどんなことに困っているのでしょうか。</p><p>倉谷：通院や日常的なケアの時間的負担に加えて、経済的な負担も大きいです。薬代だけでも月に数万円かかる方もいますし、衣服や化粧品といった直接肌に触れるものには安価なものが使えないため、費用がかさみます。</p><p>また、他者の視線で嫌な思いをされる方や、好きな服装を諦める方も多くいて、「薄着に抵抗があり、夏は特に人の目が気になる」「顔に症状が出ると目立つので、周りから嫌なことを言われたことがある」という声を聞きます。</p><p>――身体的だけでなく、精神的にも負担がかかっているのですね。</p><p>倉谷：いまだにアトピーを「うつる病気」だと誤解している人もいて、間違った認識によって偏見の目にさらされてしまうこともある。職場で受付業務を外されたり、飲食店で働くことを拒否されたり、見た目による差別を受けたことがある人もいます。そうした周囲の人たちの認識を変えていくことも必要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00001.jpg">周囲の視線がストレスとなり引きこもってしまう人もいる<h2 id="tnf-text-heading-block_1a3ac394f51226822040c0f28b7d725b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">進む治療の選択肢、その一方で残る負担</h2><p>――治療法に変化はありますか。</p><p>倉谷：近年新しい薬の開発が進み、これまで対処療法（※1）しかなかったものの、かゆみの原因に直接働きかけるような薬も出てきました。代表的なものがアトピー性皮膚炎の皮疹やかゆみの原因をブロックする効果のある注射薬「デュピルマブ（※2）」というものです。患者さんそれぞれの適応にもよりますが、劇的な改善が見られる薬剤です。</p><p>――症状を抑えられるようになってきているということでしょうか。</p><p>倉谷：特にこれまで症状を抑えることが難しかった重症者への効果は大きいとされています。高額療養費制度（※3）が適用されますが、それでも「デュピクセント」は1本で1万円以上（※4）するため、治療に踏み切れずにいる人もいます。</p><p>また、こういった薬剤を使っても塗り薬は併用し続ける必要があります。</p><div id="tnf-text-notes-block_d49ff97d6cce1d15314ba6b8e4d671ec" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「対処療法」とは、病気の原因を除くのではなく、あらわれた症状に応じてする治療法※2．「デュピルマブ」は医薬品の一般名で、商品名は、「デュピクセント」という。生物が体内で作り出すタンパク質などを利用して作られる「生物学的製剤」と呼ばれる薬の一種で、従来のステロイド外用治療では改善しにくいアトピー性皮膚炎や重症の気管支喘息、慢性副鼻腔炎の治療に用いられている※3.「高額療養費制度」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月の上限額を超えた場合に、超えた金額を支給する制度※4.「デュピクセント」（1本300mgペン）の薬価は、自己負担3割の場合、初回2本で32,196円。その後は2週ごとに1本16,098円の注射を打つ必要がある。参考：サノフィの公式ホームページ「アトピー性皮膚炎の薬剤費」2025年11月20日時点</div><div id="tnf-text-notes-block_91fc11d7f5be59127284ae7a3ddccb6b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes "></div><h2 id="tnf-text-heading-block_a0d52eb348bb5131a4d6658b1852dab2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">医療関係者や企業と力を合わせ、アトピー患者の快適な暮らしを支援</h2><p>――日本アトピー協会ではどんな活動をされていますか。</p><p>倉谷：電話やメールでアトピー患者の方からの相談に応じているほか、市民公開講座や患者交流イベントの開催、通信紙「あとぴいなう」の発行などを通して情報発信をしています。</p><p>アトピー患者の皆さんの日常生活における負担を少しでも軽減できるように、医療関係者や企業と協力しながら、快適な暮らしの支援を行うことを目指しています。また、患者の方からおすすめの商品を聞かれることもあり、協会の推薦品の認証とマークの発行をしています。</p><p>――電話やメールではどんな相談が寄せられるのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>倉谷：症状に対する治療について相談されることが多いですね。私たちは医療従事者ではないので、具体的な治療法をお答えすることはできませんが、ご要望があれば専門医がいる医療機関を紹介しています。</p><p>皆さん、苦しい思いを抱えて相談をしてこられるので、ときには電話で1時間以上お話しすることもあります。診察の際には医師に遠慮して話せないこともあるようで、「話を聞いてもらえる場所があるだけでうれしい」と言っていただけたこともありますね。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00012.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b103f8b7c769dd73b233d986045ddff1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">避難生活で症状悪化に備え、必需品を詰めた「レスキューパック」</h2><p>――災害時には被災地の患者の皆さんへ支援されたと聞きましたが、どのような支援を行ったのでしょうか。</p><p>倉谷：もともと阪神・淡路大震災をきっかけに立ち上げた団体で、当時はアレルギー疾患（※）を持つ子どもがいる保護者の方に、アレルギー用の粉ミルクを届ける活動を行いました。以降、被災地への支援を続けています。</p><p>被災地の患者の皆さんが困るのが、日常的に使っている必需品が手に入らないこと。特に薬がないことは深刻で、そのまま症状の悪化につながります。処方薬を送ることはできませんが、代わりに市販の保湿剤をお送りしました。</p><p>同じく被災地でなかなか手に入らないものに、敏感肌用のせっけん、肌着、タオル、アルコールフリーのお手ふきシートなどがあります。協会ではそうした製品を詰め合わせた「レスキューパック」を大きな災害時には、無償でお送りしました。</p><p>――被災地にいる患者さんはどのような困り事を抱えているのでしょうか。</p><p>倉谷：患部を清潔に保つためには汗や汚れを水で洗い流す必要がありますが、東日本大震災の時に「避難所では水を使いにくかった」と話す患者の方がいました。「災害時に貴重な水を使うなんてもったいない」という声があり、周囲の人たちの目が気になったといいます。</p><p>そこで、能登半島地震のときには「レスキューパック」に精製水を加えました。精製水であれば、治療のためだと分かるので、人目を気にせず使うことができます。ただ、本来は周囲の人たちが理解を示し、患者の皆さんが堂々と水を使えるようになることが一番だと思います。</p><p>――避難所での生活で症状を悪化させてしまう方もいるのではないでしょうか。</p><p>倉谷：アトピー患者さんにとって避難所はとても厳しい環境です。お風呂に入れず、薬もない。砂ぼこりやハウスダスト、支給される毛布なども症状を悪化させる要因です。東日本大震災で私たちの支援物資が届いたのは、発災から3週間後でしたが、その間に患者の方々の症状は悪化していました。</p><p>そうした経験から、協会では「災害時備蓄品リスト」を作成し、平時から患者の皆さんが自分で準備できるように啓蒙活動を行っています。あらかじめ備えておくことで、少しでも症状を抑えながら避難期間を乗り越えてもらえたらと考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_cf94c20ab6a419c9d90f0c3ea502d1f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「アレルギー疾患」とは、気管支ぜん息、アトピー性皮膚炎等アレルゲンに起因する免疫反応による人の人体に有害な局所的または全身的反応に係る疾患のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00010.jpg">「レスキューパック」の中身の一例。かきむしりを防ぐ爪切りや爪やすりは「あって助かった」と喜ばれた<h2 id="tnf-text-heading-block_926016e944d53ebecbb7f70acf90b5f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">軽く見られがちな疾患、理解と支援を求めて</h2><p>――さまざまな困難を抱えているアトピー患者の方々が、社会に求めていることはなんでしょうか。</p><p>倉谷：アトピー性皮膚炎の治療には、塗り薬や保湿剤をはじめとした日々のケア用品が不可欠です。ところが、こうした購入費がかさみ、経済的に負担を抱えている患者さんも少なくありません。慢性的な疾患だからこそ、治療を継続するための支えが必要だと感じています。</p><p>アトピー患者さんが塗り薬や保湿剤を使うことは、目が悪い方が眼鏡を必要とするのと同じです。虫歯を防ぐために毎日歯を磨くように、毎日のケアは欠かすことのできない生活の一部です。</p><p>「かゆいだけの疾患」と誤解され、軽んじられている現状もありますが、決して軽く見ていい疾患ではないのです。まずはアトピーに苦しむ人たちが身近にいることを知ってほしい。そこから病気への理解が始まるのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00013-1024x724.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/atopic00009.jpg">リストは日本小児アレルギー学会の冊子「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット」と共に「レスキューパック」に同封している<h2 id="tnf-text-heading-block_36b9aed2df41bc9d69cc39de3f970038" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アトピー患者が快適な生活を送れるように、私たち一人一人ができること</h2><p>アトピー患者さんが暮らしやすい社会をつくるために、私たち一人一人にできることを倉谷さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b22a2c7cd743da640cd57c850f1b6068" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］アトピー性皮膚炎について正しく理解する</h2><p>アトピー性皮膚炎は「かゆいだけの疾患」ではなく、慢性的な睡眠不足、見た目への偏見などから精神疾患になることもある病気だと理解する。そして、時間的負担、精神的負担、保険で賄えない経済的負担があることも知っておく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2297dfa9186ce76faf269d64712e9f5f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］見た目で分かる病気だからこそ配慮が必要</h2><p>見た目で分かる病気だからこそ、気軽に話題にすることは避け、相手との関係性に応じて配慮を心がける。他の病気と同じように扱うことが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_98f51c0950987d38c347062e01b726d7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］日常生活での負担、緊急時での負担について知る</h2><p>アトピー患者の方々が行う毎日の保湿や塗り薬の使用は、生きる上で欠かせないケア。災害時といった緊急事態では、周囲が理解を示し、安心して過ごせるような環境を整えることが、患者の方々を支える力になる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>アトピー患者の方の経済的負担について知ったことをきっかけに、日本アトピー協会に取材を申し込みました。</p><p>自分の身近にもいるアトピー患者の方々は、皮膚の病気でありながら、かゆみによる睡眠不足や偏見、経済的な負担など、心や生活のあらゆる面に影響を受けていることが分かりました。倉谷さんの言葉を聞きながら、「抱えている負担はあらゆる面に広がっていて、見えない痛みに寄り添い、想像する力が必要なのだ」と強く感じました。</p><p>誰かが人知れず我慢を強いられている状況に、少しでも目を向けられる社会であってほしいと思います。</p><p>撮影：西木義和</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nihonatopy.join-us.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人日本アトピー協会 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 02 Dec 2025 14:08:30 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>能登半島地震後のありのままの自然と海の変化に向き合い、「学ぶ楽しさ」を育む海洋教育</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117761/education</link>
      <pubDate>Tue, 18 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>能登里海教育研究所は、石川県能登町を拠点に、学校教育における海洋教育のコーディネートを行う</li><li>2025年度は、能登半島地震で大きく変化した自然環境をテーマに教育プログラムを展開し、能登の海の価値を伝えている</li><li>子どもたちが身近な自然の変化について理解を深めることで、学ぶ楽しさを育み、復興への行動を後押しする</li></ul><p></p><p>豊かな海に囲まれた能登半島。2011年6月には日本で初めて「世界農業遺産」に認定され、地域には里山里海を大切にする昔ながらの暮らしが根づいています。そんな能登半島の先端部にある石川県能登町に、能登町と金沢大学などによって2014年に設立されたのが、<a href="https://notosatoumi.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人能登里海教育研究所（以下、里海研）（外部リンク）</a>です。</p><p>能登町は漁業が盛んで海とつながりが深く、町内の全小中学校で海洋教育が行われています。里海研は、その海洋教育における体験活動を軸にした授業のコーディネートを中心に活動を展開してきました。</p><p>しかし、2024年1月1日に発生した能登半島地震によって大きな被害を受け、日常の様相が一変。里海研では、被災地や二次避難先の子どもたちに対する授業の支援を行ってきました。</p><p>そして2025年度からは能登半島地震やその後の豪雨災害で大きく変化した自然環境をテーマにした「里海・里川復興教育プログラム」を実施。子どもたちが身近な自然環境の変化に対して理解を深めながら、学ぶ楽しさを育み、復興や地域づくりに向けた行動を後押しすることを目的としています。</p><p>今記事では、里海研で研究員を務める浦田慎（うらた・まこと）さんと、佐藤崇範（さとう・たかのり）さんのお二人に、同プログラムの内容とともに、子どもたちへの影響についてお話を伺います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_61cad73bfd82855c4b90b82f2614cac7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">能登半島地震の後に生まれた「里海・里川復興教育プログラム」</h2><p>――まずは「里海・里川復興教育プログラム」とはどういったものか、教えてください。</p><p>浦田さん（以下、敬称略）：私たちは基本的に学校からの依頼を受けて動いているので、プログラムの内容も学校や先生が「何を子どもたちに学ばせたいか」によって変わってきます。例えば、「地震により隆起した海岸を見学したい」という要望があれば、その体験によって「子どもたちに何を伝えることができるか」を考えます。</p><p>もちろん、地震の影響で地形がこんなに変わってしまうんだということも伝えられますが、子どもたちの興味関心はもっと他のところにあったりもします。</p><p>例えば、見学する途中で干からびて死んでいる生き物を発見したら、「どうしてこんなところで死んでいるの？」と疑問に思う。それに対し、「この生き物は移動するのが苦手だから、海岸が隆起したときに海の水が引いていくのについていけなかったのかもしれないね」と説明をする。そうすると、その生き物の生態に関心を持ち、生物多様性や自然環境の価値について学びを深めていくことができます。</p><p>さらにそこから、漁業を生業とする人たちにもどんな影響が及んだのか、という話に広げることで、震災についてもより深く考えるきっかけになる。大切にしているのは、「能登の海の価値を伝える」こと。価値を理解していないと、復興に目が向きません。ただ「この場所は悲惨な目に遭いました」と話すだけでは、その先につながらないと思うんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_12.png"><p>佐藤さん（以下、敬称略）：それに加え、「記録を残す」ことにも力を入れており、里海研が運営する<a href="https://ddarchive.notosatoumi.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">災害復興デジタルアーカイブ「のと・きろくとまなびと」（外部リンク）</a>では、能登半島地震や奥能登豪雨の影響とその後の復興の記録を収集し、誰でも利用できるように公開しています。</p><p>例えば地震で隆起した海岸の被害状況や、その後整備されていく様子を振り返ることが可能です。全ての記録データに対して利用できる条件を示し、学校教育・社会教育などでの復興教育や防災教育に利用しやすくしています。</p><p>だから、学校の先生たちが授業の中で活用したいと思ったら、簡単な注意事項さえ守っていただければ申請不要でデータを使用することができるんです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_2-757x1024.png">「のと・きろくとまなびと」のトップ画面。能登半島地震や奥能登豪雨で被害を受けた自然環境を中心に、被災した建物の被害状況や支援活動の画像や文書・資料などもダウンロードすることができる。画像提供：一般社団法人能登里海教育研究所</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_3-761x1024.png"></div></div><p>――「里海・里川復興教育プログラム」に対する子どもたちや先生方の反応はいかがですか？</p><p>佐藤：昨年（2024年）、里海研では小学生の子どもたちが地震による被害の大きかった黒島漁港を見学するためのサポートをしました。そこは土地が大きく隆起したんですが、場所によっては3メートルくらい隆起していて、港だったところが全て陸地になってしまいました。</p><p>そして、隆起したところには海岸に生えているような植物が生息し、干上がった土地には野原に生えているような草花が芽吹き始めているという、他では見られない現象が起きています。その光景を目にした子どもたちは、能登半島地震がどれだけ大きな災害だったのか、理解してくれたようです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_4.jpg">里海研で海洋研究をしながら、海洋教育プログラムの講師も務める佐藤さん<p>浦田：先生たちについては、「復興教育」といわれても具体的にどんなことを教えたらいいのか分からない、と困っている人が多い印象です。だから、私たちが一緒になって考えていくのですが、その過程でまずは先生たちが海や地形に関する学びを深めていく。そして、ご自身が面白いと感じたことを、子どもたちに伝えていく。</p><p>だから、この「里海・里川復興教育プログラム」は子どもたちだけでなく、学校の先生たちのためのプログラムでもあると考えています。</p><p>佐藤：このプログラムを通じて能登の海の価値を理解した子どもたちが、やがては復興のために自分にできることについて考えるようになる。そんな循環にも期待しています。</p><p>東日本大震災の後、海への気持ちが離れてしまった子どもたちが増えたという話をたびたび耳にしました。やはり恐怖心が生まれてしまったのでしょう。それは仕方ないことだとも思います。でも、能登半島地震後にそういうネガティブな気持ちを抱いた子どもが増えたかというと、私が予想していたよりもずっと少なかったのです。</p><p>里海研では 2024 年 9月から12月にかけて、能登町と珠洲市の小中学生 370 人を対象に海遊びに関するアンケート調査を行いました。その中で、「去年（2023 年）と比べて、海であそびたい気持ちは変わりましたか？」という質問に対し、全体の 79パーセントが「前年と同じ、または前年より遊びたい気持ちだった」という回答でした。</p><p>私たちにとって、それは非常に希望が持てる結果で、だからこそ、子どもたちに能登の海の価値をもっともっと伝えていかなければいけないと痛感したんです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_5.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_6.jpg">「のと海洋ふれあいセンター」には、能登の海で暮らす海の生き物たちに触れることができる「タッチプール」もある</div></div><p>――能登を復興させるには、子どもたちの海離れを防ぐことが大事、ということですよね。</p><p>佐藤：そうです。もちろん、まだ怖がっている子を無理やり海に連れ出すようなことはしません。でも、能登の海に触れることで、自分たちのそばにはこんなに豊かな海が広がっていることを知ってもらいたい。そんな子どもたちが成長し、やがて能登を離れたとしても、「いつかは故郷である能登の海のために、何かしよう」と思ってくれるのではないか、と期待もしています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_26d91466b5db7e98f98339f10d427eb2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">能登の海と触れ合うことで、子どもたちは何を感じるのか</h2><p>取材当日、能登町立小木小学校の6年生を対象に、「里海・里川復興教育プログラム」が行われました。引率の田中結香先生に連れられて「のと海洋ふれあいセンター」を訪れたのは9人の子どもたち。佐藤さんは彼らとともに海岸沿いを歩きながら、能登の海や地形について解説します。</p><p>子どもたちはみんな、強い関心を持っている様子で、震災の影響で変化があった能登の海を見つめます。ここでは「里海・里川復興教育プログラム」を体験した子どもたちに感想を聞きました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_7.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_8.jpg">佐藤さんの能登の海岸を形成する地層の話に真剣に耳を傾ける子どもたち<p>――みなさん、能登の海は好きですか？</p><p>生徒：好きです。学校で海の勉強もしているので、よく遊びに行きます。</p><p>――この「里海・里川復興教育プログラム」に参加するのは何回目ですか？</p><p>生徒：海に出て勉強するのは小1の頃からやっていますが、この（里海研の）プログラムに参加するのは初めてでした。石を掘ったり、崖が層に分かれているところを見学したりするのがとても面白かったです。</p><p>――また海に来て勉強したいですか？</p><p>生徒：はい、またみんなで来て、海のことをもっと知りたいと思いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_9.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_10.jpg">地層から採取した土を瓶に詰める生徒たち<p>続いて、子どもたちとともに「里海・里川復興教育プログラム」に参加した田中先生にもお話しを伺いました。</p><p>――海に関する授業はどのように取り入れているのですか？</p><p>田中先生：理科や社会、総合の授業などで海に関わる単元があります。今日は理科の「大地のつくり」という単元で、里海研さんの協力を得ました。各教科等の指導内容と結びつけることでより学びが深まるところに、海に関する授業を取り入れています。</p><p>その中で、里海研さんに協力いただいて、年間の教育計画の中で海に関する授業ができそうなとき、子どもたちに能登の海について知ってもらっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_11.jpg"><p>――先生自身もこうして能登の海に触れることで学びを得られたりしますか？</p><p>田中先生：子どもたちにはなるべく本物に触れてもらいたいと思っていて、だからこうして実際の海を見に来たりしているんですが、私自身も感動しますし、大きな発見もあります。目で見て、手で触れて感じることが、理科の大切さだと考えているので、「里海・里川復興教育プログラム」は非常に良い機会だと思いますね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_dac97ec9ff625f9d2e4aea42914fbe69" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">豊かな海洋教育が受けられる――能登をそのモデルケースにしたい</h2><p>「里海・里川復興教育プログラム」によって、能登の子どもたちに海の大切さ、そして復興の意義について伝える。そんな里海研の取り組みは少しずつ実を結び始めています。ここで最後に、主幹研究員の浦田さんに里海研が目指す未来像について伺います。</p><p>――能登里海教育研究所としての展望や目標を聞かせてください。</p><p>浦田：いまの能登は、少子高齢化がとても進んでいます。それが子どもたちの海離れにもつながってしまうんです。子どもが多かった時代は、近所のお兄さんお姉さんが小さな子たちを連れて、海で遊んでいました。ところがいまは、そういったお兄さんお姉さんたちとの交流や、そもそも人口自体が少なくなってしまったので、必然的に子どもたちが海へ遊びに行く機会も少なくなっている。それを補うためにも、学校の授業の中で海洋教育を行う意味は大きいと考えています。</p><p>また、能登は震災の影響で、若い世代の多くが外へ出て行ってしまった。能登の将来を担うキーパーソンである彼らが、この地を離れてしまっているんです。私はそんな現状に強い危機感を覚えていて、それを防ぐためにも、里海研を通して学校教育にアプローチしていきたいと考えています。</p><p>そのためにも、能登では非常に豊かな海洋教育が受けられることを証明したい。そうすれば、一度この地から離れた人がまた戻ってくるかもしれませんし、あるいは自然環境と密接につながる教育を求めて移住者がやってくるかもしれません。それが地域の持続性につながり、能登の復興や将来にもつながっていく。そんな未来を見据えて、里海研の活動を続けていきたいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/notosatoken_12-1.png">能登への思いと、里海研の未来像を語る浦田さん<h2 id="tnf-text-heading-block_05dfc124b156e73ddf9b755975519531" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもたちが海に親しむ」ために、私たち一人ひとりにできること</h2><p>能登半島に限らず、海に囲まれた日本という国で暮らす私たちにとって、海は大きな恵みをもたらしてくれるとても大切な存在。だからこそ、この国の将来を担う子どもたちの海離れは防がなければいけない問題です。その問題解決のために身近な大人や社会全体でできることはあるのか。浦田さん、佐藤さんに教えてもらいました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_112406a8b5b547480f2002de5c7886b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子どもたちを海へ積極的に連れ出してあげる</h2><p>海に一度も行ったことがない、というのは子どもにとって大事な体験の損失に。教科書から得られる知識だけではなく、実際に海と触れ合う機会を設けて、海への親しみを育む</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bfe0357219a9e4eac8377e938bffefe5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］学校教育に野外体験を組み込む</h2><p>家庭環境によっては親が我が子を海に連れ出すことが困難なケースも。機会を平等につくるために、学校教育の現場に海での野外授業を組み込んでもらえるよう、地域の人たちと力を合わせて提案してみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_21f190ea8c068ed02048e1ddc0e38202" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］海に住む生き物を飼育する</h2><p>海で暮らす生き物を飼育してみるのもおすすめ（※）。生き物への関心が高い子どもたちが、飼育体験を通して生き物たちの多様性を知り、海への関心を高めることにつながる</p><div id="tnf-text-notes-block_1445f062d45a7180c8a7cdb9be5fdcf2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※公的に認められた漁師のための権利「漁業権」の侵害や、法律で禁止されている特定水産動物（アワビ、ナマコ、ウナギの稚魚）の採取に触れる恐れがある。また毒を持った危険な生物もいるため、各自治体や環境省のホームページなどで、取り扱いについて事前に確認する。また飼育方法についてもしっかり調べてから採取するよう心がける</div><div class="wp-block-spacer"></div><p>能登半島地震によって、自然に対する子どもたちの見方にどのような変化があったのか。それを知るため、里海研へ取材を申し込みました。</p><p>取材を通して見えてきたのは子どもたちの気持ちだけではなく、海洋教育が災害からの復興にも大きく影響するということ。身近にある海や自然に触れることで地元への愛が育ち、その思いが地域を活性化させる力を育むのだと感じました。</p><p>取材で出会った小木小学校の生徒たちの海岸に隆起した地層に触れるときのキラキラした目、楽しそうな姿がとても印象的でした。里海研のような海洋教育への取り組みが、日本全国に広がり、過疎化で苦しむ地域が一つでも減ることを願います。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>国立国会図書館の蔵書のデジタル化を障害者が担う。工賃向上につなげる就労支援の場づくり</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117640/disability</link>
      <pubDate>Thu, 13 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「図書のデジタル化」という仕事により就労継続支援B型事業所（※）の利用者で工賃が月2万円から10万円超になる人も</li><li>プロジェクトを通じ、障害者10名が一般就労を実現。新たな職域を切り拓いた</li><li>複数の障害者就労施設等が連携し大口の仕事を受注するモデル構築を通じて、より多くの障害者の工賃向上を目指す</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_e561fda16074df94d27f710b1ce20143" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「就労継続支援B型事業所」とは、一般企業で働くことが難しい障害や難病のある人に就労の機会を提供するとともに、就労に関する知識や能力を向上するための訓練を行う支援事業者。雇用契約を結ばず自分のペースで働けるB型と、事業者と雇用契約を結ぶA型の2種類がある</div><p>取材:日本財団ジャーナル編集部</p><p>就労継続支援B型事業所を利用する障害者には、成果報酬として「工賃」が支払われます。厚生労働省の調査によると、令和5年（2023年）度の全国平均工賃は月額2万3,053円（※）と、経済的に自立するにはほど遠い水準なのが現状です。</p><div id="tnf-text-notes-block_250f0680e47b9e9f9c3c9e87aefcc731" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※令和5年（2023年）度は、令和6年（2024年）度の報酬改定にて平均工賃月額の計算方法が変更となったことにより、前年度に比べて実績が大幅に増加</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/social-firm-osaki_1.jpg"><p>こうした現状を変えるべく、日本財団が取り組んでいるのが<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/hataraku_nippon" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「日本財団はたらく障害者サポートプロジェクト」（別タブで開く）</a>です。これまで障害者が担うことのできなかった分野で、就業を支援する活動の一環として、2021年から「国立国会図書館デジタル化プロジェクト」をスタートしました。</p><p>この取り組みは日本財団が国立国会図書館の蔵書デジタル化業務を請け負い、全国の障害者就労施設にその作業を供給するものです。2022年度は約3万冊をデジタル化し、従事する障害者の工賃・賃金の大幅上昇に加え、就業の可能性を広げることに成功しました。</p><p>本記事では、福岡県においてデジタル化作業を取りまとめる<a href="http://www.selp-fukuoka.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人セルプセンター福岡（外部リンク）</a>の宮地博司（みやじ・ひろし）さんに実状を伺うとともに、実際の作業現場を訪問し、作業に従事する利用者の方たちにもインタビューを実施。また、当プロジェクトの担当者である日本財団公益事業部の村上智則（むらかみ・とものり）さんに、立ち上げの背景や障害者の自立を目指す今後のビジョンについて話を聞きました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4cbd0af01bc7c29e9a26c76cbfe21a4e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「できないだろう」を覆した、福岡での挑戦</h2><p>「国立国会図書館デジタル化プロジェクト」では、現在全国13ヵ所の障害者就労施設で作業に取り組んでいます。参画しているB型事業所における目標は月額平均工賃7万円。今回訪問した福岡県にある拠点では、月額10万円を超える利用者も現れています。</p><p>本プロジェクトにおいて特徴的なのが、各事業所に作業を割り振り、進捗管理や納品の取りまとめなどを行う「就労支援の場」。複数の事業所が1つの作業場所に集まり、共同でデジタル化作業に取り組む体制です。セルプセンター福岡により現在、県内4ヵ所が運営されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_3.jpg">「国立国会図書館デジタル化プロジェクト」における「就労支援の場」スキーム<p>福岡県内の拠点の立ち上げから現在までの歩みについて、セルプセンター福岡の宮地さんに伺いました。</p><p>――福岡県における国立国会図書館デジタル化プロジェクトへの参画は2022年、大野城市の「福岡県障がい者就労支援ホーム あけぼの園」から始まったそうですね。</p><p>宮地さん（以下、敬称略）：はい。全国13ヵ所で取り組んでいるプロジェクトですから、1ヵ所でも失敗すると全体に影響します。そういう意味では、かなりのプレッシャーを感じながらのスタートでした。</p><p>プロジェクト開始から1カ月ほどは混乱もありましたね。デジタル化に関わる手順の全体像を完全には把握しきれておらず、我々職員の役割分担も十分ではなかったんです。その結果、ある工程には仕事が山積みなのに、ある工程には仕事がない……という状況が発生してしまって。</p><p>国立国会図書館に対して、週ごとのデータ納品計画を立てていたものの、初回納品は計画に対して30パーセント未満の達成率。周囲からも「大丈夫？」と心配されてしまうほどでした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_4.jpg"><p>――混乱期を経て、作業をどのように軌道に乗せていったのでしょうか。</p><p>宮地：まずは当初の反省を踏まえ、ホワイトボードを使って作業の工程と進捗状況を「見える化」しました。その内容をもとに毎日朝礼を実施し、例えば「今日は5,000コマ（1コマ＝2ページ）やらなくてはいけない」など、作業の課題感を全員で共有して「職員も利用者も一緒に頑張ろう」という雰囲気を醸成していくことにしたんです。</p><p>それが功を奏したのか、職員の進捗把握のために作ったホワイトボードを利用者の方も頻繁に見に行くようになったんです。責任を持って仕事の進み具合を気にしていただけるようになったことは思ってもない反応でした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_5.jpg">各工程の進捗を可視化したホワイトボード。申し送りなどの共有にも活用されている<p>――あけぼの園にある共同作業場には、周辺地域の4つの事業所から利用者が集まり、デジタル化業務に当たっているそうですね。複数の事業所が集まることのメリットはどういう点にあるのでしょうか。</p><p>宮地：身体障害の方、知的障害の方、精神障害の方と、それぞれに得意な作業があります。現場からは、「多様性のある4事業所が協力するからレベルの高い仕事にも挑戦できるようになっているし、あらゆる障害特性の立場や視点で議論ができるようになった」という声が上がっています。</p><p>さらに、関わる職員が増えることでスキルも多様になります。実際、パソコンのプログラミングスキルのある職員が、画像検査の管理方法を提案してくれたこともありました。また、他施設の職員が「あの利用者さんにはこういう適性がありそうですね」と、新しい視点で人材を評価してくれることで、より一人一人の特性に合った配置ができるようになったと思います。</p><p>もちろん、複数の施設が集まると合意形成に時間がかかりますし、意見の違いも起こります。しかし、そうした課題を上回るメリットがあると感じています。</p><p>――全国13拠点で展開する中で、品質管理やノウハウ共有はどのように行っているのでしょうか。</p><p>宮地：オンラインの定例会議を毎週開いて、全国13ヵ所での進捗状況や事故防止策、ノウハウの共有を行っています。例えば本の破損が発生した場合、なぜそうなったかを全員で共有しますし、新たに参加した施設に対するベテラン施設からのアドバイスなども行われます。</p><p>失敗はあって当たり前ですから、大事なのはそれを隠さずに共有すること。同じミスを繰り返さず、失敗から学んで成長する文化が、このプロジェクトに根付いていると思います。</p><p>――このプロジェクトを通じて、障害者雇用について新たな発見や気づきはありましたか。</p><p>宮地：2023年に、前年度にデジタル化に携わった利用者の方を対象としたアンケートを実施しました。その中に「この仕事は難しいですか」という質問があり、我々職員は「難しい」という回答が多いのだろう、と予想していました。</p><p>しかし実際は「難しい」と答えた人は全体の15パーセント程度で、「普通」が43パーセント、「楽しい」が40パーセント。つまり「普通」と「楽しい」の合計が80パーセントを超えたのです。その結果を見て、利用者の皆さんが前向きに取り組んでいたことを実感しました。「難しい」というのは単なる思い込みで、「できる・できない」の線を我々職員側が勝手に引いていたのかもしれない、そう考えさせられました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_6.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_cd5669064887d2aa039e0714bc5a182f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">一冊一冊を丁寧に。デジタル化の現場で育まれる自信と成長</h2><p>福岡県で「国立国会図書館デジタル化プロジェクト」を展開する4ヵ所のうち、今回の取材では前出の「あけぼの園」と北九州市の「インクルとばた」の2ヵ所を取材しました。どちらも、24時間365日、温度・湿度を厳密に管理された保管庫も設置され、国立国会図書館の貴重な蔵書を適切な環境で保管し、破損を防いでいます。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_7.jpg">保管庫に並ぶ国立国会図書館の蔵書</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_8.jpg"></div></div><p>デジタル化の作業は大きく6つの工程に分かれています。</p>授受・保管国立国会図書館から配送された蔵書を、リストと照らし合わせ、保管庫に格納します。事前調査破れがないか、汚れはどの程度か、付録はあるかなど、本の状態を一冊一冊確認して「カルテ」を作成。古い本の中には、すでに破損しているものもあるため、スキャニングに耐えられる状態かどうかを慎重に判断します。スキャニング最初に、本のサイズや厚みに応じて撮影サイズの設定やスキャニング台の高さ調整を行います。その後、ガラス面と本が密着するように位置を合わせてスキャニングを行い、カラーチャートで色味をチェック。フットスイッチや画面のボタンクリックなど、操作方法は柔軟に設定可能で、利用者それぞれが使いやすい方法を選択できます。手作業による工程が多く、経験を重ねるほど利用者のスキルが高まっていくのも特徴です。画像検査画像データの不備を見落とさないよう、同じ検査項目を2回確認します。1次検査と2次検査はそれぞれ別の担当者が行い、ページ抜けや重複、ほこりやごみの付着、ピンボケなど、複数の確認ポイントを丁寧にチェックします。また、作業者の得意分野に応じて確認項目を分担するなど、多様な障害特性に配慮した仕組みを取り入れ、一人一人が力を発揮できるようにしています。データ入力スキャニングした書籍の情報を入力します。返却スキャニングが終了した蔵書を国立国会図書館に返却します。<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_9.jpg">「国立国会図書館デジタル化プロジェクト」の作業工程<p>「あけぼの園」は先行拠点として、試行錯誤を経て確立したノウハウを後発拠点への研修や支援という形で継承しています。一方、「インクルとばた」は2025年7月からプロジェクトに参画しましたが、2023年より福岡県の行政文書デジタル化事業を手掛けており、A0サイズまで対応できるスキャナといった特殊機器を活用して図面などの大型文書のデジタル化も担っています。</p><p>では、実際に現場で働く利用者の方たちは、仕事についてどのように感じているのでしょうか。「あけぼの園拠点」でスキャニング作業を担当する河野（かわの）さんと、「インクルとばた拠点」で同じくスキャニング作業を担当する井上さんにお話を伺いました。</p><p>――まずは河野さんに伺います。どういうところに仕事のやりがいを感じますか。</p><p>河野さん（以下、敬称略）：スキャニング作業と、画像検査でNGとされたものの撮り直しが私の担当業務です。NGとなった画像を見ることで、「これはダメなんだ」と知識を積むことができます。読む人の立場で考えると、ごみがあるような画像ですと「何これ？」と思うでしょう。だから読みやすい画像になるよう心がけています。</p><p>1日にできるだけ多くのコマ数を撮影し、撮り直しの数を減らすことを目標にしていて、それが達成できると楽しいし、やりがいを感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_10.jpg"><p>――このプロジェクトに参加して、自分自身に変化はありましたか。</p><p>河野：以前の職場で嫌なことがあって働けなくなり、その後1年くらい引きこもりのような状態で、親との会話もあまりありませんでした。働くこと自体にも懸念を持っていましたが、このプロジェクトでは頑張れば頑張っただけ上達につながっていくので、少しずつ自信を取り戻すことができました。</p><p>最近は家族との会話も増え、一緒に出かけるようにもなっています。いずれ一般就労して自分の力でしっかり働き、プライベートを充実させたいという目標もできました。</p><p>――次に、井上さんに伺います。このプロジェクトに参加して良かったと感じる点はありますか。</p><p>井上さん（以下、敬称略）：（複数の作業所から人が集まるため）いろんな障害のある人とコミュニケーションを取る機会が大きく増えました。みんなが目標に向かって頑張る姿を見ることで、自分もやる気が湧いてくるようになりました。</p><p>また、以前は月2万円から3万円くらいの収入でしたが、今は9万円から10万円くらいになりました。企業で働くような収入を得られることはとてもうれしいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_11.jpg">プロジェクトに関わってからの自身の変化について語る井上さん<p>――ご自身や生活に変化はありましたか。</p><p>井上：この職場では皆さんが優しい言葉で接してくださるので、その影響を受けて自分の話し方も優しい言葉遣いに変わったな、と感じています。現在71歳になりますが、75歳まで元気に働き続けることを目標にして、健康に気をつけながらこのプロジェクトにずっと関わり続けたいと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_12.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_d08c2eb516aa2a2a60c35bb9b031d1be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">プロジェクトは就労支援の通過施設で、「一般就労を目指す場」</h2><p>本プロジェクトを通じて、すでに障害者10名が一般就労を実現しています。利用者の方たちの変化や成長を見守ってきたセルプセンター福岡の宮地さんは、今後の展望をどのように考えているのでしょうか。</p><p>宮地：障害のある方は、難しいことにチャレンジする機会が少ないと感じています。しかしこのプロジェクトでは、国立国会図書館という日本を代表する機関の貴重な蔵書を扱う仕事に関わることができます。しかも自分がデジタル化した本が、もしかすると世界中の人から見られるものになるかもしれない。そうした経験ができたことが自信につながったのだと思います。</p><p>この就労支援の場は、いわば通過施設のようなものです。利用者の方々がここで経験を積み、自信をつけて一般企業への就職を目指していく、そういう場所でありたいと考えています。そのために、近隣企業を招いた見学会を毎年開催し、利用者の方たちの働きぶりを実際に見ていただく取り組みも行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_13.jpg">本プロジェクトで見出した障害者就労の可能性について話す宮地さん<h2 id="tnf-text-heading-block_a704c5c76ca4c8f34cd1c2c11a8a3b84" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">実証から全国へ。職域開拓が広げる障害者就労の可能性</h2><p>ここまで福岡県での成功事例を見てきましたが、そもそも本プロジェクトはどのような経緯で始まり、どこに向かおうとしているのでしょうか。事業を担当する日本財団の村上智則さんに、プロジェクト立ち上げの背景と今後のビジョンについて話を聞きました。</p><p>――このプロジェクトは、どのような経緯で立ち上がったのでしょうか。</p><p>村上さん（以下、敬称略）：日本財団は2016年度から、障害者の工賃向上を目指す「はたらく障害者サポートプロジェクト」に取り組んできました。全国32カ所でモデル施設を立ち上げ、どのような仕事であれば障害者の工賃を効果的に上げられるのか、試行錯誤を重ねてきたのです。</p><p>特に鳥取県と連携してつくった複数施設による共同作業場では、県平均の3倍の工賃を達成するなど、一定の成果を上げていました。</p><p>そうした取り組みを進めていた2020年、コロナ禍によって国立国会図書館が一時閉館を余儀なくされました。国内外の研究者が同館の所蔵する貴重な資料にアクセスできなくなるという事態が生じ、遠隔でも資料を閲覧できるデジタルアーカイブへの要請が高まりました。</p><p>国も蔵書の本格的なデジタル化の推進を決定し、2021年度から大規模な予算を確保しました。そこで日本財団としては、これまで障害者就労支援で培ってきたノウハウを活かして、この事業に障害者が参画できないかと考えたのです。</p><p>2021年度に、20万コマという小規模の仕事を国立国会図書館からいただき、東京都の障害者施設「東京コロニー」で実証実験を行いました。その結果、デジタル化に定評のある大手の一般企業も参入する中で、エラー率が低く、品質も高いという評価をいただきました。その結果を受け、2022年度から全国8ヵ所の障害者施設で本格的に本プロジェクトをスタートしました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/NDL-PJ_14.jpg"><p>――このプロジェクトが障害者就労に対し、どのような意義をもたらしたとお考えでしょうか。</p><p>村上：大きく2つの意義があると考えています。1つ目は職域開拓です。プロジェクトが始まった当時は、デジタル化はまだ専門業者が行う分野でした。しかし障害者にもできると証明したことによって、仕事の可能性が大幅に広がりました。これはスキャニングに限らず、他の分野においても障害者にはさらに活かせる潜在力があるというメッセージを社会に向けて発信できたのではないかと思います。</p><p>2つ目は、障害者の経済的自立に対する道筋を示せたことです。我々が積極的に工賃向上の支援をしなくてはいけないのは、雇用契約を結ばずに作業に応じた工賃を受け取る「就労継続支援B型」作業所の利用者です。というのも、B型利用者の所得水準は非常に低く、平均で月額2万3,000円程度です。</p><p>世帯分離をして地域で自立した生活を送るためには、障害者年金と合わせて年間おおむね170万円程度必要とすると、少なくとも月額7万円程度の工賃がないと難しい。そういう中において、国立国会図書館の仕事は非常に高工賃で月額10万円を超える方も出てきています。</p><p>――今後の展望について教えてください。</p><p>村上：このプロジェクトも5年目となり、2021年度に1カ所で始めてから、2025年度は参加施設が13カ所に増えました。当初はデジタル化作業と親和性の高い印刷系の生産活動に従事する施設が中心でしたが、現在はさまざまなバックグランドを持つ施設に参加いただいています。</p><p>参加する障害者の方の障害種別や障害程度も広がり3障害（知的・身体・精神）、比較的重度の方にも取り組んでいただいています。AIの活用やDX推進に伴うペーパーレス化は社会的な潮流となっていますので、ニーズに応じた今後の展開について検討を進めています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_26d7cbb58050478a73c34e171c32b982" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">障害者の就労を社会で支えるために、私たち一人一人ができること</h2><p>障害者就労支援において、社会全体や周囲の人たちに何ができるのかについて、宮地さんや村上さんに本取材で伺った3つのアドバイスをご紹介します。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_296be1f9708db9ea5e6d1a0abf97277a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］　障害者を特別視しない。分からないことは本人に聞いてみる</h2><p>障害者への接し方や手伝い方に悩んだとき、本人に「どうしたらいいですか？」と尋ねるのが最も自然な関わり方。特別視し過ぎず、さりげなく声かけをすることが働きやすさを変えていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b2942af751a1095fc75accd1ac254b87" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］勝手に「できない」と線を引かず、可能性を信じる</h2><p>「できる/できない」の線を勝手に引くのではなく、「どうすればできるか」という観点で工夫することを考える。ひと手間かければできることは数多い。障害者の可能性を信じていくことが重要</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2d18dd375981c6a2875e531eb39a1013" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］障害者の方が作ったものやサービスを利用する</h2><p>障害者施設が提供する製品やサービスを利用することは、工賃向上への直接的な支援になる。このプロジェクトで実現した高工賃は仕事があってこそ。需要を生み出すことが、経済的自立への道を開く</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>今回の取材を通じて、私たちのほうが障害者の方に対して「これはできないだろう」と線を引いていることが多いのではないか、という点に気づかされました。</p><p>支援する側が「障害者には難しいかもしれない」と想定していた仕事に、実際は当事者の多数が「楽しい」と感じながら前向きに取り組んでいる現実があり、丁寧な仕事ぶりや明確な目標を持って働く姿がありました。そして大きく伸びた工賃の実績は、経済的自立への確かな道筋を示しています。</p><p>適切な環境と機会さえあれば発揮できる力がある、という事実を目の当たりにし、目の前にいる人の可能性を信じて、挑戦の場を用意することの重要性を感じました。そういった積み重ねが、障害の有無に関係なく誰もが活躍できる社会につながっていくのではないでしょうか。</p><p>撮影：十河英三郎</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>スタートの出遅れは当たり前だった。発光してスタートを知らせる「スタートランプ」が聴覚障害競技者の可能性を広げる</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117520/sports</link>
      <pubDate>Tue, 11 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>これまで聴覚障害のあるスポーツ選手はスタートの出遅れの問題を抱えていた</li><li>スタートの合図を光で知らせる「スタートランプ」は選手の可能性を広げる</li><li>「聞こえること」を当たり前だと思っていないか。誰も取りこぼさない視点が一人一人に求められる</li></ul><p></p><p>走る速さを競うトラック競技は「位置について、用意、スタート」の合図で始まります。0.1秒以下のタイムを争うアスリートは、審判の声やピストルの音に細心の注意を払い、最高のスタートを切るために日々練習を重ねています。</p><p>しかし、聴覚障害のある選手には、音の合図は聞こえにくかったり、聞こえなかったりします。これまで聴覚障害のある選手たちは目視でピストルを確認し、周りの選手の動きに合わせスタートを切っていました。聴覚障害のある選手が出遅れることは「当たり前」とされてきました。</p><p>日本のこの状況を変えたのは、東京都立中央ろう学校の教諭として20年以上陸上競技に携わり、<a href="https://www.j-daa.or.jp/jdaa/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人日本デフ（※）陸上競技協会（外部リンク）</a>の事務局次長も務める竹見昌久（たけみ・まさひさ）さんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_c61ce7bd70051f6145143e7fd977850a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「デフ（Deaf）」とは、英語で「耳が聞こえない」という意味</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00004.jpg"><p>竹見さんは2011年頃からスタートの合図を光で知らせる「スタートランプ」の開発・普及を日本で始めました。この「スタートランプ」の仕組み自体は、2005年のメルボルンデフリンピックにて正式採用されていましたが、日本での普及は進んでいませんでした。しかし、竹見さんの活動もあり、2025年11月に開催される、聴覚に障害がある選手のスポーツ大会<a href="https://deaflympics2025-games.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「東京2025デフリンピック（外部リンク）」</a>にも採用が決まっています。</p><p>11月に日本で初めて開催される「東京2025デフリンピック」を前に、竹見さんに、多くの人がこういった課題に気づき、自分ごととして捉えるために必要なことについて、お話を伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fa10db59c16dadeba1db42c6a58538c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">聴覚に障害があっても平等にスタートを切れる</h2><p>――「スタートランプ」はどういう機器なのか教えてください。</p><p>竹見さん（以下、敬称略）：審判の声やピストルの音によるスタートの合図を、光で選手に伝える機器です。スターターはランプを点灯させるボタンとピストルを持ち、「位置について」で光を赤に、「用意」で黄色に、「スタート」でピストルが放たれると緑の光が点灯し、スタートを正確に伝えることができます。</p><p>聴覚障害のある選手が、聴者（耳の聞こえる人）の選手と混合で競技を行う大会の一部では、この「スタートランプ」が採用されています。これがあれば、全ての選手が平等にスタートを切ることができます。</p><p>現在はスポーツ庁の協力のもと、「東京2025デフリンピック」に向けて講習会や体験会など全国で研修・普及活動を行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00008.jpg">実際のスタートランプの光。画像提供：一般社団法人日本デフ陸上競技協会<p>――なぜこの「スタートランプ」を日本で開発・普及をさせようと考えたのでしょうか。</p><p>竹見：指導していた生徒の言葉がきっかけでした。まず第一に、トラック競技はスタートが競技の命運を分けます。スタートが遅れるといい結果を残すことは難しくなりますし、フライングをすればその場で失格となってしまいます。これまで聴覚障害のある選手は音の合図を聞き取ることができず、出遅れることが当たり前になっていました。</p><p>そんな中、生徒が高校3年を締めくくる大切なインターハイに出場しました。生徒自身も大会に向けて必死に努力を重ねていたのですが、スタートの合図が聞こえず、いい結果を残すことができませんでした。</p><p>その後、生徒が涙ながらに「こんなに頑張ってきたのに聞こえなかったら意味ないじゃん」と打ち明ける姿を見て、私は指導者として何もしてあげられていなかったのだと強く実感しました。そこから聴覚に障害がある競技者が、平等にスタートできる機器を日本で開発・普及させようと決意したんです。</p><p>スタートランプの概念自体は、2005年のメルボルンのデフリンピックで使用された前例があり、そちらを参考に開発を進めました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00006.jpg"><p>――そもそも、「スタートが遅れる」ことが当たり前となっていたのはなぜでしょうか。</p><p>竹見：世間の認知が低いことも理由の1つですが、聴覚障害のある生徒への指導の仕方も要因としてあったのではないかと感じます。当時は「一生懸命、周りを見なさい」「聞く努力をしなさい」「自分で工夫して乗り越えなさい」といった、スパルタ的な価値観が横行していました。</p><p>私自身も、当時は彼らの抱えるハンディキャップをすごく軽く考えていて、「補聴器をつけなさい」などと言ったこともあります。補聴器は周囲の音を増幅させて音を聞き取りやすくする機器ですが、増幅された観客の声や風の音などからスタートの音を聞き取るのにも、やはり限界があります。難聴の種類によっては、補聴器ではどうにもならない人もいます。</p><p>生徒たちにとっては酷な状況だったはずです。当事者の抱える悩みへの理解や寄り添いは、まったく足りていませんでした。「スタートランプ」が、あらためて聴覚障害がある人々への理解を助けるものになればという思いもあります。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/91473/disability" target="_blank" rel="noreferrer noopener">人工内耳って？補聴器と何が違う？その仕組みと「聞こえ」の大切さを専門家に聞いた（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_adb1507ccc5ead7d20842352b31b82e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">選手に希望の光と言われた「スタートランプ」。受け入れられるまでの道のり</h2><p>――「スタートランプ」が導入されて、選手たちからはどのような反応がありましたか。</p><p>竹見：とても喜んでくれました。今までは音が聞こえない分、周りの選手たちに合わせてスタートするしかありませんでしたが、視覚でタイミングが分かるので、思い切ってスタートを切ることができます。中には「希望の光」とまで言ってくれる方もいました。</p><p>――選手たちのモチベーションも大きく変わりそうですね。</p><p>竹見：はい。今までは耳が聞こえないためにトラック競技を諦め、やり投げや走り幅跳びといったフィールド競技を選ぶ選手が多かったようです。ところがデフリンピックの男子100メートルで金メダルを獲得した佐々木琢磨（ささき・たくま）選手に会った時に、「最近フィールド競技の選手が減ったんだよね」と言われました。なぜかと尋ねたら「『スタートランプ』があるからだよ」と話してくれて、すごくうれしかったですね。選手を取り巻く状況は大きく変わったのだなと感慨深かったです。</p><p>――「スタートランプ」の開発や普及を進めていく上でどのような困難がありましたか。</p><p>竹見：教育や競技の現場に受け入れてもらうことが大変で、かなりの時間を要しました。「スタートランプ」の普及活動で10年以上全国を回ったのですが、訪れた先で審判の方に「こんなのいらないでしょ」と言われたことを今でもはっきりと覚えています。</p><p>その理由を聞くと「私の知ってる選手はちゃんとスタートできていたよ」ということでした。ろう学校の先生方からも「こんなものを使うな」といった意見をいただきました。</p><p>――反発があったことが意外です。</p><p>竹見：私も現場で指導していた身として、新しい機器への抵抗感は分からなくもなかったのですが、聴覚障害のある人への理解は、教育者でさえまだまだなのだと実感しました。</p><p>聴覚障害のある人の聞こえ方はさまざまです。全く聞こえない人や、少しだけなら聞こえる人もいますし、低音は聞こえるけど高音は難しいなど、人それぞれ聞き取れる音の範囲も変わってきます。一括りにしてしまうのは危険ですし、そうした初歩的なことをその後の研修会で丁寧に説明していきました。</p><p>この現状を多くの人に知ってもらうために、現在も普及や啓発活動を続けています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c7151b346b3d1d4855b6045936c4f665" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「スタートランプ」は競技者を支え、大会の価値も向上させるツールにもなる</h2><p>――竹見さんは「東京2025デフリンピックの運営」にも関わっています。企画設計などで気をつけた点を教えてください。</p><p>竹見：障害がある人の競技はどうしても「かわいそう」というイメージが先行して、純粋に競技を楽しんでもらえることが少ないのではと感じていました。</p><p>そこで、「東京2025デフリンピック」の告知動画では、ほとんどデフリンピックであることを伝えない<a href="https://www.youtube.com/watch?v=Q-FX-ZH7QAc" target="_blank" rel="noreferrer noopener">PR動画（外部リンク/YouTube）</a>を作ったんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00001.jpg">「東京2025デフリンピック」のイメージビジュアル。耳元のヘッドギアが特徴的。画像提供：一般社団法人日本デフ陸上競技協会<p>――耳に近未来的なヘッドギアが着いていて、かなりスタイリッシュな動画ですね。</p><p>竹見：はい。デフリンピックに対する意識を変えてもらいたいな、と考えました。「かわいそうな人たちが頑張る大会」では決してなく、純粋に競技として前向きに楽しんでもらいたいという思いがあります。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>そのために「スタートランプ」も競技の盛り上げに一役買っているんです。突拍子もないようですが、「スタートランプ」や、ファウルなどを光で知らせる「見えるホイッスル」は競技中に見るとイルミネーションのようですごくきれいなんです。</p><p>「スタートランプ」や「見えるホイッスル」が、デフスポーツのエンターテイメント性を高めてくれる1つのツールとして機能するのではないかと考えています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00005.jpg"></div></div><p>竹見：デフスポーツをできるだけ福祉っぽくならないようにしたいんです。なので、「聞こえない人のために『スタートランプ』を設置しよう」ではなく、最初は軽いノリで「会場で光って映えるから『スタートランプ』を置こうよ。聞こえない人も一緒に出られるし」といった感じで進めていきたい。そういう軽いノリこそ、裾野が広がっていくのではないかと考えています。</p><p>また、デフリンピックでは競技場に横長のモニター「リボンビジョン」を設置し、実況音声をリアルタイムで可視化したり、手話通訳者をモニターに映したりする試みも行われています。どうしても必要だと考え、東京都に掛け合って採用してもらいました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/deafrikujo00007.jpg">「東京2025デフリンピック」にも設置される予定の「リボンビジョン」と手話通訳士を映すモニター。画像提供：一般社団法人日本デフ陸上競技協会<p>竹見：競技者と観戦者のサポートの意味合いだけでなく、ひと目でデフリンピックだと分かるようにスタイリッシュに演出することも必要だと感じました。デフリンピックの価値を上げ、大会を持続可能なものにするためにも「スタートランプ」などのツールが大きな役割を果たすと信じています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3b7dfc1df411bf6dfcc15fabfb32caf3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もがスポーツを楽しめるような社会のため、私たち一人一人にできること</h2><p>最後に竹見さんに、誰もがスポーツを楽しめるような社会のため、私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5f8a23779e075ea3d44f0b6ada5a6101" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ 「東京2025デフリンピック」を観戦する</h2><p>「東京2025デフリンピック」は事前申し込みなく、誰でも無料で観戦可能（※）。まずは生で見ることで、聴覚障害者の挑戦や雰囲気を知り、聴覚障害者が直面する課題や、彼らの挑戦を自分ごととして捉えるきっかけにする</p><div id="tnf-text-notes-block_369bbc709775acfac67a6ccd3724c3e5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考:<a href="https://deaflympics2025-games.jp/main-info/about/pdf/240116_about.pdf" target="_blank" rel="noopener">第25回夏季デフリンピック競技大会概要（外部リンク/PDF）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_ea699f65fbbca001753b793db8193f99" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］聴覚障害に対する誤解と偏見を捨てる</h2><p>過去に広く見られた、誤った指導方針や、障害に対する画一的な見方を改める必要がある。障害に対する正しい情報を知ることが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5c94d69cdde52023ab6249d52ef56ade" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ コミュニケーションに対する意識を改める</h2><p>聴者は、「会話によるコミュニケーションができること」を普通のことだと思いがち。障害によっては、会話を前提としたコミュニケーションが困難になる。そのことを意識し、さまざまな場所で取りこぼされている人がいないか配慮することが求められる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「東京2025デフリンピック」の開催が直前ということで、デフスポーツについての課題を伺いたく、今回、竹見さんに取材を申し込みました。</p><p>聴覚障害のある選手の出遅れを「当たり前」としてきた背景には、聞こえることを前提とした競技構造があったのだと思います。その構造を変えようとする竹見さんの取り組みは、スポーツ界だけでなく、私たちの日常にも問いを投げかけているように感じます。</p><p>競技大会で聴覚障害のある競技者を支える「スタートランプ」は、競技者と聴者のつながりをつくってくれる存在だと思いました。競技者に寄り添いながら、大会を持続可能なものにするために献身的なサポートを続ける竹見さんの姿に、デフスポーツへの大きな愛を感じた取材でした。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_08c1c308937c1ed6120eee7fa5924f1b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_baacdc95eac7fc92ae0dc6ba144ee8e4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">竹見昌久（たけみ・まさひさ）</h3><p>1975年生まれ。東京都立中央ろう学校高等部主幹教諭。高校、大学と陸上競技部に所属し、大学卒業後に教師の道へ。長年、陸上競技部の指導に携わり、29歳で前任の立川ろう学校に赴任。ろう者への陸上競技の指導に深く関わるようになる。現在は、全国聾学校体育連盟事務局次長、一般社団法人日本デフ陸上競技協会事務局次長を務め、国際大会におけるスタートランプの設置や世界的な普及活動のほか、「東京2025デフリンピック」に向けた取り組みも行っている。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>水中清掃とサンゴ再生で海を守る。ボランティアダイバーと地域の力が生み出す持続可能な海洋環境</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117068/ocean_pollution</link>
      <pubDate>Fri, 07 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人海未来はきれいな海を未来につなぐために、ボランティアダイバーや市民と共に水中清掃、サンゴ再生、環境啓発に取り組む</li><li>海洋生物の約4分の1がサンゴに依存。その再生活動は、生物多様性と私たちの生活を守る要である</li><li>海洋ごみ問題の現状を知り、一人一人が「自分ごと」として行動する。そして、自然を大切にする意識やごみの正しい処理を徹底する</li></ul><p></p><p>2024年の環境省の発表（※）によると、日本から海に流れ出るプラスチックごみの量は、年間で推定1万3,000から3万1,000トンに上ります。</p><div id="tnf-text-notes-block_3886b198586121b0473b569b9199bcb8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※出典：環境省「令和6年度検討結果日本の海洋プラスチックごみ流出量の推計」</div><p>そんな海洋汚染により、サンゴをはじめとする海の生き物たちの生息環境が悪化する中、美しい海を守ることを目的に活動するのが、<a href="https://umimirai.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人海未来（外部リンク）</a>です。関西を拠点に、海に沈むごみを回収する「水中清掃」のほか、水辺に漂流したごみの回収、研究機関と協力した「サンゴ再生」などに取り組んでいます。</p><p>本記事ではNPO法人海未来で事務局長を務める彦坂弘久（ひこさか・ひろひさ）さんに、同団体の活動内容や、多くの人に知ってほしい海のごみ問題について伺いました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00003.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/11/umimirai00006.jpg">ボランティアダイバーがサンゴ再生に取り組む様子。画像提供：NPO法人海未来</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_f561478101b1ec4639235317ade7e93b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ボランティアのダイバーが取り組む、海の環境保全</h2><p>――「海未来」とはどのような活動をしている団体なのかを教えてください。</p><p>彦坂さん（以下、敬称略）：「大切な海や生物を守ること、きれいな海を未来につなぐこと」を目的に、ダイバーや地域住民の方と協力した水中と水辺の清掃、サンゴの再生、環境保全活動の普及・啓発などに取り組んでいます。</p><p>水中清掃は年間30回ほど実施しており、登録ボランティアダイバーは200名以上。そのほか、地域の方や子どもたちが参加できる活動として、水辺に投棄された廃棄物や漂着したごみを回収する活動も行っています。</p><p>こうした活動を通じて、海洋ごみの実態や環境保全の重要性を、社会に広く発信しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00012.jpg"><p>――「海未来」を立ち上げたきっかけを教えてください。</p><p>彦坂：もともと年間500名ほどが受講するダイビングスクールを運営していました。スクールでダイビングのライセンスを取得する主な目的は「美しい水中の景色を楽しみたい」というものですよね。</p><p>しかし実際に潜ってみると、コンビニ袋や生活ごみが漂い、投棄された廃棄ごみが沈んでいる場面に出会うことになります。こうした経験から、海をきれいに保ちたい、水中環境を守りたいという意識を持つダイバーが増えてきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00015.jpg">彦坂さんは、自身もダイバーとして300回以上の水中清掃に参加している<p>彦坂：水中での清掃やサンゴの再生活動は、ダイビングのライセンスがなければできないことです。専門のダイバーを雇って実施しようとすると、一人につき1回10万円ほどの費用がかかり、多額の費用が必要となります。</p><p>そこで、環境保全に関心を持つダイバーの方々に、ボランティアとして参加いただき、水中清掃やサンゴの再生に取り組む場をつくろうと考えたのが、活動のきっかけです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00002.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00010.jpg">ダイビングには、水中で作業するための器材や装置が必要となり、多額の費用がかかる。画像提供：NPO法人海未来</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b12b3940892526ece82a7917d8bed45e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域を巻き込むことで海洋ごみ問題を「自分ごと」に</h2><p>――ダイバーだけでなく、地域の方や子どもと共に活動する理由を教えてください。</p><p>彦坂：海洋ごみの深刻さを知ってもらい、少しでも「自分ごと」として行動してほしいと思っているからです。私たちの活動は、世界的なごみの量から見れば、ほんのわずかな取り組みに過ぎないかもしれません。それでも、活動に参加していただき、少しでも現状を理解していただくことを大切にしています。</p><p>地上から見るときれいに見える海でも、多くのごみが沈んでいる場合がほとんど。その現実は、普段海を利用する方々にはなかなか見えません。ですから、ダイバーでない方は潜ることはできませんが、水中から引き上げたごみをロープで引っ張り上げる作業を、地上からサポートしてもらうことで実感していただいています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00007.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00011.jpg">三重県国崎漁港で回収された釣具や生活用品。画像提供：NPO法人海未来</div></div><p>――実際に参加された方の声や感想を教えてください。</p><p>彦坂：水面だけを見ればきれいに見える海でも、生活ごみが大量に沈んでいて、それを目の当たりにすることで衝撃を受けている方が多いですね。自転車やショッピングカートといった大型のごみが引き上げられることもあります。そうした場面では、近くを通る地域の方が足を止め、「一体何事か」と関心を示してくださることもあります。</p><p>2024年に大阪府岸和田市の海を清掃した際は、わずか1時間ほどの作業でバイク3台、自転車5台、ショッピングカート10台など累計65トンを引き上げました。水中から引き上げる作業も大人数で協力しなければ回収できません。</p><p>引き上げられたごみを目にすると、「自分の身近な場所でこんなことが起きているのは恥ずかしい」「申し訳ない気持ちになる」とおっしゃる地域の方の声も多く聞かれました。こうした驚きや気づきが、活動に参加した方々の意識を変え、環境への関心を高めるきっかけになることを願っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00008.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00009.jpg">海岸沿いまで車で乗り入れやすい場所では不法投棄が多く見られるという。画像提供：NPO法人海未来</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_51900dae6ebfc36d9253fea13f421db0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">サンゴを守ることで海の恵みを未来へつなぐ</h2><p>――サンゴが置かれている現状について教えてください。</p><p>彦坂：近年の気候変動の影響で、日本近海も亜熱帯化が進み、熱帯魚の姿が増える一方で、サンゴにとっては厳しい環境が続いています。</p><p>世界各地では、海水温の上昇の影響で、モルディブやグレートバリアリーフのサンゴが大規模に白化（※）し、死滅する事例も起きました。沖縄や石垣でも白化現象が見られ、仮死状態になっているサンゴが多くなってきました。</p><div id="tnf-text-notes-block_4174a0d98a12337d1018a2662bee4b57" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※サンゴの「白化」とは、環境ストレスによってサンゴの生育に不可欠な共生藻類である「褐虫藻(かっちゅうそう)」が失われ、サンゴの白い骨格が透けて見える現象。白化した状態が続くと、サンゴは共生藻からの光合成生産物を受け取ることができず、壊滅してしまう</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00017.jpg"><p>彦坂：日本全体では、環境によってサンゴが減少する場所もあれば、逆に増えている場所もあります。ただ、せっかく成長したサンゴも台風や波の影響で折れてしまうことで、そのまま死滅してしまうことがあるんです。</p><p>そこで私たちは、折れたサンゴを再び海底に固定し、再生につなげる活動を行っています。サンゴ礁は「海の森」ともいえる存在で、多くの生物の生息を支えています。その大切さを理解してもらうことも、活動の大きな目的の一つです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00004.jpg">海底に設置された枠に取り付けられたサンゴ。画像提供：NPO法人海未来</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00005.jpg"></div></div><p>――「海未来」が行っているサンゴの再生活動について詳しく教えてください。</p><p>彦坂：活動拠点である和歌山県の串本沿岸地域は、北緯33度30分という北にありながら、亜熱帯性の生物群集が豊富に見られる貴重な場所であることから、ラムサール条約（※）にも登録されています。</p><p>この地域には120種以上のサンゴが生息しており、それらを守るために私たちが行っているのは「修復」に近い作業。折れてしまったサンゴをワイヤーで固定し、死滅を防ぎながら定着を促します。</p><p>関西大学の研究チームが行う、サンゴの成長促進技術の研究にも協力しています。水力発電による微弱電流を流すことでサンゴの成長を促す再生手法で、こうした取り組みはインドネシアやモルディブでも行われており、串本でも簡易的な形で導入しています。</p><p>サンゴの再生活動は私たち「海未来」にとって水中清掃と並ぶ、生物多様性を守るための「もう一つの（活動の）柱」です。ごみを取り除くことと同時に、魚が住みやすい水中環境を整えることが、豊かな海を未来へつなぐために欠かせない取り組みだと考えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_8b75d7d38fd037e95cf0a8b1243a7109" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ラムサール条約」とは、1971年2月2日にイランのラムサールという都市で開催された国際会議で採択された、湿地に関する条約。正式名称は「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00013.jpg">折れたサンゴの破片を金属板に固定した様子。画像提供：NPO法人海未来</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00014.jpg"></div></div><p>――サンゴが減少して生態系が変化すると、海や私たちの生活にはどのような影響があると考えられますか。</p><p>彦坂：サンゴ礁の分布は、海全体の中で0.2パーセントにも満たないごく一部です。しかし、その限られた場所に海の生物全体の約4分の1が依存していると言われています。</p><p>サンゴ礁はプランクトンを育む場であり、また小さな魚の隠れ家として命を守る役割も担っています。サンゴ礁で小魚が育ち、その小魚を餌に少し大きな魚がやってくる。このような食物連鎖の基盤にサンゴが存在しているのです。</p><p>サンゴが失われれば、まずそこに生息していた小さな魚が姿を消します。するとそれを餌にしていた魚が生きていけなくなる。多様な生き物の隠れ場所を奪うことになり、生態系全体が崩れていくでしょう。</p><p>つまり、サンゴを守ることは海の生物多様性を守ることであり、私たちの生活に直結する海の恵みを未来へつなぐことでもあります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8d7eb1edde049456c4cdf2c3ce7512c9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「海未来」の活動をモデルに全国の海で活動が広がってほしい</h2><p>――美しい海を守る活動を広げていく上で、どのような体制づくりや支援が必要だと考えていますか。</p><p>彦坂：私たちの活動の規模を拡大するよりも、各地で参加できる仲間を増やしていくことが重要だと考えています。</p><p>私たちは年間30回以上の清掃活動を行っていますが、実施できるのはダイバーが集まりやすい週末に限られるため、スケジュールはすぐに埋まってしまいます。1つの団体だけで、これを全国規模に広げることは現実的に困難です。</p><p>だからこそ、「自分たちの地域は自分たちで守る」という動きを広げていく必要があります。実際、高知県や三重県、鹿児島県など、全国各地のダイビングショップから、「自分たちの海でも同様の活動をしたい」という声が上がり始めているんです。</p><p>私たちの活動がそのモデルケースとなり、活動が広がっていくことが理想ですね。そのためには広報を強化し、活動を知ってもらうこと、そして新たに活動を始める地域への初期費用の支援など、資金面でのサポートも課題になってきます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_82b020f0e5429163b9edf8f04640159d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「人目につかなければ大丈夫」という意識が海やまちの汚染につながる</h2><p>――活動を知った人たちには、どのような行動をとってほしいと考えていますか。</p><p>彦坂：学校への出張授業や講演でも伝えていますが、まず一番大切なのは日々の生活で「プラスチックごみを減らす意識を持つこと」です。プラスチックを使わない生活は現実的には難しく、今後もごみは増えていくと考えられます。</p><p>だからこそ、家庭での分別や、公園やコンビニでの適切な廃棄といった基本的な行動を徹底してほしい。日本のまちは海外から「きれい」と評価されることが増えましたが、海に関しては「沈めてしまえば見えない」という安易な意識が残っているのではないでしょうか。</p><p>冬場は水温が低く水中活動が難しいため、私たちはまちの清掃活動に参加しています。道端の見えにくい場所に捨てられた空き缶やたばこの吸い殻を目にすると、「人目につかなければ大丈夫」という意識が根底にあるのだと痛感します。</p><p>「見えないからこそ意識して守る」、その考え方を広げていくことが、未来の海を残すことにつながると考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/umimirai00016.jpg">「これからは仲間を増やしながら全国の美しい海を守っていきたい」と語る彦坂さん<h2 id="tnf-text-heading-block_ef70437c9e04b853dae27f9949ca9239" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">きれいな海と、そこで生きる生物を守るために私たち一人一人ができること</h2><p>美しい海を未来に残すために、私たちにできることを、彦坂さんに教えてもらいました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_af7c73c8920f26341c5e2ce43b2abde3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］見えない場所のごみを「自分ごと」に</h2><p>海の中に沈むごみは、普段の生活からは見えない。けれど、私たちの何気ない行動が原因になることもある。適切なごみの処理を徹底したり、身近な公園や川の清掃に参加したり、日常での意識づけや体験を通して、海とのつながりを感じてみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_79e38809957edae9695ad58e2411baee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］サンゴを守ることは、海の命を守ること</h2><p>サンゴは「海の森」と呼ばれ、多くの生き物のすみかになっている。サンゴを再生させる活動は、生物の多様性や海の恵みを未来につなぐ大切な取り組み。サンゴが置かれている現状について学ぶ、活動団体を知る、寄付をする、情報を広めるなど、まずは関心を持ってみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0fa6e3a1c49633fe1d393575e99cd22a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］日常生活でも出来る小さな行動を積み重ねる</h2><p>一人の行動は小さくても、多くの人が意識することで大きな力になる。買い物のときにエコバッグを使ってみる、使い捨て容器を使わないなど、「小さなことからコツコツと」という意識で、プラスチックごみを減らす行動が、やがて海を守る大きな活動につながっていく</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>ボランティアのダイバーたちが水中のごみを回収したり、サンゴの再生に携わったりしていることを知り、「海未来」さんに取材を申し込みました。</p><p>インタビューを通して、水中清掃の活動は決してダイバーや海辺に暮らす人々だけに関わるものではない、ということを強く感じました。海に沈むごみの多くは、私たちが日常生活で使い、処理しきれなかったものが姿を変えて流れ着いた結果。今回は、私たち全員がその当事者であるということを意識するきっかけになったと思います。</p><p>未来の生態系を守ることは、次の世代に安全で豊かな環境を残すことにつながります。水中清掃やサンゴ再生活動に直接参加できなくても、日常でのごみの分別やポイ捨てをしないといった基本的な行動が、未来の海を形づくっていきます。</p><p>「自分には関係ない」ではなく、「自分だからできる小さな一歩」を積み重ねていく必要があると感じました。</p><p>撮影：西木義和</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「苦しまないで済む不登校」の環境を社会全体でつくりあげる。第三の居場所づくりに大切なこととは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/117041/child-third-place</link>
      <pubDate>Wed, 05 Nov 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>不登校支援は子どもだけでなく親の苦しさもサポートする包括的アプローチが必要</li><li>子どもに対して「支援者」であることを意識させず、フラットな目線で寄り添う</li><li>不登校でも苦しまない環境を財政的支援、居場所の確保等、社会全体で整えることが重要</li></ul><p></p><p>年々増加する不登校の児童。文部科学省の2023年度の調査では、小・中学校における不登校児童数は過去最多の34万人超と発表されました。</p><p>不登校の背景には、心理的・情緒的な要因が複雑に絡み合っており、一概にひとくくりにはできません。不登校という状態を問題視するのではなく、子どもたちが自分に合った環境を見つけ、安全に過ごすことができる場所を社会全体で整えていくことが肝心です。</p><p>日本財団ではそうした居場所づくりのために、学校や家庭以外の場で過ごす<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子ども第三の居場所」（別タブで開く）</a>事業を全国的に推進しています。信頼できる大人や他の子どもと関わることで、子ども自身の抱える悩みや苦しさを解きほぐすことができます。</p><p>一般社団法人フォースマイルが運営する、長野県諏訪市の<a href="https://4smile20.jimdofree.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「みんなのお家すまいる」（外部リンク）</a>もそうした第三の居場所の一つです。不登校児童を持つ親たちが立ち上がり、フリースクールの運営や子ども食堂、親向けの学習会など包括的な支援を行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00007.jpg"><p>地域コミュニティーが希薄化し、学校や家以外に居場所がない子どもたちにとって、こうした施設の存在が大きな光になるのではないでしょうか。そして、不登校児童を持つ親や、ひいては社会全体にとって、第三の居場所はどのように不登校に向き合うかのヒントになるはずです。</p><p>今回は「みんなのお家すまいる」を運営する木村かほり（きむら・かほり）さん、渡辺裕子（わたなべ・ひろこ）さんにお話を伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_283b4a9cad90421de22faef077ac663a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不登校の子どもだけでなく、親の苦しさも積極的に支援</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>――「みんなのお家すまいる」はどんな場所なのか教えてください。</p><p>木村さん（以下、木村）：不登校の子どもたちや、家に居場所がない子どもたちが自由に集まることができる施設です。平日の10時〜15時をフリースクール、17時までを居場所として開放しています。</p><p>勉強をしたりゲームをしたり、他の子どもたちと触れ合ったりして、誰でも自由に過ごせる空間になっています。現在は不登校の子どもやその他の子どもも合わせて、70人以上が利用しています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00006-819x1024.jpg">「みんなのお家すまいる」での妄想くらぶ（哲学対話）の模様。画像提供：みんなのお家すまいる</div></div><p>木村：小部屋やロフトを作るなど、一人になりたい子どもに向けたセーフスペースも用意しています。子どもたちがそれぞれ居心地のいい場所を見つけて過ごせるように内装も工夫しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00002.jpg"><p>――場所がクレープ屋さんの2階というのもユニークですよね。</p><p>木村：子どもも私たちもすごく気に入っています。居場所運営がスタートした2017年は友人宅の離れを借りて同様の活動をしていましたが、利用者の声や環境の変化もあって2020年から規模を拡大してこちらに移転しました。もともとの古い和室を、日本財団の助成金で改修工事を行い、今の形につくり変えています。</p><p>渡辺：下のクレープ屋さんにすごく助けられています。親御さんが子どもをこの場所に連れてくるときにやっぱり行き渋る子もいるんです。なので、「じゃあ、クレープを食べに行こう」といった形で誘うことで心理的ハードルも下がるので、子どもたちの支援には絶好の場所だと思います。</p><p>また、周辺には飲食店やスーパーもあるので利便性も高く、私自身も近くに住んでいるので何かあったときすぐに駆けつけることができるのも大きかったです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00005.jpg">「みんなのお家すまいる」の周辺環境について話す渡辺さん<p>――「みんなのお家すまいる」はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。</p><p>木村：不登校について悩みを抱える親同士のネットワークづくりを目的に、2011年に立ち上げた「親の会」が前身となっています。当時はブログや情報誌を作って親向けに情報発信することが中心だったのですが、親同士で子どもたちを含めてお出かけをしたり交流を深めたりする中で「何か拠点をつくりたい」という話になり、2017年に居場所運営をスタートしました。</p><p>渡辺：不登校は当事者である子どもはもちろんのこと、親も並々ならぬつらさを抱えています。ずっと家で子どもと過ごすうちに「不登校になったのは私の責任なのでは？」と悩みを抱え込む親御さんも少なくありません。そしてストレスで子どもに強く当たって断絶が生まれてしまっては、親と子の健全なコミュニケーションも難しくなります。</p><p>だからこそ、「みんなのお家すまいる」では定期的に親同士の情報交換会やおしゃべり会を開いたり、LINE窓口を開設したりして、親御さんの支援にも力を入れています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00003.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2f3f04e430de25b5553167f5320035ba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いつでも相談できて、駆け込める居場所にするための工夫</h2><p>――「みんなのお家すまいる」を訪れた子どもや親御さんの反響はいかがでしょうか。</p><p>木村：子どもたちはすごくリラックスして過ごしてくれています。読書に没頭したり、みんなでゲームをしたり、それを眺めたりと、それぞれが自由に過ごせる居心地のいい場所になっています。学校がつらいときにふらっと立ち寄れる安心できる居場所として認識してくれているようで、卒業生も訪ねてくれるんです。</p><p>渡辺：親御さんからも感謝の声が寄せられています。施設でのお子さんの様子を伝えたときに「うちの子って大丈夫なのかも」と安心して向き合えるようになったという声もありました。いつでも相談できるし、駆け込める場所があることは、親御さんの安心感につながっているようです。</p><p>――不登校など悩みを抱える子どもたちに向けた場所の運営をする中で、何か心がけていることを教えてください。</p><p>木村：子どもへの寄り添いと運営方針の両方に言えることですが、「私たちが支援してあげている」といった“支援臭”は出さないようにしていますね。子どもたちはそうした押しつけがましさには敏感ですし、逆に心が遠のいてしまう恐れもあります。だからこそ支援する側・される側の上下関係をつくることなく、フラットに同じ目線で接することが大切だと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/4smile00001.jpg">運営における心構えについて話す木村さん（左）と渡辺さん<h2 id="tnf-text-heading-block_1fb4ca618e524eace6f613190b2b3478" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">“苦しまないで済む不登校”を社会全体でつくっていく</h2><p>――文部科学省の2023年度の調査で、不登校児童が過去最多の34万人を超えました。この状況をどのように受け止めていますか。</p><p>木村：学校や家で居場所がないと感じる子どもが増えているのは事実ですが、時代の変化も大きいのではないでしょうか。世間の理解が進んで、昔は我慢していた子どもたちも、柔軟な選択ができるようになったのだと思います。</p><p>渡辺：昔は不登校が目の敵にされていました。「子どもは学校に行くのが仕事だから、それを拒否するのは悪いこと」というイメージがありましたが、芸能人やインフルエンサーが不登校だったことを打ち明けるような発信も増えて、周囲の理解が広がってきています。「自分だけじゃないんだ」と、救われる子どもも多いのではないでしょうか。</p><p>木村：ただ、単に「学校は行かなくてもいい」という風潮には疑問もあります。誰かがそう言っても、その先どうなるかは誰も保証してくれません。</p><p>不登校になる子どもの悩みは千差万別で、正解はありません。だからこそ、一人一人に向き合って親や子ども、学校や社会が一丸となって考え続けるべき問題だと思います。周囲の大人は「行かなくていい」と言うだけでなく、その子らしく生きるために何ができるのかも考えてほしいと思っています。</p><p>渡辺：この先、どんなに不登校の課題が社会に認知されたとしても、「不登校はいいこと」という認識にはならないと思うんですよ。だから、“苦しまないで済む不登校”という選択肢を用意してあげられればいいと思っています。</p><p>不登校は「たまたま今そういう状態」なので、当事者には絶望感を抱えず、今何が楽しいか、心地いいかを優先して過ごしてほしいです。</p><p>――「みんなのお家すまいる」は学校や地域とどのように連携しているのでしょう。</p><p>渡辺：現在は諏訪市とも協定を結び、行政とも連携して密にコミュニケーションをとっています。行政の方が学校側にも進言してくれるなど良好な関係を築けていますね。学校ではできないことを学べる第三の居場所として認めてくれているので、それはすごくいいことだなと感じます。</p><p>木村：諏訪市と周辺地域は親の会のネットワークも活発で、フリースクール含めて24団体が活動しています。相互に受け入れ体制も整っているので、諏訪市に住む親御さんが「地元の諏訪市で知り合いに会うのはちょっと……」といったときに、お隣の茅野市の施設に行くこともできるんです。官民連携でそうしたコミュニティーが多数あるのはこの地域ならではかもしれません。</p><p>――「みんなのお家すまいる」の今後の展望を教えてください。</p><p>木村：不登校の子どもたちや子どもを持つ親に向けて、今後もこの居場所を維持できればいいなと思っています。数年前までは学校と民間の居場所などが連携して一緒に話をするなんてあり得なかったんですが、学校がカバーできない子どもたちがいる以上、今後の不登校支援においては官民の連携が不可欠になってきます。国や企業とも協力しつつ、支援策を拡充しながら今後もより良いアプローチを続けていければと思っています。</p><p>渡辺：15年以上この支援活動を続けてきて、将来何があってもこの場所だけは守り抜きたいと考えています。「親の会」を新たに始めたいという相談も寄せられており、そうした方々へのアドバイスなども積極的に行っています。「みんなのお家すまいる」を卒業した子どもや親たちが今度はこの場所を支えたいと言ってくれることも増え、最近ようやく手応えを感じられるようになってきました。</p><p>後継者不足の不安もありますし資金も不足しているのですが、ここが本当に大切な場所なんだということが地域に根付いていくとうれしいです。活動を支えてくれる子どもたちが増えることは私の希望でもあり信じている部分でもあるので、うまくバトンを回し続けたいですね。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_453a9bcadaa0a279d2395e5a1ec5140e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不登校に悩む人たちのために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後にお二人に不登校に悩む人たちのために、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b09a1edbead6575ffff5ffa6ff07269f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］不登校の現状をウェブサイトや本で調べ、理解を深める</h2><p>「不登校はわがまま」といった誤った認識を払拭するためにも、まずは当事者がどんな悩みを抱えているのか、どのような支援がされているのかを知ることが第一歩。記事を読む、当事者の声に耳を傾けるなど、関心を持つことから始める</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7df2e6ff825951f4befba596b7e744be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもと接する際、画一的な価値観を押し付けない</h2><p>子どもの選択肢を広げるため、「人と同じじゃなくてもいい」「あなたのやり方でいいよ」と伝える。ドタキャンなどの行動も失敗ではなく、その時々の気持ちの変化として受け止める。子どもを信じ、否定しない関わり方を心がけることで、子ども自身の自己肯定感を育む</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6ceef30fab632228171b3c549ca3271c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］不登校支援を行っている団体への寄付</h2><p>現状、不登校支援の制度は十分とは言えない。支援団体への寄付は、居場所づくりや活動の継続を支える大きな力となる。経済的な理由でフリースクールなどの施設に通えない子どもたちがいることも忘れてはならない</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>不登校児童数が過去最多を更新する中、「子ども第三の居場所」事業について調べていたところ、「みんなのお家すまいる」の存在を知りました。</p><p>不登校は年々増加する社会的な課題ですが、木村さんや渡辺さんのやわらかな寄り添い方は、当事者への向き合い方の大きなヒントになると感じました。子どもだけでなく親のつらさにも包括的に向き合えるのは、お二人が不登校児童を持つ親として、さまざまな子どもたちや親と向き合ってきたからこそでしょう。</p><p>特に印象的だったのは、「学校は行かなくてもいい」といった風潮に対しての、「誰かがそう言っても、その先どうなるかは誰も保証してくれません」という言葉。誰もが正解を持たない社会課題において、耳障りのいい言葉を受け入れて安心してしまうのではなく、常にアンテナを張り、何ができるかを考え続けることの大切さを実感した取材でした。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://4smile20.jimdofree.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">みんなのお家すまいる　公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】小池百合子東京都知事からメッセージ（特集／特別編）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/43329</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:41:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>※この記事は2020年4月24日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では全8回にわたって、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けしてきた。</p><p>今回は特別編として、社会的養護の取り組みに力を入れる小池百合子東京都知事より、家庭での養育を必要とする子どもたちのためにメッセージをいただいた。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>皆さん、こんにちは。東京都知事の小池百合子です。</p><p>現在、虐待や親の病気などさまざまな事情により、実の親と暮らすことのできない子どもが、都内に約4,000人、日本全体では約4万2,000人います。このような子どもたちを預かり、温かい家庭的な環境で育てるのが「里親制度」です。</p><p>子どもたちが健やかに成長していくためには、特定の大人と信頼のおける愛着関係を築いていくことが欠かせません。信頼できる大人のもとで安心感を得ながら暮らすことで、子どもたちは他者とのコミュニケーション能力や社会性を身につけ、自己肯定感や心身の成長につながっていきます。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/koikechiji-680x1024.png"></div></div><p>里親になるには、一定の要件を満たしていれば、特別な資格が必要ということはありません。また、子どもの養育に必要な心構えや知識は、研修で学ぶことができます。さらに里親となられた後、もし子育ての壁にぶつかったとしても、児童相談所や児童養護施設、乳児院など施設の方々、民間の里親支援機関や里親会が、里親と共に子どもの成長をそれぞれの地域でサポートいたします。</p><p>子どもは社会の宝です。私は、子育てに関わる家族の負担を社会全体で支え、「チルドレンファースト」の精神を社会に浸透させることで、この東京を子どもの笑顔あふれる明るい希望に満ちた町にしていきたいと考えています。そして、東京はもとより全国において、里親が地域の中で子育てをすることがごく普通のこととして受け入れられる社会が実現するように、一人でも多くの方に、里親制度に関心を持っていただき、共に子どもたちの未来をサポートしていただきますよう、心よりお願い申し上げます。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/koikechiji2.png"></div><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_a4a9f85a9a028ae9318303eacca7a72c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親家庭を支援するフォスタリングマークプロジェクト</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>日本財団では、里親制度の普及と共に、里親家庭を支えられる社会の創出を目指し、「フォスタリングマーク」をつくりました。「フォスタリングマーク」やこれからこのサイトを通して紹介していくコミュニケーション・ツールは、里親子の皆さんはもちろん、里親制度に関心のある方であれば、どなたでも使えます。私たちと一緒に「里親」を広めませんか？</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/f3cf1de15cbbe1f77ec4f3a1987606ec.png"></div></div><p><a rel="noreferrer noopener" href="https://fosteringmark.com/" target="_blank">フォスタリングマーク・プロジェクト（別ウィンドウで開く）</a></p><div id="tnf-text-notes-block_9f9c6cb9c94cae4c5b4312036dffcc55" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この連載記事を制作するに当たって、多大なご協力をいただいた東京都福祉保健局の皆様には心より感謝申し上げます。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親認定部会での審査、そして認定・登録へ（特集最終回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/43257</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:37:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親として認定・登録されるには、里親認定部会による審議が必要</li><li>里親認定部会では、申請書類や家庭訪問の際の状況を踏まえ、有識者が里親の適否について審査をする</li><li>里親として適格と認められれば里親として自治体の知事より認定、登録される</li></ul><p></p><p>※この記事は2020年4月20日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>最終回となる今回のテーマは、「里親認定部会での審議」について。法律により、里親の認定に当たっては、児童福祉審議会の意見を聞く必要があると定められている。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42799" target="_blank" rel="noreferrer noopener">里親登録の申請書類（別ウィンドウで開く）</a>や<a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42902" target="_blank" rel="noreferrer noopener">家庭訪問（別ウィンドウで開く）</a>の結果をもとに、児童福祉に関わる各分野の有識者が、専門的かつ公平で中立な立場から里親認定基準に照らし、里親として適格であるかどうか審議する。