日本財団職員による現場レポート:断水続く被災地の衛生環境を守るために

日本財団ドネーション事業部です。断水が続く被災地の状況をご報告いたします。

支援が届きづらい能登半島

元日の能登半島地震発災から約2カ月が経過しました。私自身、阪神・淡路大震災、東日本大震災、毎年のように起きる豪雨災害など、財団の職員として被災地を訪れてきましたが、今回ほど復旧に時間がかかっている災害はないように感じます。

能登半島を縦断する道路が寸断され、”陸の孤島化”によって外部支援が非常に少ない状況が続いていることや、珠洲、輪島をはじめ甚大な被害を受けた地域において高齢化が進んでおり、復旧の担い手が少ないことが大きな要因になっているのは、皆さまもご存知の通りです。

このような大変厳しい状況の中、「被災者の皆さまの力になりたい。」という思いが寄付金という形で日本財団に託されています。発災直後から2月末現在まで、14万件を超える数の寄付金をお預かりしました。

守らなければいけない衛生環境

寄付金を使わせて頂き、現場で水をろ過、殺菌することで何度もきれいな水が使える「シャワーシステム 30台」と「手洗機 60台」を購入し、珠洲市・輪島市の学校に設置された避難所や医療機関等に配備させていただきました。

水道システムが破壊され、上水・下水の断水状況が続く避難者の方々に対して、シャワーを浴びたり、きれいな水で手をこまめに洗える衛生的な環境を提供できればとの思いでこの支援を行いました。

(市役所職員の方)
「地震後断水が続き、手洗いもできずインフルエンザになってしまった人もいます。石鹸で手を洗えるのは本当にありがたいです。」

(学校の避難所にいらした方)
「手を洗いたいもんね、ほんとに。つい癖で蛇口をひねってしまうんだけど、まだ出てこないもんね。」

(病院で支援されている看護師の方)
「手洗いができて役立ってますよ。下水がまだ復旧していないので、消毒液で対応していたんです。外のトイレの前に水が出るような手洗い場があるけれど、そこまで毎回行って手を洗うこともできなくて。石鹸を使って流水で手を洗えるのはありがたいです。」

皆さまからのご支援が、避難者の方達に届いていることはお分かりいただけたと思います。しかし、発災2カ月を経ても基本的な生活インフラすら復旧していないのが現地の実情です。

日本財団では、今後の能登半島の被災地支援についても検討を進めております。皆さまからお預かりした寄付金で行うこれからの支援についても、また報告させていただきます。

あらためて、多くの寄付者の皆さまのお蔭で、支援が行えていることに感謝を申し上げます。ありがとうございます。

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避難所の入口に設置されたシャワーシステム(珠洲市内)
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ろ過・殺菌により水の再利用が可能
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能登町でも活用されている手洗機
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避難所を出入りする際の手洗いに