【開催報告】2022年11月9日開催 日本財団 海洋開発国際セミナー

日本財団は、2022年11月9日(水)、海洋開発国際セミナーを対面・オンラインのハイブリッド形式で開催しました(開催場所:日本財団ビル)。
本セミナーへは、対面・オンライン合計で210名を超える参加者があり、会場では発表者による講演のほか、活発な質疑応答や意見交換が行われ、セミナーは盛況のうちに終了しました。

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DeepStarダイレクターのShakir Shamshy氏(同左)とマネージャーのPat Toomey氏(同右)が、参加者からの質疑応答に対応している様子

開催趣旨

2020年、菅総理大臣(当時)が、我が国は2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。2015年に採択されたパリ協定における「地球の気温上昇を、産業革命以前と比べ1.5℃以内に抑える」という目標を達成するために、世界の多くの国でも我が国と同様の動きが広がっており、世界の海洋開発の分野においても、地球温暖化対策や再生可能エネルギーの利用、脱炭素燃料への代替等、様々な課題に取り組む必要があります。

このような取り組みへの貢献として、日本財団は、米国DeepStar(※1)及びスコットランド開発公社(※2)と連携技術開発プログラムを実施しています。2021年12月には、DeepStarとの間で覚書を締結し、海洋石油・ガス技術開発における脱炭素化等の推進に向けた新たな連携技術開発プログラムを開始し、現在12のR&Dプロジェクトが進められています。また、2017年には、スコットランド開発公社との間で覚書を締結し、2019年には海洋の持続可能な利用を通じて経済を成長させることを意味する「ブルーエコノミー」という概念を実現するための連携技術開発プログラムを立ち上げました。スコットランド開発公社との本連携技術開発プログラムは、本年11月を以て合計9つのプロジェクトが完了しています。
本セミナーでは、DeepStar連携技術開発の現状報告及びスコットランド連携技術開発の成果発表が行われました。

  • 1:DeepStar(外部リンク)とは、上流企業と呼ばれるChevron(米国)、Shell(英国)、Equinor(ノルウェー)など、世界中の海洋石油・天然ガスの探査・開発・生産を担う企業や、これら企業に製品・サービスを提供する企業、大学、研究機関などから成る海洋技術開発のコンソーシアム。
  • 2:スコットランド開発公社(Scottish Enterprise)とは、スコットランドの経済開発を促進する機関として、官民のパートナーと共に当地におけるビジネスチャンスの創出や拡大等を支援している組織。

当日の様子

冒頭では、日本財団 常務理事の海野光行より開会の挨拶が行われ、本技術連携開発が海洋人材育成に果たす役割と日本企業への期待が述べられました。

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日本財団の海野常務理事が開会挨拶の中で、日本財団が取り組む連携技術開発の背景と日本企業への期待を述べた

セミナーは2部構成で、第1部では、DeepStarのダイレクターであるShakir Shamshy氏から、DeepStarにおける技術開発の最新動向について、シェブロン社の技術を統括するDeepStarマネージャーのPat Toomey氏からは、現在、脱炭素化の切り札として注目を浴びている二酸化炭素の回収・地下貯留について講演があり、続いて日本企業からDeepStar連携技術開発の現状報告が行われました。

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DeepStarダイレクターのShakir Shamshy氏が、日本財団とDeepStarの技術開発の最新動向について講演した
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DeepStarマネージャー(シェブロン社の技術統括)のPat Toomey氏が、二酸化炭素の回収・地下貯留・利用の動向について講演している様子

第2部では、スコットランド国際開発庁のStephen Baker氏が、スコットランドにおける洋上風力発電に関する取り組みについて講演し、この分野での今後の展望や人材育成の必要性を語りました。続いて日本企業からスコットランド連携技術開発の成果発表が行われました。

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スコットランド国際開発庁のDr. Stephen Baker氏が、スコットランドにおける洋上風力発電に関する取り組みについて講演した

最後に、日本財団 海洋開発人材育成推進室 室長の中川より、DeepStar連携技術開発の今後の募集について、スケジュールが発表されました。

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日本財団 海洋人材育成推進室室長の中川が、DeepStar連携開発事業の第2弾への応募を日本企業に呼び掛けた

日本財団では、海洋石油・天然ガスにおける脱炭素化等を推進する連携技術開発の提案について、2022年12月6日(火)~8日(木)の3日間、日本時間の9時~11時にかけて開催されるDeepStarとのオンライン面談受付を開始しています。オンライン面談希望提出の締め切りは2022年11月30日(水)の日本時間17時です。
これは、2023年1月中旬に開始する連携R&Dプロジェクトの助成申請募集に先駆けて、日本企業の技術開発の提案を最終化させるため、DeepStar構成企業のニーズ把握を目的とした面談です。

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