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_d09d9a1152f57c23bd2a9c07b30baf67" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ6. 里親認定部会での審査、認定・登録</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_9d2df12b3654e7065dec7767378e6579" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">児童福祉の専門家や医者、弁護士などが多様な視点から里親としての適否を審査</h3><p>児童相談所の職員さんなどによる家庭訪問から数週間経った週末。リビングで夫とお茶を飲みながら話をしていた。</p><p>私「里親登録の申請ってどこまで進んでいるのかな……」</p><p>夫「家庭訪問の後は、確か里親認定部会っていう審議会が開かれて、僕たちが里親として適しているか話し合われるんだっけ」</p><p>私「そうそう。東京都の場合は2カ月に1回程度（※）開催されるって聞いたけど、いつ頃になるのかしら」</p><div id="tnf-text-notes-block_2d7cc7d2614c174509aced03f4f713cb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親認定部会の年間実施回数は自治体により異なる</div><p>里親認定部会は、児童福祉審議会と呼ばれる有識者からなる委員会の中に設置されており、そのメンバーは、児童福祉の専門家や精神科医、弁護士など多岐にわたる。私たちが提出した申請書類や家庭訪問の結果を踏まえて審議が行われ、それをもとに知事が里親として認め、里親登録される。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/23089375_M.jpg"><p>夫「東京都の資料<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/r3-1st_siryou4" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『里親認定部会について』（別ウィンドウで開く/PDF）</a>をみると、多くは里親として認定されているみたいだな」</p><p>私「みんな面談や研修、家庭訪問を受けて申請書を出すから、基準は満たしている人が多いんだろうね。でも里親になるには、いろんな角度から要件を満たしている必要があるから、どう評価されるのかやっぱり心配だわ」</p><p>夫「申請書類もバッチリ書いたし、家庭訪問でもちゃんと思いは伝えたし、心配ないさ」</p><p>夫と私は、里親として子どもを預かることを待ちわびている。どんな子と出会えるのかワクワクしている。春休みが終わり下宿先に戻った息子からも「何か進展はあった？」と度々メールが届いた。彼なりに気になっているみたいだ。</p><p>私「まぁ、考えてもしかたないか！」</p><p>早まる気持ちを抑えて私は夕食の支度に取り掛かり、いつもの生活に戻った。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e055ca8cfe2c494b0db805da4c8954df" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里子を迎え入れるまでにできること</h3><p>そして家庭訪問後2カ月半ほど経ってから「里親認定通知書」（※）を児童相談所の職員さんが届けてくれた。</p><div id="tnf-text-notes-block_f8a0e7d74cf8e0ef348ebae0103ad780" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※認定式を行い、関係者の紹介などをする児童相談所もある</div><p>職員「おめでとうございます。無事に里親として認定されましたので通知書の方をお届けに伺いました」</p><p>私「ありがとうございます！良かった～、私たち里親として認められたんですね」</p><p>夫「考えてみたら、里親になろうって決めてから半年くらいかかったね。長かったような、短かったような…」</p><p>それから職員さんは、子どもが委託されたときに必要となる手続きなどが載った冊子を私に手渡し、今後は子どもの紹介をする電話があることや、里親になった後に受講しなければならない研修もあることなどを説明して帰って行った。</p><p>私「そうだ！あの子にも報告しなきゃ」</p><p>私はすぐに息子に電話した。里親になりたいという私たちの思いに文句を言わず応じてくれた息子に一番に報告し、ありがとうの言葉を伝えたかった。</p><p>私「今日ね、やっと里親認定通知書が届いたの」</p><p>息子「ほんと！良かったじゃん。これで里親になったんだね」</p><p>私「そうね。ただ、この後子どもを紹介されても何度か面会をしたり、うちで外泊したりしながら交流を重ねる期間が必要になるのよ。その様子を見て正式に委託されるかどうかが決まるから、うちに来るのはまだまだ先ね」</p><p>息子「交流期間も必要になるのか。まぁお互いの相性も大事だもんね」</p><p>私「そうね。この期間も子どもとの関係を築く大事な期間だと考えると、楽しみが増えたわ。里親になること承諾してくれて本当にありがとうね。立派な里親になれるように頑張るわ」</p><p>息子「うん。僕も応援してるから、頑張ってね」</p><p>息子の言葉が私に勇気を与えてくれた。夫と2人で話をして、児童相談所から連絡を待つ間、里親関連のイベントや里親サロンに参加して、里子との暮らしについてもっと勉強しようということになった。調べてみると、いろんなイベントが開かれているようだ。</p><a href="https://www.zensato.or.jp/zensatokai/a_plan/taikai-schedule" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人里親会 里親大会日程（別ウィンドウで開く</a>） <a href="https://tokyo-satooyanavi.com/event" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Tokyo 里親ナビ イベント（別ウィンドウで開く</a>）<p>また、職員さんから話のあった研修にも参加した。他の里親さんと話をする機会を持つことができ、養育するための知識を得るだけじゃなく、里親同士のつながりもできた。今後さらに広げていき、苦労やよろこびを分かち合える仲間をつくりたい。そう考えると、なんだかワクワクしてきた。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_53ed9bf8690f62bdba89ddfa32323a19" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">無理をせずにゆっくり新しい家族の形を築いていく</h3><p>時が動き始めた。児童相談所の職員さんから、今は施設にいるが実の親御さんの養育環境が整うまでの間、里親への委託を検討している子どもがいるという連絡を受け、夫と2人で考えて申し込んだのが2週間前のこと（※）。その職員さんから正式に子どもの説明に伺いたいという電話があった。会社から帰宅した夫にそのことを伝え、さっそく児童相談所に連絡をして日程調整をした。</p><div id="tnf-text-notes-block_a236f0c7774f90154e2a26cac483e894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※複数の児童相談所から子どもの里親の候補が挙がることもある。そのため、いったん里親候補に申し込むことになり、その後、児童相談所で地理的要件や家族構成などを踏まえ、子どもにとってどの里親家庭がふさわしいか検討することになる</div><p>その1週間後、児童相談所の職員さんが家に訪れると、夫と2人で子どもの写真を見せてもらい、育った環境や状況、家族の状況について詳しい説明を受けた。「この子に会ってみたい」という気持ちが自然に湧いてきた。主人も同じ気持ちだった。後日、そのことを職員さんに伝えると、その子がいま暮らしている施設で面会することになった。</p><p>そして、ついに対面の日を迎えた。子どもが暮らす施設で、日頃からその子を担当している職員さんや里親を担当している職員さんから状況を聞いてから、本人と対面。お互いどこかぎこちなく、その子はいつも一緒にいる職員さんから離れようとしなかったが、そんな様子も愛おしく思えた。帰り際に、職員さんから言われた。</p><p>職員「このまま交流を進めていくかどうか、ご夫婦でよく話し合ってから返答をください」</p><p>しかし、すでに私たちの気持ちは預かる方向で固まっていた。そう決めたことを息子にも伝えると、「僕も早く会いたい」と声を弾ませて言った。そして翌日、児童相談所に交流を続ける旨を伝えた。「ぜひ、子どもと交流を続けさせてください」と。</p><p>面会後正式に委託されるまでは、子どもの様子を見ながら、施設での交流、外出、里親宅での外泊というステップを、全体で3～4カ月かけて行うことが多いそう。児童相談所の職員さんからは、負担にならない程度に日にちを開けずに交流してほしいと言われた。里親候補の中には頑張りすぎて体調を崩してしまう人もいるらしい。</p><p>職員「中にはなかなか打ち解けてくれない子もいますが、あまり焦らないでください。子どもによっては、自分の感情をうまく表現できない子もいますから」</p><p>私「ありがとうございます。初めてなのでいろいろ分からないこともあるかと思いますが、よろしくお願いします」</p><p>ようやく里親としての一歩を踏み出せたような気がした。</p><p>里親になることにはじめは少し不安だったけど、今はたくさんの勉強や体験を通じて、子どもの専門家や里親経験者でつなぐ地域のネットワークがあるということも知った。きっと子どもを預かるようになったら、試行錯誤する日々が始まるのだろうけど、他に頼れる場所があるのは心強い。</p><p>この半年間の里親として登録するための時間を通じて、自分たちだけで子どもを育てるのではないことを知り、里親制度の意味を考え、里親としての自覚を養うことができたと思う。里親になることで、より多くの子どもたちを笑顔にしたい、血のつながりがなくてもいつでも帰ってこられる場所になってあげたいと思う。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/33241314_M.jpg">里親と里子（イメージ）<div id="tnf-text-notes-block_2f2052683e36408e8a1b7a41e3270889" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※※この記事は2020年4月9日に公開した記事を再編集しています里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】家庭訪問を受ける（特集第7回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42902</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:36:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>児童相談所や里親支援機関の職員が、家庭訪問を行う </li><li>家庭訪問は、一緒に暮らす家族全員が集まることができる日に行う </li><li>申請書類に基づく職員による聞き取りでは、里親の要件を満たしているか確認が行われる</li></ul><p></p><p>※この記事は2020年4月15日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第7回のテーマは、「家庭訪問」について。里親認定前研修の受講後、里親認定登録のための申請書類を児童相談所に送付した数週間後に児童相談所や里親支援機関（※）などの職員による家庭訪問が実施される。子どもが安心して暮らしていける家庭環境かどうか、家族全員への聞き取りを通して里親を希望する家庭が要件を満たしているか確認するための調査が行われる。</p><div id="tnf-text-notes-block_5802afee6f19328def67f676d0ee015a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※民間団体が持つノウハウを生かして里親への子どもの委託を進めるため、東京都が委託している社会福祉法人等</div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_0b3944ea4839be998775441142ef1e1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ5. 家庭訪問</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_1ffdb3a6df1eed8c9fe593d6fb74efc3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">夫婦の持つ家庭観も、里親認定の判断材料</h3><p>今日は児童相談所の職員さんなどによる家庭訪問の日。下宿中の息子が帰省する高校の春休み期間を利用して行われることになった。</p><p>この家庭訪問は、里子を委託する上で、子どもを適切に養育していくことができる環境かどうかについて、私たち夫婦の生育歴、里親を希望する理由、仕事や家庭生活の状況、さらに同居する息子の意思も踏まえ確認するのが目的だそう。</p><p>また、児童相談所の職員さんは家に訪れる道すがら、周辺環境を見て、幼稚園や学校、病院といった公共施設、公園などの遊び場、車の交通量など、暮らしやすい環境かどうかも把握するそうだ。</p><p>私「掃除もしたしお茶の用意もできたし、一応家庭訪問の準備は整ったわね」</p><p>夫「児童相談所の人たち、今どの辺にいるんだろうな」</p><p>私「家が分かりづらい場所にあるから、少し迷われるかもしれないわね」</p><p>そんな会話をしていると玄関のチャイムが鳴った。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/14-58-33.jpg"><p>職員「本日は、どうぞよろしくお願い致します。調査は、だいたい2〜3時間程かかるかと思いますが、ご都合大丈夫でしょうか？」</p><p>夫「はい、問題ありません」</p><p>家に訪れたのは、児童相談所の職員さん、東京都の里親担当の方、東京都から委託されている里親支援機関の方の3名。調査といっても、雑談も交えながら和気あいあいとした雰囲気の中で進められた。</p><p>職員「里親認定前研修を受けられていかがでしたか？実際に児童養護施設の子どもたちとも交流いただいたかと思いますが」</p><p>夫「はい、座学では子どもたちの現状や、養育に関する知識を学べ、とても勉強になりました」</p><p>私「施設の子どもたちも、想像していた以上に温かい環境で育てられていて、なんだかほっこりしました。子どもたちもとても素直な子ばかりで」</p><p>職員「そう言っていただけると、私たちとしてもうれしいです。ではさっそくですが、家庭訪問で確認するポイントは、大きく分けて3つあります。1つ目は里親さんが育った背景や里親さんの生活環境について、2つ目は里子さんが育つ住環境について、3つ目は里親さんや一緒に暮らすご家族の意思の確認になります」</p><p>私たち「はい、よろしくお願いします」</p><p>職員「まずはじめに、お2人のご実家はどちらになりますか？子どもの頃のお話なども伺えると助かります」</p><p>私「私は東京生まれで実家も都内にあります。両親は健在で兄弟はいませんでした。実家の周りには畑や公園があって、子どもの頃はよく近所に住む友達と外で遊んでいましたね。親は共働きでしたが、ごはんは一緒に食べて、よく一緒に遊んでくれて、何不自由なく育ててくれました。家族旅行も年に一回は出かけたかな」</p><p>夫「私は大阪の出身です。両親と兄と妹の三人兄妹です。うちも共働きでしたが、兄がよく面倒を見てくれ、兄妹仲も良かったので、家庭は比較的円満だった方だと思います」 </p><p>それから私たちは小学校から大学、就職に至るまでいろんな話を職員さんにした。 </p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/14-50-30.jpg">里親担当職員らと話をする夫婦（イメージ）<p>職員「お2人ともご家族に恵まれたのですね。差し支えなければ、ご夫婦の出会いや結婚されてからこれまでのお話などもお聞かせいただけますか」</p><p>それからは、私たち夫婦が大学のサークルで出会い、交際5年目で結婚したこと、私が25歳の時に息子が生まれ、それを機にマイホームを購入し、今の家で暮らし始めたこと。その他それぞれの仕事と勤務時間、趣味やそれぞれが配偶者に対しどのような人物像を抱いているかなども聞かれ、答えた。</p><p>後で職員さんに質問の意図を尋ねると、里親の背景や家庭観を知るという目的の他にも、夫婦同士のやりとりなども観察し、里親として子どもを任せられるかどうかを確認しているらしい。</p><p>そして、先に送付していた<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42799" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「里親認定登録申請書」（別ウィンドウで開く）</a> の内容に沿って、里親としての意思の確認や、里子をどのように育てていきたいか、受託可能な子どもの年齢や性別などについてのヒアリングが行われ、最後に自分の部屋にいた息子にも途中から加わってもらった。</p><p>職員「今回、ご両親は一時的に子どもを預かり育てる養育里親になることをご希望されています。息子さんはこのことについてどう思われていますか？」</p><p>息子「はい、父や母からもちゃんと理由は聞きましたし、自分でも里親制度について調べたんで一応は理解しているつもりです。子どもたちの役に立つのなら、父と母を応援したいと思っています」</p><p>職員「ご自身でも調べていただいたんですね。ありがとうございます。ちなみに息子さんは、里子さんの年齢や性別など何か希望はおありですか？」</p><p>息子「…少し兄妹にも憧れていたので、やっぱり小さい子がいいかな。性別は、僕の部屋を使うなら男の子の方が気を遣わなくていいかもしれません。僕が昔使ってたサッカーボールとかもあるし。でも、基本的にどちらでもいいと思ってます」</p><p>職員「そうなんですね。分かりました」</p><p>それから少しだけ職員さんと雑談を交わし、息子は自分の部屋へ戻った。特に動揺する様子も見せなかったので、ちょっとほっとした。</p><p>職員「理解のあるいい息子さんですね。里子さんを預かっていただくこちらとしても安心しました。ところで、山田さんご夫妻は、まずは短期委託を希望されていますが、レスパイトや一時保護の受け入れも可能でしょうか？」</p><p>家庭で虐待が行われている可能性があるなど、子どもの安全を迅速に確保するための「一時保護」の受け入れ先に里親もなることがあるらしい。一時保護される子どもは増えているらしく、通常の子どもの委託と違い、交流などを踏まえず、急に受け入れをお願いされることになるそう。もちろん、その時々の里親の家庭の状況で断ることもできる。</p><p>また、子どもを育てている他の里親家庭から、その里親家庭が一時的に子どもを育てることができないときに、「レスパイト」といって一時的に子どもを預かる制度があるということも職員さんから説明があった。</p><p>私「その時の家族の状況に応じてではあるのですが、前向きに検討したいと思います」</p><p>職員さんからの質問を通して、私たちがお互いに普段考えていることやそれぞれの価値観、息子の考えなど改めて知ることができた。また里親家庭に来る子どもの背景や事情、里親の制度についてもさらに知識を深めることができたことは良かったと思う。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_82565e150fd1bf2bc030ae6c7f91b805" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親担当の職員と共に考える里子が過ごしやすい環境</h3><p>職員さんとの話の後は、家の中を一通り案内した。「すっきりして明るいお宅ですね」と褒められ、私も夫も掃除した甲斐があったねと笑みを交わした。</p><p>職員「ベランダの柵も比較的高めで問題なさそうですね。物が多少置かれていますが、小さな里子さんを預かる場合には危険ですので、整理をお願いすることになるかと思います。里子さんを委託する際には改めて施設の職員などが訪問し、注意する点などお伝えさせていただきますので、よろしくお願いいたします」</p><p>私「分かりました。こちらこそよろしくお願いします」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/14-23-43-1-1024x682.jpg"><p>職員「周りも比較的緑が多めですし、落ち着いた環境なので子どもを育てやすそうですね。スーパーなども近いですか？」</p><p>私「はい、近くに2軒あります」</p><p>そんな他愛もない話もしながら家の中の確認は10分程度で終わった。養育環境面での指導は、実際に里子を委託される際に行われるそうで、改めてしっかり臨みたい。</p>［家庭訪問調査のときのポイント！］ 家庭訪問は、緊張しすぎず、質問には素直に答えれば良い子どもの受け入れに関する不明点や懸念点があれば、包み隠さず質問する <p>家庭訪問は2時間半ほどで終了し、里親担当の職員さんたちは帰って行った。緊張していたけれど、終わってみればあっという間だった。里親登録も、あとは児童福祉審議会里親認定部会による審議の結果を待つのみ。夫と一緒に自分たちができることは全てやり切り、ちょっとした充実感が得られた。無事に里親に認定されますようにと心から願った。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_f5171ef87513eddb4b811165f3cf63f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親登録の申請書類を作成・提出する（特集第6回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42799</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:35:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親認定前研修を通して学んだこと、感じたことを夫婦で共有し合う </li><li>申請書は「里親になりたい理由」「里子の育て方」「養育環境」を夫婦各々の言葉で記入する </li><li>里親申請には家族や親族の同意が必要。事前にしっかり説明し、理解を得ることが大切</li></ul><p></p><p>※この記事は2020年4月9日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第6回のテーマは、「里親登録の申請」について。里親認定前研修を受講し、里親になる意思が固まったら管轄の児童相談所に申請書類を提出する。その際「里親認定登録申請書」には、子どもの養育環境や里親の経済事情、そして希望者（夫婦の場合は双方）の考えを明確に記入する必要がある。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_0863ef2afa8b1328de87373dec3c2c0a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ4. 里親登録申請書類の作成・提出</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_29c664c1747f3649a6d2c262242f89c7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">夫婦で話し合いながら作成する申請書</h3><p>4日間に及ぶ里親認定前研修（※）を終えた次の週末。私と夫は、里親認定登録申請書を目の前にして、向かい合った。申請書は4枚で構成されていて、2枚目に家庭状況や住居、経済状況といった基本情報を記入し、3枚目、4枚目に私と夫のそれぞれの言葉で記入する欄がある。主に問われるのは以下の3点。</p> 里親になりたい理由（里父と里母それぞれ自身の言葉で記入※以下同様）里子に対する関わり方、育て方養育環境をどのように整えていくか <p>その他、家族（実子）や親族の考え、過去の子育て経験について、希望する里子の年齢や性別などについて記入する項目がある。</p><div id="tnf-text-notes-block_4405be8da1336a8ddc94c58ff177a530" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※東京都の場合。研修内容・日程は自治体によって異なる</div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42449" target="_blank" rel="noreferrer noopener">座学（別ウィンドウで開く）</a>で学んだことや児童養護施設での<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42712" target="_blank" rel="noreferrer noopener">実習（別ウィンドウで開く）</a>体験を振り返りながら、大切なお子さんを預かる立場になれるのか、どんな風に子どもを育てていきたいのか2人で話をした。</p><p>私「里親については事前に勉強していったつもりだったけど、実際に研修に参加して、初めて知ることがたくさんあったなと思う。例えば、赤ちゃん返りの話とか。実の子ども以上に、子どもと向き合う必要があるんだなって改めて思ったわ」</p><p>夫「そうだな。僕も子どもの試し行動があることや赤ちゃん返りの話は衝撃を受けたし、改めて子育ては簡単じゃないなって思ったよ。ところで、施設実習はどうだった？ 」</p><p>私「私が行った施設は、幼い子から高校生ぐらいの子までいて6名ぐらいの小さな施設だったわ。みんな明るくて素直だった。私にコーヒーを淹れてくれた子もいてね、本当に可愛かったな。でも、職員さんはみんな平等に面倒をみなきゃいけないし、子どもたちが甘えたくても十分に甘えられないところを見ていると、少し可愛そうな気持ちにもなったんだよね。里親になったら、そんな子どもたちの思いにも応えてあげられるのかなって」</p><p>夫「そうだね。みんないい子たちだっただけに、職員さんから子どもたちが育った背景や家族の話を聞いたら、なんだかやるせない気持ちになってしまった。子どもにも自分が生活をする環境を選ぶ権利があるんじゃないかって思ったよ。施設がいいって子もいるかもしれないけど、里親と一緒に暮らしたいって願う子もいるかもしれないからね」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/nouhin_0201zaidan_11-37-08.jpg"><p>私「あと、食事の時間はとても大事なんだって改めて思った。子どもたちと一緒に準備して、一緒にごはんを食べることで仲良くなれたし。職員さんがね、子どもたちと話をしながら、みんなのお箸の持ち方や好き嫌いをしていないかちゃんと見てるの。苦手な物を食べられたら褒めてあげることも忘れないしね」</p><p>夫「そうなんだ。こっちの施設では男性職員も料理をしていて、おいしかったよ！僕も得意料理を作れるようになりたいなって思った。子どもを迎えたら、毎日ごはんを一緒に食べられるといいよな」</p><p>私「そのためにも仕事と家庭のやりくり、ちゃんと考えないとね」</p><p>養育方針、生活スケジュール、お互いの役割など、夫との話は尽きず、結局その日は申請書を埋め切ることができなかった。家庭の在り方や、それをどのように実現していくか。研修を通して、改めて一緒に考え話し合うことの大切さに気付かされた。そうすることで、家族としての考え方が固まってくるし、里親としてのスタンスも定まるのだ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_af365cecb25eb0796053117270bd3b94" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">家族・親族と理解を深め合うことの大切さ</h3><p>里親になるには、自分たちだけでなく実子や親族に理解してもらい、後々家族トラブルにならないよう合意を得る必要がある。予定よりも遅くなってしまったけど、夫と私の両親、そして離れて暮らす息子に、里親になりたいと思っていることを報告することにした。</p><p>私の両親は「ひとさまの子を預かるなんて」と心配したが、里子になる子どもたちの事情や里親制度について分かるように説明し研修にも参加したことを伝えると、最終的には「最後までしっかり育てなさい」と理解を示してくれた。夫の両親も同様だ。心配なのは今年高校生になったばかりの息子のこと。ちゃんと受け入れてくれるだろうか…。私は息子の携帯に電話した。</p><p>私「久しぶり、元気にしてる？」</p><p>息子「うん。こっちの生活にもだいぶ慣れたてきたよ。友達もできたしね」</p><p>私「なんだか楽しそうで良かったわ。…ちょっとね、相談があって電話したの。実は、お父さんと2人で里親になろうかって話をしていてね」</p><p>息子「え！里親って、他の人の子どもの親になるやつ？」</p><p>私「うん。いま子どもの虐待のニュースとか多いでしょ。で、ちょっと調べてみるといろんな事情で本当の親と暮らせない子どもがたくさんいるの。確か、全国で4万 2,000人ぐらいだったかな。それでね、あなたも大きくなったことだし、社会貢献の意味でもそんな子どもたちに何かしてあげられることはないかなって、お父さんと考えるようになったのよ」</p><p>それから私は、今回なりたいのは養子縁組を前提とする里親ではなく一定期間子どもを迎え入れて育てる親権のない養育里親であること、児童相談所で<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42318" target="_blank" rel="noreferrer noopener">面談（別ウィンドウで開く）</a>したこと、里親になる研修を受けて実際に施設の子どもたちとも会って一緒に過ごしたことを、時間をかけて息子に説明した。</p><p>息子「ふーん…そっか。だけど僕も一度、里親について調べてみてもいい？」</p><p>私「もちろんよ。あなたの気持ちが大切だから、ゆっくりでいいから考えてみてくれる？」</p><p>息子「うん。じゃあまた連絡するね」</p><p>少し息子の声が沈んだように思えたのは気のせいだろうか。電話よりも直接顔を合わせて話をした方が良かったかもしれないと悔やまれた。そのことを会社から帰った夫に話すと「仕方ないよな。まだ高校生になったばかりだし、理解してもらうのは難しいかもしれないな」と、私たちは焦らず息子からの連絡を待つことにした。すると、1週間後、思っていたよりも早く息子から電話があった。</p><p>息子「あれから里親制度のこと、自分なりに調べてみたんだ。いろいろ大変そうだけど、お父さんとお母さんが里親になりたいんなら、僕も応援してみようかな」</p><p>私「え？ほんとに？」</p><p>息子「うん。正直不安はあるけど、弟や妹みたいな子ができるのも、悪くないかなって」</p><p>私「ありがとう、本当にうれしいわ。きっとお父さんも喜ぶと思う」</p><p>息子「うん。で、いつからうちに来るの？」</p><p>私「実はまだ里親に申し込む前なの。ちゃんとあなたに承諾してもらってからと思って」</p><p>息子「そっか。何か僕がしなきゃいけないことってある？」</p><p>私「児童相談所の人たちがうちに来て話をする『家庭訪問』があるの。いつもは離れて暮らしているけれど、あなたも長い休みの間とかは一緒に過ごすことになるし、できれば同席してもらった方がいいと児童相談所からは言われているの」</p><p>息子「分かった。じゃまた家庭訪問の日が決まったら教えてよ」</p><p>私「ありがとう、助かるわ。じゃあ、また連絡するわね」</p><p>そうして息子との電話を終えた。少しクールなところもあるが、理解のある素直な子どもに育ってくれたことを感謝しないと。息子の返答次第では里親になるのを諦めることも考えなければと思っていたけど、これで晴れて、里親に申し込むことができる。夫としっかり話をして、申請書の残りの部分を埋めなければ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cac62c680ae83c95b995a2f65a6a2ba7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親になる覚悟を明確化する申請書</h3><p>「里親になりたい理由」「里子との関わり方・育て方」「養育環境をどのように整えていくか」。夫が自分の記入する箇所を書き終えた里親認定登録申請書が、今手元にある。残すは私の箇所だけだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/13-53-43.jpg">申請書には家庭状況や住居、経済状況なども細かに記入する<p>里親になりたい理由は、はじめの頃と変わらない。生みの親と暮らせない子どもたちに「安心できる温かい居場所」をつくってあげたいから。座学で子どもたちの現状を知り、施設で実際に触れ合ったことで、その思いはより一層強くなった。</p><p>里子の関わり方・育て方。一人一人と向き合い「その子らしさ」を伸ばす手助けをしたいと思っている。一緒に遊んだり、本を読んだり、時には旅行に出かけたり、いろんなことを経験させてあげたい。子どもが興味あることはできるだけチャレンジさせて、自分の好きなこと、得意なことを見つけてあげたいと考えている。</p><p>養育環境をどのように整えていくか。最近は里親でも共働きの家庭もあると、児童相談所では聞いた。ただ、私は、今は子どもとの時間を最優先したいと考えている。そのためにパートを辞めてもいいように、自宅で仕事できる資格を取ろうとも考えていた。子どもの年齢や性格をみて、児童相談所の人と相談しながら生活を変えていこうと思っている。</p><p>私「よし、記入漏れもなし」</p><p>完成した里親認定登録申請書と一緒に、里親認定前研修の受講レポートや研修の修了証などの必要書類（※）を封筒に入れて、私は近所の郵便局へと向かった。</p><div id="tnf-text-notes-block_15480778a6f582571f2c1844ae15d4b8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※東京都の場合は、申請者の自宅の面積や間取りが確認できる書類、住民票の写し（原本）、申請者や同居する人の収入が確認できる書類及び里親の欠格事由に当たらないこと等を確認する宣誓書の提出が必要となる。必要書類は自治体によって異なる</div><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_2628b9a931e6dc688e5f4095129b1e61" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">*里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています*里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親認定前研修（実習編）に参加する（特集第5回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42712</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:34:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>実習では、子どもたちと一緒に過ごすことで児童養護施設や子どもたちの実情について学ぶ</li><li>実習は2日間（※）行われ、希望者がそろって受講する必要がある</li><li>受講後、希望者それぞれで感じた思いを共有し、養育に対する理解を深め合うことが重要</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_1f3f24ee1a954a7c2d5437328bff771f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※東京都の場合。研修内容・日程は自治体によって異なる</div><p></p><p>※この記事は2020年4月3日に公開した記事を再編集しています※取材した里親認定前研修は2020年1月初旬に実施されたものになります</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第5回目のテーマは、里親認定前研修の座学から日を開けて2日間（※1）にわたって実施される「児童養護施設（※）での実習」について。里親制度や子どもの養育に関する知識や理解を深める<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42449" target="_blank" rel="noreferrer noopener">座学（別ウィンドウで開く）</a>を受講した後日、子どもたちが施設でどのように暮らしているのかを体験。養育方針や、職員の思いについても触れることができる貴重な機会でもある。</p><div id="tnf-text-notes-block_9bd41988a83ff6c22aaeaed9331e5314" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※乳児院において実習をする場合もある</div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_f3cc1f9b3decd9dad50fa0ca03fadff2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ3-2. 里親認定前研修（実習）</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_8a8a5dd06e80da7d49de767710d60681" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">家庭的な環境で養育することの大切さ</h3><p>私たちが受講した施設実習は、大きく2つの工程に分かれていた。まず、職員さんに施設内を案内してもらいながら養育や児童養護施設の役割について学ぶ。その後、施設で暮らす子どもたちと生活を共にする体験を通じて、子どもたちの暮らしについて学ぶ。</p>［実習研修のスケジュール］（※）<p>1日目</p>14:00〜15:30　施設見学（オリエンテーション）児童養護施設の養育と役割、子どもの支援、地域との連携について知る。16:00〜20:30　施設実習子どもたちの生活や関わりを通して施設の実状を知る。20:30〜21:00　職員との振返り 施設の職員と実習を振返り、質問があれば確認。 21:00〜22:00　記録作成事前に手渡された実習記録を作成する。<p>2日目</p>14:00〜20:30　施設実習実習を通して子どものことや施設の機能を知る。20:30〜21:00　職員との振返り施設の職員と実習を振返り、質問、質疑があれば確認。21:00〜22:00　記録作成事前に支給された実習記録を作成する。 <div id="tnf-text-notes-block_6060f88005abe0645f1e24aaba6fd025" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※実施内容は、実習を行う施設や入所する子どもの状況により異なる</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>私たちが訪れた施設は閑静な住宅街の一角にあった。周りは緑が多く、高い建物も少ない。座学研修の時は、他にもたくさんの夫婦と一緒だったが、今回参加するのは私たち2人だけで、施設実習は、夫婦一組ずつの体験となる。</p><p>施設に到着すると職員さんが出迎えてくれた。窓からは暖かい太陽の光が差し込み、廊下には子どもたちが描いた絵や記念写真が飾られていた。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/DSC08594-1024x682.jpeg"></div></div><p>オリエンテーションでは、職員さんが施設や養育方針について詳しい話を聞かせてくれた。</p><p>職員「今日はようこそお越しくださいました。この施設には幼児から高校生まで、約60人の子どもたちが暮らしています。さらに、保育園や地域の親子が交流する『おでかけひろば』なども併設されており、地域に開かれた施設になっています。まずは子どもたちがどのような生活を送っているかお話してから、館内をご案内しますね」</p><p>夫婦「よろしくお願いします」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/DSC08565.jpg">児童養護施設でオリエンテーションを受ける夫婦（イメージ）<p>職員「私たちは、この施設での生活を通して、子どもたちの人間性や社会性を養います。まず、朝7時頃に起きた子どもたちは、5分から10分ほど、身の回りの掃除を行います。小さな子もカーテンを開けるなどちゃんとお手伝いをします。その後、みんなで一緒に朝ごはんを食べてから学校へ。事情があって学校へ行かない子は、職員と一緒に施設で勉強をします」</p><p>私「小さい子まで、みんな偉いですね」</p><p>職員「ここに来る子どもの中には基本的な生活習慣が身に付いていない子もいるんです。生活のリズムをつくって、生活習慣を整えることは、将来自立する力を養う意味でも大切なことなんです」</p><p>私「そうなんですね、私よりしっかりしているかも。土曜なんかは、おうちでごろごろしたりしてしまいますから。自由時間もあるんですか？」</p><p>職員「もちろん、子どもたちは学校から帰ったらおやつを食べて、自由時間を過ごします。施設の中で過ごす子もいれば、外に出て学校の友達と遊んで過ごす子もいます」</p><p>実際に、この時も外で遊んでいる子どもがたくさんいて、オリエンテーション中も元気な声が窓の外から聞こえてきた。</p><p>夫「やっぱりたくさん遊びたいだろうな」</p><p>職員「それから、小さな子どもは夕食前後、中高生は夕食後にお風呂に入ります。夜ごはんもできるだけみんなで一緒に食べて、配膳や片付けも子どもたちに手伝ってもらいます。その後は、思い思いの時間を過ごし、小さな子どもは20時頃、中高生は23時半頃に布団の中へ入るというのが、だいたいの1日のスケジュールになります」</p><p>私「夕食後は、みんなどのように過ごしているんですか？」</p><p>職員「テレビを観たり、高校生になるとパソコンやスマートフォンで動画を楽しむ子も多いですね」</p><p>私「スマホを持っている子もいるんだ。みんな好きなものは同じなんですね」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/satooya-1-1024x682.jpg"><p>職員「あと児童養護施設で近年特に重要視しているのは、食事作りです。こちらの施設では、献立を作るところから食材の購入、調理に至るまでホーム（※）ごとに職員が行っており、家庭に近い環境の中で子どもを養育することを大切にしています。栄養士さんの意見や子どもたちの要望を取り入れ、栄養のバランスを気にしながら食事を作っています」</p><div id="tnf-text-notes-block_f4b83a360df46f39f320f8fa7a64ab5b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※概ね6人から8人単位で子どもたちは養育されており、そのグループの単位をここでは「ホーム」と呼ぶ。それぞれのホームに複数の担当職員が配置されている</div><p>私「毎日ですか？子どもたちの世話をしながら手作りだなんて、職員の方は大変ですね」</p><p>職員「大変なところもありますが、そうすることで食事の時間を楽しみにする子が増えたり、『ピーマンってこんな形だったんだ！』と初めて知る子もいたり。普通のご家庭と同じように食事を楽しむのはとても意味のあることだと私たちは思っています」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/596f333cbd0bd093b4813035ee0bbf11.png">誕生日会なども家庭らしく、栄養バランスも考えた料理やケーキが用意される<p>私「確かに、そうですね。子どもたちの目の前で調理するのって、大切なことですよね」</p><p>職員「はい。そしてもう一つ大切にしているのが、性教育や他人との適切な距離の取り方などを教える場を月に1回設けていること。これは対人関係を築く上でとても大事な教育です。人との距離感を適切に取れないと問題になる場合もありますから」</p><p>夫「性教育ですか、それは教えるのが大変そうだな。確かに同じ施設で一緒にいるとなると、いろいろ気を遣う部分もでてきますよね」</p><p>私「洗濯物とかも気になるわよね」</p><p>職員「そうなんです。施設の子どもの中には、さまざまな事情により極端に人との距離が近い子がいたりするので、そういったことを教えるようにしています。人と人との関係性や社会性を養う意味でも、年間を通じてイベントなどを行い、子どもたちが地域の人や近隣の大学生と交流できる場を設け、自然とコミュニケーション力を養う取り組みにも力を入れています」</p><p>そういえば、私が子どもの頃は、近所のおじさんやおばさんに遊んでもらったり、怒られたりすることもあったが、今の子どもたちは家族や学校の先生以外の大人と接する機会が少なくなっているような気がする。話を聞いて、子どもを育てる上で人と関わるという大事な視点に気付かされた。</p><p>それにしても、職員さんの養育に対する真摯な姿勢には頭が下がる。できるだけ家庭的な環境で、先々のこともしっかり考えながら育てようという、子どもたちへの想いがひしひしと伝わってきた。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>オリエンテーションの後、施設内を案内してもらい、子どもたちが心理カウンセラーと話をする部屋や、もやもやした気持ちを抱えた時に一人で過ごすことのできる部屋、独り立ちを迎える子どもが一人暮らしを擬似体験できる部屋などがあることを知り驚いた。子どもたちの心を支えるために、いろんな工夫がされているのだと感心させられた。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/satooya-2.jpeg"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_57f54ce1783a11bfd3ea99217b70512e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">注意しなければいけない子どもとの距離感</h3><p>施設見学が終わったら、子どもたちと一緒に過ごす時間。小グループでの生活空間に入らせてもらうため、ここからは夫とは別行動となり、それぞれが一人で実習を受ける。</p><p>今回、私たちが実習を体験したのは、地域の中にある一軒家で子どもたちが暮らす「グループホーム」と呼ばれるところだ。グループホームに移動すると、まず職員さんが子どもたちへの接し方について説明してくれた。</p><p>職員「ここには、小さい子から高校生まで、6人の子どもたちが暮らしています。特に気負わず、子どもたちと交流していただきたいのですが、一点だけ気を付けてほしいのが距離の取り方です。子どもたちの中には、大人との触れ合いに飢えている子どもも少なくありません。見知らぬ大人についていかないようにするためにも、実習を受ける方にもベタベタしないように心掛けていただき、子どもたちに初対面の大人との適切な距離の取り方を身に付けてもらうようにしています」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/nouhin_0201zaidan_11-22-21.jpg">職員に子どもの接し方について説明を受ける様子（イメージ）<p>誰かに思いっきり甘えたい気持ちになることもあるだろうな…。と少し切ない気持ちにもなった。</p><p>いよいよ子どもたちと対面。実習はあくまで普段の生活にお邪魔する形で行われる。すでに家にいた子どもたちは「こんにちは！」と元気な挨拶で迎えてくれた。中には、「僕、コーヒーを作るのうまいんだ」と言って、コーヒーを入れてくれる小さな子も。「砂糖とミルクはどうしようか？」と一人前に気遣ってくれるところも愛らしい。</p><p>コーヒーをいただき、夕食まで小さい子どもたちと一緒に遊ぶ。他の子は、テレビを見たり、職員さんと話をしたりして時間を過ごしている。</p><p>はじめは緊張していた私も、子どもたちの無邪気な姿に癒され、知らないうちに馴染んでいた。自分が作ったレゴやマンガをうれしそうに見せてくれる、そんな子どもたちのことをもっと知りたいという気持ちが、自然と沸き起こってくる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_42c8bd2255134dbf612cbecad43217c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">家庭における「食事」の大切さ</h3><p>施設実習では、子どもたちと夕食も共にする。時間になると職員さんが声掛けをして、子どもたちもお手伝い。私も一緒に配膳や盛り付けをした。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>並べられた食事を見て、その質の高さに驚いた。子どもたちの世話をしながらバランスの取れた食事を毎日用意する職員さんに、尊敬の念を覚えた。冷蔵庫には1カ月分の献立表が張ってあり、各施設が予算内に収まるように、職員さんと栄養士さんが話し合って献立を考えるそう。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/satooya-3-1024x682.jpg"></div></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/CIMG2558-scaled.jpeg">この日の夕食のメインは親子丼。他にもサラダや惣菜、お味噌汁など栄養バランスを考えて作られている<p>食べている間も、職員さんは子どもたちの様子をよく見ている。お箸の持ち方や三角食べ、好き嫌いをしないように注意し、時には「最近たまねぎが食べられるようになったね！」と褒めることも忘れない。後で、聞いてみると、食事の時間は子どもたちとしっかり向き合える重要な時間なのだとか。</p><p>夕食後は、就寝まで自由時間となる。お風呂に入る子どももいれば、洗濯物を畳む子どもの姿も。それぞれがゆっくりと寝るための準備を始めた。その合間を縫って職員さんが子どもたちに声を掛ける。毎日一人ずつ20分ほど「話を聞く」時間を設けているらしい。誰に気を遣うこともなく職員さんに甘えられる、きっと子どもたちにとって大切な時間なんだと思った。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/04/11-34-13.jpg">施設実習におけるポイント！施設での子どもたちの生活や施設で大切にしていることについてしっかり学ぶ一緒に遊び、食事を共にする中で子どもたちのことを知り、関わり方を学ぶ実習後に自分が感じたことを希望者で共有するようにする <p>実習を受ける前は、「施設での生活は窮屈なもの」という先入観があった。しかし、実際に体験してみると、職員さんは子どもたちのことを第一に考え、子どもたちは規則正しい生活を送りながらも伸び伸びと暮らしていた。と同時に、複数の子どもを分け隔てなく育てる必要があるため、子どもたちが無条件に甘えることが難しい環境であるということも感じた。</p><p>夫は、施設を見学してどんな思いを抱いたのだろう。早く家に帰って話を聞いてみたいと思った。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_1b948c104675ce81fb6bbaf1c9370d52" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">*里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています*里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親認定前研修（座学編）を受講する（特集第4回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42449</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:33:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親認定前研修は全4日間（※）行われ、座学と実習を2日間ずつ受講する </li><li>研修は、希望者がそろって受講する必要がある</li><li>座学では里親制度の社会的背景と共に、子どもを預かり育てるために必要な知識を学ぶ </li></ul><div id="tnf-text-notes-block_518e3de780a49d6996ed35593cf596cd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※東京都の場合。研修内容・日程は自治体によって異なる</div><p></p><p>※この記事は2020年3月30日に公開した記事を再編集しています　※取材した里親認定前研修は2019年12月に実施されたものになります</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第4回のテーマは「里親認定前研修の座学」について。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42318" target="_blank" rel="noreferrer noopener">児童相談所職員との面談（別ウィンドウで開く）</a>後、里親認定前研修を受けることになる。研修の日程は全4日間。前半の2日間は、里親制度や小児医学、臨床心理学などを体系的に学ぶ。日を開けて行われる後半の2日間では、実際に乳児院や児童養護施設で子どもたちと触れ合う実習を受ける。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_9f7098b05b8498ba40fbe1d63d114cc6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ 3-1. 里親認定前研修（座学）</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_5c8c4aaeed4756508bd87eb401e2cb95" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親認定前研修を通じて理解を深める</h3><p>里親認定前研修は、夫婦揃って受ける必要がある。私たちが研修会場に到着すると、すでに20組ほどの夫婦がいて、その中に外国人もいたのには少し驚いた。</p><p>夫「俺たち以外にも里親になりたい人って結構いるもんだな」 </p><p>私「そうね、人が多くてびっくりしたわ。外国人のご夫婦もいるのね」 </p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>外国人にとって里親や養子縁組をすることは、比較的身近なことのようだ。「自分たちも頑張らないと」と、そう夫と話しながら受付を済ますと、社会的養護や子どもの身体と心、児童福祉論などについて網羅された「里親認定前研修テキスト」を手渡された。全部で140ページぐらいある冊子だ。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08396-1024x682.jpg"></div></div><div class="wp-block-spacer"></div>［座学研修のスケジュール］（※）<p>１日目</p>10:00〜11:00　社会的養護と制度説明 親元で暮らすことのできない子どもの公的な養育（社会的養護）や、里親制度の基礎、里親養育の基本について学ぶ。 11:00〜12:00 養護原理 保護を要する子どもの理解（児童虐待の現状）や、子どもの権利擁護と事故防止などについて学ぶ。 13:00〜14:10　小児医学 子どもの身体（乳幼児健診、予防接種、歯科、栄養、事故防止への配慮）について学ぶ。 14:20〜15:30　発達臨床心理学 子どもの心（子どもの発達と委託後の適応）について学ぶ。 <p>2日目</p>10:00〜11:00　児童福祉論 子どもと児童虐待を含め子育てを取り巻く状況や、子どもの福祉、児童相談所など里親に関する関係機関との連携や地域における子育て支援サービスについて学ぶ。 11:00〜12:00　里親養育援助技術子どもとのアタッチメントを伸ばすパーマネンシーと子どもがどこからきてどこに行くかを確信するアイデンティティについて理解し、親子関係を構築する方法について学ぶ。13:00〜14:30　里親養育演習（体験談） 養育家庭の体験談（里親希望動機、里親に求められるもの、養育に関するノウハウなど）を聴く。 14:30〜15:00　研修振返り 東京都における養育家庭（里親）の現状等について知る。 15:00〜16:00　実習オリエンテーション後日実施される里親認定前研修の実習について説明がある。<div id="tnf-text-notes-block_d9ddfc26da76548fff342294aff318b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes "></div><div id="tnf-text-notes-block_58f920ceec58d8a4b38f322cdc60248f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※実施内容は、変更される可能性がある</div><div class="wp-block-spacer"></div><p>講義の第1日目は、里親制度に関する詳しい説明から始まり、里親の要件や子どもの委託に当たっての支援体制などについて説明があった。</p><p>講師「児童養護施設でも手厚い支援をしていますが、子どもにとって自分だけに愛情を注いでくれる大人がいるということは、人格形成やコミュニケーション能力の育成などに大きく貢献します。子どもたちに、温かい居場所と共に特定の大人との結び付きを与えるのが里親制度なのです」</p><p>その言葉が印象的だった。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08419.jpg">講義の様子<p>夫「親と暮らせない子どもって思っていたより多いな…」</p><p>一つ目の講義を終えた後、夫がため息をもらすように、そうつぶやいた。</p><p>私「子どもたちの力になれるように頑張らないとね」</p><p>私は、里親として「子どもたちが必要としているのは何だろう？」と考えるようになった。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08554.jpg"><h3 id="tnf-text-heading-block_c4ac3f939cce720301a6a0eca548d7ec" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">信頼できる大人と出会うこと</h3><p>講義では里親を必要とする子どもたちの背景について学びを深めることができた。</p><p>講師「東京都の児童相談所に寄せられる相談のうち、7割弱が『虐待』に関することです。そのうちの約3パーセントが保護を必要とし、そのうち里親に委託されるのは0.2パーセントでしかありません」</p><p>図表： 保護を要する児童の現状（2017年度） </p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/index1-1.png">東京都福祉保健局「平成30年版東京都児童相談所事業概要」より引用<p>児童相談所への虐待に関する相談件数は年々増えていて、2018年度には全国合わせて15万9,850件と過去最多を記録したそう。虐待は、子どもの健康や心、そしてこれからの人生に大きな影を落とす。</p><p>講師「本来守ってもらえるはずの親に守られず、自分の意思に関係なく“生きる場所”を決められる子どもは『自分なんてどうだっていい』『自分なんて幸せになれない』というネガティブな感情が生まれやすいのです。そんな子どもたちに『あなたはかけがえのない存在』であると向き合うことや、『あなたのことは私たちが守るよ』と安心できるメッセージを送れるのが里親なんです」</p><p>その言葉が私たちの心に刺さった。</p><p>夫「俺たちのもとに来る子どもには、この人と出会えて良かったと思ってもらえたらいいな」</p><p>私「安心できる、信頼できる大人と出会うことで、子どもの人生が変わることもきっとあるはずだしね」</p><h3 id="tnf-text-heading-block_6ae8bf0f7460d7503ee9fb7bfb4e3443" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親が乗り越えなければならない「壁」</h3><p>次に印象深かったのが、子どもと里親が「家族になる」までに乗り越えなければいけない「壁」について。</p><p>講師「里子と里親が家族になるまでには、多くの場合3つのステップを乗り越えることになります。まず、1つ目は『見せかけの時期』（委託後〜1週間）。ここでは、子どもたちはとても良い子に振る舞いますが、里親のことを様子見している期間になります。だんだん環境にも慣れてくると『試しの時期』(半年〜1年)に入り、子どもたちは自分を受け入れてもらえるのか、大人を困らせる『試し行動』をとることがあります。中には赤ちゃん返りといって、ハイハイをしたり、ミルクを飲みたがったりする子どももいます。それを乗り越えてようやく『親子関係が形成される時期』に入ることができるのです」</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08484.jpg"><p>「試しの期間」は里親にとって試練と言える時期ではあるけれど、それを受け入れてあげることで、ようやく子どもは「自分は愛されている」「この場所にいていいんだ」という気持ちになれると、先生は話す。</p><p>また、子どもを幼い時期から長期で養育する場合は、里親と子どもとは血縁関係がなく生みの親は他にいることや、生い立ちなどを伝えていく「真実告知」が必要になる。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>講師「真実告知は、しっかりとした決意を持って子どもに自分の生い立ちを伝えるようにしてください。試しの期間を乗り越えた安定した時期が理想ですね。一度ではなく、何度も伝えてあげることが大切です。それによって子どもの中でも、しっかりと里親との関係について認識し、特別な絆を結ぶことができるのです」</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08523-1024x682.jpg">講義のメモをとる夫（イメージ）</div></div><p>子どもを迎えた後に訪れるいくつかの「壁」。講義の内容は初めて知ること、衝撃を受けることも多く、里親についての認識が変わることも多々あった。</p><p>夫「当たり前のことだけれど、里親は親権もないし、子どもとの血縁関係もない。でも信頼できる大人であり、親のように子どもと向き合う姿勢を見せていくことはしっかり意識しないといけないね」</p><p>私「そうね、子どもにとって居心地の良い居場所づくりに少しでも貢献できたらいいわね」</p><p>休憩時間を使って、夫と改めて里親になる上で必要な話をできたように思う。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e5e9277efe87ac08d16d5b8f734e2197" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いろんな家族の形</h3><p>2日目の講義では、実際に里子を育てている里親さんたちの話を聞くことができた。これまで複数の子どもを短期で預かった経験のある里親さんと、低学年の子どもを10年間養育している里親さんが、実体験に基づく喜びや苦労を話してくれた。</p><p>里親「中学生の子どもを預かった時は、まず学校に行ってもらうことに苦労しました。高校生の子どもを預かった時は、進級が危うい状況もありました。自分が言いたいことや、したいことを素直に言えない子どももいます。性格や身に付いてしまった生活習慣はなかなか変えることは難しく、温かく見守ることしかできないのも現実としてあります」</p><p>短期で子どもを預かる里親さんは、子どもに対し「自分たちに何ができて何ができないかを見極める」ことが大切で、「何かあれば寄りどころになってくれればいい」というスタンスで接するようにしているという。</p><p>比較的年齢の低い子どもを預かりたいと考えていた私は、「里子の年齢層は幅広い」こと、それによって「学習や進路相談」といったことにも里親は関わらなければいけないことに気付かされた。</p><p>一方で、長期の里親さんの話では、「試し期間」における赤ちゃん返りの話が印象に残った。</p><p>里親「一通り赤ちゃん返りをやると、本人は納得することも多いと聞いていました。だけどうちの子はなかなか治らず、終わるのに数年かかりました。ただ、そんな行動も子どもにとっては大変な労力。うまく言葉にできず、甘えたり暴れたりするのは、仕方がないのかなと思います」</p><p>自分の子育てのことを振り返ると、あまり赤ちゃん返りの経験がない。確かに、いろいろな社会的背景を抱えているからこそ、自分を素直に表現することができない子どもがいてもおかしくはないと思った。</p><p>私「子どもとちゃんと向き合えるように、普段働いている私たちがどのように時間をつくっていけるか、しっかりと考えていかないといけないわね」</p><p>夫「子どもは生みの親が選べないのと同じように、里親も選べない。きっと里子と里親のコミュニケーションの在り方って、一つとして答えはないんだろうな」</p><p>2人の里親さんに共通して感じられたのは、大変ながらも「愛情」を持って子どもたちを育てたいという気持ち。生みの親の代わりに「里親」としての覚悟を持ちながら子どもを預かるという強い意思が伝わってきた。</p><p>次は、児童養護施設で子どもたちと一緒に過ごす施設実習。どんな子どもたちに出会えるのだろう。「早く子どもたちに会いたい」という気持ちが、里親さんたちの話を聞いて自然に湧き上がってきた。</p><div id="tnf-text-notes-block_bab47b301843f86670cdce6e4976905f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>【里親になりたいあなたへ】面談で申請要件を確認する（特集第3回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42318</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:32:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>児童相談所の面接では、里親制度や要件の説明、里親希望者への家庭環境等の確認が行われる</li><li>時間的、経済的に無理なく「普通に」子どもを育てられる環境であることが里親の条件</li><li>里親になるには、実子や祖父母など家族全員の理解を得ることが大切</li></ul><p></p><p>※この記事は2020年3月24日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れて育てる「里親制度」。この特集では、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第3回のテーマは「申請要件の確認」について。この手続きでは、児童相談所の職員による面談が行われ、里親制度や申請要件などの説明を受ける。面談は堅苦しいものではなく、ざっくばらんに話をしながら、里親に必要な要件（里親を希望する動機、家族構成、住宅環境等）について話をする場だ。里親の登録や児童を預かることに対する不安や疑問があれば、気軽に聞くこともできる。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_95fc3548728007f842b6443c84303b1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-headingaligncenter">「山田夫婦の体験記」登録ステップ2.申請要件の確認</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_992e8b56b738ad4b182d5e45606c4ccc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">無理なく「普通」に子どもを育てられることが条件</h3><p>今日は児童相談所での面談日。夫に仕事を午前中お休みしてもらって、夫婦で児童相談所に向かった。児童相談所の建物は、想像していたよりもきれいで、歯医者さんの待合室にもあるような子どもの遊び場があり、雑誌や自動販売機も置いてあった。緊張していたけれど、どことなくアットホームな雰囲気に少し気持ちが軽くなった。</p><p>係の人に案内されて面談室へと行くと、職員さんが先にいて笑顔で出迎えてくれた。いい人そうで安心した。挨拶を済ませ、天気のことなど他愛もない会話を交わして場が和むと、まず職員さんから聞かれたのが、里親への志望動機だ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/DSC08624.jpg"><p>職員「<a href="https://fosteringmark.com/recommend/type/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">里親の種類（別ウィンドウで開く）</a>には、養育里親、専門里親、養子縁組里親、親族里親とありますが、山田さんご夫妻は、養育里親をご希望されていると伺っております」</p><p>夫「はい、高校生になる一人息子がこの春から下宿生活を始めて、私たちの手を離れたもので」</p><p>私「これまでの子育ての経験を生かして、少しでも子どもたちの力になれればと、問い合わせさせていただきました」</p><p>職員「なるほど。息子さんは、里親を希望される件についてはご存知ですか？」</p><p>私「実は、まだ息子には話をしていないんです。今日お話を伺ってから、相談しようかと思いまして」</p><p>職員「そうでしたか。里親になるにはご家族の同意が必要になりますので、しっかりお話をして理解を得るようにしてくださいね」</p><p>次に、職員さんから<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/41355" target="_blank" rel="noreferrer noopener">里親制度の概要や要件、登録するまでの流れ（別ウィンドウで開く）</a>について説明があり、私たちの仕事や家庭環境について話を聞かれた。</p><p>職員「それでは、里子を迎え入れて生活するための環境について伺いたいと思います。まずはお2人のお仕事についてお聞かせいただけますか？」</p><p>夫「私は正社員として会社で働き、妻はパート勤めになります。勤務時間は、私は9時から17時までで、時々残業や週末に出勤することもあります」</p><p>私「私は週4日から5日のシフト制になり、1日だいたい4、5時間の勤務になるでしょうか。比較的都合も聞いてもらいやすいので、特に問題なく子どもを育てることはできると思っています」</p><p>職員「そうなんですね、最近は共働きのご夫婦がほとんどですので、里親さんになられることは特に問題ないかと思います。ただ、どうしても、里親さんと里子さんをマッチングする際にはお互いを知る時間も必要になってきます。ですので、何度も乳児院や児童養護施設に足を運んでいただいて、一緒の時間を過ごしたり、短期で家にお泊りしたりする交流期間があります。里子さんの年齢にもよりますが、全体で3、4カ月ぐらいの交流期間を持つことが多いです」</p><p>私「3、4カ月ですか？そんなに期間が必要なんですね…」</p><p>職員「里子さんの年齢や状況に応じて交流期間は異なりますが、交流中の費用は定額で補助があります。また、正式に委託されると、山田さんが希望される養育里親では里親手当というものが支給され、1人当たり月額9万円（※）になります。また、その他にも一般生活費として月額5〜6万円ほどが支給されます」</p><div id="tnf-text-notes-block_19426faef181794fb31f7685a1e46c50" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>2025年4⽉時点の費⽤</p></div><p>私「あ！里親手当については里親制度の説明会に参加した時にそう教わりました。なら、パートをやめてもなんとかなるかも。里親になる上で子どもにかかる養育費を負担できるかというのも心配だったので、里親手当が支給されると聞いてなんだか希望が湧いてきました」</p><p>職員「それは良かったです。では次に、お2人の住まい環境と家族構成についても教えていただけますか。それと、どれくらいの年齢の里子さんを受託することが可能かもお聞かせください」</p><p>私「今は3LDKの賃貸マンションに2人で暮らしています。家族構成は息子を入れて3人。お預かりする子どもの年齢は特にこだわっていません。ただ…思春期は息子も難しかった経験があるので、できれば3歳くらいまでの子どもをまずは短期で預かれるといいなと思っています。可能でしょうか？」</p><p>職員「お願いする際は、里親さんの希望や状況も考慮しています。乳幼児を短期間で預かってくださる里親さんも、私たちはとても必要としています。里親の家庭の住居については、一定の広さや間取りを満たすことが要件の一つ（※）になります。例えば、2人のご家庭の場合だと40平方メートル以上の広さ、2部屋以上（LDK除く）の間取りが必要となります。お話を伺う限り、山田さんご夫妻は問題ないかと思いますが、子ども部屋にできそうなお部屋はありますか？」</p><div id="tnf-text-notes-block_461a1033fc40b43c8b25893cef44d825" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※東京都の場合、<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/2025-09-11-132355-991" target="_blank" rel="noopener">「東京都里親認定基準解説」（別ウィンドウで開く/PDF）</a>に記載された「住生活基本計画（全国計画）」（平成28年3月18日閣議決定）に定める最低居住面積水準等を満たしている必要がある</div><p>夫「はい。将来的には息子の部屋を子ども部屋にしたいと考えています」</p><p>職員「それはいいですね。では、お2人のご実家についても簡単にお聞かせください」</p><p>夫「私は大阪、妻は都内に実家があります。共に両親は健在です」</p><p>私「あの…里親になるのに両親の承諾も得る必要があったりしますか？」</p><p>職員「そうですね。先ほどもお話ししましたが、里親になるには、一緒に暮らしていなくてもご家族の理解を得ることが大切です。後々、何か問題が起こらないようにするためにも、お2人のお気持ちや里親制度に関する理解をご両親にも深めていただけるよう、ぜひお話をしてみてください。よろしくお願いします」</p><p>息子や両親にはいずれ話をしようと思ってはいたけれど、手続きのことを考えると早めに話をして、ちゃんと理解してもらう必要があると思った。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c8a8557c6a65df43028e8938bae25bdb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度は「地域で子どもを育てる制度」でもある</h3><p>この他、世帯の収入や所得、負債や資産といった経済状況の確認や、私と夫の健康状態などについて質問を受け、面談は一段落した。職員さんから「何か質問はありますか？」と尋ねられたので、私たちは準備しておいた質問を投げかけた。</p><p>私「実は、預かる子どもにどのように接すればいいのか、正直不安な部分もありまして…。何か気を付けることなどありますか？」</p><p>職員「そうですよね、確かに里親に委託される子どもたちはさまざまな事情を抱えていることが多いです。でもどのような子どもであっても、里子さんが安心できる環境を提供してあげることが大事だと考えています。後は、できるだけ素直に受け入れてあげることでしょうか。今後受けていただく研修の中で、実際に里親をしてくださっている方々のお話や、実際に児童養護施設に行っていただく研修もありますので、その中で子どもたちのことを学んでいただけると思います」</p><p>夫「もし、子どもを家庭に迎え入れた後に何か問題が起こった場合、相談にのっていただけたりするんですか？」</p><p>職員「もちろんです。委託後は多くの方が子育ての壁にぶつかります。でも、里親さんだけで悩む必要はありません。東京都では、里親さんを子どもたちを育てるチームの一員としてとらえ、里子さんをみんなで支える体制をとっています。児童相談所だけでなく、児童養護施設や乳児院、里親会、社会福祉法人やNPOなどの里親支援機関といった、地域には里親さんを支援する多くの施設や団体があります。実のお子さんの子育てと違うこともあり、悩むこともあるかもしれませんが、お2人だけで悩みを抱え込まず、専門家や経験豊かな里親さんと悩みをシェアし、解決していくことが子どもにとっても大切なことだと思います」</p><p>私「そんなに多くの関係機関があるんですね！」</p><p>職員「そうです。子育てにおける里親さんの役割は大きいものですが、私たちは“地域で子どもを育てる”といった姿勢で取り組んでいますので、いつでも相談にお越しください」</p><p>地域で子どもを育てる。子どもの専門家や里親経験者でつなぐ地域のネットワークが、里親制度でもあることが分かってとても安心した。</p>児童相談所で面接するときのポイント！ 仕事や収入、家族構成や養育環境などは事前に答えられるようにしておくとスムーズ疑問や不安に思うことがあれば、躊躇をせずに質問をする <p>そうして無事に面談を終えた私たちは、里親になるための次のステップ<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42449" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「里親認定前研修」（別ウィンドウで開く）</a>を受講するための申込書をもらって、児童相談所を後にした。</p><p>研修で目にしたことや耳にしたことをしっかりと受け止め、自分たちはそれについて何を感じ、どう子どもと向き合っていくのか夫婦でしっかり考えていきたいと思った。</p><div id="tnf-text-notes-block_c8a7e829407ab16347a16accaad3e031" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親登録の第一歩、児童相談所への問い合わせ（特集第2回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42310</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:31:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>里親として子どもを預かるには、里親登録が必要</li><li>⾥親登録は地域の児童相談所へ電話するか、里親制度の説明会（相談会）に参加するところから始まる </li><li>児童相談所への問い合わせの際は、事前に面談の候補日や聞きたい質問を準備しておく</li></ul><p> </p><p>※この記事は2020年3月19日に公開した記事を再編集しています</p><p>さまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れ育てる里親制度。特集第1回目は、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/41355" target="_blank" rel="noreferrer noopener">里親になるための6つのステップ（別ウィンドウで開く）</a>を紹介した。第2回目以降は、里親登録するまでの準備や手続きの内容について、実際に里親になることを検討する「山田夫婦（仮名）の体験」をもとに、妻の視点を通してお届けする。</p><p>第2回のテーマは「児童相談所への問い合わせ」について。里親を考えたらまず行うのが、地域の児童相談所への電話による問い合わせだ。里親登録をしたい旨を伝え、職員との面談日時を調整する必要がある。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 class="wp-block-heading">「山田夫婦の体験記」登録ステップ1.児童相談所への問い合わせ</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_e0ca371b823233a31e49162bff5bc90d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもたち」のためにできること</h3><p>一人息子も無事に高校に合格し、この春から下宿暮らしを始めた。子どもが手を離れ、ようやく自分の時間が持てるようになってきたと感じていたその時、テレビで小さな子どもが虐待を受けて亡くなるというニュースを目にした。</p><p>ふと、私自身のことを思い返すと、父子家庭で育ち寂しい気持ちになったこともあったが、周りの大人たちに助けられながら生きてきた。とても幸せだったように思う。</p><p>一方で、小さな子どもが虐待で命を落としたり、いろんな理由で大好きなお母さんやお父さんと暮らせなかったりする子どもたちが世の中にいる。</p><p>「何か私にできることはないか」。そう次第に思うようになっていた。</p><p>夫とは「家族ってなんだろうね」という他愛もない話をするようになり、ある時友人から里親をしていると聞いて「里親制度」というものがあることを知った。</p><p>もともと子どもが大好きな私たち夫婦は、「子育ても落ち着いた今なら、里親として子どもを預かるってこともできるよね」と思いが一致した。</p><p>最初は、何気ない夫婦の会話から出た「里親」になるというアイデアだったが、次第に「実現できるんじゃない？」と思うようになり、まず地域で開催された里親相談会に2人で参加してみることにした。</p><p>そこでは、実際に子どもを預かる里親さんたちの話が聞けて、里親制度に関する紹介もあった。里親になるまでの気持ちの変化、子どもを迎えて日々奮闘する様子を知ることができ、里親家庭のイメージを持つことができた。</p><p>また「里親は子どものための制度である」ことや、他人の子どもを育てることの難しさ、またさまざまな困難を乗り越えた先に生まれる絆のことなど、いろいろなことを感じることができた。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/1ef8bfb51b3600c060fc8a27a2adfb63.jpg"><p>里親になるには、まず登録が必要なことや養育費の支給があることも分かった。イベントへの参加を経て、「厳しい環境にいる子どもたちの力になりたい。自分にできることで子どもたちの手助けをしたい」という気持ちが強まり、まず里親の登録をしてみようという話になった。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8df63b4e5e5e0df8b7c16d7cb88a452c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親になるための第一歩としての登録</h3><p>それから夫と2人でインターネットを検索したり、実際に里親をしている友人から話を聞いたり、本を読んでみたりと、いろいろな方法で里親に関する知識を深めた。制度や登録に関する概要がだいたい理解できたところで、「とはいえまず登録しなきゃ、何も始まらないよね」という気持ちになり、詳しい話は直接専門家に聞くことにしようと、私は児童相談所へ電話をすることにした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/13-23-14.jpg">書籍などで知識を深めてみる（イメージ）<p>里親登録の手続きは、自分たちが暮らす<a rel="noreferrer noopener" href="https://fosteringmark.com/recommend/center/" target="_blank">地域の児童相談所（別ウィンドウで開く）</a>への電話連絡から始まる。時間にして5〜10分ぐらいの内容で、児童相談所の職員さんとの面談日を決めると共に、里親登録について疑問や不安などあれば気軽に相談することもできる。</p><p>職員「はい、こちら●●児童相談所です」</p><p>私「はじめまして、山田という者です。いま夫と里親制度の利用を検討しているのですが、⼿続きなど詳しいことを教えていただけませんか」</p><p>職員「お問い合わせありがとうございます。それではまず、簡単に里親制度についてご説明させていただきますね」</p><p>職員さんから聞いた話によると、生みの親と暮らすことができない子どもを家に迎える方法には、大きく分けて「里親制度（養育里親）」と「養子縁組」の2種類がある。違いを簡単にまとめると「法的に親子になるか、ならないか」の2つ。養子縁組では法律で親子になる。一方、養育里親は、子どもが生みの親の元に戻るか、18歳で自立するまで子どもを預かる制度で、親権は生みの親にある。養育中は、国から月額9万円の里親手当（※）や子どもの生活費が支給されるそう。</p><div id="tnf-text-notes-block_ea5df8ba143896a3cafdcb0287c875c5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>2025年4⽉時点の費⽤</p></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/11/wha_pro_chi_inf.png"><p>職員「（東京都の）里親になるためには、<a href="https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/satooya/seido/hotfamily/satooya/s_kijun.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『東京都里親認定基準』（別ウィンドウで開く）</a>を満たす必要がありますが、ホームページなどでご覧になられましたか？」</p><p>私「細かいところまでは把握できていないのですが、見させていただきました」</p><p>職員「実際の登録にあたっては、一度ご夫婦で児童相談所にお越しいただき、直接面談して、さらに詳しい制度の説明と今後の流れについてお話をさせていただきたいと思います。来週か再来週の平日で、ご都合の良い日時はありますでしょうか？」</p><p>私「では、来週の水曜日の朝10時からでお願いすることはできますか？」</p><p>職員「少しお待ちくださいね…。はい、大丈夫です。ではその時間にお待ちしておりますね。ところで、事前に少しご質問させていただきたいのですが、里親になりたいと思われた理由は何ですか？」</p><p>私「きっかけはテレビで見た子どもの虐待のニュースだったんですが、それから自分たちに何かできることはないかと、いろいろと里親制度について調べてみたんです。その中で一定の要件を満たせば、私たちでも里親になれることが分かり、問い合わせさせていただきました」</p><p>職員「なるほど。ちなみに奥さまは働かれていますか？また差し支えなければ、現在お住まいの場所や住居の形態についても簡単にお聞かせいただけると助かります」</p><p>私「共働きになりますが、育児経験もありますし、子どもも大好きなので、子どもとの時間は大切にしたいと思っています。住まいはこの区内の賃貸マンションになります」</p><p>職員「ありがとうございます。共働きの場合でも、子どものための時間を大切に考えてくださっていることは大変ありがたいことです。里親制度は、子どものための制度になります。子育てに対する考えは、今後手続きを進める中で詳しく聞かれると思いますので、ご夫婦の考えにずれが生じないように話し合いを重ねていただきますようお願いします」</p><p>私「分かりました。ありがとうございます」</p><p>その後、職員さんから<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/41355" target="_blank" rel="noreferrer noopener">里親登録までの流れ（別ウィンドウで開く）</a>を聞いて電話を終えた私。初めての児童相談所への電話は緊張したが、職員さんがとても丁寧に対応してくれたおかげで、話もしやすく、今後の流れについても把握することができた。一歩前に進めたような気がした。</p><p>この電話をきっかけに「最初から里親になれる人なんかいない」「制度を完璧に理解する必要はない」「研修や現場の人の声を直接聞いてから、本当に里親になれるのか決めてもいいのではないか」とも思うようになった。</p><p>今の時点で大切なのは、「自分がなぜ里親になりたいのか」という理由を夫婦でしっかりと持っておくこと、そこから登録へのステップをスタートさせてもいい、ということが分かった。</p>［児童相談所に電話連絡するときのポイント！］ 所得や住居の広さなど里親認定基準があり、自治体のサイトで確認しておくとよりスムーズ。児童相談所職員との電話の中でそれらを確認されることもあるので準備しておくと良い電話は、面談日を決めることも目的の一つ。休みを取れる日など事前に夫婦のスケジュールを把握しておく質問があれば、事前に準備しておき、電話の際に確認する <p>夫が帰宅後、児童相談所での面談日時と併せて、職員さんと話をした内容を報告した。すると「面談で、どんなことを質問しようか」ととても前向きな様子だった。登録まで道のりは長そうだけど、子どもを預かるということは、それだけ責任あることだと思いつつ、子どもを迎え入れるときのことを考えると、なんだかワクワクしてきた。</p><div class="wp-block-spacer"></div>〈参考資料〉<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/a1964f34-8554-42bf-ba0c-05f25d36c092/3200e29b/20230401_policies_shakaiteki-yougo_satooya-seido_03.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">こども家庭庁「里親関制度（資料集）」（別ウィンドウで開く/PDF）</a><a href="https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/satooya/seido/hotfamily/satooya/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東京都福祉保健局「東京都の里親制度について」（別ウィンドウで開く）</a><a href="https://tokyo-satooyanavi.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Tokyo里親ナビ（別ウィンドウで開く）</a><a href="https://tokyodouga.jp/O4or0pXdasM.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東京都里親PR動画「養育家庭（里親）とは…」（別ウィンドウで開く）</a><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_eea9b90e577e2ba53842ba30fc3e5ea5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせください</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>里親になりたいあなたへ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:30:43 +0000</pubDate>
      
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<p>日本で生みの親と暮らすことができない子どもの数、約4万2,000人。「里親制度」の仕組みを物語にのせて。</p>    ]]>
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      <title>【里親になりたいあなたへ】里親登録の6つのステップ（特集第1回／全8回）</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/41355</link>
      <pubDate>Wed, 29 Oct 2025 19:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本には実親と暮らせない子どもが約4万2,000人、そのうち8割近く（※1）は乳児院や児童養護施設で暮らす</li><li>東京都の里親登録数は1,285世帯（2023年度末※2）。里親を増やすためにさまざまなPR活動を展開している</li><li>里親制度はあくまで「子どものため」の仕組み。子ども目線の考え方、育て方が大切になる</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_aaf465c94d6531cd45546186e282e1fa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>1.参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/3243700c/20251001_policies_shakaiteki-yougo_140.pdf" target="_blank" rel="noopener">こども家庭庁⽀援局家庭福祉課「社会的養育推進に向けて」（P.5）令和7年10⽉（外部リンク/PDF）</a></p>※<p>2. 参考：<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/02_070714jifukushin_shiryou2-pdf" target="_blank" rel="noopener">東京都福祉局「⾥親等委託の推進について（現状、課題）」（外部リンク/PDF）</a></p></div><p></p><p>※この記事は2020年3月3日に公開した記事を再編集しています</p><p>「家族」とは何か？血のつながりがあっても関係が上手くいかないこともあれば、他人同士であっても強い「絆」を感じることもある。</p><p>親の病気や離婚、虐待などさまざまな事情により、生みの親と離れて暮らす子どもが、別の家庭で一定期間暮らしを共にする「里親制度（養育里親）」。他の先進国では普及が進み、社会的養護（※1）下にある子どものうちアメリカでは82パーセント、イギリスでは73パーセントが里親家庭で暮らしているのに対し、日本では25パーセント（※2）にとどまっている。</p><p>また、国際的にはとくに乳幼児については家庭での養育が優先されているが、日本では乳幼児の大半が3歳未満の子どもを保護し養育する乳児院で生活している。その背景にある一因には、里親制度に対する認知度の低さにある。</p><div id="tnf-text-notes-block_b5c031367c46bde598e6fda45ddebbc2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.保護者のない子どもや、保護者に監護させることが適当でない子どもを、公的責任で社会的に養育し、保護すると共に、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと※2.参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/3243700c/20251001_policies_shakaiteki-yougo_140.pdf" target="_blank" rel="noopener">こども家庭庁支援局家庭福祉課「社会的養育推進に向けて」令和 7年10月（外部リンク/PDF）</a></div><p>図表：各国の社会的養護の子どもたちの里親委託率（2018年度前後の状況）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/03/index-2.png"><p>日本財団ジャーナルでは、里親制度についてより多くの人に知ってもらうため、全8回にわたって里親制度やその利⽤の仕⽅について特集。第1回⽬は「そもそも⾥親制度とは何か？」というテーマで、東京都福祉保健局にて少⼦社会対策部育成⽀援課⻑を務める⽟岡雄太（たまおか・ゆうた）さん（※）にお話を聞いた。</p><div id="tnf-text-notes-block_e7a3539a016f0e659794d745d440b683" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>⽟岡雄太さんの役職は2020年3⽉時点のものです</p></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_7c1fd563017ab245583a7cff21007303" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">家族のあり方は、もっと多様でいい</h2><p>「里親制度について、耳にしたことはあるけど詳しい内容は分からない、という方がほとんどではないでしょうか」</p><p>取材に応じてくれた玉岡さんは、このように切り出した。</p><p>何らかの事情により⽣みの親と離れて暮らす⼦どもは、⽇本全体で約4万2,000⼈。そのうち8割近くが乳児院や児童養護施設で⽣活を送っており、⾥親等（※）の家庭で暮らす⼦どもは約8,200⼈（2024年度※）しかいない。もっと多くの子どもたちが家庭の中で暮らせたらと、東京都では企業や医療機関と連携し、里親についてさまざまなPR活動を展開している。</p><div id="tnf-text-notes-block_d6746b40d540aebd3cf488403f0e0c6d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※ファミリーホーム（養育者の家庭で5〜6⼈の児童を養育）を含む。参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/8aba23f3-abb8-4f95-8202-f0fd487fbe16/69eff642/20250414_policies_shakaiteki-yougo_130.pdf" target="_blank" rel="noopener">こども家庭庁⽀援局家庭福祉課「社会的養育推進に向けて」（P.5）令和 7年10⽉（外部リンク/PDF）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/02/11-01-42-1.jpg">玉岡さんと、里親制度普及啓発キャラクター「さとペン・ファミリー」を起用した広報ツール<p>「世の中には、子どもに恵まれず苦しんでいるご夫婦と、家庭で暮らしたくても暮らせない子どもたちがいます。日本は血縁を重んじる傾向がありますが、『家族』のあり方はもっと多様でいいのではないでしょうか」</p><p>その多様な選択肢の一つが、里親制度であると玉岡さんは語る。</p><p>⾥親は養⼦縁組とは異なり、法的な親⼦関係にはなく（親権は実親にある）、実親の状況に応じて、⼦どもは⾥親宅に迎えられ⼀定期間暮らした後実親の元に戻るか、18歳になって⾃⽴するまで⼀緒に暮らす制度だ。⾥親⼿当（⽉額9万円）が⽀給され、⼀般⽣活費（⽉額5〜6万円ほど）なども⾃治体から⽀給される（※）。</p><div id="tnf-text-notes-block_4afef9f7ef6d08be943052008d5fdbfb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<p>2025年4⽉時点の費⽤</p></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/11/wha_pro_chi_inf-1024x576.png"><p>子どもが里親家庭で暮らすことの重要性について、玉岡さんは「児童養護施設でも職員の方が一生懸命尽くしていますが」と前置きをしてからこう話す。</p><p>「一番は何といっても、特定の大人と『愛着関係（心理用語でアタッチメント）』を築ける点ですね。これは、人間同士の信頼関係や絆であり、他者とのコミュニケーション能力や社会性を築く基盤になります。特に幼少期にこの愛着関係を築くことが、自己肯定感や心身の健康にとっての支えになります」</p><p>他にも里親制度は「子どもたちが大人になった時の『家庭』というロールモデルを学べる」といった役割を担う。</p><p>「里親は共働きの方でもなれますし、実子がいてもなれます。子どもが委託されている間は養育費や里親手当が支給されるなど、経済的なサポートもあります。里親制度に興味のある方は、ぜひ地域の<a rel="noreferrer noopener" href="https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/jicen/list.html" target="_blank">児童相談所（別ウィンドウで開く）</a>にお電話でお問い合わせください」</p><h2 id="tnf-text-heading-block_20f19bc5142303325cc3d228feb6493d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親になるには、事前登録が必要</h2><p>「里親になるためには、自治体が定めた一定の要件をクリアし、事前研修などを受ける必要がありますが、特別な資格は必要ありません」と話す玉岡さん。実際に里親になるには、子どもの養育に必要な心構えや知識を研修で学び、家庭訪問などを経て、知事から認定を受けて⾥親登録をする必要がある。東京都の⾥親登録数は2023年度末の時点で1,285世帯、委託数は454世帯（※）となっている。</p><div id="tnf-text-notes-block_b2649ef233f4d3aa48b87b4130e064f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/fukushi/02_070714jifukushin_shiryou2-pdf" target="_blank" rel="noopener">東京都福祉局「⾥親等委託の推進について（現状、課題）」（外部リンク/PDF）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_9c701c5a8a800b8b43056fbd2fe16f4f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［里親登録までの6つのステップ］（※）</h3><div id="tnf-text-notes-block_278570426e3889fc6f76fc4f3f56ed41" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親にまつわる制度は、自治体によって異なる</div><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42310" target="_blank" rel="noreferrer noopener">児童相談所へ問合せ（別ウィンドウで開く）</a>地域を管轄する児童相談所へ、里親登録をしたい旨を電話にて連絡し、面接の日程調整を行う。里親登録を検討している段階でも、問い合わせや質問をすることも可能。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42318" target="_blank" rel="noreferrer noopener">登録要件の確認（別ウィンドウで開く）</a>管轄の児童相談所で職員と面接し、里親制度の内容について説明を受ける。里親の登録や児童の委託などに関して疑問や不安に感じる点について質問もできる。その際に、登録の要件や里親として望ましい条件（里親を希望する動機、家族構成、住宅環境等）についても話をする。この時点で、里親をすることに迷いがあっても問題はない。認定前研修申込・受講<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42449" target="_blank" rel="noreferrer noopener">座学2日間（別ウィンドウで開く）</a>、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42712" target="_blank" rel="noreferrer noopener">施設実習2日間（別ウィンドウで開く）</a>を受講する。座学では、専門家や里親経験者から「社会的養護」という概念や「子どもの養育」に関する知識を学ぶ。施設実習では、「児童養護施設での生活」体験を通して子どもに関する理解を深める。いずれも夫婦（もしくは同居する養育を補助する人と共に）揃って受講する必要がある。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42799" target="_blank" rel="noreferrer noopener">申請書類を作成・提出（別ウィンドウで開く）</a>研修を受講した上で、里親登録をしたいという意思が固まったら、管轄の児童相談所に申請書類を提出する。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/42902" target="_blank" rel="noreferrer noopener">家庭訪問を受ける（別ウィンドウで開く）</a> 児童相談所などの職員が家庭訪問し、住居環境や家族関係等について、家族全員（同居人含む）から聞き取り調査を行う（所要時間2〜3時間）。申請書が受理されてからおおむね数週間後に実施される。<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/43257" target="_blank" rel="noreferrer noopener">有識者による里親認定部会の開催（別ウィンドウで開く）</a>児童福祉審議会の里親認定部会が2カ月に一度開催され、申請書の内容や、家庭訪問の結果を踏まえて、有識者が審議を行う。<p>1から5までの工程を経て、6の審議会における諮問（しもん）結果を踏まえ、東京都知事が里親として認定し、里親登録される。2年ごとに登録更新の手続きが必要となる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_25f0b5d14a646f4d46fd8ad1885fb0e2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度は「子どものため」の制度</h2><p>里親登録後「いつ子どもが来ますか？」とよく質問を受けるという玉岡さん。里親制度はあくまでも「子どものため」の制度になるため、子どもの年齢や置かれた状況を重視し、施設での面会、交流を重ね様子を見ながら児童相談所が委託を決定する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/02/10-48-16.jpg">里親希望者は、里親制度の目的を適切に理解する必要があると語る玉岡さん<p>「子どもとの交流は、まず日帰りでどこかにお出かけし、数日の外泊、長期外泊などを重ねていただきます。その後に、お互いに希望があり、この組み合わせが望ましいとなれば、里親のもとに子どもを委託することになります。この期間は、子どものペースに合わせて決められ、数カ月から半年以上かかることもあります。委託後は、児童相談所を中心に、乳児院、児童養護施設、里親会、社会福祉法人やNPOなどの里親支援機関が、里親と共に子どもの支援に当たります」</p><p>地域の関係機関や民間団体、里親仲間が一丸となって子どもを育むのが里親制度なのだ。</p><p>「里親は養子縁組と違って戸籍上の親子にはならず、委託期間は2カ月以内の短期間から10年以上の長期間まで、子どもの事情によってさまざまです。子どもにとっては、頼れる大人が実の両親以外にいる、巣立った後も強い絆が生まれるなどといったプラスの面がたくさんあります。子どもだけでなく、大人にとっても人生が豊かになる選択肢の一つとも言えるのではないでしょうか」</p><p>里子との生活は、子どもがいたずらなどをして親の愛情を確かめる「試し行動」や実親の存在や生い立ちを告げる「真実告知」といった、乗り越えなくてはいけない壁もある。</p><p>「里親さんには、そんな時のためにも、子どもに対し向き合えるように、夫婦でしっかり話し合いを重ね深め、同じ方向を向いていていただくことが大切です」</p><p>家族とは、「ある」ものではなく、手をかけて「育む」もの。</p><p>日本が誇る名医、故日野原重明（ひのはら・しげあき）さんの言葉だ。大変なこと、楽しいこと、共に歩みさまざまな経験を重ねてこそ、人は家族になれる。それは実の親子も里親も同じで、いろいろな絆や家族のかたちがあるからこそ、社会はより優しく、豊なものになるのではないだろうか。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div id="tnf-text-notes-block_126173d8cfd900bb814c9381b8c34a0b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※里親には養子縁組を前提とする養子縁組里親もいますが、今回の記事においては、養子縁組をせず、一定期間子どもを預かる養育里親（東京都においては養育家庭（里親））について記載しています※里親にまつわる制度は、自治体によって異なります。詳細はお住いの地域を管轄する児童相談所までお問い合わせくだ</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2020/05/5b2b7a1a55fb48c3d876b2fb5c089a59-1.jpg"><p>この記事の取材･編集は東京都福祉保健局にご協力をいただいています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/43276">特集【里親になりたいあなたへ】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>能登半島被災地の災害関連死を防ぐ——佛子園・雄谷さんが「ごちゃまぜ」のまちづくりにこだわる理由とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116943</link>
