コロナ禍における「移動」への支援

2020年5月20日、当財団は新型コロナウイルス感染症の拡大防止のために、タクシーを活用した2つの支援策を発表した。1つ目は医療機関へのタクシーチケットの配布であり、2つ目は感染者移送用のタクシーの整備である。当財団は、すでにお台場の船の科学館の敷地内に新型コロナウイルス感染症患者の療養施設を建設、東京都へ無償貸与しており、この支援策はそれに次ぐものである。

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感染予防装備を備えたタクシー内部の様子(2020年7月)
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後方の空気が前方へ循環しないようにコントロールされている

1つ目のタクシーチケットの配布は、新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関で働く医療従事者を対象にしている。出勤・帰宅等でのタクシー利用を目的に、1医療機関当たり100万円のタクシーチケットを2021年5月25日より配布を開始した。新型コロナウイルス感染症患者と最前線で対峙する医療従事者は、常に感染へのリスクにさらされており、さらにいつ終わるとも知れない感染拡大の不安と重圧は計り知れないことから、医療従事者の肉体的・精神的負担の軽減を目的にした支援策でもある。
2つ目の感染防止設備を備えた専用タクシーとは、東京都内の提携タクシー事業者が所有する車両に、運転席と後部座席の間に遮蔽ボードを設置、併せて空気清浄機も整備するものである。これにより新型コロナウイルス感染症患者、もしくはその疑いのある者の安全な移動手段を確保、医療機関への円滑なアクセスが実現する。患者が公共交通機関等を利用することによるさらなる感染拡大のリスクをなくすことが目的である。東京23区内の保健所・医療機関からの要望に応じて配車を行うものであり、2021年12月末日までで9,000回の配車実績がある。

(真野 優/災害対策事業部)