奨学金事業を通した若手日系人の育成

日本留学中の研修や社会貢献活動を通し、専門知識の習得だけでなく、次世代の日系社会を担うリーダーシップを育む

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日本財団ビルをパンデミック後初めて訪問した奨学生
※撮影時のみマスクを外しています

(公財)海外日系人協会を通じて実施する「日本財団日系スカラーシップ」では、これまで中南米やアジアの若手日系人11か国148名(2022年9月現在)を支援しました。
本奨学金の特徴は大きく3点あり、1点目が留学先、専攻領域の選択肢の幅広さ、2点目が研修機会なども含めた充実した内容、3点目が奨学金終了後も続く、ネットワークです。

1. 多様な留学先、専攻領域で学ぶ

本奨学金は、若手日系人の方それぞれの抱く多種多様な夢の実現を後押しするため、分野や留学先に制限を設けていません。現役の奨学生だけでも、国際関係、工学、デザイン、医学、獣医学、琉球舞踊、鍼灸学、ファッション、料理等、様々な領域を専攻しており、留学先も専門学校から大学の博士課程まで、幅広いのが特徴です。また、留学期間も各自の留学計画に沿って、最長で5年間まで認められており、日本でじっくりと専門性を高めることが出来ます。

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沖縄の大学で琉球文化を専攻する学生の手ほどきを受け、奨学生全員で琉球舞踊を体験

2. 充実した研修機会

日系スカラーシップの奨学生は留学中、年に4回の研修機会や各自の興味に基づいた社会貢献活動を通し、日本や日系社会の抱える社会課題を知り、実践を通して解決する力を身に付けます。
例えば2022年春の研修では、日本財団の海洋事業部が支援する「海と日本プロジェクト」の助成先の海岸清掃のイベントに参加し、環境課題の現状を学びました。

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海と日本プロジェクトの一環で、辻堂海岸で海ゴミ拾いに励む奨学生

奨学生は在日の日系コミュニティへの貢献活動も積極的に取り組んでいます。2022年7月には、日系スカラー卒業生のリーダーシップのもと、在日ブラジル人学校16校合同のオリンピック大会において、多くの奨学生が大会運営のボランティアとして活躍しました。

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静岡県で開催された大会に、多くの奨学生がボランティアとして駆け付けた

こうした研修や貢献活動は原則として奨学生の自主的な企画、運営によって実施されており、リーダーシップの醸成と奨学生間のつながりの強化、また日系人としてのアイデンティティの確立にも寄与しています。

3. 卒業後も続くネットワーク

奨学生と日本財団の絆は卒業してからも健在です。
毎年実施される中南米での新規生の面接には日本財団の職員も同行しています。出張時には毎回、留学経験を活かし、それぞれの専門分野で活躍している卒業生との懇親会が行われます。日本の思い出話や現在の生活などについて、話は尽きません。
また、中南米に拠点を持たない日本財団にとって、卒業生からリアルな中南米の状況、日系社会の現状などは聞くこうした機会は非常に貴重です。

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ブラジルサンパウロでの、卒業生との懇親会の様子

日本財団は、奨学金をきっかけにした一生涯のつながり、また奨学金の分野や世代を超えた交流の場として、2021年にオンラインプラットフォームを立ち上げました。日系スカラーの卒業生および現役生も、早速プラットフォームを活用し、イベント情報の共有や、世代や居住地域を超えた親睦を深めています。

注:日本財団は(公財)海外日系人協会への助成を通し、「日本財団日系スカラーシップ」を支援しています。事業の詳細や応募に関する具体的な問い合わせは(公財)海外日系人協会までお願い致します。