      <pubDate>Tue, 28 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>能登半島地震の被災地・輪島市内に、復興を支援するコミュニティ施設「コミセンBASE（ベース）」が相次いで開設</li><li>「ごちゃまぜ」をコンセプトに地域の人たちの交流を生み出し、災害関連死（※）の防止につなげる</li><li>自然に人と人とが関わり合える環境を整えることが、安心して暮らせる地域づくりに重要</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_4072302722b5f7bc59361b174d15d1d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「災害関連死」とは、地震や洪水といった災害で直接命を落とすのではなく、避難生活による疲労やストレス、持病の悪化、不衛生な環境など、災害の二次的な影響によって間接的に亡くなること</div><p></p><p>2024年1月1日に発生した能登半島地震。2025年9月25日時点で、災害の直接死の人数は228人。対して、災害による負傷の悪化や避難生活による心身への負荷などを原因とする災害関連死の人数は438人と直接死を上回っており、今後さらに増える可能性が示唆されています。</p><p>仮設住宅の建設は完了し、避難所は全て閉鎖されました。県や市町の災害対策本部は解散し、県によれば「復旧から復興に向けたフェーズに入った」とのこと。しかし、現地で暮らす人たちからすれば、先が見えない状況に変わりはないでしょう。まだまだ復興は進んでいないじゃないか、という言葉がため息とともに聞こえてきます。</p><p>そんな中、甚大な被害を受けた地域の1つである輪島市内には、「コミセンBASE」という名の施設が、仮設住宅の一角に続々と誕生。これは集会機能と福祉機能を一体化した、日本の災害史上初めてとなるであろう注目の施設で、デイサービス、介護予防、見守り、相談支援など、さまざまな役割を提供することで、被災した人々の災害関連死を防ぐことを目的としています。</p><p>さらに、食堂や銭湯も完備しており、大勢の人たちが交わる「みんなで支え合うコミュニティ」としての役割も担っています。</p><p>この「コミセンBASE」を運営するのは、<a href="https://bussien.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人佛子園（外部リンク）</a>。石川県白山市を拠点に「B’s 行善寺」「Share金沢」「星が岡牧場」といった福祉施設を多数展開してきました。</p><p>共通するテーマは「ごちゃまぜのまちづくり」。若い人も高齢者も、障害のある人もない人も、全ての人が関わり合うことで地域がにぎわう——。まさに「共生社会」の実現に必要な考え方をいち早く取り入れ、全国規模で実践してきました。</p><p>代表する事業の1つ「輪島KABULET（わじまカブーレ）」は、輪島市中心部に点在する空き家や空き地を利活用して2015年にスタートした、まちづくりプロジェクト。古き伝統と歴史を持つ輪島の文化を継承していくことを主軸に据えながら、おそば屋に、銭湯、高齢者デイサービス、ウェルネスジム、カフェなど、さまざまな機能を持つ施設がまちの一角に集い、地域を活性化する一助となってきました。</p><p>「コミセンBASE」は、「輪島KABULET」を進めてきた佛子園だからこそ実現できた施設といえるでしょう。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_1.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_2.jpg">「輪島KABULET」の一角にあるウェルネスジム。運動不足解消のため、被災者の人々が利用している</div></div><p>今記事では、佛子園の理事長である雄谷良成（おおや・りょうせい）さんに、輪島市の未来と目指すべき姿についてお話をうかがいます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_154e3ffca16341d266d3c73f007fe10d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「生きがい」を感じられるかどうか。それが人の生命を左右する</h2><p>――「ごちゃまぜ」のまちづくりという理念がとても印象的です。</p><p>雄谷さん（以下、敬称略）：例えば福祉や医療施設に行ってみると、そこには職員と利用者さんしかいないことが多い。他から隔離されていて、とても閉鎖的な環境になってしまっているんです。でも、それでいいんだろうか、と疑問に思います。</p><p>人は地域の中で他者と関わりながら生きていますよね。それが本来あるべき姿だと思うんです。だから私たちは「ごちゃまぜ」を提唱して、地域の中に高齢者も障害者も外国人も移住者もいて、みんなで関わり合いながら暮らす社会をつくっていきたいと考えているんです。</p><p>ある調査によれば、生きがいのある人とない人とでは生存率に3倍もの差が出ることが分かりました。この「生きがい」とは何かというと、近所の人と楽しい時間を過ごしたり、好きな人とおいしい物を食べたりすること。つまり、他者との関係を築くことが「生きがい」につながるわけです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_3.jpg"><p>――その「生きがい」が被災地においても重要になるんですね。</p><p>雄谷：そうなんです。被災地ではもっと露骨な差が出てくるでしょう。仮設住宅で孤立して、誰ともかかわらずに過ごしていたら、生きがいなんて感じられなくなってしまう。実際、直接死と災害関連死の人数を比較すると、後者が2倍以上になっています。</p><p>でも、これはまだ少ない方なんです。東日本大震災では3,808人（2024年12月末時点）の方が災害関連死で亡くなりました。さらに熊本地震では亡くなられた方の8割が関連死でしたから。だから私たちは、「コミセンBASE」を開設して、見守りに力を入れていこうと考えました。</p><p>――発災前と後とで、輪島市はどう変わりましたか？</p><p>雄谷：さまざまな変化がありましたが、ひとつ挙げるとすれば、人口が大きく減りました。ピーク時には3万8,000人くらいいましたが、震災直前は2万2,000人、いまは約1万9,000人まで減少してしまいました。それから伝統工芸である輪島塗が産業として大きなダメージを受けています。当然ですよね、震災の影響で作ることが難しくなってしまいましたから。</p><p>そういった根幹産業を失うと、労働人口も流出してしまいます。結果、輪島市内は空き家だらけです。いまはそれをどう活用していくのか、地域の人たちと相談しながら進めています。でも、輪島の人たちは強いですよ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_4.jpg">「輪島KABULET」の温泉施設「三ノ湯・七ノ湯」。能登半島地震時には、日頃から通う地域の人々の協力を経て、発災から11日後には営業を再開した<p>――強い、というと？</p><p>雄谷：「輪島KABULET」のプロジェクトの1つとして、天然温泉「三ノ湯・七ノ湯」を運営しているんです。そこは被災直後から入浴できるよう復旧に力を入れたので、自然と地域の人たちが集まる場になっていました。</p><p>すると、そこに集まる人たちから「気兼ねなくお酒が飲みたい」というような声があがって。確かに、避難所で生活していたら、お酒なんて飲めないわけです。「こんなときに不謹慎だろう」と言われてしまう。でも、被災した人だって晩酌くらいしたっていいじゃないですか。</p><p>だから、そういった思いを抱えていた人たちと協力して、発災から3カ月後の2024年4月に「輪島KABULET」でビアフェスタを開催しました。議員さんも招待して、「みんなで楽しみましょう」と一緒に乾杯して。その姿を見て、改めて輪島の人たちは強いなと感心しました。だから、そんな人たちが笑顔を取り戻せるように、力を尽くしたいんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_25c592849c8cf496a9f3ea471e3366a8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「コミセンBASE」は自然と「見守り」機能を果たし、高齢者をサポートする</h2><p>佛子園は輪島市内にある仮設住宅の計3カ所に、まさに「輪島KABULET」のミニ版ともいえる「コミセンBASE」を開設しました。「コミセンマリンタウンBASE」「コミセン門前BASE」「コミセン鳳至（ふげし）BASE」と名付けられた施設は、日々地域の人たちが集い、活気があふれています。</p><p>「コミセンBASE」が被災地の人々にどのような影響をもたらしているのか。スタッフの方たちにもお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_6.jpg">仮設住宅の中に建つ「コミセン門前BASE」<p>最初にインタビューに応えてくれたのは、「コミセン門前BASE」の野中昌子（のなか・しょうこ）さんです。</p><p>――野中さんはどのような業務を担当しているのでしょうか？</p><p>野中さん（以下、敬称略）：私は主に福祉サービスに携わっています。仮設住宅に住んでいるとどうしても外に出てこなくなってしまう人がいて、そうなると運動量がぐっと減り、介護を必要とするリスクも高くなってしまいます。ですので、孤立していそうな人を見つけ出すところから始まり、そういった人たちに声をかけては、ピラティスや体を動かすプログラムに参加してもらっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_7.jpg"><p>――地域の人たちからの反応で印象的だったものは？</p><p>野中：「コミセンBASE」を利用している高齢者の方から、日常生活の中で頼ってもらえた瞬間ですね。地域から届いたアンケートの書き方が分からないから教えてほしいとか、タクシーの電話番号が分からないから調べてほしいとか。とても些細なことかもしれませんが、私たちがここにいる意義を感じられて、とても嬉しくなりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_8.jpg">「コミセン門前BASE」の敷地内にある掲示板には、さまざまなイベントの告知が貼られている<p>続いてお話を聞かせてくれたのは、「コミセン鳳至BASE」の店長を務める室瀬舞（むろせ・まい）さん。食堂で料理の腕を振るう他、仮設住宅から足を運んでくれる人たちの話に、親身に耳を傾ける人物です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_9.jpg"><p>――「コミセン鳳至BASE」はどのような利用者が多いですか？</p><p>室瀬さん（以下、敬称略）：やはり高齢者の方が多い印象です。なかでもご飯を作るのが面倒だ、そもそも作れない、という方々。かといって、自動車もないから遠くのスーパーまで買い物にも行くこともできないみたいで、そういう人たちがここでご飯を食べていったり、お惣菜を持ち帰ったりしてくれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_10.jpg">ご飯を食べた人の笑顔が室瀬さんの原動力になっている<p>――運営する上での苦労はありましたか？</p><p>室瀬：開設当初はなかなか人が来てくれませんでした。皆さん、気になるけれど一歩踏み出せないという感じで。でも、利用した方がお友だちを誘って連れてきてくれて、またその方も別の方を連れてきて、と輪が広がっていきました。結局は人と人とのつながりが大事なんだと感じます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_11.jpg"><p>最後に登場してくれるのは、「コミセンマリンタウンBASE」で働く谷内勝次（やち・かつじ）さんと白崎（しろさき）しのぶさんのおふたり。谷内さんは高齢者向けデイサービスを担当し、日常生活におけるサポートをしています。白崎さんはこちらの店長で、接客だけでなく食事の開発などにも意欲的。明るい人柄で地域の人たちからも愛されています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_12.jpg">潮風が吹く場所に開設された「コミセンマリンタウンBASE」<p>――「コミセンBASE」の存在が地域にどのように貢献していると思いますか？</p><p>谷内さん（以下、敬称略）：高齢者の方と若い人たちをつなぐ役割を担えているのではないか、と考えています。</p><p>というのも、一般的なデイサービスだと、利用者の人間関係はその中だけで完結してしまいます。でも、「コミセンBASE」では、あえてデイサービスとそれ以外のサービスを提供するエリアを分けていません。だから、デイサービスに訪れたおばあさんが、食堂にいる若者とふつうにおしゃべりをする光景が見られるんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_13.jpg"><p>白崎さん（以下、敬称略）：もちろん、デイサービスを利用しない人にとってもとても価値がある場所になっていると思います。一番は銭湯の存在です。</p><p>仮設住宅にも新しいお風呂は完備されていますが、やはり銭湯で他の人と一緒にお湯に浸かるのは特別な体験ではないでしょうか。そこで仲良くなった人同士が、お風呂上がりにビールで一杯やるといった光景も当たり前で、ここが憩いの場になれているんだなと感じますね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_14.jpg">コミセンBASEに用意された銭湯は、仮設住宅に住む人であれば無料で利用可能<p>白崎さん（以下、敬称略）：それから、銭湯を利用する方には毎回、記帳をしていただくようにしているんです。それをチェックすると、一人ひとりの生活スタイルがなんとなく見えてくる。すると、「あれ？　あのおばあさん、最近来ていないな。心配だから様子を見に行こう」というように、自然と見守りにつながっていくんです。</p><p>「コミセンBASE」は自然と「共生意識」が生まれる場だと思います。</p><p>――今後、どういった形で復興に携わっていきたいと考えていますか？</p><p>谷内：意識しなければいけないのは、若い世代や子どもたちのことです。そういう人たちが働ける場所、伸び伸びと過ごせる場所を用意できるかどうか。それがないと、どうしたって地域の外に出ていってしまいますよね。</p><p>だから、輪島市にいる大人のひとりとして、若い世代や子どもたちが安心して働ける、楽しめる環境をつくることを考えていきたいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_15.jpg"><p>白崎：私自身が被災し家も無くしました。でも、輪島から出ていこうとは、少しも思いませんでした。なんなら1月2日から働いていて、いまもこのまちの復興のために何ができるかを常に考えている状態です。</p><p>そんな中で私にできることは飲食店で働いた経験を活かし、おいしいご飯を提供しみんなに喜んでもらうことかなと。ここで温かいご飯を食べていただいて、みんなが幸せになってくれたら嬉しい。なかには毎日ご飯を食べに来てくれる高齢者の方もいて。「今日のあれ、おいしかったよ」とか「明日は何が食べられるの？」なんて話しかけられると、それだけで励みになります。</p><p>そういった人たちのためにも、今後もおいしいご飯を作りを続けていきたいです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_16.jpg">白崎さんが考えたメニューが日替わりで提供される「今日のしのぶ飯」。この日は唐揚げと卵焼きが黒板メニューに</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_17.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_18.jpg">看板メニュー「カツ丼」は肉厚で食べごたえも十分</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_09a68f06e654a95bf6c3736061b022c9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ごちゃまぜ」にすることで人と人との交流が生まれ、災害関連死を防げる</h2><p>「コミセンBASE」で働くスタッフの皆さんの話を聞いて、地域住民との間に強いつながりが生まれていることを感じました。それこそが雄谷さんの大切にしていること。「コミセンBASE」を中心に生まれた人と人との絆は、復興を推し進めていく力になっていくはずです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_19.jpg"><p>改めて、雄谷さんに、復興で目指す姿についてお話を伺います。</p><p>――「コミセンBASE」ではまさに「ごちゃまぜ」が実現されていますね。</p><p>雄谷：私は長年福祉業界に身を置いてきて、社会的に排除されるような人たちを目の当たりにしてきました。同時に、佛子園の活動を通して、そういった排除されるような人たちが地域と関係を持ったことで元気になっていく姿も見てきました。だから、地域を活性化するには「ごちゃまぜ」が重要だと訴えかけているんです。</p><p>人が人と交わることで元気になるだけではなく、そこには自然と手を取り合って協力し合う支援が沸き起こります。昔はそれが当たり前でした。例えば、ご近所さんとの間に「ちょっとだけうちの子を預かってくれない？」といったやりとりが発生していましたよね。でも、時代が変わり、そういったやりとりは無くなってしまいました。</p><p>でも、これから先の時代、昔ながらの助け合いが必要になってくるはずです。それは被災地に限った話ではなく、どんな地域においても、です。そもそも社会保障に対して潤沢な資金が用意されている時代ではないので、人と人とが助け合わなければ生きていけないんです。</p><p>――そうやって助け合うことで孤立や困難を防げることが「輪島KABULET」や「コミセンBASE」を取材して、改めて理解できました。</p><p>雄谷：そうですね。被災地でいうならば、災害関連死を減らせると思います。東日本大震災や熊本地震の時と比べても、能登半島地震の災害関連死の割合は減少傾向にありますから。</p><p>ただ、残念ながらそれを数値として証明することは難しい。被災地で生き残った人がいて、その人がどうして生き延びることができたのか、例えばそこに「見守り」がどれくらい寄与したのかは証明できないんです。</p><p>だから、災害関連死を防ぐために「コミセンBASE」がどれくらい役立っているのかは証明できないんですが、私たちは評価してもらうために活動しているわけではないので、自分たちの活動を続けていくことが地域の復興につながると、信念を持って取り組んでいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/bussien_20.jpg">雄谷さんの思いが全国に広がったとき、災害支援の形も変わるかもしれない<p>――今後の目標や展望はありますか？</p><p>雄谷：「コミセンBASE」を全国的な福祉モデルとして展開していくことです。</p><p>仮に地方の中山間地域に展開できれば、万が一そこで震災が起こったとしても、すぐに対応できますよね。高齢者の方が頼れる場になって、それ以外の人たちも集まれる。見守り機能もあるし、働ける場として雇用も生まれる。そんなふうに「起こったときに駆け込める場所」として「コミセンBASE」が全国に広まるように尽力していきます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1eb9bd78d209d1d3c491bf78fe8c7bde" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「コミセンBASE」のスタッフが考える、被災地の復興に私たちができること</h2><p>「コミセンBASE」で働きながら、日々、輪島市の被災者たちと関わるスタッフの皆さんに、被災地が1日も早く復興するために、私たちにできることを教えてもらいました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8b3cf198a4b6cefebb1edf63247e57f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］被災者の困難に耳を傾ける</h2><p>遠く離れた場所で生活していると、被災地のことを忘れてしまいがち。だからこそ、新聞やニュースで被災地の情報を見かけたら、周囲の人々に共有する。そのことが、能登半島地震の風化を防ぐ</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e320e3350126171a6887dd1dc916dea2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］被災地の情報発信に協力する</h2><p>現場の声は貴重な情報源。例えばSNSで被災地の人が何かを発信していたら、それを拡散することも支援につながる。情報を広める前に「誰が、どんな目的で発信しているのか」も意識をしながら、被災地からの声を全国に届けるよう協力しよう</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7cbaa38a39b2563f2428817c3c3876cd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］実際に足を運んでみる</h2><p>被災地へ実際に足を運ぶことで、ニュースだけでは分からないことが見えてくる。そこで暮らす人々と交流することで、励ますことができるかもしれない。また、現地でおいしい食事を楽しんだり、観光を楽しんだりすることも、復興への大きな力となる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>思うように復興が進んでいない能登半島地震の被災地。しかし、そんな中、被災地の人々の笑顔が集まる場所があるという情報を得て、佛子園に取材を申し込み、その活動を牽引する雄谷さんにお話を伺うことができました。</p><p>輪島市での取材を通して感じたことは、いくらきれいな仮設住宅や、豊かな物資が行き届いても、人と人との縁がなければ、人は元気に暮らすことが難しいということ。「コミセンBASE」で見た、スタッフと仮設住宅に住む人々とのやりとりを目にし、心からそう感じました。</p><p>「コミセンBASE」のような場所が、日本だけでなく世界中に広がることを願います。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_362a8756f5eaf783012c4cf83a7c4aa2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_485028b7f6ccded4b8a260db90d2ec8c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">雄谷良成（おおや・りょうせい）</h3><p>社会福祉法人佛子園・理事長、公益社団法人青年海外協力協会・会長、日蓮宗普香山蓮昌寺・行善寺・住職。石川県金沢市生まれ。金沢大学卒業後、青年海外協力隊に参加。ドミニカ共和国で障害福祉の指導者育成のための活動を行う。帰国後、北國新聞社に入社、金城大学非常勤講師などを経て現職に。石川県を中心に、高齢者や障害者、外国人など、さまざまな属性の人たちを「ごちゃまぜ」にし活性化するまちづくりに尽力している。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>医療的ケア児とその家族が安心して暮らせる地域づくりとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116613/intractable_disease</link>
      <pubDate>Thu, 23 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>医療的ケア児を抱える家庭では、課題が「子ども・親・きょうだい」へと連鎖的に広がる</li><li>Burano Oyamaは、「医療的ケア児の居場所づくり」「親の就労支援」「きょうだい支援」を一体的に提供し、家族全体を支える</li><li>福祉との関わりは「人生とは何か」という根本的な問いを深め、人生観を豊かにする</li></ul><p></p><p>栃木県小山市にある「Burano Oyama（ブラーノ オヤマ）」は、2024年5月に日本財団<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/fukushi-kenchiku" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「みらいの福祉施設建築プロジェクト」（別タブで開く）</a>の助成を受けてオープンした、医療的ケア児や重症心身障害児とその家族を支援する多機能型デイサービス施設です。</p><p>運営は<a href="https://burano.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人Burano（外部リンク）</a>で、茨城県古河市に続いて2カ所目の拠点となります。理事の秋山政明（あきやま・まさあき）さんは、自身も医療的ケアが必要な子どもを持つ親。秋山さんは、既存の福祉制度だけでは子どもたちの成長に必要な「出会いや経験」が十分に得られないことを問題視し、地域とのつながりを重視した支援を目指してBuranoを開設しました。</p><p>今回は、医療的ケア児とその家族に必要な支援、これからの福祉施設に求められるもの、地域との連携が生まれやすくなる仕組みやきっかけづくりについて、秋山さんに伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00004.jpg"><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/45091" target="_blank" rel="noreferrer noopener">連載【難病の子どもと家族、地域を紡ぐ】記事一覧（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_9ad95e04f7902642ea3f74b4c3e7ff14" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">医療的ケア児だけでなく、親やきょうだいたちも含めて全体をサポート</h2><p>――Buranoの事業内容について教えてください。</p><p>秋山さん（以下、敬称略）：Buranoは2018年に立ち上げた団体で、現在は主に3つの事業を行っています。</p><p>1つ目は、医療的ケアが必要な子どもや、重度の心身障害を持つ子どもたちのために「居場所」を提供する事業です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00008.jpg">Buranoにて、粘土で遊ぶ子ども。画像提供：一般社団法人Burano<p>秋山：2つ目は、親御さんの就労支援です。医療的ケアが必要な子どもを持つ親御さんの多くは、子どものケアのため、フルタイムで働くことができないという現状があります。そこで、時間や場所の制約を受けずに働けるよう、クラウドソーシングの仕組みを取り入れ、施設内にコワーキングスペースを用意し、親御さんが働ける環境を提供しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00002.jpg"><p>秋山：3つ目は、医療的ケアが必要な子どものきょうだいを支援する事業です。親御さんが医療的ケア児に付きっきりになる中で、そのきょうだいたちは寂しさや不安を感じながらも我慢をしていることが少なくありません。休みの日に施設に集まって一緒に遊ぶことで、幼なじみのような関係が生まれ、思春期以降も悩みを共有できるつながりができることを目指しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00006.jpg">Burano利用者のきょうだいも参加したクリスマス会の様子。画像提供：一般社団法人Burano<p>――どうしてBuranoを立ち上げようと思われたのでしょうか。</p><p>秋山：医療的ケアが必要な子どもや重い障害がある子どもがいる家庭では、課題が連鎖していきます。</p><p>例えば、まず「子どもたちの居場所がない」という課題があります。そのため多くの場合、親御さんが24時間子どもに寄り添って世話をしなければならず、働くことを諦めざるを得なくなります。さらに親御さんが子どものそばを離れられなくなることで、きょうだいが疎外感を覚えることもあります。そのきょうだいたちは家族が置かれている状況を理解しているからこそ、わがままを言うこともできません。このように、課題が複合的に連鎖していくのです。</p><p>医療的ケアが必要な子どものための団体、母親の就労を支援する団体、きょうだいを支援する団体はそれぞれ別々に存在しています。その結果、1つの家族への支援がバラバラになってしまうという現状が設立当初はありました。こうした課題を1つの組織で包括的に解決できる「面」のモデルをつくり、家族を多面的に支えていきたかったというのが大きな理由です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_003fd1dccea5064a13d21cc904607097" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">県内2番目に大きな都市から、新しい福祉モデルを広げたい</h2><p>――「みらいの福祉施設建築プロジェクト」を知ったきっかけはなんだったのでしょうか。</p><p>秋山：Buranoは、最初の事業所を立ち上げる際に日本財団から助成金をいただいてスタートしていて、その後も関係を続けていました。そのため、日本財団から新しいプロジェクトが始まるという案内をいただいていました。</p><p>――プロジェクトを知って、すぐに申請を決めたのでしょうか。</p><p>秋山：実はご案内をいただく前から、新しい拠点をつくろうという動きがありました。最初につくった事業所は茨城県古河市にあり、現在では12の自治体から利用者の方が通っています。定員は5名なので、受け入れられる数が足りていない状況だったんです。そのため、拠点を増やすことはどうしても必要で、プロジェクトの公募が始まったタイミングで、すぐにチームをつくって申請しました。</p><p>――新たな拠点として小山市を選ばれた理由はなんでしょうか。</p><p>秋山：これには医療的ケア児を取り巻く制度的な課題が関係しています。2018年にBuranoを立ち上げた当時、医療的ケア児への対応は自治体によって大きく異なり、住んでいる場所次第でサービスを受けられるかどうかが決まってしまう「行政の壁」がありました。2021年に医療的ケア児支援法（※）が成立しましたが、それ以前は国として医療的ケア児の明確な定義がなく、各自治体が独自に解釈していたのが実情でした。</p><div id="tnf-text-notes-block_e38c625acfc77f110cbd315be6420eca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「医療的ケア児支援法」とは、人工呼吸器など医療的なケアを日常的に必要とする子どもと、その家族が適切な支援を受けられるようにするために制定された法律</div><p>――具体的にはどのような問題が起きていたのですか。</p><p>秋山：例えば、医療的ケアが必要でも「自分で歩ける」「知的障害がない」といった理由で障害者手帳が発行されず、結果的に障害福祉サービスを利用できないケースがありました。一方で、障害者手帳がなくても医師の意見書があれば福祉サービスを受けられるよう配慮してくれる自治体もあり、担当窓口の判断によって対応に大きな差が生まれていました。</p><p>私は当時古河市の市議会議員でしたので、まず古河市でモデルケースをつくり、この事例を広げていこうと取り組んでいました。</p><p>ところが県境を越えると急にハードルが高くなります。茨城県の事例を栃木県に提示しても「それは茨城県の話ですよね」と言われ、さらに宇都宮市と小山市では財政規模が違うから「同じようにはできない」と断られることもありました。</p><p>小山市は栃木県で2番目に大きな市です。だからこそ、ここで医療的ケア児に対する理解を深め、成功事例をつくって近隣自治体に広げていきたい。そう考えて、小山市に2つ目の拠点をつくることを決めました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00005.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_28a36a867ce890c92f5f5106f191be8d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">医療的ケア児に、学びや遊びの機会を増やしたい</h2><p>――Burano Oyamaならではの特色はありますか。</p><p>秋山：多くの施設がアパートの一室や空きテナントを改装してつくられる中で、Buranoには庭があり、自然に囲まれているのは大きな特徴だと思います。壁一面を窓にしているのも、自然を全身で感じてもらいたいからです。医療的ケア児の多くは自然と触れ合う機会がほとんどないんです。だからこそ、日常の中で季節のうつろいや小さな変化を味わえる環境を大切にしました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00003.jpg">Burano Oyamaに設置されている大きな窓<p>秋山：以前読んだ本に「障害がある子どもたちにとっては、葉っぱの色が季節ごとに変化したり、落ちたり……といった、当たり前の風景が大きな出来事となり、その美しさに心を動かされる」と書かれていました。そうした体験を、ここで日常的に積み重ねてほしいと思っています。</p><p>――これまでの福祉施設や、社会制度に不足している点はなんだと思われますか。</p><p>秋山：いちばん足りないのは、子どもたちにとっての「学び」の機会でしょう。医療的ケアが必要というだけで、通常の保育園や小学校に入れないケースも多く、小山市ですと隣の市にある特別支援学校に通わざるを得ないという現状があります。片道40分以上かかることもあり、これは親にとっては大きな負担になりますし、体調の問題などで毎日通うのが難しいことも少なくありません。</p><p>また、自宅に先生が来てくれる訪問学級という制度もありますが、週に3日、1回2時間ほどで、そうなると、学びの機会が限られるだけでなく、同世代の友達とつながる時間そのものがなくなってしまうんです。本来なら学校で自然に身につくはずの社会性も育ちにくいでしょう。</p><p>それに、多くの施設では送迎や入浴介助など介護に近い支援に力を入れがちです。もちろん必要な支援ですが、その分、子どもたちと遊んだり活動したりする時間や人手が足りなくなってしまう。結果的に「学び」や成長の機会が後回しになってしまいます。</p><p>だからBuranoでは、子どもたちが自然や地域の人と関わりながら、いろんな経験を通じて学んでいける環境づくりを大事にしています。</p><p>――オープンから1年が経ちましたが、地域とのつながりは生まれましたか。</p><p>秋山：オープンのときに近隣の20世帯へご案内を出したんです。それからは、散歩の時にすれ違った方に挨拶したり、最近では向こうから声をかけてくださったりすることもあって、少しずつ関係が深まってきているのを感じます。</p><p>――親御さんからはどのような声が寄せられていますか。</p><p>秋山：「子どもの活動の幅が広がった」という声が多いですね。以前は室内での活動が中心でしたが、ここには庭があるため、子どもたちが自然と外に出て遊ぶようになりました。雪が降ったら雪遊びをしたり、虫取りに出かけたり……。子どもたちの「やれること」「やりたいこと」が広がって、創造性が豊かになっていると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/burano00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f4eccf88913ad2b21da89c7c859bee4a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉に触れるということは、人生の幅を広げるということ</h2><p>――身近に福祉サービスを受けている人がいないと、「自分には関係ない」と思う人も少なくありません。福祉に興味を持ち、関わってもらうために、どんな工夫やきっかけが必要だと思いますか。</p><p>秋山：Buranoでいうと「動き続けること」ですね。意図的に大きなイベントを仕掛けるのではなく、散歩や買い物など、毎日の小さな活動を積み重ねることで、地域との関わりが自然と生まれます。そこから地域の皆さんの関心へと広がっていくのではないでしょうか。</p><p>――実際に関わりを持つことで、どのような変化や気づきが生まれるのでしょうか。</p><p>秋山：ひと口に障害といっても、視覚、聴覚、知的、精神など本当にさまざまです。それぞれ異なる状況にある人と関わる中で、「生きるとは何か」「人生とは何か」といった根本的な問いを日々突きつけられ、自分なりに考え続けています。その積み重ねによって、人生に対する視野が広がっていきました。</p><p>私の子どもは筋肉の病気で歩くことができませんが、毎日一緒に過ごしているからこそ、単に「かわいそう」という感情だけでは済まされません。歩けなくても、その子ならではの個性や魅力を見つけていく。</p><p>同じようにさまざまな人と出会うたびに新たな問いが生まれ、真摯に向き合えば向き合うほど、人の価値をより多角的に捉えられるようになってきました。</p><p>――秋山さん自身の価値観も変化していったのですね。</p><p>秋山：はい。以前の僕は「他者と比較して優れていることが価値」と考えていました。でも、福祉に関わる中で、その価値観は崩れていきました。</p><p>誰かと比較しなくても、人には価値があり、幸せ、豊かに生きられる。そのことに気づけるのが福祉だと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e2791ec9e6bd4717ac0221bc0be696ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">福祉に対する考え方をアップデートするために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に秋山さんに福祉に対する考え方をアップデートするために、私たち一人一人にできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0bbbdc4b7dc2f3bd3e82c7ce30543ae9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］固定観念を疑い、自分の価値観をアップデートする</h2><p>福祉に対する「3K（きつい・汚い・危険）」といったイメージや「障害者はかわいそう」「人生の価値は他者と比較することで決まる」といった思い込みを一度立ち止まって疑ってみる。自分が無意識に持っている偏見や先入観に気づくことが、真の理解への第一歩となる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_efb0bc17c054bccb3d5ff209663d14c9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］実際に福祉の現場や障害のある人々との接点をつくる</h2><p>ボランティアや施設見学、イベント参加などを通じて、多様な障害や背景がある人と実際に出会う。一人一人の個性や魅力を発見し、人間を多面的に理解できるようにする</p><h2 id="tnf-text-heading-block_492e42ce080f9c6e433e563534a6c8c7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］自分の幸せは、自分で定義できるようにする</h2><p>障害に対して辛辣なコメントを寄せる人がいる。それは、他人と比較して「できる、できない」という評価軸を重視し過ぎているから。自分の幸せや生きている価値は、他人との比較ではなく、自分自身で定義するもの。そうした価値観を持てるようになったとき、障害や福祉に対する考え方もアップデートできる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>現代の福祉施設に求められるもの、従来の福祉施設にはなかった新しい要素を探るため、今回、秋山さんにお話を伺いました。</p><p>「地域の人たちに、愛着が持たれる施設にしたい」という秋山さんの言葉もありました。<a href="https://burano.or.jp/ourdays" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Buranoの公式サイトに掲載されている記事（外部リンク）</a>を読むと、単なる福祉施設ではなく、利用する子どもたちや家族にとって大切な居場所なっているのだと感じます。</p><p>Buranoのような取り組みが全国各地の自治体にも広がってほしいと思います。</p><p>撮影：永西永実</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：地域と障害者をつなぐ——社会福祉法人たからばこ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116713/academy</link>
      <pubDate>Wed, 22 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団は、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>2025年6月、福岡県柳川市に拠点を持つ<a href="https://www.takarabako97.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人たからばこ（外部リンク）</a>は、この助成金を活用して強度行動障害（※）のある方も受け入れるグループホーム「宝箱グループホーム ななほし」を開設しました。地域の事業所と連携して、段階的な地域生活への道のりを支援する「集中支援室」を併設するホームは、全国初の取り組みです。</p><div id="tnf-text-notes-block_37a1c12ef226b621e904685aa7187fc7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「強度行動障害」とは、自分の体を叩いたり、食べられないものを口に入れたりするなど、周囲の人の暮らしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態。参考：<a href="https://www.rehab.go.jp/ddis/data/material/strength_behavior/" target="_blank" rel="noopener">国立障害者リハビリテーションセンター「強度行動障害支援者研修資料 」（外部リンク）</a></div><p>また、運営をたからばこのみで行うのではなく、地域の複数の福祉事業所と連携して協働支援を行う仕組みも、人的リソースの限られた地方都市における福祉の在り方として注目されています。</p><p>今回は、業務執行理事の覚知康博（かくち・やすひろ）さん、「宝箱グループホーム ななほし」管理者の覚知直美（かくち・なおみ）さんのお2人に、施設の特徴や、助成金申請から受給のプロセス、受給の成果などについてお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_1.jpg"><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_da2e2c5dbf5ca0add2808f352b84e7a3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">革新的な支援で実現する、強度行動障害者の地域生活</h2><p>――社会福祉法人たからばこの活動について教えてください。</p><p>覚知康博さん（以下、康博）：福岡県南部の柳川市、みやま市、大川市をエリアとして、障害のある方々へのさまざまな支援を3拠点で8事業展開しています。28年前（1997年）、地域で行き場のない障害者の方々がいたことから共同作業所を開設したのが活動の出発点でした。どんなに重い障害のある人でも、一人ではなく仲間と一緒に働いたり暮らしたりすることができる地域を目指すのが、私たちの基本理念です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_2.jpg">たからばこで業務執行理事を務める覚知康博さん<p>――今回助成を受けた事業の対象となる「強度行動障害」について、ご説明いただけますか。</p><p>覚知直美さん（以下、直美）：強度行動障害とは、自身の障害による特性のため（例えば、見え過ぎることでの混乱など）自分や他者を傷つけてしまう行動が頻繁に現れる障害の状態です。自分自身を叩いたり髪の毛を引き抜いたりする自傷行為、他の人を蹴ったり叩いたりする他害行為などがあります。</p><p>激しいこだわり行動も見られるため、なかなか受け入れる施設は少なく、対応が困難とされることが多いのが現状です。その場合はご家族が対応するしかないのですが、24時間目が離せない状態に疲弊してしまい、結果として精神科病院への長期入院しか選択肢がない、というケースも少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_3.jpg"><p>――助成金で開設された「宝箱グループホーム ななほし」にはどのような特徴があるのでしょうか。</p><p>直美：強度行動障害のある方を受け入れるには、その特性に配慮した施設設計が不可欠です。例えば、ガラスを割る感覚を楽しまれる方がいらっしゃったら、通常のガラスでは簡単に割れてしまいますから、割った感覚を得ることで問題行動がさらに強化されてしまいます。</p><p>しかし「ななほし」の窓は全て強化ガラスにしてあるため、ハンマーで叩かないと割れることはありません。割る刺激を与えないことで、問題行動の抑止になるのです。見え過ぎるのが苦手な方、音が苦手な方、突起物（例えばドアノブ）が苦手な方の刺激をなるべく減らせる構造が必要です。</p><p>また、居住空間内は鍵のかかる引き戸で細かく区切れるようになっています。これは、水を見ると長時間水浴びをしてしまう、服を脱ぐといった方がお風呂場やキッチンなどの水場を見なくてすむように、状況に応じて扉で壁をつくることで、問題行動を引き起こす刺激を適切にコントロールするためです。</p><p>康博：ホーム内に集中支援室を併設したことが、今回の事業で最も重要な特徴です。これは全国で初めてとなる取り組みで、精神科病院から退院された方がいきなり集団生活を始めるのではなく、まず数カ月間、集中的な支援を受けて生活リズムを整えていただくための居住スペースです。</p><p>直美：集中支援室にいる間は、その方の状況によっては、一人で過ごしていただき、排泄をトイレ以外で行うことや人前で服を脱いでしまうという「そのような問題」がなぜ起きてしまうのかを探り、暮らしにくさを軽減する支援を試行錯誤します。その後、扉で区切られた複数のスペースを、その方の適応状況に応じて順次開放し、他の入居者との接触を段階的に増やしていく設計になっています。</p><p>他にも、便や尿を洗い流せるよう各部屋の床に排水口を設置する、エアコンや照明など凹凸のあるものは壁面に収納するなど、強度行動障害のある方を受け入れるには一般のホームとは違う特殊な構造が必要になります。助成金をいただかなければ絶対に実現できませんでした。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_4.jpg">「ななほし」の集中支援室。防音面、衛生面、安全面に配慮されている</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_5.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_f46ef9750a92f6ec2a6b0c41d1416595" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">諦めない行動が生んだ機会</h2><p>――そもそも、なぜ集中支援室という発想に至ったのでしょうか。</p><p>康博：きっかけは2021年に、一人の強度行動障害のある方の地域移行を失敗した経験でした。精神科病院からのグループホームへの入居だったのですが、病院と比べて刺激の多いグループホームの生活に適応できず、再び病院に戻ることになってしまったのです。</p><p>この失敗を繰り返さない決意で研究会を立ち上げ、導き出されたのが「病院とグループホームの間に、生活の刺激に慣れるための中間的な支援段階が必要だ」という結論でした。</p><p>そこで、グループホームと集中支援室を組み合わせた施設を国庫補助申請で県に提案しました。「これは県にとっても必要な事業のはず。私たちの法人だけの問題ではなく地域の人や施設にもプラスになる」と訴えかけたのです。</p><p>――県に対して、強く思いを伝えられたのですね。</p><p>康博：はい。継続的に説明に伺っていました。そんな中で、県の担当者から「県としても強度行動障害のある方を支援する人材の育成事業を計画している。たからばこの構想と協力関係を築けるのではないか」というお話があったのです。</p><p>双方の目的をすり合わせた結果、県の事業と私たちのグループホームの協働事業という形で、国庫補助申請よりも助成率の高い日本財団への助成申請を提案いただいたのです。</p><p>――日本財団のポリシーに共感した点があれば教えてください。</p><p>康博：まだ日本ではどこも取り組んでいない、未来の社会課題に取り組む団体に助成するという方針です。実は、私たちの団体が最初にいただいた助成金も日本財団からでした。</p><p>その当時から先進的な事業を支援している印象がありましたが、半歩先を行く取り組みへのまなざしは本当に素晴らしいと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_6.jpg">日本財団の助成申請書類をはじめ、福岡県の協力を得て作成した計画書類などしっかり管理されている</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_7.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e7de56667887cc861eee83c0ef954e2f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">不慣れなIT操作と格闘。行政との連携が成功の鍵に</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_47fb2db68c81686edc75608045096866" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金の申請から採択されるまで</h3><p>――実際の申請準備について、どのような準備をされましたか。</p><p>康博：事業構想は研究会を通じて3年ほど練り上げていたため、申請書の内容をまとめること自体にさほど困難は感じませんでした。それよりもIT操作に不慣れな60代の私にとって、最も大変だったのは全ての手続きをオンラインで行わなければならない点です。</p><p>手持ちのパソコンもスペックが不十分だったため、最初はかなり苦労しましたが、パソコンの買い換えを依頼した地元の事務機器販売店が事業を応援してくれて、朝7時に来て操作のサポートをしてくださったこともありました。</p><p>また、<a href="https://fields.canpan.info/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">CANPAN（※）（外部リンク）</a>への登録の仕方が全く分からなかったとき、日本財団のサポートセンターに電話すると、登録から申請書類まで非常に親切な指導をしていただきました。これらの協力がなければ、申請期限に間に合わなかったかもしれません。</p><div id="tnf-text-notes-block_3e1840627dbcafdc7c0b1dcab08e68a2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「CANPAN」とは、日本財団が運営する公益事業コミュニティサイト。助成申請の際には団体情報の登録が必要であったが、2024年10月以降は、日本財団 助成ポータルへの登録に移行</div><p>――申請書類の作成で、工夫された点はありますか。</p><p>康博：実際に書きこみながら申請内容を整理できる「申請準備ワークシート」という日本財団から提供されるツールを活用しました。A3用紙に必要事項を記入していけば、正式な申請書類に必要な内容が網羅されるので、あとは入力するだけの状態になります。</p><p>まとめるうえでは県との協働事業としてのゴールを意識して、私たちの構想と県が人材育成事業にかける思いを丁寧にすり合わせることに重点を置きました。</p><p>――申請後、採択されるまでの経緯はスムーズでしたか。</p><p>康博：実は、申請後の視察の場で財団側との議論がありました。私たちは入居者の半分を強度行動障害のある方、半分をそうでない方、という混合型のホームを提案していましたが、日本財団の調査によると「全員を強度行動障害のある方にした方が効率的」という事業所が多く、なぜそうしないのかを問われたのです。</p><p>単に助成金を出すのでなく、事業の在り方に真剣に向き合い、より良い成果を追求する姿勢に「さすがだな」と感じましたが、私たちが目指していたのは、あくまで強度行動障害のある方が地域と交流することを目指すグループホームです。最終的には、その考えを理解いただき、採択いただくことができました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_82eb3a858f8789530ecd6e334f0a743e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応と成果</h3><p>――助成金が支給されるまでの流れについて教えてください。</p><p>康博：建設事業は全工程が完了した後に建設費が入金されるシステムになっています。私たちの場合は、2024年4月の採択決定から建設工事完了後の2025年5月の入金まで、約1年かかりました。その間はこちらで資金を一時的に立て替える必要がありましたから、資金繰りの計画が重要でしたね。</p><p>また、日本財団の助成金は建設過程のさまざまな段階に応じて必要書類を提出する仕組みになっています。消防署の証明書など、一つの工程で4、5種類の書類提出が求められることもあるので、その準備と提出に思った以上に時間を要しました。</p><p>――助成金を活用して良かったのはどういう点でしょうか。</p><p>康博：資金面での効果は絶大でした。国の補助金は県の補助も合わせて対象経費の4分の3が上限ですが、日本財団は10割補助（※）でしたので、実質的には約1.3倍の支援をいただいたことになります。しかし近年の資材高騰や人件費上昇によって、建設費も設計当初から1.5倍に膨らんでいましたので、財団の手厚い支援がなければ事業の実現は困難だったと思います。</p><p>直美：助成金申請をきっかけに、県と連携できたことで、発達障がい者支援センターの地域支援マネージャーとの協働が非常にスムーズになりました。これまで個別に相談していた専門的な支援方法について定期的に指導を受けられるようになり、地域全体での支援の質向上にもつながっています。</p><div id="tnf-text-notes-block_7505e324e3decdbad22570aafbe61674" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※日本財団の補助率は、原則、助成対象事業費の80パーセント以内ですが、事業を行う団体の性格、事業の性質等を勘案し、例外的に80パーセントを超える補助率を適用する場合があります</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_8.jpg">「ななほし」を建設するにあたって行われた地鎮祭の様子。画像提供：社会福祉法人たからばこ </div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_takarabako_9.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_34eb596547d709e0d61bdc6457138621" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域に根ざした支援モデルの確立を目指して</h2><p>――今回の事業を通じて、今後どのような展望をお持ちでしょうか。</p><p>直美：今後も地域との連携が不可欠だと考えています。自分たちだけの体制に依存していては、何かあったときに対応できないからです。</p><p>例えば、コロナ禍で私たちの施設が閉所した際、他の事業所と連携していたことで利用者さんを受け入れていただくことができました。私たちの活動だけでは限界がありますので、障害のある人を地域全体で受け止められるシステムを構築していきたいですね。</p><p>康博：そういった意味では大都市部のように資金や人材が潤沢ではない、私たちのような地方都市にある中規模法人でも強度行動障害のある方への対応が可能だ、ということを実証したいです。まずは、「ななほし」を通じて一人でも多く地域移行の成功実績をつくることができれば、地方にある他の事業所も「私たちにもできる」と思っていただけるかもしれない。</p><p>この助成金事業をきっかけに、グループホームや行動援護（外出支援）の1つのモデルケースになれたら、と考えています。</p><p>地域との関係で印象的なエピソードがあります。感覚刺激を好む利用者の方にカスタネットを持って散歩してもらっているのですが、最初は近所の子どもたちから「カスタネットおじさん」と呼ばれていました。しかし、子どもの居場所活動をしている方を通じて子どもたちとの交流が生まれたことで、「名前も知らない不思議な人」から「カスタネットが好きな○○さん」と、顔と名前の分かる関係性へと変化していったのです。これは非常に意義深いことです。</p><p>入所施設では施設内で行動が完結してしまいますが、たからばこが目指しているのは、地域の中に「ちょっと変わった人もいる」ことが自然に受け入れられる社会です。強度行動障害のある方が自分のまちのグループホームで暮らし、日中活動に通いながら、地元の人々との接点や交流をつくり出していけたらと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1d3d66908992e48b443c4e3762efacc7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">本財団担当者が見た「宝箱グループホーム ななほし」助成事業の魅力</h2><p>最後に日本財団の事業担当者・宮原幸世（みやはら・こうせい）さんから、たからばこが取り組む「宝箱グループホーム ななほし」の事業の魅力について聞きました。</p><p>——同事業の助成につながったポイントはなんでしょう。</p><p>宮原さん（以下、敬称略）：いま、強度行動障害のある方の支援に携わる人材は全国的に不足しており、そのため受け入れ先が限られてしまい、ご家族の方の大きな介護負担が課題となっています。</p><p>そのような背景の中、たからばこは福岡県と連携し、柳川市を中心に行政・医療機関・障害者支援施設などの協働体制を構築されました。グループホームにおいて支援人材を育成する研修を行うことで、地域全体の受け入れ体制の強化および家族の負担軽減を目指しています。</p><p>また、研修には県内各地からの参加も見込まれ、他地域への広がりも期待される先進的なモデル事業と考え、助成に至りました。</p><p>——同事業のどのような点に期待されますか。</p><p>宮原：たからばこのグループホームには「集中支援室」が備えられており、精神科病院から退院された方が、スムーズな地域移行のために集中的な支援を受けて生活リズムを整えることを目的とした支援を行うことができます。また、自団体のみならず強度行動障害のある方の支援に関心のある地元のグループホーム・生活介護事業所や放課後等デイサービス事業所に参加を募り、研修を実施することで、地域の支援人材の育成にも活用されることを期待しています。</p><p>そのことにより支援人材が増え、精神科病院に入院されている強度行動障害のある方が、一人でも多く地域移行することで、ご本人やご家族の方が望む生活を送れるようになることを願っています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本財団から社会福祉法人たからばこへの助成額</p><p>8,924万円（2024年度）</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>潜在的な里親候補者は100万世帯！なぜ、里親・養子縁組制度が日本に普及しないのか？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2019/17667</link>
      <pubDate>Tue, 21 Oct 2025 14:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>日本財団の調査によると潜在的な里親候補者は100万世帯いるのに、実際に里親家庭で生活する子どもは約8,200人（2024年度。ファミリーホーム含む）</li><li>里親制度や特別養子縁組制度が普及しないのは、圧倒的な情報不足が一つの原因</li><li>里親には経済的な支援があり短期委託も可能。制度への理解が進めば、多くの子どもが家庭を得られる可能性がある</li></ul><p></p><p>※この記事は2019年2月12日に公開した記事を再編集しています</p><p>「里親」や「特別養子縁組」と聞くと、どこか遠い言葉に感じる方が多いかもしれない。しかし生みの親と離れて暮らす子どもが、日本には約4万2,000人（※）いる。そのうち8割近くが、乳児院や児童養護施設で生活を送っているという。</p><p>これは、先進諸国と比べても圧倒的に多い。里親委託率だけでいえば、アメリカが82パーセント、イギリスが73パーセントであるのに対し、日本が25パーセント（※）にとどまっている。</p><p>2020年に民法が改正され、法律的に養子となる子どもと実の親子に近い関係を結ぶ「特別養子縁組制度」の対象年齢が、6歳未満から15歳未満に引き上げられた。15～17歳でも一定の条件下で縁組が認められるほか、実親の養育が著しく困難または不適当な場合には実親の同意がなくても児童相談所が家庭裁判所に申し立てができる制度が創設された。これにより、家庭復帰の見込みのない乳幼児を特別養子縁組につなげる機会が広がった。</p><p>そこで、里親制度や特別養子縁組制度の普及におけるこれまでの日本の遅れの原因と、改善の糸口を探るべく、日本財団国内事業開発チームの高橋恵里子（たかはし・えりこ）さんに、2017年に行われた「『里親』意向に関する意識・実態調査」の結果とあわせて話を伺った。</p><div id="tnf-text-notes-block_c9bf83214af664059fec6172a55dd8a8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：こども家庭庁支援局家庭福祉課「社会的養育推進に向けて」令和 7年10月 </div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/01/1219zaidan1_49I4140.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_05b92c72502f653a5985631023e1a5fe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもにとって、里親制度や特別養子縁組制度の必要性とは</h2><p>そもそも「里親制度」や「特別養子縁組制度」とは何か。何らかの理由で実親と離れて暮らす子どもたちを家庭に迎え入れることには変わりないが、制度によって親子の関係性に違いがある。以下を確認してみよう。</p><p>里親（養育里親）制度：子どもを一定期間預かり育てること。里親と子どもの間に法的な親子関係はなく実親が親権を維持する。子どもの対象年齢は原則0～18歳まで。月々9万円＋養育費約5〜6万円の補助（※1）、そのほか教育費、医療費などの支援がある。</p><p>特別養子縁組：原則15歳（※2）までの子どもを、育ての親が法律上も子どもとして家族に迎え入れること。親権のほか相続権や扶養義務などは全て育ての親に移り、生みの親との法的な親子関係は残らない。</p><p>ちなみに、家系存続のためなど成人にも広く使われる養子縁組は「普通養子縁組」で、子どもの年齢制限は設けられておらず、特に保護を必要とする子どもが、実子に近い安定した家庭を得るための制度である特別養子縁組とは異なる。</p><p>さて、そんな里親制度や特別養子縁組制度はなぜ必要なのだろうか。</p><p>「子どもにとって、生活の場を安定させるのはとても大事なことです。親、もしくは親代わりの特定の大人に受け入れられ、関係を築くことで、安心感を得られる。そうして自己肯定感を得ることで、（精神的に）健康な、人を信頼できる大人に育つことができるのではないでしょうか」と高橋さん。</p><p>家庭環境と子どもの発育は大きく関わっている。子ども時代に虐待を受けると脳が萎縮してしまう、というのは有名な話だ。さらに親がアルコール依存症であるなど、健全とは言えない環境で育った子どもは、将来的に健康や寿命にも悪影響を及ぼすとの研究結果も出ているそう。また中には、生まれて間もない頃から何らかの理由で生みの親と暮らすことができない子どももいる。そういった子どもたちを保護するのが、乳児院や児童養護施設だ。</p><p>「施設が必要ないということではありません。たとえば思春期で、今さら別の家庭に入っても気を使ってしまうので、児童養護施設での生活を望むこともあるでしょうし、施設でのより集中的なケアを必要とする子どもいます」と、高橋さん。しかし生まれたばかりの赤ちゃんや小さな子どもとなると、特定の大人と愛着関係を築く時間が必要だ。国連のガイドラインでも、実親の元に帰れないのなら、養子縁組をしてずっと続く家庭に入ること、それが難しければできる限り里親のような家庭的環境で育つことを目標としている。</p><div id="tnf-text-notes-block_25a6bbe3764b41840c2e6f8fd722d48a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.2025年4月時点の費用</div><div id="tnf-text-notes-block_67076adb95c300b7ef319b9d60a2feeb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2.2020年4月に改正</div><p>図表：養子縁組と里親制度の違い</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2022/11/wha_pro_chi_inf-1024x576.png">養子縁組と里親制度では、親子関係、年齢制限などさまざまな違いがある<h2 id="tnf-text-heading-block_3bc511682d3655e54decf90c99430409" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">国を挙げて子どもたちと向き合い、権利を尊重するべき</h2><p>日本には家庭で暮らせずにいる子どもがたくさんいる。しかしその実態を知る人や、実際に養子縁組制度や里親制度を利用する人が日本では非常に少ない。「血縁を重んじる文化があるから」などその原因には諸説あるが、そもそも制度自体を知らない人が多いことが問題のようだ。アンケート調査によると、里親制度については「まったく知らない」「名前を聞いたことがある程度」と回答した人が6割以上だった。</p><p>その理由の一つが、国が里親の制度普及ににお金を使ってこなかったことではないかと高橋さんは話す。</p><p>「例えば児童養護施設に保護された子どもの約7割が里親と暮らすイギリスでは、普及活動が大々的に行われています。テレビやラジオCMを放送したり、ポスターを作ったり、さまざまな方法で里親のリクルートをしたりと、時間とお金をしっかりかけています。また、里親の研修や支援をする民間機関にも多額の補助金を出しています」</p><p>また、日本は法律的に親の権利を重視する傾向が強いことも制度が普及しない原因の1つと言えるようだ。「親の権利が守られていること自体は悪いことではありませんが、時に子どもの権利を奪う原因になります。親が同意しないという理由で、長期間一時保護所で生活していた、という子どもの話を聞いたこともあります」と高橋さんは言う。</p><p>2023年4月にスタートした「こども基本法」でも、家庭養育を優先とする原則とともに、子どもの最善の利益を優先すること、子どものが自分に直接関係することに関して意見を表明する機会が保障されることが定められた。子どもは安心でき、安全で愛にあふれる家庭で育つことが重要であると社会が認識を深めていけば、里親や特別養子縁組も、もう少し当たり前のこととして普及していくかもしれない。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/01/1219zaidan1_49I4191.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_55e0d9058fbf05021126a6968b2dbb34" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親には国からの経済的なサポートがある</h2><p>日本では里親制度や特別養子縁組制度があまり知られていない。とは言え、なにも無関心なわけではない。アンケート調査の結果、6.3パーセントの男女が「里親になってみたい」「どちらかというと里親になってみたい」と回答した。これは里親の対象となる世帯として 30 代～60 代の「夫婦のみの世帯」と「夫婦と子どものみ世帯」を想定し、そこから生活保護世帯を除いた数はおよそ 1,780 万世帯であることから、約100万世帯が潜在的な里親候補者であることを示す数字だ。</p><p>「民間で里親のリクルートや支援をしているNPO法人キーアセットの経験では、最初の問い合わせから里親登録まで結びつく確率は2～3パーセントとのことです。もし100万世帯が行動に移してくれれば、今実親と暮らすことが難しいとされている子どもたちの多くに、家庭で生活するチャンスを与えられる可能性があります。もちろん、ただ里親の数を増やせばよいということではなく、研修や支援の拡充も一緒にやっていくことが重要です」</p><p>法律上、家族となって子どもを迎え入れるのが養子縁組制度であるのに対し、養育里親は、実親のもとへ帰る可能性のある子どもを一時的に育てることになる。年齢や期間がまちまちなため、子どもを育てたことのある人はその経験がプラスとなる。しかし、里親になることをためらう人が多い。大きな原因は経済面にあるという。</p><p>「里親には国からの経済的な補助があって、これを知っていたと答えた人は2パーセント以下でした」</p><p>養育里親には、毎月9万円の手当と、約5〜6万円の養育費。虐待を受けた児童や障害児など専門的ケアを必要とする児童を養育する「専門里親」であれば、月額14万1,000円＋養育費が国から支給される。</p><p>図表：里親の意向はあるが、現状里親になっていない理由</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2019/05/index2-5.png">経済的な不安で里親になっていない人は全体の4割近くもいる<h2 id="tnf-text-heading-block_b3dde9a70a5404edc55d55f55578535e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親制度を普及させ、より多くの子どもが健やかに育つために</h2><p>アンケート調査の回答者に、里親には手当が出るといった経済的サポートがあることや、短期の里親もあることなどの情報を提供したところ、最終的に里親の意向者は、6.3パーセントから推計で12.1パーセントにまで増える可能性があることが分かった。日本社会において里親制度や特別養子縁組制度の理解が進めば、高橋さんの思いが叶うのも夢ではない。</p><p>まずは子どもたちの現状を知り、救うための制度を知り、今の実態を人ごとではないと認識することが大切だ。未来の担い手たる子どもたち一人一人が幸せに、健やかに育つようサポートすること。これは子どもたち、ひいては私たちの幸せにつながるはずだ。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_0219960b067515b02949847c45022136" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">高橋恵里子（たかはし・えりこ）</h2><p>上智大学卒、ニューヨーク州立大学修士課程修了。1997年より日本財団で海外の障害者支援や国内助成事業に携わる。2013年、日本財団「ハッピーゆりかごプロジェクト（現：日本財団子どもたちに家庭をプロジェクト）」を立ち上げる。実親と生活することが難しい子どももあたたかい家庭で暮らすことのできる社会を目指す特別養子縁組や、里親の制度を啓発するべく活動を行っている。ハフポストではコラムを執筆している。</p><p><a href="https://nf-kodomokatei.jp/wp-content/uploads/2020/12/satooya2019.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団「『里親』意向に関する意識・実態調査（2019年3月）」報告書</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 02 Dec 2025 14:10:17 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>若者のための政策は若者がつくる。日本若者協議会に聞く、主体的に政治と関わる方法</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116529/election</link>
      <pubDate>Tue, 21 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>若者が投票したくなる政党がないのは、政策議論の場に若者がいないから。若者の意見を政策に反映させるための団体を設立</li><li>日本若者協議会が運営する民主主義博物館は、自分の持つ権利について知るための場所</li><li>日々の暮らしの中で対話を重ねて意思決定をすることで、「自分は社会を変えられる力を持っている」という実感につながる</li></ul><p></p><p>2025年の参議院選挙の投票率は58.51パーセントで、2022年の参院選の52.05パーセントを上回りました。18歳、19歳の投票率は41.74パーセントで、こちらも2022年の参院選の35.42パーセントを上回りました。若者の政治への関心が高まっているといえるでしょう。</p><p>しかし、若者の投票率向上は重要な第一歩であるものの、それだけでは十分ではありません。真の社会参加を実現するためには、選挙時のみならず日常的に社会課題への意識を持ち、継続的な参画を可能とする環境整備が不可欠です。</p><p>そんな中、若者の声を政策に反映させるため、<a href="https://youthconference.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人日本若者協議会（外部リンク</a>）は設立されました。また、日本若者協議会は私たちの社会を支える民主主義や政治、どう声を届けるかという社会参加の方法を実践的に学べる<a href="https://democracy-museum.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">民主主義博物館（外部リンク）</a>という施設も、2025年5月にオープンしました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00003.jpg"><p>若者が社会を変えるプレーヤーとなるためにはどういったことが必要なのか。また、なぜ民主主義博物館のような施設が生まれたのか。日本若者協議会の代表理事・室橋祐貴（むろはし・ゆうき）さんにお話を伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_93bfd775b593155e3f408fb02d716538" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">団体設立の理由は「政策を議論する場や意思決定の場に若者がいない」</h2><p>――日本若者協議会はどのような活動をしているのでしょうか。</p><p>室橋：若者の声を政策に反映させることを目指し、2015年に立ち上げました。20代を中心に政策提言や行政への申し入れや、政治に関するイベント開催など、幅広い活動を続けています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00007.jpg">団体設立のきっかけについて話す室橋さん<p>――室橋さんはなぜ日本若者協議会を立ち上げたのでしょうか。</p><p>室橋：政策を議論する場や意思決定をする場に、若者がいないということに大きな疑問を感じていたからです。</p><p>当時も政治参加を促す若者団体はあったのですが、ほとんどが「選挙に行こう」と、投票を呼びかけるようなものばかりでした。それも非常に素晴らしい取り組みだと思うのですが、私たちの問題意識としては、「若者が投票したいと思える公約を掲げている政党がない」ということが大きかったんです。</p><p>政策は選挙期間の前後に作られますし、そうした政策議論の場や意思決定の場に若者がいないため、若者目線での長期的な視点が生まれにくい。これこそが大きな問題だと考えていました。</p><p>例えばヨーロッパでは、政策立案過程で当事者である子どもや若者の声を聞くことが強く推進されており、若者協議会が公的に設置されるなど、制度化された取り組みが進んでいます。こうした団体こそが少子高齢化の進む日本にこそ必要だと思い、団体を立ち上げました。</p><p>現在は個人会員が1,000人以上、団体会員が80団体となり、2025年3月には、北欧の「デモクラシーフェスティバル」というものを参考にして、「民主主義ユースフェスティバル」というイベントを開催し、多くの若者に参加していただきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00008.jpg"><p>――「若者の声を政策に反映させることを目指す」という点について、これまでどのような意見が実際に反映されてきたのでしょうか。</p><p>室橋：最も分かりやすい例は「学校内民主主義」の推進です。多くの学校には髪型や服装など、学校生活のルールを定めた校則が存在しますが、風紀や規律を保つために一定程度必要とはいえ、「暑いのに日傘禁止」のような、生徒の自由と健康を損なう校則が今もなお残っているのが現実です。</p><p>本来は状況に応じて柔軟な運用をすべきところ、教師など大人が生徒との対話なしに決めたルールがそのまま運用されています。つまり、校則の意思決定プロセスに生徒たちが参画できていないのです。</p><p>日本若者協議会では、こうした子どもの権利について考える「学校内民主主義」検討会議を2020年から継続しており、2022年には教師向けガイドラインである生徒指導提要に「校則の見直しの際には生徒の声を聞くこと」といった指導方針や、子どもの権利を守る要項を新たに盛り込むことができました。</p><p>さらに2024年には、子どもの権利を守る考え方をより広く社会に浸透させるため、「学校内民主主義」の法制度化に向けた提言を文部科学省に提出（※）しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_b710740c1829d66a573007a7532ac4f3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/1499756c6a2aa876dd405cbf5be2ca094f898023" target="_blank" rel="noopener">Yahoo!ニュース – エキスパート – 「学校内民主主義法案」が国会に提出！日本の民主主義教育の転換点に（室橋祐貴）（外部リンク）</a></div><p>――学校の校則などの意思決定の場に子どもがいないということは、現在の政治の意思決定の場に若者がいないことと極めて近い状況だと感じました。</p><p>室橋：そうですね。学校の中でさえ、他者と対話してみんなでルールを決めるという経験が少ないんですよね。我々が活動の中で若者にヒアリングしていて実感したんですが、若者たちもそうした意思決定や政治参加に関心がないわけではないんです。</p><p>しかし、日本は「自分たちが声を上げれば社会を変えられる」という政治的有効性感覚が他国に比べて非常に乏しいと感じています。2020年に日本若者協議会が高校生800人に「自分たちの声で学校を変えられると思うか」というアンケートを取ったときに、約7割が「変えられるとは思えない」と答えたというデータもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_1257c76184464ed7526a06f41246355c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/ba0574442edeb0ba4a65081257914c179f12670f" target="_blank" rel="noopener">Yahoo!ニュース- エキスパート – 「『学校のことに関して意見を表明する場がない』校則見直しに生徒が関わる機会を求める児童生徒の声」（室橋祐貴） （外部リンク）</a></div><p>――それはどうしてなのでしょうか。</p><p>室橋：やはり、自分で何かを主張してルールや制度を変えるというような成功体験を積み重ねていないからだと思います。だからこそ、幼少期から学校などで自分の声を上げて何かを変えるという成功体験を積めるようにしていくことが重要なのではないかと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4cf106b4778e47fa67c6e099881a7f42" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">民主主義博物館は政治教育が進んでいない日本で、若者が民主主義について学べる場</h2><p>――民主主義博物館はどのような経緯で立ち上がったのでしょうか。</p><p>室橋：若者を中心に政治に関心のある方に向けて、政治や政治参加の方法について学べる場所をつくりたいという思いがありました。政治教育が盛んな韓国やドイツなどと比べて、日本は政治教育がほとんど進んでいません。</p><p>学校で衆議院と参議院の違いや参政権については、多少学びはすれど、政策決定のプロセスや、社会で決められているルールに不満や違和感を抱いたときの声の上げ方など、本質的に重要な部分の知識を持つ人はほぼいないんじゃないかと思います。</p><p>自身が持つ権利をどのように使いこなすのか、そして自身を取り巻く環境がどうなっているかを知るための場所がこの民主主義博物館です。誰もが政治や民主主義、自分の持つ権利について知るための拠点になればいいなと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00001.jpg">民主主義博物館を訪れた若者たち<p>――具体的にどのような展示があるのでしょうか。</p><p>室橋：政治を知る上で重要なキーワードを学べるパネルや、戦後日本の社会運動の年表、社会運動当事者のインタビュー映像を視聴できるコーナーなど、基本的な政治知識を学べる展示を用意しています。また、そうした資料コーナーだけではなく「あなたにとって民主主義とは？」「もし私が首相になったら」といった来館者の考えを投票して他の来場者と比べることができるコーナーも当館ならではだと思います。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00002.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00004.jpg">「私が首相になったら？」という問いに対して、来館者がアイデアを付箋に書いて貼り付ける参加型展示</div></div><p>――自分の意見やスタンスを表明する体験をすることで、より政治のことを自分ごと化できそうですね。</p><p>室橋：そうですね。受動的にインプットするのではなく、来館者が主体的にアクションを起こして参加できる場所にできないかなと考えていました。民主主義はみんなでつくり上げるもので、他者との対話が重要です。「生活の中で民主主義を実現するとはこういうことなのでは？」という気づきを得てもらい、日本の民主主義の現状についても問題提起できる場所になればいいなと思っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a60c8bc29088c791c447ca4d61ae7e9f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">投票に行くのをゴールにするのではなく、もう一歩先へ踏み込んでみる</h2><p>――2025年の参院選では、投票率は58.51パーセントと前回より上がり、若年層の投票率も増加しています。この結果を室橋さんはどう感じられましたか。</p><p>室橋：明らかに若い現役世代の投票率が上がっており、非常に象徴的な選挙だったと感じています。</p><p>考えられる要因は大きく2つあります。まず1つ目は、現役世代が今の政治に対して相当な不満を抱いているという点です。物価上昇をはじめとした社会の変化に対し、政治があまり対策を講じていないと感じる中で、「自分たちで声を上げよう」という流れになったのではないでしょうか。</p><p>2つ目は、一昨年くらいからSNSで政治に関する情報量が大幅に増加している点です。候補者のSNS投稿やテレビの討論番組、YouTubeでの配信など、政治との接点が増えて政治に関心を持ちやすい状況が生まれているといえるでしょう。</p><p>――若者の投票率が上がったとはいえ、全体的にはまだ十分とは言えません。これから若者が主体的に政治参加してくためには、どのようなことが大切なのでしょうか。</p><p>室橋：投票に行くことをゴールにするのではなく、気になった政党でボランティアをしてみたり、政治活動団体のイベントに参加してみたりと、もう一歩踏み込んだ政治参加を当たり前にしていけるといいと思います。そうした人は確実に増えていますし、オンライン署名を収集・公開できるウェブサイト<a href="https://www.change.org/ja" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「Change.org」（外部リンク）</a>といった投票以外の政治参加体験を積み重ねていくことが重要だと感じます。</p><p>また、デンマークの考え方で「生活形式の民主主義」というものがあります。日常生活の中――例えば家族内でも権威構造をなるべく排除して、対話を通して意思決定を行うというもので、これはすぐにでもできることでしょう。</p><p>他にも、SNSやイベント、ウェブサイトなど、政治に関する情報を得る機会は圧倒的に増えているので、そうした情報を積極的に活用することも重要です。ただし、発信元によって情報に偏りがあるため、一つの情報源だけを鵜呑みにせず、幅広い情報に触れることが大切です。</p><p>自分の好む情報だけを取り入れるのではなく、時には反対意見に耳を傾けることも重要でしょう。盲信的な信者になってしまっては本末転倒なので適度な距離感を意識することが必要だと思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/minsyuhaku00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_0d0562623a21b238fa2370fe4d50454b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが政治に参加しやすい社会の実現に向けて、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に室橋さんに、誰もが政治に参加しやすい社会の実現に向けて、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_5a12ba1478600e4411459fc31836edea" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］日常生活での対話を通じた意思決定の実践</h2><p>家庭内でのテレビ番組選びや夕飯のメニュー決めなど、身近な場面で話し合いながら決めることから始める。こうした日常の対話の積み重ねが民主的な合意形成の成功体験となり、「自分の声は大切にされている」という実感につながっていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9771948a470e7b0c9ef480e42b634a30" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］デンマークの「生活形式の民主主義」を実践してみる</h2><p>日々の暮らしの中で権威構造をなるべく排除しながら、フラットな関係性で意思決定をしていく。身近なコミュニティや職場でこうした対等な関係性を築くことが、風通しのいい社会の実現につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_63d183f652918ba151d6b8d03f11056f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］政治や民主主義について学ぶ機会の積極的な活用</h2><p>民主主義博物館のような学習拠点を活用し、基本的な用語や歴史から政治家との対話会まで、さまざまな形で政治と民主主義について学ぶ。こうした学習機会を通じて政治参加への理解と関心を深めていくことが重要</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>今回は、若者にできる投票以外の政治参加の方法を知りたく、日本若者協議会の活動にヒントがあると考え、お話を伺いました。</p><p>世間では大人が「選挙に行こう」といった呼びかけをする一方で、政治の意思決定プロセスなど本質的なことについて教えてくれることはほとんどありません。何も分からない状況であるにもかかわらず、メディアが「若者の政治離れ」と発信していることに対し、若者たちは納得していないだろうと思います。</p><p>そうした中で、政治と民主主義について実践的に学べる民主主義博物館は、若者たちや政治に興味を持つ人たちにとって重要な場所になるのではないかと感じました。</p><p>そしてデンマークの「生活形式の民主主義」を実践してみることで、普段の暮らしの中での対話や意思決定のあり方が、社会のあり方そのものを形づくっていることに気づけるのではないでしょうか。</p><p>自分たちにもできることはたくさんある、そう感じた取材でした。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_a13d0b381e05b3fc7d1c129e8eb18e16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_8a8c7e88a94449ce07784ece374b8a03" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">室橋祐貴（むろはし・ゆうき）</h3><p>1988年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。同大学大学院政策・メディア研究科修士課程中退。大学在学中からITスタートアップの立ち上げに携わり、BUSINESS INSIDER JAPANで記者、大学院で研究等に従事。専門・関心領域は政策決定過程、民主主義、デジタルガバメント、社会保障、労働政策、若者の政治参画など。2015年、若者の声を政治に反映させる「日本若者協議会」を設立。同団体の代表理事として活動。超党派の若者団体として、政治・政策への提言などを行う。著書に『子ども若者抑圧社会・日本 社会を変える民主主義とは何か』（光文社新書）など。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：漁業の課題解決を目指す——全国漁業協同組合連合会</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116161/academy</link>
      <pubDate>Mon, 20 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団では、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>その支援先の1つである<a href="https://www.zengyoren.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">全国漁業協同組合連合会（以下、JF全漁連）（外部リンク） </a>は、日本財団が推進する、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/ocean-monitoring" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海洋環境変化対応プロジェクト」（別タブで開く）</a>に取り組む団体です。</p><p>日本の海では、気候変動や環境変化が進む一方で、漁獲量の変動を裏付ける十分なデータが不足しています。既存の調査も研究機関主導のものが多く、漁業現場の実態を反映したデータは限られていました。</p><p>こうした課題を背景に始動したのが「海洋環境変化対応プロジェクト」です。<a href="https://www.nochuri.co.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">農林中金総合研究所（外部リンク）</a>と<a href="http://satoumiken.web.fc2.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人里海づくり研究会議（外部リンク）</a>が漁業者のデータ集約と支援を行い、東京大学大気海洋研究所がデータ分析・解析を担当しており、JF全漁連は統括委員会の一員として参画しています。</p><p>現場に立つ漁業者が協力してデータを収集することで、これまでにない視点から日本の海の変化を明らかにすることを目指しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/zengyoren00003.jpg"><p>今回は、JF全漁連の三野隆志（みつの・たかし）さんに、プロジェクトの詳細や助成金を活用して取り組みたい課題、さらに申請時に意識したポイントについて伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/zengyoren00002.jpg">今回、お話を伺った全JF全漁連・漁政部の三野さん<p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_bafdfea3d2837a86e03e44be54be49ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">海の変化をデータ化し共有することで、漁業現場の課題解決を目指す</h2><p>――まずはJF全漁連の活動について教えてください。</p><p>三野さん（以下、敬称略）：JF全漁連は漁業者が組織する団体で、各都道府県の漁業協同組合連合会や信用事業を担う組織と連携し、その全国団体として活動しています。役割は、組合員である漁業者の経営を支えるとともに、豊かな海や地域社会を次世代に引き継ぐことです。そのために総合的な事業を展開しています。</p><p>私は漁政部という部署に所属し、漁業者がより良い環境で活動できるよう制度の整備や仕組みづくりを行っています。</p><p>――JF全漁連は「海洋環境変化対応プロジェクト」において、どのような役割をされているのでしょうか。</p><p>三野：JF全漁連は本プロジェクトにおいて、全体の統括や調整役を担当しています。この事業はJF全漁連だけでなく、里海づくり研究会議、農林中金総合研究所、全国の青年漁業者で構成される「全国漁青連」とも連携し、各地の漁業者モニターの調整や関係団体の取りまとめなどがJF全漁連の主な役割です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/zengyoren00006.jpg"><p>――プロジェクトの具体的な内容を教えてください。</p><p>三野：本プロジェクトの目的は、全国規模の調査ネットワークを構築し、海洋環境の変化の原因究明と対応策の解明、そうした環境下における適応策の見出すことです。始動した2024年度は「漁業者モニター」と呼ばれる漁業者13名を選定しました。メンバーは全国漁青連の理事を中心に構成され、各自が日々操業している海域で水温観測を実施しています。</p><p>海水温を測定できるデータロガーを設置し、１時間おきに測定するよう設定しています。漁に出た際に月1回のペースでデータロガーを引き上げて回収し、スマートフォンにデータを取り込み、それを農林中金総合研究所へメール等で送付しています。収集したデータは、近隣の国土交通省や県の水産試験場などが提供する既存のデータと組み合わせて分析・グラフ化し、コメントを付けて漁業者にフィードバックする体制を構築しています。</p><p>漁業者からは「海水温の可視化ができて経営判断にも役立つ」との声が多く、漁業経営にとって有効なツールになっていると実感しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/zengyoren00005.jpeg">スマートフォンでデータを保存し、関係者に共有できる仕組みを作っている。画像提供：全国漁業協同組合連合会<p>――これまでの漁業現場でのデータ収集における課題は、プロジェクトの始動によってどのように変化しましたか。</p><p>三野：各県の水産試験場などで観測データは蓄積されていますが、公表の有無にばらつきがあり、絶対量として不足しているのが現状です。さらに、観測には費用がかかるため、漁業者が知りたいタイミングや場所で十分な情報が得られるとは限りません。</p><p>本プロジェクトでは、初年度（2024年）に13名、現在は19名の漁業者モニターによる観測を実施しており、データの網羅性という点ではまだ課題もありますが、参加者からは「自分の漁場環境が具体的に分かるようになったのは非常に有意義だ」という声が多く寄せられています。個々の判断に役立つ情報が手に入るようになったことは、大きな成果と言えるのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/zengyoren00004.jpg"><p>――漁業者の間ではどのような課題が挙げられているのでしょうか。</p><p>三野：現場の声として大きいのは「漁場環境の悪化」です。磯焼けの進行、海水中の栄養塩の不足などにより、漁場の生産力が低下し漁獲量が減少していることが課題となっています。</p><p>――その解決に向けて、どのような取り組みが必要だとお考えですか。</p><p>三野：今回のプロジェクトでは、海水温の上昇そのものを止めることはできませんが、水温の変化によって魚種の変化や来遊時期が変化している現状を把握できれば、漁業者は漁獲対象を見直したり、これまで市場に出してこなかった未利用魚・低利用魚を活用したりするなど、新しい生計の道を模索できるのではないでしょうか。</p><p>さらに、この取り組みが進むことで、環境変化の原因を究明するための基礎的なデータ蓄積にもつながると考えています。</p><p>全国では漁業者によってさまざまな活動が進められています。例えば、藻場の保全、干潟の保全といった漁場環境の保全する活動は、全国で約500の水産多面的機能に係る組織で取り組まれています。海草海藻を増やす、干潟を保全・再生する、稚魚の育つ環境をつくったり、生物多様性を守ったりするといった活動です。</p><p>また、海浜清掃や省エネ運航（船を減速して燃料を削減する）など、豊かな海づくりに向けた取り組みも全国各地で行われています。</p><p>――全国規模で多くの団体が関わるプロジェクトですが、意見集約や動きづらさなどの難しさはありますか。</p><p>三野：この事業においては、漁業者ごとに関心や取り組む漁業の種類が異なります。そのため、例えば「水深何メートルの水温を測定してください」といった画一的な形は取っていません。各漁業者が自ら関心のある水深や海域に観測機器を設置し、データを収集できるようにしているため、各地で意見が異なっていても特に問題はないと考えています。</p><p>また、各地域でのヒアリング調査などのフィールドワークや、漁業者モニターとの意見交換も行っているため、団体の規模が大きいことによる不自由さや動きづらさは感じていません。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4c2d629195e1ed58847439244268909f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">現場の意見と研究者の見解を参考に申請書を作成</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_630b1332ad93fdd12a6f8c6952d29b7c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金の申請から採択されるまで</h3><p>――助成金の申請にあたって準備したことや、書類作成をする上で苦労したこと、工夫した点などはありますか。</p><p>三野：初年度は日本財団の事業申請自体が初めてで、手続きに不慣れだったため苦労しました。特に申請準備ワークシートに事業の目的・概要・目標・事業内容を記入するにあたっては、上司にアドバイスをもらいながら何とか形にできたと思います。実際の申請作業は集中して取り組み、2〜3日ほどで仕上げました。</p><p>2025年度の申請では、漁業者へのヒアリングを実施し、現場の声をできるだけ反映することを意識しました。ただし、漁業者の言葉には専門的なものや現場特有の表現も多く、私たちは漁業の現場を知る立場ではないため、理解しづらい部分もありました。そういった部分については、里海づくり研究会議の方にご協力いただきながら、内容を整理していきました。ヒアリングで得た現場の意見と、事業の趣旨を的確に伝えることがポイントだと思います。</p><p>――採択後の流れについて教えてください。</p><p>三野：採択通知を受けた後は、<a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団助成ポータル（外部リンク）</a>で契約手続きをオンラインで行います。入金方法についても同サイトで申請が可能です。私どもは一括での入金を希望したため、その旨を記載しました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c06230c29dbf91629f1b8b06852b7b19" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応</h3><p>――助成金の使用後に必要な処理や、報告書の作成で意識した点を教えてください。</p><p>三野：報告書の作成は初めての経験で試行錯誤しましたが、観測データの記録に加え、漁業者のモニター会議や、検討委員会での意見交換会で出た意見を反映することを重視しました。検討委員会には大学の先生や有識者も参加しており、その場で出た議論や成果を報告書に記載しています。</p><p>経理処理については、日頃から水産庁の補助事業を受託して会計業務を行っているため、そのルールにならって対応しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_17a25405be9e4015e67720988659ede6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">さまざまな機関と協力しながら漁業の課題を1つずつ解決していきたい</h2><p>――助成金を活用して、特に効果を感じた部分はありますか。</p><p>三野：まず大きかったのは、漁業者自身が「自分の漁場の環境の変化」を継続的に把握できるようになったことです。これまで関心はありつつも取り組めていなかった部分に、助成金を活用することで取り組めるようになり、より真剣に、より多角的に漁業活動を考えられるようになったと感じています。</p><p>もう1つは、専門家とのつながりが生まれたこと。里海づくり研究会議に所属する元大学教授の方や、東京大学大気海洋研究所の先生とも連携していただいています。</p><p>漁業者単独では、県の水産部局や近隣の大学関係者と関わることはあっても、全国で漁業者と科学者が直接意見交換を行う機会はほとんどありませんでした。現地のヒアリングでは、漁業者と科学者が一堂に会します。漁業者が抱える課題を言語化し、専門的な視点から整理・解明していただけるのは非常にありがたい経験だと思います。</p><p>特に今年度現地ヒアリングを行った滋賀県は、アユをはじめとする漁業資源の減少が深刻な問題となっています。琵琶湖にはいくつかの研究機関がありますが、漁業者が初めて科学者と議論する機会を設けることができました。</p><p>普段接点のない研究者と漁業者が全国規模で協働する取り組みは、これまでに例の少ないものです。助成金があったからこそ実現できた成果であり、大きな意義を感じています。</p><p>――最後に本プロジェクトの今後の展望を教えてください。</p><p>三野：本プロジェクトの大きな目標は、漁業者が抱える課題を少しでも解決につなげること、そして「どうすれば自分たちの生業を守り、持続できるのか」という対応策を1つでも多く見出すことにあります。</p><p>従来も、大学の先生と接点を持つ機会はありましたが、専門分野に直結する相談先が常にあるわけではありませんでした。今回連携している里海づくり研究会議は、<a href="https://www.s.fpu.ac.jp/wikicoas/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">沿岸沿岸環境関連学会連絡協議会（外部リンク）</a>の事務局も担っていたことから、多くの研究者とのネットワークを有しています。また、東京大学の先生にも幅広い分野から参画していただくことで、漁業現場で起こった事象を専門的に分析する体制が整いていただきました。</p><p>今後もこうした研究者や団体との協力を深めながら、現場の困り事を1つずつ解決し、持続可能な漁業の実現につなげていきたいと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bb4e62c0f1430d140e44877d3f9500ae" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者から見たプロジェクトの魅力</h2><p>本事業では日本で初めて全国規模で漁業者と研究機関が連携し、刻一刻と変化する海洋環境を理解し、対応することを目的に始まった事業で、新たな水産業のモデルをつくることを目指している点が評価され、助成が始まりました。</p><p>現在2年目ではあるものの、対象地域や参加漁業者も増え、今後より一層のデータベースの充実とそれに伴う各海域での環境変化に応じた対策の立案が期待されています。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>日本財団から全国漁業協同組合連合会への助成額</p><p>4,203万円（2025年度）</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>ろう者と聴者が響き合う「東京国際ろう芸術祭」。垣根を越えた先に広がる新しい景色</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116391/disability</link>
