南アジア3カ国における新型コロナウイルス感染拡大に対する緊急支援地域コミュニティの回復を目指し、医療器材や食料・生活物資を支援

いまだ世界中で猛威を振るっている新型コロナウイルス感染症。日本財団は、日本国内での支援に加え、南アジア(スリランカ、ネパール、インド)の3カ国において新型コロナウイルス感染症による影響を受けている人々に対して緊急支援を行っています。

1. スリランカにおける食料等の支給及び生計手段回復支援

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スリランカ北部のキリノッチ県で乳幼児用パッケージを配布(2021年9月中旬)

・背景

スリランカにおいては、世界的に新型コロナウイルス感染症の感染が拡大した2020年の報告発生件数は顕著ではなかったものの、2021年5月より発生した第3波により感染者が急増しました。同年6月初旬には、全国規模の豪雨が発生し、インフラ基盤にも被害が生じていることから、特に都市から離れた地域に住む人々へ支援がいきわたっていません。このような状況の中、貧困世帯は大きな打撃を受けていることから、迅速な支援が必要と判断し、同年7月に支援を開始しました。

・支援内容

経済的に困窮する世帯を支援するため、日本財団は、現地NGOのSevalanka Foundationを通じて、食料等の配給及び生計手段回復支援を行っています。
対象は、25ある行政区のうち9行政区(ハンバントタ、アヌラーダプラ、ヌワラエリヤ、バティカロア、バブニヤ、モッライッティヴー、キリノッチ、マンナール、ジャフナ地域)の、計2,190世帯です。現地NGOの地域事務所を拠点に地元政府関係者と協働し、対象地域の世帯に、約1カ月分の食料やマスク等の支給を行いました。また、乳幼児を抱える世帯に対しては、栄養補助食品やおむつなどの乳幼児用衛生用品を提供。さらに、同年10月からは、職を失った世帯の働き手に対して農業や畜産、手芸品制作などの生計手段回復に向けた支援を行なっています。

2022年1月14日現在の進捗

生計手段回復支援は、2021年10月から11月にかけて発生した豪雨により、一時期中断しましたが、現在再開し、対象地域の各家庭の経済状況や支援のニーズなどのヒアリングをもとに支援対象世帯を選定しています。今後、選定が完了した地域から順次、対象世帯に対して生計回復に向けた現物支援を行う予定です。支援が決定している世帯の中には、事故により夫を亡くし、チーズ工場にて最低賃金で働きながら、障害のある子ども2人を育てているシングルマザーの家庭や、パンデミック下で生地の入手が困難になったため、仕立屋のビジネスを続けることができず、切り崩していたわずかな貯蓄も底をついてしまった5人家族などがいます。

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スリランカ東部バティカロア県にて、生計や家庭状況に関するヒアリングの様子(2022年1月中旬)

・支援先

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スリランカ北中部州の州都アヌラーダプラにおける支援物資配布の様子(2021年9月中旬)

2. ネパールにおけるハンセン病回復者、シェルパ族を対象とする新型コロナウイルス感染症対策支援

画像左上、右上:2022年1月の食料・衣類・衛生用品配布の様子。画像左下:提供された防寒着を着る人。画像右下:積み上げられた支援物資の米。

・背景・支援内容

ネパールでは、シェルパ族、ハンセン病患者・回復者を対象に、衛生用品、食料、衣類等の配布を2021年11月から開始しました。同国は2021年5月に第2波を経験し、11,000名以上が亡くなり、ハンセン病新規発見患者は3,000名台を推移していますが、必要な支援が十分にゆきわたっていない現状があります。事業実施団体であるNepal Mountaineering Association(NMA)は、1995年からハンセン病患者・回復者の支援を行ってきた数少ない団体の一つで、その活動には、ネパールの山岳に詳しい山岳民族シェルパ族の貢献があります。日本財団は、ハンセン病支援の継続を願って、2022年5月まで支援を実施しています。

・経過報告

YouTubeにて配布会の様子をご覧いただけます。

ネパール山岳協会(Nepal Mountraineering Association: NMA)の協力により、政府による厳正な規定をクリアし調達された支援物資が1月に200名のハンセン病患者・回復者の方々へ配布されました。また、4月には3000世帯、15,000名のシェルパ族、ハンセン病患者・回復者の方々に、食料や衛生用品が配布されました。本事業は本年5月で終了予定です。

現地の人々の声:
「日本財団の支援はこれが初めてではありませんし、過去の支援を今でも覚えています。今回の日用品、衛生用品の支援を行ってくださった日本財団とネパール山岳協会に感謝しています(2021, Rising Nepal National Daily)。』

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写真提供元:2022年1月28日 Gorkhapatra National Daily

・支援先

3. インド北東部のマニプール州へ医療機器の支援

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マニプール州のシン首相(右から3人目)に酸素濃縮器が引き渡された(2021年6月下旬)

・背景・支援内容

インド北東部に位置するマニプール州では、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が病院のベッド数を大きく上回り、多くの住民が家庭内での自己隔離を強いられているため、家庭内医療の質の向上が喫緊の課題となっていました。また、インド全体における新規感染者数が減少していた時期でも、マニプール州においては再拡大が確認されていました。支援の格差を是正するため、日本財団は、バッテリーを搭載し停電リスクに対応可能な酸素濃縮器と、患者の酸素飽和度を簡易的に測定できるパルスオキシメーターそれぞれ100台を寄贈することで、現地の家庭内医療の質の向上を目指しました。本事業は2022年3月31日に事業完了しました。

・協力団体

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