2017年国連海洋会議「世界海洋デー」

米国・ニューヨーク

本日、この世界海洋デーに皆さまとご一緒できることを嬉しく思います。これは全人類にとって非常に特別な機会です。

1987年より、日本財団は海洋分野の人材育成に取り組んできており、これまで、海洋学、気候変動、そして水産資源管理から海洋ガバナンスの分野にいたるまで、140カ国、1,200名以上の海洋専門家を育成してきました。

国連海事・海洋法課(United Nations Division for Ocean and the Law of the Sea : UN DOALOS)との共同プロジェクトはその重要な役割を果たしており、この14年間で途上国を中心とした78カ国から130名以上のフェローを輩出しています。彼らの多くは、現在、政策立案者や法律顧問、海底地形図の専門家を含む、多くの海洋関連分野において、成功を収めています。

本日も、70名の卒業生が遠路はるばるこの場に来てくれています。彼らは、卒業後もアルムナイ修了生ネットワークを通じてつながっており、引き続きアイディアや共通の課題と解決策を共有しています。

海洋ガバナンスの改善と持続可能な開発目標14(the Sustainable Development Goals : SDGs14)※の実現に向けて努力なさっているアルムナイ修了生の方々に感謝の意を示したいと思います。

日本財団と国連DOALOSは、これまで展開してきたフェローシップ事業に加え、新たに3つの人材育成事業を立ち上げます。この新しい事業は主に2つの目標を持っています。

1つ目は、小島嶼国や沿岸国など、途上国の海洋ガバナンスを強化できる人材の育成です。

2つ目は、SDGs14、そしてSDGs全体で掲げられたゴールを推進できる海洋専門家の育成です。

これらの目標は、ひとつの国、ひとつの組織、そしてひとつの専門知識によって達成できるものではありません。自国の利益や所属機関を超えて考え、革新的で包括的な解決策に従事するために分野を横断することができる人、これこそが日本財団が育成しようとしている人材です。

このような人材、そして皆さまの努力を最大限に活かすためにも、私たちは、世界中の海洋の横断的かつ統合的なガバナンスを可能にし、すべてのステークホルダーをコーディネートできるような国際的な枠組みを、一刻も早く作る必要があります。

それが世界的な海の課題に長年携わってきた私の切なる願いです。

共に一歩を踏み出しましょう。

※持続可能な開発目標14海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する(SDG : Conserve and sustainably use the oceans and marine resources for sustainable development)