      <pubDate>Thu, 16 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」は街全体を使った芸術祭で、ろう者と聴者が自然に混ざり合う場</li><li>ろう者（※1）や手話への理解は進みつつも、社会参加や文化へのアクセスには壁が残る</li><li>手話やろうの文化に触れ、ろう者と聴者（※2）に隔たりのない環境づくりを広げていくことが大切</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_1ede0f2277db7bd505e35450aee35729" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「ろう者」とは、聴覚に障害があり日本手話を第一言語とする人のこと※2.「聴者」とは、聴覚に障害がない人のこと</div><p></p><p>2025年11月15日から26日にかけて開催される「第25回夏季デフリンピック競技大会 東京2025（以下、東京2025デフリンピック）」。開催が目前に迫り、耳がきこえない、きこえづらいデフアスリートたちの活躍に期待が寄せられています。</p><p>そんなデフリンピックの直前、11月6日から4日間にわたり<a href="https://shuwanomachi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」（外部リンク）</a>が開かれます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00014.jpg"><p>東京都杉並区との共催で高円寺を中心にさまざまな催しが企画されています。国内外から豪華なゲストを呼び、映画や演劇、トークショーなどが目白押しのほか、手話で買い物ができるマルシェ「手話の市」や、商店街の一部店舗で手話のイラスト入りカードのプレゼント「手話のカードラリー」も行われます。</p><p>つまり、高円寺のまち全体がろう者や手話で溢れ、「手話のまち」となるのです。ろう者や手話になじみのある人はもちろん、これまでろう者の文化に触れてこなかった人にも開かれたイベントです。</p><p>「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」の総合ディレクターを務めるのは、映画作家の牧原依里（まきはら・えり）さん。家族全員がろう者のデフファミリーの一員として育ち、この社会の中でろう者として生きることを見つめてきた彼女は、なぜ「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」の開催を決意したのか。その胸中を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00005.jpg">取材の様子。手話通訳士（手前）が、聴者のライター（右端）の言葉を牧原さん（左端）に通訳している<h2 id="tnf-text-heading-block_cace09ab9a8096cff88a663b2beb2f85" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ろう者や手話を「自然と」目にする機会をつくってみたかった</h2><p>――「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」を開催することになったきっかけを教えてください。</p><p>牧原さん（以下、敬称略）：前身は、2017年にスタートした「東京国際ろう映画祭」です。ろう者の視点で映画をセレクトして上映する映画祭で、私は代表として、また映画作家として関わってきました。その後、フランスの都市ランスで開催されている、ろう者の芸術祭「クランドゥイユ（Clin dʼOeil）」を訪れた時、ろう者が生み出す多種多様な芸術表現はもちろん、手話がつくり出す独自の空間に深い感銘を受けました。</p><p>一方で、ヨーロッパやアメリカ発の作品が中心であったことから、アジアならではの「ろう文化」を背景とした「ろう芸術」を、日本から発信したいと思ったのがきっかけでした。聴者の芸術と同じように、ろう者が生み出す芸術も、隔たりなく感動を与えることができる。そして映像、舞台とそれぞれ、空間言語だからこそできる「ろう芸術表現」があるということを伝えたい思いもありました。</p><p>そこで、「東京国際ろう映画祭」から「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」へと名前を変え、開催することに決めました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00003.jpg"><p>――「手話のまち」とあるように、今回は高円寺のまち全体を使って、さまざまな催しが企画されているんですよね。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>牧原：そうなんです。杉並区立杉並芸術会館「座・高円寺」を中心に作品を上映・上演するだけではなく、商店街を巻き込んだ「手話のカードラリー」があったり、マルシェ「手話の市」があったり、JR高円寺駅からすぐの広場「高円寺マシタ」や空き倉庫を使った無料パフォーマンスや上映、手話のまちオリジナルビールを飲めたりと、まち全体で手話や「ろう芸術」に気軽に触れられるような設計をしています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00012.jpg">「手話カードラリー」で配布する手話のイラスト入りカード。画像提供：手話のまち東京国際ろう芸術祭 2025</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>牧原：それも、フランスの「クランドゥイユ」を参考にしています。過去に2度、足を運んだことがあるんですが、世界中から約2万人が集まって、ろう者も聴者もごちゃ混ぜに。同じろう者でも国が違えば手話も異なるので、さまざまな手話と音声の言語が飛び交います。</p><p>それでも、その場にいる人たちは積極的にコミュニケーションを取り合って、身振りや思いで通じ合ったり、会話を成立させてしまったりする。その空間自体がすごく面白くて、別の世界に行ったみたいな感覚を覚えました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00001.jpg"></div></div><p>牧原：あと、舞台上のパフォーマンスが終わると、会場にいる人たちが床を踏み鳴らす風習があって、ものすごい振動が伝わってくるのが印象的でした。この振動って、盲ろう者（※）でも伝わるんですよね、みんなが一つになっている感じがしたのを覚えています。</p><div id="tnf-text-notes-block_e7a020d1514c9fd9810524aac1b0e5f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「盲ろう者」とは、目（視覚）と耳（聴覚）の両方に障害のある人のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00002.jpg">「手話のまち 東京国際ろう芸術祭」の公式サイトでは、開催に向けた牧原さんのメッセージ動画が日本手話と国際手話（※）の両方で公開している。画像提供：手話のまち東京国際ろう芸術祭 2025<div id="tnf-text-notes-block_201fe97bbdcf41a97233f331891e0a19" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「国際手話」とは、いろいろな国の人にとって分かりやすい身振りや表現でつくられており、ろう者の世界的な交流の場で公用語として使われている</div><p>――言葉の垣根を越えるような空間ですね。</p><p>牧原：前身の「東京国際ろう映画祭」でも、ろう者が運営していることを知らずにふらりと訪れた聴者が、手話での会話が交わる異文化的な空間に戸惑っていたり、手話やろう者、難聴者をテーマにした映画を当事者たちと一緒に観ることで得られる体験に感動したりしていました。</p><p>手話に関わりのなかった聴者たちのそんな姿を見て、「ああ、こういうことがやりたいんだよな」と改めて感じました。それで、日本でも同じような芸術祭が企画できないか、と杉並区に持ちかけたところ快諾いただけて、「手話のまち」というコンセプトを実現できました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00015.jpg"><p>――杉並区では2023年4月1日に「杉並区手話言語条例（※）」が施行されました。ろう者や手話への理解も進んでいるのでしょうか。</p><p>牧原：そう感じます。それに、杉並区には新しい文化を理解しよう、受け入れていこうとする風土があるように感じます。商店街の方々にも協力をお願いしに行ったところ、「いいね、やってみようよ！」と言ってくれて、本当に感謝しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_84cdcb8e8883e3073ccc680f1624ae0a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2011年施行の「改正障害者基本法」で手話が言語であると明記され、全国で「手話言語条例」が制定されるようになった。この条例は、手話は言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解促進や普及、利用環境の構築を基本理念とする。そして、手話を必要とする方の意思疎通の権利を尊重し、誰もが安心して生活できる共生社会の実現を目的としている</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00016.jpg">「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」の開催が迫り、喜びを伝える牧原さん<h2 id="tnf-text-heading-block_b116b7a7ab191c5d6853defe935846f0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ろう者の身体から生まれた「ろう文化」と「ろう芸術」</h2><p>――「ろう文化」とは何かを教えていただけますか。</p><p>牧原：抽象的なことが多くて説明するのが難しいんですが、簡単に言うと「ろう者の身体から生まれた文化」です。手や顔の動きが文法になっている手話もその一つ。音声言語には翻訳しづらい、手話だからこそ表現できる「ことわざ」のようなものも存在します。</p><p>あと、ろう者ならではの空間も「ろう文化」と言えますね。手話という「視覚言語」を使ってコミュニケーションを取るので、ガラス越しに会話をすることもできますし、人との空間の取り方も聴者とは異なるんです。また、カーテンを使って視覚的に仕切ってしまえば、周りの会話が遮断できるので、一つの会議室でも複数のグループが同時に会議を進めることもできます。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00008.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00010.jpg">「5005」のカーテン。カーテンで仕切ることにより、周囲の会話は視覚的に遮断できるが、誰かが居ることは分かる素材を選んでいる</div></div><div id="tnf-text-notes-block_fb2d636a58331ba303237ecbcb1679ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「デフスペースデザイン」とは、視覚言語である手話でのコミュニケーションが取りやすい設備等を取り入れ、ろう者が過ごしやすいように設計された空間のこと</div><p>――その他に「ろう文化」を感じる場面はありますか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>牧原：手話は「視覚言語」なので、会話の際は参加する全員の手話が見える配置が必要です。例えば、横並びで会話をするときは扇形になって、両端の人も中央の人も手話が見えるようにします。</p><p>こういった日常生活の中にある、さまざまな「ろう者ならではの工夫」も「ろう文化」と言えるのではないかと思います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00017.jpg"></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00007.jpg">「5005」でイベントを開催する際に並べる椅子</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00011.jpg"></div></div><p>――続いて、「ろう芸術」にはどのようなものがありますか。</p><p>牧原：例えば、ろう者が生み出した「ろう芸術」の一つに「ビジュアルバーナキュラー（Visual Vernacular※）」があります。手話から生まれた視覚的表現で、手話を知らない人が見ても、物語や感情が感覚的に伝わるパフォーマンスです。</p><p>このように、ろう者が作る芸術表現には、ろう者ならではの視点や言語、身体性が活かされていることが多いです。今回の芸術祭でもそういった作品が鑑賞できるので、一度観ていただけると「ろう文化」「ろう芸術」とは何かが少し分かるかもしれません。</p><div id="tnf-text-notes-block_f0110cbefcfb481ead98f60d10d90056" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ビジュアルバーナキュラー」とは、手話の視覚的な表現のみを用い、詩やパントマイムの要素を取り入れ、緩急、リズム、ズーム、視点の切り替えなどの技術を組み合わせて表現する視覚的なアート</div><p>――「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」では、どのようなプログラムが予定されていますか。</p><p>牧原：全て素晴らしい作品ですが、いくつか紹介します。まずは演劇「100年の眠り」。ろう者の劇団を、演劇カンパニー「カンパニーデラシネラ」の小野寺修二（おのでら・しゅうじ）さんが演出されていて、「眠り姫」を題材にしています。手話も音声もなく、身体表現のみで物語を伝える無言劇です。</p><p>それから、デンマークの劇団「Teater5005」による演劇「オン・ザ・エッジ」。この演劇では演出を聴者が担当していますが、出演も含め、その他の全てをろう者が担っているんです。フランスで観た時にとても感動して、日本で芸術祭をやるとしたら絶対に呼びたいと思っていたのですが、今回それが叶いました。</p><p>映画もさまざまな作品が集まりました。ろう者や盲ろう者による作品もありますし、聴者が作ったものもある。いずれも、いまの時代の眼差しから生まれた、新しいアプローチで新しい気づきを得られる映画ばかりです。上映後には監督や役者などによる舞台挨拶やティーチインがありますので、ぜひお越しいただけたら嬉しいなと思っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_38c90e5b9cc17c3c6a226fb23f6b1517" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「知らない世界」を知り、他者のことを想像する力を養う</h2><p>――映画や演劇で「ろう芸術」に触れ、ろう者が溢れる街を歩く。「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」を体験することで、多くの気づきが得られそうですね。</p><p>牧原：そう願っていますし、この取り組みを継続していきたいとも思っています。開催に向けて動いている中で、私自身にもさまざまな気づきがありました。例えば、商店街の方々に協力をお願いした際、「前から手話に興味があったんだ」「デフリンピックも開催されるし、手話で挨拶できたらいいなと思っていたんだ」などと声をかけてもらえたんです。</p><p>さらに、芸術祭の会場となる「座・高円寺」のカフェでは、ろう者のスタッフがアルバイトとして働いているんです。私が子どもの頃には考えられなかったような変化が、至るところで起こっています。その流れを次の世代につないでいかなければと感じますね。</p><p>――「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」の直後には「東京2025デフリンピック」も開催されますし、ろう者や手話への関心は引き続き高まっていきそうですね。</p><p>牧原：デフリンピックが東京都のサポートがある中で開催されることに意義を感じています。だからこそ、この機会に「ろう文化」にもっともっと触れてもらいたいです。</p><p>私は、今回のデフリンピックで新たに導入される「サインエール」の制作にも関わっています。「サインエール」とは、声援が伝わりにくいデフアスリート（※）に届けるために開発された、目で伝わる新しい応援スタイルです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00013.jpg">牧原さんが制作に携わった「サインエール」の様子。画像提供：東京都<p>牧原：これを使えば、手話を知らない聴者の観客も、デフアスリートへ応援を届けられます。このように聴者の観客も巻き込んでいくことが、デフリンピックを開催する意味の一つではないでしょうか。</p><div id="tnf-text-notes-block_31602715e0191982246a39bac52de88b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「デフアスリート」とは、きこえない・きこえにくいアスリートのこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00006.jpg"><p>――「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」や「東京2025デフリンピック」が、聴者とろう者の言語の違いを超えて、共に過ごす機会を広げていくような気がします。その先の社会に願うことはありますか。</p><p>牧原：やはり、ろう者がもっと社会参加できるようになってくれたらいいな、と思います。昔と比べれば改善されてきているとは思うんですが、ろう者がどこにでも普通にいることが実現されればと。</p><p>これはろう者に限ったことではなく、他の障害者にも言えることかもしれません。そのために必要なのは、環境づくり。過去に映画祭を主催していたのも、「ろう者が普通にいる映画館」という場をつくってみたかったというのも動機の一つでした。</p><p>それから、聴者、ろう者、難聴者に限らず、一人一人が知識や教養を持つことも必要だと思います。自分のことだけを考えるのではなく、この社会で暮らす他の人のことも想像してみてほしい。そのために必要なのは、知識を身につけることなのではないでしょうか。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shuwanomachirou00004.jpg">人と人との間にある垣根をなくしていくこと。それが牧原さんの願い<p>――そうやって「他の人のこと」を想像していくと、社会全体が少しずつ優しく変化していく気がします。</p><p>牧原：芸術と教養って深く結びついていると思うんです。「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」に足を運んでみて、「知らない世界」があることを知る。それが教養の第一歩になるのではないかと思います。だからこそ、一人でも多くの方に楽しんでもらえるよう、全力を尽くします。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7cc2a5e55c017c325b9a8baff594762c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">きこえる、きこえないの違いを超えていくために、私たち一人一人ができること</h2><p>きこえる、きこえないの違いを超えて、聴者とろう者がつながっていくために、私たち一人一人には何ができるのか。牧原さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3c94776cc1e9a415e8afbe0b70ab3969" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「ろう文化」や「ろう芸術」の面白さを知る</h2><p>手話は「視覚言語」と呼ばれる言語の一つで、ろう者の生活や文化と深く結びついている。手話を学んでみる、映画や舞台を見るなど、ろう者が築き上げてきた「ろう文化」や「ろう芸術」に触れ、その豊かな世界の面白さを知る</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9b769393fb95504cd1da40c2f80a1081" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］社会で起こっていることに関心を持つ</h2><p>自分のことだけを考えるのではなく、同じ社会で生きている他の人のことを想像し、自分とは異なる文化への知識や教養を身につけるように努める。そうすることで、誰もが暮らしやすい環境づくりにつながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0a2c14d6187d2126a0c232aae048d7d3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「知らない世界」と関わるために一歩踏み出す</h2><p>「知らない世界」に恐怖を抱くのではなく、気軽に触れてみる。例えば、「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」に足を運んだり、デフリンピックで応援したりすることで、ろう者と聴者の自然な交流や共生につながり、思いがけない気づきや新しい景色に出会える</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「ろう文化」「ろう芸術」とは何か。それを知るために、「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」を主催する牧原依里さんに取材を申し込みました。</p><p>ろう者と聴者がごちゃ混ぜになり、互いの文化を理解し合う。杉並区が一丸となって開催する「手話のまち　東京国際ろう芸術祭」では、きっとそんな光景が至るところで見られることでしょう。その光景がいつか、日本全体に広がっていくことを願ってやまない取材となりました。</p><p>撮影：十河英三郎手話通訳協力：小松智美</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_c95cc103b379e265dd87c40d6535909d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h2 id="tnf-text-heading-block_905b773711971981ca46a7db105600b0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">牧原依里（まきはら・えり）</h2><p>1986年生まれ、ろう者。ろう者の「音楽」をテーマにしたアート・ドキュメンタリー映画『LISTEN リッスン』（2016）を雫境（DAKEI）と共同監督、第 20 回文化庁メディア芸術祭 アート部門 審査員推薦作品、第71回毎日映画コンクール ドキュメンタリー映画賞ノミネート等。2024年にレクチャーパフォーマンス「『聴者を演じるということ』序論」を演出、2025年11月にはTOKYO FORWARD 2025 文化プログラム ろう者と聴者が遭遇する舞台作品「黙るな 動け 呼吸しろ」（構成・演出）が控える。視覚と日本手話を中心とする自分の身体感覚を通した表現を実践し続けている。仏映画『ヴァンサンへの手紙』の配給宣伝など担う他、2017年には東京国際ろう映画祭を立ち上げ、ろう・難聴当事者の芸術に関わる人材育成と、ろう者と聴者が集う場のコミュニティづくりに努めている。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：子どもの育ちを支える——麦の子会</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116227/academy</link>
      <pubDate>Tue, 14 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団では、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>支援先の1つである<a href="http://www.muginoko.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人麦の子会（外部リンク）</a>は、児童発達支援センター（※1）や放課後デイサービス（※2）をはじめ、発達に困難のある子どもの包括的支援を目的とした多様な事業を展開しています。</p><p>今回は、同団体統括部長の古家好恵（ふるや・よしえ）さん、里親支援事業担当の船木香（ふなき・かおり）さんに、活動目標や、助成金を活用して取り組みたい課題、さらに申請時に意識したポイントについて伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_5c6decd52efabc37bdb5496cae5604dc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「児童発達支援センター」とは、児童発達支援を行う他、施設の有する専門性を活かし、地域の障害児やその家族への相談、障害児を預かる家族への援助・助言を合わせて行う地域の中核的な療育支援施設※2.「放課後等デイサービス」とは、学校（幼稚園及び大学を除く）に就学している障害児に、授業の終了後または休業日に、生活能力向上のために必要な訓練、社会との交流促進、その他の便宜を供与すること</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00001-1024x687.jpeg"><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_4a72093b0598ea9d6dbfcc3b1725f67a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「障害のある子どもたちに幼児期からの支援を」と理念に設立</h2><p>――「麦の子会」はどのような経緯で設立されたのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>古家さん（以下、敬称略）：理事長の北川聡子（きたがわ・さとこ）が学生時代に出会った、障害がある一人の青年がきっかけです。その青年には強い自傷・他害行為（※）があり、当時施設の職員が骨折してしまうほどでした。</p><p>北川はその激しさに驚く一方、彼の目の奥に純粋さや賢さを強く感じたといいます。そして、そのまなざしはまるで「あなたは信頼できる人間なのか、どうなんだ」と問いかけているようだったと言います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00011.png">麦の子会の理事長・北川聡子さんは、40年以上にわたって発達に心配のある就学前の子どもを支援する活動に取り組んでいる。画像提供：社会福祉法人麦の子会</div></div><div id="tnf-text-notes-block_f123a6094bb34eacbc666f9a299802d7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「自傷行為」とは自分を傷つける行動、「他害行為」とは他の人を傷つける行動のこと</div><p>古家：その日以来、北川は「重い障害があり、言葉を持たない人にも確かな意思や感情がある。それをどうにか感じ取りたい」と思うようになり、「幼児期からの支援が必要ではないか」と考えるようになったのです。</p><p>当時、札幌市には通園施設が一カ所しかなく、十分な支援の場がありませんでした。ならば自分たちでつくろうと、1983年に北川を含む学生4人で通園施設「麦の子学園」を立ち上げたのが麦の子会の始まりです。</p><p>――現在は、どのような活動をされていますか。</p><p>古家：まず 1つ目は発達支援・療育（※）事業です。麦の子会では、創立当初から「遊びの中で子どもが発達する」という考え方を大切にしてきました。特別な訓練を重ねるというより、人との関わり合いの中で成長していくことを重視しています。</p><p>1997年に札幌市が発達に心配がある子どもを支援する<a href="https://www.city.sapporo.jp/kodomo/jisou/sappo.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「さっぽ・こども広場」（外部リンク）</a>を立ち上げたことをきっかけに、1歳半からの健診が始まりました。</p><p>これにより、麦の子会が運営する「むぎのこ児童発達支援センター」への紹介が増え、早期からの療育を受けられる体制が整いました。当初の定員は30名でしたが、希望者が年々増え、現在は47名を受け入れています。</p><div id="tnf-text-notes-block_50464ea85ab9336202f844506fca9883" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「療育」とは、発達に課題のある子どもに対して提供される、子ども一人一人の発達の状態や特性に応じて、できることを増やしたり、本来持っている力を引き出すための支援を行ったりしながら、社会的に自立するための発達を促す取り組みのこと</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko0000-3-4.jpg"></div><p>古家：2つ目は家族への支援です。私たちは子どもの養育（※1）だけでなく、保護者の心理的なサポートをとても重要だと考えています。</p><p>北川は、障害のある子どもを育てる保護者の気持ちを理解し、寄り添うことが必要だという考えから大学院で心理学を学びました。</p><p>お母さんのピアカウンセリング（※2）やペアレントトレーニング（※3）など、心理・相談支援を行っているほか、障害福祉サービス（※4）を活用した生活支援も行っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_43918007863300a5d3a3b8b35c07d605" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「養育」とは、子どもの生活について社会通念上必要とされる監督・保護を行っている状態のこと※2.「ピアカウンセリング」とは、同じような立場や悩みを抱えた人たちが集まって、同じ仲間として相談し合い、仲間同士で支え合うことを目的としたカウンセリングのこと。※3. 「ペアレントトレーニング」とは、知的障害（知的発達症）やASD（自閉スペクトラム症）などの子どもを持つ家族を対象に、1960年代にアメリカで開発されたプログラム※4. 「障害福祉サービス」とは、個々の障害のある人々の障害程度や勘案すべき事項（社会活動や介護者、居住等の状況）を踏まえ、生活や就労をサポートするための公的支援サービスのこと</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00012-1024x574.png">障害のある子どもを持つパパの会の様子。画像提供：麦の子会</div></div><p>古家：3つ目は、近年特に力を入れている新しい事業、里親事業です。日本財団の助成を受け「乳幼児緊急里親事業」に取り組んでいます。虐待や親の病気などで緊急に保護が必要になった0から2歳の子どもを、できるだけ早く家庭的な環境で受け入れるためのものです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>また、2020年からは予期しない妊娠や望まない妊娠などにより悩みや不安を抱えた妊産婦の方々が相談できる窓口として<a href="https://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/kms/ninsin-sos/136162.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「にんしんSOSほっかいどうサポートセンター」（外部リンク）</a>を運営しています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00006.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e4617f70aae90ee22199eaa95ca07755" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">さまざまな事情で緊急保護が必要になる子どもたち</h2><p>――改めて、「里親事業」を始めた経緯を教えてください。</p><p>古家：きっかけは、2002年のことです。当時、「むぎのこ児童発達支援センター」に通っていた5歳の双子がいました。その子たちの担当ヘルパーさんが、母親からの虐待を発見し、通報しました。</p><p>結果として、双子は遠く離れた児童養護施設に入所することになったのですが、それを知ったセンターの子どもたちはとても悲しみました。職員が児童相談所に「なんとか地域に戻れる方法はありませんか」と相談したところ、「里親になって里子として受け入れる方法がある」と教えてもらいました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>そこで、北川理事長と私が実際に里親登録（※）をして、双子を受け入れたのです。この経験が、後に別の子どもを里子として受け入れることにつながりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_258d69926272d48f1eeaa5bd658318f7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「里親登録」とは、一定の要件を満たした人が、相談・面接、研修の受講、自宅調査や審議を経て、登録することができる</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00005-1.jpg">麦の子会が運営する「むぎのこ児童発達支援センター」の外観。画像提供：社会福祉法人麦の子会</div></div><p>――「乳幼児緊急里親事業」の必要性について、具体的な事例も踏まえて教えていただけますか。</p><p>船木さん（以下、敬称略）：一番大きな理由は、0から2歳の乳幼児期が愛着形成（※）にとても大切な時期だということです。</p><p>幼い子どもにとって、家庭的な環境で特定の大人から抱っこや声かけを受けることが、安心感や発達に直結します。日々の積み重ねが愛着を育むので、この時期は特に家庭的な環境で過ごすことが望ましいとされています。</p><div id="tnf-text-notes-block_afb8694aebe76413d1c3b0be59352baf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「愛着形成」とは、子どもが保護者や保育者などの養育者との間に形成する心理的な絆のこと。子どもの安心感や信頼感の基盤となり、将来的に対人関係や自己肯定感を育む上でも影響を与えるとされる</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko0002.jpg"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>船木：一方で、残念ながら緊急保護が必要になるケースもあります。2024年度も、病院から「やけどを負っている子どもに虐待の疑いがある」と通報があり、夜間に緊急保護した事例がありました。</p><p>また、母親が夜中にオーバードーズ（※）で倒れ、赤ちゃんが行き場を失ったケースもあります。こうした事態は昼夜を問わず突然起こるため、すぐに対応できる受け皿が欠かせません。</p><div id="tnf-text-notes-block_725a5a657d3e44ace01962375deb5d68" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「オーバードーズ」とは、医薬品を、決められた量を超えてたくさん飲んでしまうこと</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00010.jpg">麦の子会の緊急里親さんの様子。画像提供：社会福祉法人麦の子会</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>船木：そのために「24時間体制で待機できる里親」、いわゆる緊急里親を確保することがとても重要です。現在いる里親さんはお仕事をしていない方が中心で、いつでも子どもを受け入れられるよう、日本財団の助成で待機料をお支払いしています。</p><p>さらに、どんな年齢の子が来てもいいように物品をあらかじめ揃え、病院へのお迎えや健診への同行、夜間に体調を崩したときの対応などは麦の子会が全面的にサポートをしています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00007.jpg"></div></div><p>――緊急保護の対象になった子どもたちに、どのような変化が見られますか。</p><p>船木：保護された直後は表情が硬く、笑顔も少ないのですが、家庭的な環境で過ごすうちに人懐っこくなり、笑顔がどんどん増えていく様子を目にしてきました。</p><p>また、家庭だからこそ体験できることもあります。ある子は年末年始を里親さんの実家で過ごし、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚と一緒に、温かい家族だんらんを経験しました。クリスマスやお正月、誕生日といった行事を祝ってもらえた子もいました。</p><p>――日本の里親制度（※）が抱える課題はありますか。</p><p>古家：里親の社会的地位の向上と役割の明確化だと思います。いまの日本では、里親家庭が、子どもが里子であることを周囲に公表しにくく、ひっそり養育せざるを得ない状況があります。</p><p>欧米では、里親は「社会的な養育の担当者」としてしっかり地位が確立されていますが、日本ではまだ「一般家庭の延長」というイメージが強い。これからは、福祉や児童相談所とパートナーシップを組む専門チームの一員として、里親を社会全体で尊重する文化を育てることが必要だと思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_4eafd04258048908e1f38542f56bdf76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「里親制度」とは、さまざまな事情で育てられない親の代わりに家庭で子どもを預かり養育する制度。里親と子どもに法的な親子関係はなく、実親が親権者。里親には、里親手当てや養育費が自治体から支給される</div><p>――里親を含めた子育て家庭に対して、社会で必要な取り組みについて教えてください。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>古家：保護者が専門機関に「助けを求めること」への理解の促進です。日本では「子育ては家庭の中でするもの」という意識が根強く、助けを求めることがネガティブに捉えられる風潮があります。</p><p>でも、困ったときに専門機関に相談するのは弱さではありません。子育てで難しさを感じたら、里親だって「助けを求めてもいい」という社会的認識を広げていくことが必要だと思います。</p><p>子どもにとっては、親と離れて暮らすこと自体が大きなトラウマになり得ます。ですから、発達や愛着、トラウマの理解なしに養育を担うのは難しい。里親になる方には、基礎研修としてそうした学びを必須にすること、また里親同士がつながってサポートし合える場を整えることも、とても大切だと思います。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00016-e1760405080473.jpg">麦の子会では、<a href="https://www.city.sapporo.jp/kodomo/jisou/syougaizifostering2022.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「札幌市障がい児フォスタリング事業」（外部リンク）</a>を受託。発達に心配のある子どもを養育する里親のサポートもしている。画像提供：社会福祉法人麦の子会</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_72035e1120412fb67ee749ab0792c3e9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">予算は常にギリギリ。助成金がなければ、緊急保護は難しかった</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_a8bf3b645f3372c56b1a0cb946b2d221" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金を受けるまでの課題</h3><p>――経営や活動を進めるなかで、資金面で苦労されたことはありますか。</p><p>古家：1982年の設立当初は法人格がなく、いわゆる「無認可」の状態で13年間活動を続けていました。その当時は法人格がないと運営は非常に困難で、本当に資金繰りに苦労しました。</p><p>年に2回の新聞回収をしたり、教会をお借りして活動していましたので、全国の教会関係者にお願いして講演会を開いていただいたりして、運営資金をなんとか確保していました。それでも足りず、北川理事長の給料のほとんどが子どもたちの保育料に消えてしまうような状況で、持ち出しに近い形で運営していた時期もあります。</p><p>現在は事業の幅も広がりましたが、資金面の厳しさは変わっていません。運営費は2割を法人が負担していますので、社会貢献として取り組んでいる側面が大きいのです。繰越金もほとんどなく、常に余裕のない状態で運営しています。</p><p>――日本財団の助成金制度はどのようにして知ったのでしょうか。</p><p>古家：最初のきっかけは福祉車両（※）の助成事業でした。その後も、<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/child-third-place" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「子ども第三の居場所」（別タブで開く）</a>事業をはじめ、麦の子会のさまざまな活動に共感していただき、助成をしていただく機会がありました。</p><p>日本財団が里親事業に力を入れ、乳幼児期の愛着形成の重要性を深く理解し、重視されていた点に共感し、申請を決めました。</p><div id="tnf-text-notes-block_2bd59843b37afdd4661b16f1cae656f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「福祉車両」とは、障害者や高齢者の地域生活を応援するための車両のこと。参考：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/deployment_car" target="_blank" rel="noopener">日本財団「福祉車両配備」（別タブで開く）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_27cbc902be1bfa6e3d721a75820634c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金の申請から採択されるまで</h3><p>――申請までにどれくらいの時間を要しましたか。</p><p>船木：だいたい3カ月くらいでした。申請手続きの過程で困った時には、日本財団の担当者と細かく連絡を取り合いながら進められました。足りない点があればその都度教えてくださり、サポート体制が整っていたおかげで、スムーズに進めることができたと思います。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b3c30c2875811f1021e4950017f7e1ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応</h3><p>――助成金を使用した後に必要な処理や、報告書の作成で意識した点などがありましたら教えてください。</p><p>船木：報告書を作成する上で「なぜ乳幼児緊急里親事業が必要なのか」について、できるだけ具体例や数字を交えて伝えるように意識しました。</p><p>また、乳幼児の視点を中心に、里親家庭で過ごした子どもたちの変化やエピソードを盛り込み、子どもたちの笑顔につながっていたことをしっかり伝えることを心がけました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d9bc08688a31143da7ff2b08c466e266" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親支援センター（※）として認可され、より充実したサービスの提供へ</h2><p>――助成金を活用して良かった点について教えてください。</p><p>船木：家庭的な養育の機会を増やせたことです。緊急で保護が必要になった乳幼児が、家庭で過ごせる場を提供できました。</p><p>また、緊急受け入れ体制の充実にもつなげられました。研修会の実施や、緊急里親さんへの待機料、受け入れに必要な物品の準備に助成金を充てることができたおかげで、支援体制が整い、緊急時に乳幼児を受け入れられる里親を増やすことができました。</p><div id="tnf-text-notes-block_d52da432f450038d5468ddcdf5de4e87" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「里親支援センター」とは、里親及び小規模住居型児童養育事業に従事する者、その養育される児童並びに里親になろうとする者について相談その他の援助を行うことを目的とする施設</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00015.png"><p>――これからの展望や目標、目指す社会の在り方について教えてください。</p><p>古家：まずは里親支援センターの増設です。現在、札幌市内には市から委託された里親支援センターと、麦の子会を含めた民間の里親支援機関が2カ所あります。私たちは3カ所全てが市から委託されたセンターとなることを目指しています。</p><p>認定されれば、予算も確保され、里親の募集や支援といった責任ある役割を、より本格的に担うことができるようになります。</p><p>さらに、実親さんが里親制度について十分に認知しておらず、施設での養育を希望するケースもあります。子どもの愛着形成にとって家庭的な養育がいかに大切かを社会全体で伝え、将来的には、実親と里親で協力して子どもを育てる「共同養育」が当たり前の社会につながってほしいと願っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>もう1つは、「にんしんSOSほっかいどうサポートセンター」の窓口の強化です。2020年の開設当初から望まない妊娠をされた方からの相談が増えていて、相談者のための宿泊施設も2カ所から4カ所に増設しました。</p><p>相談者の中には、出産を選んだものの、子どもを育てることが難しい方もいらっしゃいます。そうした子どもたちのために、特別養子縁組につなげることも検討しています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/muginoko00008.jpg">にんしんSOSほっかいどうサポートセンター」の公式サイト。初診費用や保険証、交通費は不要で、送迎もしてもらえる。画像提供：社会福祉法人麦の子会</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_3a5a1ba3702f351967a31bf2ee0fb0cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者から見たプロジェクの魅力</h2><p>最後に日本財団の事業担当者・吐師 朝美（はし・あすみ）さんから社会福祉法人麦の子会が取り組む「乳幼児緊急里親事業」の魅力について聞きました。</p><p>吐師さん：本事業の実施により、緊急時に受託可能な里親を確保し、家庭的な環境で子どもを一時的に預かることができるようになることで、札幌市内における家庭養育の推進と子どもの安心・安全が図られることが期待できます。</p><p>麦の子会においては、地域で多岐にわたって事業を展開されていることもあり、行政をはじめとした関係機関との連携がとれていたこと、また、乳幼児は家庭で育てることが児童福祉法（※）で原則となっており、乳幼児緊急里親事業はその実現に繋がる制度であることを評価し、ご支援することにも繋がりました。</p><p>本事業を通して、子どもたちが安心・安全であたたかい家庭で育つことを期待しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_c72872198b2561e3230112f42f552d36" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「児童福祉法」とは、児童が良好な環境において生まれ、且つ、心身ともに健やかに育成されるよう、保育、母子保護、児童虐待防止対策を含むすべての児童の福祉を支援する法律</div><div class="wp-block-spacer"></div><p>【日本財団から社会福祉法人麦の子会への助成額】</p><p>849万円（2025年度）</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：海を支える人づくり——長崎海洋産業クラスター形成推進協議会</title>
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      <pubDate>Fri, 10 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>日本財団では、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>その支援先の1つである<a href="https://namicpa.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会（外部リンク）</a> は、洋上風力発電を中心に、人材育成や産業振興に取り組む団体です。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回は、副理事長の 松尾博志（まつお・ひろし）さん に、団体の目標や、助成金を活用して取り組みたい課題、さらに申請時に意識したポイントについて伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00006.jpg"></div></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_2741400868de5d680ed9c4492d4c22ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">洋上風力発電を支えるプロフェッショナルを育成</h2><p>――長崎海洋産業クラスター形成推進協議会の活動内容について教えてください。</p><p>松尾さん（以下、敬称略）：長崎海洋産業クラスター形成推進協議会は、洋上風力発電の人材育成と海洋産業の活性化に取り組んでいる、2014年に設立したNPO法人です。</p><p>人材育成については、大きく分けて2つの事業があります。1つは2020年10月に開所した<a href="https://noa.nagasaki.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「長崎海洋アカデミー（NOA）」（外部リンク） </a>で、こちらは主に陸上で、洋上風力発電の設計や施工管理などを行う技術者を育成しています。年間15〜20回ほど研修を行っていて、これまでに延べ1,100人以上の方が受講しています。</p><p>もう1つは、2024年11月に開所した訓練施設<a href="https://noatraining.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NOA TRAINING」（外部リンク）</a>です。こちらでは、実際に現場で洋上風力発電設備の建設やメンテナンスを行う技能者の育成を行っています。</p><p>このほか、環境省が進めている潮の流れを利用した発電機（潮流発電）の実証事業や、低コストで環境負荷を少なく風を観測することのできる浮体式風況観測装置を、国内で唯一開発しました。さらに、地域の漁協と協定を結び、海での実験を希望する企業と漁業者との間に立つ調整役も担っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00007.jpg">日本の長崎県五島市沖にあるの浮体式洋上風力発電機。画像提供：NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会<p>――そもそも、洋上風力発電とはどのようなものでしょうか。</p><p>松尾：洋上、つまり海の上に風力発電機を設置し、風の力で電気を作る方法です。仕組み自体は陸上の風力発電とほとんど同じで、風が吹くと風車の羽が回転し、その回転力が中央にある発電機に伝わって電気を生み出します。</p><p>海上に設置する大きな理由は2つあります。1つは、陸上と違って広大なスペースを確保できるため、大型の風車を数多く設置できることです。もう1つは、海上にはビルや山といった障害物がなく、風が強く安定して吹くという点です。</p><p>陸上では地形や建物の影響で風が不規則になることもありますが、洋上では安定した風が得られるため、同じ規模の設備でも効率よく発電することができるんです。</p><p>環境への影響については現在も調査を続けているのですが、現時点では大きな影響は確認されていません。例えば、沖合では渡り鳥のルートでない限り、陸上ほど多くの鳥は見られません。また、魚には、何もない場所よりも身を隠せる構造物に集まる習性があります。そのため、風車の基礎部分に魚が集まり、結果として漁業者にとってもプラスになる「魚礁効果」が期待できます。</p><p>――現在、日本で稼働している洋上風力発電所はどのくらいあるのでしょうか。</p><p>松尾：長崎県五島市、秋田港、能代港、そして北海道の石狩湾で、合わせて55基が稼働しているほか、北九州の響灘（ひびきなだ）では25基の建設工事が進んでいます。さらに、風が強く採算の見込みが立ちやすい地域を中心に、全国各地で新たな工事が計画されています。</p><p>――洋上風力発電を担う人材の数は、十分なのでしょうか。</p><p>松尾：現在、技能者と技術者を合わせて全国で約5,000人いるといわれていますが、2030年までにおよそ1万6,000人、2050年までには約5万人が必要だと試算されており、現状の約10倍に当たります。全く足りていないのというのが現実です。</p><p>そのため、訓練施設で新たな人材を育成する以外にも、電気工事の経験者や、火力発電や原子力発電、石油プラント設計といった他分野からの転職者や配置転換の方も多く、土木系、船乗り、潜水士など、さまざまなバックグラウンドを持つ人が新しく参入しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00002.jpg"><p>――産官学公が一体となって活動しているとのことですが、具体的な事業例を教えてください。</p><p>松尾：例えば「長崎海洋アカデミー」は長崎大学キャンパス内の一室で開催しており、私たちNPO法人が運営を担っています。設立の際には、日本財団や長崎県から助成金をいただいたり、授業内容によっては大学の先生方にも講義をお願いしたりするなど、さまざまな関係機関と連携を取りながら進めてきました。</p><p>また、当時は洋上風力発電について日本語で体系的にまとめられた教材がなかったため、この分野の先進国であるオランダの「DOBアカデミー」からスライドの提供を受け、それを基に日本語の教材を開発しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00005.jpg">「長崎海洋アカデミー」は日本財団をはじめ、政府機関や長崎県の大学などの協力を得て運営している。画像提供：NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会<p>――団体の活動を通して解決したい課題がありましたら教えてください。</p><p>松尾：やはり最も大きな課題は、地球温暖化への対応です。私たちは火力発電を減らし、洋上風力発電や潮流発電といった「海洋再生可能エネルギー」を増やすことを目指しています。特に日本は広大な排他的経済水域を持ち、海上では風が強いため、洋上風力発電は将来的に多くの電力を獲得できる可能性を秘めています。</p><p>地熱発電は安定的に発電できる特徴がありますが候補地が限られたり、温泉への影響が懸念されています。他の再生可能エネルギーと比べても、洋上風力発電はコスト面でも量の面でも有望だと考えています。日本の資産である「海」を活用して、クリーンな電気をつくることが私たちの最大の目標です。</p><p>また、地域経済の活性化も期待しています。私たちの拠点である長崎県はかつて造船業や重工業が盛んでしたが、現在は衰退傾向にあります。洋上風力発電で必要とされる技術の多くは造船業の技術と共通しているため、地元で培われてきた技術や、既存の技術者、サプライチェーン（製造・流通プロセス）を新しい洋上風力産業に活かしていくことを目指しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_256128e7fdd9abe77fb91f5fa7c68654" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団が目指す「海を有効活用した社会貢献」に賛同</h2><p>――活動を続ける中で、資金面での課題はありましたか。</p><p>松尾：私たちの基本的な財源は、会員企業約100社からの年会費です。年間6万円で、合計約600万円になります。設立当初の2年間は長崎県からの補助金もあり、スタッフは私を含めて3〜4名程度だったため、活動費用はそれほどかかりませんでした。</p><p>しかし、大規模な訓練施設を建設したり、ヨーロッパから教材を導入して学校を開設したりするためには、会費だけでは当然足りません。日本財団の助成先として採択されたことで、新しい事業を始めつつ、なんとか頑張って取り組んでいるというのが実情です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_85463a1ab9f589116131f3997b433c6f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金を受けるきっかけ</h3><p>――日本財団の助成金制度はどのように知ったのでしょうか。</p><p>松尾：2015年、長崎の海洋産業を担う人材の育成を目的とした子ども向けイベントの開催に向け、日本財団が行っている<a href="https://uminohi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海と日本PROJECT」（外部リンク）</a>への助成金申請を初めて行ったのがきっかけです。このスモールスタートから始まり、日本財団の担当者と一緒に事業をつくりあげていく中で、イベント運営の支援や、大学生向け研修など、継続的な協働関係が築かれていきました。</p><p>当初の子ども向け企画から徐々に大人向けの本格的な事業へと展開が広がり、2018年には「日本に本格的な洋上風力発電の技術者育成研修施設をつくりたい」という構想に関わることになりました。</p><p>――日本財団のポリシーに共感した点がありましたら教えてください。</p><p>松尾：海に囲まれた日本は、造船や海運、漁業など、海と共に発展してきた歴史があります。一方で、まだ十分に活用されていない海も存在します。日本財団の海洋関連事業が掲げる「使われていない海を有効活用して社会に貢献する」という考え方は、私たちの目指しているものとも一致していて、共感しています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_99ca7d2dc14f7b7440236c94cb3b6625" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●申請から採択までの流れ</h3><p>――助成金の申請にあたって準備したものや、書類作成をする上で苦労したこと、工夫した点などはありますか。</p><p>松尾：「NOA TRAINING」については、日本財団の担当者と2年近く話し合いながら準備を進めていきました。申請時はフォーマットに従い、年間の活動内容や期待される成果をまとめたExcel表や、事業概要を整理したPowerPoint資料を作成して提出しています。</p><p>必要事項はガイドブックにまとめられていますし、不明な点があれば、その都度、海洋事業部の担当者の方に確認しながら作成していたので、特に苦労はありませんでした。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00004.jpg"><p>――採択後の流れについて教えてください。</p><p>松尾：まず、事業計画に沿った資金の振り込み希望スケジュールの提出を求められます。特に、訓練施設のように数億円規模の費用がかかる大規模な建設プロジェクトの場合は、工事の進捗状況に合わせて資金を複数回に分けて振り込んでもらうよう相談することが可能です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_366ccf03fab3dacca05c163cf93eed2c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応</h3><p>――助成金を使用した後に必要な処理や、報告書の作成で意識した点などがありましたら教えてください。</p><p>松尾：現在受けている助成金は、最大で5年にわたる長期プロジェクトのため、頻繁に事務局の担当者の方とミーティングを行い、工事の進捗や受講生の状況などを報告しています。その際、必要に応じて予算変更の相談や申請も行っています。</p><p>担当者の方とコミュニケーションを取り、問題を解決しながらプロジェクトを進めているため、年度末に報告書を作成する際に特に悩むこともなく、これまでの経過をまとめる形で提出しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3c127373527f504db049c41a18739850" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2050年のカーボンニュートラル実現に向け、さらなる事業拡大へ</h2><p>――助成金を活用して、特に効果を感じた部分はありますか。</p><p>松尾：大規模なプロジェクトを実現できたことはもちろんですが、ネットワークが広がったことも大きな収穫でした。海に関心を持つ学生の方が増えたり、さまざまな専門分野で活躍する方々とつながったりする中で、新しい事業のアイデアも生まれてきます。実際に動き出してみて初めて気づくことも多く、ありがたいと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/yojo00001.jpg">「長崎海洋アカデミー」は日本財団をはじめ、政府機関や長崎県の大学などの協力を得て運営している。画像提供：NPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会<p>――最後に、今後の展望や、目指す社会のあり方について教えてください。</p><p>松尾：「長崎海洋アカデミー」では、「オペレーション＆メンテナンス」と「漁業共生」の2つのコースの増設を計画しています。また、「NOA TRAINING」では、現在行っている安全訓練に加えて、電気や機械の図面を見ながら組み立てるといった「技能訓練」の準備も進めています。まだ求められている訓練や教育の全てをカバーできているわけではないため、今後も訓練内容の幅を広げていく方針です。</p><p>さらに、海中作業や監視、モニタリングなどを行う水中ロボット「ROV」の操縦や管理ができる人材の育成も計画しています。ヨーロッパの洋上風力発電業界では既に主流の技術で、国内では職業潜水士の高齢化が進み、なり手が減っていることから、今後ますます必要となる技術だと考えています。今後、需要が高まれば、トレーナーの育成も必要になるでしょう。</p><p>2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、洋上風力発電が果たす役割は、日本だけでなく、長崎の地方創生にも大きく関わると思っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_decd61f9e4c5e032049b5c172691820b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者から見たプロジェクトの魅力</h2><p>日本財団は造船業をはじめ、海に関わるさまざまな分野（海事産業）に対する支援を発足当時から行っています。日本が国を挙げて2050年カーボンニュートラルを目指す中、海事産業も例外ではありません。日本財団は海事産業の脱炭素化を支援するためにいくつかのプロジェクトを展開しています。</p><p>例えば<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/zeroemission2050" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「日本財団ゼロエミッション船プロジェクト」（別タブで開く）</a>として、船舶の燃料を従来の重油からCO2を排出しない水素に置き換えるための技術開発への支援を行っています。そして今回の<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/offshorewind" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「洋上風力発電人材育成プロジェクト」（別タブで開く）</a>も、同様に脱炭素化の推進を念頭においた事業となっていますが、こちらは人材育成をその主眼としています。</p><p>昨今、産官学公が連携して日本における洋上風力発電導入を推進する中、「案件形成」には当初から注目や投資が集まっていたものの、実現に際して同じく必要不可欠であるはずの「人材育成」については十分な議論や検討、投資がなされていない状況でした。そこで、民の立場で公の仕事をする日本財団として、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会さんと共に、先駆的に取り組み始めたという経緯です。現在では「人材育成」領域に対し、国による補助金や民間の参入事例も増えています。</p><p>今回松尾さまにお話しいただいた通り、この事業は最初から大規模に始まったのではなく、「海洋産業を担う人材を育成する」というテーマのもと、スモールスタートでさまざまな事業を展開する中で、次第に醸成された課題意識が、大きな形として具現化していったものです。</p><p>「海」と聞くと、あまり身近ではなく、ご自身の解決したい課題認識と遠いと感じられる方も多くいらっしゃるかもしれません。しかし、洋上風力のような海の新たな利活用のあり方は技術の進歩と共に今後も増えていくと確信しています。日本財団の助成事業にご興味のある方は、ぜひお気軽にご相談・ご申請いただければと思います。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>【日本財団からNPO法人長崎海洋産業クラスター形成推進協議会への助成額】</p><p>4億9,963万円（2024年度）4億9,993万円（2023年度）4億9,904万8千円（2022年度）4億9,910万8千円（2021年度）</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：海と人をつなぐ——海洋文化創造フォーラム</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116174/academy</link>
      <pubDate>Fri, 10 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団では、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>その支援先の1つである<a href="https://occf.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人海洋文化創造フォーラム（外部リンク）</a>は、日本財団が推進する、<a href="https://toudai.uminohi.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海と灯台プロジェクト」（外部リンク）</a>に取り組む団体です。</p><p>灯台は明治から昭和にかけて、航路標識として船の安全を守るために設置されてきました。しかしGPSの発展により、従来の役割は薄れつつあります。同団体はその価値を改めて明らかにし、地域のシンボルとしての活用や、まちおこしの拠点、そして新しい海洋体験の創造を目的に活動しています。</p><p>今回、海洋文化創造フォーラムスタッフの山口健（やまぐち・たけし）さんに、団体の目標や助成金を活用して取り組みたい課題、さらに申請時に意識したポイントについて伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/todai00005.jpg"><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_ec85d5eae9dc8bfb8728ece96017495f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域の灯台に新たな価値を。文化財としての可能性</h2><p>――海洋文化創造フォーラムの活動内容について教えてください。</p><p>山口さん（以下、敬称略）：私たちは官民・専門家と連携し、海洋文化資産の記録保存と価値向上、情報発信に取り組んでいます。その一環として、灯台の価値や魅力の発信、新たな海洋体験の創造を目指す「海と灯台プロジェクト（※）」を推進しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_89e23ad69e7da7eda5f4e3d5a62b0d0c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※日本の灯台を海洋文化資産として地域活用し、灯台を中心に海の記憶を掘り起こして地域間や異分野をつなぎ、海と人と灯台の関係性を構築するプロジェクト</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/todai00006.jpg">海と灯台プロジェクトが2024年に行った主な活動とその実績。画像提供：一般社団法人海洋文化創造フォーラム<p>山口：主な活動としては、「新たな灯台利活用モデル事業」「海と灯台利活用チャレンジ事業」があります。いずれも、灯台を活用したイベントやコンテンツ制作の事業プランを公募し、支援するものです。2025年度は全国延べ21事業を展開しており、各地の灯台や地域ならではの歴史や魅力を生かした取り組みを通じて、灯台の存在価値を⾼め、灯台を起点とする海洋文化を次世代へと継承することを目指しています。</p><p>さらに、国が定めた「灯台記念日」の11月1日から11月8日まで全国で一斉に「灯台に行こう！」と呼びかける「海と灯台ウィーク」や、研究者・専門家との協働による「海と灯台学」研究などにも力を入れています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/todai00003.jpg"><p>山口：私たちは、灯台を中心に地域の海の記憶を掘り起こし、地域と地域、日本と世界をつなぎ、これまでにない異分野や異業種との連携も含めて、新しい海洋体験を創造していくことを目指しています。</p><p>現在、日本全国には約3,000基の灯台がありますが、最近では灯台の役割を知らない人も増えています。もともと灯台は沿岸や港の入り口など、危険な岩礁や浅瀬の近くに設置され、船がどこに陸地や航路の入り口があるかを視覚的に確認できるようにする役割を果たしていました。また、灯台の点滅パターンや光の色は場所ごとに異なり、海図（海の案内図）と照らし合わせることで、自分の船がどのあたりにいるのかを判断できる仕組みになっています。</p><p>しかし、GPSの発展により航路標識としての役割は薄れつつあるのが現状です。</p><p>――航路標識としての必要性が低下している灯台が、なぜ現代でも必要なのでしょうか。</p><p>山口：GPSなど電子航法技術が普及した今でも、停電や災害、機器の故障時には物理的な目印である灯台が重要です。それに加えて、灯台や灯台が立つ場所は地域のシンボル、防災拠点、文化財といった多様な価値があります。</p><p>古代から海の要所とされてきた場所に建つ灯台は、地域のアイデンティティーを支える象徴ともいえるでしょう。文化庁による重要文化財指定も進み、歴史的価値の再評価が進んでいます。さらに、灯台を災害時の一時避難場所や備蓄施設として活用する動きもあります。</p><p>私たちは灯台を「海と地域をつなぐ拠点」として活用し、訪れる人を増やすことで地域活性化に貢献していきたいと考えています。</p><p>――灯台を活用してまちおこしに成功した事例を教えてください。</p><p>山口：最も印象深いのは、長崎県平戸市生月島（いきつきじま）にある大バエ鼻（おおばえはな）灯台の事例です。このプロジェクトは2022年度の「新たな灯台利活用モデル事業」として、長崎県佐世保市出身のある女性が地域に恩返ししたいという熱意からスタートした活動になります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/todai00004.jpg">長崎県平戸市生月島にある大バエ鼻灯台。この場所は江戸時代には捕鯨船の安全航行を見守り、戦時中には砲弾庫として利用された歴史もある。画像提供：一般社団法人海洋文化創造フォーラム<p>山口：生月島は北側と南側で2つのコミュニティーに分かれており、両者の交流はあまり活発ではなかったんです。初年度は海が身近な北側のコミュニティを中心に活動が進められ、人口約4,000人の島で1,000人規模のイベントを成功させました。そして、2年目には南側の人々も巻き込み、南側にあった生月長瀬鼻（いきつきながせはな）灯台も利用して、2つの灯台をつなぐ「ツナガル灯台マルシェ」を開催しました。</p><p>このイベントも前年度と同様に1,000人規模の参加者を集め、大盛況となりました。マルシェでは地元のおいしい食材を使った料理を提供するお店が多数出店し、さらにステージでは地元の子どもたちのダンスや、伝統芸能、バンド演奏などが披露され、大きな盛り上がりを見せたんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/todai00001.jpg"><p>――地域のイベントとしては大成功ですね。</p><p>山口：そうですね。モデル事業は3年を目途にプロジェクトを自走化していくことを目標としています。大バエ鼻灯台のプロジェクトでは、2年目の途中から地元にUターンした2人の若者が中心となって結成された会社<a href="https://gattarai.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ガッタライ」（外部リンク）</a>が運営委員会に加わり、3年目にはこの会社が事業がの中心的な役割を担い、現在も毎月1回、イベントを開催しています。最近では教育委員会とも連携し、学生を誘致するようなイベントも実施されているんです。</p><p>ガッタライのメンバーは、愛する故郷が過疎化していくことに課題意識を持っていました。「過疎化、高齢化する地元に灯台プロジェクトを通して可能性を示し、それに刺激を受けて立ち上がる若者が現れるように活動していきたい」と話していたことが印象的です。</p><p>また、彼らの活動に対して地元の年配の方からも「嬉しかばい。応援するけん頑張らんばよ！」という激励の声が聞かれています。モデル事業が自走化し、持続可能な活動として地域に根付いていることが伺えます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_857e9a512b724335d68383c4185b47b7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">地域に根づく文化を育てる。日本財団のポリシーに共鳴</h2><p>――日本財団のポリシーに共感した点がありましたら教えてください。</p><p>山口：支援を終わりにするのではなく、事業を地域に根付かせ、文化として永続させようとしている点です。その実現に向けて、各地のモデル事業の自走化をどう進めるのかを、日本財団とも適宜相談しながら検討しています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_50647f32492524f0112c78d21a48140b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金の申請から採択されるまで</h3><p>――助成金の申請にあたって準備したものや、書類作成をする上で苦労したこと、工夫した点などはありますか。</p><p>山口：最も時間をかけたのは事業計画の立案です。連携する地域団体の方々、海上保安庁、専門家など幅広い方々からのヒアリングに加え、直接関係ない先行事例についても調べ、事業を次のステージへと進化させるよう意識して作成しました。</p><p>書類作成で工夫した点は、プロジェクトの規模が大きいからこそ、単なる理想論に見えないよう、地域の声や文化的意義をしっかりと盛り込み、説得力を高めるように努めたことです。</p><p>――採択後の流れについて教えてください。</p><p>山口：採択通知を受け取った後、契約を締結します。その後、速やかに助成金が交付されました。例えば2024年度のプロジェクトでは、4月1日に契約を開始し、5月末には助成金が口座に振り込まれました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8acd65d176af3654fbc43b7197bcb8be" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応</h3><p>――助成金を使用した後に必要な処理や、報告書の作成で意識した点などがありましたら教えてください。</p><p>山口：事業完了報告書や監査資料は入念に準備しています。特に意識しているのは、日本財団指定の報告書に加えて、独自に報告書を作成することです。これは1年間の活動を振り返り、自分たちの取り組みを整理する大切な機会になると考えています。</p><p>また報告書には、写真や参加者の声を盛り込み、活動の熱量が伝わるように工夫しています。そのためイベント実施前には、関係者や地域団体に、写真撮影やインタビュー記録をしっかり取るようにお願いしています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e60361d0e2fa1fb77f6e5c7288d9ebee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">意義に沿ったプロジェクトや文化継承に焦点を当てた事業を実施</h2><p>――助成金を活用して、特に効果を感じた部分はありますか。</p><p>山口：新たな灯台利活用をしたいというニーズが増え、公募内容の質も向上している点です。活動実績やメディアでの露出を通じて、「海と灯台プロジェクト」の文化継承という本質的な意義が広く伝わるようになり、全国各地に協働する仲間が増えてきました。</p><p>またメディア案内状を作成して取材を誘致したり、イベント後にレポートを発信したりすることで、テレビのニュースやウェブ記事で取り上げられるようになり、灯台の魅力や利活用事例が広く伝播され、全国的な注目度が高まったことも大きな成果だと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ff4f61cd480a77647995fb8bcf24dfb4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者から見たプロジェクトの魅力</h2><p>本プロジェクトは、歴史的・文化的価値を有する灯台を地域資源として再発見し、その魅力を社会に発信する取り組みです。灯台守にまつわるエピソードや、各灯台が持つ背景など、地域に根ざした記憶や物語を活かしながら、航路標識としての役割が薄れつつある灯台の新たな利活用が各地で進められています。</p><p>地域の担い手の皆さまと共に活性化を目指す本プロジェクトは、高い新規性を有し、他地域への波及効果も期待される点が大きな特徴です。今後、全国各地へのさらなる展開が見込まれるモデルケースとして、ぜひご注目いただければ幸いです。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>【日本財団から一般社団法人海洋文化創造フォーラムへの助成額】</p><p>1億7,924万円（2025年度）</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：海と人をつなぐ——海洋文化・研究拠点化推進協議会</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116200/education</link>
      <pubDate>Fri, 10 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p></p><p>日本財団では、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>支援先の1つである<a href="https://www.sss-rmc.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会（外部リンク）</a>は、古くから貿易港として栄えてきた清水港および駿河湾を中心に、観光や海洋研究の拠点としての発展を目指しています。</p><p>今回は、同法人の専務理事・植田基靖（うえた・もとやす）さん、「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin駿河湾」事務局担当・早川遼太（はやかわ・りょうた）さんに、団体の目標や、助成金を活用して取り組みたい課題、さらに申請時に意識したポイントについて伺いました。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_87825ebef585f4e005472342355266c7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">貿易、観光、海洋研究。清水港の多彩な魅力を広く発信</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>ーー一般社団法人海洋文化・研究拠点化推進協議会の設立背景について教えてください。</p><p>植田さん（以下、敬称略）：清水港は明治時代から国際貿易港として発展してきました。近年、静岡県や静岡市は、環境に配慮し、景観を守りながら、レジャーや観光、さらには海洋研究の拠点として活用していくことを目指しています。私たちは、この動きを民間レベルからも後押ししたいと考え、2022年に設立しました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00005-773x1024.jpg"></div></div><p>ーー具体的に、どんな活動をされているのでしょうか。</p><p>植田：清水港の研究拠点やレジャー拠点としての取り組みを広く知っていただくために、SNSやインターネットを活用した広報活動を行っています。また、商工会議所と連携し、一般の方向けの講演会や子ども向けのイベントを開催することもあります。</p><p>そうした活動を通じて、地域の人々に地元・静岡の海をより身近に感じてもらうことも大切な目的の1つです。さらに、東京科学大学のフォーラムでも、清水港での海洋研究の取り組みを紹介しており、学術的な場での情報発信も行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00011.jpg">国際貿易港として発展してきた駿河湾は、2,500メートルの深海部があり、毎年新種の魚種が発見されるという。画像提供：一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会<p>――団体として解決したい課題や、助成金を活用して解決したい課題について教えてください。</p><p>植田：多くの市民にとって、清水港は今も「貿易港」というイメージが根強く残っています。だからこそ、海をより身近に感じてもらい、港が持つさまざまな価値に気づいてもらえるよう取り組んでいきたいと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f9a2f5ae070571f88aaee2b3c931b688" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもたちの「海が好き」を未来の職業につなげたい</h2><p>――子どもたちを対象にした事業<a href="https://www.at-s.com/event/featured/shinkai/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin駿河湾」（外部リンク）</a>の概要について教えてください。</p><p>早川さん（以下、敬称略）：深海や深海生物に興味がある小学5年生から中学3年生を対象に、探究教育プログラムを展開しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00008.jpg"><p>早川：従来の子ども向けの海に関するプログラムは、海のごみ拾いといった海を好きになってもらうことを目的に、実体験に重きを置いたものが多いと思います。</p><p>一方で、漁師や海技士（※）、をはじめとする海洋の専門分野では人手不足が深刻化しています。小学校高学年の段階では「海が好き」という子どもは多いものの、その興味が具体的な職業につながらないことで、関心が薄れていってしまうのではないか、そんな仮説を立てました。</p><p>そこで、駿河湾や清水港を貿易港としてだけではなく、文化的・研究的な価値を持つ「海洋文化都市」の資源として活用し、海が好きな子どもたちの学びや体験につなげたいと考えました。</p><div id="tnf-text-notes-block_2e6b365f1442ddfcfadff14a26323073" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※大型船舶（20トン以上の船舶）に船長、航海士、機関長、機関士などの船舶職員として乗船するために必要な国家資格である、海技士免許を取得した人のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00006.jpg">プロジェクトの内容には、深海に関する各分野の研究者の講座やフィールドワーク、プレゼンテーション講座などが含まれる。画像提供：一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会<p>早川：このプロジェクトは、将来の海洋分野を担う人材育成につなげることも大きな目的の1つです。</p><p>小学生の頃は「スポーツ選手になりたい」といった純粋な夢を描くことが多いですよね。ただ、「どんなステップを踏めばその職業になれるのか」が見えないと、夢を叶えるのは難しいという研究結果があるそうです。</p><p>つまり、漁師や研究者などの職業を目指すには、単に「海が好き」という気持ちだけでは難しい。実際に仕事現場を見学したり、専門家と交流したりする経験を通じて、「好き」を「将来なり得る職業」へと発展させるサポートができたらという思いで企画しました。</p><p>――プログラムには「深海が大好き！」という子どもたちが参加するのでしょうか。</p><p>早川：「なんとなく好き」という子から、かなりマニアックな子までさまざまですが、深海に興味があるという点ではみんな共通しています。なかには、深海や深海魚が好きだと言うと、クラスメイトや身近な人に「変わっている」なんて言われることもあるようで……。</p><p>実は私の息子もタコが大好きなんです。「この子はタコの話ばかりしているけれど大丈夫だろうか……」と少し心配した時期もありました。でも、「自分の『好き』という気持ちは、そのまま大切にしていいんだよ」と後押ししてあげたいと思ったんです。</p><p>プログラムを通して、子どもたちが自分の「好き」なものに自信を持ち、自己肯定感を育むことも、この事業の大切な目的です。</p><p>――プロジェクトで実施している講座の内容について教えてください。</p><p>早川：講座は6月から翌1月にかけて、全12回行います。第1回から第4回までの「深海基礎講座」では、<a href="https://www.numazu-ct.ac.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">沼津工業高等専門学校（外部リンク）</a>の大津孝佳（おおつ・たかよし）教授をお迎えして深海について学びます。</p><p>その他、<a href="https://www.numazu-deepsea.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">沼津港深海水族館（外部リンク）</a>のバックヤード見学や、駿河湾で「深海魚漁」を体験することもあります。また、富山湾で同様のプロジェクトを行うチームとコラボレーションし、富山湾と駿河湾の違いを学ぶことで、子どもたちが世界に視野を広げるきっかけもつくっています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00003.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00002.jpg">水族館のバックヤードを見学する様子。画像提供：一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会</div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>早川：第6回から第8回は、「グループワーク&amp;個別プログラム」を実施します。個別プログラムでは一人一人と面談して、基礎講座で特に興味を持ったことについて「なぜ興味を持ったのか」を深掘りします。</p><p>子どもたちの中には、さまざまなことに触れるうちに関心が変化していくケースもあります。「自分の心が動いたものは何か」「その理由はなぜか」といった、自分自身と向き合う作業を大切にすることで特に関心のあるテーマを見つけていきます。</p></div></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/77920-3021-db32bcca33f731fedc5ac02fad5c688e-512x384-1.webp"></div><p>早川：グループワークでは、少人数のグループをつくって、それぞれの「好き」を深堀りしてもらいます。その1つが、「プログラミング＆ロボット教室」です。</p><p>ここでは、子どもたちがそれぞれ興味を持った深海魚の特徴や機能を、未来のアイデアに活かす方法を考えます。その他、<a href="https://maoi-i.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般財団法人マリンオープンイノベーション機構（外部リンク）</a>で、研究員の先生方からDNA抽出やゲノム解析の方法を教わる機会もあります。</p><p>第9回から第11回は、「映像制作＆プレゼンテーション講座」を行います。最終回に開催される「研究成果発表会」に向けて、静岡放送のテレビ制作チームの方々やプレゼン講師の先生から、物事を分かりやすく伝える方法も指導してもらいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00004.jpg">伝わりやすいプレゼンテーション力を身につける「映像制作＆プレゼンテーション講座」の様子。画像提供：一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会<p>――各分野の専門家の方が関わっているんですね。これまで開催してきた中で、特に印象に残っている参加者はいますか。</p><p>早川：一人一人にストーリーがあって、全てが忘れられないのですが……。</p><p>2024年度の大賞受賞者は「深海魚にとって光はどう見えているのか」というテーマを追究していました。絵を描くのが大好きな子だったので「デッサンを学ぶ延長なのかな」と思っていたのですが、実際は「魚の目から見たら、調査船の光は強すぎるのではないか」という優しい気持ちが出発点だったんです。</p><p>子どもたちの独自の視点や発想には私たちも驚かされることが多く、毎回感動しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/shinkai00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_0ee2e57efeb8b2c4c30fd087b9f26cbf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">助成金なくして、プロジェクトは実現できなかった</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_b0464084453124bf4860d2880105b925" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金を受けるきっかけ</h3><p>――日本財団の助成金制度を知った経緯や、申請したきっかけについて教えてください。</p><p>早川：きっかけは新聞広告で知ったことです。日本財団の<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/uminohi" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「海と日本PROJECT」（外部リンク）</a>に共感したこと、そして以前から探究教育に取り組みたいと考えていて、「駿河湾を教材として活かせるのでは」と思っていたことが大きかったです。</p><p>さらに、沼津工業高等専門学校の大津先生とつながったことで企画が具体化し、申請に至りました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_527cedf64480869b97d983e85747ed25" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●申請から採択までの流れ</h3><p>――申請までにどれくらいの時間を要しましたか。</p><p>早川：企画が具体化したのが9月半ばで、申請の締め切りがその年の10月だったので、大急ぎで進めました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_854916123e0711b1e91ebe374793b687" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金を活かした広がりや対応</h3><p>――申請時に苦労した点や、助成金を使用した後に必要な処理、報告書の作成などで苦労した点はありますか。</p><p>早川：予算書を作成すること自体が初めてで、手探りの部分もありましたが、日本財団のサポート体制が整っていてとても助かりました。</p><p>ただ、初年度はプロジェクトの意義を理解していただくのには苦労しました。ですが、子どもたちの成果発表会をご覧いただくことで、成長を実感していただき、意義のある活動だと評価され、継続につなげることができています。</p><p>報告書については、写真を多く用い、ビジュアルで伝わりやすくする工夫をしています。毎回、動画とスチールの撮影クルーに入っていただいているので、良い写真がたくさん保存できるのは大きな強みですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/2025pic_report03_02.jpg">プロジェクトを通して、次世代の「海洋専門リーダー」育成につなげたい。画像提供：一般社団法人 海洋文化・研究拠点化推進協議会<p>――助成金を活用して良かった点や、これからの展望・目標、目指す社会の在り方について教えてください。</p><p>早川：1年間のプロジェクトを通じて、子どもたちの成長に触れられるのは本当に大きな喜びです。</p><p>最近では、卒業生とのつながりを活かす活動も始めました。2025年7月に駿河湾で開催された国際イベント<a href="https://blue-economy-expo.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「BLUE ECONOMY EXPO（ブルーエコノミーエキスポ） ＠Suruga Bay」（外部リンク）</a>には、プロジェクトの卒業生を有志で募って参加しています。</p><p>その際に、卒業生に対して行ったアンケートでは、海や深海への興味・関心について「以前と変わらない」「むしろ好きになった」と答えた人が80パーセントを超えていました。ずっと海を好きでいてくれることが、とても嬉しかったですね。</p><p>時代は変化していて、もはや「終身雇用が全て」という時代ではありません。だからこそ、自分の「好き」を形にしていける力強さを子どもたちに身につけてほしいと願っています。そして社会全体としても、多様な働き方や職業の在り方を受け入れ、サポートできる体制が広がっていくといいなと思います。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8d5d1d7edf157c94c45947d41fcfcf65" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者から見たプロジェクトの魅力</h2><p>最後に日本財団の事業担当者・西井諒（にしい・りょう）さんから海洋文化・研究拠点化推進協議会が取り組む「深海研究スーパーキッズ育成プロジェクトin駿河湾」の魅力について聞きました。</p><p>西井さん：日本財団では若者が海に親しむきっかけをつくるための親水体験を含む事業を数多く支援しています。近年多く申請をいただくのが、学校教育では教えることのできない、専門的な内容を学ぶものです。</p><p>情報があふれる現代では小中学生が高度な知識にアクセスすることが容易になりましたが、疑問にぶつかった際に周りの大人では回答できないケースも少なくありません。</p><p>本事業では海のプロフェッショナルが多く参画することで、若者の知的好奇心に応え、将来の海洋分野をけん引していく人材の開発を目指しており、課外活動だからこそできる学びの場を提供するという独自性を評価し、助成させていただいております。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>【日本財団から一般社団法人海洋文化・研究拠点化推進協議会への助成額】</p><p>2,699万円（2024年度）</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F" target="_blank" rel="noreferrer noopener">助成申請に関するご質問はこちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>食べることに困難を抱える「嚥下（えんげ）障害」。誰もが食事を楽しめるようになるためには？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116082/disability</link>
      <pubDate>Tue, 07 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>嚥下障害のある多くの人が、食事に困難を抱えている</li><li>歯科医師が始めたカフェ「カムカムスワロー」では、一般食と嚥下食を提供し、誰もが食を楽しめる場を実現している</li><li>嚥下食を「病院食」としてではなく、誰もが食を楽しむための手段と捉え、その価値を広げることが大切</li></ul><p></p><p>食物を口に運び、噛み、飲み込む――この当たり前の行為を「嚥下（えんげ）」と呼びます。ところが、高齢化や病気、障害などの影響で嚥下が難しくなる「嚥下障害」により、食事に困難を抱える人は少なくありません。嚥下障害の人に必要な食事形態「嚥下食」は医療や介護の現場では広く知られている一方で、社会全体の認知度はまだ十分とはいえません。</p><p>そんな現状を少しでも変えようと立ち上がったのが、<a href="https://touhoukai.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">医療法人社団登豊会 近石病院（外部リンク）</a>の理事で歯科医師の近石壮登（ちかいし・まさと）さんです。近石さんは2022年に、「食べる」を通じて、医療と地域をつなぐ場として、コミュニティカフェ<a href="https://comeswa.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「カムカムスワロー（外部リンク）」</a>を設立。一般食の他に、嚥下機能のレベルに合わせて、飲み込みやすいように調整した食事「嚥下食」を提供し、誰もが食を楽しめる場を提供しています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回、近石さんに「嚥下障害とは何か」をはじめ、カムカムスワローで取り組む嚥下食の普及・啓発への思いや、誰もが食を楽しめる社会に向けて私たち一人一人ができることについてお話を伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow00005.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b26c39c98f665eb0286472110df85daf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食事の制限、外食、旅行……。嚥下障害の人が抱える困難</h2><p>――はじめに、「嚥下障害」とはどのような障害なのでしょうか。</p><p>近石さん（以下、敬称略）：嚥下障害とは、食べ物や飲み物を口から喉、そして胃へと送り込む一連の流れがうまくいかなくなる状態をいいます。例えば、噛む力が弱まって食べ物を十分に細かくできなくなる他、舌や頬の動きが衰えて食べ物を口の奥へ送りにくくなることがあります。また、喉の筋肉や飲み込みの反射が弱まると、食べ物が途中で止まってしまったり、気管に入ってむせやすくなったりします。</p><p>原因は加齢による筋力の低下に加え、脳梗塞やパーキンソン病など神経の病気、舌や喉のがん、あるいはその治療の影響など多岐にわたります。</p><p>――「嚥下障害」がある人は、どのような困難を抱えているのでしょうか。</p><p>近石：嚥下障害があると、「食事に時間がかかる」「水分でむせる」「薬が喉につかえる」といった日常的な困り事が増えるだけでなく、パンのようにパサパサした食品や食物繊維の多い野菜、すじの多い肉などは特に噛みにくく・飲み込みにくく、誤嚥（ごえん）のリスクが高まります。</p><p>誤嚥とは、飲み込んだ食べ物や唾液が食道ではなく気道（気管）に入ってしまうことで、これが繰り返されると誤嚥性肺炎を引き起こし、健康や生活の質（QOL）に大きな影響を及ぼすため、注意が必要なんです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow00003.jpg">気管に異物が入ると、普通は防御反応で咳が出て押し戻すが、身体機能の低下により押し戻すことができない人もいるという<p>――嚥下障害があると外食時や旅行時にも困難があると聞いたことがあります。</p><p>近石：そうですね。例えば、嚥下障害がある人は、誤嚥を防ぐため、食物が喉に落ちるスピードを調整しないといけません。そのため、とろみ剤を使ったり、食物を食べやすい形態に調整したりして食事を取るのですが、現状、外出先で嚥下食を提供できる飲食店はほぼありません。</p><p>それゆえ、外出の際には、もしもの時に備えて栄養剤やレトルトの嚥下食を持参する方も少なくありません。また、嚥下食を周りの人に見られたくないと感じ、外食自体を避けてしまう方もいます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow000029.jpg"><p>――嚥下食は一般的な食事より、手間やコストがかかりそうな気がします。</p><p>近石：はい。ミキサーを使用したり、再形成したりと、どうしても調理に時間や労力がかかり負担が大きくなります。また、レトルトの嚥下食があるのですが、一般的なレトルト食品に比べて高価ですし、味のバリエーションも限られているため、短いサイクルで同じ種類のものを食べ続けなければいけないという困難もあると思います。</p><p>――食が楽しめなくなると、ストレスになりそうですね。こうした困難を抱えている方が、少しでも食を楽しめるように設立されたのがカムカムスワローなのですね。</p><p>近石：はい。きっかけは、私が訪問歯科診療に携わっていた時のことです。脳梗塞の後遺症がある男性患者さんに「食べ物は何がお好きですか？」とお尋ねしたところ、「お寿司が好き。マグロといなり寿司を食べたい」とおっしゃったんです。しかし、その方が普段召し上がっているのはペースト食でした。</p><p>確かに医学的には、安全なペースト食が正しい選択なのかもしれませんが、患者さんの食べる楽しみにまで十分に関わることができているのだろうかと、改めて考えさせられました。</p><p>そうした現状を目の当たりにして、「嚥下障害がある方でも外食を楽しめる社会をつくりたい、食べることを通じて地域がつながるような場をつくりたい」と強く感じ、カフェを立ち上げることを決意しました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow00002.jpg">病院に隣接されているカムカムスワロー。「噛む」と「come（来る）」、そして嚥下の漢字のモチーフとなっている「燕（スワロー）」が由来となっている。画像提供：カムカムスワロー<h2 id="tnf-text-heading-block_2478e82bafb96d5c9147b05a6201a39e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰でも通える、医療と地域をつなぐコミュニティカフェ</h2><p>――カムカムスワローでは、どのような食事が提供されるのでしょうか。</p><p>近石：誰でも通えるコミュニティカフェをコンセプトとしているので、嚥下食だけではなく一般食も提供しています。店内には調理スタッフの他に管理栄養士もおりまして、栄養面にも配慮したメニューとなっています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow00006.jpg"><p>――カフェを利用する方からは、どのような声が届いていますか。</p><p>近石：お母様がご高齢になり、普通の食事が取れず外食を諦めていたご家族がいらっしゃいました。その方は「母と一緒に外食することを諦めていたけれど、こういう場所があると一緒に来られるのでうれしい」と、久しぶりの親子水入らずのお食事をとても楽しんでいらっしゃいました。</p><p>――嚥下食の提供を通して、ご家族が楽しめる場が増えたのですね。</p><p>近石：そうですね。最近では、特別支援学校が修学旅行でカムカムスワローを利用し、食事を楽しんでいただきました。「周りの目を気にしてしまい、先生も生徒もゆっくり食事を楽しめなかったので、とても助かりました」といった声もいただいています。すでに来年度の修学旅行時の来店予約もいただいています。</p><p>現状、カフェを利用している方のほとんどは嚥下障害ではない方ですが、「カフェに来て初めて嚥下食について知ることができた」とおっしゃってくださる方が多いですね。</p><p>――こちらのカフェでは、嚥下食を知ってもらうためにイベントやワークショップを開催していると伺っています。</p><p>近石：これまで、嚥下食を知ってもらうための実演会、健康増進教室などのイベントや、2カ月に1回、お茶を飲みながら、がんに関する悩みや不安を語り合う「がんカフェ」を開催してきました。これからも口腔、栄養、運動の3分野を軸に、「おいしいものを楽しく食べる」をゴールにしたイベントやワークショップを開催していきたいと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/comeswallow00001.jpg">カフェ内で開催された健康増進教室の様子。画像提供：カムカムスワロー<h2 id="tnf-text-heading-block_ccdbf2216fbda19eb0066cdd08515d7d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">嚥下食へのマイナスなイメージを払拭したい、楽しく食べることを諦めてほしくない</h2><p>――医療や介護の世界では広く知られている嚥下障害や嚥下食ですが、社会全体で考えると、まだ認知度は低いように感じます。</p><p>近石：おっしゃる通りです。高齢化の進行に伴い嚥下食のニーズや市場規模は確実に広がっているにもかかわらず、実際に嚥下食を提供できる飲食店やホテルはほとんどありません。もし外食の場で嚥下食を選べたり、コンビニなどで手軽に購入できる商品が普及したりすれば、認知度は格段に高まり、当事者やご家族にとっても大きな安心につながるはずです。</p><p>――他に嚥下障害や嚥下食に関して、社会全体が考えるべき課題はありますか。</p><p>近石：嚥下食は知っているけれど、ペースト食の見た目のイメージもあって、「病院で食べるもの」と、マイナスなイメージを抱いている方も多いと思います。また、嚥下障害がある当事者やご家族も、楽しく食べることを諦めている傾向が強いと感じています。</p><p>現在、企業と協力して、「嚥下食をみんなでおいしく食べること」を目的にしたプロジェクトを立ち上げました。嚥下食のネガティブなイメージを変え、誰もが食べる喜びを分かち合える社会につなげていきたいと考えています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_219dd623bc991afb2da1864d2d308a5a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰もが食事を楽しめる社会になるために、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に、誰もが障害の有無にかかわらず食事を楽しみ、幸せな気持ちになれる社会になるために、私たち一人一人ができることを近石さんに伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_91d8b9d440ff16cf693bd6ec74c36568" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【1】「嚥下障害」に誰もがなる可能性があることを知る</h2><p>加齢だけでなく、病気や事故などさまざまな要因で嚥下障害になる可能性がある。誰もが潜在的な当事者であるという認識を持つことが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8a3542abcea8d4568298159c196277cc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【2】「嚥下食＝食事を楽しめるもの」として価値を広めていく</h2><p>嚥下食は決して特別なものやネガティブなものではなく、誰もが一緒に食事を楽しむための工夫。ポジティブな価値を共有していくことが、共生社会の実現につながる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3b32180d5a4d61949ba982588ca0af76" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【3】周りに「嚥下障害」の人がいたら、食べる喜びにつながる情報を伝える</h2><p>嚥下食のレトルト食品や、カムカムスワローのような飲食店など、情報を伝えることで食の選択肢は広がる。さらに、実際に一緒に食べてみることで「食べる楽しさ」を共有することができる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>スーパーで「とろみ剤」を見かけ、その用途が分からなかったため調べてみたところ、「嚥下障害」という症状にたどり着き、今回、近石様にお話を伺いました。</p><p>「嚥下障害」や「嚥下食」について、当事者やその家族以外にはなじみの薄いものかもしれません。しかし、私たち自身の加齢や家族の介護を通じて、いつか直面する可能性のある身近な課題でもあります。</p><p>もしスーパーやドラッグストアでレトルトの「嚥下食」を目にする機会があれば、少し立ち止まってもらえればと思います。どのようなメニューが並んでいて、そのラインナップだけで毎日の食事を楽しめるだろうかと想像してみる――そんな小さな経験が、食べることの意味や、誰もがおいしく安全に食事できる社会について考えるきっかけになるのではないかと感じます。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>申請から採択まで何が大変？ 日本財団助成金活用レポート：障害者の働くを支援——チャレンジドらいふ</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/116063/academy</link>
      <pubDate>Fri, 03 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p></p><p>日本財団は、国内外の社会課題の解決に取り組む公益活動団体に対し、助成金を通じた支援を行っています。</p><p>2024年3月、<a href="https://c-life.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">社会福祉法人チャレンジドらいふ（外部リンク）</a>は、この助成金を活用して就労継続支援B型事業所の1つを廃止し、売上げで給与を払う一般事業所「ソーシャルファーム大崎」を、宮城県美里町に開設しました。</p><p>水耕栽培でホウレンソウを育てる植物工場で、元の就労継続支援B型事業所の利用者は一般雇用（社員）として採用。社会保障費に頼らず給料を支払うことができる日本初の「脱福祉」型就労施設として注目を集めました。</p><p>今回は、理事長の白石圭太郎（しらいし・けいたろう）さん、副理事長の早坂勇人（はやさか・ゆうと）さんのおふたりに、施設の現状に加え、助成金申請に至るまでの経緯から受給のプロセス、受給したからこそ得た成果について伺いました。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_5158cf87690d99348e487200aed905e3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1年で感じた、働く人たちの目覚ましい成長</h2><p>――「ソーシャルファーム大崎」は水耕栽培でホウレンソウを育てる植物工場ということでした。開設から約１年半、どのような状況でしたか。</p><p>白石さん（以下、敬称略）：正直、ここまで苦難の連続です。そもそも、使う予定だった井戸水の状態が悪く、最初はホウレンソウが枯れてしまいました。原因を突き止めて貯水タンクを洗浄し、やっと栽培に成功したのは2025年の6月です。しかし喜んだのもつかの間で、今度は卸先が見つからないとか、出荷作業がうまくいかないなど、次から次へと難題は降りかかってきます。</p><p>やはり、それまで農業経験のなかった私たちが手探りでやっている難しさを改めて実感しているところですね。今ではおおむね、順調に水耕栽培ができるようになりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_2.jpg"><p>――困難はあれど、社員として働く障害者の皆さんに成長は見られますか。</p><p>白石：それはもう、１年前と比べると格段に成長しています。正確性を求められる仕事は、ほとんどの社員が習得できているのではないでしょうか。次のステップは正確性に加えてスピード感。短時間でどれだけの作業をこなせるかに挑戦していくつもりです。</p><p>――そうした目に見えるキャリアステップは、働く皆さんのモチベーション向上にもつながりますね。</p><p>白石：そうですね。今はまだ健常者の社員しかできない作業も、将来的には障害者の皆さんでできるようになればと、理想は大きく掲げています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_3.jpg">ホウレンソウの苗を植える様子</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_4.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_f8f2e07c0a025d41d70a30bc56675654" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">偶然の出会いから「脱福祉」型就労施設の開設に向けて助成金申請へ</h2><p>――助成金は、この「ソーシャルファーム大崎」の建物の設備費として活用されました。当初、白石さんは「助成金ありきで事業を行うことはよくない」と、助成金活用には消極的だったと聞いていますが、なぜ考え方を変えられたのでしょうか。</p><p>白石：もともと私が軸として経営していた株式会社チャレンジドジャパンは、障害者の就労支援を行う会社です。多彩な支援センターでビジネスマナーや軽作業といったスキルを身につけてもらい、一般企業への就職をお手伝いするわけです。</p><p>その事業を続けるうちに、自らも雇用事業を手掛けたいという意欲を持ち、グループ法人である社会福祉法人チャレンジドらいふの経営にも参画するようになりました。</p><p>しかし、そこで感じたのは、「障害があっても働ける人は一般就労してもらおう」とこれまでサポートしてきたはずなのに、チャレンジドらいふでは就労継続支援B型事業所を主軸としているというジレンマ。何とも言えないモヤモヤした気持ちを抱えていたときに、偶然にも宮城県障害福祉課の担当者から、日本財団が構想を練っている新たな障害者就労支援の取り組みについて話を聞きました。</p><p>――どのような話を聞かれたのですか。</p><p>白石：日本財団は障害者福祉の既成概念を覆すべく、さまざまなチャレンジに取り組んでおられます。その一環として、障害者が働いた売上げで給与を払う「脱福祉」型の一般事業所を開設する構想を持っており、モデルケースとなるB型事業所を探していたのです。</p><p>その話を聞き、「これは私がやるしかない」と。そこで、施設のハード面を支える資金として、日本財団の助成金申請を出すことに決めました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d3e5718cdac5b6a83710f84b188dd7b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">事業構想に約2年。伴走的な助成プログラムが、事業の大きな助けに</h2><p>日本財団の助成プログラムにする場合、どのようなステップを踏む必要があるのでしょうか。早坂さんいわく、事業計画書の作成にもっとも時間を費やしたそうです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a99f78eb2e55dedcdf679ac2a8fdd2af" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金の申請から採択されるまで</h3><p>早坂さん（以下、敬称略）：事業の内容やこれからの経営方針、どうやって売上げを立てどのくらいの利益を見込んでいるのか。そこに私たちの想いも入れ込んで事業計画書を作成しました。</p><p>宮城県の障害福祉課の皆さまにも何度も相談をさせていただき、そのサポートがなければ私たちだけで形にするのは難しかったかもしれません。さまざまな参考となる施設を理事長と見学したり、事業構想を固めるのに2年弱かかりました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_5.jpg">「ソーシャルファーム大崎」の外観。さまざまなトラブルに見舞われながらも、2025年度は黒字化を見込んでいる<p>――事業計画書以外に複雑な手続きはあるのでしょうか。</p><p>早坂：特に難しいことはないと思います。手順を説明すると、まず助成金の申請から事業手続きまでを行える「助成ポータル」サイトに登録するところから始めます。団体名など基本情報を登録した後、申請情報を入力していきます。</p><p>申請情報にも事業概要として内容詳細や収支予算などが必要になりますが、こちらはそこまで細かく記載する必要がなく、申請情報の準備に費やした時間は2～3週間程度でしょうか。それに、先ほどお伝えした事業計画書を添えて申請するという流れです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/Application_schedule.jpg"><p>早坂：私たちが申請したのは2024年度の助成プログラムで、申請期限が2023年10月31日まで。その後、日本財団の担当者から事業に対するヒアリングなどがあり、2024年の3月に正式な助成金額の通知をいただいて助成金が振り込まれました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_817819023a02ca48aa6290a3c0a9ac4c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●助成金活用後の対応</h3><p>――事業スタート後も報告書等が必要になるのですか？</p><p>早坂：はい。提出書類はシンプルに収益や現場の状況を報告するものになります。報告書以外にも、月に１度は日本財団から現地調査に来られます。</p><p>白石：報告書や現地調査と聞くと面倒なイメージがあるかもしれませんが、困っていることを伝えると速やかにフィードバックをいただけるんです。</p><p>例えば、私たちなら冒頭に申し上げた井戸水の問題でホウレンソウの収益がしばらく「０円」でした。すると日本財団の担当者さんから「何かあったのですか」とすぐ問い合わせが来て、調査をして適切な支援をいただけました。</p><p>この補助スキームは大変ありがたく思っており、助成金給付後もこうして伴走し、サポートしてくれる日本財団の存在はとても心強いですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_6.jpg">しっかり衛生管理されたホウレンソウの苗<h2 id="tnf-text-heading-block_c5a9f747d30f7f391bbd5da394de7c99" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">次なる目標に向けて、何としても「ソーシャルファーム大崎」成功を</h2><p>白石：「ソーシャルファーム大崎」で働く障害者の皆さん、その皆さんをサポートする元B型事業所のスタッフ、全職員にとって意識の改善は必要に思います。</p><p>まず障害者の皆さんは、確かに成長しています。ただ、これからは自分たちの働きが工場の運営に直結することも分かってもらわないといけません。そういう意味では、先に申し上げたとおり次のステップとしてスピード感を目標に掲げています。</p><p>いっぽうB型事業所は障害者が入所することで事業所の収入が保証されるため、スタッフに「会社のために頑張ろう」という意識が希薄になりがちです。これに対し「ソーシャルファーム大崎」は就労施設であっても一般企業と同様、売上げから給与を支払う事業所です。だからこそ、ここで働く全ての人に、経営的な視点を身につけてもらいたいと考えています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_7.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/GP_c-life_8.jpg">出荷に向けてホウレンソウの仕分けをする社員</div></div><p>――チャレンジドらいふとしての今後の目標、展望を教えていただけますか。</p><p>白石：チャレンジドらいふは軽度から重度まで、幅広く障害のある方々を支援しています。重度障害者のサポートにおいては時間もお金もかかりますが、そこに対する国の予算は決して潤沢とはいえず、私たちはここを手厚くしてほしいと考えています。</p><p>そのために、本来は働けるかもしれない障害者の皆さんを「ソーシャルファーム大崎」のような一般事業所に引き上げ、足りていない部分の予算に充ててほしいというのが私たちの希望です。</p><p>この希望を叶えてもらうためには、何はともあれ「ソーシャルファーム大崎」で成功事例をつくり、世の中に広く示すのが大切だと考えています。「脱福祉」型の一般事業所のモデルケースが広く世の中に知れわたり、追随してくれるNPOや福祉団体が出てきてくれることを願っています。</p><p>障害があっても、社会に出たい、自分で給料を稼ぎたいと思っている人はたくさんいると思います。そして、そういう方々は少しだけサポートの仕方を工夫すれば実現できると思うのです。障害のある方々の可能性を、私たちが狭めてしまってはいけないと思います。</p><p>私たちだけでは発信力が弱いので、このような私たちの想いを世に知らしめてくれる、日本財団の広いネットワークにもぜひ期待したいところです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2d2f78116b8b70fe89306a399c8c9c94" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">日本財団担当者が見たプロジェクトの魅力</h2><p>最後に日本財団の事業担当者・宮原幸世（みやはら・こうせい）さんからチャレンジドらいふが取り組む「ソーシャルファーム大崎」の事業の魅力について聞きました。</p><p>——同事業の助成につながったポイントはなんでしょう。</p><p>宮原さん（以下、敬称略）：チャレンジドらいふでは、これまで就労継続支援B型事業所を営まれてきましたが、低工賃状態にあったものを根本から見直し、その1つの施設を福祉制度に頼らない自立型就労支援として一般就労へ移行した点にあります。福祉的就労からの脱却が、障害者の経済的自立を実現すると共に、膨らみ続ける社会保障費の改善につながると考えました。</p><p>——同事業のどのような点に期待されますか。</p><p>宮原：助成金により整備した設備を最大限に活用し、働く障害者の皆さんの所得の向上につながることを期待しています。社会保障費に頼らず、障害者の方が地域で自立した生活を送ることを可能にする先駆的な事例として、ぜひ事業を継続していただきたいです。</p><p>そうして障害者の方が消費者としてだけでなく納税者として社会を支える立場になり、社会に認められる仕事を担うことで、障害者の方の自己肯定感ややりがいが高まるものと考えます。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>【日本財団から社会福祉法人チャレンジドらいふへの助成額】</p><p>2億6,860万円（2024年度）</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>助成申請に関するご質問は<a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/topic/0TOIe000000KzqAOAS/%E3%82%88%E3%81%8F%E3%81%82%E3%82%8B%E3%81%94%E8%B3%AA%E5%95%8F">こちら（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p>    ]]>
