日本財団ソーシャルイノベーションフォーラム2017

日本・東京

皆さん、ようこそお越しくださいました。今日はたくさんの方々にご参加いただき、ありがとうございます。皆さんにお会いできて嬉しく思います。

今日、参加してくださった皆さんの動機は、それぞれ違うかもしれません。しかし、「ここに来れば何かが起こる」「何か新しいことができる」そんな期待を持って、全国から集まってくださったのではないかと思います。

この会場には、いろいろな方々に来ていただいています。たとえば、学生の皆さん、災害支援ボランティア経験者の皆さん、NPOで日々活躍されている皆さん。あるいは、企業の中で、「本業と、社会課題の解決を両立させよう」と努力されている皆さん。また、行政の皆さんにもお越しいただいています。「何か社会のために関わってみたい」と、一歩を踏み出す思いで、来てくださった方もいるでしょう。

立場や所属が違っても、関心の分野が違っても、参加者の皆さんは共通して、「これからの日本をどうしたらいいか」ということを考えていらっしゃるに違いありません。

私たち日本財団は、このソーシャルイノベーションフォーラムで、そんな皆さんが集まり、多くの人と新たに出会い、にっぽんの将来について、熱く議論をしてほしい。そんな強い想いをもって、このフォーラムを準備して参りました。

さて、少子化・高齢化・地域の過疎化。これらは、現代の日本社会を表す言葉です。皆さんも、毎日のように耳にしていることでしょう。しかし、社会課題は、こうした「型にはまった一言」で表せるかというと、もはや、そう単純なものではありません。

たとえば、高齢化がすすむ日本では、介護の問題が表面化しています。家族が介護をする場合、働き世代の子どもが仕事を辞めなければならない、年老いた夫婦が、どちらかを介護しなくてはならないなど、ひとつの問題からいろいろな問題に連鎖し、それらが絡み合っていきます。

このように、問題が複雑になっているのは、皆さんもよくご存知のとおりです。

社会課題の状況は、一言で括ったり、個別に取り出して語ったりできません。また、決められた枠組みの中で、慣例に従って活動していては、複雑化している社会課題に対して、解決策を見出していくのは難しいと言えます。さらに、変化のスピードに対応して、既存の自分たちの組織の枠組みを変えていくのは、なかなか言うは易し、行うは難しでしょう。

今の状態を放置していては、にっぽんの将来が、どのようになってしまうのか。私はずっと懸念していました。

この状況を打開したい。組織や、年齢などの垣根をとっぱらった、オープンな議論の場が必要だと考えました。分野は違っても、にっぽんの将来のために活動している方々が、全国各地に、数多くいらっしゃいます。みんなで年に一度集まって、定型化された、筋書きどおりに考えるのではなく、新たな視点で課題を見つめなおす場所、それぞれのアイデアを持ち寄って、議論しあい、従来には考えられなかった解決策を生み出し、実践していく場所、にっぽんの将来を、みんなでつくっていく場所をつくろう、という思いに至りました。

そして、昨年、第1回ソーシャルイノベーションフォーラムを企画し、開催致しました。しかし、予想以上に多くの方に集まっていただくことができました。昨年参加された皆さんからは、「こんなに幅広いテーマを一度に扱ったイベントはめったにない」「新しい発想のヒントを得た」という、思いがけないポジティブなコメントをいただきました。

そして、私たちも、皆さんの、社会課題を自らの手で解決したいという、やる気と行動力、大きなエネルギーを実感できました。新しい発想と、大きなエネルギーを結集することが、明るいにっぽんの将来のために、価値があると確信しました。

日本財団ソーシャルイノベーションフォーラムは、全国各地で、日々、それぞれに活動している皆さんが、年に一度、ぎゅっと集まれる場所、たとえるなら「磁石」のような場所です。人と人が出会い、アイデアとアイデアが繋がって、明るい未来へのイノベーションが生まれる場所になると信じています。「磁石」には、S極とN極、両極にある物同士が引かれあう、という特徴があります。このフォーラムも、分野の異なる専門家の皆さんや企業の方が、出会える場です。あまり関係ないかなと思っていた人と出会うことにより、なにか新しいヒントをつかめるかもしれません。

政府、行政、NPO、企業。ここには、そのような枠組みはありません。
企業のトップ、学生。年齢差。そういうのも、一切関係ありません。

もうひとつ、「磁石」には別の特徴があります。それは、反発しあうことです。反発からは、大きなエネルギーが生まれます。反発して、時にぶつかったって構いません。関係ないと思っていた分野の人と、数多く出会って、どんどん大きなエネルギーが生まれたら、こんなに素晴らしいことはありません。

今回、数多くの面白い分科会を、たくさん用意しています。分科会を多く集めすぎて、あいにくプログラムの文字が小さいので読みにくいかもしれませんが、中身は濃いはずです。是非、この盛りだくさんの分科会に参加してください。

私たち日本財団も、イノベーションを起こすために、皆さんと、話をしたいと思います。どの分科会にも、必ず日本財団の職員が参加していますので、遠慮なくどんどん相談してください。今年は屋外のオープンスペースに自由に交流できる場所も用意しました。時間がなくて、話し足りなかった人も、秋空の下で、話すことができます。ぜひ活用してください。

私はこのイノベーションフォーラムを、皆さんのエネルギーもお借りして、より大きな「磁石」にしていきたい。フォーラムの磁力が大きくなれば、参加された皆さんも、たくさんの磁力を帯びることができる。その「磁力」を活かして、もっともっと多くの人を、仲間に巻き込んでください。そうすれば、皆さん自身の活動が広がるに違いありません。そうして、全国各地で、皆さんが「磁力」の中心となって明るいにっぽんの将来をつくるイノベーションを起こしてほしいと私たちは願っています。

今日から3日間、イノベーションの可能性を信じて、数多くの人との、新しい出会いを通して、皆さん大いに盛り上がってください。新しい出会いは、可能性を広げてくれます。

にっぽんの将来は、私たち一人ひとりにかかっています。

皆さん、共にソーシャルイノベーションを起こして、明るいにっぽんの将来をつくっていきましょう。