日本財団夢の奨学金

写真:未来を見つめる日本財団夢の奨学金3期生

日本財団は2016年4月、給付型奨学金制度をスタートさせました。その名も「日本財団夢の奨学金」。支援の対象は、事情があって血縁上の家族と離れて暮らし、社会的養護のもとで暮らした経験をもつ若者たちです。

「社会的養護」とは

日本には、何らかの事情で血縁上の親と離れて暮らす子どもたちが約4万2千人います。事情は、親の死亡や病気、育児放棄、虐待、親の養育能力の不足などさまざまです。こうした子どもたちを公的責任において養育し、保護することを「社会的養護」と呼びます。

18歳になると自立しなければならない

児童福祉法によると、社会的養護の対象は原則として18歳未満とされています。つまり、18歳を迎えると、児童養護施設や里親家庭などから自立を促され、それまで暮らしていた場所から出て行かなくてはならないのです。こうした若者は全国で毎年約2,000人。その多くが住居費や生活費を捻出するために就労します。経済的な理由に加え、体力的・精神的な疲労から進学をあきらめたり、進学しても中退したりするケースが、一般の若者に比べて多いのが現状です。例えば厚生労働省の調査によると、施設出身者の場合、大学や専門学校への進学率は一般の若者が74%であるのに対し、施設出身者は33%となっています(厚生労働省「社会的養育の推進に向けて」(令和4年3月31日)より)。

日本財団の取り組み

「日本財団夢の奨学金」とは

社会的養護のもとで暮らした若者の多くは、親がいないことに加え、住む場所や学歴もない3重のハンデを負うことになるといえます。そこで日本財団では、社会的養護のもとで暮らした若者を対象とした奨学金を創設しました。構築にあたり大切にしたのは、ハンデを克服するために本当に必要なことは何か、という点。児童養護施設、自立援助ホーム、アフターケア事業団体、社会的養護の子どもを支援しているNPO団体、教授、他の奨学金実施団体など現場の専門家から、どのような奨学金があるとよいか聞き取り調査し、要素として加えました。

日本財団では、2016年に社会的養護のもとで暮らした若者を対象として、社会で活躍するロールモデルを育成するための奨学金を創設しました。「日本財団夢の奨学金」の特徴は、返済不要の「給付型」であることに加え、学費全額に加えて生活費や住居費もカバーすること 。勉学やサークル活動など、学生としての経験も楽しむことができるようにするためです。さらに、すべての奨学生に「日本財団夢の奨学金ソーシャルワーカー」が寄り添い、悩みごとの相談にのり、サポートを提供します。

なお2020年4月より、文部科学省による高等教育修学支援新制度の給付型の奨学金がスタートしたことで、社会的養護下の子ども・若者の大学や専門学校への進学の支援は大きく向上しました。高校3年生から卒業後2年までの社会的養護を経験した若者の多くはその対象となります。

日本財団夢の奨学金は、修学支援新制度の対象とならない若者や、学費・教材費などの制度では足りない部分の支援を引き続き提供いたします。

今後の募集や奨学生の状況について

募集要項や申請書類、および採択された奨学生の状況については、下記特設ウェブサイトをご確認ください。

  • 高等教育修学支援制度の対象者については、制度で保障される金額を差し引いた支援となります。

あなたにお願いしたいこと

一歩ずつ前に進んでいく奨学生の声が届いています。

外部サイト採択奨学生の動き(夢の奨学金ウェブサイト内)

「児童養護施設に入った直後は子ども同士の暴力が絶えず、毎日が地獄。以前は大学のことまでは考えられませんでしたが、夢の奨学金で、憧れを現実にすることができたんです。『施設出身者だけど、ここまでできたよ!』っていつか胸を張っていえるよう、絵やダンスのレッスンに打ち込む毎日です」(19歳・女子大学生)

「日本では今、6人に1人の子どもが貧困と言われています。でも、僕がそうだったように、必死に隠している子も多い。それを発見し必要な支援につなげてあげられるのは、親以外で最も子どもの近くにいる学校の先生です。そういうことができる先生になりたいと思っています」(19歳・男子大学生)

寄付で応援する

夢の奨学金は、「機会は誰しも平等に与えられるべきである」という理念に基づいて運営しています。皆様のご寄付が、やる気も能力もある、しかしチャンスだけがないという社会的養護出身の若者の可能性を広げます。
頂いた寄付金は、奨学金として入学金と授業料(全額)、生活費や住宅費に充当します。また、彼らに寄り添うソーシャルワーカーのサポートに活用いたします。
ご寄付からは、日本財団が間接経費をいただくことなく、100%全額、社会的養護の子どもたちの進学支援に活用します。

日本財団子どもサポートプロジェクトロゴ

日本財団は、「生きにくさ」を抱える子どもたちに対しての支援活動を、
「日本財団子どもサポートプロジェクト」として
一元的に取り組んでいます。

その他のプロジェクトにもご協力をお願いいたします

日本財団では、その他にも皆様のご支援を募っているプロジェクトがあります。
皆様のご支援を心よりお待ち申し上げます。

お問い合わせ

日本財団 公益事業部 国内事業開発チーム

  • 担当:高橋・桂
  • 電話:03-6229-5254