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      <title>認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>認定NPO法人とは、組織運営や事業活動において公益性が高いと認められたNPO法人</li><li>認定NPO法人には、寄付をする側とされる側ともに税制上の優遇措置がある</li><li>認定NPO法人になるには、高い公益認定基準を満たし所轄庁から認定を受ける必要がある</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>認定NPO法人は、政府から組織の運営や事業活動において公益性が高いと認められたNPO法人のこと。さまざまな税制上の優遇措置が受けられるが、認定されるためには高い公益認定基準を満たさなければならない。</p><p>この記事では、認定NPO法人と他のNPO法人との違いや、そのメリット、認定されるための基準、申請に必要な書類などについて解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b9ebf9ba1ce67d43eaf5179373134f63" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.認定NPO法人（認定特定非営利活動法人）とは？</h2><p>NPO法人の活動を支援するために、個人や企業などによるNPO法人への寄付を促すことを目的とした制度で、寄付する側・される側共に税制上の優遇措置が設けられている。そのことにより、組織の運営や事業活動がより安定して継続的に進めやすくなるというものだ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>認定NPO法人になるためには、次の要件を満たし所轄庁の認定を受ける必要がある。</p>市民や企業など広く一般から支持を受けている組織の運営や事業活動が適切に行われている法人に関する情報がきちんと公開されているパブリック・サポート・テスト（PST※）を含む一定の基準をクリアしている<div id="tnf-text-notes-block_6c7456accaa1aefe3bfe741597c8a291" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※NPO法人が市民から広く支援を受けているかどうかを判断するための基準。詳しくは後述の「認定NPO法人として承認される条件」を参照</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-7_1.png"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_547f9cbf402bd396a410127f25854229" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.NPO法人（特定非営利活動法人）との違い</h3><p>NPO法人は、さまざまな社会貢献活動に取り組むNPOのこと。認定NPO法人は、NPO法人の区分に含まれる。いずれも財産や金銭的な利益を得る（＝営利）ことを目的とせず、社会や公共のための利益（＝公益）に貢献する活動に取り組む点で変わりはない。</p><p>一方で、認定NPO法人として認定されると、寄付に関する税制上の優遇措置が受けられる。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人とは？収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_c989277bf20b56b8cff8169a771b9bcf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2.特例認定NPO法人との違い</h3><p>特例認定NPO法人は、設立後5年以内のNPO法人を対象に、スタートアップ時に寄付を集めやすくするために設けられた制度。NPO法人として健全な経営基盤を持ち、公益の増進に貢献することが見込まれる団体だけに認められる。</p><p>認定を受けるためには、認定NPO法人の基準のうちパブリック・サポート・テスト以外の基準をクリアする必要がある。特例認定NPO法人と認定NPO法人には、次の違いがある。</p>認定NPO法人よりも、受けられる税制優遇措置の範囲が狭い有効期間が3年に設定されており、認定NPO法人（5年）よりも短い一度のみの申請となり、更新することはできない<h3 id="tnf-text-heading-block_d1ab77602034956b1840690b41a77eef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3.条例指定NPO法人との違い</h3><p>条例指定NPO法人は、都道府県と市区町村が条例により指定したNPO法人のことで、その団体に寄付をした個人の住民税に対し税額控除が適用される制度。NPO法人に寄付が集まりやすくすることで、地域における公益活動の活性化と地域課題の解決を目的としている。</p><p>認定NPO法人との違いは、認定基準のほかに、認定NPO法人にはさまざまな税制優遇措置があるのに対し、条例指定NPO法人は寄付金に対する個人住民税の控除にとどまる点だ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b29015f93915e138e903bf9af2dcbb1b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. 認定NPO法人の割合は？</h2><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-seni" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「内閣府NPOホームページ」（外部リンク）</a>によると、2025年8月末時点でのNPO法人数は、全国で4万9,259団体だ。そのうち認定NPO法人数は1,297団体のみで、わずか2パーセント台にとどまっている。</p><p>認定NPO法人になるにはいくつもの要件を満たす必要があり、認定ハードルの高さがうかがえる。</p><p>また<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/nintei-houjin" target="_blank" rel="noreferrer noopener">所轄庁別（外部リンク）</a>で見ると、認定NPO法人の数は、東京都が最多の298団体、次いで横浜市73団体、大阪市49団体、神奈川県49団体、京都市35団体、埼玉県33団体と、都市部に集中している傾向にある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e80948846e497b3716f09ff9bd8ad2a9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.認定NPO法人として認定されるメリット</h2><p>ここでは、認定NPO法人になる主なメリットを紹介しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cee873a359dc23f97c4c7dd566c7eba7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.寄付が集まりやすくなる</h3><p>最大のメリットとして、寄付金に関する税制優遇が挙げられる。</p><p>個人が認定NPO法人へ寄付した場合、「特定寄付金」として扱われ、寄付金控除（所得控除）または税額控除のいずれかを適用でき、所得税を軽減することが可能。都道府県または市区町村が条例で指定し団体に個人が寄付した場合には、住民税に対する税額控除が適用される。また相続人が相続財産を認定NPO法人に寄付した場合、その支出は非課税となる。</p><p>企業にも寄付に対する税制上の優遇措置が設けられているが、認定NPO法人に寄付した場合には、通常の寄付とは別枠で特別損金算入限度額が設けられているため、法人税の節税につながる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a6ea38933af72f3614b19c084e52e4d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.法人税の負担が減らせる</h3><p>認定NPO法人になると、非収益事業で支出したお金を「他所へ寄付したお金」としてみなされ、一定の範囲内で損金算入できる「みなし寄付金制度」が活用できる。控除額は、所得金額の50パーセント、または200万円のいずれか高い額が適用される。</p><p>これにより、認定NPO法人を運営していくための税金の負担を減らすことができる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0b1920faa07980db9fb86c6d4cfb7ea6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.組織の強化と社会的信頼度の向上につながる</h2><p>認定NPO法人になるためには、高い公益認定基準を満たし、所轄庁の認定を受けなければならない。また、認定後も基準にそった健全な組織運営や公益性の高い事業活動を維持し続ける必要があるため、必然的に組織の強化を図ることがきると共に、社会的信頼度の向上につながる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c2f378ab11993d065698b8d7cf85a0af" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.認定NPO法人として認定されるための条件</h2><p>ここでは、認定NPO法人になるための認定基準と欠格事由について紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8bc66af83f754a203f76938f74fb843a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.認定基準</h3><p>認定NPO法人として認定されるためには、次の8項目を全て満たさなければならない。</p>パブリック・サポート・テスト（PST）に適合すること（特例認定法人は除く）事業活動において、共益的な活動の占める割合が、50パーセント未満であること運営組織および経理が適切であること事業活動の内容が適切であること情報公開を適切に行っていること事業報告書等を所轄庁に提出していること法令違反、不正の行為、公益に反する事実がないこと設立の日から1年を超える期間が経過していること<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-7_2.png">認定NPO法人の申請から認定までの流れ<h3 id="tnf-text-heading-block_658e8f3e8bfeb60214b3986701e1b1d9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1-1.パブリック・サポート・テストとは</h3><p>パブリック・サポート・テストとは、NPO法人がどれだけ市民から広く支援を受けているかどうかを判断するための基準。　次の3つのうちいずれかを選んで申請する。</p>相対値基準：実績判定期間中における経常収入金額のうち、寄付金等収入金額が5分の1以上であること絶対値基準：実績判定期間内の各事業年度中の寄付金額の総額が3,000円以上である寄付者が、年平均100人以上であること認定NPO法人の申請書の提出前日までに、事務所のある都道府県または市区町村の条例により、個人住民税の寄付金税額控除の対象となる法人として指定を受けていること<p>ちなみに「実績判定期間」とは、過去に認定を受けたことのあるNPO法人の場合は、直前に終了した事業年度の末日以前5年（初めて認定を受けるNPO法人の場合は2年）内に終了した各事業年度のうち最も早い事業年度の初日から当該末日までの期間をいう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-7_3.png"><p>また、認定NPO法人の認定基準には、過去に欠格事由（資格要件を欠く理由）が設けられている。</p><p>「認定または特例認定を取り消されてから5年を経過していない法人」「国税または地方税の滞納処分の執行がされている、または滞納処分の終了の日から3年を経過しない法人」などの条件があるので、該当しないか確認するようにしよう。</p><p>参考：<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/ninteiseido" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認定制度について／認定の基準／欠格事由とは」（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_993d2a5c1ccc1caf951a92b7b63335cf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5.認定NPO法人に必要な書類・情報</h2><p>認定NPO法人の申請・更新にあたり必要な書類や、整理しておくべき情報はさまざまだ。ここからは「申請・登録時に必要な書類」「更新時に必要な書類」「公開できるようにしておく情報」に分けて紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_45b014ca4824d4a2c721ef06823dd68c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-1.申請・登録時に必要な書類</h3><p>認定NPO法人として申請・登録する際に必要な書類は次の5種類。</p>認定申請書実績判定期間内の日を含む、各事業年度の寄付者名簿認定基準等を満たすことを説明する書類欠格事由に該当しないことを説明する書類寄付金を充当する予定の、具体的な事業内容を記載した書類<p>3の「認定基準等に満たすことを説明する書類」には次のようなものが含まれる。</p>パブリックサポートテストの基準値を満たしているかどうか示す書類「共益活動の割合が基準値以下であること」を示す書類組織運営や経理の適正を示す書類財産の運用や事業運営の状況を示す書類情報公開の適正を示す書類事業報告書等が所轄に提出されているか、法令順守がされているか、法人の設立後一定期間が経過しているか、を示す書類寄付金の事業用途の見通しを示す書類<p>なお、所轄庁によって書類のフォーマットや記載内容が一部異なるため、詳細には確認しよう。</p><p>また、認定NPO法人の有効期間は5年に限られているため、継続するためには、終了前に更新申請が必要だ。有効期間の満了の日の6カ月前から3カ月前までの間に手続きするようにしよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ace45f27f1177500447801018e49fdf7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-2.公開準備しておくべき情報</h3><p>認定NPO法人として、すぐに公開できるよう準備しておくべき情報として、次のものが挙げられる。</p>事業報告書役員名簿定款認定申請書に添付した、認定NPO法人の基準を満たしていることを示す書類、欠格事由に該当しないことを示す書類認定申請書に添付した、寄附金を充当する予定の具体的な事業内容を記載した書類前事業年度の役員報酬、職員給与の支給に関する規程前事業年度の収益明細特定非営利活動推進法第32条2で定められる書類助成金の支給実績を示す書類<p>さらに、毎事業年度に1度、所轄庁へ提出する書類として「役員報酬規程等」「事業報告書等」がある。上記の書類は、要求があった場合は事務所で閲覧させなければならないため、すぐに確認できるように情報を整理しておかなければならない。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ecc3280f9307d0ee86a40fa1469cc4ce" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>認定NPO法人とは、政府から組織運営や事業活動において公益性が高いと認められたNPO法人のこと。</p><p>高い公益認定を満たす必要があるため認定団体はわずかにとどまるが、認定されれば、寄付に関するさまざまな税制優遇措置を受けられるようになる。結果、組織の強化と社会的信頼度の向上につながることで、安定した活動を続けることができる。</p><p>申請・認定時や更新時には多くの書類が必要になるため、準備期間をしっかり確保して、スムーズに手続きが進められるようにしておこう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/ninteiseido" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認定制度について」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/kifu/kifu-yuuguu/houjin-zeiyuuguu" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認定NPO法人自身に対する税の優遇措置(みなし寄附金制度) 」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/qa/ninteiseido/nintei-hantei-koukai" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認定の判定　情報公開に関する基準(5号基準)」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/202106_manual_all.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動促進法に係る諸手続の手引き」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人とは？ 収入源・メリット・設立の流れを簡単に解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115290/academy</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人とは、営利を目的とせず社会貢献活動を行う、法人格を取得したNPOのこと</li><li>社会的信用度が高く、補助金や助成金を受けやすくなるなどのメリットがある</li><li>一方で、情報公開義務や事業年度ごとに書類作成が必要な点など厳しい規定も</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「そもそもNPO法人って何？」「NGOとはどう違う？」「NPO法人を設立するにはどうすればいい？」、そんな疑問を持っている人は少なくないだろう。</p><p>NPO法人とは、法人化されたNPO（非営利組織）のこと。利用できる助成金や補助金が増えるなどのメリットがあるが、活動内容に制約があったり、経営に関する情報の公開義務が生じたりする厳しいルールもある。</p><p>今回の記事では「NPO法人とは何か」を深掘りしつつ、ほかの組織との違いやメリット・デメリットなどに焦点を当てて紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_15c1fcd2f39e62c0b1b24d5023099066" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. NPO法人とは</h2><p>NPO法人とは「特定非営利活動促進法に基づき法人化されたNPO組織」のこと。正式名称を「特定非営利活動法人」という。</p><p>さまざまな社会貢献活動を行う団体の総称で、収益を構成員に分配することを目的としない。</p><p>NPOの法人化には、補助金や助成金を受けやすくなるなどのメリットがあるが、設立するためには、事務所を置く地域の、NPO法人や社会福祉法人、学校法人などの非営利法人に対し、認証や認可、監督権限を持つ行政機関「所轄庁（※）」の認証が必要となる。</p><p>また、NPO団体には「NPO法人」のほかに「NPO」「認定NPO法人」などが存在する。</p><div id="tnf-text-notes-block_472141536674ddce6d684097cba105e8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a>参考：<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/shokatsucho#gov02-2" target="_blank" rel="noopener">内閣府NPOホームページ「所轄庁一覧」（外部リンク）</a></div><h3 id="tnf-text-heading-block_37b007eba6ba6da92fc16f429d470932" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1. NPO法人とNPOとの違い</h3><p>NPOとは、利益ではなく社会課題の解決を目的とした団体のこと。法律によって認められた組織ではないことから、設立するのに所轄庁の認証をもらう必要はない。</p><p>NPO法人とNPOの違いの1つが、団体名の使用範囲。例えば、法人になることで、団体名義での口座開設や財産所有が可能になる。</p><p>法人でない場合、上記の契約は代表者など個人名義で行うのが一般的だ。しかし、代表者が死亡した場合「預金の所有権は代表者のものか、団体のものか」などが問題となるケースがある。</p><p>また、代表者名義で事務所を借りる場合は、代表者が交代するごとに契約を締結し直さなければならない。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_1.png"><h3 id="tnf-text-heading-block_f85898e2e5de423a53cffb38f4ccbd11" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-2. NPO法人と認定NPO法人の違い</h3><p>認定NPO法人とは、NPO法人のうち、実績判定期間（直前の2事業年度）において、一定基準を満たすものとして所轄庁の認証を受けた法人のこと。</p><p>認定NPO法人として認められると、個人や法人からの寄付が所得税や法人税の控除対象となる。例えば、個人の場合は確定申告時に寄付金控除を受けられるため、より多くの人が寄付しやすくなり、団体の活動資金が集めやすくなる。</p><p>認定基準には、各年度において一定以上の寄付者数・寄付額を集めていること、活動や組織運営が適切なこと、法人に関する情報を公開していることなどがある。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請のメリットを解説（別タブで開く）</a></p><h3 id="tnf-text-heading-block_3152983d622f9f15f03894575dfc648e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-3. NPO法人の活動内容</h3><p>NPO法人の活動は、利益を受ける人が特定・限定されず、社会一般の利益の追求を目的とした「特定非営利活動」に限られ、次の20分野が該当する。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_2.jpg">法律で決められた「特定非営利活動」の活動分野<p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115956/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人の活動内容とは？ 法によって決められた分野や具体例を解説（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_bdd5c934f53f64fb7817e1dda9178788" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. NPO法人の5つの収入源</h2><p>NPO法人の収入源は以下の5つである。</p>入会金・会費：NPO法人の構成員やサポーターなどから徴収できる寄付金：NPO法人の活動内容に賛同した個人・民間企業などから寄付を受けられる助成金・補助金：NPO法人の活動を支援するため、個人や民間企業、行政が提供している収益活動・事業収入：物販などで上げた収益を事業活動に利用できる借入金：個人や各金融機関から融資を受けられる<p>「非営利組織」という言葉から勘違いされやすいが、NPO法人は物販サービスなどの収益活動が認められている。ただし、その収益は組織の運営や事業を継続するために使わなければならず、構成員に分配できないといった制限がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_384b63d2f6ad90646543e299fabcdcef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. NPO法人とほかの組織との違い</h2><p>NPO法人とほかの組織の違いを知ることは、NPO法人の定義への理解にもつながる。ここでは、NPO法人と株式会社、NGO、一般社団法人を比較したい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a0161955605212ef242430b13d3f126e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1. NPO法人と株式会社の違い</h3><p>NPO法人を含むNPOと株式会社の違いの1つは、事業目的にある。</p><p>NPOは非営利団体で、社会課題の解決を目的としているため、前段でも述べたとおり事業で得た利益は活動資金に当てなければいけない。一方、株式会社は営利団体で、事業で得た利益は役員や従業員、株主への分配が認められている。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_3.png"><h3 id="tnf-text-heading-block_9748424bce9b9467fbe074a21385b7aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2. NPO法人とNGOの違い</h3><p>NPOは「Non-Profit Organization」（非営利組織）、NGOは「Non-governmental Organization」（非政府組織）の略称である。NPO法人を含むNPOとNGOの違いについて、外務省は以下のように記している。</p><p>「日本では、海外の課題に取り組む活動を行う団体をNGO、国内の課題に対して活動する団体をNPOと呼ぶ傾向にある」</p><p>ただし、共に非政府・非営利団体であることから、事実上、NGO＝NPOといわれる場合もある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_76667019194e4c9ab1ea0abf9afb16a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3. NPO法人と一般社団法人の違い</h3><p>一般社団法人も利益の分配を目的としない法人だが、事業内容への制限がない。また、設立するためにNPO法人は10人以上の社員を必要とするが、一般社団法人は2人以上の社員がいれば問題ない。</p><p>一方で、NPO法人は情報公開が徹底されていることもあり、社会的信頼を得やすい。法人設立時には団体の名称や所在地などを公示する必要があるが、その際生じる費用（登記費用）が不要になる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_502e1943bbd3ff0dd763c68a9a50ec4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4. NPO法人を設立する3つのメリット</h2><p>ここでは、NPO法人設立の主なメリットを紹介する。法人格を取得するべきか悩んでいる人は、次のメリット3点を材料に検討するとよいだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4e251fc8d92a954d760dd641ef6535d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1. 設立費用や税金を抑えられる</h3><p>通常、法人の設立認証を申請する際には手数料が、法人情報を公示、変更する際には「登録免許税」が発生するが、NPO法人は対象外となる。また、資本金や基本財産なども必要ない。</p><p>さらに、法人税が免除されたり、課税対象が収益事業に関する所得に限られたりといった税制上のメリットもある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2ba6fb0a274d6c5803caef3f68235450" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2. 資金援助を受けやすい</h3><p>NPO法人は収益が社員に分配されないため、活動への共感を得やすく、寄付金も集まりやすい。</p><p>また、NPO法人専用の助成金や課税免除をしている自治体もある。例えば、<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/detail/000000186" target="_blank" rel="noreferrer noopener">愛媛県の「NPO法人活動助成事業（団体支援助成）」（外部リンク）</a>は、基準を満たしたNPO法人に25万円以内で管理運営費・事業費を助成している。</p><p>各自治体の資金援助は内閣府NPOホームページから確認できる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9acb1d4d8a22de90ea0715377919c17d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-3. 社会的信用を得やすい</h3><p>「法人」が社会的に認知されていることや、事業報告書などが一般公開されることなどから、社会的信用を得やすい。また、法人化した団体は信用の対象が代表者ではなく組織全体に向けられる傾向がある。</p><p>一方、法人化していない団体の場合、組織の信頼度は代表者個人によるところが大きい。そのため、代表者が交代すると信用度が低下するリスクがある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_3ee6b61768aabf571b645ea3fa8cb512" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5. NPO法人を設立する3つのデメリット</h2><p>法人化には乗り越えるべきハードルもあり、場合によっては対策が必要となる。しかし、負うべき義務生じることで社会的信用度が高くなるとも言える。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_805502b000c87bce5119511e9c45a56f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-1. 行政審査が厳しい</h3><p>NPOを法人化するためには、所轄庁の厳しい審査をクリアしなければならない。審査要素には「社員が10人以上所属しているか」「事業内容が特定非営利活動に含まれるか」「定款（組織のルール）や申請書が法令の規定を満たしているか」などがある。</p><p>なお、申請書や定款に不備がないかを提出前に確認してくれる自治体も。ホームページなどから確認し、利用できる場合は積極的に活用しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_36e1d3f42c77c5d3e3cc8ade970621a3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-2. 情報公開義務がある</h3><p>NPO法人は事業年度が終了してから3カ月以内に、前事業年度の事業報告書、計算書類、役員名簿などを作成する義務がある。</p><p>作成書類は全ての事務所に備え置き、社員および利害関係者に閲覧させなければならない。さらに、年に1回行政機関に提出する必要がある。</p><p>書類は提出後に内閣府NPOホームページで公開され、一般市民も閲覧できるようになっている。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2ac895e5aaa25529a856094aa99eee05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-3. 設立に4カ月ほどかかる</h3><p>NPO法人設立には約4カ月の時間がかかる。申請書の一般公表に2週間、行政による審査に最大2カ月、認証後の登録（登記）までに最大2週間を要する。</p><p>書類作成の時間も考慮し、余裕のあるスケジュールを組もう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_77b461f8fc7c83bc7cfaf5a9a340d3d1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6. NPO法人設立の3ステップ</h2><p>NPO法人設立のプロセスは、大きく3つに分けられる。不備があると再申請しなければならない場合があるため、しっかりと把握しよう。</p><p>なお、プロセスの一部が異なる自治体もある。申請する際は、各自治体のNPO法人を担当する行政機関のホームページを事前に確認しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_5f479b49b1348cd2e2878da3ce224d10" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6-1. ステップ1：書類を所轄庁に提出する</h3><p>次の10点の書類を添付し、申請書を所轄庁へ提出する。本拠地とする事務所がある都道府県知事に提出するのが基本だが、そうでない地域もあるため、事前に確認しよう。</p><p>また、提出前には社員全員を集め、内容を確認するのが一般的だ。</p>定款役員名簿（役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿）役員の就任承諾書及び誓約書の謄本役員の住所又は居所を証する書面社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面認証要件に適合することを確認したことを示す書面設立趣旨書設立についての意思の決定を証する議事録の謄本設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書<p>申請書の一部は、受理された日から2週間一般公開される。行政機関だけでなく、市民からも検証されることになる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_fb86be59d930c3178f522422bcb6b677" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6-2. ステップ2：審査結果通知が届く</h2><p>公開期間の2週間が経過後、2カ月以内に審査結果が送付される。主な審査基準は次の8点である。</p>特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること営利を目的としないものであること社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること宗教活動や政治活動を主たる目的とするものでないこと特定の公職者（候補者を含む）又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと暴力団又は暴力団、若しくはその構成員、若しくはその構成員でなくなった日から５年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと10人以上の社員を有するものであること<h2 id="tnf-text-heading-block_5a33cd190e1478f2be351811affec0c4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">6-3. ステップ3：設立登記をする</h2><p>登記とは、団体の名称や所在地、役員氏名などを国が管理する「登記簿」に記載し、公開すること。設立認証の通知から2週間以内に設立登記をすることで、法人が成立する。その後、次の3点を所轄庁に届け出ることで、全手続きが完了する。</p>設立登記完了届登記事項証明書法人成立時の財産目録<p>なお、認証通知から半年以内に登記がない場合は、認証が取り消される可能性がある。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f9dc273e0b67b5f6231acb1cafcf4bc9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人とは、法人化したNPOのこと。</p><p>法人化の主なメリットには「設立費用や税金を抑えられる」「資金援助を受けやすくなる」「社会的信用を得やすい」ことなどがある。一方、情報公開義務が発生し、事業年度ごとに書類作成が必要な点など厳しい規定もある。</p><p>法人を設立したい場合は、負担に対応できる目処をつけることが大切だ。自治体によっては相談窓口を設けているため、積極的に活用しよう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/npoiroha" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOページ「NPOのイロハ」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOページ「特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_point.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOページ「2023年度（令和5年度）『特定非営利活動法人に関する実態調査』の結果について＜概要版＞」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/kyoumi/faq01.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">外務省「国際協力とNGO FAQ（よくある質問）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/ninshouseido" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認証制度について」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>NPO法人が活用できる助成金は？ 情報収集の手段や、受給条件・申請方法を解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115936/academy</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>助成団体や助成金の種類によって対象となる事業、条件、助成金額などが異なる</li><li>受給可能な助成金を探すには、CANPANや内閣府ホームページなどが便利</li><li>助成金をスムーズに申請・受給するために、書類作成は準備を整え、スケジュールに余裕を持つ</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>NPO法人や一般社団法人などの非営利団体にとって助成金は、貴重な財源の1つ。法人を設立する際の負担軽減や活動をサポートするために、さまざまな助成金が用意されている。</p><p>本記事では、NPO法人や一般社団法人が活用できる助成金の種類や事例、受給条件や申請する際のポイントについて解説する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_51e09e753e57f9bf53f98418886b519e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金の種類や条件</h2><p>助成金とは、NPO法人の活動を支援するために、一時的に支給されるお金のこと。財団や企業などの民間の支援団体が実施する場合が多く、原則、融資とは違い返済する必要がないため、助成金を受給できれば、活動の幅を広げたり、キャッシュフローを改善することが可能だ。</p><p>一方で助成金の多くが、申請後、一定の審査を経て助成の可否が決定されるため、しっかりとした資料作りが重要となる。</p><p>助成金の対象となる活動分野は、医療・福祉、国際協力、地域振興など多岐にわたり、活動分野における社会課題の解決に取り組む組織や団体が実施している場合が多い。その他、ボランティアの活動や、情報発信などを支援目的とする助成金や、起業する際の初期費用補助など、設立後間もない団体を支援するものもある。</p><p>また、助成金は、活動分野や団体の規模、活動目的によって適用できるものが異なる。自分の団体に適したものを探すには、情報収集が必要になり、そのために基本的な知識は身につけておきたい。</p><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115956/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人の活動内容は？ 法律によって決められた分野や活動事例を紹介（別タブで開く）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_c3559025ed70929d79fffa60a8cf22fd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金事例</h2><p>ここでは、NPO法人・一般社団法人が受給できる助成金の一例を幅広い分野からピックアップ。既存団体を対象にしているものや、これから法人を立ち上げるスタートアップ向けのものなどを紹介する。</p><p>助成制度名：<a href="https://www.yu-cho-f.jp/lecture/consultation/kyotoku.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">金融相談等活動助成事業（外部リンク）</a>実施団体：一般財団法人ゆうちょ財団対象：高齢者、大規模災害の被災者、障害のある人などを対象とした金融相談および金融教育などに関する活動を行うNPO等団体を対象に、活動費の一部を助成助成内容：1団体あたり60万円が限度額。活動を構成する各イベント(半日または1日程度の催し）あたりの上限額は12万円。助成対象活動期間は1～3年間</p><p>助成制度名：<a href="https://ccij.jp/jyosei/asiakikin.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">アジア生協協力基金（外部リンク）</a>実施団体：公益財団法人生協総合研究所対象：アジア地域における社会的に脆弱な立場や経済的に困難な状況に置かれた現地の人々を支援する事業、あるいは現地の人々の社会的自立・経済的自立を目的とした事業を行う団体を対象に活動費の一部を助成。※2年以上の活動実績、年度収入が1億円未満であることなどの制限あり助成内容：1件あたり100万円を上限として事業にかかる金額を助成。助成対象活動期間は1〜3年間</p><p>助成制度名：<a href="https://benesse-kodomokikin.or.jp/subsidy/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">重い病気を抱える子どもの学び支援活動助成（外部リンク）</a>実施団体：公益財団法人ベネッセこども基金対象：重い病気により長期の入院や療養をしている子どもたちの意欲を高め、学びに取り組むための手助けとなる事業を行う団体を対象に活動費の一部を助成助成内容：1,000万円程度の活動資金の助成。助成対象活動期間は1年間</p><p>助成制度名：<a href="https://www.artscouncil-tokyo.jp/grants/startup-grant-program/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">スタートアップ助成（外部リンク）</a>実施団体：公益財団法人東京都歴史文化財団アーツカウンシル東京対象：東京の芸術シーンで活動を展開していこうとする新進の芸術家や芸術団体がチャレンジする新たな芸術創造活動を助成。東京都内または海外で実施される公演、展示、アートプロジェクト、国際フェスティバルへの参加、国際コラボレーションなどが対象助成内容：個人に最大30万円、団体に最大100万円（助成対象経費の範囲内）</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e56e83f8ec40a7ed4c6532b2a7139164" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. NPO法人・一般社団法人が受給可能な助成金を探す方法</h2><p>ここでは、NPO法人や一般社団法人が受給できる助成金を探すときにおすすめのポータルサイトを紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_daeb32392980e3554fbf5bb15a1eed3c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.内閣府のホームページ</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>内閣府では、各省庁や自治体の協力を得て、全国のNPOなどの非営利活動団体を対象とした支援・協働施策に関するデータベース<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NPO施策ポータルサイト」（外部リンク）</a>を公開している。</p><p>補助金や助成金といった「資金に関する支援」をはじめ、「人材育成・人材交流に関する支援」「設備・備品に関する支援」、行政とNPOの協働事業やイベントの企画・運営などを支援や情報発信に関する支援など、さまざまな支援策の情報を検索することが可能だ。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-2_3-705x1024.png"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_13da5b3d3047343b2a796e56550517ef" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2. CANPAN</h3><p>日本財団が運営するコミュニティサイト「CANPAN（カンパン）」は、市民やNPO、企業などの活動を支援し、連携を促すことで、より良い社会づくりを目指するプロジェクトだ。</p><p>サイトのメニューにある<a href="https://fields.canpan.info/grant/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「助成制度」（外部リンク）</a>では、「新着順」「募集開始時期」「募集終了時期」で、助成制度の情報が閲覧できるほか、詳細検索では、「助成制度名」「実施団体名」「対象事業」「募集期間」「助成金額」など、豊富な選択肢の中から絞り込んでの検索も可能だ。</p><p>これから募集予定の助成金情報も掲載しているため、幅広く情報収集ができることも利点といえる。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-2_2.png">日本財団が運営する「CANPAN」の助成制度紹介ページ</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-2_3-1.png"></div></div><h3 id="tnf-text-heading-block_592d4dd2ec2ebfff98ee2081b1e42413" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3. 助成・奨学金情報navi</h3><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>公益財団法人助成財団センターが運営する<a href="https://jyosei-navi.jfc.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「助成・奨学情報navi」（外部リンク）</a>「では、助成する側と助成を求める側の情報交流の場」の提供をミッションに、助成金・奨学金の募集情報の検索サービスや、助成財団が実施する募集情報のリアルタイム発信、助成財団の事業活動のニュースの配信などを行なっている。</p><p>助成金の募集情報の検索サービスでは、「研究」や「事業・活動」「組織運営支援」といった事業形態や「保健・医療」「環境」「教育・スポーツ」といった事業分野、「募集期間」などの条件を指定して検索できる。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-2_4-705x1024.png">公益財団法人助成財団センターが運営する「助成・奨学金情報navi」の助成金検索画面</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_b875379e1103d0371e1e3f7410527fba" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4. 助成金の申請から受給するまでの流れ</h2><p>全国規模の助成金の募集期間は、5・6月、10・11月の主に2つのシーズンに分かれる。シーズンを迎える前の準備から受給されるまでの流れを、手続きする上でのポイントと共に紹介する。</p>団体情報の整理どの助成金申請にも共通して必要になるのが団体の情報だ。活動内容や目的を分かりやすく、かつ魅力的に紹介できるように、事前に整備しておこう。助成金の情報収集ネットを活用して、団体の目的や活動内容に適した助成金を探そう。募集要項や受給条件はもちろん、過去の採択案件なども参考にするとよい。応募書類の準備申請書のほかに、事業計画書や決算書や予算書、団体概要など必要な書類は助成元によって異なる。審査では、助成財団の事業目的と合致しているか、プログラムによる効果や成果、将来性は見込めるか、事業の実現性やそもそも団体として信頼できるか、などが重視されるので、それらの点を意識してできるだけ論理的に書類を作成しよう。申請指定された方法で期日までに余裕を持って申請しよう。あらかじめ申請までのスケジュールを作成しておくと安心だ。審査・採択書類選考のみの場合もあるが、面接やプレゼンテーションなどが行われる場合も多い。その際にも、できるだけ簡潔かつ論理的に説明できるよう準備するようにしよう。交付決定・受給助成金は、すぐに取得できるものもあるが、助成対象期間中や事業完了後に、報告書類の作成・提出を経て交付されることが多い。<h2 id="tnf-text-heading-block_a21fe59d68a7b084f002aea021b1e866" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.助成金についての詳細は専門家へ相談する</h2><p>助成金の申請には、情報収集から書類作成、提出、受給後の手続きまで多くの労力を要する。助成金の種類によっては、申請要件や手続きが複雑なものもある。特に、NPO法人については事業の公益性や情報公開のあり方、一般社団法人に関しては定款の解釈や収益事業との関係など、高度な専門性を必要とする項目もある。</p><p>そのため、助成金の申請や書類作成においては、社会保険労務士・税理士・コンサルタントなどのサポートを受けることもおすすめだ。専門家に依頼することにより、適切な助成金の選定、申請書作成のサポート、手続きの効率化などのメリットが得られる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7550399f115d01bc88779b6d880981b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人・一般社団法人が助成金を活用できれば、資金繰りの改善や、活動の幅を広げることができる。</p><p>助成金を受給するには、助成団体が提示する条件を満たした上で、書類を作成し、審査を通過すること。条件・募集時期・決定時期などは、助成団体ごとで異なる。</p><p>法人を運営している、または立ち上げを検討している人は、各ポイントを押さえた上で、自分の団体に合った助成金の情報を集めて整理しよう、</p><p>日本財団では、公益活動団体に対して、幅広い分野で助成金による支援を実施している。複数の助成プログラムで申請募集を行っているため、助成金の申請を検討中の方は<a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団の助成ポータルサイト（外部リンク）</a>もチェックしてみてほしい。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPO施策ポータルサイト」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/kiso_ninteitetuduki.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認定NPO法人制度の概要」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/h13a-6-5.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「助成機関が NPO 法人を選考する際の視点(国内事例) 」（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>NPO法人の人材不足を解消したい。求人・定着率・資金不足の解決策とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115949/academy</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>多くのNPO法人は人材不足の課題を抱えている</li><li>人材不足は、NPO法人の活動やスタッフの行動などに悪い影響を与えることがある</li><li>人材不足の解消には、ボランティアやインターン、中間支援組織などを活用しよう</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>多くのNPO法人が抱える深刻な課題として「人材不足」が挙げられる。そのほかにも「後継者がいない」「財政基盤がなかなか整えられない」などの問題を同時に抱えていることも多く、これらの問題がNPO法人を運営していく上でさまざまな課題に影響していることもある。</p><p>この記事では、NPO法人が抱える人材不足の問題について、その原因と解決するためのヒントを紹介する。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_2d412fd376e15d971e98e90b8f16d709" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1. 多くのNPO法人が抱えている「人材不足」問題</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>2024年3月に内閣府が発表した<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書」（外部リンク）</a>によると、NPO法人が抱える課題として、認証法人（NPO法人）の65.6パーセント、認定・特例認定法人の70.6パーセントが「人材の確保や教育」と回答していることが分かった。</p><p>次いで「後継者の不足」「収入源の多様化」も多くのNPO法人が課題に挙げており、スタッフの高齢化や、ノウハウ・人脈のある人材不足が影響している可能性も考えられる。</p><p>人材確保が課題と答えた団体の割合が最も多く、人材不足はNPO法人にとって深刻な問題であることが伺える。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-3_1-952x1024.png"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_eda7e9910ba9bbe4ba881aa597eb94a4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2. NPO法人は人材不足に陥りやすい？ 考えられる4つの原因</h2><p>ここでは、人材不足に陥りやすい4つの原因について解説する。組織の運営がスムーズに進められるよう、問題の原因を正確に理解しておこう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_bfb8750815beee9749502f3b79dc309e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-1.組織を管理・運営できる人材の不足</h3><p>NPO法人の人材不足に深く影響する原因の1つとして、マネジメント層の不足がある。組織の成長には、的確な事業計画の策定や実行、活動状況の見直し、課題の発見と対策の実行のほか、適切な部下の教育が必要不可欠だ。</p><p>これらは一般企業であればマネジメント層が担う役割だが、マネジメント層が不在なことで、組織全体の課題に手が回らない状況となってしまうのである。</p><p>マネジメント層は組織のかじ取りを行う重要な人材。まずは人材の確保、人材候補の教育を考える必要があるだろう。すでにマネジメント人材が確保できている場合、改めて人材の教育に力を入れるのも有効な対策といえる。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9ba8f90046aaa9bb9e267339c261e702" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-2.脆弱な財政基盤</h3><p>NPO法人の資金不足は、人材確保や人材の定着を妨げる直接的な要因となる。優秀な人材の確保と、雇用の定着には安定した資金確保が必要だが、財政基盤を整えられずに問題を抱えているケースが多い。</p><p>NPO法人の主な収入源は、会費・寄付金・助成金・補助金・収益活動・事業収入などが挙げられる。融資などの手段もあるが、確実な返済の見通しが立てられない場合は避けたいところだ。</p><p>財政基盤を整えるには、資金調達の情報収集や、ネットワーク・人脈の強化、ノウハウの蓄積が重要なカギを握る。改めて資金調達の情報収集から始めてみるのも良いだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0b5534b8d960f9d46b9ab3c7008f1368" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-3.スタッフの高齢化問題</h3><p>高齢化したスタッフが組織を抜けることで人手不足が生じ、そのまま後任スタッフを確保することが難しいケースもある。このため、後任候補は早めに教育しておきたい。また、若手人材を積極的に確保し、長く活躍してもらえる環境を整えることも重要だ。</p><p>冒頭で紹介した2024年3月、内閣府発表の「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書）」によると、認証法人（NPO法人）の44.5パーセント、認定・特例認定法人の45.9パーセントが「後継者の不足」を課題として認識している。</p><p>スタッフの高齢化と、後任不在の問題は早めに発見し、対策を考える必要があるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_45d05b07822d5304c6fa48e9ec97cb7c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2-4.社会的な認知度の不足</h3><p>2018年10月に内閣府が行った<a href="https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-npo/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NPO法人に関する世論調査（平成30年10月調査）」（外部リンク）</a>では、NPO法人を知っていると答えた89.2パーセントのうち、67.5パーセントが「言葉だけは知っている」と回答。このことから、NPO法人とはどのような組織かを具体的に知らない人が多いことが分かる。</p><p>また、同調査で「直近3年間においてNPO法人が提供する支援やサービスを受けたことがあるか」との問いに対し、84.5パーセントが「支援やサービスを受けたことがない」とも回答している。</p><p>NPO法人の実態や支援、サービス内容を知る機会がなければ、働いてみたいという思いにもつながりにくい。団体の認知度向上も、人材不足の解消に向けた一歩といえる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_27b87509c622501494168cfe64c9b303" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3. NPO法人の人材不足がもたらす「負の連鎖」とは</h2><p>マネジメント人材の不足、脆弱な財政基盤、スタッフの高齢化などの問題は、NPO法人の人材不足へとつながり、そのままにしておくと、やがて重大な「負の連鎖」へと陥ってしまうことになりかねない。</p><p>次に説明する問題に直面している組織は、早急に立て直しを図る必要がある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ab61d9711c7a4719607f010932606777" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.事業の質の低下</h3><p>NPO法人の人材不足は、事業の実施やサービス提供の停滞、サービス品質の低下に影響しやすい。これらは、組織の信頼性や評判にも悪影響を及ぼす可能性がある。</p><p>さらにサービスが低下すると、スタッフが社会的意義を実感しづらくなったり、利用者からクレームを受けてモチベーション低下の要因になってしまったりするなどの連鎖が生じかねない。結果として、事業の質がさらに下がるという悪循環の要因になることがある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2200838724203a8a667b2c6c07eb2061" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.新規事業の停滞</h3><p>新しいアイデアや事業計画があるにもかかわらず、人材不足のために実行に移せないケースも考えられる。すでに新たな事業を進めていても、人材不足が計画の進捗を遅らせてしまうのだ。</p><p>新規事業の停滞は、組織の成長や発展の阻害する要因となり、社会課題への対応が遅れる可能性もある。問題の存在を把握しておきながら、その対策が取れない事態は、NPO法人の存在意義の1つである社会貢献活動にも影響しかねない。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c52ace4e457fac202e8726431ae1fc5b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.スタッフの業務負担増による疲弊・士気の低下</h3><p>人材不足は、既存スタッフの業務負担の増加につながる。負荷の重い状態で事業を継続すると、スタッフが疲弊してしまうだけでなく、組織の将来への不安が広がり、やがて優秀なスタッフの離職を招いてしまう事態を引き起こしかねない。</p><p>既存スタッフの離職は、組織で積み上げたノウハウや経験が失われ、さらなる人材不足の深刻化という悪循環に陥ってしまう。組織全体の士気も低下し、さらに離職率を上げてしまうこともある。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_bec731a5c521d5c1b102ee7f234c5bc2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-4.資金調達の困難化</h3><p>寄付や助成金などによる資金調達を行うには、組織の社会的な信頼度が重要な判断基準となる。しかし人材不足による事業やサービスの停滞、サービス品質の低下は、結果としてNPO法人への信頼を失墜させることになり、資金調達を困難にしてしまう。</p><p>NPO法人では、収入源の多様化を課題として抱える組織は多い。人材確保の際は、資金調達のノウハウや知識を持った人材も同時に募るのが理想といえる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c42bedb3bcd680921af95647f4069149" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4. NPO法人の人材不足を解消するための戦略</h2><p>ここからは、NPO法人の人材不足を解消するために実行すべき対策を紹介する。採用活動はもちろん、次の4つのアイデアを参考に戦略を立ててみてほしい。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_6d47fc79a28930a5d850de3d2a65921c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.ボランティアやインターンの募集</h3><p>ボランティアやインターンを募り、団体の人材不足を補う。ただ業務を体験してもらうのではなく、継続的な従事の可能性も考慮に入れ、充実した研修制度を整えた上で、組織内に必要な各種人材を募ることが重要だ。</p><p>ボランティアやインターンを募集する際は、団体の活動内容、理念、参加によるメリット、ボランティア・インターンに求める業務内容などを、ホームページやSNSを通して明確に伝え、拡散しよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_68fb49431559b3469a2dd6e425357a80" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.中間支援組織の活用</h3><p>NPO法人における中間支援組織とは、NPOを支援するNPOのこと。NPO法人の中間支援組織は、ノウハウの提供・マネジメント層を含む人材教育・資金調達の課題解決・運営・組織基盤の強化といった支援を担う。さまざまな中間支援組織があるため、自団体に適した支援を行う支援センターを探そう。</p><p>なお、中間支援組織は各地域に設置されており、「地域名 NPO支援センター一覧」「地域名 中間支援組織一覧」と検索することで見つけられる。</p><p>また<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/introduction" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本財団（外部リンク）</a>も国内最大規模の中間支援組織の１つで、助成制度やネットワーク作りなど幅広い活動を展開している。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_db1ee9d1ff57abeba7784c811d2c0d4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-3.NPO・NPO法人同士の連携や協力</h3><p>同じ分野のNPO法人、NPO同士で協力することで、互いの組織の強みを活かし、不足を補いながら課題解決を目指す。単純な人材不足の解消だけでなく、コミュニケーションを通した人材の成長、目標達成による団体の成長も期待できるおすすめの対策だ。</p><p>互いのネットワークを活用すれば、広報活動の活性化や認知度の向上にもつなげやすい。また、任意団体との協力なら社会的な信用を得る戦略にも活用できる。新規事業の展開や、停滞していた事業の進行など、幅広い問題の解決を目指せるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_737bb4a2e90a43e3ca689e17167c266e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-4.マーケティングの取り組み</h3><p>採用領域において、マーケティングを活用する手法もある。具体的には、Webでの広報活動、Web広告の運用、広告代理店との連携によるプランニング、ホームページのアクセス解析などの業務を行う。そのほかに、SNS広告やLPの作成など、採用マーケティングは、さまざまなアプローチが可能である。</p><p>自団体の目的や使命を明確に伝え、たくさんの人に興味を持ってもらう工夫を凝らして、反響を確認しながらPDCAを回し、採用活動における目標達成を目指していこう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-3_2.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_5bf99bc6536cdaa5057c284356a19c93" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5. NPO法人の人材不足対策としての職員定着のための対策</h2><p>人材不足の解消と併せて考えておきたいのが、スタッフ定着のための施策だ。もし人材を確保できても、スタッフの定着率が悪いと根本的な解決には至らない。</p><p>ここでは、スタッフの定着率を高めるためにできる対策を3つに分けて紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ff4a04a60722d4d13c689fe0adf760b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-1.公平で透明性の高い評価制度の構築</h3><p>一般的な会社と同様、NPO法人においても、スタッフの貢献を適切に評価し、その成果を公正に報酬に反映させる制度が重要だ。評価制度を構築する際は、基準を明確化し、スタッフとの定期的な面談の機会を設けると良いだろう。</p><p>面談は、目標設定の確認やフィードバックだけでなく、コミュニケーションの強化にもつなげられる。</p><p>また、昇給や昇進の基準を透明化することで、職員は将来への展望が明確になり、モチベーション向上となる。インターンスタッフ用の評価制度もあると、長期的な定着にも役立つはずだ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_20449731ffe6e5a6764d5cbbe43fcada" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-2.スキルアップ支援・キャリアパスの提示</h3><p>研修制度や外部セミナーへの参加支援、資格取得支援など、スキルアップのための機会を提供し、スタッフの成長意欲に応えよう。志高く組織へ参加してくれたスタッフの意欲を活かし、組織の活性化につなげる意識が重要となる。</p><p>また、NPO法人内でのキャリアパスを明確に示すことで、スタッフが自身の将来像を描き、組織への長期的な貢献意欲を高めることも期待できるだろう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f6a9894c3e6606587a1e48dc05405fa5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5-3.ワークライフバランスの改善</h3><p>職員が仕事とプライベートを両立できるよう、柔軟な働き方を導入することも重要だ。例えば、フレックスタイム制・リモートワーク・時短勤務など、個々の状況に応じた働き方を支援することで、職員の満足度を高め、離職防止にもつなげられる。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ab262837113e90de4d2ef297c3bc1d05" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人の人材不足には、マネジメント層の不足、財政基盤の課題、スタッフの高齢化、社会的信用度・認知度の低さなど、複数の原因が影響していることが多い。</p><p>ボランティアやインターンの受け入れ、中間支援組織の活用、同分野のNPO法人・NPOとの協力などを積極的に実行し、人材不足を解消しつつ、そのほかの問題にも着手していくことが重要だ。</p><p>また、スタッフの定着率を高める施策も考えることも大切。既存スタッフや新たに参加した優秀なスタッフを逃さないよう、より良い組織づくりを目指そう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献:</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/uploads/R5_houjin_report.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「2023年度（令和5年度）特定非営利活動法人に関する実態調査 報告書」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://www5.cao.go.jp/npc/shienjigyou-kaiji/gaidorain.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣NPOホームページ「新しい公共支援事業の実施に関するガイドライン 」（外部リンク/PDF）</a></p><p><a href="https://survey.gov-online.go.jp/h30/h30-npo/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府世論調査「NPO法人に関する世論調査（平成30年10月調査）」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a><p></p>    ]]>
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      <title>NPO法人の活動内容は？ 法律によって決められた分野や活動事例を紹介</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115956/academy</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:30:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO法人の活動分野は主に20種類。もっとも多いのは、保健、医療、福祉に関わる活動</li><li>1分野のみ取り組むNPO法人は1割程度。多くの団代が複数の分野にわたって活動している</li><li>NPO法人の活動を始める際は、活動の目的やゴールを定め、市民の信用が得られるよう周知に努める</li></ul><p>執筆：日本財団ジャーナル編集部</p><p>「NPO」という言葉を知っていても、具体的にどんな活動をしているのか、知らない人も少なくないだろう。</p><p>NPO法人の活動は、<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「特定非営利活動法人制度」（外部リンク）</a>という法律によって社会貢献を目的とした20種類に限られている。社会課題のテーマ（分野）や、対象となる地域、支援するヒト・モノ・コトに応じて、さまざまな団体が多岐にわたる活動に取り組んでいる。</p><p>この記事では、NPO法人の主な活動内容やその具体例について解説。NPO法人を立ち上げる際の参考となる他団体の活動内容の調べ方や、設立に関する相談先も紹介したい。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_88dc243aa1aea74a75e6c498158bb08d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1.NPO法人の主な活動内容</h2><p>「NPO」は「Non-Profit Organization」（非営利組織）の略称で、社会課題を解決するために活動している民間の組織・団体のこと。活動内容に縛りはなく、幅広い分野で活動が可能だ。</p><p>一方、法人格を取得した「NPO法人」の場合は、次の20分野に限定される。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/SEO-1_2.jpg"><p>各分野について具体的な定義はなく、社会的常識に従って都道府県や政令指定都市が判断する。</p><p>また、NPO法人の活動分野は1つに絞らなければいけないわけではなく、多くの団体が複数の分野にわたって事業を展開している。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_96cf6f4a8212311fe19dc7ddd3bf4b96" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">1-1.NPO法人の活動内容で多い分野</h3><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-bunyabetsu" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ（外部リンク）</a>による、NPO法人が多い活動分野と団体数（2025年3月31時点）は、次のとおりだ。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-6_1.jpg">2025年3月31日までに認証を受けた49,485法人の定款から集計<p>特に多いのが「保険・医療・福祉」や「社会教育」「子どもの健全育成」の分野。また、1つの分野のみ取り組むNPO法人は4,791団体と、全体の1割に満たない。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_b67e241c9eb0d975d3156344c8539b25" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2.NPO法人における活動事例</h2><p>ここからは、具体的な活動事例を、国内のNPO法人、認定NPO法人（※）、海外で活動するNPO法人に分けて紹介する。</p><div id="tnf-text-notes-block_5f2147e78e729087949088fb088fec66" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a>認定NPO法人は、NPO法人の中でも厳しい条件をクリアし所轄庁より認定を受けた法人で、さまざまな税制優遇措置が適用される</div><p>関連記事：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115971/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人とは？ NPO法人との違いや申請するメリットを解説（別タブで開く）</a></p><a href="https://www.npo-ido.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人I-DO（アイディオ）（外部リンク）</a><p>「誰もが安心・安全に移動できるまちづくり」を目的に、自転車を中心とした移動環境の向上に取り組んでいる。</p><p>例えば、正しい交通ルールや自転車の乗り方を親子で学べる公園や、駐輪場の運営管理。レンタサイクルの貸出事業や、地元の大学生と取り組む放置自転車の啓発活動などを展開。自転車利用を促進するサービスを提供することで、CO2削減や渋滞緩和といった交通課題の解決を目指している。 </p><a href="https://npo.icds.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人ICDS（外部リンク）</a><p>キャリアコンサルタントのプロ集団として、「未来を担う若者がイキイキとした姿で生きて行くためのキャリア形成の支援」をミッションに掲げ、さまざまな活動に取り組んでいる。</p><p>キャリアコンサルタントのスキル・知識の向上を支援する事業や、若者を対象としたキャリア教育プログラムの開発・実施、生活困窮状態にある人の就労支援などを実施。自治体からの委託を受け、岐阜県全域、名古屋市全域、岡崎市、知多半島全域において個別相談、ワークショップ、就労体験等の無料提供も行なっている。</p><a href="https://www.japanheart.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">特定非営利活動法人ジャパンハート（外部リンク）</a><p>「医療の届かないところに医療を届ける」をミッションに掲げ、アジアの発展途上国や国内の離島・へき地、大規模災害にあった被災地などを対象に、医療支援に取り組んでいる。</p><p>海外では医療を受けられない子どもたちに無償で診療や手術を実施し、その数は年間約3万4,000件、累計30万件を超えている。また、国内では小児がんと闘う子どもたちをサポートしている。</p><a href="https://www.katariba.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人カタリバ（外部リンク）</a><p>カタリバは、子どもたちがどんな環境に生まれ育っても、未来をつくりだす意欲や創造力が育めるよう、「キッカケ格差」を解消する支援に取り組んでいる。</p><p>高校への出張授業、被災地における教育支援、家庭に困難を抱えた子どもたちが安心できる居場所づくり、地方に住む若者の世界を広げる教育支援といった、多様な出会いと学びの場をつくり続けている。</p><a href="https://narec.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人自然環境復元協会（外部リンク）</a><p>多様な生き物と共に暮らす社会を目指して、「環境人材の育成」と「都市の自然環境の保全」「農山漁村の活性化」に取り組んでいる。</p><p>主な活動として、環境保全団体とボランティアを希望者をマッチングし、自然を守る人材を未来へつなぐプロジェクトや、都市と農山漁村の結びつけることで地域と生態系を豊かにするスタディツアーを実施。また「環境再生医」の資格認定講習も行っており、2023年度には97名が受講した。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-6_2-3-1024x343.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_90ea5c8cb7d27d05df938816c7046ba0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3.NPO法人の活動内容を参考にしたいときの情報入手先</h2><p>NPO法人の立ち上げに際し、他団体の活動内容を知りたいときには、内閣府NPOホームページ、自治体の公式サイト、CANPANを活用するのがおすすめだ。どのサイトも基本的な情報が登録され、それぞれ特徴的な条件を絞って検索することができる。さらに詳しい情報を入手したい場合はNPO法人のホームページやブログ、SNSをチェックしよう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cbd8b0450f74e6e536735bc8359b7228" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-1.内閣府NPOホームページで調べる</h3><p>内閣府の<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/index" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NPO法人ポータルサイト」（外部リンク）</a>は、所轄庁の協力を得て、NPO法人に関する基本的な情報を一元的に管理。市民・NPO法人・企業などに広く情報を提供する目的で運営されている。</p><p>主な検索機能</p>キーワードから探すエリア（都道府県・市区町村）から探す活動分野から探す税額控除の対象団体となるNPO法人に絞って探す など<p>税額控除の対象団体に絞って検索できる点は、寄付をする市民や企業にとって便利なサービスだ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_682882f2013c49ff274045da2c4944a9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-2.自治体のサイトで調べる</h3><p>自治体が運営する多くの公式サイトでは、管轄する NPO法人の情報を検索する情報ページを提供している。</p><p>例えば東京都のNPO法人検索システム<a href="https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/list/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「法人情報検索」（外部リンク）</a>では、法人名・目的・エリア・活動分野のほか、法人の設立年月日や認定の有効期間などからも検索できる。</p><p>主な検索機能</p>法人名称から探す定款に記載された目的から探す地域から探す活動分野から探す法人設立認証年月日から探す認定の有効期間から探す認定の取得状況から探す など<h3 id="tnf-text-heading-block_9df727f3ea4006bacbbe946f413b6621" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">3-3.CANPANで調べる</h3><p>日本財団が運営するコミュニティサイト<a href="http://fields.canpan.info" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「CANPAN（カンパン）」（外部リンク）</a>は、市民やNPO、企業などの活動を支援し、連携を促すことで、より良い社会づくりを目指するプロジェクトだ。</p><p>メニュー「団体情報」にある検索機能では、情報開示レベルや、ブログやSNSの実施有無、ボランティア情報なども絞ることができるのも便利だ。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>主な検索機能</p>認証マークの有無情報開示レベル法人の種類団体名主たる事業所の所在地キーワードFacebookの有無X（旧Twitter）の有無寄付情報の有無ボランティア情報の有無設立年活動地域中心となる活動地域（県）活動分野</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-6_4.png">CANPANのトップページ<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/SEO-6_5.png"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_a4492224744fa8a13f819c1b1858e38d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4.NPO法人設立の際のポイント</h2><p>NPO法人を立ち上げる際には、団体として行動していくための基礎をつくり、市民から信頼を得るための取り組みが重要となる。ここでは特に重要な2点に絞って紹介する。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b9de46931f5c8dc6fc0f1edbd500bbcd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-1.活動の目的を明確にし共有する</h3><p>団体の立ち上げに関わるメンバーとの話し合いを通じて、活動する目的を明確にし、それを実現するための活動内容を決めて共有する必要がある。とくに次の点において後々揉めたりしないよう、しっかり認識を揃えておくことが大切だ。</p>団体の目的・ゴールをどこに設定するのか目的を達成するために、どのような活動が必要か活動を継続するために、どれくらいの資金・場所・設備・人数が必要か資金の調達方法をどうするか<p>この際、既存のNPO法人の活動内容を参考に、その地域・対象に合わせて方向性を決めておくのも1つの手段だ。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4da2f07738f8db2ebf46cd020942f021" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">4-2.目的や活動内容の周知に努める</h3><p>NPO法人として活動を継続し、課題解決というゴールにつなげるためには、団体の情報を発信して社会からの信用を得ることが大切だ。</p><p>情報発信するには、ホームページ、SNS、CANPANを使い分けてみよう。ホームページでは理念、活動内容や実績などを掲載し、市民や企業が基本的な情報をいつでも確認できるようにしておこう。また、活動報告やイベントの情報はSNSで積極的に発信し、より多くの人の目にとまるよう工夫しよう。</p><p>まだ認知度の低い設立直後は、CANPANを活用して情報発信すれば、社会貢献活動に関心がある人の目にも届きやすいだろう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8ed1d07838ff5930f0d8272085b54ef1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">5. NPO法人設立に関する相談先</h2><p>NPO法人の設立や活動する際の相談先として、自治体や<a href="https://npo-sc.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPOサポートセンター（外部リンク）</a>、<a href="https://www.jnpoc.ne.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">日本NPOセンター（外部リンク）</a>がある。</p><p>自治体の窓口では、申請手続きに関する問い合わせや事前相談が可能。また、自治体だけでなく、支援団体が相談窓口を設置している場合もある。設立の手続きだけでなく法人運営や財務のアドバイスも受けられる。</p><p>NPOサポートセンターは事務手続きのサポートやコンサルティングを行っている。NPO支援の実績ある専門家に相談できるサービスも提供されている。</p><p>日本NPOセンターは、セミナーやワークショップを開催しており、組織の運営について学びを深めることが可能だ。会員同士の情報交換の場も提供されているのが、心強い。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_cd57cd2be080be49c9d56852e1c16630" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>任意団体であるNPOは活動内容の制限がない。一方で、NPO法人の活動分野は、医療・まちづくり・就労支援など、20種類に限定される。</p><p>それぞれの分野で多くの団体が活動をしており、地域の特性や目的・対象などに応じて多岐にわたる取り組みがなされている。</p><p>既存団体の取り組みや、気になる分野の活動内容を参考に、どのようなNPO法人を立ち上げ、どのような社会を目指していきたいか、役立ててみてほしい。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>参考文献：</p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/npo-kisochishiki/nposeido-gaiyou" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「特定非営利活動法人(NPO法人)制度の概要」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/about/toukei-info/ninshou-bunyabetsu" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「認証数(活動分野別)」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/index" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPO法人ポータルサイト」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/publication" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「公表・縦覧情報」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東京都生活文化スポーツ局「NPO法人ポータルサイト」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.seikatubunka.metro.tokyo.lg.jp/houjin/npo_houjin/list/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">東京都生活文化スポーツ局「法人情報検索（簡単検索）」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.town.agui.lg.jp/0000001695.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">阿久比町「NPOの基礎知識　～NPOを正しく理解しましょう～」（外部リンク）</a></p><p><a href="https://www.city.ota.gunma.jp/page/2713.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">太田市ホームページ「NPOの基礎知識Q&amp;A（解説）」（外部リンク）</a></p><p><a href="http://www.npo.coms.or.jp/start_guide/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">まつやまNPOサポートセンター「NPOをはじめたい方へ」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>若者には相談しやすい場づくりが必要。思春期の健康を支える「ユースヘルスケア」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115985/education</link>
      <pubDate>Wed, 01 Oct 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「ユースヘルスケア」とは、思春期に形成される健康習慣を支える包括的なケアのこと</li><li>性や健康の悩みは、恥ずかしさや自責感などから相談しづらく、支援の場も不足している</li><li>互いの「バウンダリー（※）」を尊重し、相談や教育を通じて生きる力を養うことが大切</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_45f37e3ea2ca66ee5c5c0ad1828e6c62" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「バウンダリー」とは、自分と他者の領域（体、心、思考、時間など）を区別する境界線のこと</div><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>近年、若者の身体的、精神的、社会的な健康と発達を支える「ユースヘルスケア」が注目を集めています。</p><p>「ユースヘルスケア」とは、健康的な人生を送るための教育や、性に関する正しい知識、医療の機会を提供する取り組みのこと。東京都も、2023年10月に10代からの健康・医療サイト<a href="https://www.youth-healthcare.metro.tokyo.lg.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「TOKYO YOUTH HEALTHCARE（トーキョー・ユース・ヘルスケア）」（外部リンク）</a>をオープンし、思春期に特化した健康に関する悩みや不安の解消を支援しています。</p><p>食事、運動、精神的なケアといった、健康を守るための行動習慣は、主に思春期までに形成され、生涯にわたって影響を与えます。しかし、この時期に全ての人が健康について正しく理解し、健やかな行動習慣を築けるわけではありません。特に性に関する悩みは、恥ずかしさや自責感から相談できないという若者も少なくありません。</p><p>そこで重要になるのが、体や心についての悩み事から、人間関係の悩み、性に関することまで、幅広く安心して相談できる場づくりです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回は、「人生をデザインするために性を学ぼう」をコンセプトに、包括的性教育（※）の普及を目指す<a href="https://pilcon.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人ピルコン（外部リンク）</a>・代表の染矢明日香（そめや・あすか）さんに、「ユースヘルスケア」の現状と課題、そして品川区から委託を受けて運営する10代向けのオンライン相談事業<a href="https://shinagawa-youth.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「しなわかチャット」（外部リンク）</a>の取り組みについてお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_2ed8f955ec3a9e913dc70faa5f2b31fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「包括的性教育」とは、生殖や性行動に関する知識だけでなく、ジェンダー・セクシュアリティーや人間関係を含め、人権に基づき深く学ぶ性教育のこと</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00005-712x1024.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_1d6fbda46d342ae4fca5707537b0f1aa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者が「全てが満たされた幸せな状態」で生きられるようサポート</h2><p>――「ユースヘルスケア」について教えてください。</p><p>染矢さん（以下、敬称略）：「ユースヘルスケア」とは、若者が心身ともに健康に成長し、それぞれが望む選択やライフプランを実践できるように、利用しやすいサービスや情報提供を含めて支える取り組み全般を指します。</p><p>日本語に直訳すると「若者の健康のケア」ですが、ここでいう「健康」とは、世界保健機関（WHO）が定義する健康のことで、「体も心も、社会や人との関係も、全てが満たされた状態」を指します。</p><p>一般的に、健康は「身体的に病気ではない状態」と考えられがちです。そのため、「全てが満たされていて幸せ」とはいえない状況でも、「疾病もなく病弱でもないから問題がない」と考え、適切なケアにつながれずにいる人がたくさんいます。</p><p>若者は大人と比較して、困り事を言語化する力や、自ら医療機関や相談機関にアクセスする力が不足しがちです。特に性に関することについては、より一層相談するハードルが上がります。</p><p>その結果、心や体の調子を崩してしまったり、性感染症や望まない妊娠、暴力や性的搾取の被害者や加害者になったりするリスクが高まります。だからこそ、正しい医療の知識や、包括的性教育、ライフスキル教育（＝日常での困り事を解決する力を養う教育）を含め提供できる「ユースヘルスケア」が必要なのです。</p><p>――「ユースヘルスケア」はどこで受けることができますか。</p><p>染矢：産婦人科や小児科などの医療機関や保健所、学校、地域の児童館などが挙げられますが、それぞれの専門に特化していてワンストップでは提供されていないことが多いですね。</p><p>北欧やヨーロッパの国々ではユース専門のさまざまな健康に関する相談や診療ができる「ユースクリニック」があります。2025年現在、報道によると日本で「ユースクリニック」としてオープンしている場所は約60カ所あるそうですが、国が主導しているわけではなく、スウェーデン発祥の「ユースクリニック」の理念をベースに、各々の提供機関が独自の形を模索している状況です。</p><p>「ユースクリニック」の目的は、主に「若者の性と生殖に関する健康と権利に焦点を当て、身体的、精神的な健康を促進すること」にあります。そのために、医学や心理学など包括的な観点が必要とされています。</p><p>また、保険証を持たずに子どもだけで受診できるのも特徴で、無料で医師や看護師に相談することができます。例えば、「妊娠したかもしれない」「親や恋人から暴力を振るわれている」「生理痛が重くてつらい」「人間関係に困り事がある」「体のここが変かもしれない」など、性や人間関係の悩みを含めた幅広い相談を受け付けています。</p><p>そして、「ユースクリニック」を訪れる若者が、自分のことをちゃんと診てもらえて、親しみやすい応対を受けられたと感じられることも重要です。</p><p>――「ユースヘルスケア」を受けることで、どのようなメリットがあるのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>染矢：「身体的、精神的、社会的につらいのは当たり前じゃない」「もっと幸せな状態を目指していい」と知ることができ、自分の心と体を大事にできるようになります。そして、何かあったときに、すぐに支援者や専門家につながれるようになり、問題解決が早くなるといったメリットもあります。</p><p>また、若者たちはサービスに満足すると周りにも勧めてくれることが多いので、地域の若者全体に「自分で自分の健康を守ろう」という意識が広がりやすいともいえます。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00004-871x1024.jpg">冊子「スウェーデンのユースクリニックのためのガイドライン」。「ユースヘルスケアアクション」のホームページより閲覧することが可能。画像提供：NPO法人ピルコン</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_6173e1943c9fe49ecf273c008dae36f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分も相手も尊重するための「バウンダリー意識」を育む</h2><p>――他にはどのようなことが得られますか。</p><p>染矢：「バウンダリー意識」を育むことができます。「バウンダリー」とは、「自分と他者を区別し、尊重するために必要な境界線」のこと。その境界線を意識することを「バウンダリー意識」といいます。</p><p>「バウンダリー意識」を育む上で前提となるのが、「自分と他者には異なる考え方や感じ方があって、それぞれが尊重されるべきである」という考え方です。これは、「自分が嫌なことは相手にしない」という考え方とは少し異なりますね。</p><p>例えば、勝手に体を触られたり、内緒にしたいことを開示させられたり、持ち物を無断で見られたりすると、不快に感じる人もいますよね。体や心、時間や空間など、さまざまな領域にバウンダリーが存在します。そして、それを勝手に越えられたり侵害されたりすると、不安に思ったり傷ついたりしてしまいます。自分のバウンダリーが守られることは誰もが持つ権利です。</p><p>だからこそ、肩を叩く、ハグをするなどの他者の体に触れる行為、プライベートな質問、他者の空間への侵入といった、バウンダリーを超える行為を行うときには、必ず相手に確認や同意を取ることが大切です。それが、自分と相手を尊重することにつながります。</p><p>――「バウンダリー意識」はどのように形成することができるのでしょうか。</p><p>染矢：子どもの頃から「あなたはどうしたい？」と本人の意思や思いを問い、きちんと「イエス/ノー」を尊重するような関わりを続けることで、育てていくことができます。しかし、実際には「バウンダリー意識」がうまく形成されないまま、大人になる人も少なくありません。</p><p>「バウンダリー意識」が希薄だと、自分の気持ちに気がつきにくくバウンダリーを侵害されても自分を守れなかったり、「嫌われるのが怖いから」もしくは「仲がいいからこのくらいはいいだろう」などと同意のない性行為につながってしまったりと、自分も相手も傷つけやすくなってしまいます。</p><p>思春期に「バウンダリー意識」が正しく形成されることは大切ですが、大人になってからでも、人との関わりの中で意識して実践してみることで、少しずつ身につけていくことができます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00010.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00001.jpg">「どんな人も大事な存在であり、自分らしく生きていく権利がある」と語る染矢さん<h2 id="tnf-text-heading-block_94801653a4599ac4d99db1d5d899e7d2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「ユースヘルスケア」を提供する場は不足している</h2><p>――日本での「ユースヘルスケア」の普及状況はいかがでしょうか。</p><p>染矢：残念ながら、まだ十分ではありません。「ユースヘルスケア」の核となる包括的性教育も社会に浸透していないのが現状です。</p><p>もともと日本には、「性のことを公に話すのは恥ずかしいこと」「家族であっても性のことは隠すべき」という文化的な価値観が存在します。さらに、かつて性教育へのバッシングが起こったこともあり、学校で詳しい性教育を行うことが難しくなってしまったんです。</p><p>しかし、「性について若者に教えないよりも、きちんと教えた方が慎重な判断ができ、健康面のリスクが下がる」ということが専門家による研究でも分かっています。科学的な研究に基づく知見を、政策や社会制度にも反映していく重要性を感じます。</p><p>――近年、性教育の一種である「プレコンセプションケア」が推進されています。包括的性教育とはどう違うのでしょうか。</p><p>染矢：「プレコンセプションケア」とは、WHOの定義では、「妊娠前の女性やカップルを対象に生物医学的、行動学的、社会的な健康介入を提供すること」で、この中には包括的性教育や、産む・産まないを自分で選べること、メンタルヘルスなど多様な支援を含みます。</p><p>一方で、日本の施策としては「将来の妊娠のために正しい性知識を身につけ、適切な年齢で子どもを産める健康な体をつくることを目指す」という本来の意味とは異なる考え方になりがちです。こうなってしまうと、包括的性教育とは向いている方向が異なります。</p><p>包括的性教育では、本人の望む生き方や人権を尊重することが前提となってきます。つまり、「産む」だけでなく「産まない」選択肢が当然に存在します。ただ、今の社会ではこの考え方をあまり尊重されていない印象を受けます。</p><p>「大人の言うことに従うべき」という価値観が根強く残る日本では、子どもの主体的な選択が軽視されたり、性に関する知識を学んだりすることに否定的な傾向があります。</p><p>一方で、性感染症（※）や予期せぬ妊娠を経験した若者には問題があるとされ、「だらしがない」「ダメな子だ」とレッテルを貼られ、本人の自己責任としてしまうことが多いですよね。実際には、自分の身を守るための知識がなかったり、パートナーが避妊の責任を負わなかったり、恋愛関係にしか居場所を見出せなかったりといった、さまざまな事情があるはずです。</p><p>「若者の問題」とされていることが本当に若者だけの問題なのかを、大人が問い直していく必要があると思います。また、ケアが必要な状況にありながら、「自分が間違えてしまったから我慢するべきだ」「恥ずかしいから」とケアにつながるのをためらう風潮も変えていく必要があります。</p><div id="tnf-text-notes-block_325d7d03487d62188de1e5bf06fe1635" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「性感染症」とは、性的な接触を介して感染する可能性がある感染症のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_969f00acfe6a031044ea8c38aa5bee37" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">匿名のチャットで相談できる窓口「しなわかチャット」</h2><p>――染矢さんが運営するピルコンは、主にどのような活動に取り組んでいますか。</p><p>染矢：中学校や高校からの依頼を受けて、年間120回ほど学生向けの性教育講演を行っています。大人が上から教えるのではなく、歳の近い人同士で知識を共有し合って一緒に考えられるよう、講師は20代のメンバーが中心です。</p><p>「バウンダリー意識」が希薄だったり、ジェンダーバイアス（※1）があったりすると、他者と健全な関係を築きにくいため、「性的同意（※2）」や「デートDV（※3）」などのテーマも扱います。中高生からも「知ることができて良かった」と言ってもらえることが多いですね。</p><div id="tnf-text-notes-block_a4948fd594f9f584b80165863f9273ee" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「ジェンダーバイアス」とは、性別の違いによって特定の役割や行動などに思い込みや偏見を無意識に持つことや、そのために社会的な評価や扱いが差別的になること※2.「性的同意」とは、性的な行為に対して、その行為を積極的にしたいと望むお互いの意思を確認すること。性的な行為への参加には、お互いの「したい」という明確で積極的な意思表示があることが大切※3.「デートDV」とは、カップル間で起こる暴力のこと。「愛しているなら、相手が自分の思いどおりになるのが当然」と考え、コントロールしようとする態度や行動のこと</div><p>――2025年1月からは、10代向けの心と体の相談窓口「しなわかチャット」を運営していますよね。どんなサービスでしょうか。</p><p>染矢：オンラインチャットで匿名相談を受けつける他、月に1回、品川区内の施設で対面の相談会を実施しています。利用できるのは品川区在住・在学の中学生から19歳までの人としていますが、時には小学生から相談が寄せられることもあります。これまでにおよそ200件の相談がありました。</p><p>――利用者はどんな経路からアクセスするのでしょうか。</p><p>染矢：品川区の学校に通う小中学生はタブレット端末を貸与されるのですが、そこに入っているアプリから相談につながる子が多いですね。相談内容は、家庭や学校での悩み、心や体の悩みの他、「なんとなく生きづらい」というものも少なくありません。そうした声に寄り添い、その子自身の力を認めながら、できることを一緒に考えています。</p><p>ただ、関わりは情報を提供するところで終わりがちです。また、チャット相談はプライバシーが保てて気軽に利用できる一方で、自分の困り事や気持ちを文字にしなければならないのが難点です。言語化が苦手な子だと、うまくコミュニケーションが取れず、途中で離脱してしまうこともあります。</p><p>そうした課題を解決するため、今後は対面で相談できる機会を広げていきたいと考えています。チャット相談から得られた貴重な声を政策に活かすサポートもしていきたいですね。</p><p>――相談を受けるに際に心がけていることはありますか。</p><p>染矢：本人の意思や思いに対して、否定やジャッジをせず、ありのままに受け止めるように心がけています。そして、本人が守られる権利があることを伝え、必要な情報提供や主体的に選択できるようサポートしていきます。</p><p>こうした姿勢で相談に乗ることで、再び頼ってくれやすくもなるんです。孤独に困り事を抱え込んでいた子が、自ら相談できるようになるのは、とても大きな前進です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00003.jpg">ピルコンでは、東京都品川区より委託を受け「しなわかチャット」を運営している。画像提供：NPO法人ピルコン<h2 id="tnf-text-heading-block_7a5901921614853f09a0d47398a0f641" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者の自分らしい選択をサポートできる体制づくり</h2><p>――ピルコンとしては、今後どのようなことに取り組んでいく予定ですか。</p><p>染矢：「ユースヘルスケア」は、日本ではまだあまり浸透しておらず、ケアを提供する機関同士の連携も取れていません。まずはそれぞれの取り組みや課題、対応策を調査し、共有し合える環境をつくっていきたいです。そして、大人側の認識のアップデートにも力を入れていきたいと思っています。</p><p>ピルコンでは、若者が必要なケアにアクセスできる体制づくりを目指す「ユースヘルスケアアクション」というプロジェクトに取り組んでおり、包括的性教育をしたい人向けの教材作成や、「ユースヘルスケア」の提供者向けの啓発活動を行っています。このプロジェクトをより一層強化していきたいです。</p><p>若者が気軽に相談できる環境をつくること、そして相談してくれたときに「そんなことも知らなかったの？」「なんでそんなことをしたの？」と責めるのではなく、「来てくれてよかった」と受け止め、その子が自分らしい選択をできるようサポートする人を増やすこと。まずはそこからだと思っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00006.jpg"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00008.jpg">「ユースヘルスケアアクション」のホームページでは、支援者のためのオンライン講座を提供している。画像提供元：NPO法人ピルコン</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/youthhealthcare00007.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_6de3c3abf7c5fe1e37796a38c01e5664" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若者が適切な「ユースヘルスケア」を得るために、私たち一人一人ができること</h2><p>若者が「ユースヘルスケア」にアクセスしやすい社会をつくるために、社会全体や私たち一人一人にできることを、染矢さんに教えてもらいました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_842b77046d0dc320cfb1be4b35230579" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「ユースヘルスケア」について周りにもシェアしてみる</h2><p>健康は「身体的に病気ではない状態」ではなく、「体も心も、社会や人との関係も、全てが満たされた状態」のこと。もし身近な子どもや若者が暴力を受けていたり、心や体の不調を我慢したりしていたら、「ユースヘルスケア」につながる方法を知らせてみる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_76e45a3e1dce10788597f86b3a8bf833" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］自分や他者への「バウンダリー意識」を育む</h2><p>「自分が嫌なことは相手にしない」ではなく、「自分と他者には違う考え方や感じ方があって、それぞれが尊重されるべきである」という考え方を身につける。そして、バウンダリーを超えるときには、相手に確認や同意を取り、尊重することが大切</p><h2 id="tnf-text-heading-block_e22ef1b64c563816ac8d04af37f032fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］SRHR（性と生殖に関する健康と権利）について理解を深める</h2><p>「SRHR（※）」とは、自分の心と体、人生、性や生殖について、正しく十分な情報を得られ、自分の意思で選び決定できる権利のこと。そのために、誰もが必要な医療やケアを受けることができ、心も体も健やかに、自分らしく充実した人生を生きることができることを理解する</p><div id="tnf-text-notes-block_7bd5b020e90be0545f3621908c8c9698" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「SRHR」は、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス・ライツ（Sexual and Reproductive Health and Rights）の略</div><div class="wp-block-spacer"></div><p>「しなわかチャット」について知ったことをきっかけに、ユースヘルスケアに興味を持ち今回の取材に至りました。</p><p>ユースヘルスケアは若者の健康を守るのに欠かせない取り組みですが、日本ではまだ不十分です。オンラインと対面、両方の相談窓口が増えていくこと、包括的性教育の重要性が広まることを期待し、今後も動向を注視していきたいと思います。</p><p>撮影：永西永実</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d90ff08b1191a6c9cda415ed363565f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_ebae7282b4d4b262cc4b43a4b635f5a1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">染矢明日香（そめや・あすか）</h3><p>NPO 法人ピルコン理事長。公認心理師。日本思春期学会性教育認定講師。思春期保健相談士。 公衆衛生学修士。慶應義塾大学SFC 研究所上席所員。性教育講演や情報発信、性教育教材の開発・ 普及、性教育に関わるサイトやコンテンツ監修、 政策提言等を行う。著書に『マンガでわかるオトコの子の「性」』（監修：村瀬幸浩、マンガ：みすこそ、合同出版）、『はじめてまなぶこころ・からだ・性のだいじここからかるた』（監修：艮香織、合同出版）。監修書に『10 代の不安・悩みにこたえる「性」の本』（学研プラス）などがある。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>精神疾患の親を持つ子どもたちに本当に必要な支援とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115835/young-carers</link>
