平成30年7月豪雨災害の現場から
みんなのいのち

被災地のみなさんは今、どんな不安を抱えているか


平成30年7月豪雨は日本各地に大きな被害をもたらしましたが、地域や家庭によって被災の度合いや種類は異なり、被災者の方々が抱える悩みや心配ごとも多岐にわたります。被災地のみなさんは今、どんな思いでいらっしゃるのか。岡山県倉敷市の真備町や愛媛県の宇和島市で、様々な境遇にある方々にお話を伺ってきました。

2018.08.08

浸水した家がどうなるのか心配

写真 「今は浸水した家のことが一番不安。今後どうなるのかなあ。もう何もなくなっちゃったし。イチからやっていくしかないから」
真備町の避難所で暮らす女性の方は、今後の不安について語ってくれました。
豪雨の際、ご自身はいち早く避難所へ逃げたので、ご家族を含めて一命を取り留めることができました。しかし、ご自宅は氾濫した小田川によって浸水。長年住んできた生活の場所を失ってしまいました。

写真 真備町にある二万小学校では200人近い方が避難生活を送っており、お話を伺った女性の方のように、ご自宅を失った被災者の方も多く暮らしています。岡山県災害対策本部によると、真備町では約4600棟の住宅が浸水被害に遭ったとのことです。
日中は被害を受けた自宅で流れ込んだ川の土砂を取り除いたり、使えなくなった家電製品を廃棄し、夜間は避難所に戻って就寝する方がこの避難所には多く、浸水した家をどうするのか、みなさん不安に感じている様子でした。

「もう前を向かないとね。災害は誰のせいでもないし、後悔しても仕方ない。自分の足で一歩ずつ進まないとね」
避難所でお話を伺う中で、ご自宅が浸水した女性は自分自身を勇気づけるようにそう話しました。
被災地では行政やボランティア団体などが、浸水した住宅を復興させるために支援活動を続けています。日本財団も浸水被害が大きかった真備町を中心に、重機を使って土砂や災害廃棄物を取り除く支援を行っています。

年金暮らしがどうなるのか心配

写真 「父は年金で生活をしていたので、今後の生活がどうなるのか心配です。若い人であれば何とかなるかもしれませんが、父はもう高齢なので……」
真備町でご両親の家が浸水した被災者の方は、高齢の父親について心配そうに語ってくれました。年金暮らしの生活が今回の災害によってどう変わってしまうのか、不安だと言います。

「この家は大規模半壊と判定されるようです。両親は今、親戚の家に住んでいますが、長くは住めないでしょう。彼らも自宅に住み続けたい思いは強いのですが……」
災害により家屋が被害を受けた場合、被害の程度に応じて被災者が負担する費用の割合は変わります。その結果、住宅復興のための経済的負担が大きな重圧になる場合もあるようです。

地域産業がどうなるのか心配

写真 「ここはみかん産業で成り立っている町なので、生産がどうなるのかが長期的な心配ごとです。みかんは最初から植え直すとなると、しっかり生産できるようになるまで10年間はかかるので」
宇和島市吉田町にある玉津地区で自治会長を務める東山武良さんは、地域産業の将来に不安を感じているようでした。
玉津地区では今回の豪雨によって土砂災害が発生し、山の斜面に植えられたみかんの木が大きな被害を受けました。町の人口の80%近くがみかん関連の仕事に従事しているため、地域産業に与える影響も自然と大きくなります。

写真 「最近ではみかんの値段が安定してきたこともあり、若い人もこの町に帰って来てくれていたのですが……」
東山さんの言葉にある通り、災害は農業のような地域産業だけでなく、若年人口など町の未来そのものにも大きな影響を及ぼしかねません。
「風評被害も心配しています。玉津地区のみかんを今後も応援していただけると嬉しいです」
東山さんは最後までみかん産業の行く末を心配していました。

不安を取り除くには長期的な支援が必要

写真

「大雨が降っているときに車で町の見回りをしていて、次の場所に行こうとしたら“ドーンっ!!”って音がした。気が付くと、車の中で自分の体が宙に浮き、頭が天井に当たりそうになった。あれはさすがに驚いた」
今回の災害では岡山県総社市にあったアルミ工場が大雨による浸水後に爆発、その爆風が倉敷市の真備町まで広範囲に届きました。その当時の様子を、真備町で消防団として見回り活動をしていた地元の方が振り返ってくれました。この方は今、避難所の運営に携わっています。

「同じ真備町でも場所によって被害の状況は全然違った。大雨の翌日から避難所の運営を手伝っているけど、当時はまだ体制も整ってなくて、神戸から来た若者たちに色んなことを手伝ってもらった。あれは助かったなあ。被災地の復興は長期戦になると思うから、これからも応援していただけるとありがたいね」
被災者の不安を取り除くためには、長期的な支援が必要になるとこの方は強調していました。
今後も日本財団では、被災された方たちの声に丁寧に耳を傾けながら、被災各地での支援活動を続けていきます。

取材・文:井上 徹太郎(株式会社サイエンスクラフト) 写真:和田 剛