国際シンポジウム「日本-イラン関係の展望:変わりゆく社会と文化の視点から」

イラン・テヘラン

本日は、国際シンポジウム開催にあたりご尽力をくださった、イラン外務省、イラン文化遺産・伝統工芸・観光局はじめ多くの関係者の皆さまに心より厚く御礼を申し上げます。

私たち日本人にとって、イランは古くからの友人です。両国はシルクロードで結ばれており、8世紀に日本の都だった奈良には、ササン王朝で作られたとされる品が現在も保存されています。最近の研究では、その頃にはすでにペルシャから日本を訪れる人もいたといわれており、このことは、日本とイランの長い人物交流の歴史を物語っています。

笹川平和財団は、この長い歴史的な交流関係の強化のため、二国間の相互交流事業を展開してまいりました。

その一環として、昨年5月にテヘランで開催した国際シンポジウムでは、本日ご列席の皆さまのご協力を得て、平和や、持続可能な開発と女性の役割についての議論を行い、両国の活発な交流を世界に印象づける結果となりました。そしてこの第2回目のシンポジウムを、モーラヴェルディ副大統領閣下にご参加いただき、先月東京で開催したところです。

その際、副大統領閣下には古都・奈良を視察いただきましたが、これをきっかけに、両国間で歴史ツアーのようなツーリズムの分野で交流の可能性が生まれたことを、とても嬉しく思います。

本日のシンポジウムは、歴史、文化、経済といった幅広く社会を捉えながら、日本とイランの二国間関係の更なる強化を図ることを目的としております。国際情勢が大きく変化し、不確実性が高まっている今こそ、長い友好の歴史に支えられた両国の関係をどのように強化し、さらには両国が世界の安定と発展にどう貢献できるかということについて考えていくべきであると思います。このシンポジウムが、皆さまがこれらの問題について積極的に議論を行っていただく機会となることを期待しています。

申し上げるまでもなく、世界の平和と友好の基礎には相互理解があることが必要です。しかし、それは一朝一夕で達成されるものではありません。私は、人々の地道な人物交流と幅広い視点に立った相互理解こそが平和への第一歩であると信じています。笹川平和財団にとってイランとの交流事業は非常に重要な柱です。だからこそ、今後も長期的視点で取り組んで行きたいと思っております。

本日の私たちの対話が、世界の平和と安定に資するイランと日本の協力関係を築く新たな一歩となることを祈念いたします。