      <pubDate>Wed, 24 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>精神疾患の親を持つ子どもたちは、既存の支援制度では対応できず、支援につながりにくい現状がある</li><li>CoCoTELIは似た経験を持つピアスタッフや専門職による支援、地域との連携を通じて子どもたちを支えている</li><li>支援制度の改善に加え、信頼できる大人が日常的に寄り添うことが課題解決の一歩になる</li></ul><p></p><p>「精神疾患」とは、気分の落ち込みや幻覚、妄想など、思考、感情、行動にさまざまな影響を及ぼす病気の総称です。</p><div id="tnf-text-notes-block_990f4add0350d4ed4c7d2b69bf344814" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/shisaku/jigyounushi/e-learning/seishin/characteristic.html" target="_blank" rel="noopener">厚生労働省「精神障害（精神疾患）の特性（代表例）」（別タブで開く）</a></div><p>日本における精神疾患の総患者数は、2023年（令和5年度）で約603万人に上り、現在も高い水準で推移しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00001.jpg"><p>これまであまり注目されてこなかった課題として、精神疾患を抱える親のもとで育つ子どもたちへの影響があります。海外の調査によると、精神疾患を持つ親の子どもは全体の15～23パーセントに及び、こうした子どもたち自身がメンタルヘルスの不調を抱えるリスクは、他の子どもと比較して有意に高いとの報告があります。</p><p>精神疾患の当事者向けの支援は少しずつ広がっている一方で、その子どもへの公的・民間双方の支援は十分ではなく、多くが「見えない存在」となっているのが現状です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00008.jpg">精神疾患を抱える親を持つ子どもは、他の子どもに比べてメンタルヘルスの問題を抱えるリスクが高いことが指摘されている。画像提供：NPO法人CoCoTELI<p>この課題の解決を目指し活動しているのが、<a href="https://cocoteli.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人CoCoTELI（外部リンク）</a>。「精神疾患のある本人もその家族も生きやすい社会へ」を掲げ活動しています。</p><p>代表の平井登威（ひらい・とおい）さん自身も、父親のうつ病により、幼少期に虐待に近い体験をしました。当時、平井さんの両親は福祉や医療との継続的なつながりがなく、社会からも気づかれにくい環境に置かれていたそうです。同じような境遇の子どもたちに伴走支援をしたいとの思いから、団体を立ち上げました。</p><p>今回は平井さんに、精神疾患を抱える親を持つ子どもたちの現状と課題、CoCoTELIの取り組みと共に、社会における精神疾患への理解のあり方について話を伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_40085846eb8e948edfcabcba7e917a9b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">社会から見えにくい「名前のつかない困難」を抱える子どもたち</h2><p>――親が精神疾患を抱えている場合、子どもにはどのような困難があるのでしょうか。</p><p>平井さん（以下、敬称略）：子どもたちの困難は非常に多様で、一言で定義するのが難しいのが現状です。多くの子どもたちは、「名前のつかない困難」を経験しています。</p><p>例えば、食事のメニューを「ハンバーグか唐揚げか？」と親から聞かれた際、本当はハンバーグがいいのに、親の顔色や空気を読んで「唐揚げを選んだほうが場が収まりそうだから」と唐揚げを選ぶことがあります。日常の中で自分の意思を抑え、常に親を優先して行動してしまうんです。</p><p>こうした行動の積み重ねは表面上「困難」とは見なされませんが、5年、10年と続くことで、自分の意見を他人に伝えられなくなったり、自分の意見が分からなくなってしまったりするなど、自己肯定感の育ちにくさや人間関係の形成に大きな影響を与えかねません。</p><p>実際、精神疾患の親を持つ子どもは、他の子どもと比べて自身のメンタルヘルスに不調を抱えるリスクが有意に高いという調査結果もあります。</p><p>もちろん、「親の精神疾患＝困難」ではなく、精神疾患があっても親子で幸せに暮らしている家庭も多くあるということは強調したいです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00006.jpg"><p>平井：一方で明確に「名前のつく困難」に直面している子どもたちもいます。例えば、親のメンタルヘルスのケアを担ったり、家事やきょうだいの世話をしたりする、いわゆる「ヤングケアラー（※）」のケースです。また、歯の磨き方や頭の洗い方を教えてもらえない、十分な食事が提供されないなど、ネグレクトに近い状況も少なくありません。</p><p>親が「あなたが家を出たら死ぬ」と子どもに迫り、進学や就職といった人生の選択を妨げるケースもあり、子どもたちにとっては大きなプレッシャーがかかると思います。実際、CoCoTELIに相談に訪れる人の年代で特に多いのは17歳から21歳で、まさに進学や就職といった人生の岐路に立つ時期に、悩みを抱えやすいのが分かります。</p><div id="tnf-text-notes-block_84083f337b40ce875e9ee1d24ef8f62f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うべき家族の介護や家事などを「過度に行っている」子どもや若者のこと。こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2022/75343/young-carers/" target="_blank" rel="noopener">ヤングケアラーと家族を支える。子どもが子どもらしく生きられる社会に（別タブで開く）</a></div><p>――CoCoTELIではそういった子どもたちの支援をされているとのことですが、具体的な活動内容や、どんな状況の子どもたちが参加しているのか教えてください。</p><p>平井：主に25歳前後までの子どもや若者を対象に、オンラインでの相談支援、チャットツールやZoomなどを使った居場所づくりを中心に活動しています。他にも情報発信や、最近では精神疾患を持つ人のパートナー向けのオンラインの集いの運営にも力を入れているところです。</p><p>相談に訪れる子どもの親の疾患で多いのは、うつ病、双極性障害（※1）、統合失調症（※2）、などで、強迫性障害（※3）やパニック障害（※4）です。依存症も珍しくありません。特に薬物依存は社会的偏見が強いため身近には相談できず、CoCoTELIを頼ってくるケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_c3359cc18fa19515c059bea7c2cc9fb9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「双極性障害」とは、躁状態とうつ状態をくりかえす病気※2.「統合失調症」とは、脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなるため、幻覚や妄想などの症状が起こる病気※3.「強迫性障害」とは、強い不安やこだわりによって日常生活に支障が出る病気※4.「パニック障害」とは、不安症の1つ。急激な不安と、動悸などの身体症状を伴うパニック発作が突然生じることを繰り返す</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00007.jpg">CoCoTELIは2020年12月に学生団体として誕生し、2023年にNPO法人化。公式LINEには現在約300人が登録している。画像提供：NPO法人CoCoTELI<p>――相談はどのような形で行っているのですか。</p><p>平井：似た境遇を経験したピアスタッフ（※）とソーシャルワーカーが2名で対応し、相談者と3人で行う形が基本です。</p><p>私たちが大切にしているのは「つながる」「つながり続ける」「支援する」という3つのステップで、問題が深刻化する前の段階から関わり続けることが予防につながると考えているため、相談の入り口は利用者にとっての話しやすさを大切にしていて、ピアスタッフやソーシャルワーカーが応じることにしています。</p><p>ただし、ピアサポートは支える側が過度に負担を抱えてしまうこともあるため、「つながる」「つながり続ける」部分はピアスタッフが担い、専門的な支援が必要な段階では専門職が引き継ぐ形をとっています。</p><p>オンラインには場所を選ばずに誰でも気軽に参加できるという強みがある一方で、親の病状や親子関係の根本的な改善は難しいという課題もあります。そのためCoCoTELIは、子どもたちが暮らす地域の支援機関や行政とつなぐという役割を重視しています。</p><p>私自身も各地を訪れ、地域で信頼される人々と関係を築き、全国にハブとなる人を増やそうとしているところです。</p><div id="tnf-text-notes-block_e7eab7a4cbc90f62455e2d7c62853ffe" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「ピアスタッフ」とは、障害や疾病のある人自身が、自らの体験に基づいて、他の障害や疾病のある人の相談相手となったり、同じ仲間として社会参加や地域での交流、問題の解決等を支援したりする活動のこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00009.jpg"><p>――平井さん自身も、親が精神疾患を抱えていたと伺いました。</p><p>平井：はい。私の父は私が幼稚園の頃にうつ病を発症し、それ以来、暴言や暴力におびえたり、情緒的なケアを行ったりする日々が続きました。両親は長年働いておらず、生活は不安定でしたが、幸いにも叔母が支えてくれたおかげで大学まで進学することができたんです。</p><p>ただ、振り返るとヤングケアラーの役割を担っていた部分もありましたし、虐待だったと思える部分もあります。</p><p>周囲に相談できなかったのは、父の病気を理由に友人からばかにされるのではないか、父と同じように見られてしまうのではないかという恐れを感じていたからです。さらにサッカーをしていて、スポーツ特有の「強くなければならない」という価値観の中にいたため、自分の弱さを見せることができませんでした。</p><p>活動を立ち上げるきっかけとなったのは、大学入学後、SNSで自分と同じような経験を持つ人の発信を偶然目にしたことです。その後、その人と友人となり、一緒に学生団体としてCoCoTELIを立ち上げました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00002.jpg">子どもの頃の経験を語る平井さん<h2 id="tnf-text-heading-block_84615896059db19abf8c84c1ba8e410b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">支援制度の縦割りにより、既存の支援制度では対応できない</h2><p>――なぜ精神疾患の親を持つ子どもの困難は、これまで社会で十分に可視化されてこなかったのでしょうか。</p><p>平井：大きな要因の1つは、日本には精神疾患の親を持つ子どもの実態を示す全国的な統計がほとんど存在していなかったからだと思います。そのため、海外の数値を参考にするしかなく、日本社会の問題として認識されにくかったということですね。</p><p>加えて、行政の支援制度の「縦割り」も大きな壁となっています。児童福祉の現場では困難が認識されていても、政策的には「虐待」「貧困」「不登校」といった“名前のある困難”が優先され、親の精神疾患は「困難の一部」として片づけられてしまいます。</p><p>一方、精神保健医療福祉の領域では、支援の対象はあくまで本人に限られ、家族への支援は十分に整備されていません。結果として、支援者が子どもの存在やその困難に気づいても、制度的な根拠がなく、アプローチできない状況が生じます。</p><p>つまり、家族は「患者を支える存在」としては扱われても、「支援を受ける主体」としては認識されにくいのです。</p><p>――CoCoTELIを利用した子どもたちには、どのような変化が起きるのでしょうか。</p><p>平井：ケースはさまざまですが、CoCoTELIにつながったことで、子どもたちが自分の状況を整理し、今まで見えていなかった選択肢に気づくことがよくあります。</p><p>例えば、親の病気の影響で「進学できない」と思い込んでいた子どもが、CoCoTELIのスタッフやソーシャルワーカーと共に戦略を立てて、学校の先生や親のパートナー、地域の支援機関などを巻き込みながら、実際に進学を実現したケースもありました。</p><p>また、CoCoTELIでは臨床心理士・公認心理師によるオンラインカウンセリングを受けられる仕組みを整えているため、医療機関への受診のハードルが下がり、支援につながる例も増えています。さらに、伴走支援を通じて子ども自身のニーズを整理し、社会福祉制度や他団体に接続することで、生活状況の改善や自己効力感の向上につながったケースもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00004.jpg"><p>――親御さんの状況が改善した事例もありますか。</p><p>平井：はい。ある高校生を地域の支援機関につなげたことで、そこから親のメンタルヘルス支援にもアプローチできた例があります。もちろん、親子関係がすでに崩れている場合は、子どもが安全に家を出たり距離を取ったりする支援が中心になりますが、早期に関わることで予防につながるケースも多いと考えています。</p><p>――精神疾患の親を持つ子どもたちに必要な社会的支援はなんでしょうか。</p><p>平井：いくつかあると思うのですが、まずは子どもの「知る権利（※）」をもっと尊重してほしいと思います。親が精神疾患になった際、本来ならば子どもにも病気のことを知る権利がありますが、実際には説明を受けていないケースがとても多いんです。</p><p>親も「子どもが悲しむのではないか」「どう伝えたらいいか分からない」という苦しさから伝えることにハードルを感じていることが多いのですが、ここに第三者の介入があれば、親子が適切に向き合い、病気を壁としない関係性を築ける可能性があると感じています。</p><p>また、親のメンタルヘルスに不調が見えた時点で、親子双方に対して予防的なアプローチができる仕組みが生まれることが理想だと考えています。これにより、虐待や貧困、不登校といった困難の連鎖を断ち切れる可能性が広がると思います。</p><div id="tnf-text-notes-block_6da351adc2b34cf982b5164f4b7cd74d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://cocoteli.com/facts/childrights" target="_blank" rel="noopener">“子どもだから”と我慢しているあなたに知ってほしい”子どもの権利”（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/cocote00005.jpg">「すぐに解決する問題ではないし、特効薬のようなものはないと思います。信頼できる大人が少しずつ増えていってほしいです」と平井さん<h2 id="tnf-text-heading-block_c684b65ad27cf35c8d4b4a53a9918800" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">精神疾患を持つ親やその子どもたちが活躍できる社会のため、私たち一人一人ができること</h2><p>最後に平井さんに精神疾患を持つ親やその子どもたちが活躍できる社会のため、私たち一人一人ができることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f0b661bd58fe67d577ae9281e1f15d68" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］精神疾患や、その親を持つ子どもたちに関する情報や書籍に積極的に触れる</h2><p>信頼できる情報源に触れることで、偏見や誤解を少しずつ減らしていけるもの。精神疾患を持つ親や子ども向けの情報を絵本やウェブサイトを通して、網羅的に提供している団体もあるので、ぜひ触れてもらいたい。参考：<a href="https://pulusualuha.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">精神科医や精神科看護師が運営する団体「NPO法人ぷるすあるは」（外部リンク）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_570d3ce110d312b19c905e7f60f065b4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもたちを「困っている、困っていない」で判断しない</h2><p>精神疾患の親を持つ子どもたちは、自分を「困っていないように見せる」ことが多い。そのため、見た目や表面的な言葉だけで支援の要不要を判断すると、本当に必要なサポートが届かないままになってしまう。常に「困っていないように見えても、困っているかもしれない」という視点を持っていてほしい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_1c3b0d1b7bb74e76e0ef95e111dbea82" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「してはいけないことをしない」の大切さを知る</h2><p>支援の現場では「何かをすること」よりも、「余計なことをしない」姿勢の方が大切。子どもたちは家族や支援者との関わりの中で、否定されたり話をさえぎられたりする経験によって傷ついている。だからこそ、否定しない、最後まで話を聞くといった小さな積み重ねが、子どもにとって大きな安心につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>精神疾患は当事者だけでなく、その家族にも影響を与えるということを知り、今回CoCoTELIの平井さんに詳しくお話を伺いました。</p><p>社会の中で、こういった困難を抱える子どもはまだまだ見えにくい存在であり、気づいていないだけで、自分自身の近くにもいるかもしれないと感じました。家族だけでなく、それ以外のコミュニティーの重要さを改めて体感した取材となりました。</p><p>撮影：十河英三郎</p><p></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>子育てに限界を感じたら…。孤立する親子を支える「子どもショートステイ」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115648/childcare</link>
      <pubDate>Wed, 17 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>「子どもショートステイ」とは、最大7日間子どもを預かってもらえる子育て支援制度</li><li>子どもを「里親」に預けることができる「子どもショートステイ」を、「里親ショートステイ」と呼ぶ。この制度を導入している自治体はまだ少なく、導入していない自治体ではニーズを十分に把握できていない現状もある</li><li>育てを地域や社会に委ねられる意識が根付けば、安心して子育てできる環境が広がる</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>育児疲れや病気、仕事の都合などで子どもを一時的に預けることができる「子どもショートステイ」事業。その中でも、里親家庭に子どもを預けることができる「里親ショートステイ」を知っていますか？自治体が地域の里親と子育て家庭をマッチングし、里親が数日間子どもを預かる制度です。</p><p>近年、児童虐待が増加している背景には、核家族化や地域のつながりが薄れていることによる、子育て家庭の孤立化があると考えられています。周囲に頼れる人がおらず、心身ともに追い詰められることで、なかには虐待に至ってしまう保護者もいるのです。</p><p>そんな中、一時的に子どもとの距離を取って落ち着くことができる「子どもショートステイ」は、虐待防止の切り札として注目を集めつつあります。</p><p>今回お話を伺ったのは、福岡市内の「子どもの村福岡」で、里親による家庭養育を支援するとともに、福岡市と協働して子育て短期支援事業「子どもショートステイ」で地域の子育て家庭を支援する<a href="https://www.sosjapan.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN（外部リンク）</a>。統括相談支援員を務める臨床心理士・公認心理師の橋本愛美（はしもと・あいみ）さんに、「子どもショートステイ」の詳しい仕組みや利用者が抱える問題を教えてもらいました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_0dbb686c43184b19c9e4a3e78cae98fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">里親普及・里親支援のために発足</h2><p>――「SOS子どもの村JAPAN」はどのような団体ですか。</p><p>橋本さん（以下、敬称略）：2006年に福岡市で発足した、里親家庭や子育て家庭、子ども若者を支援するNPO法人です。活動開始当時、福岡市には、虐待をはじめとする家庭環境の理由で保護された子どもたちの行き場がないという深刻な課題がありました。</p><p>市内の児童養護施設や乳児院が満員で、一時保護所（※1）でも子どもを寝かせる場所が足りず、県外の施設に預けなければいけないような状況でした。</p><p>一方で、里親制度（※2）はほとんど活用されていませんでした。そこに着目した有志のメンバーが集まり、福岡市と協働して里親普及に取り組んでいったのが始まりです。</p><p>活動を続けるうちに見えてきたのが、里親を増やすには、里親への支援が欠かせないということ。そんな中、家庭支援や里親支援のノウハウを豊富に持ち、幅広い子育て支援を世界中で展開する国際NGO団体「SOS子どもの村インターナショナル （SOS Children’s Villages）」の存在を知ったんです。</p><p>同団体のノウハウを学びに行き、日本にあった里親支援のプログラムを構築するとともに、同じ敷地内で数軒の里親家庭で子育てを行う「子どもの村福岡」をつくりました。</p><div id="tnf-text-notes-block_0b3107d1c48d6763f44a83e6fe60a609" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「一時保護所」とは、児童相談所に付設もしくは児童相談所と密接な連携が保てる範囲内に設置され、虐待、置去り、非行などの理由により子どもを一時的に保護するための施設※2.「里親制度」とは、さまざまな事情で育てられない親の代わりに家庭で子どもを預かり養育する制度。里親と子どもに法的な親子関係はなく、実親が親権者。里親には、里親手当てや養育費が自治体から支給される</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00003.jpg">2010年4月、福岡市西区今津に「子どもの村福岡」を開村。画像提供：認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN<p>――現在はどのような活動を行っていますか。</p><p>橋本：代表的な活動は2つあります。1つが、「子どもの村福岡」の運営です。福岡市で里親登録（※1）をしている人に移り住んでもらい、3つの里親家庭でそれぞれ子どもを育てています。</p><p>里親さんの子育ては、ファミリーソーシャルワーカー（※2）、臨床心理士・公認心理師、社会福祉士や、社会的養護（※3）に詳しい小児科医や精神科医、保健師などからなる「子どもの村サポート部会」がバックアップし、福岡市の児童相談所と連携して里親家庭を支えています。</p><p>2つ目が、福岡市から委託を受けて行っている、児童家庭支援センターです。地域で困難を抱えた子どもや家族を支援しています。そのセンターが窓口となって行っているのが「子どもショートステイ」です。</p><p>「子どもの村福岡」にある2棟の短期預かり専用棟で受け入れる場合と、地域の里親さんが受け入れる場合があります。里親家庭でショートステイを受ける方を「ショートステイ里親」と呼びます。</p><div id="tnf-text-notes-block_19cc18ebd5c6654222e57212ad80eb8c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「里親登録」は、一定の要件を満たした人が、相談・面接、研修の受講、自宅調査や審議を経て、登録することができる。参考：福岡市こども総合相談センター えがお館「里親のこと」※2.「ファミリーソーシャルワーカー」とは、家庭環境上の理由で施設に入所している児童の保護者に対し、相談や援助を行う相談員のこと。児童養護施設や乳児院などに配置される場合は家庭支援専門相談員とも呼ばれる。子どもの家庭復帰や里親委託などをサポートし、施設を早期退所して、親子関係の再構築を図るための支援も行う※3.「社会的養護」とは、保護者の無い子どもや、保護者に監護させることが適当でない子どもを、公的責任で社会的に養育し、保護すると共に、養育に大きな困難を抱える家庭への支援を行うこと</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00007.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f5c3dc7fb478c98939681fe07fd98655" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもショートステイ」を利用する親の多くが育児疲れを経験</h2><p>――「子どもショートステイ」について、詳しく教えてください。</p><p>橋本：実は、「子どもショートステイ」自体は全国の自治体で運用されている子育て支援サービスなんです。保護者が子どもの世話をできないときに、里親家庭や児童養護施設・乳児院といった施設で最大7日間預かってもらうことができます。</p><p>冠婚葬祭、仕事や入院、下の子の出産など、どんなときでも利用できますが、実際には、育児疲れで休息したいときに利用する人が多いですね</p><p>もともとは、施設での預かりが中心でしたが、ニーズの急増に加えて、国が家庭的な環境での養育を重視するようになり施設が小規模化したことも影響し、ショートステイの受け皿が足りない状況がありました。</p><p>そこで、2014年から里親による短期預かりの仕組みづくりを始め、2022年頃から福岡市では里親ショートステイの利用が増えてきました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00001-1024x724.jpg">「SOS子どもの村」が実施する「子どもショートステイ」利用の流れ。画像提供：認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN<p>――ショートステイ里親はどんな方がなるのですか。</p><p>橋本：長期の里親と同じように、里親登録の条件をクリアし、研修を受けて里親登録をした人です。福岡市で一番多いのは、子育てが少し落ち着いた40代から50代の人ですね。60代、70代の元気なシニアの方もいますし、「子育て真っ最中だけど、もう一人くらいならお世話できます」という若い人もいます。</p><p>その他、子どもがいない夫婦、子育て経験のない単身者、同性カップル、外国籍の人など、本当に多様な人たちがショートステイ里親になってくれているんですよ。</p><p>「長期の里親になるのは難しいけれど、短期の預かりなら比較的負担が少ないからできる」という人もいます。また、将来的に長期の里親になりたい人が、ショートステイの受け入れから始めて、子どもと関わる経験を積むこともあります。</p><p>いずれにせよ、利用を希望するご家庭はとても多いので、受け入れてもらえるのは助かりますね。受け入れをしていただいた場合には、福岡市の規定に基づきショートステイの委託費が支払われます。日額で2歳未満が1万1,260円、2歳以上が5,960円（2025年8月時点）で、SOS子どもの村を通じて里親さんに振り込まれる仕組みです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00002.jpg"><p>――育児疲れでショートステイを利用する人が多いとのことですが、割合はどのくらいですか。</p><p>橋本：福岡市の統計では5割から6割となっていますが、私たちの体感では、利用する8割から9割くらいが育児疲れの状態ですね。統計上は「疾病」に分類されるものの、実際には「育児疲れで精神疾患が悪化し、子どもの世話ができない」という人も少なくありません。また、ひとり親で常に限界ギリギリの状態の人もたくさんいます。</p><p>子どもを預かる期間は原則7日間以内（最長で2週間まで）ですが、必要があれば何度でも利用できます。対象は18歳未満のお子さんで、家庭の状況に応じて柔軟に活用していただける仕組みになっています。</p><p>そんな人も、数日間利用すると少し疲れがとれた様子を見せることが多いんですよ。私たちが「子どもショートステイ」を引き受けるときは、里親さんと一緒にご家庭への送迎を行うのですが、迎えに行ったときは部屋着で疲れ切った表情だったお母さんが、帰りにはきちんとお化粧をして笑顔で子どもを迎えるといったことがあります。</p><p>「以前は全て投げ出したいと思っていたけれど、月に1回利用するようになってから、子育てが楽しくなってきました」と言ってくれた人もいました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00008.png">ショートステイの利用理由と利用家庭の状況。出典：認定NPO法人SOS子どもの村JAPAN<h2 id="tnf-text-heading-block_d092f662b327c9ace1093cd4011543a8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">定期的なショートステイの利用で、親子関係が改善されることも</h2><p>――「子どもショートステイ」のメリットについて、もう少し詳しく教えてください。</p><p>橋本：一番のメリットは親に余裕ができることですが、送迎があることも、大きなメリットだと思います。施設は交通の便が悪いところにある場合が多く、保護者が自力で連れて行かなければならないので、利用したくてもできない人が多いんです。</p><p>「子どもショートステイ」なら、預かり開始の際に自宅まで迎えに来てもらえます。さらに、幼稚園や学校への送迎もしてもらえるので、普段どおりに通うことができ、子どもの生活のペースを守ることにもつながります。</p><p>また、子どもの発育・発達にプラスになることもあります。利用家庭には、小学校低学年くらいで乳幼児のきょうだいの面倒を見たり、ヤングケアラー（※1）のような状態になったりしている子もいます。そうした子は、年齢不相応に大人びていることが多いのですが、里親さんのところで伸び伸びと振る舞えることで、心のバランスが取れ、保護者との関係が良くなることもあります。</p><p>特に、定期的に同じ里親さんに預かってもらえると、保護者との愛着形成（※2）を補完でき、精神的に安定していく傾向にあります。里親さんの家では「今日は何を食べたい？」「どこに遊びに行きたい？」と要望を聞いてもらえるので、子どもの満足度がすごく高いですね。</p><p>「楽しかった」と帰っていく子が多いので、保護者も安心して預けることができます。ショートステイを繰り返すことで、ご家庭にとって里親さんの存在が頼れる親戚のようになっていくんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_5da2842574feae797ee18c15924924c6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.「ヤングケアラー」とは、本来大人が担うと想定される家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもや若者のこと※2.「愛着形成」とは、子どもが保護者や保育者などの養育者との間に形成する心理的な絆のこと。子どもの安心感や信頼感の基盤となり、将来的に対人関係や自己肯定感を育む上でも影響を与えるとされる</div><p>――里親さんも、子どもに愛着が湧きそうですね。</p><p>橋本：そうですね。皆さん、親戚の子どもの成長を見守るようにお世話をしてくれています。里親さんって、本当に普通の一般市民なんですよ。そういう人たちが、預かりを通して「自分の周りにも、子育てに困難を抱えた家庭があるんだ」と気づくことで、地域の人々の子育て家庭へのまなざしが温かくなっていくのを実感しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_2d25ec0ad233c3b93317c501ea48a976" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">隠れたニーズをくみ取り、受け皿を確保することが大切</h2><p>――「子どもショートステイ」に取り組む中で、壁にぶつかることはありますか。</p><p>橋本：「子ども本人の声をあまり聞けていないのではないか」と感じることはありますね。サービスの利用は保護者の要望で決まりますが、実際に預けられるのは子どもです。その子ども自身が、「預けられることをどう捉えているのか」というところまでは、十分に目を向けられてきませんでした。</p><p>頻繁に利用する子どもの中には、自分の家庭と里親家庭を比べることで、自分への扱いに違和感を感じたり、自分の家が十分に機能していないと気づいたりし始める子もいますね。</p><p>例えば、「自分の親に大事にされていないのかもしれない」「自分の家は普通じゃないのかな」と複雑な気持ちになる子もいます。ですが、子どもの思いよりも、余裕が無くて苦しんでいる保護者の希望優先になっていたところがありました。</p><p>そうした反省から、「SOS子どもの村JAPAN」ではショートステイについて理解しやすくなる絵カードのようなツールを作り、子ども自身の納得感を高めるサポートに取り組んでいるところです。</p><p>――子育て支援は親の支援になりがちですが、子どもの目線に立つことも大事なんですね。</p><p>橋本：一方で、子どもが中高生くらいになると、本人自らショートステイを希望することもあります。ショートステイは0歳から18歳未満まで使えるんですよ。</p><p>希望する理由はさまざまで、「家族に精神疾患があり、症状が悪化していて家では休めないので離れたい」という子もいます。幼い頃からショートステイに慣れていると、家庭から一時的に避難したいときに自然と選択肢として浮かぶので、やはり子どもにとってのメリットも大きい制度だと思います。</p><p>ただ、年齢が高い子どもが利用を希望した場合も、手続きは保護者が行う必要があります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/shortstay00005.jpg"><p>――「子どもショートステイ」という制度があることはどの程度知られているのでしょうか。</p><p>橋本：福岡市は全国でも利用率が高い自治体ですが、それでも「福岡市にこんな制度があるなら、もっと早く知りたかった」という人に出会うことがあります。なので、全国的な認知度はさらに低いのではないかと思います。</p><p>2020年度に私たちが実施した「里親ショートステイ全国調査」では、里親ショートステイを実施している自治体が全国でたったの4.8パーセントしかありませんでした。近年は少しずつ増えてきていますが、もっと広まっていってほしいですね。</p><p>――なぜ、実施している自治体が少ないのでしょうか。</p><p>橋本：受け入れ先となる里親家庭が依然として少ないからです。福岡市は里親普及に非常に力を入れているため、全国的に見ると受け入れ先が多い方ですが、それでも毎月、利用希望者の一部はお断りせざるを得ない状況です。他の自治体はさらに厳しい状況にあるのではないでしょうか。</p><p>また、ニーズが掘り起こされていない、つまり「必要としている人がたくさんいることが、行政側から見えていない」という可能性も高いです。「うちにはそんなニーズはない」という自治体もありますが、そもそも制度化されてないから希望が上がってこないだけだと感じています。</p><p>まずは自治体関係者にも、市民の皆さんにも、「子どもショートステイ」という制度があること、そして子育ての強力なサポートになり得ることを知ってもらって、全国で実施されるようになってほしいです。</p><p>こういった制度を使って、今よりも楽に子育てをすることが当たり前の世の中になり、追い詰められて苦しむご家庭が減っていくことを願っています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6c9bff02f6c7d6ed5635b2aae624cbfa" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもショートステイ」の普及を進めるために、私たち一人一人ができること</h2><p>「子どもショートステイ」の普及を進めるために、社会全体や周囲の人たちに何ができるのか、橋本さんから3つのアドバイスをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_8c9f9f700fc7e5477f45154ad41af8b3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「みんなで子育てしよう」という空気をつくる</h2><p>日本では「子育ては大変で当然」「誰にも甘えず親が育てるべきだ」という空気が根強く残っている。「子どもショートステイ」を広めるには、「子どもはみんなで育てるもの」「どんな親も地域や社会を頼っていい」という価値観を当たり前にしていくことが欠かせない</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7cffe7def84f33740660e70738e883c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］「子どものショートステイ」について共有し、知ってもらう</h2><p>「子どもショートステイ」について理解し、こうした制度があることを身近な人に共有してみる。自分自身が里親になることができなくても、情報を受け取った人が「ショートステイ里親になってみたい」「制度を利用してみたい」と思う可能性がある</p><h2 id="tnf-text-heading-block_79215d9640af8fb0a1f083a62f209f8f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ショートステイ里親に登録してみる</h2><p>地域の子育て家庭を支えたい気持ちがあり、「時々なら子育てをサポートできるかもしれない」という人は、ショートステイ里親に登録してみる。あなたが一歩を踏み出すことで、救われる親子がいるかもしれない</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「育児疲れに陥っている保護者がリフレッシュでき、虐待のリスクを減らせる制度がある」と聞き、「子どもショートステイ」の取材に至りました。</p><p>保護者と子どもの双方にとってメリットの大きい制度だと感じた一方で、認知度の低さや受け入れ先の問題から、あまり普及が進んでいない現状が見えてきました。苦しい状況にある子育て家庭を少しでも減らすために、情報をシェアすることで支援していきたいです。</p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>「儲からないけど、意義がある」に挑戦する人を増やしたい。非営利スタートアップに助成を行うSoilの取り組み</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115630/donation</link>
      <pubDate>Thu, 11 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>NPO、小規模な社団法人、ボランティア団体など多くの非営利団体は資金不足に悩まされている</li><li>公益財団法人Soilでは非営利スタートアップに資金を助成し、活動を後押ししている</li><li>「利益はないけれど、意義がある」という活動に取り組む人を増やすには、成功事例が必要</li></ul><p></p><p>社会課題の解決に向けて活動する非営利団体の多くは、活動にあたり、資金面で大きな壁に直面します。たとえ、社会的意義が明確でも、ビジネス的なリターンが見込みづらい非営利の領域では、活動を継続するための支援が十分に行き届いていないのが現状です。</p><p>こうした状況の中、非営利スタートアップの創業初期に資金助成を行い、その成長を後押ししているのが、<a href="https://soil-foundation.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人Soil（ソイル）（外部リンク）</a>です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/soil00006.jpg"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>今回は、Soil事務局長の細井広太郎（ほそい・ひろたろう）さんに、なぜ同法人が非営利組織への助成に取り組むのか、その背景や意義を伺いました。</p><p>また、「非営利でも意義のある活動」に挑戦する人々や企業はどうすれば増やせるのか、そうした人たちが長期的に活動を継続できる環境を整える方法などについても伺いました。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/soil00005.jpg">お話を伺った細井さん。画像提供：公益財団法人Soil</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_04258b9a08402107328f8b0001f0ce28" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">資金も仕組みも足りない。非営利団体が抱える大きな課題</h2><p>――社会課題の現場を担う非営利団体は、資金面でどのような困難を抱えているのでしょうか。</p><p>細井さん（以下、敬称略）：全般的に資金不足ではあるのですが、特に事業を拡大したり、組織を強化したりするために必要な資金が足りていない団体が多いと感じています。</p><p>背景にあるのは、そもそも寄付金が少ないこと。また、公民問わず助成金制度は存在するものの、そもそもの数が不足している上に、仮に採択されても、使途が制限されていて活動の幅を広げにくい、手続きが煩雑であまり使い勝手がよくないという声もよく聞きます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/soil00003.jpg"><p>――寄付が集まりにくいのは、そもそも日本に寄付文化が根付いていないことに加えて、課題そのものが身近に感じられにくいからということもあるのでしょうか。</p><p>細井：そうですね。「貧困」や「教育」といった、比較的分かりやすい分野には寄付金が集まりやすい傾向にありますが、あまり知られていない領域では、どうしても寄付を集めるのが難しくなります。</p><p>さらに、「自分が寄付したお金を、正しく使ってくれるんだろうか」「透明性は担保されるのか」という不安や抵抗感から寄付をためらう方も一定数いらっしゃいます。</p><div id="tnf-text-notes-block_9f7e481836821117159b2eacd54c7a4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/90766/social_contributions" target="_blank" rel="noopener">世界人助け指数ワースト2位。なぜ日本は寄付文化が広まらない？（別タブで開く）</a></div><p>――改めて、Soilを立ち上げた背景について教えてください。</p><p>細井：今お話したように、社会的に価値のある取り組みを行っているにもかかわらず、資金面での困難に直面し、結果として社会課題が解決されない、そんな状況を解決することを目的に2023年に立ち上げました。</p><p>創業者の久田哲史（ひさた・てつし）は、学生時代にデジタルマーケティング支援を行う<a href="https://speee.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社Speee（スピー）（外部リンク）</a>を立ち上げ、将来的に上場できると見込んだ段階で、自身の資産を個人のためではなく、社会のために使うことを決めていました。</p><p>上場後、さまざまな社会課題解決に取り組む団体の方々にお話を伺う中で、資金が不足していることと、その結果として課題は解決されず、取り組むプレーヤーも増えないという現実を知り、「事業のための資金からでなんとかできないか」と考えました。</p><p>久田はかつて「人間に生きる意味はない」と感じていた時期があり、そうした中でたどり着いたのが、「自分の人生に意義や価値を見出すには、社会を良くするために力を注ぐことが最も有意義だ」という結論でした。</p><p>――非営利団体の中でも、特にスタートアップへの助成に注力されたのはなぜでしょうか。</p><p>細井：久田がSpeeeを起業した2007年当時、「起業する」こと自体がまだマイナーな選択でした。しかし時代の流れとともに営利企業を取り巻く環境が整備され、良いアイデアがあれば資金調達ができ、成功事例も増えてきました。</p><p>一方で、世の中が複雜化する中、さまざまな社会課題が細分化され、取り残されている現状があります。こうした課題は営利企業の力だけでは解決が困難で、非営利活動への支援が不可欠だと感じていました。</p><p>また、社会課題解決への関心を持つ人々も増えています。そうした流れの中で、未解決の課題と資金をうまくつなぐことができれば、課題解決のスピードを加速できると考えたのです。</p><p>久田は、将来的には非営利活動への助成が当たり前になる時代が来ると見込んでおり、自分たちがその流れを促進する「土壌」になりたいという思いから、英語で土壌を意味する「Soil」という名前を付けました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_15a980de794ebbe6f249740dee0a90d9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リターンを求めない「純粋」な助成で非営利団体を後押し</h2><p>――Soilの助成制度について、具体的な仕組みや特徴を教えてください。</p><p>細井：主に「Soil 1000」と「Soil 100」という2つの助成プログラムを提供しています。「Soil 1000」は、すでに一定の事業実績と存在感を持ち、次のフェーズに進むための資金を必要とする団体を対象に、最大1,000万円を助成するプログラムです。</p><p>一方「Soil 100」は、創業前後の個人や団体が主なターゲットで、これから創業したい人や設立したばかりの団体も対象としています。最大100万円の助成に加え、担当メンターによる定期面談や、3カ月間の事業計画策定支援・指導などを行い、立ち上げをサポートしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/soil00004.jpg">Soilが提供する2つのプロジェクトの概要。画像提供：公益財団法人Soil<p>細井：他の助成制度との大きな違いは、純粋な「助成」であるという点です。支援した団体に対し、経済的なリターンを一切求めていません。さらに、使途の制限もできる限り設けず、本当に必要なことに使ってもらえるように配慮しています。</p><p>また、形式的な報告書作成や多数の書類提出も求めていません。必要な情報に限定して確認を行うことで、支援団体の負担を軽減しています。</p><p>2023年の創業以来、2年半で約2億円の助成金を提供しています。</p><p>――助成金はどこから出ているのでしょうか。</p><p>細井：主に3つの枠組みで成り立っています。久田の個人資産からの寄付、Soilに賛同する他の起業家の方々からの寄付、そして企業からの寄付です。</p><p>社会貢献に関心を持ちながらも、「どこに寄付すればいいか分からない」「どのように取り組めばいいか分からない」という方は実際に多くいらっしゃいます。今後も、共感してくださる個人や企業とのつながりを拡大していきたいと考えています。</p><p>――寄付者の方々は、非営利組織への助成に対して、どのような意図や価値を見出しているのでしょうか。</p><p>細井：寄付者の方々には、久田と同じように社会課題を解決するために起業された方が多く、自分たちの事業だけでは解決できない社会課題を応援したいという強い思いを持っています。</p><p>公益財団法人化する以前は、寄付者の方々にも支援先の審査にご参加いただいていましたが、「こんな課題があるなんて認識していなかった。知ることができて意義があった」という声が多く寄せられました。また、寄付にとどまらず「自社の事業とコラボレーションできないか」というご提案もいただきました。</p><p>寄付を通じて社会貢献ができること、そして、その寄付が社会的にリターンをもたらすことに、最大の期待や価値を感じてくださっているのだと思います。</p><p>――これまで助成した団体やプロジェクトの中で、特に社会的インパクトを感じた取り組みがあれば教えてください。</p><p>細井：例えば、児童相談所のDX支援（※1）を行う<a href="https://www.aican-inc.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">株式会社AiCAN（アイキャン※2）（外部リンク）</a>があります。2016年に代表の方がAiCANの前身となるNPO法人を立ち上げましたが、資金不足から継続が困難になり、2020年に株式会社として再スタートを切りました。</p><p>それでも資金調達に苦戦をしていたのですが、Soil 1000の助成金をもとに自治体での実証実験を行い、実際に16つの自治体で採択されるに至りました。</p><p>この他にも、首都圏以外に住む女子高校生の進学支援を行う<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/109406/gender" target="_blank" rel="noreferrer noopener">#YourChoiceProject（別タブで開く）</a>、ソマリアなどでテロリストの社会復帰支援に取り組む<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2021/66164" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人アクセプト・インターナショナル（別タブで開く）</a>、司法の力でより良い社会に変えることを目的に公共訴訟を支える<a href="https://ledge.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">一般社団法人LEDGE（外部リンク）</a>など、多様な分野で活動する団体に、国内外を問わず幅広く助成を行っています。</p><div id="tnf-text-notes-block_9e56fe2a46022d4e057495974bd6a838" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.デジタル技術で人々の生活をより良いものに変革するというデジタル・トランスフォーメーションの略。※2.こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114326/social_business" target="_blank" rel="noopener">社会課題解決も利益も追求する「インパクト投資」取り組む人を増やすには？（別タブで開く）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_c47504b7e87048d42d5c3694e3e35b16" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">知る、発信する、関わる。「儲からないけど意義がある」活動を広げるためにできること</h2><p>――いまの日本で、非営利団体が活動する上で、資金不足以外にするどんな課題がありますか。</p><p>細井：資金不足の他にも、人材不足が大きな課題です。プロボノ（※）として協力してくれる方は集まってもマネジメントがうまくいかない。そもそも人手が足りず、事業を次の段階に進めるのが難しい。そんな悩みを抱える団体は少なくありません。</p><p>「事業のコアになるような人材をどう集めるか」は多くの団体が直面している課題ではないでしょうか。</p><p>私たちとしても、資金の助成以外だけでなく、何かお手伝いができないかと考えているところです。例えば、以前、Soilの助成金を受けた団体を対象に懇親会を開催したのですが、「他の団体と交流する機会がないため、情報交換ができて良かった」という声を多くいただきました。</p><p>それぞれ活動している領域が違っていても、優れた取り組みやノウハウ、知見が共有できる場というものが必要だと思います。こうした交流の場が増えることで、新しいアイデアが生まれたり、コラボレーションができたりするといった相乗効果もあると思いますし、団体としての成長にもつながるのではないかと感じています。</p><div id="tnf-text-notes-block_cf1f97656d75eec5bc51e745129bda40" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※仕事で培ったスキルや経験を活かす社会貢献活動のことを指す。こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2024/101178/social_contributions" target="_blank" rel="noopener">仕事で培ったスキルで社会貢献ができる「プロボノ」が、社会に求められる理由（別タブで開く）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/soil00001.jpg"><p>――社会課題解決に向けて、大手企業や営利企業による非営利団体支援の機運を醸成するには、どのような働きかけが必要だと考えますか。</p><p>細井：やはり「成功事例」を数多くつくることが最も重要だと考えています。素晴らしい活動をされている団体をご紹介するとともに、資金的なサポートによってどのような変化が生まれたのか、具体的な実例を示すことが不可欠です。また、関心を持ってくださった企業や経営者の方に、現場で活動に取り組まれている方々の思いや魅力に直接触れていただき、共感を深めていただく機会を積極的に創出することも大切です。</p><p>そうした取り組みを通じて、社会的な意義や資金提供に対する手応えを実感していただけるのではないでしょうか。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9642556bfd1dcc44331d1e7b8b89c081" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">非営利でも社会のために活動したいという人が一歩踏み出すためにできること</h2><p>最後に、細井さんに非営利で社会のために活動したいというアイデアや意欲はあるけれど、「何から始めていいか分からない」、「資金がない」、「利益が出ない」など、挑戦をあきらめている人が、一歩踏み出せるようになるためにできることを伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f8b1d3329d9c7c393af9034aef11f5f5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］ まずは「小さいこと」から行動を始める</h2><p>Soilが支援している団体も、最初は「同じような悩みをもっている人に相談する」「調べた課題を他人に共有する」「SNSで情報を発信する」など、小さなことから始めている。社会貢献というと大きなことを成し遂げたいと思いがちだが、小さな一歩でも「行動に移す」ことが重要で、そこから仲間が増えていく</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9bea981620127b158230e0d883695e0a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 実際にボランティアやプロボノとして非営利団体に関わってみる</h2><p>情報収集だけでなく、実際に現場で活動することで、課題の実情や解決に向けた具体的なアプローチを体感できる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_0ff0d99af6185476e41721ae10e9920a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］ 各団体が行っている助成金制度について調べる</h2><p>各自治体や経済産業省など、多くの団体が助成金制度を設けている。まずは、どこがどういう条件で助成を行っているかを調べ、積極的に活用する。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>助成団体がなぜ支援活動を始めたのか、その動機や設立の経緯に興味を持ち、取材の申し込みをしました。</p><p>「儲からないけど意義がある」。公益財団法人Soilのコンセプトであるこの言葉が示すように、社会的価値と経済的価値は必ずしも一致しません。しかし、団体の思いや背景を深く知ることで、その真の価値に気づくことができると思いました。</p><p>自分には関係ないと感じていた社会課題も、それを変えようと活動する人たちの思いに触れることで、身近で切実な問題として心に響くようになるかもしれない。そんなことを改めて実感した取材となりました。</p><p><a href="https://soil-foundation.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人Soil 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>介護施設でも病院でもない。終末期のためのもう一つの家「ホームホスピス」はどんなところ？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115479/nursing_care</link>
      <pubDate>Tue, 09 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>人生の最期を自宅で迎えたいという人は多いが、実際は病院が大半を占めている</li><li>ホームホスピスとは、最期まで自分らしく、自宅のような場所で暮らしたいというニーズに応えたケア施設</li><li>ケアと支援の課題は気軽に相談できる場所がないこと。ホームホスピスはそうした場所になり得る</li></ul><p></p><p>2021年に日本財団が公開した<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/pr/2021/20210329-55543.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「人生の最期の迎え方に関する全国調査」（別タブで開く）</a>では、人生の最期を迎えたい場所は「自宅」という回答が58.8パーセントでした。それに対して、絶対に避けたい場所は「子の家」が42.1パーセント、「介護施設」が34.4パーセントという結果が出ています。</p><p>しかし、実際に死を迎えた場所は、2024年の厚生労働省の<a href="https://www.mhlw.go.jp/toukei/youran/indexyk_1_2.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生統計要覧（外部リンク）</a>よると、病院が67.4パーセント、自宅が17.0パーセント、老人ホームが11.5パーセント、介護施設が4.0パーセントでした。</p><p>「最期まで自分らしく、自宅のような場所で暮らしたい」というニーズに応えるために誕生したのが、ホームホスピスです。ホームホスピスの理念は、2004年に宮崎市のホームホスピス「かあさんの家」から生まれました。その後、日本財団が「在宅ホスピスプログラム・アドバイザー会議」を設置し、全国普及の支援を始めたことで、この活動は全国に広がりました。</p><p>この記事では、ホームホスピスのケアの確立と普及を行う<a href="https://homehospice-jp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">全国ホームホスピス協会（外部リンク）</a>の理事長・市原美穂（いちはら・みほ）さんと、石川県で<a href="https://hhk883.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「NPO法人 ホームホスピスこまつ」（外部リンク）</a>を運営する、榊原千秋（さかきばら・ちあき）さんにホームホスピスの現状や課題についてお話を伺い、新しい老後のあり方を考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/homehos00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_da318afe3af34c7c3103f286ea2dbc01" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ホームホスピスは、自宅でも病院でもない、もう一つの居場所</h2><p>――そもそも「ホームホスピス」とはどんなものでしょうか。</p><p>市原さん（以下。敬称略）：まず、ホスピスの語源は、ラテン語の「ホスト」と「ゲスト」の組み合わせで、「客を温かくもてなすこと」を意味しています。本来はそのように概念（哲学）を指す言葉であり、この哲学に基づいて行われるケアを「ホスピスケア」と言います。</p><p>私たちが推進している「ホームホスピス」は、自宅のように安心できる場所で、人生の最期を自分らしく過ごせるよう、その人の暮らしを重要視したケア施設を指します。また、ケアと運営の面から、5〜6人で住人同士が共同生活を行う「とも暮らし」であることも重要視しています。入居者同士、家族同士のつながりが保てる適切な規模がこの人数だと考えています。</p><p>ホームホスピスは約20年前、自宅で過ごしたいと望みながらも、医療的な依存度が高い、または家族が介護できないなど、さまざまな事情でそれが叶わない人々のための受け皿として誕生しました。2013年には全国ホームホスピス協会で商標登録も行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/homehos00005.jpg">メットライフ財団支援ホームホスピス「あんまぁの家」の外観。家のようなつくりが特徴。画像提供：全国ホームホスピス協会<p>――ホームホスピスではない、緩和ケア病棟（※）とは何が違うのでしょうか。</p><p>市原：緩和ケア病棟は「治療をすること」が最優先されますが、ホームホスピスは「そこに暮らすこと」を優先しています。ですので、病気であっても「病人」として扱うのではなく、「そこに暮らす人」として扱い、入居者にとって自宅のように過ごせる環境を整えることを大切にしています。</p><p>医療的なケアが必要な場合は、入居者の状況に応じて訪問看護（看護師や理学療法士等が提供する医療的ケア）や訪問介護（介護福祉士やホームヘルパー等が提供する生活のケア）などのサービスが必要な分だけ受けられる仕組みになっています。</p><p>そのため、地域の病院や診療所、訪問看護ステーション、訪問薬剤師などの多職種の連携によるチーム医療がとても重要になります。</p><p>榊原さん（以下、敬称略）：ホームホスピスは一人一人の「どう暮らしたいか」という望みに寄り添い、くつろぎながら過ごせる個別ケアを提供しています。大規模な施設では面会時間に制限があることも多いですが、ホームホスピスでは、一切の制限を設けず、24時間いつでも訪問することができて、宿泊することも可能です。</p><p>また、小規模だからこそ、入居者のご家族同士も自然と距離が縮み、親戚のような関係が生まれることがあります。これもホームホスピスの魅力の1つではないでしょうか。</p><div id="tnf-text-notes-block_3d867fdddbbb866292aba337ef5a1539" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※緩和ケアとは、生命を脅かす病気に関連する問題に直面している患者と、その家族のQOL（生活の質）を向上させるアプローチ。痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に発見し、適切に評価・対応することで、苦痛の予防と軽減を図る。緩和ケア病棟は、緩和ケアに特化した専門病棟のことを指す。参考：<a href="https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/relaxation/index.html" target="_blank" rel="noopener">国立がん研究センター がん情報サービス「緩和ケア」（外部リンク）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/homehos00001.jpg"><p>――全国ホームホスピス協会では、どのような取り組みが行われているのでしょうか。</p><p>市原：ホームホスピスの普及活動に加えて、ケアと運営の基準の策定、ケアの質を担保するための評価、労務管理や組織運営などに関する講座を開催するほか、現場での困り事に対する相談など、運営者を支えるためのさまざまな取り組みを行っています。また、新たにホームホスピスをつくりたい人や、学びたい人のための研修プログラム<a href="https://homehospice-jp.org/school" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「ホームホスピスの学校」（外部リンク）</a>も実施しています。</p><p>現在（2025年7月時点）、全国各地で45団体が66軒のホームホスピスを運営しており、さらに12軒が立ち上げ準備中です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/homehos00004.jpg">全国にあるホームホスピスマップ（2025年8月現在）。画像提供：全国ホームホスピス協会<h2 id="tnf-text-heading-block_8bbff42b19025b9e0270cba6959a6169" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">住環境が変わることで、心身の状態が改善することも</h2><p>――実際にホームホスピスに入居されている方や、ご家族からはどのような声が寄せられていますか。</p><p>市原：日本財団が2025年に行った「ホームホスピスにおける入居者へのケアの効果に関する調査」によると、入居者のご家族からは「本⼈らしい⽣活の実現度が向上した」　「⾝体的な状態が改善した」という結果が出ています。また、認知症の悪化などを懸念されていた方からは、悪化することがなく、むしろ状態を維持することができたという声もありました。</p><p>榊原：一例ですが、先日、「ホームホスピスこまつ」で最期を迎えた女性がいらっしゃいました。その方は、さまざまな事情から家庭で暮らすことができない子どもたちを養育するファミリーホームを運営していた方でした。5年前に脳腫瘍を患い、抗がん剤治療が困難になった段階で私たちの施設に入居しまして、これまで里親として関わってきた子どもたちをはじめ、多くの方が面会に訪れました。</p><p>その方が亡くなる少し前、ご家族の一人からこのような言葉をいただいたんです。</p><p>「おはようございます。おかげさまで、母との大切な時間を家族全員で過ごすことができております。あと少し、母のファミリーホームの子どもたちに残す最後の関わりまで、見守っていきたいと思います」</p><p>この言葉が本当にうれしく、深く心に残っています。ホームホスピスは、入居者の方がこれまで築いてきた関係性も含めて、残された家族に与えてくれる場所なのだと実感しました。</p><p>――別の施設からホームホスピスへ移られた方で、何か変化がありましたら教えてください。</p><p>榊原：私の父の話をさせてください。私の故郷は小松から15時間も離れた愛媛の宇和島です。父は86歳で心筋梗塞を起こし、その後心不全や骨折が続き、認知症も発症しました。ほぼ寝たきりの状態で、お腹の調子も悪く、おむつが手放せない状況でした。</p><p>2024年の3月から5月まで、毎週末15時間かけて宇和島の病院に面会に帰っていました。15時間かけて行っても面会時間はたった15分です。5月の連休に家族でとことん話し合い、娘のいる「ホームホスピスこまつ」で過ごすのがいいということになったんです。</p><p>入居当初は「お父さん」と呼びかけても反応がなく、視線も合いませんでした。方言もなかなか通じなくて困っている時に、スタッフが足浴をしながら「武田さんはなんて呼ばれてたんですか？」と聞いてくれて、「たけさんと呼ばれとったよ」「私たちもたけさんて呼んでいいですか？」「ええよ」と。</p><p>すると、みるみる表情に生気が戻ってきたんです。適切なケアはもちろんですが、とも暮らしの場で、家族のような関係が築かれていったからだと思います。</p><p>驚くことに、ほとんど寝たきりだった父が歩けるまで回復し、トイレで排泄できるようにまでなりました。</p><p>遠く離れていたので、父との関係はぎくしゃくした時期もありましたが、ホームホスピスで過ごした3カ月間は、父らしく娘らしく、やり直せた貴重な時間だったと感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/homehos00003.jpg"><p>市原：榊原さんのお父様は、ホームホスピスに移ってから、「ビールを飲みたい」と言うようになったり、愛用していた眼鏡や時計も身に着けるようになっていったそうです。こうした変化はホームホスピスでは珍しいことではないんですよ。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f35c89c25f81bfaff525a35fe6fea29d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">気軽に相談ができる窓口は少ない。ホームホスピスはそうした相談先の一つになり得る</h2><p>――お二人がホームホスピスを運営する上で、課題に感じていることはありますか。</p><p>市原：ここ数年で「ホスピス型住宅（※）」と呼ばれるビジネスモデルの施設が急増していて、ホームホスピスとの混同が問題になっています。ホスピス型住宅を運営する一部の企業では、必要以上の頻度で訪問看護を行うことで、収益を上げているという報道もありました。</p><p>榊原：こうした施設では高い給与が支払われる一方で、スケジュールが分刻みで、機械的に管理されるなど、本来の看護やケアのあり方から乖離してしまっている現状があります。これは医療者や企業のモラルの問題だと思います。</p><p>そういった施設で働いていた人が、心身ともに疲弊し、ホームホスピスの理念に共感して、ホームホスピスの立ち上げを目指すため、私たちのもとに相談に訪れるケースも少なくありません。</p><div id="tnf-text-notes-block_6ee17300b6e7a3b2c834fc23c48cbe12" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※介護や医療行為がいつでも受けられる住宅型有料老人ホームや、サービス付き高齢者向け住宅（サ高住）などを指す。入居者はがんの末期状態の患者や国指定の難病患者など医療的依存度の高い人に限定されている。参考：<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC23B0A0T20C23A6000000/" target="_blank" rel="noopener">日本経済新聞「急増するホスピス型住宅　家族と過ごす時間も」（外部リンク）</a></div><p>――ホームホスピスには自治体からの支援などはあるのでしょうか。</p><p>市原：今のところありません。ですので、運営は利用者の自己負担に頼らざるを得ず、入居者一人当たり月々20万円程度の費用が必要となり、利用できる層が限られてしまうという現状があります。</p><p>それでも、入居者5～6人に対して倍以上のスタッフが必要なので、収益的に運営は大変です。「支援があったらいいな……」とは思うものの、実際に自治体からの支援を受けるとなると、予算があるため「終末期ケアは6カ月まで」など、制限が設けられてしまうでしょう。</p><p>人の寿命は誰にも分からないし、決めることもできません。「余命6カ月」と診断された方が数年生きるということはよくあることなんです。支援があることでホームホスピスの理念が崩れてしまうことを考えると、制度ができるとかえって自由度がなくなると考えています。</p><p>――人生の最期まで自分らしく生きられるようにするために、社会全体で必要な取り組みはなんでしょうか。</p><p>市原：気軽に相談できる窓口が必要だと思います。家族が病気になったり、要介護になったりして初めて気づくことがたくさんあるんですよ。地域に根差したホームホスピスはまさに、そうした場所になり得るのではないでしょうか。</p><p>榊原：本当にそう思います。その地域のケアの課題をどうにかしたいと思った人が、ホームホスピスを立ち上げるので、そこには知識と経験が集まります。そして、その知識と経験を持ったスタッフが、別の地域でホームホスピスを立ち上げて……、という「ケアの連鎖」が起こることを期待しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_d34832c112388686ba2d0b50d783ee48" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人生の最期まで、自分らしく生きていける社会を形成していくため、読者一人一人にできること</h2><p>最後に、人生の最期まで、自分らしく生きていける社会を形成していくため、読者一人一人にできることをお二人に伺いました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_066a5900d039a19c17b065c69801a526" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］身近な人の死を、自身の「死生観」を育むきっかけと捉える</h2><p>身近な人が終末期を迎えた場合、積極的に見舞いに行く。直前でどんなことを考えて、どのように最期を迎えたかを見届けることは、自分がどのように人生の最期を迎えたいかの「死生観」を育む機会にもなる</p><h2 id="tnf-text-heading-block_273c2c4808dbbff897e687a6054e65e1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］ 死を身近なものとして認識し、向き合う</h2><p>人は必ず死ぬという事実を認識し、自分もいずれ死ぬということを捉えられるようにすることは、「今を大事に生きること」につながる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>高齢化の進む日本において、ホスピス・緩和ケアの需要はどんどん高まると感じ、その中でも、その人の暮らしを大切にするというホームホスピスについて詳しく知りたいと思い、取材を申し込みました。</p><p>親がまだ元気なときに、介護のことに気が向かないのは自然なことだと思います。しかし、介護や看取りについて話すことは決して縁起の悪いことではなく、むしろ大切な人への思いやりの表れなのだと、この取材を通じて感じました。</p><p>小さな一歩からでも構いません。家族で将来のことを話し合ってみる、そんなきっかけになれば幸いです。</p><p><a href="https://homehospice-jp.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">全国ホームホスピス協会 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>食物アレルギー対応は命に関わる課題。災害時に誰もが安心して食料支援を受けられる仕組みづくり</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115474/disaster</link>
      <pubDate>Thu, 04 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>災害時、食物アレルギーの人は食べられるものが限られ、食料不足や誤食のリスクが高まる</li><li>NPO法人アレルギーを考える母の会では、災害時における食物アレルギー対応の推進に取り組んでいる</li><li>自助の重要性を知り、いざというときのために、食料を備えておくことが大切</li></ul><p></p><p>世界でも有数の災害大国、日本。被災時の避難生活で重要なのが食料の確保です。2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震、2024年の能登半島地震では、被災地に全国から食料や物資が届けられ、ボランティアによる炊き出しも行われました。</p><p>そんな中、見落とされがちなのが、食物アレルギーの人への対応です。食べられるものに制約があるため食事を確保することが難しくなるほか、食物アレルギーに対する理解不足や、それによる誤食のリスクなど、さまざまな問題に直面します。</p><p>そんな災害時における食物アレルギー問題を解決するべく活動しているのがNPO法人アレルギーを考える母の会です。1999年にアレルギーの子どもの母親たちによって設立され、年間400人を超える相談支援や、被災地に限っても約160回の研修会を実施し、アレルギー患者を支援するための研究、調査、仕組みづくりに取り組んでいます。</p><p>2024年1月1日に発生した能登半島地震では、発生2週間後に現地入り。自治体や他のNPO団体と連携し、食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などアレルギー患者を支援してきました。</p><p>食物アレルギーは、当事者にとってときには命に関わる問題です。災害時において、誰もが安心、安全に食事を取ることができるようにするためには、どのような仕組みが必要なのでしょうか。</p><p>アレルギーを考える母の会で代表理事を務める園部まり子（そのべ・まりこ）さん、事務局長を務める長岡徹（ながおか・とおる）さんに、能登半島地震における支援状況を振り返っていただきつつお話を伺いました。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_94521cb48ca016108e59dd3eae80e715" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食べたくても食べられない。災害時、食物アレルギーを持つ人が直面する困難</h2><p>――災害時、食物アレルギーの人はどのような問題を抱えるのでしょうか？</p><p>長岡：まず、アレルギー患者に対応した食事が届きにくいという問題が挙げられます。2013年に、内閣府が「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」を作成し、食物アレルギーの人の食料やミルクの備蓄、食事の配慮を各自治体に求めましたが、2020年、2021年に厚生労働科学研究が行った調査では、6割の避難所においてアレルギー対応食の備蓄がないことなどが分かっています。</p><p>――自衛隊の給食支援やボランティアによる炊き出しでも、食物アレルギーの人は問題に直面すると聞いています。</p><p>園部：提供された食事の原材料が表示されていないために、食物アレルギーの人が食べたくても食べられないという問題があります。「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」で、食事の原材料を表示するよう求めているにもかかわらずです。</p><p>能登半島地震で支援活動を行なった3市3町でアンケートを行ったところ、原材料を表示していたのは、6つの自治体のうち、2つの自治体にとどまっていました。</p><p>長岡：能登半島地震では、自衛隊以外にも外食事業者による食事の提供やボランティアによる炊き出しが行われました。とてもありがたいことなのですが、一方で、原材料の表示が徹底されておらず、食物アレルギーの人が食べられなかったこともあったと聞いています。</p><p>――自宅で避難生活を送っていた食物アレルギーを持つ人もいたかと思います。そういった方々が抱える問題は、また違ってくるのでしょうか。</p><p>長岡：アレルギーに関する相談窓口がどこに設置されているのか分からず、助けを求められなかった人や、「（食物アレルギーの）自分よりもっと大変な思いをしている人がいる」と思い、支援を求めなかった人もいました。</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_2-1.jpg">厚生労働科学研究が行なった調査結果の一部。避難所における食物アレルギー対応は、決して十分とは言えない。出典：厚生労働省科学研究成果データベース「大規模災害時におけるアレルギー疾患患者の問題の把握とその解決に向けた研究」</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_3.png"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_4.jpg">被災地にて石川県の母子保健グループリーダーに、アレルギー対応の情報を提供する園部さん（写真手前）。画像提供：NPO法人アレルギーを考える母の会</div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e6a3754946847d22f8108d2a6e8dd0d6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食物アレルギーの人への対策や方針は示されている一方、浮き彫りになった課題も</h2><p>――お話を伺っていると、災害時の対策や方針は示されているものの自治体には浸透していないように感じます。</p><p>園部：そうですね。2011年の東日本大震災以降、国は多くの方針を定めてきました。しかし、まだ災害時に食物アレルギーの人々を支援するための体制や、情報伝達経路といった細かな部分の詰めが十分ではないと感じています。</p><p>長岡：能登半島地震で被災した自治体にアンケートを行ったところ、「被災直後、マニュアルを活用してアレルギー患者への対応を試みたが、内容の把握や人員の配置に関する打ち合わせが不十分だったため、対応できないことが多かった」という声や、「国の方針通りにアレルギー患者に配慮した備蓄を用意していたが、食物アレルギーの人の状況把握ができず、避難所の対応にバラつきが出てしまった」（いずれも要旨）という声がありました。</p><p>――国が決めた方針に沿って行動するために、解決するべき課題は多いのですね。</p><p>長岡：確かに課題は多いのですが、決して前に進んでいないわけではありません。これまで大きな災害が起きるたびに現地で活動し、自治体の声を聞いてきましたが、今回のように前向きな課題が挙がったことはありませんでした。</p><p>「食物アレルギーの人が炊き出しを食べないのはわがままだ」と考えられていた時代と比べると、食物アレルギーに対する理解や災害時の対応は少しずつ進んでいると肌で感じています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_5.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_46f746889bec2425e45a6c62cd2decd5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自治体と個人、それぞれが災害に備えて万全を期すことが大切</h2><p>――いつ起こるか予測できない災害に備えて、国や自治体はどのようなことに取り組めば良いと考えていますか。</p><p>園部：まずは避難所でのアレルギー対応食品の備蓄を進める、そして炊き出しを含む食事等の提供の際に原材料を記載するフォーマットを作っていただきたい。この2つを徹底するだけでも安心できる食事を提供する環境づくりが進むのではないでしょうか。</p><p>また物資の備蓄状況を自治体ごとに公表する（※）ことも大切です。備蓄状況の公表は、食物アレルギーの人にとどまらず、まだ物資を蓄えていない家庭の備蓄が進む良いきっかけになると思います。</p><p>長岡：災害時の情報伝達経路の見直しも重要だと考えます。能登半島地震では災害発生後、市町村から県に対して支援物資を要請する際の手順の複雑さが課題になりました。</p><p>窓口が一本化されず様式も異なっていたため、要請の集約がスムーズにできなかったと聞いています。被災後、国が策定した法律や方針を実行に移すのも、避難所を主体的に運営するのも市町村ですから、市町村が取り組みやすい環境をつくっていただきたいですね。</p><p>園部：災害時に食物アレルギーの人向けの自治体の相談窓口を設置することも忘れてはいけないと思います。被災時の相談先を明記したポスターやチラシを作成して、食物アレルギーの人が遠慮せずに自分のニーズを伝えられるよう取り組んでいただきたいと思います。</p><p>――一方で、食物アレルギーを持つ人やその家族が取り組めること、心掛けておくことはありますか。</p><p>園部：公助だけに頼るのではなく、自ら備蓄しておく「自助」も重要です。食品を少し多めに買い置きしておき、 古いものから使い使った分を買い足して、常に一定量の食品を家庭で備蓄している「ローリングストック」が有効ですね。</p><p>また避難生活で支援が必要なときに声を上げられるよう相談窓口を調べておく、そして災害時には遠慮することなく支援を求めてください。自分の命を守ることが、まずは大切です。</p><div id="tnf-text-notes-block_164948a22afe105bd8015bfea84649f2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※2025年（令和7年）5月、災害対策基本法が改正され、自治体による年1回の備蓄状況の公表が義務付けられた</div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_6.jpg">一般社団法人日本小児アレルギー学会が作成した「災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレット」には、災害時に当事者や自治体が取るべき行動が明記されている。引用：一般社団法人日本小児アレルギー学会</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_7.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_8.jpg">2024年11月に、能登町と連携して行った「スキンケアと食物アレルギー対策講座」の様子。画像提供：NPO法人アレルギーを考える母の会<h2 id="tnf-text-heading-block_6e7dc7cdaf98700026a42fcfba7abf9a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">食物アレルギーを持つ人たちを取り残さないために、自分や周囲の人ができること</h2><p>誰もがいつどんな有事が起こっても、安心、安全に食事を確保することができる社会を実現させるために、私たち一人一人に何ができるのでしょうか。園部さんと長岡さんにヒントをいただきました。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_51157e366084afce36a745dc61186852" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【１】食物アレルギーについて正しい情報を知る</h2><p>食物アレルギーについて正しい情報を入手することが大切。2018年に厚生労働省が「アレルギーポータル」を開設。医療従事者に向けた情報や、一般向けの食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、喘息に関する動画を配信しているので、そこで正しい情報を入手する。また身近に食物アレルギーの人がいる場合は、「（アレルギーポータルといった）信頼できる情報を入手してほしい」と呼びかけてもらいたい</p><h2 id="tnf-text-heading-block_cd0956fa84bce9b5343a45cf67d6281e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">【２】違いを理解する心を持って、食物アレルギーに関する情報を広める</h2><p>誰しも何かしらの課題を抱えながら生きている。食物アレルギーも一部の人だけの問題と捉えるのではなく、「もし自分だったら」と想像し、その人が当面する苦労を理解し、食物アレルギーに関する情報を自発的に得て、広めることが大切</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/09/hahanokai_9.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_c246666fa76fa68cf662e7e784e44f11" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">編集後記</h2><p>以前、被災地域に食料や物資を送った経験があります。しかし、その時は食物アレルギーを持つ人のことを考えて支援するという発想がありませんでした。この取材を通して、どんなときも「何らかの課題を抱えて困っている人がいる」ことを頭に置いてアクションを起こすことが大切だと感じました。</p><p>大規模な災害が増える昨今において、食物アレルギーを持つ人の対応策が全国に広がることを心から願います。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://hahanokai.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人アレルギーを考える母の会 公式サイト</a></p>    ]]>
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              <oa:lastPubDate>Tue, 02 Dec 2025 14:11:13 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>障害とビジネスの新しい関係</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/52181</link>
      <pubDate>Tue, 02 Sep 2025 14:28:37 +0000</pubDate>
      
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<p>ビジネスにおける障害者の社会参加を加速させるには何が必要か。先進的な企業の取り組みから探る。</p>    ]]>
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      <title>犯罪被害者が直面する現実と「何をどうしていいのか分からない」という声。社会ができる支援の形とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115393/crime</link>
      <pubDate>Tue, 02 Sep 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>犯罪被害者は、被害後に感情がまひしたり混乱したりしやすく、支援の積極的な介入が必要</li><li>被害者が直面する課題は経過により変わる。段階に応じた支援と継続的な関わりが不可欠</li><li>「孤立」は回復を妨げる要因。専門支援だけではなく、身近な人の理解とサポートがカギ</li></ul><p></p><p>突然の暴力、交通事故、性被害——犯罪に巻き込まれた瞬間から、被害者の人生は一変します。身体的、精神的な傷を負うだけでなく、経済的負担や人間関係の変化、法的手続きなど、さまざまな負担が押し寄せます。被害者の多くは感情が混乱してしまうことで、自分が支援を必要としていることすら認識できないことも決して珍しくないといいます。</p><p>このような苦境に置かれやすい犯罪被害者やその家族や遺族に向け、年間延べ7,000件以上の相談や支援活動を行っているのが、<a href="https://www.shien.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益社団法人 被害者支援都民センター（外部リンク）</a>です。</p><p>東京都との協働による総合相談窓口の役割を担い、警察庁、検察庁、弁護士会のほか、関係各団体と連携しながら活動しています。</p><p>警察署や裁判所などへの付き添いや精神的サポートを行う「直接的支援」、相談やカウンセリングを行う「電話相談・面接相談」、被害者遺族が集う自助グループ（※）を開催する「自助グループ支援」など、多岐にわたるサポートを提供しながら、犯罪被害者に対する支援の必要性についての啓発活動も行っています。</p><p>今回は、同センターの相談支援室長を務める阿久津照美（あくつ・てるみ）さんに、犯罪被害者が直面する問題と、社会全体で取り組むべき支援の在り方についてお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_04cbaad7f9240c9d36d12361a8163eb6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※同じような体験や悩みを抱えた人たち自身やその家族同士が、体験を共有したり、分かち合ったりするなど、互いに支え合うグループのこと</div><h2 id="tnf-text-heading-block_57d837dd8335bb5685928f522ce5dea3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被害者支援都民センターの役割と、支援の入口における使命</h2><p>――被害者支援都民センターの活動について、概要を教えてください。</p><p>阿久津さん（以下、敬称略）：犯罪被害に遭うと、心身に負担を抱えながら、捜査協力をはじめとするさまざまな事柄に対応しなければなりません。当センターでは専門知識を有する相談員が、相談や情報提供、付き添いなど、必要に応じた支援を行っています。</p><p>電話相談では被害の種類にかかわらず対応していますが、付き添いなどの継続支援は身体犯（殺人や強盗など体に危害を加えられる犯罪）に限らせていただいています。</p><p>また、被害者やそのご家族が再び傷つけられることなく、安心して回復のステップを踏める社会づくりに貢献するための啓発活動も行っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00003.jpg"><p>――犯罪被害に遭われた方は、どのような形で相談に来ることが多いのでしょうか。</p><p>阿久津：被害者は突然事件に巻き込まれるため、ほとんどの場合、「何をどうすればいいのか分からない」という混乱状態に陥ります。</p><p>自分にどんな支援が必要なのかも想像がつかない状態ですから、助けを求めることも難しい。そのため、警察が支援を必要と判断した被害者やご家族に対し、同意を得た上で、警察から支援要請の連絡をいただける情報提供制度を活かし、検察庁や弁護士会などの関係団体とも連携協力を行っています。</p><p>被害者やご家族から連絡を受け付けるのはもちろんですが、混乱している本人からのアクションを待っていては十分な支援を届けられません。その後の回復のことも考えると、支援者側から積極的に早期介入していくことが重要であるという考えから、こういった連携強化を行っています。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00007.jpg">面接相談を行う相談室</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00008.jpg"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d4dd54d11806457afa67d2e99b8c904c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">直後の混乱から日常への影響、被害者が直面する現実とは</h2><p>――犯罪に遭った被害者が経験する「混乱」とはどういう状態なのでしょうか。</p><p>阿久津：不安で動けなくなってしまうこともありますし、その一方でしっかりと落ち着いて見えるケースもあります。周囲からは「大丈夫そう」と思われやすいのがこの状態ですが、実はあまりのショックから心身を守るための「感情のまひ」に陥っていることも珍しくありません。</p><p>自分や自分の家族が被害に遭ったにもかかわらず、心が動かなくなっている自分自身に対して、「私はおかしいのではないか」「冷たい人間なのだろうか」と苦しむ方もいらっしゃいます。</p><p>また、性被害のケースに顕著ですが、「夜遅くに女性の一人歩きは不用心」「一緒にお酒を飲むのが悪い」といった社会の声が作用し、自らの行動を責めてしまう被害者もいます。悪いのは加害者なのに、正当に訴えていいのか、被害者の方が悩んでしまうのです。</p><p>――混乱した状態の被害者に対して、まず必要になるサポートはどんなことでしょうか。</p><p>阿久津：被害者やご家族に寄り添いながら、必要な事柄を一つ一つ整理し、「こういう制度が利用できる」「私たちはこういう支援ができる」と具体的な道筋を示していくことが重要です。</p><p>例えば、けがを負った場合はすぐに治療が必要ですが、犯罪被害給付制度（※）によって国から給付金が出るのは、入院を伴うような重傷のみで、加害者からも治療費が支払われず、自分で負担しなければならないケースもよく見られます。</p><p>犯罪被害であっても健康保険が使えることや、状況に合った支援策があれば、その相談先をお伝えします。また、刑事手続に関わることは弁護士の相談窓口を紹介するなど、当センターの相談員が間に入ることで、適切な支援へとつなげていきます。</p><div id="tnf-text-notes-block_786ba0ac92c0912dcb264cc8d5530eb8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※殺人など故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた犯罪被害者の遺族または重傷病や障害という被害を受けた犯罪被害者に対して、国が犯罪被害者等給付金を支給する制度</div><p>――被害から時間が経つと、被害者の心理や生活にはどのような変化が表れるのでしょうか。</p><p>阿久津：怒りや悲しみ、後悔といった感情が湧き起こってきます。「犯人を殺してやりたい」と思うほどの非常に激しい感情が起こることもありますし「被害に遭った時、自分にできることは本当に何もなかったのか」「もしあの時、別な選択をしていたら」という自責の念や罪悪感にも強く襲われます。</p><p>普通に暮らしていただけなのに被害に遭った、それも人から危害を加えられたという現実は、人と接触することへの強い不安感や外出することへの恐怖にもつながります。</p><p>それは、社会や人に対する基本的な信頼が揺らぎ、生活の中での安全感が失われるためです。例えば、被害に遭った場面とは直接関係がなくても、電車に乗ることができなくなる方も少なくありません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00004.jpg">犯罪被害後の被害者には、あらゆる反応が表れる。情報提供：公益社団法人 被害者支援都民センター<p>阿久津：また、経済的な負担も深刻です。治療や葬儀にかかる費用、刑事事件であれば弁護士費用など、予期せぬ出費が一度に押し寄せるからです。</p><p>加えて、刑事手続における事情聴取や裁判のために仕事を休まざるを得ず収入が減少する、精神的なバランスを崩して休職や退職を余儀なくされる、といった状態になる人もいます。中には、貯金を切り崩してしまい、最終的には生活保護（※）の受給に至るケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_3a8904e07e710a637ca552cfec81cb1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※さまざまな理由により生活に困窮している人々に対し、憲法が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を保障し、自立した生活ができるよう援助する制度。こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2023/94964/poverty" target="_blank" rel="noopener">8割が利用できていない、不正受給率はごくわずか。生活保護について正しい理解を（別タブで開く）</a></div><p>――ただでさえ被害で打ちのめされているのに、心身や経済状況の苦境が積み重なるのですね……。このような困難に対してどのような支援ができるのでしょうか。</p><p>阿久津：生活の土台を整えて、被害前の環境や状況に近づけていくことが重要です。「安心して生活できる」と感じられることが精神的な回復につながるからです。</p><p>例えば自宅や自宅近くで被害にあった場合は、事件が思い出されて、そこに住み続けることができないと思うのは当然です。そういうときは「転居」が安心して生活するための有力な選択肢となるので、引越し費用に関するサポートを行います。</p><p>被害者やそのご家族によって求める支援は違います。まずはその方たちの気持ちを理解しようとしっかりとお話を聞くことがとても大事だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00010.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_847a9618e620f3d0e59441f40cb875e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">長期化する手続きと回復への道筋。被害者を支える継続的支援</h2><p>――刑事手続を体験したことがない人も多いと思いますが、被害者やそのご家族にとってどういう困難が想定されるのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>阿久津：想像以上に刑事手続は大変だと考えていただいて良いと思います。例えば、警察で供述調書（※）を作るために事情聴取を受けることは、詳細を思い出して話さなければならず、被害を受けたという事実に直面させられます。</p><p>加害者が検挙されると、検察庁でもまた同じように事情を聞かれる。そういった手続きが長期間にわたって続くのは、心身ともに相当な負担を与えます。</p></div></div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>ようやく裁判が始まったと思えば、被害状況を詳細に聞かされることになるでしょう。そして、事実を認める加害者だけではありません。例えば、性犯罪で「被害者に同意があった」といった事実を争っている場合には、被害者が自ら証言に立つことを求められます。それはもちろん大きな負担となります。ようやく判決が出ても相手が上告や控訴をすればさらに手続きは長期化します。</p><div id="tnf-text-notes-block_e5859daed8d43ddb1d3ce263276aad75" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※捜査機関（警察官や検察官）が作成する被疑者や参考人の証言を記録した文書</div></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00001.gif">刑事手続の流れ。引用：<a href="https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201312/3.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">政府広報オンライン「被害者参加制度 裁判に参加する被害者をサポート」（外部リンク）</a></div></div></div></div><p>――それに伴って、センターも長期間にわたる支援が求められていくのですね。</p><p>阿久津：はい。複数年にわたることが一般的です。殺人といった重大事件では裁判が1年経っても始まらないケースも多いです。</p><p>当センターで支援している方の多くは、「被害者参加制度※」を利用しています。これは、被害者が裁判で被告人に質問できるなど積極的に関わることができる制度です。また、心情に関して意見陳述できる制度もあります。</p><p>手続きは大変ですが、裁判に積極的に関わることで回復のきっかけをつかむこともあり、「やってよかった」という声も多く届いています。</p><p>その後も、カウンセリングを受けていただく、自助グループに参加していただくなど、精神的サポートを含めた長期間の関わりが続きます。</p><div id="tnf-text-notes-block_c782771025e1c47321f8bd241f84e35d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※殺人、性犯罪、交通事犯等の被害の場合は、被害者や遺族などの申し出により、検察官を通して裁判所の許可を得た上で、法廷内で検察官側の席に座り、一定の範囲内で被告人や証人に直接質問をしたり、事実関係や法律の適用について意見を述べたりすることができる。また、検察官の訴訟活動について、意見を述べたり、説明を受けたりすることができる</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00005.jpg"><p>――事件が長期化することによって、他にどんな困難が起こるのでしょうか。</p><p>阿久津：「二次被害※1」も多く聞かれます。例えば、殺人事件の被害者に対し、本人にはなんの落ち度がないにもかかわらず、「被害者側にも被害に遭ってしまうような理由があったのではないか」という誤解や偏見をぶつけられる、といったケースです。</p><p>また、賠償金（※2）に関する誤解も深刻です。民事裁判では数億円という賠償金の支払いを命じる判決が出ることもあり、そういった報道だけを見聞きした人たちから、「たくさん賠償金をもらえたのだからいいではないか」と被害者やその家族を傷つける声が届くことがあります。</p><p>しかし、多くの加害者には、そんな支払い能力はありません。実際に判決どおり支払われることはほとんどないというのが現実で、被害者やご家族は誤解に苦しめられるのです。</p><div id="tnf-text-notes-block_02182857f0f438fc549aa5b96dfec80c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.犯罪等による直接的な被害（＝一次被害）が原因で発生する二次的な被害のこと。周囲の無理解による心ない言動や無責任なうわさ話、プライバシー侵害や報道の過熱など※2.不法行為や債務不履行で他人に損害を与えた場合に、その損害を金額に換算して支払うお金のこと</div><p>――このような多岐にわたる困難から、被害者やその家族は回復していくことができるのでしょうか。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><p>阿久津：「死ぬまで被害者だ」と表現されるご遺族の方もいます。私たちや関係機関の専門的サポートがあったとしても、元の状態に戻ることは難しいですが、少しずつ生活を取り戻していくことは可能だと思います。</p><p>そこで重要なのは、「孤立」させないこと。身近に理解してくれている人がいる、という実感は被害に遭った人にとって何よりの支えになります。</p><p>最初は事件のことしか考えられなかったけど、誰かに話を聞いてもらううちに、少し視野が広がることがある。多くの方はそういった形で少しずつ回復を感じていらっしゃるように思います。</p><p>私たちも相談を受ける中で、「つらい体験だったけれど、あのことがあって、人の助けや、普通に暮らせることのありがたさに気づいた」といった発言を聞くことがあります。このように、被害体験を自分なりに意味付けできることは回復に踏み出しているサインの一つだと考えます。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00002.jpg"> 同センターでは、2001年から毎年、被害者ご遺族の手記集「もう一度会いたい」を発行している</div></div><p>――「話を聞く」という行為は、支える手段になり得るのですね。</p><p>阿久津：そうですね。ただ、当事者にどう接したらいいのか周囲の人も悩み、そっとしておこうと距離を置く……という状況もよく見られます。知っていただきたいのは「どんな言葉をかけるか」よりも「相手を理解しようと話を聞くこと」の方が重要であるということ。家事や育児を手伝うのもいいですし、一緒にいて、ただ聞き役に徹するといった、「自分のできる範囲で寄り添おう」という姿勢が助けになるのです。</p><p>というのも、犯罪はサポートする側も傷つけるんです。何もできない自分に申し訳なさを感じて落ち込むこともあれば、衝撃的な出来事を聞くうちに、「道に車が突っ込んでくるかもしれない」「自宅に誰か潜んでいるのではないか」などと強い警戒心を持ってしまうこともあります。</p><p>一緒に背負える範囲が限られるのは当然のことですから、助けようと近寄ったものの、苦しくなって離れるより、自分のできることを理解して「これは難しいけど、こういうことならできる」と、無理のないペースでつながり続ける姿勢が大切です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00009.jpg"><p>――当事者やご家族が集まる「自助グループ」は、どのような役割をしているのでしょうか。</p><p>阿久津：犯罪被害のような辛く苦しい体験をすると、他の当事者がその後どのように暮らしているのかを知りたい、という思いが生まれてきます。「共通の体験がある」というつながりの中で、日々生まれる思いや疑問を話していただくことによって、「一人じゃないんだ」「こう考えるのはおかしいことじゃないんだ」と感じ取ることができ、ひいては孤立感の軽減につながっていきます。</p><p>自助グループの参加者には、被害から何十年も経過している方もいらっしゃいます。時間が経つほど、「いつまでも苦しんじゃだめだ」「前を向かないと」など、励ましのつもりで言われることが増え、体験を話せる場所が減ってくるからです。</p><p>癒えることのない寂しさや悲しみ、亡くなった人との思い出などを安心して話せる場所、という役割も自助グループは果たしています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/hanzaihigaisha00006-1024x724.jpg">被害者支援都民センターが制作した、被害に遭った方の周りの人に向けたリーフレット。公式サイトから閲覧及びダウンロードすることができる。引用：<a href="https://www.shien.or.jp/other/leaf.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益財団法人 被害者支援都民センター「リーフレット・絵本のご紹介」（外部リンク）</a><h2 id="tnf-text-heading-block_3d854f62a064088de85f7425d8cbc564" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被害者を支える社会をつくるために、私たち一人一人ができること</h2><p>犯罪被害者支援において、社会全体や周囲の人たちに何ができるのかについて、阿久津さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d8239dd249a85c21e2b0a9925cec8835" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］情報の真偽を見極めて、二次被害となる憶測や批判を拡散しない</h3><p>SNSやネット上などで被害者に関する情報に接したら、必ずファクトチェックをする。誤解、偏見、憶測に基づく情報の拡散に加担せず、まずは正しい情報を知ろうと努めることが、被害者を苦しめる二次被害の防止へとつながる</p><h3 id="tnf-text-heading-block_49ce0a5ce6800a3660e89c002902439d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］被害者の置かれた状況を理解し、話を聞くことを大切にする</h3><p>身近な人が被害に遭った場合、本人が置かれた状況や気持ちを理解しようと努力することが最も重要。「頑張れ」「前向きに」「忘れよう」といった励ましの言葉は、一生背負うような重い体験には適さない。批判や意見を挟まずに話を聞き、受け止める姿勢が大切</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f288c1a7029357c6d477a021eb459da1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］社会課題として関心を持ち続け、できる範囲で行動を起こす</h3><p>犯罪被害者支援は個人の問題ではなく社会課題。まずは関心を持ち続けることが大切で、その上で自分にできるアクションがあれば動いてみる。被害者支援を充実させるために自治体に意見を届けたり、全国の被害者支援センターの講習に参加したりすることもできる</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>世の中で起きる全ての事件にいる被害者。その被害者たちは、事件のその後をどう生き、どういった支援を求めているのかを知りたいと思い、取材しました。</p><p>今まで「犯罪に遭う」ことはどこか遠い世界の出来事のように思えていました。しかし、誰もが突然当事者になりうるのだ、という現実をまざまざと見せつけられた今回の取材でした。</p><p>「人の助けや、普通に過ごせることがどれだけありがたいものか気づいた」という被害者の方の言葉がありましたが、そういう尊い日常を一瞬で奪ってしまう犯罪被害。その苦しみや困難を他人事にせず、社会全体で守り支える意識を持っていかなければいけないと感じました。</p><p>撮影：十河英三郎</p><p><a href="https://www.shien.or.jp/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益社団法人 被害者支援都民センター（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第7回　NPO法人における個人情報の取り扱い。注意点を弁護士が解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115231/academy</link>
      <pubDate>Fri, 29 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：阿部由羅</p><p>NPO法人が個人情報を取り扱う場合は、個人情報保護法のルールを遵守する必要があります。個人情報保護法のルールは多岐にわたりますが、そのポイントを正しく理解しておきましょう。</p><p>本記事では、NPO法人の運営者が理解しておきたい個人情報保護法のポイントを解説します。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_7-1.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_f31397b5d7daf707a8460baed16c31b4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人にも適用される！個人情報保護法の主なルール</h2><p>NPO法人においても、顧客や取引先の個人情報を取得するケースがあるでしょう。</p><p>個人情報をデータベースなどで検索可能な状態にして、事業の用に供している者を「個人情報取扱事業者」といいます。</p><p>NPO法人も一般企業と同様に、個人情報取扱事業者に当たる場合は、個人情報保護法に定められた義務を遵守しなければなりません。</p><p>NPO法人の運営者が留意すべき、個人情報保護法の主なルールは次のとおりです。</p>個人情報の利用目的の特定・通知・公表個人情報の利用・取得に関する規制個人データの安全管理措置従業者や委託先の監督漏えい等が発生した場合の報告・通知個人データの第三者提供に関する規制要配慮個人情報に関する規制本人の開示請求等への対応<h3 id="tnf-text-heading-block_24ac30a1d2b90e965fe00ce18c810bd2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個人情報の利用目的の特定・通知・公表</h3><p>個人情報取扱事業者は、取り扱う個人情報の利用目的を特定する必要があります（個人情報保護法17条1項）。</p><p>個人情報を取得したときは、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに利用目的を本人へ通知するか、または公表しなければなりません（同法21条1項）。</p><p>個人情報の利用目的は変更できますが、変更前の利用目的と合理的関連性を有する範囲内に限られます（同法17条2項）。</p><p>利用目的を変更した場合は、本人に対する通知または公表が必要です（同法21条3項）。</p><p>利用目的の達成に必要な範囲内を超えて個人情報を取り扱う場合は、本人の事前同意を得なければなりません（同法18条1項）。</p><p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>個人情報の利用目的は、あらかじめホームページで公表しておくとよいでしょう。利用目的を変更した際にも、その旨と変更内容をホームページ上で速やかに公表しましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9de73e796f336a7727f56157b5abd894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個人情報の利用・取得に関する規制</h3><p>個人情報取扱事業者は、違法・不当な行為を助長・誘発するおそれのある方法で個人情報を利用してはいけません（個人情報保護法19条）。</p><p>また、偽りその他不正の手段によって個人情報を取得することも禁止されています（同法20条1項）。</p><p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>あらかじめ公表している利用目的の範囲を超えて、取得した個人情報を私的に流用することなどは厳禁です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7ba7c4fa8c8817b346ef7c0a22115d21" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個人データの安全管理措置</h3><p>個人情報を検索できるようにしたデータベースなどを「個人情報データベース等」といいます（個人情報保護法16条1項）。</p><p>個人情報データベース等を構成する個人情報は「個人データ」と呼ばれています（同条3項）。</p><p>個人情報取扱事業者は、個人データの漏えい・滅失・毀損（＝漏えい等）を防止するため、およびその他の安全管理のために必要な措置を講じなければなりません（同法23条）。</p><p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>安全管理措置の具体例は、「個人情報保護ガイドライン（通則編）」*1に挙げられていますので、参考にしてください。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cb4ed7313735c6ba683491ff05fcc0f5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">従業者や委託先の監督</h3><p>個人情報取扱事業者が、従業者や委託先に個人データを取り扱わせる場合は、当該個人データの安全管理が図られるように、必要かつ適切な監督を行わなければなりません（個人情報保護法24条、25条）。</p><p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>従業員に対しては、定期的に個人情報保護法に関する研修を行うことが望ましいです。</p><p>個人データの処理などを外部委託する場合は、委託先における安全管理措置の確認や、取扱状況の把握を怠らないようにしましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cf7957b5a7336df57c8899fddcae6545" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">漏えい等が発生した場合の報告・通知</h3><p>個人情報取扱事業者は、次のいずれかに該当する個人データの漏えい等が発生した場合、または発生するおそれがある場合には、個人情報保護委員会にその旨を報告しなければなりません（個人情報保護法26条1項、同法施行規則7条）。</p><p>さらに、原則として本人にも通知する必要があります（同法26条2項）。</p>要配慮個人情報（後述）が含まれる場合不正利用によって財産的被害が生じるおそれがある場合不正の目的をもって行われたおそれがある、当該個人情報取扱事業者に対する行為によって漏えい等が発生した場合（不正ハッキングなど）個人データに係る本人の数が1,000人を超える場合<p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>個人データの漏えい等を発生させないことが第一です。特に要配慮個人情報などのセンシティブな個人情報については、厳重に管理しましょう。</p><p>万が一個人データの漏えい等が発生してしまったら、隠すことなく個人情報保護委員会へ報告と本人への通知を行いましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_7-2.jpeg"><h3 id="tnf-text-heading-block_e15c57f3664c1b63f29fb515bbe77894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">個人データの第三者提供に関する規制</h3><p>個人情報取扱事業者が個人データを第三者に提供する場合は、原則として本人の事前同意を得る必要があります（個人情報保護法27条1項）。</p><p>ただし、要配慮個人情報を含まない個人データは、一定の事項につき本人への通知等を行うことを条件として、本人による提供停止の求めがあるまで第三者提供を行うことが認められます（同条2項）。これは「オプトアウト方式」と呼ばれるものです。</p><p>ただし不正取得された個人データや、他の個人情報取扱事業者からオプトアウト方式で提供された個人データは、オプトアウト方式による第三者提供が認められません。</p><p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>個人データを第三者に提供する際には、提供の年月日や相手方に関する事項を記録した上で、原則として3年間保存しなければなりません（同法29条）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0e39c4b2cf4a34df502eac87c40f2d1b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">要配慮個人情報に関する規制</h3><p>「要配慮個人情報」とは、次のいずれかの記述等が含まれる個人情報です（個人情報保護法2条3項、個人情報保護法施行令2条各号）。</p>人種信条社会的身分病歴犯罪の経歴犯罪により害を被った事実身体障害、知的障害、精神障害等があること健康診断等の結果診療、調剤に関する情報刑事事件に関する手続が行われたこと（犯罪の経歴を除く）少年の保護事件に関する手続が行われたこと<p>人権保護の観点から、要配慮個人情報は慎重に取り扱う必要があるため、個人情報保護法によって次の特別の規制が設けられています。</p>要配慮個人情報を取得する際には、本人の事前同意が必要です（同法20条1項）要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等については、一律で個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務付けられます（同法26条1項、2項）要配慮個人情報を含む個人データの第三者提供に当たっては、必ず本人の事前同意を得る必要があり、オプトアウト方式が認められません（同法27条2項但し書き）<p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>要配慮個人情報はセンシティブなので、極力取得しないようにしつつ、やむを得ず取得する場合は厳重に管理しましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9f0067ed7f9fe6ba828a7efcfaeaa7ad" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">本人の開示請求等への対応</h3><p>個人情報取扱事業者は、保有する個人データの本人から以下の請求を受けた場合は、個人情報保護法の規定に従って対応しなければなりません（同法33条～35条）。</p>開示請求訂正、追加、削除請求利用の停止、消去請求<p>NPO法人のチェックポイント！</p><p>開示請求等の手続きについては、本人の知り得る状態に置かなければなりません（同法32条1項）。ホームページにおいて、開示請求等の窓口や手順などを公表しておきましょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_7d9e509b173d7310df8dbe21d27d7a9a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人においても、一般企業と同様に、個人情報を適切に取り扱うことは極めて重要です。</p><p>個人情報の漏えい等が発生して社会の信頼を損なう事態を避けるためにも、個人情報保護法の遵守に努めましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考文献］</p><p>* 1.参考：<a href="https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/guidelines_tsusoku/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン（通則編）」3-4-2安全管理措置、10（別添）講ずべき安全管理措置の内容（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e153c183aaf0d72a9b0c2c53c6580405" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/abe_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_237ba49b4713568647393925697a16f4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">阿部由羅（あべ・ゆら）</h3><p>ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。注力分野はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続など。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。<a href="https://abeyura.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ゆら総合法律事務所 公式サイト（外部リンク）</a><a href="https://x.com/abeyuralaw" target="_blank" rel="noreferrer noopener">阿部由羅 公式X（外部リンク）</a></p></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第7回　学びの目的は個人と社会のウェルビーイング！ その実現につながる「成長実感」とは</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115246/academy</link>
      <pubDate>Fri, 29 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：横内美保子</p><p>ウェルビーイングとは、「身体的・精神的・社会的に良い状態にあること」をいい、短期的な幸福だけでなく、生きがいや人生の意義の実感など、将来にわたる持続的な幸福を含む概念です。</p><p>最近は経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康を含めたウェルビーイングが重視されるようになってきました。</p><p>OECD（経済協力開発機構）の「Learning Compass2030（学びの羅針盤2030）」にも、個人と社会のウェルビーイングが「学びの目的地」であると明記されています。</p><p>さらに、心理学者が明らかにしたウェルビーイングの因子の1つにも、「自己成長：成長し発達し、進歩を実感すること」があります。</p><p>今回は「成長実感」をキーワードに、仕事を通した成長をウェルビーイングという観点から考えます。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b4a3931081fe7eb95f69e18606364a99" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ウェルビーイングは身体的、精神的、社会的なもの</h2><p>ウェルビーイングがことばとして初めて登場したのは、1946年に設立された世界保健機構（WHO）の憲章です。*1</p><p>Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.</p><p>日本WHO協会はこの部分を以下のように翻訳しています。</p><p>健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。</p><p>他の定義もみてみましょう。文部科学省は以下のように定義しています。*2</p><p>身体的・精神的・社会的に良い状態にあることをいい、短期的な幸福のみならず、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福を含む概念。</p><p>多様な個人がそれぞれ幸せや生きがいを感じるとともに、個人を取り巻く場や地域、社会が幸せや豊かさを感じられる良い状態にあることも含む包括的な概念。</p><p>ウェルビーイングは狭い意味での心身の健康だけでなく、心の豊かな状態である幸福と、社会の良好な状態をつくる福祉を合わせた、心と体と社会のよい状態を指すのです。*3</p><h2 id="tnf-text-heading-block_63afffa94a460715e3d8cb18e9283dc8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">学びの目的はウェルビーイング</h2><p>現在は経済先進諸国で、GDPに代表されるような経済的な豊かさだけでなく、精神的な豊かさや健康までを含めて幸福や生きがいを捉える考え方が重視されてきています。*2</p><p>「OECDラーニング・コンパス（学びの羅針盤）2030」は、教育の未来に向けての望ましい未来像を描いた枠組みです。*4</p><p></p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_7-1.png"></div><p>この羅針盤の右上に、「Well-being 2030」とかかれた道しるべがあります。</p><p>私たちが望む未来には数多くのビジョンが存在するかもしれませんが、社会のウェルビーイングは共通の「目的地」です。</p><p>「学びの羅針盤2030」にはこのように記されています。*4</p><h2 id="tnf-text-heading-block_364e6b349ebd5cbde89461161eeb57bc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「成長実感」とウェルビーイング</h2><p>次に、仕事を通しての成長とウェルビーイングとの関係をみていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1715f3f598e7d39523ec9b0a34126556" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「成長実感」の重要性</h3><p>心理学者のキャロル・リフ氏は、さまざまなアンケートの結果をコンピュータで因子分析した結果、心理的ウェルビーイングには、6つの要素が重要であることを明らかにしました。*3</p><p>そのうちの1つが「自己成長（Personal Growth） ── 成長して発達し進歩を実感すること」です。</p><p>このことは、日本での調査結果とも合致しています。パーソル総合研究所は、2017年から「人々の働くことを通じた成長」をメインテーマとした１万人規模の就業実態調査「働く10,000人の就業・成長定点調査」を実施しています（以下、「成長調査」）。*6, *7</p><p>その調査結果をみていきましょう。</p><p>下の図は、仕事への意欲や就業満足度、組織のパフォーマンスなど、ウェルビーイングにつながる重要な要素に、「成長実感」と「成長志向」がそれぞれどれくらい影響を与えているかについて分析した結果を表しています。*7</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_7-2.png">成長実感と成長志向の影響度。引用：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/201711011100.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「成長「実感」の効果は、「目指す」ことのおよそ3倍　成長実感と志向の効果比較」（外部リンク）</a><p>オレンジの「成長実感」と青の「成長志向」のバーを比べると、影響度には大きな差があることがわかります。</p><p>どの項目に対しても、「成長実感」の影響度のほうがずっと大きくなっており、その差は、仕事への意欲で3倍、就業満足度では6倍にも上っています。</p><p>また、図の右側にあるように、「成長実感」は「その会社で働き続けたい気持ち」を高め、「転職意向」を低下させています。</p><p>つまり、成長は「志向する」ことだけではほとんど仕事への意欲や満足度を向上させず、実際に「実感」することができるかどうかが就業意識に大きな影響を与えているということです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_f572462bd57907639efcda137dbf47b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「成長実感」の現状</h3><p>では、実際にどのくらいの人が「成長実感」を得ているのでしょうか。</p><p>次の図は「働くことを通じた成長」の重要性と実感に関する意識の推移を表しています。*8</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_7-3.png"><p>「『働くことを通じた成長』は重要だと思いますか？」という質問に対して、「重要」と答えた人の割合は、2023年から2.3ポイント下降し、2024年は76パーセントでした。</p><p>その一方で、「過去1年間で、『働くことを通じた成長』を実感しましたか？」という質問に対して、「実感した」と答えた人の割合は、2024年は53.4パーセントと前年とほぼ同じでした。</p><p>雇用形態別にみると、公務員・団体職員が最も高く、契約・嘱託が最も低い傾向があります。</p><p>また、男性よりも女性の方が高く、年代別では20代が高いのに対して、50代が低い傾向にあります。</p><p>職種別では、医療・福祉・教育職が63.3パーセントと最も高く、製造・物流職が45.5パーセントと最も低くなっています。</p><p>「成長実感と成長志向の影響度」の図でみたとおり、「成長実感」は仕事への意欲を向上させ、就業満足度を伸ばし、仕事を通じてのウェルビーイングに影響を与えることがわかっています。</p><p>ところが実際には、「成長実感」を得られている人は全体の半数程度しかいないという状況があるのです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1cfb98d3fc8448af917a25a6308fa19e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">従業員の「成長実感」を高めるためには</h3><p>では、仕事を通じて従業員が成長を実感するためには、どうしたらいいのでしょうか。</p><p>そのヒントになるのが「成長調査」でわかった、「若手社員の成長実感理由 TOP10」です。*9</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_7-4.png">若手社員の成長実感理由 TOP10。引用：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202009090001.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「若手社員の成長実感の重要性 ～若手の成長意欲を満たし、本人・企業双方の成長につなげるには～」（外部リンク）</a><p>この図から、「成長実感」が得られた理由のTOP3は、「以前より難しい仕事を担当した」「責任のある役割を与えられた」「仕事量に余裕ができた」であることがわかります。</p><p>自分の能力よりも少しだけ難しい課題を行うことは、フロー状態という、高度に集中した状態を引き出し、学習効果が高いことが心理学の知見でも知られています。</p><p>3番目に「仕事量に余裕ができた」が挙がっていることから、仕事をつめ込みすぎず、内省や自己啓発の時間を設けることも、若手社員の成長に重要であることが窺えます。</p><p>また、20代で多かった成長理由に、「上司から仕事の助言を得ることができた」「上司からフィードバックを得ることができた」があります。</p><p>では、上司のどのような関わりが、若手社員の「成長実感」を高めるのでしょうか。</p><p>次の図は、若手社員の「成長実感」を高める上司のマネジメント行動を分析した結果、特に有意な効果が認められた3項目を表しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_7-5.png"><p>「スキルや能力が身につく仕事を任せる」「仕事上の悩みや不満を聞く」「納得できる注意や叱り方をする」といった行動が、若手社員の「成長実感」を高めていることがわかります。</p><p>特にスキルや能力が身につくような業務アサインは影響が強く、どの年代でも共通する成長実感要因でした。</p><p>このことから、自身のスキルアップにつながっていると感じられる業務をアサインすること、また業務がどうスキルアップにつながるのかを上司が説明することが重要だといえます。</p><p>「仕事上の悩みや不満を聞く」「納得できる注意やしかり方をする」は、20代で顕著な成長実感要因です。</p><p>若手社員に「成長実感」を与えるためには、慣れない仕事に取り組む若手の悩みや不満に傾聴し、注意や叱責をする場合にも、なぜいけないのか、どうすればいいのかを丁寧に指導することが求められているといっていいでしょう。</p><p>仕事を通じた「成長実感」は、仕事への意欲や満足度を向上させ、ウェルビーイングを高める重要な要素です。</p><p>企業は、従業員が成長を実感できるような機会を提供し、上司も従業員のウェルビーイング向上を支援することが重要です。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>[参考文献]</p><p>*1.参考：<a href="https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">公益社団法人 日本WHO協会「世界保健期間（WHO）憲章とは＜WHOとは」（外部リンク）</a></p><p>*2.参考：<a href="https://www.mext.go.jp/content/20230526-mxt_soseisk02_11.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">文部科学省「ウェルビーイングの向上について（次期教育振興基本計画における方向性）」p.1（外部リンク/PDF）</a></p><p>*3.参考：前野隆司・前野マドカ『ウェルビーイング』（2022年　日経文庫　電子書籍版）p.13,54</p><p>*4.参考：<a href="https://www.oecd.org/content/dam/oecd/en/about/projects/edu/education-2040/concept-notes/OECD_LEARNING_COMPASS_2030_Concept_note_Japanese.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">OECD 「仮訳 OECD ラーニング・コンパス（学びの羅針盤）2030」 p.3（外部リンク/PDF）</a></p><p>*5.参考：<a href="https://www.oecd.org/en/data/tools/oecd-learning-compass-2030.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">OECD「The OECD Learning Compass 2030」（外部リンク）</a></p><p>*6.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/pgs/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「働く10,000人の就業・成長定点調査2024」（外部リンク）</a></p><p>*7.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/201711011100.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「成長「実感」の効果は、「目指す」ことのおよそ3倍　成長実感と志向の効果比較」（外部リンク）</a></p><p>*8.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/spe/pgstop/pgs/growth02/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「Q「働くことを通じた成長」の重要性と実感をどれくらい感じますか＜働く10,000人の就業・成長定点調査2024」（外部リンク）</a></p><p>*9.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202009090001.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所「若手社員の成長実感の重要性 ～若手の成長意欲を満たし、本人・企業双方の成長につなげるには～」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5e27179c8250777ec34030f7d00a4905" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/yokouchi_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_f716c00c96d1dfe7e9108f0c36f3aec8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">横内美保子（よこうち・みほこ）</h3><p>博士（文学）。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。<a href="https://x.com/mibogon" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式X （外部リンク）</a><a href="https://www.facebook.com/mihoko.yokouchi1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式Facebook（外部リンク）</a></p></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>依存症の背景にも性差がある。誰もがなり得る病「依存症」にはどう向き合うべきなのか？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114874/crime</link>
      <pubDate>Thu, 28 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>特定の物質や行為をやめることができない病気｢依存症｣は、いつ誰がなってもおかしくない</li><li>ジェンダー（※）にまつわる困難や痛みから逃れるために依存症となるケースが多い</li><li>依存症になる人を減らすには、依存対象と｢どう向き合うか｣を伝える教育が重要</li></ul><div id="tnf-text-notes-block_797a62011739b14b3ec052d8cd5fd102" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※これが男らしい、これが女らしいと決めるなど、社会や文化の中でつくられた、性別に対する考え方</div><p></p><p>日々の生活や健康、人間関係や仕事などに悪影響を及ぼしているにもかかわらず、特定の物質や行為を、やめたくてもやめられない状態、「依存症」。この言葉を聞くと、「だらしがない人」「自分を律することができない人」「快楽を追求している人」というイメージを持つ人がいるかもしれません。</p><p>しかし近年、依存症になる背景として、心身の傷が大きな影響を与えており、アルコールや薬物の乱用によってその痛みを和らげているという実態が見えてきました。</p><p>さまざまな被害体験を背景に、病気や障害に苦しむ女性への援助を行う<a href="https://npo-recovery.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人リカバリー（外部リンク）</a>の代表、大嶋栄子（おおしま・えいこ）さんは、精神科病院のソーシャルワーカー（※）として経験を重ねる中で、依存症は個人だけの問題ではなく、特に女性の場合、暴力被害やジェンダー格差による社会的な困難と深く関わっていることに気づいたと言います。</p><div id="tnf-text-notes-block_6e36f04e7fcae515d6aec679f5f172b4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※生活に困難を抱える人々に対して相談に応じ、必要な支援につなげる専門職。支援の対象は高齢者や障害者、子ども、貧困家庭、精神疾患のある人など多岐にわたる</div><p>法務省の<a href="https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00134.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和6年版犯罪白書」（外部リンク）</a>によると、女性受刑者の約3割が覚醒剤取締法違反によって検挙されています。また<a href="https://www.moj.go.jp/housouken/housouken03_00027.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「令和2年版犯罪白書」（外部リンク）</a>では、その多くが交際相手や配偶者などからの身体的暴力（DV）や小児期のつらい体験を経験していることが分かっており、他の犯罪と比べて再犯リスクも高くなっています。</p><p>偏見も根強い、依存症の本当の姿とは。そして依存症から回復する人を社会でどう支えることができるのか、NPO法人リカバリーの活動についても伺いながら、理解を深めていきます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00009.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00010.jpg">覚醒剤使用歴がある女性は、小児期の精神的・身体的暴力の経験率が約4〜5割と、男性と比べて顕著に高い。出典：法務省「令和2年版犯罪白書」<h2 id="tnf-text-heading-block_1fe88e558da14ed3ac036777f06fca25" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">依存症は、いつ誰がなってもおかしくない病気</h2><p>――まず、依存症とは何かを教えてください。</p><p>大嶋さん（以下、敬称略）：特定の物質の摂取や行為を、やめたくてもやめることができない状態です。依存の対象となる物質はアルコール、処方薬などの身近なものから、覚醒剤といった違法薬物の場合もあります。</p><p>行為でいうとギャンブル、万引き、自傷行為などがありますが、これらはほんの一例で、依存の対象にはさまざまな種類があるのが特徴です。</p><p>――依存症はどのように進行していくのでしょうか。</p><p>大嶋：アルコールを例に説明します。アルコール依存症（※）となる人も、元々はお酒を飲むのが好きな人と同じで、アルコールを楽しく飲むことができている状態。しかし、徐々に「酔う」ために飲み始めます。それは、向き合いたくない現実やトラウマを忘れることができるからです。</p><p>やがて、アルコールを摂取せずにはいられなくなります。そして、さらに摂取し続けることで、生活や仕事、身体などに悪影響が出てきても、やめられない。これが、アルコール依存症という病です。</p><div id="tnf-text-notes-block_c433fff932965f5dc4f880b76e43fc0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※お酒の飲み方（飲む量、飲むタイミング、飲む状況）を自分でコントロールできなくなった状態。飲むのは良くないことだと理解していても、脳に異常が起きていて飲むことをやめられない</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00004.jpg"><p>――なぜそのようなことが起きてしまうのでしょうか。</p><p>大嶋：飲酒を続けていると、同じ量を飲んでも同じように酔うことができなくなったり、安らぎを得ることができなくなったりして、飲酒量が増えていきます。すると、アルコールが切れたときに、手の震えや喉の渇きといった離脱症状が現れてきます。</p><p>そして、離脱症状を不快に感じるため、また飲んでしまうわけです。人によっては、「記憶を失うような飲み方をしないでおこう」と思ったのに、「また似たようなことをしてしまった」という罪悪感もありますが、これは離脱症状の精神的な側面です。</p><p>――そんなふうに、依存症はどんどん進行していくのですね。</p><p>大嶋：はい。周りから見れば、なぜやめられないのか、なぜ何回も失敗を繰り返すのか理解できないと思いますが、本人は現実を忘れるためにお酒を飲んでいるわけですから、現実の問題を解決しない限り、なかなかやめることはできません。</p><p>またアルコールのように、身近にある物質に依存しかけている場合、「ここからが普通の飲酒で、ここからがアルコール依存症」というように切り分けることが難しいわけです。</p><p>本人に依存症の可能性を指摘したとしてもなかなか納得できず、治療につながりづらいのもこの病気の特徴だといえます。こういった点からも、とても身近で誰にでも起こりうる可能性があるのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00005.jpg">大嶋さんはアルコール依存の患者に「手の震えが始まると、もう戻れないよ」と伝えているという<p>――依存症になってしまう背景には、どのようなものがあるのでしょうか。</p><p>大嶋：人によってさまざまですが、「目を背けたいこと」があるのがほとんど。そしてその背景は、男性と女性で異なることが多いです。</p><p>男性の場合、「何かを成し遂げなければ」「責任を果たさなければ」というプレッシャーを、競争の激しい男性社会の中で強く感じている人が多いですね。</p><p>女性の場合は、いくつかの傾向があって、それらを類型として分類しています。</p><p>まず、性別役割分業（※）の中で、家事や子育てといったケアの役割を担いながらも、家族から十分な評価を得られずに葛藤を抱える「性役割葛藤型」。次に、幼少期からつらい環境の中にあって、親から十分な承認を得られなかったことで、他者からの承認を常に求めてしまう「他者承認希求型」。この類型は自傷行為が目立つ傾向にあります。</p><p>そして、キャリアも女性としての幸せも完璧に求め過ぎて疲れてしまったり、そもそも将来を描くのが困難な状況にあったりする「ライフモデル選択困難型」です。</p><div id="tnf-text-notes-block_fe1e3ac2ce90cbcdeae5b0ebae9843f6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※「男は仕事、女は家庭」といった、個人の能力とは関係なく、性別を理由として役割を分けること</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00007.jpg"><p>大嶋：他にも、LGBTQ+（※1）である自分を受け入れられない困難や、LGBTQ+である自分を周りがどのように見るかという葛藤を持った方。そして、性被害という「自分の存在そのものを全面的に否定されてしまった経験」のフラッシュバック（※2）をやり過ごすために、依存症になるケースもあります。</p><div id="tnf-text-notes-block_482d302e3163db67d5e3ae6295ae3350" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※1.レズビアン（女性同性愛者）、ゲイ（男性同性愛者）、バイセクシュアル（両性愛者）、トランスジェンダー（生まれた時に割り当てられた性別と性自認が一致しない人）、クエスチョニング（自分の性的指向や恋愛の指向、性自認について「模索中」または「決めたくない」といった状態の人）もしくは、クィア（性別の規範に沿わない人）の英語の頭文字に、それ以外のさまざまな性的少数者を示す、+を加えた言葉※2.過去の嫌な記憶が突然生々しく、意識的にではなく勝手に蘇ること。頭が真っ白になり、怒りや苦しみが込み上げてくるなどの症状に襲われる </div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00008.jpg">「性」に関する依存症の類型とアセスメント項目。依存症者への援助において、類型を意識することが大切だという。※この表は、支援者が支援にあたり確認・検討すべき点を示したものであり、類型特徴を示すものではありません。画像提供：大嶋栄子<p>――依存症と聞くと、「意志が弱い人」というイメージがありましたが、そうではないのですね。</p><p>大嶋：そういった偏見は強く、個人の意志の問題だと捉えている人が多いと感じます。ただ、依存症になる要因のほとんどは社会的な構造によって生み出されています。</p><p>例えば、家庭内でのケアの役割が女性側に一方的に押し付けられていることや、性別を理由にキャリアでの成功を望めなかったり、同じ仕事内容でも男性との賃金格差があったり、ジェンダーによる格差に悩む女性は多くいると思います。</p><p>こういった社会的な構造による困難が依存症を引き起こすことになるため、決して個人の問題ではないのです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_f003e42c1d77138b4a1c3b15ff9fb534" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">変わっていく依存症治療の考え方と教育</h2><p>――依存症の治療は、どのように行われるのでしょうか。</p><p>大嶋：依存症は、基本的に治療をすれば元の状態に戻るというものではありません。そのため、それ以上悪化させないことを目的に行われます。</p><p>例えば、依存の対象となる物質や行為とどう付き合っていくか、依存症の背景にある問題をどう解決していくかを学ぶことが、治療の中心になってきます。</p><p>アルコール依存の場合だと、「どうしてもお酒が必要だ」と思うときに、自分の内面に何が起きていて、どうすればお酒を飲まずに楽になることができるのか。そういったことを面接でお話していきます。</p><p>また、本人が飲まずに過ごしやすくなるよう、環境を整えるお手伝いをしたり、「お酒を飲まない方が楽に生きられる」ということを日々確認するために、自助グループにつながることも大切です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00003.jpg"><p>――「自助グループ」とは何を行う場所なのでしょうか。</p><p>大嶋：自助グループは、同じ悩みを抱える人同士が集まり、自分の痛みや経験、気持ちを語り合い、共感し、支え合う場所です。</p><p>ただ、男性は自分の痛みを開示して話すのが苦手な傾向にあります。なぜなら、痛みを見せることが「負け」とされる社会の中で生きてきた人が多いからです。そのため、社会で過ごすときは弱みを見せない「社会の中で生きる顔」、そして自助グループでは本音や痛みを話せる「自助グループの中で生きる顔」、その2つの顔を使い分けていくことになります。</p><p>――治療をしても元の状態に戻らないのであれば、そもそも依存を促すような物質に触れないように生きていくことが重要ではないかと思うのですが、いかがでしょうか。</p><p>大嶋：特に女性の場合は、暴力によるトラウマといった大きな心の傷を負っていることが多く、そうした心身の痛みを何かに依存することでやり過ごしてきた人も少なくありません。そのような場合、無理に使用をやめさせると最悪の事態も起きかねないのです。</p><p>ですから、「付き合い方を学ぶ」ことが重要だと考えています。</p><p>私は、ただ「ダメ。ゼッタイ」と伝えるだけではなくて、依存症とはどういう病気なのか、依存物質であるアルコールや処方薬にはどういう作用があるのかを正しく伝えていくことが、結果的には自分や大切な人を守ることにつながると考えています。</p><p>依存症を引き起こすアルコールや薬物はとても身近にあって、誰もが痛みを抱える現代ではいつ依存症になってもおかしくありません。</p><p>依存症を重症化させないためには、早期発見と早期介入が大切ですが、それを妨げているものこそが、薬物の危険性を伝えるときに使われる「ダメ。ゼッタイ」という教育だと思っています。</p><p>例えば、薬物依存症者の強烈な画像や様子を見せて、「絶対に依存物質に手を出してはいけない。手を出したら、人生が終わる」というようなメッセージを伝えることは、もし仮に使ってしまったときに誰かに相談しようという気持ちを阻んでしまうのです。</p><p>「私たちの社会にはこういった依存症になりうる物質や行為があります、お酒や処方薬に触れるときはより安全な使い方をしましょう」と伝えていくことが大切なのではないかと思います。</p><p>――大嶋さんが代表を務めるNPO法人リカバリーで、2019年から2024年まで行った札幌刑務所での女子依存症回復支援モデルについて教えてください。</p><p>大嶋：このプログラムは札幌刑務所に設置された<a href="https://www.moj.go.jp/content/001422558.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「女子依存症回復支援センター」（外部リンク/PDF）</a>で行われた事業です。</p><p>違法薬物を使用した受刑者の再犯率が非常に高いことから、参加者が薬物使用に至った背景に焦点を当てたプログラムを行うこと、そして出所後も薬物依存からの回復に必要な治療や支援を継続する大切さを本人に認識してもらうことを目的に行われました。</p><p>――プログラムの内容を教えてください。</p><p>大嶋：参加者たちは刑務作業の中心となる「いちご栽培」を半日行い、残りの半日を薬物依存症からの回復を目指すプログラムに取り組みます。</p><p>その一部をご紹介すると、依存症をジェンダーや家族関係の視点から学んだり、自分のトラウマやこれまでの生活について振り返ったりすることをします。そして自分の気持ちを作品やアートで表現する「手仕事＆アート」、身体の無意識の緊張を意識的にほぐすエクササイズ「ソマティクス」などを行います。</p><p>これらのプログラムが特徴的だったのは、出所後も支援団体とつながり、伴走支援を受けられること、プログラム参加者が全員、個室の寮で暮らしていることです。この寮は一般家庭と同じような環境を整備し、出所後の生活をイメージしやすい工夫がなされていました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00001.jpg">札幌刑務支所 女子依存症回復支援センターで 2019年から2024年頃まで実施されたプログラムの内容。引用：<a href="https://www.moj.go.jp/content/001422558.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">法務省「札幌刑務支所 女子依存症回復支援センター」（外部リンク/PDF）</a></div></div><p>――女子依存症回復支援モデルではどういった成果が得られましたか。</p><p>大嶋：モデル事業実施以降、私たちが関わっている出所者の方は15人くらいになると思いますが、最大の成果としてはプログラムの参加者たちが「これ以上放置しておくと、また刑務所に戻ることになってしまう」という時期や状態を自分で理解し、私たちに助けを求めてくれることです。</p><p>薬物に依存する人の多くは自分を恥じているため、人に援助を求めることがとても苦手です。連絡が来るときは本当に待ったなしの状態で、急いで飛行機で飛んでいくというようなこともありますが、助けを求められるようになることは依存症患者にとって大きな前進だと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/zyosiizonshou00006.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_72e8934169efc048eb2b13d467bad488" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">薬物依存症の女性の再犯防止や社会復帰を支えるために、みんなができること</h2><p>依存症者の回復に向けて、社会全体や周囲の人たちに何ができるのかについて、大嶋さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_3eae75f08b0c9d5223217e6ca3606ce1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］「ダメ。ゼッタイ」教育から脱却する</h3><p>依存症とはどういう病気なのか、依存物質になりうるアルコールや処方薬などの作用を正しく学び、正しい情報を得られるようにする。また、偏見によって当事者をおとしめないようにする</p><h3 id="tnf-text-heading-block_77272300b82322c69b7971f4aa5bd7a0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］身近な人が依存症かもしれないと思ったときに、相談できる場所を見つけておく</h3><p>依存症は誰でもなり得る病。身近な人が依存症かもしれないと感じたら、相談できる場所をあらかじめ見つけておく。相談できる場所は、各都道府県にある<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/kokoro_dial.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「こころの健康相談統一ダイヤル」（外部リンク）</a>や全国の自助グループなどがある</p><h3 id="tnf-text-heading-block_939af7de8ce9f68db0ff9a5e795be12a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］依存症支援団体や機関に対する支援を行う</h3><p>社会には依存症に対し根強い偏見があり、支援を行う団体や機関は多くないのが現状。そういった団体を財政的に応援するのも、私たちが取り組める行動の一つ</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>違法薬物による受刑者は再犯率が高いこと、また依存症に至る背景には性差があることに関心を持ち、大嶋さんに取材を申し込みました。</p><p>取材を通して、依存症に対するさまざまな誤解が解けたと同時に、依存症をなくしていくには、ジェンダーや社会構造による困難を減らせるように社会が変容し、依存症に関する教育にもアップデートが必要だと感じました。</p><p>撮影：佐藤潮</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_8e5344733933e56b70444c6186dd8de1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_42e34a3cdf5351cff45eda37c0f421a5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">大嶋栄子（おおしま・えいこ）</h3><p>NPO法人リカバリー代表、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所客員研究員。精神科ソーシャルワーカーを経て、2002年にさまざまな被害体験を背景に持つ女性の支援を行う団体「それいゆ」を立ち上げる。2004年、NPO法人リカバリーとして認証され、現在3つの事業を実施 。フェミニスト・ソーシャルワークについて実践と研究を行っており、著書には『その後の不自由』（共著/医学書院）、『生き延びるためのアディクション』（金剛出版）、『傷はそこにある』（日本評論社）など。なお最新刊である『傷はそこにある』は、2025年日本ソーシャルワーク学会・学術賞を受賞した。</p><p><a href="https://npo-recovery.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">NPO法人リカバリー 公式サイト（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第6回　契約トラブルが発生！ NPO法人はどうすべき？ 対処法を弁護士が解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115107/academy</link>
      <pubDate>Wed, 27 Aug 2025 22:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>執筆：阿部由羅</p><p>NPO法人でも一般企業と同様に、取引相手との間で契約トラブルが生じることがあり得ます。万が一契約トラブルが発生してしまったら、和解交渉や訴訟などを通じて適切な解決を目指しましょう。</p><p>本記事では、NPO法人における契約トラブルへの対処法を弁護士が解説します。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_3afe4b916e6637c6fe4ef9b22bec5fdd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人における契約トラブルのよくあるパターン</h2><p>NPO法人でも、一般企業と同様に契約トラブルが発生することがあります。特に次のような契約トラブルには、NPO法人が巻き込まれてしまうケースが多数見受けられます。</p>購入した物品が不良品だった業務委託報酬が支払われない相手方の契約違反によって損害が発生した入居している物件からの立ち退きを要求された<h3 id="tnf-text-heading-block_bfbd569525fea1a443d7e72a87e4bf68" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">購入した物品が不良品だった</h3><p>NPO法人の事業に必要な物品を購入したものの、最初から壊れていたり、事前に説明を受けていた機能を備えていなかったりするケースがあります。</p><p>このような場合には、NPO法人は売主に対して「契約不適合責任」を追及できます（民法562条以下）。</p><p>具体的には、物品の修補や損害賠償を請求可能です。売主が修補に応じない場合や、修補が不可能である場合には、代金の減額や売買契約の解除が認められることもあります。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_688f47b6b2db2b9e32404ed8f3fc24d8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">業務委託報酬が支払われない</h3><p>NPO法人が他の事業者から受託した業務を完了したのに、業務委託報酬の支払いが滞ってしまうケースも見受けられます。</p><p>業務委託報酬の未払いは「債務不履行」に当たります。NPO法人は委託者に対し、未払いとなっている業務委託報酬のほか、法定利率（＝年3パーセント）または約定利率（＝契約で定められた利率）による遅延損害金を請求可能です（民法415条1項、419条）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ad2fdf17f3e5ee5ca0180ea7a03f15e6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">相手方の契約違反によって損害が発生した</h3><p>契約の相手方が契約上の義務に違反した結果、NPO法人に損害が生じるケースもあります。</p><p>例：</p>NPO法人が主宰するイベントの出演予定者が、直前になって出演をキャンセルしたNPO法人の広報業務を委託している取引先が、不適切な内容の広報を行った結果、NPO法人の社会的評判が低下した　など<p>契約違反によってNPO法人が損害を被ったときは、相手方に対して損害賠償を請求することができます（民法415条1項）。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_7d77518ed380899416fd62a52145555a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">入居している物件からの立ち退きを要求された</h3><p>NPO法人が入居している物件の賃貸人から、突然立ち退きを要求されるケースも稀に見られます。</p><p>建物の賃借人の権利は借地借家法によって強力に保護されているので、原則として立ち退きに応じる必要はありません。</p><p>ただし正当の事由がある場合には、契約期間満了時における賃貸人による解約が認められることもあります（借地借家法28条）。また、定期建物賃貸借の場合は、期間満了によって退去しなければなりません（同法38条1項）。</p><p>いずれにしても、賃貸人の立ち退き要求へどのように対応すべきかについては、個別の検討を要します。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_6-1.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_2ddef80d78a1a3b9f224c7959cd6e0ca" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人における契約トラブルの解決手続き</h2><p>NPO法人が契約トラブルを解決するための主な手続きは、次のとおりです。</p>和解交渉民事調停訴訟<h3 id="tnf-text-heading-block_3c14461603e139b1cfe447f952bddb09" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">和解交渉</h3><p>まずは相手方との間で、契約トラブルの解決策を話し合いましょう。話し合いがまとまれば、早期かつ柔軟な条件でトラブルを解決することができます。</p><p>和解交渉で合意が得られたら、その内容を記載した合意書を締結することが大切です。合意書を作成しておけば、トラブル解決の内容が明確化され、後日における紛争再燃の防止につながります。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_a897c4fa9f5578a8554906e3aa54622d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">民事調停</h3><p>和解交渉がまとまらないときは、民事調停を利用することも選択肢の一つです。</p><p>民事調停は、簡易裁判所で行われる紛争解決手続きです。*1</p><p>中立である2名の調停委員が、当事者双方から公平に話を聞いた上で、歩み寄りを促すなどして解決をサポートします。民事調停では、当事者同士の和解交渉よりも、論点を整理した上での冷静な話し合いが期待できます。</p><p>ただし、民事調停はあくまでも話し合いの手続きで、合意できなければ不成立となります。相手方との間で主張内容が大きく異なる場合は、民事調停を経ずに訴訟を提起した方がよいかもしれません。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1e4a09dafbc503ffc0e37461fd836475" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">訴訟</h3><p>契約トラブルは、最終的には訴訟で解決することになります。</p><p>訴訟は、裁判所で行われる公開の紛争解決手続きです。*2</p><p>当事者双方が主張・立証を行い、裁判所が判決によって解決内容を示します。ただし、訴訟の途中で当事者間に和解が成立するケースもあります。</p><p>訴訟で勝訴判決が確定すれば、裁判所に強制執行を申し立てて、相手方の財産を強制的に差し押さえることができます。</p><p>訴訟は、長期化しやすいのが難点です。NPO法人の経営者や従業員だけで訴訟に対応するのは難しいので、通常は代理人弁護士と協力することになります。</p><p>ただし、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限り、1回の期日で審理が終わる「少額訴訟」の利用が可能です。*3</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_6-2.jpeg">場合によっては、法律の専門家に協力してもらうことも検討したい<h2 id="tnf-text-heading-block_6bcd7b6dfca1c1fed524eee36cbe5a43" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人が契約トラブルに対処する際に意識すべきポイント</h2><p>NPO法人が契約トラブルの解決を図る際には、次のポイントを意識して対応しましょう。</p>契約内容についてよく検討する解決内容について、目標（ゴール）を設定する手続きを適切に使い分ける<h3 id="tnf-text-heading-block_12b5019f27128a6a4316bd4e79cddc82" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">契約内容についてよく検討する</h3><p>契約トラブルの解決指針となるのは、何よりも契約に定められた内容（条項）です。</p><p>どのような請求を行うとしても、まずは契約内容に照らしてどのような処理が見込まれるのかをよく検討しましょう。そうすれば、NPO法人側の請求が認められるためには何を主張すべきなのか、どんな証拠が必要なのかなどが見えてきます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_112622df51fe22fd95b3f4e3b75c6e51" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">解決内容について、目標（ゴール）を設定する</h3><p>契約トラブルは、どちらか一方の完全勝利（完全敗北）という形で解決するとは限りません。早期にトラブルを解決する観点からは、中間的な条件で妥協することも有力な選択肢です。</p><p>NPO法人としては、契約トラブルの解決に向けて最低限譲れない条件や、優先順位の高い条件などの目標（ゴール）を設定しておくとよいでしょう。適切なゴールを設定しておけば、和解交渉などを行う際の指針となります。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cf86595ca1749774042c10b0473133b4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">手続きを適切に使い分ける</h3><p>契約トラブルをスムーズに解決するためには、手続きを適切に使い分けることも大切です。</p><p>相手方と建設的な話し合いができそうであれば、和解交渉や民事調停を行い、合意を目指すことが早期解決につながります。</p><p>これに対して、相手方との間で大きく主張が食い違っている場合は、話し合いによる解決は難しいでしょう。この場合は、時間の浪費を防ぐなどの観点から、速やかに訴訟を提起した方がよいと考えられます。</p><p>必要に応じて弁護士のアドバイスを受けつつ、紛争解決に向けてどのように手続きを進めるべきかをよく検討しましょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_74d2efe69a1adfc4eabc708bd305c2a5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人においても、事業に関して契約トラブルに巻き込まれるリスクは常に存在します。</p><p>契約内容に照らした解決の見通しや、手続きの進め方などを慎重に検討した上で、できる限り早期かつ適切な条件による紛争解決を目指しましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考文献］</p><p>*1.参考：<a href="https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_10/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">裁判所「民事調停手続」（外部リンク）</a></p><p>*2.参考：<a href="https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_05/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">裁判所「民事訴訟」（外部リンク）</a></p><p>*3.参考：<a href="https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_minzi/minzi_04_02_02/index.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">裁判所「少額訴訟」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_d9441071bb5d804f9054a13defcb66c2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/abe_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_4900b4e8d9a0827769a06ac4d5a8a983" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">阿部由羅（あべ・ゆら）</h3><p>ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。注力分野はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続など。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。<a href="https://abeyura.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ゆら総合法律事務所 公式サイト（外部リンク）</a><a href="https://x.com/abeyuralaw" target="_blank" rel="noreferrer noopener">阿部由羅 公式X（外部リンク）</a></p></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第6回　「ボスになるな リーダーになれ」。若手社員離職に対する豊田章男会長の答え</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115116/academy</link>
      <pubDate>Wed, 27 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：清水沙矢香</p><p>この連載ではリーダーシップの在り方、そのために欠かせない会話の形についてご紹介してきました。</p><p>次いで最終回として、自然界の話を交えてリーダーシップを捉え直したいと思います。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_99d325fa96f8568dcd43d34f05ecc98a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">若手の離職に悩まされたトヨタ</h2><p>トヨタ自動車での2020年春の2回目の労使交渉では、「若手の退職」と「技術部門の風土改革」が中心議題でした。それぞれの立場から意見が出ています。*1</p><p>組合側が口にした現場の現実は、このようなものでした（太字は筆者加筆）。</p><p>組合員が何かを変えようと上司に相談した際、（中略）「組合員の提案は分かるけれども、限られた時間でリスクもあるし、今はやめておこう」。そうした上司の反応では、その想いもいつしかくじけ、目の前の業務をひたすらこなすだけになるというのも、正直なところです。</p><p>これが繰り返されると、若手からは「何も変えられない自分と、周りをみても本気で変えようとする先輩、上司がほとんどおらず、（そうした職場に）染まりつつある自分にもがっかりする」という声も聞いており、一部の仲間はトヨタを退職しています。</p><p>これに対し友山茂樹（ともやま・しげき）副社長（当時）はこう発言しています。</p><p>職場のリーダーに求められることが、いつの間にか自分の職場の仕事や部下を決められたルールで管理することになってきてしまっていると思う。本来職場のリーダー（に求められること）はメンバーにダイナミックな「虹」を見せること、描くことだと思う。</p><p>そして豊田章男（とよだ・あきお）会長は、こう語りかけました。</p><p>皆さん、ボスとリーダーの違いをご存知でしょうか。イギリスの高級百貨店チェーンの創業者の方の言葉です。その内のいくつかをご紹介したいと思います。</p><p>ボスは私と言う。リーダーはわれわれと言う。ボスは失敗の責任をおわせる。リーダーは黙って失敗を処理する。ボスはやり方を胸に秘める。リーダーはやり方を教える。ボスは仕事を苦役に変える。リーダーは仕事をゲームに変える。ボスはやれと言う。リーダーはやろうと言う。</p><p>その上で、友山副社長が自分（豊田会長）のことを「ボス」と呼んでいること、ディディエ・ルロワ副社長（当時）はいつも「ボスを喜ばせるな」と書いた紙をポケットに入れており、実際にルロワ副社長は「私のいうことは聞きませんし、私のことはボスと言っております」と茶化しながら語りました。</p><p>「ボス」を喜ばせるとどうなるか。「失敗の責任をおわせ、仕事を苦役に変えるボス」が増長するのです。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_shimizu_6-1.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_7e1b5024ff3013f4d827e6f48402b90d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自然界にみる「ボス」と「リーダー」の違い</h2><p>京都大学の元総長でゴリラ研究の第一人者である山極寿一（やまぎわ・じゅいち）氏は、サルとゴリラの違いを通して人間の組織について語っています。</p><p>サルとゴリラ。動物園での景色を思い浮かべてみてください。様子は全く異なります。</p><p>サルはボスが猿山のてっぺんで胸を張っていますが、ゴリラは皆同じ地面でくつろいでいます。実際、両者の群れの社会構造は見た目通りです。</p><p>サルの社会では、劣位な個体は優位な個体の目の前ではものを食べることはありません。ものを食べているところを見られると、優位なサルに食べ物を取られてしまうからです。食べる時は分散して、違いに目が合わないようにします。サルの社会では、相手の目を見ることは威嚇を表すからです。</p><p>引用：山極寿一「サル化する人間社会」集英社インターナショナル  p128（太字は筆者加筆）</p><p>一方、ゴリラはこのような行動を取ります。</p><p>しかしゴリラはじっと見つめ合って、挨拶をします。視線を合わせることはゴリラにとっては大切なコミュニケーションです。食事をするときにも、ゴリラは互いの顔が確認できる距離で集まっています。（中略）</p><p>　子どものゴリラが、大人のゴリラに「それ、ちょうだい」とねだって、食べ物を分けてもらうこともあります。ゴリラには優劣の意識がないから、平和的に食事をすることができるのです。</p><p>サルは食べ物を分け合うことはありません。しかし、ゴリラは食べ物を分け合います。ゴリラが食べ物を分ける時は、相手の前にぽん、と置いてあげるのです。面白いですね。</p><p>引用：山極寿一「サル化する人間社会」集英社インターナショナル  p128-129（太字は筆者加筆）</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_shimizu_6-2.jpeg">ゴリラの社会では、立場の優劣はあまりない<p>サル社会のトップが「ボス」だとすれば、ゴリラの場合は「リーダー」です。「上の存在と目が合う」ことが、ボスとリーダーではこんなにも違うのです。</p><p>しかし山極氏によれば、人間社会は「サル化」しつつあるといいます。その理由をこう説明しています。</p><p>今は自分の幅を広げていくということが人間社会でなくなってきているのではないかと思います。その原因は、人間が自然と段々付き合わなくなって、自分でコントロール可能な機械や、機械のような人工物とばかり付き合うようになってしまったことだと思います。インターネットもその中の1つです。自分でコントロールできる、あるいはコントロールできないと止めればいい、潰してしまえばいい 、そういう世界になり過ぎたのではないかと思います。</p><p>引用：環境省「第16回 京都御苑ずきの御近所さん 京都大学総長 山極寿一様」p2 （太線は筆者加筆）</p><p>部下の内面、これは「コントロールできないもの」として向き合う必要があります。</p><p>サル社会のように絶対的ヒエラルキーの中で無理にでもコントロールすること。これはトヨタの労使交渉で友山副社長が語った「自分の職場の仕事や部下を決められたルールで管理すること」そのものであり、実際にトヨタで若手の離職という出来事に繋がったのです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_a5b5f9493b521ed5b869927f3a2531da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「十把一絡げ」と「思い込み」を排すること</h2><p>さて、この連載の執筆中に、筆者はある所で若い男性3人が話し込んでいる姿に遭遇しました。週末の夜のことです。</p><p>聞き耳を立ててしまって申し訳ないのですが、3人とも20歳くらいでしょうか。そのうちの2人が、「来週の仕事が楽しみか憂鬱か」という話をしていました。</p><p>ひとりは「憂鬱」、ひとりは「楽しみ」だというのです。理由はそれぞれ、</p><p>「きつく言われるのが嫌で、そうならないようにしていると気疲れするから憂鬱」</p><p>「いろんな所に行けるから楽しみ」</p><p>というものです。そして「憂鬱」という本音は、ここでしか話せないということでした。</p><p>もちろん、甘やかせば良いというものではありません。しかし理解しようという努力をリーダーがしなければ「今の若者は打たれ弱くて困る」といくらつぶやいても、響かない相手にどう厳しく接しても、話は先には進みません。「憂鬱」を溜め込ませ、どんどん距離が離れていくだけです。</p><p>「きつく言われるのが嫌」というのは、誰だって当然のことではないでしょうか？</p><p>ただ、以前は、なぜきつく言われるのかを理解しやすかったことでしょう。先行きを読めない今とは違い、目指すものが単純明快だったからです。あるいは、それに報いるだけの報酬や福利厚生があったから耐えられていたということもあるでしょう。</p><p>なお、冒頭にご紹介したトヨタの労使交渉では、菅原郁郎（すがわら・いくろう）取締役がこう述べています（太字は筆者加筆）。*1</p><p>上司の自分に対する評価に恐怖感を持つ、もしくは怯えを感じている組織に未来はなくて、閉塞感しかない。</p><p>そしてトヨタがそこに陥っている原因のひとつは2つ、「十把一絡げ」と「思い込み」だといいます。</p><p>1つは「十把一絡げ」で人を捉える風土がトヨタにはないかと。やはり人は、一人ひとりその人に応じて、働き方なり、育成の仕方（がある）というのが、本来あるべきところ。しかし、そこの手を抜き始めているのが今のトヨタにはあるのではないかと思います。</p><p>2点目は、幹部職も組合員の若手もそうですが、「若手は劣っているもの」、「教育されるべきもの」という思い込みがあると思うんです。僕は、変化の時代にそれは違うと思います。むしろ、「老い」、「衰え」、「感度の低さ」、「世間とのずれ」こそが最大の敵であって、これに侵されていないのは誰ですかという問題。</p><p>「十把一絡げ」と「思い込み」を排し、部下についての分からないことを自分の物差しで「相手がどれだけ間違っている」と考えるのではありません。</p><p>物差しの長さは人によって違って当然です。</p><p>自分と違うものに遭遇したとき、「常識」の定義を見直すことです。そして思い込みのない純粋な興味で接することはリーダー自身の知見と器量を広げ、自身の人間としての成長にも繋がるはずです。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考文献］</p><p>*1.参考：<a href="https://toyotatimes.jp/toyota_news/roushi_2020/054.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">トヨタイムズ「ボスになるな リーダーになれ トヨタ春交渉2020 第2回」（外部リンク）</a></p><p>*2.参考：山極寿一「サル化する人間社会」集英社インターナショナル</p><p>*3.参考：<a href="https://www.env.go.jp/garden/kyotogyoen/1_intro/16__yamagiwasama.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">環境省「第16回 京都御苑ずきの御近所さん 京都大学総長 山極寿一様」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_f1a592f36e1e0700eedf7df47654385c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_59df1d26c78721b77be744c1a40499c1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">清水沙矢香（しみず・さやか）</h3><p>京都大学理学部で生物学を専攻し、学部卒業後2002年にTBSに入社。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種産業やマーケットなどを担当。その後人材開発にも携わりフリーライターとして独立。国内外での幅広い取材経験と各種統計の分析をもとに多くのWebメディアや経済誌に寄稿。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/introduction"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>第6回　アンラーニングはなぜ必要なのか。成長につながる「学びほぐし」とは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115125/academy</link>
      <pubDate>Wed, 27 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：横内美保子</p><p>印象的なエピソードがあります。哲学者の鶴見俊輔（つるみ・しゅんすけ）さんがアメリカ留学中に、偶然、ヘレン・ケラーに会ったときのこと。「ハーバード大学の3年生です」と言うと、ヘレン・ケラーはこんな言葉を返したというのです。</p><p>私はその隣のラドクリフという大学でとてもたくさんのことを学びました。でも、そのたくさんのことをunlearnしなければなりませんでした（I have learned many things. But later, I had to unlearn.）</p><p>鶴見さんにとって‘unlearn’という言葉を初めて知った瞬間でした。彼はこの言葉を「学びほぐす」と訳しています。</p><p>その後、鶴見さんはヘレンケラーのunlearnを「良寛（りょうかん）に似ている」と思ったと、回想しています。良寛は卓越した教養を身につけていた人でしたが、その良寛もunlearnしていたというのです。*1</p><p>影響があるはずがないのに、賢者と呼ばれるこの2人が同じことをしている……。</p><p>最近、アンラーニング（unlearning）という言葉を耳にするようになってきました。アンラーニングとはどのような行為なのでしょうか。また、その意義はどこにあるのでしょうか。</p><p>実践方法も含め、ビジネスの側面からみていきましょう。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_83cc3aed506ae55fc58c61a6ea5955f9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アンラーニングとはどのような行為か</h2><p>「アンラーニング」の定義にはさまざまなものがあります。まず、「アンラーニング」がどのようなことを指すのかみていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_ab7931120b0fcdaade2de993d474bb57" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">定義は？</h3><p>厚生労働省が企業経営者や人事労務担当者向けに行ったセミナーの基調講演で、企業内キャリア形成の専門家である高橋浩（たかはし・ひろし）氏は、アンラーニングを以下のように定義しています。*2</p><p>持てる知識・スキルのレパートリーのうち有効でなくなったものを捨て、代わりに新しい知識・スキルを取り込むこと</p><p>また、32の文献を対象にアンラーニングの概念を分析した研究「“アンラーニング”の概念分析」（以下、「概念分析」）では、以下のような定義を提示しています。*3</p><p>時代や環境の変化により有用性を失った知識や技術、価値観、ルーティンを棄却して新しいものを獲得する連続的プロセス</p><p>同研究では、「アンラーニングとはどのような行動であるか」という観点から、「棄却」「忘却」「獲得」「変更」「余地の創出（古いものを排除して新しいもののために余地を作るプロセス）」が抽出されたということです。</p><p>アンラーニングのポイントは、「意識的にこれまでの知識・スキルを見直し、《捨てる》こと」だという指摘もあります。*4</p><p>このことに関して、組織論・心理学の研究者である松尾睦（まつお・まこと）氏は、以下のように述べています。</p><p>「捨てる」という言葉に抵抗を感じる人がいるかもしれません。《捨てる》というより《使うのをやめる》ということです。それまで使っていたスキルやノウハウの一部が使えなくなったり、有効性が低下してしまったりしたので、もっと有効なものを取り入れて、入れ替える、アップデートする、それがアンラーニングです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2d742d771c3979f8de4274bf88207d46" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">誰が何をアンラーニングするのか</h3><p>「概念分析」では、誰がアンラーニングするのかという「アンラーニングの主体」として、個人、チーム、組織の3つを抽出しています。*3</p><p>また、それぞれの主体によるアンラーニングの内容として、次のことを示しています。</p><p>表1：アンラーニングの主体とその内容</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_6_1.png"><p>同研究では、アンラーニングの対象として、「知識」「ルーティン」「価値観」「パラダイム」「世界観」が抽出されたということです。</p><p>松尾氏は、アンラーニングには次のような2つのレベルがあると述べています。*4</p>表層的アンラーニング：周辺的なスキルやテクニックのみを入れ替えるもの中核的アンラーニング：基盤となる仕事の型やアプローチを変えるもの<p>図1：アンラーニングのレベル</p><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_6_2-1.png">引用：パーソル総合研究所『組織成長に生かすアンラーニング　これまでの知識・スキルを捨て、入れ替える』（『HITO　2022.9 vol.18』）p.7</div><h2 id="tnf-text-heading-block_656cda74234cb10a851510f0ef221a7f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アンラーニングの意義と効果</h2><p>では、「アンラーニング」が必要なのはなぜでしょうか。また、そうすることによってどのような効果があるのでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_896d321473bd25385294675005fa6107" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">環境や技術の変化に対応する</h3><p>私たちは変化が多く、不確実性の高い時代を生きています。*4</p><p>コロナ禍でDX（デジタル・トランスフォーメーション）が一気に進み、脱炭素社会実現を目指すGX（グリーン・トランスフォーメーション）も世界のトレンドとなっています。</p><p>このような大きな変革時には、ビジネス環境の変化にともなって、必要とされる職種や技術が必然的に更新されます。</p><p>パーソル総合研究所シンクタンク部門が行った「リスキリングとアンラーニングについての定量調査　調査結果」（以下、「調査結果」）でも、アンラーニングのきっかけとして「コロナ禍などビジネス環境の変化」を挙げた人が23.2パーセントともっとも高い割合を占めていました。*5</p><p>さらに日本では、少子高齢化、人口減少が進み、労働力不足が深刻化するとともに、「人生100年時代」にあって、労働者の就労期間も長期化しつつあります。*4</p><p>組織は、これまでの終身雇用型で培ってきた制度やマネジメントのし方、働き方が今後も有効なのか見直していくことが大切だと前掲の高橋氏は述べています。*2</p><p>変化する環境に適応する上で、顧客の変化、競争相手の変化、社会の変化に応じて、有効性を失った知識・スキルを棄却し、新たな知識・スキルに入れ替えるアンラーニングが、組織にとって欠かせない学習であると指摘したのは、ボー・ヘドバーグという研究者でした。*4</p><p>学問の世界では、まずは組織レベルのアンラーニングが研究の対象となり、個人レベルのアンラーニングの研究が始まったのは2000年代に入ってからです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_706bb4da1ba1e0c131531249a23f857d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分の「型」から脱却する自分の「型」から脱却する</h3><p>人は、「経験する⇒振り返る⇒教訓を引き出す⇒応用する」というサイクルを経ることで経験から学びます。</p><p>ところが、強烈な成功体験をすると、成長がそこで止まってしまうことがある。それはプロフェッショナルほど陥りがちな傾向だと、松尾氏は指摘しています。*4</p><p>なぜなら、自分の成功した「型」に固執してしまうからです。</p><p>松尾氏は営業パーソンだったことがありますが、あまり売ることができなかったといいます。そこで、「売れる人はなぜ売れるのか」を知りたくなり、トップセールスを何人もインタビューしました。</p><p>すると彼らが売り方を少しずつ変えていることがわかりました。好調に売れているときほど、自分の売り方の継続性について微妙な違和感を察知し、ときにはお客さんに「なぜ買ってくれたんですか」と尋ねていました。そうやって、自分の売り方が固定化しないようにしていたのです。</p><p>図2：成功体験後の3パターン</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_6_3.png"><h2 id="tnf-text-heading-block_d273f3833024ff798f33ea17285cf5b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アンラーニングの実践方法</h2><p>では、アンラーニングはどのようにして行えばいいのでしょうか。前掲の高橋氏と松尾氏の考えをみていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_78706cb66646cc0315f4e841174ae7fb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まずは内省して取捨選択する</h3><p>高橋氏は、まず内省することが大切だと述べています。時代に合わない、成長を拒んでいるものは何か、自分たちが当たり前だと思っていること、大前提にあるものは何か……、それらに気づくことが重要だという指摘です。*2</p><p>2つ目は内省を踏まえ、学ぶものを取捨選択することです。そして、本当に役に立つものは残し、役に立たないものは捨てます。その際、個人ではなく職場単位で選択し、検討していくことを高橋氏は推奨しています。</p><p>3つ目は学びの場で取捨選択したものや新しく学ぼうとしているものを、実際に実践できる場を組織が作っていくことです。アンラーニングをして共に学んでいく場を組織が作り、個人と組織の協働によって学ぶことが不可欠であると高橋氏は述べています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_b7435188ad73df3d8792af4d7052a79b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自分に合ったロールモデルを探し「実験」する</h3><p>松尾氏の考えはどうでしょうか。松尾氏は、ロールモデルから学ぶのがスタンダードなやり方だと指摘しています。</p><p>その際、自分と個性も強みもまったく違う先輩を真似しようとしても成果は上がりません。「この人のやっていることなら真似ができそう」と思えるメンターのようなロールモデルを探すのが、大切なポイントです。</p><p>もしそういう人が同じ職場にいなければ別の部署でもいいし、取引先でもいい。または、歴史上の人物や本の著者などを想定して、「あの人ならどうするか」と考えながら自分で試してみるのでもいいのです。</p><p>ただし、切り替えた当初は一時的にパフォーマンスが落ちることもあると、松尾氏は指摘しています。新しい型を導入して成果が出るまで数カ月から半年かかる場合もあります。それを我慢できるかどうか、です。</p><p>また、「実験」をしつつ、少しずつ切り替えていくという方法もあります。基本業務は既存の型を残す一方で、パフォーマンスが落ちても大きな影響が出ない業務は新しい型を取り入れてみる。それがうまく回り始めたら基本業務も新しい型に切り替えていくというやり方です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9e909d0b17d657cbba8925e16b6e0180" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">アンラーニングの促進要素と抑制要素</h2><p>前掲の「概念分析」では、調査結果として、アンラーニングが生じる先行要件を3つ抽出しています。外的要件である「環境の変化」と、内的要件の「責任範囲の拡大」「問題への直面」です。*3</p><p>これは、「調査結果」によって明らかになった、アンラーニングの促進要素と重なります。*5</p><p>「調査結果」では、アンラーニングを促進するのは、個々人の「限界認知経験」であることがわかりました。</p><p>「限界認知」とは、それまでの仕事のやり方を続けても成果や影響力発揮につながらないという、自身の限界についての認知を指します。「今のままでは成果を出せない」というハードルを感じる機会がアンラーニングを促進するのです。</p><p>逆に、現在の人事評価が高い場合にはアンラーニングを抑制してしまう傾向があります。</p><p>一方で、より組織的要因として、業務に変化を起こすことをコストとして捉える「変化抑制意識」がアンラーニングの障害になることが示されました。</p><p>変化抑制意識の実態を見ると、就業者全体の36.4パーセントが「今の組織で仕事のやり方を変えることは大変」、32.3パーセントが「自分だけが仕事のやり方を変えてもしょうがない」と思うことがあると回答しています。</p><p>「調査結果」は、こうした意識を「発生させない」、あるいは「コストを超える見返りを与える」施策が必要だと提言しています。</p><p>図3：アンラーニング促進の方向性</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_6_4.png">引用：パーソル総合研究所シンクタンク本部「リスキリングとアンラーニングについての定量調査 調査結果」p.34<h2 id="tnf-text-heading-block_69d65e15d8a0a8bcf8cc4ac919b054f8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">おわりに</h2><p>アンラーニングは、既存の知識や思考パターンを意識的に手放し、新しい視点や価値観を受け入れ、アップデートするプロセスです。現在のように変化が激しい時代にあっては、過去の成功体験や固定観念が障壁となることが多いため、アンラーニングの重要性が増しています。</p><p>その対象は、知識、ルーティンから、価値観、パラダイム、世界観……と幅広く、それらを見直し取捨選択することは、柔軟な発想や変化への対応力を養うことにつながります。</p><p>アンラーニングの実践は、学びをより深化させ、個人にも組織にも成長をもたらし、課題解決のための力となるでしょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考文献］</p><p>*1.参考：鶴見俊輔『鶴見俊輔　いつも新しい思想家』（2008）河出書房新社　pp.19-20</p><p>*2.参考：<a href="https://www.mhlw.go.jp/career-award/report/seminar_2022.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">厚生労働省「イベントレポート　グッドキャリア企業アワード2022企業向けセミナー（大阪）を開催しました！」（外部リンク）</a></p><p>*3.参考：<a href="https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/104110/S13448846-23-1-P001-YAM.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">山口多恵・酒井郁子・黒河内仙奈「アンラーニングの概念」（『千葉看会誌』VOL.23No.1 2017.8）p.3, 4, 8（外部リンク/PDF）</a></p><p>*4.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/hitovol18.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所『組織成長に生かすアンラーニング　これまでの知識・スキルを捨て、入れ替える』（『HITO　2022.9 vol.18』）p.2, 6-8（外部リンク/PDF）</a></p><p>*5.参考：<a href="https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/assets/unlearning.pdf" target="_blank" rel="noreferrer noopener">パーソル総合研究所シンクタンク本部「リスキリングとアンラーニングについての定量調査　調査結果」p.5, 7, 10, 34（外部リンク/PDF）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_0d2770897a3d79b5d90f996222a51ea8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading"> 〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/yokouchi_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_9fde234587a071a6035f05f293c98cfb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">横内美保子（よこうち・みほこ）</h3><p>博士（文学）。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。<a href="https://x.com/mibogon" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式X （外部リンク）</a><a href="https://www.facebook.com/mihoko.yokouchi1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式Facebook（外部リンク）</a></p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>虐待や性被害——つらい体験をした子どもは「優しい聞き取り」と「専門のケア」が必要。子どもの被害者支援に必要なこととは？</title>
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      <pubDate>Tue, 26 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>この記事のポイント</p><ul><li>子どもが受ける虐待や性被害は、本人の心だけでなく対人関係や健康などにも深刻な影響を及ぼす</li><li>複数の機関での繰り返しの聞き取りによって、子どもはより深い傷を負うことがある</li><li>子どもへの聞き取り、診察、ケアを一つの場所で行えるセンターの拡充が重要</li></ul><p>取材：日本財団ジャーナル</p><p>近年、児童虐待の相談件数は増加傾向にあり、こども家庭庁の資料によると、2023年度中に児童相談所が対応したのは22万5,509件。前年度に比べ、 1万666件増加しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00002.png"><p>また、盗撮や不同意わいせつなど、子どもの性被害の報道をよく目にするようになったと感じる人も多いのではないでしょうか。子どもの性被害は事件化に至らないことも多いため、報道されているのは氷山の一角だともいわれています。</p><div id="tnf-text-notes-block_a1b1413f49b81a298acb9de0f062c100" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/110555/sexual_crime" target="_blank" rel="noopener">日本の子どもの性被害、1日推定1,000件以上。被害の実態と性教育の重要さ（別タブで開く）</a></div><p>たとえ被害が発覚して児童相談所や警察につながったとしても、被害を受けた子どもは、心身に傷を負った状態で複数の大人に繰り返し被害状況を説明しなければならず、強いストレスを負ってしまうことがあります。</p><p>こうした状況を防ぐ取り組みとして注目されているのが、子どもへの聞き取り、診察、ケアをワンストップで行う「チルドレンズアドボカシーセンター（以下、CAC）」です。</p><p>神奈川県の<a href="https://tsunagg.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人 子ども支援センター つなっぐ（以下、つなっぐ）（外部リンク）</a>は、日本ではまだ少ないCACの1つ。子どもに負担の少ない方法で、被害状況の聞き取りを目指す「司法面接」や、性被害が疑われる子どもに特化した診察の方法「系統的全身診察※」、そして被害からの回復や心のケアを支える支援を行っています。</p><p>そんな、つなっぐの代表理事で医師の田上幸治（たのうえ・こうじ）さん、同じく代表理事で弁護士の飛田桂（ひだ・けい）さんに、虐待や性被害が子どもに及ぼす影響や、現在の支援が抱える課題とともに、つなっぐの活動内容について伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_335765847e67673369dfa67ac6089596" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※性被害が疑われる子どもに特化し、子どもに配慮しながら全身を診察する方法</div><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00008.jpg">取材にリモートで参加した田上さん</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00003.png"></div></div><h2 id="tnf-text-heading-block_e1748879c5b44aaa59039862a35d398e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">性被害の多くは、児童相談所や警察が把握できず見過ごされる</h2><p>――子どもへの虐待が増えているのはなぜでしょうか。</p><p>田上さん（以下、敬称略）：児童虐待は「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト（育児放棄）」「心理的虐待」に分類されます。このうちの「心理的虐待」に、子どもの見ている前で夫婦げんかをしたり、親が家族に暴力をふるったりする「面前DV」が、近年、含まれるようになりました。つまり、かつては虐待とされなかったことがカウントされるようになり、認知件数が増えたと推測されます。</p><p>ただ、子育て家庭の孤立、子どもの貧困など、子どもを取り巻く環境が複雑化し、深刻な虐待が増えているのも事実です。</p><p>飛田さん（以下、敬称略）：児童虐待のうち、性的虐待については、実際に起こっている数は把握されている数よりも遥かに多いと考えられています。これは、性被害について話しづらい空気があることや、子どもが被害を自覚したり訴えたりするのが難しいことと深く関わっています。</p><p>また、つなっぐが行った「子どもの性被害への対応に関する実態調査※」では、関東圏を中心とする児童相談所および弁護士会1カ所から、計138件の事例について回答が寄せられました。その中で、被害児童の性別は女子が圧倒的に多く、加害者は、実父、養父や継父、家族の交際相手など（異性である）身近な大人であることが多いことが分かりました。</p><p>こうした家庭内での被害は把握されにくい上、周りの大人が事実を受け止めきれないといった理由から、公にならないことが多々あります。</p><div id="tnf-text-notes-block_9d2d036cc87e1c1f8b06485e311d56b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://drive.google.com/file/d/1XvZocv0paEgeZo83hULgBZjRGqDzvBKO/view" target="_blank" rel="noopener">特例認定NPO法人 子ども支援センターつなっぐ「2024年3月子どもの性被害への対応に関する実態調査報告書」（外部リンク/PDF）</a></div><p>――虐待や性被害は、子どもにどのような影響を及ぼすのでしょうか。</p><p>飛田：心に深い傷を負わせるだけでなく、行動面、認知面、対人関係や学業、身体的健康などにも深刻な影響を及ぼします。</p><p>例えば、不登校になる、眠れない、食べられない、また解離症状（意識や記憶などに関する感覚をまとめる能力が一時的に失われる状態）が表れる、などが典型的なパターンです。</p><p>田上：子どもの頃の虐待や性被害といった体験は、生涯にわたって精神疾患の発症リスク、自殺や自傷、依存症を起こすリスク、さらには生活習慣病にかかるリスクを高めるともいわれています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00004.jpg">飛田さんは、つなっぐの代表理事として多くの子どもの支援に関わってきた<h2 id="tnf-text-heading-block_b5980ff00a0134f7499371588e21374d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「男の子は性被害に遭わない」という偏見が被害者を追い詰める</h2><p>――虐待や性被害が発覚したあと、被害者はどんな支援を受けますか。</p><p>飛田：児童相談所や警察につながり、調査や医療機関での治療や検査を受けます。必要と判断された場合には、児童相談所で一時保護され、家庭に戻らず児童養護施設に入所したり、里親家庭で育てられたりすることもあります。</p><p>ただし、被害を受けていても、児童相談所や警察につながれない子どもたちもたくさんいます。実際には、緊急避難所として機能する民間の女性向けシェルターを頼る子も多いですね。</p><p>――被害者が男の子の場合はどうなるのでしょうか。</p><p>飛田：女性向けシェルターには入れないため、行き場所がなければ貧困層向けのシェルターに入ることもあります。近年は女子用、男子用に分かれた子ども向けシェルターも少しずつ増えてきていますが、男の子が避難できる場所はまだ少ないですね。</p><p>――「性被害に遭うのは女の子」というイメージがありますが、実際はそうではないんですね。</p><p>飛田：「男の子は性被害に遭わない」という偏見が社会に根強くあるため、本人が被害を自覚しにくく、自覚しても誰にも言えないことが多いんです。また、加害者が同性の場合は、うまく丸め込まれて「相手のせいではない」と思い込んでしまうこともあるんです。</p><p>性被害経験のある男性が自殺を図るリスクは、そうでない人と比べて大幅に上昇するという研究結果（※）もあります。男の子の性被害も決して見過ごせない問題です。</p><div id="tnf-text-notes-block_21b28765413fd880d62aa5140c636005" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://www.cfa.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/68589242-6480-4511-8709-51b87c5e12d3/5a000763/20230401_councils_kodomokanren-jujisha_68589242_11.pdf" target="_blank" rel="noopener">上智大学総合人間科学部心理学科 齋藤 梓准教授「児童に対する性暴力」（外部リンク/PDF）</a></div><h2 id="tnf-text-heading-block_f8695c2b1407a3cf3f8c04234a638202" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">調査や捜査、診察で「二次被害」を負う子どもは多い</h2><p>――児童相談所や警察などにつながった子どもは、どんな調査を受けますか。</p><p>飛田：児童相談所／警察／検察、医療機関などが、被害についての詳細な聞き取りをそれぞれに行います。しかし、複数の機関に何度も足を運び、苦しい体験について繰り返し話すため、子どもには大変な負担がかかります。調査の過程で、心に再び傷を負う「二次被害」が生じることもあります。</p><p>被害について話すときは、頭の中でもう一度現場に戻って、被害に遭っている状況を再体験することになるんです。トラウマになるような体験なのに、何度も再体験するのは当然つらいですよね。なかには、心身の調子を崩して外出できなくなる子や、入院が必要になる子もいます。</p><p>また、子どもは大人のように正確に話すことが難しいので、聞き手の質問の仕方が不適切な場合や、何度も同じ話をさせられた場合は、曖昧なことを言ってしまう可能性が高くなります。その結果、話したことが証拠としては不十分と見なされることも多々あるため、そのような子どもは「つらい思いをして頑張って話したのに、何もいいことがなかった」と絶望してしまいがちです。</p><p>田上：証拠保全のために医療機関で診察を受けることがありますが、特に性被害のケースでは、「二次被害」が生じることもあります。</p><p>そうした事態を防ぐために、子どもの負担を最小限にしながら被害の証拠を保全できる「系統的全身診察」という方法があります。</p><p>これは性被害を疑われる子どもに特化した診察で、まずは挨拶や雑談を通して信頼関係を築き、リラックスした状態で診察を始めます。全身のパーツを一つ一つ丁寧に診ていき、自然な流れで外陰部を診察する。決して無理強いはせず、子どもの場合は内診も行いません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00007.jpg"><p>田上：ところが、警察が証拠保全のために、専門知識のない産婦人科医に診察を依頼してしまうことがあります。すると、「分娩台にいきなり乗せられて、治療器具の挿入を伴う内診をされる」といった、子どもにとって非常にショックなことが起こり、心に深い傷を負ったり、解離症状を起こしたりすることがあるんです。</p><p>性被害を受けた子どもに特化した診察方法や関わり方があることは、医療の世界でもまだまだ知られていない印象です。もっと認知が広がってほしいですね。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00011.jpg">田上さんが制作に関わった、子ども向けの診察案内。次のサイトよりダウンロードできる。引用：<a href="https://kcmc.kanagawa-pho.jp/support" target="_blank" rel="noreferrer noopener">神奈川県立こども医療センター「パンフレット（性虐待・性被害をうけたこどもたちへ）」（外部リンク）</a><h2 id="tnf-text-heading-block_bfba8c289a4baffd7c8670631de57fb4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">CACがあれば、被害に遭った子どもの負担を最小限にできる</h2><p>――被害後の調査で生じる「二次被害」を防ぐ方法はありますか。</p><p>飛田：「CAC」を全国につくることが重要です。CACは、児童相談所や行政、警察、裁判所、弁護士、医療機関、教育施設などの専門家がチームとなって、被害を受けた子どもを支援するセンターです。</p><p>さまざまな支援が一カ所で完結するので、複数の機関に何度も出向く必要がなく、子どもの負担が減る上に、先ほどお話しした「系統的全身診察」や、子どもに負担の少ない聞き取りを目指す「司法面接」などの専門的な支援を受けることができます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00009.jpg"><p>――司法面接とはなんですか。</p><p>飛田：被害に遭ったときの状況を子どもが自由に話せるよう、専門的な手法を使って行う聞き取りです。従来の事情聴取とは全く異なり、安心できる雰囲気をつくること、暗示や誘導をしないことに重きを置いています。その結果、子どもの負担を減らし、正確な情報をより多く引き出すことができるんです。</p><p>司法面接の実施は最小限の回数のみ。面接の様子は必ず撮影し、同時に隣室からも見られるので、さまざまな機関に共有できます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00001.jpg">クラウドファンディングで資金を集め、つくられた「つなっぐ」の司法面接室<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00002.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_192ebce149664f85842c832498693243" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">被害直後から中長期にわたって多角的にサポート</h2><p>――「つなっぐ」の伴走支援について、詳しく教えてください。</p><p>飛田：簡単に言えば「子どものなんでも屋さん」ですね。心のケア、居場所づくり、通院サポート、食糧支援、外出同行、通学や受験のサポートなど、一人一人に合わせた柔軟な支援を行っています。一人の子どもを、数年にわたって継続支援することもあります。</p><p>家庭内で虐待や性被害を受けていた子の場合は、一番深く関わっていた大人が尋常ではない環境をつくっていたわけです。初めて虐待を受けていたことを自覚し、自分の家庭が普通ではないことを認識したとき、多くの子は「自分自身の存在やそんな環境に居た自分の言動は、おかしいのではないか」と思って自分自身を信じられなくなったり、社会が怖くなったりしてしまいます。</p><p>その結果、今まで当たり前にしていたこともできなくなってしまうことがあります。そのときに、大人としてしっかりと向き合い、一つ一つの課題について相談できる専門家につなぐのが私たちの役割です。</p><p>また、被害に遭った子どもが健康に楽しく生きられるようになるよう、関わり方には十分注意しています。子どもが抱えるトラウマをあえて深掘りせず、自分で対処する方法を一緒に考えるという関わり方も支援の一つです。</p><p>――トラウマを深掘りしないのはなぜですか。</p><p>飛田：全てを解明すれば現状が良くなるか、トラウマの原因を徹底的に避ければ幸せに生きられるかというと、必ずしもそうではないからです。</p><p>例えば、ある子どもが「茂みの中からオオカミが出てきて、噛まれて痛い」という経験をするとします。その子は、その後茂みを見るたびに怖くなり、その瞬間、噛まれているわけではないのに、痛みがよみがえってしまう。もちろん、感じている怖さや痛みは否定できません。</p><p>でも「茂みには二度と近づかない」となればどこにも行けなくなるし、「噛まれたときのことを細かく思い出して怖さを克服する」となれば余計に傷つく可能性があります。</p><p>それよりも、「どうして茂みが怖いのか、なぜ痛いと感じるのか」というメカニズムを共に学ぶことで、「茂みに行っても怖くない、もう痛くない」という体験を一緒に積み重ねていきたいんです。</p><p>被害後によみがえる怖さや痛みを、「本物」にしていくのではなく、外の世界に出ていくことでそれらが徐々に薄れていくのを一緒に体感することが大切だと思っています。</p><p>ちなみに、性被害に遭った子どもには「あえて自分から茂みに何度も行く」という特有の行動も見られます。こういった「性化行動※」との向き合い方も、支援においては重要なポイントです。</p><div id="tnf-text-notes-block_a9007981d044c7d27e60fb1f723a2b4e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※性的虐待を受けた子どもに見られる行動の一例。年齢にそぐわない性的言動や、自分や他者の性的な体の部位に強い関心を示すなどが含まれる</div><p>――「性化行動」には、例えばどのようなものがありますか。</p><p>飛田：自分に起きたことが何かを知るために、主体的に被害を再現するような行動に出たり、幼い子だと、出産動画を繰り返し観たりもします。</p><p>ただ、「性化行動」を簡単に止めることはできません。繰り返すうちに「自分は汚い人間だ」と思い始めて自己肯定感が下がったり、そこでできた人間関係や生活習慣がさらにその子を苦しめる原因になったりすることもあります。</p><p>そこで私たちは、「性化行動」が出始めた段階で本人と一緒にメカニズムを勉強します。再現してしまうこと自体を否定したり、悪い行動だと言ったりはしません。そして「性化行動は当然起きることだから大丈夫」「でも、あなたが危ない目に遭うのは悲しいから、少しずつやめていこう」「もし危ない場所に行ったら迎えに行くよ」と伝えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/tunaggu00005.jpg">支援した子どもが、「就職した」「子どもが産まれた」と報告に来てくれることもあると話す飛田さん<h2 id="tnf-text-heading-block_1b63f8d6cfde4d1a809cd2ff326a5894" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「子どもには子ども専門の支援が必要」と知ってほしい</h2><p>――虐待や性被害を受けた子どもへの支援は、今後どのように発展していくべきですか。</p><p>田上：被害を受けた後、できるだけ早い段階で心身の回復をサポートする体制づくりが必要です。心身のダメージを放っておくと、精神疾患や依存症などを発症する可能性が高くなり、その後の人生に大きな影響が及んでしまいます。</p><p>飛田：しかし日本では、「被害者が大人の場合と子どもの場合では、必要な対応が全く異なる」という事実があまり知られていません。</p><p>まずは、子どもには子どものための場所や、専門的な支援が必要だということを知ってもらいたいです。</p><p>かつては、国際的にも「将来的に、精神疾患や依存症などを発症した際に対応する」という体制が多く、初期段階の対応は手薄でした。けれど今は、「そうなる前に予防する」ことに比重を置かれるようになってきています。</p><p>私は、日本も間もなくそうなると信じています。子どもたちのために一緒に戦ってくれる、心ある人たちに立ち上がってほしいです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_74a0456d25a1aa33ad2317042f4d80db" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">虐待や性被害を受けている子どもたちのために、周りの大人一人一人ができること</h2><p>虐待や性被害を受けている子どもたちのために、周囲の大人に何ができるのかについて、飛田さんと田上さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_9b581032aecaab8dc35adde655fd3419" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］子どもの「大人から守られる権利」を尊重する</h3><p>虐待や性被害は「子どもの問題」ではなく、虐待を行う加害者や、加害を見過ごす大人の問題。身近な子どもの様子に異変がみられるときは、信頼できる機関に相談する</p><p>相談できる機関の例：児童相談所／弁護士／警察／性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターなど</p><h3 id="tnf-text-heading-block_006f6e8d848af5d5cafbba4010eb9629" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］虐待や性被害についての正しい知識を得る</h3><p>被害を受けている子どもを守ろうと行動しても、誤った知識をもって働きかけた場合、状況をさらに悪くしたり、本人を傷つけたりする可能性がある。正しい関わり方を学ぶことが大切</p><h3 id="tnf-text-heading-block_cb4c7bbdb83aae0d2e647342eb1253c3" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］アクションを起こす</h3><p>被害を受けた子どもが自分自身を傷つけるような行動をしているときは、その行動を否定せず、危ない場所から離れるよう背中を押し、安全な場所につなぐようにする</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>「虐待や性被害を受けた子どもは、被害発覚後どのような対応を受けているのか」という疑問から今回の取材に至りました。</p><p>被害の聞き取りの過程で「二次被害」を負うことがある、CACの数が圧倒的に不足しているといった厳しい現実も見えてきましたが、「つなっぐ」のような機関があると知って希望を持てました。今後、日本版CACが拡大していくことに期待したいと思います。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://tsunagg.org/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">認定NPO法人 子ども支援センター つなっぐ（外部リンク）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第5回　NPO法人のコンプライアンス。守るべきルールや強化ポイントなど弁護士が解説</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115077/academy</link>
      <pubDate>Mon, 25 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：阿部由羅</p><p>NPO法人の活動が社会的に意義あるものとして評価されるためには、コンプライアンスを徹底することが欠かせません。法令だけでなく、ガイドラインや社内規程、社会常識などを遵守して活動することが重要です。</p><p>本記事では、NPO法人におけるコンプライアンスについて弁護士が解説します。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_25e82077cbb85cc3568d51ad1714d16e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">そもそもコンプライアンスとは</h2><p>「コンプライアンス」とは、法令をはじめとする社会規範を遵守することを意味します。</p><p>NPO法人は社会貢献活動を目的としているため、その活動は品位を保って行うことが求められます。社会規範に反する不適切な活動を行っていると、一般市民からの支持が得られず、活動の継続は困難になってしまうでしょう。</p><p>NPO法人においては、コンプライアンスを徹底することが重要です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_5-1.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_76f740d606eee8f4ca4449c1c4e30e4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人が遵守すべきルール・社会規範の種類</h2><p>従来、コンプライアンスは「法令遵守」と訳されるのが一般的でした。現在でも法令は最も重要な社会規範の一つですが、近年では法令以外の社会規範もコンプライアンスの対象と理解されるようになっています。</p><p>NPO法人においては、次のような社会規範を遵守することが求められます。</p>法令契約社内規程官公庁のガイドライン社会常識<p>法令のように明確なルールだけでなく、社会常識のように抽象的な規範も、広い意味でのコンプライアンスの対象となります。</p><p>特にNPO法人のコンプライアンスにおいては、その活動の意義に鑑み、「一般社会がどのような印象を持つか」という視点を意識するとよいでしょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c23077cb8698c72b1d89b6063fd81d7a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人において問題になりやすいコンプライアンス違反の例</h2><p>NPO法人においては、次のようなコンプライアンス違反が問題になることがあります。これらのコンプライアンス違反を防ぎ、品位を保った活動を行いましょう。</p>特定の個人・団体の利益を図る従業員に対して、労働法に反する取り扱いをする他人の知的財産権を侵害する補助金・助成金等を虚偽申請する<h3 id="tnf-text-heading-block_563201a0504e852c7f547109d105ea8e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">特定の個人・団体の利益を図る</h3><p>NPO法人（特定非営利活動法人）は、特定の個人または団体の利益を目的として事業を行うことが禁止されています（特定非営利活動促進法3条1項）。</p><p>また、NPO法人は「特定非営利活動」を行うことを主たる目的としています（同法2条2項）。特定非営利活動とは、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与することを目的とした一定の活動です。</p><p>特定非営利活動に係る事業に支障がない限り、その他の事業を行うことも認められていますが、その他の事業から得た利益は特定非営利活動に係る事業のために使用しなければなりません（同法5条1項）。</p><p>上記の規制により、NPO法人が特定の個人や団体の利益を図ることは違法とされています。あくまでも社会全体のために活動することを本旨として、理事・社員やその関連団体などの私腹を肥やすような活動は慎みましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_0c7901ac7f1e96f7965adc951fd16e34" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">従業員に対して、労働法に反する取り扱いをする</h3><p>NPO法人で働く従業員に対しても、一般企業の従業員と同様に、各種労働法の規制が適用されます。例えば、次のような行為は労働法違反に当たるので注意が必要です。</p>給料日を定めず、不定期に賃金を支払う法律や労使協定の上限を超える残業休憩時間を自由に利用させない休日を与えない残業代の未払い有給休暇の取得を認めない客観的に合理的な理由がなく、社会通念上不相当な懲戒処分や解雇をする　など<h3 id="tnf-text-heading-block_bb0a2489dafe8cd7c7bc26f1f1f639ed" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">他人の知的財産権を侵害する</h3><p>NPO法人が製作する製品やコンテンツなどについては、他人の知的財産権を侵害しないように注意しなければなりません。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_abe_5-2.png">主な知的財産権の概要<p>他人の知的財産権を侵害すると、権利者から差止請求や損害賠償請求を受ける恐れがあるほか、刑事罰が科されることもあり得るので十分ご注意ください。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fd77aeb0dbbda29730e8d4d19cb88cc5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">補助金・助成金等を虚偽申請する</h3><p>NPO法人の事業をサポートするため、政府はさまざまな補助金や助成金などを設けています。*1</p><p>補助金や助成金は積極的に利用すべきですが、虚偽の申請を行うと詐欺罪（刑法246条1項）などに該当し、刑事罰を科される恐れがあるので注意が必要です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_9950b1fa96d1e067f1cb78b7d67b8406" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">NPO法人におけるコンプライアンスの強化策</h2><p>NPO法人におけるコンプライアンスを強化するための方法としては、次の例が挙げられます。</p>コンプライアンス規程の策定・公表コンプライアンス研修の実施ダブルチェック体制の整備内部通報制度の導入<h3 id="tnf-text-heading-block_1eab5959c9a7d678a165c0affdcee56c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">コンプライアンス規程の策定・公表</h3><p>NPO法人としてコンプライアンス規程を策定・公表すれば、役員や従業員のコンプライアンス意識の向上につながります。</p><p>各NPO法人のウェブサイトで公表されているコンプライアンス規程の内容を参考にしつつ、事業の実態に合わせたコンプライアンス規程を策定しましょう。例えば「NPO コンプライアンス」とインターネット上で検索すると、さまざまなNPO法人のコンプライアンス規程がヒットします。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_645ea5670883baacad385fb91283eba7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">コンプライアンス研修の実施</h3><p>役員や従業員のコンプライアンス意識を高めるためには、定期的にコンプライアンス研修を行うことが効果的です。半年から1年に1回程度の研修を実施すると、コンプライアンス違反のリスクを大幅に低減できるでしょう。</p><p>コンプライアンス研修の実施方法としては、弁護士などの専門家に講師を依頼する方法や、eラーニングを活用する方法などが挙げられます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_96043b64f2b3f201ff5c73a521ee81e4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">ダブルチェック体制の整備</h3><p>NPO法人の事業活動を、役員や従業員が単独の判断で進めてしまうと、コンプライアンス違反を見落とすリスクが高くなってしまいます。</p><p>コンプライアンス違反の見落としを防ぐためには、ダブルチェック体制を整備することが効果的です。特に、新たに始める活動やサービスなどについては、必ず複数の担当者がコンプライアンスチェックを行いましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e8844f631a54c338fb651b09df8dfc07" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">内部通報制度の導入</h3><p>NPO法人内での不正行為を早期に発見するためには、内部通報制度の導入を検討しましょう。</p><p>内部通報制度は、組織内における違法行為につき、内部者による通報を受け付ける制度です。通報者は解雇その他の不利益な取り扱いを受けないなど、法律上の保護を受けられます。*1</p><p>内部通報制度は、「公益通報者保護法」という法律に従って整備する必要があります。社内に内部通報窓口を設置するか、または外部の弁護士などに通報受付を依頼するのが一般的です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_ab38d2e49667d8ae98e6668f724777b6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">まとめ</h2><p>NPO法人の活動について広く社会的な理解を得るためには、コンプライアンスを徹底することが欠かせません。</p><p>コンプライアンス規程の策定・公表、研修の実施、ダブルチェック体制の整備、内部通報制度の導入などを通じて、NPO法人におけるコンプライアンスの強化を図りましょう。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>[参考文献]</p><p>*1.参考：<a href="https://www.npo-homepage.go.jp/policy-portal/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">内閣府NPOホームページ「NPO施策ポータルサイト」（外部リンク）</a></p><p>*2.参考：<a href="https://www.gov-online.go.jp/article/202402/entry-5717.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">政府広報オンライン「組織の不正をストップ！従業員と企業を守る「内部通報制度」を活用しよう」（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_25dc1a99fcce176bb842924a7b7f1530" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/abe_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_2bfe8f2a255d0837214f20ea584dd0b5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">阿部由羅（あべ・ゆら）</h3><p>ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。注力分野はベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続など。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆・監修も多数手がけている。<a href="https://abeyura.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ゆら総合法律事務所 公式サイト（外部リンク）</a><a href="https://x.com/abeyuralaw" target="_blank" rel="noreferrer noopener">阿部由羅 公式X（外部リンク）</a></p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>第5回　先頭に立つことが役割ではない。「リーダーシップ3.0」について知ろう</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115085/academy</link>
      <pubDate>Mon, 25 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：清水沙矢香</p><p>「どうして今の若者は自分たちとこうも違うのか」</p><p>答えは非常にシンプルです。</p><p>そもそも生まれ育った時代が違い、そして現在彼ら・彼女らを取り巻く環境やテクノロジーが、上司層が若手だった頃と大きく違うからです。</p><p>今企業で若手とされる年齢の社員たちは、子どもの頃からパソコンやインターネットが当たり前に存在し、大量の情報に触れて、いわゆる「多様性」の中で育っています。</p><p>また、多感な時期に社会の不安定さを感じさせる出来事に遭遇し続けています。</p><p>ビジネスを取り巻く環境も変化しました。よってリーダーシップの形もまた変化する必要があります。</p><p>今回は、近年注目されている「羊飼い型リーダーシップ」「リーダーシップ3.0」をご紹介します。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_14c340547c7bb2855c4908b9e476bc42" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">2000年代生まれの世界</h2><p>過去の話をするとき「ああ、もうあの出来事からこんなに時間が経ったのか」と感じることは多々あります。昭和生まれの筆者からすれば「2000年代生まれがもう社会人なのか！」とたびたび驚いたものです。</p><p>2000年代＝平成の後期を遡れば……</p><p>2001年　米同時多発テロ2002年　日朝首脳会談で北朝鮮が拉致を認める2006年　新語・流行語大賞で「格差社会」がトップ10入り2008年　リーマン・ショック2011年　東日本大震災2015年　「イスラム国」が日本人2人殺害の映像公開2019年　元号が「令和」に</p><p>など、挙げればキリがないのですが、これらは彼ら・彼女らが「子どもの時に」経験している出来事です。大人とはまた違う捉え方をしていることでしょう。</p><p>そう考えれば、上司世代と全く異なる価値観が芽生えて当然です。</p><p>そしてビジネスを取り巻く環境も激変しています。外部環境の不安定さもありますが、テクノロジー面ではSNSの普及が消費者心理を移ろいやすいものにした要因のひとつでしょう。</p><p>時代が変われば、当然リーダーシップの姿も変わらなければなりません。</p><p>そこでご紹介するのが「リーダーシップ3.0」です。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_58db7f4222606eafb5d095281443c2b1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リーダーシップの変遷</h2><p>南アフリカの大統領であったネルソン・マンデラ氏はかつて、優れたリーダーを「羊飼い」に例えました。</p><p>「羊飼いは群れの後ろにいて、賢い羊を先頭に行かせる。あとの羊たちはそれについていくが、全体の動きに目を配っているのは、後ろにいる羊飼いなのだ」*1</p><p>この「羊飼い型」は近年注目される「リーダーシップ3.0」の一例でもあります。*2</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_shimizu_5-1.jpeg"><h3 id="tnf-text-heading-block_eed213d96922936192200be0fc3912dc" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「リーダーシップ1.0」と「リーダーシップ2.0」</h3><p>リーダーシップ3.0とは何なのか。</p><p>それを知るために、まず、これまでのリーダーシップの変遷を見ていきましょう。</p><p>「3.0」というからには、その前の「1.0」「2.0」が存在します。マッキンゼー・アンド・カンパニーの経営コンサルティングや、アップルコンピュータの人事総務本部長などを経た慶應義塾大学大学院理工学研究科の小杉俊哉（こすぎ・としや）特任教授（2022年退任）によれば、それぞれ次のようなものです。*3</p>リーダーシップ1.0＝強大な権力を背景に従えた、権威によるリーダーシップリーダーシップ2.0＝変革者によるリーダーシップ<p>いずれも、リーダーに強いカリスマ性を求めるものです。リーダーシップ2.0で言えば、スティーブ・ジョブズのような人物です。</p><p>しかし、ジョブズのようなカリスマ性は誰にでもあるわけではありません。さらに今は、リーダーや経営者ですら常に「正しい方向」や「正解」を見つけ続けられる時代ではなくなっています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_523f7c424fc1df1b2fc569ef03ea04c8" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「リーダーシップ3.0」へ</h3><p>さまざまな専門分野において突出した才能を集めれば、1人の天才をも凌ぐことができる——。</p><p>この考え方をハーバード・ビジネス・スクールのリンダ・ヒル教授は、「集合天才（コレクティブ・ジーニアス）」と呼んでいます。*1</p><p>この「集合天才」こそ、現代に求められています。そのためにも、前出の小杉特任教授は、これからのリーダーはメンバーひとりひとりと向き合って、その人の力を引き出す「支援型」へ変化しなければならないと指摘しています。*3</p><p>それが「リーダーシップ3.0」の姿です。</p><p>先頭に立ってメンバーを率いるのではなく、むしろ羊飼いのように羊の群れを後ろから見守り、羊たちが「自ら」小屋に帰る姿を見守るのです。支援型のリーダーシップで自律を促し、個々の能力を引き出すことで組織を強化するという必要性があるのです。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_80fc9ba7222f93f3c381d54437f19993" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リーダーシップ3.0の実践事例</h2><p>では、実際にリーダーシップ3.0での成功事例をご紹介します。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_130a15c21822280c42547e6acf3b6588" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">人材評価を100パーセント顧客に任せる〜資生堂</h3><p>まず資生堂です。*4</p><p>資生堂は数千人のビューティー・コンサルタント（以下、BC）を抱えています。百貨店などの化粧品売り場で働く契約社員です。</p><p>しかしある時、部門の売上げが落ち、しかも「資生堂にいくと高い商品を売りつけられる」という噂まで広がりました。原因はBCの評価基準が「その期の戦略商品をどれだけ売ったか」というものだったからです。</p><p>そこで前田新造（まえだ・しんぞう）会長（当時）は大胆な手法を取ります。BCの評価を100パーセント顧客に任せるというものです。しかも、顧客に評価アンケートのハガキを渡し、投函してもらうという古典的なやり方です。</p><p>するとBCたちは自律的に顧客満足度を高める方法を模索し、中には薬局でも買える化粧水を勧めるBCや、ヘチマコロンのような他社製品を勧めるBCもいたといいます。</p><p>場合によっては他社製品も勧めてくれる。その親身さが再び顧客を取り戻しました。「顧客第一」という企業理念にも一致する形になりました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e2d780f865cf6235221cb91b5173e87d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">情報共有の徹底で自律的行動を促す〜サウスウエスト航空</h3><p>続いてアメリカの格安航空会社（LCC）、サウスウエスト航空です。*5</p><p>ありのままの自分を好きなように自由に表現して、その個性をいかしてユニークな会社をつくろう、というのが創業時からの精神で、自発的になんでもやる、だから仕事のやり方はすべて任せる、という方針を取っています。</p><p>荷物の積み下ろしにトラブルがあればパイロットが腕まくりをして積み下ろしを手伝うといいます。</p><p>そして、経営情報をひとりひとりの社員に徹底的に共有させています。</p><p>情報が多いほど社員は努力する、との考え方です。</p><p>自ら考える力を養うことでもあるでしょう。かつ、どんな事態が発生しても従業員が賢明な判断をし、正しい選択をしてくれると信じている、というメッセージを折に触れて流すのだといいます。特にこうした自己肯定感を高めるメッセージは、今の日本社会で必要とされるものだと筆者は考えます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_shimizu_5-2.jpeg"><h2 id="tnf-text-heading-block_4fd3a06a60d3f8b0ed1235bcd02407b6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リーダーの役割を分解してみる</h2><p>ひとりひとりと向き合う。そのためには、リーダーにある程度の余裕が必要です。</p><p>オーストラリアの大手通信会社であるテルストラは、マネージャー職を2分割し、それぞれ別の人物を充てています。*6</p><p>人材を把握する「リーダー・オブ・ピープル」と業務を把握する「リーダー・オブ・ワーク」で、それぞれ別の基準で社員を評価します。</p><p>この手法によって社員にとっては「相談に乗ってくれるリーダーが2人いる」状態になったことで大好評を得ているといいます。</p><p>考えてみれば従来のマネジメントは、ひとりのリーダーがこの2つを同時に背負っています。リーダー層にとっても大きな負担であり、ひとりひとりと向き合う、と言ってもそのような余裕がない、となっていることでしょう。</p><p>テルストラの手法は大いに参考になります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_840b0fa3f57e65728204ffd52279dda7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">眠れる金脈を掘り起こせるか</h2><p>今の若手を一括りに「ゆとり世代」と揶揄する人は多くいます。</p><p>しかしこれは国としての当時の教育方針の結果であり、必ずしも本人たちに責任があるわけではありません。本来持っているはずのポテンシャルを引き出せるかどうかは、リーダー次第という時代です。</p><p>いわゆる「多様性」を逆手に取り組織を成長させる。</p><p>そのためにはひとつの方向性に縛り付けるのではなく、まずは後ろから洞察することから始める必要があります。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>［参考文献］</p><p>*1.参考：<a href="https://dhbr.diamond.jp/articles/-/1919" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ハーバード・ビジネス・レビュー「リーダーは背後から指揮をとり、「集合天才」を活用せよ」（外部リンク）</a></p><p>*2.参考：<a href="https://www.adeccogroup.jp/power-of-work/160" target="_blank" rel="noreferrer noopener">アデココーポレートサイト「「自律性」と「関係性」がVUCA時代のリーダーシップのカギ」（外部リンク）</a></p><p>*3.参考：<a href="https://dhbr.diamond.jp/articles/-/5973" target="_blank" rel="noreferrer noopener">ハーバード・ビジネス・レビュー「自らのリーダーシップの原体験はどこにあるか　自分をさらけ出して得られるオーセンティック・リーダーシップ」（外部リンク）</a></p><p>*4.参考：小杉俊哉「リーダーシップ 3.0－カリスマから支援者へ」祥伝社 p146-148</p><p>*5.参考：小杉俊哉「リーダーシップ 3.0－カリスマから支援者へ」祥伝社 p142-p144</p><p>*6.参考：「ハーバード・ビジネス・レビュー」2022年5月号 p32-33</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_5017e33d7cec68ec0b4a9d8936a3eac6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_f3543a06dde7c24a1a1c241bac74eecb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">清水沙矢香（しみず・さやか）</h3><p>京都大学理学部で生物学を専攻し、学部卒業後2002年にTBSに入社。社会部記者として事件・事故、テクノロジー、経済部記者として各種産業やマーケットなどを担当。その後人材開発にも携わりフリーライターとして独立。国内外での幅広い取材経験と各種統計の分析をもとに多くのWebメディアや経済誌に寄稿。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/who/introduction"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a><p></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <title>第5回　心理的安全性を確立するために押さえておきたい。リーダーのためのツールキットとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/115093/academy</link>
      <pubDate>Mon, 25 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>執筆：横内美保子</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114267/academy" target="_blank" rel="noreferrer noopener">前回（別タブで開く）</a>は、心理的安全性とはどのようなものか、また、なぜ心理的安全性が重要なのかについて考えました。</p><p>心理的安全性とは、みんなが気兼ねなく意見を述べることができ、自分らしくいられる文化です。心理的安全性が高い職場では、メンバーが積極的に提案や質問ができ、失敗からの学びを共有しやすくなり、それが個人と組織の成長につながります。</p><p>では、心理的安全性を確立するためにはどうしたらいいのでしょうか。</p><p>その際に役立つのが、リーダーのためのツールキットです。このツールキットは、心理的安全性を初めて提唱したエイミー・C・エドモンドソン博士がフレームワーク（問題解決のための枠組み）としてまとめたものです。</p><p>それは、どのような内容なのでしょうか。</p><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_b9d1bd6d8ad741b7f1cbffdb0dcbf48b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リーダーのためのフレームワーク</h2><p>エイミー・C・エドモンドソン博士（以下、「博士」）は、心理的安全性を確立したいと望むリーダーにとって有益なフレームワークを提供しています。*1</p><p>そこには、さまざまな調査と、世界中の組織を研究しコンサルティングしてきた博士自身の長年の経験が生かされています。</p><p>表1：心理的安全性を確立するためのリーダーのフレームワーク</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_5_1.png"><p>これから、上の表1に示してある「土台をつくる」「参加を求める」「生産的に対応する」のカテゴリーごとに、いくつかのポイントを取り上げ、より詳しくみていきましょう。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_6780f53b9c913a0e326e73147055b562" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">土台をつくるために</h2><p>まず、土台をつくるためのポイントはどのようなものでしょうか。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_33398cf365f45520a93402c05d60b882" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">失敗をリフレーミングする</h3><p>失敗や、失敗を報告することを恐れるのは、職場の心理的安全性が低いことを示す最大のサインです。*1</p><p>心理的安全性の土台をつくるためには、リーダーが失敗をリフレーミング（枠組みを捉え直すこと）し、失敗にどのような意味をもたせるかが大変、重要です。もしリーダーが明確に、また積極的に、従業員が安心して失敗できるようにしなければ、従業員は失敗を避けるようになるでしょう。</p><p>失敗からは重要なデータを得ることができます。ただし、失敗から学ぶためには、失敗からの学びを注意深く精査しなければなりません。そして、そのためには心理的安全性が必要なのです。そのことをリーダーはまず理解し、従業員にしっかり伝えなければなりません。</p><p>博士は、レストランのオンライン予約サービス事業で成功をおさめているある企業のCEOを例に挙げています。彼女は、ニューヨークタイムズのインタビューで、次のように述べています。*2</p><p>彼女がCEOになったとき驚いたのは、従業員がCEOに見せるからといって物事を完璧にするために膨大な時間を浪費していたことでした。そこで、彼女は従業員に次のように言ったというのです。</p><p>早く、頻繁に、ひどい失敗をみせて。完璧である必要はない。そうすれば、もっともっと早く軌道修正できるから。</p><p>そのCEOは、「早く頻繁に、ひどい失敗をすること」が、大成功につながる優れた決定をするための重要な情報であると、フレーミングしているのです。*1</p><p>ただし、失敗は仕事内容によって果たす役割が異なるため、失敗のリフレーミングは、次のような基本的な分類を理解することから始まると博士は指摘しています（表2）。</p><p>表2：失敗の典型例の定義と状況</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_5_2.png">出典：エイミー・C・エドモンドソン著・野津智子訳（2021）『恐れのない組織　「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版株式会社（電子書籍）p.216<p>また、失敗のなかには、望ましいものもあれば、感心しないものもあります。ただ、どのような失敗であっても、その失敗から学ぶことが、何より重要な目的であると博士は説いています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_fb75951fa37e1a3d88d6821dc82bef67" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">職場での上司と部下のあり方をリフレーミングする</h3><p>私たちは上司と部下をどのような関係性でみているのでしょうか。博士は、職場での上司と部下のあり方について、一般的なあり方とリフレーミングしたものとを次の表3のように示しています。</p><p>表3：上司の役割に関する枠組み</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_5_3.png"><p>表3の「一般的な枠組み」のように、上司が答えと、部下を評価する絶対的な権力ももっている職場では、部下は上司を恐れ、上司の指示どおりに行動する存在になりがちです。</p><p>一方、「リフレーミング後の枠組み」はどうでしょうか。リーダーの責任は、仕事の方向性を示すこと、有意義な考えを明らかにしてもらい方向性に磨きをかけてもらうこと、絶えず学んで秀逸な存在になってもらうための条件を整えることです。</p><p>現在、業務がスムーズに進んでいる組織では、たいていこうした考え方が取り入れられていると博士は指摘しています。</p><p>今は不安定で不確かで先の展開が読めない時代です。こうした時代にあって、優れたリーダーは、いつどのように進路を変えるべきかを把握するためには、絶え間ない学習によって自らの考え方を意識的にリフレーミングする必要があることを理解しています。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_53697049d047e04d59c9058601109b0d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">参加を求めるために</h2><p>次に、誰もが発言できるように、参加を求める方法について考えてみましょう。それには、率直に意見を言わずにはいられなくなる方法で参加を求めることが有益です。*1</p><h3 id="tnf-text-heading-block_34d7187fa61e2bf981ba6c79734cbaa4" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">リーダーが積極的に自分の弱さや欠点をみせる</h3><p>自分は何でも知っていると思っていそうな上司に対しては、誰も対人関係のリスクを取ってまで自分の考えを話そうとは思わないものです。</p><p>ロンドン・ビジネススクールのダン・ケーブル教授は、リーダーが権限をもつと、成果や管理に過度に執着するようになり、従業員を手段として扱うようになることを明らかにしました。*3</p><p>こうしたリーダーのあり方は、目標を達成できない恐怖、ボーナスを失う恐怖、失敗する恐怖など、部下の恐怖心を煽り立てます。その結果、部下はポジティブな感情を抱かなくなり、試みや学習への意欲が抑えられてしまうのです。</p><p>一方、謙虚さと好奇心を備え、学習するマインドセットをもつリーダーであれば、そうしたリスクは低減します。*1</p><p>私たちは現在、複雑で変化が多く、不確かな世界で仕事をしています。このような状況にあって謙虚なマインドセットをもつことは、大変現実的であると博士は指摘します。</p><p>それは、自分がすべての答えをもっているわけではなく、未来を見通すことはできないと、率直に認めることだからです。</p><p>謙虚であることは、自分の過ちや欠点を認めることでもあります。</p><p>経営の危機に瀕していたある大企業を立て直した高名な経営者は、「知らないと認めると、信用を失うどころか、逆に信頼を得ることになる」と述べています。その企業では、経営者がそうした姿勢を見せることで、社員が向上心をもち、専門知識を提供し、会社の業績回復プロセスに参加することができるようになりました。</p><p>気さくで話しやすく、自分が完璧ではなくミスをする人間であることを認識し、他者から積極的に意見を求めるリーダーは、組織に心理的安全性をつくり、高めていくことができる。それ自体が強力なツールであると、博士は述べています。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_d5f5acb5309f159d93c22e5e7e0b7721" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">発言を引き出す質問をする</h3><p>「質問したら無知あるいは無能に見えてしまうのではないか」という不安からリーダーが解放され、心から質問できるようになると、そのことによって心理的安全性が促進されます。一般の予測とは逆に、質問するリーダーは無能ではなく、思慮深く聡明に見えるのです。</p><p>リーダーのツールキットは、よい質問をするための鉄則も備えています。それは次のようなものです。</p>リーダー自身が答えを本当に知らないイエスかノーかの答えを求めるような質問はしない相手が集中して考えを話せるように尋ねる<p>博士は、状況をより深く理解したり選択肢を広げたりするために有益な質問は次のようなものだと述べています。</p><p>「私たちは何か見落としていないだろうか」</p><p>「ほかにどんなアイディアが考えられるだろう」</p><p>「誰か、見解の違う人は？」</p><p>また、理解を深めるための問いとして、次のようなものを提唱しています。</p><p>「なぜそのように考えるようになったのでしょうか」</p><p>「例をあげてくれませんか」</p><p>米国のケーブルテレビを創業した高名な経営者は、ミーティングである案について話し合っているとき、よくこう質問するということです。</p><p>「賛成できない人の意見は？」</p><p>このとき、もし「反対なんて誰もしていませんよ」という返事があったら、こう促します。</p><p>「別の見方は必ずどこかにある。反対意見を見つける必要があるんだ」</p><h2 id="tnf-text-heading-block_747ec6c3f6625f6ef7f5e2ee697e3f0f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">生産的に対応するために</h2><p>心理的に安全な風土を育てるためには、従業員が取るリスクに対して、リーダーが生産的に対応することが不可欠です。*1</p><p>この「生産的」という言葉が何を指すのかも含め、その対応がどのようなものかみていきましょう。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_1012b3a837e8c99854c4563324bf6869" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">感謝を表す</h3><p>率直に発言することは、最初の一歩にすぎない。部下が実際に率直に発言したときにリーダーがどう反応するかが重要な岐路だと博士は指摘します。</p><p>大切なのは、部下の発言する勇気に対して、まず感謝の言葉をかけることです。そうすることによって、部下はより発言することができるようになります。</p><p>また、結果がどうであっても、努力を称賛することは大変重要です。</p><p>特に環境が不安定で、原因と結果の関係性が単純ではない場合はなおさらです。不安定な状況にあっては、よいプロセスがよい結果につながるとは限らず、その逆に悪いプロセスが悪い結果につながるとも限りません。</p><p>そのような場合は、結果がどうであれ、従業員が払った努力に対して、敬意をもって対応することが必要です。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_4b6b515af6f8e99fbcc87c6482012340" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">失敗は恥ずかしいものではないとする</h3><p>率直な発言を促すためには、不確実な状況やイノベーションには失敗がつきものだということをはっきり示す必要があると、博士は指摘します。</p><p>失敗をネガティブなものとして対応すると、失敗に関する詳細を知らずじまいになるという重大な問題を招いてしまいます。それはリーダーがもっとも恐れるべき状況です。</p><p>次の表4は、失敗に関する従来の枠組みとリフレーミングした枠組みを示したものです。</p><p>表4：失敗を恥ずかしいものではないとするフレームワーク</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_5_4.png">引用：エイミー・C・エドモンドソン著・野津智子訳（2021）『恐れのない組織　「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版株式会社（電子書籍）p.239<p>ただし、失敗にはいくつかのタイプがあり、そのタイプによって、失敗に対する生産的な対応も異なります。</p><p>表5：失敗のタイプ別生産的な対応</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/column_yokouchi_5_5.png"><p>この表からもわかるように、生産的な対応は、その対応が将来にもたらす影響を重視するものです。有益な失敗に対する生産的な対応として、失敗を祝うパーティーを開くケースすらあります。</p><p>何よりも大切なのは、起こったことから組織がどのように学ぶことができるかを考えだすこと。組織のそうした価値観と実践を確実なものにするのは、次のようなメッセージです。</p><p>「間違ってもいいし、他人によく思われない意見をもっても構わない。ただし、生じた結果から積極的に学ぶことが条件だ」</p><h2 id="tnf-text-heading-block_c08349f66eb8c110cfe0af4ca889e90f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">おわりに</h2><p>心理的安全性は、個人にも組織にも学びと成長をもたらします。その心理的安全性をつくり高めるのは、リーダーの役割です。</p><p>失敗や職場での上司と部下の関係をリフレーミングし、有益な意味づけをする。誰もが自分の意見を率直に言えるような問いを投げかけ、発言した勇気に対して感謝と敬意を表す。</p><p>失敗は恥ずかしいものではないという文化を醸成し、失敗のパターンに応じて生産的な対応を心がける。</p><p>リーダーのためのツールキットを通して得られる気づきは、職場に豊かな変化をもたらすのではないでしょうか。</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>[参考文献]</p><p>*1.参考：エイミー・C・エドモンドソン著・野津智子訳（2021）『恐れのない組織　「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』英治出版株式会社（電子書籍）pp.209-210,212-216,219-221,224-231,234-235,237-238,240, 224-245</p><p>*2.参考：<a href="https://www.nytimes.com/2016/08/14/business/christa-quarles-of-opentable-the-advantage-of-early-often-ugly.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Bryant, A. “Christa Quarles of OpenTable: The Advantage of ‘Early, Often, Ugly.’ ” The New York Times. April 12, 2016.（外部リンク）</a></p><p>*3.参考：<a href="https://hbr.org/2018/04/how-humble-leadership-really-works" target="_blank" rel="noreferrer noopener">Cable, D. “How Humble Leadership Really Works.” Harvard Business Review. April 23, 2018.（外部リンク）</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_12396879b4d063e4cc365ff2d93ca4ff" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/05/yokouchi_profile.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_7c476d6a6d28a02c0ddc331844d87459" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">横内美保子（よこうち・みほこ）</h3><p>博士（文学）。総合政策学部などで准教授、教授を歴任。専門は日本語学、日本語教育。高等教育の他、文部科学省、外務省、厚生労働省などのプログラムに関わり、日本語教師育成、教材開発、リカレント教育、外国人就労支援、ボランティアのサポートなどに携わる。パラレルワーカーとして、ウェブライター、編集者、ディレクターとしても働いている。<a href="https://x.com/mibogon" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式X （外部リンク）</a><a href="https://www.facebook.com/mihoko.yokouchi1" target="_blank" rel="noreferrer noopener">横内美保子 公式Facebook（外部リンク）</a></p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"></div></div><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_ahttps://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/110768?from=npo_articlesrticles">連載【記事で学ぶ！NPOアカデミー】記事一覧</a></p><div class="wp-block-spacer"></div><a href="https://nippon-foundation.my.site.com/GrantPrograms/s/"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/03/gra_app_02.png"></a>    ]]>
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      <title>産経新聞「正論」</title>
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      <pubDate>Thu, 21 Aug 2025 12:32:48 +0000</pubDate>
      
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<p>激動する国際社会の中で日本の存在感が希薄になりつつある。平和国家として世界とどう向き合って行くべきか、思いを記す。</p>    ]]>
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      <title>子どもの権利を守る第三者機関「子どもオンブズマン」が目指す、子どもが声を上げやすい地域づくりとは？</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114810/bully</link>
      <pubDate>Thu, 21 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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        <![CDATA[
<p>この記事のポイント</p><ul><li>「子どもオンブズマン」は子どもの権利を守る第三者機関として注目されている</li><li>いじめ問題を「被害者 vs 加害者」の構図で捉えると解決が困難になる</li><li>心理、法律、福祉などの専門家が学校と連携することで、適切な解決への助けになる</li></ul><p></p><p>クラスメイトからの無視、SNSでの誹謗中傷、部活での孤立。不登校、PTSD（心的外傷後ストレス障害※）、自傷行為、自殺、そして学校による対応の遅れなど児童生徒間のいじめにまつわる問題は後を絶ちません。</p><div id="tnf-text-notes-block_a0ddbda00b7ec0a42c68dfb18fded3b2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※PTSDとは、命の危険を感じる出来事や、過度ないじめ、性的暴力に遭うなど、強いショックを受けた体験が原因で、心と体にさまざまな症状が現れ、日常生活に支障をきたす病気</div><p>全国の小中学校や高校などで2023年度に認知されたいじめは、過去最多となる73万件以上（※）。重大な被害があったと認定された「重大事態」も1,306件に上り、いじめが原因とみられる児童生徒の自殺も7件報告されています。</p><div id="tnf-text-notes-block_d5a886a5613e3ca82269bccd2a830b6b" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://www.mext.go.jp/content/20241031-mxt_jidou02-100002753_2_2.pdf" target="_blank" rel="noopener">文部科学省「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」（外部リンク/PDF）</a></div><p>こうした状況の中、子どもの権利を守る第三者機関として注目されているのが「子どもオンブズマン」です。現在、全国約30の自治体に設置され、行政から独立した立場で子どもたちの声に耳を傾け、調査や救済、意見表明などの活動を行っています。</p><p>今回は、<a href="https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kosodate/kosodatesite_ohirune/sodan/kodomosoudan/ombudsman.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「中野区子どもオンブズマン」（外部リンク）</a>のメンバーであり、教育臨床心理学の専門家である石川悦子（いしかわ・えつこ）さんに、いじめの現場の実情と根本的な解決に必要な視点についてお話を伺いました。</p><div id="tnf-text-notes-block_dc3421e2165450ac8e9b85ffdf1c11bd" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※本記事では、相談者のプライバシー保護のため、具体的な事例については複数のケースを組み合わせ、個人が特定されないよう配慮しています</div><h2 id="tnf-text-heading-block_1f312f9c246420a73688055ab773e9d5" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">子どもたちの権利を守るために働きかける公的な新機関</h2><p>——そもそも「子どもオンブズマン」とはどんな組織ですか。</p><p>石川さん（以下、敬称略）：「子どもオンブズマン」は、子どもの権利条例に基づいて、子どもの権利が守られているかを行政から独立した立場で調査や勧告をする権限を持つ、公的な第三者機関です。</p><p>具体的には子どもからの相談受付、いじめや虐待などの現場に対する第三者的な介入、教育機関や自治体への提言、子どもの権利に関する普及・啓発活動などを担っています。</p><p>その特徴は、客観的な立場から子どもたちの声を聞く独立機関である点。問題解決を行う代理人というよりも、子どもたちが所属する機関や人々から適切な対応が行われるよう、家庭や学校の先生、教育委員会などの関係者や関係機関に働きかける役割を担っています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00003.jpg"><p>——中野区（東京）では、いつから取り組みが始まったのでしょうか。</p><p>石川：中野区では、2023年の「こども基本法※」施行に先駆けて、2022年に<a href="https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kusei/kousou/seido/kodomokyoiku/kodomonokenri/jorei2.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「中野区子どもの権利に関する条例」（外部リンク）</a>を制定しました。条例を作る前に約1年かけて子どもたちに対し、「どういう居場所がほしいか」「何が必要か」など、丁寧な聞き取りやワークショップを行った上で制度を設計しています。</p><p>この条例に盛り込まれたのが「中野区子どもオンブズマン」です。子どもの意見や考え、思いを尊重しながら、子どもと一緒に問題を解決していくことを目的に、現在は3人の弁護士と公認心理師・臨床心理士の私の4人体制で活動しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_2619d75eaf73681f0d9661e8e2ff5913" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※日本国憲法および児童の権利に関する条約の精神にのっとり、全てのこどもが、将来にわたって幸福な生活を送ることができる社会の実現を目指し、こども政策を総合的に推進することを目的とした法律。こちらの記事も参考に：<a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/111383/social_good" target="_blank" rel="noopener">「こども基本法」って知ってる？ 「こどもまんなか社会」の実現を目指してぼくたち私たちに何ができるの？（別タブで開く）</a></div><div class="wp-block-image"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00010-1.jpg">「中野区子どもオンブズマン」での相談受け付けから解決への流れ。画像提供：中野区役所</div><p>——どのような方法で、子どもたちの声を聞いているのでしょうか。</p><p>石川：中野区立教育センター分室内に、<a href="https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kosodate/kosodatesite_ohirune/sodan/kodomosoudan/kodomosoudanshitsu.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">子ども相談室「ポカコロ」（外部リンク）</a>を開設し、中野区に住んでいる、または中野区の学校に通ったり、働いたりしている18歳未満の子どもの相談を受け付け、専門の相談員が対応に当たっています。対面以外の多様な相談方法も用意しており、例えばフリーダイヤルの電話相談、メール相談、無料で送れるお手紙用紙も配布しています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00005.jpg"><p>——子どもたちからはどういった相談が寄せられていますか。</p><p>石川：「学校に行きたくない」といった不登校に関わること、「友だちが口をきいてくれない」といった人間関係やいじめに関わること、また家庭内の暴力など、さまざまな相談が寄せられます。</p><p>ある事例では、小学生から「先生の怒鳴り声が怖い」というメール相談が複数寄せられました。子どもたちに会って話を聞き、「自分たちだけでは解決しないので、学校に伝えてほしい」という子どもの声を確認した上で校長先生に連絡しました。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00009.jpg">「ポカコロ」にある面談室の1室</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00010.jpg"></div></div><p>石川：結果として、その先生は教室で大声を出さなくなり、注意が必要なときは対象の児童を廊下に呼んで個別に話すようになったようで、相談した子どもたちからは、「先生が変わったから、もう大丈夫」という声が届きました。</p><p>このように、相談を受けると可能な限り迅速に動きます。お手紙にも返信先が明記されている場合はお返事を返しますし、必要に応じて学校や児童館まで会いに行くこともあります。一見小さな声だとしても、「ちゃんと動いてくれる大人がいる」という事実が、子どもたちの間に広まっていったらいいなと考えています。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00011.jpg">「ポカコロ」に来た時に記入する用紙と次回の予約カード<h2 id="tnf-text-heading-block_a9d436b19e8a9c5b5a7759314638fc9d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いじめ問題の複雑な実態——「加害者 vs 被害者」という見方を超えて</h2><p>——現在、いじめが深刻な社会問題になっています。いじめに関する相談の現状について教えてください。</p><p>石川：確かに「友だちに嫌なことをされている」というような、いじめに関する相談は多いですね。一方で、「あなたはいじめをしたよね」と学校側から聞かれて、「心の準備もなく戸惑ってしまった」という相談も届きます。</p><p>明らかないじめのケースもありますが、受け止め方の違い、成長の過程で起こる関係性の変化、発達や障害などの問題が背景にあるケースも見られます。</p><p>そこに保護者の方たちの複雑な思いや要望が加わることで、問題がさらに多層的になっていくパターンもあるように感じています。いじめ問題は一般的に「加害者 vs 被害者」というシンプルな構図で捉えられがちですが、現実はもっと複雑な要因が絡み合っているものです。</p><p>——実際に、そうした複雑さを感じた事例はありますか。</p><p>そうですね、それぞれの立場にそれぞれの言い分があり、単純に「誰が悪い」では解決できない複雑さがいじめ問題にはあります。被害を受けた側だけでなく、加害とされる側の背景やストレスにも目を向け、丁寧に話を聞く姿勢が問題解決には重要だと思います。</p><p>——いじめ問題では、当事者以外の子どもたちがどう関わるかも重要になってきそうですが、実状はどうなのでしょうか。</p><p>石川：以前、子ども約9,000人を対象にした大規模調査（※）に関わった際、いじめが起きる理由について最も多かった答えは、「子ども同士がお互いを大切にしていない」だったのです。</p><p>その反面で、「いじめを見たり聞いたりしたときにどうするか」を聞いた質問では、小学校、中学校、高校と年齢が上がるにつれ、「何もしなかった」という確率が4割から6割強へと上がっていくのが分かりました。</p><p>いじめの「傍観者」や「観衆」といわれる周囲の子どもたちも、「自分がいじめられたくないから」「自分ではどうすることもできないから」「いじめているグループが怖いから」といった考えから声を上げにくい現状があるのを感じます。</p><p>大人が気づく努力をするのは大前提ですが、現実的に全てのサインに気づくのは難しい面があります。どのような段階でもいいから、子どもたちが諦めずに声を出してもらえるように働きかけていかなければ、と実感しています。</p><div id="tnf-text-notes-block_de910c105554a86468c4dde1cf74a2bb" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考：<a href="https://www.kyoiku-kensyu.metro.tokyo.lg.jp/09seika/reports/files/bulletin/h25/h25_09.pdf" target="_blank" rel="noopener">東京都教職員研修センター「いじめ問題に関する研究　報告書」2014年2月（外部リンク/PDF）</a></div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00001.jpg"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00006.jpg">多くの応募の中から選ばれた「ポカコロ」のマスコットキャラクター「だんごーず」<h2 id="tnf-text-heading-block_5f195dc06c132f59cab9de94cb71f356" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">効果的な解決へと導くために。多職種が連携していく重要性</h2><p>——いじめの背景が複雑だとすると、解決に向けてどのようなアプローチが効果的なのでしょうか。</p><p>石川：多くの場合、学校現場における先生方の日頃の努力や対応によって、いじめが大きな問題になる前に解決されているケースはたくさんあります。私自身も、スクールカウンセラーとして学校に勤めながら、多くの事例が先生方の対応によって解決し、子どもたちが日常生活に戻っていくのを見てきました。</p><p>ただ、より複雑な事案や深刻化しそうな問題については、いろいろな専門性を持った人たちが連携して取り組むことが重要だと思います。</p><p>例えば、心理の専門家は子どもの気持ちを聞き取り、「なぜその子がそういう行動を取ったのか」「どんなストレスを日頃から抱えているのか」、また「保護者は何を要望されているのか」をアセスメントすることができます。</p><p>弁護士は法的な視点から「このいじめはもう一線を越えた行為になっている」「子どものいざこざと捉えるのではなく、迅速に対処した方がいい」といった判断ができる。福祉の専門家はその子たちの家庭環境や生活背景を見て、問題の根本的な要因を把握することができます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00004.jpg"><p>——実際の現場では、そうした専門家との連携はどの程度進んでいるのでしょうか。</p><p>石川：まだ十分とは言えないのが現状だと思います。例えば、ある養護教諭の方は「同じ学校の中にいても、管理職や担任の先生方との情報共有や、学年によっていじめの案件が起きたときの捉え方に温度差があったり、考え方や対応が統一されていなかったりすることもある」と話していました。</p><p>養護教諭は、子どもたちにとって相談しやすい身近な存在ですし、保健室に来る子どもの中には、いじめをはじめとする心理的な問題を抱えている場合もあります。養護教諭の中には、子どもたちの声をキャッチする立場として、学校に弁護士を呼んで、いじめ対策の研修を実施するような体制づくりに取り組まれている方もいます。</p><p>学校管理職のリーダーシップの 下 、教員間で十分な意見交換と役割分担をすることがまずは重要ですが、心理、法律、福祉といった異なる専門性を持つ人たちの視点を取り入れることで、より客観的で効果的な対応はしやすくなります。多職種が連携していじめに対応する方が、問題がこじれる前に適切な解決につなげやすい、と言っていいのではないでしょうか。</p><p>ただし、学校現場への専門家の派遣については、時間数が非常に限られており、即時的な連携を実現するためには配置の拡充が喫緊の課題だと思っています。</p><p>——「子どもオンブズマン」の活動でも、そうした多職種連携を意識されているのでしょうか。</p><p>石川：はい。基本的には全ての相談においてオンブズマンと相談員が連携していますが、事案によっては公認心理師・臨床心理士である私が心理的なケアや聞き取りの部分を担当し、学校への働きかけが必要な場合は弁護士の方々と相談しながら対応方針を決めています。</p><p>また、虐待を疑うような事案では児童相談所と連携して対応する他、制度改善など意見表明をする場合は弁護士の方が中心になって対応しています</p><p>それぞれの分野の専門家が早い段階から関わることによって、「学校として今どういうことができそうか」「どんな対策をしていかないといけないか」を多角的に検討できることが大きなメリットです。</p><p>全ての問題に対応できる「いじめの専門家」はなかなかいないと思います。教育、心理、法律、福祉などさまざまな立場の大人がしっかりと子どもたちの声に耳を傾け、問題が複雑化する前に適切な対応ができる体制をつくる。そのことが、いじめによる不登校や自殺など社会にある課題を防ぐための一歩になると思います。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/izime00007.jpg">「ポカコロ」で話をしたいときは、ホームページに記載の電話番号から予約ができる<h2 id="tnf-text-heading-block_117cd3a4b318b9fd3affa7ae3383b15d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">いじめ問題の根本的な解決に向けて子どもたちや周囲の大人一人ひとりができること</h2><p>複雑化するいじめ問題の根本的な解決に向けて、私たち一人ひとりに何ができるのかについて、石川さんに3つのアドバイスをいただきました。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_8898817b927df27ac51689971f194ad6" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［1］傷つける言葉より、相手を認め、大切にする言葉を使う</h3><p>いじめで最も多いのは「冷やかしやからかい」。けなしたり、さげすんだり、他と比較するような言葉は人を深く傷つけるという自覚を持ち、「ありがとう」に代表される、相手を認めて大切にする言葉使いを日頃から心がける</p><h3 id="tnf-text-heading-block_2adb3576030110b7ffecee80bdbb88e7" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［2］子どもが小さなことでも気軽に相談できる環境をつくる</h3><p>スクールカウンセラーや「子どもオンブズマン」といった複数の相談窓口があることを周囲や地域に広め、子どもが「どんなことでも相談できるんだ」という雰囲気をつくることが、声を上げやすい環境づくりにつながる</p><h3 id="tnf-text-heading-block_e5411214d14e237b906e8d970ac76bb0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">［3］「加害者が／被害者が悪い」で終わらせず、いじめの背景に目を向ける</h3><p>いじめの問題を見聞きしたとき、「誰が悪いか」ではなく、「なぜそうなったのか」「どうすれば解決できるか」という視点で考える意識を持つ。周りの人と話すときも、単純な批判ではなく、予防や改善につながる議論を心掛ける</p><div class="wp-block-spacer"></div><p>10代の自殺者数が高止まりする中で、その背景にあるいじめ問題の構造的な課題を探りたいと考えたのが、今回の取材のきっかけです。印象的だったのは、いじめの事実を知っても「何もしない」と答える子どもが年齢が上がるにつれて増えていく、という調査結果です。</p><p>小さくてもいいから声を上げやすい環境をつくることは、子どもたちに「相談しても何も変わらない」と思わせてしまっている私たち大人一人一人の責任でもあるのだ、と改めて認識させられた取材となりました。</p><p>撮影：十河英三郎</p><div class="wp-block-spacer"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_62f92c7d75d3facbd8740168e9f4b0e0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">〈プロフィール〉</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_c62dc1a1694d9ac3a7324b4e78e235b9" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">石川悦子（いしかわ・えつこ）</h3><p>中野区子どもオンブズマン（子どもの権利救済委員）。公認心理師。臨床心理士。こども教育宝仙大学こども教育学部教授。公益社団法人日本公認心理師協会理事教育分野委員長。中央教育審議会初等中等教育分科会臨時委員、同教員養成部会委員。2002年よりスクールカウンセラーとして公立学校・私立学校に勤務。2021年度・2022年度・2023年度には、文部科学省いじめ対策・不登校支援等推進事業「スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの常勤化に向けた調査研究」研究代表を務める。</p><p><a href="https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kosodate/kosodatesite_ohirune/sodan/kodomosoudan/ombudsman.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中野区子どもオンブズマン（公式サイト）</a></p><p><a href="https://www.city.tokyo-nakano.lg.jp/kosodate/kosodatesite_ohirune/sodan/kodomosoudan/kodomosoudanshitsu.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">中野区子ども相談室「ポカコロ」（公式サイト）</a></p>    ]]>
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      <oa:lastPubDate>Tue, 14 Apr 2026 01:00:00 +0000</oa:lastPubDate>
            
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      <guid>114756</guid>
      <title>食（た）べ物（もの）を無駄（むだ）にせず、食（た）べて応援（おうえん）！ イカを解剖（かいぼう）してみよう</title>
      <link>https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/2025/114756/food_loss</link>
      <pubDate>Tue, 19 Aug 2025 10:00:00 +0000</pubDate>
      
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<p>［対象（たいしょう）：小学校1年生～6年生］</p><p>「フードロス」という言葉（ことば）を知（し）っていますか？　まだ食（た）べられるのに捨（す）てられてしまう「食（た）べ物（もの）」のこと、「食（た）べ物（もの）を無駄（むだ）にしてしまうこと」をいいます。</p><p>世界（せかい）では、たくさんの食（た）べ物（もの）が捨（す）てられていて、大きな問題（もんだい）になっています。</p><p>例（たと）えば、お家（うち）でイカのお刺（さ）し身（み）を作（つく）るとき、ゲソ（足）や内臓（ないぞう）はどうしているか知（し）っていますか？ </p><p>実（じつ）は、イカはほとんど捨（す）てるところがない食（た）べ物（もの）。工夫（くふう）すれば、1匹（ぴき）まるごと、おいしく食（た）べられるんです。</p><p>この自由研究（じゆうけんきゅう）では、イカを解剖（かいぼう）して、ほとんど1匹（ぴき）まるごと食（た）べるレシピにもチャレンジ！</p><p>この「フードロス」にあわせて、自分（じぶん）が住（す）むまちや、応援（おうえん）したい地域（ちいき）の食（た）べ物（もの）を選（えら）んで、「食（た）べて応援（おうえん）」することも学（まな）んでみましょう。</p><p><a href="http://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/103122">【自由研究（じゆうけんきゅう）お助（たす）けプロジェクト】記事一覧（きじいちらん）</a></p><h2 id="tnf-text-heading-block_5d3bb8999634bcea98f2652d2996ea2f" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">教（おし）えてくれる先生</h2><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><h3 id="tnf-text-heading-block_61ef55b21dc385a08d5d51cc8f74a614" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">早武忠利（はやたけ・ただとし）さん</h3><p>早武（はやたけ）さんは、魚（さかな）のことならなんでも知（し）っているお魚（さかな）博士（はかせ）。いつもは、一般社団法人（いっぱんしゃだんほうじん）大日本水産会（だいにっぽんすいさんかい）の<a href="https://osakana.suisankai.or.jp/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「魚食普及推進（ぎょしょくふきゅうすいしん）センター」（外部（がいぶ）リンク）</a>で働（はたら）いていて、「魚（さかな）を食（た）べる楽（たの）しさを広（ひろ）げ、水産業界（すいさんぎょうかい）を元気（げんき）にする活動（かつどう）」をしています。</p></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00018.jpg"></div></div><p>先生の書（か）いた本<a href="https://www.schoolpress.co.jp/topics/item/c-788_1.html" target="_blank" rel="noreferrer noopener">『ハヤタケ先生の魚食大百科（ぎょしょくだいひゃっか）』（外部（がいぶ）リンク）</a>では、海や魚（さかな）にまつわる知識（ちしき）や、いろいろな魚（さかな）のさばき方、食（た）べ方（かた）などを知（し）ることができます。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_68df01c93b8278b9e41a389e0b61ca8c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">「フードロス」と「食（た）べて応援（おうえん）」について調（しら）べてみよう</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_4bd8eba9c2028db02caf039531edf6da" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「フードロス」は、なぜ起（お）きる？</h3><p>「フードロス」は、「まだ食（た）べられるのに捨（す）てられてしまう食（た）べ物（もの）」のこと。それでは、どうしてそんなことが起（お）きてしまうのでしょう？</p><p>例（たと）えば、こんなものも「フードロス」になります</p> お店（みせ）で売（う）れ残（のこ）ってしまったお弁当（べんとう）や食（た）べ物（もの）お家（うち）やお店（みせ）で食（た）べ切（き）れなかったごはん 見た目がちょっと悪（わる）くて捨（す）てられる野菜（やさい）や果物（くだもの）魚（さかな）の皮（かわ）や、イカの内臓（ないぞう）など、食（た）べられるのに捨（す）てられることが多（おお）い食材（しょくざい）<p>環境省（かんきょうしょう）の調査（ちょうさ）（※）によると、2023年度（ねんど）のフードロスの量（りょう）は約（やく）464万（まん）トンで、そのうちの半分（はんぶん）は家庭（かてい）から出ているんです。</p><div id="tnf-text-notes-block_3ca964cfbbc491c5a46e28a02227906a" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※参考（さんこう）：<a href="https://www.env.go.jp/press/press_00002.html" target="_blank" rel="noopener">環境省（かんきょうしょう）「我（わ）が国（くに）の食品（しょくひん）ロスの発生量（はっせいりょう）の推計値（すいけいち）（令和（れいわ）5年度（ねんど））の公表（こうひょう）について」（外部〈がいぶ〉リンク）</a></div><p>これは、日本の人口1人あたり毎日（まいにち）おにぎり1つ（103グラム）を捨（す）てているのと同（おな）じくらい。</p><p>食（た）べ物（もの）を作（つく）るには、水や土地（とち）、電気（でんき）を使ったり、農家（のうか）さんや漁師（りょうし）さん、工場（こうじょう）で働（はたら）く人たちといった、たくさんの人や資源（しげん）・エネルギーが関（かか）わっ ています。</p><p>また、捨（す）てることは、もったいないだけでなく、ごみを運（はこ）ぶための燃料（ねんりょう）を使（つか）う他 （ほか）、ごみを燃（も）やすと二酸化炭素（にさんかたんそ）が出て、特（とく）に水分（すいぶん）が多（おお）い生（なま）ごみは、燃（も）やすために燃料（ねんりょう）を足すこともあるのです。</p><p>地球温暖化（ちきゅうおんだんか）の原因（げんいん）にもなってしまうのです。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_446aa1aaf1f359002a38c445ecbf9a4d" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●「食（た）べて応援（おうえん）」とは</h3><p>「食（た）べて応援（おうえん）」とは、特定（とくてい）の地域（ちいき）の食（た）べ物（もの）を買（か）って、その地域（ちいき）や人を応援（おうえん）することです。</p><p>自分（じぶん）のまちで作（つく）られた野菜（やさい）や魚（さかな）を買（か）って食（た）べることや、旅行（りょこう）で行（い）ったことがある場所（ばしょ）の特産品（とくさんひん）を買（か）って食（た）べることも、「食（た）べて応援（おうえん）」になります。</p><p>「食（た）べて応援（おうえん）」することで、物（もの）が売（う）れると、生産者（せいさんしゃ）さんの仕事（しごと）が増（ふ）える事（こと）につながります。「またおいしい食（た）べ物（もの）を届（とど）けよう」と思（おも）えたり、お店（みせ）やまちが元気（げんき）になったりします。</p><p>ほかにも、2024年1月に起（お）きた「能登半島地震（のとはんとうじしん）」の後（あと）、被災地（ひさいち）の食（た）べ物（もの）を買（か）うことで、応援（おうえん）している人たちがたくさんいます。</p><p>そうすることで、被災地（ひさいち）に行（い）ってお手伝（てつだ）いができなくても、寄付（きふ）ができなくても、しっかりと力になることができます。</p><p>話題（わだい）になっている間（あいだ）だけではなく、ずっと応援（おうえん）を続（つづ）けることも大切（たいせつ）。応援（おうえん）したいまちを選（えら）んで、そのまちの食材（しょくざい）が使（つか）われているお店（みせ）に行くのもいいですね。</p><p>食（た）べながら、少（すこ）しいいことをしているな。元気（げんき）がない地域（ちいき）が元気（げんき）になるといいな。そんなことを思（おも）うと、うれしくなって、続（つづ）けることにつながります。</p><h2 id="tnf-text-heading-block_bc5f3d0528df002dc181d554d9e45854" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">イカについて調（しら）べて、魚屋（さかなや）さんに行（い）ってみよう</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_40bacea765896fb26941ec1572858e1e" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●地元（じもと）で買（か）えるイカを知（し）る</h3><p>世界（せかい）には500種類（しゅるい）以上（いじょう）のイカがいるといわれています。日本で買（か）えるイカだけでも、スルメイカ、ヤリイカ、アオリイカ、コウイカ、ホタルイカなど、いろいろな種類（しゅるい）があります。</p><p>スーパーや魚屋（さかなや）さんに並（なら）ぶイカは、季節（きせつ）によって変（か）わります。海（うみ）が近（ちか）い地域（ちいき）なら、取（と）れたてのイカが並（なら）ぶこともあります。</p><p>まずは自分（じぶん）のまちのお店（みせ）では、どんなイカが売（う）られているのかを調（しら）べてみましょう。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00003.jpg">上から、石川県（いしかわけん）のスルメイカ、鹿児島県（ かごしまけん）のコウイカ、沖縄県（おきなわけん）のトビイカ。同（おな）じイカでも、形（かたち）や大きさがちがう<h3 id="tnf-text-heading-block_49dcc776e270c657ff64607ad93f3ca0" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●近所（きんじょ）の魚屋（さかなや）さんでイカを買（か）ってみる</h3><p>お家（うち）の近（ちか）くにある魚屋（さかなや）さんに行（い）ってみよう。魚屋（さかなや）さんは、毎朝（まいあさ）市場（いちば）へ行（い）き、新鮮（しんせん）でおいしい魚（さかな）を仕（し）入れている、魚（さかな）の専門家（せんもんか）です。</p><p>魚屋（さかなや）さんで売っている魚（さかな）は、少（すこ）し高（たか）いこともありますが、それには理由（りゆう）があるのです。</p><p>手間（てま）がかかる取（と）り方（かた）で釣（つ）られていたり、魚（さかな）にストレスをかけないように、やさしい方法（ほうほう）で釣（つ）られていたり、丁寧（ていねい）に扱（あつか）われたりするので、ちょっと高くても、新鮮（しんせん）なのが特徴（とくちょう）です。</p><p>ウロコが残（のこ）っていたりすると、網（あみ）ではなく釣（つ）られたのかな？ とわかります。</p><p>おいしい魚（さかな）やさばき方、食（た）べ方を教（おし）えてくれることもあるので、気になることがあったらお店（みせ）の人に質問（しつもん）してみましょう。喜（よろこ）んで教（おし）えてくれるはずです！</p><h2 id="tnf-text-heading-block_4747ec97db2d868f97a98227065afba2" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">イカを解剖（かいぼう）してみよう</h2><h3 id="tnf-text-heading-block_17daf14e3f6c5719f1134ecdb68ed2f1" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●用意（ようい）するもの</h3>イカキッチンばさみまな板（いた）<p>くわしく観察（かんさつ）したい人は、<a href="https://notosatoumi.com/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">「能登里海教育研究所（のとさとうみきょういくいけんきゅうじょ）」（外部（がいぶ）リンク）</a>が公開（こうかい）している「スルメイカ観察（かんさつ）シート」を見てみましょう。</p><p>イカの種類（しゅるい）によって少（すこ）しずつちがいはあるけれど、基本的（きほんてき）な体（からだ）のつくりや仕組（しく）みは同（おな）じ。解剖（かいぼう）をするときに参考（さんこう）にしてみてください。</p><p><a href="https://notosatoumi.com/teaching-materials/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">能登里海教育研究所（のとさとうみきょういくいけんきゅうじょ）「スルメイカ観察（かんさつ）シート」（外部（がいぶ）リンク）</a></p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00022.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_273d4d2811630490c038325636125602" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●手順（てじゅん）</h2><p>［１］まな板（いた）の上に、「ロウト」というイカ墨（すみ）や水が出る部分（ぶぶん）を上にして置（お）きます。</p><p>そして、イカの胴体（どうたい）にはさみを入（い）れて、先まで切（き）ります。イカ墨（すみ）が入っている袋（ふくろ）「墨袋（すみぶくろ）」を傷（きず）つけないように、はさみを寝（ね）かせて切（き）るのがポイントです。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00002.jpg">イカのロウト</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00004.jpg"></div></div><p>［２］イカの胴体（どうたい）を開（ひら）いてみましょう。</p><p>真（ま）ん中の一番（いちばん）大きい部分（ぶぶん）が肝臓（かんぞう）、その上に銀色（ぎんいろ）の墨袋（すみぶくろ）、さらにその上に半透明（はんとうめい）の直腸（ちょくちょう）が並（なら）んでいます。</p><p>直腸（ちょくちょう）を上から下にロウトの方（ほう）になでると、イカのうんちが出てくるので、よく観察（かんさつ）しましょう（水洗（すいせん ）トイレ！）。</p><p>この出口の部分（ぶぶん）を指（ゆび）でつまんで上に引（ひ）っ張（ぱ）ると、墨袋（すみぶくろ）がきれいに取（と）れます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00006.jpg">指（ゆび）で引（ひ）っ張（ぱ）っているのが墨袋（すみぶくろ）<p>［３］イカの胴体（どうたい）から内臓（ないぞう）を取（と）り出します。</p><p>片手（かたて）でイカの胴体（どうたい）をおさえ、もう片方（かたほう）の手で足をしっかりつかみ、エンペラ（三角形（さんかくけい）のヒレ）がある方向（ほうこう）に引（ひ）っ張（ぱ）ると内臓（ないぞう）がきれいに取（と）れます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00007.jpg"><p>［４］食（た）べられない部分（ぶぶん）を取（と）り除（のぞ）いていきます。</p><p>イカの足の真（ま）ん中には口があり、さらに口の中には、カラストンビ（くちばし）があります。カラストンビは硬（かた）くて食（た）べられないので、引（ひ）っ張（ぱ）り出しましょう。</p><p>このとき、口を引（ひ）っ張（ぱ）るときについてくるイカの食道（しょくどう）も観察（かんさつ）してみましょう。</p><p>そして、イカのエラも取（と）り除（のぞ）きます。エンペラがある方向（ほうこう）にエラ心臓（しんぞう ）があるので、エラ心臓（しんぞう）を引（ひ）っ張（ぱ）るとツルっととれます。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00008.jpg">カラストンビを引（ひ）っ張（ぱ）り出したときに、ついてくる細（ほそ）い管（くだ）がイカの食道（しょくどう）</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00005.jpg"></div></div><p>［５］これでイカを解剖（かいぼう）できました。</p><p>食（た）べられないのは肝臓以外（かんぞういがい）の内臓（ないぞう）、とエラ、カラストンビだけです。胴体（どうたい）はもちろん、足やエンペラ、内臓（ないぞう）も食（た）べられます。</p><p>タコはエラを食（た）べますし、ホタルイカは内臓（ないぞう）をすべて食（た）べます。そう考（かんが）えると、食（た）べられないと考（かんが）えなくてもいいのかもしれませんね。</p><p>真（ま）っ黒（くろ）で食（た）べられなさそうイカ 墨（すみ） も、パスタやリゾットなどの料理（りょうり）に使（つか）われることもあります。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00009.jpg">左上によけられているのが食（た）べられない部分（ぶぶん）<p>早武（はやたけ）先生による、イカのくわしい解説（かいせつ）動画（どうが）（「魚食普及推進〈ぎょしょくふきゅうすいしん〉センター」公式（こうしき）YouTube内（ない））が公開（こうかい）されています。イカについてもっと知（し）りたいという人は、ぜひ参考（さんこう）にしてみてください。</p><p>動画【おうちで食育（しょくいく）『イカ編（へん）①』じっくり観察（かんさつ）してみよう！】</p><div class="wp-block-embed__wrapper"></div><h2 id="tnf-text-heading-block_26d1d9d05dc20cde615e0d2001a88521" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">イカのゴロ焼（や）きを作（つく）ってみよう</h2><p>「ゴロ」とはイカの内臓（ないぞう）のこと。イカは、はさみを使（つか）って切（き）るので包丁（ほうちょう）は使（つか）いません。</p><p>オリーブオイルと塩（しお）、しょうゆがあれば、簡単（かんたん）に作（つく）れます。</p><h3 id="tnf-text-heading-block_c547918179a6d2fafdfac060863eb515" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●材料（ざいりょう）</h3>イカ　オリーブオイル　適量（てきりょう）塩（しお）　適量（てきりょう）しょうゆ　適量（てきりょう）<h3 id="tnf-text-heading-block_8af9418c0ecda0547351682919863d94" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">●作（つく）り方（かた）</h3><p>［１］体（からだ）、エンペラ、足など、食（た）べられる部分（ぶぶん）をキッチンばさみで食（た）べやすい大きさに切（き）ります。</p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00010.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00014.jpg">イカはキッチンバサミでもきれいに切（き）れる。</div></div><p>［２］フライパン（※）にオリーブオイルを入れて温（あたた）め、イカをいためます。</p><div id="tnf-text-notes-block_429787ea832bce8a1faabf8d99a87d1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※写真（しゃしん）では鍋（なべ）を使用（しよう）しています</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00015.jpg"><p>［３］イカの色（いろ）が変（か）わったら、内臓（ないぞう）を包（つつ）んでいる薄（うす）い皮（かわ）を指（ゆび）などで破（やぶ）って、中身（なかみ）を搾（しぼ）り出しながらフライパン（※）に入れます。</p><div id="tnf-text-notes-block_429787ea832bce8a1faabf8d99a87d1c" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-notes ">※写真（しゃしん）では鍋（なべ）を使用（しよう）しています</div><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00016.jpg">イカの内臓（ないぞう）を包（つつ）んでいる皮（かわ）も食（た）べられる<p>［４］フライ返（がえ）しで混（ま）ぜながらよくいためます。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00017.jpg"><p>［５］塩（しお）、しょうゆで味（あじ）を整（ととの）えたら完成（かんせい）です。</p><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00023.jpg">イカのゴロ焼（や）きの完成（かんせい）。ごはんのおかずにもぴったり<h2 id="tnf-text-heading-block_1564df8a536951de9476d58ceeaa5bdf" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">自由研究（じゆうけんきゅう）まとめ方（かた）の工夫（くふう）</h2><p>イカの解剖（かいぼう）をして食（た）べてみたら、次（つぎ）のようなポイントをまとめた用紙（ようし）も作成（さくせい）して提出（ていしゅつ）してみよう。</p><p>「フードロス」と「食（た）べて応援（おうえん）」について、先生や友（とも）だちにもっと伝（つた）わりやすくなります。</p>自由研究（じゆうけんきゅう）のタイトル例（れい）：「イカを解剖（かいぼう）して、『フードロス』と『食（た）べて応援（おうえん）』について学ぼう」買（か）ったイカの種類（しゅるい）や自分（じぶん）のまちのお店（みせ）で売（う）られていたイカの種類（しゅるい）を調（しら）べてわかったこと近所（きんじょ）にあるスーパーや魚屋（さかなや）さんでは、どんな種類（しゅるい）のイカが売（う）られているのかをまとめようちがう種類（しゅるい）のイカを買（か）ってきて、色（いろ）や大きさ、形（かたち）のちがいをまとめようイカの解剖（かいぼう）の仕方（しかた）をまとめてみよう難（むず）かしい工程（こうてい）について、アドバイスを考（かんが）えてみようイカを観察（かんさつ）して、特（とく）におもしろかったところを考（かんが）えてみようイカのゴロ焼（や）きの作（つく）り方（かた）をまとめてみよう料理（りょうり）の感想（かんそう）も書（か）いてみよう「フードロス」や「食（た）べて応援（おうえん）」のことを調（しら）べてわかったこと日本で発生（はっせい）している「フードロス」、自分（じぶん）の家（いえ）で発生 （はっせい）している「フードロス」について、まとめてみよう自分（じぶん）が「食（た）べて応援（おうえん）」したい地域（ちいき）と特産品（とくさんひん）について、まとめてみよう自分（じぶん）たちにできること「フードロス」を減（へ）らすために、私（わたし）たち一人一人がどのような生活（せいかつ）を送（おく）ればよいか、考（かんが）えてまとめてみよう続（つづ）けられる工夫（くふう）を考（かんが）えてみようちょっと大変（たいへん）だったり、苦（くる）しみながら続（つづ）けることは難（むず）かしい。無理（むり）なく続（つづ）けられる工夫（くふう）を考（かんが）えてみよう<img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00019.jpg"><h2 id="tnf-text-heading-block_793a855d5e576e18b8cb4fd47e8d0045" class="wp-block-tnf wp-block-tnf-text-heading">イベントに参加（さんか）して学びを深（ふか）めよう</h2><p>魚食普及推進（ぎょしょくふきゅうすいしん）センターでは、魚（さかな）や水産業（すいさんぎょう）について知（し）ることができるさまざまなプログラムや、体験（たいけん）イベントを開催（かいさい）しています。</p><p>お知（し）らせは、主（おも）にメールマガジンで届（とど）きます。気になったら、ぜひ登録（とうろく）してみてください。</p><p><a href="https://osakana.suisankai.or.jp/mailmagazine" target="_blank" rel="noreferrer noopener">魚食普及推進（ぎょしょくふきゅうすいしん）センター「おさかな食（た）べようネットワーク メールマガジン」（外部（がいぶ）リンク）</a></p><div class="wp-block-columns is-layout-flex wp-container-core-columns-is-layout-9d6595d7 wp-block-columns-is-layout-flex"><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00011.jpg">豊洲市場（とよすしじょう）の調理室（ちょうりしつ）で開催（かいさい）したイベントの様子（ようす）</div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00012.jpg"></div><div class="wp-block-column is-layout-flow wp-block-column-is-layout-flow"><img src="https://www.nippon-foundation.or.jp/wp-content/uploads/2025/08/kaibou00013.jpg">魚食普及推進（ぎょしょくふきゅうすいしん）センターのイベントはいつもにぎわっている</div></div><p>また、日本財団（にっぽんざいだん）の海（うみ）と日本プロジェクトでは、海（うみ）にまつわるイベントを開催（かいさい）しています。ホームページでイベントを検索（けんさく）できるので、ぜひ近（ちか）くのものがあれば足を運（はこ）んでみてください。</p><p><a href="https://uminohi.jp/eventsearch/" target="_blank" rel="noreferrer noopener">海（うみ）と日本プロジェクト「海（うみ）のイベント検索（けんさく）」（外部（がいぶ）リンク）</a></p><p>撮影（さつえい）：永西永実（えにし・えみ）</p><div class="wp-block-spacer"></div><p><a href="https://www.nippon-foundation.or.jp/journal/issue/103122">【自由研究（じゆうけんきゅう）お助（たす）けプロジェクト】記事一覧（きじいちらん）</a></p>    ]]>
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